3－1

【技術分類】３－１
施設、機械、器具／共通施設、機械、器具
【技術名称】３－１－１
散水施設・装置
【技術内容】
きのこの栽培において、散水は不可欠な操作であり、林地栽培を除く、原木栽培、菌床栽培、堆肥
栽培（コンポスト栽培）のいずれの栽培方法においても、適宜必要とされる散水を行うことは欠かせ
ない。ただし、散水施設や装置において、きのこの栽培用途に特化されたものは少なく、一般的な施
設園芸用の散水施設・装置が転用されている場合が多い。
一般的な散水施設・装置は、水源からの配管設備、動力ポンプ、蛇口等の給水部と、ホース、スプ
リンクラー等の散水部によって構成されている。
配管設備や動力ポンプ、蛇口等の給水部は、通常の上水道が利用しやすい不時栽培（施設栽培）で
は特別な整備を行う必要性は低いが、自然栽培（野外栽培）の多い原木栽培では、水源の確保から、
これらの付帯設備の整備が必要になることが多い。これらの給水部については、必要とする水量から
配管口径やポンプ能力を算出する必要がある（図１）1)。留意すべき点として、寒冷地では冬場の凍
結による破損防止のため、スプリンクラー用の分岐蛇口等に水抜き弁が必要とされる 2)。また、きの
こ栽培においては、これら給水部の配管等に生じる錆やスケールが各種水利用機器に及ぼす影響が大
きいので、近年、磁気式水処理機の利用が進んでいる 3)。
一方、散水部については、ホースに孔を開けただけの簡易な自作装置が使用される場合もあるが、
一般的にはスプリンクラーが使用されることが多い。スプリンクラーは、一般に消防用施設として認
識されているが、灌漑や施設園芸等の散水用にも使用されており、きのこ栽培用の散水用としても、
多く利用されている。構造的には水源と加圧送水装置、配管、制御弁、流水検知装置、スプリンクラ
ーヘッドからなるが 4)、ここではスプリンクラーヘッドのことを示す（図２）。
散水方式では、頭上から散水する方式と地上から灌水する方式があり（図３）、必要に応じて使い分
けられている。また、必要とする散水粒子の大きさ等についても様々なタイプの商品がある。図４は、
菌床栽培施設において使用されている散水装置の例である。
【図】
図１
ポンプ能力の算出方法
出典：「散水設備を自作するために(1)」、菌蕈
法人日本きのこセンター発行、21 頁
39 巻
8 号、1993 年 8 月 5 日、笹山儀継著、財団
図 6 ポンプ能力の算出方法
－ 280 －
図２
農業用スプリンクラーヘッド
出典：株式会社イーエス・ウォーターネットホームページ、農業用製品＞スプリンクラーNAAN シ
リーズ、検索日 2006 年 2 月 27 日、http://www.es-waternet.co.jp/agr/index.html
図３
スプリンクラーによる散水方式
出典：株式会社イーエス・ウォーターネットホームページ、農業用製品＞マイクロ灌漑システム、
検索日 2006 年 2 月 27 日、http://www.es-waternet.co.jp/agr/index.html
図４
散水装置
出典：本標準技術集のために撮影者より提供を受けて掲載（撮影者
－ 281 －
有限会社月夜野きのこ園）
【出典／参考資料】
1)「散水設備を自作するために(1)」、菌蕈
39 巻
8 号、1993 年 8 月 5 日、笹山儀継著、財団法人日
本きのこセンター発行、18－21 頁
2)「私の散水施設と発生対策
永続できるシイタケ栽培経営を目指して
設と操作方法－来シーズンに向けて－」、菌蕈 45 巻
3)「第 4 章
きのこ栽培の施設と資機材
雨子を避けるための散水施
11 号、1998 年 11 月 5 日、10－13 頁
3.施設栽培型きのこの施設・資機材」、2005 年度版きのこ
ガイドブック、2005 年 4 月 1 日、中村公義著、株式会社特産情報
きのこガイドブック編集部発
行、112－135 頁
4)スプリンクラー、フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
、検索日 2006 年 1 月 17 日、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AF
%E3%83%A9%E3%83%BC
5)「第 4 章
きのこ栽培の施設と資機材
1.原木シイタケ栽培の施設・資機材」、2005 年度版きのこ
ガイドブック、2005 年 4 月 1 日、石川正明著、株式会社特産情報
きのこガイドブック編集部発
行、92－100 頁
6)「第 4 章
きのこ栽培の施設と資機材
2.菌床シイタケ栽培の施設・資機材」、2005 年度版きのこ
ガイドブック、2005 年 4 月 1 日、井上貞行著、株式会社特産情報
きのこガイドブック編集部発
行、101－111 頁
7)株式会社イーエス・ウォーターネットホームページ、農業用製品、検索日 2006 年 2 月 27 日、
http://www.es-waternet.co.jp/agr/index.html
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