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映画理解研究に向けてのショット体系化の試み One Trial to Organize

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映画理解研究に向けてのショット体系化の試み One Trial to Organize
映画理解研究に向けてのショット体系化の試み
One Trial to Organize Camera Shots for
Film Comprehension Research
長谷川智弘†,榎津秀次‡
Tomohiro Hasegawa, Hideji Enokidu
†
芝浦工業大学大学院工学研究科,‡芝浦工業大学工学部情報工学科
Graduate School of Shibaura Institute of Technology, Shibaura Institute of Technology
[email protected]
Abstract
According to assumption that shooting technique
based on film language help people to comprehend a
film, we analyzed a sequence of shots using a Markov
Model. In order to examine the probabilistic transition
of shots, a unit of analysis was determined by
reference to Grand Syntagmatique proposed by
Christian Metz. In the present study, we specifically
focused on the shot scale and found some implications
that shooting technique can do facilitate film
comprehension.
Keywords―Film Language, Grand Syntagmatique
石混淆であること,映画記号論が指摘しているよ
うに,自然言語との安直な対応付けによる,映画
文法の論理構造そのものの脆弱さにあるといえる.
本研究の目的は,上記問題点を解消するため,
映画記号論における大連辞を拠所とすることで,
商業映画,映画文法に根差し,自動撮影編集シス
テムへの応用を考慮したショットの体系化を検討
するという,映像の自動撮影編集に関連する工学
的応用の土台を提供することである.また,ショ
ット体系化により得られる映画理解を促す映像提
1. 研究背景と目的
示の技法における,ショットを構成する諸要素の
映像周辺分野の技術面における発展はめざまし
確率的遷移を明らかにすることで,人間の映像理
く,望みさえすれば誰もが映像制作を経験できる
解の一側面にマルコフ推移モデルを仮定し検討を
時代といえる.個人で制作した映像をインターネ
行い,映画の内容を理解する過程の解明につなげ
ット上に公開するためのサービスも,多くの人に
ようとするその試みも含む.
認知され,そして利用されている.このような映
像への関心の高まりは,映像の自動撮影編集を行
2. 映画文法における映画用語の再定義
うシステムに関する研究の礎となっている.本研
映画文法中における用語の多くは標準化が図ら
究は,複数台のカメラを設置した空間内で起こる
れていない.本研究では,自動撮影編集システム
出来事の記録に,映画文法を利用する自動撮影編
での実例を踏まえ,各映画文法書を参考にシーン
集システムの構築を究極的目標としたものである.
の構造を提案するのに必要な用語の統一と再定義
先行研究における自動撮影編集システムでは,
を試みた.図 1 に示す.
カメラ選択や撮影済み映像を編集する際の判断基
準として,映画文法が用いられてきたが,実際の
ところその利用は限定的であった.本来ならば,
先人が培ってきた映像制作に関する知識を最大限
活かすための映画文法であるべきはずが,実情は
図 1.撮影編集に関する映画用語図解
映画文法編纂時本来の目的と乖離し,システム実
自動撮影編集システムにて,撮影空間内の複数
装という観点から都合のよい一部分のみの利用に
台のカメラから得られる連続的な映像各々を“テ
とどまっている.その根本的な原因には,映画文
イク(Take)”と定める.つまりテイクは,
“実際
法自体が系をなしていないということ,内容が玉
に撮影された編集以前の素材”
(純丘,2005,p.35)
を指す.次に,テイクから編集に必要な区間を切
み多岐に及ぶため,本研究内では除外した.
り取った映像を“カット(Cut)”と定める.カッ
ここでショットについてまとめると,被写体と
トの中では,例えばクロースアップからミディア
カメラとの距離など,シネマトグラフィとミザン
ムショットに,ズームアウトでショットサイズを
セヌの具体的な属性値ともいうべきサブコードに
変更できる.
“ある視野,あるアングル,あるポジ
よって区別された映像を意味する.つまり,カッ
ションでの撮り方”(純丘,2005,p.35)を“シ
ト内で,例えばロングショット,ミディアムショ
ョット(Shot)”と定める.図 1 に示した通り,
ット,ロングショットといったようなサブコード
自動撮影システムを通して得られる映像は,ショ
の遷移が見られた場合,そのそれぞれをショット
ットを時間順に接続したものである.ここで,シ
としてセグメントすることになる.
ョットとシネマトグラフィ,そしてミザンセヌと
の関係を明示する.図 2 に示す.
3. 大連辞による映画文法の取捨選択
ショット体系化のために,フランスの映画記
号論学者 Christian Metz による大連辞によっ
て,映画文法を演繹的に分類し,自動撮影編集
システムに利用可能な知識の抜き出しを行った.
大連辞とは,映画の継続性と映画的句読点によ
って分割可能な自律的線分の連辞的特性を列挙
したものである.ここで,連辞(syntagme)と
は,もとは言語学における用語であり,表出さ
れたもの同士の関係を表す語である.また,映
画から自律的線分を切り分ける際の基準となる,
可視的あるいは不可視的な映画的句読点とは,
フェードインやフェードアウトといった視覚的
図 2.ショットとコードの関係
効果から,場面の変化,時間の経過といった内
(Yale University Film Analysis より作成)
容面での区切りを意味する.これら自律的線分
ショットにシネマトグラフィ的コードとミザン
は総体としての映画に対してのみ意味を持つ.
セヌ的コードの存在を仮定しショット体系化のた
このような連辞関係を最大連辞と呼ぶ.図 3 に
めの検討を進めた.シネマトグラフィとは,実用
最大連辞と映画との関係を示す.
的役割を担うコード(映像制作者と視聴者間での
共通理解事項)の集合である.具体的には,ロン
グショットやクロースアップなど撮影技術そのも
のに関係し,映画を見やすく退屈させないものに
する役目を担うものである.図 2 で示したように,
図 3.最大連辞
撮影手法そのものをサブコード,具体的な撮影手
この自律的線分を構成する複数のショットに
法を要素とする集合をコード,視聴者を映画に没
は 8 つの連辞的特性を見て取れる.この連辞的
入させるのに必要なコードの集合をシネマトグラ
特 性 の 一 覧 こ そ が 大 連 辞 系 列 ( Grand
フィと呼ぶ.この実用的役割に対し,一般にミザ
Syntagmatique)である.図 4 に大連辞系列の
ンセヌとして知られる映画の美的役割を担うコー
6 番目までの連辞を示す.
ドの集合は,主に見え方,感じ方などの非常に抽
象的な基準で弁別されるもので,文化的背景を含
ット各々の時間的な関係が映画によって明確に
されないという特徴の連辞群である.この非時
系列的連辞群には,2 つの連辞型(平行連辞と
大括弧状連辞)が存在する.これに対して,時
系列的連辞群(Chronological syntagmas)は,
ショット各々の時間的な関係が映画によって明
図 4.大連辞系列一覧(一部抜粋)
次に,自律的線分の第 1 区分である自律的シ
ョットと連辞群の差異を図 5 に示す.
確化された連辞群である.下位区分として,記
述的連辞群と叙述的連辞群が存在する.次に示
すのは,時系列的連辞群の下位区分である.図
7 に示す.
図 5.自律的ショットと連辞群
図 7.記述的連辞と叙述的連辞群
自律的ショットとは単一のショットで形成さ
時系列的連辞群には,記述的連辞(Descriptive
れる自律的線分であり,連辞群は複数のショッ
Syntagma ) と 叙 述 的 連 辞 群 ( Narrative
トから形成される他の 7 種類の自律的線分の総
Syntagmas)がある.記述的連辞群とは,風景
称である.単一のショットから成り立つという
の記述などに用いられ,各々のショットが同時
定義上“自律的ショット”は連辞と言えない.
的で因果性がないものを指す.例えば,樹木を
言い換えればこの第 1 の区分は,その自律的線
撮影したショット,小川のショット,丘のショ
分が連辞なのか否かを意味する.この自律的線
ットと続いた場合,それらのショットは一つの
分には,図 5 で示したとおり,シークェンス・
風景を同時に複数のカメラで撮影,もしくは同
ショット(Single-shot sequence),非物語世界
時に撮影したように感じ取ることができる,ま
的挿入ショット(Non-Diegetic Insert),ずら
たショット間の因果性は認められない.
さ れ た 物 語 世 界 挿 入 シ ョ ッ ト ( Displaced
叙述的連辞群とは,記述的連辞にみられる同時
Diegetic Insert ), 主 観 的 挿 入 シ ョ ッ ト
性だけではなく,ショット間に因果性が見られ
( Subjective Insert ), 説明的挿 入ショッ ト
るものを指す.下位分類を図 8 に示す.
(Explanatory Insert)の 5 種類の下位型が存
在する.次に示すのは,連辞群内部における第
2 の基準である.図 6 に示す.
図 8.交換的(叙述的)連辞と
線状叙述的物語連辞群
図 6.時系列連辞群と非時系列連辞群
叙述的連辞群の下位分類には,交換的(叙述
非 時 系 列 的 連 辞 群 ( Achronological
的)連辞(Alternate [Narrative] Syntagma)
synatgams)とは,自律的線分を構成するショ
と線状叙述的物語連辞群(Linear narrative
syntagmas)がある.交換的(叙述的)連辞と
示す.
は,追われる人のショット,追う人のショット
といった逃亡劇にみられる,
物語のクロス・カッ
ティングを指す.線状叙述的物語連辞群は,線
状性―ショットが時間軸に沿って単一の線分の
ごとく連続体を構成するという特徴―を持つ連
辞群を指す.
図 10.大連辞における“シーン”の構造図解
自動撮影編集システムで出力する映像とは,大
連辞系列における“シーン”の特徴を備えたもの
である.“シーン”は 1 つ以上の“識別可能なま
とまり(Event Block)
”に分割可能とし,それら
図 9.シーンとシーケンス群
は複数のショットにより構成される.識別可能な
図 9 に記した線状叙述的物語連辞群(Linear
まとまりとは,自動撮影編集システムにおける処
Narrative syntagmas)の下位区分である“シ
理単位に相当するものとして提示した.具体的に
ーン(Scene)
”とシーケンス群(Sequences)
は,
『映画の文法 実作品にみる撮影と編集の技法』
には共通して,ショットにおける出来事間の時
における「アクションのない対話」,「アクション
間的関係が明確で,映像をまとめる唯一の因果
のある対話」,「対話のないアクション」の 3 つに
性を見出すことができる.今回扱う“シーン”
対応する.ショットは,サブコードによって区別
とは,
“ある定められた固定した空間の中に対象
された映像として定義する.サブコードとは一般
物が置かれて(含まれて)いるということであ
的にシネマトグラフィ,そしてミザンセヌとみな
る.
”
(森村,2000)―このことは,後に大連辞
されるコードの属性値を指す.
を分析した Michel Colin により,“含有的
例えばロングショット,ミディアムショット,ロ
(inclusive)”と呼ばれている―を特徴とする,
ングショットといったようなサブコードの遷移が
6 番目の連辞型である.具体的には,固定され
見られた場合,そのそれぞれがショットになる.
た空間内における会話や会議を撮影・編集した
このようにシーンの構造を示し,それを分析単位
映像に相当し,
“含有的”とされる特徴と,自動
と定めた上で,実際の映画におけるサブコードの
撮影編集システムにおける撮影空間の特殊性と
時系列分析により一般的な“シーン”を明らかに
が対応する.よって,大連辞におけるこの“シ
していく.
ーン”の特徴を備えた映画文法中の記述こそ自
動撮影編集システムで利用可能な知識であり,
これにより本研究における問題領域が確定する.
5. 固有的映画コードの選別と
マルコフモデルの作成
固有的映画コードについて コードには美的側面
4. シーンの構造の提案
に関係するミザンセヌと,実用的側面に関係する
映画文法の利用が限定的である原因の一つにシ
シネマトグラフィが存在することは先に述べた.
ョットと単語を同一視することによって引き起こ
しかしながら,シネマトグラフィとミザンセヌで
された理論構造の脆さがある.Christian Metz に
すべての“映画的なコード”を網羅することはな
より指摘されたショットと単語の根本的相違点は,
い.映画は多コード媒体(Pluricodic Medium)
未だに考慮されていない.本研究は映画記号論を
とも呼ばれる.シネマトグラフィとして分類され
ベースに,旧来の安直な自然言語との比較によら
る各コードとミザンセヌとして分類される各コー
ない,新たなシーンの構造を提案した.図 10 に
ドがたがいに折り重なり作用しあうだけでなく,
それらショットをどのように接続するのかといっ
を明らかにする.
た編集方法等もコードとみなすことができる.つ
マルコフ連鎖と推移確率行列 単純マルコフ連鎖
まり,映画のスタイルに関することはすべてコー
と推移確率行列については以下に示す.
ドであり,それら多岐に及ぶコードにより映画は
形成される.
Christian Metz によれば,映画にのみ現れる
“固有的映画コード(Specific Cinematic Code)”
と映画以外の諸言語によって共有される“非固有
コード(Non-specific Code)”の 2 極を想定した
一つの系の状態が n=0,1,2・・・と離散的であり,
その系がとりうる状態の集合(状態空間)を S={ s1,
s2,・・・ } とする.時点 n で,状態が sj のとき,xn=j
となる確率変数列を{ xn }とする.このときに
うえで,その固有性の程度により多種多様なコー
ドを概観することができるとしている.概観のた
めに Christian Metz は,固有的映画コードと非
固有コードの輪郭を同心円の組み合わせとして描
いている(ロバート ほか,2006).図 11 を以下
が任意の n > 1 および,起こりうる任意の正の整
数の組( i0,i1,・・・,in-1 ),任意の j に対して成り立つ
とき,{ xn } を単純マルコフ連鎖と言う.
に示す.
とおけば
であって, pij( n ,n+1) を単純マルコフ連鎖の推移確率
といい,行列 P ( n ,n+1) = ( pij( n ,n+1) )
図 11.映画的コード概観
この図 11 からもわかるとおり,出来事の流れを
損なわないように時間を短縮するコンティニュイ
ティ編集(continuity editing)は固有的である.
を推移確率行列
(Transition Probability Matrix)という.また
n=0 に お け る 確 率 分 布 を 初 期 分 布 ( Initial
Distribution)と呼び, p = ( p1 , p2 , ) を初期確率
ベクトルという.単純マルコフ連鎖は,これら推
構図(composition)は,写真,絵画にも共通する
移確率行列と初期確率ベクトルにより規定される.
ことから,コンティニュイティ編集やショットサ
データの集計方法と状態空間の定義 分析対象は,
イズ(Scale)と比べ非固有的である.本研究では,
83 ある『Adieu Philippine』の自律的線分のうち“シ
マルコフモデルによる時系列分析のため,映画固
ーン”として判断された 34 の自律的線分を構成す
有的であり映画制作において非常に重要なショッ
る 237 のショットである.
トサイズに注目し分析を行った.
n=0,1,2・・・236 における状態空間 S は,φ,LS
マルコフ連鎖と推移確率行列 Christian Metz 自身
(ロングショット),FS(フルショット),MS(ミ
の分析によって自律的線分及びその連辞的特性が
ディアムショット),CS(クロースショット),
明らかな,Jacques Rozier 監督の『Adieu Philippine』
CU(クロースアップ)と定め,
『映画の文法 実作
の“シーン”を基に,ショットサイズの時系列変
品にみる撮影と編集の技法』における基準を採用
化を分析した.分析に際し,サブコードの時系列
し,ショット内で中心となる人物がどのように撮
推移をマルコフモデルとみなし,確率過程の一種
影されているかでショットサイズを決定した.シ
である単純マルコフ連鎖(Simple Markov Chain)
ョットサイズの判定基準を列挙すれば,
“ロングシ
ョット(LS)”を被写体とその背景,
“フルショッ
るための制作者側による工夫ではないかと考えら
ト(FS)”を全身,ミディアムショット(MS)”
れる.初期確率ベクトル,推移確率行列ともに,
を股,“クロースショット(CS)”を胸の下,“ク
結果としては大連辞における“シーン”の特徴か
ロースアップ(CU)”を腕の種痘痕より上部と定
ら十分に予想可能な結果であった.これは自律的
めた.
線分が妥当な分析単位であった可能性をも示唆し
推移確率行列の決定 以下に,
『Adieu Philippine』
ている.
における初期確率ベクトルと推移確率行列を示す.
表 1.初期確率ベクトル
7. 結論
映画文法内における用語の統一・再定義による
意味の明確化,大連辞による映画文法の知識の取
捨選択により,自動撮影編集システムに応用可能
表 2.推移確率行列
な“シーン”の構造を提案できた.また,映画文
法の表層情報だけを利用するのではなく,自律的
線分による分析範囲の確定と,サブコードの時系
列推移をマルコフモデルと見なし分析することで,
映画文法の知識を最大限活用できる自動撮影編集
システム構築の指針を示すことができた.また,
6. 考察
表 1 より,自律的線分の最初のショットサイズ
ショット分析からも明らかなように,ショットサ
イズが映画理解をまさに促しているといういくつ
として,Full Shot と Medium Shot の確率が高
かの示唆を発見することができた.
いことがわかる.
“シーン”は,比較的会議や会話
今後の課題を以下に示す.
の場面が多いことから,状況説明のために,カメ
1) 固有的映画コード含め,映画的コードは不明
ラと被写体との距離が比較的長くとられている.
確な点が多いため実用にはほど遠いのが現状で
Close up の確率が低いのもこれと同様の理由に
ある.そのため,自動撮影編集システムに必要
よる.表 2 からは,Close Up から Close Shot,
なコードを明らかにすることが課題となる.
Full Shot から Full Shot といった,互いに似通
2) 自律的線分による分析範囲の確定により,映
ったショットサイズへ遷移する確率が高いことが
画の分析方法に指針を示すことはできたものの,
わかる.逆に,カメラと被写体の距離に関して対
実際分析した映画の数が不足している.自律的
極に位置する Close Up から Long Shot,Long
線分への分割方法と,
“シーン”の判別方法を示
Shot から Close up といったショットサイズ間
すことができたので,分析数を増やし,より正
はほとんど推移しない.
“例えば,全景からクロー
確なモデルを作成する.
ス・アップに飛躍することは,その意外さと視覚的
3) 分析対象として,今回扱ったショットサイズ
なショックによって観客の注意を引く,意図的な
だけでなく,他の固有的映画コードの時系列分
誤りとなる場合もある.”(J・オーモン ほか,
析も行うことで,
“シーン”への多角的なアプロ
2000)という映画文法における記述とも合致する.
ーチを目指す.
表 2 から,互いに似通ったショットサイズを繰り
4) 映画言語に基づく撮影技法が映画を理解する
返し用いることで,映像自体にリズムを持たせ,
手助けをしているということを示唆する結果は
また,対極的なショットサイズを避けることで,
得られたものの,マルコフモデルによる分析が
視聴者の混乱を防いでいることが読み取れる.こ
妥当だったのかについては,疑問が残る.
れは,視聴者にとって理解しやすい映像を提供す
参考文献
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の文法 ヒットを約束する脚本からカメラワーク
まで,フィルムアート社.
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Film Analysis,YALE FILM STUDIES Film
Analysis Web Site 2.0
<http://classes.yale.edu/film-analysis/>
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(訳)(2005),映画における意味作用に関する試論
映画記号学の基本問題,水声社.
[4] ロバート・スタム,ロバート・バーゴイン,
サンディ・フリッターマン=ルイス,丸山修,ほ
か(訳)(2006),映画記号論入門,松柏社.
[5] 森村麻紀(2000),映画記号論再考 クリスチャ
ン・メッツの大連辞とミッシェル・コランによる
「大連辞再考」の射程,CineMagaziNet! no.4,
<http://www.cmn.hs.h.kyoto-u.ac.jp/CMN4/ME
ME.HTM>
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の技法,紀伊國屋書店.
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共立出版.
[8] J・オーモン,A・ベルガラ,M・マリー,M・
ヴェルネ,武田潔(訳)(2000),映画理論講義 映像
の理解と探求のために,勁草書房.
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