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_論文内容の要旨

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_論文内容の要旨
論 文 内容 の要 旨
申請 者 氏名YongHanTek
遺 伝 的 ネ ッ トワー ク を 同 定 す るた め の合 成 致 死解 析 の歴 史 は古 い 。 一 っ の 変 異 に対 し
て 、別 の変 異 を組 合 せ る こ とに よ る致 死性 あ るい は生 育 の 回復 を見 せ る遺 伝 子 の組 合
せ を調 べ 、遺 伝 子 間 の 生理 的 相 互 関係 を解 析 す る手 法 で あ る。 ポ ス トゲ ノム 研 究 開発
の 成 果 で 、多 くの モ デ ル 生 物 にお け る リソー ス の 開 発 が進 み 、 大 腸 菌 に お い て も全 遺
伝 子 欠 失 株 ライ ブ ラ リー の整 備 が 、 申請 者 の 所 属 す る研 究 室 を 中心 に行 われ た。 酵 母
に お い て も、 国 際 協 力 の基 、 多 くの網 羅 的 実 験 リ ソー ス が確 立 され て い る。 これ らの
リソー ス を活 用 し、 酵 母 お よび 大 腸 菌 に お い て 、2種
類 の遺 伝 子 欠 失 を接 合 に よ り組
合 せ 、 網 羅 的 な 遺 伝 的 ネ ッ トワー ク解 析 が進 ん で い る。 しか し、 そ れ らの 必須 遺 伝 子
は 、 そ もそ も欠 失株 を取 る こ とが 不 可 能 な た め 、 そ の 解 析 は非 必 須 遺 伝 子 に 限 られ て
い るの が現 状 で あ る。
そ こで 、 申請 者 は 、 必 須 遺 伝 子 を対 象 と した網 羅 的 な 遺 伝 的 ネ ッ トワー ク解 析 を可 能
にす る方 法論 と リ ソー ス の 開発 を行 い 、 そ の 実 証研 究 を進 め た。
まず 、 必 須 遺 伝 子 の 相 補 下 で 、染 色 体 上 の 同遺 伝 子 を完 全 に欠 失 す る た め のベ クタ ー
の 開発 を行 った 。 相 補 を行 うツー ル と して 、Fplasmidの
複 製 起 点 、1接合 に よ る移 動
起 点 、 発 現 誘 導 可 能 な プ ロモ ー ター を組 合 せ たベ ク ター (pFE604T) の 開 発 を行 っ た 。
本 ベ ク ター は 、Fplasmidの
複 製 起 点 に よる複 製 制 御 が か か るた め 、 細 胞 あた り1コ
ピー と非 常 に低 コ ピー で あ る。 も とも との安 定分 配 に 関わ る遺 伝 子 を保 持 す るた め 、
低 コ ピー で あ るに も 関 わ らず 非 常 に安 定 で あ る性 質 を持 っ 。 接 合 時 に 受 容 菌 側 へ 移 動
させ る た め に 、Fplasmid由
来 のoriT領
域 を持 たせ た。 これ に よ り、Hfr株
ス ミ ドを持 た せ る こ とで 、 接 合 時 に移 動 す る こ とを 可能 に した。2種
Kmお
よびCm耐
性 を持 たせ てい る こ とか ら、ベ クタ ー に はTcお
に本 プ ラ
類の欠失株 は、
よびGentamycin
耐 性 を持 たせ て い る。このベ クタ ー に 、dna2V《DNA複
製 )、frsW(細 胞 分 裂)、trmZ)(tRNA
修 飾 )、そ して機 能 未 知 遺 伝 子 の 」慮Pとyr」CFの5必
須 遺 伝 子 を ク ロー ン化 し、IPTG
に よ る発 現 誘 導 能 の解 析 を行 っ た。IPTG存
RED組
在 下 で 、Wanner法
と呼 ばれ る、lambda
換 え酵 素 を利 用 した方 法 で 、対 象 の必 須 遺 伝 子 の染 色 体 上 か らの欠 失 を行 っ た。
そ の 後 、 欠 失 株 がIPTG濃
度 に依 存 した 生育 を示 す こ とを確 認 して い る。
{
得 られ た 必 須 遺 伝 子 欠 失 株 を、す で に公 開 を して い るCIPと
て 、 必 須 遺 伝 子 欠 失 株 のHfr化
り、2重
い うHfr化
ツー ル を用 い
を行 い 、非 必 須 遺 伝 子 欠 失株 ライ ブ ラ リー と接 合 に よ
化 を 行 う。 相 補 プ ラス ミ ドの受 容 菌 側 へ の移 動 の 条件 検 討 、接 合 に よ る2重
欠 失 化 の 条 件 検 討 を行 っ た。
評 価 実験 は 、 上 記5必
ラ リー (
約3800株
須 遺 伝 子 をテ ス トケ ー ス と して 、全 非 必 須 遺 伝 子 欠 失株 ライ ブ
) と を接 合 に よ り2重 欠 失 化 を行 い 、必 須 遺伝 子 と非 必 須 遺 伝 子 と
の シ ス テ マ テ ィ ック な相 互 作 用解 析 を進 め た 。 そ の 結 果 、 予想 外 の機 能 間 で の相 互 作
用 も観 察 され 、 今 後 の実 験 的確 認 も必 要 で あ るが 、 モ デ ル 生物 で あ る大 腸 菌 を用 い た
必須 遺 伝 子 生 理 機 能 ネ ッ トワー ク解 析 に新 た な 道 を開 い た。
論 文審 査 結 果 の要 旨
申請 者 氏 名YongHanTek
大腸 菌 は 、モ デ ル 生 物 と して 、過 去60年
っ とも解 析 の進 ん だ 生物 の1種
以 上 にわ た る研 究 の蓄 積 が あ り、地 球 上 で も
で あ る。 ゲ ノム研 究 が進 み 、 シス テ ム生 物 学 が進 展 す
る 中 、再 び シ ステ ム と して 生命 を理 解 しよ う とす る新 しい 生 物 学 にお い て も、 そ の知
識 の蓄 積 量 の 多 さ、 多様 な解 析 手 法 、網 羅 的 な 実 験 リソー ス の 充 実 か ら、非 常 に重 要
な モ デ ル 生物 とな っ て きて い る。 一 方 、 必須 遺 伝 子 は 、 生命 に取 っ て非 常 に 重 要 な遺
伝 子 群 で あ る が 、 そ の必 須 性 か ら、網 羅 的 な リ ソー ス 開 発 が遅 れ て い た。
そ こで 、 申請 者 は 、必 須 遺 伝 子 群 を網 羅 的 に ク ロー ン化 し、 そ の 相 補 下 で染 色 体 上 の
必 須 遺 伝 子 を欠 失 す る方 法 の 開発 を行 っ た。 申請 者 の所 属 す る研 究 室 で は 、 シス テ マ
テ ィ ッ クな2重
欠 失 株 作製 を用 い た 遺 伝 的 ネ ッ トワー ク解 析 を進 め て お り、 生 理 学 的
に 非 常 に重 要 な 知 見 の蓄 積 が進 ん で い る。 申請 者 は 、 必 須 遺 伝 子 欠 失 株 にお い て も、
全 非 必 須 遺 伝 子 欠 失 株 ライ ブ ラ リー との接 合 に よ る2重
欠 失 株 作 製 方 法 の確 立 を行 い 、
必 須 遺 伝 子 群 の 生 理 機 能 ネ ッ トワー ク解 析 へ の道 筋 をっ け た。 申請者 が 開発 を行 った
方 法 を用 い て 、実 際 に5必
須 遺 伝 子 を用 い た 評 価 実 験 を行 っ た結 果 、 予想 外 の機 能 相
互 作 用 も観 察 され 、 今 後 の 実験 検 証 は必 要 で は あ る もの の 、 これ ま で 不 可 能 で あ っ た
全 必 須 遺 伝 子 欠 失株 を用 い た大 規 模 細 胞 内機 能 ネ ッ トワー ク解 析 へ の 道 を切 り開 い た
功 績 は大 きい 。
以 上 の よ うに 、本 論 文 は、 大 腸 菌 必須 遺 伝 子 の細 胞 内 生 理 機 能 ネ ッ トワー ク解 明 を 目
的 に 、必 須 遺 伝 子 を網 羅 的 に破 壊 す る方 法 論 の 開発 を行 い 、接 合 に よ る全 非 必 須 遺 伝
子 との高 効 率2重
欠 失 株 作 製 方 法 の確 立 を行 った 物 で あ る。 大 腸 菌 は 、現 在 にお い て
も非 常 に 重 要 な 生産 菌 で あ る だ け で な く、 シ ステ ム 生物 学 にお い て も非 常 に重 要 なモ
デ ル 生 物 で あ り、網 羅 的 な 必 須 遺 伝 子 機 能 ネ ッ トワー ク解 析 方 法 の 開発 は、 学 術 的 に
も 、 ま た 工 業 生 産 、 医療 等 へ の応 用 に も大 き なイ ンパ ク トを与 え る物 で あ る。 以 上 の
よ うに 、本 論 文 は これ ま で 不 可 能 で あ った 必 須 遺 伝 子 群 の 網 羅 的 な遺 伝 的 ネ ッ トワー
ク解 析 を 可 能 にす る方 法論 の 開 発 で あ り、 学 術 上 、応 用 上 貢 献 す る と こ ろが 少 な くな
い 。
よ っ て審 査 委 員 一 同 は 、本 論 文 が博 士 (バ イ オ サ イ エ ンス ) の 学 位 論 文 と して価 値 あ
る もの と認 め た。
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