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A Determination to Succeed

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A Determination to Succeed
経営者からのメッセージ
Determined …
4つの決意
2005年3月期は、
富士通にとって実りの多い一年であったと考えています。なぜなら富士通はこの一年で、
私たちの強みを最大限に活かせる分野を再確認し、
成長に向けたスタートラインに立つことができたからです。
富士通の成長は、
「多種・多様なお客様ベース」
「アプリケーションに踏み込んだ豊富な経験」
「広範なテクノ
ロジーと、
それらをインテグレーションする能力」
という富士通本来の強みを最大限発揮することによって
果たされると私たちは確信しています。
私たちは、これからお話する4つの決意を胸に、
「強い富士通」
の実現に向けて邁進していきます。
左:
代表取締役会長
右:
代表取締役社長
…To Change Our Business Structure
事業構造を変える
■ 既存事業の体質を強化
2005年3月期は、
富士通の企業体質を大きく方向転換させた年となりました。具体的には、
これまでの社員
個々のスキルに依存する体制から、組織としての行動を重視する体制へ転換を図りました。
まず、
フォーメーションの革新に関する施策として、
お客様に対する窓口の明確化を図るため、
営業部門と
SE部門の組織を一体化し、地域SE会社の再編を実施しました。加えて、ビジネスプロセスの標準化を進める
ことで、
各プロジェクトを組織的に管理できるようにしたほか、
お客様の立場に立ったプロジェクト進行を
適切に明示できるようにしました。
また、市況の変化が激しい電子デバイス部門において、LCD
(液晶ディスプレイ)
、PDP
(プラズマディス
プレイパネル)
といった事業からの撤退を決断しました。今後は、
競争優位性の高いシステムLSIに経営資源
を集中することで、この部門での利益ある成長を必ず実現します。
2
Fujitsu Limited
富士通の経営は、
「再生」を目指すステージから「成長」
を目指すステージへ前進しました。
新たな体制のもと、
成長のための様々な施策を講じます。
■ 新しい事業を創り、
育てる
富士通グループが成長するための新しい領域として、
「ITを活用したフィールド・イノベーションの実現」
にこだわっていきたいと考えています。これまでの当社の事業は、
お客様企業のマネジメント系システムや
基幹システムなどの分野を中心に展開してきましたが、今後は研究開発・製造・営業・物流といったお客様企
業の様々な現場を、ITを使って革新することにより、実際に人やモノが動く現場への適応が大きな拡がりを
もってくると考えています。また個人のお客様の様々な社会生活の現場におけるITの利活用が、
「元気、
安心、
感動、便利」
を実感できる豊かさを提供できると信じています。これらの実現には、当社の持つ多種・多様な
お客様基盤や、アプリケーションに踏み込んだ豊富な経験、広範なテクノロジーと、それらをインテグレー
ションする能力を組み合わせることで可能になると認識しています。
フィールド・イノベーションという新たな分野を切り拓くために、
ビジネス展開に合わせた人材の流動化
の促進や、研究開発の成果をいち早く事業化に結びつけるなど、
研究所を含む富士通グループの全体の力を
結集させ、
安心・安全ビジネス、
ユビキタス関連ビジネスなどの新たな成長領域へ経営資源を集中させていく
考えです。
Annual Report 2005
3
…To Boost Earnings Power
収益力を強化する
■「不採算プロジェクト問題」
の終焉
ここ数年、
ソフトウェア・サービス部門の採算性悪化が続いていましたが、
その主な原因は大口の不採算プ
ロジェクトにありました。私は社長に就任後、
まず新規のプロジェクトについて、
商談開始時点からリスク管
理を徹底させ、
プロジェクトの可視化を進めました。これにより、新規受注プロジェクトに占める不採算プロ
ジェクトの割合が、2003年10月以降はかなり低いレベルとなっています。
また、
SBR(Solution Business Restructuring)を進めました。具体的には、営業とSE部門の一体化により収益管
理を徹底し、新たに設置した
「SIアシュアランス本部」
を通じ、リスクマネジメント体制の強化や契約面の見
直しなどを進めました。これにより、金額ベースで不採算プロジェクトの約75%について損失額を確定させ、
残りの25%に相当するプロジェクトの損益についてもほぼコントロール可能な状態にしました。こうした取
り組みは、プロジェクトの原価率を大幅に改善させたばかりでなく、新規プロジェクトの生産性改善など、
激
化するマーケットの中で勝ち残るための機動的な事業展開をも可能にしました。
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Fujitsu Limited
富士通にとって最大の課題であった
「不採算プロジェクト」の問題はほぼ解決しました。
激化する競争に勝ち抜くための強固な
財務基盤を早期に構築します。
■ 強固な財務基盤を早期に構築
激化する競争に勝ち抜くための強固な財務基盤も確実に構築しつつあります。私は財務体質の健全化に意
欲的に取り組み、2005年3月期において有利子負債の残高を1兆1,000億円以下に抑制するという目標を掲げま
した。
厳しい経営環境の中でも財務体質強化の手綱を緩めずに取り組んだ結果、
当期の有利子負債の残高を
1兆827億円に抑えて目標を達成させました。このほか、繰延税金資産に対する積極的な引当といった様々な
施策の実施によって、
使用総資本回転率やD/Eレシオなどの指標も改善しており、
富士通の財務体質は確実
に強化されつつあります。
また、資産の圧縮を進める一方で、
成長分野への設備投資を積極的に進めています。
2006年3月期において
は、
電子デバイス部門を始めとして、前期に比べて40%以上の増額となる2,600億円の設備投資を計画してい
ます。
Annual Report 2005
5
…To Enhance Manufacturing Competitiveness
ものづくりを強化する
■ 力を取り戻した富士通のものづくり
富士通ではこれまで、
開発・設計・製造・営業などのあらゆる場面においてQuality/Cost/Delivery
(QCD)
向
上に取り組んできましたが、
これらについても大きな進捗が見られました。
品質向上については、
主要製品に占める業界下位品質・異常品質製品の撲滅と、
業界トップ品質製品の拡大
を進めました。この結果、
2004年3月期第1四半期で主要製品の18%を占めていた業界下位品質・異常品質製品
が、2005 年3 月期第4 四半期ではわずか2%(異常品質はゼロ)となったほか、同様の比較で、業界トップ品質
製品が59%から88%に増加しました。
また、
トヨタ・プロダクション・システム
(TPS)
導入によるものづくりの革新にも効果が現れてきました。
2004年下期は、製造に伴うリードタイムを光伝送装置で前年比マイナス40%、無線基地局でマイナス38%とし、
サーバ、ストレージシステム、
パソコンなどでも大幅に圧縮しました。これが品質向上、
コストダウン、
製品
提供時期の遵守に結び付いています。
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Fujitsu Limited
富士通はかつてのものづくりの力を取り戻しました。
私たちの持つ卓越した技術開発力・生産力を
駆使し、必ずビジネスに結実させます。
■ コスト削減が富士通を鍛えぬく
生産のみならず開発・設計、
調達などあらゆるプロセスにおけるQCDの改善、
原価低減を徹底して追求し
ていく考えです。こうした原価低減の努力によって生み出されたキャッシュを、
商品力の強化、
販売増加、
そ
して再投資へとつなげるプラスのスパイラルを作り上げ、
定着させたいと考えています。
富士通の商品力は、
広い範囲にわたるたゆまぬ研究開発の賜物といえますが、
今後は研究開発の成果をさ
らにすばやく事業に結び付けることが重要になると認識しています。そのための施策として、現状の研究
ロードマップと製品への展開、
そして製品ロードマップをしっかりと整合させ、
効率的で迅速な製品開発を
行っていく考えです。
Annual Report 2005
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…To Expand Our Business Globally
グローバル展開を拡大する
■ 戦略的パートナーシップを構築
世界規模で広がるIT需要を支えるために、
当社はグローバル展開に力を注いでいます。
2005年3月期はその
布石として、
様々な分野で数多くの有力企業との戦略的提携を積極的に進めました。
具体的には、
サン・マイ
マイクロソフト社やレッドハット社との次世
クロシステムズ社とのUNIXサーバ分野での共同開発・提供、
代基幹IAサーバ開発についての協業、
シスコシステムズ社とのルータ・スイッチ分野での基本ソフトの共同
開発と共同ブランドでの商品販売などをあげることができます。
私たちのグローバル展開は、
こうした企業
との戦略的提携によってさらに加速することになります。
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Fujitsu Limited
富士通の海外ビジネスにとって、
当期は極めて有意義な年となりました。
私たちはITの利用領域が急速に広がる海外市場での
製品・サービスのシェアを伸ばしていきます。
■ 海外展開を加速
当社の海外ビジネスは確実に成果をあげています。例えばソフトウェア・サービス部門については、
2004年
4月から欧州・豪州の各地域におけるグループ会社の統合などフォーメーションの整備を進めましたが、当期
においては北米子会社の営業利益が黒字転換するなど、
海外拠点の採算性向上が見られました。こうした海
外での好調を牽引しているのは、
サーバ事業やネットワーク事業であり、
特にネットワーク事業においては
北米における光システムや英国におけるADSLなど、トップシェアを握る分野も増えています。
海外ビジネスをさらに拡大していくための基盤を継続して強化し、
グローバル・プロダクトのボリューム
展開の加速、ソリューションビジネスの展開による競争優位を確立します。
Annual Report 2005
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