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欧州における 再生可能エネルギーの普及状況と奨励策の概要

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欧州における 再生可能エネルギーの普及状況と奨励策の概要
欧州における
再生可能エネルギー
再生可能エネルギーの
普及状況と奨励策の
奨励策の概要
エネルギーの普及状況と
平成 21 年 11 月
(株)日本政策金融公庫
国際協力銀行
フランクフルト事務所
はじめに
EU は、新エネルギー・気候変動統合政策(2007 年 3 月)で 2020 年までに①温室効果ガ
ス 20%削減、②エネルギー効率 20%向上、③全エネルギーに占める再生可能の割合 20%引
き上げの 3 つの 20%を目標に掲げ、気候変動対策と共にエネルギー安全保障の強化に取り
組み、また、景気対策と成長戦略の柱として Smart Investment Initiative(賢い投資戦略)
を掲げ、環境関連事業に対し積極的に予算と欧州投資銀行(EIB)融資を配分している。
かかる政策目標の下、再生可能エネルギーを積極的に推進するべく、多くの国で固定価格
買取制度により(一部の国ではグリーン証明割当制度を導入)
、風力発電で通常発電価格の
約 2 倍、
太陽光発電で 5~10 倍の固定価格で発電者より 20 年前後の固定価格買取を保証し、
一般の電力料金に転嫁する仕組みを導入。2008 年 EU の新規設置容量は、風力で日本の約
24 倍、太陽光で約 20 倍と、EU は日本を大きくリードしており、さらに、政策的な支援枠
組みの下、洋上風力や集光型太陽熱(CSP)等の一世代、二世代先の先行技術へも積極的
に研究開発や実用化に取り組んでおり、地球環境問題に対する国際公約の実現に向けて着
実に実施してきている。
JBIC は、ブルガリアにおける風力発電事業に対しプロジェクトファイナンスによる融資を
行っている。本案件は日本企業が自社製タービンを用いて向こう 15 年に亙りブルガリア国
営電力会社に対し優遇価格で売電するものであり、本案件に先立ち JBIC はブルガリア政府
と温暖化ガス削減事業支援の覚書を締結し、ブルガリア政府に対し制度的枠組み整備のた
めの助言や働き掛けを行っている。温室効果ガス CO2 の年間約 8 万トン削減に貢献する日
本・ブルガリアの JI(共同実施)案件であり、両国政府による承認を経て排出権は日本へ
れ
売却さ る予定である。
我が国政府の掲げる 2020 年温室効果ガス 25%削減の目標達成のためには、我が国におい
ても格段の再生可能エネルギー導入が不可避と考えられる。環境ビジネス先進国・欧州に
おいて国際競争の下、風力発電事業の経験を通じて得られる経営ノウハウを日本に還元す
ることで、将来の我が国再生可能エネルギー案件に貢献できるものと期待している。先行
する EU の制度的枠組みを利用した日本企業のビジネス機会の観点で EU 再生可能エネル
ギーの普及状況と奨励策に関心が持たれるところ、以下に概要を簡単に纏めたので多少な
りともご参考となれば幸いである。
平成 21 年 11 月 30 日
日本政策金融公庫 国際協力銀行
フランクフルト首席駐在員
熊谷 芳浩
2
首脳会議で、欧州気候・エネルギーパッケージの一環
として再生可能エネルギーの全エネルギー消費量に占める比率を 8.5%
(2005 年)
から 2020
年に 20%へと引き上げる目標が設定されたことを受けて、再生可能エネルギーに関わる新
EU 指令(2009/28/EC)
(註 1)が 2009 年 6 月に施行された。同指令では、EU27 カ国が、
再生可能エネルギー(RES)の 2020 年までの普及目標の達成を目指した国家再生可能エネル
ギー行動計画(NREAP)を 2010 年 6 月末までに提出することを義務づけている。
現在、各国間の普及格差は、地理的な立地条件というより導入されている奨励策に因る
ところが大きいとされる中、西欧、中・東欧の主要国における当該エネルギーの普及状況
と奨励策の概要を以下に纏めた。
EU では、2007 年 3 月 9 日の EU
(註 1: 2010 年末に失効する 2001 年発効の再生可能エネルギーに関わる EU 指令
〈2001/77/EC)と 2003 年発効の交通部門におけるバイオ燃料混合率を 5.75%と定めた
EU 指令〈2003/30/EC〉を包括した改正法。EU は 2001 年、電力に関わる指令により
EU15 カ国に対し、再生可能エネルギーの全エネルギー消費量に占める比率を 2010 年に
12%、電力消費量に占める比率を 2010 年に 21%〈対 1997 年:14%〉への引き上げ目
標を課した。又、交通部門のバイオ燃料混合比率については、 2003 年の EU 指令
〈2003/30/EC〉 による 2010 年に 5.75%まで引き上げるとの目標から、2009 年の新 EU
指令では 2020 年までに最低 10%まで引き上げるとの目標に改正された。)
状
1. EU の現
1
普及状況
( )再生可能エネルギーの
消費量に占める燃料別の割合は、石油(42%)、
ガス(24%)、原子力(22%)、再生可能エネルギー(8%)、石炭・褐炭(5%)で、
再生可能エネルギーの内訳としては、最大のバイオマス(56%)に水力(28%)
、風
力(8%)
、バイオ燃料(6%)
、太陽(1%)
、地熱(1%)が続いた。欧州風力エネル
ギー協会(EWEA)によれば、風力エネルギーについては、2008 年には EU 全体の
約 3 分の 2(世界では約 34%)を占める独西 2 カ国(註 2)が牽引役となり、EU27
カ国における風力エネルギーによる発電能力が約 65GW と全世界(121GW)の約
54%を記録しており、この中でオフショアによる発電能力は約 1.5GW に留まったも
のの、現在計画されているプロジェクトも含めると 2015 年末までに 36GW への拡
大が見込まれている。これに対し、水力エネルギーの開拓余地は既に限定されてい
ることから、EU 諸国での積極的な開発計画も鑑みると、今後は風力エネルギーの一
層のシェア拡大が予想されている。
EU における 2006 年の全エネルギー
(註 2:EU 資料によれば、EU27 カ国で 64,935MW。このうち、独が 23,903MW、
西が 16,740MW。)
3
【資源別発電量の比較(TWh)】
燃料
バイオマス
水力
風力
地熱
太陽光
総量
電力消費量に対する RES 電力の比率(%)
【資源別発電能力:2007】
1990
2000
2006
17.0
39.6
89.8
101.8
260.3
321.5
286.4
310.0
0.8
22.2
81.9
103.5
3.2
4.8
5.6
5.8
0.0
0.1
2.5
3.8
281.4
388.2
466.3
524.8
12.9
14.7
14.3
15.6
(*2007 年は暫定値、出所:Eurostat)
発電能力(GW)
水力(>10MW)
水力(<10MW)
風力
バイオガス
木材・木屑
太陽光
地熱
2007*
比率(%)
89.6
47.9
12.3
6.6
56.3
30.1
3.7
2.0
14.1
7.5
4.8
2.5
0.7
0.4
(資料:Eurostat、独環境省)
消費量に対する EU 目標達成状況
2009 年 6 月に施行された EU 指令(2009/28/EC)による 2020 年における全エ
ネルギー消費量に対する再生可能エネルギーの比率を 20%まで引き上げるとの
EU 目標に対し、2006 年には全体で 9.2%を達成。その中では、チェコを始めとし
た新規 EU 加盟国による目標達成率が高いとの傾向がみられる。
① 全エネルギー
【全エネルギー消費量に対する達成状況(%)】
EU
チェコ
ルーマニア
ブルガリア
スロバキア
ポーランド
目標値 2005 2006 (A)-(B) 1 次エネルギー
(2020)(A) (基準)
( B)
シェア 2007
13
6.1
6.5
6.5
4.4
24
17.8
17
7.0
9.8
16
9.4
8.9
7.1
6.2
14
6.7
6.8
7.2
5.3
15
7.2
7.5
7.5
5.1
4
スウェーデン
ハンガリー
エストニア
リトアニア
オーストリア
フィンランド
スロベニア
ポルトガル
マルタ
ルクセンブルグ
ドイツ
キプロス
ベルギー
ラトビア
イタリア
EU27
ギリシャ
スペイン
オランダ
フランス
デンマーク
アイルランド
イギリス
49
39.8
41.3
7.7
31.3
13
4.3
5.1
7.9
5.0
25
18.0
16.6
8.4
11.1
23
15.0
14.6
8.4
9.9
34
23.3
25.1
8.9
23.3
38
28.5
28.9
9.1
23.0
25
16.0
15.5
9.5
10.2
31
20.5
21.5
9.5
17.7
10
0.0
0.0
10.0
0.3
11
0.9
1
10.0
3.5
18
5.8
7.8
10.2
7.1
13
2.9
2.7
10.3
1.6
13
2.2
2.6
10.4
2.6
42
32.6
31.4
10.6
29.2
17
5.2
6.3
10.7
7.0
20
8.5
9.2
10.8
7.5
18
6.9
7.1
10.9
6.0
20
8.7
8.7
11.3
6.9
14
2.4
2.7
11.3
2.8
23
10.3
10.5
12.5
6.8
30
17.0
17.2
12.8
16.5
16
3.1
2.9
13.1
3.1
15
1.3
1.5
13.5
2.1
(出所:Eurostat)
消費量に対する EU 目標達成状況
2001 年 10 月施行の EU 指令(2001/77/EU)により、旧 EU 加盟国 15 カ国に
おける電力 消費 量に対する再生可能エネルギーによる発電 比 率を 1997 年の
13.8%から 2010 年に 22%に引き上げるとの目標値を設定。その後、2004 年 5 月
に 10 カ国、2007 年に 2 カ国が新規加盟した結果、EU27 カ国による目標値は 21%
と設定されている。
② 電力
【電力消費量に対する達成状況(%)】
オーストリア
2003
目標値 2010
2007
67.5
5
59.8
78.1
ベルギー
デンマーク
フィンランド
フランス
ドイツ
ギリシャ
アイルランド
イタリア
ルクセンブルグ
ポルトガル
スウェーデン
スペイン
オランダ
イギリス
EU15
キプロス
チェコ
エストニア
ハンガリー
ラトビア
リトアニア
マルタ
ポーランド
スロバキア
スロベニア
EU25
1.0
4.2
6.0
8.9
29.0
29.0
25.3
26.0
31.5
15.2
13.3
21.0
4.3
15.1
12.5
8.6
6.8
20.1
3.8
9.3
13.2
16.0
13.7
25.0
2.0
3.7
5.7
38.3
30.1
39.0
49.1
52.1
60.0
19.7
20.0
29.4
3.5
7.6
9.0
1.9
5.1
10.0
13.8
16.6
22.0
0.0
0.0
6.0
3.5
4.7
8.0
0.1
1.5
5.1
0.8
4.6
3.6
46.7
36.4
49.3
2.6
4.6
7.0
0.0
0.0
5.0
1.7
3.5
7.5
14.5
16.6
31.0
26.9
22.1
33.6
12.8
15.5
21.0
ブルガリア
ルーマニア
7.0
7.5
11.0
30.5
26.9
33.0
EU27
13.0
15.6
21.0
出所:独環境省)
(
③
バイオ燃料比率の目標達成状況
2009 年 6 月施行の EU 指令(2009/28/EC)では、交通部門におけるバイオ燃料
の占める比率を 2020 年に最低 10%(註 3)まで引き上げることを義務付けた。
2010
年までの目標 5.75%を 2007 年時点で達成しているのはドイツ(註 4)のみとなっ
6
ている。
(註 3:2003 年の EU 指令 2003/30/EC では 2010 年までに 5.75%を義務付け。)
(註 4:独環境省のデータによれば、2007 年の 7.35%から 2008 年には 5.9%に減
少。)
【交通バイオ燃料混合比率の達成状況(%)】
2003
2005
2006
2007
EU15
オーストリア
ベルギー
デンマーク
フィンランド
フランス
ドイツ
ギリシャ
アイルランド
イタリア
ルクセンブルグ
ポルトガル
スペイン
スウェーデン
オランダ
イギリス
0.06
0.93
3.54
4.23
0.00
0.00
0.01
1.07
0.00
N.A.
0.15
0.14
0.11
N.A.
0.02
N.A.
0.67
0.97
1.77
3.57
1.21.
3.75
6.32
7.35
0.00
N.A.
0.75
1.21
0.00
0.05
0.09
0.60
0.50
0.51
0.46
0.46
0.00
0.02
0.026
1.46
0.00
0.00
1.02
2.54
0.35
0.44
0.53
1.11
1.32
2.23
3.10
4.00
0.03
0.02
0.29
2.00
0.03
0.18
0.45
0.84
0.00
0.00
N.A.
N.A.
1.09
0.05
0.42
0.50
0.00
0.00
0.12
0.06
0.00
0.07
0.28
0.20
0.22
0.33
0.22
0.14
0.00
0.72
1.72
4.35
0.02
0.52
0.582
1.08
0.49
0.48
0.92
0.68
0.14
N.A.
0.69
2.53
0.00
0.35
0.275
0.83
EU10*
キプロス
チェコ
エストニア
ハンガリー
ラトビア
リトアニア
マルタ
ポーランド
スロバキア
スロベニア
EU2**
7
ブルガリア
ルーマニア
N.A.
N.A.
0.41
4.82
N.A.
N.A.
0.00
0.79
出所:EU 委員会報告書 2009.04)
(*2004 年 5 月に加盟、**2007 年 1 月に加盟)
(
奨励策の導入状況
EU 各国は、再生可能エネルギーに対する優遇措置を始めとする奨励策を導入して再
生可能エネルギーの普及に努めている。主となる制度として、固定価格買取制度(註 5)
とグリーン証明割当制度に 2 大別できるが、EU は、グリーン証明割当制度(註 6)は固
定価格買取制度と比較し、制度自体が不安定で効率性や効果の面で劣るとしてエネル
ギー生産者にとって負担大、リスク高との見解を示している。
(2)
(註 5:同制度の導入で成果を収めた独・西の経験を他国に伝授し、EU では現在 20
カ国、世界で 45 カ国〈2009 年初時点〉が導入済み。)
(註 6:再生可能エネルギー〈グリーン電力〉に対し、グリーン証明書が発行されて、
電力供給者は定められた割当量の証明書提示が義務付けられる制度。割当を達成出来
ない場合、市場での調達が可能。未達の罰金等により、グリーン電力発電を促進する
制度)
【国別奨励策の一覧】
オーストリア
ベルギー
ブルガリア
キプロス
チェコ
デンマーク
エストニア
フィンランド
フランス
ドイツ
ギリシャ
ハンガリー
アイルランド
イタリア*
ラトビア
買取義務
価格優遇 優遇価格 ボーナ コスト 税
(条件付を含む) (補償) 引き下げ ス選択 均等配分 優遇
○
○
×
×
**○
○
グリーン証明割当制度
○
○
○
×
×
× ○
○
○
×
×
○ ○
○
○
×
○
○ ○
○
○
×
○
**○
○
○
×
×
○
○ ○
税優遇/投資保証
○
○
○
○
×
○ ○
○
○
○
×
**○
○
○
○
×
×
○ ○
○
×
×
×
○ ○
○
○
×
×
○ ○
○
○
○
×
○ ○
○
○
×
×
× ○
8
リトアニア
ルクセンブルグ
マルタ
オランダ
ポーランド
ポルトガル
ルーマニア
スウェーデン
スロバキア
スロベニア
スペイン
イギリス
○
×
×
×
○ ○
○
○
×
×
○ ○
税優遇/投資保証
○
×
○
×
○
○ ○
グリーン証明割当制度
○
○
○
×
×
○ ○
グリーン証明割当制度
×
グリーン証明割当制度
○
○
○
×
×
○ ○
○
○
×
○
○ ○
○
○
×
○
○ ○
グリーン証明割当制度(2010 年 4 月から固定買取義務導入を計画) ○
(EU、IEA、独環境省、各国制度を基に作成)
(*固定価格買取制度/グリーン証明割当制度を併用。**電力重点型企業を除く。)
各国の現状と奨励策の概要
【西欧諸国】
(1)ドイツ
<現状と今後の見通し>
独連邦政府は、温暖化ガス(GHG)排出量を 1990 年比で 2020 年までに 40%削減(2007
年末で 21.3%達成)するとの目標を掲げ、その達成手段の一つとして、積極的な再生可能
エネルギー導入政策を推進し、電力で 2020 年に 30%、暖房で同 14%、交通燃料では 2015
年に 8%、2020 年に 12%まで当該エネルギー比率を引き上げるとの政府目標を定めてい
2.
る。
指令により、ドイツにおける全エネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの比
率を 2020 年に 18%との目標に対し、2008 年には約 233TWh(2000 年比で倍増)と 9.5%
を達成し、その内訳は、水力 0.9%、風力 1.6%、バイオマス 6.6%、その他(RES)0.4%
EU
となっている。
又、電力消費量に占める再生可能エネルギー比率を 2010 年に 12.5%へと引き上げる目
標に対し、2008 年には約 92.8TWh と 15.1%を達成し、その内訳は風力(43.5%)
、水力
(23.0%)
、バイオ燃料(22.1%)
、太陽光(4.3%)
、その他の再生可能エネルギーとなっ
ている。
ツ
源別の内訳(2008 年)は、バイオ燃料が暖房
(41.6%)
、電力(11.6%)
、交通(15.7%)と全体の約 70%を占め最大で、風力(17.3%)
、
水力(9.1%)、太陽光(1.7%)、地熱(1.1%)、太陽熱(1.8%)と分類される中、暖房
ではバイオマス(木材が大半)が約 94%を占めている。
ドイ における再生可能エネルギーの資
9
ツ
バ オ燃料による発電部門では主導的
な立場にあり、風力発電能力は 2008 年末で EU 全体の約 37%を占めたが、国内におけ
る新規発電能力の伸びでは、太陽光エネルギーが前年比で 1,500MW 増と全体(3,485MW
増)の 43%を占め、拡大傾向が顕著となった。
独政府は、固定価格買取制度を始め、暖房支援、バイオ燃料の税優遇といった積極的
な支援を導入して再生可能エネルギーの促進を図っており、2008 年には同部門における
投資額は 13.1Bio.ユーロに達している。
ドイ は、EU における風力、太陽光、太陽熱、 イ
【独政府の目標(%)】
2020(2050)
2008
消費量
エネルギー
電力
房
バイオ燃料(交通)
熱電併用(電力)
暖
9.5
18(50)
15.1
30
7.4
14
5.9
12
12
25
(資料:独環境省)
【再生可能エネルギー資源別の利用状況】
バイオマス
(TWh)
風力
地熱
2007
水力
151.1
【設備能力】
20.9
39.5
小計
2.14
2008(MWth)
2008(MWp)
7,922
5,351
太陽熱
213.6
(出所:Eurostat)
【発電能力(MW)】
風力
水力
バイオマス
太陽光
地熱
総計
1990
2004
2005
2006
太陽光
2007
2008
56
16,629
18,428
20,622
22,247
23,895
4,403
4,660
4,680
4,700
4,720
4,740
190
1,150
2,192
2,740
3,140
3,453
2
1,018
1,881
2,711
3,811
5,311
0
0.2
0.2
0.2
3.2
6.6
4,889
28,145
32,133
36,705
40,514
45,325
(出所:独環境省)
【発電に占める再生可能エネルギーの比率(GWh)】
風力
水力
1990
2006
2007
2008
40
30,710
39,713
40,400
17,000
20,042
21,249
21,300
10
太陽光
バイオマス
塵バイオ
地熱
総発電量
比率(%)
1
2,220
3,075
4,000
222
15,593
19,438
22,518
1,200
3,675
4,130
4,543
1
2,220
3,075
4,000
18,463
72,240
87,604
92,779
3.4
11.7
14.2
15.1
(出所:独環境省)
【電力消費量に占める再生可能エネルギーの比率(%)】
1997
2000
4.3
2002
6.5
2004
8.1
2005
9.5
2006
10.5
12.0
15.1
1999
2000
2001
0.2
0.2
0.4
0.6
2002
0.9
2003
1.4
2004
1.8
2005
3.8
目標
12.5
(出所:Eurostat)
【交通バイオ燃料の混合比率(%)】
1998
2010
2007
2006
6.3
2007
7.2
2008
5.9
(P.5 の EU 各国比較表とは異なる数字。出所:独環境省)
今後の見通しとしては、
風力:現在、国内発電量の約 6.4%を占める風力発電は、補償額の引き上げにより、
特にオフショアを中心に一段の増加が見込まれている。潜在能力はオンショ
ア 45,000MW、オフショア 35,000MW。2007 年時点の発電能力は 19,460 基
で 22,247MW。
水力:今後数年間は、既存の大型施設の近代化による緩やかな伸びに留まる。潜在
能力は 5,200MW。
: 界 ッ 水準の技術と市場の拡大により利益率が向上した結果、
2009 年 1 月改正の再生可能エネルギー法で PV 発電に対する補償額が年
8-10%削減されたが、2009 年 10 月 28 日に発足した Merkel 首相率いる新政
権は、過剰な助成の回避と消費者負担の軽減を理由に掲げ、2010 年 1 月 1 日
からの一段の補償額削減計画を発表している(註 7)。一方、エネルギー資源
の価格の上昇を受け、太陽熱エネルギーへの需要の拡大傾向が強まっており、
市場ではこの傾向は今後も続くと予想されている。潜在能力(太陽光)は
太陽光(PV)/熱 世 でト プ
106,000MW。
(註 7:2009 年 1 月の法改正で補償額を削減しているが、31.94~43.01 ㌣€
/kWh と風力(オンショア)の 9.2 ㌣€/kWh と比較すると、依然として非常
に高い。2008 年の補償総額は 8.95Bio.ユーロ。)
バイオマス:安定エネルギー供給源として、今後も拡大が期待されており、風力に
次ぐ重要エネルギーと位置付けられており、潜在能力は 10,000MW。2007 年
には全エネルギー消費量の約 14%を占めた。
11
地熱
:独南部を中心とした施設増設計画で増加が見込まれているが、電力市場での
重要性は低いとされる。潜在能力は 25,000MW。
(数値は独環境省による見通し)
独政府は、従来の原発廃止政策の方向転換を図り、原発稼動期間の延長に伴う発電企
業の利益の一部を徴収し、再生可能エネルギー促進策に充当することを計画している。
独再生可能エネルギー連盟(BEE)は 2009 年 10 月 15 日に発表した報告で、新政権が
的確な政策を導入すれば、2020 年における再生可能エネルギーの占める比率は、全エネ
ルギー消費量で 9.8%(2007 年)から 28%、又、部門別では、暖房で 9.2%(2007 年)
から 25.1%、交通燃料で 6.3%(同)から 18.5%、発電で 14%(同)から 47%まで拡
大することが可能と予想している。
【総消費量に占める再生可能エネルギーの比率:2020 年の見通し】
2007
発電
暖房
交通
計
比率(%)
(TWh)
2020
(TWh)
比率(%)
88
14
278
47
127.5
9.2
288.5
25.1
48.6
6.3
127.1
18.5
237
9.8
611
28
(出所:BEE)
<奨励策>
法令・施行令
-再生可能エネルギー法(EEG2009)(2000 年 4 月 1 日施行、2004 年 8 月 1 日、2009
年 1 月 1 日改正):
今までの施行令等を含む包括法令。2020 年の電力に占める再生可能エネルギーの
比率を 30%まで引き上げるとの目標を制定。風力、水力、太陽、バイオ、地熱に
よる電力施設対象(バイオ、地熱は暖房含)
。再生可能エネルギー奨励・支援法で
送電網への優先接続、優遇価格による買取義務化。価格保証は 20 年間(一部水力
。2009 年 1 月の改正で、補償価格は風力(オフ・オンショア)
、水力
は 15 年間)
が増額されたのに対し、太陽光は削減。新タービン交換への支援(註 8)、送電網
の拡充奨励等を網羅。
註 8:最低 10 年使用の旧施設の再動力供給が目的。旧タービンの 2-5 倍の新ター
ビンに対し奨励金 0.5 ㌣€/kWh、風力タービンコスト上昇に対応したもの)
-再生可能エネルギー暖房法(2009 年 1 月 1 日施行):
(
バイオマス、地熱、CHP(コジェネ)、太陽熱の暖房対象(既存の建物)。2020 年
における暖房に占める比率を 14%まで引き上げるとの目標を掲げた建物暖房効率
化の制定法。一定率での再生可能エネルギー利用を義務化した暖房導入を支援。
12
ユ
:
ユ
:
ユ
2009-2012 年は 500Mio. ーロ(2005 130Mio. ーロ、2008 350Mio. ーロ)
。
-気候変動・エネルギープログラム(2007 年 8 月施行、2008 年 6 月改正):
全エネルギー源対象。発電、暖房、CHP。エネルギー効率化と現行法の強化プロ
グラム。
戦略行動計画の第 1 弾として、
建物中心に 2020 年までに 1990 年比で 40%
の GHG 削減目標を設定。2008 年 6 月発表された第 2 弾では、CHP 発電を 25%
へと倍増し、再生可能エネルギー電力の比率を、オフショア風力支援の強化によ
り 20%に拡大することを計画。オフショア風力電力の地下送電網(850km)建設
計画も含む。2008 年の資金として 3.3Bio.ユーロ充当。
-バイオ燃料割当法(2006 年施行):
バイオディーゼル/エタノールに関わる税制と支援策を制定。2010 年までに 6.75%、
2015 年までに 8%との混合比率目標を設定。
制度
-固定価格買取制度(1991 年導入、数度の改正後、2009 年 1 月 1 日施行の新 EEG で改
定):
EEG2009 で改定。エネルギー源別に補償価格を定め、送・配電企業に電力買取を
義務化。送電網への接続の優先、優先買い取り、エネルギー源別で定められた期
間の買取保証。
適
2009 年 EEG による 用価格は、
オ ショア)(20 年間):基本価格 5.02 ㌣€/kWh
9.2 ㌣€/kWh(5 年間)
、2002-2008 年稼働開始で 2010 年末までの近代化
風力( ン
施設
は 12.02
㌣€/kWh(5 年間)。2009 年 1 月-2014 年 1 月稼動開始の新技術
施設
㌣€/kWh(5 年間)。
6 年目は 5.02 ㌣€/kWh 適用。毎年 1%引き下げ。
風力(オフショア)
(20 年間)
:基本価格 3.5 ㌣€/kWh
13 ㌣€/kWh(12 年間)
、2015 年以前稼動は+2 ㌣€/kWh で 15 ㌣€/kWh、
は 14.2
2015
以降は 13 ㌣€/kWh。毎年 5%引き下げ。
水力(上限 5MW で 20 年間。5MW 以上の大型は 15 年):
稼動能力(<5MW)の施設に対しては、
<500kW 12.67 ㌣€/kWh 、11.67 ㌣€/kWh(近代化施設)
500kW<2MW 8.65 ㌣€/kWh(全て)
。
2MW<5MW 7.65 ㌣€/kWh、8.65 ㌣€/kWh(近代化)
。
稼動能力(5MW<)の施設に対しては、
7.29 ㌣€/kWh(<500kW)
、6.32 ㌣€/kWh(<10MW)
、5.80 ㌣€/kW
年
13
(<20MW)
、4.34
㌣€/kWh(<50MW)、3.50 ㌣€/kWh(50MW<)と
段階を追って引き下げ。
バイオマス(20 年間):
小型施設(<150kW)は 11.67 ㌣€/kWh。規模に応じて引き下げ、5-20MW
は 7.79 ㌣€/kWh。年 1%削減(150kW 以下の小型は 1.5%)
。
太陽光(20 年間)
:
基本価格は 31.94 ㌣€/kWh。屋根、防音壁等への設置には規模に応じて
33.00-43.01 ㌣€/kWh を適用。出力、場所等の条件次第で 2010 年以降
8-10%引き下げ。
地熱(20 年間)
:
<10MW:16.0 ㌣€/kWh
10MW<:10.5 ㌣€/kWh。CHP 等の条件次第で奨励金追加。
財政支援
-水力発電近代化支援:
5MW 以上の施設対象。
-環境保護投資(2008 年導入):
テクノロジー、バイオマス研究開発プログラム対象。CO 排出量削減投資支援。
ファンド枠は 400Mio.ユーロ。EU 排出量取引における入札用 CO 排出量売却資
金を充当。約 4 分の 3 は国内プロジェクト対象。
-KfW 再生可能エネルギープログラム:
ERP 環境・省エネプログラム(企業対象)
、KfW 環境プログラム(企業)
、KfW 太
陽光電力プログラム(個人)
、再生可能エネルギープログラム等、複数の支援プロ
グラムを提供。長期の低金利融資を提供。2008 年における実績は、ERP が 10,857
件、1,703Mio.ユーロ、環境が 10,500 件、1,651Mio.ユーロ、太陽光が 448 件、
47.9Mio.ユーロ、再生可能が 448 件、47.9Mio.ユーロ。
・ERP プログラム(ERP:欧州復興計画)
:
中小企業に対しては 50%、その他企業は 35%の融資。上限は旧東独で1Mio.
ユーロ(5 年据え置きで 15 年間)、旧西独で 500,000 ユーロ(2 年据え置きで
2
2
10 年間)
。
ラム:
投資額の 75%融資。1 施設につき、上限 10Mio.ユーロ。最大 20 年間。
-バイオ燃料減税・免税(2006 年導入):
バイオディーゼルに対する税優遇措置(一部減税:B100)。税額は、2007 年の 9
㌣€/l、2008 年の 10 ㌣€/l から 2012 年には 45 ㌣€/l に引き上げ。バイオ燃料(E85:
バイオエタノール 85%、ガソリン 15%の混合燃料)は 2015 年まで免税。
・環境プログ
14
-税還付制度:
商
税還付が可能。計画段階からのコストが
営業コストとして還付の対象。商業システムは付加価値税(19%)が免税。
太陽光発電への 業投資では、20 年間の
ラ
<現状と今後の見通し>
EU 指令により、フランスにおける全エネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの
比率を 2020 年までに 23%に引き上げるとの目標に対し、2006 年に 10.5%を達成。発電
比率では、原発(約 70%)に次いで約 15%の水力は、再生可能エネルギーでは約 86%
(2)フ ンス
を占めている。
仏政府による再生可能エネルギーの促進政策では、既に成功を収めているバイオマス
に加え、潜在能力では EU2 位の近年に著しい成長をみせる風力エネルギーや同様に期待
される太陽光/熱エネルギーの普及を目指している。交通バイオ燃料の占める比率につい
ては、2010 年の 5.75%との EU 目標に対し、2010 年までに 7%、2015 年までに 10%と
の目標を掲げているが、2010 年の EU 目標達成は今後の努力次第とされている。一方、
電力については、2007 年以降、再生可能エネルギーの発電能力の拡大傾向が顕著となっ
ているものの、
電力消費量の一段の伸びで、1997 年の水準を下回った状況が続いており、
2010 年の 21%との目標達成は困難と予想されている。
【再生可能エネルギー資源別の利用状況】
バイオマス
水力
135.0
【設備能力】
(TWh)
風力
地熱
2007
58.7
4.05
小計
1.51
2008(MWth)
2008(MWp)
1,191
91.15
太陽熱
199.3
(出所:Eurostat)
【電力消費量に占める再生可能エネルギーの比率(%)】
1997
2000
15.2
2002
15.1
13.7
2004
2005
12.9
11.3
2006
2007
12.5
2004
0.67
2005
0.67
目標
21.0
(出所:Eurostat)
2006
0.97
2010
13.3
【交通バイオ燃料の混合比率(%)】
2003
太陽光
2007
1.77
3.57
(出所:EU 委員会報告)
<奨励策>
法令・施行令
-エネルギー法(2005 年施行):
国内エネルギー政策全般を規定。2010 年の目標としては、再生可能エネルギーの
15
消費量に占める比率を 10%、熱エネルギーに占める比率を 50%増、又
バイオ燃料の占める比率を 2010 年に 7%、2015 年に 10%へと引き上げるとの目
標を掲げ、目標達成に向けた各制度を制定。
-環境法(Le Grenelle de l’Environnement)(2008 年施行):
環境基本法。1Bio.ユーロのクリーンエネルギー投資、2020 年までのエネルギー
消費量の 20%削減と再生可能エネルギー比率の 20%への引き上げ推進策を網羅。
複数の優遇策導入で特に PV 促進。
-固定価格買取施行令(2001 年施行、2002、2006、2007 年 3 月改正):
再生可能エネルギー電力の固定価格による買取の義務化。
-財政法 2009(2009 施行):
財政支援を定めた法。交通バイオ燃料、再生可能エネルギーによる暖房対象。
段階を追った税控除(交通燃料)。5.5%の付加価値税優遇(住宅)、バイオマス暖
房には設備費用の最大 40%の助成(12MW 以下)、エネルギー効率化に対するゼ
ロ金利融資等を制定。
-水力復活計画(2009 年導入):
水力発電拡大を目指した既存の 400 大型水力発電施設の近代化による効率化計画。
新規施設は対象外。2008 年 7 月に計画発表後、2009 年に企業募集を開始し、2012
年までの近代化完了を目指す。又、30%以上の発電能力向上を目指した新タービ
ン(風力含)導入や安定供給を目指したポンプ開発(公共投資)等も対象。仏経
済開発省は 2009 年 3 月、同計画の一環として EDF(フランス電力)による水力
発電施設の近代化を含む 2Bio.ユーロの投資計画を発表。
-バイオ燃料混合施行令(2005 年 7 月 13 日施行):
交通におけるバイオ燃料の占める比率を規定。
2008 年:5.75%、2009 年:6.25%、2010 年:7%、2015 年:10%
エネルギー
制度
-固定価格買取制度(2001 年導入):
太陽光、水力、バイオマス、バイオガス、地熱、風力(指定地域のみ)
、CHP の電
力対象。15-20 年間、市場価格以上での買取を保証。投資コスト、普及状況、GHG
排出量により価格改定。
2009 年の適用価格は、
水力(20 年間保証):
新規:6.07 ㌣€/kWh +奨励金(小型施設に 0.5-2.5 ㌣€/kWh、冬季:生産
量に準じて 0-1.68 ㌣€/kWh)
(2007 年改定)
既存:5.49-6.1 ㌣€/kWh(規模)+奨励金(冬季:生産量に準じて 0-1.52
㌣€/kWh)(2001 年)
バイオガス(15 年間保証):
16
:
㌣€/kWh(規模)+奨励金(エネルギー効率化:0-3 ㌣€/kWh)
海外県は 8.6-10.3 ㌣€/kWh(2006 年導改定)
既存:4.5-5.72 ㌣€/kWh(規模)+奨励金(エネルギー効率化:0-3 ㌣€/kWh)
新規 7.5-9.0
(2001 年)
バイオマス(植物)(15 年間保証):
国内:4.9 ㌣€/kWh
国外:5.5 ㌣€/kWh
+奨励金(エネルギー効率化:0-1.2 ㌣€/kWh)
風力(オンショア、15 年間保証)
:
新規:10 年間は 8.2 ㌣€/kWh、その後 5 年間は立地条件次第で 2.8-8.2
㌣€/kWh に引き下げ。3,600 時間以上稼働施設は 2.8 ㌣€/kWh、
2,400 時間以下の稼働施設は 8.2 ㌣€/kWh。年 2%ずつ価格削減。
海外県は 11.0 ㌣€/kWh(生産性)(2008 年改定)
既存:5 年間は 8.38 ㌣€/kWh、その後 10 年間は地域(風量)により
3.05-8.38 ㌣€/kWh。
(2001 年)
風力(オフショア、20 年間保証)
:
新規:10 年間は 13 ㌣€/kWh、その後 10 年間は立地条件次第で 3-13 ㌣
€/kWh に引き下げ。年 3%ずつ価格削減。(2008 年改定)
太陽光(20 年間保証)
:
新規:国内は 30 ㌣€/kWh+グリッド接続奨励金 25 ㌣€/kWh。海外県、
コルシカは 40 ㌣€/kWh+グリッド接続奨励金 15 ㌣€/kWh。(2006
年改定)
既存:国内は 15.25 ㌣€/kWh 。海外県、コルシカは 30.5 ㌣€/kWh。(2002
年改定)
地熱(15 年間保証)
:
新規:国内は 12 ㌣€/kWh+エネルギー効率化奨励金 0-3 ㌣€/kWh。海外
県、コルシカは 10 ㌣€/kWh+エネルギー効率化奨励金 0-3 ㌣€/kWh。
(2006 年改定)
既存:7.62 ㌣€/kWh+エネルギー効率化奨励金 0-3 ㌣€/kWh。(2002 年改
定)
-入札制度(2003 年導入):
風力、バイオマス、バイオガスの大型プロジェクト対象。発電企業は落札価格で
売電契約締結が可能。実績としては、バイオマスを中心にバイオガス、風力(オ
フショア)等有り。
17
財政支援
-税優遇制度(2005 年導入、2006 年改定):
再生可能エネルギー利用の投資コストに対し、最大 50%の税控除(2006 年以降)
。
2012 年まで有効(当初の 2009 年から延長)
。一般家庭のバイオマス、太陽光が対
象。住宅機器(ボイラー購入等)は付加価値税の 5.5%減税。
更に、交通バイオ燃料については、入札方式により付加価値税の減/免税対象とな
る燃料生産施設を選択。減税幅は年毎に調整。バイオ燃料混合義務を怠った場合、
汚染税を追加徴収。
-暖房ファンド(Le Grenelle de l’Environnement により規定)(2009 年 1 月導入):
木材、地熱、太陽エネルギーによる暖房対象。2009-2011 年で1Bio.ユーロ充当。
3
<現状と今後の見通し>
EU 指令により、イギリスにおける全エネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの
比率を 2020 年に 15%に引き上げるとの目標に対し、2006 年時点での達成状況は 1.5%。
当該エネルギー推進が遅れた理由としては、国内のエネルギー資源が豊富であることや
原発への回帰が挙げられていたが、将来のストック減少に備え、近年には再生可能エネ
ルギー促進に向けた動きが活発化している。英政府は同国の電力消費量に占める再生可
能エネルギーの比率について、2015 年までに 15.4%に引き上げた後、同水準を 2027 年
まで維持することを目標に掲げているが、2007 年には同比率が 5.1%に達したのみと
2010 年の目標 10%の約半分に留まっており、国内の電力消費量の伸びは 1%台と抑制さ
れているものの、2010 年の目標達成には風力(オフショア含:註 9)の普及を中心に 60%
以上の増産努力が必要とされている。再生可能エネルギー電力の普及上の問題点として
は、2008 年 2 月時点で 11GW が承認待ちと、送電網接続の承認に大幅な遅れが出ている
ことが指摘されている。
一方、2010 年 4 月に導入が予定されている固定価格買取制度による今後の再生可能エ
ネルギー拡大が期待されている上、積極的な開発投資の推進対象となっている潮力、波
力よる電力供給比率が将来は 5%に達すると見込まれている。
( )イギリス
(註 9:新規発電能力は 2007 年に 425MW、2008 年に 837MW 増加した結果、2008 年の
総発電能力は 3,241MW と EU5 位。)
【再生可能エネルギー資源別の利用状況】
バイオマス
21.3
水力
(TWh)
風力
地熱
2007
5.1
5.27
0.01
18
【設備能力】
小計
31.7
2008(MWth)
2008(MWp)
271
21.59
太陽熱
太陽光
(出所:Eurostat)
【電力消費量に占める再生可能エネルギーの比率(%)】
1997
2000
1.9
2002
2.7
2.9
2004
2005
3.7
4.3
2006
2007
4.6
5.1
2004
0.03
2005
0.04
2006
0.18
目標
10.0
(出所:Eurostat)
【交通バイオ燃料の混合比率(%)】
2003
2010
2007
0.45
0.84
(出所:EU 委員会報告)
<奨励策>
法令・施行令
-再生可能エネルギー義務施行令(2002 年 4 月施行、2009 年 3 月改正):
再生可能エネルギー電力推進を目指した包括指令(但し、20MW 以上の水力発電
を除く)
。モニタリング、グリーン証明割当制度、グリーン証明取引制度等を制定。
送・配電企業に対し、購入証明の提示、又は相応の代替金支払い(2009/10 年は
37.19GBP/MWh:毎年インフレ等で調整)
、或いは両方の組み合わせによる目標達
成を義務化。
-エネルギー法 2008(2004 年 7 月施行、2008 年 1 月改正):
1989 年施行のエネルギー法の改正法。再生可能エネルギー推進を制定。再生可能
エネルギー全般対象。5MW 以下の再生可能エネルギーに対する固定価格制度導入
を認可(2010 年 4 月導入の見通し)
。大型の風力(オフショア)
、潮力、波力電力
施設を対象として、再生可能エネルギーの安全海域、洋上電力送電ライセンスの
効率化を制定。再生可能エネルギー暖房支援、金融支援制度導入を規定。
-気候変動・持続エネルギー法(2006 年 6 月 21 日施行):
GHG 排出量削減報告を義務化。同時に、再生可能エネルギーによる小型発電の推
進目標、プロジェクト推進、グリーン証明制度を制定。
-計画・エネルギー法 2008(2008 年 11 月 27 日施行):
地方政府に再生可能エネルギー使用・効率化に関わる独自の目標設定を認可。
-気候変動法(2008 年 11 月 26 日施行、2008 年改正):
GHG 削減を目指した既存法の強化。戦略計画では、GHG 削減目標と共に、バイ
オ燃料を含む再生可能エネルギーの達成目標を制定。
制度
-グリーン証明割当制度:
送・配電企業に対し、再生可能エネルギー電力の一定量の供給義務を課す。2007/08
年は 7.9%、2009/2010 年に 9.7%、2015 年までに 15.4%に引き上げた後、2027
年まで同水準を維持。未達の場合、罰金。グリーン証明は MWh 単位で発行。
19
-再生可能エネルギー証明保証制度(2003 年導入):
全ての再生可能エネルギーによる電力対象。電力証明発行によりグリーン電力で
あることを保証する制度。EU 指令に沿った証明発行により国内外での取引に有効
利用可。
-再生可能エネルギー交通燃料義務制度(2008 年 4 月 15 日導入、2009 年 4 月改定):
EU 指令(2003/30/EC)に基づき、交通におけるバイオ燃料の割当制度を導入。
燃料供給者に対し、GHG 削減とバイオ燃料の持続生産を義務化。未達の場合、罰
金。
時点の目標は、2010-2011 年に 5%。2009 年 4 月 1 日には 2013-14
年に 5%と改定。
(2008-09:2.56%、2009-10:3.36%、2011:4.12%、2012:
4.71%、2013~:5.3%)
2008 年 4 月
財政支援
-気候変動税:
税
免除。
再生可能エネルギー電力に対し、一般電力 (4.3GBP/MWh)を
-資本保証制度(2006 年 12 月導入):
バイオマス暖房/コジェネ対象。5 年間保証。
-環境変換ファンド(2008 年 4 月 1 日導入):
期間は 2008 年 4 月から 2011 年 3 月。再生可能エネルギーのコジェネ、暖房、電
力対象。3 年間で 1.2Bio.GBP。環境保護支援を含む。
-バイオ燃料優遇税(2002 年 7 月導入、2005、2008 年改定):
交通バイオ燃料と暖房バイオマス対象。交通関連では、2002 年にはバイオディー
ゼル、2005 年にはバイオエタノール混合に対し 0.20GBP/l の物品税減税。バイオ
ディーゼル、エタノール生産、輸入者にも優遇対象を拡大。2010 年以降は廃止し、
その後は通常税率で徴収。
4 ペ
<現状と今後の見通し>
EU 指令により、スペインにおける全エネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの
比率を 2020 年に 20%まで引き上げるとの目標に対し、2006 年時点で 8.7%を達成。西
政府は既に 1997 年以降、再生可能エネルギー支援プログラムを積極的に導入して推進に
努めている。
同国の再生可能エネルギーは、2004 年までは水力が 50%以上を占めていたが、その後、
風力(オンショア)
、バイオマスの普及が始まった。風力については、2007 年以降の新規
発電能力の一段の増加(2008 年に 1,610MW、2007 年に 3,517MW 新設)で、2008 年
末の総発電能力は 16,740MW に達しており、太陽光エネルギーについても、新規発電能
力が 2008 年には EU 最高の 2,671MW(2007 年:591MW)と大幅増を記録し、2008
( )ス イン
20
末 総
達
各々、EU
内でドイツに次ぐ 2 位を占めている。
同国政府は、2010 年の電力消費量に占める再生可能エネルギーの比率目標 29.4%の達
成を見込んでいるが、これは 100TWh の再生可能エネルギー発電(全消費量:337.4TWh)
を見込んだ試算によるものとされている。2004‐2006 年には 11.3%の発電量の増加に対
し、消費の伸びは 8.2%に留まっているものの、今後 80%増の発電努力が必要とされる
中、同政府は、2007 年 5 月施行の新再生可能エネルギー法に制定した優遇措置によるシ
ェア拡大を見込んでいる。
年 の 発電能力が 3,404.8MW に した結果、両エネルギーによる発電能力は
【再生可能エネルギー源の利用状況】
バイオマス
水力
51.8
【設備能力】
(TWh)
風力
地熱
2007
27.8
27.05
小計
0.09
2008(MWth)
2008(MWp)
1,024
3,405
太陽熱
106.7
(出所:Eurostat)
【電力消費量に占める再生可能エネルギーの比率(%)】
1997
2000
19.7
2002
15.7
13.8
2004
2005
18.5
15.0
2006
2007
17.7
【交通バイオ燃料の混合比率(%)】
2003
2004
0.35
2005
0.38
2006
0.44
太陽光
2010
20.0
目標
29.4
(出所:Eurostat)
2007
0.53
1.11
(出所:EU 委員会報告)
<奨励策>
法令・施行令
-固定価格買取特別法(2007 年 6 月 1 日施行、2009 年 1 月改正):
再生可能エネルギー電力の固定価格買取に関わる特別法。登録制度、年間報告義
務等の義務化。100MW(水力は 50MW)以下の電力施設が対象。
-再生可能エネルギー法(2007 年 5 月改正):
法改正により、バイオマス(50~100%)、バイオガス(16~40%)の価格増額で
支援強化。
-再生可能エネルギー施設に対する行政手続き規定法(2009 年 5 月施行):
2009 年 5 月以降、再生可能エネルギー電力プロジェクトに対し、固定価格買取制
度の適用前に事前登録を義務付け。投資コストの最低 50%の資金調達を含む全規
定の達成を条件に承認。20 ユーロ/kW、太陽熱発電に関しては 100 ユーロ/kW の
担保要。
21
-オフショア風力発電規制法(2007 年施行):
当該発電施設の建設に際し、最低 50MW の発電能力と入札購入制度を義務化。
制度
-固定価格買取制度(2007 年 6 月 1 日導入、2009 年 1 月改定):
全再生可能エネルギーによる 100MW 以下
(水力は 50MW 以下)
の電力施設対象。
送・配電企業の買取義務。15-25 年間、固定価格での買取を保証後、年毎に価格
引き下げて、稼動期間中保証。50MW までの施設は、固定価格かボーナス価格(市
場価格+奨励金)の選択可。価格はエネルギー源や効率性により決定。
2009 年の適用固定価格は(括弧内はボーナス価格:€/MWh)
、
水力:
<10MW 25 年間 80.61€/MWh(25.88)
、その後は 72.55€/MWh(13.89)
10<50MW 25 年間、
規模により様々。
ボーナス価格は 25 年間 21.74€/MWh、
その後 13.89€/MWh
風力:
オンショア 20 年間 75.68€/MWh、その後は 63.25€/MWh。ボーナス価格
は 2 年間 30.27€/MWh、その後は 0€/MWh
オフショア 20 年間最大 169.49€/MWh(87.12)
バイオマス:
<2MW
15 年間 164.21€/MWh(119.15)
、その後は 121.88€/MWh(0)
2MW<
15 年間 151.50€/MWh(104.34)
、その後は 83.36€/MWh(0)
太陽光(固定価格のみ)
:
<100kW 25 年間 455.13€/MWh、その後は 364.10€/MWh
100kW<10MW 25 年間 431.48€/MWh、その後は 345.18€/MWh
10<50MW 25 年間 237.46€/MWh、その後は 189.96€/MWh
太陽熱(同上)
:
25 年間 278.39€/MWh、その後は 222.71€/MWh
地熱:20 年間 71.20€/MWh(39.73)
、その後 67.28€/MWh(31.62)
-バイオ燃料証明制度(2009 年 1 月 1 日導入):
バイオ燃料証明の取得と取引を規定。取引可能な証明発行により、交通における
バイオ燃料の比率引き上げを目指す。証明書はディーゼル(CBD)とガソリン(CBG)
の 2 種で、1TOE(Ton of oil equivalent)単位で取引。2010 年の混合目標は 3.9%。
未達は罰金。
財政支援
-再生可能エネルギー融資プログラム(2008 年導入):
太陽熱(20kW<)
、CHP(2MW>)
、バイオマス(暖房対象、<100MW)に対し、
100%の融資供与。
22
-低金利融資制度
投資コストに対する低金利融資(最大 80%)
。
-再生可能エネルギー支援制度 2005-2010(2005 年導入、2008 年改定):
暖房関連エネルギー対象。2005-2010 年有効。投資に 36.4%の助成金。2008 年以
降、太陽熱も対象。
-炭素税免税(2005 年導入):
交通バイオ燃料対象。2012 年まで CO 税(ガソリンが 0.371€/l、ディーゼルが
0.278€/l)を免税。
2
5
<現状と今後の見通し>
EU 指令により、イタリアにおける全エネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの
比率を 2020 年に 17%まで引き上げるとの目標に対し、風力(オンショア)を始めとし
てバイオガスやバイオディーゼルの急速な伸びにも拘らず、2006 年時点では 6.3%に留
まった。又、電力消費量に対する比率についても、2010 年の目標 25%に対し、2004-
2006 年の増加率は 2.5%に留まり、目標達成までには 60%以上の発電量の伸びが必要と
されており、目標達成は困難な状況となっている。当該エネルギーの普及が遅れている
背景としては、不安定な政局、行政上の問題(註 10)、高い送電網接続コスト等が挙げら
れている。
水力(小型)、及び地熱の発電規模では EU で最大を誇るイタリアは、固定価格買取制
度とグリーン証明割当制度の併用による支援を実施している EU で唯一の国となってい
( )イタリア
る。
(
註 10:承認手続きが複雑である上、罰金制度が曖昧で機能していないとされる。)
【再生可能エネルギー源の利用状況】
バイオマス
水力
28.9
【設備能力】
(TWh)
風力
地熱
2007
32.8
4.03
小計
8.05
2008(MWth)
2008(MWp)
1,131
317.5
太陽熱
73.8
(出所:Eurostat)
【電力消費量に占める再生可能エネルギーの比率(%)】
1997
2000
16.0
2002
16.0
14.3
2004
2005
15.9
14.1
2006
2007
14.5
2004
0.50
2005
0.50
23
目標
25.0
(出所:Eurostat)
2006
0.51
2010
13.7
【交通バイオ燃料の混合比率(%)】
2003
太陽光
2007
0.46
0.46
(出所:EU 委員会報告)
<奨励策>
法令・施行令
-EU 指令履行法(2004 年 2 月 15 日施行、2009 年改正):
再生可能エネルギーに関わる EU 指令(2001/77/EC)履行を目指した法令。当該
エネルギー支援の法枠組みを制定。特に小型施設支援が中心。2009 年から施行さ
れた財政法 2008 により法の改正・強化。目標達成に向けた割当義務を課す。電力
に占める再生可能エネルギーの比率は 2012 年までに年 0.75%(0.35%から改正)
の増加で 7.55%を達成するとの目標を設定。
-財政法 2008(2009 年 1 月 3 日施行):
電力対象(バイオマス、地熱、水力、太陽、風力、潮力、波力)
。既存制度の強化
策として、
2008 年 1 月 1 日以降に稼動開始の 1MW 未満の小型施設
(風力は 0.2MW
未満)にグリーン証明割当制度と固定価格買取制度の選択を認可(但し、太陽エ
ネルギーは固定価格買取制度のみ)
。
-財政法 2007(2007 年 12 月 24 日施行):
財政支援、税優遇を制定。全再生可
能エネルギー対象。
固定価格買取制度の新規導入規定
(2008 年 1 月以降稼働開始、
又は近代化した 1MW 未満の小型施設が対象。太陽エネルギーは別制度で規定)。
エネルギー効率化・温暖化ガス削減に向けた
制度
-グリーン証明割当/固定価格買取制度:
支援期間 15 年(12 年間から改正)
。1MW 以上の施設に対し、グリーン証明割
当制度を義務化。小型電力施設(1MW 未満)については、グリーン証明割当制
度か固定価格買取制度の選択が可能。太陽エネルギーは固定価格買取制度のみ。
グリーン証明は 1MWh 単位(50MWh から改正)
、固定価格はエネルギー源別で
異なる価格適用(一律価格から改正)。
2009 年適用の固定価格は(1MW 未満対象)
、
地熱(20 ㌣€/kWh)
、潮力・波力(34 ㌣€/kWh)
、水力(22 ㌣€/kWh)
、
バイオマス(30 ㌣€/kWh、一部バイオガスを含む)、バイオガス(18 ㌣€
/kWh)
、風力(<0.2MW、30 ㌣€/kWh)
。
グリーン証明(1MW 以上の施設)の証明発行数は、エネルギー源により決定。
風力:1、風力(オフショア)
:1.1、地熱:0.9、潮力・波力:1.8、水力:1、
バイオマス:1.1~1.8、バイオガス:0.8。
-太陽熱エネルギー固定価格買取制度(2008 年 7 月 14 日導入):
太陽熱エネルギー電力対象(蓄熱システム整備施設が条件)
。買取保証期間は 25
年。2012 年以降、価格は 22 ㌣€/kWh→28 ㌣€/kWh に引き上げ。ハイブリッド方
式の場合、太陽熱発電量と燃料発電量の比率により決定。支援上限は 1.5Mio.m2。
24
家
国 目標は 2016 年までに 2Mio.m2。
-太陽光エネルギー固定価格買取制度(2007 年 2 月 24 日):
太陽光エネルギー電力対象。買取保証期間は 20 年。PV 集積度に応じ 5%の奨励
金。2008 年 12 月 31 日以前の施設に対する適用価格は 36-49 ㌣€/kWh。2009 年
1 月 1 日以降 12 月 31 日までの施設は 35.3-48.0 ㌣€/kWh
-グリッド優先接続保証制度:
再生可能エネルギー電力の一定率の送電義務(年間最低 100GWh)
。グリーン証明
の提示義務。未達の場合、罰金。
-グリーン証明取引制度(2006 年導入):
全再生可能エネルギー電力に対するグリーン証明対象。Cap&Trade 方式。市場で
のグリーン証明売買を規定。2007 年 12 月 31 日以前に稼動開始施設は 12 年間の
証明保有可。2008 年 1 月 1 日以降の施設は 15 年間。
財政支援
-産業 2015(改革プロジェクト支援)(2008 年施行):
産業の競争力向上を目指した改革プロジェクト推進支援法。バイオと太陽光エネ
ルギーの効率化と再生可能エネルギー利用促進の研究/開発を支援。2009 年 1 月、
30 プロジェクトを選出して 500Mio.ユーロ充当。
-バイオディーゼル支援(2008 年 3 月導入):
バイオディーゼルに対する 80%の減税制度。2010 年まで有効。年間上限は 250,000
トン(生産量に準じて企業に対し比例配分)
。4 年間の支援資金は約 384Mio.ユー
ロ。2008 年 1 月以降、前年生産量の 2%相当のバイオ燃料混合を義務化。未達の
場合、罰金。2010 年以降の供給義務法案に向けた過渡期の制度。
-再生可能エネルギー投資支援(2007 年 1 月導入):
風力、太陽熱、バイオマスは投資コストの 30%、太陽光は最大 60%が還付。
-税優遇制度:
太陽熱エネルギー投資対象。投資額の 55%の税優遇。その他に、付加価値税(20%)
を 10%に減税等。
【中・東欧諸国】
(1) チェコ
<現状と今後の見通し>
EU 指令により、チェコにおける全エネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの比
率を 2020 年までに 13%まで引き上げるとの目標に対し、2006 年時点で 6.5%と約半分
を達成したが、再生可能エネルギーの伸びは EU 平均を下回った。又、電力消費量に占
める再生可能エネルギーの比率も、2002 年以降は 4%台でほぼ横ばい推移を辿り、2010
年の目標 8%の約 60%に留まる。発電に占める資源別シェアは、約 60%の石炭・褐炭に
25
原発(約 30%)、ガス(約 6%)が続き、約 4%を占める再生可能エネルギーの内訳は、
水力(約 3%)、バイオマス(約 1%)となっている。2005 年施行の再生可能エネルギー法
(註 11)の導入により目標達成を目指す同国では、投資環境が整備されていない上、行
政問題が今後の発展の障害として挙げられている。
(
註 11:特にバイオマス利用の促進を掲げている。)
【再生可能エネルギー源の利用状況】
バイオマス
水力
20.1
(TWh)
風力
地熱
【設備能力】
2007
2.1
0.13
小計
‐
2008(MWth)
2008(MWp)
290
54.3
太陽熱
22.4
(出所:Eurostat)
【電力消費量に占める再生可能エネルギーの比率(%)】
1997
2000
3.5
2002
3.6
4.6
2004
2005
4.0
4.5
2006
2007
4.9
2004
1.09
2005
1.00
目標
8.0
(出所:Eurostat)
2006
0.05
2010
4.7
【交通バイオ燃料の混合比率(%)】
2003
太陽光
2007
0.42
0.50
(出所:EU 委員会報告)
<奨励策>
法令・施行令
-エネルギー法(1994 年施行、1999 年、2001 年、2004 年 12 月 30 日改正):
再生可能エネルギーの基本法。当該エネルギーによる CHP 促進。エネルギー市場
の自由化、送電網接続、長期的なエネルギー源確保計画、最終消費者保護等を規
定。
-再生可能エネルギー法(2005 年 8 月 1 日施行):
電力対象。固定価格買取制度を制定。再生可能エネルギー電力市場への参加企業
に関わる規定。2006 年 1 月から支援制度を導入。再生可能エネルギー発電事業者
に対する送電網接続保証、送・配電企業の全電力買取義務、電力価格の保証。最
低固定価格(買取価格保証)、又はグリーンボーナス(市場価格+奨励金)の選択
可。自給電力も支援。CHP に優遇価格適用。
-再生可能エネルギー電力・暖房支援法(2005 年 4 月施行):
CHP、暖房対象。
-バイオ燃料混合施行令(2002 年施行、2007 年改正):
交通燃料対象。最低混合比率を規定。罰金制度(1 リットルにつき 75CZK)。
2009 年 1 月 1 日以降、ディーゼルは 4%、ガソリンは 3.5%の混合義務。
26
-国家エネルギー計画(2002 年 1 月、2006 年改正):
再生可能エネルギーの比率を 2030 年までに全エネルギー消費量で 15‐16%、電
力消費量で 17%への引き上げ目標を掲げ、達成に向けた支援策と制度を規定。計
画上、バイオマスが目標達成上で最も重要な役割を果たすとの見通し。
-エネルギーマネージメント法(2001 年 1 月施行、2006 年改正):
2010 年までの再生可能エネルギー交通燃料に占める比率を 2010 年までに 5‐6%、
2020 年までに 8‐10%と設定。
制度
-電力価格保証制度(2005 年導入):
稼 始
以
前に稼動開始)
。新規施設に対しては、固定価格を年 5%削減。輸出電力は対象外。
-固定価格買取制度(2002 年導入、2005 年改定):
電力対象。2005 年以降、最低固定価格方式(保証価格)とグリーンボーナス方式
(市場価格に、送・配電企業によるプレミアムであるグリーンボーナスを加算)
から選択可。価格はエネルギー規制当局が決定。前年価格の 95%を下回ってはい
けない。価格は施設の稼働開始時期、規模に準じて決定。
【固定・グリーンボーナス価格表】(2009 年)
再生可能エネルギーによる電力価格を施設 動開 から 15 年間保証(2006 年
小型水力<10MW
風力
バイオマス
バイオガス
地熱
太陽光
固定価格(CZK/MWh) グリーンボーナス(CZK/MWh)
1,790-2,700
350-1,260
2,340-3,410
1,630-2,700
2,480-4,490
940-2,950
2,670-3,040
880-2,580
4,500
3,140
-14,080
5,730-13.100
(資料:チェコエネルギー規制局)
6,710
財政支援
-バイオ燃料免税(2004 年 7 月施行、2008 年 12 月改正):
税優遇措置。当初は政府支援金が充当されていたが、2008 年 12 月の改正で、バ
イオ燃料混合比率の高い燃料は税控除の対象。
-再生可能エネルギー利用国家プログラム(2006-2009):
全ての再生可能エネルギー対象。年間 2.6%のエネルギー効率化(年間約 11PJ の
削減)を目指す。2002-2005 年に導入したプログラムの第 2 弾で増額。4 年毎に見
直し改定。2006-2009 年の融資枠は 8Bio.CZK(約 310Mio.ユーロ)。投資額の
30%(上限 2.8Mio.CZK)
、NPO、公益企業に対しては最大 90%までの融資が可
能。
27
-EU 構造支援プログラム:
産業・企業営業プログラム。コストの 46%(最大 30Mio.CZK)支援融資。
-EU 地域開発ファンド:
インフラ操業プログラム。コストの 75%(最大 10Mio.CZK)支援融資。
バキア
<現状と今後の見通し>
EU 指令により、スロバキアにおける全エネルギー消費量に占める再生可能エネルギー
の比率を 2020 年までに 14%に引き上げるとの目標に対し、2006 年時点では 6.8%を達
成。電力消費量に占める再生可能エネルギーの比率は、2007 年時点では 16.6%と目標
(31%)の約半分しか達成しておらず、目標達成には程遠いとされる中、2008 年導入の
固定価格買取制度による 増加 が 期待 さ れ ている。国 内 発電の 燃 料 別 の シ ェアは、 原 発
(56%)
、再生可能エネルギー(16%)
、石炭(18%)
、ガス(3%)で、再生可能エネル
ギーでは、小型施設の大幅な減少に伴い、現在は大型施設によるものが大半を占めてい
る水力発電が中心(註 12)となっている。これに対し、スロバキア政府は小型施設開発
プログラムを導入して国内 250 ヶ所での建設を推し進めているが、天然ガス利用が不可
能な場所と地域を限定している。
2008 年 3 月には、再生可能エネルギー戦略(水力、バイオマス、太陽光エネルギー推
進策)が導入されたものの、エネルギー効率化に関わる分析・研究や公共投資が必要と
される中、国民の支持も高い原発推進に注力するスロバキア政府は、全般に再生可能エ
ネルギーに関心が薄く、特に天候に左右される風力電力には消極的とされてきた。しか
し、同国政府は長期にわたる協議の末、当初 2008 年からの施行が予定されていた新再生
可能エネルギー法を 2009 年 9 月 1 日に発効し再生可能エネルギーの支援強化を開始して
いる。
、政府は国家エネルギー戦略で、潜在能力が大きいとされるバイオマスと太陽光エ
ネルギーを中心として電力消費量に占める再生可能エネルギーの比率を 14%(2020 年)
(2)スロ
に引き上げることを公約している。
(
註 12:水力を除くと、他は 1%)
【再生可能エネルギー源の利用状況】
バイオマス
水力
5.8
【設備能力】
(TWh)
風力
地熱
2007
4.5
0.01
小計
0.02
2008(MWth)
2008(kWp)
64
66
太陽熱
10.3
【電力消費量に占める再生可能エネルギーの比率(%)】
1997
14.5
2000
16.9
2002
19.2
2004
2005
14.4
16.7
28
2006
16.7
太陽光
(出所:Eurostat)
2007
16.6
2010
目標
31.0
(出所:Eurostat)
【交通バイオ燃料の混合比率(%)】
2003
2004
0.14
2005
0.15
2006
N.A.
2007
0.69
2.53
(出所:EU 委員会報告)
<奨励策>
法令・施行令
-新再生可能エネルギー法(2009 年 9 月 1 日施行):
法 水
バイオ関連エネルギー対象。自家発電も新しく対象に追加。CHP によるエネルギ
ー効率化の促進。固定価格買取制度、送電網への優先接続、送・配電義務を制定。
引取損失保証、電源証明の発行も義務化。
再生可能エネルギーによる電力と CHP 電力支援 。 力、太陽光、風力、地熱、
制度
-固定価格買取制度(2005 年 1 月導入、2009 年 9 月改定):
送・配電企業に対し、電力の優遇価格での購入を義務化。価格は送電網規制当局
が決定。保証期間は 15 年間(稼動開始、或いは近代化時期を基準)
。10MW まで
は全て保証。これを超えた場合、10MW 単位でプレミアムを配分。但し、水力は
上限 15MW。
規制当局から 2009 年 9 月 23 日に発表された適用価格(註 13)は、
水力:109€/MWh(<1MW)、98€/MWh(<5MW)(改正前:65.98-93.04
€/MWh)
:
稼
準拠)(改正前:227.46€/MWh)
風力:平均*81€/MWh(改正前:同 84€/MWh)
(*稼動開始時期で決定)
地熱:195€/MWh(改正前:121.41€/MWh)
バイオマス:113-126€/MWh(改正前:72.25-118.77€/MWh)
太陽光 425-430€/MWh ( 動能力に
註 13:価格優遇措置により、減価償却期間は 8~10 年に短縮。但し、風
力は固定買取価格の引き下げで、減価償却期間が 13 年から 15 年へと長期
化しており、風力エネルギー連盟 ZVES の Hloska 会長は世の流れに反す
ると批判している。)
(
-電源証明制度:
生産者の要請により、当局は電源証明を発行。
-持続成長促進計画(2008 年 3 月 12 日導入):
再生可能エネルギー助成計画。
-バイオ燃料開発国家計画(2005 年導入):
交通におけるバイオ燃料の混合比率、最低価格を規定。定められた混合比率は、
29
: %
: %
:%
: %
: %
2006 2.5 、2007 3.2 、2008 4 、2009 4.9 、2010 5.75
財政支援
-消費税法(2008 年 1 月施行):
再生可能エネルギーは消費税免税。
-環境ファンド:
太陽熱、バイオマス、暖房ポンプ(公共投資)対象。投資の 95%融資。
-再生可能エネルギー施設建設融資:
投資融資(建設、再建設)
。上限 100,000 ユーロ。
-省エネ・再生可能エネルギー利用支援プログラム(2003 年導入):
暖房関連投資に対し、最大 100,000 ユーロの支援融資。
-バイオ燃料税優遇(2004 年導入):
バイオ混合ガソリン/ディーゼルに対し、1 リットル単位で減税。
ハ
<現状と今後の見通し>
EU 指令により、ハンガリーにおける全電力消費量に占める再生可能エネルギーの比率
を 2020 年に 13%に引き上げるとの目標に対し、2004 年以降の大幅な伸びで 2006 年時
点では 5.1%を達成し、2008 年 4 月の再生可能エネルギー国家戦略では、2007-2020 年
に 13-15%の目標達成を掲げている。地理上、再生可能エネルギーの開発には有利とされ
ており、バイオマスの年間成長率は 100%を超えている一方で、水力発電の一段の開発に
は環境上、又、太陽光、地熱、風力では承認手続き上の規制が障害とされている。
電力消費量に占める再生可能エネルギーの比率は、バイオマスを中心として 2010 年の
目標は既に 2005 年に達成したが、その理由としては、2004-2006 年には再生可能エネル
ギーによる発電量が 68.6%増加したのに対し、電力消費量の増加率は 4.6%に留まったこ
とが挙げられている。しかし、2005 年から 2006 年にかけては電力供給量が 17.1%減少
するとの傾向もみられ、当該電力の安定供給が確保されていないことから、中・長期的
な視野に立った政策が必要とされている。
(3) ンガリー
【再生可能エネルギー源の利用状況】
バイオマス
水力
10.5
(TWh)
風力
地熱
2007
0.2
0.11
【設備能力】
小計
0.94
2008(MWth)
2008(kWp)
40
450
太陽熱
11.8
(出所:Eurostat)
【電力消費量に占める再生可能エネルギーの比率(%)】
1997
0.8
2000
0.7
2002
0.7
2004
2.3
30
2005
4.6
太陽光
2006
3.7
2007
4.6
2010
目標
3.6
(出所:Eurostat)
【交通バイオ燃料の混合比率(%)】
2003
2004
0.00
2005
0.00
2006
0.07
2007
0.28
0.20
(出所:EU 委員会報告)
<奨励策>
法令・施行令
-エネルギー法(2001 年 12 月施行、2008 年 1 月改正):
電力に関わるエネルギー政策、公共投資(インフラ投資)規制を制定。再生可能
エネルギー電力の固定価格による買取義務を制定。2008 年 1 月の改正で、電源証
明を義務化。同改正法では、グリーン証明制度導入を認可しており、将来的にグ
リーン証明制度を開始した場合、固定価格買取制度は廃止される見通し。
-再生可能エネルギー戦略計画 2007-2020(2008 年 4 月):
全エネルギー 消費 量に対する再生可能エネルギーの 比 率を 2007-2020 年に
13-15%まで引き上げる目標を達成する為、バイオ、地熱、風力、太陽光電力対象
に目標を設定。2020 年までに 186.4PJ(2006 年 55PJ)
。内訳は発電(79.7PJ)
、
暖房(87.1PJ)
、バイオ燃料(19.6PJ)
。
(1TWh=3.6PJ)
-バイオ燃料免税法(2007 年 7 月施行):
交通におけるバイオ燃料は免税対象に制定。
制度
-固定価格買取制度(2003 年 1 月導入、2008 年 1 月 1 日改定):
エネルギー法によって定められた制度。天候の影響を受け易い再生可能エネルギ
ー電力は固定価格。その他は変動価格(平均価格の維持が目的)
。価格はインフレ
調整で毎年改定。但し、2008 年 1 月以降、風力発電企業は、入札で落札した場合
のみ当該制度での売却が可能。
適用固定価格は(2008 年 7 月時点)、
風力:114.22€/MWh
水力:46.62-127.60€/MWh(<5MW)、50.80-79.38€/MWh(5MW<)
太陽光:114.22€/MWh
バ イ オ マ ス : 46.62-127.60 € /MWh ( <20MW )、 37.25-101.70 € /MWh
(20-50MW)
、50.80-79.38€/MWh(50MW<)
財政支援
-国家エネルギー保護プログラム NEP2008(2008 年 4 月導入):
融資枠は 1.6Bio.HUF(約 4.8Mio.ユーロ)
。小型プロジェクトを支援。
-環境エネルギー効率プログラム(2007-2013):
全再生可能エネルギーと省エネプログラム対象の補助金制度。1.5Bio.ユーロ(う
31
%相当の 1.3Bio.ユーロは EU ファンド、残り 15%は国家予算から拠出)。
-税控除制度(2007 年 7 月 1 日導入、2008 年 1 月 1 日改定):
交通バイオ燃料に適用。2007 年 7 月以降、4.4%混合ガソリンに対し 8.3HUF /l
減税。2008 年 1 月以降、混合ディーゼルにも適用。
ち 85
ポーランド
<現状と今後の見通し>
EU 指令により、ポーランドにおける全エネルギー消費量に占める再生可能エネルギー
の比率を 2020 年に 15%まで引き上げるとの目標に対し、2006 年時点では 7.5%を達成
した。石炭・褐炭への依存度が非常に高いことが、再生可能エネルギー普及の遅れの一
因とされているのに加え、水力エネルギーについては、既存の水力施設が十分に活用さ
れていない上、目標未達時の罰金制度が機能していなかったことも背景として挙げられ
ている。今後も小型施設を中心とした水力やバイオマスの将来性が高いとされる一方、
風力についても良好な立地条件を備えてはいるものの、送電網への接続上での問題が指
摘されている。
又、電力消費量に占める再生可能エネルギーの比率は、2007 年時点で目標の半分を達
成したに留まっているのに対し、2007 年以降のグリーン証明の割当引き上げと当該証明
の取引価格上昇で、一段のシェア拡大が見込まれてはいるものの、2010 年の目標達成に
は発電量の約 24%の増加が必要とされている。
(4)
【発電能力(MW)】
水力
バイオマス
バイオガス
風力
2007
936.7
258.9
52.7
390
2008
934.8
255.4
45.7
N.A.
【再生可能エネルギー源の利用状況】
バイオマス
水力
49.9
(TWh)
風力
地熱
2007
2.4
0.47
【設備能力】
小計
0.12
2008(MWth)
2008(MWp)
256
1.6
太陽熱
52.8
1.8
2000
1.7
2002
2.0
2004
2.1
32
2005
2.9
太陽光
(出所:Eurostat)
【電力消費量に占める再生可能エネルギーの比率(%)】
1997
(出所:Eurostat)
2006
2.9
2007
3.5
2010
目標
7.5
(出所:Eurostat)
【交通バイオ燃料の混合比率(%)】
2003
2004
0.49
2005
0.30
2006
0.48
2007
0.92
0.68
(出所:EU 委員会報告)
<奨励策>
法令・施行令
-エネルギー法(1997 年 5 月 10 日施行、2005 年 10 月、2007 年 1 月、2008 年 1 月改正):
再生可能エネルギーに対する送電網接続料金の割引、ライセンス料の免除等を制
定。2005 年 10 月以降、送・配電企業に一定量の再生可能エネルギー電力の買取
義務を制定。未達の場合、罰金。2007 年 1 月の改正で、全施設に送電網への接続
ライセンス取得を義務化(それ以前は 50MW<施設のみが対象)、グリーン電力買
取の割当引き上げを制定。
-電源証明発行施行令(2008 年 8 月施行):
電源証明発行を当該法で具体化。
-割当施行令(2000 年施行):
グリーン証明の割当義務を制定。
制度
-グリーン証明割当/取引制度(2005 年 10 月施行、2008 年 8 月改正):
再生可能エネルギー電力対象にグリーン証明の割当と国内商品取引所での取引制
度を導入。グリーン証明書提示の代わりに代替金支払いも可能。国内の送・配電
企業に対し、一定比率での再生可能エネルギー電力買取とグリーン証明書の提示
を義務化。条件を未達成の場合、罰金(代替金の 130%課徴)
。
電力に占める割当率(2007 年 8 月に改定)は、
2008:7.0%、2009:8.7%、2010-2012-:10.4%、2013:10.9%、2014:11.4%、
2015:11.9%、2016:12.4%、2017:12.9%
(2007 年の割当目標 5.1%は未達。実績:4.7%)
2009 年における電力保証価格は 155.44PLN/MWh、
代替金は 259.89PLN/MWh。
2009 年 6 月時点のグリーン証明価格は約 250PLN/MWh。
(2009 年 10 月末時
点で 1 ユーロ=4.27PLN)
-電源証明制度(2005 年 4 月導入):
再生可能エネルギーによる電力であることの証明発行。
-税還付制度(2002 年導入、2009 年 1 月 1 日改定):
2009 年以降、電源証明の提示により、電力付加価値税を還付(0.02PLN/kWh)
。
-バイオ燃料支援制度(2004 年導入、2007 年 1 月 1 日改定):
バイオ燃料(交通)対象の減税措置。有効期限は 2011 年 4 月 30 日。
33
財政支援
-再生可能エネルギー・CHP プログラム:
低金利支援ファンド。総額 1.5Bio.ユーロ(配分は、2009: 750Mio.ユーロ、 2010:
500Mio.ユーロ、2011: 250Mio.ユーロ、2012:100Mio.ユーロ)
。支援期間は、2009
年 1 月 1 日-2012 年 12 月 31 日。
対象は、バイオマス(熱・電)
、地熱(電)
、水力、風力(オンショア)
。
-環境保護ファンド(2001 年 4 月導入、2008 年改定):
低金利融資を提供。環境保護プロジェクト対象。投資コスト>2Mio.PLN。最大
80%融資。
-インフラ・環境営業ファンド:
施設建設や稼働能力拡大を支援。風力、水力(最大 10MW)
、バイオガス、バイオ
マスプロジェクト、太陽、地熱利用の暖房施設が対象。
-暖房近代化プロジェクト:
1998 年導入。近代化投資対象。
マニア
<現状と今後の見通し>
EU 指令により、ルーマニアにおける全エネルギー消費量に占める再生可能エネルギー
の比率を 2020 年に 24%まで引き上げるとの目標に対し、2006 年時点では 17%を達成。
同国における再生可能エネルギーは大型水力エネルギー(約 96%)が中心であるが、今
後の可能性としては、大型オフショア風力、バイオマス、小型水力エネルギーが挙げら
れる(註 14)。2007 年 9 月の再生可能エネルギー戦略では、水力発電で既存施設の近代
化による発電能力の 2,328MW への引き上げを目指し、電力消費量に占める再生可能エネ
ルギーの比率を 2015 年までに 35%、2020 年までに 38%へと引き上げる目標を掲げてお
り、2009 年 11 月の発表では、1989 年以降で初の水力発電所の建設が 2010 年から開始
する見通しとなっている。又、太陽光エネルギーについては、1979 年に当該プロジェク
トのブームが起こったが、粗悪な設備や設置の不備で失敗に終わったものの、経験を生
かしたプロジェクト再開の可能性は残されている。一方で、西部地域における地熱エネ
ルギーによる発電能力は限定的とされている。
尚、2004‐2006 年における再生可能エネルギーによる電力供給量は 1.7%の増加に留
まったのに対して電力消費量は 5.7%増加し、2000 年以降に再生可能エネルギーによる
電力比率が減少傾向を示している。不安定なグリーン証明割当制度を背景として当該投
資が低迷する一方、目標の達成は外国投資によるノウハウ導入によって可能とされる中、
支援制度の拡充の必要性に加え、送電網のインフラ整備(註 15)やそれに向けた承認手
続きの迅速化が今後の課題とされている。
(5)ルー
(註 14:大型風力発電における 2008 年末までのオフショアパーク数は 10 ヶ所(10MW)
34
で、中期的な潜在能力は 3,000MW と試算されている。バイオマスは既に 4,000MW 以上
の発電量を有するのに対し、小型水力は未開発分野となっている中、100MW 以下の小型
施設での発電能力は 2,600MW と見込まれている。)
(註 15:国営送電会社 Transelectrica による送電網の拡大・近代化投資に 2.5Bio.ユーロが
充当。)
【再生可能エネルギー源の利用状況】
バイオマス
水力
37.9
【設備能力】
(TWh)
風力
地熱
2007
16.0
0.01
小計
0.30
2008(MWth)
2008(kWp)
56
450
太陽熱
54.2
(出所:Eurostat)
【電力消費量に占める再生可能エネルギーの比率(%)】
1997
2000
30.5
2002
28.8
30.8
2004
2005
29.9
35.8
2006
2007
31.4
【交通バイオ燃料の混合比率(%)】
2003
2004
N.A.
2005
N.A.
2006
N.A.
太陽光
2010
26.9
目標
33.0
(出所:Eurostat)
2007
0.00
0.79
(出所:EU 委員会報告)
<奨励策>
法令・施行令
-電力法(2007 年 2 月 22 日施行、2008 年 11 月 25 日改正):
再生可能エネルギーの普及に向けた送電網への接続義務を制定。
-再生可能エネルギー電力推進法(2008 年 11 月 3 日施行):
グリーン証明発行と売買取引義務を制定。証明発行枚数(1MWh 単位)
、毎年取引
価格枠を制定。
-バイオ燃料法(2005 年 12 月):
国家エネルギー法に包括。
割当義務:2007.07.01(2%)
、2008.01.01(3%)
、2008.07.01(4%)
、2009.07.01
(4%)
、2010(5.75%)
制度
-グリーン証明割当制度(2004 年導入、2005 年 9 月改定):
送・配電企業によるグリーン証明の提示義務と年間割当達成義務を制度化。2020
年までの 10 年間で倍増を計画。現在の発行数は、
35
水力(上限 10MW):
<10MW 1MWh=1 証明(新規、近代化施設)
1-10MW 2MWh=1 証明(上記以外)
<1MW 1MWh=2 証明(全て)
風力:
1MWh=2 証明(2015 年まで)
1MWh=1証明(2016 年以降)
バイオマス・ガス、地熱:
1MWh=3 証明
太陽光:
1MWh=4 証明
2009 年 6 月のグリーン証明取引価格(平均は 55 ユーロ/MWh)
。未達の場合は罰
金(註 16)。罰金資金で証明を購入後、発電量に基づき発電業者に再配分。グリー
ン証明は市場での売買取引が可能。
(註 16:2005-2007 年は 63 ㌣€/kWh、2008-2012 年は 84 ㌣€/kWh)
【グリーン電力供給割当義務(%)】
2005
0.7
06
07
08
09
2.22
3.74
5.26
6.78
10-12
8.3
13
14
15
16
17
18
19
20
9.0
10.0
10.8
12.0
13.2
14.4
15.6
16.8
-グリーン証明取引制度:
グリーン証明取引市場での売買取引を可能とする制度。取得した余剰証明書の売
却が可能。価格枠は法で制定。現在の取引価格枠は 27~55€/MWh で、毎年イン
フレ調整による見直し。2009 年 6 月時点の平均取引価格は 55€/MWh(市場にお
ける電力平均価格は 37€/MWh)
。
財政支援
-再生可能エネルギー特定スキーム:
電力・暖房投資融資(上限 50Mio.ユーロ)
。10MW 以上の水力を除く全ての再生
可能エネルギー対象。大企業向け(投資コストの 50%)
、中企業(同 60%)
、小企
業(同 70%)を上限に融資。
-エネルギー効率ファンド(2002 年設立):
再生可能エネルギーの暖房利用が対象。
-環境ファンド:
環境汚染に対する罰金や国家予算からの歳出によるファンド。再生可能エネルギ
ーのみが支援対象(エネルギー効率化プロジェクトは対象外)
。
36
(6) ブルガリア
<現状と今後の見通し>
EU 指令により、全エネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの比率を 2020 年に
16%まで引き上げるとの目標に対し、2006 年時点では 8.9%を達成した中、国家目標と
しては 2010 年までに 11%達成を目指している。同国ではこれまで、再生可能エネルギ
ーの大半を水力エネルギーが占めていたが、既に開発し尽くされた感があることから、
現在では風力エネルギー(註 17)を中心に、国土全体の 60%が農業用地、30%が森林と
の利点を活かしたバイオマス(註 18)にも注力。今後の可能性としては、東部、南部地
方での太陽光エネルギーや地熱エネルギー(註 19)が挙げられている。又、既存の水力
発電の民営化、近代化に加え、小規模の水力エネルギープロジェクト開発も戦略に掲げ
ている。
消費量に占める再生可能エネルギーの比率は、2004-2006 年に 13%増加したのに
対して電力消費量も 6.6%増加しており、2007 年のシェア減少を鑑みると、2010 年の目
標達成の可能性は低いと予想されている。
尚、前政権により、再生可能エネルギーによる電力・暖房の普及に向けた市場メカニ
スムに関わる法案の 2011 年施行に向けた協議が進められていたが、2009 年 7 月の総選
挙後に交代した現政府がエネルギー政策の見直しを発表し、Traikov 経済・エネルギー相
は 10 月、2010 年半ばまでの法改正、或いは新法制定計画を発表している。
電力
(註 17:2005-2007 年に発電量は約 10 倍、設備能力は約 8 倍の増加。中期的に最大 3,400MW
の設備能力新設が可能と試算されている。2008 年には 101 ヶ所の新設で同年末の施設数
は 158 ヶ所。2009 年 6 月、国営電力会社 NEK の PapazyanCEO〈当時〉は風力電力の
上限を 1,500MW(全体の 20%)に制限すべきと発言。)
(註 18:3,400MW の潜在稼働能力が有ると見込まれている。)
(註 19:140 ヶ所の温泉源が存在。将来、200MW の可能性が見込まれる。)
【発電能力(MW)】
水力
風力
太陽光
計
2005
2006
2007
見通し(2020)
2008
1,508
1,524
1,539
1,535
N.A.
7.5
25.50
57
101
1,610
0
0
0.03
0.1
N.A.
1,515.5
1,549.5
1,596
1,636
N.A.
(資料:MEE)
【電力消費量に占める再生可能エネルギー比率の推移(GWh)】
水力
風力
2005
2006
2007
2008
4,336.5
4,238
2,873
2,769
4.5
20
47
122
37
太陽光 PV
総発電量
0
0
0.01
0.02
4,341
4,258
2,919
2,892
【再生可能エネルギー源の利用状況】
バイオマス
水力
7.9
(TWh)
風力
2007
2.9
【設備能力】
地熱
0.06
2008(MWth)
小計
0.38
太陽熱
11.2
2000
7.0
2002
7.4
6.0
2004
2005
8.9
11.8
N.A.
2004
2005
N.A.
1.4
出所:Eurostat)
2006
2007
11.2
2010
7.5
目標
11.0
(出所:Eurostat)
2006
N.A.
太陽光
(
【交通バイオ燃料の混合比率(%)】
2003
2008(MWp)
43
【電力消費量に占める再生可能エネルギーの比率(%)】
1997
(資料:MEE)
2007
0.41
4.82
(出所:EU 委員会報告)
<奨励策>
法令・施行令
-再生可能エネルギー法(2007.06.19 施行、2008.11.14 改正):
全再生可能エネルギーの電力を対象に固定価格買取制度を制定。
-電力価格施行令(2004.03.02 施行、2007.07.31 改正):
電力価格決定方法を規定。
-エネルギー法(2003.12.09 施行、2009.06.05 改正):
全再生可能電力のグリッド接続、並びに買取義務を制定。
-再生可能エネルギー・バイオ燃料法(2007 年施行):
交通におけるバイオ燃料割当を制定。バイオ燃料混合割合目標は、
2008:2%、2009:3.5%、2010:5.75%、2015:8%、2020:10%
制度
-固定価格買取制度(2006 年導入):
前年の配電価格平均の 80%を基準とし、プレミアム(投資コスト、送電網接続コ
スト営業コスト等を反映)を加算して優遇した固定価格を算出。前年価格の 95%
を下回ってはならないとの規定。2010 年末までに生産を開始した電力に適用。毎
年 3 月末見直し。
2009 年 4 月以降の適用価格(括弧内は保証期間)は、
水力(15 年、上限:10MW):
<10MW 53.69€/MWh、<5MW 76.18€/MWh(低落差地域)、101.75€
38
川沿い)
風力(15 年)
:
新規施設<800kW
>800kW
/MWh(
74.41€/MWh
/
以降稼働、年間稼働時間
96.63€ MWh(2006 年 1 月
2,250 まで)
>800kW 87.94€/MWh(同上、稼働時間 2,250 以上)
太陽光(25 年)
:
<5kW 420.79€/MWh
>5kW 386.03€/MWh
バイオマス(15 年):
<5MW 95.61~110.95€/MWh(利用資源に準ずる)
-長期電力買取制度:
長期電力購入契約を国営電力会社 NEK と締結。
25 年間:太陽光、地熱エネルギー
15 年間:その他の再生可能エネルギー(水力は最大 10MW)
-送電網への接続制度:
再生可能エネルギー電力の送電網接続を送・配電業者に義務付け。拒否した場合
は罰金(最大 500,000 ユーロ)
。
-免税制度(2005 年導入):
純バイオ燃料(交通)対象(一部バイオエタノール除く)。
財政支援
-EBRD イニシアティブ:
BEERECL(2004 年設立):
ブルガリアエネルギー効率・再生可能エネルギー融資枠。投資額の 20%。融資
枠は 105Mio.ユーロ。2009 年 6 月時点で 126 件のプロジェクトに対し 85Mio.
ユーロの融資供与済み。
KIDSF:
Kozloduy 原発廃止支援ファンド。融資枠は 25.2Mio.ユーロ。2001 年設立(註
20)。BEERECL 融資対象の小型プロジェクトに対し、融資額の 20%相当の助
成金を供給。2009 年 6 月時点では 79 プロジェクトに対し、約 14Mio.ユーロを
充当。
(註 20:EU 加盟条件として 2006、2007 年末の Kozloduy 原発 4 基廃止に伴い
導入された支援策)
:
環境省による環境保護行動マネージメント計画(Enterprise Management of
Environment Protection Activities)
。小型水力発電プロジェクトに最大 70%の
EMEP
39
無利息融資の供与。
以上
稿
見解は、個人のものであって国際協力銀行のものではありません。
本稿は情報提供を目的に作成しており、何らかの勧誘を目的としたものではありません。
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