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講演Ⅱ:「グローバル経済潮流を見据えた日本の

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講演Ⅱ:「グローバル経済潮流を見据えた日本の
グローバル経済潮流を見据えた
日本の経済政策アプローチの検証と転針
(写真出所: 2012年10月7日 慶應SDMにて開催されたOpen KiDSにて、写真家・夏野葉月氏提供)
2013年1月
慶應義塾大学大学院システムデサイン・マネジメント研究科
特別招聘教授 保井俊之
(注) この資料は筆者がかつてまたは現在所属する組織の見解を表すものではありません。
意見にわたる部分は筆者の個人的意見です。
1
この10年間のグローバル経済潮流
• 潮流1: サービス経済化の一層の進展
– サービス科学/工学の勃興
– サービス・ドミナント・ロジック(SDL)の出現
• 潮流2: 顧客起点の製品・サービスづくり
– 品質追求から価値(value)追求へ、交換価値(value in
exchange)から協創価値(value in co-creation)へ
– 価値マーケティング(value marketing)と共感プロトタイピング
(prototyping for empathy)
• 潮流3:企業や「業」を超える製品・サービスの価値ネットワーク
– オープンイノベーションの追求
– ビジネス・エコシステムの認識
• 潮流4: SNSやウェブを活用した新しい資金調達の出現
– クラウド・ファンディングの出現
2
潮流1: サービス経済化の一層の進展
「世界レース」のサービス経済化
名目GDPに占めるサービス産業名目付加価値シェアの推移
(%)
(出所) 経済産業省『通商白書』 2007年度版
http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2007/2007honbun/html/i3110000.html
3
サービス科学 : 米国の国際競争力戦略
• サービスの生産性向上を行う科学的・工学的アプ
ローチ(内藤耕ら: 2009:1-3)
• 米国で1990年代以降急速に発展
– サービス産業の高付加価値性
– サービス産業に米国の国際競争力の源泉を見る
• 米国IBM会長パルミザーノ会長(Samuel Palmisano)らが
2005年に報告書(Council on Competitiveness (2005))
– 米国はサービス大国
– サービスに関する科学を大いに振興すべき
– サービス業で世界トップの産業競争力を維持
• Council on CompetitivenessのNational Innovation
Initiativeが源泉
– 2007年夏、ブッシュ政権が’The America COMPETES
Act’として同報告書の内容を取り入れ、法制化
– オバマ政権の考え方を継承
4
コモディティー化の罠
• サービス経済化が進む先進国
– 「モノ」から「コト」への転換
• モノ作りからサービスの振興へ
– 単に製品だけを売るのでは消費者に相手にされない
– 製品に象徴される「価値」にフォーカス
• 量産品の「コモディティ化」 (Sanford (2008))
– 陳腐化が急速に進む「モノ」
• 例: 液晶: かつて日本メーカーの独壇場
–いまや韓国・サムソンや台湾勢の追い上げで、
3年間で値段が5分の1以下に
5
遅れをとる日本のサービスの
国際競争力
「内向き」な
日本のサービス
(出所) 経済産業省『通商白書』 2007年度版
http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2007/2007honbun/html/i3120000.html
6
GDLからSDLへ
Good Dominant Logic
何かを作る(商品、サービス)
価値は生産される
独立した実態としての顧客
Service Dominant Logic
顧客の価値創造プロセスを支
援する(提供されるものは知識、
スキルを含むサービス・システ
ム)
価値はともに創られる
自分の環境、ネットワークにお
けるお客様
主にオペランド(受動的)資源と 主にオペラント(能動的)資源と
しての企業
しての企業
顧客は対象
顧客は重要な資源
効率性優先
効果を考慮した上での効率
(出所) Vargo and Lusch (2008)をもとに澤谷由里子(2011:16)
7
潮流2: 顧客起点の製品・サービスづくり
価値≠品質
• 価値(value)
– 顧客が感じるベネフィット(便益)(神田範明(2004))
– 価値は品質とは同値ではない
• 品質がよくても、顧客はその財・サービスに価
値を感じるかどうかはわからない
顧客の求める価値をマーケティングする、
価値マーケティング(Value Marketing)が
最優先の時代に
8
「交換」から「使用」「協創」へ
(保井俊之(2012b:101 図7を筆者が一部修正))
交換価値(B2C)
使用価値・協創価値(C2B)
他の消費者
生産者
価値
消費者
消費者から発注 消費者にデリバリー
市場外の
ステークホルダー
市場インフラ
の提供者・
提供者
「つながり」=システムによる価値の創出
この間は消費者は生産者に接触
しない。情報の遅れ・非対称性。
ボトムアップ・アプローチ、分散型情報の
共有とシナジー効果、透明性と即時性
9
価値協創型の新しいサービス設計
(出所: 保井俊之(2011a))
従来型のサービス設計/販売
新しいサービス設計
必要なのは、消費者からの
能動的関与
マーケティング
受動的反応
企業
交換価値
(サービス)
設計
提案
消費者
販売時説明・契約 忘却
関係の希薄化
断絶した関係
・価値の逓減
・関係悪化リスク(クレーム・苦情)
設計
提案
消費者
企業
協創価値
(サービス)
長期的関係の継続
・価値の持続的生産
・双方のナレッジの向上
10
デザイン思考の重要性
• デザイン思考(Simon(1967))
– よりよい結果を求めて改善を施すために、実践的か
つ創造的に問題を解決するための方法論
– デザインする者の感覚と手法(Brown(2009))
• テクノロジーやビジネス戦略を、顧客価値や市場
機会へ転換し、人々の要求と一致させる
– Tinkering(課題を最もエレガントに解決できるプロトタ
イプを構築できるプロセス)がinnovationに直結(‘No
tinkering, no innovation’)(徳安悟(2012))
• デザイン思考のプロセス(奥出直人(2012:42-43))
– 企業としてイノベーションを起こすときに適用
11
日本の「死の谷」は企業内にある
• 米国型の「死の谷」
• 日本型の「死の谷」
Venture Capitals, Angels
Basic Research;
Innovation
Applied Research;
Innovation
Early Stage
Entrepreneurs
Commercial
Operators
“Valley of Death”
(図出所) Committee on Science (1998) 及び
Auerswald and Branscomb (2003)をもとに筆者が作成
部門間の高い壁、
市場コンセプトの不足等で
死の谷を飛べない
基礎研究部門
死の谷
事業化部門
同一社内
Empathy Designの欠如、
研究部門と顧客対応部門との間の高い壁
「日本型デスバレー」は、企業内の組織要因に原因がある (投資不足が問題の
米国と異なる) (井上隆一郎ら(2003))
・ビジョンの描出や需要(市場)コンセプト化に問題
・人材面の問題(技術経営担当者の不在、リーダーシップの不足等)
12
・企業内の部門間・組織間の連携不足
潮流3:企業や「業」を超える製品・サービスの価値ネットワーク
Open Innovation:自前主義の終焉
• Open Innovationの定義(Chesbrough (2003: XXiV))
– 企業が社内外のアイデアを活用
– 市場への投入も社内と社外の二つの経路
– 社内と社外のアイデアを結合、ビジネスモデルで定義される
アーキテクチャやシステムに取り入れ
– ビジネスモデルは、社内と社外の両方のアイデアから価値を
創造し、その価値の一部を回収する内部メカニズムを定義
• Open Services Innovationに進化(Chesbrough (2011))
– コモディティー化の罠を逃れるため
• ①ビジネスをサービス業として考える
• ②イノベーターは顧客と価値協創しなければならない
• ③オープンイノベーションがサービスイノベーションを加速・
13
進化
イノベーションパラダイムの転換
(図出所 Chesbrough (2003) Figure 1.1 & 1.2を筆者が一部修正)
Closed Innovation
Open Innovation
社内の
技術的
基盤
研究調査
科学・
技術的
基盤
市場
ライセンス提供
他社の
市場
スピンオフベンチャー 新しい
市場
従来の
市場
開発
新製品・
サービス
技術のイン
ソーシング
社外の
研究
開発
研究
開発
技術的
基盤
社内、テクノロジー至上、知財の抱え込み
社外、ビジネスモデル至上、知財売買
14
転換に遅れた日本の凋落(内閣府(2010)), 日本企業は最近、取り組み開始(元橋一之ら(2012))
生態系としてのビジネス
• ビジネス・エコシステム(Iansiti and Levien (2004a)(2004b))
– 生態系を構成するビジネスネットワーク(e.g., マイクロソフト、
ウォルマート)
– 企業と産業の枠を超えて、緩やかに連携する相互依存のシ
ステム
• エコシステムの中核企業は、エコシステムの健全性を改善する
中核的戦略「キーストーン戦略」をとる
– キーストーン戦略の二大要素: ①価値の創出、②価値の共有
・単体の「モノ作り」という世界ではなく、複数の異なるプレーヤーが協調と競争の中で
市場を作る生態系、デジタルエコシステムという世界に変わった。
・供給者から消費者(利用者)への一方的な商品やサービスの提供ではなくなってきて
いる。同業他社あるいは異業種の連携によって複数のプレーヤーが協働し、新たな
価値を継続的に生み出す仕組み作りが必要になる。
(谷脇康彦(2012:5)(2012:210))
15
バリューチェーンから
ビジネス・エコシステムへ
(図出所: 立本博文(2011:15)図4を筆者が一部修正)
• Value Chain Model
U
U
U 上流企業
X 自社
• Business Eco-System
プラットフォーム企業 P
補完財企業 C
システムユーザ S
U
P
コンセンサス標準化の戦略活用
C
X
ネットワーク外部性
D 下流企業
C
X
C
D
D
D
自社Xの競争戦略: 川上企業Uの影響力
を減らし、川下企業Dへの交渉力を増やし、
獲得する付加価値を最大化
S
S
自社Xの競争戦略: ネットワーク外部性が
あるので、補完財企業Cと協力した方が
利益増進
16
プラットフォーム企業の価格戦略
• Two-sided market (立本博文(2011:20-22)と図6を筆者が一部修正)
プラットフォーム企業
市場A (money market)
普及を促す市場
産業標準等による
ネットワーク外部性
市場B (subsidy market)
収益を得る市場
プラットフォーム企業の戦略: 2つの市場を創出し、需要創造をダイナミックに行う。
①オープン領域とクローズド領域をはっきり分ける(プラットフォームの分離効果)
②オープン領域に新規参入者(新規企業、新興国企業)を呼び込み、手助けする
プラットフォーム提供事業に変化
③オープン領域の成長がクローズド領域の成長を牽引
17
潮流4: SNSやウェブを活用した新しい資金調達の出現
Cloud Funding: 資本「市場」との訣別
• クラウドファンディング(保井俊之(2012b:176-180))
– IT技術やSNSの発達
• ITのマッチング機能を利用、小口多数の寄附・出資を創業
するベンチャー起業家に結び付ける
– 最初はアートや社会企業の起業から
• 最近はベンチャーファンド的機能のクラウドファンディングも
• 米国ではオバマ政権下で2012年4月、JOBS Act (Jumpstart Our
Business Act)が成立
– 新たな起業振興の試み(千田雅彦(2011:38-47))
• 新興企業の財務報告、内部統制、開示規制の緩和
• クラウドファンディングでの資金調達の公認、手続きの簡素
化(SEC登録の緩和や投資家出資の純資産要件の緩和など)
ベンチャーファンドやIPOなど、既存の資本市場ツールに依存しない手法の台頭
18
問題の所在:立ち遅れた
これまでの日本の成長政策アプローチ
• 問題1: 「サービス経済化の一層の進展」なのに
– 「ものづくり日本」の要素技術振興への「信仰」
– サービスドミナントロジックの視点が欠如した産業政策
• 問題2: 「顧客起点の製品・サービスづくり」なのに
– 顧客欲求に根差した価値づくりではない、テクノロジーベース
の産業政策
• 問題3:「企業や「業」を超える製品・サービスの価値ネットワーク 」
なのに
– 「業」を超えられない、所管部局単位の産業政策
– 日本型「死の谷」にフォーカスしない創業振興政策
• 問題4: 「SNSやウェブを活用した新しい資金調達の出現」なのに
– 資金ニーズの量的補完に偏した起業・中小企業政策
19
「残念な」日本企業の努力
品質
信仰
マーケティ
ングなきイ
ノベーショ
ン
技術
過信
日本が歩んだ衰退の道
(三品和広(2011))
20
日本の競争力劣化:
何が原因なのか?
有識者100人に
聞いてみました
21
Causal Relation Diagram (Senge1990)によるまとめ
直面する課題
1.向かうべき方向性
向かうべき競争力強化の方向
交易条件の悪化
グローバル競争の
激化
内需の低迷
(期待成長率の
低下)
人口動態の変化
(人口減少・高齢
化)
2.克服すべき問題のつながり
「ゾンビ企業」問題
不採算企業
への低利融
資
起業のノ
ウハウ不
足
その他
の課題
国内市場
で「食えて
きた」経験
技術シーズの死蔵
ニュープレイヤーの不足
(成長分野
の)参入規
制
起業が失敗
した際のリ
スク
企業間の壁
(オープンイノ
ベーションの
不足)
マッチング機
会の不足
起業の成
功事例の
少なさ
高付加価値化、
差別化
リスクを採
り起業する
人材の不
足
ダイバーシ
ティ・人材交流
の不足
エクイティの
出し手(VC、
PE)不足
企業内・大学
での人材育成
の不足
グローバル展開、
新たな事業創出
立地条件
の改善
サービス化の遅れ
ガラパゴス化(国
内市場に特化し
た製品等)
国内市場
偏重
国外ニーズと
のミスマッチ
海外展開戦略
の不足
国際競争
力の不足
技術シーズの
死蔵、事業化
の不成功
サービス化
への対応
の遅れ
法人税負担
企業の
業績不
振
経済連携の
遅れ
原発
の停
止
エネル
ギー価
格
ニーズ主導
の事業価値
作りの不全
企業内の部門
間の壁(日本
型死の谷)
技術・モノ
づくりへの
固執
立地条件
グローバル人
材の不足
国内でも需
要創出でき
ず
事業再編の遅れ
事業目利きを
できる人材の
不足
IPO市場
の低迷
アーリース
テージの資金
不足
クラウドファ
ンディング
の未発達
イノベーション
の促進
国内競合
相手への
警戒
生産性の低
い企業の延
命
(成長分野へ
の)新規参入
の低迷
エクイティ投資
の促進
ガラパゴス問題
凡例:
ボトルネックと
なっている課題
早期退出を
遅らせる規
制、政策等
経済の
新陳代謝
低価格競争
(コモディティ化)
労働市場の
流動性不足
リスクを採ら
ない経営、雇
用の重視
不採算事業
の延命、
新事業創出
の低迷
株式持合
い、銀行へ
の依存
ガバナンス
の機能不
全
大企業の
経営人材
の不足
事業再編に
係る規制
内部留保の
積み上がり
エクイティ
の不足
金融機関
のリスク回
避構造
ガバナンスの機能不全
22
(注)分析の方法論は、Enterprise Architechture(AS ISとTO BE)については、The Chief Information Officers Council (1999) Federal Enterprise Architecture Framework, Version 1.1, September 1999、また、因果関係ダイヤグラ
ム(CRD)については、Senge, P.M. (1990) The Fifth Discipline: the Art & Practice of the Learning Organization, New York: Doubleday並びにSterman, J.D. (2000) Business Dynamics: System Thinking and Modeling for a
Complex World, Boston: McGraw Hill Higher Educationによる。
Causal Relation Diagram (Senge1990)によるまとめ
日本の競争力劣化: 八つのレバレッジポイント
直面する課題
1.向かうべき方向性
向かうべき競争力強化の方向
交易条件の悪化
グローバル競争の
激化
経済の
新陳代謝
低価格競争
(コモディティ化)
エクイティの出し手
(VC, PE)不足
内需の低迷
(期待成長率の
低下)
人口動態の変化
(人口減少・高齢
化)
2.克服すべき問題のつながり
「ゾンビ企業」問題
ニュープレイヤーの不足
起業のノ
ウハウ不
足
アーリース
テージの資金
不足
国内市場
で「食えて
きた」経験
技術シーズの死蔵
企業間の壁
(オープンイノ
ベーションの
不足)
内部留保の
積み上がり
(成長分野へ
の)新規参入
の低迷
起業が失敗
した際のリ
スク
マッチング機
会の不足
リスクを採
り起業する
人材の不
足
起業の成
功事例の
少なさ
国内市場
偏重
ダイバーシ
ティ・人材交流
の不足
クラウドファ
ンディング
の未発達
IPO市場
の低迷
ノベーションの不足)
エクイティの
出し手(VC、
PE)不足
企業内・大学
での人材育成
の不足
サービス化
への対応
の遅れ
技術・モノ
づくりへの
固執
ガラパゴス化(国内市
場に特化した製品等)
国際競争
力の不足
技術シーズの
死蔵、事業化
の不成功
立地条件
グローバル人
材の不足
国内でも需
要創出でき
ず
法人税負担
企業の
業績不
振
経済連携の
遅れ
エネル
ギー価
格
リスクを採らない
経営、雇用の重視
ニーズ主導
の事業価値
作りの不全
企業内の部門
間の壁(日本
型死の谷)
原発
の停
止
事業再編の遅れ
事業目利きを
できる人材の
不足
企業間の壁(オープンイ
国外ニーズと
のミスマッチ
海外展開戦略
の不足
国内競合
相手への
警戒
生産性の低
い企業の延
命
(成長分野
の)参入規
制
その他
の課題
立地条件
の改善
サービス化の遅れ
ガラパゴス化(国
内市場に特化し
た製品等)
事業目利きを
できる人材の不足
不採算企業
への低利融
資
早期退出を
遅らせる規
制、政策等
高付加価値化、
差別化
エクイティの不足
イノベーション
の促進
ガラパゴス問題
凡例:
ボトルネックと
なっている課題
グローバル展開、
新たな事業創出
エクイティ投資
の促進
リスクを採ら
ない経営、雇
用の重視
不採算事業
の延命、
新事業創出
の低迷
事業再編に
係る規制
内部留保の
積み上がり
企業内の部門間の壁
(日本型死の谷)
労働市場の
流動性不足
株式持合
い、銀行へ
の依存
大企業の
経営人材
の不足
ガバナンス
の機能不
全
エクイティ
の不足
金融機関
のリスク回
避構造
ガバナンスの機能不全
23
(注)分析の方法論は、Enterprise Architechture(AS ISとTO BE)については、The Chief Information Officers Council (1999) Federal Enterprise Architecture Framework, Version 1.1, September 1999、また、因果関係ダイヤグラ
ム(CRD)については、Senge, P.M. (1990) The Fifth Discipline: the Art & Practice of the Learning Organization, New York: Doubleday並びにSterman, J.D. (2000) Business Dynamics: System Thinking and Modeling for a
Complex World, Boston: McGraw Hill Higher Educationによる。
日本の競争力劣化:
歴史的な俯瞰
24
1980
1990
2000
2010
リ・エンジニアリング
ビッグスリーの凋落
(ハルバースタム「覇者の驕り」)
サービス経済化の進展
リーン・エンジニアリング
政治・経済・地政学
リスクの融合
(ユーラシア・グループ)
テロとの戦い
9.11テロ
サービスドミナントロジック
オープンイノベーション
アウトソーシング
米国
IT化の
進展
新自由主義
(フランシス・フクヤマ「歴史の終わり」)
日本への市場開放要求
(日米円ドル委員会、日米構造協議、日米包括協議)
EU
グローバル化
(トム・フリードマン
「レクサスとオリーブの木」
「フラット化する世界」)
ユーロ通貨統合
と「東欧」の崩壊
日本
自動車・電機の
グローバル市場への進出
(盛田昭夫「メードインJAPAN」)
都銀の欧米進出と
バーゼル合意による「頭おさえ」
「円高不況」
と金融緩和
バブル
の生成
時価会計や
バーゼル規制
の世界的流布
グローバル化への対応
嫌米の時代
(石原慎太郎「NOと言える日本」)
バブル崩壊
と「失われた20年」
小泉・竹中
構造改革路線
100兆円の
不良債権処理
モノ作りの凋落
(家電・自動車)
クルーグマンの日本・ASEANの
「量的成長モデル」批判
中国、インド
その他アジア
台湾・マレーシアの
ファウンドリービジネス
アジア通貨危機と「ワシントン・
コンセンサス」批判(スティグリッツ)
鄧小平「南巡講話」
と改革開放路線
ロシア
その他CIS諸国
中国の
WTO加盟
CIS諸国の
新自由主義的制度改革
ソ連の崩壊
と冷戦の終わり
G20体制の成立
中国の
「世界の工場」化
ソ連軍の
アフガン撤退
イスラム原理主義
の台頭
Gゼロ
(ユーラシア・グループ)
「爆食経済」
中国
「中国を向く」
東南アジア諸国
BRICsの台頭
(ゴールドマン・サックス)
米CIAによる
ムジャヘディン
支援
「コンクリートから人へ」
コモディティ化の罠
TQM運動
(カイゼン、カンバン)
中東イスラム圏
先進国経済の
「総日本化
(Japanization)」
欧州通貨
危機
ヨーロッパ型コーポラティズム
資本主義との衝突と妥協
(ウルマー「折れたレール」、
ザイフェルト「もの言う株主」)
ユーロオプティミズム
日本型システムへの注目
(ドラッカー)
リーマン・ショック
米国型資本主義制度
のグローバル輸出
「第3の道」(ギデンズ)
とベターレギュレーション
サッチャリズムと新保守主義
ビジネス・エコシステム
(アップル・グーグルの「一人勝ち」)
ドル高政策とファンド資本主義
プラザ合意
(ドル覇権のゆらぎ)
ベルリンの壁崩壊
B2CからC2Bへ(価値協創)
原油・天然ガス
価格高騰と
「資源ナショナリズム」
「先老未富」
と欧州資本
のデレバレッジ
成長の
減速
沸騰するナショナリズム
「国家資本主義」
(イアン・ブレマー)
25
アラブの春
サービス化、オープンイノベーション、
並びに価値協創の進展への劣後
1980
1990
2000
2010
リ・エンジニアリング
ビッグスリーの凋落
(ハルバースタム「覇者の驕り」)
サービス経済化の進展
リーン・エンジニアリング
政治・経済・地政学
リスクの融合
(ユーラシア・グループ)
テロとの戦い
9.11テロ
サービスドミナントロジック
オープンイノベーション
アウトソーシング
米国
IT化の
進展
新自由主義
(フランシス・フクヤマ「歴史の終わり」)
日本への市場開放要求
(日米円ドル委員会、日米構造協議、日米包括協議)
EU
グローバル化
(トム・フリードマン
「レクサスとオリーブの木」
「フラット化する世界」)
ユーロ通貨統合
と「東欧」の崩壊
日本
自動車・電機の
グローバル市場への進出
(盛田昭夫「メードインJAPAN」)
都銀の欧米進出と
バーゼル合意による「頭おさえ」
「円高不況」
と金融緩和
バブル
の生成
時価会計や
バーゼル規制
の世界的流布
グローバル化への対応
嫌米の時代
(石原慎太郎「NOと言える日本」)
バブル崩壊
と「失われた20年」
小泉・竹中
構造改革路線
100兆円の
不良債権処理
モノ作りの凋落
(家電・自動車)
クルーグマンの日本・ASEANの
「量的成長モデル」批判
中国、インド
その他アジア
台湾・マレーシアの
ファウンドリービジネス
アジア通貨危機と「ワシントン・
コンセンサス」批判(スティグリッツ)
鄧小平「南巡講話」
と改革開放路線
ロシア
その他CIS諸国
中国の
WTO加盟
CIS諸国の
新自由主義的制度改革
ソ連の崩壊
と冷戦の終わり
G20体制の成立
中国の
「世界の工場」化
ソ連軍の
アフガン撤退
イスラム原理主義
の台頭
Gゼロ
(ユーラシア・グループ)
「爆食経済」
中国
「中国を向く」
東南アジア諸国
BRICsの台頭
(ゴールドマン・サックス)
米CIAによる
ムジャヘディン
支援
「コンクリートから人へ」
コモディティ化の罠
TQM運動
(カイゼン、カンバン)
中東イスラム圏
先進国経済の
「総日本化
(Japanization)」
欧州通貨
危機
ヨーロッパ型コーポラティズム
資本主義との衝突と妥協
(ウルマー「折れたレール」、
ザイフェルト「もの言う株主」)
ユーロオプティミズム
日本型システムへの注目
(ドラッカー)
リーマン・ショック
米国型資本主義制度
のグローバル輸出
「第3の道」(ギデンズ)
とベターレギュレーション
サッチャリズムと新保守主義
ビジネス・エコシステム
(アップル・グーグルの「一人勝ち」)
ドル高政策とファンド資本主義
プラザ合意
(ドル覇権のゆらぎ)
ベルリンの壁崩壊
B2CからC2Bへ(価値協創)
原油・天然ガス
価格高騰と
「資源ナショナリズム」
「先老未富」
と欧州資本
のデレバレッジ
成長の
減速
沸騰するナショナリズム
「国家資本主義」
(イアン・ブレマー)
26
アラブの春
1980
1990
2000
2010
アジアの「モノづくり力」の追い上げ
リ・エンジニアリング
ビッグスリーの凋落
(ハルバースタム「覇者の驕り」)
サービス経済化の進展
リーン・エンジニアリング
政治・経済・地政学
リスクの融合
(ユーラシア・グループ)
テロとの戦い
9.11テロ
サービスドミナントロジック
オープンイノベーション
アウトソーシング
米国
IT化の
進展
新自由主義
(フランシス・フクヤマ「歴史の終わり」)
日本への市場開放要求
(日米円ドル委員会、日米構造協議、日米包括協議)
EU
グローバル化
(トム・フリードマン
「レクサスとオリーブの木」
「フラット化する世界」)
ユーロ通貨統合
と「東欧」の崩壊
日本
自動車・電機の
グローバル市場への進出
(盛田昭夫「メードインJAPAN」)
都銀の欧米進出と
バーゼル合意による「頭おさえ」
「円高不況」
と金融緩和
バブル
の生成
時価会計や
バーゼル規制
の世界的流布
グローバル化への対応
嫌米の時代
(石原慎太郎「NOと言える日本」)
バブル崩壊
と「失われた20年」
小泉・竹中
構造改革路線
100兆円の
不良債権処理
モノ作りの凋落
(家電・自動車)
クルーグマンの日本・ASEANの
「量的成長モデル」批判
中国、インド
その他アジア
台湾・マレーシアの
ファウンドリービジネス
アジア通貨危機と「ワシントン・
コンセンサス」批判(スティグリッツ)
鄧小平「南巡講話」
と改革開放路線
ロシア
その他CIS諸国
中国の
WTO加盟
CIS諸国の
新自由主義的制度改革
ソ連の崩壊
と冷戦の終わり
G20体制の成立
中国の
「世界の工場」化
ソ連軍の
アフガン撤退
イスラム原理主義
の台頭
Gゼロ
(ユーラシア・グループ)
「爆食経済」
中国
「中国を向く」
東南アジア諸国
BRICsの台頭
(ゴールドマン・サックス)
米CIAによる
ムジャヘディン
支援
「コンクリートから人へ」
コモディティ化の罠
TQM運動
(カイゼン、カンバン)
中東イスラム圏
先進国経済の
「総日本化
(Japanization)」
欧州通貨
危機
ヨーロッパ型コーポラティズム
資本主義との衝突と妥協
(ウルマー「折れたレール」、
ザイフェルト「もの言う株主」)
ユーロオプティミズム
日本型システムへの注目
(ドラッカー)
リーマン・ショック
米国型資本主義制度
のグローバル輸出
「第3の道」(ギデンズ)
とベターレギュレーション
サッチャリズムと新保守主義
ビジネス・エコシステム
(アップル・グーグルの「一人勝ち」)
ドル高政策とファンド資本主義
プラザ合意
(ドル覇権のゆらぎ)
ベルリンの壁崩壊
B2CからC2Bへ(価値協創)
原油・天然ガス
価格高騰と
「資源ナショナリズム」
「先老未富」
と欧州資本
のデレバレッジ
成長の
減速
沸騰するナショナリズム
「国家資本主義」
(イアン・ブレマー)
27
アラブの春
感度の高い企業は取り組みを
始めている
(写真出所: 2012年2月慶應SDMイノベーティブデザインスクール主催クリエイティブ人材研修にて、慶應SDM提供)
28
事例① テルモの「痛くない注射針」
●中小企業の技術を活用し、世界で最も細く・痛みのない注射針「ナノパス33」を開発
●中小企業の優れた技術力を医療機器の開発・製造に活用するために、中小企業の技術力の情報収集に取り組む。
テルモ
・1921年開業 (東京都渋谷区)
・従業員数18,112名(テルモグループ)
・資本金387億円
・医療機器国内首位メーカー(カテーテルや人工心肺など心臓・血管領域
では、世界で高いシェアを有している。)
岡野工業(株)
・1993年開業(東京都墨田区)
・従業員数6名
・資本金1000万円
・金属加工では「世界的職人」「金型の魔術師」と呼ばれる。
ニーズ
①注射の際の痛みを軽減してあげたい
(針が細くなるほど、皮膚表面にある痛みを感じる点に触
れる可能性が低くなり、痛みを感じなくなる。)
②従来の注射針(外径も内径も一定の太さのパイプ状)
では、針を細くすると薬液を注入する際に抵抗が増して、
注射しづらくなるため、針の太さを細くすることには限界
があった。
痛みを軽減できる注射針を成形できる技術を求めて、
100社近くの会社に依頼したが、「できない」と断られた。
③従来のパイプを伸ばす手法を転換して、プレス加
工技術を活用し、扇状の薄い板を丸めて成形するこ
とで、先へ行くほど細くなる構造で製品化に成功
平成17年、人間の毛髪よりも細い注射針「ナノパスニードル」誕生
・先端の外形は、わずか0.2mm(従来の注射針よりも20%細い)⇒ 「蚊」の針の太さと同じ ≒ 痛くない!
・インスリンを1日に数回、自分で注射しなくてはならない糖尿病患者等の身体的負担と心理的負担を軽減
(図出所:「平成24年度第3回全国財務局長会議席上配布資料」(関東財務局、2012年10月31日)関東財務局ウェブサイト
(http://kantou.mof.go.jp/keizai/kyokutyou/2410.pdf) より、島谷和孝氏作成資料を重引
29
事例② 大阪ガスのSOFC
●大阪ガス・京セラ・トヨタ・アイシン精機の4社のコア技術を結集することで、商品化が加速。
大阪ガス
京セラ・トヨタ・アイシン精機
ニーズ
①電解質にセラミックスの集合体を用いた家庭用SOF
C(固体酸化物形燃料電池)
⇒高い発電効率が期待され、コンパクトな設計が可能
②ただし、セラミックス製のセルスタック(セル(発電体)
を、出力を高めるために組み合わせたもの)が高温にな
ると、割れやすいという欠点があった。
100本以上のセルを
直列に接続
セル
③京セラ
ファインセラミック技術に基づく優れた耐熱性
+
③トヨタ・アイシン精機
セルスタック
システム化技術に基づくユニットの小型化
③大阪ガスのコジェネレーション技術
(排熱を利用して給湯、暖房等に活用する技術)
高効率・コンパクトな次世代燃料電池SOFCの開発に成功
・平成21年 大阪ガス、家庭用燃料電池「エネファーム」を発売
・総合効率に占める発電効率の割合が高いため、熱需要が比較的少ない住宅でも環境性・経済性のメリットを充分に発揮。
・発電ユニットが小型なので、スペースに制約のある戸建住宅や集合住宅への設置性にも優れる。
図出所:「大阪ガスグループが推進する『オープンイノベーション』」(大阪ガス、2011年12月13日)大阪ガスウェブサイト
(http://www.osakagas.co.jp/company/efforts/rd/innovation/index.html)等から、島谷和孝氏作成資料を重引。
30
事例③ シャープの「ヘルシオ」
●大学の環境浄化技術として研究されていた過熱水蒸気を活用し、 「水で焼く夢の調理器 ヘルシオ」を開発
●シャープには、大阪府立大の出身者が多く、大学との連携は研究室レベルの個人的人脈が契機となった。
シャープ
大阪府立大学
ニーズ
①健康志向の高まり 「健康とおいしさの両立」
②業務用としての過熱水蒸気技術はあったが、
家庭用だと100ボルト電源(せいぜい1.4kW)
⇒過熱水蒸気をオーブン庫内全体に当てること
は不可能。
【基礎研究】
・食品調理の可能性検討
・新調理器の原理モデル開発
【アカデミック・マーケティング】
・効果・効能の探索
・食品中の各主成分測定方法
の検討
・各種効能評価の検討
・効能メカニズムの解明
大西助教授(工学部)
専門:環境工学
③農工連携により、環境浄化技術と
して過熱水蒸気を研究
⇒既に大学にあった装置を活用し、
熱水蒸気を、いかに選択的に、効率
よく、最適量の水蒸気を食品に当て
るかを徹底的に追求した。
宮武教授(農学部)
専門:生命環境科学
平成16年、過熱水蒸気オーブン「ヘルシオ」誕生
・過熱水蒸気での調理では油を使わないため、無駄な油の摂取を避けることができ、各種の栄養素も壊れない。
(脱油、減塩、ビタミンCをキープ)
・10万円という価格にもかかわらず1ケ月の売り上げが2万台に達する大ヒットを達成。
図出所:「オープンイノベーションのすすめ」(ニッセイ基礎研究所、2007年8月)ニッセイ基礎研ウェブサイト(http://www.nli-research.co.jp/report/report/2007/08/repo0708-3.pdf)から、
島谷和孝氏作成資料を重引。
31
事例④ ダイハツ工業の「インテリジェント触媒車」
●公的機関と共同し、世界初の自己再生機能を持つ、いわば「不老不死」の触媒の科学的原理を解明。
●また、他企業とも積極的に連携することで実用化。
ダイハツ工業
ニーズ
①自動車排出ガス浄化装置の触媒として貴金属(パラジ
ウム等)が必須だが、価格の高騰等により、貴金属の使用
量を削減する必要。
日本原子力研究所・触媒関連メーカー
③兵庫県にある大規模な放射光実験施設Spring-8
にて、放射光X 線を用いた結晶構造解析で分析した
結果、新型触媒は自動車の排出ガス中で自己再生
機能を有し、原理的には劣化しないことが判明。
②パラジウムとペロブスカイトという物質を組み合わせた
新型触媒では、排気ガス浄化機能が長持ちすることが判
明。ただし、その理由は不明なまま。
+
(株)北興化学工業 (触媒原料メーカー)
材料の提供
+
(株)キャタラー(触媒メーカー)
触媒の製造、実用量産化
14年間の研究開発期間を経て、インテリジェント触媒搭載車発売
・2005年12月 さらにロジウム・白金が自己再生するスーパーインテリジェント車発売
・2007年6月現在、売上実績、累計300万台突破
・現在、月産5万台以上に搭載
・グローバルスタンダードへの期待
図出所: 「経済産業省産業構造審議会産業技術分科会報告書『イノベーション創出のための鍵とエコイノベーションの推進』 におけるイノベーション創出のための取り組み事例集」(東京海上日
動リスクコンサルティング株式会社経営リスクグループ、2008年3月) 経済産業省ウェブサイト(http://www.meti.go.jp/policy/economy/gijutsu_kakushin/innovation_policy/pdf/jirei.pdf)より、
島谷和孝氏作成資料を重引
32
事例⑤ つくばイノベーションアリーナ(TIA)拠点のナノテク研究
●世界水準の先端ナノテク研究設備・人材が集積するつくばにおいて、産総研・物材機構・筑波大学が中核となって、世界的なナノテク研究
拠点の構築を目指す。
●そのために、経済産業省・文部科学省が連携して、日本が強みを有するコア領域の研究環境整備のための予算を措置。
●主要企業・大学と連携網を広げ、産学官に開かれた融合拠点として、ナノテクの産業化と人材育成を一体的に推進。
5つのコア領域
パワーエレクトロニクス
・SiC基板→デバイス→システムまで統合的なパワー半導体の研究開発・実証
(想定参画企業等)
新日鉄、デンソー、住友金属、三菱電機、東芝、日立、富士電機、トヨタ、日産、ホンダ、京大、東工大等
ナノエレクトロニクス
・ナノCMOS
・新材料
・シリコンフォトニクス
・バックエンドデバイス
・カーボンエレクトロニクス
・先端リソグラフィー
(想定参画企業等)
NEC、富士通、日立、東芝、三菱電機、ルネサステクノロジ、東京エ
レクトロン、荏原製作所、東大、慶大等
ナノグリーン
・ナノテクを活用し
た環境技術研究
物材機構等
N-MEMS
高付加価値多品種/量産集積NMEMS
(想定参画企業等)
オムロン、オリンパス、パナソニック電工、
東北大、立命館大等
カーボンナノチューブ
・CNT量産実証と多様な用途材料とCNTとの融
合材料開発
(想定参画企業等)日本ゼオン、東レ、帝人、NEC、
住友精密、東大、九大等
ナノ材料安全評価
・ナノ材料安全に係る世
界的データの集積・評価
産総研等
3つのコアインフラ
ナノデバイス実証評価ファンドリー(産総研)
・プロトタイプデバイス(線幅45-65nmMOS、N-MEMS等)試作・実
証・評価(φ200-300mm)
・SiCパワーデバイス試作・実証・評価
産総研
ナノテク共用施設
・産総研・物材機構の産学官共用研究設備(ナノ計測、ナノ加工等)
物材機構、産総研、共有設備利用ユーザ
ナノテク大学院連携
・筑波大学、関係大学と連携し
たナノテク大学院機能
(想定関係機関)
筑波大、東京理科大、芝浦工
大、産総研、物材機構等
33
図出所: 総合科学技術会議基本政策専門調査会・研究開発システムWG(第2回)配布資料(経済産業省、2010年2月17日)内閣府ウェブサイト(http://www8.cao.go.jp/cstp/project/kenkyu/haihu7/siryo6.pdf)から、
事例⑥ オムロンヘルスケアの「ねむりラボ」
オムロンヘルスケア
株式会社ロフトワーク
Facebookの「ねむりラボ」ページ
(出所)http://www.facebook.com/nemurilab
企業と顧客の価値協創
によるオープンイノベーション
•
2011年10月、眠りの状態をモニターする睡眠計の発
表とともに、「眠りの秘密」をひもとく情報サイト「ねむり
ラボ」をオープン
•
「ねむりラボ」は製品を売るサイトではなく、企業と顧客
が「よいねむり」を議論し、共創する「場」として設計。
会社の外に、意図的に設置。
•
睡眠計の提供価値の追求ではなく、「ねむりの価値」
の顧客との協創に根差したプロジェクト。
「ねむりラボ」の運営にfacebookをフル活用。フォロワ
ーは1万2千人以上に。
リーンスタートアップの実践。まず1カ月半でウェブサイ
ト構築、その後半年かけて「ねむりの価値」の協創。睡
眠計発売2週間後には、売上目標180%達成。
•
•
•
価値の追求は、製品がなくてもできるという考え方の
ブレークスルー。具体的コンテンツとして、化粧品メー
カーとのタイアップで体内時計と美肌の関係の検証。
(出所) 株式会社ロフトワークウェブサイトhttp://www.loftwork.jp/profile.aspx
オムロンねむりラボウェブサイトhttp://nemuri-lab.jp/about/
34
しかし、彼らの背後
には、事業化を躊躇
している数千人が
いる。
35
事例⑥
障がい者が自転車のように走れる車椅子
複数の大手ものづくりメーカーの若手技術者が会社に隠れて、
ソーシャルデザインコンテストに応募、背中を押されて起業
出所: Whillウェブサイト(http://whill.jp/product/)
36
事例⑦
室内散歩が仮想体験できる
3Dモデリング
超大手ものづくりメーカーの若手技術者は、自分たちの技術シーズ
を事業化するために、「脱藩」して自己資金で起業せざるを得なかった。
出所: カディンチェ株式会社ウェブサイト(http://www.kadinche.com/services/3d)
37
事例⑧
ライフスタイルを模索し続ける技術
プロダクトを開発した後に、それを活かせるライフスタイルを探し、
博物館と共同実証研究を続ける大手輸送機メーカーの技術者たち
出所: ホンダ技研ユニカブウェブサイト(http://www.honda.co.jp/UNI-CUB/about/)
38
政策ニーズ: 産業政策の方向シフト
SDLの重視
• 「モノ作り」から「コトづくり」
へ
価値づくり
• 顧客の欲求を開発段階で
価値協創として取り組む
価値協創プラッ
トフォームづくり
ビジネス生態
系としての振興
• タテ割りの振興政策から系
(システム)としての振興
企業内「死の谷」を
超えるオープンイノ
ベーション
新しい資金調
達のあり方
• 量的補完ではなく、シグナ
ル効果としてのリスクマネー
エクイティと
シグナル効果
着眼点
具体的方向性
持つべき要素
サービス指向とシ
ステムズアプローチ
新指向に合った政策手段の構築が必要。
39
ご静聴ありがとうございました。
(写真出所) 2011年4月13日、尾道にて著者撮影
40
参考文献①
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