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境界性人格障害の症状

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境界性人格障害の症状
ラブ・アディクション
恋愛依存症者の心理
2005HPOO9 船越加奈子
【目的】
本研究の目的は、一人の男性に強く執着し、執着を愛だと思い込み、自分の人生や健康、
幸福にとってもマイナスになると承知しながら、その執着を断ち切れないでいる状態であ
る恋愛依存症者の心理を探っていくことであるo 他の病理との関連から、症状が移動する
ことは何を意味するのか、ということを考えていく。また、恋愛依存症者と普通の人では
何が違うのか、両者をどのように線引きできるかを考察していく。
【本論】
「Ⅱ.恋愛依存症とは」では、まず、恋愛依存症について説明している。そして、恋愛
依存症を構成する2種類の依存症者一恋愛依存症者と回避依存症者-の特徴について見て
いき、依存症者が織り成す関係を考えて、恋愛依存症のメカニズムについて理解を深めた。
「Ⅲ.恋愛依存症に関連する病理」では、恋愛依存症が共依存をベースとする病であるこ
とを説明した。そして、恋愛依存症と境界性人格障害、依存性人格障害を比較しながら考
察を進めていき、恋愛依存症の特徴を浮かび上がらせた。恋愛依存症には、これらの病理
と共通する特徴があり、症状の移動が起こっていると考えられる。 「Ⅳ.恋愛依存症者の心
理∼恋愛依存症者と普通の人の違い∼」では、``なぜ、恋愛関係において起こるのか''また、
"なぜ、恋愛依存症者はいつも同じようなパートナーを選ぶのか"という恋愛依存症に関
する疑問を明らかにしていった。そして、恋愛依存症者と普通の人を比較しながら、普通
の恋愛関係と病的な恋愛関係について考察を深めた。最後に恋愛依存症からの回復につい
て見ていき、恋愛依存症から回復することの重要性について考えた。
「V.まとめ」では、恋愛依存症と他の病理とのあいだで、症状の移動が起こるという
ことは、恋愛依存症が単独の問題ではなく、さまざまな病理の危険性という問題を抱えて
いるのではないか。また、恋愛依存症者と普通の人の違いは、自己との健全な関係が築け
ているかどうかにあるのではないかと考えた。これらのことから、恋愛依存症からの回復
の必要性を考えていった。最後に、恋愛依存症からの回復が自己成長につながっていく可
能性について述べている。
「家族間介護の全体像∼介護者の視点に立って∼」
2005HP 035
加藤百合子
旦堕
わが国では高齢化が進み、高齢社会に突入し、今後も高齢比率が2 0 2 0年には約2 0%、
2 0 5 0年には約40%になるといわれている。この高齢化の進行にともなって、高齢者
虐待、高齢者介護の大変さなどの高齢者問題が話題にされるようになってきた。その中で、
介護に対する研究もされ始め、介護は「つらい」 「苦しい」のほかにも、肯定的な面やイエ
意識が重なり合っていることが分かってきた。
本研究ではインタビュー調査だけではわからなかったさまざまな要因を先行研究や体験
記を通して見ていき、家族間介護の全体像を理解していきたい。介護者が「介護はつらい
もの」という考えだけではなく、全体像を理解できれば介護を続けていく希望が見出せる
可能性があると考えて研究を進めていく。
適塾
1章でわが国の介護事情を見ていった。現在の日本の介護には、昔からの儒教や仏教の考え
が大きく影響を与えていた。そしてこの考えに基づいて家族関係が築かれ、それにあった
法律が出来上がってきたのである。そして今話題になっている高齢者虐待について記述し
た。 2章では介護者の心理と題して、中年期の心理的特徴・介護者と被介護者の関係変遷
を見ていった。そして、 3章で介護の肯定面・否定面を事例を通してまとめた。
考察
本研究では介護には介護者の精神状態が大きな影響を与えていて、介護者が中年期であ
るということであるということも大きなポイントになってくると考えた。中年期は自分の
能力や生命の「限界」に気がつく時期であり、自分の中で混乱が起こる時期である。一方
で、これを乗り越えるために、今までの自分の価値観に関わらず新たな自分を見つけ出す
ことのできる年代でもあるのだ。介護を通して限界に気がつき、新たな自分-の道が開け
る可能性があると考える。家族間介護は日本独自の親孝行意識という文化的背景や、中年
期という介護者の心理的状態、昔からの家族関係の影響、介護の変遷過程など多くの要因
が重なり合ってできている。このようなさまざまな要因があるために、介護問題にアプロ
ーチしていくことは難しいといわれているのであろう。まだ介護研究全体はまだ発展途上
であり、介護者の精神状態に焦点を当てているものが少ない。介護を肯定・否定で見るの
ではなく、介護を全体的に介護者が考えていけるような研究が進んでいくことを願う。
軽度発達障害児の存在と社会との相互作用
2005HPO91 田中 裕子
旦助
本研究の目的は、軽度発達障害児の存在を彼らにかかわる教員、親、周囲の子どもとの
関係性を通して理解し直し、障害児としてではなく教員や親など社会の人々とのかかわり
や関係性によって捉えなおす視点をもたらすことである。
第1・、巨
軽度発達障害に分類される注意欠陥/多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、高機能自閉
症(高機能PDD)の定義と特徴をみていくD 各定義は、知的能力がおおむね正常範囲内に
ある子どもを念頭においているoこれらの子どもは、それぞれの特定の機能が著しく低い、
注意や落ち着きの面で障害がある、自閉症の諸症状をもつなど、学習・生活上の困難を抱
えている。また、いずれも中枢神経系に何らかの機能不全があると考えられている。
第2章
軽度発達障害児に施されている「特別支援教育」についてみていく0 「特殊教育」から移
行したことにより、通常学級においても障害児の教育を実施するという方向で一歩が踏み
出された。対象と場の拡大は、実践の考え方や進め方に大きな変化を求めるものとなったo
教育の現場では、軽度発達障害児にかかわる教員や親、周囲の子どもとの関係に変化をも
たらしたといえる。先行調査をもとに特別支援教育の現状と課題についてみていく。
第3章
特別支援教育は、制度的には進められているが、現場では混乱をもたらしている。軽度
発達障害児の3つの具体的なケースをもとに、彼らにかかわる教員・親・周囲の子どもた
ちとの関係性をみていく。
第4章
3つの具体的な事例をもとに、以下の4つの視点を得た。 ①特別支援教育は、自治体や教
育委員会の間で格差があり、学ぶ場を選択する必要があるo ②障害児というレッテルを周
囲が貼ることは、軽度発達障害児と周囲との関係性が崩壊する可能性がある。 ③軽度発達
障害児は、周囲から無条件に存在を受け入れられることを求めている。一方で、教員は専
門家に任せる必要性を感じている。 ④教員は、個人指導と集団指導の狭間で、どちらも両
立させることを迫られている。保護者や学校の評価を気にすると、軽度発達障害児1人に
個人指導をしなければならないことと集団指導もおろそかにできないこととの葛藤が生じ
ることがある。結果として、軽度発達障害児の存在をおろそかにしてしまうケースが生じ
やすくなると考えられる。
周囲が軽度発達障害児を受け入れて、理解しようと努めるならば、軽度発達障害児には、
成長の場と可能性が拡大することになる。周囲とのかかわりが、軽度発達障害児の人生そ
のものに大きく影響すると考えると、問題ばかりを起こす子どもに接する時の姿勢がいか
に重要かとあらためて考えさせられるのではないだろうかo
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