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貿易と投資を通じた開発へのコミットメント

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貿易と投資を通じた開発へのコミットメント
第 16 回 APEC 閣僚会議
サンティアゴ、チリ
2004 年 11 月 17−18 日
共同声明
(仮訳)
オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、中華人民共和国、中国香港、インドネシア、日本、大韓民国、マ
レーシア、メキシコ、ニュージーランド、パプアニューギニア、ペルー、フィリピン、ロシア、シンガポール、
チャイニーズ・タイペイ、タイ、アメリカ合衆国、ベトナムの閣僚は、世界貿易の 47%、世界の GDP の 60%
以上を共同して占める地域を代表して、2004 年 11 月 17 日及び 18 日にチリのサンティアゴで開催された第
16 回アジア太平洋経済協力(APEC)閣僚会議に出席した。APEC 事務局も同会議に出席した。東南アジア諸
国連合(ASEAN)事務局、太平洋経済協力会議(PECC)及び太平洋島嶼国フォーラム(PIF)は、オブザー
バーとして出席した。
チリのイグナシオ・ウォーケル外務・貿易大臣が会議の議長を務めた。
閣僚は集合し、「一つの共同体、我々の未来」というチリの主要テーマの下に議論を行った。閣僚は、
貿易、安全保障、透明性、腐敗防止、人材養成、保健、知識基盤型経済、持続可能な開発などの基本的
な分野に関して APEC 地域が直面する課題に共同で対応することが不可欠であることに合意した。閣僚
は、ダイナミックで相互依存的なアジア太平洋地域の中で、新しい機会を生み出すことを目的とした開
かれた貿易体制を達成することに向けて努力することを誓約した。閣僚は、自由で開かれた貿易及び投
資というボゴール目標を、2010 年または 2020 年までに達成するとのコミットメントを再確認した。
APEC の外務及び貿易担当大臣は、
APEC の会合及びその際に行われる会合に集合する機会に感謝した。
閣僚は、チリが主催した 2004 年の APEC における主要な成果をレビューし、韓国が主催する 2005 年の
APEC において行われるイニシアティブに合意した。
第 16 回 APEC 閣僚会議の主要な結果は、2004 年の APEC の「一つの共同体、我々の未来」というテー
マ及び 7 つのサブテーマに沿ってまとめられている。
閣僚はサンティアゴの議論の中で以下について合意した。
貿易と投資を通じた開発へのコミットメント
世界貿易機関(WTO)
閣僚は、多角的貿易体制の改善と多角的貿易体制の中での自由化へのコミットメントを再確認した。閣
僚は、WTO 一般理事会が採択した 7 月合意をドーハ開発アジェンダ(DDA)交渉の突破口と認識し、完
全に支持した。この点において、閣僚は、7 月合意に達するための APEC メンバーの貢献と DDA 交渉を
進展させるとのコミットメントを強調した。
-1-
閣僚は、開発が DDA 交渉の中核にあることを強調し、バランスがとれた全般的な成果を達成することの
重要性を強調し、この交渉を成功裡に終わらせるために共に作業を進めることに合意した。閣僚は、そ
のような結果は多角的貿易体制を強化し、特に開発途上国の経済成長と貧困削減を促進するということ
につき意見が一致した。
閣僚は、ドーハで承認されたマンデートに従い、DDA 交渉の全ての分野において高いレベルの野心と柔
軟性の尊重が維持されることを再確認した。
したがって閣僚は、
・あらゆる形態の農業輸出補助金や不当な輸出規制及び制限の早期撤廃、貿易歪曲的な国内支持の実質
的削減を含む農業改革の重要性、並びに市場アクセスの実質的な改善を強調した。
・関税及び非関税障壁の削減、または適切な場合には、撤廃による非農産品の市場アクセスの実質的な
改善の必要性を確認した。
・サービス貿易の重要性の高まりを強調し、全てのメンバーに対して 2005 年 5 月までに改善された改訂
オファーを提出するよう要請した。初期オファーを提出していないメンバーは、速やかに提出すべきで
ある。
・WTO ルールの明確化、強化及び改善の重要性を再確認した。
閣僚は、貿易円滑化交渉の立ち上げを歓迎し、WTO において本交渉が進展するよう共に作業を進めるこ
とに合意した。閣僚は、これらの交渉は、開発途上経済及び後発開発途上経済に対する特別かつ異なる
待遇の原則を考慮すべきであることに合意した。閣僚は、市場のさらなる自由化からの利益を完全に確
保できるようにするために、貿易円滑化が重要な役割を果たすことを認識した。それゆえ、貿易円滑化
に関するより明確で透明性のある多角的な規律を導入することは、大きな確実性をもたらし、コストや
遅滞を削減し、産業やビジネスにより競争力のある輸出入の条件を提供するであろう。閣僚は、この分
野における APEC の実用的かつ多くの経験が他の WTO 加盟国と共有することができるものであり、ポ
ジティブな成果を得ることに貢献できるということに合意した。閣僚は、透明性、効率性、簡素化、無
差別性、手続きの公平性、協力及びキャパシティ・ビルディングが交渉の中核的な要素になるべきであ
るとの APEC ビジネス諮問会議の提案を支持した。
閣僚は、要求に基づいた効果的な WTO のキャパシティ・ビルディングの重要性及び WTO の DDA 交渉
の進展を促進するために特別かつ異なる待遇を効果的に実施することを再確認した。これによって、開
発途上経済が DDA 交渉に十分に参加することが可能となる。閣僚は、特に APEC が最も付加価値を与え
られる分野において、キャパシティ・ビルディングのための努力を維持し、増大させることを、APEC
メンバーに要請した。閣僚は、APEC メンバーや下部組織の既存の評価活動を利用することによって
APEC の過去のキャパシティ・ビルディングについて評価し、それにより将来の活動をより効果的に行
うとの計画に満足をもって留意した。閣僚は、11 月にバンコクで開催された「APEC/WTO 貿易円滑化
セミナー」を賞賛し、2005 年のはじめにジュネーブで開催される「APEC/WTO 貿易円滑化ラウンドテ
ーブル」及び 2005 年 2 月にクアラルンプールで開催される「貿易円滑化キャパシティ・ビルディング」
に期待した。閣僚はまた、WTO のキャパシティ・ビルディングに関して政策指向的な議論に注意を払う
という WTO のキャパシティ・ビルディンググループの意図を歓迎した。
閣僚は、DDA 交渉についての APEC メンバー間の支援及び協議が維持され、強化されなければならない
ことを再確認した。この点に関し、閣僚は、APEC ジュネーブ・コーカスで今年行われた作業を歓迎し、
-2-
この協議を継続するとともに、双方の経験を共有し、WTO の作業計画に貢献するために、APEC とジュ
ネーブの担当者との間のコミュニケーションを改善することを指示した。閣僚は、2005 年 12 月に香港
で開催される第 6 回 WTO 閣僚会議までの間、APEC ジュネーブ・コーカスを定期的に開催することを約
束した。
閣僚は、ロシアとベトナムの WTO 加盟交渉における進展を歓迎し、キャパシティ・ビルディング支援の
提供等を通じて加盟交渉を速やかに妥結させることを求めた。
閣僚は、WTO に新規加盟したメンバーの特別の懸念に対し、DDA 交渉においてしかるべき配慮が払わ
れるべきであることに留意した。
閣僚は、HIV/AIDs、結核、マラリアその他の伝染病のような公衆衛生に係る問題に対処するために必要
な医薬品への途上国のアクセスを拡大する必要性を再確認した。この点に関し、閣僚は、2003 年 8 月 30
日の TRIPS 及び公衆衛生に関する WTO 一般理事会のコンセンサスに従った行動を含む、適切な行動を
とる必要性を強調した。
閣僚は、2005 年半ばに韓国で開催される次回会合において、DDA 交渉の進展についてレビューし、第 6
回 WTO 閣僚会議の準備及び目的について交渉担当者に明確な指針を提供すべきことに合意した。
閣僚は、DDA 交渉のモメンタムを維持することの重要性を強調した。APEC はこの点について引き続き
指導力を発揮すべきである。閣僚は、交渉のすべての分野において実質的な技術的作業が引き続き行わ
れる必要があることを認識した。閣僚は、2005 年の早い時期に行うことが期待されている WTO の実績
評価がポジティブなものとなり 2005 年が生産的なものとなるような状況を作り出すために、この点に関
する努力を強化するよう、実務担当者に指示した。
地域貿易協定/自由貿易協定
閣僚は、APEC の政策対応、透明性向上のための具体的な方法、対象を絞ったキャパシティ・ビルディ
ングを含むボゴール目標の達成に対する地域貿易協定、自由貿易協定の貢献を最大化するために達成さ
れた実質的な進展を歓迎した。閣僚は、RTAs/FTAsにおいてより一層の透明性を確保することが必要で
あるということは、ABAC によって挙げられた重要な問題であることを認識した。
閣僚は、APEC メンバーの RTAs/FTAs 交渉において意味のある参考となる「APEC 地域貿易協定/自由
貿易協定(RTAs/FTAs)のベストプラクティス」を承認し、それが、我々の地域の中で高い水準の協定
を達成するための手段として重要であることを強調した。これらのベストプラクティスは、RTAs/FTAs
がボゴール目標を達成するために貢献し、そしてそれらが既存の WTO コミットメントと整合的で、かつ
それを土台とするものであることを確保することに資するであろう。閣僚は、これらのベストプラクテ
ィスが、ビジネス界が特定した急増する RTAs/FTAs から生じる課題への政策対応として時機を得たもの
であることを認識した。さらに、閣僚は、これらのベストプラクティスが、地域貿易協定と関連する既
存の WTO 規律及び慣習の明確化及び改善のために現在行われている交渉に対する、貴重な参考となるこ
とに合意した。
透明性の向上のために、閣僚は、2005 年から各メンバーがそれぞれの RTAs/FTAs についての情報を共
-3-
有できるよう、新しい IAP 報告のテンプレートを承認した。閣僚は、高級実務者に対し、IAP ピア・レ
ビューの文脈において、また、中間実績調査の一部として、そのテンプレートを考慮するよう指示した。
閣僚はまた、APEC メンバーの RTAs/FTAs に関する公式情報に関するリンクを APEC 事務局のホームペ
ージに含めることを歓迎し、ビジネス界、政策形成者、その他の利害関係者が使用できる APEC の
RTAs/FTAs データベースを開発することの実現可能性を研究するよう、高級実務者に対し指示した。
閣僚は、すべてのメンバーが RTAs/FTAs の交渉の際に必要な分析的作業及び交渉が行えることを確保す
るために、要求に基づいたキャパシティ・ビルディングの支援を行うことを支持し、ベトナム、ブルネ
イ及び中国で開催される自由貿易協定の交渉に関するワークショップを歓迎した。
閣僚は、チリで開催された「第2回 RTAs/FTAs に関する政策対話」の結果を歓迎し、来年、韓国で「第
3回 RTAs/FTAs に関する高級実務者政策対話」を開催するとの高級実務者の決定を承認した。
ビジネス界との相互作用
閣僚は、2004 年の間に APEC の実務者と ABAC の代表者のパートナーシップが実質的に増大し、改善
されたことに満足をもって留意した。閣僚はまた、ドーハ開発アジェンダに対する ABAC の積極的な関
与に留意し、ABAC が、APEC の目標を追求する中で、目に見える利益を確保することに資する考えや
提案や提言を APEC の閣僚及び高級実務者に提供し続けていることに謝意を表明した。
閣僚は、
「第 2 回 APEC 地域における安全な貿易(STAR)に関する会合」、
「貿易円滑化に関する拡大対
話」、
「APEC 税関ビジネス対話」、
「基準及び適合性に関する政策対話」を通じたものを含む、ABAC と
他の APEC フォーラムとのより緊密な関係を賞賛した。閣僚は、2004 年の APEC 首脳への ABAC 報告
の提出に対して、ABAC に謝意を表明した。
特に、閣僚は「環太平洋ビジネス・アジェンダ」に関する共同研究及び「アジア・太平洋自由貿易協定」
の実現可能性と考えられる範囲と特徴に関する検証についての ABAC による APEC 首脳への提案に留意
した。閣僚は、貿易と投資の円滑化に対する継続的な ABAC の強い関与を歓迎した。これに関し、閣僚
は、環太平洋貿易環境を向上させることに向けた行動を取ることにつき首脳に勧告することに合意した。
貿易・投資の自由化及び円滑化
閣僚は、貿易投資委員会の下部組織によって策定された共同行動計画を含む、
「APEC の貿易と投資の自
由化及び円滑化の活動に関する貿易投資委員会 2004 年年次報告」を賞賛し承認した。
閣僚は、貿易円滑化を促進するための貿易投資委員会の作業及び各メンバーによる「APEC 貿易円滑化
行動計画(TFAP)」の実施の進展を賞賛した。閣僚は、ABAC 議長が議長を務め他の利害関係者の参加
を得て 2004 年 10 月 1 日に開催された「貿易円滑化に関する拡大対話」の成果を歓迎した。閣僚は、貿
易投資委員会から閣僚への年次報告の附属書 1 に記述されているとおりの 3 つの分野に関する一連の提
言を承認した。それらは、貿易円滑化行動計画の実施を深化させかつよりよくモニターすること、ビジ
ネス界との相互作用を向上させること、WTO における貿易円滑化交渉を進展させることを内容とする。
閣僚は、高級実務者に対し、2005 年の貿易担当大臣会合までに、これらの勧告の実施の進捗を報告する
よう指示した。
-4-
閣僚は、TFAP の実施に関する中間的なレビューについての専門家による報告に留意した。閣僚は、APEC
メンバーは 2006 年までに取引費用を 5%削減するという目標の達成に向けて軌道に乗っているとの評価
結果に満足した。 閣僚は、TFAP の実施を深化させるための努力を強化するよう、高級実務者に対し指
示した。
閣僚は、APEC がキャパシティ・ビルディング及び国内協力と国際協力を強化するために取り組むこと
のできる数分野を特定した、「9.11 以降において、APEC の貿易円滑化と安全な貿易目標を相互協力的
に発展させることに関する研究」及び「APEC 貿易円滑化行動計画の実施の効果の評価に関する研究」
の完了を含む、APEC メンバーが貿易を円滑化し取引費用を削減するためにとる行動の利益の測定に関
する様々な研究に留意した。閣僚は、メンバーに対し、これらの利益を測定する適当な方法論の特定を
継続するよう奨励した。この点に関し、閣僚は、測定の代替方法の一つとしての「通関手続所要時間調
査」における着実な進展を歓迎した。
閣僚は、特に中小企業について、貿易円滑化に関する基準、技術的規制及び適合性評価の必要性を認識
し、メンバーに対し、製品に関連する環境基準を含む、国際レベルでの基準作りに積極的に参加するよ
う奨励した。閣僚は、「危険度限界管理点(HACCP)」の適用などの分野における APEC メンバーの協
力を促進するための、食品の安全に関する中国のイニシアティブに留意した。閣僚は、関連する APEC
の下部組織における作業を通じてどのように APEC が、世界保健機構、国連食糧農業機関などの関連す
る国際機関が現在行っている作業を補完し得るかを決定するために、それらの機関の食品の安全に関す
る活動を分析することを奨励した。
閣僚はまた、「透明性基準の実施に関する APEC 首脳宣言」に「政府調達に関する透明性基準勧告」を
盛り込むことを承認し、これにより、マンデートを受けていた「分野別透明性基準」が完了する。この
ため、閣僚は、「一般透明性基準」を報告するための新しい透明性のための IAP のテンプレート、及び、
2005 年の始めから使用すべく、「分野別透明性基準」を報告するための既存の IAP のテンプレートの改
訂版を承認した。閣僚は、対象が絞られ、かつ要求に基づいたキャパシティ・ビルディングの重要性を
強調し、APEC メンバーが APEC 透明性基準を実施することを支援することを目的とする 2005 年の具
体的キャパシティ・ビルディング・プログラムを開発するよう、実務者に対し指示した。この分野にお
ける進展は、関連する共同行動計画に反映されるべきである。
閣僚は、パスファインダー・イニシアティブの迅速な実施が、ボゴール目標に向けた進展を活性化させ
ることができることを認識した。このため、閣僚は、高級実務者によって承認された新しい「パスファ
インダーに関する指針」を歓迎し、同指針が、パスファインダーがボゴール目標の達成を助けることを
確保し、可能な限り多くの APEC メンバーの参加を促すものであることに留意した。
閣僚は、メンバーのほぼ半数が既にそのシステムを実施しまたは 2005 年における実施にコミットしてい
る事前旅客情報(API)パスファインダーを含め、既存のパスファインダーに参加するメンバーの数が増
加していることを歓迎した。閣僚はまた、「デジタル・エコノミーに関するパスファインダー」への新
たな参加メンバーとしてカナダ、オーストラリア、中国を歓迎した。閣僚は、電子商取引、電子商取引
に不可欠なサービス、知的財産及び関税に関する首脳の目標の実施についての各メンバーの進捗振りを
報告するためのデジタル・エコノミー・テンプレートを更新するとの貿易投資委員会(CTI)におけるメン
バーの作業を歓迎した。閣僚はまた、このイニシアティブに対するロシアの支持のみならず、同国が「改
-5-
正された税関手続の簡素化及び調和に関する国際条約」に関するパスファインダーに参加するとの決定
を歓迎した。
「貿易及びデジタル・エコノミーに関するパスファインダー」及びその付属書について、閣僚は、APEC
メンバーが関心を有する他の製品の自由化の比較を含め、バランスの取れた交渉結果の一部として、WTO
が考慮し可能であればその関税を削減するために、3つの情報技術(IT)関連品(マルチチップ集積回路、
デジタル式多機能機器、モデム)の例示を WTO に提出することに合意した。閣僚は、一方的関税撤廃の
対象となる IT 関連品を掲げたメキシコの表を歓迎した。APEC メンバーは、関連する WTO 交渉及び加
盟において自らが取るかも知れない立場を予断することなく、この行動をとる。
閣僚は、効果的な知的財産権の保護と執行制度の重要性、及びこれらがもたらす投資促進、技術革新及
び経済成長への貢献を強調した。閣僚は、海賊版、模倣品貿易やネット上の海賊版の削減と、協力及び
キャパシティ・ビルディングを増加させるために、2005 年に「APEC 知的財産権に関する包括戦略」を
強化する必要性について合意した。
閣僚は、海賊版光ディスク防止のためのメンバーのベストプラクティスを調査するために「貿易とデジ
タル・エコノミーに関するパスファインダー」の下で行われている作業を歓迎し、「APEC 光ディスク
の生産関連規制のための効果的な慣行」を実施するための措置を取ることを奨励した。
閣僚は、「IPR 政策の進捗状況を示すマッピング」における進捗と「APEC 知的財産権に関する包括戦
略」のフォローアップ報告を、地域のビジネスへの信頼強化のための手段として歓迎した。閣僚はまた、
IPR サービス・センターの設立に関する進展を歓迎し、同センターが全てのメンバー経済において可能
な限り早期に設立されるよう奨励した。
閣僚は、メンバーに対し、「APEC 知的財産権に関する包括戦略」に定められた指針に基づいて知的財
産権の執行に関する研修セミナーを行うよう奨励した。この点に関し、閣僚は、2005 年に IPR に関する
ハイレベルのシンポジウムを開催するとの中国のイニシアティブを歓迎した。
E-APEC と情報社会
閣僚は、情報の流れを阻害しない効果的なプライバシー保護の発展が APEC 地域における貿易と経済の
継続的成長にとって重要であることを認識し、「APEC プライバシーのための枠組み」及び「APEC プ
ライバシーのための枠組みの国際的実施に関する今後の作業課題」を承認した。閣僚はまた、「APEC
国境を越えたペーパーレス貿易環境に向けた戦略と行動」及びその勧告を承認した。
閣僚は、情報通信作業部会(TEL)による「基本電気通信に関する WTO レファレンスペーパーの導入及
び実施に向けた進展」及び「WTO レファレンスペーパーの実施に関するベストプラクティス」について
の作業を歓迎し、WTO のキャパシティ・ビルディングの文脈におけるこの作業の重要性につき留意した。
閣僚は、「e-APEC 戦略」の実施に関する報告書を歓迎し、高級実務者に対し、同報告書の内容を研究し
2005 年の関連する APEC 閣僚会合に報告するよう指示した。閣僚は、例えば競争の増加や市場指向的政
策の利益を通じて、電子インフラが大幅に改善したことに留意した。閣僚は、情報技術を最大限利用す
るための技能と能力の構築は、APEC メンバーがデジタル・デバイドを縮小させ貿易を円滑化するため
-6-
に、最も喫緊に必要であることを認識した。この点に関し、閣僚は、「APEC デジタル機会センター
(ADOC)」による作業の進捗を歓迎した。閣僚は、インターネット・アクセスを 2005 年末までに3倍
にするとのブルネイ目標へのコミットメントを改めて表明した。
閣僚は、2004 年 10 月にメキシコで開催された「第 2 回 APEC 電子政府に関するハイレベルシンポジウ
ム」の報告、及び 2004 年6月に中国で開催された「APEC 電子商取引フェア」と「第1回 APEC 電子
商取引ビジネス同盟フォーラム」を歓迎した。
閣僚は、グローバルな情報社会の継続的発展のため、2005 年 11 月にチュニジアで開催される「第 2 回
世界情報社会サミット(WSIS)」の重要性を認識し、高級実務者に対し、TEL や他の関連するフォーラ
ムを通じて、WSIS への APEC のインプットを策定するよう指示した。
産業界との対話
閣僚は、APEC の化学対話とそのステアリング・グループにより今年行われた作業を認識した。閣僚は、
「国連の分類・表示国際調和化システム(GHS)」の実施に関する追加的なキャパシティ・ビルディング
の努力を奨励した。
閣僚は、基準と規制は環境目的に効果的に対処できることに留意しつつ、EU が提案している化学品の規
制枠組み(REACH)を含む、EU の製品に関する環境規制が増加していることに対し、このような複雑
な規制が APEC の産業に与える負の影響を理由に、懸念を表明した。閣僚は、APEC メンバーに対し、
各メンバーの利害関係者の立場が EU の規制策定の際に十分考慮されることを確保するために協力する
よう奨励した。
閣僚は、中国が主催した第 6 回自動車対話の結果を歓迎し、フィリピンが主催する第 7 回対話に期待し
た。閣僚は、化学・自動車対話による非関税障壁に関する今日までの作業に留意し、これらのグループ
に対し、DDA に貢献するためにこの作業を継続することを奨励した。
閣僚は、他のフォーラムに対し、基準の調和化、透明性、貿易円滑化、非関税障壁の特定の促進に関し
て、自動車・化学対話をモデルとして使うよう奨励した。閣僚は「APEC 非鉄金属対話」の新規設立を
歓迎し、2005 年 5 月に最初の本会合を開催することを承認した。
生命科学の革新
閣僚は、2004 年 9 月にマレーシアで開催された「第 2 回 APEC 生命科学革新フォーラム(LSIF)」の結
果を賞賛した。閣僚は、APEC メンバーが効果的な診断、医療器具及び現代的医薬品や伝統的医薬品の
研究、開発及び販売に関する潜在的可能性を十分に発揮するのを助け、効果的な保健サービスの発展の
ための協力を促進することを目的とした、
「生命科学革新の促進のための戦略計画」を承認した。
閣僚は、戦略計画の基本原則の実施が、健康増進、APEC 地域の生命科学の革新に関連する社会・経済
目標の達成、健康に関する優先事項の特定や対処へのアプローチをより統制のとれたものにするための
基盤構築に貢献すべきことに留意した。
閣僚は、
「APEC 生命科学革新フォーラム」の「調和に関する国際会議のグローバル協力グループ」への
-7-
参加を歓迎した。
個別及び共同の行動計画
閣僚は、それぞれの「個別行動計画(IAPs)」に示された行動を通じてボゴール目標を達成するとのコ
ミットメントを再確認した。閣僚は、2004 年の IAPs を承認し、各メンバーによる貿易の自由化及び円
滑化の措置を歓迎した。
閣僚は、チリ、中国、ペルー、シンガポール、チャイニーズ・タイペイ、アメリカ合衆国に対する 2004
年 IAP ピア・レビューが成功裏に終了したことを歓迎した。閣僚は、ボゴール目標達成に向けた全体的
進捗に関する 2005 年の中間実績調査の準備作業を助けるために、2005 年第 1 回高級実務者会合(SOM I)
までに全 21 メンバーの IAP ピア・レビューを完了させるとのコミットメントを再確認した。
閣僚は、「共同行動計画(CAPs)」の実施における進展を歓迎し、高級実務者に対し、同計画が具体的
利益をビジネス界にもたらしボゴール目標を達成できるよう、同計画を引き続きレビューし漸進的に改
善するよう指示した。閣僚は、こうした行動が来年の中間実績調査の過程にも貢献することに留意した。
構造改革
閣僚は、構造改革は市場機能を改善し、APEC 地域における生活水準を高め同地域の経済の潜在的能力
を持続可能な形で実現することを認識し、APEC アジェンダ中の優先課題として構造改革を促進させる
ことの重要性を強調した。
閣僚は、
「構造改革行動計画」の実施をレビューすべしとの首脳の指示に応じて高級実務者により行われ
た作業を歓迎した。この点に関し、閣僚は、
「APEC 構造改革行動計画」の実施のための今後の措置を特
定することにより前向きなモメンタムを高めた、2004 年 9 月に東京で開催された「APEC 構造改革ハイ
レベル会合」の成功を賞賛した。
閣僚はまた、競争政策、企業統治及び債権回収制度に関するキャパシティ・ビルディングやビジネス・
アウトリーチ・プロジェクトといった「経済法制度整備(SELI)」の分野で達成された成果を歓迎した。
閣僚はまた、各メンバーにより自主的に提出された SELI の報告制度における進展を認識した。
閣僚は、2005 年及びそれ以降に APEC で構造改革を促進する上でのさらなる明確な指針として首脳が採
択するための、以下のあり得る優先分野に関する「構造改革実施のための首脳の課題(LAISR)」を承認
した:構造改革、経済的法的基盤の強化、競争政策、企業統治、公共部門管理。閣僚は、高級実務者に
対し、財務大臣と緊密に協議しつつ、APEC の構造改革に対処するための組織的仕組みを特定する作業
を継続するよう指示した。
腐敗防止と透明性
閣僚は、腐敗が APEC 域内そして世界中で良い統治及び経済制度の適切な発展に対する最も深刻な脅威
の一つであることを認識した。閣僚は、透明性確保を含む、腐敗を防止しそれと闘う APEC のコミット
メントと指導力が、特に経済発展、成長、繁栄において、完全な法執行と社会における共同価値の中核
的基盤を強化するために必要不可欠であることに合意した。
-8-
閣僚は、サンティアゴにおける第 3 回高級実務者会合(SOM III)の際に開催された「APEC 腐敗防止専
門家会合」の成功を賞賛した。閣僚は、首脳による承認を受けるべく、
「腐敗との闘いと透明性確保につ
いてのサンティアゴ・コミットメント」及び「APEC 腐敗との闘いと透明性確保に関する行動方針(COA)」
に関する勧告に合意した。
さらに閣僚は、COA に記載されている具体的行動を 2005 年より実施することに首脳が合意するよう勧
告した。これには、APEC メンバーが、
「国連腐敗防止条約(UNCAC)
」の批准、加盟及び実施に関する
それぞれの異なる立場に整合的な形であらゆる適切な手段をとること;腐敗を防止し闘い、透明性を確
保するための効果的な措置を強化すること;公に腐敗を犯した公務員及び個人、彼らを買収した者及び
その財産に安全な逃げ場を与えないこと;公的部門及び民間部門双方の腐敗と闘うこと;官民パートナ
ーシップを促進すること;APEC 域内で腐敗と闘うための協力を促進すること;及び「サンティアゴか
らソウルへ」の項目に含まれる具体的行動を各メンバーの法制度の基本原則に従って実施することが含
まれる。
閣僚は、2005 年にこれらのコミットメントを実施するための「専門家タスク・フォース」を設立すると
いう専門家の勧告を承認し、高級実務者に対し、2005 年の第 1 回高級実務者会合(SOMI)までに同タ
スク・フォースへの付託事項を策定するよう指示した。
閣僚はまた、特に研修、キャパシティ・ビルディング及び技術的専門知識の交換に関する援助国の調整
に関する、他の多角的及び地域的機関との効果的かつ成果指向型の連携及びパートナーシップのための
専門家による勧告を歓迎した。
経済・技術協力とキャパシティ・ビルディング
閣僚は、「経済・技術協力に関する 2004 年高級実務者報告書」を歓迎し、同報告書の勧告、特に各作業
部会が APEC の現行の作業プライオリティに対応し、ボゴール目標の達成に貢献することを確保するた
めに、これら作業部会が評価されるべしとの勧告を承認した。
閣僚は、質の高いプロジェクトの提案や APEC の資源の効率的な分配を助長する手段として、「経済・
技術協力(ECOTECH)測定マトリックス」に代わる新たな「活動の質を評価する枠組み」を承認した。
閣僚は、APEC の ECOTECH 活動の審査・監視・評価の強化は、国際金融機関(IFIs)、民間部門等か
らの外部資源を誘致することに資する潜在的可能性を有することを認識した。
閣僚は、APEC の作業プログラムの拡大がキャパシティ・ビルディングのための資源への需要を増大さ
せていることに留意した。したがって、閣僚は、実務者に対し、APEC の財政基盤を拡大するための方
法を検討するよう指示し、政府のみならず非政府部門からも財源を集めることができるように、「APEC
支援基金」の設立を承認した。
閣僚は、英語及び他の言語は、中小企業(SME)、零細企業、青年及び女性の活動にとって重要な手段
となっていることを認識した。閣僚は、言語能力を向上させるために ABAC 及び他の APEC のフォーラ
ムが今日までに達成した成果を歓迎し、この意思疎通手段の潜在的可能性を十分に実現し、デジタル化
された地域における企業家精神、相互理解及び機会の増加を促進することを目的とした個別の行動を強
化し発展させることに期待した。
-9-
閣僚は、高級実務者に対し、ECOTECH に関する高級実務者会合を通じ、関連する全ての APEC のフォ
ーラムの支援を受け、競争力を有する人的資源を創出することを目的とした「APEC 地域における英語
及び他の言語に関する戦略的行動計画」を設立するべく、「人材養成作業部会(HRDWG)」の「教育
ネットワーク」による作業を監督し、2005 年に進捗を報告するよう指示した。
閣僚は、国際金融機関(IFIs)、民間部門、及びその他関連の国際機関と APEC との関係を拡大するこ
との重要性を踏まえ、APEC 事務局と「世界銀行遠隔教育ネットワーク(GDLN)」との間の協力を歓迎
した。閣僚は、SME と教育の分野に重点を置いて 2005 年に韓国で開催される「第 2 回 ECOTECH に関
する APEC と国際金融機関(IFIs)とのラウンドテーブル」が具体的な成果を挙げることを期待し、財
務大臣会合のプロセスと継続して協調していくことを要請した。
閣僚は、ソーシャル・セーフティ・ネットと労働者の再訓練に関して、グローバル化によりもたらされ
る恩恵がより公平に配分されるよう、脆弱な人々に力を与えることを目的とした APEC におけるイニシ
アティブを賞賛した。この点に関し、閣僚は、本年それぞれタイと韓国及び中国と韓国で共催されたこ
れらの問題に関する 2 つの会合の結果を歓迎した。閣僚は、
「ソーシャル・セーフティ・ネット−キャパ
シティ・ビルディング・ネットワーク(SSN-CBN)」研究プロジェクトの結果が広く周知されるよう、
2005 年にシンポジウムを開催するとの韓国提案を歓迎した。
閣僚は、高級実務者に対し、「人材養成作業部会(HRDWG)」及び SSN-CBN を通じて、ソーシャル・
セーフティ・ネットや労働者の再訓練プログラムを強化する取組を増強するよう指示した。この点に関
し、閣僚は、
「電子的な英語教育メディアを通じた労働者の再訓練」というパイロット・プロジェクトを
開始することに留意した。
閣僚は、中小・零細企業の貧困緩和に関し、グローバル化の社会的側面に対処するためのキャパシティ・
ビルディング活動の重要性に留意した。
閣僚は、各メンバーが、科学、技術、技術革新による利益を最大限獲得することを確保するために、政
府、研究者、起業家、投資家の活動を相互に連携させることの重要性を科学技術担当大臣会合が強調し
たことを認識した。
閣僚は、2004 年 2 月に中国とタイの共催により北京で開催された「APEC 科学技術中間構造の開発に関
するワークショップ」で議論されたように、革新を促進するという知識基盤型社会の優先事項に関して
協力を推進するため、政策決定者と科学者を協働させることを目的としたさらなるイニシアティブを促
した。
より良い慣行を通じた利益の共有:人間の安全保障の向上
テロ対策と安全な貿易
閣僚は、テロが地域の人間の安全保障、安定及び成長に対する脅威であることを再確認し、2004 年の決
議 1566 を含む国連安保理によるテロ対策決議に留意し、国連憲章及び、特に、人道及び人権に関する法
- 10 -
律などの国際法の目的と原則にしたがって、あらゆる形態、姿のテロを防止する緊急の必要性があるこ
とを再確認した。
閣僚は、国境を越えたテロによる危険に効果的に対抗し、この脅威からの挑戦に共同で対応するための
キャパシティ・ビルディングや技術支援の努力を強化するとの、APEC が現在行っている作業を評価した。
閣僚は、ロシアやインドネシアにおける直近の野蛮な行為を含むすべてのテロ行為を、最も強い言葉で
非難し、これらの国民と政府に対して、哀悼の意を表した。
閣僚は、各 APEC メンバーによる、テロとの闘い及び貿易の流れの安全確保へのコミットメントを再確
認し、これらの努力は、貿易と投資の自由化や円滑化及び経済・技術協力といったAPECの中核的な
事業を補完すべきであることを再確認した。閣僚はまた、テロの経済的影響に関する関連する APEC フ
ォーラムの作業に留意しつつ、安全保障に関係する措置により生じる追加的なコストに関してビジネス
界の懸念が高まっていることに留意した。それゆえ、閣僚は、貿易に対する新たな障害を創出し不必要
なコストを産業界に課すことなく、貿易の安全を確保する必要があることを強調した。
閣僚は、大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散の危険を除去するための行動をとる作業を継続した。閣
僚は、これらの問題についてのコンセンサスを構築するための非公式協議の重要な貢献に留意した。閣
僚は、効果的な輸出管理制度の鍵となる要素を特定し、大量破壊兵器、その運搬システム及び関連品目
の不正取引を防止しつつ、合法的な最終使用者への物品の流れを円滑にするために、APEC において、
メンバーと民間部門を結束させる作業を継続することを約束した。閣僚は、携帯式地対空ミサイル
(MANPADS)の管理のための指針を確立し、メンバーは、テロリストが民間航空機を攻撃すべくそのよ
うな武器を入手し、使用することを防止するために、指針に整合的で、必要な場合には国連、国連機関
及び他の関連する国際機関で行われている努力と整合的な措置を開発するためにそれぞれ作業すること
を約束した。閣僚はまた、核関連活動の透明性を拡大するという共同のコミットメントを通じ、我々の
地域における不法な核活動を許容しないとの決意を勘案し、
全ての APEC メンバーが、2005 年末までに、
国際原子力機関の追加議定書を実施し、締結し、また締結することを目標としていることを認識した。
閣僚は、特に「船舶港湾施設国際保安コード(ISPS コード)」の実施のような、域内の安全で効率的な
貿易の促進を目的とした、2003 年の APEC 首脳による人間の安全保障へのコミットメントを実施する上
での「テロ対策タスク・フォース(CTTF)」によりなされた進展に留意した。CTTF で達成された合意を
承認し、閣僚は、:
・食品に隠されている危険または有毒物質を用いた攻撃を含むバイオテロ攻撃の可能性を防止し、より
よく対処するために、輸出入食品の管理につき APEC メンバー間で協力する必要性を認識した。
・「保健タスク・フォース(HTF)」を通じた努力を含め、地域の健康に対する脅威に各メンバーが対処
することを助けるために、公衆衛生制度を強化し公衆の意識を向上させることへのコミットメントの強
化を要請した。
・全ての APEC メンバーが、可能であればバイオメトリクス付きの機械読取式渡航文書の発行を 2008
年までに開始することを確保し、またできるだけ、非機械読取式渡航文書の機械読取式渡航文書への交
換、及び国際民間航空機関(ICAO)の渡航文書安全基準の実施を加速させるための協力を要請した。
・既存のビジネスの流動性イニシアティブの実施を継続することに合意し、域内における「事前旅客情
報システム(API)」及び出入国連絡官の協力に関するプログラムの実施への努力を歓迎した。閣僚は、
- 11 -
自動化された「地域出入国警戒リストシステム(RMAL)」の実現可能性に関する研究の完成を、重要な
テロ対策イニシアティブとして留意した。閣僚は、2005 年に RMAL を試験的に開始することに合意し、
法的問題に対処するために「税関アジア太平洋監視取締報告システム(CAPERS)」の強化版につき作業
することに合意した。
閣僚は「テロ対策タスク・フォース」のマンデートを 2006 年末まで延長するという高級実務者の決定を
歓迎した。閣僚は、フィリピンとチリが、次の2年間、それぞれ CTTF の議長と副議長を務めることを
歓迎した。
閣僚は、合法的な旅客及び貿易・投資の自由な流れを促進すると同時に、テロ活動に関わる汎用品や汎
用物質、及び人や資金の国境を越えた移動を管理するために必要なあらゆる手段を採るために現在行わ
れている作業を促進するための努力にコミットした。
閣僚は、全てのメンバーが、適切な場合において、APEC の慣行に従い、あらゆる形態の輸送に対する
脅威を制圧するための具体的で成果指向型の行動を策定すべく国際民間航空機関(ICAO)、国際海事機
関 (IMO)、世界税関機構(WCO)、テロ対策アクショングループ(CTAG)、国際労働機関(ILO)等の
共通の目標を持つ国際機関と進んで協力する意思を有することを再確認した。閣僚は、航空及び海上旅
客に対する十分な荷物検査の実施を行うための現行の技術及びキャパシティ・ビルディングの努力を歓
迎した。
閣僚は、今後 2 年間は異なる形態にまたがるサプライチェーンの安全確保のイニシアティブを実施する
ことに重点を置き、国際法と整合性を取りつつ、ISPS コードの実施を重視した海上・航空に関する安全
措置の実施を継続し、また、多角的機関で行われているものを含む、MANPADS や民間航空機に対する
他の潜在的脅威へのアクセスを管理する国際的な努力を支援する作業に重点を置くという運輸担当大臣
の合意に留意した。
閣僚は、マネー・ローンダリング及びテロリストへの資金提供を防止するために認められた国際基準の
遵守の強化、及び金融諜報部門や税関同士での金融に関する情報交換を通じたより緊密な協力関係の醸
成によって、テロと闘うための行動を支援するという財務大臣の声明を歓迎した。閣僚は、当面の問題
として、
「金融活動タスク・フォース」に対し、適当な場合に、その参加者の拡大について進展を図るよ
う要請した。
閣僚は、
「アジア開発銀行による地域的貿易及び金融安定化イニシアティブ協力基金(FRTFSI)」の設立
の結果、地域的なテロ対策のキャパシティ・ビルディング・イニシアティブを策定し実施する APEC 地域
の能力が向上することに期待した。
閣僚は、2004 年 3 月にチリで開催された「第 2 回 APEC 地域における安全な貿易(STAR)に関する会
合」の成果を歓迎し、2005 年 3 月に韓国で開催される「第 3 回 STAR 会合」に期待した。閣僚は、この
現在行われている APEC のイニシアティブを通じて各メンバーが民間部門の代表と共に達成できる、キ
ャパシティ・ビルディングとベストプラクティスの共有作業を評価した。
閣僚は、経験とグッドプラクティスの交換を通じて、電気通信の安全の分野に関する「サイバーセキュ
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リティとサイバー犯罪に関する電気通信・情報作業部会(TEL)」による作業に留意した。閣僚は、
「サイ
バー犯罪に関する条約(2001)
」や関連する国連総会決議を含む国際法の文書の規定に整合的な国内立法
を行い、それぞれのメンバーの「コンピューター緊急対応チーム(CERTs)」、法執行機関、公共部門及
び民間部門の間の連携を強化し、ネットワーク・セキュリティに関して中小企業を訓練し、法の執行に
関するキャパシティ・ビルディングを強化することにより、各メンバーがサイバー犯罪と戦う能力を強
化することに合意した。
健康に関する安全保障
閣僚は、2003 年の重症急性呼吸器症候群(SARS)や 2004 年の鳥インフルエンザのような伝染病の突
発が地域の人々及び経済に深刻な影響を与えることを認識した。閣僚は、公衆衛生に対する脅威が経済
に与える影響を探知し、対応し、及び緩和するために、引き続き警戒し備えておくことを奨励した。
閣僚は、流行性インフルエンザへの備え・計画を増強するための「保健タスク・フォース(HTF)」の努
力、及び「地域的新興感染症対処センター」で行われまたは計画されている活動を歓迎した。閣僚は、
HTF に対し、鳥インフルエンザに対処するために、他の関連する APEC のフォーラムとの分野横断的協
力を増強するよう奨励した。閣僚は、地域における健康への脅威に善処するために情報技術を活用する
重要性を強調し、このため、HTF による「e-ヘルスイニシアティブ」のプロジェクトを歓迎した。閣僚
は、HTF 及び他の関連するフォーラムを通じて、他の国際的フォーラムで実施されている作業と重複す
ることなく補完することを確保しつつ、彼らの作業計画に保健安全保障の分野での適切な行動を含める
よう、高級実務者に対し指示した。
閣僚は、HIV/AIDs が APEC 地域に引き続き及ぼす経済的・社会的影響について懸念をもって留意し、
HIV/AIDs を予防し、AIDs を抱えつつ生きている人々が安全で入手可能な価格の医薬品及び治療へアクセ
スできることを促進するために、地域内でのさらなる協力を奨励することを目的として、首脳の承認を
受けるための「APEC の HIV/AIDs と闘うためのイニシアティブ」を承認した。
閣僚は、2004 年 7 月にバンコクで開催された「第 15 回国際エイズ会議」の結果を歓迎した。閣僚は、
地域における HIV/AIDs の蔓延に対処するための行動を共同で支持するために、APEC メンバーが APEC
の慣習に沿って、国連エイズ、世界保健機構、
「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」などの関連する
国際機関と協働することの必要性を強調した。閣僚は、この問題におけるタイや他のメンバーの主導的
役割に感謝した。閣僚は、2006 年 8 月にカナダで開催される次回の「国際エイズ会議」への APEC メン
バーの積極的な参加に期待した。
閣僚はまた、世界保健機構及びユニセフが主導する「世界ポリオ撲滅イニシアティブ」を通じて 2005 年
までにポリオを撲滅させるとの国際的努力に留意した。閣僚は、全てのメンバーがこの努力が直面して
いる財政面での不足を埋め合わせる努力を行う重要性を強調した。
エネルギー安全保障
閣僚は、最近の石油価格の高騰が APEC メンバーに及ぼす影響に留意し、十分で、信頼でき、高価過ぎ
ないエネルギーへのアクセスが、地域の経済、社会、環境上の目的を達成するための基本となることを
強調した。
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閣僚は、
「APEC エネルギー安全保障イニシアティブ」の成果を認識し、石油市場の安定に資するために
十分な供給を行うとの要請、また、エネルギーの供給中断への備え、エネルギー投資促進、より効率的
なエネルギー利用、エネルギーの選択の多様化、技術革新への投資によって、エネルギー安全保障を向
上させるための努力の要請を含む、本年 6 月の APEC エネルギー大臣会合の結果を支持した。閣僚はま
た、
エネルギー大臣と貿易担当大臣の緊密な協力を要請した 6 月の貿易担当大臣会合の結果に留意した。
この点に関し、閣僚は、高級実務者に対し、石油価格の高騰が地域の貿易及び経済活動に与える影響に
ついて調査するため、エネルギー作業部会と協働するよう指示した。
さらに、閣僚は、データの透明性、エネルギー緊急事態対応、エネルギー投資、エネルギー効率性、再
生可能・代替エネルギーの開発の改善及び持続可能な開発及び貧困削減のためのエネルギー促進を目的
とした「APEC エネルギー安全保障イニシアティブを強化する必要性を認識した包括的行動イニシアテ
ィブ−エネルギー安全保障、持続可能な開発、共通の繁栄(CAIRNS イニシアティブ)
」を承認した。
侵食的外来種(IAS)
閣僚は、浸食的外来種(IAS)が引き起こす問題に対処する困難とコストに留意した。閣僚は、APEC が、
国際基準に基づく科学的基準を用いて、アジア・太平洋地域の侵食的有害種を探知し、監視し、管理す
るための協力とキャパシティ・ビルディングの機会を特定すべきであることに合意した。閣僚はまた、
侵食的海洋有害種が地域の成長と持続可能性に与える危険につき共通の認識と理解を持つことが、その
蔓延を回避するのを助けるための調整された地域の行動と共に、緊急に必要であることに合意した。閣
僚は、海洋資源保全作業部会による「持ち込まれた侵食的海洋有害種に関する管理及び防止のための地
域的管理枠組み」の開発の促進を歓迎した。閣僚は、侵食的外来種の問題が分野横断的であることに留
意し、したがって、高級実務者に対し、どのようにすれば APEC がこの問題について最も良く貢献でき
るのかを評価し、その結果を 2005 年に報告をするために関連する APEC のフォーラムが協働するよう
指示するよう要請した。このため、閣僚は、2004 年 9 月にチャイニーズ・タイペイで開催された「スク
ミリンゴガイの繁殖を防ぐための APEC シンポジウム」及び 2004 年 5 月にチリで開催された「持ち込
まれた海洋有害種に関する APEC ワークショップ」を歓迎した。
成長と安定:APEC 統合の鍵
閣僚は、APEC 財務大臣会合の結果を歓迎し、特に、長期的な成長及びマクロ経済の安定に貢献するた
めの規律ある、持続可能な財政政策の重要性;持続可能で、裾野の広い、公平な地域の成長を導く政策
及び制度の必要性;金融統合が成長と経済発展にできる貢献に関し、その結論を支持した。しかしなが
ら、閣僚はまた、健全な経済政策、強力な制度、適切に順序付けられた自由化の重要性の増大の中で、
より自由な資本の流れは、特に新興エコノミーにおいて脆弱性を高め得ることを認識した。
マクロ経済的問題
閣僚は、
「2004 年経済委員会レポート」、
「2004 年 APEC エコノミック・アウトルック」、
「APEC におけ
る革新と人的資源の潜在能力の実現」と題された知的基盤型経済(KBE)/ニュー・エコノミーのプロジ
ェクト、
「貿易円滑化と貿易自由化:上海からボゴールへ」と題された貿易・投資の自由化及び円滑化の
プロジェクトの報告書を承認した。
閣僚は、
「2004 年 APEC エコノミック・アウトルック」
、特にその自由貿易協定/地域貿易協定に関する
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構造的な章を歓迎した。閣僚は、ボゴール目標を達成し、WTO プロセスを進展させる触媒としてのアジ
ア太平洋地域における自由貿易協定と地域貿易協定の問題についての理解に一層貢献するよう、経済委
員会に指示した。閣僚はまた、それら要素が新しい世界経済の成長の二つの鍵となる推進力であること
を認識しつつ、
「APEC における革新と人的資源の潜在能力の実現」
に関するイニシアティブを歓迎した。
閣僚は、上海アコードを実施するための方法論を提供することを試みた「貿易円滑化と貿易自由化:上
海からボゴールへ」と題された貿易・投資の自由化及び円滑化のプロジェクトの重要性を認識した。さ
らに閣僚は、経済委員会に対し、ボゴール目標の達成に資する貿易・投資の自由化及び円滑化並びに知
識基盤型経済(KBE)/ニュー・エコノミーの研究に引き続き取り組むよう指示した。
テロの問題の重要性及び経済の繁栄へのその直接的な影響に鑑み、閣僚は、
「2005 年 APEC エコノミッ
ク・アウトルック」の構造的テーマが、
「APEC 地域におけるテロ対策の経済的インパクト」であること
に留意し、この主題に関する研究プロジェクトを実施する経済委員会の努力を歓迎した。
閣僚は、構造改革から生じる経済的利益を増大させるための分析の土台を提供する経済委員会の努力を
賞賛した。閣僚は、その分析的機能を維持しつつ、経済委員会の議題を、他の APEC フォーラムや財務
大臣会合プロセスと協議して、より政策及び行動指向的にする必要があることに合意した。
来るべき課題に求められる能力
閣僚は、
「来るべき課題に求められる能力」をテーマとした「第 3 回 APEC 教育大臣会合(AEMM)」の
結果を歓迎した。閣僚は、英語及び他の外国語の学習を学校教育レベルのみならず、労働者や小規模起
業家について改善し、また教授と学習のための技術の活用を改善することを同会合が強調したことを評
価した。閣僚はまた、第 3 回 APEC 教育大臣会合の準備のために 2004 年 1 月に北京において研究者や
政策決定者のサミットを開催したことについて「教育ネットワーク(EDNET)」を賞賛した。
閣僚は、「APEC 教育基金(AEF)」が中小・零細企業向けのサイバー教育及び情報通信技術関連キャパ
シティ・ビルディングを強化するイニシアティブを取ってきたことに謝意を表明した。閣僚はまた、APEC
域内の教育と人材養成分野の協力を強化する有効な原動力としての同基金の可能性を認識し、各メンバ
ー、ビジネス、学界その他の利害関係者が AEF との連携と協力を強化するよう奨励した。
閣僚は、
「APEC 域内に持続可能な成長をもたらす科学、技術、技術革新の能力向上」をテーマとした「第
4 回科学技術大臣会合」の結果を支持した。閣僚は、
(「人材養成作業部会(HRDWG)」との連携で)科
学技術人材養成、研究と技術革新の連携、国際的な科学技術ネットワーク、技術の協力に関する一連の
重要な活動を進めるために「産業科学技術作業部会」に与えられたマンデートを歓迎した。
閣僚は、科学技術協力促進の重要性を認識し、APEC メンバーの長期的な成長を確保し、重要な持続可
能性の問題に取り組む世界的な努力を支持するために、数学、科学、技術に関する教育と訓練の改善が
非常に重要であることに留意した。
閣僚は、21 世紀に必要な新たな能力を備えさせるための HRDWG の作業を歓迎した。これらの努力は、
カリキュラムの向上、教授法、質の高い基礎教育のための政策及び透明なガバナンスの方法、生涯学習、
労働力の質を向上させるための訓練及び再訓練機会の促進を含む。
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閣僚は、ABAC によって提案された、学術的・教育的交流の促進、共通の基準の策定、資源の共有、ベ
ストプラクティスの特定のために、地域の高等教育訓練機関相互の協力の構築を目的とする「APEC ビ
ジネス・スクール・ネットワーク(ABSN)」構想を歓迎した。閣僚は、メンバーが ABSN の一部となる
ビジネス・スクールを指名することを奨励した。
起業家の成長のための機会
中小企業
閣僚は、中小及び零細企業が APEC メンバーの事業革新、富そして雇用の原動力であることを強調し、
APEC 及び WTO 原則に整合的な政策を通じて、企業の創立と成長を奨励する健全なビジネス環境を確立
することをメンバーに促した。
閣僚は、起業慣行のベストプラクティスを特定し、これらの実施の必要性をより強調した第 11 回中小企
業大臣会合において採択された「起業家精神促進のためのサンティアゴ・アジェンダ」を歓迎した。
閣僚は、中小企業の問題は分野横断的なものであることを考慮し、他の関連するフォーラムとの対話が
開催されたこと及び中小企業との対話を改善することを目的としたイベントを主催するとのメンバーの
イニシアティブを歓迎した。閣僚は、中小企業作業部会に対し、中小企業の成長と競争力を促進し、
「APEC
中小企業協調フレームワーク」を更に推進するために、APEC の作業を調整する役割を改善し続けるこ
とを奨励した。
閣僚は、
「中小企業作業部会」の下の「零細企業サブ・グループ」の必要不可欠な課題としての「零細企
業育成のための行動計画」の促進を通じて、零細企業のビジネス環境を発展させる地域的支援の向上及
び APEC 域内の零細企業の役割を強化するとの中小企業大臣のコミットメントを歓迎した。同様に、閣
僚は、マイクロファイナンス等の特に零細企業にとって利益となる共同イニシアティブを推進するため
に、ECOTECH に関する高級実務者会合と協調して、地域の国際金融機関(IFIs)との開かれた対話を行
うよう奨励した。
ジェンダー
閣僚は、APEC は、域内の女性による企業を対象としたビジネス開発や輸出支援サービスを含む、女性
が所有もしくは経営している中小零細企業の発展を促進するための政策を形成し、実施する必要がある
ことに留意した。
閣僚は、技術的及びデジタル能力を開発するとともに、全てのレベルにおいて女性によるビジネス開発
を強化するための女性専用のプログラムの必要性を認識し、
「APEC デジタル・エコノミーへの女性の参
加イニシアティブ」を支援するとの勧告を歓迎した。
閣僚は、
「APEC における女性統合の枠組み」の実施のための「ジェンダー・フォーカル・ポイント・ネ
ットワーク」が果たす重要な役割に留意した。閣僚は、APEC 域内の貿易への女性の参加を強化するこ
とを目的とした APEC フォーラム間の研究、調査、共同プロジェクトを通じて、APEC 域内におけるジ
ェンダーの統合を強化し、促進する必要性を認識した。閣僚は、APEC プロセスへの「女性指導者ネッ
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トワーク(WLN)」の継続的な参加を歓迎し、各メンバー間の調整メカニズムの枠内でのジェンダー諮問
グループの設立を含め、APEC 内の女性及びジェンダーに関する問題の進展に対する同ネットワークの
コミットメントを賞賛した。
閣僚は、APEC の貿易自由化及び円滑化の課題がどのようにジェンダーへの配慮を包含することができ
るかについて特定した貿易投資委員会(CTI)の「潜在的な女性輸出者への支援」プロジェクトの価値あ
る貢献を賞賛した。閣僚は、貿易を増加させ、男女間の平等を進展させる貿易投資委員会(CTI)や他の
APEC フォーラムによるフォローアップ活動に期待した。閣僚は、高級実務者に対し、2005 年の貿易担
当大臣会合までにプロジェクトの勧告に対するフォローアップに関して報告を行うことを要請した。
青年
閣僚は、2004 年 8 月にチャイニーズ・タイペイで開催された「2004 年 APEC 国際青年キャンプ」を歓
迎した。閣僚は、革新的で起業家的な社会に向けての作業に関する参加者のコミットメントを認識した。
閣僚はまた、特別な教育を通じて青年の起業家精神を育成することの必要性と、青年が所有し、経営す
るビジネスの開業と業務執行を促進するプログラムの創設を認識した。
閣僚は、域内の相互理解と協力を構築するために更なる APEC の青年に関する活動を奨励した。閣僚は、
「2005 年の国際青年キャンプ」を開催するとの韓国の提案を歓迎した。
持続可能な成長へのコミットメント
持続可能な開発
閣僚は、持続可能な開発に関する APEC の課題を再活性化する必要性を認識し、この問題に関してさま
ざまな APEC のフォーラムで行われた作業を歓迎した。閣僚は、このようなイニシアティブが最も幅広
い視点から経済、環境及び社会問題の関係について光を投げかけ、APEC 域内において持続可能な開発
がどのような意味を有するかについてのよりよい理解に貢献してきたことを認識した。
閣僚は、このテーマが分野横断的であることを強調し、
「第 1 回 APEC 鉱業担当大臣会合」、
「中小企業大
臣会合」
、「第 3 回 APEC 観光大臣会合」及び「第 4 回APEC地域科学技術協力大臣会合」において本
年得られた作業を歓迎した。閣僚は、他の国際的フォーラムとの更なる協力の必要性を含む持続可能な
開発に関する勧告を歓迎し、ECOTECH に関する高級実務者会合に対し、この分野における今後の作業
を調整し、発展させることを考慮に入れるよう指示した。閣僚は、
「2005-2006 年 APEC 持続可能な開発
に関するハイレベル会合」の準備に加えて、高級実務者会合によって実施される持続可能な開発につい
ての研究の結果に期待した。
「貿易自由化措置の環境に与える影響分析に関する APEC ワークショップ」の結果及び今年行われた他
の活動に留意しつつ、閣僚は、貿易自由化措置の影響に対する理解を増大させ、不確実性を減少させる
ことによる貿易自由化に対する公衆の支持を強化する手段として、環境への影響に関する分析の有用性
を強調した。
農業バイオテクノロジー
閣僚は、
「農業バイオテクノロジーに関するハイレベル政策対話 2004-2006 作業計画」を歓迎し、農業生
- 17 -
産性の向上、食糧安全保障の改善、環境資源の保護を通じて農業バイオテクノロジーがもたらす利益を
実現する重要性を認識した。
閣僚は、政策及び情報の交換、知的財産権及び技術移転、経済的・人的資源の投資、農業バイオテクノ
ロジー公共政策の発展についての議論を進展させるため、政策対話を継続するよう、高級実務者に指示
した。この点に関して、閣僚は、2005 年に韓国で第 1 回高級実務者会合が開催される際に「第 4 回農業
バイオテクノロジーに関する APEC ハイレベル政策対話」が開かれることを歓迎した。
我々の多様性の経験
閣僚は、
「APEC 地域における観光に関するパタゴニア宣言」を歓迎し、観光憲章設定以来この 4 年間に
達成した成果に留意した。
閣僚は、地域の繁栄のための観光の重要性を強調した。観光は、多くの中小零細企業を通じて重要な雇
用主となっていることに加え、天然資源に関する相互理解と尊重を促進する上で重要な手段でもある。
閣僚は、観光憲章の各政策目標に関する作業が、文化的、環境的、経済的持続可能性を強化することの
重要性に基づくものであることを認識した。閣僚は、これらの問題に取り組んでいくためには、メンバ
ーが他の APEC フォーラムや民間部門との連携を継続していかなければならないことを認識した。
閣僚は、文化的多様性のような観光を超えた分野においてメンバー間の多様性を経験する機会を拡大す
る方策を引き続き探求するよう高級実務者に指示した。
サンティアゴから釜山へ:懸案事項
APEC 改革
閣僚は、高級実務者によって決定された直ちに実施すべき改革に関するパッケージを歓迎した。閣僚は、
APEC の作業が閣僚や首脳の指示に直接対応することを確保し、会合の準備やその他のプロセスを合理
化し、フォーラム間の調整を改善し、ビジネス界及び労働者の代表を含む他の利害関係者との対話を改
善することを通じて、これらの改革が APEC をより焦点を絞った政策指向的なものにすることに貢献す
ることに留意した。
閣僚はまた、高級実務者の指導の下で、各フォーラムが各々のプロセスを自己評価し、改革する努力を
行ったことを歓迎した。閣僚は、改革は、APEC がめまぐるしく変化する環境とすべての APEC 利害関
係者のニーズに対応するための説明責任と柔軟性を持つことを確保するための継続的プロセスであるべ
きことを高級実務者に指示した。この点に関し、閣僚は、2004 年に特定された追加的課題について来年
作業を更に進めること及び組織改革の可能性のある新しい分野を探求することに関する高級実務者によ
る合意を歓迎した。
閣僚は、APEC 運営に関係する当面及び新興の財源問題に対処するための高級実務者の決定を歓迎した。
閣僚は、高級実務者に対し、APEC とその事務局のための持続可能な財政戦略を策定することに高い優
先度を与えるよう指示した。この戦略は、首脳、閣僚、高級実務者の年間の指示、プロジェクトの査定、
監視、評価の効率性に関する改善、事務局による節約及び管理運営に関する効率性の改善、新たなもし
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くは追加的な財源の可能性、メンバーからの可能な拠出のレベルの分析を考慮に入れるべきである。
中間実績調査
閣僚は、ボゴール目標に向けた全体の進展に関する中間実績調査に関する準備作業について高級実務者
を賞賛し、作業計画に関する勧告を承認した。閣僚は、「2005 年のAPEC貿易担当大臣会合」に予備
的な成果報告を提出し、閣僚が最終結果を首脳に報告できるように、中間実績調査の最終結果を第 17 回
APEC 閣僚会議に提出するよう、高級実務者に指示した。閣僚は、その結果は、メンバーの評価、個別
行動計画ピア・レビューのプロセス、フォーラム及び ABAC、APEC 研究センター・コンソーシアム、PECC
等の利害関係者からのインプットを基に、ボゴール目標に向けた APEC の前進に対する評価から成るべ
きものであり、ボゴール目標の達成のためにとる必要のある将来の活動に関する高級実務者の政策勧告
が含まれるべきことを強調した。
高級実務者会合の報告の承認
閣僚は、特に 2005 年の APEC の予算案及びメンバーの拠出に対する評価に関する決定事項を含む高級
実務者会合の報告を承認した。
APEC 事務局
閣僚は、APEC 事務局長の報告に満足をもって留意し、1 年を通した事務局の活動を賞賛した。
APEC2005
閣僚は、
韓国が 2005 年の第 17 回閣僚会議及び第 13 回首脳会議の準備状況に関する報告を行ったこと、
またベトナムがAPEC2006 年の準備につき発表を行ったことに感謝した。
将来の会合
閣僚は、将来の APEC 閣僚会議が 2006 年にベトナムで、2007 年にオーストラリアで、2008 年にペル
ーで、そして 2009 年にシンガポールで開催されることに留意した。
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