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3.1 国家経済・社会開発計画

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3.1 国家経済・社会開発計画
国名:タイ (調査項目 3:国家開発計画)
作成年月日:2004 年 11 月 11 日
3.1
国家経済・社会開発計画
国家経済開発計画の歴史は第 1 次国家経済開発計画 (1961∼66 年)に始まる。その
後、5 年ごと (第 1 次国家経済開発計画のみ 6 年)に計画の策定が行われている。現
在、2002 年からの第 9 次国家経済社会開発 5 カ年計画が進行中である。国家経済開
発計画は、首相府に属する国家経済社会開発委員会および同事務局 (NESDB)が中
心となって策定作業が進められ、閣議によって決定される。
−経済発展の概要
タイが民間活動を基本とした開発方針を採用し、これを支援するガイドラインと
しての 5 カ年国家経済開発計画を策定し、経済発展の具体化を図り始めてから 45
年近くが経過している。この間、輸入代替工業化、農産品加工を中心とした輸出
指向農業化 (NAIC)、機械類製造を中心とした輸出指向工業化 (NIES)をたどって
きた。石油危機、周辺国での戦乱などの影響を受け、また、政治的混乱もあった
が、基本的には慎重かつ柔軟な経済運営でこれを乗り越えてきている。
これを数字でみると、1960∼90 年の 30 年間の年平均経済成長率は 7.5%と、
NIES は下回るものの、東南アジア他国のなかで屈指の伸びをみせた。この間の
人口増加率が 2.6%であるから、一人当たりの実質 GDP でみても約 5%の伸び (4
倍強)になっている。
− 第 1 次、第 2 次国家経済開発計画 (1961∼66、1967∼71 年)
第 1 次国家経済開発計画においては交通通信 26%、社会福祉 20%、エネルギー
17%が、第 2 次国家経済開発計画においては教育 34%、交通通信 19%、農業
17%が中心と、ウェイトの変化はあるものの、いずれの計画とも社会基盤整備の
促進を主眼としたものであった。第 2 次国家経済開発計画では、開発成果の幅広
い配分、特に貧困に陥っている地方への配分に力点が置かれた。また、ベトナム
での戦闘の激化から、安全、社会的安定、公正といった要素が強調された。地方
開発、農民支援に向けたプロジェクトも導入された。
第 1 次開発国家経済計画期間中の実質経済成長率は年平均 8.0%と、計画の目標
5.5%を大きく上回り、第 2 次国家経済開発計画期間中においても、目標の 8.5%
に対し、7.7%という実績をあげた。
− 第 3 次国家経済開発計画 (1972∼76 年)
生産性を向上させること、所得格差と経済社会サービスの受益格差を縮小させる
ことを課題として、経済面では、安定したマネーサプライの増加、輸出の促進、
社会面では、人口増加率の抑制、経済社会サービスの公正な配分、地方経済基盤
の強化などが方針としてあげられた。特に、地方への工業の分散が初めてうたわ
れるとともに、人口増加率については、約 3%の増加率を 1976 年には約 2.5%へ
低下させる目標が具体的に示された。計画期間中の実質経済成長率は 6.5%と目標
の 7.0%を下回った。
− 第 4 次国家経済開発計画 (1977∼81 年)
新たに自然資源の管理と環境の保全を目標として加えている。限界の見え始めた
外延的な成長から生産性の向上による成長への転換を目指した農業の発展と、輸
出指向の農業関連産業を中心とした工業の発展を中核に置いた経済の回復が戦略
とされた。
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国名:タイ (調査項目 3:国家開発計画)
作成年月日:2004 年 11 月 11 日
− 第 5 次国家経済開発計画 (1982∼86 年)
新たな開発方針として以下の 6 点に重点を置いた。
・ 経済成長より経済構造の調整
・ 経済社会開発における平等
・ 遅れた地方の貧困解消
・ 経済社会開発と国家の安全との調和
・ 計画の具体的な実施
・ 民間部門の役割と協力
公的投資の伸びが 1986 年の大幅な減少もあって低くなっていること、またこの
期間、消費を含め国内需要の伸びは 3%台とかなり弱かったが、GDP の成長のか
なりの部分は外需に支えられたものであった。
− 第 6 次国家経済開発計画 (1987∼91 年)
財政赤字、貧困、失業、債務累積といった問題の解消を目指し、将来の進歩と繁
栄を可能とするような水準へと開発の成果を高めようとする、調整色の強いもの
となった。また、国際市場における競争力を強化するため開発の効率と質の改善
を強調し、明るさをみせ始めた輸出を中心として発展を実現しようという方針を
示した。目標は、経済と社会との 2 面に分けられ、計画は、以下の 3 つの基本方
針と 10 のプログラムから形成された。
・ 基本方針
(1) 開発の効率向上
(2) 生産と販売のシステムの改善と基礎的な経済要素の質の向上
(3) 地方、農村部への所得と富の分散の増加
・ プログラム
(1) 総合経済開発
(2) 人口、社会/文化開発
(3) 自然資源/環境
(4) 科学/技術
(5) 行政の改善と政府の役割の見直し
(6) 国営企業
(7) 生産/販売システム、雇用の開発
(8) 社会基盤開発
(9) 都市/特定地域開発
(10) 地方開発
しかしながら、この高成長の中でも解消せず、新たに生じた以下のような不均衡
が法律/規制の改善、分権化の推進といった観点から指摘されている。
・ 家計間/地域間の所得分配の不平等化の進行
・ 社会基盤のボトルネック
・ 貯蓄と投資ギャップの拡大
・ 高成長に伴い、生じた新しい急激な変化への対応の困難
・ 自然資源、環境の悪化
特に資源の管理が不十分なことから森林面積の減少などの自然資源の喪失を
招いている
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・ 官僚機構の改革の必要性
− 第 7 次国家経済開発計画 (1992∼96 年)
・ 目標
(1) 持続可能で安定した適度な成長
(2) 所得の再分配と地方への開発の分散
(3) 人的資源の開発、生活の質の向上、環境と自然資源管理の改善
また、目標の達成に向けての発展促進要因と制約要因を以下のとおりあげている。
・ 促進要因
(1) 世界経済の拡大の中で輸出の成長が期待できること
(2) 日本や NIES の生産ベースの移転により、工業化の基礎の拡大と多様化
が期待できること
(3) 周辺国の開放経済化により貿易、投資機会の拡大が期待できること
(4) 経済、金融の地域におけるセンターとなりうる可能性があること
(5) 国内の購買力の増大と需要の拡大が期待できること
(6) 投資の進展によって生産性の上昇が期待できること
(7) タイの労働力の基礎的な能力は比較的高いと考えられること
(8) 自然資源や環境の改善に向けた負担への対応能力がついてきていること
・ 制約要因
(1) 人的能力の相対的な競争力が量、質、賃金水準それぞれで失われつつあ
ること
(2) 可耕地の制約と地価の上昇がみられること
(3) 急拡大する投資に見合う貯蓄増加がみられないこと
(4) 引き続き社会基盤が脆弱であること
(5) 自然資源と環境の悪化が進んでいること
(6) 行政システム、法制度が時代の変化に適合していないこと
(7) 人口の中高齢化の進展により疾病の多様化、出生/死亡構造の変化がみ
られること
(8) 核家族化、都市化に伴う福祉サービス供給への負担が増加してきている
こと
(9) 景気、原油、貿易交渉の進展、保護主義と貿易競争の激化など国際経済
環境に不確実性があること
・ 具体的な開発の方針
(1) 経済面
(a) 金融資本市場の自由化の推進と金融センター化
(b) 農産物加工、繊維/衣料、金属、電子、石油、 化学、鉄鋼を戦略部
門とした工業化の推進
(c) 民間の参加、ビジネスマインドの強化を含めた社会基盤投資の促進
(d) バンコクと東部臨海工業開発とのリンケージの強化など
(2) 社会面
(a) 税制、歳出、信用供与を通じた所得分配の改善
(b) 地方への社会基盤、産業の分散
(c) 地方都市の開発
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作成年月日:2004 年 11 月 11 日
(d) 義務教育期間の延長の普及など
− 第 8 次国家経済開発計画 (1997∼2001 年)
第 1 は、国家発展のあり方を経済発展から「人間の発展」にシフトすることであ
り、第 2 はトップダウンの計画策定プロセスをボトムアップヘと変えることであ
る。第 1 のシフトは 1996 年の−人当たり GDP が 3,000 米ドルの水準に達しよ
うとしている時点で、自然な方向といえる。第 2 の計画策定プロセスの変更も、
開発の目標を経済発展という単一のものから「人間の発展」というさまざまな要
素の入り交じったものへとシフトさせることによって、直面するニーズの多様化
に対応するための 1 つの方法として評価される。
第 8 次国家経済開発計画に向けてのガイドラインにおいて指摘された次期計画で
は以下のことを強化した。
・ 所得分配における不平等化の進行
・ 自然資源の喪失と環境悪化
・ 社会の複雑化と物質主義化
・ 経済の不均衡の是正と競争力
また、第 8 次国家経済開発戦略としては以下の 4 つがあげられた。
・ 人的能力の向上
・ 生活の質の向上と地方開発
・ 競争力の維持/強化
・ 開発行政の再構築
− 第 9 次国家経済開発計画 (2002∼06 年)
これまでの国家経済社会開発に対する反省のうえに、国王が示している「充足経
済思想」を、国家開発の行方を中道へと導く理念として取り入れ、20 年後の国家
開発のビジョンが盛り込まれたものとなっており、今後の理念と方向性を示した
内容となっている。
生活の質的レベルの向上に関する目標の中には、2006 年度末までに、15 歳以上
の国民の教育歴が平均で 9 年以上になるようにすることや、労働者の学歴は初級
中等教育レベル以上の者が 5 割を超えるようにする、といった具体的な目標が明
示されている。また、社会基盤の強化に関連した人材開発と社会的保護の戦略で
は、国家教育改革にかかわる、既存の教職者らの質的向上、生涯学習環境の拡充
のほか、労働者に労働市場の変化や技術的な進歩に相応して新しい時代の経済に
入り込んでいける人材の育成および技能研修などもあげられている。
国家職業訓練協力委員会が公表した「タイの製造業、サービス業のための人材開
発マスタープラン (2002∼06 年)」の内容は、この計画にほぼそのまま取り入れ
られている。人的資源開発に関しては、新憲法、教育制度改革、国民健康保険制
度法制、行政権限の地方移管、市民社会の役割強化、情報技術革新といった分野
と共に重点項目として取り上げられている。
・第 9 次計画の構成
第9次計画は大きく 5 つのパート、9 つの章に分かれている。
第 1 部 国家発展のビジョンと戦略
第 1 章 第9次計画のビジョンと戦略
第 2 部 タイ社会における良い統治の構築
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国名:タイ (調査項目 3:国家開発計画)
作成年月日:2004 年 11 月 11 日
第 2 章 より良い統治への戦略
第 3 部 強固な社会基盤の構築
第 3 章 人間の質および社会保護の開発戦略
第 4 章 都市および地方の持続可能な開発への調整戦略
第 5 章 天然資源および環境管理戦略
第 4 部 バランスのとれた持続可能な経済への調整
第 6 章 マクロ経済管理戦略
第 7 章 能力向上および競争力向上への戦略
第 8 章 科学技術強化戦略
第 5 部 計画を実施するための行政管理の改革
第 9 章 計画を実施するための行政管理の改革および結果のモニタリング/
評価
−人的資源開発のガイドライン
同計画では、技能開発、雇用などについては第 3 章で次のように具体策が示され
ている。
第 3 章では、生産構造および科学技術の変化に対応してタイ人の技能レベルを引
き上げるとしている。
・ 地域の知恵、生活技能および、語学、算数、コンピュータ、マネージメント
などの基礎的知識を混合することにより、中間層を育成創出する。また、技
能基準検定を多種多様に拡大して受験者に機会を与える。
・ 技能開発の資源およびカリキュラムの改善に資する情報を交換するために、
教育機関/技能訓練機関と国内/外資の企業との間の協力関係を構築する。
また、労働力の構築目標を、労働市場の需要に適合させるよう定める
・ より高い学歴の教育を続ける際に、労働経験を考慮に入れることを促進し、
労働能力の遂行に重点を置いた専門資格の開発を支援する。企業の労働者が
少なくとも中学卒以上の教育を受けているようにすることを促進する
・ 労働生産性を向上させ、自由貿易の変化に技能が追いつくようにし、競争力
を向上させるために、政府と民間が協力して各種産業で現在就労している労
働者に向上的な職業能力開発を行うことを促進する
・ 新たな経済および将来の科学技術に適合し、自律的発展の基礎となる学習/
能力開発の新たな知見を生み出すために政府および民間の研究開発を促進す
る
−国家経済開発計画の特徴
・ 国家経済開発計画が当初から自由経済の下での計画として位置付けられてき
ており、現在もその性格は変わらない。国家経済開発計画は、指導者や政権
の意思を明らかにするためというよりは、経済動向の分析を踏まえ、政策目
標を明確に示し、施策の優先度を明らかにするための技術的な方法として導
入された。その後、国家経済開発計画のカバーする領域も増加し、総合性を
持ったものへと変わってきているが、自由経済を前提とした計画であること
には変わりはない。
・ 国家経済開発計画が、行政府のテクノクラートによる経済社会の方向付けと
いう性格を強く持っていることから、長期の計画ではなく、5 年という中期
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の計画を積み重ねていくという進め方になっている。
・ 比較的早くから社会開発の側面に関心を持っていたことである。これには、
タイの置かれていた地理的条件から、周辺国での混乱が直ちに国内の社会的
緊張や不安につながりがちであったということにもよるが、既に第 2 次国家
経済開発計画の段階から経済と並んで社会開発という表現がみられる。
・ 国家経済開発計画の策定過程におけるコンセンサス形成に向けた手続きの強
化が進められてきている。1980 年代のプレム政権の下で進められた官民協調
による経済開発という方向、開発における民間の役害Ⅰの増加といった変化
に対応して、第 6 次開発計画からは、事前のガイドラインの公表、各界の有
識者の加わったセミナーの開催などの手続きが、計画策定過程に加えられて
きている。
・ 第 6 次国家経済開発計画から、プログラム中心のアプローチへと変化したこ
とである。実施機関の間の調整も含めたプログラム型のアプローチがとられ
ることになった。実施機関の間の調整、総合性の強化の課題は、依然現在で
も残されており、国家経済開発計画からのアプローチのみではこれを解決し
ていくことは困難なようにも見受けられる。
このように、国家経済開発計画にはいくつかの特徴があげられるが、第 8 次国家
経済開発計画においては、特に前項の特徴である計画策定過程でのコンセンサス
の形成に向けて多くの努力が払われている。
3.2
国家 HRD (人的資源開発)計画
教育省系の職業教育や学校外教育のほかに、労働省技能開発局管轄下において、
Labor Skill Development (人的資源開発の技能開発)が行われている。
−技能開発局の戦略
・労働者の教育のレベルアップ強化
技能開発局は、労働者の教育レベルを高めるために、教育省と協力あるいは連
携する方策を講じている。現在 3,300 万人の労働人口の 4 分の 3 が、平均で
5.1 年の教育だけしか受けていない。無技能労働者であるという問題に着目し
たもので、初等教育の修了後に継続して教育を受ける機会がなかった者、なら
びに職業教育レベルとして 12 年未満の職業教育修了レベルの労働者に対して、
教育省が基礎教育を提供する間に専門職教育を提供しようという構想である。
・生産性を高めるための技術 (技能)開発を強調
競争力を向上させるために高品質の製品を生産するという考え方に基づき、技
能開発局は、国家人的資源計画および工業構造改革計画に対応する労働力の可
能性を高める研修の提供について責任を負う。
・専門職訓練制度
労働者が職務を遂行できることを証明できるような、実務的な職務あるいは業
務の遂行に重点をおいた専門職業訓練制度である。対象者の知識や経験のレベ
ルを相当する教育レベルに格付けすることができる。この制度は職業教育修了
証明書などによって、その者が一定レベルの職務を遂行できる技能を有するこ
とを保証するものである。
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・官/民の両セクター間の協力を強調
国または地方 (県)のレベルにおいて 3 部構成の委員会の機構を介して協力をす
る。諸計画は 2001 年 10 月に始まった第 9 次国家経済開発計画 (2002∼06 年)
に基づいて策定/実施されていくことになった。
政府は、関連事情の動向を観察/分析しながら、第 9 次国家経済開発計画の目標や
基本方針に基づいて、相応した施策を講じていくものと考えられる。
3.3
雇用政策
−雇用局の責務
・ 職業紹介および求職者保護に関する法律、外国人就労に関する法律およびその
ほか関係する法律を施行すること
・ 労働市場の状況および労働需要の傾向を分析し、労働市場のセンターたること
・ 省の労働政策および戦略に沿って職業紹介の方式、基準、方法などを開発/実
施すること
・ 国民に職業相談、助言、職業指導などを行うこと
−雇用創出
自営業および小規模企業主となることができるよう雇用創出を図る。雇用機会を
国内のあらゆる地方に分散させ、農業以外の雇用を促進する。タイ労働者に対し
新たな労働市場を開拓して国外に雇用機会を設ける。労働市場の効率性を増進す
るために労働市場情報システムおよび労働指標を開発する。これらのために重要
な以下のことを実施する。
・ 自営業および小規模企業の創出
(1) 被解雇者および失業者のうち、特に職業教育および高等教育修了者に、
事業遂行の技術、金融、マーケティング、マネージメント、投資および
関連法規に関する知識を付与することにより、自営業または小規模企業
の開業を促進する。
(2) 自営業主の技能/知識/能力を向上させ、労働市場にいる技能労働者お
よび非技能労働者が変化する環境および技術に適応できるよう支援する。
(3) 農業部門および非農業部門の職業に財政資金の支援を行い、地域に基金
または協同組合が設立されるよう促す。
(4) タイ労働者の雇用を増加させるインセンティブを定めることにより、労
働力不足となっている工業セクターでタイ労働者が就労することを促進
する。あわせて、国際基準を考慮しつつ、外国人就労について、合法化
し、国家の安全を図り、かつタイ労働者の雇用機会を確保するシステム
を設ける。
・ 就労機会の地方分散
(1) 各地域に相応しい職業についての訓練を農業者および農家の主婦層に施
すことにより農業以外の雇用を拡大する。この際特に灌漑地域以外の地
域に配慮する。
(2) 労働集約的事業への投資を刺激することにより、特に収入の少ない者お
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よび貧困者について、種々の地域において雇用機会を創出/増進させる。
・ 海外雇用の促進
外国の市場に必要な新たな技能、特に子供や高年齢者の介護者、タイ料理人
などのサービス分野の職業についてタイ労働者に訓練することにより、海外
雇用を促進する。タイ人に海外の雇用機会を増大させるため、海外に就労に
赴くタイ労働者に対し、低利融資を行い、また外国に新たな労働市場を開拓
し、さらに、各国の就労に関する知識を付与する。
・ 労働市場情報システムおよび指標の開発
(1) 全国の失業者を登録し、官民の労働市場情報と職業紹介のネットワーク
を全国、地方、県、郡および集落レベルに張りめぐらせることにより、
労働市場情報システムおよび職業紹介システムの水準および効率性を引
き上げる。地域および集落が労働に関する情報を十全に収集する能力を
強化する。
(2) 事前に危険を警告するシステムを構築し、政策決定に使用できるよう、
労働市場の指標、収入およびあらゆる層の労働者の生産性を分析するこ
とにより労働指標を開発する。
【参考文献】
1.
2.
Depertment of Skills Development, “Institute of Labour Skills Development,”
Ministry of Labour and Social Welfare, 1996.
NESDB (National Economic and Social Development Board:国家経済社会開発庁)
3.
4.
5.
Website, http://www.nesdb.go.th/
国別援助検討会報告書 (第 2 次)現状分析、JICA、1996 年。
津野正朗、「海外人づくりハンドブック タイ」
、海外職業訓練協会、2002 年。
独立行政法人労働政策研究・研修機構ホームページ、http://www.jil.go.jp/
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