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Bridge Report UTホールディングス(2146)
ブリッジレポート(2146) 2012 年 8 月 27 日
Bridge Report
若山 陽一 社長
http://www.bridge-salon.jp/
UTホールディングス(2146)
会社名
UTホールディングス株式会社
証券コード
2146
市場
JASDAQ
業種
サービス業
社長
若山 陽一
所在地
東京都品川区東五反田 1-11-15 電波ビル
事業内容
半導体向けの製造派遣・請負が中核。専門ノウハウを活かした LED・太陽電
池・2 次電池・ディスプレイを新たな成長の柱に。設計開発事業も手掛ける。
決算月
3月
HP
http://www.ut-h.co.jp/
- 株式情報 -
株価
発行済株式数(自己株式を控除)
47,000 円
DPS(予)
212,545 株
配当利回り(予)
2,600.00 円
5.5%
EPS(予)
時価総額
ROE(実)
9,990 百万円
PER(予)
6,869.13 円
売買単位
30.9%
BPS(実)
6.8 倍
1株
PBR(実)
14,668.88 円
3.2 倍
*株価は 8/24 終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPS は前期末実績。
- 連結業績推移 -
決算期
(単位:百万円、円)
売上高
営業利益
経常利益
当期純利益
EPS
配当
2009 年 3 月(実)
40,694
1,793
603
-10,861
-
0.00
2010 年 3 月(実)
18,056
290
182
-1,401
-
2,300.00
2011 年 3 月(実)
20,227
1,442
1,309
766
3,605.81
2,400.00
2012 年 3 月(実)
24,106
1,453
1,379
880
4,259.78
2,500.00
2013 年 3 月(予)
30,000
2,500
2,420
1,460
6,869.13
2,600.00
*予想は会社予想。
UTホールディングスの 2013 年 3 月期第 1 四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
1.会社概要
2.2013 年 3 月期第 1 四半期決算
3.2013 年 3 月期業績予想
4.今後の注目点
1
ブリッジレポート(2146) 2012 年 8 月 27 日
http://www.bridge-salon.jp/
今回のポイント
・13/3 期 1Q(4-6 月)は前年同期比 25.3%の増収、同 23.1%の経常減益。2012 年問題(後述)を契機とした派遣から
請負への切替ニーズの取り込みが進み、取引先顧客工場数と稼働社員数が急増。現場の管理費用や採用関連費用
が増加し営業利益が同 20.3%減少した。
・2Q(7-9 月)はオペレーションが軌道化し 7,000 名強の社員がフル稼働。一方、1Q に急増した管理費用や採用関連費
用が通常のペースに落ち着くため、7.5 億円~8 億円の営業利益を確保できる見込み。このため、売上高 140 億円(前
年同期比 19.6%増)、営業利益 10 億円(同 33.2%増)を見込む上期予想の達成に不安はないようだ。
・通期予想は売上高 300 億円(前期比 24.5%増)、営業利益 25 億円(同 72.0%増)。約 7,000 名の稼働数から得られ
る収益でほぼ達成できる見込み。配当は 1 株当たり 100 円増配の期末 2,600 円を予定。
1.会社概要
構内作業(工場内作業)の請負や製造派遣を手掛ける製造アウトソーシングサービス大手。半導体向けサービスからスタ
ートし、液晶・太陽電池・二次電池等へ展開。世界的なコスト競争にさらされている自動車関連や工業化が進む住宅関連
でも顧客開拓が進んでいる。同社自身は純粋持株会社としてグループを統括し、実際のサービスは連結子会社6社が提
供。デバイス設計(デザイン)等を手掛ける。
UT グループ
UTホールディングス(株)
UT エイム(株)
東京都品川区
製造アウトソーシング(請負・派遣)
UT リーディング(株)
宮城県仙台市
ソフトウェアの受託開発、機械・電気・電子の設計開発
UT アイコム(株)
大阪市東淀川区
製造アウトソーシング(請負・派遣)
UT コンストラクション・ネットワーク(株)
東京都港区
建設技術者派遣、建設設計・施工請負
UT キャリア(株)
東京都品川区
アウトプレースメント
UT エージェント(株)
沖縄県那覇市
流通・小売・コールセンター向け人材派遣・人材紹介
UT ハートフル(株)
東京都品川区
特例子会社
【事業内容】
事業は、構内作業(工場内作業)の請負及び製造派遣のアウトソーシング事業と、ソフトウェアの受託開発及び機械・電
気・電子の設計開発にかかる技術者派遣の設計開発事業に分かれ、売上構成比は、それぞれ 96.7%、3.3%(12/3 期)。
尚、請負では各工程の製造オペレーションから装置メンテナンスや保全業務までを一括して受託。コスト削減だけで無く、
構内作業全体のパフォーマンスも高めるため、取引先から高い評価を受けている。パナソニックグループ、ソニーグループ、
ロームグループ、東芝グループ等を主要顧客とするが、太陽電池、2 次電池、LED、更には自動車関連や住宅関連等での
顧客開拓も進んでいる。
【事業環境と同社の強み】
一段のコストダウンニーズの高まりや 2012 年問題の顕在化を受けて、国内のモノづくりの現場で「請負化」の流れが加速
している。また、注目された労働者派遣法の改正も、「製造派遣の 3 年間の期間制限」が残ったものの、製造派遣の禁止や
登録型派遣の禁止が削除され、12 年 3 月に成立した(同年 10 月施行)。逆に同法において「専ら派遣」の規制(グループ
企業内派遣の 8 割規制)が強化された事は同社にとってビジネスチャンスになる。加えて、政府・与党が今国会中の成立を
目指している改正労働契約法も、パートや契約社員など期間を定めて働く「有期雇用労働者」の契約期間が通算で 5 年を
超える場合、労働者が希望すれば無期雇用に切り替える事を義務付けるものだけに、成立すれば同社が得意とする請負
への流れを加速させよう。
こうした中、同社は、①安定した労働力(離職率 2%/月。同業大手は 4~8%/月)や②顧客ニーズに柔軟に対応できる動
員力に加え、③最も難しい半導体分野での請負実績、及び④整備されたコンプライアンス体制を強みとして、外部労働力
の活用ニーズの取り込みに成功している。
2
ブリッジレポート(2146) 2012 年 8 月 27 日
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【ビジネスモデルの 4 つの特徴】
同社グループのビジネスモデルには、専門特化、常用雇用、チームアプローチ(請負)、及び受注先行の採用モデル、とい
う 4 つの特長がある。半導体等の高度な分野に専門特化する事で高度な技術とノウハウの蓄積を図ると共に、常用雇用
による安定した雇用環境を提供する事で社員の定着率を高め高品質なサービスを実現している。また、人材派遣ニーズに
も対応しつつ、チームとして組織された専門技能者・技術者による請負を主体とする事で高い生産性を実現し顧客満足度
を高めている。一方、常用雇用とする事で同社は固定費負担のリスクを負うが、受注が確定してから採用活動を実施する
事で稼働率 100%を恒常化しリスクを回避している。
ビジネスモデルの 4 つの特徴
専門技能の育成
専門技能の育成のため、半導体・電機・自動車・成長分野等の習熟が必要な分野に特化
図:半導体→専門技能、LED→半導体、太陽電池→電機、2次電池→自動車、ディスプレイ→成長分野
常用雇用
業界初の常用雇用を実現し、安定した雇用環境の実現、長期インセンティブの拡充に注力
⇒ 製造請負・派遣業界の中で最も低い離職率 “月間離職率:2%”
チームアプローチ(請負)
個々別々に人員を派遣する形態ではなく、チームとして組織された専門技能者・技術者による請負が主体
受注先行の採用モデル
採用をしてから配属先を探すのではなく、受注が確定してから採用活動を実施。
⇒ 製造請負・派遣業界の中で最も高い請負実績 “1 工場当り人数:50 人”
⇒ 稼働率 100%を恒常化
【新中期経営計画(12/3 期~16/3 期)】
「半導体請負 No.1」から、質・量ともに「日本一の請負会社」を目指す新中期経営計画(~16/3 期)が進行中である。 ①地
方における良質な雇用機会の創出、②派遣・請負で働く人達のキャリアアップ機会の創出、及び③製造業の横断的な雇用
調整機能の 3 点を自社の社会的役割と認識し、この役割を果たすべく事業に取り組む事で、最終の 16/3 期に稼働人員
20,000 名体制(=取引先工場 300 工場×1 工場当たり稼働人員 70 名)を確立し、売上高 750 億円、営業利益 90 億円、当
期純利益 49.1 億円を達成したい考え。また、EPS 成長率 30%以上(5 ヵ年の平均)及び配当性向 30%以上をコミットメント
している。
【業績推移】
売上高・営業利益(百万円)
60,000
4,500
売上高
営業利益
50,000
40,000
4,000
3,500
3,000
2,500
30,000
2,000
20,000
1,500
1,000
10,000
500
0
0
08/3
09/3
10/3
11/3
12/3
13/3 予
半導体製造装置事業の苦戦で 10/3 期にかけて業績が悪化した。このため、10/3 期に同事業を売却しアウトソーシング事
業中心の事業構造へ転換。11/3 期は業績が V 字回復した。12/3 期は自動車部品や建材等、非エレクトロニクス分野で顧
客開拓が進んだものの、これら特命顧客向けサービスにかかる先行投資が負担となる中、半導体関連顧客の生産調整が
響いた。続く 13/3 期は自動車部品や建材等、新規分野の業績寄与に加え、2012 年問題にかかる需要の取り込みで成長
軌道に回帰する。
3
ブリッジレポート(2146) 2012 年 8 月 27 日
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2.2013 年 3 月期第 1 四半期決算
(1)第 1 四半期(4-6 月)連結業績
(単位:百万円)
12/3 期 1Q(4-6 月)
売上高
5,679
売上総利益
構成比
13/3 期 1Q(4-6 月)
100.0%
7,116
構成比
前年同期比
100.0%
期初計画
計画比
+25.3%
7,000
+1.7%
1,031
18.2%
1,108
15.6%
+7.5%
1,225
-9.5%
販管費
685
12.1%
833
11.7%
+21.6%
925
-9.9%
営業利益
345
6.1%
275
3.9%
-20.3%
300
-8.1%
経常利益
336
5.9%
258
3.6%
-23.2%
288
-10.1%
四半期純利益
163
2.9%
170
2.4%
+4.3%
177
-3.5%
※数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。
前年同期比 25.3%の増収、同 23.2%の経常減益
売上高は前年同期比 25.3%増の 71.1 億円。2012 年問題を契機とした派遣から請負への切替ニーズの取り込みが進み、
顧客工場数が前期末の 237 工場から 361 工場に増加し(中期経営計画の目標数 300 工場を超過)、つれて社員の稼動数
も 6,082 名から 7,003 名に増加した。尚、前年同期(11 年 6 月末)の顧客工場数は 207 工場、社員稼動数 5,414 名。
ただ、顧客工場数の増加で現場の管理・監督等にかかる費用が急増し売上総利益率が一時的に悪化。採用関連費用を
中心に販管費も増加し、営業利益は 2.7 億円と同 20.3%減少した。一方、四半期純利益が増加したのは、特別損失の減少
(前年同期は災害による損失 30 百万円等を計上)及び税負担の減少による。
(注)2012 年問題
生産がリーマンショック後の落ち込みから急回復した 2009 年以降、生産現場では派遣労働者の活用が再開したが、この
労働者派遣契約が 3 年後の 2012 年に抵触日を迎える。抵触日を超えて派遣労働者や期間工を雇用する事は法律により
禁じられているため、メーカー各社は派遣労働者や期間工を「自社雇用」するか「請負」に切り替えるかの選択を迫られる。
労働者派遣契約は年度初めの 4 月や年度の折り返しの 10 月に集中する傾向があり、同社は 4 月からの請負への切替ニ
ーズの取り込みに成功した。また、生産の回復で人材需要が増加しているトヨタグループを中心とした自動車関連や復興
需要を追い風とする建材メーカーの需要の取り込みにも成功しており、この第 1 四半期は、従来からの主要取引先である
半導体関連の売上構成比が 47.5%にとどまる一方、自動車関連が 10%を超え、建材も 6%弱を占めるに至った。
業種別売上構成比の推移
10 年 3 月末
半導体
11 年 3 月末
12 年 3 月末
13 年 6 月末
80.1%
67.9%
49.6%
47.5%
電子部品
9.2%
13.2%
16.0%
16.3%
成長分野(太陽電池、2 次電池、LED、ディスプレイ)
6.8%
13.5%
14.6%
13.9%
自動車関連
-
-
-
10.3%
建材
-
-
-
5.6%
3.9%
5.4%
19.8%
6.4%
その他
売上高・営業利益・稼働数・取引先個客数の推移
11/3 期
売上高
12/3 期
13/3 期
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
前四半期比
前年同期比
4,550
4,933
4,937
5,052
5,496
5,885
5,989
5,931
7,116
+20.0%
+29.5%
営業利益
400
465
318
236
324
472
215
420
275
-34.5%
-15.1%
営業利益率
8.7%
9.4%
6.4%
4.7%
5.9%
8.0%
3.6%
7.0%
3.9%
-3.1P
-2.0P
4,300
4,631
5,081
5,346
5,414
5,633
5,920
6,082
7,003
+15.1%
+29.3%
93
104
171
194
207
220
240
237
361
+52.3%
+74.4%
稼動数
顧客工場数
4
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8,000
7,000
社員稼働数(左メモリ)
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技術社員稼動数と顧客数の推移(人、件)
400
顧客工場数(右メモリ)
2012年問題を契機とした請負化ニーズの増大
300
6,000
半導体以外への領域拡大
5,000
4,000
350
250
取引先工場数の集約
200
3,000
150
2,000
100
1,000
50
0
0
(2)財政状態
(単位:百万円)
12 年 3 月
12 年 6 月
12 年 3 月
現預金
2,243
2,737
短期有利子負債
売上債権
2,601
2,910
未払費用
840
829
繰延税金資産
流動資産
5,938
6,686
有形固定資産
29
37
無形固定資産
110
126
未払法人税・消費税等
12 年 6 月
661
1,327
1,560
1,896
277
340
長期有利子負債
1,858
1,922
負債
5,432
6,599
純資産
3,117
2,757
投資その他
2,472
2,506
負債・純資産合計
8,550
9,357
固定資産
2,612
2,670
有利子負債合計
2,520
3,249
第 1 四半期末の総資産は前期末比 8.0 億円増の 93.5 億円。事業拡大に伴う運転資金の増加に対して、短期借入金を中心
に対応した。この結果、第 1 四半期末の自己資本比率は 29.5%と前期末比 7 ポイント低下した。尚、固定資産の「投資その
他」の大半は長期前払費用であり(12 年 6 月:1,463 百万円)、これは「ESOP:Employee Stock Ownership Plan(株式給付信
託)」の導入に伴う信託分を長期前払費用として計上している事による。
3.2013 年 3 月期業績予想
(1)第 2 四半期(7-9 月)以降の見通し
上期及び通期の業績予想に変更はなかった。第 2 四半期(7-9 月)はオペレーションが軌道化し 7,000 名強の社員がフル
稼働。一方、第 1 四半期に急増した管理費用や採用関連費用が本来の水準に落ち着くため、7.5 億円~8 億円の営業利益
を確保できる見込み。このため、売上高 140 億円(前年同期比 19.6%増)、営業利益 10 億円(同 33.2%増)を見込む上期
予想の達成に不安はないようだ。
期末の稼働技術者数は 8,000 名を予定しており、抵触日のピークを迎える 10 月に向け請負化ニーズの取り込みを図る。こ
のため、第 3 四半期(10-12 月)は、再び利益率が低下する可能性があるが、期末に向け、稼働社員数 8,000 名、四半期売
上高 80 億円体制の構築を目指す(コストコントロールを誤らない限り 10 億円程度の営業利益を確保できる見込み)。
通期予想は、売上高 300 億円(前期比 24.5%増)、営業利益 25 億円(同 72.0%増)。約 7,000 名の稼働数から得られる収
益でほぼ達成できる見込みだが、足元、既存顧客との間で商談が進んでいるバックオーダーの着実な取り込みや良好な
事業環境を活かした顧客深耕で予想を上回る着地を目指している。配当は 1 株当たり 100 円増配の期末 2,600 円を予定。
5
ブリッジレポート(2146) 2012 年 8 月 27 日
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半期予想
(単位:百万円)
13/3 期 上期 予想
売上高
構成比
前年同期比
13/3 期 下期 予想
構成比
前年同期比
14,000
100.0%
+19.6%
16,000
100.0%
+29.0%
売上総利益
2,545
18.2%
+14.9%
3,046
19.0%
+45.1%
販管費
1,545
11.0%
+5.6%
1,546
9.7%
+10.6%
営業利益
1,000
7.1%
+33.2%
1,500
9.4%
+113.6%
経常利益
960
6.9%
+37.1%
1,460
9.1%
+114.9%
四半期純利益
590
4.2%
+72.8%
870
5.4%
+61.4%
通期連結業績
(単位:百万円)
12/3 期 実績
売上高
構成比
13/3 期 予想
構成比
前期比
24,106
100.0%
30,000
100.0%
+24.5%
売上総利益
4,314
17.9%
5,591
18.6%
+29.6%
販管費
2,860
11.9%
3,091
10.3%
+8.0%
営業利益
1,453
6.0%
2,500
8.3%
+72.0%
経常利益
1,379
5.7%
2,420
8.1%
+75.4%
880
3.7%
1,460
4.9%
+65.8%
当期純利益
(2)事業環境のポイントと今後の取り組み
-請負化によるシェアアップと人材流動化支援サービス-
昨今のメーカーのアウトソーシングニーズは、大きく①増産対応ニーズ、②2012 年問題による請負化ニーズ(生産動向と
は無関係)、及び③構造改革ニーズ(人材の流動化ニーズ、生産動向とは無関係)の 3 つに分ける事ができる。
事業環境
第 1 四半期にみられたトヨタグループとの取引拡大は①増産対応ニーズによるものだが、②2012 年問題による請負化ニ
ーズは生産動向に依存しないアウトソーシングニーズであり、その取り込みが 13/3 期の大きなポイントとなっている。同社
がターゲットとするのは、工場内の外部労働力比率が高く、技能の習熟が必要とされる企業。具体的には、自動車部品メ
ーカーや建材メーカー等の請負化ニーズの取り込みに力を入れていく(自動車メーカーは正社員比率が高いが、部品メー
カーは 50%程度を派遣に依存しており 2012 年問題が深刻)。
また、③構造改革ニーズ(人材の流動化ニーズ)も生産動向に依存しないアウトソーシングニーズである。同社はこれまで
人材供給サービスを中心に展開してきたが、今後は人材流動化支援サービスの育成にも力を入れ、車の両輪としていく考
え(リストラ関連のニーズに対応する事は、人手不足の際の案件が受注し易くなると言う)。この一環として、アウトプレース
メントを事業領域とする UT キャリア(株)を 4 月に設立した。
人材流動化支援サービス
人材流動化支援サービスは、インハウスソリューションサービス、アウトプレースメントサービス、及び出向サポートサービ
スの 3 つのサービスからなり、インハウスソリューションサービスはリストラ後の雇用確保を支援し、アウトプレースメントサ
ービスは再就職を支援するもの。また、出向サポートサービスは工場の閉鎖を考えているが、人員削減を望まない場合、
他社の工場等への出向を支援する。
このうち、インハウスソリューションサービスは既に実績があり、出向サポートサービスについては数件の商談が進行中。
一方、アウトプレースメントサービスについては、案件が少なくなる好況時の収益確保が課題であり、多くの企業が好況時
に淘汰された。しかし同社の場合、既存の人材供給サービスにおいて、社員のキャリア管理や技能評価に加え、メンタル
サポートを兼ねたコンサルも実施しているため、アウトプレースメントサービスを開始するに当たって、特段の新たなコスト
が発生しない(コストは人材供給サービスにおいて吸収されている)。アウトプレースメントサービスでは、現在、リクルート
系とパソナ系の企業 2 社が評価を得ていると言う。
6
ブリッジレポート(2146) 2012 年 8 月 27 日
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4.今後の注目点
請負化ニーズの取り込みが順調だ。本社が一括して工場の請負化を進めるケースが多いため、これを受託すると顧客工
場数を一気に増やす事ができるようだ。ただ、必ずしも採算の良い工場ばかりではないようで、第 1 四半期の利益の下振
れ要因の一つとなった。当面はシェアアップを優先して積極的に案件を取り込んでいく考えで、低採算工場の収益性改善
を並行して進めていく。先ずは第 1 四半期に低下した収益性が、想定通り第 2 四半期に改善するか注目したい。
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び
見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源か
ら入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当
性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッ
ジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなさ
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