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分割版PDFファイル-3

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分割版PDFファイル-3
第三部:一年間をふりかえって
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一年間を通しての感想
島影
千琴
前期は、最終的にどのような形で授業を作るかが中々見えてこなかった。
方向性をどのように定めていったらいいのか同じ班のメンバーで何度も
話し合ったが、「絵本らしさ」を授業で生かせるようにしたい、というと
ころから具体的なところへは中々進展しなかった。
第一回の発表では、とにかく早く対象を絞って教材研究に移りたいとい
う思いから、絵と文とを一人の作家が作っている本を対象にしていこうと
いう意見になった。絵本とは何かということを考えたときに、絵と文と構
成とすべてで一つの世界を作り出しているものと仮定した時、文の作者と
絵の作者が異なる絵本では、絵と文が互いにうまくかみ合っていない場合
や、うまく相乗効果を利用できていない場合などがあるという考え方が根
本にあった。また、当初から私たちの班は「しかけ絵本」や「知育絵本」
などを対象からはずし、「物語絵本」の中で授業を作っていこうという考
えがあった。
しかしながら、私たちは「学校教育で授業を行いやすい教材」という点
からスタートしており、もっと広い視野で絵本と子どもの学びというもの
を捉える必要があっただろうと現在では反省している。もともとの対象年
齢を超えた絵本の活用法という考え方もあったはずである。話し合いの当
初から読解力ということを中心にして、どの学年ではどの程度の教材なら
可能だろうかというような話し合いを行っており、この段階で私たちの頭
の中はほとんどが読解の授業のイメージであった。
その後、先生からのご指導で絵本の基本的な学習を行うということにな
り、絵本の分類、絵本の成立史や動物絵本についての研究などを研究書や
実際の絵本を参考にしながら少しずつ調べていった。私にとっては、絵本
の成立史と動物絵本の研究はとても興味深いものであった。絵本の構成な
どの工夫や「仕掛け絵本」などについても、班として担当してはいなかっ
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たものの、話し合う中でいくつか興味深い点や、驚かされる点などを見つ
けることもあった。
そのうちに私たちは、読解に留まらない絵本の活用という考え方もある
のではないかということに気づき、具体的ではないものの少しずつ考え方
が変化していった部分もあったと思う。
後期に入って、班の組み替えもあり、また新たに今後の焦点を絞らなけ
ればならなかった。私が入った大里小学校担当の班では、文字の獲得初期
の頃の学習をイメージしながらオノマトペについての学習をするという
案をメインに、その導入として様々な絵本に触れるという意味でネズミの
絵本の紹介文を書くという活動の2柱を具体的に練っていくことにした。
ネズミの絵本は、前期の動物絵本の学習も元になっている。
オノマトペのほうは、オノマトペを知るという活動ではなく、耳で聞い
た音をオノマトペにして独自のオノマトペを生み出そうというものであ
った。しかし、オノマトペとは何かという問題や、言語の獲得という点に
ついての考察が未熟であったため、最終的に、本来導入として考えていた、
絵本の紹介文を書くという活動をより深めて、一つの活動とすることとな
った。
ただ、絵本の独自性をもっとも生かすことのできる授業という意味では、
実際に大里小学校で行うことになった絵本の紹介ポスターを作る活動よ
りも、当初の活動の方がその可能性を持っていたのではないだろうかと今
でも考えている。絵と言葉が一体化している、その中にはにおいや音や
様々な五感や心を通して感じられるものがより直感的に表現されている、
そのような絵本らしさを生かせる授業を作るためにはどのような授業が
良いのか、私にそれが具体的に見えてきているとはまだまだ言えないまま
今回の活動が終了することはとても残念です。
ゼミを終えて
米田朱里
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これまで、絵本のおもしろさやすばらしさ、絵本を自分自身が楽しむ見
方については学んできましたが、教材としての絵本活用は初めてで、新し
い活用法を作り出していくことの楽しさや難しさを勉強出来たように思
います。
前期は基礎学習と言うことで、調べることが多くありました。はじめは、
自分たちの興味のあることから出発したため、何から調べたらよいのか手
段にも悩んでいましたが、その分、ある傾向が見えてきたときには、大変
面白く感じました。次に何を調べるのか、そのこともすぐには見つかりま
せんでしたが、回を重ねるごとに、助言を受けて、現在の課題へと近づい
ていくことができました。
また、図書館見学ということで大里小学校に見学に行ったことで、教科
書と絵本との比較、絵本同士の比較という方法が見つかったように思いま
す。図書館には、さまざまな絵本がありましたが、やはり、これまで多岐
にわたって読み継がれてこられた作品がおおくありました。それは、教科
書掲載作品も共通することで、長年にわたって読み継がれていることのす
ばらしさ、そこには変わらない魅力があるということ予測されます。その
観点は、私たちのチームが前期の始めに取り組もうとしたロングセラーと
もつながる物があったように思いました。
そして、今回「やまなし」という教材を、絵本を使って行うことで、ま
た新たな授業の方向が見えてきたように思います。絵本を活用するという
ことで、はじめは一冊の絵本にこだわり、絵本に書かれていることが全て
であって、他に世界があるということは考えていませんでした。しかし、
今回様々な賢治絵本を検証していくことで、絵本にも疑いをもっていく姿
勢があることを知ることができました。絵の一つ一つを見ていくことで、
そこに表れている画家の読みを発見できます。複数の画家を比べることで、
解釈の違いがよりわかりやすく現れてきました。絵本に書かれた情報を受
け取るだけでなく、それが示していることを考える姿勢を獲得できたよう
に思います。絵本を読むという活動には、様々な角度があることが分かり
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ました。
授業案では、「絵本に書かれていることを通して世界観を発見・拡大す
る」という活用法をひとつ示すことができたのではないかと思います。ま
だまだ改善点はありましたが、これまであまり注目していなかった部分へ
と視野を広げることができたのでは、と思っています。文字で作品をおっ
ていた姿勢から、それ以外の(今回は絵というツールで)ものから、作品
を掴む姿勢が、示すことが出来たように思いました。また、その視野の拡
大は、作成した授業案が目的としていた、生活における視野の拡大にもつ
ながるものがあったと思います。これまで授業実践が多く成されてきた
「やまなし」ですが、現在においてもさらに魅力が増していることがわか
りました。
最後に、チームでの活動ということについて。何度も話し合いの機会を
持ちながらも、一歩進んでは二歩下がるといった進み具合で、悩みの尽き
ない活動でしたが、チームで取り組んだからこそ生まれたアイデアがいく
つもありました。分からないながらも、チームでゆっくりと考えていくこ
とで、次への切り口が生まれていきました。人と話すことで今まで気づか
なかったことに目が向くということが実感でき、大変勉強になった一年の
活動でした。
国語教育ゼミを 1 年とおして
林浩司
我々のゼミでは、絵本をプロデュースするというテーマを 1 年とおして
検討してきた。前期は主に絵本についての基礎知識を構築し、その魅力を
浮かび上がらせる端緒を模索した。我々の班では、オノマトペや仕掛け絵
本の要素をふんだんに使用する五味太郎氏の作品を取り上げるなどして、
絵本の核の部分に迫ろうとした。ただ、メンバー間の目指すものや、取り
扱いたい教材のズレなどが生まれ始め、話し合いの結果、後期からは新し
いメンバーでやっていくようになった。
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新しいメンバーとなった後期からは、それぞれの班で討議し、まとめた
絵本の特徴を、授業でどのように活かせば良いのか考えた。しかし、3 つ
の班からの合流チームということもあり、何をやりたいのかということや、
扱う教材さえも決まっていなかった。そこでまず、授業対象者である中学
生の現状を、何冊かの文献を読む事で捉え直すという所から始めた。だが、
取り上げた文献の数だけ、それぞれの問題点が挙がってくるため、どこに
問題を絞っていくのかという新たな問題も浮上してきた。ただこれは最終
的に、熊野の中学生の現状はどうなっているのだろうという事を調査する
という目的を授業の狙いの一つに置けた時に、解消された。
このような中で、各自がそれぞれ教材にしたい絵本を選んでくるという
課題を次に打ち立てることにした。ここでも、音読指導に傾斜したり、
『な
いた赤おに』を候補として挙げたりと、紆余曲折をみせたが、その中で候
補に挙げられたジョン・バーニンガムの『なみにきをつけて、シャーリー』
が、子ども向けの絵本とは違い、一読しただけでは容易に理解できない、
多様な読みを内包しているという点で、最有力候補として挙がり、そのま
ま採用となった。
この後、その教材を用いての授業案作りを検討していった。多様な読み
が可能ということもあり、班員の中でも解釈が二つに割れたが、その割れ
たポイントとなる場面を生徒がどう解釈するかという発問をすることで
熊野の子どもたちの現状を知ることができるという先生の助言を得て、最
終的なものへと行き着いた。
授業についてのコメントは別段に記すこととして、最後にこの 1 年をと
おして感じたことは、何かの目標に向ってグループで活動するということ
がこれほどまでに難しいことなのかという点に尽きるということである。
全員が同じベクトルでとまでは言わないが、ある程度の水準まではお互い
の認識の摺り寄せが必要だろうと思った。今回の取り組みでは、その際に
それぞれの考えや思いがぶつかり、もめることも度々あった。しかし、相
違点を責めるだけではなく、なぜ違うのか、根本的に認識が異なるのか、
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そうでなければどこに折り合うポイントがあるかなどに争点がいくと、少
しはわだかまりが薄まる気がした。今後また同じような取り組みをするこ
とがあったとしても、今回の経験は判断に迷った際に、頼れる選択肢の一
つに成りえるものだったと認識している。
一年を振り返って
水野
志保
絵本の活用性を見いだす研究をしてきた。とにかく、大変だったの一言
に尽きる。4年生だったこともあり、ゼミをひっぱっていかねばならな
いプレッシャーと共に、課題の斬新さに少しとまどいつつ始まった今年
度のゼミだった。どこから、アプローチしていけばいいか、そこからす
でに壁にぶつかっていたように思う。何度も何度も行き詰まり苦しんだ。
絵本を授業で使う意義をみつけるためには、まず絵本の意義を考えまと
めなければならなかった。一体、絵本の魅力は何だったのか。今だに、
納得のいく答えがみつかっていない。
後期には、実際の小中学校での授業案を考える活動をしてきた。絵本
の意義を明確にできていないまま、授業案へと進んだためか、非常にこ
こでも苦しむことになった。絵本の意義が曖昧なまま授業で絵本を使お
うとしていたため、どうやって教材として絵本を取り入れるかという壁
にぶつかったのである。当然だったと今、思える。自分たちの中に、絵
本というものの意義が曖昧だったのだから、授業にできないのは当然だ
ろう。私たちの班は、一からの出直しとなった。そして、何とか入鹿中
学校での研究授業をさせてもらうことに間に合った。
このように、どたばたと何度も最初に立ち返っては考え、という繰り
返しの毎日だった。結果、深く考察することができたということは良か
ったが、なかなか、前に進むことができなかったことが非常に悔やまれ
る。
最後に、この一年間を通して、自分なりに見つけ課題となったことを
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二点にまとめ、また今後の課題としても持ち続けていきたいと思う。一
つめは、まず幅広い視野を持つことである。一つの事柄を一つの視点だ
けで考えるのではなく、多面的な視点をもつことである。このことによ
って、みえてくるものが変わってくる。自分で研究を進めていく際には、
非常に大事なことではないだろうか。二つめは、根気強くである。途中、
何度も嫌になり、投げ出したいと思ったこともあったが、じっと我慢し
て地道に研究を続けていけば、ふっと何かがみえるときもあるものだと
感じた。
ゼミを終えて
野垣内真由
今年は「絵本をプロデュースする」というテーマのもと、前期で絵本に
ついての調査、後期では実践授業に向けた話し合いを中心に行ってきまし
た。
絵本というと「子どもの読み物」という先入観に縛られ、それを取り除
くことがわたしの中で前期の課題となっていました。そこで話題になって
きていた「大人の絵本」や、絵本ならではということで興味を持った「絵
に込められた意味」といった観点からおぼろげながら研究対象としての絵
本に迫っていきました。そうして調べてみると絵本の研究所の多さに驚か
され、知りたいことがどんどんふくらみ、知れば知るほど絵本の奥深さを
実感することとなりました。知識を持って読んでみると、同じ絵本でも
様々な発見や押さえをすることができ、読み方の幅をひろげられたと思い
ます。絵本の魅力を伝えたいならまずは自分が絵本の魅力を実感しなけれ
ばなりません。ぼんやりと、しかし確かに感じている絵本の魅力を言語化
することに前期は悪戦苦闘しました。
後期は様々な話し合いの末、
「なみにきをつけて、シャーリー」
(ジョン・
バーニンガム作/へんみまさなお訳)を教材にすることに決めました。こ
の絵本はかなり独特な絵本です。読めば読むほど解釈は何通りにも分かれ、
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話し合いが白熱することもしばしばありました。自分の視点が家族の話と
して見ているか、それともシャーリーに重点を置いているかなど、話して
いるうちに自分の無意識のうちの視点がだんだん見えてくる面白い絵本
でした。だからこそ指導案もこちらからある一つの読みに終結させるので
はなく、読み方のヒントを提示しつつ生徒の考えを自由に引き出せるよう
なものを目指しました。それが実験授業で成功したとは言えませんが、自
分たちなりに「なみにきをつけて、シャーリー」に向き合い、生徒たちの
生の反応を見れたことは大きな成果だと思います。
研究授業は終わりましたが、反省点や改善点を確かめ、この絵本につい
てまたいつか何かしらの形で扱ってみたいと思いました。授業をしたこと
で絵本に対する興味がさらにわいてきたように感じます。この気持ちを大
事にしてこれからも多くの絵本に接していきたいと思っています。
一年間を振り返って
服部亜紀
前期を振り返ると、班としての統制がなかなかとれず、また、全員で話
し合う機会も互いのスケジュールがあわせられなかったために設けるこ
とができずにいた。そのため、毎回調査や発表が曖昧で浅い物ばかりにな
ってしまっていたように思う。後期では、前期での反省をふまえてお互い
に連絡を取り合い、ファイルをメールで共有しあうなどの工夫をすること
で、前期に比べてより深い話し合いをしていくことができたように思う。
ただ、班員全員がそろう機会そのものは少なく、独り欠けているようなこ
ともあった。この点はそれぞれがもっとゼミに対する意識を高めていくこ
とで、改善されるだろう。まだ大里小学校の授業が残っているので、あと
はそれに力を入れていきたい。
国語教育ゼミナール この一年間を振り返って
大石
翔
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絵本を授業に取り入れるということで、国語教育ゼミナールに興味を持
ちました。私は主として近代文学ゼミナールの授業を受けていて、そこで
は江國香織を研究していたからです。江國香織も何冊か絵本を書いていて、
もしかしたら自分の研究の範囲を広げられるかなぁと思ったからです。し
かし、この一年を通して江國香織に触れたのはほんの少し…というにも足
らないぐらいでした。国教ゼミはグループワークで、自分の思う方向にど
んどん進んでいけばいいというものではなかったからです。考えたことを
仲間と吟味しあって共有したり、どういう組み立てにすればよくなるか話
し合ったりすることが、大切なのだということを学べました。これが、研
究と授業の違いなのかなぁと思います。実際4月から教壇に立つわけです
が、それには様々な力が必要になってくると思います。もちろん研究する
ことも今後必要ですが、それだけでは難しかった授業作りの方の力をこの
ゼミではつけさせてもらえたのではないかと感じています。初めに参加し
ようと思った目的はあやふやなものでしたが、改めて絵本を扱ってみて、
絵本の特徴や魅力を考えられたような気がします。もちろん今回考えたの
は大人の目線であって子どもが感じることはまた違う感覚ですばらしい
ものなのかもしれないのですが。
私たちは何か作品に触れるとき、その「文字」によって焦点化さられた
何かに、文字として受容することで強制的に注目しているらしい。例えば
「花がそこにある」というさりげない事象を、小説で書こうとすればどう
してもその様子をさりげなく伝えることはできない。それが絵本だと、ご
く自然に登場させることができ、それを受容するかしないか、またはどの
ように受容するかは読者次第ということになる。小説の巧みな言葉選びも
おもしろいのですが、絵本のそういうこっそりしたところにも惹かれまし
た。だから私はこの一年間絵本を読んできて、オノマトペに注目していま
した。結局授業にはならなかったのですが、今後挑戦してみたい活動です。
近文ゼミとのかけもちで、なかなかこちらのゼミに力を注ぎきれなかっ
た部分も多くありましたが、一年間楽しく学べたと思います。
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1年間を振り返って
梶浦
彩
私は「絵本をプロデュースする」というテーマに惹かれ、今年度から国
教ゼミに入って共に活動させていただいたのですが、想像していた以上に
面白く、将来教壇に立つにあたってとても役に立つ活動でした。教育実習
以来、こどもの様子を見る機会がなかったし、むしろ教育実習で接する附
属の子どもとは違う、リアルな子どもの姿を見ることができて、(他にそ
ういう機会は無かったので、)そういった意味でも大きな収穫があったと
思います。
私も「絵本はこどもが読むもの」と考えていた一人で、普段絵本を手に
取ることも少なかったのですが、今回様々な絵本を手にとってみて、絵本
の魅力に触れることができたように思います。幼い頃に好きだった絵本を
再度めくってみると、子どもの頃には気づかなかったことなどが見えてき
たりして、面白かったです。絵本についての知識もいろいろ調べて身に付
いたので、絵本を見る目が変わりました。これからもっと勉強して、絵本
の可能性をさらに探っていきたいと思えました。
この活動の経験を今後の教師生活にぜひとも生かしていきたいと思い
ます。
一年間の活動を振り返って
上浦 彩
私は国語教育ゼミで一年間活動してきて、前期では研究の進め方につい
て、後期では実際の授業の作り方について学ぶことができたと思う。絵本
ということでテーマを絞ることが困難であったが、基礎学習として前期で
行ったことが後期の授業案につながっており、実践に向けての土台作りが
自分の中で出来ていたのではないかと感じる。実際に授業をしてみると反
省点も多々あったが、話し合いの中では分からない子どもたちの生の反
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応・感想が得られ、大変勉強になった。
この一年を振り返って
前川恵子
今期は、学校教材としての絵本の新しい活用法を話し合ってきました。
特に私たちの班は教科書教材の「やまなし」を絵本で読み、熊野で実際に
授業を行いました。
絵本には文章だけの教科書では気付けないことに気付けたり、絵から読
めたりすることがあります。また、よく読書は読み手がつくる物といわれ
ますが、特に絵本は読み手の想像力に任され、好きに読めるので、おもし
ろいのだと思います。一人ひとりの個性的な読み方・好きなページが生ま
れるのこそ、絵本の大きな魅力だと思います。
読み手に小さな子どもが多いのも、子どもたちが想像力豊かだから、大
人より絵本の魅力に気付けている証拠かもしれません。私も子どもの頃の
ような遊び心を思い出し、もう一度家にある絵本を読んでみようと思いま
した。今読むときっと別の読み方になっていて、それを比較するのもおも
しろいかもしれません・・・。
1年間の振り返り
鈴木
啓史
・下積みの段階として、絵本全般について調べてそこから本を絞っていく
作業はなかなかやる気が起きなかった。自分の中で課題意識というもの
をしっかり持てていなかったからだろう。結局、絵本を使って授業を行
うことの意義といったはじまりの部分をしっかりと持ち、またチームの
みんなと共有することが出来ていなかったのが最後までついて回り、絵
本を本当に活用した授業になったかどうかという自信はない。
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ゼミを終えての感想
中嶋彩子
絵本というと今まで自分が触れてきた絵本を想像していましたが、そも
そも絵本とは何か?ということから絵本について改めて考えることがで
きました。通史、民話、童話などを調査していく中で、絵本という線引き
の難しさを感じながらも漠然とした「絵本」について少しずつ具体的に把
握できていったように思います。特に通史によってどういった位置づけで
絵本が扱われてきたかも知ることができました。どのような経緯で自分が
絵本を手にしていたのかを知ることで、絵本の歴史や奥深さを感じること
ができたと思います。
特に宮沢賢治作品の絵本化は、いままで童話によって親しんでいたもの
を絵本で読むことで、読み手としての新たな視点を得ることもできました。
それと同時に、童話ではできない絵本の特徴といったものを知ったり、考
えたりすることができたように思います。
絵本を使用した授業は絵本を活かすということの難しさを感じました。活
かすためには絵本自体を様々な角度から捉えていかなければならないと
思いました。「やまなし」という絵本について知ることで、絵を描く者の意
図や絵の効果、絵と文が両方あってはじめて成り立つ絵本という形態の良
さ、難しさを感じました。授業案作成など今まであまり経験のないことも
教えていただいたり、やらせていただいたりしたので、ゼミで感じたこ
と・考えたことをこれから活かしていきたいと思っています。
70
2007年 02月17日 発行
三重大学 教育学部 国語教育ゼミナールⅠ・Ⅱ
三重大学 大学院 教育学研究科 国語教育特別研究Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ
共同研究発表
M2:島影千琴 M1: 林浩司 米田朱里
4年生:水野志保 野垣内真由
服部亜紀 大石翔 梶浦彩
3年生:上浦彩 鈴木啓史 前川恵子 2年生:中嶋彩子
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