...

第1回 那覇市在宅ケアネット市民フォーラム

by user

on
Category: Documents
9

views

Report

Comments

Transcript

第1回 那覇市在宅ケアネット市民フォーラム
第1回 那覇市在宅ケアネット市民フォーラム
『自分らしく逝くために ~看取りの現場から~』
2014年度
(前期)完了報告書
那覇市在宅ケアネット
平成26年10月21日
1.講演会タイトル
第1回 那覇市在宅ケアネット市民フォーラム
自分らしく逝くために ~看取りの現場から~
2.主催者等
主催 : 那覇市医師会 那覇市在宅ケアネット
共催 : 那覇市
後援 : 沖縄県医師会 沖縄県歯科医師会 沖縄県看護協会 沖縄県薬剤師会
沖縄県栄養士会 沖縄県訪問看護ステーション連絡協議会
沖縄県医療ソーシャルワーカー協会
沖縄県介護支援専門員協会
沖縄県介護福祉士会
沖縄県精神保健福祉士協会
沖縄県作業療法士会 沖縄県理学療法士協会 沖縄県社会福祉協議会
沖縄県地域包括・在宅介護支援センター協議会 沖縄県言語聴覚士会
沖縄県さわやか介護連絡会
沖縄県グループホーム連絡会
南部地区歯科医師会 沖縄県歯科衛生士会 沖縄県がん診療連携協議会
沖縄県在宅医療人材育成・質の向上センター 沖縄がん心のケア研究会
3.開催日時、場所
と
き:平成26年10月4日(土)
開
演:14時00分~(開場13時30分)
場
所:那覇市民会館 大ホール(那覇市寄宮1-2-1)
【入場無料】
4.対象
那覇市民と周辺市町村住民等(特に制限はなし)
5.内容
総合司会:喜納 美津男(那覇市医師会 在宅医療担当理事)
Ⅰ部
基 調 講 演
『最期をハグむ 最期を楽しむ』
講師:岡原 仁志 先生 (医療法人おかはら会 理事長 おげんきクリニック 院長)
Ⅱ部
シンポジウム
座 長:大濵 篤 先生(まちなと内科クリニック 院長)
<シンポジスト>
・自宅で最後まで暮らしたい:又吉 嘉伸 先生 (こころクリニック 院長)
・ホスピスでの看取り:上間
一 先生(オリブ山病院 院長)
・小規模多機能型居宅介護より:木村 秋子 様 (おげんきハグニティ 島の蛍 管理者)
・看取りの経験から:照屋 ちとせ 様(看取り経験家族)
6.結果
【来場者】 約550名
【アンケート回答数】 182通
7.感想
今年度、第1回 那覇市在宅ケアネット市民フォーラムとして「自分らしく逝くために
~看
取りの現場から~」をテーマに開催した。
「看取り」をテーマに医療法人おかはら会 理事長 おげんきクリニック 院長 岡原 仁志 先生
の講演とおげんきハグニティの小規模多機能型居宅介護施設ならびに沖縄県内で在宅医療に携
わる在宅医、施設での看取りとしてのホスピス医、さらに在宅看取り経験家族の方に参加いただ
き各立場から発言するシンポジウムを開催した。
フォーラム開催の数日前からの台風18号接近による影響により開催が懸念されたが、県外講
師も前日に来沖いただいており、台風も概ね東に進路が逸れ公共交通機関にも影響がなく予定通
り開催にすることができた。
第一部の基調講演では、住民の半数が高齢者で、その内4人に1人は一人暮らしという深刻な
問題を抱えている山口県周防大島にて、住民が安心して人生を全うできる環境を整えたいという
思いから、平成24年9月に高齢者向けの複合型介護施設『おげんきハグニティ』を立ち上げた
岡原先生に講演いただいた。
岡原先生は、廃校になった地元の高校の校舎を活用したこの施設でリハビリなどを行うデイサ
ービスや、スタッフが常駐して食事も提供する「サービス付き高齢者向け住宅」など、通常、独
立している施設すべてを同じ建物内に集約した「おげんきハグニティ」の特徴を紹介しながら死
をむかえる人、送る人への医療、介護の関わり語られた。岡原先生の信念とする思いやりの医療
をつきつめるとユーモアやハグに繋がっていくのだと感じた。
第二部のシンポジウムでは、又吉先生は控えめで穏やかな語り口で先生の優しさを感じた。上
間先生は自身のホスピス医として目覚めたきっかけを絡めてホスピスの神髄を話して頂けた。
岡原先生の運営する小規模多機能介護施設「島の蛍」の木村様は、一人の利用者の看取りに寄り
添っていく過程を始終ゆったりとしたリズムで語って頂き、大変穏やかな気持ちになった。
照屋様は自身のお父様の看取りの経験をまだ心の痛みの癒えない中でも気丈にそして克明に
病状と家族の気持ちの移り変わりを語って頂き、皆の涙を誘った。
進行は反省すべき点も多かったが、お陰様で約550名の参加があり大成功のうちに終えるこ
とが出来た。
今回は那覇市在宅ケアネットとして第 1 回目であったが、皆様の知恵を借りながら第2回、
3回と繋げていきたい。
最後に、今回の那覇市在宅ケアネット市民フォーラムは、公益財団法人 在宅医療助成 勇美財
団の助成により実施することができた。深く感謝申し上げる。
<添付>
ポスター
当日配布資料
レジュメ
新聞掲載記事(広告、開催記事)
アンケート結果
「公益財団法人 在宅医療助成 勇美財団の助成による」
こころクリニック ( 在宅療養支援診療所 )
内科 / 在宅医療
又吉 嘉伸
2014/10/4
自宅で最後まで
9ヶ月間
( 最終確認 2ヶ月前 )
☆最大の問題 : 痛み
・飲み薬 ・貼り薬 ;モルヒネ換算1350mg
・( 注射 )
☆輸血:自宅で施行
52
名; 癌 28 /非癌 24
42 / 10
自宅 / 居住系 施設
癌 : 自宅 24 / 施設 4
非癌:
18 /
6
*在宅
28
名 (自宅 24、 施設 4)
*入院
27 名
一般病院 17 :
緩和ケア
10 :
*継続
3名
*「歩けるうちは自宅で過ごしたい、何かあったら病院入院」
*退院前カンファレンス:
*外来通院 と 訪問診療を併用:
・不定期に病院・主治医受診
・定期で訪問診療
☆ 大量腹水 : きつい、苦しい
☆ 痛み
ヤシの皮の芸術家
☆ 大量腹水・・・自宅で水を抜く
☆ 痛み ; 医療用麻薬;持続皮下注射・点滴注射
* PCA付注入ポンプ
☆ 24時間対応:訪問看護、在宅医
在宅期間; 50 日間
最後まで尊厳を保ったまま亡くなった。
*退院後に依頼 「予後 1-2ヶ月の告知」(主治医)
*本人「自宅で、看取りの服も指示」、家族「ホスピス」
★問題: 痛み、 在宅酸素療法
介護力 (夫のみ)
☆ 5/19-6/25 在宅 、 ホスピス入院 5日目死亡
☆2週間前に看取りの説明済
直前にホスピス入院
<I . fusako>
*「今が自宅に戻る最後のチャンス」(主治医)
*本人・家族「何かあれば入院か・はっきり決めてない」
☆退院 2 週間前:退院調整会議 (カンファレンス)
★問題: 痛み、 貧血
介護力
☆在宅 2 週目: 不安、揺れる “ 入院 ?、在宅継続 ?”
自宅 で話し合い ( 家族・在宅医・訪看)
☆退院1ヶ月目で 在宅継続・看取りの方向が決定
在宅看取り
3 ヶ月
<患者側の要件>
*希望・意志 : 本人、家族
*介護力 :
<医療側の要件>
*24時間対応 :
*緩和ケアに精通 :
*在宅ケアチーム :
1: なぜ、こんなにも在宅医療と言われているの?
2: 病院医療と在宅医療の二股をかけることは可能か ?
3: 在宅医療のためにはどんな準備が必要か?
4: 病院の主治医に「状態が悪いため、家に帰せません」といわれたが。
5: 在宅医療に適した病気があるの?
6: 家でも痛みのコントロールは大丈夫?
7: いざ臨終のときに、本当に先生は来てくれる?
8: 看取りの実際と亡くなった後のことを教えて。
9: 在宅医療の医療費はいくら?
10:在宅の主治医はどうやって探すの?
勇美記念財団ホームページ
2014/10/4
看取りのすすめ
オリブ山病院院長
上間
一
死から隔離された時代
一昔前までは、自宅で家族の死を看取るのが当
たり前だった。
現代人は、他人の死を見る機会が乏しくなって
いる。
そのことが、多くの人にとって、死を未知の恐ろ
しいものにしてしまっている。
ホスピス病棟で、多くの死を看取った体験から、
看取りの意義について思うことを伝える。
ホスピス病棟とは
治らない病気(日本では主に癌)で死が近い
患者の全人的苦痛を緩和するための病棟。
全人的苦痛とは、身体的、精神的、社会的、
そしてスピリチュアル(霊的)な苦痛が合わ
さったもの。
全人的苦痛の緩和のために、医師、看護師
だけでなく、介護職員、リハビリ職員、薬剤師、
栄養士、心理療法士、宗教家やボランティア
を含めた多職種のチームでケアに当たる。
私の経歴
1995年に、オリブ山病院に一内科医師として
就職。
奇しくも同じ年に、沖縄県で初の緩和ケア病
棟(ホスピス病棟)がオリブ山病院に誕生。
やがて、緩和ケア病棟(ホスピス病棟)の担当
医となったが、ホスピス医の自覚は無かった。
ホスピスケアの不思議な表現
衰弱がすすみ、死が近くなると、患者の意識は低下し、
ほとんど言語的コミュニケーションはとれなくなる。この
時期には、手を握る、腕をさする、髪を撫でるなどの非
言語的コミュニケーションが中心となる。また、そばに座
り同じときを共有するだけでもコミュニケーションははか
れる。
スピリチュアルペインは医療従事者が癒すものではなく、
患者と医療従事者が関係をとおしてともに成長したとき
に癒されるものであると言われている。限りある人間が
真の心の交流をとおして、孤独感を乗り越えられるよう
な一体感に至ったとき、初めて癒される苦悩である。
「緩和ケアマニュアル」 淀川キリスト教病院ホスピス編
ある患者さんとの出会い
60歳代の男性。
胃癌の肝転移で末期癌。
告知されていて、死を覚悟されていた。
気が合ったので、しばしば長く会話をした。
余命3週間頃からは、ベッド上で寝たきりとな
り、傾眠がちとなってきた。
それでも、ベッドサイドで坐って会話を続けた。
突然現れた静けさの時間!
何が起こったのか?
ホスピスケアの神髄
「最新緩和医療学」 恒藤 暁著
最新医学社
ホスピスケアの神髄
左上の絵は、患者に対して、医師が白衣を着て注射な
どの処置をすることで医師としての役割を発揮している。
左下の絵は、宗教家が宗教儀式を行うことで宗教家と
しての役割を果たしている。
右上の絵は、医学的処置や宗教儀式はすでに行ってし
まっており、援助者は両手には何も持たず、患者に接し
ている。この場合は、まだ、カウンセリングという技法が
残されている。
右下の絵は、患者も援助者も互いに人間として裸同士
となり、手には何も持たず、援助者の与えることのでき
るものは自分自身であることを示している。
「最新緩和医療学」 恒藤 暁著
最新医学社
ホスピスケア神髄
緩和医療において重要なことは「患者を理解す
ることであり、患者との出会いである」と極言する
ことができるであろう。
患者との“真の出会い”がなければ、患者の“真
のいのち”を発見することはできない。
患者のいのちを見出すことのできない医療は、
人間不在の医療とならざるを得ない。患者のい
のちを見出すコミュニケーション、そして医療を目
指していきたものである。
「最新緩和医療学」 恒藤 暁著
最新医学社
真のいのちに触れるために
人の死を看取ることによって、生き死にを
超えた真のいのちに触れることができる。
それは、自分自身の中に、生き死にを超え
た真のいのちを見出すことにもなる。
人の死を看取ることは、人間として大切な
ことであると思う。
御清聴ありがとうございました!
みんなでハグむ
~その人らしい最期を支える~
おげんきハグニティ
小規模多機能型居宅介護 島の蛍
木村秋子
山口県 周防大島町
小規模多機能型居宅介護 島の蛍
瀬戸内海に囲まれた
夕日のきれいな緑豊かな島です
人口18,334人(H26.4.1) ←18,854人(H25.2.28)
高齢化率 49.41%人口の3割は75歳以上
小規模多機能島の蛍
通いと訪問と泊りを組み合わせて
のんびりゆったり生活支援
Aさんらしい暮らしを目指して…
8か月間の島の蛍の関わり
Aさん 80歳代後半 男性
「食事を食べて、薬をきちんと飲んで、少しず
つ体を動かして、もう一度家で暮らしたい。」
「元気になって休耕田に作った自分のゴルフ
練習場を見に行きたい。」
「どうしてこんな体になってしまったのかな…。」
「家に帰っても一人。」
「帰るのなら島の蛍に帰りたい。」
「最期はここで迎えたい。」
自宅で生活するために
~みんなで支援~
看護師
かかりつけ医
訪問看護師
リハビリテーション
薬剤師
見守りネットワーク
訪問介護
友人
福祉用具
愛犬
配食サービス
栄養士
ケアマネジャー
小規模多機能型居宅介護
介護士・看護師
歯科
入院
岡原先生の
特製珈琲
うまい焼肉…
食べに行けなかった
桜もちを半分
残していたな…
みんなにもう会
えないな
みんなでハグむ日々のケアへ
Aさんらしさを尊重する医療
介護 表情から、語りから、対話から
「気持ちの変化」に「思いをはせ」てケアへ
立場が違うから得られる情報をみんなで共有
「らしさ」と「タイミング」を逃さない
お見送りの1か月前
Aさんらしさ 「歌」と「食」
*アローチャートでケアマネジメント
2~3日先を見て暮らす
「Aさんが主」の掲示板
川を渡り終えるまで
傍らに居続ける覚悟をチームで
いつまでもかなわない願い…
「仲間と回転寿司を食べに行きたい」
×回転寿司
◎「回る寿司」パーティー
誰をご招待しましょうか?
「○○君と先生と…、いつものみんなで。」
歌の師匠として、
もてなす主役として、
「回転する寿司を食べる会」
3時間約30名
~「回転する寿司を食べる会」へようこそ~
本日は「A様と寿司を食べる会」へようこそお越しくださいました。
「○○くんと…、岡原先生と…、いつものみんなじゃな…」とご招待したい方々のこ
とを打ち合わせをさせていただき、本日を迎えました。
最近は「この調子なら、病院もここも変わらんよ。岡原先生がいてくれて、みん
なもいてくれるんじゃけえ、おるんならここがええ。」との言葉を頂いています。
日によって体調に変動がおありですが、一週間前から今日をとても楽しみにさ
れていました。
今日はなごやかなひとときとなりますように、よろしくお願いします。
みなさんの言葉がたくさんAさんに届きますように、また、Aさんからのメッセー
ジも皆さんに心と体で受け取っていただきたいと思います。
歌も一緒に楽しんでください。
「十九の春」の出だしは、師匠曰く「わ…」が大事です。
「わ」を大切にうたいましょ~♪
それではこれからの時間、笑顔で楽しんでください。
島の蛍キャスト一同
Aさんと回転する寿司を食べる会
魂になると逢いたい人にまた逢えるらしいですよ。
誰に逢いに行かれますか?
「それは一人だけ。家内に逢いに行きます。」
「わしは死ぬんかな。」
「またあの世で会いましょう。」
苦しいことは? 「ないな。」
心配なことは? 「ないな。」
怖いことは…。 「ないな。」
私たちはこんな感じでお傍にいますが、これでいいですか?
「このままでいいよ。」
「死ぬるんも、えらいな。」
ご気分は? 「まあまあよ。」
ご兄弟と手をつなぎながら
生まれ故郷で最期を
コーヒーの香
兄弟で両親の話
みかんの香
寿司
松茸のお吸い物
友人
あの世という未知の世界へ
漕ぎ出していかれる傍らで
最期まで
共に食べ
共に歌いながら
十九の春♪
いつも、そばに、一緒に…
傍らに居続ける覚悟をチームで
生き抜いてあの世へ
御清聴ありがとうございました!
Fly UP