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サムスンの3G GSM

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サムスンの3G GSM
モバイル が 変える未 来
モバイル・
ブロードバンド時代の
グローバル端末市場
アジアを中心に世界のモバイル事情をウォッチしている携帯電話研究家・ライターの山根
そしてさらにその先につい
康宏さんに、
モバイルとICTを取り巻く日本と世界の現状と動向、
て解説していただくこのコーナー。
スマートフォンの登場によって大きく変わった私たちの
これからどうなっていくのか? グローバルな動きをクローズアップ
モバイル・ライフは、
し、コミュニケーションの未来を探ります。今回は、
モバイル・ブロードバンドの普及が端末
市場に与える影響について論じていただきました。
通信はモバイルの時代
活発なアジア市場
ITUによれば、世界のインターネット利
そのう
用者数は2014 年末で30 億人に、
22
山根康宏(やまね やすひろ)
香港を拠点とし、世界各地で携帯
端末の収集とモバイル事情を研究
する携帯電話研究家・ライター。商
社勤務時代、転勤や出張中に海外
いる。
モバイル・ブロードバンド環境の整
ではこの 3 社がスタートラインに立ち、
そし
備が進むと、TVやラジオ、デジカメ、
業界をリードする形となった。
ファーウェ
てパソコンを買うことなく、
スマートフォン
イは高速通信対応スマートフォンの普及
1台で何でもできるようになるのである。
を広げる戦 略モデルとして、コスト・パ
通信速度はより高速化
力関係にも変化
4 Gの普及とともに、
さらに通信回線速
度を上げる技術も実用化が進んでいる。
その中でも複数の周波数帯をまとめて使
快適な生活を実現
アジア発のサービスも
モバイル・ブロードバンドの普及ととも
( 韓国
フォーマンスに優れた
『 Honor 6 』
にスマートフォンやタブレット利用者が増
として販売、p. 15 参照)
も用意
では『 X 3 』
え、2015年は常時高速接続の時代を迎え
している。
る。
回線の高速化によってレスポンスを気
各国で異なるルーター需要
デザインも多様化
にせずサービスを利用できるようになり、
たとえば、音楽配信サービスもダウンロー
ド型からストリーミング型へと人気が移り
携 帯 端 末のおもしろさに目覚め、
は各国
うCA(キャリア・アグリゲーション)
日本では多 数のモバイル・ルーター
つつある。
ヨーロッパを中心に展開中の
ウェブでの執筆活動を開始。
しだい
で導入され始めている。
日本ではKDDIに
が発 売されており、移 動中でも快 適な
やアジアの
『KKBOX』
は利用者
『Spotify』
に 携 帯 電 話 研 究 が 本 業となり、
2003 年にライターとして独立。現在
1 , 200 台超の海外携帯端末コレク
ションを所有する。
『 週刊アスキー』
『ITmedia』
『CNET Japan』
『ケータ
イWatch』
などに連載多数。
続き、
ドコモが2バンドCAを提供。韓国で
モバイル・ブロードバンド環境を利用す
数を着々と増やしている。
また、サムスン
はすでに3バンドCA 、下り最大300 Mbps
ることができる。
しかし、
アジアの他の先
を始めるなど、端末
電子が
『Milk Music』
の実用化が進んでおり、通信事業者間の
進国の多くではルーターよりもスマート
ベンダーにもその動きは広まっている。
競争は価格から速度のアピールへと移っ
フォンのテザリング機能のほうが人気の
に代表され
動画の利用も、
『YouTube』
ファー
ている。CAはノキア、エリクソン、
ようだ。
これは人口が大都市に集中し利
るストリーミング視聴サービスのみなら
ウェイなどネットワーク・ベンダーも技術
用者も多いことから、スマートフォン1 台
『ニコニコ生放送』
などに
ず、
『Ustream』
もちろんス
販売割合が世界のトップ 3で、
に着け、海外にも展開を始めている。
イン
開発を競い合っており、通信関連の展示
ですべてをこなす使い方が便利なため
よって一般ユーザーが手軽に動画配信
マートフォンはすべてLTE対応品だ。
ドやインドネシアなどでTD-LTEをサービ
会では1 Gbpsを超える超高速通信のデ
だろう。
のようにわ
をできる時代となった。
『Vine』
スする事業者の端末ラインナップが中国
モも行われている。方 式の異なるT D・
一方、米国やヨーロッパ、
そして東南ア
ずか 6 秒間の動画を使ったソーシャル・
メーカー品であることも珍しくない。
FDD 間でのCAの商用化も近い。いずれ
ジアなどでは、移動時間が長いことや、固
ネットワーク・サービスも、
リアルタイムに
消費者は通信方式の差を気にせず端末
定回線の代替としての需要から、モバイ
ストレスなく利用できる高速通信環境が
を購入し、
モバイル・ブロードバンド環境
ル・ルーターの需要も高い。米国では1回
あってこそ生まれてきたわけだ。
を自由に利用できるようになるだろう。
線で複数のSIMカードを契約できるマル
中国では端末販売の楽語通訊(ルー
ユートンシュン)が MVNO ブランド『 妙
中国でも普及が本格化
デュアル・モード端末も登場
3Gを飛び越して4G へ
ちスマートフォンやタブレット、モバイル
一方、
中国でもモバイル・ブロードバン
ルーターなどを利用してインターネット
ドの普 及が本 格 化している。中国では
へアクセスするモバイル・ブロードバンド
2013年末からTD-LTE方式で4Gが開始、
新興国・途上国市場では固定インフラ
この通 信の高 速 化は端 末ベンダ ー
スマー
チSIMサービスが提供されており、
の契約数は23 億人に達するという。イン
それから1年が過ぎ、国内では1万円を切
の整備が一部都市のみにとどまってお
間のパワー・バランスにも大きな変化を
トフォンとルーターの併用もしやすい。
ターネット接続の主役はモバイルの時代
るLTEスマートフォンや数千円のLTEモ
り、固定の代替としてのモバイル・ブロー
与えている。300 Mbps の LTE Cat 6 に
最近では女性が持ち運びたくなるよう
になっているのである。
バイル・ルーターが販売されている。
ドバンドの重要性が高まっている。
こうし
対 応する製品としては、2014 年中にサ
なカラフルでデザイン性に優れたモバイ
ウェアラブル・デバイスとヘルスケア・サー
世界のモバイル・ブロードバンド市場
しかも、中国最大の事業者であるチャ
た国々では2 Gから3 Gへの移行が完了す
ムスン電 子が『 G A L A X Y S 5 4 G + 』や
ル・ルーターや、室内に置いてもインテリ
ビスをセットにしたビジネスで市場への参
動向を見ると、
アジアの動きが活発だ。韓
イナ・モバイル(中国移動)
は、TD 方式だ
る前に、低価格な中国製LTE端末の導入
など4製品を投入
『GALAXY Note Edge』
アとして違和感なく見えるホーム・ルー
入を開始した。
モバイル・ブロードバンド
国 では 国 内 の L T E カバレッジがほぼ
けではなく、
グローバル互換も視野に入
で4Gの普及が急速に進むだろう。
『 G 3 』やファーウェイ
し先行するも、LGの
ターなども出てきている。
ルーターもいず
の普及は人々の生活をより豊かにし、
そし
100 %となりVoLTEが日常的に使われて
れたFDD 方式にも対応する端末をメー
急激な市場の変化の例としては、長ら
( p. 26 参照)なども
の『 Ascend Mate 7 』
れはスマートフォン同様、外観を気にし
て新たなビジネスチャンスを生み出そうと
いる。3 G 時 代は各 通 信 事 業 者がオフ
カーに求めている。同社が標準展開を
く市場が閉鎖されていたミャンマーの例
登場。
LTE-Advanced対応スマートフォン
て買う製品になっていくだろう。
しているのだ。
ロードとして地下鉄車内Wi-Fiを提供し
図っているのは5 M 13 B( 5モード13バン
が興味深い。2014 年に国営系のMPTと
ていたが、
いまではWi-FiにつながずLTE
ド)、すなわちTD-LTE/FDD-LTE/W-
KDDI・住友商事グループが提携、北欧
急激に変化する新興市場
のまま地下鉄内でスマートフォンを使う
CDMA/TD-SCDMA/GSMの各通信方式
系と中東系を加えた3 社による競争が始
人が多い。
に対応し、13の周波数帯に対応した製品
まった。回線状態が貧弱でSIMカードす
また、
日本でも販売される端末はもは
クールパッ
だ。
レノボ、
ファーウェイ、ZTE、
ら発行枚数が限られていた同国は、2014
やLTEに対応したものが主流となってお
ドといった中国大手のみならず、新興メー
年秋から猛烈な勢いでモバイル・ブロー
り、
スマートフォンだけではなくモバイル・
そしてもちろん
カーやサムスン電子、LG、
ドバンドの普及が始まっている。その結
ルーターも多数の製品が投入されてい
アップルも対応製品を販売している。
果、屋台の売り子やタクシーの運転手な
る。香港、シンガポール、台湾は全携帯
その結果、中国メーカーはLTEデュア
ど誰もがスマートフォンを持ち、写真を
電話販売台数に占めるスマートフォンの
ル・モード対応製品の製造ノウハウを身
送ったり、暇な時間に動画を見たりして
/ JAN. 2015
左:サービス開始から1年で5,000万以上のLTE加入者を集めたチャイナ・モバイル
『妙more』
右:ウェアラブルとスマートフォンを組み合わせたサービスでMVNOに参入した
(ミャオ)more 』を立ち上げ、まだ大手
MNO事業者が手がけていない健康系の
ファーウェイは昨年2月のMWC 2014で世界初の
『E5786(
』写真)
を
LTE Cat 6対応モバイル・ルーター
『Wi-Fi STATION
発表。
日本ではNTTドコモ向けに
の発売を予定している
(p.27参照)
。
HW-02G』
/ JAN. 2015
23
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