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ナイロンチューブ矯正・切断装置の開発

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ナイロンチューブ矯正・切断装置の開発
生産システム技術系
開発課題
ナイロンチューブ矯正・切断装置の開発
グループ 5
生産機械システム技術科
生産電子システム技術科
生産情報システム技術科
○笠井
直樹
小谷中
鈴木
大地
鈴木
篠崎
俊也
平山
後藤
将貴
善仁
渡邉
裕也
町田
佳祐
新村
健太
知樹
益子
旅史
上村
俊貴
鈴木
優
諏訪
佳貴
中村
佳弘
福田
恵介
1.はじめに
S 社様では,自動車燃料用ナイロンチューブ(以下
ナイロンチューブ,又はチューブ)を素材の状態から
製品まで一貫生産している.現状の製造工程では,樹
脂原料(PA-11)から押出成形によりナイロンチューブ
を作成し,
直線状態のまま各種製品長に切断された後,
オフラインで曲げ成形されているが非効率であるため
合理化が要求されている.
この問題を解決するため,ナイロンチューブを成形
後にコイリングされた状態でストックし,要求された
寸法に切断することにより,生産効率を改善すること
が必要だと考えられる.私たちの開発装置は,このコ
イリングした状態のナイロンチューブ(φ8)を直線
矯正し,0.5 ㎜ピッチで 150~1000 ㎜の長さに切断で
きる機構を開発し,生産効率を改善することを目的と
した.
2.開発目標
S 社様からの要求仕様に基づき,追加修正を行った
後,項目を数値化し本装置の目標仕様とした.
表 1 に開発目標を示す.
表1 開発目標
項目
タクトタイム
切断範囲
切断ピッチ
チューブ直線度
切断面の垂直度
検査精度
切断刃の耐久
装置寸法
目標仕様
30s/本(1000mm)
150~1000㎜
0.5㎜
150~600㎜…幅9㎜の溝に入る
600~1000㎜…幅14㎜の溝に入る
最長と最短が0.5㎜以内
良・不良ともに99.9%
10,000回以上
奥行1500、幅2000、高さ1200以内
雄伍
図1 装置全体図
3.1 投入部
ドラムの回転軸を地面に水平とする縦置きに設置し
た場合,装置との間にスペースが必要になるためドラ
ムは回転軸を地面と垂直にする横置きとした.
しかし,
ドラムを横置きにした場合,ドラムをある程度の高さ
まで持ち上げる必要があったため,ガススプリングを
用いたリフトアップ機構を搭載した.
その機構により,
30kg 以上のドラムを 10kgf 以下の軽い力で持ち上げ
ることができる.投入部を図2に示す.
図2 投入部全体図
3.2 加熱部
チューブの矯正方法としては,ストレスを与える方
式などもあり,予備実験を行ったが,タクトタイムや
製品への傷つきなどを考慮し加熱式を選択した.
加熱はチューブに液体を通す方法や熱風を当てると
いった方法の実験を行ったが,コストや構造から考察
し加熱したパイプ内にチューブを通す方式とした.
加熱筒は,熱伝導がよい銅が望ましいが,コストの
面を考慮しアルミで肉厚の大きいパイプを作成し,そ
3.装置概要
今回の装置は、チューブが最大 1m の長尺であるた
め,装置の巨大化が問題となった.
そこで,全体の機構点数を減らすとともに,各ユニ
ットを小型化し,直線上に配置することにより,装置
の省スペース化を実現した.
また,各ユニットを独立させることにより装置の調
整・整備を行いやすくした.図1に装置の全体図を示
す.
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のパイプをバンドヒータで包んだものとした.図3に
加熱部を示す.
用し,
各項目をそれぞれ検査できるようにした.
また,
切断後のチューブを検査位置まで運ぶためにベルトコ
ンベアを使用している.
真直度の検査については,チューブの外形を読み取
り,中心線に対するチューブの振れ幅が,基準の幅以
下になっているかどうかにより検査する方法としてい
る.検査方法を図6に示す.
検査されたチューブは,エアシリンダでコンベアを
傾けることで排出し,一度バッファされたのち,もう
一つのエアシリンダにより仕分けされる.
図3 加熱部全体図
3.3 冷却部
冷却方法の実験を行った結果,送風のみの場合でも
十分な冷却効果が得られることが分かり,機構も単純
なものにできると考え,冷却には風量6.3m3/min の
大型のファンを用いた送風冷却機構とした.
加熱されたチューブは曲がりやすいため,真っ直ぐ
に保ったまま冷却する必要がある.そのためパンチン
グメタルを用いてレールを作成し,その内部を通すこ
ととした.図4に冷却部を示す.
図6 直線度の検査方法
4.性能評価
開発装置の性能評価結果を表2に示す.
表2 性能評価結果
検 査 項 目
タクトタイム
切断範囲
切断ピッチ
チューブ直線度
切断面の垂直度
検査精度
切断刃の耐久
装置寸法
図4 冷却部全体図
3.4 搬送部
搬送部はローラによる送り出し機構とした.
搬送のアクチュエータには速度や回転量が簡単に変
更できるステッピングモータを使用した.また,アク
チュエータ側とは別のローラにロータリーエンコーダ
を取り付けることでアクチュエータ側の滑りや脱調と
いった影響を受けることなく正確な送り量のチェック
が可能となった.図5に供給部を示す.
結 果
28~130s/本(150mm~1000mm)
150~1000mm
0.5mm
150~600mm 幅10mmの溝に入る程度
600~1000mm 幅14mmの溝に入る程度
最長と最短が0.5mm以内
不良品:100% 良品:40%
10,000回以上
奥行1500,幅3000,高さ2300
評 価
未達成
達 成
達 成
未達成
達 成
未達成
達 成
未達成
5.開発費用
装置開発に要した費用を表3に示す.
表3 開発費用
項目
電子・制御部品
機械材料・部品
PC・周辺機器
合計
予算
200,000
500,000
150,000
850,000
金額
140,000
480,000
190,000
810,000
6.終わりに
本課題装置は当初「真っ直ぐにして,切る」といっ
た比較的簡単な装置だろうと考えていたが,実際に開
発を進めていく中で,チューブの特性や使用環境に応
じた加熱温度・時間の最適化や長さ測定の誤差補正,
切断方法など様々な問題が浮上し解決に非常に長い時
間がかかってしまった. しかし,予算,期限を当初の
目標内に収め,タクトタイムも 150mm で 30 秒を満
たすことができた.
S 社様におきましては本課題装置の成果や結果を活
かし,また,問題点を解決したうえで,実際の装置開
発を行っていただければ幸いである.
最後に,本開発課題を進めるにあたって,協力して
頂いた S 社様,先生方に厚くお礼申し上げます.
図5 搬送部全体図
3.5 検査・仕分け・排出部
本課題装置に重要な検査項目としてチューブの直線
度と端面の傷の判定がある.そのためカメラを二台使
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