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第141回 3級解説PDF

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第141回 3級解説PDF
簿記3級講座 2015 年 11 月
第 141 回検定試験 講評と解説
第 141 回 日商簿記3級 講評と解説
【全体講評】
簿記3級は長らくパターン化した問題が多く、2級の難易度が上がったのに比較し、前回までは平易な内容で
した。しかし今回はボリュームが増えたり、推定が含まれたり、簿記理論の出題があったりと、従来に比較し難
易度が上がっています。来年からの新しい出題範囲にあわせて今後この傾向は続くと思われ、勉強方法も注意が
必要です。つまり問題を多く解いて、とにかく問題に慣れるといった勉強法ではなく、簿記の仕組み、構造、簿
記一巡の手続きなど、基本的な理論の部分をしっかり理解する必要があります。このことは従来からも重要性は
変わらないのですが、今までの出題傾向はこの部分を飛ばしても合格できるような内容でした。しかし今後はそ
うはいかないと考え、基本をおざなりにしない勉強が要求されます。
第1問の仕訳問題は標準的な問題でした。小問2での小切手帳の交付、小問4での商品売買取引としての中古
自動車の購入が、少し迷うことがあったかもしれません。小切手および手形は、一定の料金を支払って取引銀行
から交付を受けた専用の用紙の綴り(小切手帳、手形帳)を使用します。実務では、このように交付を受けたさ
いの処理も必要となるため、より実践に即した出題となっています。
第2問の2勘定制を用いた当座預金口座の勘定記入問題は、基本的な内容です。2勘定制を用いた処理の基本
的な理解がなされていれば、問題なく解答できたでしょう。
第3問は、二重仕訳をふくむ試算表作成問題です。集計量は多く、時間配分のペースをオーバーし、苦労した
かもしれません。
第4問の理論問題は、
得点が割れた問題だったと思われます。
基本的な簿記の幅広い知識を問われていますが、
選択肢が示されておらず、かつ漢字で答えることを要求されています。出題意図では「ほぼ4級レベルの内容」
としており、落ち着いて文章を読むことで、全問正解できる内容でもありました。
第5問の財務諸表作成問題は、通常、資料として「決算整理前残高試算表」が示されるものが、各勘定残高し
か示されておらず、戸惑った受験生が多くいたかと思われます。さらに各自推定の箇所があったり、資本金勘定
が示されるなど、目新しい出題でした。財務諸表問題で各勘定残高しか示されない出題は、簿記2級本試験でも
めったになく(第 131 回 2012 年 6 月実施問題)
、難易度をあげる工夫がされていたといえます。あわてずに、各
勘定項目を簡易な試算表に落とし込み、資本金勘定から資本金推定額を見つけてしまうことさえできれば、決算
整理事項等は量も少なく、簡単に解答までたどりつけたはずです。落ち着いて問題に取り組むことが、何よりも
大切です。
【解 説】
(単位:円)
第1問 仕訳問題(配点 20 点)
当たり! 2015 年 11 月直前模試第 3 回第 1 問小問 1.
1.手形の割引き
⇒簿記3級テキスト第 6 章第 2 節 手形の裏書と割引
(1)手形の割引き
手形は、手形の支払期日前に、銀行に買い取ってもらい現金化することができる。これを手形の割引きと
いい、割り引くさいには、利息および手数料が差し引かれる。手持ちの約束手形を割引きにした時は、手形
額面で貸方「受取手形」勘定(資産の減少)と処理する。
(2)割引料
手形を割り引くさいに差し引かれる割引料は、手形額面に割引利率をかけて割引日から支払期日までの日
数に応じて計算される。割引利率は手形決済人の信用情報で決定され、手形の割引日が支払期日よりも前に
なればなるほど割引料の金額が高くなる。ただし本問では、割引料が明示されているので計算する必要はな
い。また割引料は、借方「手形売却損」勘定(費用の発生)を用いる。
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Z会キャリアアップコース(不許複製)
簿記3級講座 2015 年 11 月
第 141 回検定試験 講評と解説
(3)手取金
約束手形 800,000 から割引料 4,000 を差し引いた額が、
当座預金に振り込まれる。
当座預金の入金なので、
借方「当座預金」勘定(資産の増加)となる。
当座預金:約束手形 800,000-割引料 4,000=796,000
(1)から(3)をあわせたものが解答の仕訳になる。
解答の仕訳
(借)
(借)
当 座 預 金
手 形 売 却 損
796,000
4,000
(貸)
受
取
手
形
800,000
2.当座預金口座の開設
類似 2015 年 6 月直前模試第 3 回第 1 問小問 2.
⇒簿記3級テキスト第 4 章第 5 節 当座預金
(1)当座預金口座開設
当座預金口座を開設したこと自体は仕訳の必要はなく、当座預金口座へ入金した処理のみを行う。普通預
金口座から振り替えられているので、貸方「普通預金」勘定(資産の減少)である。
(2)小切手帳の交付
当座預金口座を開設したときに、約束手形用紙や小切手帳の購入する。小切手帳の購入は「消耗品費」「消
耗品」なども考えられるが、勘定科目選択群から最も適切なものとして「支払手数料」を選択できる。判断
が難しい設問だが、問題文の『手数料として』とあるのもヒントになるだろう。
解答の仕訳
(借)
(借)
当
座
預
支 払 手 数
金
料
3,000,000
2,000
(貸)
(貸)
普
現
通
預
金
金
3,000,000
2,000
3.貸し倒れた売掛金の回収
当たり 2015 年 2 月直前模試第 2 回第 1 問小問 3.
⇒簿記3級テキスト第 15 章第 4 節 貸倒引当金
昨年度に得意先が倒産したさいの貸し倒れた売掛金 1,000,000 は、すでに貸方「売掛金」勘定(資産の減少)
で処理されており、当期になってから貸倒先から入金があっても、
「売掛金」勘定を減少させる必要はないことに
注意する。当問題のように、いったん貸倒処理が済んだ債権の回収は、
「償却債権取立益」勘定(収益の発生)を
用いる。普通預金口座への振込みなので、借方「普通預金」勘定(資産の増加)である。
解答の仕訳
(借)
普
通
預
金
50,000
(貸)
償却債権取立益
50,000
4.仕入取引
⇒簿記3級テキスト第 5 章第 1 節 商品の購入と販売
問題文にある『販売目的の中古自動車』
、
『当店は自動車販売業を営んでいる』をおさえる必要がある。自動車
の購入だが、販売目的なので借方「仕入」
(費用の発生)である。間違って「車両運搬具」
(資産の増加)としな
いように注意する。
仕入代金の後日支払いは、貸方「買掛金」勘定(負債の増加)である。ここも「未払金」
(負債の増加)にしな
いように気をつけたい。また引取運送費は、仕入金額に含める。現金の支払いは貸方「現金」勘定(資産の減少)
である。
仕入:1,200,000+引取運送費 10,000=1,210,000
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解答の仕訳
(借) 仕
入
1,210,000
(貸)
(貸)
買
現
掛
金
金
1,200,000
10,000
当たり! 2015 年 11 月直前模試第 2 回第 1 問小問 3.
5.税金の支払い
事業用の部分にかかる固定資産税は、会社が支払義務をもつ税金である。借方「租税公課」勘定(費用の発
生)で処理をする。『現金で納付』とあるので、貸方「現金」勘定(資産の減少)とする。
解答の仕訳
(借)
租
税
公
課
60,000
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(貸)
現
金
60,000
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第2問 当座預金口座の借越(配点:10 点)
当たり 2015 年 2 月直前模試第 2 回第 2 問
⇒簿記3級テキスト第 4 章 第 5 節 当座預金・第 6 節 当座借越
本問は、当座預金口座を、
「当座預金」勘定と「当座借越」勘定の 2 つを用いて残高を記録する、2 勘定制の場
合の勘定記入が問われている。常に当座預金口座の残高に注意して記入することがポイントである。
2 勘定制
「当座預金」勘定 必ず借方残高
「当座借越」勘定 必ず貸方残高
当座預金の預入れや引出しを行うごとに預
金残高または借越残高をチェックする。
1 勘定制
「当座」勘定 借方残高にも貸方残高にもなる
1 勘定制では、当座預金口座残高が借越状態になっ
ても勘定科目を考慮しなくてすむため、残高を気
にせずに仕訳できる利便性がある。
なお、問題文中『商品売買に関する記帳は 3 分法』とあるが、これは商品の購入は「仕入」
(費用の発生)
、販
売は「売上」
(収益の発生)で仕訳する、いつも行っている方法である。3 分法では、決算において、
「仕入」勘
定と「売上」勘定のほかに、
「繰越商品」勘定(資産)を用いて売上原価を計算し、在庫商品を記録している。
2 勘定制による仕訳と勘定記入
仕訳と同時に勘定記入を行うが、勘定記入のさい、摘要欄は、仕訳の相手科目名を記入する。
また仕訳をしながら、常に当座預金勘定の残高に注意をはらい、当座預金口座からの支払額が、当座預金口座
残高より大きくなる場合、不足額は当座借越勘定を用いて処理をする。
1 月 4 日 小切手振出しによる現金 200,000 の引出し。
(借) 現
金
200,000 (貸)
当 座 預 金
1/ 1 前期繰越 700,000
1/ 4 現
当
座
預
金
200,000
当
買
座
預
金
金
250,000
250,000
金 200,000
残高 500,000
1 月 7 日 商品 500,000 の仕入。
・小切手の振出し:500,000÷2=250,000
・掛け
:500,000÷2=250,000
(借) 仕
入
500,000 (貸)
(貸)
掛
当 座 預 金
1/ 1 前期繰越 700,000
1/ 4 現
金 200,000
1/ 7 仕
入 250,000
残高 250,000
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第 141 回検定試験 講評と解説
1 月 13 日 小切手の振出しによる買掛金 400,000 の支払い。
当座預金の残高が 250,000 しかないので、買掛金 400,000-当座預金残高 250,000=当座預金の不
足分 150,000 を「当座借越」勘定(負債)で処理をする。
(借) 買
掛
金
400,000 (貸) 当 座 預 金
250,000
(貸) 当 座 借 越
150,000
当 座 預 金
1/ 1 前期繰越 700,000 1/ 4 現 金 200,000
1/ 7 仕 入 250,000
1/13 買掛金 250,000
残高 0
当 座 借 越
残高 150,000
1/13 買 掛 金 150,000
1 月 18 日 商品 350,000 の売上代金として、小切手の受取り。
当座借越勘定に残高がある場合は、まずその返済にあてる。返済した後の残額を、当座預金勘定
の増加とする。
・当座預金:売上代金 350,000-当座借越残高 150,000=200,000
(借) 当 座 借 越
150,000 (貸) 売
上
350,000
(借) 当 座 預 金
200,000
当 座 預 金
1/ 1 前期繰越 700,000 1/ 4 現 金 200,000
1/ 7 仕 入 250,000
1/18 売
上 200,000 1/13 買掛金 250,000
当 座 借 越
1/18 売 上 150,000
1/13 買掛金 150,000
残高 0
残高 200,000
1 月 25 日 売掛金回収による当座預金への入金。
(借) 当 座 預 金
450,000 (貸) 売
当 座 預 金
1/ 1 前期繰越 700,000 1/ 4 現 金 200,000
1/ 7 仕 入 250,000
1/18 売
上 200,000 1/13 買掛金 250,000
1/25 売 掛 金 450,000
残高 650,000
掛
金
450,000
当 座 借 越
1/18 売 上 150,000
1/13 買掛金 150,000
残高 0
1 月27 日 当店振出しの約束手形は、
「支払手形」勘定(負債)で処理されている。支払期日到来により、
支払手形決済のため当座預金から引落し。
(借) 支 払 手 形
300,000 (貸) 当 座 預 金
300,000
当 座 預 金
1/ 1 前期繰越 700,000 1/ 4 現 金 200,000
1/ 7 仕 入 250,000
1/18 売
上 200,000 1/13 買掛金 250,000
1/25 売 掛 金 450,000 1/27 支払手形 300,000
当 座 借 越
1/18 売 上 150,000
1/13 買掛金 150,000
残高 0
残高 350,000
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1 月29 日 店舗の電気料金が当座預金口座より引落し。
(借) 水 道 光 熱 費
30,000 (貸)
当 座 預 金
1/ 1 前期繰越 700,000 1/ 4 現 金
1/ 7 仕 入
1/18 売
上 200,000 1/13 買掛金
1/25 売 掛 金 450,000 1/27 支払手形
当
座
預
金
30,000
当 座 借 越
200,000
250,000
250,000
300,000
1/18 売 上 150,000
1/13 買掛金 150,000
残高 0
1/29 水道光熱費 30,000
残高 320,000
以上の勘定記入が解答となる。また、1 月末日における当座預金勘定の残高は、320,000 である。
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第3問 試算表の作成(配点 30 点)
当たり 2015 年 6 月直前模試第 2 回第 3 問
試算表を作成する問題である。
試算表は、仕訳の帳簿の転記が正しく行われているかどうかをチェックするために作成されるもので、
①各勘定の借方合計・貸方合計を集めた合計試算表
②各勘定の借方残高・貸方残高を集めた残高試算表
③①と②を合わせた合計残高試算表
という、3 種類がある。
本問は、問題文・解答用紙にあるとおり、取引集計額の記入とともに、残高試算表を完成させる問題である。
解答手順としては、資料の[12 月中の取引]の仕訳を行ったうえで、各勘定科目ごとに仕訳の合計額を集計、解
答用紙 試算表の『月中取引高』に集計額を記入、さらに、
『月初残高』に加減算して『12 月末残高』を計算す
るという順序になる。なお、
[12 月中の取引]では、二重に取引が記載されているものがある。集計のさいには、
二重取引に該当するものを除いて、計算する必要がある。
二重取引に該当するもの
(1)現金に関する取引
a.当座預金口座からの引出し
(2)当座預金に関する取引 d.現金の引出し
(2)当座預金に関する取引 e.商品の仕入れ
(3)仕入に関する取引
a.小切手の振出しによる仕入れ
1.[12 月中の取引]の仕訳
(1)現金に関する取引
問題文に注意して、現金の増加か減少なのかを判断する。
a. ・当座預金口座から現金を引き出したので、現金の増加である。
※なお、この取引の当座預金は、
(2)当座預金に関する取引 d.現金の引出しで集計処理される。
(借) 現
金
150,000
(貸) 当 座 預 金
150,000
b. ・手付金の受入れなので、現金の増加である。商品受注をしているだけなので、売上処理ではなく、
貸方「前受金」勘定(負債の増加)で処理する。
(借) 現
金
110,000
(貸) 前
受
金
110,000
c. ・手付金の支払いなので、現金の減少である。商品を発注しているだけなので、仕入処理ではなく、
借方「前払金」勘定(資産の増加)で処理する。
(借) 前
払
金
80,000
(貸) 現
金
80,000
d. ・旅費の概算払いは、借方「仮払金」勘定(資産の増加)である。
(借) 仮
払
金
15,000
(貸) 現
金
15,000
e. 商品発送費用の当店負担は、解答用紙「試算表」の勘定科目から、借方「発送費」勘定(費用の発生)
で処理する。
(借) 発
送
費
2,000
(貸) 現
金
2,000
f. ・それぞれ費用を現金で支払った取引である。解答用紙「試算表」の勘定科目から、家賃は「支払家
賃」勘定、電話料金は「通信費」勘定、水道光熱費は「水道光熱費」勘定で処理する。
(借) 支 払 家 賃
80,000
(貸) 現
金
80,000
(借) 通
信
費
15,000
(貸) 現
金
15,000
(借) 水 道 光 熱 費
13,000
(貸) 現
金
13,000
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g.
h.
・従業員の所得税は、本来、従業員本人が支払うものであるが、通常は、会社が個人の所得税分を給
料から天引きして預かり、さらに従業員のかわりに支払う義務を負っている。つまり、従業員から預
かっている所得税は負債であり、解答用紙「試算表」の勘定科目から、「所得税預り金」勘定を用い
る。当問題では所得税を納付しているので、借方「所得税預り金」勘定(負債の減少)である。
(借) 所 得 税 預 り 金
3,000
(貸) 現
金
3,000
・d.の残額とは、出張旅費の「仮払金」から、実際にかかった出張旅費の金額を差し引いたものであ
る。
「仮払金」から残額を差し引いた額が借方「旅費交通費」勘定(費用の発生)となる。また借方「仮
払金」勘定は、全額相殺される。
従業員旅費概算額 15,000-残額 1,000=14,000…「旅費交通費」
(借) 旅 費 交 通 費
14,000
(貸) 仮
払
金
15,000
(借) 現
金
1,000
(2)当座預金に関する取引
問題文に注意して、当座預金の増加か減少なのかを判断する。
a. ・期日入金されたので、当座預金勘定の増加である。約束手形が入金されたので、貸方「受取手形」
勘定(資産の減少)である。
(借) 当 座 預 金
150,000
(貸) 受 取 手 形
150,000
b. ・売掛金が、当座預金勘定に入金された取引である。
(借) 当 座 預 金
400,000
(貸) 売
掛
金
400,000
c. ・約束手形を割り引きしたので、貸方「受取手形」勘定(資産の減少)である。受取手形は、額面の
120,000 で処理をする。額面と入金額の差額は、借方「手形売却損」勘定(費用の発生)で処理する。
額面 120,000-入金額 118,000=2,000…「手形売却損」
(借) 当 座 預 金
118,000
(貸) 受 取 手 形
120,000
(借) 手 形 売 却 損
2,000
d. ・当座預金口座から現金を引き出したので、当座預金勘定の減少である。
※なお、この取引の現金は、
(1)現金に関する取引 a.当座預金口座からの引出しで集計処理される。
(借) 現
金
150,000
(貸) 当 座 預 金
150,000
e. ・商品の仕入を当座預金勘定から支払った取引である。
※なお、この取引の仕入は、
(3)仕入に関する取引 a.小切手の振出しによる仕入れで集計処理され
る。
(借) 仕
入
200,000
(貸) 当 座 預 金
200,000
f. ・期日支払いされたので、当座預金勘定の減少である。約束手形の決済をしたので、借方「支払手形」
勘定(負債の減少)である。
(借) 支 払 手 形
140,000
(貸) 当 座 預 金
140,000
g. ・買掛金を、当座預金勘定から支払った取引である。
(借) 買
掛
金
300,000
(貸) 当 座 預 金
300,000
h. ・借入金と借入金利息を、当座預金勘定から支払った取引である。借入金利息は、借方「支払利息」
勘定(費用の発生)である。
(借) 借
入
金
500,000
(貸) 当 座 預 金
505,000
(借) 支 払 利 息
5,000
i. ・従業員の給料は、源泉所得税を含めたものである。支払額 295,000 は源泉所得税 5,000 を差引後の
金額とあるので、支払額と源泉所得税を合わせたものを、借方「給料」勘定(費用の発生)とする。
また源泉所得税分は、解答用紙「試算表」の勘定科目から、貸方「所得税預り金」勘定(負債の増加)
で処理する。
給料:給料の支払い 295,000+源泉所得税 5,000=300,000
(借) 給
料
300,000
(貸) 当 座 預 金
295,000
(貸) 所 得 税 預 り 金
5,000
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(3)仕入に関する取引
a. ・小切手の振出しは貸方「当座預金」勘定(資産の減少)である。
※なお、この取引の当座預金は、
(2)当座預金に関する取引 e.商品の仕入れで集計処理される。
(借) 仕
入
200,000
(貸) 当 座 預 金
150,000
b. ・約束手形の振出しは、貸方「支払手形」勘定(負債の増加)である。
(借) 仕
入
60,000
(貸) 支 払 手 形
60,000
c. ・掛けによる仕入れは、貸方「買掛金」勘定(負債の増加)である。
(借) 仕
入
550,000
(貸) 買
掛
金
550,000
d. ・手付金は、商品発注したさいに、借方「前払金」勘定(資産の増加)で処理されているため、実際
の仕入のさいに、仕入の計上とともに、取消の処理を行う。
(借) 仕
入
120,000
(貸) 前
払
金
120,000
e. ・掛返品とは、掛けで仕入れた商品の戻りなので、仕入時と逆の処理をする。
(借) 買
掛
金
30,000
(貸) 仕
入
30,000
(4)売上げに関する取引
a. ・約束手形の受入れは、借方「受取手形」勘定(資産の増加)である。
(借) 受 取 手 形
180,000
(貸) 売
上
180,000
b. ・手付金は、商品受注のさいに、貸方「前受金」勘定(負債の増加)で処理されているため、実際の
売上のさいに、売上の計上とともに、取消の処理を行う。
(借) 前
受
金
200,000
(貸) 売
上
200,000
c. ・掛けによる売上は、借方「売掛金」勘定(資産の増加)である。
(借) 売
掛
金
900,000
(貸) 売
上
900,000
d. ・掛値引きとは、掛けで売り上げた商品を値引きしたためなので、売上時と逆の処理をする。
(借) 売
上
10,000
(貸) 売
掛
金
10,000
(5)その他の取引
a. ・現金過不足は、解答用紙「試算表」で、借方に残高があるので、実際の現金が帳簿より多く残って
いたことがわかる。多く残っていた分は、発送費支払いの記録もれと判明したので、発送費の処理を
して、現金過不足勘定を減算する。
(借) 発
送
費
3,000
(貸) 現 金 過 不 足
3,000
b. ・前期に発生した売掛金は、貸倒引当金の設定がされている。そのため、前期に発生した売掛金が貸
し倒れたときは、まず「貸倒引当金」勘定から貸倒額を差し引く必要がある。
「試算表」貸倒引当金残
高より、今回貸し倒れた額のほうが小さいので、他の処理を考える必要はない。
(借)
貸倒引当金繰入
8,000
(貸) 売
掛
金
8,000
c. ・解答用紙「試算表」に貸方「仮受金」があるので、これを減少させ、売掛金の回収として、貸方「売
掛金」勘定(資産の減少)とする。
(借) 仮
受
金
100,000
(貸) 売
掛
金
100,000
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2.集計
以上の仕訳を、各勘定科目ごとに、借方合計、貸方合計を計算する。それぞれ、簡易型のT勘定にまとめる
とよい。学習が慣れてくれば、仕訳のかわりにT勘定にまとめながら解答することで、解答時間の短縮が可能
となる。
a.
b.
h.
a.
b.
c.
(4)c.
(4)a.
現金(1)
150,000
80,000
110,000
15,000
1,000
2,000
80,000
15,000
13,000
3,000
261,000
208,000
当座預金(2)
150,000
150,000
400,000
200,000
118,000
140,000
300,000
505,000
295,000
668,000
1,590,000
売掛金
900,000
400,000
10,000
8,000
100,000
900,000
518,000
受取手形
180,000
150,000
120,000
180,000
270,000
c.
d.
e.
f.
f.
f.
a.
b.
c.
d.
g.
d.
d.
仕入(3)
200,000
30,000
60,000
550,000
120,000
930,000
30,000
売上(4)
10,000
180,000
200,000
900,000
10,000
1,280,000
e.
a.
b.
c.
e.
f.
g.
h.
i.
(2)b.
(4)d.
(2)g.
(3)e.
(5)b.
買掛金
300,000
550,000
30,000
330,000
550,000
(3)c.
(5)c.
(2)a.
(2)c.
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(2)f.
支払手形
140,000
60,000
(3)b.
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3.解答用紙への記入
①12 月中の取引高を記入
以上の仕訳やT字勘定での集計を、解答用紙の試算表『月中取引高』欄に記入する。
②12 月末残高の記入
『月中取引高』と『月初残高』を加減算し、『12 月末残高』を計算、記入する。借方項目、貸方項目の加
算減算、記入欄を間違えないようにしよう。
注意したい勘定
・仮払金:『月初残高』がなく、『月中取引』借方 15,000、貸方 15,000 なので、『12 月末残高』の記入は
ない。
・現金過不足:『月初残高』借方 3,000 は、『月中取引』貸方 3,000 なので、『12 月末残高』の記入はない。
・貸倒引当金:資産項目の中に示されているが、「貸倒引当金」は負債項目なので、『月初残高』貸方 20,000
から『月中取引』借方 8,000 を差し引いた額が、『12 月末残高』貸方 12,000 の記入となる。
・繰越商品・備品・備品減価償却累計額・資本金・租税公課:『月中取引』がないので、『月初残高』がそ
のまま『12 月末残高』に移記される。
③縦の合計額を計算
縦の合計額計算をすることで仕訳、計算ミス、書き間違えなどをチェックすることができる。実際の試験
において時間が不足している場合は、縦の計算を行わないことも可能であるが、試算表作成は、勘定への転
記ミスの有無を確認する手段であることも目的のひとつである。期中において繰り返し行われる取引を確実
に処理できるかを集計の主な論点としていることからも、学習のさいには必ず縦の合計額計算を行っておこ
う。本試験で金額が合わずに慌てて時間を費やしたりしないように、縦計の貸借が一致しなかった場合のチ
ェックの方法にも慣れておく姿勢が大切である。
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第4問 穴埋め問題(配点 10 点)
穴埋め形式の知識問題である。3級にしては珍しく、簿記の理論からの出題である。簿記の仕組み、帳簿の種
類、簿記一巡の手続きなどの知識が必要である。解説では簿記2級以上の説明も行っているが、あわせて簿記3
級テキストで基礎知識を確認しておこう。
1.簿記3級テキスト 第1章第1節 簿記の概要・第18章第1節 財務諸表の作成
(ア)
財務諸表とは企業の経営状況を報告するための書類で、次の種類がある。
損 益 計 算 書
企業の収益・費用と利益を記載し、経営成績を報告する。
貸 借 対 照 表
企業の資産・負債・純資産を記載し、財政状態を報告する。
キャッシュフロー計算書
企業の資金の調達と運用及び回収の状況を明らかにする。
株主資本等変動計算書
株主資本の変動を明らかにする。
設問では「企業の一時点の資産、負債及び純資産の状態を表す表」をきいているので(貸借対照表)が
正解となる。
(イ)
簿記一巡の手続きのうち決算手続は以下である。
作
業
内
容
期中取引終了後の元帳残高
整理記入(決算修正仕訳) 売上原価・減価償却・貸倒償
却・経過勘定項目など
整理記入終了後の元帳残高
決算振替仕訳
収益・費用→損益勘定
資産・負債・純資産
英米式→繰越記入
大陸式→決算残高勘定
使われる試算表
決算整理前残高試算表
決算整理後残高試算表
資産・負債・純資産のみ
繰越試算表
以上から決算振替仕訳後の資産・負債・純資産を集計したものが(繰越)試算表である。
2.簿記3級テキスト 第18章第4節 決算振替と帳簿の締切
決算振替仕訳の部分をもう少し詳しく見ていく。
(ウ)
決算整理後の収益・費用の各科目残高を損益勘定に振り替える。損益勘定では借方に費用、貸方に収益が集
計され、貸借の差額として当期純利益(借方<貸方の場合)または当期純損失(借方>貸方の場合)が計算さ
れる。つまり当期純利益または当期純損失を計算するのは、(損益)勘定である。
※当期純利益(借方<貸方の場合)
費用の各勘定
残高
振替
損益
費用
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収益の各勘定
収益
振替
残高
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(エ)
収益と費用を損益勘定に振り替える作業によって、収益と費用の諸勘定は締め切られる。さらに損益勘定の
貸借の差額は(資本金)勘定に振り替えられ、損益勘定が締め切られる。
※当期純利益の場合
資本金
損 益
残 高
費 用
振 替
収 益
当期純利益
3.簿記3級テキスト 第13章第1節 3伝票制
(オ)
伝票制では次のように伝票を使い分ける。
3伝票制
入 金 取 引
入金伝票
出 金 取 引
出金伝票
仕 入 取 引
-
売 上 取 引
-
その他の取引
振替伝票
5伝票制
入金伝票
出金伝票
仕入伝票
売上伝票
振替伝票
3伝票制では、現金の入金出金を扱わない取引は、(振替)伝票を用いることになる。
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第5問 財務諸表の作成(配点 30 点)
当たり! 2015 年 11 月直前模試第 2 回第 5 問
⇒簿記3級テキスト第18章第1節 財務諸表の作成
財務諸表を作成する問題である。財務諸表を作成することによって、損益および資産・負債の残高を確定させ、
簿記一巡の手続きが完了する。3級で扱う財務諸表は貸借対照表と損益計算書(勘定式)である。
決算整理前の各勘定残高は、表形式ではなく羅列となっており、現金と資本金は推定となっている。しかし資
本金は問題資料に、
『※資本金勘定の推定にあたって』と資本金勘定記入が示されてあるので、残高はわかるよう
になっている。残る現金は、資料の『総勘定元帳の各勘定残高』を試算表形式にして貸借差額で計算する。
解答の手順としては、まず(1)決算整理前の総勘定元帳の各勘定残高を貸借項目に振り分け、
『資本金勘定』
から資本金の推定額を計算してから、貸借差額で現金の推定額を求める。その後は、
(2)決算整理事項等の仕訳
を行ったうえで、仕訳を(1)決算整理前の総勘定元帳の各勘定残高に加減算して、決算後残高を計算する、と
いう流れがよい。
1.各勘定残高の整理
勘定科目と金額だけが示されているので、借方項目なのか貸方項目なのかを間違えないように、残高試算表
を作成する。また、使用されている勘定科目にも注意を払っておきたい。ここには、「減価償却累計額」とい
う勘定科目が載っていないので、減価償却処理を行う固定資産(備品)は、当期購入の新しいものか、「減価
償却累計額」勘定を用いない直接用による記帳方法を用いているか、のどちらかであることに気付いておきた
い。
試 算 表
現
金
?
支 払 手 形
400,000
当 座 預 金
2,725,000
買
掛
金
600,000
受 取 手 形
650,000
借
入
金
2,000,000
売
金
800,000
貸倒引当金
10,000
繰 越 商 品
370,000
資
売
掛
備
品
1,300,000
仕
入
12,500,000
給
料
2,800,000
支 払 家 賃
900,000
水道光熱費
240,000
保
険
料
174,000
通
信
費
96,000
消 耗 品 費
75,000
支 払 利 息
20,000
本
金
?
上
17,000,000
受取手数料
30,000
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2.資本金・現金の推定
3級では個人商店を対象としているため、資本金勘定には、個人的な用途での引出しが反映されてくる。推
定事項となっている資本金勘定の決算整理前残高を計算するためには、期首残高(前期繰越額)から当期中の
引出し額を差し引けばよい。
資本金:前期繰越 3,800,000-借方合計(150,000+150,000+300,000)=3,200,000
なお、参考までに以下、仕訳を示しておく。
2/20
(借) 資
本
金
150,000 (貸) 現
金
150,000
5/10
(借) 資
本
金
150,000 (貸) 仕
入
150,000
6/25
(借) 資
本
金
300,000 (貸) 現
金
300,000
決算整理前の資本金残高が 3,200,000 と判明したので、1.で作成した試算表の貸方合計が計算できる。現
金を含めない借方合計と貸方合計の差額が、決算整理前の現金残高である。
現金:貸方合計 23,240,000-借方合計 22,650,000=590,000
3.
(2)決算整理事項等の仕訳
1.現金残高不一致の修正
⇒簿記3級テキスト第 15 章第 6 節 現金過不足
2.資本金・現金の推定で求めた現金残高 590,000 と、現金実際有高 580,000 の差額は 10,000 である。差
額の原因は不明なので、借方「雑損」勘定(費用の発生)で処理する。
(借) 雑
損
10,000
(貸) 現
金
10,000
「雑損」10,000→損益計算書
「現金」実際有高 580,000→貸借対照表
2.未記帳(売掛金の入金)
売掛金の入金があったときは、貸方「売掛金」勘定(資産の減少)である。当座預金口座への入金は、借
方「当座預金」勘定(資産の増加)である。
(借) 当
座
預
金
50,000
(貸) 売
掛
金
50,000
「当座預金」2,725,000+50,000=2,775,000→貸借対照表
「売掛金」800,000-50,000=750,000
→貸借対照表
3.貸倒引当金の設定
⇒簿記3級テキスト第 15 章第 4 節 貸倒引当金
①受取手形に対する貸倒引当金 650,000×1%=6,500
②売掛金に対する貸倒引当金 (800,000-50,000)×1%=7,500
③貸倒引当金繰入の計算
貸倒引当金:①6,500+②7,500=14,000
貸倒引当金繰入:当期貸倒引当金 14,000-貸倒引当金勘定残高 10,000=4,000
(借)
貸倒引当金繰入
4,000
(貸)
貸 倒 引 当 金
4,000
「
(貸倒引当金繰入)←解答用紙に記入」4,000→損益計算書
「貸倒引当金」受取手形分 6,500→貸借対照表
売 掛 金分 7,500→貸借対照表
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4.売上原価の計算
⇒簿記3級テキスト第 15 章第 5 節 売上原価の計算
解答用紙の損益計算書では、「売上原価」勘定を用いているため、決算整理仕訳の売上原価算定の仕訳は
「売上原価」勘定を用いる。
(借) 売
上
原
価
370,000
(貸) 繰
越
商
品
370,000
(借) 売
上
原
価 12,500,000
(貸) 仕
入
12,500,000
(借) 繰
越
商
品
420,00
(貸) 売
上
原
価
420,000
「売上原価」370,000+12,500,000-420,000=12,450,000→損益計算書
5.固定資産の減価償却
⇒簿記3級テキスト第 10 章第 2 節 減価償却の計算と記帳
問題資料(1)の各勘定残高に「減価償却累計額」がないことに注意する。決算整理事項でも『直接法で
記帳』と明記してあるので、減価償却費は備品勘定から直接控除する。さらに、問題資料(1)の各勘定残
高の備品 1,300,000 は、減価償却費を毎期差し引かれた後の金額であることに注意する。
備品は、問題文より『平成 25 年期首に取得』しているので、各勘定残高の備品 1,300,000 は、平成 25 年
期首~前期末平成 25 年 12 月 31 日の 1 年分の減価償却費を差し引かれた金額である。耐用年数では残り 5
年分で償却することになるため、各勘定残高の備品 1,300,000 を 5 年で割れば、当期の減価償却費が計算で
きる。
減価償却費:各勘定残高の備品 1,300,000÷5 年=260,000
(借) 減 価 償 却 費
260,000
(貸) 備
品
260,000
「
(減価償却費)←解答用紙に記入」260,000→損益計算書
「備品」各勘定残高の備品 1,300,000-当期減価償却費 260,000=1,040,000→貸借対照表
6.消耗品の整理
⇒簿記3級テキスト第 15 章第 8 節 消耗品の処理
各勘定残高に「消耗品費」があることから、購入時に「消耗品費」勘定(費用の発生)で処理しているこ
とがわかる。したがって、問題文の『消耗品未使用高』22,000 は、未使用のまま残った消耗品(資産)とし
て、借方「消耗品」勘定(資産の増加)に振り替える。そして、貸方「消耗品費」勘定(費用の発生)とす
ることで、「消耗品費」勘定の残高が、当期の消耗品の費用となる。
(借) 消
耗
品
22,000
(貸) 消
耗
品
費
22,000
「消耗品費」75,000-22,000=53,000→損益計算書
「消耗品」22,000→貸借対照表
消耗品費(費用)
消費使用高
53,000
当期購入高
損益計算書へ
75,000
勘定残高の金額
未消費(未使用)高
22,000
消耗品(資産)
未消費(未使用)高
22,000
22,000
貸借対照表へ
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7.前払保険料の計上(費用の繰延べ)
⇒簿記3級テキスト第 16 章第 1 節 費用の繰延(前払費用)
問題文『¥144,000 は、当期の 4 月 1 日に支払った店舗に対する 1 年分の損害保険料』とあるので、当期
分に対応する保険料は、4 月 1 日から 12 月 31 日までの 9 ヵ月分である。次期に対応する残り 3 ヵ月分は、
前払いとして、借方「前払保険料(前払費用)」勘定(資産の増加)、貸方「保険料」勘定(費用の取消)
の処理をする。
支払い 144,000(12 ヵ月分)
当期首
26 年
1/1
期末
26 年
12/31
26 年
4/1 支払
前払い
36,000(3 ヵ月分)
27 年
3/31
当期の保険料
108,000(9 ヵ月分)
3 ヵ月
12 ヵ月
前払保険料(前払費用)
:144,000×
=36,000
保険料:
(各勘定残高 174,000-144,000)+144,000×
9 ヵ月
12 ヵ月
=138,000
(借) 前 払 保 険 料 *
36,000
(貸) 保
険
料
*「前払保険料」は、解答用紙の貸借対照表では「前払費用」と表示されている。
36,000
「保 険 料」138,000→損益計算書
「前払費用」36,000→貸借対照表
8.未払利息の計上
⇒簿記3級テキスト第 16 章第 2 節 費用の見越(未払費用)
金銭を借り入れると、借入金にたいする利息が発生する。問題文より『支払利息は、当期首から 10 月 31 日
(利払日)までの借入金に対する利息』とあるので、11 月 1 日から決算日 12 月 31 日までの 2 ヵ月分の借入金
利息が計上されていないことがわかる。当期の借入金額に対して発生する利息は当期の費用であるので、決算
で 2 ヵ月分を計上する必要がある。当期の費用として、借方「支払利息」勘定(費用の発生)、支払わなけれ
ばならない債務として貸方「未払利息(未払費用)」勘定(負債の増加)になる。
各勘定残高「借入金」2,000,000×1.2%×
2 ヵ月
12 ヵ月
=4,000
(借) 支
払
利
息
4,000
(貸) 未 払 利 息 *
*「未払利息」は、解答用紙の貸借対照表では「未払費用」と表示されている。
4,000
「支払利息」各勘定残高 20,000+4,000=24,000→損益計算書
「未払費用」4,000→貸借対照表
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2.解答用紙への記入
仕訳を各科目の金額に加減し、損益計算書と貸借対照表を作成する。
勘定科目の属性をしっかり覚え、解答用紙の貸借対照表と損益計算書の形式を確認したうえで、記入できるよ
うにしておこう。
以下、記入に関して注意する勘定科目である。
●貸倒引当金の表示
①受取手形に対する貸倒引当金 6,500
【貸借対照表の表示】
(
受 取 手 形
(
貸倒引当金 ) (
650,000 )
6,500 )
(
643,500 )
650,000 - 6,500
=643,500
受取手形から貸倒引当金を差し引く
②売掛金に対する貸倒引当金 7,500
【貸借対照表の表示】
(
売 掛 金
(
貸倒引当金 ) (
750,000 )
7,500 )
(
742,500 )
750,000 - 7,500
=742,500
売掛金から貸倒引当金を差し引く
●繰越商品→貸借対照表では商品で表示される。
期末商品の棚卸高が、期末の商品額である。
★当期純(
)の計算
損益計算書欄の貸方合計(収益)と借方合計(費用)の差額により、当期純損益を計算する。
損益計算書貸方(収入)合計 17,030,000-損益計算書借方(費用)合計 16,975,000=55,000
…当期純(利益)
当期純利益 55,000 は、貸借対照表の貸方「当期純(利益)」欄へ移記し、貸借が一致することを確認する。
以上
18/18
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