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LC-MS/MS による マイコトキシンの分析 - Sigma

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LC-MS/MS による マイコトキシンの分析 - Sigma
7PM
トピックス
LC-MS/MS による
マイコトキシンの分析
望月直樹(アサヒグループホールディングス株式会社)
食品
・有機リンゴピューレ中のパツリンの分析
・AOAC Method 2011.11 牛乳中 vitamin D
の分析
臨床&法医学
・非誘導体化 estradiol の LC/MS/MS 分析
・酵素加水分解条件を最適化した尿中の
薬物分析
・SPME LC チップを利用した尿中の
乱用薬物の分析
医薬
・バイオシミラーとその参照品の比較
標準品
・NIST/ 米国国立標準技術研究所
SAJ1950
Table of Contents
2
トピックス
医薬
3
24
LC-MS/MS によるマイコトキシンの分析
望月直樹
(アサヒグループホールディングス株式会社)
食品
バイオシミラーとその参照品の比較のための
DMB 標識シアル酸のクロマトグラフィー
分離の向上
標準品
8
有機リンゴピューレ中のパツリンの
選択的抽出と低濃度定量
11
AOAC Method 2011.11
UHPLC/MS/MS を使用した牛乳
および乳児用調製粉乳中の vitamin D の分析
臨床&法医学
13
全多孔性シリカゲルを用いた UHPLC カラム
「TITAN C18」を使用した非誘導体化
エストラジオールの高感度 LC/MS/MS 分析
16
酵素加水分解条件を最適化した尿中の薬物
および代謝物の UHPLC/MS(TOF)による分析
21
法医学スクリーニングにおける
SPME LC チップを利用した尿サンプル中の
乱用薬物の分析
sigma-aldrich.com/analytix
28
NIST/ 米国国立標準技術研究所
3
LC-MS/MS によるマイコトキシンの分析
望月直樹(アサヒグループホールディングス株式会社)
1.LC-MS/MS 分析 1-4)
LC-MS/MS は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)とタンデム四重
極型質量分析装置(MS/MS)を組み合わせた装置である。MS/MS は、
イオン化部、質量分離部、検出部から構成され、更に、質量分離部
は、第一の四重極(Q1)
、コリジョンセル(Q2)
、第二の四重極(Q3)
から成る。イオン化部において、イオン化された目的成分は、Q1 に
おいて物質固有の / で選別される。次に、選別された目的成分は、
Q2 でプロダクトイオンに開裂され、Q3 でさらに選別される。つま
り、2 段階の
フィルターで選別される為、目的成分を高い選択
性で、高感度に分析することが可能である。
2.マトリックス効果
食品は、多種多様な成分で構成されており、それらの構成成分が分
析を妨害する為、食品中の微量分析は困難を極める。マイコトキシ
ンは、極微量でも強い毒性を有することから、高感度分析が求めら
れている。低濃度域で精度良く分析するためには、分析を妨害する
夾雑成分、すなわちマトリックスの影響を減らす必要がある。マト
リックス効果とは、食品中に含まれるマトリックスの影響を受けて、
目的成分のイオン化効率が変化して、感度の低下や上昇が起きる現
象である。感度が低下することをイオン化抑制(イオンサプレッショ
ン)
、感度が上昇することをイオン化促進(イオンエンハンスメント)
と言う。LC-MS/MS による分析では、イオン化抑制による感度低下
が起こることが多い。この感度低下は、イオン化部において目的物
質のイオン化がマトリックスと競合することにより、目的物質自身
のイオン化が抑制されることに起因する。そこで、適切なサンプル
前処理によるマトリックスの除去が重要となる。
3.サンプル前処理
マイコトキシン分析におけるサンプル前処理には、固相カラムによ
る精製が広く用いられており、逆相カラム、イオン交換カラム、多機
能カラム、抗体カラムといった様々な前処理用固相カラムが利用さ
れている。
逆相カラムやイオン交換カラムは、固相担体にマイコトキシンを保
持させ、洗浄によりマトリックスを除去した後、溶出させることによ
り精製する。一方、多機能カラムは、マトリックスを固相担体に保持
させ、マイコトキシンを通過させることにより精製する。効率的にマ
トリックスのみを保持するために順相、逆相、イオン交換用の担体、
および活性炭が目的に応じて混合されている。各マイコトキシン分
析用に設計された多機能カラムが市販されており、広く用いられて
いる。
抗体カラム(イムノアフィニティーカラム)は、目的とする測定物質
に特異的な抗体を固相担体に結合させたもので、目的物質以外の成
分は、カラムに保持しにくい。試料を抗体カラムに負荷した後、水溶
液でマトリックスを洗い流し、最後にメタノール等の有機溶媒で抗
体を変性させ、目的物質をカラムから溶出させる。様々なマイコトキ
シンに対応した抗体カラムが市販されており、選択性が高いことか
ら、マトリックスを多く含んだサンプルの精製に用いられている。
QuEChERS 法は、残留農薬分析用に開発された前処理法である。こ
の方法は、一段階目でアセトニトリル抽出、塩析、脱水を行い、二段
階目で固相担体を抽出液に直接混ぜてマトリックスを除去する前処
理法で、多検体を短時間で処理することが可能である。抽出用と精
製用の試薬キットが市販されている。マイコトキシン分析では、抽
出用のキットが有効で、精製には他の固相抽出カートリッジを用い
た。
4.定量法の検討
前処理をしてもマトリックス効果が無視できない場合は、絶対検量
線法以外の定量方法を検討し、マトリックス効果を補正する必要が
ある。定量方法としては、標準添加法、マトリックスマッチド法、サ
ロゲート内標準法の 3 つの方法が有効である。
標準添加法は、実サンプルに標準品を段階的に添加し、前処理した
検量線サンプルを用いた標準添加検量線による定量を行う方法で
ある。この方法は分析検体数が多くなるという欠点を有する。
マトリックスマッチド法は、無汚染のサンプルを前処理したものに
標準品を段階的に添加した検量線サンプルを用いたマトリックス検
量線による定量を行う方法である。この方法は、無汚染のサンプル
が必要となる。
サロゲート内標準法は、目的物質の一部を安定同位体で修飾した安
定同位体標準品 ( サロゲート物質 ) を使用し、内標準法による定量
を行う方法である。この方法が最も高い正確性を示すが、高価なサ
ロゲート物質が必要となる。
適切な定量方法を選択し、分析試料中のマトリックスが定量結果に
影響しないことを確認した上で、定量分析を行う必要がある。
sigma-aldrich.com/analytix
トピックス
カビの二次代謝産物の中で、ヒトや動物に健康被害を及ぼす化合物
をマイコトキシン(カビ毒:mycotoxin)と総称する。国際的に毒性
が注目され、正確な分析法が必要となってきた。主要なマイコトキ
シンとして、アフラトキシン、オクラトキシン A、トリコテセン系マ
イコトキシン、フモニシン、ゼアラレノンおよびパツリンが挙げられ
る。マイコトキシンの分析は、HPLC-UV、HPLC-FL、GC-FID、GC-MS
が用いられてきたが、選択性および感度の低さ、誘導体化の煩雑さ
が問題となっており、選択性と感度に優れた LC-MS/MS による分析
が有効である。
4
穀類、ブドウ、コーヒー豆から検出され、血中半減期が長く、腎毒性
が強い。分析法は、選択性の高い抗体カラムが前処理に用いられ、
OTA が蛍光を発することから HPLC-FL 法が使われているが、LCMS/MS 法も報告されている。
5.各種マイコトキシン
主要なマイコトキシンに関して、説明する。
1)アフラトキシン
O
O
O
O
O
O
O
3)フモニシン 6)
O
O
OH
O
O
O
O
O
トピックス
アフラトキシンB1
(AFB1)
O
O
NH2
アフラトキシンG1
(AFG1)
O
O
O
O
O
O
アフラトキシンB2
(AFB2)
O OH
フモニシンB1
(FMB1)
O
O
O
O
O
O
HO
OH OH
O
O
OH
O
O
O
OH
OH
O
O
アフラトキシンG2
(AFG2)
アフラトキシン(AF)は、
属菌が産生し、ナッツ、穀類、
香辛料から検出され、肝毒性が強く、特に AFB1 は自然界で最も強い
発ガン物質である。日本では、全ての食品に対して、AFB1、AFB2、
AFG1、AFG2 の合計値として 10 μg/kg の基準値が設定されている。
NH2
O
O
O
分析法としては、多機能カラムや抗体カラムを用いて精製した後、
AFB1 と AFG1 の末端のフラン環のα位をトリフルオロ酢酸で水酸
化し、蛍光誘導体とした後、AFB1、AFB2、AFG1、AFG2 を HPLC-FL で
分析する。LC-MS/MS を用いれば、誘導体化なしに分析できる。
O
O
HO
OH OH
O OH
フモニシンB2
(FMB2)
ビスフラン環とクマリン骨格にシクロペンタノンが結合した AFB1 と
AFB2、6 員環ラクトンが結合した AFG1 と AFG2 の 4 つが代表的なア
フラトキシン類である。
また、AFB1 が水酸化した代謝産物として、AFM1 が牛乳から検出さ
れる。乳の基準値として、AFM1 に対して、0.5 μg/kg が設定されて
いる。
OH
O
OH
O
NH2
OH
O
O
O
OH
O
O
HO
OH
O OH
フモニシンB3
(FMB3)
フモニシン(FM)は、
属菌が産生し、世界中のトウモロコ
シを汚染し、食道がんの原因物質として疑われている。
2)オクラトキシン A 5)
HO
O
O
OH
N
H
O
長い炭化水素鎖にトリカルボン酸とのエステルが 2 つ、水酸基とア
ミノ基を有する分子量 700 を超える化合物で、脂溶性が比較的高
い。水酸基の位置と数の異なる FMB1, B2, B3 が代表的なフモニシン
類として知られている。炭化水素鎖に 2 個のトリカルボン酸がエス
テルで結合しているが、結合に関与しない 4 個のカルボン酸を有す
る。
O
CI
オクラトキシンA
(OTA)
オクラトキシン A(OTA)は、
て産生されるかび毒である。
属や
属菌等によっ
3,4- ジヒドロ -3- メチルイソクマリン骨格の 7 位カルボニル基と Lβ- フェニルアラニンがアミド結合した構造を有する化合物で、 位
にクロル基を有するフェノールがあり、この構造に起因して蛍光を
発すると考えられる。
sigma-aldrich.com/analytix
分析法としては、構造中に 4 個のカルボン酸を有している為、陰イ
オン交換基を有する固相カラムにトラップする方法が有効である。
フモニシンのアミノ基をオルトフタルアルデヒド(OPA)で蛍光誘導
体化し、HPLC-FL で分析する方法や、誘導体化をせずに LC-MS/MS
で分析する方法がある。
5
4)トリコテセン系カビ毒 7-9)
OH
O
O
O
OH
OH
ニバレノール
(NIV)
デオキシニバレノール
(DON)
O
O
O
OH
O
O
T-2トキシン
(T-2)
HT-2トキシン
(HT-2)
近年、DON の水酸基がアセチル化された 3-アセチルデオキシニバ
レノール(3-AcDON)と 15-AcDON における毒性が注目されてきた。
3-AcDON 及び 15-AcDON は組成式が同じで、極性も等しいため、
C18 タイプの分析カラムでは分離することが難しい。そこで、ペン
タフルオロフェニル (PFP) 基を持つカラムの使用を検討した。PFP カ
ラムは、複雑な相互作用を示し、特に構造異性体に対して良好な分
離を示すことが知られており、3-AcDON と 15-AcDON の分離に用
いた。これは、PFP のフッ素基と AcDON の水酸基との相互作用の差
により、分離できたと考えられる。これにより、トリコテセン系カビ
毒 9 種の一斉分析を開発できた。
OH
O
O
O
HO
O
O
HO
O
O
O
O
ゼアラレノン
(ZEN)
O
O
O
O
OH
O
H
O
HO
OH
OH
ネオソラニオール
(NEO)
O
ジアセトキシ
スシルベノール
(DAS)
ゼアラレノン(ZEN)は、トリコテセン系カビ毒と同様に、
属菌が産生するカビ毒の一つで、女性ホルモン様作用を有し、飼料
の汚染で家畜への被害が報告されている。
14 員環を有する環状ラクトン化合物で、構造中にレゾルシノールを
有する。
分析法は、蛍光性を有することから HPLC-FL で分析されてきた。更
に、代謝物を含めた LC-MS/MS による一斉分析法もある。
6)パツリン 11)
OH
OH
O
O
O
3-アセチルデオキシ
ニバレノール
(3-AcDON)
15-アセチルデオキシ
ニバレノール
(15-AcDON)
O
OH
O
O
O
O
5)ゼアラレノン 10)
O
O
O
O
O
HO
O
O
O
OH
O
フザレノンX
(FX)
トリコテセン系カビ毒は、
属菌が産生し、穀類を汚染する
主要なマイコトキシンで、消化器系、免疫機能に毒性を示す。日本
では、小麦玄麦に対して、デオキシニバレノール(DON)1.1mg/kg
の暫定基準値が設定されている。
パツリン
(PAT)
パツリン(PAT)は、
属菌により産生され、リンゴやリン
ゴジュース等の加工品を汚染し、消化器系に障害を与える。日本で
はリンゴ果汁の規格値は 50μg/kg である。
β- 不飽和 5 員環ラクトン化合物で、ヘミアセタール環を有し、水溶
性が高く、アルカリ性で分解する。分析法として、HPLC-UV や TMS
化して GC/MS で測定する方法が用いられている。また PVPP(ポリ
ビニルポリピロリドン)を用いた固相カラムで前処理をした後、LCMS/MS を用いて分析する方法もある。
sigma-aldrich.com/analytix
トピックス
O
O
O
O
OH
O
O
O
HO
OH
OH
O
O
O
O
OH
OH
OH
O
トリコテセン骨格と呼ばれるエポキシ環を含む 4 環状構造骨格を有
するセスキテルペン化合物で、代表的なトリコテセン系カビ毒とし
て、DON、ニバレノール(NIV)
、T-2 トキシン(T-2)
、HT-2 トキシン
(HT-2)が挙げられる。分析法は、HPLC-UV が用いられてきたが、感
度および選択性が劣ることから、LC-MS/MS を用いた分析法が開発
されている。更に、極性の高い DON、NIV、フザレノン X(FX)のタイ
プと、極性がやや低い T-2、HT-2、ジアセトキシスシルペノール
(DAS)
、ネオソラニオール(NEO)のタイプがあり、それらの 7 種の
一斉分析法を開発した。
6
6.主要マイコトキシンの一斉分析法 12-15)
穀物は、酒類の主原料でもあるため、マイコトキシンによる汚染リ
スクを厳重に管理する必要がある。様々なマイコトキシン分析法が
開発されてきたが、サンプル前処理法や機器測定条件がマイコトキ
シン毎に異なり、複数のマイコトキシンを分析するには膨大な時間
が掛かる。また、HPLC-UV では選択性がなく、HPLC-FL では蛍光を
示さないマイコトキシンは検出できない。その為、効率的かつ厳密
な分析を実現するためには、LC-MS/MS を用いたマイコトキシンの
迅速一斉分析法の開発が求められていた。
トピックス
LC-MS/MS による一斉分析では、フモニシンのキャリーオーバーが
発生するので注意する必要がある。キャリーオーバーとは、先に導
入した測定物質が装置内に残存し、次の分析にて観察される現象で
ある。LC-MS/MS を用いた高感度分析では、HPLC-UV の分析で気付
かなかった測定物質の分析流路への吸着により、キャリーオーバー
として見出される場合がある。特に、多成分一斉分析の場合は、極
性の大幅に異なる測定物質をグラジエント溶出で一度に分析するこ
とになる。このようなグラジエント溶出では、移動相に対する測定
物質の溶解状態が急激に変化するため、溶解不足となり、装置内に
吸着することがある。フモニシンのキャリーオーバーは、カラム先
今回、オートサンプラによる多様な洗浄が可能な HPLC と高感度な 端部分とオートサンプラのインジェクション部分で、フモニシンと
MS/MS を用いることで、主要マイコトキシン 14 種(アフラトキシン 金属とのキレーション形成により吸着したと考えられる。そこで、カ
4 種、トリコテセン系カビ毒 4 種、フモニシン類 3 種、ゼアラレノン、 ラムボディー内面を特殊コーティングし、ステンレスの活性を抑え
オクラトキシン A、パツリン)の高精度かつ高感度な迅速一斉分析 た金属フリーな分析カラムを使用した。更に、オートサンプラの洗
浄方法を検討した。オートサンプラの洗浄液として、イソプロパノー
法を確立することに成功した。
ルとメタノールとアセトニトリルとギ酸水溶液の混合液と、キレー
ト能のあるクエン酸ナトリウム水溶液を用いることで、フモニシン
のオートサンプラへの吸着を抑制できた。これによって、フモニシ
ンのキャリーオーバーを低減し、マイコトキシン 14 種の高精度かつ
高感度な LC-MS/MS 一斉分析が実現した。
7.酒類製造工程におけるマイコトキシンの挙動の把握 16-17)
マイコトキシンの一斉分析法を利用して、酒類製造工程におけるマ
イコトキシンの挙動を追跡した。
まず、焼酎の蒸留工程における挙動を調べた。モロミにマイコトキ
シン 14 種を添加し蒸留実験を行い、LC-MS/MS を用いて分析した
結果、いずれのマイコトキシンも蒸留液への移行は、全く認められ
なかった 。
Figure 1. Possible coordination interaction with metal Ions and fumonisin B1
ビール系飲料を対象としたサンプル前処理には、抽出に QuEChERS
法抽出キットを用い、C18 カートリッジで精製を行った。固形試料の
コーンの場合は、QuEChERS 法の抽出後、多機能カラムを用いた精
製を行った。更に、ワイン系飲料では、色素成分等の夾雑成分が多
くあり、HLB で抽出精製後、多機能カラムを用いて、精製した。
精製において、PSA 等の塩基系の固定相を用いた場合は、フモニシ
ンや OTA が吸着し、グラファイトカーボンは、トリコテセン系カビ
毒以外のマイコトキシンが吸着され使用できない。
イオン化条件としては、エレクトロンスプレーイオン化(ESI)を用い
た。マイコトキシンにより、検出に最適な極性(正イオンまたは負イ
オン)が異なるが、高速に極性切替が可能な LC-MS/MS を用いるこ
とで、正イオン化モードと負イオン化モードをマイコトキシン毎に
切り替えることができ、高感度な一斉分析を可能とした。移動相は、
パツリンや DON は、感度の点から、中性の移動相が適していた。ま
た、フモニシンについては、溶出時の移動相の pHを低くすることで、
ピークのテーリングを抑制できた。更に、DON と NIV は、酢酸イオ
ン付加体として、HT-2 と T-2 は、アンモニウムイオン付加体として
検出している為、移動相中の酢酸アンモニウム塩の濃度が感度に影
響した。それらを考慮し、移動相 A に 10 mM 酢酸アンモニウム水
溶液、移動相 B に 2% 酢酸含有メタノールを用い、グラジエント溶
出することで、マイコトキシン14 種を一斉分析することに成功した。
sigma-aldrich.com/analytix
次に、ビール醸造工程での検討を行った。ビール原料である麦芽に、
マイコトキシン 14 種を添加し、実験室スケールで醸造実験を行っ
た。醸造工程の各段階でサンプリングを行い、LC-MS/MS で分析し、
マイコトキシンの挙動を追跡した。発酵前の仕込み段階で、マイコ
トキシンの残存量が大きく低下し、続く発酵工程を経て、半数のマ
イコトキシン(7 種)の残存率が 20% 以下に低下した。しかし、トリ
コテセン系マイコトキシンは、減少し難い物質であり、原料段階で
の管理が重要であることが判明した。
本研究結果より、酒類製造工程中に、製品へのマイコトキシン汚染
リスクが低下することを明らかにし、リスク管理上の重要な知見を
得た。
8.まとめ
LC-MS/MS を用いたマイコトキシン分析は、高感度、高選択的な分
析手法として、食品成分の分析に有用である。精密な定量分析を行
うには、マトリックスの除去方法の検討が欠かせない。また、フモニ
シンのキャリーオーバーを回避し、14 種マイコトキシンの一斉分析
が可能となった。今後も、新たなる手法を取り入れて、更に一斉分
析法の開発、改良に繋げていきたい。
7
HT-2 (+)
50000
Reference
FMB1 (+)
FMB2 (+)
40000
AFG2 (+)
FMB3 (+)
AFG1 (+)
30000
T-2 (+)
PAT (-)
OTA (+)
AFB2 (+)
AFB1 (+)
NIV (-)
ZEN (-)
10000
DON (-)
0
2.0
3.0
4.0
5.0
6.0
7.0
min
Figure 2. 14 mycotoxins analysis by LC-MS/MS
Table 1. HPLC conditions
System: Nexera (Shimadzu)
Column: Mastro C18 100 mm×2.0 mm, 3μm
Mobile phase A: 10mM Ammonium acetate ‒ Water
B: 2% Acetic acid ‒ Methanol
Flow rate: 0.4 mL/min
Gradient Program:
2% B(0 min) ‒ 55% B(3.0-4.0 min) ‒ 70% B(4.1 min)
‒ 80% B(7.0 min) ‒ 95% B(7.01-8.0 min) ‒ 2% B(8.01-11 min)
Column temperature: 40 C
Injection Volume: 5μL
Needle rinse
R0: 10 mM Ammonium acetate-Water
R1: 10 mM Sodium citrate-Water
R2, R3: 1% Fomic acid-Water/MeOH/MeCN/IPA = 1/1/1/1
Needle rinse program:
Inner needle rinse: R1 ‒ R0 ‒ R2 ‒ R0
Outer needle rinse: R3 ‒ R0
著者プロフィール
望月 直樹(もちづきなおき)
アサヒグループホールディングス
株式会社
理事 研究専任部長
薬学博士
Table 2. MRM Transition of mycotoxins
System: LCMS-8040(Shimadzu)
PAT (-)
153.10 > 109.20
OTA (+)
404.10 > 238.90
NIV (-)
371.10 > 281.25
([M+CH3COO]-)
HT-2 (+)
442.00 > 263.05
([M+NH4]+)
DON (-)
355.10 > 295.15
([M+CH3COO]-)
T-2 (+)
483.95 > 305.00
([M+NH4]+)
FMB1 (+)
722.45 > 334.30
AFG1 (+)
329.05 > 243.05
FMB2 (+)
706.45 > 336.25
AFG2 (+)
331.00 > 245.00
FMB3 (+)
706.45 > 336.25
AFB1 (+)
313.00 > 241.05
ZEN (-)
317.15 > 273.00
AFB2 (+)
315.00 > 259.00
【 略歴 】
化粧品メーカー、化学メーカー研
究所を経て、アサヒビール株式会社中央研究所に入社(1988
年)。福島工場品質管理部長、分析研究所安全評価部長などを
経て、食の安全研究所設立に伴い、初代所長に就任(2007-14年)
。
日本分析化学会理事、日本食品衛生学会副会長、東京大学大学
院非常勤講師を歴任。現在、日本分析化学会関東支部副支部長
として、化学分野の学術大会での講演や後進の育成を行う傍
ら、新しい分析技術の確立に多忙を極めている。
【 趣味 】
テニス、カラオケ、文楽鑑賞
シグマアルドリッチのカビ毒の分析関連製品
アフラトキシン、マイコトキシンの分析における、ワークフローに沿った製品の案内やアプリケーションを
ご案内しています。詳しくは http://www.aldrich.com/myco-jp をご覧ください
sigma-aldrich.com/analytix
トピックス
20000
1)望月直樹,須賀啓子 化学と生物 Vol.48 (3), 201-209 (2010)
2)望月直樹 薬学雑誌 Vol.131 (7), 1019-1025 (2011)
3)望月直樹 食品衛生学雑誌 Vol.54 (4), 251-258 (2013)
4)望月直樹 Vol.33(3), 167-178 (2012)
5)Shigekuni NOBA, Atsuo UYAMA, Naoki MOCHIZUKI
Vol.57 (14), 6036-6040 (2009)
6)須賀啓子,望月直樹,山下博 食品衛生学雑誌 Vol.45 (5), 255-258 (2004)
7)須賀啓子,望月直樹,原山耕一,山下博 食品衛生学雑誌 Vol.45 (6), 307-312
(2004)
8)須賀啓子,田村昌義,北川泰,望月直樹 日本食品化学学会誌 Vol.14 (2), 93-98
(2007)
9)田村昌義,中川博之,宇山敦生,望月直樹 食品衛生学雑誌 Vol.55 (1), 19-24
(2014)
10)Kohei MIZUTANI, Yasushi NAGATOMI, Naoki MOCHIZUKI
Vol.3, 134-141
(2011)
11)Naoki MOCHIZUKI, Mariko HOSHINO, Keiko SUGA, Yoshiko SUGITA-KONISHI
Vol.72 (4), 805-809 (2009)
12)Masayoshi TAMURA, Atsuo UYAMA, Naoki MOCHIZUKI
Vol.
27,629-635 (2011)
13)Masayoshi TAMURA, Ayumi TAKAHASHI, Atsuo UYAMA, Naoki MOCHIZUKI
Vol.4, 476-486 (2012)
14)田村昌義,松本恵子,渡邉淳,飯田順子,永富康司,望月直樹 島津評論 Vol.69
(1・2), 159-163(2012)
15)Masayoshi TAMURA, Keiko MATSUMOTO, Jun WATANABE, Junko IIDA, Yasushi
NAGATOMI, Naoki MOCHIZUKI
Vol.37 (13), 15521560 (2014)
16)Yasushi NAGATOMI, Tomonori INOUE, Atsuo UYAMA, Naoki MOCHIZUKI
Vol.76 (1),202-204 (2012)
17)Tomonori INOUE, Yasushi NAGATOMI, Atsuo UYAMA, Naoki MOCHIZUKI
Vol.77 (7), 1410-1415 (2013)
8
有機リンゴピューレ中のパツリンの選択的抽出と低濃度定量
K. G. Espenschied, R&D Technician; Olga Shimelis, Principal R&D Scientist;
Michael Ye, Senior R&D Manager; and Jennifer Claus, SPE Product Manager [email protected]
緒言
パツリン(図 1)は、
属種など数種類の青カビにより産生
されるカビ毒です。このカビ毒は、1940 年代に抗生物質の探索・分
離を目的とした試験の中で発見されました。パツリンに曝露させる
動物試験で、その毒性と、免疫系、遺伝子、消化管における健康へ
の有害作用の可能性が示されました。そのため、パツリンは抗生物
質療法に不適切と考えられました 1,2,3,4。
図 1 パツリンの構造
図 2 リンゴ果皮上の
expansum
食 品
O
O
O
OH
属のカビの一種、
(図 2)はリンゴ果汁や加
工品の製造に用いられるリンゴ果皮上に多く発生します。カビは加
工前の保存中、まず傷ついたリンゴに発生し、気付かないうちに拡
大します 2,5。そのため、パツリンが果汁やピューレなどのリンゴ加
工品に見出される場合が多くなります。表 1 に、市販の果汁サンプ
ルで検出されたパツリンを示します。これは本試験の前に社内で分
析したものです。
表 1 市販果汁サンプルから検出したパツリン
Patulin μg/L (n=1)
Juice from Juice Concentrate
Kosher
3.6
Infant
10.4
Drink Box
1.9
Juice From Fresh Apples
Commercial
6.4
Organic
4.7
パツリンへの曝露は人間の健康に悪影響を及ぼすおそれがあるた
め、ほとんどの先進国ではリンゴ加工品中のパツリン濃度を法的に
規制しています 6。米国では、食品医薬品局(USFDA)が全米の消費
者のためにリンゴ加工品中のパツリン濃度を 50 µg/kg とする規制
を制定しました。
sigma-aldrich.com/food
欧州連合(EU)加盟国では、リンゴ果汁製品中のパツリン濃度の上
限を成人向けの表示で 50 µg/kg に規制しています。また、成人向け
に設定された上限値に加え、EU では乳幼児・子供向けの具体的な
表示として、リンゴ加工品中のパツリン濃度上限値を 10 µg/kg に設
定しました(EC No. 1881/2006)
。一般の母集団よりも patulin 曝露リ
スクが高い集団で a ある、低体重の子供や、成人よりリンゴ果汁を
多量に摂取する傾向のある子供向けに、さらに厳しい上限値をこれ
らの加工品に設定しました 6,7。
本試験の目的は、EC No. 1881/2006 関連サンプル回収ガイドライン
の乳幼児・子供用規格に基づき、前処理カラム SupelMIP® SPE と UV
検出器を備えた UHPLC を用いて 8 リンゴピューレ中に標準添加し
たパツリンを濃縮して分析することです。乳幼児向けに販売されて
いる市販の有機リンゴピューレの大手ブランド商品を用いて試験し
まし た。クリー ン アップ と 分 析 に は、2 種 類 の Supelco 製 品、
SupelMIP SPE―Patulin(CAT. NO. 52776-U)と 1.9 µm monodisperse
silica を充填した Titan™ C18 UHPLC カラム(内径 10 cm×2.1 mm,
CAT. NO. 577124-U)を用いました。SupelMIP SPE には選択性と特異
性の高い固有の分子認識ポリマー(MIP)を採用しているため、類似
性の高い化合物の中から低濃度の対象分析成分を選択することが
可 能 で す 9。Titan HPLC カ ラ ム は、標 準 的 な 粒 径 2 µm 以 下 の
UHPLC カラムよりも低圧で分析時間が短いので、本カラムを採用し
ました。
実験
サンプル調製と標準物質の添加
ピューレサンプルを 10 g 量り、50 mL の円錐型遠心管に取りました。
ペクチナーゼ(150 µL)をピペットに取ってリンゴピューレに加え、
次に 1 µg/mL パツリン原液(パツリンを 1 µg/mL 濃度で 0.1% 酢酸
を含む水に溶解)100 µL を加えました。イオン交換水(9.750 mL)を
この混合物に加え、ボルテックスミキサーで 1 分間撹拌しました。
ピューレ溶液を 40°C の水槽中で 120 分間放置し、その後、遠心分
離(4,500 rpm、5 分)しました。得られた上澄みを、0.22 µm PVDF
シリンジチップフィルターを備えた 33 mm チップ付き 10 mL シリ
ンジを用いて、15 mL の円錐型遠心管にろ過しました。
固相抽出(SPE)手順
ろ過済リンゴピューレの上澄みに用いたパツリンを選択的にクリー
ンアップする固相抽出の手順を、図 3 の条件の項目に記します。対
象の分析成分と SupelMIP ポリマーとの結合に必要な相互作用を確
保にするため、サンプルロード時に 1 滴/ 2 秒の流速を維持しまし
た。SPE 手順においてサンプルロード時の流速を慎重に制御するこ
とは、良好な回収率を得るためには重要です。他のすべてのステッ
プでは、滴下速度を 1 滴/秒に維持しました。
9
結果および考察
SPE 操作の所要時間は約 30 分でした。溶出分画の蒸発と乾燥に、
約 20 分を要しました。濃度は検量線(検量点範囲:5 ∼ 35 µg/kg、
R2 値:0.9988)を使用して算出しました。クロマトグラフィーの結果
から、標準物質を添加していないマトリックスサンプル中にパツリ
ンは認められず、添加したサンプルのパツリンのシグナル応答にマ
トリックス干渉がなかったことが示されました(図 3)
。サンプル回
収率と変動性(%RSD)は、欧州委員会規則 EC No. 401/2006 に記載
。パツリンの保持時間は 3.6 分でし
の範囲内 8 で良好でした(表 2)
た(表 2)
。マトリックスやパツリンのキャリーオーバーを低減する
ためのカラム洗浄時間を含めると、総分析時間は 9 分となりました。
結論
SupelMIP SPE-Patulin カートリッジと Titan C18 UHPLC カラムを利用
する方法を開発し、この方法により有機リンゴピューレ中の低濃度
パツリンを効果的に抽出、検出、および定量できることが実証され
ました。SupelMIP SPE-Patulin を用いたサンプルクリーンアップによ
り、超低濃度の対象化合物を選択的に濃縮でき、加えてマトリック
ス干渉の除去も可能となります。Titan C18 UHPLC カラムを用いた
その後の分析により、分析時間の短縮と、良好な分析成分のシグナ
ル応答およびピーク形状が実現できます(図 3)
。また適用した方法
の範囲内で、これらの製品を使用して効率的に patulin を抽出・分析
でき、同時に国際規制の中で現在 patulin に指定されている非常に
厳しい試験要求事項の高回収率と低変動性に適合できます。
図 3 UHPLC 分析:(a) patulin 10µg/kg を標準添加したリンゴピューレの SPE クリーンアップ後、(b) patulin 標準液(0.1% acetic acid 溶液に 10 µg/kg 濃度で溶解)
、
(c) リンゴピューレのマトリックスブランク
SPE cartridge: SupelMIP® SPE – Patulin, 100 mg/3 mL (CAT. NO. 52776-U)
conditioning: 2 mL acetonitrile, then 1 mL water
sample addition: 4 mL patulin spiked apple puree, patulin standard, or apple puree blank
washing: 4 mL 1% acetic acid, 1 mL 1% sodium bicarbonate, 3 mL water (immediately)
drying: 15 seconds, 6” vacuum
washing: 500 μL diethyl ether
Gradient
elution: 2 mL ethyl acetate with 10 μL glacial acetic acid to stabilize patulin
eluate post-treatment: Evaporate under nitrogen stream at 40 °C. Reconstitute in 1 mL of 0.1% acetic acid.
column: Titan™ C18, 10 cm × 2.1 mm, 1.9 μm (577124-U)
mobile phase: (A) 95:5 water:acetonitrile (B) 100% acetonitrile
flow rate: 0.3 – 0.4 mL/min
column temp.: 35 °C
detector: UV, 276 nm, bw 16
injection: 15 μL
Time (min)
A(%)
B(%)
mL/min
0.00
100.0
0.0
0.3
6.00
100.0
0.0
0.3
6.10
20.0
80
0.4
7.60
20.0
80
0.4
7.70
100.0
0.0
0.3
9.00
100.0
0.0
0.3
2.0
a. Patulin spiked at 10 μg/kg in Apple Puree after SPE cleanup
b. Patulin standard at 10 μg/kg in 0.1% Acetic Acid (aq)
1.5
c. Apple Puree Matrix Blank
0
1.0
Patulin
2.0
3.0
4.0
表 2 リンゴピューレ中のパツリン分析における UHPLC 結果
Sample
Area
Sdev
RSD
Solvent (n=3)
Apple (n=3)
Blank (n=1)
4.77
3.70
ND
0.25
0.10
—
5.30%
2.70%
—
ご存じですか……
Recovery RT (min) Symmetry
89.8%
70.2%
—
5.0
3.6
3.6
—
0.7
0.8
—
Supelco/Sigma Aldrich には、カビ毒分析のサンプル精製に使用
できる SPE 製品群があることを。
さらに詳しい情報は、http://www.aldrich.com/myco-jp をご参
照ください。
(continued on next page)
sigma-aldrich.com/food
食 品
サンプル/マトリックス:(a) patulin 10 µg/kg を標準添加したリンゴピューレサンプル。サンプル調製方法は次の通り。リンゴピューレ 10 g に pectinase 150 µL と
1 µg/mL patulin(0.1% acetic acid 溶液)100 µL を添加。イオン交換水 9.750 mL で希釈して 40 C で保温し、遠心分離(4,500 rpm、5 分)後
ろ過して最終サンプルとした。(b) 10 µg/kg patulin 標準液(0.1% acetic acid 溶液)
、(c) リンゴピューレのマトリックスブランク
10
References
1. Demain, A. L.; Fang, A. The natural functions of secondary metabolites.
Adv. Biochem. Eng. Biotechnol. 2000, 69, 1-39.
2. Welke, J. E; Hoeltz, M.; Dottori, H. A.; Noll, I. B. Effect of processing stages of
apple juice on patulin levels. Food Control 2009, 20, 48-52.
3. Puel, O.; Galtier, P.; Ozwald, I. P. Biosynthesis and Toxicological Effects of Patulin.
Toxins 2010, 2, 613-631.
4. FDA U.S. Food and Drug Administration Foodborne Illness and Contaminants
http://www.fda.gov/food/foodborneillnesscontaminants/naturaltoxins/
ucm212520.htm (accessed June 2014)
5. Rosenberger, D. A.; Engle, C. A.; Meyer, F. W.; Watkins, C. B. Penicillium expansum
invades apples through stems during controlled atmosphere storage. Plant
Health Progress 2006, doi:10.1094/PHP-2006-1213-01-RS.
6. FDA U.S. Food and Drug Administration CPG Sec.510.150 Apple Juice,
Apple Juice Concentrates, and Apple Juice Products – Adulteration
with Patulin Site. http://www.fda.gov/ICECI/ComplianceManuals/
CompliancePolicyGuidanceManual/ucm074427.htm (accessed June 2014)
7. Commission Regulation (EC) 1881/2006. Official Journal of European Union
2006, L364, 16-17.
食 品
8. Commission Regulation (EC) 401/2006. Official Journal of European Union 2006,
L 70/32.
9. Osman, R.; Siam, N.; Anuar, N. M.; Subari, S.N.M. Application of Molecularly
Imprinted Polymer Solid Phase Extraction (MISPE) in the Extraction of Caffeine
from Coffee. The Open Conference Proceedings Journal 2013, 4, (Suppl-2, M25),
111-114.
Featured Products
Description
SupelMIP® SPE Product
Patulin Tube, 3 mL, 50 ea.
Titan UHPLC Column
C18, 10 cm × 2.1 mm I.D., 1.9 μm particles
Analytical Solvents
Acetonitrile, CHROMASOLV® Plus, for HPLC, ≥99.9%
Water, CHROMASOLV Plus, for HPLC, ≥99.9%
Diethyl Ether, CHROMASOLV, for HPLC, ≥99.9%
Ethyl Acetate, CHROMASOLV Plus, for HPLC, ≥99.9%
Analytical Standards and Reagents
Patulin, 100 μg/mL in acetonitrile
Pectinase from Aspergillus aculeatus, ≥3,800 units/mL
Acetic acid, ACS reagent, ≥99.7%
Sodium bicarbonate, ACS reagent, ≥99.7%
CAT. NO.
52776-U
577124-U
34998
34877
309966
650528
34127
P2611
320099
S6014
Related Products
Description
Supel™ Tox SPE Cartridges
AflaZea SPE Cartridge, 6 mL, 30 ea.
DON SPE Cartridge, 6 mL, 30 ea.
Tricho SPE Cartridge, 6 mL, 30 ea.
TrichoBind SPE Cartridge, LRC, 25 ea.
FumoniBind SPE Cartridge, LRC, 25 ea.
OchraBind SPE Cartridge, LRC, 25 ea.
Ascentis® Express C18 HPLC Column
10 cm × 2.1 mm I.D., 2.7 μm particle size
Vials
Certified Vial Kit, Low Adsorption (LA), 2 mL
CAT. NO.
55314-U
55316-U
55308-U
55307-U
55315-U
55318-U
53823-U
29652-U
Related Web Pages
SupelMIP 製品の詳細は、sigma-aldrich.com/supelmip をご参照くだ
さい。
Titan UHPLC カラムの詳細は、sigma-aldrich.com/titan をご参照く
ださい。
カビ毒の分析は、sigma-aldrich.com/myco-jp をご参照ください。
sigma-aldrich.com/food
11
AOAC Method 2011.11
UHPLC/MS/MS を使用した牛乳および乳児用調製粉乳中の vitamin D の分析
Olga Shimelis, Principal R&D Scientist, Supelco [email protected]
牛乳、乳製品をはじめ、乳児・大人用栄養食品への vitamin D 強化
が、vitamin D を補給するために多くの国で義務付けられています。
たとえば、米国では牛乳の vitamin D 強化は、牛乳 8 オンス当たり
400 IU(国際単位)として行われています。最近採用された AOAC
method 2011.11 では、ビタミン D 強化された乳児用調整粉乳の
vitamin D の分析手順について説明しています。本稿ではこの方法
を用いて、強化牛乳と乳児用調製粉乳サンプル中の vitamin D を測
定しました。
方法
牛 乳中と乳 児 用調 製 粉 乳 中の 両 方 の vitamin D 分 析 は、AOAC
method 2011.11 に従いました。標準品は vitamin D2 および D3 と、そ
れらの重水素化体を使用しました。UHPLC カラムは Titan C18(10×
2.1 mm、粒子径 1.9 µm)を使用しました。HPLC 分析では、AOAC 法
から移動相、グラジエント、流量などの条 件を採 用しました。
vitamin D3 と D2 ピーク間、全 vitamin 種とマトリックス成分のピー
ク間でのベースライン分離が、Titan C18 UHPLC カラムで得られま
した。vitamin D の分析には APCI 検出器を備えた MS/MS を使用し
ました。本試験に用いた MS トランジションを、表 1 に示します。
表 1 vitamin D 種の測定に使用した MS パラメーター
Compound
Vitamin D3
Vitamin D3
Vitamin D2
Vitamin D2
Vitamin D3-d3
Vitamin D2-d3
25-OH-Vitamin D3
25-OH-Vitamin D2
Q1
385.5
Q3
259.2
385.5
397.5
397.5
388.5
400.5
159.2
125.2
107.2
259.2
125.2
383.4
395.2
257.2
269.2
牛乳と乳児用調製粉乳の両方の試料調製として、けん化、抽出、蒸
発、LC 適合溶媒への再溶解を行いました。AOAC method 2011.11 に
基づくサンプル調製手順を図 1 に示します。
けん化
牛 乳 ま た は 乳 児 用 調 製 粉 乳 30 mL に、2%
pyrogallol を含む試薬グレード alcohol 溶液 40
mL、重水素化体(I. S.)
、および 50%(w/v)KOH
溶液 20 mL を加えます。
室温で一晩混合します。
抽出
分 液 ロートに 移し、12.5 mg/mL BHT を 含 む
hexane 溶液 30 mL を加え、振とうして抽出し
ます。
hexane 分画を、水:50%(w/v)KOH(85:15)溶
液 20 mL で洗浄します。
サンプル調製
hexane 抽出液 10 mL を取り出し、窒素吹き付
けにより乾固させます。
5 分 間の 超 音 波 処 理により、acetonitrile:水
(70:30)溶液 1 mL 中に再溶解させます。
PTFE 膜(0.45 µm)でろ過します。
表 2 vitamin D の測定濃度(IU/mL)と %RSD(n=3)
Sample
Whole milk
Infant formula
Vitamin D2
0.16 (41%)
0
Vitamin D3
4.76 (4%)
5.29 (0.2%)
結果
vitamin D と hydroxyvitamin D 化合物のクロマトグラムを、それぞ
れ図 2、図 3 に示します。牛乳と乳児用調製粉乳の各抽出物中の
vitamin D2 と D3 の分析結果を、それぞれ図 4、図 5 に示します。
vitamin D2 は、いずれのサンプルからも検出されない一方、牛乳中
と乳児用調製粉乳中の vitamin D3 濃度は 4.2 IU/mL 以上で、予測さ
れた強化濃度に近似することが示されました。hydroxyvitamin D の
形態は、牛乳と乳児用調製粉乳のサンプル中で共に検出されません
でした。検量線の最低濃度は 0.2 IU/mL で、牛乳 1 mL 当たり 0.5 ng
の vitamin に相当します。
結論
本稿では、栄養学的に重要な vitamin D の定量法として、標準品と
AOAC method 2011.11 によるけん化後の牛乳および乳児用調製粉
乳抽出物に関し示しています。Sigma-Aldrich の強みは、試薬からク
ロマトグラフィーに至るまでの分析工程に関する一連の製品を提供
できる点です。
sigma-aldrich.com/food
食 品
vitamin D は 2 種 類 の 形 態 が 知 ら れ て い ま す。vitamin D2 の
ergocalciferol と、vitamin D3 の cholecalciferol です。両方の形態が
強化食品中に存在する可能性がありますが、乳製品の強化には
vitamin D3 の方が多く用いられます。vitamin D hydroxy 代謝物も低
濃度で食品中に存在する場合があります。定量分析は vitamin D2 お
よび D3 に対して実施し、サンプル中の 25-hydroxy 代謝物の有無を
定性分析しました。
図 1 牛乳および栄養サプリメントの調製法
12
図 2 Titan C18 における vitamin D 標準品(各 1 IU/mL)の UHPLC/MS 分析
図 5 Titan C18 における乳児用調製粉乳中 vitamin D の UHPLC/MS 分析
同一の Y 軸目盛を使用して、vitamin D3 を 385/259(プリカーサーイオン / プロ
ダクトイオン)トランジションで、vitamin D2 を 397/125 トランジションで示し
ています。
同一の Y 軸目盛を使用して、vitamin D3 を 385/259(プリカーサーイオン / プロ
ダクトイオン)トランジションで、vitamin D2 を 397/125 トランジションで示し
ています。図 2 と同一条件。
column: Titan C18, 10 cm × 2.1 mm I.D., 1.9 μm (577124-U)
Vitamin D3
mobile phase: [A] 0.1% (v/v) formic acid in methanol: water (20:80);
[B] 0.1% (v/v) formic acid in methanol
gradient: 60 to 90% B in 0.4 min, to 100% B in 0.3 min, held for 7.8 min,
to 60% B, held for 1.5 min
flow rate: 0.25 mL/min for 5.55 min, to 0.50 mL/min for 3.84 min,
to 0.25 mL/min for 0.7 min
0
2
4
6
8
10
6
8
10
Time (min)
column temp.: 25 °C
detector: MS/MS, APCI(+), MRM as indicated in Table 1
injection: 5 μL
Vitamin D2 (not present)
sample: vitamin D2 and D3, 1 IU/mL
Vitamin D3
0
2
4
Time (min)
Vitamin D2
食 品
Featured Products
0
2
4
6
8
10
Description
UHPLC Column
Titan C18, 10 cm × 2.1 mm I.D., 1.9 μm particle size
Time (min)
図 3 Titan C18 における 25-OH-vitamin D 標準品(各 250 ng/mL)の UHPLC/MS
分析
同一の Y 軸目盛を使用して、25-OH-vitamin D(赤い波形)
を 383/257(プリカー
3
サーイオン / プロダクトイオン)
トランジションで、25-OH-vitamin D(青い波形)
2
を 395/269 トランジションで示しています。図 2 と同一条件。
Mobile Phase Components
Methanol, LC-MS Ultra CHROMASOLV®, tested for UHPLC-MS,
1 L, 2 L
Water, LC-MS Ultra CHROMASOLV, tested for UHPLC-MS,
1 L, 2 L
Formic acid, LC-MS Ultra eluent additive, 1 mL, 2 mL
Standards
Ergocalciferol (vitamin D2)
Cholecalciferol (vitamin D3)
Vitamin D3 (6,19,19-d3) solution
Vitamin D2 (6,19,19-d3) solution
red: 25-OH-Vitamin D3
blue: 25-OH-Vitamin D2
0
1
2
3
Min
4
5
6
図 4 Titan C18 における牛乳中 vitamin D の UHPLC/MS 分析
同一の Y 軸目盛を使用して、vitamin D3 を 385/259(プリカーサーイオン / プロ
ダクトイオン)トランジションで、vitamin D2 を 397/125 トランジションで示し
ています。図 2 と同一条件。
Vitamin D3
0
2
4
6
8
10
6
8
10
Time (min)
Vitamin D2 (trace amount detected)
0
2
4
Time (min)
sigma-aldrich.com/food
25-Hydroxyvitamin D2
25-Hydroxyvitamin D3
Saponification and Extraction Solvents and Reagents
Hexane, CHROMASOLV, for HPLC, ≥97%
Water, CHROMASOLV Plus, for HPLC, ≥99.9%
Acetonitrile, CHROMASOLV Plus, for HPLC, ≥99.9%
Reagent alcohol (ethanol)
Pyrogallol, ACS reagent
Potassium hydroxide, ACS reagent, ≥85%, pellets
2,6-Di-tert-butyl-4-methylphenol (BHT), ≥99.0% (GC), powder
Glassware and Accessories
Aldrich® separatory funnel with glass stopcock. capacity 250 mL
Acrodisc® syringe filters; PTFE membrane, diam. 13 mm,
pore size 0.45 μm
CAT. NO.
577124-U
14262
14263
14265
47768
47763
740284
739847
17937
17938
34859
34877
34998
362808
254002
221473
B1378
Z548030
Z259888
13
全多孔性シリカゲルを用いた UHPLC カラム 「TITAN C18」を使用した
誘導体化せず測れるエストラジオールの高感度 LC/MS/MS 分析
Michael Wright1, Renee Sahertian1 and Chris White1,2
Department of Clinical Chemistry and Endocrinology, SEALS, Prince of Wales Hospital, Sydney, Australia;
2
Department of Osteoporosis and Endocrinology, Royal Hospital for Women, Sydney, Australia
For correspondence: David Bell, Manager, HPLC Surface Chemistry and Health Sciences, Supelco [email protected]
1
緒言
エストラジオールは、女性の第二次性徴の発現、生殖機能の維持、
月経周期の制御、妊娠に不可欠です。閉経後のエストロゲン消失は
骨粗鬆症発症の主要因子です。
免疫学的測定法(イムノアッセイ)は、低濃度の血清中エストラジ
オールの測定に不向きであることがわかっています。その感度、特
異度、精度が低いためです 1。LC/MS/MS 法は選択性が改善される
ことが認められているため、性ステロイドホルモン測定の選択肢に
なりつつあります。初期の LC/MS/MS 法は感度が低く、感度を向上
させるためにダンシルクロライドによる誘導体化法を用いていまし
た 2。しかし、これらの方法では、誘導体の非特異的なフラグメン
テーションと同重体干渉の増大が悩みの種になっていました。
Transition
Ion
271.1 Æ 145.1
271.1 Æ 143.0
274.1 Æ 148.1
Estradiol quantifier
Estradiol qualifier
13
C3 Estradiol Internal Standard
結果
図 1 に、患者サンプル(エストラジオール、56 pmol/L)でのエスト
ラジオール確認イオンのクロマトグラムを示します。クロマトグラ
ムは 5 cm Titan C18 カラム(上)と 10 cm Titan C18 カラム(下)の
ものです。長い方のカラムでは、ヒト血清に存在する同重体干渉物
の分離能の改善と、10 pmol/L の定量下限が示されていました。ま
た、検量線は、10 ∼ 5,000pmol/L の検量線範囲全体にわたり直線性
が得られました(図 2)
。
欧州委員会共同研究センターで開発された血清認証標準物質を測
定すると、本分析法(案)の高い正確さが示されました(表 2)
。
結論
迅速でロバストな LC/MS/MS 法を、Titan C18 1.9 µm カラムを使用
してヒト血清中のエストラジオールを測定するために開発しました。
乳幼児サンプルを測定する検査室で特に重要となる、分析に必要と
する患者のサンプル容量は、本法で行う場合、200 μL と少量であ
り、Titan カラムの分離能により、ヒト血清中に存在する同重体干渉
本試験では、誘導体化せずに低濃度の血清中エストラジオールを測 を抑制できるため、5 cm カラムでは 50 pmol/L まで、10 cm カラム
では10 pmol/Lまで、信頼度の高い検体サンプルの測定が可能です。
定できる迅速で高感度な LC/MS/MS 法について説明します。
本法では、測定する患者集団に応じて、クロマトグラフィーの分析
スピードか測定感度のいずれかを使用者が選択できます。本法で
方法
検量線作成用サンプルは、17β- エストラジオールを 10、25、50、 は、認証基準試験所の定量値との良好な一致が示されました。本法
500、1,000、5,000 pmol/L の濃度でステロイド除去ヒト血清に添加 は、臨床検査室での使用に最適であり、卵巣機能の検査で現在使用
して作製しました。測定の正確さを確認するため、欧州委員会共同 されています。
研究センター(European Commission Joint Research Centre)による
認証標準血清(BCR 576、BCR 577、BCR 578)を入手しました。通常 表 2 分析法の正確さ
の病院業務で得た患者血清の余剰分を匿名化して、本研究の目的に
Serum-Based
Calculated
Estradiol Concentrations
Certified
Estradiol
Assigned by Reference
使用しました。検量線用サンプルまたは血清 200 µL に、内部標準溶
13
Reference
Concentration
Laboratories
液(1 nmol/L C3- エストラジオールの 30% メタノール溶液)50 µL
Material
(pmol/L)
(pmol/L)
% Trueness*
を混合し、ボルテックスミキサーで撹拌しました。1 mL MTBE を加
BCR - 576
120
114
95%
えて液液抽出を行いました。上澄みを蒸発乾固して 50% メタノー
BCR - 577
713
690
97%
ル 100 µL 中に再溶解し、LC/MS/MS システムに注入しました。確認
BCR - 578
1283
1340
104%
イオンを表 1 に示します。
*(測定の)正確さ − 一連の試験結果から得られた平均値と採択された参照値と
の一致度の近さ(ISO 5725-1)
。
(continued on next page)
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臨床&法医学
排卵誘発時や体外受精(IVF)時に測定できる比較的高濃度のエスト
ラジオールとは対照的に、血清中の低濃度なエストラジオールの分
析はより高い技術を要しますが、早期乳房発育や早発思春期の徴候
を呈する小児、遅発思春期や性分化異常を呈する若年者、無月経女
性、女性化乳房の男性、更年期の女性、閉経後の女性、アロマター
ゼ阻害薬投与患者などにおいて、臨床価値の高いものであり、また、
低濃度のエストラジオールを測定することで、乳癌治療患者の卵巣
機能の程度が明らかとなり、乳癌治療に用いられるいくつかのホル
モン療法の抗腫瘍効果を評価する際に重要になると考えられます。
表 1 Quantifier Ions
14
図 1 Titan C18 での患者血清由来エストラジオール(非誘導体化)の LC/MS/MS 分析。カラム長さの比較
column: Titan C18, 5 cm (top, 577122-U) or 10 cm (bottom, 577124-U) × 2.1 mm I.D., 1.9 μm
mobile phase: [A] 0.2 mM ammonium fluoride; [B] methanol
gradient: see figure
flow rate: 0.4 mL/min
column temp.: 40 °C
detector: MS, ESI(-)
injection: 20 μL
sample: patient serum sample containing estradiol, 56 pmol/L
instrument: Shimadzu™ Nexera UHPLC, AB SCIEX Triple Quad™ 6,500 and QTRAP®
Gradient
3200
Time (min)
3000
0.00
2800
2.60
82
2600
3.00
100
2400
4.00
100
2200
4.10
40
5.00
40
2000
Transition
271.1 → 145.1
271.1 → 143.0
B%
40
Ion
Estradiol quantifier
Estradiol qualifier
1800
1600
1400
1200
1000
800
600
400
200
0
0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
1.2
1.4
1.6
1.8
2.0
2.2
2.4
2.6
2.8
3.0
3.2
3.4
3.6
3.8
4.0
4.2
4.4
4.6
4.8
5.0
Min
17β-Estradiol
Intensity, cps
臨床&法医学
Intensity, cps
17β-Estradiol
3400
3600
3400
3200
3000
2800
2600
2400
2200
2000
1800
1600
1400
1200
1000
800
600
400
200
0
Gradient
Time (min)
B%
0.00
40
4.60
82
4.65
100
5.80
100
5.85
40
7.50
40
0.65
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
3.5
4.0
4.5
5.0
Min
Data provided by Michael Wright, Department of Clinical Chemistry and Endocrinology, SEALS, Prince of Wales Hospital, Sydney, Australia
sigma-aldrich.com/bioanalysis
5.5
6.0
6.5
7.0
7.5
15
Analyte
y Peak Area/Internal
Standard Peak Area
図 2 Titan C18 法による血清中の非誘導体化 estradiol の検量線
Featured Products and Related Products
R² = 0.9998
20
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
0
500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000
Concentration (pmol/L)
References
1. Middle, J. G.; Kane, J. W. Oestradiol assays: fitness for purpose?
Ann. Clin. Biochem. 2009, 46, 441-456.
2. Nelson, R. E.; Grebe, S. K., O’Kane, D. J. et al. Liquid chromatography-tandem
mass spectrometry assay for simultaneous measurement of oestradiol and
oestrone in human plasma. Clin Chem. 2004, 50, 373-384.
Description
UHPLC Columns
Titan C18, 5 cm × 2.1 mm I.D., 1.9 μm particles
Titan C18, 10 cm × 2.1 mm I.D., 1.9 μm particles
CAT. NO.
577122-U
577124-U
Mobile Phase Components
Water, LC-MS Ultra CHROMASOLV, tested for UHPLC-MS,
1 L, 2 L
Methanol, LC-MS Ultra CHROMASOLV, tested for UHPLC-MS,
1 L, 2 L
Ammonium fluoride, eluent additive for LC-MS, 50 g
CRMs (neat)
17β-Estradiol, United States Pharmacopeia (USP) Reference
Standard, 500 mg
17β-Estradiol, pharmaceutical secondary standard;
traceable to USP, PhEur, and BP, 1 g
CRMs (solution)
17β-Estradiol, 1.0 mg/mL in acetonitrile
(Cerilliant Certified Reference Material)
17β-Estradiol-2,3,4-13C3, 100 μg/mL in acetonitrile
(Cerilliant Certified Reference Material)
14262
52481
1250008
PHR1353
E-060
E-073
650560
Cerilliant(セリリアント)は
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sigma-aldrich.com/bioanalysis
臨床&法医学
Sample Prep
MTBE (tert-Butyl methyl ether), CHROMASOLV Plus,
for HPLC, 99.9%, 1 L
14263
16
酵素加水分解条件を最適化した
尿中の薬物および代謝物の UHPLC/MS(TOF)による分析
Craig Aurand, Principal R&D Scientist, Supelco and Kristen Brown,
The Pennsylvania State University [email protected]
背景
β-D-glucuronide glucuronosohydrolase は、 一 般 に 略 し て
β- グルクロニダーゼと呼ばれる酵素で、薬物のスクリーニング試
験や薬物代謝試験において生体試料中に代謝物の有無を確認する
ための分析で重要な役割を果たしています。
臨床&法医学
β- グルクロニダーゼは、図 1 に示す一般的な経路でグルクロナイ
ド代謝物を未変化体に加水分解します 1。薬物代謝により生体サン
プル中での薬物検出が困難な場合に、
β-グルクロニダーゼによる加
水分解が必要となることが多々あります。たとえば、液体クロマトグ
ラフィー法において、極性の高いグルクロナイド代謝物は、その形
態では逆相クロマトグラフィー分離で保持されにくいため、定量は
困難です。また、ガスクロマトグラフィー法ではグルクロナイド代謝
物の加水分解は、不可欠です。効率的な分析と検出のために、二次
誘導体化の導入も通常は必要です。
試験の目標
本稿に示す試験の目標は、UHPLC/MS(TOF)の分析前に、さまざま
な種に由来するβ- グルクロニダーゼで各化合物群を加水分解する
ための最適条件を決定することです。グルクロナイド代謝物を未変
化体に効率的に加水分解するのに適したβ- グルクロニダーゼ酵素
と酵素反応条件を選択する場合に、最適条件がわかれば関連する重
要変数のいくつかを調整できます。本試験では、分析前に加水分解
することの多い一連の化合物を使用して、効果的に加水分解するた
めの条件を、様々なβ-グルクロニダーゼ酵素を使用し評価しまし
た。オピオイド、ベンゾジアゼピン、ステロイド、カンナビノイド、疼
痛薬の 5 種類の薬物群と、由来や形状、活性値の異なる 11 種類の
β- グルクロニダーゼを本試験に採用しました(表 1 および 2)
。
表 1 本試験の化合物群
β- グルクロニダーゼは糖質代謝において重要な役割を果たすため、 種類
生体系のあらゆる場所に存在します。利用可能な β- グルクロニ
オピオイド
ダーゼ類は多数ありますが、各酵素にはグルクロナイド代謝物を加
ベンゾジアゼピン
水分解するための最適条件があります。β- グルクロニダーゼの酵
素濃度、分解 pH、酵素反応時間、温度などの変数はすべて、グルク ステロイド
ロナイド代謝物の効率的な加水分解において重要な役割を果たしま
疼痛薬
す。
カンナビノイド
化合物名
Buprenorphine , Norbuprenorphine, Codeine,
Hydromorphone, Oxymorphone, Morphine
Lorazepam, Oxazepam, Temazepam
Testosterone
Tapentadol
(-)-11-nor-9-Carboxy-Δ9-THC
図 1 β-glucuronidase 加水分解反応
General β-Glucuronidase Hydrolysis Reaction
C OOH
C OOH
O
O
OH
R
O
β-Glucuronidase
+ H 2O
OH
OH
OH
+
R OH
OH
OH
OH
β-Glucuronidase Hydrolysis Reaction for Morphine 3-β-glucuronide
C H3
C OOH
N
β-Glucuronidase
C H3
O
OH
N
+
OH
OH
C OOH O
O
OH
OH
OH
sigma-aldrich.com/bioanalysis
O
OH
OH
HO
O
OH
17
表 2 β- グルクロニダーゼの由来、形状、活性値
形状
solid
1,644,000 U/g
solid
2,525,000 U/g
lyophilized powder
3,107,000 U/g
lyophilized powder
978,500 U/g
lyophilized powder
11,458,000 U/g
aqueous glycerol solution 10,000,000 U/g
30 mg/mL, pH 5
20 mg/mL, pH 5
16 mg/mL, pH 5
51 mg/mL, pH 5
4.5 mg/mL, pH 6
2.5 mg/mL, pH 6
G7396
G7646
G4259
Escherichia coli, Type IX-A
Escherichia coli, Type VII-A
Garden snail (Helix aspersa), Type HA-4
lyophilized powder
lyophilized powder
partially purified powder
33 mg/mL, pH 6
2.5 mg/mL, pH 5
83 mg/mL, pH 5
G2174
G8132
Limpet (Patella vulgata)
Limpet (Patella vulgata), Type L-II
aqueous solution
lyophilized powder
1,524,575 U/g
19,600,000 U/g
602,600 U/g
≥85,000 U/mL
1,039,000 U/g
aqueous solution was used as is
48 mg/mL, pH 5
酵素反応時間
酵素試験の大半において、グルクロナイド代謝物から未変化体への
迅速な変換が、わずか 30 分間の酵素反応時間で観測されました。
すべての薬物/β- グルクロニダーゼの組み合わせについては、変
換には 120 分の酵素反応時間が最適でした。その後の実験では 120
分の酵素反応時間を標準としました。
β- グルクロニダーゼ溶液の調製
凍結乾燥されたβ- グルクロニダーゼを 100 mM 酢酸アンモニウム
緩衝液(pH 5.0 と pH 6.0)中に溶解し、各 β- グルクロニダーゼ標準
原液(50 kU/mL)としました。試験操作中以外は、溶液を 4 C で保
存しました。形状が液体のものはそのまま使用しました。
酵素反応温度と酵素濃度
酵素反応温度は酵素活性において重要な役割を果たします。
β- グルクロニダーゼの酵素濃度の役割は、反応時間や温度ほど重
要な律速段階ではありませんでした。酵素反応時間 120 分の試験で
は、10 kU/mL と 50 kU/mL との間に有意な違いは認められませんで
β- グルクロニダーゼによるサンプル分解
した。10 kU/mL の酵素濃度は、添加した最低濃度でした。65 C よ
標準添加した尿サンプル原液を 10 mL ずつ複数個に分注しました。 り高い酵素反応温度の場合には、酵素濃度 50 kU/mL でグルクロナ
この尿サンプルに、グルクロナイド代謝物をそれぞれ 200 ng/mL の イドへの転化率が低下しました。10 kU/mL の酵素濃度を中心とし
濃度で添加しました。10 mL 尿サンプルのそれぞれに、対応する pH たさらなる研究が必要です。
緩衝液 2 mL を加え、次にβ- グルクロニダーゼ溶液 2 mL を添加し
ました。β- グルクロニダーゼの最終濃度は、各尿サンプル当たり 酵素反応 pH
10 kU/mL でした。
評価した全反応条件の中で、酵素反応 pH はβ- グルクロニダーゼ
活性の効率に最も著しい影響を与えました。そのため、本試験で報
次に、尿サンプルを 60 C の対流式恒温器中で 120 分間反応させ、 告した結果の大半は、サンプル pH とさまざまな β- グルクロニダー
分解しました。サンプルを恒温器から取り出し、冷却しました。溶液 ゼ酵素の効率に焦点を合わせたものです。pH 試験の実験条件は以
1.4 mL を分取して固相抽出法(SPE)によりさらなるサンプル調製を 下の通りでした。
酵素反応時間:120 分
行い、その後 UHPLC/MS(TOF)で分析を行いました。
酵素反応温度:60 C
加水分解変数
β- グルクロニダーゼ濃度:10 kU/mL
最適化条件検討の一環として、酵素反応時間、酵素反応温度、pH、
酵素反応 pH:4.5、5.0、6.0
尿中の分析物濃度:200 ng/mL
および酵素濃度が、グルクロナイド代謝物から対応する未変化体へ
の変換に与える影響について評価する実験を行いました。
これらの条件は酵素反応に関して重要ですが、実験の詳細は本稿の
範囲外となります。試験における酵素反応時間、温度、pH、および
酵素濃度の範囲は、以下の通りです。
酵素反応時間:30 分、60 分、120 分
酵素反応温度:45 C、55 C、60 C、65 C
酵素反応 pH:4.5、5、6
β- グルクロニダーゼ濃度:10 kU/mL、50 kU/mL
(continued on next page)
sigma-aldrich.com/bioanalysis
臨床&法医学
実験
グルクロナイド標準物質とそれらを添加した尿サンプルの調製
各グルクロナイド代謝物の標準原液(10 µg/mL)を水溶液として調
製しました。また、ヒト尿中に各グルクロナイド代謝物を 200 ng/
mL の濃度で添加しました。
活性値
100mM酢酸アンモニウム中の濃度
(尿サンプルごとに10kU/mL),pH値
CAT. NO. 由来
G0251
Bovine liver, Type B-1
G0376
Bovine liver, Type B-3
G0751
Burgundy snail (Helix pomatia) Type H-1
G1512
Burgundy snail (Helix pomatia) Type H-5
G8295
Escherichia coli, recombinant
G0799
Escherichia coli, recombinant
18
固相抽出(SPE)法
分析を妨害したり HPLC カラムを汚染したりすることのある過剰な
酵素を SPE により除去します。サンプルを、陽イオン交換/疎水性
固定相のミックスモードによる SPE で処理しました。アセトニトリル
溶液を用いて未変化体を SPE チューブから溶出しました。すべての
サンプル処理を繰り返し行いました(n=4)
。
SPE カートリッジ:Supel ™ -Select SCX、60 mg/3 mL(54241-U)
コンディショニングステップ:1% formic acid(acetonitrile 溶液)
1 mL、続いて水 1 mL
サンプルロード:標準添加・加水分解尿 1.4 mL
洗浄ステップ:水 2 mL、続いて 25%(v/v)メタノール水溶液 1 mL
溶出:10%(w/v)水酸化アンモニウム(アセトニトリル溶液)1 mL
サンプル後処理:窒素吹き付けにより乾固し、水 1 mL に再溶解
UHPLC/MS(TOF)条件
すべての分析を、Titan™ C18 1.9 µm UHPLC カラムを用いて、グラジ
エント分析により行いました。グルクロナイド代謝物標準品を、加
水分解変換用の尿サンプルに添加しました。次に、尿サンプル中の、
この既知のグルクロナイド代謝物濃度を用いて、未変化体への変換
率を算出しました。未変化体(10 ∼ 300 ng/mL 水溶液)の標準液を
用いて、UHPLC MS/TOF システムで検量線を作成しました。分析条
件を図 2 に示します。
図 2 β-glucuronidase 酵素分解に続き Supel-Select SCX により固相抽出(SPE)した後の薬物およびその glucuronide 代謝物の Titan C18 を用いた LC/MS(TOF)分析
1. Morphine, m/z 286.1508
column: Titan C18, 5 cm × 2.1 mm I.D., 1.9 μm particles (577122-U)
2. Oxymorphone, m/z 305.1645
mobile phase: [A] 5 mM ammonium formate; [B] 5 mM ammonium formate in acetonitrile:water (95:5)
gradient: 5 to 90% B in 2.5 min, held for 0.5 min, to 5% B in 0.1 min, held for 2 minutes
3. Hydromorphone, m/z 286.1508
flow rate: 0.3 mL/min
4. Hydrocodone, m/z 300.1668
臨床&法医学
5. Codeine, m/z 300.1668
column temp: 35 °C
detector: MS, ESI(+), full scan, m/z 100-1000
6. Tapentadol, m/z 222.1924
injection: 2 μL
7. Norbuprenorphine, m/z 414.2741
8. Oxazepam, m/z 287.0619
sample: urine spiked with drug glucuronide metabolites, hydrolyzed, and extracted via SPE
as described in the text, final concentration 100 ng/mL
9. Lorazepam, m/z 321.0234
system: Agilent 1290 Infinity with Agilent 6210 TOF
10. Buprenorphine, m/z 468.3217
11. Temazepam, m/z 301.0782
6
12. Testosterone, m/z 289.2268
13. (−)-11-nor-9-Carbox-Δ9-THC, m/z 348.2357
3
4
10
1
2
5
12
7
11
8 9
13
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8 1.9 2 2.1 2.2 2.3 2.4 2.5 2.6 2.7 2.8 2.9 3 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5
Min
結果
各薬物の最適酵素加水分解条件は表 3 にまとめました。加水分解し
た尿から抽出し、Titan C18 カラムで分離し、LC/MS(TOF)で分析し
た対象物質のクロマトグラムを図 2 に示します。
コデインと水酸化コデインは、これらのグラジエント条件下で十分
に分離しました。これらの化合物は同重体であるため、この分離は
非常に重要でした。サンプルマトリックスの干渉は認められず、本
サンプル調製法の有効性が実証されました。
sigma-aldrich.com/bioanalysis
β- グルクロニダーゼによる加水分解への pH の影響
酵素分解中に使用した pH は、すべての計画変数中で最大の重要因
子でした。一例として、図 3 では、E. coli Type IX-A 酵素を使用して
3 種類の pH 条件下で行ったグルクロナイドの加水分解を示してい
ます。すべての化合物群において、pH 4.5 で生じた加水分解はわず
かでしたが、pH 5 と pH 6 では大部分に加水分解が生じました。pH
5 より高い条件での加水分解は化合物群に依存しました。ベンゾジ
アゼピン、疼痛薬、およびステロイドの化合物は、pH 5 より高い条
件でも高い変換が認められる一方、オピオイドはいずれの pH でも
わずかな変換を示すのみでした。これは、E. coli Type IX-A 酵素が一
般的なグルクロナイド代謝物の加水分解に適しておらず、特定の群
の化合物に適する可能性があることを示すと思われます。
19
図 3 大腸菌β-glucuronidase Type IX-4(G7396)
:加水分解効率に対する pH の
影響
図 4 カサガイ(Patella vulgata)β-glucuronidase Type L-II(G8132)
:加水分解効
率に対する pH の影響
Incubation time: 2 hrs., Incubation temperature: 60 °C,
Enzyme concentration: 10 kU/mL, Analyte concentration: 200 ng/mL
Incubation time: 2 hrs., Incubation temperature: 60 °C,
Enzyme concentration: 10 kU/mL, Analyte concentration: 200 ng/mL
pH 4.5
pH 5
pH 4.5
pH 6
pH 5
pH 6
200
40
80
60
40
20
20
0
0
e
in
ph
or
Hy
dr
M
表 3 にまとめた実験結果では、各化合物群の特定化合物について
最適な加水分解条件を示しています。これらの結果では、各特定化
合物における加水分解の最適条件を示していますが、化合物群全体
の最適条件にはならない可能性があります。ベンゾジアゼピンのグ
ルクロナイドの場合、E. coli 酵素により、試験した全てのベンゾジア
ゼピンが最適に変換されました。オピオイドの場合、オピオイドの
グルクロナイドの種類によって、加水分解条件は異なりました。こ
の場合、β- グルクロニダーゼと化合物の組み合わせは、化合物群
全体よりもはるかに化合物に特異的でした。E. coli β-glucuronidase
では、ステロイドとカンナビノイドの分析種で最大の変化率となり
ました。
表 3 各分析種の最適な加水分解条件
Class
Compound
Enzyme
Source
Benzodiazepines
Oxazepam
Lorazepam
Temazepam
Norbuprenorphine
Morphine
Buprenorphine
E. coli
E. coli
E. coli
Bovine liver
E. coli
P. vulgata
Hydromorphone
Hydrocodone
Testosterone
Tapentadol
(+)-11-nor-9-carboxy-Δ9-THC
Opioids
Steroids
Pain Management
Cannabinoids
CAT. NO.
Digestion (hydrolysis) Conditions
pH
Temperature
Time
Units/mL
G0799
G0799
G0799
G0376
G0799
6
6
5
5
6
60 °C
60 °C
60 °C
60 °C
60 °C
2 hrs
2 hrs
2 hrs
2 hrs
2 hrs
10,000
10,000
10,000
10,000
10,000
Bovine liver
Bovine liver
E. coli
E. coli
G8132
G0251
G0251
G0799
G0799
5
5
5
6
6
60 °C
60 °C
60 °C
60 °C
60 °C
2 hrs
2 hrs
2 hrs
2 hrs
2 hrs
10,000
10,000
10,000
10,000
10,000
E. coli
G0799
6
60 °C
2 hrs
10,000
(continued on next page)
sigma-aldrich.com/bioanalysis
臨床&法医学
比較として、カサガイ(Patella vulgata)β-glucuronidase Type L-II の
加水分解に対する pH の影響を図 4 に示します。加水分解は全化合
物群の全酵素反応 pH 値で認められました。すべての化合物群にお
ける最適加水分解が pH 5 で観測されましたが、この値が各化合物
群の最適 pH になる訳ではありません。ベンゾジアゼピンは pH 5 で
最適な加水分解となりましたが、オピオイドの最適な加水分解は
pH 6 で し た。こ れ ら の 結 果 か ら、Patella vulgata Type L-II β
-glucuronidase は化合物群とは無関係の全般的な加水分解酵素に適
している可能性が示唆されます。
od
on
e
Ta
No
pe
nt
rb
a
up
do
re
l
no
rp
hi
ne
Ox
az
ep
am
Lo
r
Bu aze
p
pr
en am
or
ph
in
Te
e
m
(+
az
)-1
e
p
1Te
am
no
st
os
r-9
te
-c
ro
ar
ne
bo
xy
-Δ 9
-T
HC
60
100
oc
80
120
on
e
100
140
ph
120
160
or
140
180
om
160
Hy
dr
Sample Recovery (ng/mL)
180
M
or
Hy
p
dr
om hine
or
Hy ph
dr one
oc
od
on
Ta
e
p
No
en
rb
ta
up
do
re
l
no
rp
hi
ne
Ox
az
ep
am
Lo
ra
ze
Bu
p
pr
en am
or
ph
in
Te
e
(+
m
)-1
az
ep
1Te
no
am
st
r-9
os
-c
t
e
ar
ro
bo
ne
xy
-Δ 9
-T
HC
Sample Recovery (ng/mL)
200
20
結論
β- グルクロニダーゼによる加水分解を最適化するには、酵素反応
時間、温度、加水分解 pH、酵素の由来、酵素濃度などの因子を、グ
ルクロナイド代謝物ごとに分析して評価する必要があります。本試
験報告では、尿中のグルクロナイド代謝物を効率的に加水分解する
ための最重要因子を、加水分解 pH と特定しました。一部で、特定の
β- グルクロニダーゼ酵素がグルクロナイド代謝物群全体にわたり
効果を示しました。しかし多くの場合、最適な加水分解条件は個々
の化合物に依存しました。
汎用酵素としては、カサガイ(Patella vulgata)由来の β- グルクロニ
ダーゼ水溶液(Sigma カタログ番号 G2174)による変換が、本試験
で用いたすべて化合物群で全 pH 条件にわたり総合的に最良となり
ました。これは、必ずしも各化合物群や特定化合物の最適な加水分
解と一致する訳ではありませんが、カサガイβ- グルクロニダーゼは
加水分解 pH に依存せずに、全化合物群を十分に加水分解しました。
特定のβ- グルクロニダーゼと加水分解 pH で最適となった加水分
解として、bovine liver Type B-1 由来の β-glucuronidase(Sigma カ
タログ番号 G0251)を pH 5 の条件で用いた場合が、本試験で使用
した全化合物群の総合的な変換の最良条件となりました。
Reference
1. McCarter, J. D.; Withers, S. G. Mechanisms of enzymatic glycoside hydrolysis.
Curr. Opin. Struct. Biol. 1994, 4(6), 885-892.
Featured Products
Description
Drug and Glucuronide Metabolite Test Compounds
Steroids
Testosterone glucuronide
臨床&法医学
Testosterone sulfate
Opioids
Buprenorphine glucuronide
CAT. NO.
NMID507
NMID508
Description
β-Glucuronidase Enzymes
Bovine liver, Type B-1, solid
Bovine liver, Type B-3, solid
Burgundy snail (Helix pomatia) Type H-1, lyophilized powder
G0251
G0376
G0751
Burgundy snail (Helix pomatia) Type H-5, lyophilized powder
Escherichia coli, recombinant, aqueous glycerol solution
Escherichia coli, recombinant, lyophilized powder
Escherichia coli, Type IX-A, lyophilized powder
Escherichia coli, Type VII-A, lyophilized powder
G1512
G0799
G8295
G7396
G7646
Garden snail (Helix aspersa), Type HA-4, partially purified powder
Limpet (Patella vulgata), aqueous solution
Limpet (Patella vulgata), Type L-II, lyophilized powder
Solid Phase Extraction
Supel™-Select SCX, 60 mg/3 mL, pack of 50 tubes
G4259
G2174
G8132
Buprenorphine
Norbuprenorphine glucuronide
Norbuprenorphine
Codeine glucuronide
B-035
B-044
N-045
N-059
C-087
Codeine
Codeine-6-β-D-glucuronide
Hydromorphone glucuronide
Hydromorphone
C-006
C-126
H-051
H-004
Oxymorphone glucuronide
Oxymorphone
Morphine glucuronide
O-030
O-004
M-031
Morphine
Benzodiazepines
Lorazepam glucuronide
Lorazepam
Oxazepam glucuronide
M-005
Oxazepam
Temazepam glucuronide lithium salt
Temazepam
Pain Management
Tapentadol-β-D-glucuronide
O-902
T-050
T-907
Tapentadol
Cannabinoids
(+)-11-nor-Δ9-THC-9-Carboxylic acid glucuronide
T-058
Solvents and Reagents
Acetonitrile, LC-MS Ultra CHROMASOLV, tested for UHPLC-MS,
1 L, 2 L
Water, LC-MS Ultra CHROMASOLV, tested for UHPLC-MS,
1 L, 2 L
Ammonium formate, LC-MS Ultra eluent additive, 25 g
Methanol, LC-MS Ultra CHROMASOLV, tested for UHPLC-MS,
1 L, 2 L
T-038
Ammonium hydroxide solution (28% NH3 in H2O, ≥99.99%
trace metals basis)
(-)-11-nor-9-Carboxy-Δ9-THC
T-019
シグマアルドリッチの酵素検索ページはこちら
sigma.com/enzyme-jp
sigma-aldrich.com/bioanalysis
L-021
L-901
O-023
T-060
CAT. NO.
Visiprep™ SPE Vacuum Manifold, DL (Disposable Liner),
24-port model
Visiprep SPE Vacuum Manifold, DL (Disposable Liner),
12-port model
Visiprep SPE Vacuum Manifold, standard, 24-port model
UHPLC Columns
Titan™ C18, 5 cm × 2.1 mm I.D., 1.9 μm particles
54241-U
57265
57044
57250-U
577122-U
14261
14263
14266
14262
338818
21
法医学スクリーニングにおける SPME LC チップを利用した
尿サンプル中の乱用薬物の分析
Craig Aurand, Principal R&D Scientist, Supelco [email protected]
生体マトリックス中の乱用薬物のモニタリングは、臨床検査業界に
おいて大型の成長ビジネスです。乱用薬物の有無を尿で検査するた
めには、治療濃度以下の濃度を検出できる十分な感度と、偽陽性と
ならずに特定の薬物を明確に識別できるだけの選択性を備えた方
法が必要です。現状の尿検査法では、通常、免疫学的測定法が用い
られているため、個々の薬物を特異的に測定できない場合がありま
す。そのため、サンプルを LC/MS/MS や GC/MS により確認すること
が必要です。MS 法において感度とロバスト性を改善するためにサ
ンプル調整はとても重要です。
SPME LC チップ
図 1 に示した SPME LC チップは、ファイバーコアを HPLC タイプの
シリカ粒子でコーティングしたもので、シリカ粒子は高分子バイン
ダーでファイバー上の所定の位置に固定されています。SPME LC
チップに用いられているコーティングは、従来の SPME ファイバー
の問題を克服するように設計されたもので、生体マトリックスでの
抽出や直接的な溶媒脱着に適しています。本稿で説明するファイ
バーは、水系サンプルからの対象物質の抽出を考慮して、シリカ粒
子に C18 分子を結合しています。そのため、夾雑となりうる極性の
サンプルマトリックス成分がファイバー上に共に抽出されるのを防
止しています。
図 2 本試験で使用した分析種の構造
O
CH3
CH3
CH3
N
O
O
HC3
O
N
CH3
CH3
O
Cocaine
Monoisotopic Mass = 303.147058 Da
O
O
C3H
N
Methadone
Monoisotopic Mass= 309.209264 Da
CH3
CH3
O
O
Cocaethylene
Monoisotopic Mass = 317.162708 Da
HC3
N
+
HC3
EDDP
Monoisotopic Mass = 278.190326 Da
図 1 SPME LC チップ
O
O
Coated Fiber
OH
HC3
N
N
CH3
O
Pipette Tip
O
N
H
Single Tip
96-Tip Array
Benzoylecgonine
Monoisotopic Mass = 289.131408 Da
Norfentanyl
Monoisotopic Mass= 232.157563 Da
本試験では、SPME LC チップをヒト尿中の違法薬物分析での直接連
続採取に利用しました。cocaine とその代謝物(benzoylecgonine、
cocaethylene)
、norfentanyl、methadone とその代謝物 EDDP を、代
表薬物および代謝物として選定しました。各構造を図 2 に示します。
マトリックスを一致させた同位体標識内部標準物質を、検量線作成
用に調製しました。患者の尿サンプルを共同試験施設で収集し、
SPME 抽出に供しました。
(continued on next page)
sigma-aldrich.com/bioanalysis
臨床&法医学
この報告では、尿サンプル中に存在する違法薬物代謝物の抽出に
SPME を利用し、その後 LC/MS/MS 分析を行う方法について報告し
ます。HPLC 溶媒や生体サンプルに対応できる新しいファイバーの
導入により、SPME をこの種の分析に利用することが可能となりまし
た。
試験した尿サンプルは、以前に、cocaine 代謝物または methadone
代謝物のいずれかが ELISA 法で検査陽性となったものの、実際の濃
度は測定されませんでした。これらのサンプルを、比較のため SPME
LC チップ抽出法を用いて分析しました。尿サンプルのサンプル調製
は最小限とし、緩衝液のみを添加しました。SPME LC チップを尿サ
ンプル中に入れ、次に、直接脱着して LC/MS/MS で分析しました。
抽出法とクロマトグラフィー条件を記載します。
22
方法
サンプル調製とクロマトグラフィー
検量線用の標準液は、マトリックスマッチングした尿を用いて 20、
50、100、200、500、1,000 ng/mL で調製しました。重水素化内部標
準物質は、検量線用の標準液とサンプルのすべてに濃度 200 ng/mL
で添加しました。最終量として検量線用の標準液とサンプル 500 µL
を 微 小 遠 心 管 に 入 れ ま し た。緩 衝 液 50 µL(2M ammonium
formate、pH 3.7)を各サンプルに添加しました。患者の尿サンプル
にはばらつきがあるため、ammonium formate 緩衝液を添加して、
サンプル集団内の pH 変動を調節する必要がありました。これによ
り、全サンプルでの一貫した抽出効率を確保しました。サンプル抽
出後、SPME LC チップを脱着し、Ascentis® Express RP-Amide カラム
を用いて AB Sciex 3200 QTRAP® で 分 析しました。クロマトグラ
フィー条件と MS 条件の詳細を、図 3 と表 1 にそれぞれ示します。
図 3 Ascentis Express RP-Amide による違法薬物標準液の LC/MS 分析
Ascentis Express RP-Amide, 10 cm × 2.1 mm I.D., 2.7 μm (53913-U)
10 mM ammonium formate in water:acetonitrile (75:25)
0.2 mL/min
35 °C
ESI+, MRM (see Table 1 for transitions)
2 μL
illicit drug standards, each 200 ng/mL in mobile phase
Agilent 1,100 with ABI-3200 QTRAP
4
1.
2.
3.
4.
5.
3
6.
Precursor Product
Compound
Ion (m/z) Ion (m/z)
Norfentanyl
233
84
Benzoylecgonine
290
168
Cocaine
304
182
Cocaethylene
318
196
EDDP (2-Ethylidene-1,5-dimethyl- 278
234
3,3-diphenylpyrrolidine)
Methadone
310
265
結果
図 4 に、SPME LC チップで抽出した cocaine の検量線を示します。
同様に、他の全化合物についても検量線を作成しました(表 2)
。全
化合物において、20 ∼ 1,000 ng/mL の濃度範囲で優れた相関性が
示されました。この高い直線性から、SPME LC チップ抽出法の定量
能が実証されました。SPME はサンプル中の化合物濃度とファイ
バー上への吸着濃度との間の平衡によるものです。サンプルの pH、
温度、イオン強度にばらつきがあると、分析種の抽出率に影響する
場合があります。しかし、これらの変数を単純に調節するだけで直
線性の高い定量的な抽出法となります。
図 4 SPME LC チップ(C18 結合基)により抽出した標準品の検量線データ
(LC/MS)
column:
mobile phase:
flow rate:
column temp:
detector:
injection:
sample:
instrument:
6
1
0
5
2
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
Min
表 1 薬物および代謝物の MS パラメーター
Compound
Norfentanyl
Norfentanyl-d5
EDDP
EDDP-d3
BZE
BZE-d3
Cocaine
Cocaine-d3
Methadone
Methadone-d3
Cocaethylene
Cocaethylene-d3
Precursor Ion (m/z)
233
238
278
281
290
293
304
307
310
313
318
321
sigma-aldrich.com/bioanalysis
Product Ion (m/z)
84
84
234
234
168
171
182
185
265
268
196
199
Cocaine Response (peak area, counts)
臨床&法医学
column:
mobile phase:
flow rate:
column temp:
detector:
injection:
sample:
instrument:
SPME LC チップを用いる抽出プロトコール
SPME LC チップは、メソッド開発や少数のサンプル用に 1 本ずつ使
用することもできる他、自動化プロセス用の 96 チップアレイも利用
できます。以下の説明は、チップを個々で使用する場合の手順です。
患者の尿サンプル 1 mL を、1.5 mL 微小遠心管に入れます。
SPME LC チップを methanol 中で 10 分間、次に水中で 10 分間コ
ンディショニングします。
SPME LC チップを尿サンプルに 10 分間浸漬させます。
SPME LC チ ッ プ を、移 動 相(20 mM ammonium formate の
methanol:水、90:10)200 µL を含む HPLC オートサンプラーバイ
アルに入れます。
回転テーブル上で 30 分間撹拌して脱着させます。
脱着した試験液 3 µL を LC/MS/MS に注入します。
Ascentis Express RP-Amide, 10 cm × 2.1 mm I.D., 2.7 μm (53913-U)
10 mM ammonium formate in water:acetonitrile (75:25)
0.2 mL/min
35 °C
ESI+, MRM (see Table 1 for transitions)
2 μL
illicit drug standards, each 200 ng/mL in mobile phase
Agilent 1100 with ABI-3200 QTRAP
5
4.5
4
3.5
3
2.5
y = 0.0044x
2
R2 = 0.9997
1.5
n =4
1
0.5
0
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900
1000
Concentation (ng/mL)
表 2 SPME LC チップによる抽出後の LC/MS 検量線データの直線性
Compound
Norfentanyl
EDDP
BZE
Correlation (r2) n=4
0.9978
0.9999
0.9908
Compound Correlation (r2) n=4
Cocaine
0.9996
Methadone
0.9936
Cocaethylene
0.9996
23
図 5 SPME LC チップ抽出法による患者の尿サンプル中の cocaine と代謝物の
検出
Ascentis Express RP-Amide, 10 cm × 2.1 mm I.D., 2.7 μm (53913-U)
10 mM ammonium formate in water:acetonitrile (75:25)
0.2 mL/min
35 °C
ESI+, MRM (see Table 1 for transitions)
2 μL
illicit drug standards, each 200 ng/mL in mobile phase
Agilent 1100 with ABI-3200 QTRAP
Cocaine
Benzoylecgonine
Cocaethylene
5000
Concentraiton (ng/mL)
4500
4000
3500
3000
2500
2000
1500
1000
500
0
1
3
4
5
6
7
8
9
10 11 13 14 15 16 17 18 19
Patient Sample No.
column:
mobile phase:
flow rate:
column temp:
detector:
injection:
sample:
instrument:
Ascentis Express RP-Amide, 10 cm × 2.1 mm I.D., 2.7 μm (53913-U)
10 mM ammonium formate in water:acetonitrile (75:25)
0.2 mL/min
35 °C
ESI+, MRM (see Table 1 for transitions)
2 μL
illicit drug standards, each 200 ng/mL in mobile phase
Agilent 1100 with ABI-3200 QTRAP
Methadone
EDDP
70
60
50
40
30
20
10
5
1
3
4
5
6
7
8
9
10 11 13 14 15 16 17 18 19
Patient Sample No.
結論
SPME LC チップ法で生体サンプルを抽する利点は 4 つあげられ
ます。まず、全工程が迅速です。全サンプルの処理に要した総時
間は、チップのコンディショニングを含め、60 分でした。96 ウェ
ルアレイの SPME LC チップを利用できるため、多数のサンプルを
同時に抽出でき、高いラボスループットが得られます。2 番目に、
サンプル量が非常に少量で良い事です。多くの場合、必要量は
100 μL 未満で済みます。3番目は、高い選択性です。SPME LCチッ
プ抽出法では、生体マトリックス中の薬物および極性代謝物の抽
出能が認められました。本稿では尿サンプルについて示しました
が、SPME LC チップを血清、血漿、唾液、全血に用いても有効です。
4 番目は、定量性です。試験した全ての化合物において、抽出の
高い直線性が 20 ng/mL ∼ 1,000 ng/mL の範囲で実証されました。
Featured Products
Description
HPLC Column
Ascentis Express RP Amide, 10 cm × 2.1 mm I.D.,
2.7 μm particles
Mobile Phase Components
Acetonitrile, LC-MS Ultra CHROMASOLV®, tested for UHPLC-MS,
1 L, 2 L
Water, LC-MS Ultra CHROMASOLV®, tested for UHPLC-MS,
1 L, 2 L
Ammonium formate, LC-MS Ultra eluent additive, 25 g
Certified Reference Materials
Benzoylecgonine solution, 1.0 mg/mL in methanol, 1 mL
Cocaethylene solution, 1.0 mg/mL in acetonitrile, 1 mL
Cocaine solution, 1.0 mg/mL in acetonitrile, 1 mL
CAT. NO.
14263
Description
EDDP perchlorate solution, 1.0 mg/mL in methanol
(as pyrolinium), 1 mL
(±)-Methadone solution, 1 mg/mL in methanol, 1 mL
Norfentanyl oxalate solution, 1.0 mg/mL in methanol
(as free base), 1 mL
SPME LC Tips
SPME LC Tips, functional group C18, 96-tip array
57234-U
14366
Accessories
Nunc® 96 DeepWell™ plate, non-treated, 2 mL (pack of 60)
Z717266
B-004
C-010
C-008
BRAND® microcentrifuge tube, 1.5 mL with lid, PP, transparent,
pack of 500
Low Adsorption (LA) Center Drain Vials, 1.5 mL, clear glass,
natural PTFE/silicone septa, 9 mm
53913-U
14261
CAT. NO.
E-022
M-007
N-031
Z336769
29655-U
sigma-aldrich.com/bioanalysis
臨床&法医学
column:
mobile phase:
flow rate:
column temp:
detector:
injection:
sample:
instrument:
図 6 SPME LC チップ抽出法による患者の尿サンプル中の methadone と代謝
物(EDDP)の検出
Concentraiton (ng/mL)
図 5 と 6 に、患者の尿サンプルの SPME LC チップ抽出による定
量結果を示します。すべての場合において、SPME 法を使用する
と、全 ELISA 陽性サンプル中から薬物代謝物が検出されました。
図に示すように、各化合物の濃度範囲は、患者集団全体で非常に
幅広いものでした。濃度は、未検出から 30,000 ng/mL 以上までの
範 囲 と なりまし た。複 数 の サ ン プ ル で、cocaine 代 謝 物 の
benzoylecgonine 含量が検量線の最高値を超える濃度となりまし
た。大部分の患者サンプルで methadone とその代謝物濃度は低
かったものの、サンプル番号 6 では EDDP 濃度が 25,200 ng/mL
の値となり、検量線範囲外となりました。SPME LC チップ法では
methadone とその代謝物を 10 ng/mL 未満まで検出可能でした。
検出可能な norfentanyl はいずれの患者サンプルでも観測されま
せんでした。
24
バイオシミラーとその参照品の比較のための
DMB 標識シアル酸のクロマトグラフィー分離の向上
Xiaoning Lu1, Isil Yasa2, Ben Cutak 2, Kevin Ray2, David S. Bell1
1
Sigma-Aldrich, Bellefonte, PA 16823, USA
2
Sigma-Aldrich, St. Louis, MO 63103, USA
[email protected]
医 薬
要旨
実験
シアル酸は、ノイラミン酸の N- または O- 置換誘導体です。これら LC の最適化は、DMB-NANA と DMB-NGNA の混合標準物質を使用
は糖タンパク質のバイオアベイラビリティ、機能性、安定性、および して蛍光検出器を備えた HPLC により行いました。カラムは同じサ
代謝に影響するため重要です。治療用糖タンパク質の中には、通常、 イズの、C18、F5、RP-Amide(逆相カラム)
、および未修 飾シリカ
2 種類の形態のシアル酸が存在します。N-acetylneuraminic acid (HILIC カラム)の 4 種類を使用し評価しました。流速 0.2 mL/ 分、カ
(NANA)と N-glycolylneuraminic acid(NGNA)です。特に多く用いら ラム温度 30 C で一定としました。移動相 A は 0.1% formic acid 水
れ る 定 量 法 とし て、糖 タ ン パ ク 質 か ら シ ア ル 酸 を 遊 離 し、 溶液、移動相 B は 0.1% formic acid の acetonitrile 溶液としました。
1,2-diamino-4,5-methylenedioxybenzene dihydrochloride(DMB)で
、
NANA と NGNA を誘導体化後、蛍光検出器を備えた逆相 HPLC 法で シアル酸を糖タンパク質から遊離させ、DMB で誘導体化後(図 1)
分析する方法が挙げられます。この方法は過剰な試薬と誘導体化さ 蛍光検出(励起波長:373 nm、蛍光波長:448 nm)による最適化さ
れた他の不純物に由来するピークの干渉を受けやすく、感度と再現 れたクロマトグラフィー条件で分析しました。データを外部標準法
性が制約を受けます。本試験の目的は、DMB-NANA と DMB-NGNA による検量線に当てはめました。結果を、シアル酸/タンパク質の
用の HPLC 蛍光検出法を大幅に改良した方法を開発し、この方法を モル比として示しました。
用いて 2 種類のバイオシミラー候補の治療用タンパク質をそれぞ
結果および考察
れの標準物質と比較することです。
図 2 に、2 種類の一般的なシアル酸、DMB-NANA と DMB-NGNA の
C18 逆相カラムによる HPLC 分離の代表的なクロマトグラムを示し
ます。2 種類のシアル酸は完全なベースライン分離をせず、その分
離も比較的長い分析時間(25 分)で三成分移動相組成となりました。
さらに、後の試験で、シアル酸が複数の誘導体化干渉物質と共溶出
する傾向が示されました。
図 1 1,2-diamino-4,5-methylenedioxybenzene(DMB)による sialic acid の誘導体化
1, 2-diamino-4, 5-methylenedioxybenzene (DMB)
sigma-aldrich.com/analytical
25
図 2 ascentis C18 カラムによる DMB 標識 sialic acid の HPLC 分離の代表的な
クロマトグラム
column: Ascentis C18, 15 cm × 2.1 mm I.D., 3 μm (581302-U)
mobile phase: water:acetonitrile:methanol (84:9:7)
gradient: isocratic, 25 minute run time
400
NGNA
NANA
Excess
Reagents
Fluorescence
200
300
Standard
injection
表 1 DMB 標識 sialic acid の分析方法を開発するために評価したカラムの種類
Asentis Express Column
C18
F5
RP-Amide
HILIC
Phase
Octadecyldimethylsilane (C18)
pentafluorophenylpropyl silane
Palmitamidopropylsilane
Bare silica
CAT. NO.
53823-U
53569-U
53913-U
53939-U
図 4 RP-Amide カラムによる DMB 標識 sialic acid の最適化した HPLC 分離
column: Ascentis Express RP-Amide, 10 cm × 2.1 mm I.D., 2.7 μm (53913-U)
mobile phase: [A] water; [B] acetonitrile, both with 0.1% formic acid
100
gradient: 0-1 min 6% B; 1.01-4 min 20%B; 4.01-12 min 6% B, total run
time 15 min
NGNA
0
Derivatized
blank
injection
NANA
0
10
20
Time (min)
Interferences
分析時間の短縮、全般的な選択性の向上、より単純な二成分移動相
組成を実現できる代替法を開発するため、複数のカラム(表 1)で
検討を行いました。
0
2
4
6
8
10
12
14
Time (min)
医 薬
複数の種類のカラムを検討した結果(図 3)
、干渉物質からの DMB
標識シアル酸の検出において RP-Amide カラムに良好な選択性が認
められました。したがって、RP-Amide カラムをさらなるメソッド開
発と最適化にを行いました。
Interference
図 3 さまざまなカラムによる DMB 標識 sialic acid の HPLC 分離
column: Ascentis Express, 10 cm × 2.1 mm I.D., 2.7 μm
mobile phase: [A] 10% acetonitrile with 0.1% formic acid (for reversed-phase columns)
[B] 90% acetonitrile with 0.1% formic acid (for HILIC columns)
gradient: isocratic, 10 minute run time
1. DMB-NGNA
sample: mix of DMB-labeled NGNA and NANA sialic acid, 5 μg/mL each
2. DMB-NANA
1
1
C18
0
4
2
2
RP-Amide
2
6
8
10
0
2
4
F5
0
1
2
HILIC (Si)
2
4
6
Time (min)
6
8
10
8
10
Time (min)
Time (min)
8
10
0
2
2
1
4
6
Time (min)
(continued on next page)
sigma-aldrich.com/analytical
26
RP-Amide Method
% Accuracy % Accuracy
Conc. (μg/mL)
NGNA
NANA
10
94%
92%
5
100%
100%
2.5
99%
98%
1.25
98%
99%
0.625
101%
100%
0.5
102%
102%
0.313
103%
102%
0.156
104%
108%
0.078
109%
110%
0.039
165%
206%
C18 Method
% Accuracy % Accuracy
NGNA
NANA
89%
93%
100%
101%
100%
98%
96%
97%
104%
107%
100%
103%
103%
101%
128%
116%
186%
179%
126%
125%
Authentic Reference
TNFr-FC
40
表 2 新規の RP-Amide 法と従来の C18 法との直線性範囲の比較
図 6 TNFr-FC(Enbrel)バイオシミラー候補とその参照品の NANA 含量の量的比
較
Biosimilar Candidate
Fluorescence
20
分析時間の短縮、選択性の向上、より単純な移動相組成の利点の他
にも、Ascentis Express RP-Amide カラムでの新規に開発した方法に
より、従来の Ascentis C18 法よりも定量限界値が向上し直線領域が
拡大しました(表 2 参照)
。
RP-Amide 法を、バイオシミラー候補のシアル酸濃度とその先行の
バイオ医薬品(参照品)の定量および比較に適用し、良好な評価が
得られました。図 6 では、TNFr-FC(Enbrel)中の NANA 濃度がバイ
オシミラー候補の参照品のものと比較して約 30% 低いことを示し
ています。さらに図 7 では、Erbitux バイオシミラー候補中の NGNA
含有量がその参照品の NGNA 含有量の約 2 倍であることを示して
います。
0
図 4 で認められるように、Ascentis Express RP-Amide カラムでさら
に最適化した分離により、2 種類のシアル酸、DMB-NGNA と DMBNANA のベースライン分離が可能となり、単純な移動相組成(それ
ぞれ 0.1% formic acid を含む水溶液と acetonitrile 溶液)を用いて
15 分の分析時間を実現できました。重要なこととして、夾雑物とシ
アル酸類が良好に分離しています。
0
図 5 EPO 中の sialic acid の定量
4
6
8
10
12
14
Time (min)
Determined NANA in TNFr-FC
Sample
mol NANA / mol protein
Authentic Reference
15.8
Biosimilar Candidate
10.3
図 7 Erbitux バイオシミラー候補とその参照品の NGNA 含量の量的比較
80
10 μg
Erbitux
Fluorescence
40
60
Fluorescence
40
60
80
EPO
5.0 μg
NGNA
Authentic Reference
20
20
Biosimilar Candidate
2.4 μg
0
0
医 薬
新規に開発した RP-Amide 法を、糖タンパク質エリスロポエチン
(EPO)中のシアル酸含有量の測定によって検証しました。図 5 には、
最小量の干渉物質を含むさまざまな量(2.5、5.0、10 µg)の EPO に
おける NANA の検出結果を示しています。測定した NANA/EPO モ
ル比は、3 種類の EPO 濃度間で一致し、すべてが仕様に適合しまし
た(>10 mol NANA/mol EPO)
。
2
0
2
4
6
8
Time (min)
10
0
2
4
6
8
Time (min)
10
NANA
Sample
EPO Amount
(μg)
mol NANA /
mol EPO
Meet
Specification
EPO-2.4
2.4
10.6
Yes
EPO-5
5
11.3
Yes
EPO-10
10
11.6
Yes
sigma-aldrich.com/analytical
Determined NGNA in Erbitux
Sample
Protein Amount
(μg)
mol NGNA /
mol protein
Authentic Reference
400
0.62
Biosimilar Candidate
112
1.12
12
14
27
結論
Ascentis Express RP-Amide カラムを用いた新しい HPLC 法を、生物
学的薬物タンパク質から遊離した DMB 標識 NGNA と NANA のシア
ル酸を定量するために開発しました。C18 カラムを使用する従来の
方法と比べて、新規の方法には以下の利点があります。
単純な移動相:0.1% ギ酸含有 アセトニトリル溶液
DMB-NGNA と DMB-NANA のシアル酸の良好な分離能
分析時間の短縮
ピーク形状の改善
広い定量直線範囲
定量限界値の向上
Featured Products
Description
Ascentis Express HPLC Columns
C18, 10 cm × 2.1 mm I.D., 2.7 μm
F5, 10 cm × 2.1 mm I.D., 2.7 μm
RP-Amide, 10 cm × 2.1 mm I.D., 2.7 μm
HILIC, 10 cm × 2.1 mm I.D., 2.7 μm
CAT. NO.
53823-U
53569-U
53913-U
53939-U
Analytical Solvents and Standards
Water LC-MS CHROMASOLV
39253
Acetonitrile LC-MS CHROMASOLV
34967
Formic acid LC-MS, 50 mL
56302-50ML-F
1,2-Diamino-4,5-methylenedioxybenzene dihydrochloride,
D4784
fluorogenic reagent
Ascentis® Express UHPLC / HPLC カラム
あらゆるシステムでより速い分析を
医 薬
Ascentis® Express カラム製品ラインは、UHPLC システ
ムから従来の HPLC システムに至るまで全てをカバー
しています。3 種類の粒径(2.0、2.7、5.0 µm)と 8 種類
の固定相をご用意しており、お客様のラボ全体でメソッ
ド開発を円滑に進めることが可能です。
Ascentis Express カラムについての詳細は、
sigma-aldrich.com/express をご参照ください。
sigma-aldrich.com/analytical
NIST/ 米国国立標準技術研究所
NIST Standard Reference Material(NIST SRM)の取扱いを開始しました。
Jens Boertz, Product Manager Analytical Reagents [email protected]
米国国立標準技術研究所(NIST)
は米国最古の物理科学研究所の 1
つです。当時、米国は計測基盤で
英国やドイツ、他の経済的ライバ
ルに後れを取っていましたが、米
国連邦議会は、米国産業界の競争
力の主要なハンディキャップを取
り除くためにこの政府機関を設立しました。
今、NIST の基準は、たとえば非常に小さな、ヒトの毛髪 1 本の先に
何万個も取り付けられるようなナノスケールのデバイスのような最
も小さな技術から、人間が築き上げた最も大きく最も複雑な建造物
である耐震性の超高層ビル、大型ジェット旅客機、グローバル通信
ネットワークに至るまでをサポートしています。
Sigma-Aldrich® は、NIST Standard Reference Materials(SRM)の初の
認可販売者になれたことを誇りに思っています。
Sigma-Aldrich を通じて入手できる全物質は、sigma-aldrich.com/nist
でご覧いただけます。
Some Milestones of NIST
2012 David Wineland shares Nobel Prize in Physics
2010 A new type of clock
2005 Hall shares Nobel Prize in Physics
2001 Cornell shares Nobel Prize in Physics
2000 Optical frequency comb
2000 Advanced Encryption Standard
1997 Phillips shares Nobel Prize in Physics
1993 Internet time service launches
1992 World’s first DNA profiling standard
1985 Defining the volt
1983 First SRM made in space
1980 NIST wins Emmy
1977 Data Encryption Standard (DES) published
1974 Smoke detector standards
1972 World record measurement of the speed of light
1971 New method of thermometry
1971 Topografiner
1967 NIST Center for Neutron Research goes online
1967 Measuring cholesterol
1966 “Fingerprinting” free radicals
1962 Joint Institute for Laboratory Astrophysics founded
1961 NIST moves to Gaithersburg
1957 The first digital image
1956 The fall of parity
1954 NIST Boulder labs open
1953 Panoramic dental X-ray machine
1950 Protecting the Charters of Freedom
1949 Proof of concept for the first atomic clock
1948 New light on length measurements
1932 Setting up the FBI crime lab
1931 Comparing radiation standards
1926 Proving ring invented
1913 Putting rail scales back on track
1906 First Standard Reference Material (SRM)
1905 Measures for the marketplace
1901 NIST founded
© 2015 Sigma-Aldrich Co. LLC. All rights reserved. SIGMA, SAFC, SIGMA-ALDRICH, ALDRICH, and SUPELCO are trademarks of Sigma-Aldrich Co. LLC, registered in the US and other countries.
FLUKA is a trademark of Sigma-Aldrich GmbH, registered in the US and other countries. SAFC brand products are sold through Sigma-Aldrich, Inc. Purchaser must determine the suitability
of the product(s) for their particular use. Additional terms and conditions may apply. Please see product information on the Sigma-Aldrich website at sigma-aldrich.com. Ascentis,
HybridSPE and TraceCERT are resistered trademarks of Sigma-Aldrich Co. LLC. CHROMASOLV is a resistered trademarks of Sigma-Aldrich Laborchemikalien GmbH. Iso-Disc and Supel are
trademarks of Sigma-Aldrich Co. LLC. Fused-Core is a resistered trademark of Advanced Materials Technology, Inc.
本記載の製品および情報は2015年12月1日現在の情報であり、収載の品目、製品情報、価格等は予告なく変更される場合がございます。/最新の情報は、弊社Web
サイト(sigma-aldrich.com/japan)をご覧ください。/掲載価格は希望納入価格(税別)です。詳細は販売代理店様へご確認ください。/弊社の試薬は試験研究用
のみを目的として販売しております。医薬品原料並びに工業用原料等としてご購入の際は、こちらのWebサイト(sigma.com/safc-jp)をご覧ください。
お問い合わせは下記代理店へ
〒140-0002 東京都品川区東品川2-2-24 天王洲セントラルタワー4階
製品に関するお問い合わせは、弊社テクニカルサポートへ
TEL:03-5796-7330 FAX:03-5796-7335
E-mail:[email protected]
在庫照会・ご注文方法に関するお問い合わせは、弊社カスタマーサービスへ
TEL:03-5796-7320 FAX:03-5796-7325
E-mail:[email protected]
http://www.sigma-aldrich.com/japan
SAJ1950 2015.12
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