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地域の資源を守り育て、新たな観光づくりを。

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地域の資源を守り育て、新たな観光づくりを。
地域の資源を守り育て、新たな観光づくりを。
【意見書:これからの観光のあり方について】
平成17年10月
枝幸町行財政改革推進委員会
◆ はじめに ◆
当委員会は、昨年6月から、枝幸町の行財政改革のあり方
について、町民の目で検証し、その推進に向けて様々な意見
を申し上げてきました。
その間、各種意見書等を提出し、少なからず、町の行財政
運営の一助を担ってきたものと自負しております。
しかしながら、今年度は来年3月に向けた合併協議の最中
ということもあり、単独町としてこれ以上の取り組みは困難
であるとの見解から、先般、「行財政改革の一層の推進に向け
た意見書」を提出し、委員会としての考えをお示ししたとこ
ろであります。
また、意見書提出後も、委員会では限られた任期を有効に
活用するため、行財政改革はもちろんのこと、将来のまちづ
くりにもつながる意見交換を行ってきました。
この度の意見書は、これまでの議論の中から「観光」に視
点を絞り議論した内容を集約したものとなっております。
新枝幸町のスタートにあたり、将来に向けた観光施策の参
考としていただければ幸いと存じます。
意見書
観
光 テーマ
枝幸町観光の現状
年次別グラフ(グラフ1)でも見られるように、全国的にバブルと言われていた時期
には増加の傾向にあった入込数も、その崩壊後には、横ばいの状況にあります。 ま
た、公園や観光施設等の整備により観光客の誘致を図ってきたものと思いますが、そ
の形態は依然として「通過型」が主流と見受けられます。
観光資源については、神威岬や千畳岩などの自然景観、釣りやキャンプなどのアウ
トドア、カニやホタテなどの特産品など多種に富んでいますが、滞在型や大規模な観
光客誘致には至っていないものと思われます。
観光客の月別動向(グラフ2)では、釣りなどのアウトドアシーズンである6月から
10月に観光客が集中しており、それ以外の時期は極端に少ない状況です。また、宿
泊者数は、入込み全体の20%程となっていますが、ビジネス客の利用が大半を占め
ており、観光目的の利用は少ないものと思われます。
イベントについても、ほぼ固定化されており、「かにまつり」については、例年
2万人程度と安定した集客が図られておりますが、販売が主ということもあり、地域
(単位:人)
住民の参加型イベントにはなっていないものと考えられます。
300,000
(単位:人)
260,926
観光客入込数の年次別推移
(グラフ1)
300,000
250,000
236,700
260,926
250,000
236,700
200,000
170,388
200,000
150,000
150,000
S61 S62 S63 H1 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16
S60
170,388
S60 S61 S62 S63 H1 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16
(グラフ2)
(単位:人)
60,000
観光客入込の月別動向(平成16年度)
59,100
(単位:人)
60,000
50,000
59,100
55,000
55,000
●入込数合計 236,700人
50,000
40,000
●宿泊者数 48,900人(20.7%)
40,000
20,000
10,000
10,000
0
0
4,400
4,400
2,200
4月
4月
23,400
23,400
2,200
6,700
6,700
7,200
5,900
5,900
5月
5月
●宿泊者数 48,900人(20.7%)
30,000
26,500
30,000
20,000
30,000 ●入込数合計 236,700人
26,500
30,000
7,200
6月
6月
8,600
7月
7月
8,600
6,800
12,700
6,800 12,700
3,200
8月
8月
9月
3,200
9月
6,200
2,100
2,100
11月
4,500
1,900
4,500
4,200
12月
1月
10月 11月
10月
1
6,200
4,200
1,200
6,100
6,100
1,500
4,600
4,600
1,600
1,900
12月 1,2001月1,5002月1,6003月
2月
3月
意見書
観
光 テーマ
枝幸町観光の課題
■自然以外の観光資源が少ない。
観光で潤っている地域には、大きく二通りのタ
イプがあるものと考えられます。
一つは、優れた自然景観を有し、だまっていて
も人が訪れ、それに伴って施設が自然発生的にで
きていくような地域、もう一つは、ディズニーラ
ンドなどのように、莫大な資金を投入して、普通では体験できないようなこと
を、人工的に作り出して集客を図っている地域です。
枝幸町においても、自然や特産品などの資源は豊富に存在しており、アウト
ドア型のレジャーを楽しむには非常に適した環境でありますが、これに連動す
る他の観光資源が少ないことから、イベントを除いては、大きな集客力を生み
出すにはいたっていないものと考えられます。
■行政が主体の観光づくりである。
上記のような自然資源を観光に結びつけるため
に、これまでは、公園やキャンプ場をはじめとす
る施設整備が観光づくりのなかで重きをなしてい
たものと思われます。
このような施設整備の主体は行政が中心となっ
て進められますので、町内への経済効果を狙った産業の育成や収益の確保とい
う観点よりも、地域への公的な施設や資金の提供という性格が強い傾向にあっ
たものと考えられます。
さらに、観光協会についても、外部組織による運営とはいえ、まだ行政主導
の感が強いものと見受けられますので、今後は、観光事業と地域住民・地域経
済団体等との関わりを密接に持ちながら、「後方支援型」の観光づくりも試み
ていただきたいと考えております。
2
観 意見書
テーマ
光
■観光がもたらす経済的な効果が少ない。
観光づくりが思うように進まないという背景には、
一次産業を中心として、ある程度経済が成り立って
いる当町においては、観光が安定的な収益を確保し
にくいという現状もあると思われます。
特にアウトドア的レジャー要素が高いことから、訪れる人の季節的な変動
や曜日変動が大きく、一定の収益を確保するのは非常に困難であるとともに、
短期での通過型が主流であるために、地域にもたらす経済的効果も非常に少な
いものと考えられます。
秋のサケ釣りシーズンには、何千人もの釣り客が訪れていますが、最近の
アウトドアレジャーの特徴としては、地域外から食材を持ち込み、車中やキャ
ンプで寝泊まりするなど、宿泊や購買、施設利用という収益は、町を素通りす
る傾向にあります。
このようなことから、観光に多大なコストをかけても、誰がどのような形で
潤って、それにより町がどのように発展していくかということを考えたとき、
観光に大きな投資をすることが必ずしも必要かという問題もあることから、こ
れからの観光を模索するには、十分な検討が必要であるものと考えます。
■住民のほとんどが観光との関連を持っていない。
観光的なイベントを通じて、住民が楽しみを見いだし、
一時的な関心を招くことはありますが、一部に限られた物
産等の販売を除き、ほとんどの住民は、観光から経済効果
を得る場がないものと考えられます。
もちろん経済効果だけが観光の果たす役割ではありませ
んが、町の活性化を考えたとき、町全体が潤いを感じられ、
住民自らが楽しさを実感できなければ、観光の発展はないものと考えます。
そのためには、多くの住民に観光に関心を持ってもらい、商工業者や経済団
体とともに、協力しあいながら取組みを進めることによって、新たな観光が生
まれていくものと考えます。
3
意見書
観
光 テーマ
これからの観光の展開
■観光資源をもう一度見直す。
現在の枝幸町観光の現状を考えるときに、自然資源以外の観光資源を見いだ
すことは難しいものと考えられ、観光づくりにおいては、今も積極的に活用さ
れているものと思います。
しかし、地域活性化・町の発展のための観光づくりを進めるためには、もう
一度原点に立ち返って、「観光資源」を広く見直していく必要があります。
この枝幸町にある全てのものは、このオホー
ツクという独自の地域や生活に育まれた特性
を持つものであり、それらが枝幸町独自の魅
力になるものであると考えます。極端にいう
と冬の吹雪までが観光資源になり得るとも言
えます。これまでの観光で活用してきた、神
威岬や千畳岩などの「自然景観」、そして町を
支えてきた「漁業」
「酪農業」
「林業」などの産業、
さらには漁業の町ならではの特産品やその加
工技術などは、様々な可能性を秘めているものと考えております。
これらの資源を新しい発想で有効に活用し、枝幸に住む「ひと」が積極的に
関わることによって、この枝幸ならではの特色ある観光資源が生まれるものと
期待しております。
今ある資源を有効に活用!
・委員意見から:枝幸の自然豊かな海、牧場などこれだけでも魅力。神
威岬、目梨泊遺跡、各種公園、高台からの眺め、千畳岩キャンプ場、磯
釣り、三笠山からのパラグライダー、北見幌別川下流域の湿原、秋鮭釣り、
氷上ちか釣り、ケモマナイ川の鮭の滝登り、さけ稚魚の餌やり体験 、 徳志別川
さけ来遊、うらい捕獲見学・体験 山臼海岸での鮭釣り銀座見学、町営牧
場からの眺め、農道横断観光、地元漁民との地引き網体験、バーべキュー、
農家での子牛の世話や搾乳体験、上音標無形文化財の披露など。
4
観 意見書
テーマ
光
■温泉機能を活用した健康増進、保養型観光を!
各地で温泉ブームが叫ばれているなか、
相当の特色を出さなければ、集客力は生ま
れてこないものと考えます。しかし、この
地域の豊富な食の魅力を活かしながら、宿
泊施設の充実と、そこに携わる人材の育成に努め、特に冬期間の湯治客の誘
致を図るなど、温泉機能を有効に活用した取組みが必要であると思います。
■美味しいだけじゃない∼食のメリットを売り込め!
当町は、「毛ガニの水揚げ日本一」であり、枝幸の観
光を語るときには、決してこれを抜きにできない最大
の特産品でもあります。
美味しいのはもちろんですが、その栄養素について
は以外と知られていないものです。健康食品が注目を
浴びているこの時代にこそ、カニの持つ効能を PR し、販売促進はもちろんの
こと、観光に活かしていけるものと考えます。
知られざる「カニ」の栄養!
・ヘルシー食です!
カニは他の魚と比べ、高タンパク、低カロリーです。良質のタンパク質を沢山含み、
脂質や当分は少なく、ダイエットにも適した食品といわれています。
・タウリンの効果!
カニには、アミノ酸の一種、タウリンが豊富に含まれています。タウリンは、血圧を
正常にし、心肺機能の強化、貧血の予防、悪玉コレステロールの減少に効果があるほか、
肝臓の強化、胆石や動脈硬化の予防、披露回復や視力の向上などにも有効といわれてい
ます。
・カニの殻にも注目の成分が!
通常は食べない殻ですが、この中には、キチンやキトサンといったキチン質が大量に
含まれています。ご家庭では精製できない成分ですが、体の自然治癒力を高め、免疫力
を増強したり、血中コレステロールを下げる作用もあるといわれます。その他に、ガン、
肝炎、アレルギー疾患、糖尿病、肝臓病、心臓疾患、白内障、神経痛などにも効果があ
るといいます。
カニは、美味しいだけではなく、まさに「健康食品」といえるでしょう。
5
意見書
観
光 テーマ
■きめ細かいサービス、おもてなしを!
温泉やカニを活用した観光づくりで枝幸の中心となっている施
設が「ホテルニュー幸林」です。
ホテルニュー幸林を観光づくりの拠点として、季節を通じた体
験観光の実施など、当町のメインスポットとしての再考が急がれ
るところであります。
現在ニュー幸林では、希望により、特産品である「カニ」を一
尾夕食につけ好評を得ているところですが、さらに一歩踏み込ん
だサービスとして、お客さまにあった調理をほどこすなど、よりきめの細か
い対応を行うことにより、他の宿泊施設との違いをアピールでき、集客につ
ながるのではないかと考えております。
また、これらはニュー幸林に限らず、地域に住む全ての人が枝幸を訪れた
たお客さまに、心からのおもてなしをすることが重要であると思います。
町全体が「きめの細かい、おもてなしの精神」であふれることにより、自
然と観光づくりが進むものと考えます。
■カニだけじゃない、まだまだある特産品!
これまでの観光では、枝幸を PR するとき「カニ」一
本に頼っていた感が見受けられます。
サケやホタテはもちろんのことですが、「ウニ」も特
筆すべき食材としてまだまだ PR の余地があるのではと
考えられます。
イベントなどでカニを売り込むのはもちろんですが、他の特産品や枝幸な
らではの加工品などを総合的に活用し、枝幸にはカニ以外にも沢山の魅力が
あることをアピールしていただきたいと思います。
また、観光客の中心的受け入れ施設であるホテルニュー幸林においても、
季節に応じたメニューの増加や、特産品の販売コーナーな
ど、これまでの観光やまちづくりで全面に出ていない資源
をより活用していけるような企画や運営を考察するべきで
はないかと期待されるところです。
6
観 意見書
テーマ
光
■大胆なアイディアが成功のカギに!
観光の課題でも述べたように、これまでは施設を作っ
たり、年に何回かのイベントで人を呼ぶことに重きが
置かれていたような気がします。
また、他地域の成功事例を程よく真似たとしても、一
般的なものでは観光にはつながらず、ムダな投資にな
ることがほとんどのケースと見受けられます。
これから新しい観光を模索していくにあたっては、他にはない、他よりも
すごい、奇抜で大胆なアイディアが成功のカギになるものと思います。
成功に結びつくアイディアは一朝一夕に生まれてくるものではありません
が、地域住民や有識者の意見をどんどん取り込み、試行錯誤を繰り返しながら、
規則や規制に臆せずチャレンジしていく姿勢が必要と考えます。
委員アイディアから ※主に個人的なアイディアを抜粋しました。
・「花」を活用しよう!
花を利用した観光は、現在各地で賑わいを見せています。当
町においても、他の地域に決して引けを取らない「北幸公園」
を活用し、大規模な花公園や花工房、イベントを考案してはどうでしょうか。
・ニュー幸林にもっと魅力を!
宿泊者に抽選券のようなものを渡して、年に何回か抽選を行う。それでサ
ケやカニなどの特産品をプレゼントすることにより、他に止まる予定の宿泊
者を引きつけることができるのではないでしょうか。
また、町内では最大の宿泊施設であり、通年を通してビジネス客や観光客
の入込みがあるにも関わらず、お土産のスペースが狭いのではと感じられま
す。施設規模など、制約があることも理解できますが、もっと沢山の特産品
等を扱い、一人でも多くの方に買っていただくことにより、口コミなどの効
果が生まれ、長い目で見たときに、消費の拡大につながっていくものと思い
ます。
7
意見書
観
光 テーマ
委員アイディアから
・サケ、マスの河川開放を!
サケ、マスの「有効利用調査」という名目で、
道内では5地域の河川で既に取組みが行われてい
ます。実施している地域では、シーズン券などを
発行し、人件費を除いても、サケ、マスの放流事
業に資金を充てることも可能とのことです。当町
では、サケ、マスの密漁も発生しており、この開放が実現することにより、
このような事件も減少するものと思われます。各種規制や釣り人のマナーな
ど、クリアしなければならない課題は沢山ありますが、観光づくりには大変
有効な取組みであると考えます。
・三笠山から空中散歩?
以前にも提案したことがありますが、三笠山は傾斜が強く、町にとても迫っ
ており、このような場所は近隣ではあまりありません。この傾斜を利用して、
ケーブルで滑空できたなら、どこにも無いアトラクションであると思ってい
ます。危険であるとのことでしたが、このようなことを実施している地域も
あると聞いております。三笠山でユニークな遊びができるようになると、もっ
と人は集まってくると思います。
・街並みを整備し観光につなげる!
観光という視点だけで投資しても、偏った部分で
の経済効果しか生まれてこないと思います。これか
らの観光は、今ある資源や施設で足りないところを
少しずつ補充していくくらいの気持ちで、逆に街中
の商店街などをイタリア調にするなど特色をつけ、
訪れる人に商店街に寄ってもらえるような方策を考
えることも今後必要であると思います。
また、大正ロマンではありませんが、レトロ感覚のまちづくりも、道内で
は事例が少なく、特色を出せるのではないかと考えます。
8
観 意見書
テーマ
光
委員アイディアから
・街の中に人を呼ぶアイディアを!
何度も述べてきたように、観光により一部の人
だけが利益を得るような仕組みでは、本当の意味
での観光づくりはなかなか進まないものと考えま
す。
枝幸に住む全ての住民が潤いや楽しさを感じる
ためには、もっと街の中に人を呼び込まなければ
ならないと思います。
極端な例ではありますが、イベント時に交通規制をして車を市街地に流す
ことや、市街地全体をイベント会場にするなど、大胆な発想も考えられます。
そこで商店街では、びっくりするようなセールを行ったり、飲食店が連携
しながら食を提供するなど、街全体が歓迎ムードをつくりだしていくような
斬新なアイディアも考えていかなければなりません。
・水産の町をもっとアピール!
枝幸の町には沢山の水産加工場がありますが、南北に広く点在しています。
これら施設の立て替えの時期などを見計らい、現在の漁協の加工施設周辺に
集約することにより、水産の町として大きくPRしていくとともに、海鮮市
場などを併設してはどうでしょうか。
・特産品をもっと食べてもらいたい!
豊富な食材を有する枝幸町ですが、他から訪れた人が「食べる場所がない」
というのが、従来からの課題でもあり悩みとなっています。
魚種や漁期、冬季間の観光客入込みなどを考えた場合、通年営業の施設は
厳しいものと考えますが、その季節、魚種に合わせた期間限定での「屋台村」
をオープンしオーナーを募集するなどの取組みも効果的と考えます。
・三笠山周辺は絶好のロケーション!
ホテルニュー幸林、オホーツクミュージアム近辺は、市街地や海を一望で
きる絶好のロケーションであり、ホテル客のミュージアムへの誘致や公園へ
のバンガロー設置、夜景の見えるレストランの建設など、夢のある構想が沢
山考えられる場所でもあります。今後、事業を展開していく際には、多方面
から調査を行い、有効な活用策を見いだしていかなければならないと考えま
す。
9
意見書
観
光 テーマ
委員アイディアから
・加工技術の向上を目指して!
豊富な資源を活用して、現在も様々な加工製品が開発されていますが、さ
らに枝幸の産物に付加価値をつけていくため、加工技術の研究所等を設置し、
技術の向上と特産品の宣伝につなげていければと考えます。
なお、新規の建設は相当の費用もかかりますので、既存の施設を有効利用
することも考えられます。
・砂浜は絶好の遊び場です!
枝幸は海岸に面しており、磯遊びや釣り客など多くの人で賑わっています。
また、砂浜も多いことから、これらを利用したイベントを考案してはどうか
と考えます。
例えば、サンドアート(砂で像をつくる)などのイベントを開催すること
により、海の町ならではの特色を出せるものと考えますので、これまでにな
いユニークなイベントの考案も期待されるところです。
・道の駅周辺に彩りを!
旧火葬場から道の駅周辺を桜で一杯にし、花見の名所にしてはどうかと考
えます。道の駅の PR ともなり、そこでロングランの花見のイベントを開催
することにより、町内の方はもとより、人気の観光スポットとして活用され
ることと思います。
・「ふるさと」を求める人が増えています!
都会の方を中心に、当町のような自然豊かな場所にふるさとを求める人が
多くなっています。
既存の有休施設や空き家などを利用し、「ふるさと」を求める人を当町に
呼び込むような取組みも有効であると考えます。
・枝幸は体験観光の宝庫です!
体験観光を進めるためには、その受け入れ体制など、様々
な課題がありますが、潮干狩りや釣りなど、資源は豊富に
あると考えます。
管理体制をしっかりして、ルールを決めながら取組むこ
とにより、観光の発展につなげていけるものと考えます。
10
観 意見書
テーマ
光
■イベントのあり方を考える!
全道はもとより全国区ともなった「枝幸かにまつり」に
は、毎年2万人もの観光客が訪れます。これらの背景には、
カニという食材の魅力があるということはもちろんのこと
ですが、30年以上も前から地道に取組んできた努力が実っ
たということも決して忘れてはならないことです。
また、近隣でも様々なイベントがあるなか、これだけの
集客力があるということは、そのほとんどがリピーターで
あり、枝幸町を代表するイベントとして定着したことが伺
えます。
この「かにまつり」にさらに付加価値をつけるために、これまでに増して
住民との関わりを持たせながら、一部事業者の販売のみに終わることなく、
枝幸町の特産品全般の宣伝や販路の拡大、さらにはインターネットでの通年
のショッピングにつなげていくなど、2日間のイベントで終わらせないとい
う心構えを持つことも重要です。
また、かにを「買う」、「食べる」ということがイベントの最大目的ではあ
りますが、このかにまつりという最大の集客の場を利用して、他の景勝地や
観光ポイントを売り込むために、パンフレットを観光客に配付するなど、広
い観点からイベントを利用していくことも大切であると考えます。
さらに、「日本一のかにの水揚げの町」であることを自覚するとともに、そ
の品質の管理には最善を尽くすことはもちろんのことですが、さらに枝幸の
カニの魅力を高めるため、デモンストレーション的に「浜茹で」などを実施
することも効果的なPRにつながるものと思われます。
枝幸には、
「かにまつり」の他にも「よくばりフェスタ」、
「流氷フェスタ」など、
地域の特性を活かしたイベントがあり、それぞれ実行委員会組織が中心となっ
て運営を行っています。これまで地道に育てあげてきたこれらのイベントを
大切にしながら、一部の意見にとらわれることなく、枝幸町全体でネットワー
クを作り上げ、より魅力のあるイベントとして発展させていかなければなら
ないものと思います。
一方、千畳岩でのイベントに合わせ、その相乗効果をねらい、街に人を呼
び込む方策も、商工会等の関係団体と連携を持ちながら考案していくことも、
観光の発展はもとより、地域の発展につながるものと考えられます。
11
意見書
観
光 テーマ
■楽しいこと、美味しいことだけが観光ではない!
観光のイメージというと、「楽しい、美味しい」という
ことをまず思い浮かべますが、これからの時代は、風景
や街並みを含め「心豊かなもの」というキーワードが大
切になると思います。
一見、観光とは結びつかないと思われる「福祉」一つ
をとってみても、この先10年、15年後には、確実に
高齢化が進み、街のあちらこちらで車椅子を押しているという光景が普通に
見られるようになるはずです。
ですから、街並みや道路整備などにおいても、これからは福祉との抱き合
わせで考えていかなければならない時代がきており、 将来に向け、高齢者が
生きがいを見いだせるまちづくり、観光づくりを進めることによって、高齢
者の力や経済力を引き出し、町民と一体となった新しい観光の形が生まれる
ものと思います。
■注目される「体験型観光」∼グリーンツーリズム
日本社会全体の景気低迷に伴い、観光の形も
大きな変化をとげており、近年はアウトドアブー
ムの進展を受け、「グリーン・ツーリズム」とい
う取組みが各地で広まっています。
グリーン・ツーリズムとは、従来の施設型の
観光開発ではなく、農漁村の「ありのままの資源」
を活用する観光で、大規模な投資やリスクを必
要とせず、地域内ですぐに始められ、まちづく
りにも展開できる可能性を秘めていると言われています。
また、
「体験」をキーワードとしており、地域内でのアイディアや工夫といっ
たソフト面での取組みが最も重要となります。
しかし、手軽に取り組むことができる反面、その体験観光自体によって、
具体的な経済効果を発生させることは難しく、体験を通じた都市と農村との
「交流」と「相互理解」に最も意味があるとも言われています。
12
意見書
観
光 テーマ
当町においても、行政、観光協会、振興公社、民間事業者が協力し合い、
サケの加工体験や流氷見学、氷上チカ釣りなどの体験観光を試み、一定の成
果を得たと聞き及んでおります。
これらの事業自体が即地域経済に反映されるものではありませんが、こう
した「交流」を通し、都市部の人に枝幸という地域に来てもらい、枝幸の「ひ
と」とふれあいを持つことにより、その産物に愛着を持ってもらうことはも
ちろん、地域に愛着を持ってもらうことで、継続的な購買やリピーターを期
待できるものと考えられます。
この枝幸には、「漁業」「農業」「林業」「食品加工」「流氷」など、季節を通
じた体験観光の「メニュー」が豊富にありますので、斬新なアイディアと企
画を立案することにより、新たな観光づくりにつなげていけるものと考えま
す。
当然、事業を維持していくには、ボランティアにも限界があり、困難も生
じるものと思いますが、住民や経済団体、民間事業者等と連携しながら、地
道な取り組みを進めていただくことを期待しております。
観光に携わる人、組織の意識改革
これからの観光づくりを進めるには、やはり観光に携
わる「ひと」や「組織」が重要な役割を担うものと考え
ます。
観光の課題でも申し上げましたが、これまでの行政主
導型の取り組みを見直し、地域のネットワークを再構築
していくなかで、多くの住民が観光を始めとしたまちづくりや、商店街・街
並み整備に積極的に関わりを持つことによって、広い見地からこの地域全体
に潤いがもたらされるものと確信しております。
また、地域のネットワーク構築には、当然、民間の活力を多用することが
望ましいものと思われますが、これまで行政が築きあげてきた基礎を踏まえ
ながら、関係団体に徐々にその裾野を広げ、新たな担い手や組織の育成を図っ
ていくことが重要であり、そのための初期段階として、現状の行政や観光協
会による「きっかけ」づくりを積極的に進めていただき、観光に対する意識
の高揚を図っていただきたいと考えます。
13
意見書
観
光 テーマ
組織の再編というものは、そう簡単に行えるものではありませんが、現状
に満足せず、新しい観光づくりをめざすためには、決して避けてとおれない
課題でありますので、将来に向け継続的な検討を行っていただきたいと思い
ます。
また、観光協会に「観光振興委員会」という組織がありますが、このよう
な既存組織の活用や、意見聴取の場を積極的に設け、多くの「ひと」が観光
に関わる機会を増やすことも必要であると考えます。
今ある資源を守り育て、新しい観光づくりを
推進委員会の議論でも出されましたが、これからの時代は、観光に大きな
投資をすることは、財政的にも大きなリスクを背負うこととなり、地域全体
に経済効果がなかなか生まれてこないことも事実であります。
しかし、ほんの小さなことであっても取り組みを継続していかなければ、
僅かな購買や消費にもつながっていきません。
今ある資源や施設を大切に守り育て、やがてそれが地域に還元できるよう
な、新しい形で観光資源の利用と産業振興を行っていかなければなりません。
そのためには、行財政改革の最終意見でも申し上げたとおり、地域の協働
を推し進め、「観光を通じた住みよいまちづくり」と
広い視点で福祉などと兼ね合わせた「まちづくりを通
じた観光づくり」を進めていかなければならないもの
と感じるところであります。
14
Fly UP