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日本進化学会ニュースvol.7No.2

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日本進化学会ニュースvol.7No.2
日本進化学会入会申込書
<年月日(西暦)> 年 月 日
№ ふりがな
名 前
ローマ字
所 属
所属先住所または連絡先住所
〒
TEL
FAX
e-mail
以下から選ぶかまたはご記入下さい(複数記入可)
専門分野
人類、脊椎動物、無脊椎動物、植物、菌類、原核生物、ウイルス、理論、
その他(
)
研究分野
分子生物、分子進化、発生、形態、系統・分類、遺伝、生態、生物物理、情報、
その他(
)
以下から選んで下さい
一般会員 ・ 学生会員
注)研究生や研修生などの方々の場合、有給ならば一般会員、無給ならば学生会員を選んで下さい。学生会
員は必要に応じて身分の証明を求められる場合があります。
申込方法/上記の進化学会入会申込書をご記入の上、下記の申込先へ郵便・ FAX ・ e-mail でお送り下さい。
申 込 先/日本進化学会事務局 〒 102-0072 千代田区飯田橋 3-11-15 UEDA ビル 6F(株)クバプロ内
● TEL:03-3238-1689 ● FAX:03-3238-1837 ● http://www.kuba.co.jp/shinka/● e-mail:shinka@kuba. jp
<年会費の納入方法>
【年会費 】
一般会員 3,000 円 / 学生会員 2,000 円
賛助会員 30,000 円(一口につき)
【納入方法】
①銀行振込みをご利用の場合
(銀 行 名)三井住友銀行 (支 店 名)飯田橋支店
(口座種類)普通預金口座 (口座番号)773437
(口座名義)日本進化学会事務局 代表 株式会社 クバプロ
・2006年度学会賞 授賞理由
・ポスター賞 報告
・高校生によるポスター発表会 報告記
・大会報告記 ・大会印象記
2006年 日本進化学会 研究奨励賞 受賞
「素数ゼミの謎」の中にかくれた推理小説
2006年度評議員会・総会議事録
2006年 日本進化学会 教育啓蒙賞 受賞
(口座名義)日本進化学会事務局
脊椎動物咽頭嚢の進化発生学
②郵便振込みをご利用の場合
(口座番号)00170-1-170959
第8回大会報告
“Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 7, No. 2
1
日本進化学会第 8 回大会のご報告
大会実行委員長・五條堀 孝(国立遺伝学研究所)
日本進化学会第 8 回大会(2006 年大会)は、国立オリンピック記念青少年総合セ
ンター(東京都渋谷区代々木)において 2006 年 8 月 29 日(火)から 8 月 31 日(木)
にわたって開催されました。
本大会のメインテーマは、
「進化でどこまでわかるか?」ということで、進化研
究ならではの多彩で独創性かつ先進性に溢れた多くの発表を中心に、メインシン
ポジウム、公開講演会それぞれ 1 件、企画シンポジウム 16 件、公募シンポジウム
5 件、ワークショップ 5 件、自由集会 1 件を行い、約 700 名の参加者を迎えること
ができました。
日本進化学会の大会ではポスター発表が発表の中心となりますが、今回は今ま
での大会史上最大数の 216 件のポスター発表がありました。またその中で、初め
ての試みとして高校生のポスター発表「みんなのジュニア進化学」を企画し、4
件の高校生による発表が会員のポスター発表に混じって行われました。今回はわ
ずか 4 件ではありましたが、次大会以降、進化学を目指す新しい芽がますます育
っていくことを願ってやみません。
また、例年進化学の普及啓蒙を目的として開催している無料公開の「進化学・
夏の学校」も 5 つの講義を用意し、多くの聴講者を迎えることができました。こ
ちらも、回を増すごとに充実し、わが国における進化教育・啓蒙活動に大きな役
割を担っていくものと思っております。この夏の学校を始め、公開講演会やいく
つかの企画は、一般の方々にも公開し、社会との接点も大切にいたしました。さ
らに、東京工業大学の岡田典弘会員のご協力により、シーラカンスの完全体の冷
凍保存の展示も行い、参加者の多くの興味を引きました。
最後に、大会実行委員会を代表して、参加者の皆様、シンポジウム・ワークシ
ョップ企画者の皆様、嶋田正和会長をはじめとする学会役員の皆様、そして本大
会の開催を支えてくださったすべての皆様に感謝を申し上げます。
2006 年 9 月
“Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 7, No. 2
2
◆ 日本進化学会 2006 年大会 会計報告 ◆
収入
平成 18 年 11 月 13 日現在
支出
学会からの大会援助金
大会参加費
300,000
大会会場費
1,103,470
2,700,000
会場設営費
714,000
懇親会費
837,000
ポスター(作成・印刷・発送)
480,095
寄附
800,000
予稿集(作成・印刷・発送)
357,300
予稿集広告掲載料
230,000
予稿集代金、他
展示
13,660
1060,000
特別参加
60,000
NTS 企画手数料
200,000
利息
87
合計(A)
6,200,747
成果も含めてヒトの起源に関する著書を長
ョウジョウバエの聴覚器・視覚器・伸展受
年の共同研究者であるヤン・クライン教授
容器がこれらの共通祖先原基から共通の空
とまとめられました。最近では生物と環境
間的・時間的分子基盤を使いつつ多様化
との相互作用の問題にも視野を広げ、遺
してきたことを解明してきました。さらに
伝子の退化に関する研究等を活発に続け
最近では、鰓の退縮と脊椎動物の上陸と
ておられます。
の関連について、副甲状腺などの脊椎動物
755,947
このような博士の多岐にわたる独創的な
の器官形成の進化の分子機構を明らかに
993,175
研究業績は世界的にも高い評価を受けて
しています。副甲状腺は陸上で体液中の
人件費、他
831,715
おり、日本進化学会賞受賞に値するもの
カルシウム濃度を安定して制御するための
事務局諸経費
162,692
と判断されました。
内分泌器官ですが、魚類にはこの器官は
学会からの大会援助金返金
300,000
次年度大会への繰越金*
502,353
懇親会費
招待講演者旅費補助
合計(B)
収支(A − B)
*
3
6,200,747
0
については、次年度大会用の口座が開設され次第振込みの予定
ありません。 副 甲 状 腺 特 異 的 な遺 伝 子
■研究奨励賞
(Gcm2)の発現パターンを脊椎動物の系統
鈴木善幸 博士(国立遺伝学研究所 生命情
で比較解析することで、副甲状腺も鰓も
報・ DDBJ 研究センター)
同じ部位からできることから、鰓が副甲状腺
「タンパク質のアミノ酸配列レベルに働く
自然選択圧の検出法に関する研究」
鈴木善幸博士は、アミノ酸配列レベル
に変化したことを解明しました。これらは
進化発生学分野での大きな貢献と言える
もので、国際的にも高く評価されています。
に働く自然選択圧の検出法の開発と発展
2006 年度学会賞 授賞理由
選考委員長(会長)
・嶋田正和
及びその応用に関する研究で、分子進化
■教育啓蒙賞
の研究に大きな貢献をされました。この方
吉村 仁 博士(静岡大学 創造科学技術大学
法は、単一のアミノ酸座位の同義置換と
院)
団遺伝学者として、DNA に刻み込まれた
非同義置換を比較することでごく少数のア
進化の歴史を解明するための集団遺伝学理
ミノ酸座位の自然選択圧を検出することが
・日時:2006 年7 月26 日(水)15 時∼18 時
論の発展に大きな貢献をされました。当初
できる、他の方法に比べて擬陽性率が低
吉村 仁 博士は、北米大陸に生息する素
・会場:東京瓦会館・会議室
DNA データは主にミトコンドリアで集積
い、等数々の利点を持ちます。鈴木博士
数ゼミ(13 年ゼミ、17 年ゼミ)の生活史の
・出席委員:
されましたが、博士はいち早くこの問題に
はこの方法を用いて、C 型肝炎ウイルス等
進化の研究に基づいた考察を、1997 年に
会長:嶋田正和(生態学)
、
取り組まれ、核外遺伝子の集団遺伝学理
で抗原領域に正の自然選択圧が働いてい
『American Naturalist』誌上に論文として
副会長:郷 通子(生物物理学)
、
論を完成されました。その後、遺伝子系
ることや、ワクチンや抗ウイルス薬の標的
発表しました。この論文は、(1)なぜこん
事務幹事長:三中信宏(系統学)
図学理論の発展に多くの重要な貢献をさ
アミノ酸として負の選択圧が働く座位を使
なに長年かけて成虫になるのか、(2)なぜ
評議員会からの委員:
れますが、特に注目されるのは、対立遺伝
うと効果的であること等を示しています。
同時に同じ場所で大発生するのか? (3)な
佐藤矩行(発生学)
、
子の歴史を追う系図学理論を独自に構築
最近はタンパクの 3 次元構造情報を取り入
ぜ 13 年と 17 年周期なのか? の 3 つの考察
舘田英典(集団遺伝学)
、
されたことです。これにより、中立遺伝子
れより精度を向上させた方法の開発等も行
から成り立っており、それには氷河期が関
伊藤元己(植物系統進化学)
だけではなく自然淘汰が働く遺伝子データ
われました。これらの方法は現在蓄積しつ
係するというものでした。これがきっかけ
も定量的に扱えるようになり、MHC 遺伝子
つある配列データの解析に大きな役割を果
で、『素数ゼミの謎』
(文芸春秋社、2005
等の多様性維持や分子進化機構の解明が
たすと考えられ、分子進化学の研究をリー
年)を著しました。この本も、上記の論
大きく進みました。このほか分子時計に関
ドする特筆すべき業績として、国際的にも
文と同じように 3 つの謎を解くことで進行
■日本進化学会賞
する理論的研究等、一般的な分子進化機
高く評価されています。
していきますが、その謎解きが面白いため
■公益信託・進化学振興木村資生基金 構の解明にも重要な貢献をされています。
(以上、6 名全員出席)
木村賞
また理論的な研究ばかりでなく、これら
高畑尚之 博士(総合研究大学院大学)
の理論を使い特にヒトの進化に関する数々
「集団遺伝学理論および分子進化に関する
の研究成果を上げられました。なかでも配
研究」
高畑尚之博士は世界をリードする理論集
列データを使ったヒト及び類人猿の祖先集
団構造の推定は独創的なもので、これらの
「
『素数ゼミの謎』の出版とそれに関連し
た教育啓蒙活動」
に、刊行されてからこの 1 年間に頻繁に
岡部正隆 博士(東京慈恵会医科大学 DNA
TV や雑誌で取り上げられるようになりま
医学研究所)
した。一連の活動は、中学生・高校生で
「動物の進化発生学、特に陸上進出に関連
する副甲状腺の進化に関する研究」
岡部正隆博士は、これまでの研究で、シ
も分かる進化学の面白さを一般社会に知ら
せた点で、教育啓蒙賞に相応しいものだと
評価されました。
“Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 7, No. 2
4
5
【P-169】人工進化によりボディプランの発生進化を研究する
藤本仰一 1, 2、石原秀至 3、金子邦彦 1, 2(1 東大院総合文化、2 ERATO Complex Systems
BiologyJST、3 基礎生物研)
今年度は、大会実行委員を中心とする
多かった順に、以下のように最優秀ポスタ
14 名の審査員(末尾参照)が、良いと考え
ー賞 1 件、優秀ポスター賞 3 件、優良ポス
たポスター発表(高校生によるポスター発
ター賞 9 件を決定し、五條堀孝実行委員会
表を除く)をひとり5 件投票し、得票数の
委員長名でポスター賞を授与した。
【P-212】高校生物
「進化」
の問題点と生物 I 移行に向けた単元構成の提案
中井咲織(立命館宇治中学校・高等学校)
◆ ◆ ◆
審査員:河田雅圭、小林一三、颯田葉子、嶋田正和、舘田英典、矢原徹一、伊藤 剛、
今西 規、窪川かおる、五條堀孝、斎藤成也、高野敏行、高橋 文、舘野義男
◆最優秀ポスター賞◆
【P-101】ゲノムワイドな SNP データを利用した毛髪の形態決定に関与する遺伝子の探索
○藤本明洋 1、木村亮介 1、大橋順 1、徳永勝士 1(1 東大・医学部)
◆優秀ポスター賞◆
【P-17】サンゴ礁の栽培共生 ―なわばり性スズメダイと糸状紅藻イトグサ―
嶋田 正和(会長、東大)
畑 啓生(京大・院理)
【P-83】Sensory drive : 視覚の光環境への適応が引き起こす種の分化、形成の可能性
○寺井洋平 1、宮城竜太郎 1、溝入信治 2、相原光人 1、岡田典弘 1, 2(1 東工大・院・生
2
命理工、 基生研・種形成)
【P-182】8-オキソグアニンはゲノム進化の原動力か?
1
○大野みずき 、三浦智史
1, 2
1
1
2
、中別府雄作 ( 九大・生医研・脳機能、 九大・院医・
精神病態)
◆優良ポスター賞◆
【P-9】腸内共生細菌を変えると宿主昆虫の利用できるエサ植物が変わる
○細川貴弘
1, 2
1
2
1
1
2
、菊池義智 、嶋田正和 、深津武馬 ( 産総研・生物機能工学、 東大
た。すでに他の学会(日本動物学会など)
ポスター賞」は、P-214 の「ミドリゾウリ
で盛んに行われているらしいが、本学会で
ムシと共生藻の共生関係の解明」
(静岡県
も、昨年、当時の評議員だった浅見崇比呂
立清水東高等学校)に決まった。ポスタ
委員(信州大)の発案で評議員会で審議・
ー会場係のスタッフも集まって、拍手の中
採択され、総会でも承認されて、まずは今
で賞状授与が行なわれた。来年は、さら
年実施することになった。
に多数の高校が申し込んでくるよう期待し
○甲斐厚 1、中山剛 2、井上勲 2(1 筑波大・院・生命環境、2 筑波大・生命環境)
【P-80】世界のベニシジミ類の分子系統と生物地理
1
2
1
2
○矢後勝也 、上島励 、三枝豊平 ( 東大・院理・生物科学、 福岡市)
【P-96】新世界ザル野生群における色覚多様性の適応的意義の検討
1
1
つつ、無事、幕を閉じた。
生物教育-ML のメーリングリストなどを使
【P-44】不等毛藻 Aurearena とその近縁な藻類の系統
1
発表した高校には全員に「参加賞」の
賞状を記念として贈り、さらに「最優秀
さっそく高校生物の教師が利用する実践
総合文化研究科)
1
第 8 回大会(東京・代々木)では、初めて
「高校生によるポスター発表会」を開催し
2
河村正二 、平松千尋 、筒井登子 、印南秀樹 、Amanda D. Melin、Linda M. Fedigan3、Colleen M. Schaffner 4、Filippo Aureli 5( 1 東大・新領域、 2 総研大、 3 Univ. of
って宣伝した。それでも、当初は果たして
■発表プログラム
応募があるだろうかと心配であったが、蓋
P-213
町田 智世(光塩女子学院高等科)
・
は大変嬉しい限りであった(残念ながら、
松本 永純(早稲田高等学院)
うち 1 件は当日キャンセル)
。
会期中は、ポスター会場の一番最後の
引率教諭:なし
P-214
番号として、高校生によるポスター発表が
Calgary、4 Univ. of Chester、5 Liverpool John Moores Univ.)
【P-100】進化の 2 つの段階、多型と固定の負の相関から明らかになった適応進化
設けられた。物珍しさもあってか、ちらほ
○五條堀淳 1、Hua Tang 2、Chung-I Wu2(1 東大・院理、2 Univ. of Chicago・Ecol. and
ら聴衆が見に来ていた。最優秀ポスターを
Evol.)
決定する審査委員も、会長の私(嶋田)
、
【P-136】真社会性アブラムシにおける兵隊攻撃毒プロテアーゼの分子進化学的研究
時計遺伝子と進化
を開けてみたら 4 件の申し込みがあったの
前評議員・浅見崇比呂さん、そして元会
ミドリゾウリムシと共生藻の共生
関係の解明
松永 かなえ・川口 知紘・佐野 渚・
長澤 恵未・千葉 健太郎・早川 晶也
(静岡県立清水東高等学校)
引率教諭:篠田 聖児
○沓掛磨也子 1、二河成男 2、Claude Rispe3, 柴尾晴信 4、深津武馬 1(1 産総研・生物機
長・矢原徹一さん(九大)
、現評議員・深津
P-215
P53 の進化と地球環境(キャンセル)
能工学、2 放送大・自然の理解、3 仏 INRA、4 東大院・総合文化)
武馬さん(産総研)
、学会ニュース編集委
P-216
米を発芽させる糖を探る!
【P-143】非分節プランによる頭部および脳の進化: 生きた化石オウムガイの胚発生と末
端集中化型ドメインの形成
員・中井咲織さん(立命館宇治高校)の、
小野 葉子・吉野 真理・秋山 浩輝・
5 名の強力な布陣であった。それらの審査
河野 良平・舩橋 拓也
滋野修一 、○佐々木猛智 、森滝丈也 、春日井隆 、阿形清和 ( シカゴ大・神経、
委員がポスターを聴いて質疑応答し、さら
2
にアドバイスを与えた。
1
2
3
4
5
東大・博物館、3 鳥羽水族館、4 名古屋港水族館、5 京大・院理)
1
(埼玉県立蕨高等学校 生物部)
引率教諭:小滝 藍
“Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 7, No. 2
6
ク質立体構造への影響」
1:8月30日
2:8月31日
1:S1
S : 大会企画シンポジウム
K : 公募式シンポジウム
W:ワークショップ
責任者、提案者
趣旨
城石 俊彦(国立遺伝学研究所系統生物研究セン
講演者(所属)
「講演タイトル」
ター)
各通し番号
●
●
●
8 月 30 日●●●
JSPS AA Science Platform Program
“Coelacanth Symposium”
○岡田 典弘・渡邉 正勝(東工大・院・生命)
平成 16 年 12 月タンザニア水産学研究所よ
り東京工業大学へシーラカンスの冷凍標本
一体が寄贈され、平成 17 年 11 月に我が国
へ到着しました。このシーラカンス標本は
ワシントン条約に基づき研究目的で輸入さ
れた貴重な試料です。今回、同水産学研究
所副所長 Dr. Ngatunga が来日するのに合
わせ、日本進化学会でシーラカンスに関す
るシンポジウムを開催させていただく運び
となりました。尚、本シンポジウム内でシ
ーラカンス冷凍標本の展示も行います。
・ Benjamin P. Ngatunga (Tanzania Fisheries
Research Institute( TAFIRI))「 TAFIRI RESEARCH ACTIVITIES」
(国立科学博物
・山田 格(Tadasu Yamada)
館 ( The National Science Museum ))「 Evolutionary Significance of Coelacanths」
(フロリダ州立大学
・井上 潤( Jun G. Inoue)
(School of Computational Biology, Florida State University))「 African and Asian coelacanths :
An evolutionary history of the extant two
species estimated from complete mitochondrial genome sequences」
1)、岡田
・○佐々木 剛(Takeshi Sasaki )
1)
, 2)
典弘(Norihiro Okada)
、
( 1)基礎生物学研
究 所 ( Speciation Mechanism, Natl. Inst. Basic
Biol.)、 2) 東工大・院・生命(Graduate School of
Bioscience and Biotechnology, Tokyo Inst. Tech)
「 Mitochondrial Genome Analysis of Tanzanian Coelacanth」
ゲノム科学が拓く生殖隔離と種分化機構の
研究
ゲノム/トランスクリプトーム/構造プロ
テオーム
データが語るタンパク質構造の進化
○郷 通子(お茶の水女子大学)・由良 敬(日本
原子力研究開発機構)
タンパク質が細胞中で機能するには、タン
パク質そのものの活性部位だけではなく、
安定性や他のタンパク質との相互作用能力
などが重要な因子となる。タンパク質は、
これらの立体構造因子のバランスをとりな
がら、進化してきたに違いない。細胞シス
テムとして個体が生きていくためには、タ
ンパク質単体としては非最適な状況が選択
されたことも考えられる。このことは、近
年急速に増えてきた細胞システム(ゲノ
ム、トランスクリプトーム、プロテオーム)
としてのデータから見いだすことができる
はずである。そこで本シンポジウムでは、
細胞総体のデータからタンパク質構造の進
化を俯瞰することを試みる。
・七田 芳則(京大)「多様なロドプシン構造
から推定される高等真核生物のロドプシン
の進化」
・山岸 明彦(東京薬科大学・生命科学部)「進
化情報にもとづく高温耐性タンパク質の設
計とその進化的意味」
・西川 建(遺伝研)「タンパク質構造のパラ
ダイムシフト:ヒト転写因子にみられる長
大な不規則領域の意味とは?」
・ Martin J. Lercher( University of Bath /
EMBL, Heidelberg)「 An integrated view on
protein evolution」
・○由良 敬(原子力機構)、郷 通子(お茶の水
大学)
「真核生物遺伝子産物の多様性を生み
出している選択的スプライシングのタンパ
生物学的種とは「互いに生殖的に隔離した
集団である」と定義される。生殖的隔離の
遺伝的要因の解明は種分化機構を理解する
ために必須であり、長い研究の歴史があ
る。このシンポジウムでは、動植物の具体
的な例を取り上げながら最近のゲノムデー
タを考慮して、古くて新しいこの問題を多
角的な視点から再考察する。
・春島 嘉章(国立遺伝学研究所植物遺伝研究室)
「イネ生殖的隔離の遺伝解析」
・木下 哲(国立遺伝学研究所育種遺伝研究部門)
「ゲノムインプリンティングと生殖隔離機構」
・澤村 京一(筑波大学大学院生命環境科学研究
科)
「ショウジョウバエの比較ゲノムと種分化
研究」
・○舘田 英典、上谷 浩一、前田 薫(九州大
学大学院理学研究院)
「集団遺伝学から見た種
形成過程」
・岡 彩子(国立遺伝学研究所哺乳動物遺伝研究
「マウス生殖隔離に関する遺伝解析」
室)
7
・土田 努(産総研)「アブラムシ二次共生細
菌が宿主植物適応に与える影響」
反復配列の進化
舘野 義男(国立遺伝学研究所)
LINE やSINE などの反復配列は、ゲノムの
構造と機能に深く関与している。例えばヒ
トゲノム中の 40 %以上が反復配列によっ
て占められている。また、既存の遺伝子中
に入り込みその機能に大きな影響を与えて
いる。一方、反復配列は、進化過程で起こ
った種々の事象を解析するのに有用な情報
源となる。このシンポジウムでは、反復配
列の生成機構、分子系統解析への定性的・
定量的利用、テロメア進化との関連などに
ついて講演する。
・太田 朋子(国立遺伝学研究所 名誉教授)「反
復配列の増減について」
・岡田 典弘(東京工業大学)「生物種の系統
分化と SINE」
・藤原 晴彦 (東京大学)「テロメア進化と
LINE」
・舘野 義男(国立遺伝学研究所)「霊長類の
MHC 進化と LINE」
・○田村 浩一郎(首都大学東京・院理工)、野
澤 昌史(首都大学東京・院理工, IMEG, PennState Univ.)
「アナナスショウジョウバエ亜群
で見つかった反復配列の増幅機構の進化」
昆虫―微生物間共生の進化
深津 武馬(産総研・生物機能工学)
アブラムシをはじめとした昆虫類の内部共
生微生物の研究で知られ、日本進化学会会
長もつとめられた放送大学教授、東京大学
名誉教授の石川統先生が、昨年の 11 月 22
日に胃癌のため逝去された。本シンポジウ
ムでは、石川先生の進化生物学分野におけ
る業績を偲びつつ、特に先生が先駆者とし
て開拓され、現在では世界的な広がりをみ
せているアブラムシ内部共生系の研究の最
前線について概観したい。
・深津 武馬(産総研)「追悼:石川 統先生―
昆虫内部共生研究のパイオニア―」
・佐々木哲彦(玉川大)「アブラムシ共生細
菌の生理機能」
・重信 秀治(基礎生物学研究所)「アブラムシ
共生細菌 Buchnera のゲノム解析」
・○古賀 隆一(産総研)、孟 憲英、土田 勉、鎌
形 洋一、深津 武馬(産総研・生物機能工学)
「ア
ブラムシ共生細菌の感染ダイナミクスと垂
直感染機構」
意識の進化
池上 高志(東京大学 大学院総合文化)
意識の問題は、その進化的基盤を考えるこ
とによって明らかになってくると考えてい
ます。そこで前回同様、今年も意識の進化
シンポジウムを提案し、その数理論理的、
脳生理学的、認知心理的、複雑系的考察
を行い、意識の進化を科学的問題としてグ
ラウンドしたいと思います。
「 Homeochaos か
・池上 高志(東大総合文化)
ら意識へ」
・茂木 健一郎(ソニーコンピュータサイエンス
研究所)
「意識の第一原理」
・岡ノ谷 一夫(理化学研究所脳科学総合研究セン
ター)「自己言及・再帰性・ミラーシステム」
・郡司ペギオ幸夫(神戸大・理学部)「時間の
起源;現在に帰着しない過去」
“Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 7, No. 2
8
・笹原 和俊(理化学研究所脳科学総合研究セン
ター)
「分節化能力が言語進化に果たす役
霊長類―ヒト:進化速度のパラドクス
太田 博樹(東京大学大学院・新領域創成科学研
究科・先端生命専攻)
チンパンジーとの分岐以降、ヒトの形態は
他の類人猿のそれと比べ極めて速い進化を
とげてきた。一方、近年のゲノム比較はヒ
ト系統における進化速度の減少をしめして
いる。本シンポジウムでは、この形態・分
子で矛盾するヒトに至る進化速度の謎に迫
るべく、ゲノム、化石、文化の観点から議
論する。
・太田 博樹(東京大学大学院・新領域創成科学研
究科)
「
“パラドクス”
についてのイントロダク
ション」
・長谷川 眞理子(総合研究大学院大学・葉山高
等研究センター)
「ニッチェ構築と人類進化」
・海部 陽介(国立科学博物館人類研究部)「人
類における形態進化の加速化」
・黒木 陽子 1)、野口 英樹 1), 2)、豊田 敦 1)、
颯田 葉子 3)、斎藤 成也 4)、○藤山 秋佐夫 1), 5)
(1) 理研 GSC、2) 東大・院新領域、3) 総研大、4) 遺伝
研、5) 情報研)
「ヒト―チンプ Y
染色体の常染
色体よりも速い進化: Male-driven evolution の可能性について」
言語の起源と進化(1)
,(2)
橋本 敬(北陸先端科学技術大学院大学)・岡ノ谷
一夫(理化学研究所)・長谷川 寿一(東京大学)
生物進化、学習、文化進化が相互作用する
進化プロセスである言語起源・進化の研究
を進めることは、言語学、生物学だけでは
なく進化学の発展ももたらす。今回のワーク
ショップでは、言語起源・進化の仮説と言語
を可能にする生物学的基盤の検討に加え、
進化学の進展についての議論を行いたい。
第 1 部(16:00 ∼ 18:30)
「開催趣旨説明」橋本 敬(北陸先端科学技術
大学院大学)
・長谷川 眞理子(総研大・葉山高等研究センタ
ー)
「言語の起源を可能にした人類進化の
諸背景」
「認知言語学
・山梨 正明(京大・認知言語学)
と言語進化研究」
・○杉田 祐也・谷 淳(理研・脳総研)「意味
を構成的に理解するロボット― 学習モデル
と実験結果」
・藤田 耕司(京都大学・人環研究科)「生成文
法から観た言語進化の主要問題」
割」
・○橋本 敬、中塚 雅也(北陸先端科学技術大
「文法化は言語の起
学院大学 知識科学研究科)
源・進化とどうかかわるか」
第 2 部(19:30 ∼ 21:30)
・○岡ノ谷 一夫、高橋 美樹(理化学研究所
脳科学総合研究センター)
「性淘汰と逆ボール
ドウィン効果による歌文法の創発」
・入来 篤史(理化学研究所脳科学総合研究セン
ター)
「象徴思考の神経生物学」
・野村 泰幸(大阪外大・生成文法)「ヒト言語
の演算方式とはなにか―言語の獲得と変化
から考える」
「総合討論」
クジラの進化を考える−古生物学的時間軸
と分子生物学、そしてヒゲクジラの出現−
山田 格(国立科学博物館)
生物進化の研究法として、分子生物学は中
心的学問領域となった。形態と層序から生
き物の来し方を眺める伝統的古生物学との
ギャップは、依然として残っているが、鯨類
の進化を考える際に両者は相補的に機能し
て謎を解明していかなければならない。
・○岡田 典弘(東工大)・長谷川 政美(統数研)
「分子からみたクジラ目の進化年表」
・大石 雅之(岩手県博)「古生物学からみた
ナガスクジラ科鯨類の分岐に関する問題」
・一島 啓人(福井恐竜博)「ネズミイルカ科
分岐年代に関する一解釈」
・澤村 寛(足寄化石博)「クジラヒゲの起源−
化石と胎仔からの考察」
・木村 敏之(群馬県博)「ヒゲクジラの分化
を導いた摂餌戦略」
は論議し続けてきたのではなかっただろう
か。科学哲学はたとえば 1970 年代以降の
社会生物学論争や体系学論争を通じて、進
化学という個別科学に大きな関心を向けて
きた。それは生物進化研究が提起する議論
が、経験科学の研究対象としてだけではな
く、哲学的あるいは概念的な分析を必要と
する諸問題を含んでいるからである。現在
の「生物学の哲学」は、進化学の方法論だ
けではなく、適応度の解釈や系統推定論、
さらには倫理の起源や機能の問題などにわ
たって多様な展開を見せている。このよう
な生物学の哲学の現代的論議は「進化学は
なぜ哲学を問題にするのか」という問題意
識のもとに展開されてきた面がある。その
一方で、進化学者の側からの「哲学はなぜ
進化学を問題とするのか」という問いかけ
は十分に検討されてきたとはいえない。今
回は、生物学の哲学の「いま」を代表する
いくつかの具体的テーマを通じて、この問
いかけに答えてみたい。
・三中 信宏(農環研/東大・院・農学生命科学)
「進化学と生物学哲学の視線の交わり:趣
旨説明に代えて」
・森元 良太(慶應義塾大・文・哲学)「決定論
と確率概念:進化論的世界観とは」
・南部 龍佑(上智大・院・哲学)「生物はいか
にして体系化されるべきか:系統樹の二つ
の顔」
・田中 泉吏(京大・文・科学哲学科学史)「道
徳性の進化:生物学の哲学の観点から」
・網谷 祐一(ブリティッシュ・コロンビア大学・
哲学科)
「種問題と哲学」
三中 信宏(農環研/東大・院・農生)・南部 龍
佑(上智大・院・哲学)
科学者にとって「科学哲学」はあってもな
くてもいい研究分野なのだろうか?しか
し、進化学や体系学の現代史をふりかえる
と、いたるところで“哲学”に関わる論争
が絶えなかったことを現場の科学者は誰も
が体験したり見知ったりしているはずだ。
哲学的な文脈がどうでもよくないからこそ
科学者や科学哲学者たちは機会をとらえて
に科学と価値の問題についても論じたい。
・矢原 徹一 (九州大学大学院理学研究院教授)
「変わりゆく生態系をどうとらえるか― 生
物多様性変動の科学とそこから派生する価
値的命題」
・住 明正 (東京大学気候研究センター長)「地
球温暖化問題の今後」
「高病原性
・伊藤 壽啓(鳥取大学農学部教授)
鳥インフルエンザと新型ウイルス出現の可
能性」
地球の初期環境と生命の起源・進化
○山岸 明彦(東京薬科大学)・小林 憲正(横
浜国立大学)
生命の起源と初期進化に関する研究は、地
球科学、地質学、地球化学、分子進化学
等、いくつかの分野で行われている。それ
らの研究によって地球史初期の 生命進化
のいくつかの側面が解明されつつある。本
企画では、地質、地球化学、分子進化の側
面から研究の現状をまとめ、公募講演から
1、2 題を選出して総合討論を行う。
・掛川 武 (東北大学大学院理学研究科地学専攻)
「初期地球環境と微生物活動の痕跡:百花
争乱」
・小林 憲正(横浜国立大学)「地球と宇宙に
おける化学進化」
・山岸 明彦(東京薬科大学・生命科学部)「生
命の起源のシナリオ」
難培養性真核微生物の分離と
分子データ解析
保全・進化・地球環境の今後
長谷川 眞理子(総合研究大学院大学・葉山高等
研究センター)
哲学はなぜ進化学の問題になるのか:
生物学の哲学の多様な展開
9
人間活動による地球環境の改変は急速に進
んでおり、これまでの地球の長い進化史の
中で作られてきた状態を、大きく崩してい
る恐れがある。一方、地球環境は、これま
でにもさまざまな変動を経験しており、定
常状態にあったわけではない。私たちは、
地球の進化史について知ることのできた唯
一の生物として、地球環境の今後に関して
どのような認識を持ち、なにをするべき
か、進化学者として、市民として、なにをす
るべきか、考える必要がある。本シンポジ
ウムでは、このような問題意識のもとに、
気候変動と鳥インフルエンザという具体的
問題に対する対処の方法を取り上げ、さら
○稲垣 祐司・橋本 哲男(筑波大学・生命環境)
進化上重要と考えられる生物種は培養が困
難な場合が多い。また環境クローン解析で
検知された生物種は、その配列由来や進化
における重要性を検証するために培養株の
確立と分子データの取得・解析が必須であ
る。今回は、進化上興味深いが培養困難な
真核微生物についての分子データ解析、お
よび環境クローン配列と実在する細胞とを
繋げる研究例を紹介し、真核細胞の進化研
究をさらに発展させるためのプロモーショ
ンとする。
・稲垣 祐司(筑波大・生命環境科学・計算科学研
究センター)
「真核生物メタジェノミクスは可
能か?」
・堀口 健雄(北海道大・理)
「Marine Alveolate
group I 配列の正体:寄生性渦鞭毛藻類」
“Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 7, No. 2
10
・○守屋 繁春、戸高 眠、工藤 俊章(理研・
環境分子、横浜市大院・環境分子)
「シロアリ腸
内共生真核微生物の分子生物学」
「低酸素海底
・瀧下 清貴(海洋研究開発機構)
泥からの真核環境クローン解析」
「有中心粒
・坂口 美亜子(筑波大・生命環境)
太陽虫の複数遺伝子による連結分子系統解
析」
・○雪吹 直史、中山 剛、井上 勲(筑波大・
生命環境)
「 海底泥に棲息する新奇エクスカ
ベート生物の分離培養と系統分類」
・浅島 誠(東京大学大学院総合文化研究科生命
系)
「両生類の進化、その底流にあるもの」
・岡田 典弘(東京工業大学大学院生命理工学研
究科生体システム専攻進化・統御学講座)
・○藤村 衡至(東京工業大学岡田典弘研究室)
・小林 直樹(共同研究者)・渡辺 正勝(共同研
究者)
「シクリッドの採餌器官の形態の発生・
進化」
システムとしての生命・遺伝・進化
五條堀 孝(遺伝研、産総研)・○小林 一三(東
生物学的ヒト起源論と生物学的クオリア意
識モデル
水幡 正蔵
生物学的意識定義を行うには、既存の「種
の起源」
、
「ヒト起源」といった基本術語
を、生物学的に再定義する必要がある。当
集会ではその上で、養老「二つの情報世界
論」、茂木「クオリア論」、ユクスキュル
「環世界・機能環論」を発展的に解釈し、
「生物学的クオリア意識モデル」を打ち出
す。これは種社会的配偶者選択の機構論で
もある。
「生物学的ヒト起
・水幡正蔵(在野の研究者)
源論と生物学的クオリア意識モデル」
●
●
●
京大学)
ゲノムの解読とそれに続くオーミックス解
析によって、生命をシステムとして理解す
る研究が現実的になった。さらに遺伝機構
と進化機構をもシステムとしてとらえるこ
とが可能になりつつある。様々な立場か
ら、
「システムとしての生命」の研究の方
向を展望する。
・富田 勝(慶應義塾大学)「マルチオミックス
解析による生命システムの統合的理解」
・小林 一三(東京大学 メディカルゲノム専攻)
「遺伝子共生システムとしての生命」
・佐々木 顕(九州大学)「制限酵素の認識配
列を介する敵対的共進化とゲノム進化」
・五條堀 孝(遺伝研、産総研)「生命システ
ムの進化―脳・神経系の進化過程のゲノム
的研究」
8 月 31 日●●●
Evolution of brains
発生生物学及びゲノム解析からみた進化
浅島 誠(東京大学大学院総合文化研究科生命系)
現在、ゲノム科学の進歩によって様々な生
物の比較ゲノム学および分子発生生物学か
らの進化へのアプローチが可能になりつつ
あります。又、比較系統発生学からも新し
いアプローチがみられています。色々な動
物を使った進化について、発生生物学及び
ゲノム科学から概要してみたい。
・黒岩 常祥(立教大学理学部生命理学科/立教大
学極限生命研究情報センター兼任)「細胞小器
「環」の発見、起源と進化」
・佐藤 矩行(京都大・院・理・動物)「脊索動
物の進化:最近の話題から」
・倉谷 滋(理化学研究所 発生・再生科学総合研究
センター 形態進化研究グループグループディレクタ
ー)
「発生機構と動物進化における新規パタ
ーンの獲得」
渡辺 茂(慶應義塾大学)
哺乳類は脊椎動物のなかで脳を発達させた
グループであるが、中でもヒトは大きな脳
を持っている。鳥もまた脳を発達させてい
るが、その中でもカラスやオウムが脳を大
きくしている。あまり脳を発達させなかっ
た爬虫類や魚類でも、脳を大きくした種が
いる。脳の進化の原理と多様性を議論する
ことでヒト脳の理解の一翼としたい。
・ Michel A. Hofman( Netherlands Institute for
Neuroscience, Amsterdam, The Netherlands)
「Human Brain Evolution : Design without
a Designer」
・ Toru Shimizu( Univ. South Florida)「 The
Avian Brain Revisited : A new understanding of vertebrate brain evolution」
・ Harry J. Jerison( UCLA)「 Quantitative
Analysis of the Fossil Re cord of the Vertebrate Brain」
人類進化の新展開:
アフリカからユーラシアへ
馬場 悠男(国立科学博物館人類研究部)
アフリカで誕生した人類は、およそ 180 万
年前にユーラシアへ拡散し、その西端と東
端で独自の進化を遂げた。さらに、ホモ・
サピエンスは再びユーラシアへ、そして世
界へ広がった。様々な人類祖先たちの適応
戦略を探る。
「アフ
・馬場 悠男(国立科学博物館人類研究部)
リカで生まれた人類の進化」
「ジャ
・馬場 悠男(国立科学博物館人類研究部)
ワ原人の到来・進化・絶滅?」
「ネア
・近藤 修(東京大学大学院生物科学専攻)
ンデルタール人の誕生と消滅」
「ホ
・海部 陽介(国立科学博物館人類研究部)
モ・サピエンスの起源と多様化」
花の起源と進化−化石から分子まで−
西田 治文(中央大学・理工学部)
被子植物を最もわかりやすく特徴づける器
官である花の起源は、被子植物それ自体の
起源と同様に現在も不明である。花の起源
と進化を明らかにするためには、化石情報
と、分子系統、進化発生学、分子生態学な
どの現生植物研究とを総合する必要があ
る。このシンポジウムでは、異なる手法を
用いて花の起源と進化に迫ろうとする第一
線の研究者に、最新の成果と展望を紹介し
ていただく。
(Research Center of Paleon・孫 革(Sun Ge)
tology, Jilin University, China)
「In search of the
first flower : approach by fossil records」
・高橋 正道(新潟大学・理学部)「小型化石
が明らかにする花の多様化の歴史」
・山田 敏弘(国立科学博物館・地学研究部)「胚
珠の器官形成から考える被子植物の進化」
・青木 誠志郎(東京大学大学院総合文化研究科
広域科学専攻)
「花の起源における適応進化
の分子的解析の試み」
11
し、多様化を遂げた。このような細胞では
起源の異なる複数の細胞機能をどのように
して統合しているのだろうか? 光合成細
胞のゲノムと機能の進化を様々な側面から
比較し、オルガネラと宿主/核の関係を紐
解く。
・○田中 歩 1)、佐藤 壮一郎 2)(1)北大・低温
研、2)北大・院理)
「光合成色素と全ゲノム配
列からみた光合成生物の進化と多様化」
・佐藤 繭子、○河野 重行(東大・院新領域・
先端生命)
「シアノバクテリアと葉緑体の狭
間:灰色藻のシアネレ分裂の動態と葉緑体
分裂装置」
・○平川 泰久、石田 健一郎(筑波大・院生
命環境)
「二次共生由来の葉緑体へのタンパ
ク質輸送機構」
・○渡辺 正勝 1)、松永 茂 2)、伊関 峰生 2)、
鈴木 武士 2)( 1)総研大・先導研、2)総研大・高等
研)
「微細藻類の光センシング機構における
細胞内共生」
・○上田実 1, 2)、堤伸浩 2)、門脇光一 1)(1)生
物研、2)東大・院農学生命)
「ミトコンドリアか
ら核への遺伝子転移」
・小保方 潤一( 名大・遺伝子実験施設)「葉緑
体から核への遺伝子転移」
多重遺伝子ファミリーの進化:
遺伝子の生成と消滅のダイナミズム
西田 睦(東京大学海洋研究所)
ゲノム情報の充実により、生物のゲノム中
に種々存在する多重遺伝子が、さかんに増
減していることが分かってきた。そのダイ
ナミックな進化が、生物の生理、生態、形
態などの進化に重要な影響を及ぼしている
可能性がある。本シンポジウムでは、主と
して多重遺伝子ファミリーの進化について
最新の話題を提供していただき、遺伝子の
生成と消滅のダイナミズム、さらにはそれ
と表現型進化との関連について議論を深め
たい。
・西田 睦(東京大学海洋研究所)「遺伝子の生
成・消滅とそれがもたらすもの」
・長谷部 光泰(基礎生物学研究所/総研大生命
科学研究科/ JST ERATO 分化全能性進化プロジェ
クト)
「陸上植物の比較ゲノムから明らかに
光合成細胞の進化と細胞内共生
石田 健一郎(筑波大学生命環境科学研究科)
○小保方 潤一(名古屋大学遺伝子実験施設)
若杉 達也(富山大学理学部)
光合成真核細胞は細胞内共生によって誕生
なった著しい遺伝子増減と体制進化の関
係」
・松尾 義則(徳島大学総合科学部)「ショウジ
ョウバエのヒストン遺伝子ファミリーの協調
進化」
・○川原 玲香・西田 睦(東京大学海洋研究
“Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 7, No. 2
12
所)
「トゲウオ類特異的に高度に重複したス
ピジン遺伝子の進化」
・小川 智久(東北大学大学院生命科学研究科)
「加速進化による多重遺伝子ファミリーの
多機能化:ヘビ毒遺伝子および魚類ガレク
チン遺伝子ファミリーを例として」
・土屋 尚之(東京大学大学院医学系研究科)「ヒ
ト免疫系多重遺伝子ファミリーにおける
copy number polymorphism と疾患感受性」
ウイルスの分子進化
鈴木 善幸(国立遺伝学研究所)
ウイルス、なかでも多くのRNA ウイルスは
超高速で進化する生物であり、進化を実証
できることから、ウイルスの進化を研究す
ることは進化学的に重要である。また、ウ
イルスはさまざまな疾患の原因となり、そ
の進化が疾患の予防や治療を困難にする場
合があることから、ウイルスの進化を研究
することは医学的にも重要である。
本シンポジウムにおいては、日本における
ウイルスの分子進化研究の現状について 5
人の演者にご講演いただき、展望について
議論する。
・杉田 繁夫(JRA 競走馬総合研究所)「同義置
換(アミノ酸変異の伴わない遺伝子置換)
からわかるインフルエンザウイルスの進化
の様相」
・任 鳳蓉(東京医科歯科大学 情報医科学センタ
ー)
「抗レトロウイルス治療下のHIV の宿主
内進化解析と薬剤耐性予測」
・○田中靖人、溝上雅史(名古屋市立大学大
学院 臨床分子情報医学)
「世界における C 型肝
炎ウイルス拡散時期と肝癌死亡率の関係」
・中島 捷久( 名古屋市立大学 医学部ウイルス
学)
「アミノ酸変異の蓄積がウイルス蛋白質
の構造に及ぼす影響」
・鈴木 善幸(国立遺伝学研究所・生命情報DDBJ)
「インフルエンザウイルスの進化速度と分
岐年代」
らない。社会性の動物は、これらの複雑な
利害対立のもとで、さまざまな戦略を編み
出してきた。人間も社会を形成し、その中
で多くの取り決めを共有しながら暮らして
いる。それを守るか、守らないか、守らな
い個体に対して何をするか、ヒトの社会も
さまざまな方策を持ち、個人もさまざまな
行動選択をしている。本シンポジウムで
は、社会性昆虫と人間と、系統的にはまっ
たく異なるが、ともに高度な社会性を進化
させている動物について、これらのジレン
マとその解決について考察してみたい。
・辻 和希(琉球大学農学部生産環境学科)「Evolutionary dynamics of social traits in the
parthenogenetic ant, Pristomyrmex punctatus, and its long-term consequence」
・ Jung-Kyoo Choi( School of Economics and
Trade, Kyungpook National University)「 Trembles may support cooperation in a repeated
prisoner's dilemma game」
・ Jae Chun Choe(Ewha Womans University,
Korea)
「 Cooperation of prey capturing in
Amaurobius ferox (Araneae, Amaurobiidae) and social evolution in spiders」
進化学の教育と研究を考える
― 研究テーマ、研究費、人材
矢原 徹一(九州大学)
今後の進化学の研究がどのような方向に発
展してゆくのか、またそれに伴って必要と
なる研究費を、日本在住の研究者がどのよ
うなリソースから獲得してゆくべきなの
か、さらに進化学の今後を担う人材をどの
ように発掘・生産してゆくのか、について
議論したい。
「進化
・矢原 徹一(九州大学大学院理学研究院)
学関連分野における研究費配分とポスドク
のあり方」
微生物の生き残り戦略と進化
社会性の進化
長谷川 眞理子(総合研究大学院大学・葉山高等
研究センター)
社会を作る動物は、さまざまなジレンマに
直面する。同じ集団のメンバーである個体
同士の間にも利害の対立はもちろんある
が、社会全体にとって利益になることは、
個体レベルでは必ずしも利益になるとは限
西田 洋巳(東京大学大学院農学生命科学研究科)
様々な環境への対応の歴史が微生物のゲノ
ムや機能に表れている。例えば、プラスミ
ドを伝達することにより、その情報および
機能を類縁微生物に伝えたり、自身のゲノ
ムを切り詰め、寄生により生き抜く戦略を
とったりしている。ここでは、
「微生物の
生き残り戦略」という視点より、
「微生物
の多様化」について考察を深める。
・○西田 洋巳(東大・院農・アグリバイオ)、大
西 康夫(東大・院農・応生工)、別府 輝彦(日
大・生資科・生命セ)
、堀之内 末治(東大・院
農・応生工)
「ガンマブチロラクトン合成と
受容の進化的関係」
・大島 研郎、難波 成任(東京大学大学院農学
生命科学研究科アグリバイオインフォマティクス)
「フ
ァイトプラズマのゲノム構造と退行的進化」
・野尻 秀昭(東京大学生物生産工学研究センタ
ー環境保全工学部門)「細菌の環境汚染物質分
解能の多様化と進化―遺伝子の水平伝播と
酵素機能の変化 ―」
パネルディスカッション
「進化学の将来を論じる」
13
同日午前中に開催されるワークショップ 3
のテーマと重なりつつ、日本に限らず世界
全体として進化学が今後どのように発展し
てゆくだろうかという問題について、自由
な議論をしたい。
司会:五條堀 孝(国立遺伝学研究所)
パネリスト:
嶋田 正和(東京大学)
岡田 典弘(東京工業大学)
河田 雅圭(東北大学)
佐藤 矩行(京都大学)
辻 和希(琉球大学)
深津 武馬(産業技術総合研究所)
隅山 健太(国立遺伝学研究所)
内田 亮子(早稲田大学)
田村 浩一郎(首都大学東京)
斎藤成也(国立遺伝学研究所)
大会実行委員会
斎藤成也(国立遺伝学研究所)
庶務担当者として、いくつかの具体的な
点について簡単にご報告する。
実行委員会: 25 名のうち、五條堀孝委員
長をはじめとして8 名が国立遺伝学研究所所
属だが、東京での開催なので、東京近辺の研
究機関・大学からも多数参加してもらった。
大会の場所:貸料が安い(全体で 110 万
円余)という点と、大学ではないという点
から、国立オリンピック記念青少年センタ
ーを選んだ。しかし、3 日間連続してとれた
唯一の日程(8/29、8/30、8/31)が、大会
実行委員が何人か含まれていた東京大学大
学院理学系研究科の大学院入試や北海道大
学の大学院入試と重なってしまい、かなり
の数の大学教員が参加できなかった。大学
での開催と異なり、日程調整に不自由があ
り、申し訳なく思っている。また、センター
の規則により敷地内に張り紙などの掲示が
禁止されていたために、あちこちの建物に
散らばる会場を探すのにかなりの不自由が
あったと思う。参加者にご迷惑をおかけし
てしまった。
大会ホームページ(http://shinka.lab.nig.
ac.jp/):日本語版は充実していたと思うが、
英語版が乏しかった。今後日本以外の国か
らの参加や日本国内の外国人研究者の参加
をうながそうとしたら、英語のページをも
っと充実すべきだろう。
大会のプログラム:植田信太郎委員長を
中心とするプログラム委員会が全体のプロ
グラムを考案した。メインシンポジウムは
主として五條堀孝委員長が、公開講演会は
主として斎藤成也副委員長が担当し、その
他、16 個の実行委員会企画シンポジウムと
5 個の公募シンポジウム、および 5 個のワー
クショップ(公募4 個と実行委員会企画1 個)
、
自由集会1 個が開催された。さらに、進化学
夏の学校 5 講座が開催され、盛りだくさんの
内容となった。メインシンポジウムはそれ
のみの開催だったが、そのほかについては、
最大 6 会場で並行して開催されたために、大
会参加者はそれなりに多かったものの、参
加者同士の交流が短い食事時や懇親会のと
きぐらいにとどまってしまった。やや並列
開催が多かったかもしれない。日本進化学
会設立当初は1 会場だけだったことを考える
と、他分野とのクロスオーバーを促す意味
で、初心に返るべきなのかもしれない。
ポスター発表:日本進化学会の一般会員
の発表の中核として、ポスター発表は重要
であると判断し、張り替えない形式とした
“Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 7, No. 2
14
が、会場を借りることができた時間の制約
立出版、岩波書店、NTS)を含めた 10 企
があり、張ってある時間が、第 2 日終日と第
業・団体が出展した。場所が狭いために、一
3 日午前中(11 時まで)だけであり、短かっ
部の会社は少し離れた場所に展示すること
た。また一体性を保つため、1 会場のみとし
になってしまった。本の展示販売をもっと
たが、過去最大の 216 件(高校生ポスター
充実したかったが、辞退するところもあり、
発表の4 件を含む)となったこともあり、少
1000 名未満の参加者ではなかなか採算がと
し狭かったようである。ポスター会場の場
れないようだ。日本進化学会の会員自身が
所と時間の確保は今後の課題であろう。
出版した本を著者割引で売るという手もあ
各会場の聴衆数:第 1 日のメインシンポ
ると思ったが、準備が間に合わなかった。
ジウムは約 200 名、受賞講演は約 150 名だっ
大会運営の反省点:すでにいくつか指摘
た。第 2 日の午前中は 6 会場で同時進行だっ
したが、そのほかに、インターネットを利
たが、シンポジウム 6(ゲノム科学)が 110
用できる場所を設けなかったこと、学会執
名と最大で、シンポジウム11(意識の進化)
行部との連絡をもっと密にするべきだった
が 100 名と続き、その他の 4 会場は 45 ∼ 55
こと、大会の宣伝ポスターにたくさんの情
名だった。全体では朝最初は300 名程度だっ
報を盛り込んだため、それらが決定するま
たが、午後に近づくにつれてどの会場も人
で印刷がのびのびになってしまったこと、な
が増え、400 名程度になった。午後の前半は
どが浮かぶ。ただ、全体としては「成功だ
ポスター発表の説明にあてられたため、シ
った」と言っていただける内容ではなかっ
ンポジウムもワークショップもなく、夏の
たかと、自負している。なお、本大会の内
学校のみであったが、130 名近い受講者があ
容を、雑誌『遺伝』が特集号を組んで紹介
り、5 講義中最も多かった。午後後半は 5 会
する予定である。
場同時進行だったが、やや低調で聴衆は 30
∼ 80 名だった。ポスター会場にかなり残っ
たのかもしれない。夜は、公開講演会が130
斎藤成也(国立遺伝学研究所)
名程度、その他の 4 シンポジウムは 30 ∼ 80
「生体システムの進化」というタイトルの
名だった。第 3 日の午前中は 5 会場で同時進
もとに、最初五條堀大会委員長が企画説明
行だったが、シンポジウム 3(発生生物学)
をしたあと、以下の 3 名の講演があった:
が 130 名の聴衆を集めたほか、その他は 35
Chung-I Wu(シカゴ大学 生態学進化学科教
∼ 60 名という幅だった。全体で 300 名程度
授)
“Genes and Speciation”
、
Giorgio Bernardi
の参加だった。午後の前半は 6 会場並列で、
(ナポリ臨海実験所所長)
“ The neo-selecシンポジウム 19(多重遺伝子族)が 110 名
tionist theory of evolution: the solution to
と最も多く、その他は 35 ∼ 70 名だった。全
the selectionist/neutralist debate”
、赤澤威
体では午前中よりも若干増加した。午後後
(高知工科大学教授)
“旧人と新人の交替劇:
半と夜はどちらも2 会場並列だったが、最終
ネアンデルタールの正体”
。座長は、順に高
日ということもあり、どれも100 名未満の聴
橋文(国立遺伝学研究所)
、池尾一穂(国立
衆だった。
遺伝学研究所)
、今西規(産業技術総合研究
懇親会:司会は斎藤が英語でやった。こ
所)が担当した。最初の2 講演は英語で、最
れはメインシンポジウムの講演者 2 名が海外
後の講演は日本語で行われた。
から参加されたことも考慮してのことであ
最初の講演は、Wu 教授の、ショウジョウ
るとともに、学会はもっと英語を使うべき
バエを用いた長年にわたる種分化研究の総
だという個人的な主張も込めてしまった。ま
説であるが、種分化遺伝子の実態に迫ろう
あご愛敬であろう。五條堀委員長が挨拶の
として Odyssey の発見につながった一連の
中で俳句を披露したのがおもしろかった。ア
研究とその後の発展は特に興味深いものだ
トラクションとして、ギターの伴奏による
った。第2 の講演は、Bernardi 教授のゲノム
ジャズその他の歌唱を設けた。
内 GC 含量変異に関する長年の研究の総説で
企業・団体展示:今回は出版社 3 社(共
ある。彼の研究成果をもとに、これまでと
は異なる新しい理論を創出しようという意
欲はすばらしいが、やや空回りしている気
がした。遺伝子発現との関係など、もう少
し実際のデータが出てくる必要があるだろ
う。第 3 の講演は、赤澤教授自身で発見し
たデデリエネアンデルタール人のことをふま
えつつ、なぜネアンデルタール人からクロ
マニヨン人に交代していったのかについて、
利用した石器の「道具箱」の違いをもとに
話を進め、最後には現在研究が進展中の古
代脳の復元計画まで触れた、従来の人類進
化学の枠を大きく踏み越えた内容だった。
斎藤成也(国立遺伝学研究所)
15
ることが紹介された。松井教授は、恐竜絶滅
の原因の一つだと提唱されているユカタン
半島への 6500 万年前の小惑星の衝突を、キ
ューバでの現地調査で詳細に研究している
状況を含めて、すばらしい画像とともに紹
介した。青木教授は社会学習(模倣)の能力
が進化する条件を理論的に研究し、その結
果を旧石器時代の人間のおかれていた状況
を推察するのに役立てたことを紹介した。こ
の講演会の詳細が雑誌『遺伝』に掲載され
る予定である。
渡邊正勝(東工大)
今年の大会の公開講演会は「進化学の論
東京工業大学とタンザニア水産学研究所
争」というテーマのもとに、文部科学省に
(TAFIRI)間のシクリッドに関する共同研究
科学研究費補助金研究成果公開促進費を申
開始を記念して平成16 年にTAFIRI より東京
請したが、今年度も採択されなかった。理由
工業大学へシーラカンスの冷凍標本 1 体が寄
のひとつは、やや高度な内容であったためで
贈され、ワシントン条約にかかる正規の手
はないかと思われる。しかし、4 名の講演者
続きの後、平成 17 年に日本に輸入されまし
はひとり 30 分という短い時間の中で、それ
た。今回は、東京工業大学― TAFIRI 間で進
められているシクリッドとシーラカンスに関
ぞれの側面での論争を紹介してくれた。
する共同研究・交流事業(日本学術振興会・
以下の 4 講演があった:大島泰郎(東京
アジアアフリカ学術基盤形成事業)の一環
工業大学名誉教授)
「生命の起源における論
として本シンポジウムを開催させていただ
争―生と死の狭間」
、矢原徹一(九州大学大
きました。
学院理学研究院教授)
「植物進化における論
シーラカンスは古生代デボン紀(約 3 億
争―自殖と他殖はどちらが有利か?」
、松井
8000 万年前)に出現した魚類であり、長い
孝典(東京大学大学院新領域創成研究科教
進化時間を経ていながらも見かけ上に形態
授)
「恐竜絶滅における論争―小惑星の衝突
の変化が見られず、
「生きた化石」と言われ
が原因なのか―」
、青木健一(東京大学大学
ています。このような生物はシーラカンス
院理学系研究科教授)
「人類進化における論
の他に、オウムガイ、カブトエビ、メタセ
争 ― 模倣の意義と起源 ―」
。講演者の紹介
コイアなどが知られています。シーラカン
と司会は、順に山岸明彦(東京薬科大学)
、
スの系統的位置は陸上脊椎動物の起源に近
伊藤元己(東京大学)
、斎藤成也、内田亮子
く、脊椎動物が如何に陸上生活に適応して
(早稲田大学)が行った。大島教授は、生命
きたかを探る鍵となる生物種の一つです。
のない状態から生命のある状態に変化する
本シンポジウムでは、まずはじめに企画
生命の起源を相転移としてとらえ、死から
代表者である岡田教授(東工大)より、日本
生への方向性の可能性を論じた。矢原教授
にシーラカンスが届くことになった経緯を説
は、動物では避けることの多い近親交配を
明させていただきました。第1 の演者として、
植物ではなぜ自家受粉という形で行うこと
TAFIRI 副所長の Dr. Benjamin P. Ngatunga
が多いのかを、ダーウィンにはじまる研究状
より、最近のタンザニアにおけるシーラカン
況から説き起こし、現在でも混殖がなぜひん
スを取り巻く状況についての説明がありま
ぱんに観察されるのかを含めて論争中であ
“Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 7, No. 2
16
した。近年、タンザニアで水揚げされるシー
ラカンスの個体数が増えており、この原因
が何であるのか(環境変動?捕獲技術の向
上?など)が話題になっております。2 番目
の演者の山田格先生(国立科学博物館)に
はシーラカンスの解剖学の現状とこれから
についてお話しいただきました。シーラカ
ンスの解剖学的解析は世界的にはいくつか
の例が知られていますが、今回タンザニア
より贈られたシーラカンス標本については
山田先生に解剖していただくことになって
おり、最新の技術を用いることで今まで見
られなかった発見があるものと期待されま
す。井上潤先生(フロリダ州立大学)には
インドネシア産シーラカンスを用いた分子
系統解析に関するご発表をいただきました。
最近、アクアマリンフクシマ(福島県)のグ
ループによる調査で、生きた映像が撮られ
たことで話題となった種で、これらが西イン
ド洋産のシーラカンスとは別種であり、それ
らの分岐は 3000 ∼ 4000 万年前であると発表
されました。佐々木剛先生(基礎生物学研
究所)には日本に送られたシーラカンスか
ら抽出した DNA を用いた解析結果をご発表
いただき、タンザニア近海には、これまで
に捕獲・解析されてきたのとは異なる新た
なシーラカンス集団が存在する可能性があ
る、というデータを示していただきました。
最後に、企画者(渡邉・東工大)の方から、
シーラカンス標本を用いた共同研究募集の
ご案内をさせていただきました。誰もが知っ
ている「シーラカンス」ですが、ワシントン
条約などの制約から実際に手にして研究に
用いるというチャンスはなかなかありませ
ん。今回のシンポジウム、そして今後の共同
研究は日本のシーラカンス研究が盛り上が
るまたとないチャンスだと感じております。
郷 通子(お茶の水女子大学)
ゲノム解析データに始まる大量データの
蓄積は、今まで積み上げてきたタンパク質
進化の知見に対する再検討を、我々に迫っ
ている。わずかなデータの解析から推定さ
れていた全体像は、全データにもとづく解
析とは首尾一貫していない。この事実を明
らかにしてきた次の5 名が、本シンポジウム
において講演した。
七田芳則氏は、G タンパク質共役型受容
体のサブグループであるロドプシンにおける
アミノ酸残基の変化と、ロドプシンが受容
する光の波長の関係について講演した。ゲノ
ムデータから多種のロドプシンのアミノ酸
配列がわかってくることで、アミノ酸残基
と光の波長との関係が単純なルールでは決
まっていないことが明らかになった。光の
吸収波長を決定する因子は、あるロドプシ
ンではアミノ酸残基間の塩橋であるかと思
えば、別のロドプシンではアミノ酸残基側鎖
の大きさが重要な役割を果たしていること
が実験的に示された。
山岸明彦氏は、ゲノムデータからイソロイ
シン合成系酵素の祖先配列を推定し、その
配列をもつタンパク質の性質を調べている。
推定された祖先配列をもつタンパク質を実
際に発現すると、耐熱性をもつことが示さ
れた。この事実はタンパク質のみならず地
球の進化にも意味をもつ。祖先タンパク質
をもつ生物が高温環境にいたことが示唆さ
れる。大量データはひとつ一つのタンパク
質の進化のみならず、タンパク質全体の進化
の実像を明らかにしはじめている。
西川建氏は、高等真核生物の転写因子に
は定まった立体構造を形成しない部分が大
量に存在することを示した。さらに構造を
形成しない部分が、転写因子の機能に重要
な部分である場合が多いこともわかってき
た。ところが、原核生物の転写因子では、
構造を形成しない部分の存在はまれである。
このことは、転写因子の多様性を示すととも
に、タンパク質があらかじめ固有の立体構造
をもつことで機能するという考えに疑問を
呈することになる。
Martin Lercher 氏はトランスクリプトー
ムデータとゲノムデータをいろいろな尺度で
比較した。解析結果の一部として、タンパク
質をコードする遺伝子の進化速度とその遺
伝子の転写量とには、従来いわれてきた進
化速度と遺伝子の重要性との関係よりもは
るかに強い相関があることを示した。
由良敬氏は、選択的スプライシングによっ
てできるタンパク質アミノ酸配列のうち、物
理化学的に安定な立体構造を形成すると考
えられる場合が 30 %程度しかないことを大
量データ解析から示した。つまり残り 70 %
もの選択的スプライシング産物はタンパク
質として機能するための立体構造を形成し
そうもないことを意味する。これは、真核
生物における選択的スプライシングが、タ
ンパク質の多様性に貢献しているとの考え
に疑問を呈することになる。
いずれの講演においても、大量データが語
る結果は今までの考え方に修正を加えなけれ
ばならないことを示した。俯瞰的データの蓄
積は、これからいっそう加速されることが期
待される。そのデータが語るタンパク質進化
の全体像を知ることは新たな楽しみである。
最後に、本シンポジウムでの講演を快諾下さ
った講演者の方々と、熱心に討論に参加して
いただいた聴衆のみなさんに感謝したい。
小林一三(東京大学)
現代へ至る生命研究の流れは、素過程へ
の、つまりは、分子レベルへの分析であった。
そもそも遺伝子という「粒子」概念が遺伝学
を拓き、特定の遺伝子とその産物に生命活
動を帰着させる分子生物学研究がきわめて
生産的であった。しかし、近年のゲノムの
解読とそれに続くオーミックス解析によっ
て、
「生命をシステムとして理解する」という、
かつて幾度も叫ばれた方向が、ようやく現
実的になった。生命の持つ遺伝機構だけで
なく、進化する能力も、ついには「システム
としての生命」の活動として理解できるだろ
う。逆に、
「システムとしての生命」の理解は、
進化の理解なしには不可能だろう。このシ
ンポジウムでは、様々な立場から「システム
としての生命」の研究を展望した。
富田勝博士(慶大)は、
「マルチオミックス
解析による生命システムの統合的理解」に
ついて紹介した。細胞内小分子解析技術、
大腸菌の単一遺伝子破壊株ライブラリーな
どの独自技術を創り出し、それによって、
17
大腸菌の変異体について、メタボローム、
プロテオーム、フラクスオーム、トランス
クリプトームを系統的に測定し、イン・シ
リコで代謝モデルを作製した。最先端の諸
技術が生命のトータルな理解に突き進んで
いることが、説得力をもって示された。
小林(東大)は、
「遺伝子の社会としての生
命体とゲノム」の維持と進化の原理の一つ
としての、
「ゲノム内の遺伝子間コンフリク
ト」について、制限修飾遺伝子を中心に、
様々なアプローチで紹介した。数理生態学
のポピュレーション・ダイナミクス解析手法
によって、ゲノムが遺伝子にハマってしま
うという「遺伝的中毒」の成立には、空間構
造が重要であることが示された。制限修飾遺
伝子の発現に関係する small RNA が分子生
物学実験で示された。制限修飾系のような
ゲノムをメチル化するエピジェネティック系
に対して、細菌がゲノム切断による自殺型防
御機構を持つことが分子生物学的手法で証
明された。バイオインフォーマティクスによ
る近縁の原核生物のゲノム配列の比較によ
って、利己的な遺伝子の活動によるゲノムの
作り替えの過程が再構成された。制限酵素
の配列認識のドメイン組換えによる進化機
構、パラログ・クラスターの進化機構につい
ても、近縁ゲノム比較から証拠が得られた。
既知配列とのホモロジーによらずに、近縁
ゲノム比較での動く遺伝子としてのふるま
いから、制限酵素遺伝子を予測することに
よって、全く新しい立体構造(フォールド)
を持つDNA 結合タンパクへとたどり着いた。
佐々木顕博士(九大)は、
「制限酵素の認識
配列を介する敵対的共進化とゲノム進化」と
題しての講演だった。おそらく制限酵素の
攻撃によって、原核生物ゲノム上の制限酵素
認識配列が系統的に減少していることが知
られている。ファージと細菌(制限酵素)の
ポピュレーション・ダイナミクスを解析する
ことによって、この減少が認識配列以外に
も及ぶことが示された。多くの時間をつい
やしたのは、緊急の課題になっているイン
フルエンザ・ウイルスに関する研究であっ
た。ウイルスとホストの共進化の数理生物
学的解析である。免疫系との戦いによって
ホスト体内でのウイルス抗原性の進化が導
“Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 7, No. 2
18
かれた。さらに確率過程を考えることによ
って、ウイルスの系統樹の特性が導かれた。
ゲノム配列の進化が、ホスト・パラサイトの
解析のロジックにうまく乗ることは、非常に
興味深い。
「進化研究は、役に立たない(=
ただの知的遊びである)
」という見方は、残
念なことに未だに無くならないが、微生物感
染とはまさに進化の問題であることをあら
ためて実感した。微生物進化の理解によっ
て、たとえばウイルスの抗原予測が可能に
なり、多くの人命を救うことができるよう
になるだろう。台風の予報が多くの人命を
救っているように。大流行が予想されてい
るインフルエンザ・ウイルスについては、今
大会では他にもいくつかの発表があった。
五條堀孝博士(遺伝研)は、脳・神経系
システムについて、進化によって理解する
という立場の研究を紹介した。ゲノム・トラ
ンスクリプトームなどを中心とした統合的
な研究アプローチである。特に、全ゲノム
情報が解読された生物を比較の対象として、
ヒトの脳・神経系に現在発現している遺伝子
の進化的追跡を試みた結果を報告した。
生命とは何か、進化とは何か、それを理
解できる段階に私たちは確実に近づきつつ
ある。そしてそれをコントロールできる段階
に。そのような印象を持った。そのために
は、多様なアプローチのぶつかり合いと統
合が必須だろう。この進化学会がその場と
なることを切に願う。
渡辺 茂(慶應義塾大学)
脳は生物の進化の中で、異種間、同種内
において様々に変化してきた。本シンポジ
ウムは、脳の比較研究から、進化における
構造と機能の関係を考えることを目的として
企画された。第一演者はこの分野の第一人
者である Harry J. Jerison 教授であった。彼
は、脳の大きさと体の大きさの関係の記述を
最初に行った研究者であり、また、最初に
知能の進化と脳の進化の関係を提唱したこ
とで知られている。体と大脳の大きさを脊
椎動物全般でグラフ上にプロットすると、お
およその比例関係が見られることが示され
た。哺乳類における大型類人猿や、鳥類に
おけるカラス・オウム類など、同種内におい
ても脳を大きくした種とそうでない種がい
ることを示された。現在、彼は3 次元レーザ
ー走査による絶滅種の頭部化石標本からの
脳構造の推定、再構成を精力的におこなっ
ており、恐竜、始祖鳥などでの成果が披露さ
れた。かなりの高齢であるにもかかわらず、
絶えず新しいことに挑戦する姿勢に多くの
聴衆は感銘をうけた。
続く演者 Michel A. Hofman 教授は、霊長
類における大脳皮質の情報処理能力の進化
を、皮質だけでなく灰・白質構造にも着目し
て論じた。彼は、大脳における三者の割合を
霊長類間で比較し、大型霊長類の白質体積
の増大が顕著であることを示した。白質は、
皮質領域間の連絡繊維から構成されており、
その体積増大が、霊長類の進化における知
覚・認知モジュール間統合という認知機能
の発達に寄与した可能性が述べられた。
最終演者の清水透教授は、鳥類の脳につ
いて、近年の比較解剖学的知見について紹
介した。鳥類は 3 億年もの間、哺乳類とは
異なる進化を経ており、その大脳には層構造
がなく、哺乳類の大脳皮質が担う認知機能
を持たないと考えられてきた。しかし、近年
の発生、解剖、行動の研究により、鳥類の
大脳外套部が大脳皮質と相同関係にあるこ
とが明らかになってきたことを示した。彼
は脳の進化を促した大きな要因として基礎
代謝を考えており、その仮説に基づく鳥類
脳の進化の機構が説明された。
講演後のディスカッションでは、最近発見
された小型人類の脳や、脳の進化におよぼ
した社会的知能の役割、さらに脳が「心」的
機能を選択圧として進化したのか、あるいは
他の選択圧で生じた大きな脳の副産物とし
て「心」的機能が生じたのかといった重要で
興味深い議論が交わされた。なお、議論の
途中で震度 3 の地震があり、外国人研究者
の心胆を寒からしめた。
深津武馬(産業技術総合研究所)
まず企画者の深津が「追悼:石川 統先生
―昆虫内部共生研究のパイオニア―」という
ことで、進化学会元会長であり昨年逝去さ
れた石川統先生を記念するというシンポジ
ウムの趣旨説明、石川先生の本研究分野に
おける多岐にわたる業績と人柄の紹介、そし
て最近飛躍的に研究が進み、石川先生を記
念して“Candidatus Ishikawaella capsulata”
と命名されたマルカメムシ類の共生細菌に
ついて話題を提供した。
佐々木哲彦氏(玉川大)は「アブラムシ
共生細菌の生理機能」と題して、アブラム
シの必須共生細菌 Buchnera が宿主にとって
どのような生理学的役割をになっているの
かを、緻密な実験生物学的なアプローチに
より解析し、植物篩管液中に比較的多く含ま
れるアミド態非必須アミノ酸(グルタミン、
アスパラギン)から必須アミノ酸を効率的に
合成していること、その過程では宿主菌細胞
と協調したアミノ酸の取り込みや輸送が関
与していることを明らかにした成果につい
て紹介した。共生の生理機能に正面からと
りくんだ、まさに「生物学的な」重厚な研究
に多くの聴衆が感銘を受けたようである。
重信秀治氏(基生研)は「アブラムシ共生
細菌Buchnera のゲノム解析」ということで、
Buchnera のゲノム解析、ゲノム情報から見
てとれる内部共生進化の諸相、さらには最
新のプロテオミクス解析や新規輸送系の同
定などに関する話題を提供した。彼の仕事
は、細胞内共生細菌として世界初の全ゲノム
決定として 2000 年に『Nature』に発表され
て有名であるが、その重要性のみならずそ
の後の発展をも俯瞰することのできる有意
義な講演であったと思う。
古賀隆一氏(産総研)は「アブラムシ共生
細菌の感染ダイナミクスと垂直感染寄稿」と
題して、アブラムシの一次共生細菌Buchnera
および二次共生細菌 Serratia が、アブラムシ
の生活環の中でどのような体内局在とダイ
ナミクスを示すのかについて、きわめて美
しい FISH や電顕の映像とともに詳細に明ら
かにした。なかでも母親の菌細胞から初期
胚への Buchnera の垂直伝達に選択的なメカ
ニズムが働いていること、そしてその過程
にはおそらく exocytosis-endocytosis が関与し
ていることを示したことは、きわめて新規
19
性が高く重要な発見と思われる。
土田努氏(産総研)は「アブラムシ二次共
生細菌が宿主植物適応に与える影響」と題
して、アブラムシに二次共生細菌 Regiella が
感染することによって、効率的に利用でき
る植物範囲がひろがるという発見、具体的
には Regiella なしではカラスノエンドウしか
うまく利用できないのに、Regiella に感染す
るとカラスノエンドウに加えてシロツメクサ
も利用できるようになることについて話題
提供した。彼の仕事は 2004 年に『Science』
に発表されたものであるが、体内の共生細
菌によって寄主植物範囲というきわめて重
要な生態的性質が規定されているというの
は衝撃的な話であった。
大きな会場であったが、多数の聴衆が場内
を埋め、総合討論の時間にもきわめて活発な
議論が展開され、生物間共生という現象に対
する関心の高さがうかがわれた。石川先生
も天国で喜んでいらっしゃることであろう。
舘野義男(国立遺伝学研究所)
まず、太田朋子(国立遺伝学研究所名誉
教授)さんから「反復配列の増減について」の
講演があり、37 年前の Britten と Davidson
による反復配列の遺伝子の発現調節に関す
る仮説の紹介のあと、利己的な反復配列の
増減に関するモデルについての解説があっ
た。さらに、利己的ではない反復配列の進化
における意義についての考察が紹介された。
次に、岡田典弘(東京工業大学)さんか
ら、
「生物種の系統分化とSINE」という題で、
彼らが世界で初めて、レトロポゾンによる系
統関係決定を提唱したことやその歴史が紹
介された。また、哺乳類の系統について、
最近の成果であるPegasoferae(コウモリ、ウ
マ、イヌが単系統)を含む高次分類群につい
ての成果が紹介された。
藤原晴彦(東京大学)さんからは、
「テロメ
ア進化と LINE」についての講演があり、テ
ロメラーゼによる真核細胞のテロメア反復
配列の合成と、この酵素遺伝子とLINE の進
化関係についての説明があった。また、彼ら
によって複数の昆虫のテロメラーゼ遺伝子
“Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 7, No. 2
20
が同定された、という報告があった。
続いて、田村浩一郎(首都大学東京)さん
から、
「アナナスショウジョウバエ亜群で見
つかった反復配列の増幅機構の進化」とい
う講演があり、このハエから彼らが新たに
見つけた比較的起源の新しい反復配列につ
いての紹介があった。この反復配列の進化
的増幅には、レトロポジションによる増幅
と DNA 再構成による増幅の 2 段階があるこ
とが示された。
最後に企画担当の舘野義男から、
「霊長類
のMHC 進化とLINE」について講演があり、
不完全 LINE 配列を用いての、MHC-B と C
遺伝子の分岐年代や、ヒト、チンパンジー、
アカゲザルの分岐年代の推定について紹介
があった。
馬場悠男(国立科学博物館人類研究部)
プログラム委員長の植田さんから急に頼
まれて、化石に基づく人類進化のシンポジウ
ムを企画することになった。とりあえず第 1
回なので、テーマは絞り込まず、全体を眺
めるために、人類誕生と猿人の進化から、
原人・旧人のユーラシア東端・西端での特
殊化、新人の出アフリカと世界拡散とした。
できるだけ自分の調査に基づいたデータで
説明できる演者を集めようとしたが、アフリ
カの猿人研究の第一人者である諏訪さんに
は、野外調査の予定があって断られてしまっ
た。そこで、やむを得ず、私が、自分の受け
持ちのジャワ原人に加えて、アフリカにおけ
る人類誕生や猿人の進化まで概略を話すこ
とになった。旧人に関しては、赤沢さんと
一緒にネアンデルタール人の調査をしてい
る近藤さんにお願いした。また、新人拡散
の部分は、国立科学博物館で同様な展示を
担当した海部さんにお願いした。
私たち古人類学者は、遺伝学的推定がい
くら進もうとも、実際にどのような人が、
いつどこにいて、どのような生活を送って
いたか、あるいはどのような考えを持って
いたかは、化石人骨や古環境・年代資料あ
るいは考古遺物の発見と分析によって初め
て明らかになると認識している。したがっ
て、古人類学の分野になじみの少ない遺伝
学者を対象として、最先端の成果を盛り込
みながらわかりやすい内容の企画を立てた
つもりだったが、残念ながら遺伝学者の出
席は予想したほど多くなかった。
今後は、遺伝研究者と古人類研究者の両
方から代表者が出て、じっくりと相談し、
共通の土俵で刺激しあえるような企画をた
ててみたい。
西田治文(中央大)
被子植物を最もわかりやすく特徴づける
器官である花の起源は、被子植物それ自体
の起源と同様に現在も不明である。花の起
源と進化を明らかにするためには、化石情
報と、分子系統、進化発生学、分子生態学
などの現生植物研究とを総合する必要があ
る。このシンポジウムでは、異なる手法を
用いて花の起源と進化に迫ろうとする異な
る分野の研究者に、最新の成果と展望を紹
介してもらった。進化学会研究に化石が果
たす役割には一定のものがあるが、残念な
ことに進化学会では化石関係の話題が少な
い。このシンポジウムはこの点を補完する
意味もあって、企画した。植物化石研究者
の人口は日本では多くないことと、同時間
に、多重遺伝子ファミリーに関するシンポ
ジウムが開催されたこともあって、参加者
は30 名ほどであった。PC 接続にトラブルが
あり、プログラムの順序を入れ替えるなど
混乱したが、内容はなんとか収まった。
順序を替えて最初に登場していただいた
新潟大の高橋正道さんは、被子植物が白亜
紀以降どのように多様化したかについて、世
界的に研究が進んでいる花の炭化化石情報
に基づいて総括した。中国吉林大学の孫革
さんは、すでによく知られている最古の被
子植物化石、Archaefructus の紹介と、最近
同層準から発見されている、他の被子植物
化石を紹介した。化石の時代論もまだ議論
されているが、それよりも花とされている
生殖器官に花被が無いことなどの化石の特
徴と、花のホメオティック遺伝子進化との
関連がもっと議論できると良かった。
国立科学博物館(現金沢大)の山田敏弘
さんは、被子植物の特徴である二珠皮性の
胚珠の起源について、スイレン科の胚珠に
おける比較形態と分子発生学的研究を総括
し、外珠皮の葉的性質を強調した。さらに
雌しべを形成する心皮の起源についても独
自の考えを提示したが、この議論は充分進
まずに時間切れとなったのは残念であった。
最後に、東大の青木誠志郎さんが、花起
源における MADS 遺伝子群の適応的分子進
化の可能性について、研究途上にある独自
の成果を紹介した。遺伝子進化がどのよう
に起こったかを現生植物の遺伝子系統解析
から推定し、「被子植物と裸子植物の分岐
時」と「現存被子植物の最古の分岐時」の 2
点における祖先 DNA 配列を計算し人工的に
祖先 MADS タンパク質を復元合成するとい
う理詰めでユニークな手法は、今後の発展
が楽しみである。
現生被子植物の花の多様性が、ホメオテ
ィック遺伝子とその関連遺伝子の変化でも
たらされるという発生遺伝学的研究が個別
の分類群ごとに進むなかで、化石の花形態
の発生遺伝学的背景も今後は推定できるよ
うになるだろう。また、被子植物の起源植
物の探査においても、どのような形態が現
在の花を生じうるのか推定する基礎情報も
現生植物の研究からもたらされるだろう。今
回のシンポジウムは、古植物と現生植物と
の科学的な相互検証過程が今後どのように
進みうるのかを考える良い機会になったと
考えている。
太田博樹(東京大学大学院・
新領域創成科学研究科)
ヒトとチンパンジーの全ゲノム配列が決定
され、ヒトの進化を議論する場合でもゲノム
ワイドでの取り組みが研究者の間で一般化
しつつある。また近年、ラミダス猿人、カダ
バ猿人、サヘラントロプスなど、ヒトとチ
ンパンジーの分岐以降、ヒトへ至る系統を
21
議論する上で極めて重要な化石標本が相次
いで発見されている。本シンポジウムは、
こうした人類学の潮流を踏まえ企画された。
タイトルにある「進化速度のパラドクス」と
は、分子進化速度と形態進化速度の間で観
察されるパラドクスのことである。ヒトと霊
長類以外の哺乳類、ヒトとチンパンジーを比
較した場合、前者より後者の方が分子の進
化速度は遅いという事例は、80 年代後半の
個別の遺伝子比較から既に報告されてきた
が、ゲノム配列決定の進展により、これがゲ
ノムワイドの多種間比較でさらに明確にな
ってきた。一方、形態の進化を見てみると、
むしろ逆であることは明らかだ。例えば初
めて道具を使用したと言われるハビリス原
人の脳容積は約 700cc であるが、ヒトでは約
1350cc が平均であり、2 倍近く増大してい
る。脳容積が増大したのとは裏腹に、あご
の骨や歯は小さくなった。博物館でジオラ
マを見れば、子供でも一目瞭然と言える。
ところがヒト以外の類人猿は数百万年経っ
ても、ほとんど変わっていない。
従来、分子進化速度がヒトへ至る系統で
遅くなっている理由は、世代時間がヒトに
近い種で遠い種より長くなっている事実か
ら説明されてきた。すなわち、生活史の違
いが分子レベルの進化速度の遅速化と関係
があるという見方である。一方、形態進化
速度の加速化は、ヒトが言語や文化をもっ
たことに起因していると説明されてきた。ヒ
トとチンパンジーの全ゲノム配列のうち「ど
の違い」がヒトとチンパンジーを分けてい
るのか、分子機構がいまだ明らかになって
いない現状を鑑みると、発想を大きく変え
て「生活史」あるいは「言語・文化」の観点
からとらえ直す必要がある。
今回は、比較ゲノム学、形態学、行動生
物学の専門家にそれぞれの分野の最先端の
研究を紹介してもらい、さらに異なる専門
分野の研究者同士による討論会を実施した。
まず海部陽介氏(科博・人類)から猿人段階
から原人、旧人、新人に至る人類の進化に
おいて、化石試料の形態学的特徴が多様性
を増す、すなわち形態における進化速度の
加速化について解説があった。つぎに藤山
秋佐夫氏(理研 GSC、情報研)から現在の
“Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 7, No. 2
22
ヒト=チンパンジー比較ゲノム研究の最先
端について、内外の動向、日本での取り組
みの包括的な解説があった。最後に長谷川
眞理子氏(総研大・先導科学)からヒトと
チンパンジーの生活史比較の重要性の解説
とその事例紹介があり、こうした観点が従
来の人類進化研究に欠けていたという指摘
があった。
当日は「開催が 9 時 30 分から」と朝早か
ったにも関わらず、複数分野からの大勢の
聴衆の参加に恵まれ、長谷川眞理子氏の講
演に引き続いて行った総合ディスカッショ
ンでは、終了時間を延長して、多くの意見
交換、情報交換と議論がなされた。授乳期
間や子供の養育に関する社会性の変化が、遺
伝子頻度の変化としてゲノムの進化へ影響
をおよぼした可能性が、具体的な遺伝子や
形態を例に議論されたことは、学際交流を
強く意識した本シンポジウムの大きな成果
であった。一方、ヒトの進化の謎(パラド
クス)を解き明かすために「実証科学として
どのようなアプローチがありうるか?」を
総合ディスカッションで引き出すことが当
初大きな狙いであったが、時間切れで終了
せざるを得なかったのは残念であった。今
後もこうした学際的議論の場の継続的発展
の必要性を感じている。
橋本 敬(北陸先端科学技術大学院大学)
本シンポジウムでは言語起源・進化研究
の学際性を反映し、様々な分野の研究者が
講演を行った。本稿では、対象・方法を大
きく、動物の実験・観察、人間言語の記述、
シミュレーションやロボット実験に基づい
たものに分けて報告する。
シンポジウムを始めるにあたり、企画者
代表として橋本が、言語の起源と進化はど
ういう問題であるか、どのような考え方があ
るかを簡単に述べた。言語の起源とは、言
語能力の生物学的な進化過程であり、言語の
進化とは、初期言語から現在の言語にいた
る言語の複雑化・構造化の過程である。これ
は、生物進化だけではなく、学習、文化進化
が相互作用する進化ダイナミクスである。
まず、動物の実験・観察に基づくものと
して、長谷川眞理子氏(総研大)は、言語
能力の進化の解明には言語能力と人類が持
つ他の形質の進化をいっしょに考察する必
要があるとし、比較認知科学の研究を紹介
した。そして、ヒトにおける子どもの成長
の遅延と子育て負担の増大により、親子間
の愛着とコミュニケーションの必要性が増
したことが、言語の起源に大きな働きをなし
ていることを主張した。岡ノ谷一夫氏(理
研)は、有限状態文法で記述される複雑な歌
を歌うジュウシマツと、その野生種で線形
の単純な歌を歌うコシジロキンパラを入れ
換えて飼育するなどの実験を報告した。そ
して、家禽化による捕食圧の消失という隠
蔽過程と、種認識の必要から線形の歌を忠
実にコピーするバイアスがなくなる脱隠蔽
過程の組み合わせという逆ボールドウィン
効果が性選択と相互作用することで、ジュウ
シマツの歌が複雑化したという仮説を提唱
した。入來篤史氏(理研、東京医歯大)は、
ニホンザルの頭頂葉後方下部領域近傍にお
いて、多種感覚を統合して手の機能的意味
を象徴的にコードし、それを操作する能力
が獲得されたことを反映する活動を捉えた
実験を紹介し、この領域における情報処理
は象徴的思考のはじまりの一端を担い、言
語機能の進化において大事な役割を果たし
ていたのではないかという考えを述べた。
次に、人間言語を対象とする言語学より、
山梨正明氏(京大)は、言葉の発現の身体的
な経験を重視する認知言語学が、前言語的
な認知能力から記号系が発現するプロセス
を探究していくアプローチとして、言語の起
源と進化の研究との親和性があることを紹
介した。藤田耕司氏(京大)は、言語能力の
特異性は感覚運動系システムと概念意図シ
ステムを回帰性を持った統語システムが繋
いでいるという点にあり、その回帰性の進
化過程を明らかにすることが重要であるこ
とを指摘した。そして、その前駆体として、
道具使用などに見られる階層的物体操作能
力が妥当であることを主張した。野村泰幸
氏(大阪外大)は、言語における機能範疇と
その操作、すなわち演算操作の重要性を指
摘し、ヒト以外のコミュニケーションシステ
23
ムにおいて機能範疇に相当する要素が見い
出され、脳で演算操作が確かめられるなら
ば、言語の起源と進化の問題に実質的に迫
る可能性があるという考えを述べた。
山田 格(国立科学博物館)
ロボットやシミュレーションを構成し動
このシンポジウムの企画は、国立科学博
かすことを通して、言語や認知機能を考察
物館古生物研究部の甲能直樹氏の多大なる
する試みとして、杉田祐也氏(理研)は、
助 言 を得 て進 められた。 Millinkovitch や
概念を分解せずに概念間の関係の規則性を
Arnasson 以来、
「真の系統を把握している」
学習する人工神経回路網モデルを用い、ロ
分子生物学者が、素朴な方法に固執する形
ボットが語の意味の明示的な内部表現を持
態学者を教え導くかのように、双方の知見
たないにもかかわらず、あたかも要素を合
の矛盾点をあげつらう面もあったが、むし
成しているかのように未知文を適切に処理
ろその矛盾点を双方の叡智を集約すること
できることを示した。笹原和俊氏(理研)
で乗り越え、個々の時点での健全な理解を
は、連続した情報構造から離散的な機能単
確立しようとする努力も重ねられてきてい
位を見い出し操作する能力である分節化能
る状況を確認することを目指した。
力が言語には必須であるという考えのもと、
前半は、分子生物学の知見から得られた
分節化能力を持ったエージェント間の談話
分岐図と分岐の時期に対し、形態学―古生
シミュレーションについて報告した。これ
物学の知見とのつきあわせを行うことをめ
は、共通の文脈における相互作用により語
ざした。まず、議論の素地となる「分子か
と意味が同時に生成されるという、岡ノ谷
らみたクジラ目 の進 化 年 表 」 と題 する、
とMerker による文脈音列相互分節化仮説を
SINE を用いた分岐の関係―岡田典弘氏(東
一部検証する試みである。橋本敬(北陸先
京工業大学)とそれに基づく分岐年代―長谷
端大)は、名詞や動詞が文法的機能を帯び
川政美氏(統計数理研究所)の紹介があった。
るようになる文法化という言語変化現象が、
次いで、大石雅之氏(岩手県立博物館)が、
言語の起源と進化に関連する可能性を紹介
し、文法化シミュレーションの解析を元に、 「古生物学からみたナガスクジラ科鯨類の分
岐に関する問題」概観し、特に、分岐年代
新たに発見した言語的ルールを既存の言語
設定とカリブレーションにさらなる検討の
的知識に対して拡大適用する能力が、人間
必要性を強調した。一方で、一島啓人氏(福
言語に特徴的な超越性という性質に関わる
井県立恐竜博物館)は、現在見られるネズ
可能性があることを示唆した。
ミイルカ科の分化をプロジェネシス型進化
最後に総合討論を行い、今回のシンポジ
ととらえ、起源を氷期の始まりの時期に重
ウムで示された仮説の検討や、今後の展開
ねることができるという「ネズミイルカ科分
などが議論された。言語の起源と進化に関
岐年代に関する一解釈」を紹介した。
するシンポジウムを進化学会で開催するの
後半では、ヒゲクジラの起源と適応に関
は今回で 3 回目である。これまでの 2 回の議
する最近の知見を話題にした。澤村寛氏(足
論を通じ、異なる分野の研究者の間で互い
寄動物化石博物館)は、
「クジラヒゲの起源―
に話が通じるようになってきており、また、
化石と胎仔からの考察」し、歯のあるヒゲク
言語の起源と進化がどのような問題であり、
ジラ類化石の所見と現生ナガスクジラ類の
なにを研究すべきかが共有されてきた。そ
歯胚とヒゲ板の関係の比較による evo-devo 研
れを受けて開かれた第 3 回のシンポジウムで
究の好例を紹介した。木村敏之氏(群馬県
は、上に報告したように、具体的な仮説が
立自然史博物館)の「ヒゲクジラの分化を
提示されるようになってきた。今後、これ
導いた摂餌戦略」では、 原始的ヒゲクジラ
らの仮説をどのように検証するのか、互い
類にも現生ヒゲクジラ類と同じような摂餌
にどのような関係にあるのか、という点を
様式の多様化が見られることが示された。
詰めていかなくてはならない。
クジラ目の進化を議論するには、分子生
“Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 7, No. 2
24
物学的手法による分岐パターンと分岐年代
の推定、化石鯨類の形態学的研究、形態学
的知見に基づく機能的解釈から生態的棲み
分けの考察、発見層順に基づく年代推定な
ど幅広い視点からの議論を進めることが必
要であろう。
三中信宏(農環研/東大・院・農生)
科学者にとって「科学哲学」はあっても
なくてもいい研究分野なのだろうか? この
問いかけは科学哲学者にとっては修辞疑問
であっても、多くの科学者にとってはダイレ
クトな疑問であるだろう。しかし、進化学
や体系学の過去半世紀に及ぶ現代史をふり
かえると、いたるところで“哲学”に関わ
る論争が絶えなかったことは、そこに居合わ
せた「現場の科学者たち」が誰もが体験し
たり見知ったりしていることである。哲学
的な文脈がけっしてどうでもよくないことだ
からこそ、科学者や科学哲学者たちは、機会
をとらえては「生物学哲学」に関わる論議
をし続けてきたのではなかっただろうか。
たとえば、科学哲学は 1970 年代以降の社
会生物学論争や体系学論争を通じて、進化
学という個別科学に大きな関心を向けてき
た。それは生物進化研究が提起する議論が、
経験科学の研究対象としてだけではなく、哲
学的あるいは概念的な分析を必要とする諸
問題を含んでいるからである。現在の「生物
学の哲学」は、進化学の方法論だけではな
く、適応度の解釈や系統推定論、さらには
倫理の起源や機能の問題などにわたって多
様な展開を見せている。このような生物学の
哲学の現代的論議は「進化学はなぜ哲学を
問題にするのか」という問題意識のもとに展
開されてきた面がある。その一方で、進化
学者の側からの「哲学はなぜ進化学を問題
とするのか」という問いかけは十分に検討
されてきたとはいえない。今回のシンポジ
ウムでは、生物学の哲学の「いま」を代表
するいくつかの具体的テーマを、これから
の研究勢力の中心となるはずの若手演者の
弁舌を通して描き出し、それに付随するさ
まざまな点について議論を交わした。
かわらず、予想外の多くの方々が参加して
くださり、自然の進化のプロセスを知って
いる進化学者が、我々自身の社会がもたら
している現代の問題に、積極的に答えを模
索する活動をする意義を、改めて感じた。
長谷川眞理子(総合研究大学院大学)
地球環境問題は、現代の世界がかかえる
非常に複雑で重要な問題である。人間の数
は増え続け、人類の活動によって地球環境が
改変され、生物多様性が減少している。こ
のことは、生物現象に対し、多岐にわたる影
響を及ぼしている。地球上に生命が誕生し
てから今日まで、生物と環境との関係は決し
て単調で安定したものではなかった。それ
にしても、最近の人類の活動による環境改
変は、これまでになかったほどの速度で行
われている。このことに対して、進化学者
は何ができるのだろうか? そのような問題
意識のもとに、このシンポジウムを行った。
住明正氏は、地球シミュレーターを使っ
た高精度のデータ解析、シミュレーションに
より、過去数万年にわたる気候の変化を、
自然の変動によるもの、人間の活動による
ものに分けて分析した結果を提示し、地球の
気候変動に対する社会の意思決定にまで触
れて、解決に向けての一つの方向を示した。
伊藤氏は、鳥インフルエンザが問題にな
るずっと以前からこのウイルスの研究を続け
られてきており、最近のウイルス株のゲノム
のどこにどんな変化がどんな順番で起こっ
たために、病毒性の強い株が生まれたかを
解析する過程を報告した。それにくわえて、
渡り鳥の渡りの経路や、その途上で休む沼沢
地などの環境の激変により、今後どのよう
な新たな問題が生じるかについても予測を
示した。
矢原徹一氏は、九大キャンパスの移転に
伴い、一生態学者として、このような大規
模な工事に伴う環境破壊を最小限にとどめ、
もとの生物多様性を最大限に保つには何を
したらよいかを自ら提言し、実践するに至っ
た過程の報告を行い、試行錯誤による試み
がいかにして成功したか、さまざまな利害の
対立があるなかで、どのようにして社会的
合意形成を行ったかを語ってくれた。
最後の日程の最終の時間であったにもか
小保方潤一(名古屋大)
最近のゲノム情報の蓄積や、相次ぐ遺伝子
の水平転移の発見など、細胞内共生の研究に
は大きく弾みがついている。このシンポジウ
ムは、小保方(名古屋大)
、石田(筑波大)
、
若杉(富山大)が世話人となり、光合成細胞
の共生進化を様々な視点から描き出そうと
いう意図で企画された。まず、石田によって
藻類進化のオーバービューとシンポジウム
についての趣意説明がなされたあと、6 名の
演者による講演が行われた。
田中(北大)は、光合成色素合成系の進化
とゲノム比較の方法について報告した。
原核緑藻のなかでもProchlorococcus 属のク
ロロフィルb 合成酵素遺伝子(CAO)はこれ
まで未同定だったが、ゲノムの全遺伝子を
生物種間で比較する新しい方法を考案し、そ
れを用いて同属に特有な CAO 遺伝子を同定
できたことを示した。さらに、この方法を
用いた系統樹の作成方法を提案し、参加者
との間で熱心な討論が行われた。
灰色藻 Cyanophora paradoxa は、シアノバ
クテリアによく似た葉緑体を持つことで有
名で、この葉緑体は特にシアネレとよばれて
いる。河野(東大)は、シアネレに特徴的な
膜構造や分裂動態、分裂装置を紹介し、それ
らが細胞内共生の進行とどのような関係に
あるのかを報告した。
葉緑体やシアネレは光合成細菌の一次共
生に由来するオルガネラだが、多くの藻類
系統の葉緑体は二次共生した真核光合成細
胞に由来しており、その結果、多様性をもっ
た多重の包膜に囲まれている。平川(筑波
大)は、二次共生植物であるクロロラクニオ
ン藻を用いて、宿主の細胞質で合成された
タンパク質がどのように多重の膜を通過し
て葉緑体に輸送されるのかを紹介し、二次
共生を可能にしたタンパク質輸送機構の進
25
化について議論を進めた。
光合成を行う微細藻類は、適度な強さの
光に集まる性質があり、そのための光セン
サーをもっている。渡辺(総研大)は、ミドリ
ムシの光センサーは葉緑体の二次共生とと
もに宿主となった原生動物に持ち込まれた
ことを示した。光運動と細胞内共生という
目新しいトピックに、会場からは大いに関心
が寄せられた。
上田(東大)と小保方(名大)は、植物オ
ルガネラから核への遺伝子移動のメカニズ
ムを報告した。上田は、核に転移したミト
コンドリア遺伝子が新たに発現制御配列を
獲得するには、既存核遺伝子とのシャフリ
ングが重要であることを詳細な事例解析か
ら明らかにした。小保方は、葉緑体から核
へは定常的な DNA の流れ(フラックス)が
発生していること、核に転移した構造遺伝
子がプロモーターを獲得するのも希ではな
いことなどを示し、オルガネラから核へ遺
伝子移動の全体像をどのように捉えるべき
かについて、議論を進めた。
学会最終日の午後という時間帯にもかか
わらず、多くの方々に熱心にご参加いただ
き、世話人一同、大いに感謝しています。
また、シンポジウム終了後、この分野の研
究を促進するため受け皿の整備などについ
ても相談を行いましたので、それらの芽が
育っていくことを期待しています。
西田 睦(東京大学海洋研究所)
最近、生物のゲノム中に種々存在する多
重遺伝子が、さかんに生成・消滅している
ことが明らかになってきた。一般に、生物
進化の基礎は遺伝子の経時的変化であると
考えられているが、遺伝子レパートリーの変
動も、とうぜん生物の進化にきわめて大きな
影響を及ぼしているはずである。すなわち、
ボディプランの構築にかかわる遺伝子の増
減は、大系統間の表現型の著しい差異の主
要因になっているはずだし、多重遺伝子ファ
ミリーにおける遺伝子の生成あるいは偽遺
伝子化が、近縁グループ間に見られる表現
“Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 7, No. 2
26
型の多様化に深くかかわっているに違いな
い。本シンポジウムは、植物および動物を
対象に、こうした遺伝子の生成と消滅の実態
についての最新の情報を知り、それに基づい
て遺伝子の増減と生物の表現型進化との関
連について考えてみることを目指したもの
である。―以上のような趣旨説明を「遺伝
子の生成・消滅とそれがもたらすもの」と題
して企画者の西田が行った。
つづいて長谷部光泰氏(基生研/総研大/
JST ・ ERATO)が「陸上植物の比較ゲノム
解析から明らかになった著しい遺伝子増減
と体制進化の関係」というタイトルで話題
提供をした。まず、同氏らが中心になって
進めてきたヒメツリガネゴケのゲノムシーク
エンスプロジェクトの結果を基礎に、すで
に決定されたいくつかの植物の核ゲノム配
列との比較から、陸上植物の進化過程で発
生遺伝子の数が大きく変化している実態が
紹介された。ついで焦点を被子植物の生殖
器官である花の起源と進化の問題に絞り、花
器官形成ホメオティック遺伝子(MADS -box
遺伝子、LEAFY 遺伝子)の機能解析から取
り組んだ研究の成果が述べられた。卵・精
子の形成に関わっていたこれらの遺伝子が、
植物の上陸と前後して遺伝子重複によって
増加し、増えた遺伝子の機能分化が花の進
化をもたらしたというシナリオは、膨大な
実験の結果に基づくもので、たいへん説得
力のあるものであった。
植物からの話題のあと、ショウジョウバ
エからの話題が松尾義則氏(徳島大)から
「ショウジョウバエのヒストン遺伝子ファミ
リーの協調進化」と題して提供された。ショ
ウジョウバエの複製依存型ヒストン遺伝子
のファミリーでは、5 つの遺伝子(H1、H2A、
H2B、H3、H4)が約 5kbp のユニット中に
コードされており、このユニットが100 回以
上も直列に重複したクラスター構造をなし
ているが、各ユニットの塩基配列は非常に
均一で、協調進化をしている。種内および
系統内でのユニット間の塩基配列の比較、ユ
ニットの種間比較、ゲノム内に少数存在する
変異タイプの解析などから、この協調進化に
は負の選択および集団サイズが影響を及ぼ
していることを示す知見が得られたことが紹
介された。さまざまな種内系統や近縁種が
存在するために、緻密な比較が可能なショウ
ジョウバエならではの興味深い話であった。
川原玲香氏(東大)は西田と共著の「トゲ
ウオ類特異的に高度に重複したスピジン遺
伝子の進化」と題する講演を行った。トゲ
ウオ科魚類のオスは繁殖期に営巣を行うが、
このときオスは巣材を装着するために、自
ら分泌した糊状の物質を用いる。スピジン
と名づけられたこの糊状物質の遺伝子を調
べたところ、これはトゲウオ類のみで高度に
多重化した遺伝子ファミリーとして存在し
ており、哺乳類の粘液物質遺伝子 Muc19 と
共通の祖先遺伝子から生じたものであるこ
とが明らかになった。こうした結果に基づ
き、脊椎動物の糊状物質というユニークな
形質は、粘液物質遺伝子から由来した遺伝
子が重複と機能分化をすることにより実現
したというストーリーが提示された。ここ
でもまた、既存の遺伝子の一部が重複と機
能分化を繰り返すことによって生物の新機
能が生じたということが明瞭に示されたわ
けである。
ついで「加速進化による多重遺伝子ファ
ミリーの多機能化:ヘビ毒遺伝子および魚
類ガレクチン遺伝子ファミリーを例として」
と題する講演が、小川智久氏(東北大)によ
りなされた。通常、タンパク質遺伝子の進化
では、アミノ酸を変化させない同義置換の
ほうが非同義置換よりも多いが、アミノ酸を
積極的に置換するような「加速進化」が、受
精など生殖に関わるタンパク質、生物毒タ
ンパク質などの遺伝子に見つかってきてい
る。小川氏は、アナゴの生体防御に関わる
ガレクチンおよびハブ毒の遺伝子に加速進
化が検出されたとする研究成果を紹介し、そ
れらの加速進化の背景について考察した。複
雑な細胞内ネットワークの一員として働く
タンパク質とは違い、ヘビ毒(や上の糊状
物質など)は体外で比較的単純な機能を担う
ものなので、遺伝子進化研究の対象として有
利な面がありそうで、講演後にも活発な議論
を呼んだ。
最後の講演はヒトの研究分野から土屋尚
之氏(東大)にお願いした(
「ヒト免疫系多重
遺 伝 子 ファミリーにおける copy number
polymorphism と疾患感受性」
)
。ヒト免疫系
には、MHC をはじめ機能的に重要な多重遺
伝子ファミリーが多数存在する。これらの
うち Fc 受容体遺伝子群では、塩基配列レベ
ルの多型の存在に加えて、遺伝子座の有無
という多型(copy number polymorphism、
CNP)が存在し、それが自己免疫疾患である
全身性エリテマトーデスなどと関連する。土
屋氏らは詳細な研究により、さらに多発血
管炎との関連など新たな知見を見い出した。
種内の CNP が実際に適応度に差異をもたら
す実例の紹介として、この講演は聴衆に新鮮
なものに映ったようである。また、疾病とい
う形で表現型が非常に詳しく調べられるヒ
トという種における詳細な研究の実例は、自
然界や実験室の生物を扱う進化研究者にと
って、さまざまに示唆に富むものであった。
このシンポジウムには100 名を超える多数
の参加者があった。会場のサイズはちょう
どこの人数に合致していたし、各講演への
質疑も活発で、よい雰囲気で会を進行する
ことができた。進化学徒は以前から多重遺
伝子ファミリーに関心をもってきたが、遺伝
子レパートリーの変動が予想以上に大きそ
うだということは、ゲノム情報が充実して
初めて見えてきたことであり、引き続き面
白い進化研究がこの周辺から出てくること
を予感させるシンポジウムになった。
鈴木善幸(国立遺伝学研究所・生命情報 DDBJ)
ウイルス、なかでも多くのRNA ウイルスは
超高速で進化する生物であり、進化を実証
できることから、ウイルスの進化を研究する
ことは進化学的に重要である。また、ウイル
スはさまざまな疾患の原因となり、その進化
が疾患の予防や治療を困難にする場合があ
ることから、ウイルスの進化を研究すること
は医学的にも重要である。本シンポジウムに
おいては、日本におけるウイルスの分子進
化研究の現状について5 人の演者にご講演い
ただき、聴講者とともに展望について議論
した。
① 鈴木 善幸(国立遺伝学研究所・生命情
報 DDBJ)
「インフルエンザウイルスの進化
27
速度と分岐年代」
ウイルス蛋白質の個々のアミノ酸座位、あ
るいは立体構造上の領域に働いている自然
選択圧検出法の開発についての紹介、また、
ポリオウイルスについて、類人猿にしか感染
性がないのはその共通祖先において受容体
蛋白質に正の自然選択が働いたためである
こと、ワクチンの効果が高いのは中和抗原領
域に強い負の自然選択が働いているためで
あること、インフルエンザウイルスについて
は、A 型の異なる亜型の一番深い分岐が約
2000 年前、A 型とB 型の分岐が約4000 年前、
A・B 型とC 型の分岐が約8000 年前であるこ
と、全蛋白質の個々のアミノ酸座位に働く
自然選択圧が示された。
② 中島 捷久(名古屋市立大学 医学部ウ
イルス学)
「アミノ酸変異の蓄積がウイルス
蛋白質の構造に及ぼす影響」
インフルエンザウイルスの HA をモデルと
して、蛋白質の進化過程における個々のアミ
ノ酸置換の立体構造に与える影響を解析し
た。実際には、実験的にHA にアミノ酸変異
を挿入し、血球凝集活性の変化として立体
構造の変化を調べたところ、ある時点では
許容されていたアミノ酸変異が他のアミノ
酸変異の後には非許容になり、また逆に、
ある時点では非許容であったアミノ酸変異
が他のアミノ酸変異の後には許容になると
いう現象がみられた。これらのことから、
蛋白質の進化においては構造的に許容され
るアミノ酸置換のみが蓄積されていくが、異
なる系統のウイルスの蛋白質においては進
化の過程で異なる順番でアミノ酸置換が生
じていくため、ある時点からは、異なる系統
間での相同な蛋白質におけるアミノ酸の違
いは、一方のアミノ酸は他方の蛋白質では
非許容という関係にあることが考えられた。
③ 杉田 繁夫(JRA 競走馬総合研究所)
「同
義置換(アミノ酸変異の伴わない遺伝子置
換)からわかるインフルエンザウイルスの進
化の様相」
H5N1 トリインフルエンザウイルスの同義
置換速度は、1997 年から 2002 年までの間は
0.56 %/年であり、これは哺乳類インフルエ
ンザウイルスの同義置換速度である約 1 %/
年よりも遅かった。これは、水鳥でのウイ
“Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 7, No. 2
28
ルスの感染経路が、糞尿から湖水を経由し
集団が存在したか、また薬剤耐性変異を含
ての経口感染であるため、個体間の感染に、
めそれぞれのウイルス集団がどのような特
飛沫による経口感染である哺乳類よりも長
徴を持っていたかを識別することに成功し
い時間を要するためと考えられた。一方、
た。
最近ヨーロッパやアフリカに急速に拡散し
シンポジウムには約 30 名の聴講者が参加
ているH5N1 トリインフルエンザウイルスの
し、非常に活発な討論がなされた。今後の
同義置換速度は1.6 %/年であり、哺乳類イ
日本におけるウイルスの分子進化学研究の
ンフルエンザウイルスよりも速いことが分か
発展の一助となれば幸いである。
った。これは、非常に狭い鶏舎中で家禽イ
ンフルエンザウイルスが伝播したために個
体から個体への感染時間が極端に短いため
長谷川眞理子(総合研究大学院大学)
と考えられた。このことから、最近のH5N1
このシンポジウムでは、社会性の進化に
トリインフルエンザウイルスの拡散経路と
ついて、個と集団との間の利害の対立、個体
して非常に興味深いモデルが提唱された。
同士の利害の対立がどのような進化を導く
④ ○田中靖人、溝上雅史(名古屋市立大
のかについて論じた。辻氏は、アリの一種に
学大学院 臨床分子情報医学)
「世界における
おいて、個体の適応度上昇の行動と、集団
C 型肝炎ウイルス拡散時期と肝癌死亡率の
全体の適応度上昇の行動との間に明らかな
関係」
不一致があり、条件を操作することによっ
C 型肝炎ウイルスの米国(1a)
、日本(1b)
、
て、この対立をより鮮明に表現できるよう
スペイン
(1b)
、旧ソ連
(3a)
、エジプト(4a)
、
にする実験を示した。これは、個と集団と
南アフリカ(5a)
、香港(6a)における拡散時
の対立を示す格好の例である。
期を推定したところ、これらの国は拡散時
韓国から参加のチョイ・ジュン・キュー氏
期により大きく3 つのグループに分けられる
は、人間を対象とした繰り返しのある囚人
ことが分かった。すなわち、グループⅠ(日
のジレンマゲームにおいて、
「間違いによる
本:1920 年)
、グループⅡ(ヨーロッパ、エ
ゆらぎ」がどのような効果をもたらすかに関
ジプト: 1940 年)
、グループⅢ(米国、旧
して論じた。これまでの研究でも、このよ
ソ連、南アフリカ、香港:1960 年)である。
うな「ゆらぎ」がゲームの成り行きに与える
これらの拡散時期の違いは C 型肝炎ウイル
影響については多々論じられていたが、氏
スの抗体陽性率と C 型肝炎ウイルス関連肝
の研究はさらに新たな視点をつけくわえた。
細胞癌死亡率の相関パターンに関連してお
「間違いによるゆらぎ」は実際にはあまねく
り、C 型肝炎ウイルスの拡散時期を推定す
見られる現象であり、それをさまざまな角
ることで将来の C 型肝炎ウイルス関連肝細
度から分析していくことは必須である。ジェ
胞癌死亡率の予測も可能と考えられた。
イ・チョエ氏は、クモの仲間で、孵化した
⑤ 任 鳳蓉(東京医科歯科大学 情報医科
子どもが母親のからだを食べ尽くしたあと、
学センター)
「抗レトロウイルス治療下の HIV
共同で狩猟をする現象について報告した。全
の宿主内進化解析と薬剤耐性予測」
体としては、この行動は孵化した全員の適
抗HIV 治療を受けている患者体内でのHIV
応度を上げるのだが、共同狩猟に参加する
の進化過程を時系列的に解析するために、連
度合いは個体によって異なる。では、なぜ
続ウイルスサンプルの解析法として新たに
よく働く個体とそうでない個体がいるのか?
「逐次リンク法」を開発し、HAART 下におけ
これはまだ発見されたばかりの行動である。
る HIV のダイナミック進化過程を表現する
題材は、アリとクモと人間であり、それぞれ
「時間発展的な進化系統樹」が作成された。
の種の個別の背景は非常に興味深かったが、
また、データマイニングの手法を適用し、相
一貫した論理的議論に結びつけるまでの時
互情報量基準に基づいて連続ウイルスサン
間的余裕がなかったことが惜しまれる。
プルのクラスター解析が行われ、異なる薬
剤が投与された時期にどのようなウイルス
山岸明彦(東京薬科大学生命科学部)
小林憲正(横浜国立大学工学系研究科)
生命の起源と初期進化に関する研究は、地
球科学、地質学、地球化学、分子進化等、
いくつかの分野で行われている。それらの
研究によって地球史初期の生命の起源と進
化のいくつかの側面が解明されつつある。本
企画では地質、地球化学、分子進化の側面
から3 人の研究者がそれぞれの分野での研究
の到達点に関する報告を行った。
地質学の分野からは、掛川武(東北大学)
が初期地球環境と生物痕跡の問題に関して
従来説をレビューすると同時に、新説を展開
した。掛川はまず、地球の初期大気に関して
概説した。前生物時代の大気中のメタンや
水素の存否が大論争になっている。掛川は
隕石衝突模擬実験を行い、大気中のメタンや
水素の存在を疑わせる結果を得た。ついで
初期の生物化石に関する研究が紹介された。
34 億年前の地層から見つかった石墨がこれ
まで最古の生物痕跡であるとされてきたが、
それに対する否定的な説も多く提出されて
いた。掛川らはグリーンランドから新たに
地層を発見し、その中の石墨が生物由来で
あり、最初の生命が 38 億年前には存在して
いる可能性を示した。最後に、酸素発生型
光合成により大気が酸化的になった時期が
いつかという問題に関して紹介した。その
時期が今から 22 億年前前後というのが通説
であるが、掛川らが行った安定同位体分析
は、少なくとも 27 億年前には大気に酸素が
放出されていた痕跡を示していた。従来の
説では「還元的環境でゆっくり化学進化が
行われ、ゆっくりと生物は進化していった」
と考えられていた。しかし、掛川らの結果に
基づけば「酸化的還元的環境のダイナミック
な変動が化学進化を促進させ、生物進化も
速いスピードで行われていった」と考える必
要がでてくると結論される。
次いで、小林憲正(横浜国大)は、地球と
宇宙における化学進化に関する報告を行っ
た。
オパーリン以来、生命の起源に先立つ化
29
学進化について様々な仮説が提出されてき
た。その中で、ミラーの歴史的な放電実験
以来、原始大気中での小分子の生成、原始
海洋中での生体モノマーの生成、モノマー
の重合による高分子の生成、生体機能の創
生、というステップワイズの化学進化説が
主流を占めていた。しかし近年、地球外有
機物の生命の起源への寄与が注目されてき
ている。そして、地球外有機物の多くはい
わゆる複雑有機物であることが分かってき
つつある。小林は、室内模擬実験の結果を
もとに、星間での複雑有機物の生成とその
進化、原始地球への供給、原始海洋(熱水
系)での生命の誕生という一連の過程をつな
ぐシナリオを提案した。
山岸明彦(東京薬大)は、まず生命の起源
に関わる可能な道筋を紹介した。それは、
化学進化による有機物合成、非核酸遺伝子
生物、RNA を遺伝物質とする生物(RNA ワ
ールド)
、DNA 生物、全生物の共通の祖先
という順で進化してきたという図式である。
しかし、この図式は「可能な」図式ではある
かもしれないが、その論拠の多くは薄弱で、
「他にまだ分かってないから仕方なし」の図
式とも考えられる。例えば、RNA ワールド
仮説は生命の起源に関わる重要な一つの可
能性を示した。しかし、どのように RNA が
できたのかという筋道ははっきりしていな
い。また、RNA ワールドから現在の生物に
至る道筋も答えが出たわけではない。また、
最初のDNA 生物と共通の祖先(コモノート)
との関係もはっきりしていない。全生物の
共通の祖先が超好熱菌であるという仮説に
関しても議論は続いている。さらに、地学
的研究で見つかっている最古の化石と全生
物の共通の祖先、当時の生態系との関係も
明らかではない。こうした点について、い
くつかの可能性を議論した。
約半世紀前オパーリンは“原始スープ”
で象徴される極めて漠然とした生命の起源
のシナリオを提案した。このワークショッ
プから、今や地球上のどこで、いつ、どの
ように生命が誕生したのかという生命誕生
の具体的シナリオが研究の対象となってき
ていることが明らかとなった。
“Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 7, No. 2
30
稲垣 祐司(筑波大学)
近年、リボソーム RNA 遺伝子をマーカー
とした、各種環境における真核生物多様性
の探索が盛んに行われている。このような
環境 DNA 解析では、既知の真核生物群配列
のみならず、これまで決定されたリボソーム
RNA 配列とは有意な近縁性をもたない配列
が多数検出されている。このような「正体
不明」配列の少なくとも一部は、新奇真核
生物群から増幅されてきたと考えられ、真
核生物の多様性と進化を考察する上で極め
て興味深い。ただ、これまでの環境 DNA 解
析では細胞自体を同定することはできず、配
列データ以上の解析を行うことができない。
今後環境 DNA 解析で検出された配列の起源
となった細胞を同定する努力なしには、真
の生物多様性を把握することは不可能であ
る。今回のワークショップでは、最新の環境
DNA 解析結果と、環境配列と実際の細胞を
リンクさせた研究事例を紹介した。
守屋繁春(理化学研究所)は「シロアリ腸
内共生真核微生物の分子生物学」という内
容で講演を行った。シロアリ腸内にはパラ
バサリア類・超鞭毛虫類などの原生生物が
共生しているが、守屋らはシロアリ腸内環
境 cDNA ライブラリーを作成し、expressed
sequence tag(EST)解析を行った。シロアリ
は木材を食べることは言うまでもないが、腸
内で木材中のセルロースを分解するのは超
鞭毛虫類である。従って、この環境における
主要代謝活動はセルロース分解であり、実際
セルロース分解酵素 cDNA 配列が多数検出
されたことが報告された。さらに、単離した
セルロース分解酵素の産業利用までを視野
に入れており、今後の研究の進展が興味深い。
渦鞭毛藻類を研究している堀口(北海道
大)からは、
「Marine Alveolate group Ⅰ配列
の正体:寄生性渦鞭毛藻類」という内容で
講演を行った。堀口らは寄生性渦鞭毛藻類
について研究する過程で、これら寄生性渦
鞭毛藻類のリボソーム RNA 配列が、海水中
から普遍的に検出されていた環境配列群で
あるMarine Alveolate group Ⅰと近縁である
ことを発見した。寄生性渦鞭毛藻類の細胞
サイズ、大量の胞子を拡散する事実を考え
合わせると、これまで検 出された Marine
Alveolate group Ⅰ配列は渦鞭毛藻類胞子由
来と考えるのが妥当であろう。
坂口(筑波大)は「有中心粒太陽虫の複数
遺伝子による連結分子系統解析」という演
題で、真核生物における有中心粒太陽虫の
系統的位置についての報告を行った。有中
心粒太陽虫は培養が極めて困難であり、世
界においてこの真核生物を培養しているラ
ボは2 カ所しかない。坂口らは貴重な有中心
粒太陽虫培養株を使用して、各種遺伝子を
単離している。残念ながらこれまでの複数
遺伝子の連結解析では、この生物群の系統
的位置を確定するには至っていない。今後
EST 解析を行い、大規模データを作成・解
析する予定であるとの報告があった。
雪吹(筑波大)は嫌気環境から精力的にエ
スカバータ生物群を単離している。本ワー
クショップでは「海底泥に棲息する新奇エ
クスカベート生物の分離培養と系統分類」と
いう演題で、単離・株化に成功した新奇エ
クスカベート細胞の詳細な細胞内微細構造、
リボソーム RNA 配列解析についての報告を
行った。雪吹らが鹿児島・山川港海底泥か
ら単離したエクスカベート培養株の1つは、
深海熱水環境、相模湾海底泥から検出され
た環境配列、およびカナダ東海岸から単離
された鞭毛虫類配列と極めて近縁であるこ
とが判明した。発表されたデータは、この
エクスカベート生物が、地球上の比較的低
酸素環境に普遍的に存在している可能性を
示している。
瀧下(海洋研究開発機構)は、低酸素環境
における真核生物多様性を環境 DNA 解析に
より精力的に研究している。今回は「低酸
素海底泥からの真核環境クローン解析」と
の演題で、上甑島・ナマコ池底泥サンプル
における真核生物リボソーム RNA 解析結果
について、詳細な報告がなされた。ナマコ
池サンプル中にはケルコゾアの多様性が大
きいことが判明した。その一方、これまで
解析された別の低酸素環境から単離された
配列に極めて近い配列が、ナマコ池サンプ
ルから検出されており、低酸素環境間での
普遍性と特異性がどのような生態学的意味
をもつのか極めて興味深い。
稲垣はワークショップの総括として、
「真
核生物メタジェノミクスは可能か?」とい
う演題で発表を行った。原核生物研究では
メタジェノミクスが主流となっている。近い
将来真核生物でも、培養ステップなしでゲノ
ムシークエンシングする時代が来ると考え
られる。日本においては、人材・研究費を
大量に投下する真核生物メタジェノミクス
研究は現実的ではない。稲垣の講演では、
欧米の「物量作戦」に追従するのではなく、
ユニークかつ戦略的な研究展開が必要であ
るとの指摘がされた。
現在ではモデル生物のゲノムシークエン
シングがほぼ完了し、環境 DNA 解析、生物
進化的に興味深い生物のゲノム解析が行わ
れ始めている。本ワークショップ講演者に
代表されるように、日本においても真核生
物進化は少数ながらも精力的に行われてい
る。企画者として、今回の講演を機にさら
に我々の研究のネットワークが広がること
を希望している。
西田洋巳(東京大学)
環境におけるバクテリアの「生き残り戦
略」に焦点をあて、3 題の発表を行った。
① 西田洋巳ら「ガンマブチロラクトン合
成と受容の進化的関係」
プロテオバクテリアにおける細胞間シグ
ナル伝達機構として、クオラムセンシングが
注目をあびている。しかし、バクテリア間に
おける化学物質を介したシグナル伝達の初
めての発見がアクチノバクテリアに属する
ストレプトミセスにおいてなされたことは意
外に知られていない。ストレプトミセスに
おける細胞間シグナル伝達物質はガンマブ
チロラクトンであり、その生成・受容の研究
は遺伝学・生化学・分子生物学的手法によ
り深く広く研究されている。ガンマブチロラ
クトンに関する差異はストレプトミセスに
おける種分化に影響したと考えられるにも
かかわらず、ガンマブチロラクトン生成と
受容にかかわる遺伝子はそれぞれ異なる進
31
化的背景を持っていることがわかった。こ
れは、プロテオバクテリアのクオラムセンシ
ングにおけるシグナル伝達物質アシルホモ
セリンラクトン生成と受容にかかわる遺伝
子が共進化してきたことと対照的である。土
壌環境中における両バクテリア集団の生き
残り戦略の相違がもたらしたものであろう。
② 大島研郎ら「ファイトプラズマのゲノ
ム構造と退行的進化」
マイコプラズマはゲノムサイズが小さく、
遺伝子数も少ない生物(バクテリア)として
よく知られている。マイコプラズマは動物
に寄生しているが、ファイトプラズマは昆
虫と植物に寄生している。マイコプラズマ
の多くは人工培養できないため、その生物
学 にはまだ多 くのなぞが残 されている。
2004 年、ファイトプラズマの全ゲノム塩基配
列が報告された。その進化的な意味をゲノ
ムから探る絶好の材料であり、その進化に
は昆虫と植物に寄生することが大きく影響
しているはずである。興味深いことには、
ファイトプラズマは動物に寄生するマイコ
プラズマはもっているペントースリン酸経路
関連遺伝子やF0F1-ATP 合成酵素構成遺伝子
を欠落している。そのことは栄養が豊富で
ある植物篩部を生育環境としていることに
関連していると考えられている。また、ファ
イトプラズマは昆虫と植物のどちらに寄生
しているかを識別していると考えられてお
り、その情報伝達のシステムを持っていると
推測されている。
③ 野尻秀昭「細菌の環境汚染物質分解能
の多様化と進化― 遺伝子の水平伝播と酵素
機能の変化―」
環境中において微生物は仲間の区別を行
っている。その識別にプラスミドが関与し
ているのではないかという視点の研究が展
開している。バクテリアは代謝能を早期に
変化させ、既存の代謝系をもとに、新規化
学物質に対する代謝・分解能を獲得してい
ると考えられる。その情報伝達にプラスミド
が使用され、その能力を仲間に伝達すること
ができる。そのような機構により、環境に
適応できる微生物群が存在することになる。
どのように仲間にプラスミドを伝達し、そ
こに搭載している情報を仲間のバクテリア
“Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 7, No. 2
32
に伝えるかということはまさにそのバクテリ
アの生存にかかわる問題であり、生活の場
を同じく共有しているほかのバクテリアと
の生き残り競争に打ち勝つ一つの方法であ
ることに間違いない。環境中に有害な物質
が存在した場合、これを分解できる生物は
その場を独占できる可能性を持つ。しかし、
そのような物質が常に存在しているわけで
はなく、その分解バクテリアは出番を虎視
眈々と狙っているともみえる。
斎藤成也(国立遺伝学研究所)
五條堀孝大会実行委員長が司会を担当し、
■ 近藤真理子 (東京大学大学院理学系研究科
生物科学専攻進化多様性生物学)
進化学会に所属して丸 1 年の私にとっては
今回の大会が2 度目の参加であった。これは
個人的なことなのだが、前回は仙台まで、
「出張する」という感じだったが、今回は東
京ということで日常の延長でもあり、何時
にでも行って帰ってこられる安心感があっ
て、気楽に参加できて良かった半面、今ひ
とつ気合いの入らない感じであった。実際、
発表の日ぎりぎりにポスターを作るという、
まさしくホームグラウンドのアドヴァンテー
ジも享受することができた。
それはさておき、いざ大会会場に入り、
様々なシンポジウムやワークショップが組
まれ、ポスターが展示されているのに触れ
ると、その多岐に渡るテーマの幅広さに、
「進化」のくくりの広がりや複雑さを実感す
ることとなった。やはり参加して良かった
と思うのはこういう時である。特にシーラ
カンスが取り上げられたシンポジウムは、一
般的に広く興味を集めるテーマであり、話
題を呼び、内容的にも評価が高かった。ま
パネリストとして内田亮子(早稲田大学)
、
岡田典弘(東京工業大学)
、河田雅圭(東北
大学)
、佐藤矩行(京都大学)
、嶋田正和(東
京大学)
、隅山健太(国立遺伝学研究所)
、
田村浩一郎(首都大学東京)
、辻和希(琉球
大学)
、深津武馬(産業技術総合研究所)
、
および斎藤成也が出席した。このほかに約
80 名が参加した。最初パネリストが自己紹
介を行い、その際に各自の進化研究に関す
る将来展望を語った。次にそれら将来展望
からいくつかを選んで議論が進行した。進
化学という一般社会への応用が希薄な研究
分野をどのように発展させてゆくのか、生
物の歴史を扱う視点を中心とする進化学と
他の生物学、他の自然科学との違いなどに
ついて、活発な議論が行われた。
た、ポスターセッションでは発表者を囲ん
で行われたディスカッションに活気があり、
実り多いものであったと思う。
しかし、いいことばかりではなかった。
ここから内容が若干辛口になるが、こうだ
ったらよかったのになあ、来年からの大会
運営に少しでも役立つといいなあと思うこ
とがいくつかあるので書こうと思う。
まず、こなしきれない数のシンポジウム・
ワークショップが組まれていたように感じ
る。往々にして、興味のあるセッションが
同時並行して行われていたりする。むしろ
一つあたりの時間を減らし、同時に行われ
る数を減らすという、絞り込みを行っても
よいのではないだろうか。また、参加して
みても内容的にあまり魅力的だとは感じら
れないセッションがあった。一つ一つのシ
ンポジウムは時間が長い割に講演者が少な
く、発表者当たりの時間がたっぷり取って
あって、ゆっくり話ができる・聞けるとい
う良い点がある一方、冗長になっている感
もあった。それよりもポスターでプレゼンテ
ーションされた内容の方がずっと興味深い
ように感じられた。もっと多くの人、特に
若い人に口頭発表の機会が与えられても良
かったのではないだろうかと考えると、シ
ンポジウムを短縮して、一般の口頭発表が
行われることを強く希望する。
ポスターは、先にも述べたように、熱気
が感じられて良かったのだが、1 時間ずつの
2 交代制の説明時間では短すぎた。まじめに
ポスターの前に立っていては同じ時間帯の
他の人の発表を見るチャンスは無いし、だか
らといって聞きに行くと留守になるしとい
う、いつものジレンマに陥り、意を決して他
の人の所に行くとその人も留守。もっと時
間を長く取ることは不可能なのであろうか。
時間が取れないのであれば、せめて3 交代制
にしてもらえると、今年のポスター数の多さ
にも対応しやすかっただろうと思う。
ポスターに関しては、ポスター賞の選定
が行われたのは大変良かったと思う。でき
れば、大会前に知っていたら、自分のポス
ターも、もう少し出来のいいものに仕上が
ったかもしれないと思うとつくづく残念だ。
さすがに賞をもらったポスターは、私が知
る限りでは内容が良かった。しかし、あま
り人のいない、ポスター2 日目にひっそりと
受賞が発表され、受賞者本人も気がつかな
いでいたのはどうにかならなかったのか。で
きることなら懇親会の席で発表され、喜び
を分かち合いたかった。この懇親会も、日
程や会場の都合もあったのだろうが、初日
に行われるよりは中日の方が一体感がでて、
ポスター展示を通じて知り合った人とも深
く話ができたりして良かったのではないか
と思えた。
ネガティブな印象で終わらせるのでは、拙
文の発表機会をせっかくいただいたのにも
ったいない。今年の大会を振り返ってみる
と、自分の研究に助言を頂いたり、今まで
私が知らなかった「進化の世界」に飛び込
むことができたりと、大会を通じて得たも
のや心に残ることが多いことに気づかされ
る。おそらく、来年もこう感じるのであろ
う。今から本当に楽しみだ。大会運営に関
わった方々の話を伺うと、準備やら大会中
の雑務に大変な労力を費やし、苦労をされ
たのが、当日のその控えめな口調からでも
感じられた。懇親会に飛び込んで寿司をほ
おばっていた実行委員の姿は今でも印象深
い。この場を借りて、多くの人の代表とし
て、すばらしい大会にしていただいたこと
を感謝し、労をねぎらいたい気持ちでいっ
33
ぱいであることを表明して、この「大会印
象記」を終わりたい。
■ 石川麻乃(北海道大学大学院 環境科学院)
進化、という言葉にはいつも不思議な魅
力を感じてきた。しかし、中学・高校時代
の生物の授業では、進化の項目は教科書の
一番後ろ。テスト期間が終わってからおま
けのように話されることが多い。進化につ
いて何とかもっと勉強できないものだろう
か、そう思って大学に進学して5 年。今回初
めて進化学会に参加して、進化というのは
なんて魅力的で面白いテーマなんだろうと
心が沸きたつ思いがした。
先輩方から、行きたいプログラムがあり
すぎる学会と聞いていたが、その言葉は正
確だった。自分の研究内容と関わりがある
なしに関わらず、大会日程には魅力的なテ
ーマが並んでいる。そして会場に一歩足を
踏み入れると、そこでは活発な質疑応答が
繰り広げられていた。日頃の勉強不足が祟
って議論の内容についていくのがやっとだ
ったが、進化の幅広い、そして奥の深い魅
力を思い知るのには十分だった。
シンポジウム『発生生物学及びゲノム解
析から見た進化』の後には思いがけず嬉し
いことがあった。運のいいことに数人の先
生方と一緒に昼食をとる機会に恵まれたの
だ。中華料理を前に繰り広げられる進化学
者の爆裂議論は最高。今興味のある研究の
話、昔考えていた学説、最近聞いた面白い
話・・・それぞれの先生の話が絡み合って、い
つまでも聞いていたい円卓パネルディスカ
ッションだった。こういう場に立ち会える
のも学会の醍醐味なのだろう。
同世代の大学院生と知り合えたのも大き
な収穫だ。ポスター発表は、そのアットホ
ームな雰囲気が学会経験の少ない私にとっ
ては心地よく、シンポジウムやワークショ
ップでは話す機会のない同世代の人とも研
究の情報交換や意見交流をすることができ
た。同い年の院生が面白い発表をしている
姿は、シンポジウムの発表と同じくらい刺
激的で、これからもっとがんばろう、とい
う熱意が湧いてきた。自分より年下の高校
生たちがポスター発表者あつく語り合って
“Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 7, No. 2
34
いる姿にも驚いた。高校時代にこんな最先
端の議論が渦巻く場に参加できたら、どん
なに楽しかったことだろう。
まだ数回しか学会というものに参加した
ことはないが、それでもいろいろな先生や
先輩方が進化学会は面白いと太鼓判を押す
意味が分かる気がする。学会に集っている
方々から、何とか面白いことを解明してや
ろうとうずうずしている熱気のようなもの
が感じられる。この熱気が次から次へと新
しい発表や議論を生み出すのだろう。改め
て実感した進化の面白さと来年への期待を
胸に充実した 3 日間を終えた。
■ 畑 啓生(京大・院・理)
学会に参加してそろそろ一月が経つ。進
化学会は熱っぽい夏の思い出として心に残
っている。初日の懇親会で同年代の魚類研
究者の方々と出会い、盛り上がったところ
から始まった。そして大会2 日目の朝、楽し
みにしていた「シーラカンスシンポジウム」
が行われた。なんとシンポジウム内でシー
ラカンス冷凍標本の展示を行うという。発
表でシーラカンスの生態や進化史が明らか
にされていき、心の中のシーラカンス像が
どんどん具体的なものになっていった。そ
れと同時に白く霜が降っていたシーラカン
スが、溶けて徐々にその体表の模様を露わ
にしていった。シンポジウムの最後には壇
上にあがってシーラカンスを間近に観察す
ることが許された。そこには巨大で生臭い
「化石」が横たわっていた。僕は去年訪れた
ケニヤのマリンディ(シーラカンスが採集さ
れた浜の一つ)を思い、暗い洞窟からそれ
が悠然と泳ぎ出す姿を想像していた。
我に返ってポスター会場に急ぐ。今回私
はここ数年間ずっと考えていた、スズメダ
イと藻類との絶対栽培共生についてのある
程度の証拠を得、それを発表するのを楽し
みにしていた。聞いて下さった皆さんの心
に訴えることができていればそれが一番う
れしいのだが、ポスター賞を頂いたことと
新聞に記事として取り上げられたことは成
果であった。ポスター発表を終えたのは、
すでに次のシンポジウムが終盤の頃であり、
私が興味のある共生系で、近年の華々しい
成果について聞けるはずの「昆虫−微生物
間共生の進化」の大半を聞き逃したのが残
念であった。時間がないので会場のレスト
ランでご飯を食べる。すぐ出てくるカレー
を、期間中何度か食べることになった。そ
して「反復配列の進化」を聞きに行く。分子
進化の難しさに頭を殴られたような衝撃を
受けた。他の学会ではこのような衝撃をう
けることはそんなにはないと思う。進化と
いうキーワードの下に様々な分野の研究者
が集まる進化学会、それを存分に楽しむに
は、他分野の勉強も不可欠であることが身
にしみて感じられた。
学会最終日の朝、
「発生生物学及びゲノム
解析からみた進化」というシンポジウムに
参加した。ゲノム解読により数億年も前の
生物群の分岐が姿を現したり、さらに発生
のプロセスを考えて動物の形態進化で時と
してみられる飛躍的に新しい形態の獲得を
説明したりといった発表など、大変興味深
く興奮を覚えた。午後のシンポジウムは「多
重遺伝子ファミリーの進化:遺伝子の生成
と消滅のダイナミズム」に参加し、イトヨ
が巣作りに使う粘液の分泌に関わる遺伝子
が、イトヨゲノム中で高度に重複していて、
それらが粘液の大量な分泌という機能を果
たしているのではないか、という発表など
に大変感銘を受けた。振り返ると、聞きた
かった発表の 1 / 3 も聞けず、また他のポス
ターは全然説明を聞くことができなかった
のは残念であったが会期が限られているの
で仕方がない。詰め込みすぎて重くなった
頭で、明日からまた頑張っていこうなどと
考えながら帰路についた。
■ 南部龍佑(上智大学)
懐が広い、この一言が進化学会の特徴だと
私は感じた。私が「懐の広さ」として表現し
たいのは、研究対象の多様性を認め、それ
らを積極的に取り込んでいく学会の雰囲気
だ。生物のみならず、言語や意識、哲学な
どの問題が「進化」というアイデアの下で熱
く議論されるような場は他にはあまりない。
発表される研究に多様性があることは進化
学会の大きな特徴の一つだろう。進化理論の
課題の一つは自然の中にある多様性を説明
することにあるが、そもそも自然の中にバラ
ツキがなければ進化は起こらない。もしこ
れにもとづく進化学の精神なるものがある
とすれば、懐の広さという寛容さの形で現れ
るのかもしれないと個人的には感じている。
さてここでは、そのように多様で文系・
理系の境界にあるような学際領域研究につ
いて、少し考えてみたい。今回の進化学会
に参加して、私は学際的な進化学研究には
概ね二つのアプローチがあるという印象を
受けた。まず第一に、ある領域の難問に対
して、進化理論を取り入れることで解決し、
従来理論の欠点を補完するという「補完ア
プローチ」である。たとえば、言語の起源
という言語学での難問に対して、進化理論
の考え方を取り入れることで、欠点を補完
していくというアプローチである。また第二
に、従来進化生物学が扱ってこなかった対
象を、生物学の対象として取り込むことに
よって進化学的に解明するという「取り込み
アプローチ」がある。たとえば、言語の起源
について、それを言語学としてではなく、人
間の行動・生態の一部として考え、言語起
源論をそのまま進化生物学の問題として取
り込んでしまうアプローチがこれにあたる。
ただし、ここで私は二つのアプローチの当
否を述べたいのではない。というのも、ど
ちらのアプローチも進化学の一つの姿だか
らだ。たしかに、生物学以外分野の研究が
進化理論を都合のよい道具としてのみ扱っ
たり、それに対して生物学が異分野の研究
蓄積を軽んじて、無理に進化理論の枠組み
に押し込めようとすることは慎まれるべき
である。しかし、この進化学会大会では、
たとえば「言語の起源と進化」シンポジウム
のように、二つのアプローチが有効に機能
し、両者の協同作業が行われようとしてい
る。これは素晴らしいことだと思う。かつ
ての進化の総合学説の父たちが遺伝学と進
化理論を総合したように、進化学会という
場は様々な学問が統合され、新しい真の総
合学説が成立しようとする現場なのだと手
応えを感じた。
ドブジャンスキーの言葉「進化の観点なし
の生物学は意味を為さない」を引くまでも
なく、進化を考えることの重要性はバラバ
35
ラに見える個々の事象が、進化を考えるこ
とによって統一的に理解できるようになる
ことだろう。これと似て、私にとっての進
化学会に参加することの魅力は、一見自分
の研究とは関係なさそうな話題から面白い
アイデアや理論を発見し、自分の研究の刺
激を得るということにある。私は哲学を専
門とする人間であり、生物学の方法論や科
学的説明の理論に関心を持つ者だが、今回
の進化学会大会に参加することで、多くの
刺激的なアイデアにめぐり合うことができ
た。特に個人的には「発生生物学及びゲノム
解析からみた進化」と「社会性の進化」とい
う二つのシンポジウムに刺激を受けたこと
を記しておきたい。前者からは「発生」の
解明によって見える進化理論の未来像を、後
者からは、道徳や倫理という哲学的問題と
科学の結節点を学ぶことができた。
今回私は「哲学はなぜ進化学の問題にな
るのか:生物学の哲学の多様な展開」とい
うシンポジウムのオーガナイザーの一人と
して参加した。これは進化生物学に関する
哲学的考察を扱ったシンポジウムである。こ
のような進化学を扱う哲学研究は、欧米に
比して、日本ではどの分野でも、ほとんど
扱われてこなかった。このいわば「異端の」
シンポジウムを行う機会を下さった「懐の
広い」大会実行委員会に感謝をしたい。ま
た、熱心に聴いてくださった聴衆の方々に
もお礼を申し上げる。そして何よりも、科
学と哲学の壁を超えて、日本の進化学を作
られる現場に参加できたことが個人的には
嬉しい。これからも進化学会が了見の狭く
ない、懐の広い学会として発展していくこ
とを願っている。
■ 吉田祐樹(京都大・院・理)
進化学会というものがあって、これが相当
面白そうだということは過去のプログラム
を見て知っていましたが、これまで参加の
機会を逃していました。今年は偶然にもポ
スター発表の締切日に大会開催を知り、大慌
てで入会手続きと参加登録をさせていただ
きました。よって今年が初めての参加です。
私の研究対象は植物の表現型可塑性の分
子機構で、発生生物学の知見を環境応答の
36
進化の解明につなげるような研究が目標で
となった動物の発生進化学と並んで、植物の
す。とだけ言えば格好よいのですが、発生
発生進化学の地位を確立するためにも、これ
学とも進化学ともつかない領域を行ったり
まで進化と関わりのなかった植物学研究者
来たりする「コウモリ的」な研究スタンスに
を呼び込む企画があればと思いました。私
は常に不安を感じていました。実際に進化
自身、これから経験をつんで植物発生学と進
発生学をリードされている研究者の方々が、
化学のインターフェイスの一人になれれば
進化と発生をどのようなバランスで組み合
良いな、と考えるきっかけにもなりました。
わせているのか学びたいということが、大会
初めての進化学会は、期待に違わぬ刺激
参加の最大の目的であったように思います。
的な場として強く印象に残りました。来年
そのような私にとって、やはり最も印象
もぜひ参加し、多くのことを学ばせていた
に残ったのは、メインシンポジウムで Chungだきたいと楽しみにしております。
I Wu 博士が講演されたショウジョウバエ種
■ 細 将貴(京都大学大学院理学研究科)
分化遺伝子の解析をはじめとして、近縁種
今回で3 回目の大会参加になりました。初
間の生殖隔離機構の遺伝学的解析が、ゲノ
めての参加は、学部生のころの第 1 回進化学
ム配列データの力を得て次々に進みつつあ
会創立記念大会でした。その頃の自分の無
るという現状でした。私自身はこれまで種
知っぷりを思い返すと、各講演の意義がな
分化については全く不勉強でしたが、生殖
んとなくわかるようになってきたことに、ち
隔離のみられる系統間を交配して連鎖解析
ょっと喜びを感じます。それでも、遺伝学
を行い、実際に原因遺伝子の特定までつな
の基礎トレを怠ってきた僕にとっては、シ
げている例をいくつも(初めて)知ることが
ンポジウムのテーマの多くは難解で、勉強
できました。シロイヌナズナの整備された
する機会を強制的に与えてくれます。
多型マーカーに基づいて突然変異体マッピ
もっと勉強しなくては、と最も強く感じ
ングを行っている私にとって、これらの話
たシンポジウム(唯一、通しで聞いたシンポ
はまさに驚異と言うほかありません。一方
ジウムでもありますが)は、
「ゲノム科学が
で、やはりと言うか、それらの遺伝子が生
拓く生殖隔離と種分化機構の研究」でした
体内で実際にどのような機能を担っている
(内容については、矢原徹一先生のブログに
のかについて解析が進んでいないのは、遺
すばらしいレビューがあるので、そちらを参
伝学の限界かなとも思いました。私の所属
考にされるといいと思います)
。質問するこ
研究室(植物分子遺伝学)でも、興味深い形
とを忘れてしまうほどに、多彩なテクニッ
態異常の変異体から原因遺伝子を特定して
クの数々に魅了されてしまいました。
も、その機能についての生化学的な解析が
一方で疑問に感じたことは、隔離障壁と
なかなか進展しないことはよくあります。遺
いう遺伝的現象の解明から、種分化に迫る
伝子を特定した後に何を目指すかが問われ
ことがほんとうにできるのだろうかというこ
ると感じました。配列データだけから分子進
とでした。隔離障壁として検出された複数
化学的な解析に持ち込むのならば機能面で
の遺伝的な要因のうち、実際に種分化に寄
の知見は必要ないですが、詳細な機構解明
与したものはいくつあるのでしょうか。ひ
を目指すのならば生化学者との共同研究も
とつでしょうか。すべてでしょうか。ある
一手かも知れません。
いは、検出されたのは、種分化した後で偶
盛況だったシンポジウムとは対照的に、ポ
然に生じたものばかりかもしれません。集
スター会場では植物の発生進化を対象にし
団レベルで調べれば、手がかりが得られる
た発表の数がごく限られており、個人的に
のでしょうか。省力化するには、どういう
は少し寂しい思いをしました。日本国内に
テクニックと材料が現実的なのでしょうか。
は植物発生学の分野で世界をリードする研
このあたりの見通しについて、議論ができ
究室がいくつもあり、進化学会で紹介したら
たらよかったのにと思いました。
新しい見方ができて面白いのにと思う研究
種分化という現象は劇的なので、その遺
テーマも多数あります。今やすっかり隆盛
“Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 7, No. 2
伝的な背景(至近要因)を還元的に解明した
いという知的欲求はとてもよくわかります。
一方で、その生態的な背景(究極要因)に
思いを馳せたとき、種分化という現象はい
っそう学際的な広がりを持つと思います。私
事ですが、2007 年 3 月に松山で行われる日
本生態学会の大会で、
「生態から種分化に迫
る」と題した自由集会を企画する予定です。
今回のシンポジウムとは別の側面から議論
ができればと思っています。
最後に、ポスター発表のセッションに関
しては、改善できる点が多いように思いまし
た。ポスターは一枚一枚、かなりの労力を
割いて作成されているはずなので、もう少
し発表時間を長くとってもらえたらと思い
ます。自分自身もポスター発表を行ったの
ですが、他のポスターを聞きにいく時間が
なかったために切ない思いをしました。発
表しなかったほうがよかったかも、とちょ
っと思ったのは、決してリジェクト直後で
テンションが下がっていたせいばかりではな
いはずです。
また、会場の狭さについては、前回の仙
台大会に比べて改善されたように思いまし
たが、大会実行委員会ではもっと多くのポ
スター発表を見積もっていたそうなので、こ
れは反省が活かされたというよりもたまた
まということでしょうか。今回の大会印象
記の多くでも注文がつけられていることと
思いますが、次回以降の大会運営に活かし
ていただけたらと思います。
37
の意を表したい。どの学会でも、大会参加
者に完璧に満足してもらうことは不可能で
あろうが、なるべく多くの方が満足できるよ
う、毎回試行錯誤を続けていくことは大切
だと思う。とりわけ進化学会は、まだ発展途
上の若い学会であると思うので、あえて改
善が望まれる点についても言及させて頂く。
私は、前回大会に引き続いて、今回の大会
でもポスター発表を行った。ポスター発表
に関しては、毎回、大会印象記などで様々
な要望が出されているが、まだ改善の余地
がある、というのが率直な印象である。また、
他のポスター発表者に個人的に意見をきい
てみたところ、多くの方は私と同様の考えで
あった。そこで、ここでは、実際に過去数回
ポスター発表をしてみて、私自身が感じてい
ることを中心に述べさせていただきたい。
今回の大会では、ポスターを日替わりで
貼り換える必要がなかった。この点は、特
筆すべき改善点であったと思う。さらに、
ポスター賞が復活したことや、高校生によ
るポスター発表の試みも非常に良かったと
思う。これらは、今後の大会でも是非継続
して頂ければと思う。ただし、今回の大会
では、ポスター設置・撤収時間が、シンポ
やワークショップ開催時間と重なっており、
プログラムに正直に従えば、シンポを一時
的に抜け出して設置・撤収せざるを得なか
った。諸般の事情があったものと想像する
が、この点は是非改善頂きたい。また、進化
学会大会の慢性的な問題点として、何より
も、ポスター会場の過密・混雑が挙げられ
■ 徳田 誠(産総研・生物機能工学)
る。ポスターを日替わり制にせず、かつ、
進化学会大会へは、第 5 回福岡大会以来 4
現行の広さの会場でこの問題を解決するた
回連続で参加している。様々な材料を研究対
めには、聴衆がポスター会場に流入する時
象とした方の発表を聴くことができ、また、
間帯を分散させるための対策が必要である
自身の発表に対しては、普段は会う機会の
と思う。例えば、第 6 回大会のように、
「(1)
ない分野の方からもコメントを頂けるので、
ポスター発表専用の時間帯は設けず、いく
非常に楽しみにしている学会の一つである。
つかのシンポやワークショップと並行させ
今回の大会は、東京開催という点や参加
る形で、毎日特定の時間帯(2 時間程度)を
人数を考慮に入れると、会場の利便性と引
ポスター発表に充てる」ことにより、混雑の
き換えに、大会日程の時間的制約などはや
緩和が期待されると思う(ただし、6 回大会
むを得なかったのであろう。そのような制
は、ポスターが日替わり制だったため、こ
約の中で、大会参加者に対して多くの配慮
の方式でも会場は非常に混雑した)
。そして、
をなされ、また、円滑に大会を運営された
「(2)ポスター発表の時間帯のみ、シンポ開催
実行委員会および関係者各位にまずは感謝
数をいくつか削減する」ようなプログラム
“Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 7, No. 2
38
編成にすれば、参加者がポスター発表のた
めの時間を確保しやすくなるだろう。さら
に、
「(3)ポスターパネルに、ポスター番号の
みでなく日付(+前半・後半くらいの選択)
欄も設け、各発表者が説明に立つ時間帯を
選択する」方式にすれば、ポスター発表者
にとっても説明のための時間的負担が増え
ず、かつ、興味のあるシンポにも参加でき
るだろうし、特定のポスター発表を聴きた
い参加者にとっても、発表者とのコンタク
トが容易になると思う。むろん、参加者に
よっては、聴きたいシンポとポスターの発表
時間がどうしても重なってしまったり、何度
もポスタ−会場に脚を運ばねばならない、な
どの弊害も生じるだろうが、過去数回の大会
を振り返ってみる限り、ポスター会場の混
雑緩和の方が、より優先的に対応すべき課
題であると思う。今後の大会を、さらに多
くの方に満足頂けるものにしていくために、
多少とも参考になる点があれば幸いである。
■ 服部 充(信州大学理学部)
私にとって今回の進化学会は、学会に参
加すること自体 2 回目で、発表するにいたっ
ては初めてのいわばデビュー戦であった。
学会参加にはいくつかの意義があると考
えている。1 つめは他の方々が今行っている
研究を見聞きできる場であること。自分の
研究に関わりがあるかどうかは問題でなく、
幅広い知識と最新の研究の情報を手にする
のにうってつけの場であるといえる。2 つめ
は自分の行った研究を他の研究者の方々に
見聞きしてもらい、これからの研究の糧と
することのできる場であること。研究の内
容には関係なく様々な分野の方から質問や
改善点を頂くことが目的である。
つまりよい学会というのはその2 つの役割
を担えるかどうかで決まると私は考える。で
は今回の進化学会はどうだったろうか?
まだ学会自体に訪れることが2 回目の私が
言うのも憚られるが、研究を見聞きする場
という観点からは、とてもよいものだったと
思う。発表の内容は多岐にわたり、ポスタ
ー数も200 を超えており、普段自分の触れる
ことのない研究の最前線を知ることが十分
にできたと評価できる。しかし、やはりポ
スター発表の時間が短かったという感じが
否めない。学会運営をしてくださった方々
が苦労して発表のスケジュールを組んでく
れたのはよくわかるのだが、発表者にいたっ
てはほとんどポスターの発表にかかりきり
で他のポスターを見ることはかなり困難を
極め、加えてポスター発表を見に来てくださ
る方が多く、その方たちがいなくなるまで
発表者はポスターの前を離れるわけにはい
かなかったのが現実だ。ポスター発表のみ
の日を一日設けることでこういった悩みは
解消されると考えられるので、次回に向け
て提案したい。
次に研究発表がスムーズに行われ、議論
がしっかりとできたかという点についてであ
る。発表者の立場から言わせてもらえば興
味深い議論が出来たと思うし、多くの人に
発表を見てもらえてよかったと思う。しか
し、ここでもいくつかの問題点を感じた。
まずこれは会場自体の問題なのでどうにも
ならないことかもしれないが、ポスター間の
距離が近すぎた。200 を超えるポスター発表
の場としては窮屈すぎたのである。もし、
ポスター発表数が予想を超えるような事態
を想定して予備の会場を用意してあったな
らこの問題は解決していただろう。また、
番号で発表時間が分けられてはいたが、ふた
を開けてみれば発表時間の決まりはあって
ないようなものとなっていた。そのためある
発表が盛況だとその両隣の発表を見ること
が出来ないといった事態がそこかしこで見
受けられた。そうなってしまうと不快な思い
をする発表者や見学者が増えてしまう。ポス
ター発表はとても重要なものであり、参加
者、発表者が多くなればなるほど多くの時
間と場所を費やすべきだと思うので、これ
から考えていく必要があるだろう。
全体を通して言えばポスター会場のよう
な細かな問題点はあると思ったが、
『進化』
というものをこれから考えていく上で、そ
の本質に触れられるような学会であったこ
とは確かである。これからも進化学会がよ
り発展していくことは確実であろうし、そ
の発展を心待ちにするものであり、来年の
進化学会への参加がより多くのことを学べ
る機会であることを切に願う。
■ 池田紘士(東大院・農学生命科学)
39
月末に進化学会に、9 月頭に東大田嶋教授が
私は、進化学会には今回初めて参加させ
中心になって開かれた30 人弱の研究集会に、
ていただきました。大会中は、気がつけば
9 月中旬にうちの研究所の成果報告会に、9 月
多くの時間を、ポスターを見ることに使っ
末に遺伝学会に参加したので、進化学会に
ていました。ポスター会場では進化に関す
限らず、普段から思っている日本の学会に対
る幅広い分野にわたるポスターが発表され
する感想を書きたいと思います。と言っても
ていました。私はヒラタシデムシ亜科の系
これらの学会は内容もメンバーもある程度
統解析を行って生態の進化を研究している
かぶっていますし、僕自身が参加する日本
ので、様々な分類群における生態の進化や
の学会は他に分子生物学会くらいなので、サ
系統地理に関する研究発表が非常に参考に
ンプルの少なさと偏りはご容赦ください。
なりましたし、また、私の研究とは分野の
日本の学会で不思議かつ残念に思うこと
異なる研究発表も興味深いものが多く、ポ
は、学会発表を聞いても、それに対して質問
スター会場にいたらあっという間に時間が
をする人が少ないことです。研究の内容を
過ぎてしまいました。
発表する、そして発表された内容を知るだけ
また、私自身は、
「シデムシ科ヒラタシデ
なら、論文を通して行えばいいわけです。
ムシ亜科における飛翔能力及び食性の進化」
しかし、科学の世界は論文だけで進められて
というタイトルで、ヒラタシデムシ亜科に
いるわけではなく、全世界で学会発表が行わ
おける腐肉食から無脊椎動物食への食性の
れています。となると、学会発表には論文発
進化に伴った飛翔筋及び翅の退化について、
表とは違うニッチがあることになります。
ポスター発表をさせていただきました。会
論文にはなく、学会発表にはある特長は
場では思っていた以上に多くの方々に聞い
何でしょうか。それは、研究者同士の直接
ていただき、様々な視点でのコメントをい
のコミュニケーションだと考えられます。研
ただき、非常に参考になりました。ただ、
究者も人間同士、論文で激しい論争を繰り広
私のポスターがわかりやすいものではなかっ
げている相手でも、直接会えば案外楽しい
たために、分野の異なる方々に内容をわか
相手ということもよくあります。そうでない
りやすく説明できなかった部分があったこ
こともあります。そういう学者同士のコミ
とを後悔しています。同じ分野の方に発表
ュニケーションのうちのひとつが、口頭発
する際には、たとえ私が説明不足でもどうに
表とそれに続く質疑応答です。学会で質問
かなってしまうことが多かったのですが、分
がないのは、発表者にとっても聴衆にとっ
野の異なる方々に説明する際には、私のポ
てももったいない話です。
スター発表では基礎的な説明が不足してお
なぜ日本の学会では質問する人が少ない
り、わかっていただけるような説明ができ
のでしょうか? この質問を数人の研究者に
ていませんでした。今後の発表では、異分
聞いてみました。すると、いろいろな答え
野の方々にも私の研究内容を理解していた
が返ってきました。
「日本人はシャイだから」
だけるよう、よりわかりやすい発表をする
「日本は察しの文化だから、わからないとこ
ことを心がけたいと思いました。進化学会
ろがあっても推測で補う」
「質問されると無
は、異分野の方々に発表を聞いていただけ
礼だと怒る先生がいる」
「人前で質問するの
る貴重な学会だと思います。来年も参加し
は恥ずかしい。自分の無知から来る質問の
たいと考えていますので、ぜひ次回はこの機
場合は特に」
。どれも当たっているような気
会をより生かせるようにしたいと思います。
がします。
ここで出た「質問をしない理由」を、3 つに
■ 三沢計治(東大分生研)
分けて考えてみます。1 つ目は、質問者の知
学会では質問をしましょう
識の不足から来る気後れ。2 つ目は、恥ずか
進化学会の感想を書けと仰せつかったの
しさ。3 つ目は発表者に対する恐怖。この 3
ですが、個人的に今年は学会参加の機会が
つです。これらの3 つの「質問をしない理由」
多く、6 月にアリゾナで行われたSMBE に、8
に対して、それぞれ対策を考えてみることに
“Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 7, No. 2
40
しましょう。
まず、質問者の知識の不足から来る気後れ
について考えてみます。アメリカにいたと
きに、毎週IMEG セミナーという名の研究集
会が毎週あったのですが、あるとき、IMEG
セミナーが終わった後、根井先生とこうい
う会話をしたのを覚えています「カズ、君
は今日質問しなかったけど、今日の発表を
全部理解したのか?」
「いえ、Dr. Nei、正
直言って発表内容がわかりませんでした」
「わからないならどうして質問しないんだ」
その時に「確かに、
『わからないから質問し
ない』という態度はおかしい」と思うように
なりました。皆さんはどう思われますか?
2 つ目の恥ずかしさはどうでしょうか。確
かに質問をするのは恥ずかしいです。しか
し、個人的な経験から言って、恥ずかしさに
対する対策はありそうです。僕自身、発表
でもそれ以外でも人と話すのは下手なんで
すが、学会発表で若い時ほど緊張しなくなっ
てきたのは、学会内に知り合いが増えてきた
せいです。発表でも質問でもその他のこと
でも、知らない人の前で話せば緊張するし、
知り合いとしゃべれば緊張しないのは自然
の理です。学会内に、知り合いを増やしてお
けば、発表をするにしても、質問をするにし
ても、緊張をしないで済みます。
ここでも、欧米人のやり方が参考になる
かもしれません。欧米風のマナーで日本に
是非取り入れた方がいいと思うものに、
「知
り合いに知り合いを紹介すること」がありま
す。例えば、A さんと B さんがしゃべってい
るときに、A さんの知り合いのC さんが通り
かかったら、A さんはB さんにC さんを、C さ
んに B さんを紹介するようなことです。欧
米の学会に行くとこうやってどんどん知り
合いが増えていきます。これは日本でも真
似したいものです。
もう一つ、質問をすることそれ自体に何
かモチベーションを上げてもいいかもしれま
せん。うちの師匠に聞いたら冗談めかして
べストポスター賞の他にベスト質問賞を作
ったらどうかと言っていました。
3 つ目は発表者に対する恐怖ですが、僕自
身が「質問をされると怒る」ような人に会っ
たことが無いので対策法もわかりません。と
はいえ、これも何か対策が出来るかもしれ
ません。質問をする方も、相手を不快にし
ない上手な質問をすることです。質問者の
方もスキルアップが要求されます。そのた
めにはどんどん質問をするしかありません。
日本の学会で質問が少ないことには、日本
固有の事情があるのでしょうが、ここであげ
たいくつかの例では、対策がとれそうです。
学会にはみんな高いお金を払って参加する
わけですし、発表者も、そしてそれ以上に
大会運営の人たちの多大な労力で可能にな
るわけですから、すべての参加者にとって、
できるだけ実りが多い学会になって欲しい
ものです。お説教臭い話になりましたが、
これもひとえに進化学会の発展を願う気持
ちから出たものとご容赦ください。
−研究奨励賞をいただいて−
岡部 正隆(東京慈恵会医科大学)
この度、名誉ある日本進化学会研究奨
いです。本当にありがとうございました。
41
事柄で最も私の心をつかんだのは解剖学で
を与える遺伝子が働くと、複眼のような特
した。学生の頃は、複雑な人体の構造を
定の感覚器になるということを突き止めま
理解するためにはそのプロセスを順に理解
した。また同時に atonal のエンハンサー解
していくとわかりやすいと、人体発生学の
析から、各感覚器の神経誘導に使われて
教科書ラングマンを解剖実習室に持ち込ん
いるエレメントは一つであり、複眼や聴覚
では、御遺体をさわりながらぱらぱらと捲
器、伸展受容器といった機能の異なる感
り、夜遅くまで解剖していました。人体発
覚器も共通の祖先感覚器ないしは神経細
生学の教科書には、各器官がどうやってで
胞から進化したと考えるに至りました(文
きてくるかは書いてありますが、なぜ細胞
献 1)
。ゲノムに生物の歴史が刻まれてい
に多様性が生まれるか、なぜこの細胞が特
ることを実感した研究でした。
定の器官に分化するかなど、メカニズムに
こういったメカニズムは脊椎動物にも存
関する記載はありません。大学を卒業した
在するだろうし、個々の器官の起源を明ら
後、私は発生に関わる遺伝子の研究をし
かにする試みは当然脊椎動物でも可能だろ
ようと、東大医科研御子柴研究室の岡野
う。連続相同な構造はヒトのからだにもた
栄之氏(現慶大医)のもとでショウジョ
くさんあるからです。脊椎動物の各タクサ
ウバエを用いた感覚器の発生遺伝学の研究
を代表する動物のゲノムプロジェクトが始
を始めました。わざわざ医学部をでてまで
まっており、今後は動物間の形態の比較だ
ショウジョウバエの研究をはじめることに
けでなく、発生プログラムそのものの比較
なんら抵抗がなかったのは、自分が元々、
もできます。進化発生学研究をするための
蝶やカミキリムシを追いかけていた虫屋だ
地盤が固まってきたと感じさせる頃でし
ったからかもしれません。
た。解析すべき脊椎動物の形態は(1)前
国立遺伝学研究所に広海研究室の助手
後軸に従った繰り返し構造を基本とし、
として赴任した後も、ショウジョウバエの
(2)各繰り返し構造から別の器官が生じ、
感覚器の発生遺伝学を続けていました。進
(3)タクサによってパターンが異なるもの。
化に関してなにか感じはじめたのはこの頃
これに相当するものが咽頭嚢でした。咽頭
です。atonal というプロニューラル遺伝子
嚢は、口腔と前腸の間にあり、タクサによ
が複眼や聴覚器、脚の伸展受容器といっ
って異なりますが前後におよそ 5 対形成さ
た機能の異なる感覚器の形成に同じように
れる、咽頭上皮(内胚葉性上皮)が外側
働いていることを不思議に思っていたとき
方に延びた袋状の構造です。魚類の場合、
に、Pax6(eyeless)の異所性発現で形成さ
この咽頭嚢が外胚葉上皮と融合してその部
れる異所性複眼の実験を思い出しました。
分に穴が開き、鰓孔を作ります。四足動
あの実験で異所性複眼が形成される場所が
物では鰓孔を形成しないので、これらの咽
atonal を発現している場所と一致すること
頭嚢は一見不要に思われるかもしれません
に気づき、当時広海研のポスドクであった
が、この窪みからは様々な構造物や器官が
丹羽尚氏(現理研 CDB)といっしょに研
発生してきます。例えばヒトの場合、1 番
究を始めました。結論として、各体節に
前の咽頭嚢(第 1 咽頭嚢)は耳管(エウスタ
おいてatonal は体節内の位置情報と脱皮ホ
キオ管)と中耳鼓室腔(鼓膜の裏の耳小骨
励賞をいただきました。研究に関して賞を
私は東京慈恵会医科大学を卒業した医
ルモンによる時間情報に従って発現し、神
が存在する空間)になります。2 番目の咽
いただくのは今回が初めてで、たいへんう
師ですが、患者さんを診ることもなく、ハ
経誘導は行うものの、どんな感覚器を作る
頭嚢は口蓋扁桃(俗にいう扁桃腺)を、3
れしく思うのと同時に、この受賞に恥じな
エや魚、カエル、ニワトリなどをいじりな
かは決めていない。そこに Pax6(や Hox)
番目の咽頭嚢は胸腺と血中カルシウム濃度
いよう日々精進せねばと気が引き締まる想
がら現在に至っています。医学部で学んだ
のような前後軸に沿った特定の体節に個性
を調整する副甲状腺、4 番目は副甲状腺の
“Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 7, No. 2
42
43
みを産み出し、一番後ろは甲状腺の傍濾
リス医学を学んだ大学として、なんとなく
生学の研究材料として取り込まなければ、
せん。さらに納めた 40 万円の学費のうち、
胞細胞(カルシトニン産生細胞)を産生
イメージが湧き、東北大の大隅典子氏に
という思いからこの奇天烈な古代魚の発生
25 万円は所属する研究室に戻ってくるた
します。何番目から何ができるかは、タク
「Anthony はどう?」と薦めていただいた
学の研究を始めています。繁殖方法も確立
めに、本人の学会活動等にかかる経費は
サによって多少異なっています。例えば、
こともあって、留学先はロンドンにしまし
しました。卵はゼノパスのものに似ていて
ここから支出することもできます。さらに
我々の耳管の先端には鼓膜がありますが、
た。結局 2 年ちょっと Graham 研究室で研
不透明ですが、2 日でふ化するなど、発生
さらに 2 年次からはリサーチアシスタント
軟骨魚類では鼓膜はなく体外に開口し噴水
究を行い、陸上で血中カルシウム濃度を一
学の材料としては悪くありません。いろい
制度があるため、毎月 6 万円程度の手当を
孔(目の後ろの鰓孔)になりますし、口蓋
定に保ち魚類には存在しない新奇な咽頭嚢
ろな方々の協力をいただき、この魚のゲノ
もらうことができます
(要はプラスになる)
。
扁桃はげっ歯類を除く哺乳類にしかありま
派生器官である副甲状腺が、魚類の内鰓
ムリソースの整備も開始したところです。
せん。ニワトリの胸腺は第 3 咽頭嚢だけで
の鰓弁と共通起源を持つことを明らかにし
さて、これまでの進化発生学は、発生
なく第 4 咽頭嚢からも発生します。マウス
ました(文献 2)
。これをきっかけに、脊椎
学の延長として展開されてきました。異な
共焦点レーザー顕微鏡などがあり、各共通
の副甲状腺は第 3 咽頭嚢からしか発生しな
動物の上陸を可能とした発生プログラムの
る発生プロセスをゲノム上の情報の違いに
機器には専門の技術員が配置されていま
いのに、トカゲでは第 2 咽頭嚢からも副甲
進化と形態進化について研究をスタートし
帰結させるわけです。しかし比較ゲノムの
す。研究環境はたいへん恵まれています。
状腺が発生します。一番後ろの咽頭嚢か
ました。
研究成果が蓄積すればするほど、今後進化
大学は都心の新橋にあり、新幹線に乗る
共通機器も充実しており、シークエンサ
ー、ジーンチップ、FACS、電子顕微鏡、
ら発生するカルシトニン産生細胞は、哺乳
帰国後、母校に戻り器官発生研究室と
発生学に期待されることは、遺伝子型の
にも、羽田にも成田に向かうにもたいへん
類では甲状腺の中に迷入しますが、他の四
いう自分の研究室を立ち上げました。現在
進化がどのように表現型を進化させるの
交通の便がよく、もちろん東大や情報研な
足動物や魚類ではこれらの細胞は甲状腺と
は、副甲状腺以外にも、空気呼吸を可能
か、つまり表現型から迫る発生学側ではな
ど都内の大学や研究機関へのアクセスもい
は独立した鰓後体という内分泌器官を形成
にした肺の起源や、鰓蓋の進化など、ヒ
く、遺伝子型もしくはゲノム型から迫り、
いです。実験がうまくいかないときは、精
します。私はこの連続相同な嚢から様々な
トが有する器官の進化的起源を探る研究を
進化学側から形態進化を考えていかなけれ
神年齢に合わせて、六本木や銀座、新橋
器官が発生してくるメカニズムを個体発生
中心に行っていますが、医学部らしく腎臓
ばならないのだと思います。いまはその方
まで歩いて飲みに行くことができます。大
と系統発生の観点から研究したいと思いま
の再生や中耳粘膜の形成機構なども研究
法論はまだ確立されていないような気がし
学院の入試は毎年 10 月初旬と 1 月下旬の 2
した。
しています。進化発生学の研究室として、
ますが、具体的にどのような淘汰が働いた
回行われており、今度は1 月 27 日(土)で
ハエから足を洗い脊椎動物の実験を始め
マウス、ニワトリ、ゼノパス、ゼブラフィ
のかを想像しやすい研究が重要になってく
す。脊椎動物の進化発生学研究に興味を
るとなると、研究室を変えなければなりま
ッシュやメダカなど様々な生き物を扱って
るように思います。脊椎動物の上陸という
お持ちの方、是非うちの研究室を考えてみ
せん。この研究を展開するために私に研究
いますが、うちの目玉はなんといっても古
水中から陸上へ環境変化に対する適応の
ませんか?
場所を提供してくれて、動物の扱いを教え
代魚ポリプテルスだと思います。私が虫屋
中で、どんな変異をもとにして、いらなく
連絡先: てくれるいい留学先はないものかと探しま
だったことは先ほど書きましたが、もう一
なった鰓から新しい器官が作られたのでし
〒 105-8461 東京都港区西新橋 3-25-8
す。似たことをやっている研究者は皆無、
つの趣味をあげるならば、それは熱帯魚の
ょうか。進化発生学はますます面白くなっ
東京慈恵会医科大学 DNA 医学研究所
アメリカにマウスの咽頭嚢派生器官の発生
飼育繁殖でした。私も昔ポリプテルス・パ
ていくと思います。
器官発生研究室
を研究している人はいたのですが、留学か
ルマスを飼っていましたが、現在実験に用
最後に、こんな研究をいっしょに楽しみ
ら帰国したときのことを考えると、マウス
いているのはポリプテルス・セネガルスで
ながらやっていきたいという方のために大
TEL : 03-3433-1111 内線 2368
の研究室を立ち上げるのは金銭的にもむず
す。改めて勉強してみるとポリプテルスと
学院のご紹介です。東京慈恵会医科大学
[email protected]
かしいだろう、もっとお金のかからない実
いう魚は進化的にものすごく重要な位置に
は大学院博士課程を設置しています(残
http://www.okabelab.jp/
験動物を扱っている研究室がないものか。
岡部正隆
あります。条鰭類と肉鰭類が分かれたあた
念ながら修士課程はありません)
。修士を
咽頭嚢に興味を持っているニワトリ屋で
りから分岐しており、真骨類が全ゲノム倍
修了しているか修了見込みであれば、医師
引用文献
候補にあがったのは、King’
s college Lon-
加を起こす前に分岐していますので、ゲノ
でなくても入学できます。意外なことに大
1)Niwa N, Hiromi Y, Okabe M. A conserved
don の Anthony Graham 氏でした。King’
s
ムのコピー数はゼブラフィッシュ、メダカ、
学院の学費は国立大学の大学院よりも安
developmental program for sensory organ
college London のセント・トーマス病院は、
フグなどの半分になります。魚類なのに外
く、入学金 10 万円、授業料 40 万円/年で
formation in Drosophila melanogaster. Nat
ナイチンゲールが看護学を教えていた旧セ
鰓や肺を持ち、卵割も盤割ではなく両生類
す。医学部の大学院は通常 4 年間ですが、
Genet, 36 : 293-297, 2004.
ント・トーマス医学校であり、東京慈恵会
のように全割です。四足動物の起源、つ
学位論文の準備が整えば 3 年次の終わりに
2) Okabe M, Graham A. The origin of the
医科大学の創立者高木兼寛(森鴎外が陸
まり脊椎動物の上陸の謎解きをする上で重
学位審査をうけることが可能で、審査に合
parathyroid gland. Proc Natl Acad Sci USA,
軍軍医総監時代の海軍軍医総監)がイギ
要な生物であり、この魚をきちんと進化発
格すれば 4 年次は学費を払う必要がありま
101 : 17716 -17719, 2004.
“Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 7, No. 2
44
45
の中で考えていて、アブラゼミのような普
通のセミから素数ゼミへの進化のストーリ
ーを考えついたのです。カナダの自然、と
くに氷河地形のなかであったからこそ、こ
のアイデアに到達できたのではないかと思
吉村 仁(静岡大学 創造科学技術大学院)
います。ストーリーはすぐに書いてみまし
たが、当時は論文として発表できるとは思
っていませんでした。というのは、この話は
本年 9 月の日本進化学会大会において、
でモンシロチョウの行動の研究をしていま
まるで物語であり、私が学んできた生物科
私は自著「素数ゼミの謎」
(2005 年文藝春秋
した。本の中で書いたように、そのときの
学とは趣きを異にしていたからです。とも
刊)の出版とそれに関係する教育活動に
友達が被害にあったのです。
あれ、これが周期ゼミのストーリーが産声
対して、日本進化学会教育啓蒙賞を受賞
面白いことに、シラキュース付近では、
をあげた経緯でした。
しました。推薦してくださった中桐斉之さ
市内北部に1 ヶ所だけ17 年ゼミが発生する
その後、カナダで2 年間(89 ∼ 91 年)研
ん、選考委員の方々ありがとうございま
場所があります。ところが、付近には他に
究員をしたあとアメリカに戻り、ニューヨ
す。この本は、発売当初の約 2 ヶ月にわた
まったくいなくて、次にもっとも近い場所
ーク州ビンガムトン市のニューヨーク州立
って売り切れが続出したり、多くの新聞、
でも数百キロメートルは離れているので
大ビンガムトン校に 1 年、ノースカロライ
週刊誌、月刊誌等に書評が掲載されるな
す。なぜ、そこだけに?不思議です。
ナ州ダーラム市のデューク大学に 2 年間
ど好評で、これまでに数万部が売れまし
その後、7 年間のアメリカ留学(Ph.D.を
と、博士研究員の職を転々としました。デ
た。私の科学が一般に広く認知されたこと
取得)を終えてやっと1 人前(?)になって、
ューク大学に移った頃に、この話にある発
はうれしい限りです。本稿では、この本の
カナダのバンクーバーにあるブリティッシ
生周期の重なりを確率計算することができ
の実話をもとに作られたのかもしれませ
出版にいたるまでの、素数ゼミ(周期ゼミ
ュ・コロンビア大学に博士研究員として移
ることに気がつきました。そして、論文に
ん。素数ゼミの講演では、身振り手振り
とも呼ばれる)の科学の背景について紹介
りました。そこでは、バンクーバーの沖に
なると確信しました。いろいろな周期の周
でセミの子供(幼虫)が地中で寒さに震
したいと思います。
あるバンクーバー島に海洋生物実験所があ
期ゼミのうちで、素数年(17 年と 13 年)
え死んでいく真似をして、素数ゼミの創世
私は長いあいだ海外で研究生活をしてい
るのですが、夏にはそこで仲のいい研究者
のセミだけが他の周期との出会いが極端に
記として壮大な歴史叙事詩を話し、拍手
ましたが、この本で展開されるお話は、そ
が 5 ∼ 6 人集まり、研究のディスカッショ
すくないことを示す数表を作り、原稿を仕
喝采をうけ、聴衆の多くから学会最高の講
ういった中で疑問に思ったことを考えてい
ンをしました。午前中は、研究についての
上げました。
演だったと賞讃されました。その少し後に、
るうちにできあがった、いわば「おとぎば
雑談やら、生物モデリングの話し合い、そ
なし」です。私は日本の東京農工大学大学
して、午後は付近でつりやカヌーイング、
イギリス、ロンドン近郊のインペリアル・
という進化・生態の分野では世界でトップ
院の修士課程をドロップアウトして、1982
自然探索と遊ぶのです。カヌーでは、目の
カレッジのシルウッド校にある集団(個体
の国際誌に掲載され、広く海外で読まれ
年にニューヨーク州のシラキュース市にあ
前でカワセミに出会ったり、とても自然に
群)生物学センターの専任の研究員にな
ました。
るニューヨーク州立大学環境科学林学大学
囲まれたすばらしい実験所です。たしか、
りました。移ってすぐの 12 月にイギリス
その後、日本に帰り、いまの職(静岡
というとてつもなく長い名前の大学の博士
数 年 前 に読 んだ『 Sea Change』( James
生態学会の冬季大会があり、そこで、こ
大学工学部助教授のちに教授)についた
課程に入学しました。このとき、生態学や
Powlik 著)という微生物がらみの SF スト
のセミの話について講演したのですが、講
のですが、その頃に『インセクタリウム』
昆虫学を勉強していましたが、昆虫形態学
ーリーが、この実験所を舞台にしていたと
演の 20 ∼ 30 分くらい前に、広いイギリス
という昆虫愛好会の雑誌に書いた記事が、
で解剖につかったムシがまさに 17 年ゼミ
思います。
の大学の中庭の芝生で日向ぼっこをしてい
この本の原点となっています。その執筆中
じつは、 この研 究 会 に参 加 していた
たときに、素数ゼミの話は、なんとなく旧約
に高校生時代に夢中になってよんだ梅原猛
ールで保存してあったのを思い出します。
Marc Mangel 教授が、周期ゼミの進化は
聖書や「アダムとイブ」の話に似ていると
の古代史や法隆寺の由来などの話が、私
確か 1967 年の採集だったようです。その
解けない謎だと明言したのです。その言葉
思いついたのです。科学としての確証はの
のいま書いているものに根底でなんとなく
後 1984 年に発生したのですが、そのとき、
に反発して、
「そんなことはない」とその
ぞむべくもありませんが、ノアの箱舟など
似ていることに思い至りました。素数ゼミ
発生場所からほんのわずかに離れた実験所
謎を解いてみようと思い、昼下がりの自然
創世記の話は、もしかしたら、氷河時代
の話は、そう、歴史科学の方法によって
でした。解剖用にいくつものビンにアルコ
その後、さらに職を求めて、94 年頃、
周期ゼミの論文が『American Naturalist』
“Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 7, No. 2
46
書かれていて、これもりっぱな自然科学な
は、進化的な帰結はどうなるでしょうか?
のです。論理的に客観的に無数のデータ
単純に考えて、180 cm が最適なのだった
(観察・実験・調査)からパズルを組み合
ら、180 cm になるのではないかって?い
わせていくのです。ただしそのときに、何
いえ、そうではないのです。身長は、遺伝
が事実で、何が仮説、または、意見かを
と環境(たとえば食事の量)などで決まる
明確にする必要があります。つまり、なに
ので、平均身長を遺伝子がコードする形質
が脚色(仮説)で、どれを事実として認識
と見なすことができます。ここで、平均身
できるかです。そうです、自然の謎は、推
長が 180 cm になると、個体のうちほぼ半
理小説なのです。その中の真実を求めて論
分は 181 cm 以上になり、頭をぶつけて死
理的に推論していくのです。
にます。ですから、平均身長は 170 cm や
生物学、つまり自然の推理小説では、私
160 cm くらいで、181 cm 以上がほとんど
見では 1 つの指針があると思います。自分
ない状態が最適となります。こんな単純な
が祖先セミ(その生物)になりきって考え
考えが博士論文の中心として認められただ
ることです。中生代が終わり、氷河期が
けでなく、自然選択の教科書などで広く引
到来したときのアメリカのセミのつもりに
用されました。ひとつひとつ要素から事実
なって考えるのです。そして、どうする?
を考えていくことがとても重要なのです。
どうなる?と一歩一歩考えていくのです。
そのようなアプローチが本当のユニークな
私にとって嬉しいのは、このような素朴
研究につながると思うのです。
な手法で推理した物語が一級の科学として
いま、次回作(文藝春秋刊)を執筆中で
認められただけでなく、日本の一般読者に
す。ここでは、
「動物のオスの身になって、
科学書として認められたことです。日本人
どうしたら、メスと交尾できるか?(勿論、
は総じて暗記が得意ですが、今の教育は大
自分は男性なので、簡単かも?)
」とか、
学(受験や授業も)まですべて暗記です。 「メスの身(これは、本当にできるかあや
考えることは最小限にしないと数学でも点
しいが!
?
?)になって、どうしたら、最適
数がとれないありさまです。しかし本当の
なオスを選び、よい子孫を沢山のこせる
学問・科学というのは、本質的にまったく
か?」という発想で、生物の世界を見てい
違うと思うのです。私は工学部で最適化の
きます。そこにメスのオス選び(配偶者選
数理科学を教えていますが、もとは生物学
択)やオス同士のメス獲得のためのけんか
の出身で、研究分野はいまも生物学です。 (交尾競争)などの性選択が働き、ゲーム
ただ、論理的に根本の仮定からひとつ一つ
の特徴である流れ進化による非最適化をも
考えることが、このような研究につながっ
たらし、通常の自然選択とはずいぶんと異
ています。つまり、科学は考えることがも
なった結果を生じる場合があることをみて
っとも重要で、計算できるとか覚えている
いきます。もちろん、すべて自分自身のア
とかはあまり重要ではないと思うのです。
イデアで、なぜ、クジャクの尾羽やシカの
たとえば、私の博士論文では、以下の
角があまりに巨大になるのかをはじめて無
ような理論を提唱しました。身長が180 cm
理なく説明した仮説です。ダーウィンの解
が最適のときに、進化はどこへ向かうでし
けなかった謎の解答のつもりです。書店で
ょうか。具体的にいうと、181 cm 以上に
みかけたら手に取って、
「考える進化学、
なると頭をドアの上にぶつけてよく死ぬ
すなわち、生物の探偵小説」を見ていた
(あるいは頭をわるくする)ような状況で
だけると幸いです。
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日本進化学会 2006 年度評議員会報告
【日時】2006 年 8 月 29 日(火)
、10:00 ∼ 12:00
【場所】国立オリンピック記念青少年総合センター
国際交流棟第 2 ミーティングルーム
【議題】
― 報告事項 ―
1)2005 年 9 月∼ 2006 年 8 月業務報告
2005 年
09 月 06 日 学会ウェブサイトを一本化
11 月 15 日 学会ニュース Vol.6, No.2 発行
(特集:第 7 回仙台大会報告)
11 月 16 日 日本進化学会評議員選挙の公示
11 月 26 日 故・石川統元会長の告別式に献花
12 月 12 日 生物科学学会連合第 15 回連絡会議
に参加(湯島)
12 月 20 日 日本進化学会評議員選挙の開票
2006 年
01 月 01 日 嶋田正和会長の就任.新執行部の活
動開始
01 月 07 日 日本分類学会連合総会への参加
05 月 08 日 渉外ならびに監査の決定
05 月 09 日 生物科学学会連合第 16 回連絡会議
に参加 (湯島)
05 月 30 日 学会ニュース Vol.7, No.1 発行
06 月 14 日 第 6 回日本進化学会賞・研究奨励
賞・教育啓蒙賞の公告
06 月 14 日 公益信託進化学振興木村資生基金・
木村賞の公告
07 月05 日 2005 年度会計監査を事務局にて実施
07 月 26 日 学会賞・研究奨励賞・教育啓蒙賞の
選考委員 会を開催
08 月 29 ∼
31 日 第 8 回大会を代々木で開催
2)2005 年度決算報告
「2005 年度収支決算書」
(p.49、表1)のとおり
承認された。
3)学会賞・木村賞、研究奨励賞、教育啓蒙賞
の報告
本号ニュースの報告記事を参照(pp.2 ― 3)
4)次期副会長(2007 年度)の選挙
会則に則り会長選挙を行った。1 回目の投票
では過半数を獲得した者がいなかったので、高
位得票者 2 名について決選投票を行った結果、
長谷川眞理子氏(総合研究大学院大学)が次期
副会長(2008 年度会長)に選出された。
― 審議事項 ―
5)2006 年度予算案
「2006 年度予算案」
(p.50、表 2)のとおり承認
された。
6)会長任期変更(1 年から 2 年へ)
とそれに伴う
関連会則変更の提案
本学会の創立当初は、会長の任期を 1 年とし
てさまざまな分野の 方々を会長とすることで、
学会としての立脚点を確立しようとしてきた。
しかし、学会創立後早くも 10 年の節目を迎え、
会員数も 1000 名を越え、学会として安定した運
営ができるようになった。そこで、今後の学会
運営を考えたとき、学会としての業務のさらな
る継続性が確保するため、2008 年度以降の会長
任期を現行の1 年から2 年に延長することを提案
した。
任期延長に伴う会則変更案は下記の通りであ
る。
―現行条文―
第 7 条【会長、会計監査の任期】
会長、会計監査の任期は 1 年とする。
第 8 条【次期会長の任期】
次期会長の任期は 1 年とし、会長の任期満了
の 1 年前までに選出する。
第 9 条【幹事の任期】
幹事の任期は 1 年とする。
―変更案(2008 年度以降)―
第 7 条【会長、会計監査の任期】
会長、会計監査の任期は 2 年とする。
第 8 条【次期会長の任期】
次期会長の任期は 2 年とし、会長の任期満了
の 2 年前までに選出する。
第 9 条【幹事の任期】
幹事の任期は 2 年とする。
評議員会での議論した結果、上記の会則変更
案について総会での承認を求めることになっ
た。
7)学会創立 10 周年の特別事業について
2008 年の第 10 回大会では学会創立 10 周年を
記念する特別事業(国際シンポジウムなど)を
企画することになった。大会会場の確保などに
ついては未確定だが、予算措置として 2007 年度
の大会準備金を 200 万円に増額するという提案
をし、総会に諮ることになった。
“Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 7, No. 2
48
8)2007 年度予算案
「2007 年度予算案」
(p.51、表 3)のとおり承認
された。
9)その他
・学会ニュース臨時号の発刊。昨年 11 月22 日
に逝去された 石川統元会長を追悼する学会ニュ
ース臨時号の編集がいま進められている。
・
『進化学事典』の企画が共立出版から学会に
提案されている。学会創立 10 周年事業のひとつ
にもなる企画であり、学会として編集委員会を
組織することになった。
ついては未確定だが、予算措置として 2007 年度
の大会準備金を 200 万円に増額するという提案
をし、承認された。
8)2007 年度予算案
「2007 年度予算案」
(p.51、表 3)のとおり承認
された。
49
9)その他
・
『進化学事典』の企画が共立出版から学会に
提案されている。学会創立 10 周年事業のひとつ
にもなる企画であり、学会として編集委員会を
組織することになった。
日本進化学会 2006 年度 総会報告
日本進化学会 2005 年度収支報告予算・決算(表 1)
【日時】2006 年 8 月 29 日(火)
、15:30 ∼ 16:45
【場所】国立オリンピック記念青少年総合センター
カルチャー棟大ホール
【議題】
― 報告事項 ―
1)2005 年 9 月∼ 2006 年 8 月業務報告
2005 年
09 月 06 日 学会ウェブサイトを一本化
11 月 15 日 学会ニュース Vol.6, No.2 発行
(特 集:第 7 回仙台大会報告)
11 月 16 日 日本進化学会評議員選挙の公示
11 月 26 日 故・石川統元会長の告別式に献花
12 月 12 日 生物科学学会連合第 15 回連絡会議
に参 加(湯島)
12 月 20 日 日本進化学会評議員選挙の開票
2006 年
01 月 01 日 嶋田正和会長の就任.新執行部の活
動開始
01 月 07 日 日本分類学会連合総会への参加
05 月 08 日 渉外ならびに監査の決定
05 月 09 日 生物科学学会連合第 16 回連絡会議
に参加(湯島)
05 月 30 日 学会ニュース Vol.7, No.1 発行
06 月14 日 第6 回日本進化学会賞・研究奨励賞・
教育啓蒙賞の公告
06 月 14 日 公益信託進化学振興木村資生基金・
木村賞の 公告
07 月05 日 2005 年度会計監査を事務局にて実施
07 月 26 日 学会賞・研究奨励賞・教育啓蒙賞の
選考委員会を開催
08 月 29 日∼ 31 日 第 8 回大会を代々木で開催
2)2005 年度決算報告
「2005 年度収支決算書」
(p.49、表 1)のとおり
承認された。
3)学会賞・木村賞、研究奨励賞、教育啓蒙賞
の報告
本号ニュースの報告記事を参照(pp.2 ― 3)
4)次期副会長(2007 年度)の選挙結果の報告
評議員会において、長谷川眞理子氏(総合研
究大学院大学)が次期副会長(2008 年度会長)
に選出されたことが報告された。
― 審議事項 ―
5)2006 年度予算案
「2006 年度予算案」
(p.50、表 2)のとおり承
認された。
6)会長任期変更(1 年から 2 年へ)
とそれに伴う
関連会則変更の提案
2008 年度以降の会長任期を現行の 1 年から 2
年に延長することが提案され、 承認された。
承認された会則変更箇所は下記の通りである。
―現行条文―
第 7 条【会長、会計監査の任期】
会長、会計監査の任期は 1 年とする。
第 8 条【次期会長の任期】
次期会長の任期は 1 年とし、会長の任期満了
の 1 年前までに選出する。
第 9 条【幹事の任期】
幹事の任期は 1 年とする。
―変更条文(2008 年度以降)―
第 7 条【会長、会計監査の任期】
会長、会計監査の任期は 2 年とする。
第 8 条【次期会長の任期】
次期会長の任期は 2 年とし、会長の任期満了
の 2 年前までに選出する。
第 9 条【幹事の任期】
幹事の任期は2 年とする満了の2 年前までに選
出する。
第 9 条【幹事の任期】
幹事の任期は 2 年とする。
7)学会創立 10 周年の特別事業について
2008 年の第 10 回大会では学会創立 10 周年を
記念する特別事業(国際シン ポジウムなど)を
企画することになった。大会会場の確保などに
【収入】
① 会費収入
(1)一般会費
(2)学生会費
(3)滞納分
(4)前受金
② 前年度繰越金
③ 利息
④ 郵便貯金開設時収入
収入合計
2005 年予算
3,824,600
2,143,800
487,800
1,193,000
2,009,015
5,833,615
【支出】
2005 年予算
① ニュース作成・印刷料等
440,000
② ニュース送料
300,000
③ 業務委託費(前半期・後半期分) 928,400
2005 年度前期業務委託費
2005 年度後期業務委託費
④ 事務費・通信費
400,000
(1)選挙関連印刷費
200,000
(2)選挙書類送料
100,000
(3)選挙事務経費
25,000
(4)その他
75,000
学会賞用賞状・賞状入れ代
学会賞用賞状全文 筆耕料
木村賞受賞者名入れ
木村賞メダル送料
ポスター発送費
2005 年度通信等発送費
日本進化学会 封筒代 SMBC 預金口座振替依頼書
SMBC 手数料
⑤ 会議費
10,000
貸会議室料
評議員会お弁当代
評議員会飲み物代
⑥ 旅費、交通費
巖佐先生旅費
巖佐先生旅費
巖佐先生旅費
⑦ 謝金
ポスター発送アルバイト謝金
ポスター発送アルバイト交通費
⑧ 大会援助金
⑨ 2004 年度未払金支払
450,000
50,000
300,000
315,167
2005 年決算
3,063,851
1,647,000
288,000
806,000
294,000
2,009,015
16
1,000
5,073,882
備考
引落手数料 177 名× 163 円含む
郵便 : 346 名、銀行 : 28 名、大会 : 12 名、引落 : 163 名
郵便 : 113 名、銀行 : 11 名、大会 : 7 名、引落 : 13 名
郵便 : 240 名、銀行 : 28 名、大会 : 6 名、引落 : 32 名
郵便 : 80 名、銀行 : 17 名、大会 : 2 名
2005 年決算 備考
958,545 (220,000)
×年 2 回
328,233 (150,000)×年 2 回
928,400
464,200
464,200
588,966 (1)
∼
(4)までの合計
44,100
220,748
0
324,118
1,533
14,850
2,000
740
112,959 第 7 回 東北大会
27,149
115,500 角 3 3,000 枚、角 2 1,000 枚、長 3 3,000 枚
11,000 1000 部
38,387 年 2 回
33,900
6,300 選考委員会 瓦会館
25,200
2,400
174,720
49,220
56,340
69,160
22,600
19,500
3,100
300,000
315,167
2005 年度大会 5 人× 3h
5人
第 7 回 東北大会
第 5 回 福岡大会未払い
“Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 7, No. 2
50
⑩ その他
会費返金(石川淳子)
会費返金(佐藤永)
会費返金(森長真一)
会費返金(平井百樹)
会費返金(黒沢則夫)
日本生物科学連合年会費
日本博礼社 生花代
郵便貯金開設時支払
振込手数料
口座徴収料金
⑪ 次年度繰越金
支出合計
3,193,567
54,766
3,163
3,163
2,000
3,000
3,000
20,000
15,750
1,000
3,570
120
1,368,585
5,073,882
日本進化学会 2007 年度予算案(表 3)
自動引落後 退会のため
自動引落後 退会のため
自動引落 金額不備のため
2004 年度退会のため 2005 年度会費返金
2004 年度退会のため 2005 年度会費返金
計 15 件
1件
2005 年 収入−支出= 0
通帳残高
銀行(三井住友)
郵便局(振替口座)
郵便局(貯金口座)
205,338
1,162,247
1,000
1,368,585
2005 年 12 月 31 日現在
2005 年 12 月 31 日現在
2005 年 12 月 31 日現在
日本進化学会 2006 年度予算案(表 2)
【収入】
① 会費収入
(1)一般会費
(2)学生会費
(3)滞納分
② 前年度繰越金
③ 利息
収入合計
5,612,685
【支出】
① ニュース作成・印刷料等
② ニュース送料
③ 業務委託費(前半期・後半期分)
④ 事務費・通信費
⑤ 会議費
⑥ 旅費、交通費
⑦ 負担金
(1)生物科学学会連合運営費
(2)日本分類学会連合分担金
⑧ 雑費
(1)SMBC ファイナンス手数料
⑨ 謝金
⑩ 大会援助金
⑪ その他
⑫ 次年度繰越金
支出合計
予算 備考
1,425,000 (475,000)
×年 3 回(うち 1 号は臨時号)
570,000 (190,000)
×年 3 回
928,400
100,000
10,000
150,000
30,000 (1),(2)の合計
20,000
10,000
40,000
40,000 年 2 回(会員数に応じて変動する)
50,000
300,000
0
2,009,285
5,612,685
2006 年 収入−支出= 0
予算
4,244,100
2,346,300
577,800
1,320,000
1,368,585
51
備考
【収入】
① 会費収入
(1)一般会費
(2)学生会費
(3)滞納分
② 前年度繰越金
③ 利息
収入合計
6,253,385
【支出】
① ニュース作成・印刷料等
② ニュース送料
③ 業務委託費(前半期・後半期分)
④ 事務費・通信費
(1)選挙関連費
(2)その他
⑤ 会議費
⑥ 旅費、交通費
⑦ 負担金
(1)生物科学学会連合運営費
(2)日本分類学会連合分担金
⑧ 雑費
(1)SMBC ファイナンス手数料
⑨ 謝金
⑩ 大会援助金
⑪ 創立十周年記念企画準備金
⑫ その他
⑬ 次年度繰越金
支出合計
予算
1,050,000
380,000
928,400
700,000
375,000
325,000
20,000
250,000
30,000
20,000
10,000
40,000
40,000
50,000
500,000
2,000,000
0
304,985
6,253,385
回収率 9 割とする(2,607,000 × 0.9)
回収率 9 割とする(642,000 × 0.9)
回収率 5 割とする(2,640,000 × 0.5)
予算
4,244,100
2,346,300
577,800
1,320,000
2,009,285
備考
回収率 9 割とする(2,607,000 × 0.9)
回収率 9 割とする(642,000 × 0.9)
前年度に準ずる(回収率 5 割)
備考
(525,000)
×年 2 回(B5 判)
(190,000)
×年 2 回
(1)
,(2)の合計
(1)
,(2)の合計
年 2 回(会員数に応じて変動する)
2007 年 収入−支出= 0
新 入 会 員
氏 名
津田 雅孝
大野 みずき
浅島 誠
土田 努
所 正治
英字氏名
Tsuda Masataka
Ohno Mizuki
Asashima Makoto
Tsuchida Tsutomu
Tokoro Masaharu
東 浩司
齋藤 幾哉
上田 康夫
松林 圭
杉田 繁夫
梶 智就
Azuma Hiroshi
Saito Ikuya
Ueda Yasuo
Matsubayashi Kei
Sugita Shigeo
Kaji Tomonari
島田 知彦
Shimada Tomohiko
小薮 大輔
上田恭一郎
石山 廣子
川口 眞理
雪吹 直史
塚本 健太郎
Koyabu Daisuke
Ueda Kyouichiro
Ishiyama Hiroko
Kawaguchi Mari
Yubuki Naoji
Tsukamoto Kentaro
*)平成 18 年 5 月 11 日以降 10 月 20 日までの登録による
所 属
専門分野/研究対象
東北大学大学院生命科学研究科
原核生物、遺伝
九州大学生体防御研究所脳機能制御学
脊椎動物、原核生物、分子生物
東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻 脊椎動物、分子生物、発生、形態
産業技術総合研究所生物機能工学研究部門 無脊椎動物、植物、原核生物、分子生物、生態
金沢大学大学院医学系研究科寄生虫
無脊椎動物、原虫、分子生物、
感染症制御学
分子進化
京都大学理学研究科生物科学専攻植物系統分類学 植物、系統・分類
東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻 無脊椎動物、分子進化、発生
医療法人社団明日佳岩見沢江仁会病院
人類、内科学
北海道大学大学院理学研究科生物科学専攻 無脊椎動物、系統・分類、遺伝、生態
日本中央競馬会競走馬総合研究所生命科学研究室 ウイルス、分子生物、分子進化、遺伝
静岡大学大学院理学研究科地球科学専攻 無脊椎動物、理論、発生、形態、
系統・分類、古生物
京都大学大学院人間・環境学研究科
脊椎動物、形態、系統・分類
相関環境学専攻松井正文研究室
人類、脊椎動物、形態、系統・分類、古生物
京都大学霊長類学研究所形態進化分野
北九州市立自然史・歴史博物館
無脊椎動物、形態、古生物、系統・分類
九州大学理学府生物科学専攻
植物、遺伝
脊椎動物、分子生物、分子進化、発生
上智大学生命科学研究所
筑波大学生命環境科学研究科
原生生物、形態、系統・分類
東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻 脊椎動物、分子進化
“Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 7, No. 2
52
山田 成宏
平尾 知士
吉田 哲郎
沓掛磨也子
内村 有邦
吉田 貴徳
河野 真澄
竹内 親香子
長田 直樹
畑 啓生
ステーン・智子
伊藤 ひとみ
甲斐 厚
小林 憲生
久野 周一
星 朱香
宇津木 望
三浦 広美
相馬 雅代
石川 麻乃
石川 由希
樋口 敏幸
細 将貴
服部 充
安川 淳一朗
三宅 崇
馬場 悠男
中島 捷久
坂神 たかね
中寺 由美
清水 俊成
鵜飼 克則
田邊 和之
重信 秀治
山口 晴代
中山 卓郎
山本 義治
大波 純一
大淵 俊
田代 賢祐
宗正 円生
勝野 志保
三瀬 武史
畠山 剛臣
横田 静香
吉武 啓
伊藤 洋
Yamada Shigehiro
Hirao Tomonori
Yoshida Tetsuro
Kutsukake Mayako
Uchimura Arikuni
Yoshida Takanori
Kono Masumi
Takeuchi Chikako
Osada Naoki
基礎生物学研究所形態形成部門
脊索動物、分子生物、発生
秋田県立大学木材高度加工研究所
植物、分子進化、系統・分類、遺伝
東京農工大学大学院連合農学研究科
進化倫理
産業技術総合研究所生物機能工学研究部門 無脊椎動物、分子生物、分子進化
脊椎動物、分子生物、分子進化、遺伝
大阪大学生命機能研究科
九州大学理学府生物科学科細胞機能学講座舘田研究室 植物、分子生物
京都大学大学院理学研究科生物科学専攻植物学教室 植物、形態、生態
独立行政法人医薬基盤研究所
脊椎動物、理論、分子生物、
分子進化、遺伝、生態、情報
Hata Hiroki
京都大学大学院理学研究科
脊椎動物、生態
人類、菌類、ウイルス、理論、分子進化、
TomokoY. Steen
The Library of Congress, Science &
Technology Division
History of Molecular Evolution
Itoh Hitomi
慶應義塾大学先端生命科学研究所冨田研究室 脊椎動物、発生、情報
Kai Atsushi
筑波大学生命環境科学研究科
藻類、系統・分類
無脊椎動物、系統・分類、遺伝、生態
Kobayashi Norio
北海道大学総合博物館
東京工業大学生命理工学研究科生体システム専攻 脊椎動物、分子進化
Kuno Shuichi
東京大学院農学生命科学研究科生産環境生物学専攻 植物、分子生物
Hoshi Ayaka
Utsuki Nozomu
東京都立大学大学院理学研究科生物科学 無脊椎動物、系統・分類
専攻自然史科学講座動物系統分類学研究室
Miura Hiromi
昭和大学薬学部医薬情報科学
脊椎動物、菌類、分子進化
東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻 脊椎動物、生態、行動・認知
Soma Masayo
生命環境科学系認知行動科学(長谷川研)
Ishikawa Asano
北海道大学大学院環境科学院生物圏科学 無脊椎動物、分子生物、発生、生態
専攻生態遺伝学講座三浦研究室
Ishikawa Yuki
北海道大学大学院環境科学院生物圏科学 無脊椎動物、分子生物、発生、生態
専攻成体遺伝学コース
無脊椎動物、形態、系統・分類、生態
Higuchi Toshiyuki
クミアイ化学工業株式会社
Hoso Masaki
京都大学大学院理学研究科生物科学専攻 脊椎動物、無脊椎動物、系統・分類、
動物生態学教室
生態
Hattori Mitsuru
信州大学理学部生物科学科市野研究室
無脊椎動物、生態
Yasukawa Jyunichiro 首都大学東京理工学研究科生命科学専攻 無脊椎動物、遺伝、生態
Miyake Takashi
University of Alaska Fairbanks, Institute of 植物、分子進化、生態
Arctic Biology
Baba Hisao
国立科学博物館人類研究部
人類、形態
Nakajima Katsuhisa 名古屋市立大学医学部ウイルス学
ウイルス、分子生物
Sakagami Takane
沖縄県病害虫防除技術センター
無脊椎動物、分子生物、系統・分類
Nakadera Yumi
信州大学理学部生物科
無脊椎動物、発生、形態、遺伝
Shimizu Toshinari
静岡大学大学院理工学研究科
理論、遺伝、生態
Ukai Katsunori
静岡大学大学院工学研究科
人類、理論、生態、生物物理、情報
Tanabe Kazuyuki
静岡大学大学院工学研究科
理論、遺伝、生態
Shigenobu Shuji
基礎生物学研究所
無脊椎動物、原核生物、分子生物、
分子進化、発生、遺伝、情報
Yamaguchi Haruyo 筑波大学生命環境科学研究科生物科学専攻 植物、系統・分類
Nakayama Takuro
筑波大学生命環境科学研究科
植物、原生生物、分子生物、
分子進化、系統・分類
Yamamoto Yoshiharu 名古屋大学遺伝子実験施設
植物、分子生物、情報
Onami Jun-ichi
東京工業大学大学院生命理工学研究科
脊椎動物、分子進化、系統・分類
生体システム専攻
東京工業大学大学院生命理工学研究科生体 脊椎動物、分子生物
Obuchi Shun
システム専攻進化・統御学講座岡田研究室
Tashiro Kensuke
東京工業大学大学院生命理工学研究科
脊椎動物、分子生物
Munemasa Maruo 東京工業大学大学院
脊椎動物、分子進化
Katsuno Shiho
東京大学
無脊椎動物、形態
Mise Takeshi
茨城県立医療大学
脊椎動物、分子進化、発生
Hatakeyama Masaomi 北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科 アミノ酸、ポリマー、生物物理
Yokota Shizuka
東京農業大学大学院遺伝育種学研究室
植物、分子生物、系統・分類、生態
東京大学大学院総合文化科研究科広域科学 無脊椎動物、系統・分類
Yoshitake Hiraku
専攻広域システム科学系伊藤元己研究室
Ito Hiroshi
東京大学大学院総合文化研究科池上研究室 理論、生態
上野 修
一ノ瀬 元喜
新津 修平
Ueno Osamu
Ichinose Genki
Niitsu Shuhei
波江野 洋
Haeno Hiroshi
石田 学
堀口 健雄
大泉 嶺
石橋 みなか
今村 公洋
吉川 枝里
Ishida Manabu
Horiguchi Takeo
Oizumi Ryo
Ishibashi Minaka
Imamura Kimihiro
Kikkawa Eri
楢木 佑佳
Naraki Yuka
国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第七部
名古屋大学情報科学研究科
独立行政法人理化学研究所発生・
再生科学総合研究センター
九州大学大学院理学府生物科学専攻
数理生物学研究室
法政大学マイクロナノテクノロジー研究センター
北海道大学大学院理学研究院自然史科学部門
東海大学開発工学研究科生物工学専攻
国立遺伝学研究所集団遺伝研究部門
東海大学開発工学研究科生物工学専攻
東海大学医学部基礎医学系分子生命科学
53
理論、原生動物、分子生物、情報
人類、理論、情報
無脊椎動物、発生、形態
理論、生物物理
タンパク質、分子進化、生物物理
原生生物、系統・分類
理論、生物物理
脊椎動物、分子進化、発生
無脊椎動物、理論、遺伝
人類、脊椎動物、分子生物、
分子進化、系統・分類、遺伝
無脊椎動物、発生、生態
北海道大学大学院理学院自然史科学専攻
多様性生物学講座
東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻 人類、脊椎動物、分子進化
五條堀 淳
Gojoubori Jun
無脊椎動物、分子進化、発生、系統・分類
青木 美菜子 Aoki Minako
慶應義塾大学理工学部生命情報学科
高田 英一郎 Takada Eiichiro
大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻 無脊椎動物、分子進化
大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻 無脊椎動物、分子進化
高野 浩輔
Takano Kousuke
田中 正起
Tanaka Masaki
神戸大学農学部植物病理学研究室
菌類、分子生物、分子進化、遺伝
辻村 太郎
Tsujimura Taro
東京大学大学院新領域創成科学研究科
脊椎動物、分子生物、遺伝
先端生命科学専攻
信州大学工学系研究科地球生物圏科学専攻 無脊椎動物、生態
高橋 聖生
Takahashi Satobu
進化生物学講座
渡辺 勝敏
Watanabe Katsutoshi 京都大学大学院理学研究科
脊椎動物、系統・分類、生態
小笠原 理
Ogasawara Osamu
国立遺伝学研究所遺伝子発現解析研究室 人類、脊椎動物、無脊椎動物、理論、遺伝
ピエール ジョニオPierre Jonniaux
名古屋大学大学院理学研究科
脊椎動物、分子生物、分子進化、系統・分類
弓削 主哉
Yuge Kazuya
国立遺伝学研究所生命情報・DDBJ 研究センター 脊椎動物、分子生物、分子進化
梶谷 博之
Kajitani Hiroyuki
東京大学大学院新領域創成科学研究科
植物、形態
先端生命科学専攻
山口 和香子 Yamaguchi Wakako 東北大学生命科学研究科河田研究室
理論、生態
渡部美紀
Watanabe Miki
東京大学大学院新領域創成科学研究科
生化学
バイオ医療知財小林研究室
堀部 直人
Horibe Naoto
東京大学大学院総合文化研究科
無脊椎動物、理論、生態
中川 草
Nakagawa So
東京医科歯科大学大学院生命情報科学
理論、分子進化、系統・分類、
教育部システム情報生物学講座
遺伝、情報
東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻 原核生物、分子生物
石川 健
Ishikawa Ken
筑波大学生命環境科学研究科地球進化科学専攻 無脊椎動物、形態
竹内 猛
Takeuchi Takeshi
鶴 剛史
Tsuru Takeshi
東京大学大学院新領域創成科学研究科
原核生物、分子生物
メディカルゲノム専攻
鈴木 留美子 Suzuki Rumiko
総合研究大学院大学
人類、脊椎動物、分子進化、遺伝
東北大学生命科学研究科生態システム生命 脊椎動物、生態
吉野 元
Yoshino Hajime
科学専攻生物多様性進化学講座河田研究室
加藤 俊英
Kato Toshihide
東京大学大学院総合文化研究科広域科学 無脊椎動物、植物、系統・分類、
専攻広域システム科学系
生態
高橋 真保子 Takahashi Mahoko 総合研究大学院大学生命科学科遺伝学
人類、脊椎動物、分子進化、形態、
専攻集団遺伝
系統・分類、遺伝
阿部 友紀
Abe Tomoki
東大広域システム
理論、生態
総合研究大学大学院国立遺伝学研究所集団研究部門 脊椎動物、分子生物
金亨哲
Kim, Hyung-Cheol
深野 祐也
Fukano Yuya
東京農工大学農学部
無脊椎動物、系統・分類、生態
福山大学工学研究科生命工学専攻分子生物学研究室 菌類、分子生物
福若 純
Fukukawa Jun
三本松 良子 Sanbonmatsu Ryoko バイオ産業情報化コンソーシアム生物情報 人類、分子生物、分子進化、情報
解析研究センター
東京大学農学生命科学研究科森林動物学研究室 無脊椎動物、系統・分類、生態
池田 紘士
Ikeda Hiroshi
東京医科歯科大学システム情報生物学研究室 理論、生物物理、情報
石渡 龍輔
Ishiwata Ryosuke
東北大学大学院生命科学研究科生物多様性進化 脊椎動物、生態
高橋 彰子
Takahashi Akiko
横川 忠司
Yokogawa Tadashi 九州大学大学院理学府生物科学専攻
無脊椎動物、分子生物、分子進化、
生態科学研究室
系統・分類、生態
人類、脊椎動物、無脊椎動物、植物、菌類、
森岡 勝樹
Morioka Masaki
東京医科歯科大学生命情報科学教育部
システム情報生物学/生命情報学
原核生物、分子生物、分子進化、発生
“Society of Evolutionary Studies, Japan”News Vol. 7, No. 2
54
川西 祐一
三沢 計治
Kawanishi Yuichi
Misawa Kazuharu
琉球大学大学院理工学研究科・遺伝子実験センター 脊椎動物、無脊椎動物、植物、分子進化
千葉県産業振興センター
人類、脊椎動物、分子進化、系統・
分類、遺伝、情報
梅原 聡史
Satoshi Umehara
東京大学大学院農学生命科学研究科
人類、脊椎動物、分子生物、分子
生産・環境生物学専攻生物測定学研究室 進化、情報
早川 志帆
Hayakawa Shiho
国立遺伝学研究所生命情報・DDBJセンター 植物、菌類、原核生物、原生生物、分子
遺伝情報研究室
生物、分子進化、発生、形態、系統・分類
大里 直樹
Osato Naoki
国立遺伝学研究所遺伝情報分析研究室
人類、脊椎動物、植物、分子生物、
分子進化、情報
人類、脊椎動物、無脊椎動物、植物、理論、
村瀬 香
murase kaori
東京大学大学院農学生命科学研究科
生物測定学研究室
分子進化、系統・分類、遺伝、生態、情報
高久 康春
Takaku Yasuharu
国立遺伝学研究所遺伝子機能
無脊椎動物、分子進化、発生、
形態、系統・分類
サヤド アメル Sayed Amer
名古屋大学大学院理学研究科
動物、脊椎動物、理論、分子進化、
系統・分類
水田 貴信
Mizuta Takanobu
東京大学海洋研究所先端海洋システム
無脊椎動物、分子進化、生物物理
研究センター海洋システム解析分野
荒木 仁志
Araki Hitoshi
Oregon State University
脊椎動物、植物、原核生物、
分子進化、遺伝、生態
吉田 祐樹
Yoshida Yuki
京都大学大学院理学研究科生物科学専攻 植物、発生、遺伝、生態
植物分子遺伝学分科
脊椎動物、無脊椎動物、発生、系統・分類
大谷 馨
Ohtani Kaoru
筑波大学生命環境科学研究科
川田 健文
Kawata Takefumi
東邦大学理学部生物学科
菌類、細胞性粘菌、分子生物、分子
進化、発生、形態、遺伝
福田 知子
Fukuda Tomoko
京都大学総合博物館
植物、系統・分類
筑波大学生命環境科学研究科生物科学専攻 無脊椎動物、分子進化、発生、形態
金 孝竜
Kin Koryu
渡邉 加奈
Watanabe Kana
東京大学大学院理学系研究科附属植物園 植物、系統・分類
筑波大学人間総合科学研究科感性認知脳科学 脊椎動物、分子生物、遺伝、生態
黒田 淑子
Kuroda Yoshiko
杉本 茂雄
Sugimoto Shigeo
千葉大学大学院自然科学研究科植物構造学 植物、発生、形態
三浦 ふみ
Miura Fumi
東京大学理学系研究科生物科学専攻
脊椎動物、分子進化
清水 啓介
Shimizu Keisuke
信州大学理学部生物科学科
無脊椎動物、発生、形態
木村 敏之
Kimura Toshiyuki
群馬県立自然史博物館
脊椎動物、系統・分類、古生物
池上 高志
Ikegami Takashi
東京大学大学院総合文化研究科広域科学 理論、生態、生物物理、情報、人工生命
安達 鉄矢
Adachi Tetsuya
広島大学生物圏科学研究科
無脊椎動物、原核生物、分子生物、
分子進化、形態、系統・分類、遺伝、生態
小堀 峻吾
Kobori Shungo
大阪府立大学理学系研究科生物科学専攻 無脊椎動物、分子進化
中部大学応用生物学研究科応用生物学専攻 植物、生態
市橋 泰範
Ichihashi Yasunori
宮城竜太郎
Miyagi Ryutarou
東京工業大学生命理工学部岡田研究室
脊椎動物、分子進化
東北大学大学院生命科学研究科生命素子機能分野 脊椎動物、分子進化
今野 歩
Konno Ayumu
清水 貴彦
Shimizu Takahiko
静岡大学大学院工学研究科システム工学
理論、遺伝、生態、生物物理
専攻竹内研究室
濱里 史明
Hamazato Fumiaki 株式会社日立製作所中央研究所
脊椎動物、分子生物
東京医科歯科大学大学院生命情報科学教育部 分子進化、情報
松前 ひろみ Matsumae Hiromi
九州大学理学府生物科学専攻生態科学研究室 無脊椎動物、植物、形態、系統・分類、生態
東樹 宏和
Toju Hirokazu
垂水 直彦
Tarumi Naohiko
放送大学文化科学研究科総合文化
astrobiology、地球科学
プログラム環境科学システム群
吉村 真由美 Yoshimura Mayumi (独)森林総合研究所関西支所
無脊椎動物、形態、生態
大石 康博
Ooisi Yasuhiro
岡山大学理学部生物学科
無脊椎動物、分子生物、発生、遺伝
小澤 恵代
Kozawa Yasuyo
筑波大学生物学類
無脊椎動物、遺伝
竹崎 直子
Takezaki Naoko
香川大学総合情報基盤センター
人類、脊椎動物、理論、分子進化、
系統・分類
尾竹 良一
Otake Ryoichi
千葉県立船橋高等学校
脊椎動物、形態、生態
齊藤 梓
Saito Azusa
筑波大学第 2 学群生物学類
無脊椎動物、遺伝
淺尾 仁彦
Asao Yoshihiko
京都大学大学院文学研究科言語学専修
言語学
恒岡 洋右
Tsuneoka Yousuke 茨城大学理学部自然史研究室
無脊椎動物、生態
田中 信彦
Tanaka Nobuhiko
国立遺伝学研究所遺伝情報分析研究室
安田 明雄
Yasuda Akio
横浜高等学校
小林真生子
Kobayashi Makiko
千葉大学園芸学部
植物、生態
植野 満
Ueno Mitsuru
理論、進化理論
今脇 健太
Imawaki Kenta
クオリア、
クオリア
伊東 義景
島田 隆道
熊谷 真彦
大澤 隆文
井上 大慈
別所 美隆
高島 路久
庄野 裕介
奥村 利幸
Chung-I Wu
油田 正夫
佐藤 剛
藤山 秋佐夫
藤田 耕司
笠原 正典
西松伸一郎
佐久間雅彦
Ito Yoshikage
Shimada Takamichi
Kumagai Masahiko
Ohsawa Takafumi
Inpue Daiji
Bessho Yoshitaka
Takashima Michihisa
Shono Yusuke
Okumura Toshiyuki
Chung-I Wu
東京大学総合文化研究科広域科学専攻
名古屋短期大学
東京大学大学院理学系研究科
東京大学農
福井工業大学
理化学研究所 GSC
東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻
北里大学理学部
三井情報開発(株)
Unibersity of Chicago, Dept. Ecology &
Evolution
Yuda Masao
三重大学医学部医動物学
Sato Takeshi
グロービス経営大学院大学
Fujiyama Asao
情報・システム研究機構国立情報学研究所
Fujita Koji
京都大学大学院人間・環境学研究科
Kasahara Masanori 北海道大学大学院医学研究科
Nishimatsu Shin-ichiro 川崎医科大学分子生物学教室
Sakuma Masahiko
川崎市立川中島中学校
会員所属変更
氏 名
津田 とみ
横山 良太
澤田 宏之
今藤 夏子
村上 哲明
今井 啓雄
星山 大介
平川 美夏
谷垣 岳人
嶋村 正樹
谷内 茂雄
仲谷 英夫
大川 けい子
守屋 和佳
田中 嘉成
小見山 智義
鈴木 智順
武山 智博
田辺 和裄
石黒 直哉
山野上 祐介
沼部 博直
瀬戸 繭美
豊田 太郎
細田 徹治
小関 右介
佐野 尚美
川原 玲香
松原由加里
早川 敏之
陰山 大輔
村井(新田)みゆき
55
科学哲学、心の哲学
脊椎動物、発生、遺伝、情報
人類、分子進化
植物、遺伝、生態
無脊椎動物、系統・分類
分子生物、
植物、系統・分類
理論、情報
無脊椎動物、理論、分子生物、
分子進化、遺伝
原生生物、寄生虫学
人類、理論、社会、組織、遺伝、生態、情報
人類、脊椎動物、分子生物、ゲノム科学
人類、言語、理論言語学・言語進化
人類、脊椎動物、分子生物、遺伝、免疫
脊椎動物、分子生物、発生
人類、脊椎動物、理論、遺伝、生物
物理、古生物、情報
*)平成 18 年 5 月 11 日以降 10 月 20 日までの登録による
所 属
徳島文理大学人間生活学部
北海道大学北方生物圏フィールド科学センター
農業生物資源研究所
独立行政法人国立環境研究所環境リスク研究センター侵入生物研究チーム
首都大学東京牧野標本館
京都大学霊長類研究所分子生理研究部門遺伝子情報分野
東京大学総括プロジェクト機構領域創成学術統合化プロジェクト
京都大学化学研究所
龍谷大学法学部
広島大学大学院理学研究科生物科学専攻
総合地球環境学研究所
鹿児島大学理学部地球環境科学科
理化学研究所脳センター脳創成表現チーム
金沢大学理学部地球学科
(独)国立環境研究所化学物質環境リスク研究センター生態リスク評価研究室
東海大学医学部医学科
東京理科大学理工学部教養
京都大学生態学研究センター
大阪大学微生物病研究所マラリア学研究室
福井工業大学環境・生命未来工学科
東京大学大学院農学生命科学研究科水圏生物科学専攻水産資源学研究室
京都大学大学院医学研究科医療倫理学分野
九州大学理学府地球惑星科希元素地球化学研究室
千葉大学工学部共生応用化学科
和歌山県立耐久高校
中央水産研究所
高知女子大学生活科学部健康栄養学科
東京大学海洋研究所海洋生命科学部門分子海洋科学分野
神戸農業改良普及センター
大阪大学微生物病研究所感染症国際研究センター
農業生物資源研究所総合文化研究科
京都大学農学研究科応用生物学専攻栽培植物起原学
退 会
橋本 朝子、田村 徹、笹月 健彦、松原未央子、平松 千尋、清水 秀明、栗本 篤臣、兼橋 正人、大田 由衣、
池本 忠弘、伊東真知子、西田 洋巳、杉山 修一、武村 政春
日本進化学会ニュース Vol. 7, No. 2
発 行: 2006 年 11 月 22 日発行
編 集:日本進化学会ニュース編集委員会
印刷所:福々印刷株式会社
発行所:株式会社クバプロ
〒 102-0072
千代田区飯田橋 3-11-15 UEDA ビル 6F
TEL:03-3238-1689
FAX:03-3238-1837
http://www.kuba.co.jp/ e-mail:kuba@kuba. jp
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