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日本の原風景を未来へ繋ぐ田んぼツアー第二弾 感想文 「ない

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日本の原風景を未来へ繋ぐ田んぼツアー第二弾 感想文 「ない
日本の原風景を未来へ繋ぐ田んぼツアー第二弾 感想文
「ないものはない」
菱浦港を降りたところに、このインパクトのあるポスターが何枚も貼ってありました。
このキャッチコピーの意味は、海士町に行く前からネットで調べて知っていました。「無い
ものはない。」と言い張る意味と、「無いものがない(全部ある。)」と言う二つの意味があ
るということでしたが、それを知った時は、(どういうことだろう?)と、あまりぴんとき
ていませんでした。
しかし、島の空気に触れ、美味しい食べ物、美しい海、きれいな田んぼの風景や町の人々
に暖かく歓迎して頂くにつれ、ものすごく居心地のよさを感じるようになりました。私は
普段、大阪の中心のオフィス街にある病院で働いていて、住まいもその近くにあります。
都心での生活は便利ですが、全ての物がコンクリートに覆われていて、川も汚いし、毎日
何かしらのストレスにより体が蝕まれていっているような気がします。隠岐の島の海や、
自然に触れて、ここで生活できたらどんなに素晴らしいだろうかと、体調もすこぶる良く
なるのではないかと思いました。田舎の暮らしは、「閉塞感がある」とか、「親密すぎる」
とか、都会の薄い人間関係に慣れた人には煩わしく感じる事があるとよく耳にしますが、
海士町での人々の様子を見ていると、車ですれ違ったら手を上げて挨拶したり、町の人た
ちが活き活きしている感じがしました。巡りの環代表の阿部さんも「この島に来て幸せな
挨拶をする回数が増えた」とおっしゃっていたのも印象的でした。コンビニや、遊園地な
ど、都会にある物は無いけれど、みんな幸せなんだろうな、と思いました。幸せって何だ
ろう、と深く考えさせられました。この島には、お金で買えない幸せがあると思いました。
海士町の取り組みや、巡りの環の皆さんの活動を見聞きするうちに、色々な疑問点や関
心がわいてきました。この島は地上の楽園かと思うぐらい、自然豊かで心落ち着く場所で
したが、生きていくには自給自足の生活だけでは難しい、子供を育てたり、家庭を築くた
めにはやはり現金収入がないと大変だというお話がありました。どうしたらいいかと私な
りに旅の間に色々考え、ご意見を伺う機会があったので、質問してみました。①島内で生
産した作物を現金に換えたいが郵送にお金がかかってしまう→(私)では島に人を呼んで
食べてもらったらどうか?→人を呼び集める観光資源がない、観光客を支える人員が足り
ない。観光客が増えても、外から来たホテル業者や旅行会社が客を抱え込んで、地元の収
益に結びつかないケースが殆んどである。来過ぎても、生産量が追いつかなくなってしま
う。②子供達が行っているアドベンチャーキャンプをもっと全国の学校に宣伝してはどう
か?→学校関係は旅行会社を通じないと難しい。旅行会社を通じると、こちらの利益が微々
たる物になってしまう。→(私)海士町で旅行会社を立ち上げれないか?→観光協会が取
り組み出している。③(私)不登校やいじめに悩んでいる小中学生の受け入れを積極的に
取り組んでみてはどうか?→問題を抱えている子を何人も受け入れるのには難しい。地元
の子にも配慮が必要である。
と言ったように需要と供給の問題、人手不足の問題、移住者と地元の人との折り合いなど、
一筋縄では行かないことがたくさんあることを知りました。私が島に来て数時間の中で考
えた事は、いかに表面的で浅はかだったかを思い知らされました。高齢化問題や、農業や
漁業の後継者問題など、この島で抱える問題は、日本全体の問題であり、この島は日本の
縮図であると感じました。
今回のツアーに参加された方々は、もともと地域活性化活動を取り組んでらした方が多
く、それについても、医療系で生きていた私にとっては新鮮な出会いでした。普段、全く
関わることがない分野のお話ばかりで、とても勉強になりました。日本が抱える問題にち
ゃんと向き合って、それを専門にしている方々おかげで、立場の弱いものが守られている
と感じました。弱肉強食の社会の中でも、人の為に何かしようと立ち上がる人達がいるこ
とに、深く感銘を受けました。当たり前のことなのに、自分の中で当たり前じゃなくなっ
ている事に気がつき、それもショックでした。大きな社会で生きていると、どうしても利
益主義、効率主義の文字が頭にちらつき、本当に大事なことを見失ってしまっていたよう
な気がしました。「人の為に何かする」ということが、私が医療人を目指したきっかけでも
あったはずなのに、いつの間にか目先の利益や、効率に目が行き、本当に人の為に働けて
いたのか、本当に病んでいる人の気持ちになって働けていたのかと、自分の仕事に対する
志しが、いつの間にか乾いた物になっていたことを気付かされました。
このツアーの間で、島が抱える問題について、私の疑問全てが解決する答えはみつかり
ませんでした。
「ぼちぼちやっていくしかない」と誰かがおっしゃっていたのを聞きました。
本当にその通りだと思います。小さなことからコツコツと。一人一人の本気のマンパワー
が集まって、いつか大きな変化に変わると思います。その変化に、私も何かお手伝いさせ
て頂けたら、と思いました。今回のツアーで頂いた、色々な方の暖かいおもてなしに対す
るお礼は、海士町のことをいろんな人に知ってもらう事だと思いました。この島で頑張っ
ている人達がいると言うことを、もっと世間に知ってもらおうと思いました。そのために
は、もっと私も海士町、隠岐について知らないといけないなと思いました。
本当に軽い気持ちで、誘われるまま参加した今回のツアーでしたが、色んな事を感じ、
考え、私の人生に無かった物を教えてくれた3日間でした。今回お世話になりました、巡
りの環の皆様、観光協会の皆様、町内の皆様には本当に感謝の気持ちで一杯です。もう少
し海士町のことを勉強して、また参加させて頂きたいと思います。本当に有難うございま
した。
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