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考えよう、伝えよう ~新聞を活かしたやさしい実践~
〈 実践報告〉 考えよう 、 伝えよう ~新聞を活かしたやさし い実践~ 越前市武生西小学校 関孝夫校長以下3 0 名 1 はじめに 平成26 年度1 学期の現職教育に新聞記者の方に来ていただいた。はじめのあいさつの中の、「 教育 に新聞を活用すること を、 悪いと思われている方はいないでしょ う 。」 という 言葉が印象に残る。 私 たち教員も、 新聞を用いる教育実践が子どもたちの学力を向上させるのではないかと、 少なからず感 じている。 ただ、「 どのよう に活用すればよいのか分からない。」「 教材として活用するには工夫が必 要で難しい。」 などの思いがあり 、 直ぐにあきらめてきたのではないかと感じる。 本校は、 平成 25 年度からNI E 実践校に指定され、 今年度が 3 年目にあたる。 最初の頃は「 NI E って何をすればいいの?」 と、 新聞を使った学習の準備をどう すればいいのか考え込んでいた。 し かし、 教員に大きな負担がかかる実践など長続きはしない。 いかに簡単に取り組むことができるかが 大きなテーマである。なおかつその実践により 、子どもたちが社会の出来事に興味・ 関心をもったり 、 記事を読んで自分の考えを話し 合ったり できれば、 その実践は価値あるものと し て継続していく 。 低・ 中・ 高学年・ 特別支援の4 つの部会で、「 最高の教材集」 である新聞を使い、 児童の「 考える力」、 「 伝える力」 を育成するために有効な手立てを研究することにした。 2 本校の取組の概要 本校の研究主題「 自ら考え、 豊かに表現する子の育成」 ~言葉の力を高め、 よく 考え、 生き生きと表現する子をめざしてー 重点研究事項 ・ 分かり やすい発表の仕方や話し合いのスキル ・ 伝え合う 力を実践する場の設定 ( ペア学習やグループ学習の活用・ 学年での活動) ・ NI E 教育の推進 ( 学びのステップアッ プ表をもとに実践・ 新聞ワークシート の活用) ・ 語彙を増やす方法( 国語辞典の活用) ・ 図書室や総合の教室にある資料の利用法 ・ 本やインターネッ ト 等の利用法 ※ 重点研究事項の一つとする NI E 研究テーマ 考えよう 、 伝えよう ~新聞を活かしたやさしい実践~ 低学年部会・ 特別支援部会・ ・ ・ ・ ・ 新聞に親しむ。 中学年部会・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 新聞を読み、 出来事を知り 考える。 高学年部会・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 新聞で自分の意見をもち、 発信する。 ※ それぞれの部会で新聞を活用した授業実践と継続的な実践に取り 組む。 3 2 各部会の取組の概要 【 低学年部会の取組】 ( 1 ) 授業での取組 ①1 年 国語科 「 かたかなをみつけよう 」 ○ねらい 詩や新聞「 こどもタイムズ」 から片仮名の言葉を集めて、 片仮名で書く 言葉を見つけることがで きる。 ○主な活動内容 片仮名を機械的に覚えるだけでなく 、 生活の中で使われている言葉に興味を持たせるために、 日 頃から教室や学校・ 家や商店など身の回り のものから片仮名の言葉集めを行い、 教室の中に片仮名 コーナーを作って掲示しておいた。 本時では、 坂田寛夫の「 おとなのマーチ」 のリ ズムのよい詩から片仮名を探し、 詩を読んで見つ ける意欲を引き出してから、「 こどもタイムズ」 を用いて片仮名を探す活動を取り 入れた。 低学年 の研究目標「 新聞に親しむ」 ことのきっかけにして、 新聞への関心をもたせることをねらった。 見つけた片仮名を丸で囲み、 ペアで交換して確認をさせたり 、 発表させたり した。 ○成果 「 こどもタイムズ」 は、 読みがなが書いてあるので、 1 年生の児童でも無理なく 読むことができ る。 また、 難しい内容も写真やアニメ ・ 挿し絵などで分かり やすく 説明されている。 新聞には、 平仮名・ 片仮名・ 漢字・ 英語などが使われており 、 聞いたことがある言葉、 知ってい る言葉の中から片仮名を探す活動は楽しそう だった。 新聞には、 クイズ・ 最近のニュース・ 外国の 出来事・ 動物・ 昔話など子どもたちの関心を引く よう な多様な記事が掲載されている。 新聞を、 ひ とり に1 部ずつ配付したが、時間いっぱいになっても「 もっと探したい。」「 家に持って帰りたい。」 との声もあり 、 楽しそう に活動していた。 ペアで見合う ことで、 さらに多く の発見があり 、「 こど もタイムズ」 を用いたことは、 言葉集めをする手だてとして効果的だった。 ②2 年 国語科 「 きせつのことば 夏がいっぱい」 ○ねらい 新聞の写真から選んだ夏に関わる言葉から、 経験と結び付けて文章に表すことができる。 ○主な活動内容 導入で、 前時で考えた夏の言葉を振り 返ったり 、 教科書を音 読したり して活動の流れやめあてをつかんだ。 教科書の「 ほた る」、「 びわ」 のカード の例をもとに、 気付いたことを隣同士の ペアで考えた後、 全体で話し合った。 文章が「 したこと」、「 様 子」、「 気持ち」 の3 観点の構成になっていること、 さらに、「 気 持ち」 は視覚や味覚を取り 上げていることから、 五感を働かせ た感想になっていることに気づかせた。「 様子」 や「 気持ち」 を 表す言葉の表現について発表させ、 例示した。 また、 書き方の 手順(「 したこと( いつ)、( どこで)、( どう した)」、「 様子( 五 感を働かせたもの)」、「 気持ち」) を確認した後、 まとめたもの を黒板に提示したり、 手順カード を一人ひとりに配付したり し て、 書き方が分からなく なったときにすぐに見られるよう にし た。 夏を感じる写真( 新聞の切り 抜き) を貼ったカード に経験 と結び付けた文章を書いた後、 ペアの友だちと読み合い、 お互 いに感想を発表し合った。 最後に、 I C T 機器を使用して、 完 成した作品を学級全体で共有したり 、 学習の感想を発表したり してまとめとした。 ○成果 ・ 写真がきれいなので、イメ ージがわきやすく 、経験も 思い出しやすかった。 ・ 文の構成をおさえたり 、五感を表す手順カード を活用 したり したことで、様子や気持ちを詳しく 書く ことが できた。 ・ 同じ写真を選んだ児童がいたが、書く 内容が違ってい るため、 感じ方や経験の違いに気づく ことができて、 良い学びとなった。 ・ 春から継続して取り組んで いる「 今週のニュース」 や NI E ワークシート の積 み重ねにより 、写真と経験 とを結び付けることが自 然とできていて、今回の作 文にも生かされていた。 ( 2 ) 継続的な取組 ①1 年 「 気に入った写真を見つけよう 」 ○ねらい 興味のある新聞の写真を選んで、 思ったことや分かった こと・ 選んだ理由などを文章に書く ことができる。 ○主な活動内容 月に2 回、 新聞や「 こどもタイムズ」 から、 興味のある 写真や記事を選んで「 おやこで作るN I E ワークシート 」 に、 感想をまとめたものを、 毎回廊下のプラダンボールに 貼って掲示した。 ○成果 子どもの目線で見える低い場所に掲示板を設置し たこ ともあり 、 ワークシート を貼りかえるたびに、 子どもたち は、 自分や友だちが選んだ写真や記事を興味深く 見ていた。 同じ写真を選んでも、 感じ方や気づい たことが異なることに気づいた児童もいた。 ②2 年 「 今週のニュース」 と新聞記事の写真を使った 「 NI E ワークシート 」 ○ねらい 1 週間の出来事などを知らせるニュースを書く こと ができる。 ○主な活動内容 ・「 今週のニュース」 友だちに知らせるために、 身近な出来事からニュ ース性のある題材を探し、出来事の様子や自分の気持ちを掲示用の用紙に2 週間に1 回の頻度で 書く 。 記入用紙は、 毎回、 教室後ろの掲示板に1 年間貼っていく 。 先生だけが読むのではなく 、 クラスの『 みんな』 が読むのだという 意識を持ち、 読んだ文章をもとに感想を伝えあう ことも大 切にしている。 ・「 おやこで書く NI E ワークシート 」 毎回、 週末に「 NI E ワークシート 」 を課題に出して、 新聞から見つけた季節感のある写真と その記事についてのコメ ント を書いてきた。 低学年なので、 季節感のある写真に絞ることで新聞 に親しみやすいよう にした。 親子で記事を読み、 分かった事実のみをコメ ント するよう にして、 上記の「 今週のニュース」 とは、 記入の観点を変えている。 ○成果 ・ ニュース性のある題材を探し、 自分らしさのある文章が書けるよう になった。 ・「 したこと」「 様子」「 気持ち」 の基本形に従った文章が書けるよう になった。 ・ 季節感のある写真を手がかり に、 新聞が身近になった。 【 中学年部会の取組】 ( 1 ) 授業での取組 ①3 年 国語科 「 きせつの言葉 秋の楽しみ~ベト ナムの友達に日本の秋を伝えよう ~」 ○ねらい 身の回り や新聞記事から秋を感じる言葉を見つけ活用することで、 語彙を増やすことができる。 ○主な活動内容 「 ベト ナムの学校に転校した友達に、日本の秋を伝える絵手紙を送 ろう 」 という 言語活動を設定し、 身の回り や新聞記事の切り 抜きか ら、 伝えたい秋に関わる言葉を集めた。 集めた言葉は、 ワード ハン ティ ングのカード に転記したり 、 意味を調べて併記したり した。 そ して、 集めた言葉を活用し、 絵手紙に添える俳句に表現した。 集め た新聞記事は、 総合的な学習の時間にスクラップ新聞にまとめた。 ○成果 ・ 絵手紙を送る相手に喜んでもらいたいという 気持ちが大きかったの で、 積極的に新聞記事を探す姿が見られた。 ・ 切り 取ってきた新聞記事は、 ほとんど全て印象的な写真がついてい たので、 児童が蛍光ペンでマーキングした季節を感じる言葉とまね したい表現が、 より一層イメ ージしやすく なって、 活用しよう とす る意欲につながり 、 普段使わないよう な言葉を積極的に俳句に使う 児童がたく さんいた。 ・ 学習の成果が、 絵手紙( 俳句) という 作品としてできあがったこと で、 児童は達成感を感じていた。 ・ 学習と並行して、 見つけた言葉を抜き出し「 ワード ハンティ ング」 のカード に転記する活動から、 新しい言葉を楽しく 獲得するツール としての新聞の活用を児童に経験させることができた。 ②4 年 社会科 「 く らしをささえる水」( 1 学期)「 ごみの処理と利用」( 2 学期) ○ねらい 新聞記事を、「 単元をつらぬく 学習課題」 を持たせるための資料として活用する。 単元の導入時に、 県内の環境問題に関わる新聞記事を提示することで、「 水」 や「 ごみ」 の問 題を一般的な問題としてではなく 、自分たちの身近な問題としてとらえ、これからの学習活動に、 切実感を持って取り組めるよう にする。 ○主な活動内容 水の学習では、「 桝谷ダム貯水率がわずか2 0 %」「 福井市狐川が水質汚染の危機」、 また、 ご みの学習では「 給食ごみが年間一人1 7 ㎏」「 ゴミ の排出量が福井県は全国平均を上回る」 とい う 、 福井県に関わる新聞記事を単元の導入時に提示することによって、 環境問題を身近な問題と してとらえ、 課題意識を持ちながら学習に取り 組んでいった。 そして単元の終わり には、 自分た ちにできることは何かについて考え、 出てきた考えを学習発表会で発表し、 未来の環境を守って いく ことを地域の方々に発信した。 ○成果 ・ 県内の記事を取り あげたことで、 環境問題に対する危機感・ 切実感が増し、 これからの未来に関 わることを自分たちの問題として解決していこう とする学習意欲を持たせることができた。 ・ 単元導入で使用した新聞記事は常時教室に掲示しておいたので、 課題意識を持ち続けながら学習 活動に取り組むことができた。 ・ 提示の仕方も、 どの文字や数字に目をつければよいかがわかるよう に、 パワーポイント で記事の 内容を徐々に開いていく 形で提示した。 ・ 授業の導入で「 福井市狐川の水質汚染の危機」 の記事を見せ、 終末には「 1 0 年清掃活動を続け た結果、 狐川にホタ ルが舞う よう になる」 と いう 記事を見せると 、 子どもたちから喜 びの拍手が起こった。 導入と 終末に記事を 効果的に使用すること によって、 授業にス ト ーリ ー性を持たせ、 感動を共有すること ができた。 授業の導入で使用 授業の終末で使用 ③ 4 年 国語科「 新聞を作ろう 」 した記事 した記事 ○ねらい 学習したことや調査したことを表現する一つの手段として、「 新聞作り 」 を取り 上げる。 新聞 の特徴や作り 方の手順を学び、 自分で新聞を作り 上げることで、 表現力の育成を図る。 ○主な活動内容 6 月の施設めぐり で学んできたこと や発見 し たこと を新聞にまとめることにした。 施設 めぐり が終わった後で、 福井新聞社のN I E 推進事務局の先生二人をゲスト ティ ーチャー と し てお招きし、 基本的な新聞の書き方やレ イアウト の工夫などを教えていただき、 新聞 作り に生かすことができるよう にした。 ○成果 ・ 5 W1 H を教えていただいたことで、 新聞を 読む際だけでなく 、 スピーチや作文にも新聞 の基本形を取り 入れて、 大事なことを落とさ ずに話し たり 書いたり するよう になり 、 表現 力の育成につながった。 ・ 写真の意味・ 必要性を学ぶことで、 夏休みの宿題である思い出新聞に、 パンフレッ ト や写真をは り 合わせた読みやすい新聞に仕上げてきた児童もいた。 また、 後の国語教材「 アッ プと ルーズ」 でも、 教えていただいたこと( 読み手を意識した、 効果的な写真の使い方) を思い出しながら学 習を進めることができた。 ・「 見出し」 を工夫させることで、 言いたいことを的確に表す言葉の訓練につながった。 ・「 読みやすさ」 を重視することで、 普段のノ ート の取り 方でも、 読みやすく なるよう に大事な言 葉に色づけしたり 文字の大きさを変えたり するなど、 自分で工夫をする児童も出てきた。 ( 2 ) 継続的な取組 ①3 年 季節を感じる新聞記事の活用 ○ねらい 季節の移り 変わり に伴う 、 自然・ 行事・ 社会の様子・ 習慣などを、新しく 知ったり 、 既知の事象であっても新し い言葉と と もに 客観的に再認識し たり し て、 自分の世界を 広げる。 ○主な活動内容 ・ 季節を感じ る新聞記事を切り 抜き、 季節 を感じる言葉・ すてきな言葉をマーキングし ながら、NI E ワークシート にその言葉とそ の記事から考えたことを書いて、朝のスピー チで発表する。 ・ 切り 抜いた新聞記事を集め、班や2 人組でス クラッ プ新聞にまとめる。 ・ NI E ワークシート やスクラップ新聞を、お 礼状の時候のあいさつ、俳句作り 、カルタ作 り の参考に使う 。 ○成果 ・ 負担が少なく 、取り 組みやすいNI E として 有効だった。 国語科と関連させて活動を進めたので、 NI E ワークシート や切り 抜いた新聞記 事を効果的に活用することができた。 ・ 季節を感じる新聞記事は、 写真が美しいものが多く 、 ほぼ毎日見つけることができるので、 日 常的に新聞を開き、 切り抜きを集める児童も見られた。 その際に、 別の記事について関心を持 ったり 、 親子で話し合ったりなど、 新聞に、 より 親しむことができた児童が出てきた。 ・ 多数在籍する外国籍児童にとって、 日本語の季節に関する言葉や表現を、 写真のイメ ージと共 に理解する一助となった。 ・ まだ3 年生なので、 記事の文章を正しく 読み取れない児童がほとんどだが、 写真を参考にする ことで、 自分の生活と記事を結びつけ、 自分が考えたことを書く ことができた。 ・ 班やペアでのスクラッ プ新聞作りは、 作品ができあがる達成感だけでなく 、 小見出しを考えた り 、 記事の組み合わせを決めたり するために、 内容を読み取る力、 話し合う 力、 情報を取捨選 択する力を向上させることができた。 ②4 年 NI E ワークシート を使用した、「 朝の会でのスピーチ」 ○ねらい 記事を読みとり 、 考えたことを発表することで、 読解力・ 表現力の育成を図る。 ○主な活動内容 朝の会で、 自分が選んだ新聞 記事( テーマは指定) の内容を 一文で紹介し、 「 その記事を選ん だ理由」 と「 記事から考えたこ と( 二文以上)」 を発表していっ た。 ○成果 最初は、 記事の内容をあまり 読みとれず、 聞き手からの質問 に答えられなかったり 写真だけ で感想を書いたり してきた児童 もいた。 そのため、 一度、 全員同じ記事で、 ワークシート に書きこむ方法を教えたところ( 資料1 )、 記事に着目した感想を書く ことができるよう になった。( 資料2 ) ( 資料1 ) 赤心 線に を留 引ま く っ 。 た 箇 所 に 一ど 文う でい 表う す記 。 事 か 、 赤線を引いた箇所について、 感想を 書く 。 ( 資料2 ) 同じ児童の、 指導前( 左下) と指導後( 右下) のワークシート 指導前 指導後 ・ 同じテーマ( 環境) でも、 新聞記事から情報を収集した発表のため、 いろいろな方面( 水・ ごみ・ 生き物との共生等) からテーマについて考えることができた。 ・ 聞き手も、 質問や感想を二文以上で話し手に伝えることができるよう になってきた。 【 高学年部会の取組】 ( 1 ) 授業での取組 ①5 年 音楽科 「 和音の美しさを味わおう 」 ○ねらい 和音の違いを感じ取って演奏したり 、 和音の響きの変化を感じ取って歌ったりできる。 また、 和 音の響きの美しさを生かした旋律を作ることができる。 ○主な活動内容 4 月から総合的な学習 の時間に新聞を使った福 井県の良さを発見する活 動を行ってきた。そこで、 その良さを発信する方法 の1 つとして和音を生か した旋律作りを行った。 グループで歌詞を考え、 和音がⅠ→Ⅳ→Ⅴ→Ⅰの 順に変わる4 分の4 拍子2 小節を作った。 ○成果 旋律作りを行う ことは初めてなので、 戸惑う 児童が多いかと心配されたが、 新聞記事を活用する ことによって、 グループで福井県の良さについて共通理解を図り 、 相談しながら活動を進めること ができた。 自分たちの考えた旋律が、 和音の響きに合っていることが心地よく 感じられ、 どのグル ープも満足のできるものとなった。 ②6 年 社会科 「 3 人の武将と天下統一」 ○ねらい 信長、 秀吉、 家康に関するエピソード や関連した出来事などから、 3 人の武将の魅力に触れ、 歴 史の楽しさを味わう ことができる。 ○主な活動内容 新聞の中から3 人の武将に関する記事を集め、 記されているエピソード や出来事、 後の世の中に 与えた影響、 現代に残されている遺産などを 調べ、 それぞれの人物年表にまとめた。 3 人 がそれぞれどのよう な世の中を目指したのか を考えながら、 天下統一のために行ったこと を学習した。 ○成果 新聞記事の文章は、 小学校で学習するレベ ルより も詳細な内容や難しい用語も多かった ため、 理解するのが大変なものもあったが、 グループで協力して意味調べをしたり、 イン ターネッ ト を利用して時代背景を調べたり し て理解を深めることができた。 教科書や資料集の資料に加え、 武将たちの 業績について知識を広げることができ、 人物についての興味・ 関心が高まった。 ③6 年 英語科 「 Let’s go t o I t aly. 」 ○ねらい 新聞の記事などから世界の国々に関する情報を得て、 自分の行きたい国、 おすすめの国を決定す る根拠とし、 外国への興味・ 関心を育てる。 ○主な活動内容 新聞から興味のある外国に関する記事を切り ぬいて、 スクラッ プ新聞を作る。 それらの記事を 読んで、 外国への理解を深め、 行きたい国やおすすめの国を決定し、 スクラッ プ新聞などを提示 しながら、 英語で理由などとともに発表する。 ○成果 様々な海外の 記事に目を通す こと で、 外国へ の理解が深まっ た。 海外の世界 遺産、 行事、 食 べ物など海外の 国々の魅力にふ れ、 興味をます ことができた。 いいことだけではなく 、 海外にはいろいろな危険もあるという ことを知り 、 より 深く 外国を理解することができた。 ④6 年 学級活動 「 いじるのはいじめか」 ○ねらい 「 いじめ」「 不登校」「 スマホ・ ゲームのト ラブル」 についての新聞記事を題材にして、 望ましい 人間関係について話し合い、よりよい生活づく り のために諸問題を解決しよう とする態度を育てる。 ○主な活動内容 司会グループと話し合いグループに分かれ討論会形式で授業を行った。 初めに司会グループが 「 小学生 半数 いじめ被害」「 先生とのト ラブルで不登校」「 川崎 中1 殺害事件」 の3 つの記事を 提示した。 話し合いグルー プは、それを題材と して「 いじる」と「 い じめ」 の違いについ て、もしト ラブルに 巻きこまれた場合 どのよう にしたら よいかなどを話し 合った。 スク リ ーンに映し た新聞記 ネームプレート で自分の 事を紹介し ながら 議論し て いる児童 立場を明確にしている ○成果 事実が掲載されている新聞を題材にすることで、 自分も無関係ではいられないと感じ、 話し合い も真剣に行う ことができた。 ふだんから新聞を読むことで社会への関心が高まり、 自分の考えも深 まり 、 よりよい生き方につなげていく ことができるよう になると思われる。 ( 2 ) 継続的な取組 ①5 年 親子でつく るNI E ワークシート ○ねらい 自分の興味ある記事から問題を考えたり 、 友達 の考えた問題について話し合ったり する活動を通 して、 思考力・ 表現力を育成する。 ○主な活動内容 ・ 4 月当初に、グループで興味のある新聞記事を 選び、 ワークシート づく り を体験させる。 ・ ワークシート の作り 方が分かったら、 各自家 庭学習で、 新聞記事を使って問題作りに取り 組む。( 親子で週に1 枚) ・ 毎日4 枚のワークシート に家庭学習で答え、 翌朝のNI E タイムで、 班のメ ンバーと発表し合う 。 ○成果 ワークシート づく り に慣れてく ると 、 問題も単調になり が ちである。 そこで、 最後の問題は答えが何通り もある問いを 考えることにした。なかなかこの問題づく り は難しいが、徐々 に深く 考えさせる問題が増えてきた。 例えば、「 あなたは、 こ の図・ 記事を見て中国人はどのよう なサービスを好むと考え られるでし ょ う 。」 とか、「 福丼カッ プの店舗では、 1 杯5 0 0 円前後で提供する工夫があり ます。 あなたなら、 行列がで きるよう にどのよう な工夫をしますか。」 などである。 さらに 9 月からは、「 どう して~」、「 なぜ~」 という 問題作り に取り 組んだ。右のワークシート の最後の問題は、 「 どう して新年 (1 月1 日) におせちを食べるのでしょ う 。」 である。 新しく ワークシート づく り を始めた5 年生1 人ひとり は、 1 月までに約2 5 枚のワークシート を作成し 、 約5 5 0 枚の ワークシート に答えている。 文章を読むこと ・ 書く ことが速 く なり 、 多様な考えを発表できるよう になってきている。 ②6 年 新聞記事を使ったNI E ワークシート ○ねらい 親子でワークシート を作ることで世代の違う 考え方を吸収 するよい機会と考え、 その記事を話題に友達と対話すること で自分の視野を広げ、 グローバルな考え方のできる子どもの 育成の一助とする。 ○主な活動内容 新聞記事を元に親子でワークシート 作り をするマンネリ 化 を防ぐために、 課題を提示したり 、 言葉調べをさ せたり 、 考えを述べさせるよう な問題を作らせたり した。 子どもた ちは、 毎日4 枚のワークシート を家庭学習として解き、 翌 日内容について班で話し合い、 週末には、 また新しいワー クシート 作り をするという 流れで取り組んできた。 ○成果 児童だけに任せていると記事に偏り ができてく るために、 テーマをしぼって課題をあたえるよう にした。国際的な問題や授業で取り 組みたい内容の記事探 しをしている中で、 その記事に対する考え方が深まり ふだんの発言の中にも生かされていた。 【 特別支援部会の取組】 ( 1 ) 授業での取組 ①自立活動 題材名「 合宿新聞を作ろう 」 ○ねらい ・ 合宿の思い出を伝えよう とすることができる。 ・ 自分の気持ちを言語( 音声・ 文字) で表すことができる。 ○主な活動内容 ・ 楽しかった学習をふり 返り、 児童それぞれが、 一番心に 残った場面の写真を3 枚選ぶ。 ・ 写真を模造紙にはり 、 その場面について児童が説明する。 その際、 教師が児童の発言を模造紙 に記入していく 。( 写真入り 特大メ モ) ・ 写真に見出しをつける。 ・ 写真入り特大メ モを手がかり に、 新聞ワークシート に合宿の思い出を書きこんでいく 。 ○成果 ・ 写真入り特大メ モを使う ことで、一人一人の思いを全員で共有することができた。話す児童も、 その写真を見ることで伝えたいことをイメ ージしやすいよう であった。 ・「 話す、 聞く 」 スキルを育てることができた。 ・ 写真→言語化→文字化の過程を丁寧に行う ことで、 書く ことに意欲が持てた。 ・ 写真に見出しをつけ新聞ワークシート に記入することで、 書きたいこと を絞ること ができた。 ( 2 ) 継続的な取組 ①ひまふたニュースづく り ○ねらい 活動の振り 返り を行い、 感じたことを伝えよう とすることができる。 ○主な活動内容 学級での活動写真から、 全校児童に見て ほしい写真を選び、 コメ ント をつける。「 ひ まふたニュース」 と し、 体育館前廊下に掲 示して全校児童に発信した。 ○成果 当初は全員が一枚の写真を選んでいたが、 慣れてく ると2 , 3 枚の写真を選ぶ児童が 出てきた。 それぞれの写真にまつわる自分 の気持ちを文章化し よう とし ていた。 書き たい、 伝えたいという 意欲が高まっていることがう かがえた。 4 課題 【 低学年部会】 ○( 国語) 片仮名探しに「 こどもタイムズ」 を活用したこと がきっかけになって、 その後の「 おやこでつく るNI E ワークシート 」 でも、「 こどもタイムズ」 から、 写真や記事を選ぶ児童が多かった。 ○( 継続) 当初は、 1 年生で、 NI E ワークシート の取組が負担にならないかという 不安もあったが、 保護 者が協力的であり 、 また、 興味を持った写真や記事を親子で一緒に選ぶ楽しさがあったことで、 無 理なく 継続することができたと考える。 今後は、 2 年生に向けて、 国語の学習「 季節の言葉」 や生 活科「 春のく らし」「 夏のく らし」「 秋のく らし」「 冬のく らし」 などで取り 上げられている地域の 行事や自然・ 遊び・ 食べ物などと関連させて取り 組ませたい。 クラスのみんなが読むために「 今週のニュース」 や「 NI E ワークシート 」 を教室後ろに掲示し ているが、 なかなか全員には広がっていない。 教師が読むことで、 みんなに知らせたり、 子どもた ちが読む時間を設定したり することが大切である。 【 中学年部会】 ○( 国語) 2 年生の学習と重なるところが多いので、 2 年生は季節の動植物を題材に簡単な文章に表す、 3 年生は季節の行事や生活を題材に心地よい五七五などのリ ズムの文章に表すなど、 系統性を考慮し て、 新聞記事の選び方を指導していく 必要がある。 ○( 社会) 新聞に書かせる前に、社会ノ ート に取材メ モを整理させてみた。「 伝えたいこと( 見出しになるこ と)」 と「 そのことに関連して伝えなく てはいけないこと」 という よう に整理させてみたが、 その二 つが取材メ モからう まく 選び出せなかったり 、またはその二つの内容に関連性を持たせられなかった り する児童がいた。見学先で集めた情報がたく さんあり すぎて、自分が新聞に書きたいことを選び出 すことの難しさもあり 、 今後こう いう 経験を重ねていく 必要がある。 ○( 継続) NI E ワークシート は、 家の人と一緒に取り 組むことにしているので、 定期的に家庭への啓発活 動が必要である。 同じ内容で年間継続していると、 考えを書く ことにもスピーチを聞く ことにも意欲が低下してく ので、より 細かなテーマや旬の話題に限定したり 、考えを書く のではなく 見出し当てクイズの形式に したり など、 マンネリ 化を防ぐ工夫が必要である。 新聞には難解な言葉が多く 、 4 年生になり 国語辞典を駆使しているものの、 文章の読み取り はま だまだ不十分であり、 どう しても家庭の協力が必要となり 連携が大切である。 【 高学年部会】 ○( 外国語) 世界遺産や食べ物、 観光など、 外国の魅力となる記事は少なく 、 事件などの記事が新聞には多い。 海外を理解するためにはそれらの記事も重要だが、 小学生には複雑すぎた。 海外の魅力につながる情 報収集にはインターネッ ト などの併用も考えていきたい。 ○( 社会) 特定の歴史上の人物に関する記事がなかなか見つからず、過去数年分の新聞から探すことが必要だ った。 また、 内容が小学生には難しいものも多く 、 理解できるよう に自分で調べられる力を育ててい かなければならないと感じた。 ○( 学級活動) 学習の目的にあう 記事を探すのはなかなか難しい。長期間そのことに対する記事を探すことになる ため、 早い段階で計画をたてて取り 組むことが必要である。 ○( 継続) より 深く 考えるためには、 記事の内容を読みとらなく てはいけない。 そのために語彙力は不可欠で あるが、 なかなかその力は十分に引き出すことはできていない。 子どもたちは、 自分でもわかり やす い記事に流れがちであり 、 わからないことを積極的に大人に尋ねたり、 自分で調べたりしよう とする 態度を育てていかなく てはならない。 【 特別支援部会】 ○( 自立活動) 児童の文章化する能力が、 それぞれ違う 。 それぞれの発達段階に応じた支援として、 特大メ モの記 入方法を変えた方が良い( 発言を全てメ モする、 キーワード のみメ モするなど)。 ○( 継続) ニュースとして発信しているので、 読んだ人から感想をもらえると良い。 次はこんなことも書きた いという 意欲づけにもなる。 今年は感想ボックスを設置し、 読んでく れた児童に感想を書いてもらお う としたが、なかなか記入はなかった。まずは、身近な存在である保護者に感想を書いてもらう 方が、 児童たちに分かり やすい意見がもらえ、 う れしく 感じるのではないかと思った。