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シラバスPDF版

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シラバスPDF版
事務局 開設
記載欄 年度
2015年度
科目 夏季集中科目 科目
区分 (看護師) コード
精神看護学
履修
制限
1887270
科目名(メディア)
=
(’15)=
英文名
= 〔 Psychiatric Nursing ('15) 〕
無
単位
数
2
(TV)
〔主任講師(現職名): 松下 年子 (横浜市立大学教授)
〕
【 本 学 担 当 専 任 教 員 : 戸ヶ里 泰典 (放送大学教授)
】
講義概要
精神看護学は狭義の精神看護、いわゆる精神科医療を想定した精神科看護のみならず、急性疾患や慢性疾患、
また生活習慣病など身体疾患を抱えた患者のメンタルヘルス、さらには、一般生活者の精神健康増進を主眼とした
メンタルヘルスを包含するものである。看護学領域において、人を生物学的存在として、また心理社会学的存在とし
て捉える全人的観点は必須であり、いかなる臨床場面においても、そうした観点から提供される看護、すなわち「こ
ころの看護」が求められている。これに資するのが精神看護学である。なお、個人をトータルな存在としてみる精神
看護学にあっては、個人の心理や身体のみに着眼するのではなく、対象を、心身両面から構成される「精神活動の
主体」、他者とともに自立した、かつ相補的な「対人関係を構築していく主体」、ライフサイクルやスピリチュアルな面
からは常に「成長し続ける主体」、「地域で生活する主体」として捉え、その主体の自立を促すよう支援することを究
極の目的としている。さらに、看護職者には、患者ないし個人のアドボケーターとしての役割が期待されることから、
他者を擁護することの意味と責任を自覚し、擁護を適切に遂行する能力も不可欠である。こうした能力の育成に資
するのも、精神看護学である。個人対個人の関係だけではなく集団、組織、社会という枠組みと、それらの力動を理
解し、個人や集団の安寧とQOL、倫理や公平を配慮しつつ介入する能力の獲得を目指す。
本科目のカリキュラム構成であるが、「概論」として、精神看護の本質と課題、精神看護の歴史、人権擁護や社会保
障を含む精神科医療福祉の制度と法律、こころの構造・機能と発達、精神科薬物療法、精神障害者のアセスメント
と危機介入、精神科リハビリテーション、地域精神看護、最後に、コンサルテーション活動および、精神看護と看護
の将来を展望する観点から、精神看護領域における高度実践看護のあり方を用意した。また「各論」として、統合失
調症およびうつ病、双極性障害、不安症、パーソナリティ障害、心身症、適応障害、てんかん、自閉スペクトラム症、
限局性学習症、注意欠如・多動症(ADHD)の看護、アディクション看護を設けた。なおアディクション看護では、ア
ディクション問題が精神看護学のみならず全看護学領域にて共有されるべき、領域横断的な課題であることを教授
しつつ、一方で、精神看護ならではのコンサルテーション能力を育むことを目指す。精神看護領域における高度実
践看護のあり方では、「看護師特定能力認証制度」の成立を目前とした今だからこそ、学生が精神看護の発展可能
性をイメージできるよう、海外の高度実践看護師の活動と歴史を紹介する。本科目は「看護師資格取得に資する科
目」である。
授業の目標
第1に、精神医療と社会の関係、精神看護と社会の関係、こころの病と看護の関係、メンタルヘルスと看護の関係を
時間軸をもって理解すること、第2に、こころの健康と非健康の連続性、行動制限と人権の関連、精神疾患の病理と
その治療と社会復帰の実際、そこで果たす看護の役割を理解すること、第3に、地域精神医療における高度実践
看護のあり様について考案できることを目標とする。
履修上の留意点
「基礎看護学(’16)」「在宅看護論(’17)」「成人看護学(’14)」「老年看護学(’13)」「小児看護学(’16)」「母性看護
学(’14)」など。また、脳神経系に関する解剖生理学および、薬理学の基礎を事前に学習しておくこと、「今日のメン
タルヘルス(’15)」において基礎的な精神保健の知識を身につけておくことが望ましい。
回
テ ー マ
内 容
執 筆 担 当放 送 担 当
講 師 名講 師 名
(所属・職名) (所属・職名)
①現代社会における精神保健医療の問題と課題、②精神
看護とは何か、その目的と役割、対象について、さらに、③
松下 年子
松下 年子
精神看護の本質と課 精神看護の将来に向けた課題、可能性について解説す
(横浜市立大
(横浜市立大
1 題
る。
学教授)
学教授)
【キーワード】
精神、こころの看護、社会病理、アドボケーター、自立支援
2 精神看護の歴史
精神看護の歴史を解説すると共に、古代から現代までの国
内外の精神医療の展開と法制史も概観する。東洋と西洋の
精神障害者に対する接し方の違いを家族と地域の視点か
ら明らかにし、最後に、現代日本の精神障害者への地域ケ 日下 修一
日下 修一
アの困難さの背景について説明し、看護者及び家族の精 (聖徳大学教 (聖徳大学教
神障害者への関わり方を解説する。
授)
授)
【キーワード】
精神看護史、精神障害者の人権、宗教観、法制史、家族
看護
回
テ ー マ
内 容
執 筆 担 当放 送 担 当
講 師 名講 師 名
(所属・職名) (所属・職名)
精神障害者はこれまでややもすると、偏見や社会防衛の観
点から社会から排除され、人権侵害を被ることが少なくな
かった。家族も同様である。こうした状況を考慮して法制度
がどのように整備されてきたかを解説する。さらに看護師が 末安 民生
末安 民生
精神科医療福祉の制 法制度を理解しておくことがケアの展開になぜ必要なのか
(天理医療大 (天理医療大
3 度と法律
を理解する。
学教授)
学教授)
【キーワード】
障害者、制度と法律、権利擁護、障害者権利条約、障害者
基本法、精神保健福祉法
①こころの構造と機能、特に、精神力動的観点をもってのこ
ころのメカニズムの理解、②防衛機制と対処行動の実際、
③こころの発達段階と、より健康的、適応的にこころが成長
するための要件と資源について、さらに、④こころの機能・
松下 年子
松下 年子
こころの構造・機能と 発達をより促進するための看護のあり様について解説す
(横浜市立大
(横浜市立大
4 発達
る。
学教授)
学教授)
【キーワード】
こころの構造、こころの機能、防衛機制、対処行動(コーピ
ング)、こころの発達(発達理論)、ライフサイクル、発達課
題、危機
5 精神科薬物療法
精神科薬物療法の概要を解説する。向精神薬の開発の過
吉浜 文洋
吉浜 文洋
程、アドヒアランス等についても触れる。
(佛教大学教 (佛教大学教
授)
授)
【キーワード】
精神科薬物療法、向精神薬、抗精神病薬、アドヒアランス
精神看護に有用とされるオレム・アンダーウッドのセルフケ
ア理論に基づくアセスメントについて解説し、具体的事例と
して、精神科救急医療での看護、自殺未遂や自傷行為、
離院等の緊急事態に対するアセスメントと危機介入(看護 日下 修一
日下 修一
精神障害者のアセス 介入・看護管理)及び急性期の精神科入院患者への接し
(聖徳大学教 (聖徳大学教
6
メントと危機介入
方について述べる。
授)
授)
【キーワード】
セルフケア理論、アセスメント、精神科急性期看護、精神科
看護管理
7 統合失調症の看護
うつ病・双極性障害
8 の看護
①統合失調症の病理、疫学、治療、②陽性症状や陰性症
状に代表される、各精神症状に対する看護の基礎につい
て、③統合失調症患者への看護について、さらに、④統合 松下 年子
松下 年子
失調症患者の家族への支援について解説する。
(横浜市立大 (横浜市立大
学教授)
学教授)
【キーワード】
統合失調症、精神科診断、DSM-5、陽性症状、陰性症状、
修正型電気けいれん療法、行動制限
①うつ病・双極性障害の病理、疫学、治療、②各精神症状
に対する看護の基礎について、③うつ病・双極性障害患者
への看護について、さらに、④うつ病・双極性障害患者の 松下 年子
松下 年子
家族への支援について解説する。
(横浜市立大 (横浜市立大
学教授)
学教授)
【キーワード】
うつ病・双極性障害、抗うつ薬、修正型電気けいれん療法、
社会復帰、自殺、自殺念慮
不安症、パーソナリティ障害、心身症、適応障害、てんかん
の病理と治療、看護について解説する。これらの障害を抱
不安症、パーソナリ えた人を取り巻く社会背景について考えるとともに、今後の 森 真喜子
森 真喜子
(国立看護大 (国立看護大
9 ティ障害、心身症、適 社会的課題や対応についても触れる。
応障害、てんかんの
学校教授)
学校教授)
【キーワード】
看護
不安症、パーソナリティ障害、心身症、適応障害、てんかん
回
テ ー マ
内 容
執 筆 担 当放 送 担 当
講 師 名講 師 名
(所属・職名) (所属・職名)
自閉スペクトラム症、限局性学習症、注意欠如・多動症
(ADHD)の病理と治療、看護について解説する。このような
障害を抱えた人を取り巻く社会背景について考えるととも
自閉スペクトラム症、 に、今後の社会的課題や対応と同時に、発達障害者支援 森 真喜子
森 真喜子
(国立看護大 (国立看護大
10 限局性学習症、注意 法についても触れる。
欠如・多動症
学校教授)
学校教授)
(ADHD)の看護
【キーワード】
自閉スペクトラム症、限局性学習症、注意欠如・多動症
(ADHD)
アディクション看護
11 (1)
アディクション看護
12 (2)
①アディクション(嗜癖)や依存症の本質(病理と種類)、②
アディクション(嗜癖)や依存症の疫学と回復について、③
システムズアプローチに基づく当事者および家族支援につ
いて、さらに、④アルコール使用障害の治療とリハビリテー 松下 年子
松下 年子
ション(回復)の具体について解説する。
(横浜市立大 (横浜市立大
学教授)
学教授)
【キーワード】
アディクション、嗜癖、依存症、嗜癖行動障害、世代伝播、
システムズアプローチ、否認、ハームリダクション、セルフヘ
ルプグループ
①薬物使用障害の治療、リハビリテーション(回復)の具体
について、②ギャンブル障害と買い物依存症の治療、リハ
ビリテーション(回復)について、③自傷行為を繰り返す人
への治療と看護、④共依存と虐待(小児虐待・DV・高齢者
虐待・障害者虐待)の関連と対応について、さらに、⑤神経 松下 年子
松下 年子
性やせ症・神経性過食症の病態、治療、看護、家族への支 (横浜市立大 (横浜市立大
援について解説する。
学教授)
学教授)
【キーワード】
薬物使用障害、常容量依存、置換療法、共依存、DV、高
齢者虐待、神経性やせ症・神経性過食症、クロスアディク
ション
13 ション
精神科病院の在院日数短縮化と地域精神医療への移行を
背景に、精神科リハビリテーションがいかに変化しつつある
のか、また、主に入院医療で提供される回復を支援するた 森 真喜子
森 真喜子
めの資源の種類とその活用方法の実際を解説する。
(国立看護大 (国立看護大
学校教授)
学校教授)
【キーワード】
精神科リハビリテーション、SST、退院支援、リカバリー、シス
テムズ・アプローチ、レジリアンス、ストレングス、High EE
14 地域精神看護
精神障害者の地域生活を支えるために看護職に必要な原
則や制度、支援のための方法と課題、期待されている役割
を解説する。特に、訪問活動や就労支援の実際と課題につ 末安 民生
末安 民生
いて説明する。
(天理医療大 (天理医療大
学教授)
学教授)
【キーワード】
訪問活動とアウトリーチサービス、地域生活支援事業、就労
支援、退院後生活環境相談員、多職種アプローチ
精神科リハビリテー
①看護場面におけるコンサルテーション活動の実際、②プ
ロセス・コンサルテーションの理論と技法、③リエゾン精神看
護について、身体科における精神看護の専門性とその活
用法について、④わが国におけるこれまでの看護および精
コンサルテーション活 神看護の専門性の発展について、さらに、⑤諸外国の看護
松下 年子
松下 年子
動および精神看護領
15 域における高度実践 の専門性確立を参照しながら、わが国の精神看護の専門 (横浜市立大 (横浜市立大
性の将来と発展可能性を展望する。
学教授)
学教授)
看護のあり方
【キーワード】
コンサルテーション、プロセス・コンサルテーション、リエゾン
精神看護、高度実践看護、APN、CNS、ナースプラクティッ
ショナー(NP)、看護師特定能力研修制度
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