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議事要旨

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議事要旨
第2回 データ流通環境整備検討会
AI、IoT時代におけるデータ活用ワーキンググループ
議事要旨
1.日時
平成28年10月14日(金)
2.場所
中央合同庁舎第4号館
13:15~15:00
共用1208特別会議室
3.議題
(1)開会
(2)PDS、情報銀行等に関係するサービス等について
(3)砂原様からプレゼンテーション
(4)閉会
4.配布資料
【資料1】事例紹介(PDS, 情報銀行に関係するサービス等)
【資料2】砂原様ご提出資料
5.出席者
【構成員】
中央大学大学院
法務研究科
東京大学大学院
法学政治学研究科
東京大学
安念主査
教授
空間情報科学研究センター
慶應義塾大学
総合政策学部
一般社団法人
新経済連盟
東京大学大学院
東京大学
教授
教授
桜坂法律事務所
教授
関構成員
情報理工学系研究科
弁護士
柴崎構成員
新保構成員
事務局長
人工物工学研究センター
宍戸構成員
教授
准教授
橋田構成員
原構成員
林構成員
一般財団法人
日本消費者協会
独立行政法人
国立病院機構
理事長
松岡構成員
東京医療センター
名誉院長
松本構成員
慶應義塾大学大学院
政策・メディア研究科 特任准教授
矢作
構成員
【発表者】
慶應義塾大学大学院
メディアデザイン研究科
【オブザーバー】
総合科学技術・イノベーション会議
知的財産戦略推進事務局
個人情報保護委員会事務局
1
教授
布施田参事官
永山参事官
小川参事官
砂原氏
金融庁
総務企画局
総務省
情報通信国際戦略局
経済産業省
観光庁
【事務局】
高橋課長補佐
商務情報政策局
観光戦略課
情報通信政策課
情報経済課
小笠原課長
佐野課長
齋藤課長補佐
内閣官房
情報通信技術(IT)総合戦略室
二宮次長
内閣官房
情報通信技術(IT)総合戦略室
吾郷次長
内閣官房
情報通信技術(IT)総合戦略室
山路参事官
内閣官房
情報通信技術(IT)総合戦略室
信朝IT利活用推進官
2
○安念主査
ただいまから、第2回「データ流通環境整備検討会AI、IoT時代におけるデー
タ活用ワーキンググループ」を開催いたします。
主査を仰せつかっております安念でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
きょう初めてお見えの方もいらっしゃるので、そういう方々に挨拶をいたしました。
本日、大橋構成員、越塚構成員、根本構成員、森構成員は御欠席との御連絡をいただい
ております。
プレスの撮影はここまでとさせていただきます。
それでは、まず、本日の資料の確認を事務局からお願いいたします。
○山路参事官
資料の確認をさせていただきます。
まず、資料1ですが、事例紹介「PDS情報銀行等に関係するサービス等について」という
横書きの資料です。
資料2が、砂原先生から御提供をいただいております「PDS、情報銀行に関する技術につ
いて」というものがあります。
2点あります。過不足等ございましたら、事務局まで御連絡いただければと思います。
○安念主査
ありがとうございました。
それでは、早速、議事に入りたいと思います。本日は,PDS、情報銀行に係る技術をテー
マに御議論をいただきたいと考えております。
最初に、事務局から、PDSに関係する事例について、インターフェースやデータ利活用の
概要を御説明いただきたいと思います。
議事2の「PDS、情報銀行等に関係するサービス等について」ということです。
事務局、山路参事官から、資料1の御説明をお願いいたします。
○山路参事官
事務局から御説明をさせていただきます。
PDS、情報銀行の先進的取組について、我々のほうから説明をさせていただきまして、こ
ちらを踏まえて、今後の技術的な課題というところについて御議論いただければと思って
おります。資料の3ページ目をお開きください。
こちら、事例紹介ということですが、産業競争力懇談会(COCN)の「社会実装タスクフ
ォース」で、現在、検討されている内容ということを御紹介させていただければと思いま
す。
こちらのタスクフォースが前提とされているPDSの基本要件ということで、5点を挙げて
いただいております。
「安心・安全な管理」。こちらは、利用者の方々が安心・安全にお使いいただけるような
セキュリティリスクに対応した、安全にデータを保管するということであったり、あとは、
利用する方々がわかりやすい機械可読のような形でどのようなデータがあるか、また、ど
3
のように利用されているか、利用履歴とか提供履歴、こういったものを見える化すること
が必要ではないか、また、本人同意に基づくパーソナルデータの活用が重要ではないか、
PDSとして、そのマッチングをするであるとか、便益を個人に還元する対価の提供、こうい
ったものが機能として必要ではないかというふうにされております。また、外部とのデー
タの連携に関しましては、データをインポートする、もしくはエクスポートする、こうい
った機能が必要ではないかとされております。また、
「その他」として、古いデータ、もう
必要なくなったデータの圧縮とか廃棄といったような機能も必要ではないかとされており
ます。
このCOCNの「社会実装タスクフォース」で検討されている内容につきましては、次回以
降のワーキンググループで、詳細についても御紹介いただければと考えております。
次のスライドに移らせていただきます。COCNの「社会実装タスクフォース」の中で、現
在、PDSを活用してどういうサービスが実現できるかというのを検討されている、このイメ
ージ図を御提供いただきまして、我々で、この情報の流れというものを概観したものが、
この4ページの図です。
健康アプリ、移動履歴、ポイントといった、こういったようなデータを個人のスマホで
閲覧できるようにするというので、その個人が性別とか年代、アンケートに答えるような
形で、それを病院・健康センター、モール事業者、さまざまな方々に提供することによっ
てヘルスケアの分野でいろいろな便益を受けられるような、また、個人の行動が変容する
ようなインセンティブを与えるといったことが実現するのではないかというふうに御検討
をされております。
次のページ以降で、実際に、こういったようなPDSをどのようなインターフェースで実現
されようとしているのか、検討されている内容を御紹介させていただきたいと思います。
資料の5ページ目ですが、これは一般的なものとあまり変わりはないかと思いますけれど
も、ログイン画面でメールとパスワードを入れたりして、その後、利用規約でどういうデ
ータを蓄積するかといったことを個人に対して示すという形になっております。
次の6ページ目ですけれども、マイページ、最初、ログイン後の画面で、実際に利用中
のサービス、どういうようなサービスを利用して、どういうデータを蓄積されるかという
ことがわかるような形になっています。また、利用中のサービスに関連したキャンペーン
とか、アンケートをやりませんかといったようなお知らせというのが見えます。その次の
右側のページになりますが、具体的に、どういうサービスが提供されているかということ
と、提供はされてないけれども、利用可能なその他のサービスということで、こういうも
のもほかにも可能ですよというのが見える形になっています。一番右のコミュニティです
けれども、個人のデータを誰と共有するかという形で、家族と共有するであるとか、また、
どういうコミュニティに入って、いろいろな情報を共有、提供するかといったことも設定
できるようにすべきではないかと、こういう検討がなされております。
7ページ目を飛ばさせていただきまして、8ページ目の説明をさせていただきます。こ
4
ちらですが、ちょうど真ん中のダッシュボードというところをご覧ください。どういうデ
ータが実際に蓄積されてスマートフォン上で見えるかということで、体重とか消費カロリ
ー、こういったものを、移動履歴とかそういったものにも基づいて計算されたようなもの、
また、一番右に行きますと、その履歴、例えば1か月間の履歴とか1週間の変動、こうい
ったものも保存されるというような形になっております。
次のページです。こちらは先ほどちょっと御説明しましたけれども、利用中のサービス
として、食事ログ、GPS履歴、車の軌跡とか、ICカードの利用履歴というものがあって、そ
れ以外に、ほかに利用可能なもの、スマートフォンにアプリをインストールすることによ
ってこういうサービスが提供できますよというのがわかるような形で示されるというペー
ジです。
10ページ目は飛ばさせていただきまして、11ページ目について御説明をさせていただき
ます。今、想定されているサービスとして、例えば食事のログというサービスが想定され
ておりますけれども、こちらは、個人がそれぞれ、自分はきょう昼に何を食べたかという
ような写真を撮ったりして、それをログとして記録をする、それをどなたに提供するか、
○○市の健康センターに提供するというようなことをオプトインするような形のページに
なっていまして、オプトインした際に、一番右のほうですが、食事ログのデータ一式だけ
提供するのか、自らの属性(性別・生年月日・住所)も提供するかどうかというようなこ
とを選べるような形になっています。
また、使ってみて、このデータは提供したくないなと思われた場合には、一番下の赤い
ところですけれども、
「データ提供をやめる」と、こういったことも選択できるように、今
検討がなされているというところです。
次のページですが、こちらも食事ログの関係ですけれども、先ほどの健康センターとは
別に、市立病院にこのデータを提供すると、こういったようなアドバイスがもらえますよ
というような情報も、一番右のところに書いてありますが、そういったことも検討をされ
ています。
次の13ページです。同じ食事ログをモールに提供した場合、モールのクーポンがもらえ
ますというようなページになっております。
その次の14ページが、食事記録を別のサービスとして提供する場合に、アプリとしてど
ういうふうに保存するか、どういうデータを提供するかというのを選べるようなシステム
もあります。
15ページに移らせていただきます。今、食事ログを提供する先ということで御説明して
きましたけれども、新たに、こういったデータを提供してくださいというマッチング的な
ものを15ページ目のところでは紹介しておりまして、予防医療サービスということで、予
防医療センターというところから提供してほしいというような要望がありますというのが
見える形になっております。右側の予防医療センターのところの下に星(★)があると思
うのですが、こちらがその評価を表し、この予防医療センターについて、個人なりがどの
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ように評価しているかというのが見えるような形になっています。この予防医療センター
は、中段ですが、概要を確認できたり、あと、詳細なレビューも確認できるようになって
います。また、先ほどと同じように、どのような情報についてリクエストがあるか、それ
を認める・認めないかというようなことで、最後のところに、データを提供する、オプト
インするということを選択できるようなボタンがあるといったようなインターフェースが
現在検討をされております。
次の16ページが提供の履歴ですが、先ほどのような食事ログを誰にいつ提供しているか
というのを一覧で見れるようになっています。サービス2とか3とか、いつ提供したか、
いつ提供をやめたかというようなことの一覧ができて、また、その提供した相手先である
ヘルスケアサービスであったり、スポーツクラブから、提供の対価としてポイントが還元
されていますというようなことまで見れるようなインターフェースが検討されております。
以上がCOCNの「社会実装タスクフォース」で、現在検討されているアプリのインターフ
ェースです。説明が不十分なところはあるかと思いますが、後ほど、御質問等をいただけ
れば幸いです。
次が事例2でして、家計簿アプリを提供されているZaimさんのサービスについて御説明
をさせていただきます。実際には、レシートをスマホのカメラ等で読み取る、また、銀行
カードとかクレジットカードの情報を自動的に本人の意向に沿って収集して分析する、家
計簿として、その分析・予測、あと、提言などをしていただくというようなサービスです。
次の18ページにもありますが、そういう支出の履歴などを踏まえて、あなたはこういうお
金を使っているので、もしかしたら自治体が提供している給付金を受けられる可能性があ
りますよというようなことが自動的にアドバイスがなされるであったり、薬代とか医療費
といったようなレシートとか、クレジットカードの明細から、あなたは医療費控除を今年
度これぐらいは受けられるのではないかというようなレコメンドがなされるというような
ことも実現されております。
19ページが実際の情報の流れを整理したものでありまして、レシート情報、領収書情報、
こういったものを、今、レシート等については本人が読み取る必要がありますが、そうい
ったものと、銀行口座、クレジットカードの情報を自動的に収集して、ポイント情報も収
集して、これに基づいて家計の分析、予測、給付金の情報などが提供される、右側には、
自治体における給付金の情報等も自動で収集してきて、それと組み合わせることによって
個人にアドバイスができている、そういうようなサービスになっております。
20ページ以降がDeNAさんから御提供いただいた資料ですが、MYCODEという遺伝子検査サ
ービスを通じて収集したデータを、本人の同意に基づいて研究に役立てているというよう
なサービスについての御説明です。
資料の21ページをご覧ください。個人が真ん中にありますが、個人が左にあるMYCODEと
いう遺伝子検査サービスを受けます。個人は検体をMYCODE、DeNAさんに提供をして、属性
情報、アンケート回答と併せて提供することによって、解析結果に基づいて病気予防アド
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バイス等が個人に返ってくるというサービスです。これに加えまして、個人が個別のさま
ざまな研究に対して、同意をした場合については、追加的なアンケートが送られて、本人
は そ れ に 回 答 し て 、 個 人 が 個 別 の 研 究 へ の 参 加 意 向 を 表 明 す る こ と に よ っ て 、 MYCODE
Reserchということに参加しまして、MYCODE Reserchで解析をした結果を学術研究とか、
製薬会社、食品会社に提供して、学術研究であれば、日本人の疾患リスクの予測、遺伝子
検査、そういうのと組み合わせて行動変容を促すようなアドバイスが個人に戻っていった
り、製薬会社、食品会社からも、あなたに合ったような新製品はこういうものではないか
と い う よ う な ア ド バ イ ス が 戻 っ て く る と い う よ う な こ と が 今 後 期 待 さ れ る と い う よ うな
ものです。
事例4に移らせていただきます。こちらはエムティーアイさんの提供されておりますル
ナルナのサービスについての御説明です。
23ページをご覧いただくのがよろしいかと思うのですが、こちらのサービスにおきまし
ては、個人、基本的に女性の方でございますが、女性の方が自らの体調に関する情報をル
ナルナさんにご提供されるということです。併せて、市販の体温計のうち連携が可能なも
のからは、体温情報が自動的にルナルナさんに提供がなされて、その情報を併せて用いる
ことによって、ルナルナさんのデータベースで、ほかの方のこういった情報を蓄積された
ものと合わせることで分析が行われて、その予測アルゴリズムに基づいて、妊活サポート
情報とか、出産から育児のサポートサービスが個人に対して還元されると、こういったよ
うなサービスです。
続きまして、24ページ、SmartDriveさんのサービスについて御説明させていただきます。
こちらは、車のOBDポートに機器を装着して、急ブレーキをかけているとか、急加速をし
ているとか、スピードがどうなっているか、位置情報がどうなっているか、こういったよ
うなデータをスマートフォンにBluetoothを利用して情報を集積することによって、本人
の運転の性質とかそういったものを分析するというようなサービスです。この情報を、さ
らに、自動車保険会社とか、自動車整備・販売事業者等にも提供することによって、例え
ば個人の運転特性に合わせたサービス提供、安くなる、高くなる、そういったようなこと
が実現したり、また、故障が起きそうだということを予測して、検査を受けたほうがいい
で す よ と い っ た よ う な レ コ メ ン デ ー シ ョ ン が 行 わ れ る と い う こ と が 今 後 期 待 さ れ て いる
ところです。
26ページ以降が、Cozy Cloudというサービスについての御説明でごす。こちらは前回の
ワーキンググループにおきまして、加藤先生から御紹介いただいたMyData2016の中でも話
題になったPDSサービスの1つでありまして、さまざまなインターネット上の事業者のと
ころに保存されているカレンダーとかメールとか連絡先、あとは、クラウド上に自ら保存
している写真とかドキュメント、そういったものをCozy Cloudというところに一括で集め
て管理をできるようにするといったようなサービスです。例えばネット上に分散して蓄積
されている本人のスケジュール情報を集めてきて同期をさせるとか、また、いろいろなサ
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ービスで分散しているコンタクト情報を一覧できるようにするとか、そういったものが実
現しつつあります。
こちら、28ページ目をご覧ください。データの流れをざっくりと御説明したものですが、
自らに関する情報を一元的に管理・コントロールできることで、今後の話ですけれども、
電力・郵便、公益サービス事業者にこの情報を提供して、個人に合わせたサービスや商品
提案が行われるとか、こういうことが期待されております。こちらについては、さまざま
な事業者との連携は、まだ計画中と理解をしております。
最後、29ページです。こういったPDSに関しては、さまざまな先進的な取組が行われてい
るというふうに我々は理解しておりますけれども、今後、PDSや情報銀行が実現していく、
うまく機能していくためには、個人の理解や信頼を得る必要があるのではないかと考えて
おりまして、そのためには、この下に書いてあるような点が一つの課題になってくるので
はないかと思っております。
1点目ですけれども、どういったデータが活用されるのか、収集されるのか、そういっ
た種類とか、入手や分析、活用の流れ、また、その提供されるとか収集する関係する主体
とか、データ利活用の有用性とか、個人に還元されるべき便益を具体的に示して、個人の
理解・信頼を得る必要があるのではないかと考えております。
2点目以降は、特に技術的な課題だと考えておりますが、情報のコントロールについて、
わかりやすく、使いやすいインターフェースがないと、なかなかこういったものは広がら
ないのではないかと考えております。
続きまして、3点目ですが、データ提供先でどのようにデータが取り扱われているのか、
個人が適切に把握できるよう、トレーサビリティと透明性の確保が必要ではないか、また、
さまざまな事業者からデータの入手、分析、利活用ができるようにするためには、データ
やAPIの標準化やオープン化が効果的ではないかと考えております。
事務局からの説明は以上です。
○安念主査
どうもありがとうございました。
では、ただいまの御説明について、若干時間を取ってディスカッションをしたいと存じ
ます。どうぞ、どなたからでも結構です。
新保先生、どうぞ。
○新保構成員
慶應大学の新保です。本日の意見は、主に、事例紹介についての意見交換
ということでよろしいのでしょうか。
○安念主査
この後、砂原先生からお話を伺いますので、さらに、その後、今の山路参事
官からのお話も含めて全体の討論をしたいと思います。
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○新保構成員
私はちょっと話が長くなるので、とりあえず先に言ったほうがいいのかな
と思いますが、3点あるのですけれども、先に短めに1点だけ。
本日、事例紹介ということで、このように事例を非常に多く、今後、いかに便利なサー
ビスが提供されるのかということを御紹介いただきましたけれども、一番最後の29ページ、
これは後ほどの検討にあたっても、まず、この検討会における全体の今後の方針として、
個人情報の取扱いに関する問題がどうしても検討の肝になってくると思いますので、今後
の方針について、29ページを拝見して思ったところを1点申し上げたいと思います。
どういうことかというと、2つの観点から検討が必要ではないかと思っております。ど
ういうことかというと、本日、29ページに、こういうちょっと抽象的な、漠然とこういう
ものの検討が必要ではないかということで示していただいておりますけれども、今後、検
討をするに当たっては、従来の検討では対応できない課題は何か、それから、従来の検討、
活用または統合するなどして、今回の仕組みを活用して今までの取り組みを明確にすると
いう、大きく2つに論点を分けておいたほうがいいのではないかなと思っております。
どういうことかというと、どういう課題があるかということを、また、一から一個ずつ
挙げていくと、抽象的でかつ網羅的に挙げられるかどうかという問題もありますので、従
来の検討で検討してきたけれども、今回の新しい取り組みを行うにあたって、個人情報の
取り扱いに関し、今までの検討では対応できない課題というものがあるのであれば、それ
をまず明確にしておくということが、今後、この検討を進めるにあたって不可欠かと思い
ます。
一方、この取り組みは、前回も申し上げたとおり、今までいろいろな形でこういった取
り組みを行ってきているわけですけれども、そうすると、もう一回重複して二度手間にな
っている検討というのが多々あると感じておりますので、従来の検討活用またはその検討
した結果を、新たに、ここでフィードバックをして活用できるというものがあるのであれ
ば、それを積極的に活用しないと、また、二度手間になってしまうのかなと思います。後
ほど、今回、スマートフォンを前提としていろいろなサービスが提供されていますので、
そうすると、スマートフォン・プライバシー・イニシアチブはかなり緻密な検討を行って
おりますから、そういったところも含めて御検討をいただければと思います。
○安念主査
○新保構成員
○安念主査
もうおしまいですか。
また、後ほど長いほうを。
ありがとうございました。かっちりまとめていただきました。
ほかの方はいかがですか。
○関構成員
新経済連盟の関です。私も後ほど具体的なポイントについては申し上げると
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して、2点だけとりあえず申し上げたいのは、ここで議論をしているPDSというのは一体
どういうものなのかというのが、もちろん前回も説明を受けたので理解をしたつもりでし
たが、改めて確認したいと思います。事例を見ていくと、いわゆるスマホのアプリで、ユ
ーザーに情報を入力してもらって、それを活用するというサービスが出てきます。あるい
は、共同利用か第三者提供だと思いますが、個人情報保護法に従って他に提供していると
いうサービスもあります。いずれにしても、ごく普通のユーザーに対する、B to C系のサ
ービスであれば、これは全てPDSに該当するということなのでしょうか。
2点目は29ページについて、個々の点については後で申し上げますけれども、ここで、
何のために、どういう検討をするのかというのがわからなくなってきました。現状、個人
情報保護法に従って事業者はサービス提供をしていますが、それ以外に、何か加えて検討
しなければいけないことが見えてきません。検討しなければいけないことがもしほかにあ
るのであれば、それは、現在、懸念や懸案、何かそういったものがあるはずで、それが見
えてきませんので、それについてしっかり議論が必要だと思っています。
以上です。
○安念主査
わかりました。第1の点は、多分にイメージの問題ではあるのだけれども、
どんな感じで資料づくりをなさいましたか。
○山路参事官
済みません。おっしゃられるとおりですね。第三者に提供するかどうかと
いうところがあるもの、そこを管理しているものがPDSだというふうに我々も理解してお
りますが、一部のものについては、確かに、第三者に対して集めた情報を提供してないも
のも入っております。ただ、情報の管理の仕方としてかなり緻密にやられていると、我々、
ここに例示したようなものは理解をしておりまして、そういうことで、第三者提供も含め
て 管 理 を ど う い う ふ う に や っ て い く か と い う こ と を 検 討 し て い く 上 で の 参 考 に な る ので
はないかということで、今回は例示としてお示しさせていただいたというのが正直なとこ
ろです。
○関構成員
例えば23ページのエムティーアイさんのこの図を見る限りでは、自社内に閉
じた形での情報の利用だと思います。それでも、ここではPDSだとされていて、こういっ
たケースでもPDSという扱いで議論の対象にしていくのか。さらにこういうケースでやっ
ていたとしても、いずれ第三者提供とかそういったものが関わってくるはずなので、限定
ができない。全てのB to C系のサービスは対象になるというのであれば、それはそれで、
PDSの定義が何なのかよくわからないというのが私の感想です。
○山路参事官
まさに、今ちょっと申し上げたとおり、エムティーアイさんがということ
ではなくて、例えば、この形をさらに発展させて第三者に提供していくことが行われるよ
10
うになった場合、どういうことを検討していけばいいかというのは、こちらのワーキング
グループで検討をいただきたいことです。こういったことはしっかりやられているという
ことで、我々としては参考までに情報提供をさせていただいたというものです。
○安念主査
○橋田構成員
どうぞ、橋田先生。
東京大学の橋田です。今の点に関連して、資料の3ページ、COCNの社会実
装タスクフォースが前提するPDSの基本要件が書いてありまして。これが全部というわけ
でもないとは思うのですが、こういう観点から見たときに、きょう紹介された事例が、ど
れ を ど れ ぐ ら い 満 た し て い る か と い う こ と が こ れ か ら 一 つ の 議 論 に な る の で は な い かと
思っております。
例えば、4.の最後の「外部へのエクスポート」。つまり、先ほどのルナルナでもZaim
でもそうですけれども、ルナルナなりZaimなりが直接提携している先以外のところに個人
の判断でデータが流せるかというふうな観点が1つです。
それから、どの事例でも多人数のデータを集中管理してしまっているので、特にZaimな
どはすごくセキュリティが気になります。聞いたところによると、銀行のシステムよりも
堅牢なシステムだということらしいのですが、それだとすごく金がかかっているというこ
とになります。ということで、ちょっとやそっとでは簡単に始められるような事業ではな
い。しかし、集中管理ではなくて分散管理をすれば、もっと安全に安くこういった事業が
で き て 産 業 振 興 に も つ な が る の で は な い か と い う よ う な こ と も 論 点 に な ろ う か と 思 いま
す。
○安念主査
橋田先生、3ページの基本要件は、この種の問題を考えるに当たっての出発
点として、それは完璧ではないかもしれないが、暫定的というか、まずはよろしいと考え
てよろしいですか。
○橋田構成員
そうですね。こういう論点をなるべくたくさん挙げて、これはPDSに必須で
あるとか、あるいは、どの程度重要かといった整理が必要になります。
○安念主査
ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
どうぞ、松本先生と宍戸先生。
○松本構成員
質問なのですが、昨日も総務省関係のセキュリティをどうするかという会
議に呼ばれたのですが、PDSとの通信は、暗号化とかそういうものはどのように配慮した
ものを含めているのか、全くそういうのがない普通の通信なのかということと、2点目は、
11
LINEなどでお話をしたいグループというのをつくりますが、このデータはこの人たちだけ
には知られてもいいけれども、そのグループ以外はだめとか、そういうのをどんどんつく
っていくようなルールもつくるのですか。
その2つの質問です。
○安念主査
いかがですか。
○山路参事官
まさに、現段階では。
○松本構成員
おまえが考えろと言うなら、また、考えます。
○安念主査
そういうことになりそうな気がします。
○山路参事官
安全性を確保するために、単に本人であるかの認証だけでいいのか、暗号
化とかをどうするのかというところも含めて、現実の技術的な今の到達点を踏まえて何が
できるか。あまりにも過大な義務や、推奨基準みたいなものだと、こういうサービスがで
きなくなるとは思っていますので、その現実をちゃんと見ながら御議論をいただければと
思っています。
○安念主査
○宍戸構成員
宍戸先生に御発言をいただいて、砂原先生にお願いいたします。
東京大学の宍戸でございます。前回欠席して失礼いたしました。
先ほど関構成員からもお話がありましたPDSは一体何だという話は、私も実はわかってな
いのですけれども、これは多分この検討の場で最終的に何を目指すかによって、どこまで
PDSとか情報銀行についていわば固いイメージを持つか、やわらかいイメージで、今後い
ろ い ろ な 形 の も の が 出 て く る と い う こ と に 対 応 し よ う と す る の か と い う こ と に よ っ て可
変的なのかなという感じを持っております。
そもそもこの場での議論が、事業者が今後こういうことをやっていったらいいねという
方向で、民間の中での取り組みを促すための何かの起爆剤といいますか、燃料投下をする、
例えば技術開発を政府として促進していくということであれば、特に経産省方面ではよく
補助金があると思うのですけれども、具体的な法的な制度整備を考えるとしますと、例え
ば個人情報保護法について一部の特別法をつくることを考えているのか。それとも、29ペ
ージの一番最後にあるような仕様のオープン化をこの種のPDSなどの取り組みを進めるた
めに、いろいろな企業に義務づけていく、あるいは規格を定めるということをするのか。
さらに進んで、PDSないし情報銀行について、しかるべき要件、定義を定めて、ある種の
12
業法的な規定と、特権の付与のようなことを行うのか。そこの辺りのゴールが見えてこな
いと、何を最終的にこの場で議論すればいいのかというのが、私にはわからないところが
あります。それはまだ事務局でもお持ちでないのかもしれませんけれども、現時点でのお
考えがあればお聞かせいただきたく、また、どのようなところに持っていこうとするのか
は、座長、事務局において今後進める際に考えていただければという要望と、2点 です 。
○山路参事官
正直に申し上げて、すぐ法制度整備が必要というような段階に今あるかと
いうと、なかなかそういう段階にはないのではないかというのが直観的な考えです。そう
いう意味でも、前回のワーキンググループの際に、安念先生から御意見をいただいたので
すけれども、技術革新等に柔軟に対応できるような仕組みが必要なのではないか、今、デ
ータの流通・活用を躊躇している事業者の方々が積極的に取り組めるような雰囲気づくり
というか環境づくりを我々としてやっていきたい。先生方にもそういう方向で御議論いた
だきたいというのが事務局としての気持ちです。
第1回目の親会でも遠藤CIOから、明確な目標が見えているわけではなくて、そういう
意味では政府系の会議としてはちょっとあれですがというようなお話もあって、先生方の
意見をしっかりお聴きしながら、我々のほうがちょっとおかしいのではないかというよう
なところがあったら、ぜひ、どんどん御意見を言ってほしいというのが遠藤CIOのお言葉
でもありますし、我々の正直な気持ちです。
○柴崎構成員
今のに関してですが、もちろん、今の段階で法律とか制度とかゴールが見
えてないのはわかりますけれども、ただ、もし、こういう類のアイデアをプロモートした
い、あるいはもっとチャンスを広げたいと思うとしたら、PDSは何かとか、情報銀行は何な
のかとか、ある程度定義をつくってラベルを定義しておかないと、PDSとか情報銀行にいい
イメージを付与した瞬間に、うち情報銀行ですと言ってみんながいろいろなことをやり始
めて、結果的に、消費者的に見ると、みんなああ言っているけれども、全然違っていて、
このラベルは全く信用ならない、怪しいというのがついてしまうと、それは端にその分野
でみんなで組み合わせて、新しい芽が出ないように一生懸命しているということになりか
ねないので、そういうところは割にちゃんと議論しておいたほうがいいのではないかなと
思いました。
○安念主査
ありがとうございます。今後の議論を進めていく上でも、3か月たったら多
分定義は変わっていると思いますけれども、それを念頭に置いた上で、キー・エレメント
については幾つか暫定的な定義のようなものを、できれば、ほかの省庁とも相談してつく
りつつ議論をするのがよろしそうだなと感じました。
ありがとうございます。
それでは、時間の制約があって恐縮ですが、砂原先生のプレゼンをお願いできますでし
13
ょうか。
○砂原(慶應義塾大学大学院)
ここで僕が説明するよりは、隣の隣に柴崎先生がいまし
て、その向こうのほうには橋田先生がいますから、私が何で呼ばれたのかよくわからない
ところもありますけれども、一応技術者として、実現に当たってどれぐらいレディネスが
あるかというところの話をさせていただきたいと思っております。
次のページに、前回の資料の中から抜粋として、技術と事業と制度の面で何を考えなけ
ればいけないかということで、PDSと情報銀行、あと、EverySenseがデータ取引市場を始め
ていまして、この辺のことと、それから、オムロンがこれをやるとかいう話も出ています
ので、この辺、大分進んできているということがわかっている中で、どれぐらいちゃんと
できるのかなと思いながら、コンポーネントを組み合わせつつあります。
次のページは、
「パーソナル情報とビッグデータ」みたいな話は、新保先生がいるので飛
ばします。
それから、
「パーソナル情報の管理」という観点からすると、本当を言うと、結局、自分
の手元に置いて、自分が好きなときに好きなように出したいわけですけれども、多分、皆
さん一人ずつ3エクサバイトのディスクを持って歩いてくださいとは言えないので、これ
をどうやってつくっていくかというところではあるかと思っています。
では、自分はこの提供をしたいと思ったときに、ここの先はどう安全なのかとか、どう
信頼していいのかとか、セキュリティ上の責任という、要は、技術者なので絶対漏らさな
いとは言えないので、このときに責任はどうやってとるかということを少し考えていかな
ければいけないなと思っています。
ちらちらと考えながら、あまり深くも考えてもいませんけれども、でも、必要だと思わ
れる技術を次のページに図示をした形でつくってみました。PDSA、PDSBと書いています
けれども、要するに、データを誰かに委託して保管してもらわざるを得ないので、この人
たちがどういう技術を持っていなければいけないかという話です。
それから、そもそもこいつは誰かというのをデジタル社会の中でどうやってトラストす
るのかというところが非常に重要なポイントで、私として、この中で重要だと思っている
のは、まず認証というか、認証・認可を含めての部分です。アイデンティティー、ここに
ID/Trustと書いてございますけれども、この部分が一つ一番重要だと思っています。残念
ながら、この部分はちょっと怪しくなってきていて、つまり、IDとパスワードではもうだ
めだという時代になってきておりますので、この部分についてどう答えを出すかというの
は、今、早急に解かなければいけない課題ではあると思っています。
それから、もう一個、ここから出てくるデータが途中で改ざんされたりとか、途中で盗
み見られたりとか、あるいは、中身が変なふうに壊れたりするということがないようにす
るためのSensor Data Streamということがございますけれども、ここに関しては、時々や
られたという話も聞きますけれども、いろいろな技術が暗号としてはありますので、あん
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まり心配しておりませんけれども、中身がどうかということに関しては、技術的によく考
えて決めなければいけないという部分で、これは技術というよりは要するに標準化という
作業なので、これは政府が主導するなり、学が主導するなり、何かしなければいけません
けれども、決めなければいけない部分であると思っています。
それから、どれぐらいの精度で情報を守らなければいけないのかというところをどうや
ってエンフォースするかというのも、これもある種精度の問題だろうなと思って考えてい
るところです。しまっておく場所に関しては、クラウドの技術なり、データセンターの技
術なりが大分整っていますので、ここの技術については、暗号の技術なり何なりというの
がもうそろっていますから、ここは僕はあんまり心配をしていません。
あと、これをどうやって処理をして、利活用できるデータにするかという話ですけれど
も、これはある意味技術の世界ではなくてアイデアの世界なので、これをどう実装するか
というところはよく考えなければいけないという話です。
ただし、1社独占ということは、僕は絶対言いたくないと思っていて、柴崎先生にこの
情報銀行の話を聞いたときに、一番最初にかみついたのはその話なので、必ずコンペティ
ションがあり、複数のところから出てきた情報をどうやって回しながら処理をするという
ところは考えなければいけなくて、ここに関してのプラットフォームづくりは特に協調プ
ロトコルというところをちゃんとつくっていかなければいけないという話です。
それから、先ほど話の中で、データのトレーサビリティが出ていましたが、これは解け
ると思っている部分があって、これは長らく大変難しい問題とされていましたけれども、
ビットコインが出してくれたBlockChainという技術がこれを解くベースになると考えられ
ていて、この部分に関しては大分進んできたかなと思っています。
あとは、可視化ですけれども、これもアイデア勝負なので、我々としてはATMという形で
可視化を出しましたが、この辺のポイントもできるかなと思っています。
あと、いわゆる集めてしまったデータをうまく活用できるように持ってくるかという話
ですが、この部分に関しては、これも制度的なエンフォースが多少必要で、いわゆるAPI
という形で提供されているところはほぼありません。Googleからも僕は大分データを引き
ずり出して、自分のデータで遊んでいますけれども、いつ、何という検索をしたとか、ど
こに行ったとか、そういうのは全部取れています。実は、この間、ポケモンgoのデータも
取れていたのですけれども、どうも隠してしまったらしくて、昨日見たらなかったのです
けれども、でも、位置情報とかそういうのは取れますので、こういったようなものがせっ
かくあるのだとしたら、取り出したいのですが、残念ながらデータとしてがさっと束にし
て渡されるだけなので、ここからここまでの期間こうやって取り出したいという部分に関
してAPI化するということは、ある種制度化してエンフォースしたほうがいいかもしれない
なと思っております。
必要な情報として、その裏側に「核となる技術」として3つ、Identity/Trustに関する
話と、利用制御です。どうやって何に使うかということを指示するかという話と、それか
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ら、データのトレーサビリティという、3つのことを挙げております。
Identityに関しては、今、IdP(Identity Provider)という考え方が出てきております。
Identity Provider、つまり、この人は誰かということを保証する第三者というのをつくっ
て、その人がいろいろなところにこいつは大丈夫だからと言って回るというタイプのやり
方が出始めています。これを信頼する形で各サービスが動いていくことをまず考えていく
のが一つのポイントです。
かつ、IDとパスワードだけではなくて、指紋であるとか、虹彩認証であるとか、指静脈
とか手のひら静脈とか、いろいろな技術がございますけれども、こういったものを複数併
せて認証する技術というのが多分必要だろうと思います。
もう一個、データの利用に関しては、これは技術と言っていいのかどうかわからない部
分ですけれども、当人に事細かにあなたの体温を出していいかとかということを言うのは
ほぼ不可能に近いと思っています。なので、金融で言うとファンドモデルですね。あなた
のお金を、この株とこの株とこの株をうまく使ってこういうふうに運用しますよという形
をするのと同じように、サービスとしてこういうふうな運用をするから、これにイエスと
言うかノーと言うかというタイプのやり方をしないと、実は昨日まで秋田のほうでセキュ
リティとプライバシーの会議があったのですけれども、その中でも、学生が何かざっとメ
ニューがあって、それにイエス・ノーを答えるのだと言い張るので、それは不可能だろう
と言って、みんなから袋だたきにあっていましたけれども、そういうようなことにならな
いように、利用者の利便性を考えて、うまくファンドモデルをどういうふうにつくってい
けるかというのは、これはある種のアイデアのポイントだと思っています。
トレーサビリティは、先ほど申し上げたとおり、複数の第三者がそれを裏づけしていく
という形で、これは途中で書き換えられてないとか、うそをついてないとかということを
認証していくということでトレーサビリティができるという話と、それから、出て行って
しまった後に、向こう側で結託して悪さをされるケースがありますけれども、こういった
ようなものもある種ダミーデータをうまく挿入させることで、それは誰がやったのだとい
うのを判定するようなことができるような技術はでき上がってきつつありますので、要す
るに、パターンを幾つか用意して、こいつにこのパターンで渡して、こっち側に違うパタ
ーンで渡しておくと、突き合わせをすると、こいつとこいつが結託したということがばれ
るみたいなことがある技術があるのですけれども、こういったようなことを使いながら、
トレーサビリティについては確保できるだろうと思っています。
そう考えると、技術はほぼreadyであると思っています。最後一個ないのは何かというと、
これらを全部まとめてやってみたやつがいないということです。なので、これに関しては、
柴崎先生と来年度以降、ちょっと実施をしようと思っておりますが、それに加えて、先ほ
どから出てくるような、APIとか、Protcolとか、Data Formatであるとか、データの精度で
あるみたいな話の標準化の話です。それから、ビジネスモデルをちゃんとつくらなければ、
民間としてはお金もうけになりませんので、ここに関してはインセンティブをどうするの
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かとか、インセンティブでお金が返ってくるともししたとしたら、それに対して課税する
のかしないのかとか、それから、データポータビリティとしてどこかからもらうことがで
きるにしても、その集めた側の努力はどうやって評価するのかとか、知財はどこにあるの
かちゃんとわかるようにしなさいとか、先ほどのファンドモデルですけれども、利用者に
わかりやすいデータ運用モデルは提示しなければいけないでしょうという話です。
それと同時に、組織をどうやって監査するかとか、こういう条件が整ったらこの組織は
こういうことをやっていいということは誰が決めるのかということです。許認可事項には
あまりしたくないとは思いますけれども、とは言え、先ほどの柴崎先生の定義という話に
非常に近いと思いますけれども、どうすべきかということをやらなければいけない。それ
から、透明性の確保。中身で悪さをしてないということをどうやって、内部犯行をどうや
って防ぐかとか、いろいろあるのですけれども、そういうのと、それから、これは僕は制
度の問題だと思っていますけれども、何か本当にインシデントが発生したときに、最終的
に責任はどうやってとるのかという話だと思っています。1つは、僕はADRだと思っていま
すけれども、それで十分なのか、そうでないのかということも含めて、こういうようなと
ころで議論をして、では、これぐらいのことでこういうふうになれば、いざというときは
責任がとれる、とり方としてはこうである、だけど、それが起きないようにこういう努力
しなさいということが言われると、多分、民間として仕事ができるようになってくるのだ
ろうなと思っているところです。
あまり時間をかけずに、議論をしたほうがいいと思いましたので、あまり長くしゃべら
ずに、昨日は安念先生とバトルをするのが楽しいと思ってここに来ましたので、よろしく
お願いします。
○安念主査
プレゼンの時間は短かったけれども、あまりにも議論誘発的で、まとめる自
信がない。しかし、3時ちょっと前までしか時間がありませんので、その間で、大いにバ
トルをしていただきたいと存じます。
○砂原(慶應義塾大学大学院)
○安念主査
よろしくお願いいたします。
どうもありがとうございました。
どうぞ。
○新保構成員
先ほど資料を拝見したばかりですので、内容についてきちんと理解した上
での発言ではありませんけれども、4つ意見を述べさせていただきたいと思います。
まず1つ目は、今回のこの仕組みについて、いろいろなサービスのあり方などが提示さ
れておりますけれども、例えば、最初の資料の4ページ目、事例1をご覧いただきたいと
思います。ここでは、健康アプリとして、病院、健康センターとか、一般のモール事業者
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なども含めて情報提供するといったような図が示されております。そうすると、1つ目の
点としては、情報のやりとりを行う範囲はどのように想定しているのか。併せて、情報の
取り扱いにかかるステークホルダーは誰なのかということが1点目の意見であります。
これは一番最初の回に申し上げたとおり、情報は官民双方でデータは常に流通しており
ますので、そうすると、民間におけるデータの取り扱いを想定した場合であっても、例え
ば1例として、4ページの病院を1つ例にとっても、国立大学の付属病院や国立の病院、
公立病院、私立病院や診療所、そういったところが当然含まれてくるとなると、ここで想
定しているのは、例えば私立病院だけということには恐らくならないと思いますから、そ
うすると、対象となる範囲はどの範囲なのか、さらに、自分の情報でありながら、第三者
が取得して利用するサービスを考える。それがPDSということだと思うのです。そうすると、
自分の情報をコントロールするということについては、関与はできても、必ずしもコント
ロールはできませんので、そうすると、その情報のステークホルダーは誰なのかというこ
とを明確にしておいたほうが、今後どういうサービスを提供するのかという上では不可欠
の事項だろうと思います。
2点目は、本人同意が最も肝になるというか、本人同意のあり方が最も重要な論点にな
ると言えるわけでありますけれども、便利なサービスの提供の名のもとに、包括同意を取
得するという傾向が多々見受けられるわけであります。消費者に対しては、利便性の向上
というメリットとともに、デメリットを説明することは不可欠であり、重要でありますけ
れども、説明を受けても理解できないことが逆に多い。現に、本日出席している委員の方
も、PDSは何と思っているくらいですから、そうすると、この場でもPDSがわからずに、一
般の消費者がPDSが何がわかるかというと、かなり疑問です。
そうすると、まずは、何をどのように実施するのか、誰もがわかる仕組みの説明が必要
となります。これは言うまでもない点であると思いますけれども、同時に、個人の権利・
利益保護に必要な取り組みは、消費者が自分でできるということについては限界がありま
すので、そうすると、その取り組みをデフォルトで実施するということについて、この検
討会で例えばその方向性を示すということは当然必要になってくるだろうと思います。
そうなると、例えば、今回はスマホを例にとっている部分が非常に多いということから
すると、スマートフォンのアプリを介した個人情報の取得については、スマートフォン・
プライバシー・イニシアチブが公表されておりますので、適切な情報の取得とパーミッシ
ョンのとり方については、常に緻密な検討がなされております。したがって、スマホを介
した情報の取得であれば、スマートフォン・プライバシー・イニシアチブ(SPI)の遵守を
求めることで対応が可能な部分が多いでしょうし、本日紹介がなされたサービスについて
は、そういったSPI遵守で対応できるようなものが多いと考えられます。
そうなると、それでは対応できないものは何かという冒頭で申し上げた点がやはり検討
課題として必要になってくるかと思いますので、本人同意のあり方についてはどのように
今までの取り組みでは対応できないことについて、具体的にどのように対応すべきだろう
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かというのが2点目になります。
3つ目がリスクマネジメントのあり方・方法についての意見であります。先ほど、関構
成員から、法令順守は当然のことだと。これは各事業者は法令遵守を涙ぐましい取り組み
を行っているわけであります。一方で、砂原先生から、例えば、技術的にもデータの漏え
いなどは完全に予防できないというのも現実の問題であります。そうすると、リスクをど
こまでとることができるのかということについて、リスク・アセスメントをどこまでやる
のかということが、3つ目の論点としては重要になってくるわけでありますけれども、そ
うすると、例えば、日本でこういったサービスを提供するときに、法令遵守の観点からの
検討は行っていても、例えば1例を挙げると、2009年に、ヨーロッパのENISA (European
Network and Information Security Agency)がクラウドコンピューティングリスクアセス
メントを最初に公表したときに、このときに、管理のリスク、技術リスク、法的リスクみ
たいな形で、非常に体系的にリスクアセスメントの方法を大きく明示したわけであります
が、これは、法令遵守はEUは非常に厳しいので当然のことであって、例えば管理リスクと
しては、今回のサービスについても、例えばENISAのガイドラインを見たら、管理のリスク
というのは、多分ロックインのリスクをどうするのかとか、技術的なリスクについては、
データ漏えいとか攻撃の場合はどうするのかとか、法的なリスクと言っても、例えば、こ
の家計簿アプリと金融サービスが連動すると、税務調査で活用すると、されるほうは魅力
的ではないですけれども、国のほうとしては非常に魅力的なわけでありますので、そうす
ると、その法的なリスクについては、そのログをどうやって取り扱うのかとか、リスクア
セスメントの方法については、それを詳細に検討することは当然必要だろうと思います。
最後に4番目が、PDSを活用してデータを活用するに当たっての環境整備。山路参事官が
先ほど、今後の法制化の可否なども含めて検討をするということをおっしゃっていたわけ
でありますが、この環境整備のあり方をこの検討会で検討するということであれば、例え
ば環境アセスメントは従来からも行われていて、それを参考に個人情報の取り扱いについ
ても、プライバシー影響評価、マイナンバーについては特定個人情報保護評価という制度
を既に導入しているわけでありますけれども、そうすると、プライバシー影響評価、デー
タ保護影響評価という仕組みについては、我が国においては既に取り組みが進んでいるわ
けです。これは民間では行われていないというだけの話であります。
そうすると、いわゆるプライバシー・バイ・デザインのような考えに基づいてPDSをどの
ように今後展開していくのかということを考えるのであれば、これは必ずしも法制化が必
要な部分とそうではない部分というのは明確に分かれるかと思いますので、例えば特定個
人情報保護評価のような仕組みについては当然法制化が必要だったりするけれども、PDS
ガイドラインのように、今までの取り組み、リスクアセスメントの方法、本人同意、パー
ミッションのとり方などを決めるということであれば、PDSガイドラインのような方向性も
あり得るのかと思います。
ということで、以上4点、私からの意見であります。
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○安念主査
ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。どうぞ、どなたからでも。
○関構成員
資料1の29ページについて、先ほど申し上げなかったことを申し上げます。
例えば1ポツ、2ポツに関して言いますと、事業者の努力や工夫で、使いやすいインタ
ーフェース、ユーザーへの還元といったことが行われて、きちんといいものが提供されれ
ば、ユーザーに受け入れられ、ビジネスもちゃんと回るということで、基本的には事業者
側のビジネス判断というのが主体と考えていいかと思います。そのときに、この場で、こ
れに関して政府が関与をする形で何を検討していくのか、どういう答えを出していくのか。
先ほど事例がありましたけれども、例えば、この1ポツ、2ポツ、3ポツ、4ポツについ
てどういう懸念があるのか、というところまでは必ずしも具体的に示されておりませんの
で、そこを深堀りした上で、もし、何かルールをつくる必要があれば、それはそれで検討
すればよく、そこが少し足りないのではないかと思っています。
その際に、前回も申し上げたのですが、データのオーナーシップに関する話も若干含ま
れているように思えるのですけれども、それについては、日本の今の現状からすると、か
なり慎重に検討すべきかなと思っています。
また、これも前回も申し上げましたけれども、日本企業に対してのみに適用するという
ことではなくて、当然、内外無差別に適用するような、もしルールをつくるとすれば、そ
ういった前提で考える必要があると思います。
以上です。
○安念主査
ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
砂原先生にちょっと伺いたいのですが、技術的には、要素技術は大体Readyで、足りない
のは、それを全部ひっくるめて統合する何かであり、そのことは、最初の事務局からの資
料の29ページの一番最後のポツで、いろいろなところから集めるのが課題だ、というのと
裏腹のお話をいただいたのではないかと思うのです。
仮に、中央集権的か分散かはともかくとして、ある種の連携というか統合というような
ものが望ましいという仮に前提に立ったとして、さて、要素技術はReadyだが、先生のお言
葉を使えば、エンフォースしなければならないものがあるという。この御指摘は僕は物す
ごい重要だと思うのです。特に政府にとってものすごく重要で、そのエンフォースしなけ
ればならないその節目節目は一体どこにあるのか、そして、そのエンフォースというのは、
何か業界とか学会でやるべきものなのか、それとも国家法でやるべきなのか、といったよ
うな仕分けというのは粗々できるものでしょうか。
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○砂原(慶應義塾大学大学院)
難しいですが、少なくとも標準化みたいなものは、学会
とか、そういう標準化委員会みたいなところでやらなければいけない場所で、これは進ん
でいると僕は理解をしていますので、これはあると思っています。
問題は、例えば集めてしまった事業者が、それをデータポータビリティに出しなさいと
言われたときに、今はどうやって出すかは自由です。したがって、一番不便な方法で出す
わけです。要するに、さっき申し上げたとおり、Googleさんから僕はデータを集めて遊ん
でいますけれども、それは、例えば3年間分ぐらいがばさっと束になって、ダウンロード
するのにも、へたすると何時間もかかるような形でくれるわけです。だけど、本当を言う
と、向こう側にはちゃんとしたシステムがあって、例えば何月何日から何月何日までの僕
の行動の位置情報をくださいと言えるはずなのです。だけど、そういう形では提供をして
くれないのです。
少しGoogleメンバーと話をしましたけれども、そういう仕組みはあるにはあるけれども、
では、公開できるかと言われると、今のところは無理だろう。だけど、そこの部分を、少
なくともこれとこれに関してはこういう形で公開しなさいということをエンフォースする
というのは、もしかすると、政府なり、業界グループでつくるかもしれませんけれども、
何かある種のルール決めをしたほうがいいだろうなとは思っています。
○安念主査
そのルールは、ひょっとすると、強烈なルールになる可能性がありますね。
○砂原(慶應義塾大学大学院)
あります。だけど、いわゆるオープン化するということ
は、そういうAPIを用意するという意味ではあるので、その部分を正しくこういうふうな形
で出しなさいよということは僕は言うべきだろうなと思っています。
そのかわり、全てのPDSなり情報銀行というサービスをしている組織は、それを全部責任
を負うことになるので、その形で誰からでも提供できるということにはならないといけな
いだろうなと思っています。
あと、問題は、先ほども申し上げましたけれども、何か問題が起きたときに、どうやっ
て解決手段を提示するかで、全てが裁判になっていると、多分ビジネスは回らないので、
ADRみたいなものがつくれるとうれしいのですけれども、ここもやはり法制度の問題がある
気がしますねという話です。大体この3つぐらいだと僕は思っています。
○安念主査
関さん、どうぞ。
○関構成員
今のことに関連して、どういうデータを、どういう仕方で提供するかという
ことについて、仮に、事業者にエンフォースするようなルールを決めるということであれ
ば、なぜそれを義務づけることが必要なのかということを十分議論した上で、法益も考え
た上できちんと議論すべきで、そこまで義務づけなければいけないという理由が私にはよ
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く理解できませんので、そういう状況には今すぐにはないのではないかと思います。デー
タ提供に限らず、エンフォースするようなルールを決めるということについて一般的に言
えることだと思います。
○安念主査
それは当たり前だと思います。商売道具なのだから、よくわかります。
橋田先生、どうぞ。
○橋田構成員
このデータをいただけるとこういういいことがあるというふうなことを議
論していく必要があると思います。例えば、医療データなどは割と明らかなほうだと思い
ますし、POSデータなどもそうです。たとえばTポイントカルチャーコンビニエンスクラブ
さんは、私のPOSデータを持っているはずですけれども、見せてくれませんね。しかし見た
いですね。見えたら、自分のお金の使い方を把握するとか、家計簿をつけるとかいうふう
なことに役に立って、先ほどのZaimなどは、家計簿をつける一助としてユーザーが紙のレ
シートを読み込まないといけないみたいな不便を利用者にかけているので、その不便はな
くしてくれというふうなニーズは多々あると思います。
一方、エンフォースメントが事業者の重荷になってはいけませんね。各事業者はふだん
からお客様のデータを扱っているでしょう、日常的に処理しているでしょう。そういうぱ
っと簡単に出せるデータを、情報量を落とさずに出してくださいよ、フォーマットが秘密
だったらば、別のフォーマットでもいいですよ、というような技術的な配慮も必要だと思
います。そういうことをある事業者が始めれば、あとは、ほかのところも、競争上、追随
せざるを得なくなるのではないかという気もいたします。そうすると、あんまりきつい法
制化のようなことではないほうがいいのかもしれません。
○安念主査
どうぞ、砂原先生。
○砂原(慶應義塾大学大学院)
こういうところではきつい言葉を使ってみたのですけれ
ども、本来ならば、多分、業界ができて、その間でビジネスをやっていると、公開したほ
うがもうかるのだという形になったほうが早く回るはずです。だから、本当はエンフォー
スするというのはおかしいとは思っています。だけど、現状で、ちょっと集め過ぎている
人たちが世の中にはいらっしゃって、この人たちから引きずり出すためには、うまくそこ
を回さないといけないなという部分があって、そうすると、あまりやり過ぎるとヨーロッ
パみたいになってしまうのであれなのですけれども、何かうまく誘導する仕組みは要るか
なという気が僕はしているというぐらいの感じだと思っていただければいいと思います。
○橋田構成員
スマートディスクロージャーしているというふうに認められれば、自社が
提供するサービスとは関係のない別のサービスに関連するデータを個人から本人同意に基
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づいてもらうことができますよみたいな、そういう仕組みができれば、スマートディスク
ロージャは早い者勝ちになるので、望ましいのではないかと思います。具体的なやり方は
まだよくわからないのですけれども、考えるべき方向ではないかと思います。
○安念主査
先生がおっしゃったポンタなど、あれだけ広がっているということは、お客
さんにとっても事業者にとっても有利だからでしょうね。そういうインセンティブが自然
にできるなら、もちろん国家による強制などというのは望ましくないに決まっているのだ
から、それがいいに決まっている。けれども、その種のインセンティブ、つまり、事業者
の側からも客の側からもいいというようなインセンティブがいつもあるものなのかという
ことは、多分、疑問に思う人はいるのでしょう。
○橋田構成員
それはビジネスモデルというか、アイデアです。誰かそういう商売を始め
たら、その手があったかということでうまくいくのだと思います。
○安念主査
○矢作構成員
まだ御発言のない方がいっぱいいらっしゃるので、どうぞ、矢作先生。
2つほどあります。先ほど、ほかの構成員からも意見が出ましたけれども、
これまでの話と、それから、これからのというところは少し分けたほうがいいのかなと思
いました。理由は、多分、PDSという言葉が生まれた起源は私は存じ上げませんけれども、
少なくとも私の海外の仲間と話しているのは、これからの時代は、データを集めるのでは
なくて、見に行くのではないかというような世界になってくるはずで、そうしたときに、
自分の情報を誰に預けておいて、安心・安全にしている、先ほどの同意というところと理
解という、これは医者としてもやはり同じで、患者に対してどう説明するかというのは、
これはやはりコミュニケーションの力量がすごく大きいのです。最初は、何か衝撃的なこ
とがあったときは、なかなか理解が進まないことがいっぱいあるのですけれども、人間は
そこから落ち着いてくると理解が深まります。何をもってして同意なのかということは、
ここはマトリックス化してきれいに分けていかないと、なかなか議論が整理つかないので
はないかと思いました。まさに、テクノロジーとしては、データがかなりセキュアにいろ
いろなことができるだろうなということは、私の関連するような中では、その実感として
はあるのですけれども、この部分はちょっと整理をしないと、どうしても情報銀行という
イメージがデータを集めるというキーワードで、確かに見えやすいのですけれども、時代
は多分その先に行っていて、個人がデータを見に行くという時代にきっとあるタイミング
で一気にシフトするのではなかろうかということも視野に入れて議論をしておかないとい
けないのではないかなと思いました。
それから、もう一つは、特にセキュリティだのプライバシーの話になったときに、漏え
いの話をセキュリティ、セキュリティと言いますけれども、それもそうなのでしょうが、
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大きな問題になってくるのは、もし、これがデータを見に行くようなことになっていった
ときに、個人全体、国民、そして、国というキーワードぐらいの規模になっていったとき
に、一つのインフラのようになっていったときに、何か漏えいしたきっかけがシステムダ
ウンにつながるようになったことで、まさにインフラがダウンしてしまったときにどうな
るかということを踏まえて、これは安全・安心に誰もが使えるのだよねという視点はやは
り忘れてはならないのではないかと思います。そういう時代にもうなっているはずで、そ
の中でどうやったらこういったものが利活用できるか。まさに、きょうの主目的である、
みんなが尻込みしてしまうような方々も往々にしてあって、そうではなくて、自由に使え
るけれども、そこを担保しながら、どうやって安心・安全にそういったことを使われてい
くか。これは、前回も私ちょっと発言しましたけれども、ということはやはり外せない議
論なのかなと思いました。
一応論点として掲げさせていただきました。
○安念主査
ありがとうございました。
いかがでしょうか。できれば、ひとわたり御発言をいただきたいと思います。
どうぞ、宍戸先生。
○宍戸構成員
宍戸でございます。これまでお話を伺っていて気づいた点と、それから、
それ以外の点を申し上げたいと思います。
1つは、データポータビリティについていろいろ御議論がありましたけれども、既存の
データを非常に集積している人がいて、それが囲い込みのようなことになっており、今後
の日本国の、あるいは日本以外もそうかもしれませんが、データの流通促進の邪魔になっ
ているから吐き出させようという方向で、ここで議論をしているのか。そうではなくて、
一定のデータポータビリティができるようなしっかりした、初期投資がかなり必要なのか
もしれませんけれども、新規のPDSなどのビジネスを始める人には、それだけの体制がない
と入って来れないようにしておかなければいけないと考えるのかによっても、データポー
タビリティの議論の扱いは常に変わってくるだろうと思います。まさに、どういう目的で
データポータビリティを要求するのかという観点からの整理を、しっかりしていただいた
ほうがいいと思います。
それから、2点目は、PDSから情報を見せてもらう、受け取ることになるサービスプロバ
イダとの、とりわけ競争上の関係は一定程度考えなければいけないと思います。後でも申
し上げますけれども、先ほど矢作先生からもお話がありましたが、どこかでデータが漏え
いしたときに、矢面に立つのはPDSだろうと思います。そうすると、PDSとしては、自分の
ところで漏えいしていない、サービスプロバイダの側で漏えいがあったかもしれないとい
うことを調べることになりますから、PDSはサービスプロバイダに対してしっかりしたセキ
ュリティをやっていますねということを、情報提供等の条件にしたり、あるいは監査をし
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たりという権限を留保することになるだろうと思います。それは消費者保護の観点から見
れば有用だと思いますが、しかし、これも行き過ぎますと、PDSとサービスプロバイダの間
で不当な格差、競争上の問題が起きる可能性がありますので、そういう意味でのPDSの規律
も、あるべき情報データ流通という観点から考えておかなければいけないと思います。
最後に、その裏側の問題ですけれども、消費者あるいは個人情報の本人側から見たとき
に、誰にどういう形で責任を追及すればいいのかという問題です。御説明の中で、ADRであ
る程度処理していくべきだというお話があり、私もそれに賛成ですけれどもおそ、らく消
費者にとっての最大の問題は、誰とADRで話をつければいいのかわからないということです。
普通の消費者の方はワンストップでPDSに相談すると、そこがこの人が悪いやつですと連れ
て来るか、一回PDSが責任をとった上で、求償するような形で責任を追及するということに
したほうがよいのではないかと思っております。この辺りは、ほかの先生方の御意見もい
ただき、また、御検討いただければと思います。
以上です。
○安念主査
ありがとうございます。
林先生どうぞ。
○林構成員
ありがとうございます。一回発言できるということで、自分の今の関心事を
話させていただきたいと思います。
民間の事例のご紹介がありましたが、医療のオンライン資格確認システムなどが今年の
4月から施行されている法律で始まり、こういった話と別に、もうどんどん進んでおりま
す。
今年の4月施行で、保険者から委託される形で、支払基金と国保の中央会で公的医療保
険資格情報の管理が可能となっており、そして、支払基金には住民票コードと一対一の関
係を持つ機関別符号というのが払い出されて、被保険者一人一人を重複なく一時的に把握
できるようになるそうです。オンライン資格確認は、支払基金と国保中央会の持つ資格情
報データベースまたはレプリカのデータベースにオンラインでネットワーク接続されるこ
とで、保険医療機関等に訪れた患者の公的保険資格情報を、保険医療機関等窓口にて照会・
確認できるようになるとのことです。
支払基金はあくまでも保険者から委託される形でこの業務を行うのです。
○安念主査
基金が、ですか。
○林構成員
基金がです。基金は受託者です。けれども、こうやって集められたデータベ
ースを管理者として支払基金だけが管理できて、個々の保険者や、ましてや、個人の我々
一人一人がそのデータを使えるのかというと、今は使えないのです。それから、今後、使
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えるような形にすることはまだ考えられていない。そして、そういった業務を基金や国保・
中央会以外の民間のいろいろな今でもそういうサービスを行っているところはあると思う
のですけれども、そういう彼らがアクセスして、より効率的なサービスを提供するような
ルートも今のプランでは考えられていないのです。今、巨額の予算を投じて走り始めてい
るこういった制度について、民間事業者もアクセスして、こういったサービスを活性化さ
せていく。また、国民がこの情報を、もともとは自分の情報なのですから、それにアクセ
スして活用していけるようなことをやるべきだと思っております。今、私は、このままで
行ったら、また日本が国際的な趨勢から取り残されてしまうのではないかという危機感を
持っています。今日の資料では個別の民間の事例が出ていますけれども、もっと大きな話
も省庁を超えて統括的にお話をする場が欲しいなと思っております。
○安念主査
それは何かおもしろそうですね。もうちょっと詳しく教えていただけません
か。どういう仕組みになっていて、どこからどういうふうに情報を集めて、誰がどういう
ふうに使っているのかというのを、支払基金の大家である林先生から教えていただきたい。
○林構成員
今読み上げたのですけれども、4月から施行されている法律に関する資料が
あります。
○安念主査
これは事務局に教えてください。お願いします。
○林構成員
はい。
○安念主査
ありがとうございました。
どうぞ、橋田先生。
○橋田構成員
来年7月からマイナポータルの運用が始まるということですけれども、今、
御指摘のあったような情報もやはりマイナポータルに載せて、本人がアクセスできるとい
うふうにぜひ政府全体として連携していただきたいと思います。そうすれば、民間に対す
る模範というか、ロールモデルになり得るのではないか。それをきっかけとして、PDSとか
自己情報コントロールを広めるということは既に考えられている方が多いと思いますので、
ぜひ、政府や自治体が管理するいろいろな情報を本人に対してオープンにしていただける
とありがたいと思います。
○安念主査
そうですね。官の側の話ですが、事実上のPDSだけれども、それをどうやって
利用するかというのは、官に情報だけ集まっている日本においては重要ですね。使い道な
く、と言っては悪いけれども、とにかく集めているわけです。わかりました。ありがとう
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ございます。非常な重要な論点を御指摘いただいたと思います。
ほかにいかがでしょうか。
松岡先生どうぞ。
○松岡構成員
今回の事例のところでは、大体自分の情報を自分が利用するみたいな、自
分の情報を蓄積して、それを再利用して使うような形で、それだと今の時点で大して進歩
していないような気がします。今おっしゃったように、自分の情報から、その先の世の中
にある情報を確保して、それを戻すというか提供してもらうというような形にならないと、
広がりとか大きさとかメリットはあんまりなくて、自分の情報は自分で加工するなら自分
で何とかできるのではないかみたいな話になってしまって、余り大きな情報銀行的なもの
にならないような気がします。だから、今、林先生がおっしゃったような仕組みとかそう
いうものにアクセスが自動的というか、その仲介のところがちゃんとやっていただいて、
あなたにはこういういいものもあるのですよというのが返ってくるような、そういう仕組
みが考えられてほしいなと思っております。
○安念主査
返ってくるというのは、例えばポイントなどの場合にはある意味わかりやす
いです。ためれば何かくれる。ただ単に生の情報がいろいろくっついて出てきても、消費
者にとっては意味がない。返ってくるものがないと消費者の支持は絶対得られないと思う
のですけれども、どういうものが例えば返ってくるというのがわかると消費者の支持が得
られそうでしょうか。
○松岡構成員
それは、そのときに希望する分野をやはり出さないといけないと思うので
すけれども、漠然としていても、返ってくる情報も漠然となると思うので、自分でももう
少し絞らなければならないのでしょう。
○安念主査
それは面倒くさいですね。
○林構成員
1つの例ですが、先ほどの医療の保険のレセプトの審査については、韓国で
は90年代に改革が終わって、ICT化がされ、審査・支払をHIRAというところが行っておりま
す。個人にどう情報を返すかという点でいえば、国民個人のスマホで自分がどこの病院で
どういう診療を受けたかというのもわかりますし、それをデータから分析した病院評価が、
ちょうど携帯の電波の状況が3本で出るみたいな感じで、棒2つとか3つとか、星幾つみ
たいなイメージで病院評価も出る。例えば、この手術だったらどの病院がいいとかいう情
報が出たり、そういった形で皆さんがスマホでその情報を得られるようになっているので
すね。医師会はお好みの話題ではないとは思うのですけれども、我々患者としては、そう
いった使い方も一つのインセンティブではないかと思います。
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○安念主査
医療は、割とリターンというものが議論しやすい分野ですね。ほかの分野は
どうなのでしょうか。
砂原先生、これはいいな、確かに自分の情報を提供しても、提供しがいがあるなとお感
じになったことはありますか。
○砂原(慶應義塾大学大学院)
僕は、ポイントで返ってくるのが一番わかりやすい話だ
と思うのですけれども、他にサービスが有料化するところがあります。こういうサービス
までは無料で来ていて、ここから先はプレミアムサービスで月300円払えとかというのがあ
ります。あれが無料になるというタイプの考え方は僕はあると思っています。
例えば僕がよく使っているのは、電車の経路とかを調べるのがありますけれども、あれ
は高いのを払うと、あなたがそろそろ帰るにあたっては、その時間が迫っているとか言っ
てくるとか、そういうサービスがあるのです。それは実は200円払えとか100円払えとかと
言われるのです。これが、あなたの位置情報をこうやってくれて、こういうふうに使える
にしてくれたならばただにしてやると言われると、一つのビジネスモデルかなとちょっと
思っていて、これは僕は1つはあると思っています。ほかに何個かあると、多分いろいろ
な面でもあるのではないかと思います。
医療に関しても、多分プレミアムサービスというのがあって、普通だと平均的な情報し
か教えてくれないけれども、プラス幾ら払うと、例えばホームドクターみたいにしてずっ
とつき合ってくれるよみたいな話があって、それができてくるといいのだろうなと思って
いて、そういうのが一つのビジネスモデルかなとは思っています。
○安念主査
ありがとうございます。
どうぞ、矢作先生。
○矢作構成員
実は発言するかどうかをすごく迷う内容ですけれども、恐らく情報を多く
集めてくると、多分、一番グローバルで今注目しているのは人材の能力だと思います。人
材獲得だと思います。これは大きなマーケットです。結局、日常生活のいろいろなデータ
が出ると、その人の特性、今もはやテストなどは正直あんまり意味を成していなくてあん
なものは誰がやっても、それなりにやれば癖があって、テストの点数をとるということは
できるので、今インタラクティブなことをいろいろチャレンジがやられています。そうし
たときに、実際に学校の点数がいいからといって仕事ができるというのは、実は相関がほ
とんどないというのはどんどん見えてきているこの時代に、そこが今は見えてきているわ
けです。
一小児科医として、これははっきりと言えることは、幼少期からのいろいろな経過を見
ていると、瞬間的な定点観測ですけれども、この子の才能とか個性はよく見えるのです。
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当然これは開示しないので、何かしらそういうところへ展開はされませんけれども、ただ
し、裏を返せば、そういったデータは日常にあるわけですよ。ルナルナさんに限らず、そ
ういった日常の親の取ってきたデータは、これまで点数だけで評価されなかった部分が物
すごく見えるわけです。これはいろいろな見方があるでしょう。決して、これが別に何か
に偏ったことを言っているわけではなくて、仕事とか教育とかに最適解を与えることがで
きるというところはかなりチャンスはあると思いますし、逆に、そういうディスカッショ
ンはよくよく仲間内ではしています。
これはもはやグローバルで人材獲得が、今、世界中の課題です。日本はどこまでそれを
真剣にグローバルに戦うだけの準備をしているのか私は存じ上げませんけれども、多分負
けています。どんどん引き抜かれていくのでという中で見ていった場合には、ここはいろ
いろな情報銀行的な情報流通ということに関しては恐ろしくもあり、ただ、場合によって
は、これから少子高齢化でどんどん人口減少していく日本にとっては結構重要なパーツで
もあるかもしれない。この意見が今のところまだ全然出てこなかったので、これはかなり
コアなのですけれども、あえて、この場ではせっかくなので。先ほど申し上げたように、
これまでの議論とこれからの議論ということで少し線引きをして。線引きというのは、す
る・しないではなくて、そういったことを考えておかないといけないのではないかと思い
ます。
○安念主査
○矢作構成員
お仲間の小児科の先生方と、例えばどんな話をなさるのですか。
この話は小児科の仲間ともよく話はしますが、一方で、例えば、今、途上
国のいろいろなそういった支援とかをするような、カンボジア、ベトナムとか、彼らのと
ころへ行くと、子供たちの教育への投資がすごいです。これはグローバルにほかの先進国
もそうです。シリコンバレーにこの間行ってきて、彼らとも議論をしていったときに、先
ほどのような技術的な論点だとかという話も見てきているのですけれども、要するに、デ
ータを見に行くという世界にだんだん移り変わっていく中で、個人を見に行くことができ
れば、その人の能力、環境というものが見えてくるので、そうすると、優秀な人間は早く
獲得したいよねというところにビジネスはスタートし始めている。ただ、当然そこは今投
資的な内容で、表にはまだ出てこない。ただ、そういう議論はもう既になされているわけ
です。
そういったことを含めて、ここは、今話した内容がきっかけで、きっと頭でぱっとイメ
ージができている方は、今、絶対何人かいらっしゃるはずで、という意味ではこれはでき
てしまうのです。要するに、そこの部分を日本という国が今後そういったことも念頭に置
いて、これから、人材あるいは貴重な人口を有効に情報を使いながら最適化していくかと
いうことは、これは多分お仕事をされていても、この人は不向きだなと思われる方はいら
っしゃいます。あるいは、その逆もしかりだと思うのです。それは多分みんなハッピーな
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のにです。
そういう意味ではそれが見えてくるということは結構大きなポイントだと思いますし、
そうでもしていかなと、マネージしていくという意味では、先ほどのキーワードでリスク
マネジメントがありましたけれども、リスクをどうとらえるかというのは、これは個々全
然違うわけで、要するに、そのマトリックスを明確にしていかない限りは、加えて、この
ICT、IoTとかAIの世界ではそれができる時代で、要するに、パーツはそろっているわけで
すね。そこは非常におもしろいと思います。情報銀行という名のもとでという意味では、
比較的そこはかなりおもしろいところであるとされていると、済みません、ここの議論で
はないところでは議論はさせていただいているところです。
○安念主査
○橋田構成員
橋田先生どうぞ。その次、原先生。
今の話に関連して、きょうの資料で挙げていただいた事例とかも、生活者・
消費者としての個人にフォーカスしているのですけれども、実は、今おっしゃったように、
生産者・勤労者としての個人というほうがひょっとしたらもっと明確なニーズがあるので
はないかという気がします。すると、雇用者・経営者のニーズも引き出せる。多くの生活
者は合理的な判断をあまりしませんが、より合理的な判断をするであろう勤労者や経営者
に訴えるというほうが早道かもしれませんね。
○安念主査
では、原先生。
○原構成員
東京大学の原です。今の話に関連してですが、最近、精神科医の先生や、メ
ーカー系の人と話をしていてこんなことがありました。昨年から、一定規模以上の事業所
に対して、従業員の精神的な状態を定期的にチェックするというメンタルストレスチェッ
クが義務づけられたと思います。この話はPDSと情報銀行と直接リンクしているわけではあ
りませんが、例えば、このように、立場が弱い、つまりオプトアウトができないような立
場に生産者・労働者が置かれるケースがあると思います。そうすると、仮に、スマートフ
ォンなどを用いたメンタルストレスモニタリングにPDSや情報銀行のような仕組みが設け
られ断れないような立場のままデータが集められた結果、例えばそれをもとにして不当に
解雇されたり追いやられたりするなどそういう状況が起こりかねません。
ですので、オプトイン/オプトアウトを前提にしているところがあるわけですが、実は、
立場によって、それができない状況や、何も言えないような状況が生じ得るというのは、
一つの問題だと思っています。
今のは全般的な話でして、もう一つは、資料1の29ページでまとめていただいた点に対
してです。ポイントの1つ目、個人に対してこれこれこういうことを具体的に示す必要が
ある。これはそのとおりだと思います。個人の理解や信頼を得るためにはこれが必要です。
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本日の議論には、この個人から理解を得るという話と、どうしても利活用を躊躇してしま
う企業をどうエンカレッジしていくかという話と、その2つがあったと思っています。
今日の議論において、こういう世の中のパーソナルデータの利活用やエコシステムの流
れに対して、私自身個人として、日々生活していく中でどう向き合っていけばいいのだろ
うと考えていました。そのように見たときに、今回、資料1中にイメージ図でまとめてい
ただいたように、それぞれのサービスにおいてあなたの情報・私の情報がどう流れるか、
どう使われるかという示しのは非常にわかりやすいものでした。多分、こういう示し方は
個々のサービスにおいて明示的に示されることはなく、このワーキンググループの様に一
段引いた立場であるからこそ、抽象化して今まとめることができたのだと思います。
こうしたイメージ図の使い道として、データオーナーシップ、PDS、情報銀行とその次
の展開を示すために用いるなどがありますが、私の理解としては、消費者やユーザーとの
コミュニケーション、あるいは彼らに利活用の方法を開示していくための、表記方法とし
ての位置づけもあるだろうと思っています。技術的にどう実現するかという意味のモデル
とコミュニケーションのためのモデルの2つは異なります。今回の検討会の議論でも、個
人を起点に置いていますが、どうしても技術的なところに落とし込んでしまいがちですの
で、個々人の理解を得るためにはどういう開示や取り組みが有効なのかも併せて考えられ
ればと思いました。
○安念主査
ありがとうございます。
矢作先生お願いします。
○矢作構成員
先ほど橋田先生がおっしゃっていたように、米国では、もともとバイタル
データとかそういった内容は、日本では逆にヘルスケアとか医療の話が中心ですけれども、
向こうではもはや雇用でやっています。それはまさに今、原先生もおっしゃっていたよう
な部分で、そういう意味ではPDSは絶対に必要で、逆に、そういったことで不利益が労働者
たちに与えられては困るのでというものは存在しないといけない。
特に、医療情報というキーワードで、例えば医療系の話になると、多くのお医者さんた
ちは、命、命と、それを大儀にいろいろ情報を守ろうとするのですけれども、言葉は大変
不適切ですけれども、命云々の情報というか、それでいじれるのだったら、もうとっくに
みんなやっているのであって、そんなに医療は簡単ではないのです、救うことも。という
意味では、それよりは長いのは日常生活であり、労働でありという意味では、今、実は、
あえてこのきっかけを出すか出さないかでずっと悩んでいたのですけれども、安念先生と
のおつき合いの中でも、実はきょう初めてお話ししたのは、かなりセンシティブだなと思
いつつも、ただ、これをせざるを得ないときにそろそろ来たかなと思ってという意味では、
そこはしっかりと見ていかないといけないですし、ここは、逆に、B to
B to Bぐらいで
の規模感でのしっかりとした情報の扱い方ということを考えないといけないほうで、一方
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で、情報は利活用を自由にできるようなことをしていかないといけない。
これを医療情報のスタンスで見ていった場合には、これはいろいろな意見がおありだと
思うのですけれども、患者に近い、要するに、主治医の先生方が説得した場合には、患者
の同意は9割以上とれるのです。その彼らは、自分たちのデータの医学の発展のために使
ってもらいたいと思っているのです。ところが、施設長が個情報を理由に出さないという
ことをやってしまっているのです。これは極論の話なのかもしれません。でも、こういっ
たことはあってはならないので、改めて、データとか情報というものが、繰り返しになり
ますが、当然、同意を得るに当たってはその理解度ということをしっかり見極めないとい
けないのですけれども、単に漠然とした全体のデータとかではなくて、実は、能力とか生
活とかいろいろなものが見えてくるのだということを前提に整理をしていかないといけな
いと思いますし、そこには大きなマーケットがあるのは間違いないというところだけはコ
メントさせていただきます。
○安念主査
現実に目を閉じて、いい制度ができるはずもない。ごもっともと思います。
あと、お一人ぐらいどうですか。
○柴崎構成員
○安念主査
○柴崎構成員
最後に生産者側のあれを出していただいて、本当によかったと思います。
そうですね。
日常的に、病気にならない、死なないというネガティブなイメージで情報
をこう使いますというよりは、普通にみんなが興味あるのはポジティブなイメージで、今
後どうやってもっとキャリアアップしていこうかとか、スポーツであれば、趣味でやって
いるにしても、もっと能力を上げたいとか、そういうのであればこそデータを取る気にな
るけれども、死なないようにするためにデータを取りますと、もうペースメーカーが入っ
ていればすごく真剣かもしれませんが、そうでない限り大多数にとってはそういう使い方
はモデルになり得ないのです。だから、モデルになり得る利用があり、かつ、当たり前で
すが、全員やらなくてもいいわけです。そういう意味で、さっき砂原先生がおっしゃって
おられた、ある程度あっちのほうがよければあっちに乗り換える、こっちがよければこっ
ちで、ここはそういうビジネスマンの戦闘能力強化にめちゃくちゃ役に立つみたいな、そ
れはそういうふうな格好で当然いろいろなのが出てきて、そうすると、モデルユーザーか
らスタートするのは、ある意味すごく健全な形はあり得るかなと思います。
あと、人材育成の話も、僕も別の方向からいろいろな話を聞いていますけれども、本当
に、まさにそういう意味で、何で人を評価し、どう育てていくかというのが物すごく重要
な産業になりつつあるので、そういう視点を忘れないようにしたほうがいいかなと確かに
思いました。
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感想ですが、以上です。
○安念主査
ありがとうございました。非常にホットな議論をしていただきましたが、事
務局には相当論点を整理していただかなければなりませんが、整理しがいのあるお話を伺
ったと私は思っております。
一言言わせていただくと、そういう言葉をお使いになったかどうかはともかくとして、
何らかの競争的な環境というものは必ず要るということが、私はほぼほぼ共通了解であっ
たように思います。ところがこの問題に関しては、少なくともヨーロッパや日本では議論
をニュートラルにしているわけではない。とても巨大なG社さんとかA社さんがいるとい
う前提があって、一方で、僕は産業政策みたいな話はあんまり好きじゃないのですが、ま
ごまごしていると、G社さん、A社さんにおいしいところを全部取られてしまうぞ、そこ
まではっきりは言わなくても、何となくそういう危惧感のもとで議論をしているというの
も、また、事実です。ですから、いろいろなことを暗黙の前提にしながら議論をしなけれ
ばいけない辛さもあるなと思いました。
ただ、いずれにせよ、競争的でないとどうせろくなものにならないということははっき
りしてきたように思います。そのほかにもいろいろな重要な論点をたくさん提示していた
だいて、本当にありがとうございました。
それでは、きょうはこれぐらいにさせていただいて、いろいろ御意見おありだと思いま
すので、どうぞ、事務局にメールでお寄せいただければ幸いでございます。
それでは、次回の日程について、事務局より御説明をお願いいたします。
○山路参事官
ありがとうございました。
次回の第3回は10月28日(金)16時半より開催を予定しております。
本日たくさんの参考になる御意見をいだきまして、本当にありがとうございました。
我々の中でしっかり整理がまだできてない部分を明確に御指摘いただきまして、整理の方
向性をしっかり御指摘いただいたと考えております。次回まで2週間しかありませんけれ
ども、頑張って整理して臨みたいと思います。
本日の御議論を踏まえまして、PDS、情報銀行が事業として成立するためどういうよう
な環境が望ましいのか、枠組みもしくは課題があるのか、そういったところを本日の御指
摘を踏まえてきっちり整理をしたいと思っておりますので、引き続き、よろしくお願いい
たします。どうもありがとうございました。
○安念主査
では、本日はどうもありがとうございました。
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