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障害者雇用促進法における 「差別禁止」と「合理的配慮」

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障害者雇用促進法における 「差別禁止」と「合理的配慮」
障害者雇用促進法における
「差別禁止」と「合理的配慮」②
-「差別禁止アプローチ」と
「雇用率アプローチ」の融合に向けて-
第11回障害と多様な仕事の在り方研究会
2014年7月22日(火)
福島大学 長谷川珠子
前回(4月30日)の報告内容
障害者差別禁止法の背景
・国際的な経緯
・国内の経緯
・障害者差別解消法と障害者雇用促進法の関係

改正障害者雇用促進法の解説
・障害者の定義の見直し
・精神障害者の雇用義務化(法定雇用率の見直し)
・差別禁止・合理的配慮規定の新設

差別禁止規定に関する具体的論点
・障害者の範囲
・障害者差別
・合理的配慮と過重な負担

2
前回の復習:改正障害者雇用促進法の内容

「障害者」の定義の見直し(2013年6月19日施行)
2条1号「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。第6
号において同じ。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」
と総称する。)があるため、長期にわたり、職業生活に相当の
制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者をい
う」

精神障害者の雇用義務化(2018年4月1日施行)
精神障害者保健福祉手帳の所持者の雇用義務化

障害者差別の禁止(2016年4月1日施行)
・障害を理由とする差別の禁止
・合理的配慮の提供義務
・苦情処理・紛争解決援助
3
前回の復習:雇用率制度の対象となる障害者と
差別禁止・合理的配慮の対象となる障害者
A)
B)
C)
D)
E)
身体障害者手帳の所持者(2条2号)
療育手帳の所持者(2条4号)
精神障害者(発達障害を含む)のうちの
精神障害者保健福祉手帳の所持者(2条6
号 障雇則1条の4第1号)
精神障害(発達障害を含む)のうち統合
失調症、躁鬱病またはてんかんなどの罹
患者で精神障害者保健福祉手帳を所持し
ない者(2条6号、障雇則1条の4第2号)
各種の手帳を所持しない、発達障害者や
難治性疾患患者等で、長期にわたる職業
生活上の相当の制限を受ける者
雇
用
率
制
度
差合
別理
禁的
止配
・慮
4
今回の報告内容

差別禁止規定・合理的配慮規定のさらなる検討
•
•
指針研究会報告書の内容の紹介・検討
差別禁止および合理的配慮規定の私法上の効果

今後の障害者雇用
•
「差別禁止アプローチ」と「雇用率アプローチ」の長所と短
所
両アプローチの融合に向けた検討
「労働」政策と「社会保障」政策の連携
•
•
5
指針の作成
障害者に対する差別の禁止に関する指針
法36条1項 「厚生労働大臣は、前2条の規定に定める事項
に関し、事業主が適切に対処するために必要な指針(次項
において「差別の禁止に関する指針」という。)を定める
ものとする。」
 雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な
機会の確保等に関する指針
法36の5第1項「厚生労働大臣は、前3条の規定に基づき事
業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を
図るために必要な指針(次項において「均等な機会の確保
等に関する指針」という。)を定めるものとする。」
→障害者差別や合理的配慮についての詳細は、「指針」に
より定められることになっている。

6
指針の作成
36条1項および36条の5第1項に基づき、「改正障害
者雇用促進法に基づく差別禁止・合理的配慮の提
供の指針の在り方に関する研究会」(座長:山川
隆一教授(東京大学))設置(以下、「指針研究
会」という)
 2014(平成26)年6月6日指針研究会報告書作成。
 ①差別の禁止および②合理的配慮の提供について、
指針に盛り込むべき事項を取りまとめた。
 「指針」とは?

7
差別の禁止に関する指針の在り方について
① 趣旨
② 基本的な考え方
• 対象となる障害者:法2条1号に規定する障害者
(スライド4、A~Eの障害者)
• 対象となる事業主:全ての事業主
• 差別の範囲:直接差別
(間接差別については、今後の検討対象とする)
③
差別の禁止
→次のスライドへ
8
差別の禁止に関する指針の在り方について
③ 差別の禁止:差別禁止事項
 雇用の全局面に及ぶ
 募集および採用、賃金、配置、昇進、降格、教育
訓練、福利厚生、職種の変更、雇用形態の変更、
退職の勧奨、定年、解雇、労働契約の更新
9
差別の禁止に関する指針の在り方について
③ 差別の禁止:募集・採用
 障害者であることを理由に、募集・採用の対象か
ら障害者を排除すること、その条件を障害者に対
してのみ不利な者とすることは差別に該当する
 障害者を正社員とせず、契約社員や嘱託社員にし
かしないという取扱いは差別に該当する可能性。
 一定の能力を有することを条件にすること
 当該企業における業務遂行上、その能力が必要で
ある場合には、差別に該当しない。
 その能力が業務遂行上必要でない場合であって、
障害者を排除するために条件を付していると判断
される場合は、差別に該当する。
10
差別の禁止に関する指針の在り方について
③ 差別の禁止:採用後
 事業主は、採用後のすべての労働条件等について、
労働者が障害者であることを理由として、障害者
でない者と不当な差別的取扱いをしてはならない。
 合理的理由・根拠がない賃金格差、キャリアアッ
ププログラムの不提供等、障害者であることを理
由に、その対象から障害者を排除すること、条件
を障害者に対してのみ不利な者とすることは差別
に該当する。
11
差別の禁止に関する指針の在り方について
③ 差別の禁止:差別に当たらない事項
 障害者を有利に取扱うこと(積極的差別是正措置)
 障害者専用求人を行うことは差別に該当するか?
 特例子会社を設置することはどうか?
 合理的配慮を提供し、労働能力等を適正に評価した結果とし
て異なる取扱いをすること。
 労働能力の評価の仕方によっては、差別に該当する可能性が
ある。
 障害者専用求人の採用選考または採用後において、雇用管理
上必要な範囲で、障害者に障害の状況等を確認すること。
 仕事をする上での能力・適性、合理的配慮の必要性を確認す
るためであれば、障害の状況等を確認することが許される。
 「一般枠採用」の募集・採用時に、障害の有無を確認するこ
とは許されるか?
12
合理的配慮の提供に関する指針の在り方に
ついて
①
②
趣旨
基本的な考え方
対象となる障害者・事業主の範囲等
③
合理的配慮の手続き
合理的配慮を行うまでの手続き・プロセス
④
合理的配慮の内容
障害種別ごとに募集・採用時と採用後に分けて合理的配慮の内
容を明記
⑤
過重な負担
過重な負担の判断要素
⑥
相談体制の整備等
相談体制の整備の具体的方法、プライバシーの保護、不利益取扱い
の禁止の周知等
13
合理的配慮の提供に関する指針の在り方に
ついて
② 基本的な考え方
•
•
•
•
•
対象となる障害者:法2条1号の障害者(スライド4 A~Eの障害
者)
対象となる事業主:全ての事業主
合理的配慮の提供の考え方:障害者と事業主の相互理解のな
かで提供されるべき性質のもの
事業主が必要な注意を払ってもその雇用する労働者が障害者
であることを知りえなかった場合には合理的配慮の提供義務
違反を問われない。
合理的配慮となりうる措置が複数あった場合には、障害者の
意向を十分に尊重したうえで、事業主のより提供しやすい措
置をとることが許される。
14
合理的配慮の提供に関する指針の在り方に
ついて
③ 合理的配慮の手続き:募集・採用時
(1)「障害者」からの合理的配慮の申出
• 障害者からの申出を基本とするが、具体的内容を申出ること
が困難な場合には、支障となっている事情を明らかにすれば
足りる。
(2)合理的配慮に関する話合い
• 障害者の意向の尊重
(3)合理的配慮の確定
•
•
障害者との話合いを踏まえて決定した合理的配慮の内容を障
害者に伝える。
障害者からの問い合わせがあった場合には、なぜその措置を
とることにしたのかを説明する。
15
合理的配慮の提供に関する指針の在り方に
ついて
③
合理的配慮の手続き:採用後(職場)
(1)「事業主」からの確認
• 事業主が、労働者が障害者であることを把握している場合→雇入
れ時までに職場で支障となっている事情の有無を確認。
• 把握していない場合→把握した際に、上記事情の有無を確認する。
(事業主からの確認を待たずに、障害者が申出ることも可)
• 支障となっている事情がある場合、事業主は障害者が希望する措
置の内容を確認する。
(2)合理的配慮に関する話合い
• 障害者の意向の尊重
(3)合理的配慮の確定
• 障害者との話合いを踏まえて決定した合理的配慮の内容を障害者
に伝える。
• 障害者からの問い合わせがあった場合には、なぜその措置をとる
ことにしたのかを説明する。
16
合理的配慮の提供に関する指針の在り方に
ついて
④合理的配慮の内容
 合理的配慮とは
・募集・採用時:障害者と障害者でない者との均等
な機会の確保の支障となっている事情を改善するた
めの必要な措置
・採用後:障害者である労働者について、障害者で
ない労働者との均等な待遇の確保又は障害者である
労働者の有する能力の有効な発揮の支障となってい
る事情を改善するための必要な措置
17
合理的配慮の提供に関する指針の在り方に
ついて
④合理的配慮の内容
 合理的配慮に該当しないもの
・労働者の日常生活のために必要であるもの
→眼鏡、補聴器、車椅子、義肢等
・中途障害者に対し、合理的配慮を提供してもなお
従前の職務の遂行ができない場合にまで、従前の職
務を継続させること
18
合理的配慮の提供に関する指針の在り方に
ついて
④合理的配慮の内容
 指針に示された合理的配慮例の意味
・指針には、多くの事業主が対応できると考えられる措置を合理的配慮の
事例として掲載すべき
・指針記載の事例はあくまで例示に過ぎない。
↓
・指針記載の事例は、すべての事業主が必ずしも実施すべきものではない。
・指針記載の事例以外であっても、合理的配慮に該当するものがある。
↓
・指針記載の合理的配慮を実施しなかったからといって、必ず合理的配慮
の提供義務違反を問われる訳ではない。他方で、指針記載の合理的配慮を
全て実施した場合であっても、義務違反を問われることもある。
・これらがどのように判断されるかは、報告書からは不明。
↓
・裁判等においては、③の手続きを適切に実施していたかどうか、⑥の相
談体制を整備していたかどうか、過重な負担となるかどうかにより判断さ
れるものと考えられる。
19
合理的配慮の提供に関する指針の在り方に
ついて
④合理的配慮の内容
以下の障害ごとに募集・採用時と採用後とに分けて
合理的配慮を明記する案が示されている。
・視覚障害
・聴覚・言語障害
・肢体不自由
・内部障害
・知的障害
・精神障害
・発達障害
・難病に起因する障害
・高次脳機能障害
20
合理的配慮とは 「視覚障害」
21
合理的配慮とは 「聴覚・言語障害」
22
合理的配慮とは 「肢体不自由」
23
合理的配慮とは 「内部障害」
24
合理的配慮とは 「知的障害」
25
合理的配慮とは 「精神障害」
26
合理的配慮とは 「発達障害」
27
合理的配慮とは 「難病に起因する障害」
28
合理的配慮とは 「高次脳機能障害」
29
合理的配慮の提供に関する指針の在り方に
ついて
⑤ 過重な負担
「過重な負担」となる場合、事業主は合理的配慮の提供義務
を免れる。
 過重な負担の判断要素
ア 事業活動への影響の程度
イ 実現困難度
ウ 費用・負担の程度
エ 企業の規模
オ 企業の財務状況
カ 公的支援の有無
→これらの総合的に勘案しながら、過重な負担かどうかを個別
に「事業主」が判断すべき。

30
合理的配慮の提供に関する指針の在り方に
ついて
⑥ 相談体制の整備等
事業主は、合理的配慮に関し、障害者からの相談に応じ適切
に対応するために必要となる体制整備を講じなければならな
い(法36条の4)。
 相談体制の整備として、指針に記載すべき事項
ア 相談体制の整備
・相談対応の窓口(特定の担当、外部機関)の設定・周知
・相談窓口の担当者の育成
イ 相談があった時の適切な対応
・支障となる事情の迅速な確認
・合理的配慮の提供に関する手続きの適正な実効
ウ プライバシー保護のための措置・周知
エ 相談をしたことを理由とする不利益取扱いの禁止
・就業規則等への記載、労働者への周知・啓発

31
「別表」に示された合理的配慮の検討
募集・採用時
・就労支援機関の職員等の同席を認めること
・障害特性に応じた面接・採用試験を行うこと
‐視覚障害:点字・音声
‐聴覚・言語障害:面接を筆談で行う
‐発達障害:文字によるやり取り
‐試験や面接時間の調整
→これらは比較的実施がしやすいと考えられる。
32
「別表」に示された合理的配慮の検討
採用後①
・業務指導や相談に関する相談員の設定(全障害)
・業務遂行の上での合理的配慮
‐視覚障害:拡大文字、音声ソフトの活用
‐聴覚言語障害:業務指示を筆談・メールで行う
‐知的・精神・発達障害等:作業手順のマニュアルの作成等
・物理的な配慮
‐危険個所の確認
‐移動スペースの確保、スロープ、手すりの設置
‐静かな休憩スペースの確保
‐サングラスや耳栓の使用の許可等
↓
・比較的実施がしやすい。
・コストを必要とするものの多くは、既存の助成金制度の利用が可能。
・必ずしも当該障害者の職務遂行能力や賃金額に影響しない。
↓
・合理的配慮を提供したうえで、障害者と障害をもたない者との比較可能
33
「別表」に示された合理的配慮の検討
採用後②
・出退勤時刻・休暇・休憩に関する配慮(全障害)
・業務量等の調整(知的、精神、難病、高次脳)
↓
・上記配慮により短くなった労働時間に対し賃金を支払わ
ないことは許されるのか?
・業務量が少ないことを理由に不利益に取扱うことは許さ
れるのか?
・低い職務遂行基準を設定することが、合理的配慮になる
のか?
↓
・合理的配慮を提供したうえで、障害者と障害をもたない
者との比較が可能といえるのか?
34
「別表」に示された合理的配慮の検討
別表に示された事例以外で、合理的配慮に該当する
と考えられるもの
・朗読者、手話等の通訳者
・職場の施設(就労場所だけでなく、食堂、トイレ、
休憩室、トレーニングルーム等を含む)を障害者に
アクセス可能にすること
・会議、出張、教育訓練等に関する合理的配慮
・障害者の職務遂行を可能とするための機器・設備
の取得
・配置転換
・職務内容の(一部)変更
35
差別禁止規定および合理的配慮の提供義務
の私法上の効果
基本的な考え方
・障害者雇用促進法の差別禁止規定および合理的配慮規定から直接
私法上の効果は生じない。
・私法上は、公序良俗(民法90条)、不法行為(民法709条)、ま
たは信義則(民法1条2項)等を介して、法律行為の無効確認や損害
賠償請求の対象となると解すべき。

差別的な解雇
・障害を理由とした解雇は、労働契約法16条(解雇は、客観的に合
理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、
その権利を濫用したものとして、無効とする。)違反となり無効と
なる。

賃金格差
・障害を理由とする賃金差別は、違法となる可能性がある。
・一般枠採用者と職務遂行能力や職務内容に差があることを前提に、
障害者枠により障害者を採用していた場合は?

36
差別禁止規定および合理的配慮の提供義務
の私法上の効果
従来の事例は、改正法の下でどのように判断されるか?
・日本曹達(退職勧奨)事件・東京地判平成18・4・20労判924号
112頁:障害者枠による採用の場合にのみ一律に6か月間の嘱託
期間を設定→違法な差別には当たらないと判示。
・横浜市学校保健会(歯科衛生士解雇)事件・東京高判平成17・
1・19労判890号58頁:小学校の歯科巡回指導を行う歯科衛生士が、
頸椎症性脊髄症に罹患したため、「介助者付き」の職場復帰を
求めたが、職務遂行できないとして解雇された事案→解雇有効。

改正法施行前に合理的配慮類似の対応を使用者に求めた事例
・JR東海事件・大阪地判平成11・10・4労判771号25頁:傷病休
職期間満了時において従前の職務に復帰できない労働者を退職
扱いした事案。
・阪神バス(勤務配慮)事件・神戸地尼崎支決平成24・4・9労
判1054号38頁:従来から行われていた勤務配慮(排尿障害をも
つバス運転手に対する勤務時間の調整)が打ち切られた事案。

37
「差別禁止アプローチ」と「雇用率アプ
ローチ」の融合に向けて
雇用率アプローチ
(日本)
差別禁止アプローチ
(アメリカ)
就業率
1977年1.09%
→2013年1.76%
ADA制定後、障害者の就業率
は低下
事業主間の公
平性
障害者雇用納付金制度
合理的配慮のコストは原則と
→実効性確保につながる。して事業主負担
→障害者を採用することに躊
躇を生む。

実効性確保、障害者雇用の「量的拡大」の面では、
「雇用率アプローチ」が有利。
38
「差別禁止アプローチ」と「雇用率アプ
ローチ」の融合に向けて
雇用率アプローチ
(日本)
差別禁止アプローチ
(アメリカ)
制度の柔軟性
硬直的。
柔軟。障害の範囲が広い。
障害者の範囲が限定的。 ⇔実効性の確保、予測可能性
平等概念の有
無・差別に対
する救済
障害者は保護の対象。権 障害者は権利の主体。
利の平等な享有主体とは 差別からの救済機関(雇用機
考えられていない。
会均等委員会(EEOC)の設
置)。
賃金・雇用形
態
規制なし。常用雇用は少 障害を理由とする差別は許さ
なく、賃金も低い。
れない。ただし、職務遂行能
力を求められる。

制度の柔軟性、障害者の権利、障害者雇用の
「質」の面では、「差別禁止アプローチ」が有利
39
「差別禁止アプローチ」と「雇用率アプ
ローチ」の融合に向けて
各アプローチの対象者の再検討
①合理的配慮がなくても職務遂行可能な障害者
→差別禁止規定のみ
②過重な負担とならない範囲で合理的配慮が提供さ
れれば、職務遂行可能な障害者
→差別禁止・合理的配慮の提供
③合理的配慮の提供が過重な負担となる障害者や合
理的配慮の提供だけでは職務遂行が困難な障害者
→雇用率制度、特例子会社
④現行制度の下では一般就労が困難な障害者
→福祉的就労等

40
「差別禁止アプローチ」と「雇用率アプ
ローチ」の融合に向けて
①障害者の範囲の見直し
・差別禁止規定および合理的配慮の対象となる障害
者の範囲の拡大(職務遂行能力に支障のない場合で
あっても、差別や偏見のおそれがある場合には障害
者に含めるべき)
・雇用率制度の対象となる障害者は、上記③及び④
に限定すべき。
②差別を規制するための措置
・差別の救済機関の設置‐アメリカのEEOC等。
・障害者雇用促進法の規定に私法上の効果を与える。
・合理的配慮の請求権を障害者に認める。
41
「差別禁止アプローチ」と「雇用率アプ
ローチ」の融合に向けて
③社会保障制度も含めた総合的な障害者施策の在り方の検
討。
・身体障害者:高い就業率+高い就労所得+障害年金
・知的障害:高い就業率+低い就労所得+障害年金
・精神障害:低い就業率+低い就労所得+障害年金
↓
・障害者の2極化
・就労所得の低さを補うべき障害年金等の社会保障政策が
十分に機能していない。
↓
・雇用率アプローチと差別禁止アプローチに、福祉的就労
アプローチや社会保障アプローチも含めた、複合的な制度
の構築が望まれる。
42
ご清聴ありがとうございました。
43
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