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組織再編の意義 事業譲渡(467Ⅰ①)等 「事業の譲渡」の意義 「事業

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組織再編の意義 事業譲渡(467Ⅰ①)等 「事業の譲渡」の意義 「事業
組織再編の意義�
商法[会社法]
•  企業の多角化、大規模化において、事業の再
編が必要になることも
→経営判断として経営者に委ねられる面もある
が・・・
����������↓
•  株主の利害に重大な影響を与えるため、原
則として株主総会の特別決議等が必要
•  一定の場合には会社債権者保護手続も�
会社の変更・再編
1
「事業の譲渡」の意義�
事業譲渡(467Ⅰ①)等�
  判例:一定の営業(事業)目的のために組織化さ
れた機能的財産を一体として移転することであり、
それにより譲受人が営業者たる地位を承継し、
譲渡人が法律上当然に競業避止義務を負うに
至るもの
c.f.百選92事件
•  事業全部の譲渡、重要な一部の譲渡
•  他の会社の事業全部の譲受け・賃貸
•  事業全部の経営委任 A社
B社
某事業部門
事業譲渡=「事業」の売買契約
賃貸=賃貸借契約
経営委任=経営委任契約
2
3
「事業の譲渡」の意義�
4
事業譲渡手続
•  多数説:機能的一体としての組織的財産の譲
渡(必ずしも競業避止義務等は要件でない)
•  株主への通知・公告(469ⅢⅣ):差止め、株
式買取請求の機会を与えるため
•  有力説:営業用財産のみの譲渡でも該当しう
る
↑
株主の保護に重点のある有力説と、機動性・
取引の安全重視の判例・多数説
•  反対株主の買取請求権(後述)
←譲渡と同時に解散の決議がなされた場合
は請求権なし(496Ⅰただし書)
5
•  事業全部の現物出資:事業譲渡の一種とし
て捉える見解も(次スライド参照)
6
1
合併
事業全部の現物出資�
•  B社がその事業全部を
A社に譲渡、A社はそ
の株式をB社に交付
������↓
•  B社はA社株式を自社
株主に分配�
•  新設合併と吸収合併
A社
A社
B社
A社
B社
B社
C社
B社株主
A社
A社・B社は消滅 A社は存続・B社は消滅
7
吸収合併の利用が多い�
8
合併のメリット�
•  新設合併の規定特に設立委員(平成9年改正
前商法56条3項)の権限が不明確であった
•  免許事業の場合、新設会社は改めて免許を申
請しなければならない
•  当事会社全部が解散すれば、株券を発行して
いると回収・交換を全ての会社で行う必要があ
る
•  上場会社だと株式売買を一時中断し再度上場
申請する必要がある
•  規模の経済、範囲の経済
c.f.シナジー効果
•  技術的弱点の相互補完
•  経営の合理化、総合力の強化
•  業績不振の会社の救済
•  購入困難な資産・技術・免許などの入手
•  株式の券面額の引き下げ←額面株式の
あった時代
9
合併手続①
10
合併手続②−承認決議等
  合併契約締結(748):取締役会の決議を経て、
当事会社の取締役が株主総会の特別決議に
よる承認(基本形。簡易・略式組織再編の場合
や、会社形態によって異なる)を停止条件とし
て締結
•  合併対価が持分等である場合、新設合併にお
いて設立会社が持分会社である場合、簡易組
織再編行為等・略式組織再編行為等である場
合を除き、各当事会社は株主総会の決議必要
↓
  書面の備置・閲覧等(782・794・803)
  承認決議等
11
12
2
合併手続②’−承認決議等
合併手続③
•  原則:特別決議(309Ⅱ⑫)
•  消滅会社が、一定の要件を満たす公開会社の
とき(同Ⅲ②③)
•  消滅会社が、一定の要件を満たす種類株式発
行会社である場合(783ⅢⅣ・804Ⅲ)
•  一定の要件を満たす種類株式発行会社が存続
会社の場合(795Ⅳ)
•  株主への通知・公告
•  反対株主の買取請求権(後述)
•  債権者保護手続(789・799・810)(後述):合併
により債務者としての会社の資力に変化が生じ
るため
13
合併手続④−合併の効力発生�
•  吸収合併の場合:合併の効力発生日(749Ⅰ⑥・
751Ⅰ⑦)に消滅会社の権利義務を存続会社が承継、
消滅会社の株主に金銭その他の財産のみを交付する
場合を除いて、消滅会社の株主は存続会社の株主に
(750・752)
•  新設合併の場合:設立会社は、その成立の日に消滅
会社の権利義務を承継し、消滅会社の株主に金銭そ
の他の財産のみを交付する場合を除いて消滅会社の
株主は設立会社の株主に(754・756)
14
合併手続⑤
  合併事項書面の備置(801ⅠⅢⅣ・815ⅠⅢⅣ)
  合併登記(921・922)
・吸収合併:効力発生日から2週間以内に、存
続会社は変更登記、消滅会社は解散登記
・新設合併:事情により異なる起点から2週間
以内に、設立会社は設立登記、消滅会社は解
散登記
を本店所在地で
15
合併対価の柔軟化①
  通常は存続会社、新設会社の株式
→財産の種類が限定されておらず、存続会社の
親会社、子会社、関連会社の株式・社債等の有
価証券も(749Ⅰ②・751Ⅰ③)
A社の
親会社
A’社株式:柔軟化によ
り可能となる対価
B社
B社株主
A’社
A社
A社
A社株式が一般的
な対価
A社とB社による(Aを存続会社とする)吸収合併17
16
合併対価の柔軟化②
•  いわゆる「三角合併」(前のスライド参照)に企
業は戦々恐々
※「スクイーズアウト」は可能か
•  理論上は可能
↓ただし
•  少数派株主締出しを主要目的とする現金対価
合併にかかる契約書の承認決議は決議取消
原因ありとする見解も
18
3
合併の効果�
合併の効果�
  効力発生と同時に、存続会社・新設会社以外
の会社は解散、存続会社は存続、新設会社は
成立
→合併の効力発生は、新設合併にあっては登
記の日(49)、吸収合併にあっては効力発生日
と定めた日(749Ⅰ⑥)
  金銭その他の財産が消滅会社の社員に交付
されたときを除き、消滅会社の株主は原則と
して存続会社または新設会社の株主に
(750Ⅲ①・754Ⅱ)
19
20
合併の効果:権利義務の承継�
吸収合併と事業譲渡・譲受け�
  権利義務は存続会社・設立会社に一般承継
(750Ⅰ・752Ⅰ・754Ⅰ・756Ⅰ)=消滅会社の清
算は不要(475①かっこ書・644①かっこ書)
↓ただし
  個別の財産の対抗要件の具備は必要
•  類似点:事業用財産の重要な部分の移転
→株主の利害関係に大きな影響
→原則として株主総会の特別決議必要、反対
株主に株式買取請求権
•  相違点:
・包括承継か否か
・債権者保護手続の有無
・会社の解散
・無効主張が民法の一般原則で可能か否か
  承継されるのは消滅会社の権利義務であり、資
本金額・準備金額が承継されるわけではない
21
会社分割
会社分割制度導入の経緯�
•  新設分割と吸収分割
吸収分割
既存の会社
会社の事業の全
部または一部
22
新設の会社
新設分割
23
•  平成12年改正前商法:会社設立と現物出資、
財産引受等を組み合わせて行われていたが、、、
↓
•  会社財産の分割にとどまり、株主に直接影響し
ない
•  事業の現物出資・譲渡では、包括承継がなく個
別に財産移転手続が必要
•  分割会社の利益準備金・任意準備金を、分割
により新設される会社に承継不可
24
4
会社分割制度導入の経緯�
会社分割制度導入の経緯�
  平成12年改正で会社分割制度導入
・吸収分割、新設分割(←スライド23参照)
・物的分割、人的分割←設立会社・承継会社
の株式等を、分割会社の株主に割当てるか否
かによる分類
の2 2=4種類規定されていた
  新・会社法:吸収分割と新設分割の2形態の
み
→物的分割を原則とし、人的分割は分割会社に
おいて株主に対する剰余金配当をすれば実
現可能
25
「事業」の承継�
26
会社分割の手続�
  従来の一般的な考え方
あくまで営業(事業)の全部または一部を承継
する制度であり(改正前商373・374-16)、営業と
は言えない個々の資産や債務の承継は別制度
で(現物出資など)
  吸収分割契約の締結・新設分割計画の作成
(757・762など)
  新・会社法:「事業に関して有する権利義務」
(757。なお、764Ⅰ)の承継
←事業の承継は要求されなくなったとも解しうる
  承認決議(783・795・804)
  吸収分割契約・新設分割計画に関する書面の
備置・閲覧等(782・794・803)
27
会社分割の手続�
28
会社分割の手続�
•  株主への通知・公告
←株主に差止請求・株式買取請求の機会を確
保
  分割の効力発生
•  反対株主の買取請求権(後述)
  分割登記(923・924)
  分割事項書面等の備置
•  債権者保護手続(後述):債務者(分割会社ま
たは承継会社もしくは設立会社)の資力に変
更が生じる
29
30
5
親子会社�
親子会社関係の形成�
•  子会社:会社がその総株主の議決権の過半
数を有する株式会社その他、当該会社がその
経営を支配している法人として法務省令(会社
規3)で定めるもの(2③)
•  金銭出資・現物出資による子会社設立
•  他の会社の議決権付株式の取得
取得側は経営判断の一環
被取得側は株主の自己判断
←会社法上(被取得会社保護の)特段の規定な
し
•  株式の現物出資
•  株式交換・株式移転(後述)
•  親会社:株式会社を子会社とする会社その他、
当該株式会社の経営を支配している法人とし
て法務省令(会社規3)で定めるもの(2④)
31
32
親子会社関係の問題点�
•  親会社による子会社を用いた経営の粉飾の
恐れ
• 
33
6
親会社の責任�
利害関係者の救済�
•  親会社による指示に基づく子会社役員の業務
執行で子会社に損害が生じた場合
→子会社に対する善管注意義務・忠実義務に基
づき責任は免れない
•  親会社の責任(後述):不法行為責任等での追
及は可能(ただし要件を満たすことは困難)
※子会社の会社債権者等第三者が、親会社を
追及する理論構成
•  子会社の取締役・執行役が、親会社の指示に
事実上拘束される場合
→子会社の経営を行っているのは親会社そのも
の
↓
•  親会社に429条を類推適用できないか
37
38
親会社の責任�
親子会社における役員規制�
•  法人が取締役になれない理由を考えてみる
↑
•  唯一説得力があるのは、取締役個人に民事責
任を課すことで会社経営の姿勢を正す意図があ
るのに、法人が取締役になることで骨抜きにな
るおそれがあるという点(その他の点は、法人も
発起人にはなれるので、説得力に乏しい)
=429条を類推して親会社にも責任を負わせるこ
とは、この意図に反しない
  親会社と子会社の役員を兼任することは少なく
ない(ただし兼任が禁止されている役職あ
り。335Ⅱ)
↓
  競業規制・利益相反取引規制との関連
↓
  個別に承認を要するとするのでは不便=包括
承認の必要
39
株式交換・株式移転の手続�
完全親子会社
•  株式交換と株式移転
既存のB会社
40
A社株とB社株交換
=株式交換(2㉛)
新設のC会社
A社株とC社株交換
=株式移転(2㉜)
•  株式交換契約の締結・株式移転計画の作成
•  書面の備置・閲覧等
•  承認決議等
A社株式を100%保有
株主
•  株主への通知・公告
完全子会社になろうとするA会社
41
42
7
簡易組織再編行為等−事業譲受�
株式交換・株式移転の手続�
  反対株主の買取請求権(後述)
  債権者保護手続(後述)
  株式移転の登記
  効力発生
  株式交換・株式移転事項書面等の備置
43
  他の会社の事業の全部の対価として交付する財
産の帳簿価額の合計が、譲受会社の純資産額と
して法務省令(会社規137)で定める方法により算
定される額の5分の1 (定款でこれを下回る割合を
定めた場合にはその割合)を超えないときは、譲受
会社においては、原則として、株主総会の承認
不要(468Ⅱ)
A社
B社
  ただし譲渡会社は通常 純資産:
の事業譲渡手続必要 100億円
15億円
(467Ⅰ①・309Ⅱ⑪)
44
で取引
簡易組織再編行為等−会社分割�
簡易組織再編行為等−合併�
  消滅会社の株主に対して交付する株式その他
財産の帳簿価額の合計額が存続会社の純資
産額として法務省令(会社規196)で定める方法
により算定される額の5分の1(定款でこれを下回
る割合を定める場合はその割合)を超えない場合
には、合併差損が生ずるときや合併対価が存
続会社の譲渡制限株式であって存続会社が公
開会社でないときを除き、存続会社においては、
原則として株主総会の特別決議不要(796Ⅲ)
  消滅会社は通常の合併手続必要
45
  分割会社:
承継会社・設立会社に承継させる資産の帳
簿価額の合計額が、分割会社の総資産額とし
て法務省令(会社規187・207)で定める方法によ
り算定される額の5分の1(定款でこれを下回る
割合を定めた場合にはその割合)を超えない場合
は、株主総会の特別決議不要(784Ⅲ・805)
46
簡易組織再編行為等−会社分割�
簡易組織再編行為等−会社分割�
•  承継会社:分割会社に対して交付する、
・承継会社の株式の数に1株あたり純資産額
を乗じて得た額
・承継会社の社債、新株予約権または新株予
約権付社債の帳簿価額の合計額
・承継会社の株式等以外の財産の帳簿価額
の合計額
・・・の合計額が承継会社の純資産額として法務
省令(会社規196)で定められた額の5分の1
(これを下回る割合を承継会社の定款で定め
た場合にはその割合)を超えない場合は、原
則として株主総会の特別決議不要(796Ⅲ)
47
48
8
簡易組織再編行為等−株式交換�
  完全子会社となる会社の株主に対して交付す
る親会社となる会社の株式、社債その他財産
の合計額が、完全親会社となる会社の純資
産額として法務省令(会社規196)で定める額の
5分の1(定款でこれを下回る割合を定めた場合に
は、その割合)を超えない場合は、一定の場合
を除き、完全親会社となる会社において、原
則として株主総会の特別決議不要(796Ⅲ)
原則に戻る場合�
  簡易組織再編行為等に該当する場合でも、議
決権行使可能な株式を法務省令(会社規138・
197)で定める数有する株主による反対通知が、
株主への通知・公告の日から2週間以内にあ
れば、株主総会の特別決議必要(ただし分割
会社は総会決議不要)(468Ⅲ・796Ⅳ・309Ⅱな
ど)
49
50
原則に戻る場合�
略式組織再編行為等�
  公開会社以外の会社における譲渡制限株式
の発行・移転を伴う再編行為は株主総会の決
議常に必要(796Ⅰただし書など)
  差損を生じる場合も決議必要(795Ⅱ)
  事業譲渡等にかかる契約の相手方がその特
別支配会社である場合には、その契約につき
株主総会の特別決議不要(468Ⅰ)
51
略式組織再編行為等�
52
株式買取請求権
  吸収合併における存続会社、吸収分割におけ
る承継会社または株式交換により完全親会社
となる会社が消滅会社、分割会社または株式
交換により完全子会社となる会社の特別支配
会社である場合、原則として、当該契約につき
株主総会の特別決議不要(784Ⅰ本文・796Ⅰ
本文)
  原則に戻る場合は簡易組織再編行為の場合と
類似
53
  組織再編行為に反対を表明した株主、議決権
行使ができない株主(議決権制限の場合と、株
主総会決議が不要の場合=全ての株主)は、
会社に対して、自己の有する株式を公正な価
格で買い取ることを請求することができる
(469Ⅰ本文Ⅱ・785Ⅰ柱書Ⅱ・797Ⅱ・806)
54
9
株式買取請求権
株式買取請求権
  (例外)事業全部譲渡の承認決議と同時に解
散決議がなされる場合(469Ⅰただし書)、株主
の同意ある場合(785Ⅰ①・Ⅱ柱書かっこ書・
806Ⅰ①)、会社分割で簡易組織再編行為等
が認められる場合(785Ⅰ②・806Ⅰ①)は、認
められない
•  「公正な価格」の意義
当該組織再編行為等またはその承認決議が
なければ有したであろう公正価格と、当該組織
再編行為等により生ずるシナジーなどを適切に
反映した公正価格とのいずれか高い額
55
56
新株予約権の買取請求権
債権者保護手続�
  消滅会社・分割会社または完全子会社となる会
社の新株予約権者のうち、一定の条件を満た
す者は、自己の有する新株予約権を公正価格
で買い取るよう請求できる(787Ⅰ・808Ⅰ)
  対象となる(異議を述べることができる)債権者
・吸収合併・新設合併→消滅会社の債権者
・吸収分割・新設分割→分割会社に債務履行を
請求することができない分割会社債権者
・株式交換・株式移転→それに関連した新株予
約権が付された新株予約権付社債を有する社
債権者
など
  新株予約権付社債については、その社債をも
含めて買取請求する必要あり(787Ⅱ・808Ⅱ)
57
債権者保護手続�
58
債権者保護手続�
  債権者の一部または全部が異議を述べるこ
とができる場合には、種々の関連事項および
一定の期間内に異議を述べることができる旨
を官報に公告し、知れたる債権者については
各別に催告しなければならない(ただし電子
公告)(789・799・810)
c.f.百選86事件「知れたる債権者」の意義
59
※詐害行為取消権が会社債権者に認められる
か
  認められる余地もある
・定められた債権者保護手続では、必ずしもす
べての会社債権者に対する催告が必要でない
場合がある
・会社法に詐害行為取消権を排除する規定が
なく、組織法上の行為も否認権の対象となると
するのが通説
60
10
組織再編行為の瑕疵を争う訴え
情報開示�
  契約、計画等に関する事項を記載・記録した
書面または電磁的記録を本店に備え置かね
ばならず、株主等は閲覧・交付請求ができる
(事前開示)(782・794・803)
  組織再編行為関連事項書面等の作成、効力
発生の日から6か月間本店備置(株主等の閲
覧・交付請求)(事後の開示)(791・801・811・
815)
  株主、会社債権者保護手続があるが、それを
無視して進められた場合
↓
  無効にすべきだが、一方で組織再編行為が
行われた外観も存在
↓
  無効主張の制限(提訴権者、提訴期間等の
制限)、無効の遡及効の否定、法律関係の画
一的確定のため、訴えによってのみ無効を主
張できるものとする
61
62
組織再編行為の無効原因
組織再編行為の無効原因
•  明文の規定なし
→取引の安全とその他の者の利益保護を考
慮し、解釈によって定めるほかない
・非該当説 (c.f.買取請求権の行使で足りると
する百選94事件)
ただし、総会の承認決議の欠缺と認定でき
る場合はそれにより無効と考えられるとする
説も
※合併対価等に関する定めが、当事会社の
財産状況などからみて不公正なことは無効
原因か
・無効原因該当説(有力説)
63
組織再編行為の無効原因
•  取引の安全を重視すれば無効原因は狭く
解すべき
c.f.1募集株式の発行等に関する不公正な
払込金額は無効になるか(212Ⅰ①)
c.f.2株主総会の特別決議を経ないでなされ
た「特に有利な金額」による募集株式の発
行は無効になるか(百選26事件参照)
65
64
無効判決の確定による効果
•  将来に向かって無効(遡及効なし)(839)
•  対世効(838)
•  企業再編行為別に、無効判決の効果が規定
されている
•  合併(937Ⅲ②③・843)
•  会社分割(937Ⅲ④⑤・843)
•  株式交換・株式移転(937Ⅲ⑥⑦・475③・
843・844)
66
11
債務超過会社と組織再編
•  帳簿上のみならず、実質上も債務超過で
ある場合であっても、組織再編行為の後
債務履行の見込みがない場合を除き、組
織再編行為は認められると解される
←資本充実の原則が(実質的に)放棄され
た以上、そう解すべきとする
c.f.履行の見込みがないことを分割無効原
因とした百選95事件
組織変更
•  株式会社→持分会社
•  持分会社→株式会社 (743)
•  株式会社の組織変更には、株主、会社債
権者等の保護のため、組織再編行為と同
様の手続を踏む必要(745・775・776・
779)
•  組織変更無効の訴え(828Ⅰ⑥など)
67
定款変更
68
定款変更
•  会社の最高内規である以上、株主総会の特別
決議によってなし得るのが原則(466・309Ⅱ⑪)
↓しかし
•  株主総会の特殊決議が必要な場合
・株式譲渡制限の新設
・剰余金の配当等についての格別の定めの変更
•  種類株主総会の決議が必要な場合
・譲渡制限株式または取得条項付種類株式と
する定めの新設
・株式の種類の追加等
69
70
定款変更
定款変更
•  総株主またはある種類株主全員の同意が必要
な場合
・発行する全部の株式または既発行のある種
類株式を取得条項付株式・取得条項付種類株
式とする変更
・一定の行為について法定種類株主総会の決
議を要しない旨の定め
・特定の株主からの自己株式取得に際して他
の株主に売主追加請求権を与えない旨の定め
•  株主の利益に影響の少ない場合は総会決議不
要
・株式分割の際の分割比率に応じた発行可能
株式総数の増加
・株式分割と単元株式数
・単元株式数の減少・単元株式数についての定
款の定めの廃止 71
•  定款の定めを廃止したとみなされる場合もあり
72
12
定款変更と買取請求権
企業再編の復習�
•  定款変更も会社の基礎に大きく影響
↓
•  反対する少数派株主には、投下資本回収の途
を確保する必要あり
�次の空欄および下線部を埋めなさい。
��企業の(��)化・大規模化において、企業再編の
必要性に迫られることもあり、経営者は経営判
断として、再編行為を行うことがある。
��もっとも、会社の根幹に関わることであり、株主
の承認(株主総会の(��)決議)を経ることが原
則となる。�
•  株式買取請求権(116・117)
•  新株予約権買取請求権(118・119)
73
74
企業再編の復習�
企業再編の復習�
�次の空欄および下線部を埋めなさい。
����事業譲渡とは、事業の全部または一部を他
の会社に譲渡することであり、原則として(��)
決議が必要である(会��条��項)。事業譲渡の
意義には争いがあるが、一定の営業(事業)目
的のために(��)化された(��)的財産を一体とし
て譲渡することとする点には、ほぼ異論がない。�
�次の空欄および下線部を埋めなさい。
����合併とは、複数の会社が1つの会社になる
ことであり、当事会社の1つが存続会社にな
る形態を(��)合併、新たに会社を設立する形
態を�(��)合併という(会��条��号・��号)。前者
の形態を用いることが多いが、その理由は
様々あるところ、もっぱら事業活動に(��)を必
要とする業種においては、後者の形態だと新
たに申請が必要であるなどの煩雑さが敬遠
されている。�
75
企業再編の復習�
�次の空欄および下線部を埋めなさい。
����合併の対価は、従来存続会社の(��)に限るとする
のが一般的であったところ、現行法上、他の会社の
(��)や、現金での交付も可能となっている(会��条��
項参照)。そこで例えば下図のような合併も可能と
なった。このような合併を一般に(��)と呼んでいる。�
A社の親
会社
B社
B社株主
A’社
76
企業再編の復習�
�次の空欄および下線部を埋めなさい。
��会社分割には、事業の一部を新たに設立す
る会社に委譲する(��)分割と、既存の会社
に委譲する(��)とがある(会��条��号・��号)。�
A’社株式:柔軟化により
可能となる対価
A社株式が一般的な対
価
A社
A社
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78
13
企業再編の復習�
�次の空欄および下線部を埋めなさい。
�����昨今の企業は、単体としてよりも、複数の企業
グループによるものが多い。とりわけ平成9年の
独占禁止法改正による(��)持株会社の解禁以
来、中枢としての親会社のもとに、複数の子会
社が従属する形態が目立つようになっている。
親会社とは、株式会社を子会社とする会社その
他当該株式会社の経営を支配している法人で
あり、他の会社から議決権の(��)を保有されてい
るなどの会社を子会社という(会��条��号・��号、
会社規��条)。�
企業再編の復習�
�次の空欄および下線部を埋めなさい。
����完全親子会社関係を形成する手段として、株
式�(��)・株式(��)がある。前者は、既存の会社
を親会社とし、子会社の株主の保有する株式
と親会社の株式とを交換するものであり、後者
は、新設の会社を親会社とし、その会社の株
式と子会社の株主の保有する株式とを交換す
るものである(会��条��号・��号参照)。�
79
企業再編の復習�
80
企業再編の復習�
�次の空欄および下線部を埋めなさい。
����事業譲渡、合併、分割等の再編行為において、
一定の要件を満たすとき、(��)決議を省略する
ことができる場合がある。例えば事業譲渡にお
いて、事業の譲受会社の支払う対価が当該会
社の純資産の(��)分の1を超えないような場合
である(会��条��項)。また例えば、事業譲渡の
相手方が(��)会社であるような場合にも、不要
である(会��条��項)。一般に前者を(��)組織再
編行為、後者を(��)組織再編行為と呼んでい
る。�
81
�次の空欄および下線部を埋めなさい。
����組織再編行為に反対する株主は、一定の手続の
もと、その保有する株式の買取請求をすることが
できる(会��条など)。この場合の買取価格は(��)な
価格であることが求められるが(同条��項)、一説に
は、当該組織再編行為等またはその承認決議が
なければ有したであろう公正価格と、当該組織再
編行為等により生ずるシナジーなどを適切に反映
した公正価格とのいずれか高い額であると考えら
れている。�
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