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大阪市の当面の取り組みと国への提案について(案)

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大阪市の当面の取り組みと国への提案について(案)
資料−2
大阪市の当面の取り組みと国への提案について(案)
・ 一昨年のリーマンショックの影響を受け、生活保護申請はとどまる気配を見
せず、増大する保護費が大阪市の財政を圧迫している状況
・ 真に生活に困窮する方に対しては、最後のセーフティネットとして適切に保
護を実施し、市民生活を支えていくことは大前提
・ その一方で、生活保護制度が市民の信頼と理解を得るため、制度の抱える課
題に対し、大阪市独自で実施可能な取り組みは迅速に実行に移すとともに、
なお残る課題については国に対して繰り返し提案していく
・ 第一弾の提案として、次の考え方により、第 5 回生活保護行政特別調査プロ
ジェクトチーム委員会議での議論を経て取りまとめ、国に対して提案する
〈考え方〉
これまでの制度改革に関する要望内容
・ 制度の抜本的改革
・ 生活保護費の全額国庫負担
当面の課題 … 現行の地方交付税措置における算入不足額の解消
根本的課題 … 地方交付税ではなく、全額国庫負担とすべき
+
次の二つの観点を加え、提案を取りまとめる
(1) 働ける人には働いてもらう
(2) 貧困ビジネス事業者への対応
・ 特に、上記の二点については、大阪市で実施できる事業を迅速に実行しな
がら、制度改革が必要な側面については提案を行う
・ 現場のケースワーカーが感じている制度の矛盾など、従来から要望してい
た内容についても合わせて提案する
(1)働いて自立生活を営む基本の枠組みの構築の提案
(大阪市としての当面の取り組み)
・被保護者への援助方針において、最重点項目として、稼働年齢層に対する
就労指導・支援の徹底を図る。
・就労支援員が不足する状況が生じる場合は、年度途中の体制の充実も検討
する。
・就労先確保のため、緊急雇用創出基金事業等で被保護者優先枠を設定。
例 緊急雇用創出基金事業等
100 人枠を設定
地域人材育成事業
60 人枠を設定
等
・雇用枠(数)の限界
・強制力の限界
(国への提言)
・現行ハローワークで実施している「訓練・生活支援給付」を拡充し、稼働
可能な方には、生活保護に優先し、ハローワークでの求職活動、職業訓練
を義務付ける。
・訓練期間中は「訓練・生活支援給付」を支給(これによりがたい場合は保護
費を支給することも検討)。
・
「訓練・生活支援給付」は生活保護制度に優先するので、これを拒否する場
合は生活保護の申請は却下となる。
・ボーダーライン層にもこの制度を適用。
(検討課題)
○「訓練・生活支援給付」の期間設定
・
「新たなセーフティネットの提案」においても 5 年間の有期保護が提案され
ているが、目標を定めて自立意欲の喚起を図るためにも一定の期間設定が
好ましい。
・期間経過後、必要な方へは保護の適用を行うが、就労自立の努力を行わな
い方に対しては、例えば、清掃などの社会奉仕活動への参加等何らかの制
約を検討する必要がある。
○生活保護受給者に対する就労インセンティブの設定
・就労意欲を喚起するインセンティブの導入について検討。
(効果)
・生活保護受給者の自立促進につながる。
・ボーダーライン層へも適用すれば、生活保護への移行防止につながる
・ 生活保護費としてではなく、働くことに対する対価として給付することに
よる就労自立への意識付けの効果が大きい。
《参考》
その他世帯・母子世帯で、援助方針が「就労指導」等である者
11,378 人
(2) 貧困ビジネス事業者対策についての提案
(大阪市としての当面の取り組み)
・ 敷金・礼金がゼロ円の物件(いわゆる「ゼロゼロ物件」)への敷金の不支給
※ 保証人がいない場合の保証料として敷金を設定している場合でも、保証
料が必要な場合は敷金扶助の範囲内で、退去後の住宅補修費が必要な場
合は住宅維持費として、それぞれ支給可能
・ 敷金の上限を 7 ヶ月分から 4 ヶ月への変更を国と調整
※ 国土交通省実施の民間賃貸住宅にかかる実態調査を元に、大阪府下の敷
金・礼金の平均月数より算出
・ 事業者に対する指導
・ 民への行政の関与の限界
(国への提言)
・ 無料低額宿泊施設の位置づけを明確にし、必要な法規制を行う。
※現行の法的位置づけの無い施設についても、同様の事業を行う場合は、無料
低額宿泊事業の届出・認可等が必要とする。
・これらによっても、法規制の隙間はどうしても生じるため、住居のない要保
護状態の方がいわゆる貧困ビジネス事業者の対象となることを防ぐための
支援の枠組みを構築。
※住居探しへの同行や生活指導などの支援を実施
(効果)
・ 敷金、家賃等の住宅扶助の適正化につながる。
・ 新たな支援の枠組みのためのコスト増は生じるが、生活保護費の支出につい
ての市民の納得が得られる。
《当面行う要望》
◎現在地保護の徹底についての要望
(内容)
・生活保護上は、住居のない方についての保護の実施責任は、申請を受けた
自治体が大原則(現在地主義)であるが、その徹底がされていない状況が見
受けられる。
・このため、昨年 3 月に、厚生労働省から改めてその徹底を図る通知がなさ
れてが、依然として他都市から生活保護申請を目的とした流入が見受けられ
る。
・今後、このような事例が明らかになれば、公表することも検討
(国への要望)
・再度、各自治体に現在地主義の徹底が図るよう、実効ある指導を国へ要望。
(効果)
・真に生活に困窮される方に対する適正な保護の実施の確保。
・市民の納得のいく生活保護の実施。
《参考》
○大阪市外からの流入状況(平成 21 年 12 月)
・生活保護申請者のうち、6 ヶ月以内の来阪者の割合
約 10%
・市立更生相談所への新規相談者のうち、3 ヶ月以内の来阪者の割合 約 40%
○健康福祉局で、元の自治体との協議に至った件数 27 件(平成 21 年 4 月∼12 月)
《今後検討を進め、順次取り組んでいくもの》
◎布団等の一時扶助の現物給付についての検討
(内容)
・住居がない方への保護開始時に、例えば布団などの支給について、一括で
入札を行うなどにより現物給付とすることを検討。
(効果)
・布団などの市場価格に格差があり、現物給付とすることにより保護費とし
ての支給の妥当性が確保される。
《参考》
布団(上限額:17,800 円)
平成 20 年度
平成 21 年 4∼12 月
支給金額
約 6852 万円
約 1 億 3136 万円
支給件数
3,863 件
7,537 件
1件あたり支給金額
17,739 円
17,428 円
《今後検討を深めていく課題》
◎地域との協働による自立促進策についての検討
(内容)
・地域を主体に、区及びNPO等関係機関と連携し被保護者の地域活動への
参加を促進する事業のモデル実施などを検討。
例)受給者比率の高い区で、地域ボランティア活動(清掃作業など)への参
加等をモデル事業として実施。その他、地域ボランティア活動に一
定の実績がある区の取り組みを拡大するなど、2∼3 区程度で実施。
(効果)
・地域意識の高まりや他都市から流入した被保護者と地域住民の間のあつれ
き解消などの効果が期待できる。
(検討課題)
・今後のあいりん地域のまちづくり(総合福祉センターの耐震問題や萩之茶
屋小学校の統廃合問題など)の検討の際には、このような生活保護問題も
視野に入れた検討を行う必要がある。
◎不適切な保護費の消費等への対策についての検討
(内容)
・遊興費等に保護費を消費する被保護者に対して、適切な金銭管理などの生
活指導を実施。
例) 問題のあるケースについて、専門の担当者(例えば、専門的知識を有
する嘱託職員など)による生活指導の実施。
(課題)
・指導指示に従わない場合、清掃等社会奉仕活動への参加や保護の停廃止な
どの制約の設定。
・民生委員との協力・連携の検討。
(効果)
・被保護者の自立支援につながる。
・市民の不公平感の緩和にもつながる。
※ その他、ケースワーク業務のあり方についても、検討を深め、制度改正
等が必要なものについては、国への提案に反映させる。
※ 例えば、同一の貧困ビジネス事業者が関与している被保護者にはグルー
プ単位で対応し、被保護者への対応の統一化を図るとともに、経験の浅
いケースワーカーのスキルアップにつなげる。
《制度改善の要望》
従前から国への制度改革の要望を行ってきているが、現場の実情を踏まえ
て、引き続き要望を行うもの
◎高齢者のための新たな生活保障制度の創設
(内容)
・稼働年齢層に対しては自立を促進する一方で、高齢者には別制度で生活保障
を行う
・その際、最低年金保障の創設、年金を支払ってきた者とそうでない者との間
で支給額に差を設けるなどの年金制度改革も必要。
(効果)
・高齢者の生活保障を別立てとすることにより、生活保護制度を自立支援に重
点を置いた制度として整理が図れる。
・年金受給者と生活保護受給者との不均衡の解消が図れる。
◎実施機関の調査権限等の強化
(内容)
・ 生活保護の不正受給等を防止するためには、実施機関の調査権限強化が必要
・ 具体的には、資産及び収入に関する調査への回答義務の設定、資産及び収入
以外の必要事項の調査権限と回答義務の設定、金融機関への調査照会先の一
本化など照会事務の効率化、回答までに要する期間の短縮、生活保護費から
の債権天引き、自立後の債権の強制徴収権の設定 等
(効果)
・ 就労・保険金等収入不申告の削減につながる
・ 債権回収額の増
◎医療扶助の適正化
(大阪市としての当面の取り組み)
・ 指定医療機関への個別指導及び適正化推進チームの調査の実施
・ 治療行為の要不要の判断は困難
(内容)
・ 稼働能力の判定や過剰医療等をチェックするための、法的位置づけのある審
査機関の設置
・ 医療費の一部自己負担の導入
(効果)
・ 医療扶助の適正化につながる
《参考》
○ 生活保護費全体に占める医療扶助費の割合
約 44% (平成 22 年度予算案)
医療扶助費 約 1246 億円 / 生活保護費 約 2863 億円
○年金支給額と生活保護費との比較(20 年度)
・老齢基礎年金(40 年加入者)
66,008 円
・生活保護費(65 歳単身 1 級地‐1) 121,530 円
※住宅扶助 42,000 円を含む
(別途、医療扶助・介護扶助あり)
※ 国民年金保険料の納付率
20 年 4 月分∼21 年 1 月分:51.9%(全国:61.1%)
○一般低所得者層との比較
・母子世帯平均勤労収入 135,000 円(15 年度)(別途、収入に応じ児童扶養手当あり)
・2 人世帯生活保護費(1 級地‐1)204,670 円
3 人世帯生活保護費(1 級地‐1)243,080 円
※住宅扶助 54,000 円を含む(別途、医療扶助・教育扶助等あり)
※2 人世帯は母 35 歳、子 9 歳
※3 人世帯は母 35 歳、子 9 歳、5 歳
※母子加算(1 人目 23,260 円、2 人目 1,840 円)を含む
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