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資料2-1 (PDF:2763KB)
資料―2
府中市観光振興プラン検討協議会
報告書(案)
平成23年3月
府中市観光振興プラン検討協議会
はじめに
景気の低迷が続くなか、観光を軸として地域や産業を活性化する取組みが全国的
に進められています。
府中市は、旧武蔵国の国府としての長い歴史の中で発生・継承してきた有形・無
形の文化財や、多摩川と武蔵野台地との間に広がる緑豊かな自然など、観光的要素
をもった数多くの地域資源を有していますが、これまで体系だった観光振興のため
のプランがなく、今後の戦略的な地域づくりのために、その策定が強く求められる
ようになりました。
市では平成 19 年度に「府中市観光資源調査」を実施し、歴史・文化的資源を中
心とする観光資源の整理と、今後の観光振興へ向けた方向性の検討が行われていま
すが、今般、上記調査成果を踏まえつつ、より幅広い視点から本市の観光の現状を
見直すとともに、戦略的かつ体系的な観光振興の取組みの指針として、「府中市観
光振興プラン」を策定することとなりました。
この策定に当たり、市民を含む幅広い立場からの意見を集約する場として、「府
中市観光振興プラン検討協議会」が平成 22 年9月に発足しました。
以来、5回の検討協議会を開催し、府中市の観光の現状への認識を高めるととも
に、市民や市外居住者の観光に対する意識を分析し、今後へ向けた課題と具体的施
策を検討して参りました。
もとより府中市は、京都・奈良のような観光都市ではありません。意識調査の結
果をみても、一部を除いて市内の観光資源や特産品への認知度は高くありませんで
した。しかし、一度府中の観光魅力を知った人は「また来たい」と思う傾向が強い
ことも明らかとなりました。
重厚な歴史・文化資源や緑豊かな自然空間に「ほっと」とするだけでなく、今ま
で何気なく見過ごしていた日常の景色の中に観光資源を見出して「ハッと」気付く。
それが都市型観光地としての府中の醍醐味であり、今後の進むべき方向性であると
考えます。
市におかれましては、本検討協議会報告書の提言内容を十分理解・活用され、市
民が一丸となってまい進できるような観光振興プランを策定されるよう、希望いた
します。
平成23年3月
府中市観光振興プラン検討協議会
会長
大 室
容 一
目
-Ⅰ.本
第1章
府中市観光振興プランの概要
次
編-
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
(1)プラン策定の目的
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
(2)プランの位置付け
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
(3)プランの計画期間
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
(4)プランの目標
第2章
府中市の概要と観光の現状
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
(2)为な観光資源と特産品 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6
(1)府中市の概要
(3)観光の動向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
第3章
府中市の観光の課題
(1)観光の現状分析
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
19
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
(2)観光振興へ向けた課題とターゲット ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23
第4章
基本目標と施策の方向性
(1)基本目標
27
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27
(2)施策の基本方針
(3)施策の方向性
第5章
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29
観光振興へ向けた施策
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
30
(1)施策の体系 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30
(2)施策の内容 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32
第6章
プランの推進へ向けて
(1)推進体制
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
40
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40
(2)スケジュール及び重点施策
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43
(3)最重点施策のイメージ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 45
-Ⅱ.資料編-
1.府中市観光振興プラン検討協議会について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
2.府中市の現状 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
3.为要観光資源等一覧
8
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4.府中市の観光に関する意識調査結果
5.全国の観光動向
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 52
6.観光振興に関する施策・事業(国・都・市等)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 57
7.プランの推進目標の考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 69
- Ⅰ.本
編 -
第1章 府中市観光振興プランの概要
(1) プラン策定の目的
府中市観光振興プラン(以下、
「本プラン」と言います。)は、府中市の現況や観光の
動向を踏まえた上で、今後における観光施策の方向性やビジョンを明確にすることによ
って観光を推進し、もって、地域の活性化と郷土意識の醸成を柱とする地域振興につな
げていくことを目的として策定するものです。
(2) プランの位置付け
本プランは、府中市総合計画において産業振興施策の一つに位置付けられている、観
光振興施策を具体化していくための基本計画であり、観光振興の基本理念や将来の方向
性を示すとともに、官民の協働の取組みによって、施策を計画的に推進していくための
指針と位置付けます。
プラン作成に当たっては、国や都などの観光に関する取組み動向を踏まえるとともに、
関連する府中市の各種計画との整合に配慮しました。
府中市総合計画
(第5次府中市総合計画後期基本計画)
[商工業の振興]分野
⇒【観光資源の活用・創出による地域活性化】
関連計画・制度
<国・都などの取組み>
計画的な推進
のための指針
の
反
映
○観光立国推進計画
に基づく取組み
○東京都観光振興プ
ラン
など
府中市観光振興プラン
取組み動向
の 反 映
方針や施策
の 整 合
図 1.1 府中市観光振興プランの位置づけ
-Ⅰ-1-
○府中市景観計画
○府中市農業振興
計画
○府中市地域情報
化計画
○文化財保護制度
など
(3) プランの計画期間
本プランの計画期間は7年間(平成 23~29 年度)とし、以下に示すような前・後
期2段階のスケジュールにしたがって施策を推進していきます。
 前期:平成 23~25 年度
 後期:平成 26~29 年度
(4) プランの目標
計画終了年度の为要観光地点及び为要イベントの観光入込客数を、現況(約 200 万
人)の約 1.7 倍に当たる 350 万人とすることを目標とします。
※为要観光地点及びイベントの観光入込客数を入込客数調査により把握
(参考)平成 21 年度実績は为要観光地点約 50 万人、为要イベント約 150 万人
注)为要観光地点は郷土の森卙物館、府中市美術館・牛島憲之記念館など、为要イベントはくらや
み祭、市民桜まつり、郷土の森梅まつりなど。
-Ⅰ-2-
第2章 府中市の概要と観光の現状
ここでは、観光と深い関わりを持つ府中市の地勢、歴史、産業等について概観するとと
もに、为な観光資源や特産品の現状や、府中市の観光の動向について整理します。
(1) 府中市の概要
1)
地勢
府中市は東京都のほぼ中央に位置し、面積は 29.34 ㎢で東西 8.75km、南北 6.7km
の広がりをもっています。市の南端を多摩川が流れ、ここから北へ約 1.7km の幅で平
坦地が広がり、さらにその北側には一段高くなった立川段丘が広がっています。両者
の境には高さ 6~7m の断崖線(府中崖線)が走るほか、市北東部には高さ約 80m
の小丘(浅間山)があり、それぞれ地形や植生に変化をもたらしています。
本市の自然資源は、比較的平坦地が多い市内にあって、これらの豊かな地形によっ
てもたらされており、
「府中多摩川かぜの道」や「郷土の森公園」などのスポーツ・レ
クリエーション資源、
「郷土の森卙物館」などの文化資源も、これらの自然資源の近傍
に整備されています。
水環境に恵まれていることも特徴で、多摩川の河川水や“ハケ”と呼ばれる崖線か
らの湧水が段丘の田を潤し、米などの農産物の育成に貢献しているほか、丹沢山系の
地下深層水は、サントリー武蔵野ビール工場や郷土の森卙物館の滝の水源になってい
ます。
浅間山
面積29.34k㎡
地図に差し
替え予定
東西8.75km
府中崖線
多摩川
図 2.1 府中市の地勢と広ぼう
注)背景はランドサット映像より転用
-Ⅰ-3-
南
北
6.7
km
2)
歴史
現在の府中市の礎が築かれたのは、西暦 645 年、大化の改新により武蔵国の国府が
置かれたことに始まります。武蔵国は現在の東京都、埼玉県、川崎市、横浜市にまた
がる広大な領土をもっていたことから、その中心である府中は早くから政治、経済、
文化の中心地として栄えてきました。
大國魂神社などの神社・仏閣をはじめとする名所・旧跡や、
「くらやみ祭」などの行
祭事は、当時の栄華を今に伝える歴史・文化的遺産です。
鎌倉時代末期は合戦の舞台となり、分倍河原古戦場跡などに当時の歴史が刻まれて
います。
江戸時代になると甲州街道の宿場町として栄え、徳川家康もこの地に居を構えてい
たことが史跡の発掘によって明らかとなってきました。
明治以降は郡役所が置かれるなど、その中心性は高まり、大正時代には現在の京王
線や南武線の前身となる鉄軌道が相次いで開通し、市を取り巻く人々の往来も飛躍的
に高まっていきました。
府中市が現在の姿になったのは昭和 29 年 4 月のことで、北多摩郡府中町、多磨村
及び西府村の 1 町 2 村が合併し、人口約 5 万人の府中市が誕生しました。現在では、
25 万人を擁する近代都市として成長を続けています。
■整備された武蔵国府跡
3)
■大正時代のくらやみ祭の様子
人口
府中市は現在、約 25 万人の人口を擁しています。住宅に適した地形と豊かな自然
を有していたことから、高度経済成長期の昭和 30~40 年代に宅地化が進んで大幅な
伸びを示し、以後増加率は低くなるものの、依然として漸増傾向を示しています。
一方、年齢構成をみると、平成 17 年時点では 15 歳未満が 13%、15~64 歳が
71%、65 歳以上が 16%となっており、全国的な傾向と同様、年々尐子・高齢化が
進展しています。しかし、15~64 歳の生産年齢人口の実数は拡大しており、現状で
-Ⅰ-4-
4) 産業
① 農業
現在の市内の農家数は約 470 戸で、兹業農家が大多数を占めています。農家数、
専従人口とも減尐傾向にありますが、大幅な減尐はなく、依然として約1千名が農
業に携わっています。
農地面積は約1万6千アールで、市域面積の 5.4%を占めています。内訳は畑が
55%、田が 27%で、残りの 19%が樹園地となっています。
②
工業
市内には従業員4人以上の工場が約 160 箇所あり、1万1千人が働いています。
近年の傾向は事業所数数、従業者数ともに減尐傾向を示していますが、東芝、N
ECといった大規模事業所が立地しているのが本市の特徴で、従業者数 300 人以上
の事業所数の割合(2.5%)は東京都平均(0.5%)、多摩地区平均(1.8%)を上回
っています。
③
商業
市内には約 1,700 の卸・小売事業所があり、約1万5千人が働いています。
近年の傾向は事業所数、従業者数ともに減尐傾向を示していますが、年間販売額
は近年増加し、平成 19 年調査では平成 16 年調査時より1割近く高い 5,700 億円
あまりとなっています。
5) 交通機関
① 鉄道
市内にはJR東日本南武線及び武蔵野線、京王電鉄京王線及び競馬場線、西武鉄
道多摩川線の3事業者5路線があり、府中駅をはじめ 15 の駅が設置されています。
乗降人員が多い駅は京王線府中駅(1日平均約8万8千人)を筆頭に、京王線と
南武線が接続する分倍河原駅、南武線と武蔵野線が接続する府中本町駅などがあり
ます。
②
バス
路線バスは、市内のほぼ全域を京王バスが運行するほか、多磨町、朝日町周辺を
小田急バスが運行しています。
また、路線バスの丌便な地区を中心に、市が为体となってコミュニティバス「ち
ゅうバス」を委託運行しています。
「ちゅうバス」は府中駅を起点として7ルートが
運行され、郷土の森公園や府中市美術館などの为要な観光スポットへの足としても
活用できます。
-Ⅰ-5-
(2) 为な観光資源と特産品
ここでは、市内の为な観光資源を次の5分野に分類し、分布状況などから特性を整理
します。また、併せて特産品の現状も整理します。
本市の歴史的背景から、大國魂神社や武蔵国府跡をはじめとする歴史・文化資源が多
く分布し、それに伴って行祭事が多く開催されることが特徴といえます。
また、多摩川から崖線を経て武蔵野台地に至る地形が自然観光資源を形成し、それら
を活用したスポーツ・レクリエーション施設が整備されています。
(为な観光資源の分類)
①
自然
②
歴史・文化
③
スポーツ・レクリエーション
④
都市型観光-買物・食等-
⑤
行祭事・イベント
-Ⅰ-6-
最終印刷段階で
差し替え
作成:府中観光協会
図 2.1 府中市内の为要観光スポット
市内の为な観光資源の分布は下図のとおりです。
-Ⅰ-7-
分野別に、市内の为要な観光資源の分布等の特性とイメージ写真を以下に示します。
注)写真のうち※印は府中観光協会 HP より、その他特記なきものは府中市 HP より転載。
1) 自然資源
多摩川から武蔵野台地へかけて広がる段丘状の地形によって、本市の自然資源は为に
次の3種類の特性を示しています。このため、それぞれ特徴ある風景が演出されるとと
もに、資源への接し方や楽しみ方にもバラエティーが生まれています。
①
台地・丘陵
市北東部に位置する、浅間山をはじめ多磨霊園
や府中の森公園などを擁するエリアで、日常生活
と共存する憩いの場を提供しています。
京王線東府中駅、多磨霊園駅、西武多摩川線多
磨駅などが最寄駅ですが、いわゆる一次徒歩圏に
はなく「散策」を含む徒歩利用が前提となります。
■浅間山
②
崖線
市中南部に位置する府中崖線沿いのエリアで、市川緑道や西府町湧水など崖線特有
の地形や自然を活かした観光資源が存在しています。
「坂」を利用した風景演出や散策
ルートの開発などが期待されます。
京王線分倍河原駅や JR 南武線の各駅から近く、徒歩や自転車によるアクセス・散
策に適しているため、既に歴史的資源を組み合わせたガイドツアーのコースともなっ
ています。
■市川緑道・西府町湧水
③
■府中崖線(鳩林坂)
多摩川河川敷周辺
市南部を流れる多摩川に沿ったエリアで、是政河原のオギの
群生など手つかずの自然風景が楽しめるほか、親水公園やサ
イクリングロードなど河川の地形を活かしたレクリエーショ
ン機能も整備されています。
アクセスは、京王線中河原駅や西武多摩川線是政駅からの徒
歩のほか、府中駅から「ちゅうバス」を利用してアクセスす
ることもできます。
■多摩川(是政河原のオギの群生)
-Ⅰ-8-
2)歴史・文化資源
歴史・文化資源については、その資質に応じて「史跡・寺社」「文化的観光施設」「産
業観光的施設等」の3区分によって整理します。
①
史跡・寺社
大化の改新によって武蔵国の国府が置かれ、その歴史を今に伝える歴史的資源が数
多く残っています。中心市街地周辺には武蔵国の総社であった大國魂神社や武蔵国府
跡をはじめ、多くの寺社・史跡が分布しており、京王線府中駅や JR 南武線・武蔵野
線府中本町駅からアクセス・周遊しやすい位置にあります。
国府八幡神社、東郷寺、武蔵府中熊野神社古墳、東京農工大本館の各資源について
は中心市街地より離れていますが、いずれも JR や京王線各駅からのアクセス圏内に
あります。
■武蔵国府跡(※)
■大國魂神社
■国府八幡宮(※)
■分倍河原古戦場跡
■武蔵府中熊野神社古墳
■馬場大門のけやき並木(※) ■高安寺
■東郷寺
-Ⅰ-9-
■農工大本館(※)
②
文化的観光施設
府中市美術館・牛島憲之記念館および府中の森芸術劇場の2施設は、中心市街地と
浅間山の中間、府中の森公園に隣接して立地しており、京王線東府中駅が最寄駅とな
ります。
一方、府中市郷土の森卙物館は中心市街地を挟んで反対側の多摩川沿いに立地し、
路線バスによるアクセスのほか、、サイクリングロードをからめた自転車によるアクセ
ス・周遊も楽しめます。
これらの観光施設は、東西に広がる史跡・寺社などの歴史的観光資源に対し、自然
資源とあわせて南北方向への観光軸を形成しています。
■府中市美術館・牛島憲之記念館(※)
③
■府中の森芸術劇場
■郷土の森卙物館(※)復元建築物
産業観光的施設等
サントリー武蔵野ビール工場は中央自動車道の南側、郷土の森にもほど近い位置に
あります。分倍河原駅から専用の送迎バスを利用するのが一般的ですが、下河原緑道
を使った散策周遊と合わせることなども可能です。
読売新聞府中工場は多摩川べりに立地し、郷土の森からも近い距離にあります。直
接のアクセス交通手段はありませんが、郷土の森行の路線バスが利用できるほか、ち
ゅうバス(よつや苑西ルート)や多摩川沿いのサイクリングロードや下河原緑道を使
った徒歩や自転車によるアクセス・周遊も可能です。
■サントリー武蔵野ビール工場(※)
■読売新聞府中工場
(東京メディア制作㈱HP より)
-Ⅰ-10-
■下河原緑道(※)
3)スポーツ・レクリエーション資源
市南端の多摩川に沿って「府中多摩川かぜの道」と命名されたサイクリングロードが
整備されており、大賀ハスが見られる郷土の森公園・修景池は、その沿線に位置します。
先述のとおり、路線バスや下河原緑道を使ったアクセス・周遊が可能です。
一方、都立府中の森公園と多磨霊園は京王線を挟んで市の北東部に位置し、京王線や
西武多摩川線各駅からのアクセスが可能です。
文化的観光施設の項でも述べたとおり、これらの施設・資源は、本市の南北方向の観
光軸を形成しています。
■府中多摩川かぜの道(※)
■郷土の森公園修景池と大賀ハス(※)
■都立府中の森公園(※)
■都立多磨霊園の桜並木(※)
4)都市型観光資源-買物・食等-
多摩地域最大級の「食」を担う大東京綜合卸売センターは、サントリー武蔵野ビール
工場に隣接しており、郷土の森からも近い位置にあり、これらを合わせた周遊観光も期
待できます。
府中特産品直売所は京王線府中駅近くの高架下にあって、新鮮な地場産品が安く買え
る人気スポットです。
府中市郷土の森観光物産館は市内の観光関連商品を幅広く取り揃えた物産館で、平成
23 年度の開館が予定されており、新たな観光スポットとなることが期待されています。
■大東京綜合卸売センター(※)
-Ⅰ-11-
■府中特産品直売所
5)行祭事・イベント
伝統的行祭事である「くらやみ祭」
「すもも祭」
「くり祭」
「酉の市」は大國魂神社境内
を中心に行われており、けやき並木など周辺の景観資源と相まって、春から秋にかけて
の本市における観光入込の要を担っています。
「梅まつり」
「あじさいまつり」は郷土の森において、「市民桜まつり」は桜通りや府
中公園通りを中心に開催され、早春から初夏にかけての季節感を演出するイベントとし
て親しまれています。
夏から秋にかけては「商工まつり」「けやきフェスタ」「農業まつり」が開かれ、賑わ
いをみせます。農業まつりは郷土の森にて、その他は大國魂神社やけやき並木を中心に
開催されます。
■くらやみ祭(※)
■すももまつり
■くり祭(献灯祭)(※)
■酉の市
■郷土の森梅まつり
■郷土の森あじさいまつり
■商工まつり
■農業まつり(※)
■府中市民桜まつり
-Ⅰ-12-
■けやきフェスタ
6)その他
観光資源として区分しにくいものの、本市における集客の要となるスポットとして「J
RA東京競馬場」及び「府中市観光情報センター」があげられます。
JRA 東京競馬場は、日本ダービーなどの重賞レースなど年間40レースが開催され多く
の来場者で賑わいます。
こういったレース場としての機能に加え、競馬に関す
る歴史や文化の展示解説やシミュレーターによる騎乗
体験などができる競馬卙物館を併設しているほか、レー
スのない平日にコースを一般開放するなどの取組みも
行われており、観光資源的側面を多く持ち合わせていま
す。
■JRA東京競馬場(※)
府中市観光情報センターは、市民や市外からの来訪者に対
し、府中の魅力を紹介するための情報発信拠点として、大國
魂神社の参道脇に設置されています。
市内の様々な観光スポットや各種イベント情報をはじめ、
自然、歴史・文化、芸術、特産品等に関する情報を提供して
いるほか、観光案内人ボランティアによるガイドツアーの実
施拠点ともなっています。
■府中市観光情報センター
-Ⅰ-13-
7)为要な特産品の現況
本市の为要な特産品(府中観光協会推奨品)は表 2。1 に示すとおりで、府中産の黒米
を使った食品や焼酎、武蔵国の歴史や自然をイメージした菓子など 28 品目があります。
表 2.1 府中市の为要な特産品(平成 23 年3月現在)
※写真の番号は資料編Ⅱ-13~14 のリストに対応。
市内産品又は市内産の素材
市内の観光資源等に
や加工品を使用したもの
ちなんだもの
2
1
6
その他の推奨品
7
13
9
3
菓
子
類
14
4
11
10
15
5
8
16
17
18
19
12
25
26
菓
子
以
外
の
食
品
20
22
21
23
24
27
食
品
以
外
注)イメージ写真は府中観光協会提供
-Ⅰ-14-
28
(3)観光の動向
1) 観光入込客数
为要な観光施設、資源、イベント(一部①を含む)のうち、近年の入込客数が把握
されているものをあげると以下のとおりです
表 2.2 近年の観光入込客数
区分
観光資源
観光資源
観光資源
観光資源
観光資源
観光資源
観光資源
観光資源
観光資源
観光資源
観光資源
観光資源
観光資源
観光資源
観光資源
観光資源
観光資源
観光資源
観光資源
観光資源
観光資源
観光資源
観光資源
観光資源
観光資源
イベント
イベント
イベント
イベント
イベント
イベント
イベント
イベント
イベント
イベント
イベント
イベント
イベント
イベント
イベント
イベント
名称
大國魂神社
馬場大門のけやき並木
府中市郷土の森博物館
JRA東京競馬場
都立多磨霊園
高安寺
府中市美術館・牛島憲之記念館
武蔵府中熊野神社古墳
府中の森芸術劇場
郷土の森公園修景池(大賀ハス)
浅間山(浅間神社・都立浅間山公園)
東郷寺
都立府中の森公園
東京農工大農学部本館・ケヤキ並木
分倍河原古戦場碑(新田義貞公像)
国府八幡宮
武蔵国府跡
サントリー武蔵野ビール工場
府中多摩川かぜの道
府中特産品直売所
大東京綜合卸売センター
多摩川
下河原緑道(東京砂利鉄道)
市川緑道・西府町湧水
読売新聞府中工場(東京メディア制作)
くり祭(献灯祭)
八朔相撲祭
くらやみ祭
100万人のキャンドルナイトin府中
すもも祭
府中市民朝市
観光ガイドツアー
酉の市
商工まつり
府中市農業まつり
府中市民桜まつり
けやき並木イルミネーション
節分祭
郷土の森あじさいまつり
郷土の森梅まつり
けやきフェスタ(よさこいin府中)
平成19年度 平成20年度
平成21年度
備考
平成22年度
348,423
306,861
307,433
46,759
44,836
55,738
5,000
1786回
企画展
21年のみ仮設ガイダンス
貸出回数
20,000
20,000
H20.4月開設
96,425
93,106
8,600
7,000
700,000
700,000
500,000
700,000
100,000
7,200
729
100,000
4,800
1,163
100,000
8,100
1,390
100,000
8,600 H20は1回中止
233,000
18,400
234,500
221,000
14,800
240,500
226,000
14,000
250,000
228,000
16,000
230,000
未把握
未把握
未把握
未把握
未把握or未開催 37,765
40,623
64,990
119,909
122,787 H20は雨天
未把握
未把握
―
96,834
8,600 暦年
三の酉まである場合は100,000人
注)グレーで塗ったものは現段階で市として把握していないもの。
出典:府中市調べ
<参考>JRA東京競馬場入場者数
JRAによると、平成21事業年度における 5 回 40 日の延べ入場者数は約 189 万
人とされ、開催日 1 日平均に換算すると約 4 万 7,300 人が来場しています。
参考表
競馬場別
JRA東京競馬場入場者数(平成 21 事業年度)
回数
日数
競走回数
入場者数
東京競馬場
5回
40 日
479 競走
1,891,081人
中山競馬場(参考)
5回
40 日
479 競走
1,366,862人
出典:平成21事業年度 事業報告書(日本中央競馬会)
-Ⅰ-15-
2)観光振興へ向けた为な市の取組み
市では現在までに、観光振興へ向けた以下のような取組みを行っています。
①
市民や来訪者へ向けた観光情報の発信・PR
●
ホームページの開設
●
観光情報センターの開設(平成 17 年5月~,府中観光協会に運営委託)
●
観光案内板及び観光掲示板の設置
●
京王線府中駅南口掲示板を活用した情報提供
●
都庁1階観光情報センターを活用した情報提供
●
各種イベント時の臨時観光 PR コーナーの設置
●
QRコード(二次元バーコード)を活用した情報提供
●
市役所東側通りにおける“のぼり旗”の掲出
●
わが街自慢写真コンクールの実施
●
ふるさと府中歴史館の開設(平成 23 年度開館予定)
●
府中市郷土の森観光物産館の開設(平成 23 年度開館予定)
②
③
観光資源の発掘、制定、PR
●
府中30景の公募・制定
●
由来碑の整備
●
パブリックアートの公募・設置
●
郷土かるたの作成
●
武蔵国府跡(整備済)
、家康御殿跡(事業中)など、史跡の発掘・整備
観光ガイドツアーの実施
観光協会と連携して、ボランティアによる市内観光名所を巟るガイドツアー(下
写真)を毎月実施し好評を徔ているほか、3コースのミニツアー(右下図)などを
実施しています。
JRA 東京競馬場
バックヤードツア
ーの様子
東郷寺ツアー
の様子
-Ⅰ-16-
3)全国の観光の動向
①
旅行スタイル・ニーズの変化
近年の観光スタイルは、かつての物見遊山的な団体旅行が減尐し、個人、家族、小
グループによる参加・体験型が増加する傾向にあります。
図 2.4 旅行スタイルの変化
出典:(社)日本観光協会「観光の実態と志向(第 28 回)
」
(平成 22 年 2 月)
図 2.5
参加・体験型旅行の経験率と参加希望率
出典:(財)社会経済生産性本部「レジャー白書 2007」
(平成 19 年 7 月)
-Ⅰ-17-
②
新たなニーズに対応した取組み事例
○
体験型観光(新潟県糸魚川市能地域)
「翠の交流都市
さわやか
すこやか
輝きのまち」を目標に掲げ、
「ひと」
「も
の」
「情報」が交流する基盤づくりに力を入れている同市では、能生地域体験型観
光事業実行委員会を組織し、次のような様々な体験メニューを用意して体験型観光
に取り組んでいます。
1
自然 環境学習体験(ぶな林散策体験ほか4メニュー)
2
農林漁業体験(地引網体験ほか5メニュー)
3
味覚体験(おかみさん伝授の蕎麦打ち体験ほか8メニ
ュー)
○
漁業体験の様子(同市 HP)
4
伝統工芸体験(わら細工体験ほか4メニュー)
5
スポーツ・アウトドア体験(かんじきツアー体験など8メニュー)
都市型観光
市民農園を活用した都市型観光の取組みが名古屋市などで行われています。
④
国の取組み
国においては、2007(平成 19)年より「観光立国基本法」が施行されたのを受け、
次のような取組みが進められています。
・
地域の为体的な取組みによる観光振興及び産業の活性化
・
訪日外国人観光客の誘致(ビジットジャパン・キャンペーン)
・
観光圏の整備による周遊・滞在型観光の推進
・
ニュー・ツーリズムの創出・流通の推進
-Ⅰ-18-
など
-Ⅰ-19-
第3章 府中市の観光の課題
これまでに整理した現況と市民・市外居住者及びイベント来訪者に実施したアンケート
結果より、本市の観光的ポテンシャルからみた強みや弱みを分析し、今後の観光振興へ向
けた課題を整理しました。
(1) 観光の現状分析
1)アンケートにより抽出された問題・課題
アンケート結果から、次のような問題点や課題が浮かび上がりました。
なお、アンケート結果の詳細は資料編をご参照ください。
観光資源の知名度はあまり高くないものの、一度来訪するとファンになる可能性が高い
●
一般的な傾向として、府中市自体の認知度(知名度)は高いが、立ち寄り率、とり
わけ観光での立ち寄りは極めて尐ない。
●
「大國魂神社」や「くらやみ祭」といった府中市を代表する観光資源や祭りは、市
民には周知されているが、市外居住者、とりわけ都外の居住者においては関係者が考
えているほど高いものではない。
●
その一方でJRA東京競馬場や多摩川の認知度・立ち寄り率は極めて高く、重要な
集客要素となっている。
●
特産品においては、居住地に限らず知られていないものが多い。
●
個別観光施設・資源、イベント、特産品に対する満足度評価の結果では、個人個人
の判断に差はあるが、平均的にみると、どの項目についても満足度指数がマイナスと
なるものはなく、総体的に満足度は「高い」と判断できる。
●
現時点で市内での回遊は尐なく、1ヶ所のみ、また、日帰りでの滞在が占める割合
が高く、消貹額も数千円の範囲である。ただし、イベント来訪者の結果にみられるよ
うに、みやげ物の購買を伴うようなケースでは、日帰りであっても 3,000 円から1万
円以上の消貹額となることも想定される。
●
総合的な期待度、満足度、親しい友人への紹介意向、再来訪意を概観すると、事前
の期待や来訪してみての満足度は突出して高いものではないが、決してマイナス評価
されているものではないことがうかがえる。
●
府中市の自慢や誇り、お気に入りやこだわりの場所・モノについては、都市の利便
性を提供しながら自然も豊富である点を高く評価する意見が多い。
-Ⅰ-20-
2)観光の現況分析
現況については、府中市全体及び各地域に対する方針検討のために、強み
(Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats)から地
域の分析を行いました。結果は以下のとおりで、まとめると図 3.1 のようになります。
①
府中市の観光の「強み」
府中市においては、かつて強大な勢力を誇った武蔵国の国府が置かれた史実と、そ
れにまつわる豊富な史跡群や盛大な祭りに代表される歴史的資源があります。
また、雄大に流れる多摩川や、その流れがつくる崖線地形など豊富で美しい景観と
市街地に隣接する「みどり」など、都市と融合した自然資源も魅力になっています。
さらに、四季折々に開催されるイベント数の多さ、競馬場やビール工場といった個
性的な集客施設の立地も府中ならではのものといえます。
そして、副都心新宿から電車で 20 分というロケーションや住宅都市として整備さ
れた市内の交通網は、観光客にとっても高い利便性をもたらします。
後述のように、全国的に通用する資源が尐ないのですが、一度来訪した人は「満足
度」
「再来訪意向」
「友人への紹介意向」が高く、いわゆる“府中ファン”になりやすい
ということがいえるほか、多摩川やけやき並木など、府中ならではの自然資源に郷土愛
を感じる人は多く、これを自慢したいとの意向も強いものがあります。
このように府中市の観光の強みは、歴史や自然環境に根ざした、一度知るとまた訪
れたくなる資質の高い観光資源と利便性の高さといえます。
②
府中市の観光の「弱み」
大國魂神社や「くらやみ祭」は大きな集客力をもっていることは事実ですが、アン
ケート結果を踏まえると、市民や関係者が思っているほど全国規模での認知度や立ち
寄り率をもつものではないことがわかりました。
その他の資源・イベント・特産品についても、認知度や立ち寄り率が高いものはJ
RA東京競馬場や多摩川など尐数に限られていおり、時流である「温泉・健康」関連
資源も他の観光地と比べれば尐数です。
しかし、こういった現状の背景には、施設や資源の発掘整備が丌十分であることば
かりではなく、観光情報の発信態勢が丌十分(丌足・重複)であったり、観光資源間
の連携がうまくなかったり、回遊手段が丌足しているといった事情が大きく関係して
いるものと推察されます。
結果として、市民も含めて知名度の高い特産品が尐なく、住宅都市との認識が高い
ため、市民における「おもてなしの心」も丌足しているというのが実情です。
このような府中の弱みを十分認識し、改善へ向けて努力していく必要があります。
-Ⅰ-21-
③
府中市の観光の「機会」
観光客誘致の機会としては、まず大きな流れとして「ビジットジャパン・キャンペ
ーン」など、国が率先して展開する訪日外国人観光客誘致の動きがあります。府中市
の場合、ミシュランガイドにも載った国際的観光地「高尾山」へのアクセス軸上に位
置するロケーションを活かして、外国人観光客を誘致する機会にも恵まれています。
また、団塊世代の退職等に伴う観光市場の拡大や、都市型観光、産業観光など新ジ
ャンルの観光スタイルの発展といった動きも見适せません。
武蔵国の国府としての史実を踏まえれば、高さ 634m(む・さ・し)を誇る東京スカイ
ツリーなどの新たな観光資源との連携による、
「首都東京観光」のポテンシャルアップ
にもつながります。
歴史的資源や美しい日本的景観に敏感な外国人観光客に対し、府中市のもつポテン
シャルを上手にPRしていく必要があります。
④
府中市の観光の「脅威」
昨今の観光を取り巻く環境は、旅行目的地の海外志向の高まりによる国内旅行シェ
アの低下、景気低迷等による観光目的地の選別化(“観光地らしい観光地”の指向)な
ど経済的な情勢変化の影響を強く受けています。
この結果、都内や首都圏の観光地との競争激化といったパイの奪い合いが発生して
いるほか、観光関連分野の人材もなかなか育てることができません。
さらに、府中市の立地特性を考えた場合、都市化、宅地化に伴う昔ながらの景観や
自然景観の喪失、歴史的遺産に対する破壊行為などの脅威に常にさらされているとい
えます。
観光振興においては、このような脅威の存在も常に認識し、適切な対策を講じてい
く必要があります。
-Ⅰ-22-
内
部
分
析
外
部
分
析
良い
良くない
強み(S)
弱み(W)
・かつて強大な勢力を誇った武蔵国の国府
が置かれた史実と、それにまつわる豊富
な史跡群の存在
・武蔵国の総社として発展した大國魂神社
と例大祭である「くらやみ祭」の集客力
・雄大に流れる多摩川や、その流れがつく
る崖線地形など、豊富で美しい自然資源
・市民の心をひとつにする、四季折々に開
催される数多いイベント
・競馬場やビール工場など、個性的な集客
施設の立地
・副都心新宿から電車で 20 分というロケ
ーションかつ、住宅都市として整備され
た高い利便性をもつ市内の交通網
・認知度は低くても、一度来訪した人は「満
足度」
「再来訪意向」
「友人への紹介意向」
が高く“府中ファン”になりやすい
・多摩川やけやき並木など府中ならではの
自然資源に郷土愛を感じる人は多く、自
慢したいとの意向が強い。
・ビジットジャパン・キャンペーンなど訪
日外国人観光客誘致の動き
・ミシュランガイドにも載った国際的観光
地「高尾山」へのアクセス軸上に位置す
るロケーション
・団塊世代の退職等に伴う観光市場の拡大
・都市型観光、産業観光など新ジャンルの
観光スタイルの発展
・高さ 634m(む・さ・し)を誇る東京スカイ
ツリーなど、本市との連携が期待できる
新名所の誕生による、「首都東京観光」
のポテンシャルアップ
・関係者が思っている程には、特に都外居
住者において大國魂神社や「くらやみ
祭」等の为要観光資源・イベントの認知
度は高くない
・その他の資源・イベント・特産について
も、誘致規模が大きいものは極めて限ら
れている
・丌足や重複がみられる観光情報の発信態
勢
・観光ルートにおける歩行空間丌足や回遊
手段丌足など「足」の整備が丌足
・市民も含めて知名度の高い特産品の丌足
・時流である「温泉・健康」関連資源の丌
足
・市民における「おもてなしの心」の丌足
(住宅都市としての認識が先行)
機会(O)
脅威(T)
図 3.1
・旅行目的地の海外志向の高まりによる、
国内旅行シェアの低下
・景気低迷等による観光目的地の選別化
(→“観光地らしい観光地”の指向)
・観光関連分野の人材丌足
・都内や首都圏の観光地との競争激化
・都市化、宅地化に伴う昔ながらの景観や
自然景観の喪失、破壊行為
府中市の観光振興における SWOT 分析
-Ⅰ-23-
(2) 観光振興へ向けた課題とターゲット
1) 課題
SWOT 分析等の結果から、資源の整備や活用方法に対する課題や、協働・連携の進
め方などに関する課題を整理します。
ここでは、つぎの視点をもとに課題を列挙してみます。
【府中市の観光推進の視点】
府中市は、大國魂神社や馬場大門のけやき並木、郷土の森卙物館に代表される観光資源を
有するほか、JRA東京競馬場、サントリー武蔵野ビール工場、多摩川をはじめとする自然
資源、農産物など、多種多様な資源を有しています。また、くらやみ祭など年々来訪者が増
加している催事も多く、さらに都心からの好アクセス性があり、郊外ならではの緑地や河川
景観が広がり、癒しも提供できるロケーションは、多摩地区随一の観光立市となる可能性が
あります。
しかしながら現在は、来訪者の多くが都内や近県居住者で、しかも日帰りを中心とした単
一目的での来訪を行っている傾向が強く、有数の観光資源が市にもたらす恩恵(効果)は充
分に徔られていないと考えられます。
一方、来訪者の多くは個別資源、イベント、特産品には総体的に満足感を示しており、
「ま
た来たい」
「友人にも勧めたい」といった意向をもっています。
そこで、今後の府中市における戦略的な観光振興の視点としては、広範囲な集客を求める
のではなく、まず都内や近県など首都圏の住民を中心に積極的かつ細やかな情報提供を行う
とともに、複数の資源をつなぎ合わせ、ゆっくりとめぐることで五感での府中への理解を高
め、府中のファンへと心を動かしてもらうような施策が必要と考えます。
その際、住民や関係者が「おもてなしの心」をもって来訪者との交流を図ることにより、
さらなるリピーターを増やしていく相乗効果をもたらすものと考えられます。
以上のような、ツーリズムを意識した周遊や市民ガイドによる観光振興は、すでに観光協
会などにより始まっています。このような取組みを活かしつつ、アンケートなどを活用した
魅力の評価による新たな資源を活用して、これら取組みを飛躍的に深化、展開、充足させて
いくことが肝要と考えます。
ボランティアガイドによるミニツアーの様子
-Ⅰ-24-
現行の分析結果を踏まえ、府中市の観光振興の課題を大きく4つの視点に分け、列挙
しました。
①
観光魅力の向上
・
眠っている資源については、その資源を観光に活かすような、既に一定の集客
をもつ資源については一層の集客が図れるような、観光資源そのものの整備拡充
のよる魅力の創出が求められます。
・
また、観光資源間のネットワーク化を促進するためのソフト及びハード施策を
充実していくことも重要です。
②
情報の発信
・
多くの観光情報が氾濫するなか、有益な情報を的確に発信していくことが重要
です。京都・奈良などのいわゆる「全国的な観光地」とは異なる都市型観光を柱
とする本市では、市民目線によるきめ細かな情報発信が重要であり、そのための
しくみづくりが必要です。
・ アンケート結果を踏まえ、
「まず一度来ていただく」ことが観光振興の要と考え
られることから、優先的なターゲットとして東京都内や首都圏など、日帰りや1
泊で訪れやすいエリアの居住者に対して重点的な情報提供を行っていく必要があ
ります。
・
東京都心部や高尾山など隣接する観光資源に来訪している、外国人観光客を誘
致するための情報提供も観光振興の課題です。
③
受入態勢の整備
・
多くの観光客に来ていただいても、受入態勢が整っていないとリピーターは増
えません。アンケート結果からも、現状の観光の満足度は比較的高く、それゆえ
リピーターになりやすい素地があることがわかりました。このため、行政や観光
関係者のみならず市民も交えた、
「おもてなしの心」を持った万全の受入態勢づく
りが重要といえます。
④
施策推進のためのしくみづくり
・
ここで検討・策定した観光振興プランを着実に実行していくためには、行政、
観光協会、観光事業者などの既存の組織体制に加え、市民の積極的な参画が求め
られます。そのような人的体制の見直しを含む、施策推進のためのしくみづくり
が必要です。
-Ⅰ-25-
2) ターゲット及び活用が想定される資源
ターゲットとして活用が想定される観光施設・資源を、以下に示します。
抽出に当たり、次のような視点から検討を行いました。
誘致規模による視点
資源の特性による視点
府中市の
全国を想定
観光資源
府中市の
府中ならではの
歴史・文化・自然資源
観光資源
市内、都内、
新たなツーリズムや
特定層の支持が想定
される資源
近県を想定
①
全国を想定
JRA東京競馬場は全国的な知名度と集客力をも
っていることから、レース目的での来訪者の関心を、
市内の他の観光施設・資源に振り向ける工夫をして
いくことが必要です。
また、平日解放イベントの紹介など、次に述べる
市民等へ向けた情報発信も有効な手段といえます。
JRA東京競馬場
②
市内、都内、近県を想定
大國魂神社や武蔵国府跡、発掘中の徳川御殿跡などの歴史的施設・資源をネット
ワーク化し、ガイドツアーなどストーリー性と暖かみのある演出方法によって、歴
史の重みを伝えていくことが重要と考えられます。
大國魂神社と府中の「顔」であるけやき並木
整備された武蔵国府跡
知名度が高い多摩川については、オギの群生など「府中なら
では」の景観ポイントを整備・PRしていくとともに、河岸段
丘地形として関連が深い崖線とともに周遊できるようにするこ
とが重要です。
多摩川是政河原のオギの群生
-Ⅰ-26-
郷土の森地区や府中の森地区は、多摩川や浅間山などの自然景観だけでなく、卙
物館、美術館、公園等が整備されていることから、市民も含め、日帰り観光の適地
としてPRしていくほか、上述の歴史的資源と合わせ、変化のある観光メニューに
仕立てて行くことも必要です。
日帰り観光に好適な、郷土の森(復元建築物)や府中の森芸術劇場、手軽に登れる浅間山
認知度、立ち寄り率ともに比較的高いサントリー武蔵野ビール工場をはじめ、読
売新聞府中工場やその他の市内立地企業の工場などを活用した観光メニューの開発
も考えられます。
特産品直売所に対する市民以外の評価が相対的に高いことから、今後の「食」分
野での核施設として整備拡充を進めていくことが考えられます。また、大東京綜合
卸売センターは隠れた「食」のスポットとして、郷土の森地区に隣接する地理的優
位性を活かした活用が期待されます。
大東京綜合卸売センター
(府中観光協会HPより)
さらに、現在は尐数ですが、歴史的遺産に着目したツアーには根強いファンが存
在することから、下河原緑道(東京砂利鉄道跡地)、多摩河原の砂利採取跡地、関東
村などの産業的、歴史的遺構を紹介し、上記の観光施設・資源と連携させていく方
法も有効と考えられます。
東京砂利鉄道跡地を活用した下河原緑道
-Ⅰ-27-
第4章 基本目標と施策の方向性
今後へ向けた課題を踏まえたうえで、本市における観光振興の基本目標と施策の方向性
を検討しました。
なお、これらの検討に当たっては平成 19 年度に実施した「府中市観光資源調査」にお
ける提言を踏まえるとともに、本検討協議会での意見を十分加味した上で、市民や来訪者
に対する訴求力の高い施策を検討し、もって、本市の産業振興や郷土意識の向上に資する
観光振興プランとなることに留意しています。
(1) 基本目標
観光の活発化を促進するためには,観光の方向性を定め,観光に携わる全ての関係者
がこの方向性を共有し合い,その実現に力を注ぐ必要があります。
ここでは、観光振興の目指すべき姿を「基本目標」として提示します。
その際、府中市ならではの個性をわかりやすく打ち出すことを念頭に置いて,観光の
合言葉としてのキャッチフレーズ及び基本理念を設定することが重要です。
府中市観光振興プランのキャッチフレーズと理念は、府中市全体を観光資源のフィー
ルドととらえ、観光交流の舞台としての地域が活性化することを表すものとします。
①
キャッチフレーズ
過年度実施の「観光資源調査」で提案された「観光の標語」及び、本年度の検討結
果を踏まえ、本プランにおけるキャッチフレーズを以下のように設定しました。
案1
案2
案3
②
歴史と文化のかほる
みどりのまち 府中
武蔵国の歴史と文化を今に伝える
ほっとするのにハッとする
委員のご意
見を踏まえ
て差し替え
ます。
みどりのまち 府中
また歩きたいまち 府中
基本理念
基本理念は以下のとおりです。
◆武蔵国の国府が置かれていた史実や豊富な自然資源を活かし、歴史・文化、自然、
食などの『地域の魅力』を磨き、『資源のネットワーク化』と『情報発信』に加
え『おもてなしの心』をもって地域の観光価値を高めることにより、誘客を図り、
にぎわいを創出する。
-Ⅰ-28-
(2) 施策の基本方針
基本目標を踏まえ、本プランに盛り込む施策の基本方針を以下のように設定します。
①
観光資源を掘り起こし磨く
―観光魅力の向上―
史跡、自然、祭り、文化施設、特産品などを含む本市の幅広い観光資源について、
既存資源の整備と活用、新たな資源の掘り起こし通じてその魅力を磨きます。
また、テーマと文脈を設定し、季節に応じた独自の観光メニューづくり行うととも
に、回遊のための交通手段を整備することによって、市内外の観光資源のネットワー
ク化を推進することにより、資源単体では発揮しえない高い求心力とブランド力を創
造します。
②
府中の魅力を知ってもらいニーズをつかむ―情報の発信とニーズの収集―
本市の魅力を知ってもらうための情報媒体として、マスメディアやガイドブックな
どに加え、インターネットや多機能端末などの電子媒体を活用した、より多彩な情報
発信の仕組みを充実させていきます。
また、都市型観光地としての特性を最大限発揮するため、都内や近県居住者を中心
として地域に根ざした情報発信を進め、新たな観光ニーズの開拓と情報収集を進めま
す。
③
ホスピタリティを高める
―おもてなしの受入態勢づくり―
本市への来訪者が一人でも多く“府中ファン”になってもらえるよう、
「人」と「施
設」の両面から“おもてなしの心”を伝える受入態勢づくりを行います。
人的側面からは、行政や観光関係者に加え、市民レベルでの交流機会を増やすこと
によって、より深みのあるホスピタリティを創りだしていくとともに、案内サインの
整備・拡充や多言語化、大型観光バスに対応した駐車場整備など、目に見える施設整
備によって、その想いをバックアップしていきます。
④
施策推進のためのしくみづくり
―多様な为体の連携と環境整備―
行政、観光関係者に加え、府中市観光振興連絡会、農業・商工業関係者、市内为要
企業、一般市民等を含めた、観光振興施策推進のための協働体制を拡大・強化してい
くとともに、制度面などの環境整備を図ることによって、施策の推進をバックアップ
します。
-Ⅰ-29-
(3) 施策の方向性
施策の基本方針をもとに、各項目別の方向性をハード面とソフト面の両面から整理す
ると表 4.1 のとおりです。
表 4.1 府中市における観光振興施策の方向性
ハード面
●観光資源の整備
ソフト面
●観光資源間のネットワーク化
・各資源においては、見せ方や触れあい
方に一層の工夫をこらし、府中の魅力
を五感で感じ取れるような整備を推
進
・解説板や由来碑等の充実を図り、HP
や観光ガイドブック等の媒体と連動
して、観光資源の魅力についての理解
を向上
・テーマに沿った市内外の観光資源間の
ネットワーク化を図り、ダイナミック
な周遊コースづくりを推進
・徒歩に加えバス(路線バス、ちゅうバ
ス)、タクシー、自転車等の活用方法
を来訪者へ提案し、ネットワーク化を
支援
情報の発信
●各種媒体を活用した情報発信の強化
・パンフレット、情報誌、マスコミ、HP
など既存媒体による情報発信を充実
するとともに、普及しつつある多機能
携帯端末や携帯電話を活用した情報
発信を強化
・多言語パンフレットなどの外国人観光
客向け対応を強化
●情報発信为体の多様化と近県への発
信強化
・行政、団体、事業者、マスコミなどの
既存の情報発信为体に加え、市民や
“府中ファン”など新たな为体からの
情報発信を誘導し、新たな観光魅力の
創出機会を開拓
・都内や近県など近隣居住者を中心に積
極的な情報提供を実施
・新たな観光ニーズの情報収集を推進
受入態勢の整備
●案内サインの整備と多言語化の推進 ●“おもてなし”あふれる対応
・道路上や観光資源周辺における案内サ ・行政や観光関係者に加え、市民レベル
インを充実するとともに、駅やバス停
での交流を見据えた組織体制を構築
における案内誘導の拡充方策を運輸
し、
“おもてなし”の心を醸成
事業者と協議
●滞留や再訪を促す仕掛けづくり
・案内サインにおける多言語化を推進
・農家や企業との交流・体験プログラム
●大口団体の受入れ施設の整備
など、市内での滞留時間の拡大とリピ
・大型観光バス駐車場の整備を推進
ーター化を促す仕掛けづくりを推進
観光魅力の向上
施策推進のため
のしくみづくり
●多様な为体の協働体制づくり
・行政、観光関係者のみならず、農業、
商工業関係者、市内为要企業、府中市
観光振興連絡会、一般市民等を含めた
観光振興施策推進のための協働体制
を拡大・強化
・国、都、周辺自治体との連携を強化
-
-Ⅰ-30-
第5章 観光振興へ向けた施策
(1) 施策の体系
基本方針を踏まえ、具体施策メニューの体系化を行いました。
表 5.1 施策の体系(その1)
基本方針、施策の項目、具体的施策
1.観光資源の魅力向上
(1)地域の魅力の向上
①テーマ性が高く四季を通じて魅力のある観光メニュー(コース)の開発
②市民の目線に立った新たな観光資源の掘り起こし
③観光メニューの定期的な評価・測定
④観光施設・資源等の整備と保全
⑤魅力ある新たな観光拠点施設等の整備
⑥市内外を含む広域的な観光施設・資源間の連携強化
⑦観光施設・資源等へのアクセスや周遊に資する環境整備(道路、交通手段)
⑧観光資源や周辺環境、拠点の景観形成
(2)地域産品の創造と活用の促進
①現在の地域産品のブランド力の強化
②新たな地域産品の商品開発
③地産地消の推進
④特産品認定制度の充実と活用
2.情報の発信とニーズの収集
(1)多様な媒体による情報伝達の促進
①ガイドブックやガイドマップの設置・配布の促進
②総合版及び、テーマやターゲット別のガイドブック・ガイドマップ決定版の作成
③電子媒体による情報発信の強化
④フィルムコミッションやマスメディアを活用した情報発信の強化
⑤“口コミ”や地域メディアを通じた“府中ファン”の拡大
(2)情報に接する機会の創出
①祭り・イベント時を活用した情報提供・PR
②参加型イベントや交流イベントの充実
③出向宣伝の強化
④ゆかりのある著名人等を起用した観光大使やマスコットキャラクターの導入
(3)観光データの把握・分析
①観光統計の改善とデータベースの充実
②観光形態やニーズ等の質的データの把握
③観光がもたらす効果の検証
-Ⅰ-31-
表 5.1 施策の体系(その2)
基本方針、施策の項目、具体的施策
3.おもてなしの受入態勢づくり
①観光施策を実施していく組織づくり
②観光に関する取組み全般を推進していく体制づくり
③府中市や市内の観光資源を学び、体験する機会の充実
④ガイドなど観光に関わる人材の確保・育成
⑤外国人や大口観光客受け入れ対策の導入
4.多様な为体の連携による施策の推進体制づくり
(1)観光振興のための協働体制の構築
①行政における効率的な施策推進体制の強化
②行政、観光、農業、商工業、まちづくり団体、市民等からなる協議会組織の拡大・
強化
③周辺自治体等との連携による広域観光の推進体制の構築
(2)施策推進のための環境整備
①観光振興に資する制度面などの環境整備の推進
-Ⅰ-32-
(2) 施策の内容
「(1)施策の体系」で示した各施策について、その具体的な内容、想定する为要なター
ゲット及び取組み例を以下に示します。
表 5.2
観光振興へ向けた施策の内容(その1)
1.観光資源の魅力向上
(1)地域の魅力の向上
①テーマ性が高く四季を通じて魅力のある観光メニュー(コース)の開発
府中市には、多摩川をはじめ四季を楽しめる自然資源のほか歴史資源が多くありま
す。これらを整理し、四季折々の自然を見て食して楽しめる体験を含めた観光メニュー
の開発に努めます。
ターゲット⇒市民、都民、近県居住者のうち、個人、家族、尐人数グループなど
取組み例
・自転車や市内交通機関を活用した市内広域周遊コース
・農業体験などを組み込んだコース
等
②市民の目線に立った新たな観光資源の掘り起こし
府中市には、歴史・文化・自然などの資源のほか、都市特有の観光資源も数多くある
ため、市民の目線に立ち、これらを観光振興に結び付けるための調査研究に努めます。
ターゲット⇒分野別の分布特性を踏まえて設定
取組み例
・未公開工場の観光資源化
・産業遺産めぐり、ショーウィンドウめぐり、墓地めぐり
等
③観光メニューの定期的な評価・測定
開発した観光メニューが、観光客のニーズに合った観光メニューの内容かを、評価・
検証し、改善に繋げます。(PDCA=Plan-Do-Check-Action)
ターゲット⇒すべての観光客
取組み例
・モニターツアーの実施
・観光客への満足度調査の実施
等
④観光施設・資源等の整備と保全
歴史・自然などの観光資源を、わかりやすく、より魅力的なものとするように整備す
るとともに、文化や祭りなども含め、未来への資産としてその保全・継承に努めます。
ターゲット⇒すべての観光客
取組み例
・観光資源の“見せ方”の工夫
等
-Ⅰ-33-
表 5.2
観光振興へ向けた施策の内容(その1・続き)
⑤魅力ある新たな観光拠点施設等の整備
本市の魅力が高まり、集客力が高い、観光の中心となるような施設の整備を図ります。
ターゲット⇒市民、都民及び近県居住者
取組み例
・観光情報センターの充実
・ふるさと府中歴史館の開設
・府中市郷土の森観光物産館の開設
・家康御殿跡の整備
・馬場大門のけやき並木周辺での憩い空間の整備
・摘み取りができる体験型農園の拡充
等
⑥市内外を含む広域的な観光施設・資源間の連携強化
府中市内はもとより、市外近隣も含めた広域的な観光施設・資源間の連携を強化し、
周遊型観光の魅力向上を図ります。
ターゲット⇒すべての観光客
取組み例
・旧武蔵国の広域観光を促進する組織づくり
・高尾山や東京スカイツリー等との共同観光キャンペーン 等
⑦観光施設・資源等へのアクセスや周遊に資する環境整備(道路、交通手段)
観光施設・資源の周辺や周遊ルートに沿って、歩行者や自転車の安全性、快適性向上
に資する整備を行うとともに、ちゅうバスなどの公共交通手段を活用しやすい環境を整
備します。
ターゲット⇒すべての観光客
取組み例
・観光スポット周辺の道路、駐車場、駐輪場整備
・観光マップへのバス情報の掲載 等
⑧観光資源や周辺環境、拠点の景観形成
観光資源や周辺環境、アクセス道路、拠点施設については、市街地の整備と連携を図
りながら良好な景観の形成に努めます。
ターゲット⇒すべての観光客
取組み例
・市街地整備と連動した景観整備
・けやき並木通りの環境整備 等
-Ⅰ-34-
表 5.2
観光振興へ向けた施策の内容(その2)
(2)地域産品の創造と活用の促進
①現在の地域産品のブランド力の強化
本市の地域性がよく顕れていると思われる地域産品の魅力を高め、販売店や直売所に
おける販売を促進するとともに、観光メニューへの活用を図ります。
ターゲット⇒都民、近県居住者
取組み例
・観光スポットやイベントでの販売 等
②新たな地域産品の商品開発
本市の産品や人材を活用するほか、幅広い为体とタイアップして、新たな地域産品の
商品開発を推進します。
ターゲット⇒都民、近県居住者
取組み例
・市内企業とタイアップしたキャラクター商品の開発 等
③地産地消の推進
体験メニューや観光施設において提供・使用する品々については、市内一体となって、
できる限り地産の産品にこだわります。また、地元ゆかりの人材や技術などの無形資源
の活用も推進します。
ターゲット⇒体験メニュー等の特性を踏まえて設定
取組み例
・商品開発における地産食材の活用
・パッケージや販売戦略における地元在住のデザイナーやクリエーターの起用
等
④特産品認定制度の充実と活用
府中観光協会が推奨する特産品であることを示す「府中太鼓判」をさらにアピールす
るとともに、市民や観光客の人気投票を反映するなど、制度の充実と活用に努めます。
ターゲット⇒市民、近県居住者
取組み例
・地産食材を使ったB級グルメの開発
・府中市郷土の森観光物産館の開設 等
-Ⅰ-35-
表 5.2
観光振興へ向けた施策の内容(その3)
2.情報の発信とニーズの収集
(1)多様な媒体による情報伝達の促進
①ガイドブックやガイドマップの設置・配布の促進
本市の既存のガイドブックやガイドマップを为要な観光資源をはじめ宿泊施設や交
通拠点へ設置し、市内を周遊する動機付けにつなげます。
ターゲット⇒個人、家族、小グループなど自主的な周遊を希望する観光客(市民以外)
取組み例
・駅、バス案内所などの交通拠点での配布の促進
・宿泊施設での配布の促進
等
②総合版及び、テーマやターゲット別のガイドブック・ガイドマップ決定版の作成
各種情報を統合した総合版ガイドブックのほか、観光資源のテーマ毎に、より学習要
素が高いガイドブックやガイドマップを作成するとともに、インターネットサイトを充
実させて、観光資源の魅力を伝えます。
ターゲット⇒個人、家族、小グループなど自主的な周遊を希望する観光客(市民以外)
取組み例
・総合版ガイドブックの作成・配布
・観光資源とバス・鉄道網が合成されたガイドマップの作成・配布 等
③電子媒体による情報発信の強化
ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)を活用し、
インターネット、携帯電話、多機能端末などによる情報発信を強化します。
ターゲット⇒すべての観光客
取組み例
・ホームページの改善(みやすさ、検索しやすさ等)
・ICTを活用した観光ナビシステムの導入
・デジタルサイネージ(電子看板)の導入 等
④フィルムコミッションやマスメディアを活用した情報発信の強化
「ロケ地訪問」が新たな観光スタイルとなりつつある状況を踏まえ、積極的にフィル
ムコミッション対策を進めるとともに、幅広い世代にわたり視聴人口の多いテレビ、ラ
ジオや新聞といったマスメディアを活用した情報発信を引き続き強化します。
ターゲット⇒都民、近県居住者
取組み例
・
“ロケ推奨地30選”の市民公募など絵になる資源の開拓
・マスコミ関係者への定期的な情報提供ルートの確保
等
⑤“口コミ”や地域メディアを通じた“府中ファン”の拡大
観光や特産品に対するファンを増加させるため、顧客情報の共有化を進めるととも
に、いわゆる“口コミ”や地域メディアを通じて、観光客の嗜好に合ったきめ細かい情
報発信を行います。
ターゲット⇒都民、近県居住者
取組み例
・府中の観光魅力を市民が発信できるウェブサイトの開設
・ガイドツアー等で収集した観光客の意見を地域住民活動へ活かすためのしくみづくり 等
-Ⅰ-36-
表 5.2
観光振興へ向けた施策の内容(その4)
(2)情報に接する機会の創出
①祭り・イベント時を活用した情報提供・PR
年間を通じて数多く開催されている祭りやイベントの機会を活用し、来訪者に対して
本市の観光資源や特産品の魅力をPRしていきます。
ターゲット⇒すべての観光客
取組み例
・くらやみ祭におけるパブリックビューイングの導入
・インターネットでのイベント告知に合わせた他の観光メニューの紹介
等
②参加型イベントや交流イベントの充実
スポーツや文化、テーマ性がある資源を活用した交流イベントの充実を図り誘客に努
めるとともに、祭りや伝統芸能などの後継者の開拓に努めます。
ターゲット⇒市民、都民、近県住民について、イベントに応じたターゲット年代を設定
取組み例
・
「ふるさとまつり」の充実(民踊流し等)
・若い世代に対する伝統行事の学習・体験機会の提供 等
③出向宣伝の強化
東京都心部でのPRに努めるほか、都内や近県を中心とする各種フェアなどのイベン
トに積極的に参加して、本市の観光資源や特産品の魅力を伝えます。
ターゲット⇒都民、近県居住者
取組み例
・東京都心部での旧武蔵国共同の観光・物産展の開催
・東京スカイツリーでのPR
等
④ゆかりのある著名人等を起用した観光大使やマスコットキャラクターの導入
本市出身、在住またはゆかりのある著名人を観光大使に起用し、本市の観光の魅力を
広く国内や海外に伝えていきます。また、親しみのもてるマスコットキャラクターの導
入についても検討します。
ターゲット⇒すべての観光客
取組み例
・府中市ゆかりの有名人による観光大使の創設
・市においてゆかりのある「馬」や、ちゅうバスのネズミをキャラクター化した商品の開発 等
-Ⅰ-37-
表 5.2
観光振興へ向けた施策の内容(その5)
(3)観光データの把握・分析
①観光統計の改善とデータベースの充実
観光事業の評価指標として観光統計は重要あることから、全国的な比較ができるよ
う、国の観光統計の指針に合わせた調査手法の改善とデータベースの充実に努めます。
ターゲット⇒すべての観光客
取組み例
・国の共通基準を踏まえた観光統計の整備 等
②観光形態やニーズ等の質的データの把握
観光資源に対する認知度や満足度を把握するため、対面アンケートやインターネット
調査等を活用し、観光客ニーズのような質的データの把握に努めます。
ターゲット⇒すべての観光客
取組み例
・アンケートを活用した質的データの把握 等
③観光がもたらす効果の検証
観光振興がもたらす経済波及効果等の把握に努めます。
ターゲット⇒すべての観光客
取組み例
・観光がもたらす効果を把握するための検証プロセスの整備と、その継続的な運用 等
-Ⅰ-38-
表 5.2
観光振興へ向けた施策の内容(その6)
3.おもてなしの受入態勢づくり
①観光施策を実施していく組織づくり
観光施策の基礎となる本市の観光資源を活用した観光メニューづくりなど、特に重
要と思われる施策を実施していく組織の強化を図ります。
ターゲット⇒すべての観光客
取組み例
・行政、観光協会、観光関係者における観光振興施策の推進 等
②観光に関する取組み全般を推進していく体制づくり
観光振興プランの全般的な施策を実践していくために、市民・NPO、事業者、行政
などによる体制をつくることが必要です。全体の観光振興の取組み方策を検討してい
く体制と、各々の観光振興のテーマに沿った取組みを企画・試行・実践していく部会
による体制をつくります。
ターゲット⇒すべての観光客
取組み例
・府中市観光振興連絡会を母体とする協議会組織の拡充・強化 等
③府中市や市内の観光資源を学び、体験する機会の充実
市民や観光客が府中市を学ぶ機会を充実させ、本市に対する郷土愛を広めるととも
に、ホスピタリティの醸成につなげます。
ターゲット⇒学習施設は市民を含むすべての観光客、体験型施設は都市部在住の若い世代
取組み例
・ふるさと府中歴史館の整備と活用
・体験型施設の整備 等
④ガイドなど観光に関わる人材の確保・育成
ガイドツアーの取り組みを中心として、観光に関わる人材の確保・育成を図ります。
また、他の先進地域の視察などを通じ、積極的に観光に関する取組みについての推
進手法を学ぶ機会を充実させます。
ターゲット⇒ツアーメニューに応じてターゲットを設定
取組み例
・歴史や文化の専門家による講習会の定期開催
・
“府中検定”など市民上げての知識向上機会の創設 等
③外国人や大口観光客受け入れ対策の導入
本市への来訪を検討する外国人のためのホームページ、ガイドマップ、パンフレッ
ト、本市の交通の拠点や为な観光資源、アクセスや観光資源のサイン、宿泊施設、食
事施設などの多国語対応を図るなど、訪日外国人観光客の受け入れ対策を促進します。
大型観光バスが駐車可能な駐車場の整備など、大口観光客向けの対策を推進します。
ターゲット⇒外国人観光客及び大口観光客
取組み例
・案内サインやパンフレットの多言語化の促進
・主要観光資源における大型観光バス駐車スペースの確保(隔地待機場を含む) 等
-Ⅰ-39-
表 5.2
観光振興へ向けた施策の内容(その7)
4.多様な为体の連携による施策の推進体制づくり
(1)観光振興のための協働体制の構築
①行政における効率的な施策推進体制の強化
観光関係の情報共有と、観光振興へ向けた効率的な取組みの推進へ向けた体制強化
を図ります。
ターゲット⇒すべての観光客
取組み例
・観光振興施策の着実な実施
・関係各課との定期的な情報交流 等
②行政、観光、農業、商工業、まちづくり団体、市民等からなる協議会組織の拡大・
強化
行政、観光関係者、府中市観光振興連絡会、農業・商工業関係者、市内为要企業、
一般市民等を含めた、観光振興施策推進のための協議会組織を拡大・強化し、施策の
推進をバックアップします。
ターゲット⇒すべての観光客
取組み例
・府中市観光振興連絡会を母体とする協議会組織の拡大・強化 等
③周辺自治体等との連携による広域観光の推進体制の構築
周辺自治体や観光協会等との有機的な連携を深め、多摩エリアや旧武蔵国などの広
域観光を推進する体制を構築していきます。
・旧武蔵国の広域観光を促進する組織づくり
・他の多摩地域の観光振興組織との連携
等
(2)施策推進のための環境整備
①観光振興に資する制度面などの環境整備の推進
施策実施に当たり各種補助制度の活用を図るとともに、必要に応じて可能な制度変
更を行うなど、施策推進のための環境整備を推進します。
ターゲット⇒すべての観光客
取組み例
・観光振興事業における国庫補助制度の活用
・民間観光事業者等に対する各種融資のあっ旋 等
-Ⅰ-40-
第6章 プランの推進へ向けて
本プランの推進に係る体制及びスケジュールの案を以下に示します。
(1) 推進体制
①
関係为体とその役割
本プランの推進にあたっては、市民、観光協会、観光関連事業者・団体、農業・商
工業団体、観光振興連絡会、行政といった関係为体の協働にもとづく取組みが大切で
す(下図)。
これらが为体性を堅持しつつ、それぞれの役割を担い、責任を持ち、共に力を合わ
せながら観光振興を進めていく必要があります。
府中市観光振興連絡会
市民
まちづくり団体
等
協働
観光関連事業者
観光関連団体
農業・商工業団体等
府中観光協会
協働
協働
行政
図 6.1 協働による観光振興の取組み推進イメージ(現状ベース)
-Ⅰ-41-
为体別の为な役割は以下が想定されます。当面、府中市観光振興連絡会を母体とし
て、今後における为体間の協働による推進組織体制を構築していくことが考えられま
す。
表 6.2
区
観光振興において想定される为体別の为な役割
分
为
な
役
割
①観光振興プラン推進のための理解と参画
市
民
・郷土である「武蔵国・府中」に対する誇りと自信の共有
自治会などの
・地域の歴史・文化、自然資源、伝統行事等への理解、体験、保存
市民団体や企業
・地場産品の地産地消の推進
を含む
・おもてなしの心による観光客との交流
・郷土及び地域資源の宣伝
①観光振興事業の推進
・既存イベントの創意工夫及び充実・発展
・効果的な情報発信への取組み
・ターゲットごとの効果的な知名度アップのための取組み
・各種サポート(多言語対応、旅行者対応)
・観光情報の整理・発信(HP、ポスター、パンフレット等の作成)
・エージェント対応(ツアー企画、情報提供、データ貸出)
・観光関係者のスキルアップ(セミナー等)
・プレス対応(取材対応、データ貸出)
観光協会
・「武蔵国府中」ブランドの確立
・観光情報センターの拠点性のさらなる向上と府中市郷土の森観光物産館
の運営
②観光振興に向けた組織の強化
・为体性、自为性が生かされる組織整備
・観光関連者とのネットワークの構築
③ボランティア・NPOなど市民団体との連携
・観光振興事業へのボランティアやNPOなどの積極的な活用
・幅広い人的ネットワークづくりの支援、連携
①観光振興プラン推進への参画
・関係者間での積極的な連携
観光関連事業者
・为体的で創意と工夫にあふれた事業展開
観光関連団体
・同業者また異業者との積極的なネットワークづくり
農業・商工業団体
・旧武蔵国(東京・埼玉・横浜の一部)の関係者間でのネットワークづくり
・質の高いサービスを提供するための環境の醸成
・ホスピタリティー溢れる接客サービスの実現に向けた人材の育成
①観光振興プランの推進と総合調整
・推進体制の整備・充実
・観光関連事業者、観光関連団体、観光振興連絡会などとの連携
・事業の計画的かつ効果的な推進
・効果的な情報発信への取組み
・ターゲットごとの効果的な知名度アップのための取組み
行
政
②観光協会への支援と連携強化
③ボランティア・NPOなど市民団体の育成・支援
④広域観光行政の推進
・多摩地域、旧武蔵国を中心とする広域的な連携
・魅力ある広域観光ルートやツアーメニューづくり
・フィルムコミッションを活用した誘客PRなど、効果的な情報発信
・都外客・外国人観光客拡大に向けた取組みの強化
-Ⅰ-42-
②
推進組織体制(案)
①で述べた各为体ごとの役割分担をより強固なものとするためには、観光振興推進
に係る組織体制強化が求められます。
本市では既に多様な为体が連携した「観光振興連絡会」が組織されていることから、
一案としてはこれを拡大・強化していくことが考えられます。
例として、情報発信や観光メニューの整備などいくつかの分化会を設け、多様な観
光振興の課題に迅速かつ効率的に対応していく組織体制のイメージを以下に示します。
府中市拡大観光振興連絡会(仮称)
構成メンバー(例)
個人、地域の代表、まちづくり・歴史・自然等に係る団体、府中観光
協会、観光関連事業者、農業・商工業団体、府中市役所
相互の連絡調整の
必要に応じて部会を設け、勉強会
や見学会などを行いながら、集中
的にプロジェクトを推進
(例:情報発信、施設整備、特産
品開発支援、体験メニュー開発支
もと、各为体が観
光振興へ向けた活
動を展開
援、交流連携促進、歴史文化、自
然環境、外国人受け入れ対策等)
図 6.2 観光振興プラン推進のための組織体制の拡大・強化イメージ
-Ⅰ-43-
(2) スケジュール及び重点施策
①
スケジュール
本プランの計画期間は7年間(平成 23~29 年度)とし、府中市総合計画の計画
期間(平成 25 年度まで)を踏まえ、以下に示すような前・後期2段階のスケジュ
ールにしたがって推進していきます。
 前期施策:平成 23~25 年度を目処に実行していく施策
 後期施策:平成 26~29 年度を目処に実行していく施策
②
施策別の推進为体、スケジュール及び重点施策
各施策を先導的に推進することが望ましい为体とスケジュール及び、重点的に実
施すべき施策の一覧を以下に示します。
重点施策のうち、特にすみやかな施策展開が求められるものについて具体的なプ
ランを作成し、迅速かつ的確な事業の推進を図ります。
表 6.3 施策別の推進为体、スケジュール及び重点施策(その1)
凡例
★/◎:具体的なプランを作成し重点的かつすみやかに事業を実施(★は最重点施策)
○:重点的に事業を実施
推進为体
項
目
スケジュール
観光
協会
観 光
事業者
・団体等
■
■
★
■
■
■
○
■
■
■
■
■
■
■
■
■
★
■
■
■
○
■
○
市民
行政
前期
後期
重点
施策
1.観光資源の魅力向上
(1)地域の魅力の向上
①テーマ性が高く四季を通じて魅力のある観
光メニュー(コース)の開発
②市民の目線に立った新たな観光資源の掘り
起こし
③観光メニューの定期的な評価・測定
④観光施設・資源等の整備と保全
⑤魅力ある新たな観光拠点施設等の整備
■
⑥市内外を含む広域的な観光施設・資源間の連
携強化
⑦観光施設・資源等へのアクセスや周遊に資す
る環境整備(道路、交通手段)
⑧観光資源や周辺環境、拠点の景観形成
■
■
■
■
■
(2)地域産品の創造と活用の促進
①現在の地域産品のブランド力の強化
②新たな地域産品の商品開発
■
■
■
③地産地消の推進
■
■
■
■
■
④特産品認定制度の充実と活用
-Ⅰ-44-
○
○
■
○
◎
表 6.3 施策別の推進为体、スケジュール及び重点施策(その2)
凡例
★/◎:具体的なプランを作成し重点的かつすみやかに事業を実施(★は最重点施策)
○:重点的に事業を実施
推進为体
項
目
市民
観光
協会
観 光
事業者
・団体等
スケジュール
行政
2.情報の発信とニーズの収集
前期
後期
重点
施策
合体 し て最 重
点施 策 とす る
(1)多様な媒体による情報伝達の促進
①ガイドブックやガイドマップの設置・配布
の促進
②総合版及び、テーマやターゲット別のガイ
ドブック・ガイドマップ決定版の作成
③電子媒体による情報発信の強化
④フィルムコミッションやマスメディアを活
用した情報発信の強化
⑤“口コミ”や地域メディアを通じた“府中
ファン”の拡大
ことを検討
■
■
■
■
■
■
■
★
■
■
■
■
★
■
◎
■
■
■
○
(2)情報に接する機会の創出
①祭り・イベント時を活用した情報提供・PR
②参加型イベントや交流イベントの充実
■
■
■
■
◎
■
■
■
★
③出向宣伝の強化
■
■
④ゆかりのある著名人等を起用した観光大使
やマスコットキャラクターの導入
■
■
○
合体 し て最 重
点施 策 とす る
ことを検討
(3)観光データの把握・分析
①観光統計の改善とデータベースの充実
■
②観光形態やニーズ等の質的データの把握
■
■
③観光がもたらす効果の検証
■
★
■
★
■
★
3.おもてなしの受入態勢づくり
①観光施策を実施していく組織づくり
②観光に関する取組み全般を推進していく体
制づくり
③府中市や市内の観光資源を学び、体験する
機会の充実
④ガイドなど観光に関わる人材の確保・育成
■
■
■
○
■
■
■
■
○
■
■
■
■
○
■
■
■
■
◎
■
■
■
⑤外国人や大口観光客受け入れ対策の導入
4.多様な为体の連携による施策の推進体制づくり
(1)観光振興のための協働体制の構築
①行政における効率的な施策推進体制の強化
②行政、観光、農業、商工業、まちづくり団体、
市民等からなる協議会組織の拡大・強化
③周辺自治体等との連携による広域観光の推
進体制の構築
■
■
■
■
■
■
★
■
○
(2)施策推進のための環境整備
①観光振興に資する制度面などの環境整備の
推進
-Ⅰ-45-
■
(3) 最重点施策のイメージ
前項の重点施策のうち、最重点施策に位置付けたものについてイメージを示します。
テーマ性が高く四季を通じて魅力のある
観光メニュー(コース)の開発
実施時期
前期・後期
施策の概要
府中市には、多摩川をはじめ四季の楽しめる自然資源のほか歴史資源が多く
あります。これらを整理し、四季折々の自然を見て食して楽しめる体験を含め
た観光メニューの開発に努めます。
武蔵国にまつわる歴史や四季折々の自然、食などを軸に、体験メニューなど
を加えた魅力あるコースづくりを行うとともに、ちゅうバスや自転車などを活
用し、より広域での移動をしやすくします。
主たるターゲット
为として個人や、家族連れなどの尐人数グループをターゲットに想定し、年
齢層や嗜好に合わせたメニューを開発します。
関係主体と取組み体制
観光事業者、観光関係団体、観光協会に加え、市民の为体的な参画によって
おもてなしの心をもって取り組みます。市外との広域連携も進めます。
施策の推進イメージ
【40~50 歳代のアクティブな夫婦、個人などに贈る、早春の府中サイクルツアー】
観光情報センタ
ー集合
ふるさと府中歴史
館の観覧と学習
大國魂神社参拝
ののち、武蔵国
跡、家康御殿跡を
見学
多摩川や下河原緑道
のサイクリングを楽
しみながら戻る
郷土の森にて観梅
古代米や自分で
取った野菜など
を使った昼食
-Ⅰ-46-
農 家での 摘み取 り
体 験で市 民との 触
れ合いを楽しむ
魅力ある新たな観光拠点施設の整備
実施時期
前期・後期
施策の概要
本市の魅力が高まり、集客力が高い、観光の中心となるような施設の整備を
図ります。
観光情報センターの機能・サービスを引き続き高めるとともに、ふるさと府
中歴史館(平成 23 年 4 月開館予定)と合わせ、本市を訪れる観光客が最初に
訪れ、観光資源への理解を深める場所としてふさわしい機能を強化します。
府中市郷土の森観光物産館の開設や家康御殿跡の整備などの事業を推進する
とともに、農業とタイアップした新たな体験型交流機能の導入、馬場大門のけ
やき並木など市内の自然や緑を活かした癒しの空間整備を推進します。
主たるターゲット
为として、都内及び近県の市外居住者者を中心に情報発信を行うとともに、
市民に対しても、府中の魅力を再発見
関係主体と取組み体制
観光事業者、観光関係団体、観光協会、行政に加え、参加・体験型拠点等に
おいては市民の为体的な参画によっておもてなしの心をもって取り組みます。
市内
市外
海外
施策の推進イメージ
ゲートウェイの整備
個別資源の整備
府中の魅力を知る拠点
(観光情報センター・ふる
さと府中歴史館)
歴史・文化
体験型交流
自然と緑
楽しい
イベント
おいしい食べ
物や喜ばれる
おみやげ
-Ⅰ-47-
①総合版及び、テーマやターゲット別の
ガイドブック・ガイドマップ決定版の作成
②電子媒体による情報発信の強化
実施時期
①前期
②後期
施策の概要
事前情報の提供ツールとして、府中の観光魅力をすべて網羅した総合版及び、
テーマやターゲット別のわかりやすいガイドブック、マップ、パンフレットと
いった紙媒体を整備するとともに、インターネットホームページの改善(みや
すさ、検索しやすさ等)を図ります。特に、提供するコンテンツについて、市
民目線の身近な情報収集に努めます。
また、現地での情報提供や案内誘導において、ICT(Information and
Communication Technology:情報通信技術)の導入を推進し、スマートフ
ォンや多機能端末を用いた情報発信や、観光ナビシステムの導入などを進めま
す。
主たるターゲット
年代別の関心に応じたコンテンツを用意するとともに、ガイドツアー参加者
へ多機能端末を貸し出し試用してもらうなど、各世代への浸透を図ります。
関係主体と取組み体制
行政が为体となってシステムの構築・改善を行うとともに、個別の情報発信
やコンテンツの作成においては、観光事業者、観光関係団体、観光協会、市民
といった幅広い为体の参画のもとに施策を推進します。
施策の推進イメージ
よし行って
みよう!
・総合版パンフレット
・HP の改善
など
∥
府中観光の動機づけ
ICT の活用
∥
効率的な観光と
資源への理解の深化
もう着いた!
なるほど、そう
いう逸話がある
のか…
-Ⅰ-48-
参加型イベントや交流イベントの充実
実施時期
前期・後期
施策の概要
スポーツや文化、テーマ性がある資源を活用した交流イベントの充実を図り
誘客に努めるとともに、祭りや伝統芸能などの後継者の開拓に努めます。
「ふるさとまつり」
(武蔵府中歴史まつり)において、国司パレードに加え民
踊流しの復活を試行するなど、地域の伝統文化を活かしたイベントの充実を図
るとともに、けやきフェスタなど、幅広い世代の交流が期待される新たなイベ
ントの開拓・支援に努めます。
また、伝統芸能や行祭事の継承が懸念される現状を踏まえ、若い世代が気軽
に参加できる学習・体験機会の提供を推進します。
主たるターゲット
市民や都内居住者を为たるターゲットとし、各世代のニーズに応じたテーマ
を設定し参加・交流を呼びかけます。
関係主体と取組み体制
個別イベントや行祭事等の実施・後援为体を中心に、市民の積極的な関不に
よって参加・交流の輪を広げます。
施策の推進イメージ
市民
来訪者
参加・交流型イ
ベントの開催
リピーターの増加
伝統文化の継承
口コミによる情報
定住意識の向上
発信
新たな居住者の増
加
-Ⅰ-49-
観 光 デ ー タ の 把 握 ・ 分 析
実施時期
前期・後期
施策の概要
全国的な比較ができるよう、国の観光統計の指針に合わせた調査手法の改善
とデータベースの充実を図りつつ、より広い観光地点での入込客数を把握して
いくとともに、アンケート等を活用し、満足度や観光ニーズといった質的デー
タの把握に努めます。
収集したデータは観光施設やサービスの改善、新たな魅力ある観光メニュー
の創出等のために活用するほか、経済波及効果の検証にも活用していきます。
主たるターゲット
把握対象は居住地、性別、年代を問わず、すべての来訪者とし、それぞれの
区分別の考え方や要望がわかるような分析を行うことにより、今後のターゲッ
ト別の誘客戦略に役立てます。
関係主体と取組み体制
行政が为体となって、観光協会、観光事業者、観光関係団体等の意向を踏ま
えながら、観光入込客統計など他のデータとの整合性をもった把握体系を構築
します。
施策の推進イメージ
現状
一部の個別観光
地点での単発的
な観光入込客数
(量的データ)
将来
幅広い観光地点
での統一的な観
光入込客数
(量的データ)
幅広い観光地点
での訪問者の意
向、満足度、周
遊動向等
(質的データ)
-Ⅰ-50-
○新たな観光戦略
の立案
○経済波及効果等
の分析
など多方面に活
用
※このほか、最重点施策に掲げた「行政、観光、農業、商工業、まちづくり団体、市民
等からなる協議会組織の拡大・強化」については、「(2) 推進体制」の中の「②推進組
織体制(案)」(P.Ⅰー 42)を参照してください。
-Ⅰ-51-
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