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その他事業 一般貨物輸送事業 不定期専用船事業

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その他事業 一般貨物輸送事業 不定期専用船事業
セグメント別パフォーマンス
3月31日に終了した各連結会計年度
一般貨物輸送事業
売上高
(億円)
15,000
定期船事業
航空運送事業
10,000
物流事業
5,000
0 06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
(年度)
■ 定期船事業 ■ 航空運送事業 ■ 物流事業
* 2006年度の航空運送事業の数値はその他の事業に含まれています。
不定期専用船事業
売上高
(億円)
12,000
ドライバルク輸送事業
エネルギー輸送事業
8,000
海洋事業
自動車輸送事業
4,000
0 06
その他事業
07
08
09
10
11
12
13
14
15
07
08
09
10
11
12
13
14
15
(年度)
売上高
(億円)
不動産業
4,000
その他の事業
3,000
2,000
1,000
0 06
■ 不動産業 ■ その他の事業
* その他の事業に客船事業を含んでいます。
56
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
(年度)
定期船事業
経常損益
コンテナ船部門では、北米航路は比較的堅調に推移しました
(億円)
800
が、欧州航路においては新造大型船の竣工・投入による供給
圧力が強く、域内景気の低迷等を背景とした欧州向け貨物需
400
要の落ち込みにより需給ギャップが拡大し、歴史的低水準の
0
非常に厳しい市況が続きました。その他の航路においても主
に欧州航路からの転配により生じた投入船型の大型化が、需
−400
給バランスを崩しました。サービス面では、当社の属するG6ア
−800 06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
ライアンスでは大きな航路改編はなく、需要に見合ったサー
(年度)
■ 定期船事業 ■ 航空運送事業 ■ 物流事業
* 2006年度の航空運送事業の数値はその他の事業に含まれています。
ビスの合理化を進めるなど、競争力の維持に努めました。また
アジア航路・南米東岸航路で効率を高めるために航路改編を
行い、一部不採算航路ではサービスを休止しました。
コスト面では、前年度に引き続き不経済船を返船するほか、
経常損益
船舶の改造による燃費向上や燃費効率の良い船舶の投入に
(億円)
より、船費や運航費の削減に注力しました。また、投入船の大
2,000
型化による輸送効率の改善やサービスの特性に合わせた配
1,500
船、無駄なコストを発生させない効率的な配船計画を立案し
1,000
実行するなどの最適経済運航を引き続き徹底し、市況変動リ
スクへの耐性向上に努めました。営業面では、国ごとに目標を
500
定めて積高の増加を目指す管理手法を一層強化することで消
0
−500 06
07
08
09
10
11
12
13
14
席率の向上を図るなど、採算性の改善に努めました。国内・海
15
(年度)
外コンテナターミナルの総取扱量は前年度比で増加し、定期
船事業全体では前年度比では増収でしたが、赤字を計上しま
した。
航空運送事業
経常損益
(億円)
150
航空運送事業は、輸送品質の向上や顧客ニーズへの迅速な
対応により貨物専用機固有の貨物の集荷に継続して取り組
75
みました。また、コードシェア便の運航により貨物便ネットワー
0
クの拡充にも努めました。燃料油価格の下落に伴う燃油サー
チャージの減少により減収となったものの、前年度からの北
−75
米西岸の港湾混雑に伴う航空貨物機への振替輸送の活況と
−150 06
07
08
09
10
11
12
13
14
コスト削減の継続により、増益となりました。
15
(年度)
■ 不動産業 ■ その他の事業
* その他の事業に客船事業を含んでいます。
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NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
物流事業
著しく低迷しました。このような状況下、当社グループは市況
の変動に左右されにくい契約の獲得に努めた一方で、余剰船
航空貨物事業は北米西岸の港湾混雑による緊急需要の終
の返船や売船、効率運航の徹底等のコスト削減に引き続き取
息に伴う反動もあり、取扱量は前年度に及びませんでしたが、
り組むとともに、貨物の組み合わせや配船の工夫によりバラス
海上貨物輸送は、販売の拡大により競争力が向上するととも
ト航海を減らすなど、収支の向上に努めました。
に、アジアを中心に取扱量を伸ばしました。ロジスティクス事
リキッド部門では、新造船の竣工が続き解撤は進みません
業は、業務改革によるコスト削減に取り組むとともにアジアを
でしたが、荷動きの多様化による輸送距離の伸長により、総
中心にサービスの拡充を図りました。内航輸送事業では主要
じて市況は前年度を上回りました。VLCC では中国の備蓄需
航路で新造船へのリプレースが完了し荷動きも好調でした。
要が上乗せされ、石油製品タンカーは東西荷動きの増加によ
これらの結果、物流事業全体としては前年度比増収増益とな
り前年度を上回りました。LPG 船は米国出し東アジア向け輸
りました。
送距離増により、LNG 船は安定的な収益を生む長期契約に
支えられそれぞれ順調に推移しました。海洋事業では新たに
不定期専用船事業
2隻目の FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)
がブラジル沖で稼働を開始し、
ドリルシップ、シャトルタンカー
自動車輸送部門では、北米やアジア地域等への堅調な輸送
も順調に稼働しました。以上の結果、不定期専用船事業全
需要に着実かつ効率的な配船で対応した結果、当社グルー
体では前年度比減収減益となりました。
プ全体の完成車海上輸送台数は前年度と比較して微増とな
不動産業、その他の事業
りました。また、前年度より順次就航している高い燃費効率の
大型船が、業績の向上に寄与しました。自動車物流では、サ
ウジアラビアやコロンビアでの完成車物流サービスの事業会
不動産業は、所有物件の若返りを図る目的から建替え、売却
社の共同設立を現地企業と合意したことに加えて、中国とイン
および新規物件の購入等を進め、売上高、経常利益ともにほ
ドにおいて拡大する需要に対応すべく新たな完成車物流施設
ぼ前年度並みとなりました。その他の事業は、原油安の影響
の稼働を開始し、多様な付加価値サービスを提供することで
で商事部門の船舶用燃料油の販売価格が大きく低下し、ま
顧客のニーズに沿った一層の事業拡大を着実に進めました。
た飛鳥クルーズでは台風の影響により一部のクルーズでキャン
ドライバルク部門では、世界の鉄鉱石・穀物の荷動きは増
セルが発生したことなどから前年度比減収減益となりました。
加しましたが、石炭の荷動きは減少しました。ドライバルカー
なお、第1四半期に Crystal Cruise 社を売却したことに伴い、
の解撤はケープサイズを中心に進んだものの新造船の竣工も
「客船事業」を「その他の事業」に含めて表示する方法に変更
続いた結果、船腹過剰の解消に至らず2016年2月には BDI
しています。
が史上最低水準まで下落するなど全船型・全水域で市況は
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NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
事業環境データ
(2016年3月31日現在)
定期船事業
ドライバルク輸送事業
定期船運賃推移 *1
ドライバルカー運賃推移
(1998年1月1日=1,000point)
(1985年1月4日=1,000point)
14,000
2,500
12,000
2,000
10,000
1,500
8,000
6,000
1,000
4,000
500
2,000
0 07
08
中国→欧州 09
10
11
中国→北米西岸 12
13
14
15
0 07
16
08
09
10
11
12
13
14
15
16
中国→北米東岸
史上最低レベルの運賃市況は底を打ち、スクラップの進展な
2015年度は貨物需要が通年で弱く、スポット運賃は低下しま
した。2016年度も市況の急回復は見込めません。
どによる需給引き締め効果もあり、緩やかな市況回復を見込み
see P.60
see P.64
ます。
エネルギー輸送事業
エネルギー輸送事業
タンカー運賃推移
LNG 取引量 *2
(World Scale)
(百万トン)
250
(%)
300
9
200
6
100
3
200
150
100
50
0
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
0
06
07
08
■ LNG 取引量(左軸) 2015年度の市況は好調に推移しました。今後、堅調な荷動き
09
10
13
14
15
0
日本郵船キャパシティシェア
(右軸)
に LNG 需要は伸び悩んでいるものの、中長期的には需給とも
see P.66
込みます。
see P.67
に伸びる見込みです。
環境規制
自動車輸送事業
世界自動車荷動き台数(地域間荷動き)*
3
バラスト水管理条約
2017年(見込み)
バラスト水処理装置搭載
を義務付け
批准時期未定
安全かつ環境上適正な
船の解撤についての条
約。IMO*4にて採択済
(千台)
(%)
18,000
19
シップリサイクル条約
12,000
18
MARPOL 条約 Annex Ⅵ
2016年
NOx 3次規制
6,000
17
07
12
2015年度の LNG 取引量は前年比微増となりました。短期的
が見込まれるも、新造船の竣工量増加により市況の軟化を見
0
11
08
09
10
■ 世界自動車荷動き台数(左軸) 11
12
13
14
15
16
一般海域で使用する船
MARPOL 条約 Annex Ⅵ 2020年または
舶の燃 料の硫 黄 分は
2025年(見込み)
SOx 規制
0.5% を超えてはならない
0
日本郵船キャパシティシェア
(右軸)
2015 年度の荷動きはほぼ想定通り順調に推移しました。
2016年度は新興国や資源国を中心に需要が伸び悩む見込
指定海域では現行規制
値より80% 削減
*1. 出典:China (Export) Containerized Freight Index
*2. 出典:IHS-CERAレポートを参考に日本郵船で集計
*3. 出典:日本郵船調査グループ推計(左軸)
Hesnes Shipping AS The Car Carrier Market 2015(右軸)
*4. IMO:International Maritime Organization
see P.70
みです。
国際海事機関
59
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
一般貨物輸送事業
事業別成長戦略
北米航路の荷動きは比較的堅調だった一方で、欧州航路
は需要が弱く、減便などで対応したものの残念ながら需給
一般貨物輸送事業
ギャップは拡大しました。また、伝統のある豪州航路からの撤
退を決めましたが、これは慢性的な赤字構造が将来的にも変
わる見込みが薄いと判断したためです。
量よりも質の追求で、大競争を勝ち抜く
コンテナ船事業で世界第3位のフランス CMA-CGM がシン
の買収
ガポールのネプチューン・オリエント・ラインズ
(NOL)
と中国海運集
を決めたほか、中国遠洋運輸集団(COSCO)
団傘下の CSCL が経営統合し、新たに中国遠洋海洋集団と
して世界第4位へ踊り出るなど、合従連衡の動きが加速してい
取締役・専務経営委員
一般貨物輸送本部長
ます。
丸山 英聡
コモディティ化が進むビジネスにおいて、確かにスケールメ
管掌:定期船事業/ターミナル関連事業/物流事業
リットは効果的ですが、当社はいたずらに規模を追求すること
は考えていません。オーガニックグロース分の成長はしっかり
定期船事業
と取り込みますが、シェアではなく、機動性を追求し、収益力
2015年度の総括
当社が加盟するG6アライアンスは他のコンソーシアムと比
の向上を目指しています。
べて、機動性が高く、市況変動に柔軟に対応できるのが特徴
コスト削減への着実な取り組み
です。コンソーシアムのブランドでサービスを編成しており、昨
燃料油価格の下落やコスト削減活動により収益性の改善は
今のように先々が見通しにくい環境下では、このような機動性
順調に進んだものの、それを上回る市況下落の影響から減益
は大きな武器です。
を余儀なくされました。
コンテナ船需給ギャップ
(対前年比増減率)
基幹航路におけるメガキャリア/アライアンスシェア
(%)
(%)
欧州
20
北米
15
10
5
0
–5
–10
–15 08
09
10
コンテナ荷動き増加率 11
12
13
14
15
16
17
(予想) (予想)
2M CKYHE G6 O3 その他
船腹増加率
2M:
Maersk、MSC
CKYHE:COSCO、K-LINE、Yang Ming、Hanjin、Evergreen
G6:
APL、Hapag-Lloyd、OOCL、MOL、Hyundai、NYK
O3:
CMA-CGM、UASC、CSCL
* 当該グラフはモデル試算であり、日本郵船の統一的な公式見解ではありません
出典:Drewry Maritime Research、2016を参考に日本郵船で集計
60
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
最新鋭の14,000TEU 型コンテナ船の竣工
今後、フォワーディングでの取扱いをいかに増やしていくか
業界最高水準の省エネ性能と積載効率を併せ持つ14,000
が課題ですので、仕入れの競争力をさらに高め、目標である
TEU 型のコンテナ船15隻の投入を進めます。船型の選択に
100万 TEU へ近付けていく考えです。コンテナ船の運賃市況
ついては、14,000 ∼ 20,000TEU のレンジで検討を重ね、
が低迷している時は、フォワーダーは輸送スペースを安く仕入
14,000TEU 型が最適という結論に達しました。当面は欧州
れることができますので、コスト競争力を高めながらボリューム
航路で配船する予定ですが、将来的にはパナマ通峡も視野に
を積み上げていく絶好のタイミングです。こうしたコンテナ船
入れています。
事業におけるシナジーは当社グループにとって大きな強みと
なっていますので、焦らずにじっくりと取り組んでいきたいと思
2016年度の事業方針
います。
市況に左右されない事業構造の構築
ターミナル関連事業
2016年のコンテナ貨物荷動きは前年比2% 増の見通しであ
2015年度の総括と2016年度の事業方針
る一方、船腹供給は4% 増と予測されています。単年度ベース
での需給ギャップは2015年の7% から2016年は2% へと縮小
する見込みですが、相当な需要の伸び、または供給の削減が
ユーザー目線で投資を慎重に判断
ない限り、過去から積み上がった需給ギャップが解消するまで
定期船事業とのシナジー効果もあって、当社が運営するコン
には至らないでしょう。
テナターミナルの取扱量は年々増加し、2015年度は約800
こうした状況下、当社はコスト削減の徹底と最適な事業
万 TEUとなりました。今後も定期船事業とのシナジー効果を
ポートフォリオの追求を継続していきたいと考えています。中
追求していく方針に変わりはありません。
期経営計画では長期支配船(含む長期用船)、短期用船、
投資についても、ターミナルを使用するユーザーとしての視
フォワーディングの3つをうまく組み合わせ、グループ全体で年
点から需要を見極め、慎重に判断していく姿勢を崩さず、運
間500万 TEU のコンテナ貨物を取扱うことを目指しています。
賃安定型事業としての足固めを着実に進めていきます。これを
長期支配船と短期用船で400万 TEU、フォワーディングで
踏まえての投資戦略は次の3つに大別できます。
100万 TEUという計画値に対し、2015年度の実績は全体で
1. 船舶の大型化、コンソーシアムの巨大化により、さらに加速
するであろうハブ&スポークへの対応
(特にハブ港の重要性)
約500万 TEU は達成したものの、フォワーディング比率が若
2. 一大生産地域であることに加え、一大消費、物流圏でもあ
干低位となりました。
るアジア域内の重視(特にこれからさらなる伸びが期待さ
れる地域)
新アライアンスの設立
3. 市場としては成熟するものの、物流の大きな構造変革が見
当社はアジア・欧州を代表するコンテナ運航船社5社とともにアジア
– 欧州・地中海航路、アジア – 北米西岸・東岸航路、大西洋航路、
られる地域への対応。明白な例は、アジア生産拠点の西
アジア – 中東航路といった東西航路にて新たに「ザ・アライアンス」
進、パナマ運河拡張等による北米東西岸における事業の
を設立することで基本合意しました。合計で620隻以上の船隊を
ポートフォリオの見直しなど
運航しており、今後は世界シェアの約18%となる350万 TEU の船
腹量を誇る業界を代表するアライアンスとなります。新アライアンス
の最初の合意期間は5年、2017年4月頃からのサービス開始に向
け、各関係当局からの承認取得を含め、今後必要な諸手続きを行っ
ていきます。
61
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
一般貨物輸送事業
海上貨物・航空貨物の取扱高
(郵船ロジスティクスグループ合計、輸出ベース)
物流事業
(千 TEU)
2015年度の総括
(千トン)
1,000
400
750
300
500
200
250
100
取扱量増による増収増益
2014年末まではアジアでの船混みや北米西岸の荷役鈍化に
より、航空貨物の需要が大きかったものの、その後は、むしろ
低位に推移しました。逆に海上貨物は取扱量、収益性ともに
0
大きく拡大し、もう一つのロジスティクス部門も不採算案件の
14
(実績)
15
16
(実績)
(目標)
0
(年度)
■ 海上貨物(左軸) ■ 航空貨物(右軸)
出典:郵船ロジスティクス㈱中期経営計画の見直し
(2016年4月28日)
合理化等により安定利益を上げるようになり、2015年度は、
結果的にこの三大セグメントがすべて黒字となりました。郵船
世界の貨物フォワーダー取扱量比較
(2014年度)
ロジスティクス㈱が誕生して約5年が経ちますが、統合効果を
会社名
しっかりと結果につなげ、グローバル総合物流サービス企業と
DHL Supply Chain & Global
Forwarding
してのプレゼンスを着実に高めた1年だったと評価しています。
2016年度の事業方針
郵船ロジスティクス㈱における売上高の構成比は、事業軸で
2,935
2,272
Kuehne & Nagel
3,820
1,194
DB Schenker
1,983
1,112
日本通運
量的拡大から収益性を追求するステージへ
海上貨物(千 TEU) 航空貨物(千トン)
863
654
Panalpina
1,607
858
Sinotrans
2,733
482
Expeditors International of
Washington
1,013
823
SDV (Bollore Group)
835
550
見ると、コントラクト・ロジスティクスが4割、海上フォワーディン
CEVA Logistics
706
496
グと航空フォワーディングが各3割です。また地域軸では、日
DSV A/S
835
288
UPS Supply Chain Solutions
600
913
Hellman Worldwide Logistics
784
507
Geodis
655
271
本、東アジア、南アジア、北米、欧州の売上高はそれぞれ
1,000億円ずつと、うまくバランスが取れ、お客さまの多種多
様な物流ニーズに応えるグローバルロジスティクスサービスを
Agility
514
373
郵船ロジスティクス
570
310
提供できる力が備わりました。統合から5年が経過した今は規
UTI Worldwide
528
368
模拡大から収益性を追求していくステージへと移行していくタ
C.H.Robinson
450
115
Kerry Logistics
786
282
Damco
396
190
近鉄エクスプレス
396
478
イミングと考えています。
現在、IT システムの統合・進化に取り組んでいます。統合前
出典:ARMSTRONG ASSOCIATES, INC. データより日本郵船作成
に各社で使用していたシステムを一本化し、お客さま向けにカ
スタマイズした数多くのアプリケーションも見直し、共有でき
るところはプラットフォーム化するべくシステムの構築を進めて
います。1∼2年後から、これらの効果が次第に結果となって
表れてくるものと期待しています。
62
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
最新の航空運送の需要予測に鑑み、適正な機材数を再考し
た結果、B747-8F の導入計画を見直し、発注済6機のうち4
航空運送事業
機をキャンセルするなど構造改革を着実に進めました。
2016年度の事業方針
コスト削減と輸送量増加で
3期連続の黒字を目指す
日本を含めたアジア発の航空運送需要は今後も堅調に伸び
ていく見込みで、柔軟かつ機敏に需要を取り込んでいきたいと
考えています。需給の緩和から航空運賃は低迷するものの、
コスト削減と輸送量の増加でカバーし、3期連続の黒字とな
取締役・常務経営委員
経営企画本部長(チーフファイナンシャルオフィサー:CFO)
貨物航空事業グループ 担当
る経常利益10億円を目指します。
髙橋 栄一
髙橋 栄一氏については、第129期定時株主総会において、新たに取締役への選任をお諮り
する予定です。
航空運送事業
2015年度の総括
2期連続の黒字を達成
年度初めは2014年度中に始まった北米西岸の港湾混雑が
解消しなかったこともあり航空運送の需要は堅調に推移しま
したが、第2四半期に入り荷動きが想定以下のレベルに低迷
しました。
は輸送量、平
このような環境下、日本貨物航空㈱(NCA)
均運賃ともに前年度を下回り、売上高も前年度比80億円減
の911億円へ落ち込みました。しかし、燃料油価格の大幅な
下落と数年来継続して取り組んできたコスト削減活動やビジ
ネスモデルの変革の効果などにより、経常利益は前年度比9億
円増の15億円となり、2期連続での経常黒字を達成しました。
最新鋭機 B747-8F を中心とした効率的な輸送に引き続き
取り組み、当面は13機の運航体制を維持する考えです。また、
63
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
不定期専用船事業
ドライバルク荷動き量・船腹量伸び率推移
(%)
20
ドライバルク輸送事業
15
10
5
0
11
12
13
14
15
(推計)
16
(予想)
ドライバルク荷動き伸び率 ドライバルカー船腹量伸び率
出典:Clarkson Dry Bulk Trade Outlook(February, 2016)
安に海運市況が過敏に反応しセンチメントが著しく冷やされ
取締役・専務経営委員
ドライバルク輸送本部長
た結果だと思います。
左光 真啓
そんな中、当部門の方針はぶれることなく、気象予測に基づ
く最適航路の選定、減速航海の徹底といったコスト削減に加
2015年度の総括
え、バラスト航海を減らすための営業や配船面での創意・工
夫など、あらゆる努力を積み重ねた結果、年間を通じて市況
需給ギャップでは説明のつかない市況の中、
平均を上回る採算を確保することができました。また、国内外
あらゆる努力を重ねた1年
の製鉄会社や資源メジャー、電力会社などお客さまとの中長
鉄鉱石、石炭、穀物という三大バルクの世界海上荷動きを見
期にわたる契約を確保し、中期経営計画で掲げる安定収益
てみると、石炭は減少したものの、鉄鉱石と穀物が増加した結
の積み上げも推し進めることができました。
果、2015年は三大バルク全体で前年比1.5% の伸びとなりま
した。一方、供給面を見てみると、一定量の解撤はあったもの
構造改革を断行
の、新造船の竣工が相次いだため、世界のドライバルカーの
市況変動に左右されにくいビジネスモデルの確立に向けて、前
船腹量は前年比2.5% 増となりました。供給圧力がさらに強
年度に続き、余剰船舶の売船や解撤、長期用船の返船など、
まった結果、残念ながら、
ドライバルカーの運賃市況を示すバ
ライトアセット化に取り組んでいます。加えて海運市況が長期
ルチック海運指数も史上最低水準を記録した1年となりまし
にわたって低迷していることより、2015年には保有するドライ
た。ただし、海運市況に最も大きな影響を与えているケープサ
バルカーの一部について約335億円の減損を特別損失に計
イズバルカーで申し上げますと、2015年は船腹供給が前年比
上しました。これにより、将来の収益性向上が見込まれます。
で0.4% 増にとどまった一方、主要貨物である鉄鉱石と原料
そのほか、当社では船腹の供給圧力を緩和するために、ケー
炭の海上荷動きもまた前年比0.4% 増の伸びを示しており需
プサイズを対象に船の運航を休止する係船を実施しています。
給ギャップは変わっていません。それにもかかわらず、年間平
世界の主要なオペレーターも同様の取り組みを行っているこ
均の市況は前年の13,700米ドルから、2015年は6,900米ド
とから、市況はこれから少しずつ回復に向かうものと期待して
ルへと半減しており、これは需給ギャップ推移からではとても
います。
説明がつきません。なぜ市況は低迷したのか。これは、中国の
経済成長が一時の勢いを失い、将来の景気動向に対する不
64
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
2016年度の見通しと事業方針
ソフト面での競争力を強化
市況予測の精度を向上させる取り組みを前年度から開始しま
需給ギャップを見極め、
したが、短期の市況予測では確実に成果を上げています。
海運市況に対する耐性を強化
さまざまなデータを収集・分析し、1週間または1ヵ月先の需給
2016年の中国の粗鋼生産は前年並みを予想していますが、
動向を予測し、太平洋、大西洋、インド洋など、
どの海域で市
その原料となる鉄鉱石を中国が国内産より高品質な海外産
況が上がるのか、下がるのかを見通し、配船の工夫により、
へシフトしているため、荷動きは前年より少し改善すると見て
全体の市況平均よりも高い採算性を上げています。新造船発
います。しかし、環境対策の面から石炭需要は前年より減少
注や長期契約の獲得に活かす中長期の市況予測は、実用化
すると見ており、
ドライバルク全体の荷動き拡大はそれほど期
までにクリアすべきハードルがまだまだありますが、引き続き試
待できません。
行錯誤を重ね、市況予測モデルを確立していく考えです。
一方、供給サイドは2016年も前年並みの新造船が竣工す
また、以前から取り組んでいるビッグデータを用いた減速運
る予定ですが、ケープサイズ、パナマックス、ハンディについて
航もうまくいっています。燃料油価格はひと頃に比べ相当下
は竣工量と同じくらいの解撤が見込まれています。加えて、ケー
がっており、減速運航による効果が少なくなっていますが、減
プサイズで先述の係船といった供給抑制の動きが加速してい
速運航は船腹供給を抑制する効果もあるため、需給バランス
るため、2016年は需給バランスが多少は改善するのではない
改善のためにも今後も続けていきます。さらに今注力している
かと期待しています。また、ドライバルカーの新造発注は、
のがビッグデータを用いたメンテナンスコストの最適化です。
2014年は全船型で合計780隻ありましたが、2015年は250
15年、20年という船舶の耐用年数の中で、メンテナンスのタ
隻と激減しました。ケープサイズに限れば、2014年に145隻
イミングを最適化することで、輸送品質を全く損なうことなく、
あった発注が、2015年には約20隻にとどまっており、中長期
コストを削減させる取り組みです。さらに、データの収集装置
的に需給バランスは確実に改善されています。当社グループも
を自社船だけでなく用船にも設置し、船主へフィードバックを
また需給ギャップ解消に向けて、新造船発注は中長期契約に
行うことで、船主も適切なタイミングでメンテナンスできるよう
紐づいた場合に限定したいと考えています。
になります。この取り組みはコスト削減だけでなく、
トラブル発
また、東南アジアで数多くの石炭火力発電計画が進められ
生前に予兆を捉えることで事故を未然に防ぎ、お客さまにより
ています。2020年に向けてこれらの発電所が稼働する見込
安全な輸送を提供することにもつながります。
みの中、原料輸送に関する商談にはしっかりと対応し、新規の
収入サイドである貨物と費用サイドである船舶の契約期間
中長期契約獲得につなげていきたいと考えています。
のミスマッチを解消できれば、
ドライバルク輸送事業は当社に
とって安定的なビジネスになると考えています。鉄鉱石や石炭、
穀物といった貨物は社会にとっては欠かせないものであり、新
興国における人口増加や経済成長に伴い、
ドライバルカーに
よる輸送需要は今後も確実に伸びていきます。市況に晒され
る船隊を適正な隻数まで縮小し、中長期契約を締結すること
で、当部門は収益安定型事業になっていけると確信していま
す。その実現には少し時間がかかると思いますが、決して悲観
することなく、市況をよく見極めながら、あらゆる面で創意と工
夫を追求し、競争力を高めていく考えです。
新石洋
65
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NYK REPORT 2016
不定期専用船事業
2016年度の事業方針
エネルギー輸送事業/海洋事業
供給圧力による市況軟化の見通し
荷動き自体は引き続き増加傾向にありますが、新造船の竣工
が相次ぐことより、供給圧力が高まり市況は下がると見ていま
す。VLCC の竣工は60隻+αと前年度の3倍以上に増えるほ
か、経済制裁が解除されたイランから数十隻の VLCC が市場
に出回る見込みです。およそ620隻と言われるVLCC マーケッ
トにおいて、10% 以上も供給が増えることになり、前年度より
厳しい1年になると覚悟しています。
総合エネルギーへの対応
代表取締役・専務経営委員
不定期専用船戦略会議議長
エネルギー輸送本部長
国内の石油元売り業界で再編が相次ぐ中、お客さまが当社に
何を求めているのか、よく話を聞くよう部下には指示していま
長澤 仁志
す。お客さまが総合エネルギー会社へと移りゆく中、
トータル・
ソリューションをいかに図っていくか、当社にとっては大きな商
機です。
原油輸送
さまざまなエネルギーの輸送に関し、総合的な知見、ノウハ
2015年度の総括
ウと技術を併せ持った企業は、世界を見渡しても多くはありま
せん。当社は最近、今まで LNG を扱ったことのないお客さま
好調だったタンカー市況
から、LNG ターミナルの建設についてのアドバイスを求められ
タンカー市況は、想定を上回る結果となりました。西アフリカ
ました。今後は、総合エネルギーにまつわるプロジェクトが動
からアジアというような長距離の荷動きが増えたことで輸送
き始めたら、石油、石炭、LNG などあらゆる輸送に関する技
トンマイルが伸長し、中国の自動車台数増加や石油備蓄推進
術力を有機的につなぎ合わせ、お客さまのご期待に添うこと
などが追い風となり世界全体での石油需要も堅調でした。
のできる仕組みを構築していく考えです。
当社としては、お客さまと契約できた中・長期の案件が過去
数年と比べて多く、日本国内のみならず中国など海外のお客さ
タンカー荷動き量・船腹量伸び率推移
(%)
まとの契約数も伸ばすことができ、実りの多い1年だったと思い
8
ます。これまでは石油需要が先細っていくというシナリオに基
づき、船隊規模も縮小傾向にありましたが、代替需要を勘案し
4
新造船の発注も含めた議論をしていこうと考えています。
また、裁定取引が活発になったことで、プロダクトタンカー
0
による輸送需要も拡大しました。
–4
11
12
13
14
15
(予想)
16
(予想)
タンカー荷動き量伸び率 タンカー船腹量伸び率
より日本郵船作成
出典:Clarkson Oil & Tanker Trades Outlook(February, 2016)
66
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NYK REPORT 2016
また、国内のエネルギー需要が横 いで推移する中、国内
した。キャメロン LNG プロジェクト向けには、2014年度に締
の企業は海外に活路を見出すべく、さまざまなプロジェクトを
結した三井物産㈱との定期用船契約に続いて、2015年度は
開始しました。そうしたグローバルな動きにもしっかりと対応
三菱商事㈱と2隻の定期用船契約を締結しました。また、米
していくことも重要になってきています。
国テキサス州のフリーポートLNG プロジェクト向けに、中部
電力㈱から2隻の定期用船契約を獲得することができました。
タンカー船隊ランキング
ランキング
(2016年1月1日現在)
会社名
重量トン
(千 DWT)
隻数
137
145
昨今の原油価格下落の影響により、さまざまな LNG プロジェ
クトで遅れが生じていますが、これらはいずれも長期契約であ
1
2
Teekay Corporation
商船三井
18,275
14,045
3
NIOC
13,520
54
4
SCF Group
12,076
125
5
Euronav NV
11,788
48
6
日本郵船
11,635
86
7
Bahri
11,209
62
8
China Merchants Grp
11,153
41
足元を見据えた着実な事業展開
9
Fredriksen Group
10,912
55
中期経営計画では船隊規模を2018年度までに100隻+αま
10
Angelicoussis Group
10,680
41
11
Petronas
9,475
74
で拡大する方針を掲げましたが、多くのプロジェクトが遅延し
12
Dynacom Tankers Mngt
8,711
53
ていることもあり、最近の状況に鑑みれば、90隻前後になると
13
Ocean Tankers
7,788
87
14
China Shipping Group
7,480
70
思います。しかし、決して悲観することなく、締結した長期契約
15
COSCO Group
7,075
56
り、市況の影響を受けにくいものです。
2016年度の事業方針
を確実に履行しつつ、水面下で続けている新規の商談をしっ
かりと成果に結び付けていきたいと思います。将来的に LNG
出典:Clarkson データベースより日本郵船集計
の需要は増えていきますので、地に足を着けた営業活動を行っ
ていきます。
LNG 輸送
2016年10月に竣工するLNG 燃料供給船については、ま
2015年度の総括
ずは欧州域内での配船とする予定ですが、将来的には他の海
域での展開も見据えています。
長期契約のさらなる積み上げ
市況に左右されにくい収益構造を築くべく、シェールガス・オイ
ルに関する案件を中心に長期契約を積み上げた1年となりま
北米におけるシェールガス主要プロジェクト
Major projects in West Canada
FID* 済み
FID 延期 or 時期未定
* FID:Final Investment Decision
LNG Canada
Kitimat LNG
Pacific Northwest LNG
Douglas Channel LNG
Major projects in the U.S.
最終投資決定
Oregon LNG
Jordan Cove LNG
Marcellus
Cove Point LNG
Sabine Pass LNG
4.5mmtpa 2017年∼
19.75mmtpa 2016年∼
Eagle Ford
Corpus Christi
5.3mmtpa 2018年∼
Lake Charles LNG
Cameron LNG
12.0mmtpa 2017年∼
Freeport LNG
13.2mmtpa 2018年∼
67
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NYK REPORT 2016
Mexican Gulf
Coast
不定期専用船事業
FPSO やドリルシップの各事業においては、稼働率が高水
LPG 輸送
準で推移し、またシャトルタンカー事業においてロイヤルダッ
2015年度の総括
(英)
との長
チシェル社(英・蘭)
の子会社であるBG グループ
期契約を獲得するなど、目に見える形で結果が出ています。
お客さまとの関係をさらに強化
当社は、世界有数の LPG 事業会社であるアストモスエネル
知見、ノウハウと技術力の蓄積
ギー㈱とともに、長きにわたり、LPG 船隊の整備と輸送力の
当社の社員4名を、北海 Martin Linge プロジェクトへ派遣
強化に取り組んでいます。総じて好調であった市況の中、同社
に携わるようにしました。
し、FSO の設計・調達・建設(EPC)
の定期用船契約を締
と12隻目の VLGC(大型 LPG 外航船)
当社は海洋事業の現場に深く根ざすことで、これまで積み上
結しました。
げてきたさまざまな知見、ノウハウと技術力を活かし、こうした
EPC を経験した人材に、新たなフィールドで牽引役として活
2016年度の事業方針
躍してもらう考えです。FSO はもちろん、当社として初となる
FSRU(浮体式 LNG 貯蔵再ガス化設備)を受注するに足る
市況動向に合わせた船隊整備を推進
知見、ノウハウと技術力をすでに身に付けたと言っても過言で
2016年に入ってから船腹量の急増により市況が落ち込んで
はありません。
きているため、かつてのように1日当たり8∼9万米ドルといった
高い市況になることは考えにくいものの、シェールガスに由来
新たなビジネスへの参画も視野に
するLPG が市場に出回るため、あまり悲観はしていません。
新しい事業領域としてサブシー
(海中・海底設備)
事業への参
また、アストモスエネルギー㈱は2017年までに取扱量を現
画を考えています。当社には、FPSO やシャトルタンカーで培っ
在より2割増の年産1,200万トン超へ増やす計画ですので、同
た知見、ノウハウと技術力がありますので、相乗効果が見込まれ
社との関係を引き続き強化していく方針です。
ます。将来性が見込める事業であり、原油価格が低迷している
このタイミングこそが絶好の機会と考え、検討を重ねています。
2016年度の事業方針
海洋事業
2015年度の総括
足元を固めながら、事業の裾野を広げていく
サブシー事業など新規分野も含め、着実に実績を積み上げ、
外部環境に左右されない収益構造
海洋事業の裾野を広げていきます。原油価格がある程度落ち
世界中でオイル・ガス開発に軒並み遅れが生じるなど、原油
着いてくれば、油田開発も再び加速し始め、ドリルシップや
価格下落による影響が色濃く出ましたが、当社の事業は長期
FPSO の需要は再び高まると思いますし、シャトルタンカーの
契約が主体であるため、業績への影響は軽微でした。
輸送需要もさらに増えると考えています。
68
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
また、将来的には日本でメタンハイドレートの資源開発が
学ぶべきことが沢山ありますので、着実に知見、ノウハウを集
本格化する可能性がありますので、当社のビジネスチャンスに
積していくことに集中し、足元をしっかりと固めながら前に進ん
つなぐことができるか、検討を重ねていく考えです。市況性の
でいきます。
高いもの、かつ参入障壁が低いビジネスに参画するつもりは
また、パートナーシップの提携、M&A など、将来に向けたあ
ありません。世界的には、まだまだ当社が知らない分野もあり、
らゆる可能性を排除せず、さらなる一手も考えていきます。
海洋事業・LNG のバリューチェーン
フロー
当社の提供サービス
探査・探鉱
ドリルシップ
(ETESCO TAKATSUGU J)
ドリルシップ
(ちきゅう)
当社35% 出資。2012年4月から最長20年にわたり
ブラジル沖で大水深掘削サービスに従事
開発・採掘
生産設備
Wheatstone LNG Project
FSO
FPSO
浮体式海洋石油・ガス貯蔵積出設備
浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備
生産・貯蔵
域内輸送
(豪州)
米シェブロン社などが豪州で推進する
LNG プロジェクトに商社および電力会社と
共同参画、2016年末生産開始予定
シャトルタンカー
シャトルタンカーの運航を手掛ける世界シェア2位の Knutsen NYK Offshore Tankers (KNOT) 社に対し50% を出資
Cameron LNG Project(米国)
精製・液化・貯蔵
天然ガス液化事業に参画。2017年後半の LNG 生産開始を目指す
輸送
LNG 船
タンカー
お客さま
FSRU(浮体式 LNG 貯蔵再ガス化設備)
LNG 燃料船
■ 参入済み ■ 参入検討
69
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
不定期専用船事業
「地産地消」
「適地量産」のトレンドが加速
完成車輸送を取り巻く産業構造はこの30年で大きく変わりま
自動車輸送事業
した。主な荷動きは、かつては先進国から先進国であり、その
後、先進国から新興国となったものが、今では新興国から先
進国・新興国へと変化しています。各自動車メーカーは為替
への柔軟性を持つべく、海外に工場を設け、消費地近くに生
産拠点を移す「地産地消」や、特定の地域で生産した車種を
グローバルに流通させる「適地量産」を進めています。このよ
うに当社を取り巻く環境は複雑多様化しており、柔軟な船隊
整備と航路設定が一層重要になってきています。
世界の主要船社自動車専用船隊ランキング
代表取締役・専務経営委員
自動車輸送本部長
ランキング
力石 晃一
2015年度の総括
需要の伸びを捉え輸送台数を拡大
2015年は、世界における自動車販売台数が前年比0.5%増
の8,780万台、完成車の海上荷動きは前年比2% 増の3,335
会社名
(2016年1月1日現在)
隻数
シェア
(%)
キャパシティ
(台数)
シェア
(%)
15.4
13.5
668,000
573,000
16.3
14.0
1
2
日本郵船
商船三井
112
98
3
川崎汽船
84
11.6
471,000
11.5
4
EUKOR
76
10.5
504,000
12.3
5
GRIM
58
8.0
247,000
6.0
6
GLOVIS
57
7.8
337,000
8.2
8.4
7
WWL
52
7.2
345,000
8
HAL
41
5.6
264,000
6.5
9
ECL
10
1.4
38,000
0.9
10
NEPTUN
9
1.2
32,000
0.8
10
UECC
9
1.2
37,000
0.9
12
NMCC
8
1.1
43,000
1.1
については、前年比5% 増の425万台と顕著な伸びを記録し
12
SALLAUM
8
1.1
35,000
0.9
ましたが、これは各自動車メーカーが為替リスクに強いグロー
12
トヨフジ海運
8
1.1
43,000
1.1
万台とともに堅調に推移しました。海上荷動きのうち日本出し
バル生産体制を構築する中、他地域に比べて生産余力のある
15
SCC
6
0.8
35,000
0.9
ー
その他
67
9.2
310,000
7.6
合計
日本での生産が増えた結果だと見ています。
703
3,982,000
出典:Hesnes Shipping As The Car Carrier Market 2015
備考:キャパシティ2,000台以上の自動車船のみを対象としています
当社の2015年度の海上輸送実績は前年度比5万台増の
370万台でしたが、増量分の多くが日本出しで、日本からの輸
出増加分をしっかり取り込むことができた1年だったと言えます。
日本郵船グループ 自動車海上輸送台数
自動車物流事業については、新興国を中心にターミナル、
(万台)
400
域内輸送や内陸輸送網を拡充し、18カ国、37拠点で事業を
展開するまでになりました。また、IoT を使ったソリューション
300
開発にも取り組んでおり、GPSとスマートフォンを使った車両
200
位置情報認識システム「G-CAP」の導入や IT を駆使した内
陸輸送におけるトレーラーの最適配車、完成車の個別ステー
100
タス管理などのサービスを充実させました。
0
06
07
70
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
08
09
10
11
12
13
14
15
(年度)
慎重な船隊整備計画
現在、当社は6,000∼6,500台積みを中心に約120隻の自
動車船を運航していますが、大型船の7,000台積みポストパ
ナマックス型の船隊整備も着々と進めており、2015年度には
最新鋭2隻が竣工し、計8隻となりました。
船隊規模については、2018年度末あたりまで現在の規模
を維持していく考えです。リーマンショック前は自動車船の需
要が旺盛で、多くの新造発注を行いましたが、その後は一転
して供給過剰となったことで、老齢船を中心にスクラップなど
で船隊を縮小せざるを得ませんでした。当時の経験、および当
日本初のポストパナマックス型自動車専用船「ARIES LEADER」
社船隊の平均船齢が約9年と若いことを踏まえると船隊の柔
軟性を持っておくことが重要であり、船隊整備は慎重に進め
このように厳しい見通しの中、航路ネットワークと高い輸送
ていくつもりです。
品質を武器に、完成車、建機、重機のみならず、鉄道車両と
いった新しい貨物の輸送需要にも積極的に対応していくとと
基盤が安定してきた建機・重機輸送
もに、自動車物流事業においては42拠点にまで増やしさらに
2009年に建機・重機 RORO チームを立ち上げて以降、着実
事業を拡大していく予定です。
に実績を積み上げ、欧州、米国、日本・アジア出しを中心に、
また、世界初となるLNG を燃料とする自動車船2隻が年度
(自動車換算で約30万台)
を超える実
今では年間330万トン
内に竣工する予定です。お客さまをはじめとしたステークホル
績を残すまでになりました。
ダーの皆さまが持つ環境に対する意識は年々高まっており、
当社の定期的なサービスと世界中に張り巡らせたネットワー
環境対応も含めてお客さまのさまざまなご要望にお応えする
クを利用し、スケジュールや仕向地などの面でしっかりとお客
べく、新しい付加価値の創出に力を注いでいく考えです。
さまのご要望にお応えしつつ、自動車、建機・重機を積み合わ
せて輸送するなど、いろいろな工夫を行うことで全体の採算
性の向上へつなげています。
2016年度の事業方針
高い輸送品質を維持し、
新しい価値創出に注力
世界の自動車需要は新興国の経済発展、人口の増加に伴
い、今後とも堅調に推移する見通しですが、2016年度の当社
による海上の輸送台数は前年度より17万台減少し、353万
台程度にとどまる見込みです。中国市場や北米市場の需要は
引き続き堅調ですが、原油をはじめとした資源価格の下落に
伴って中近東や豪州における自動車需要が減少するなどのマ
イナス要因が大きいとの認識です。
71
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
その他事業
2016年度の事業方針
客船事業
クルーズ内容の抜本的見直しの効果に期待
不安定な海外情勢もあり、世界一周クルーズを思い切って取
り止める一方、国内ショートクルーズを充実させ、集客の向上
に努めます。また、集客状況をモニタリングしながら、販売施
策を柔軟にすることで、収益の上積みを目指します。
飛鳥クルーズは、2016年就航25周年の節目を迎え、一度
乗船されたお客さまに「飛鳥Ⅱにもう一度乗ってみたい」
と思っ
ていただけるような工夫や企画に一層尽力していく考えです。
毎年不動の人気を誇る「花火」
「祭り」に加え、
「大相撲」
「文
楽」などのテーマ性を持ったクルーズを増やし、また、多様な
取締役・常務経営委員
経営企画本部長(チーフファイナンシャルオフィサー:CFO)
客船事業 管掌
価格帯の設定や、コースの選定、日程の長短などで工夫を凝
らしていきます。
髙橋 栄一
髙橋 栄一氏については、第129期定時株主総会において、新たに取締役への選任をお諮り
する予定です。
2015年度の総括
マーケティングの工夫が奏功し、好調を維持
米国 Crystal Cruise 社の売却に伴い、当社の客船事業を飛
「客船事業」
として
鳥ブランドに集約したため、2015年度より
の業績開示を止め、
「その他事業」に算入しました。
昨今、海外勢による日本市場参入が相次ぐ中、外国船には
真似のできない「飛鳥Ⅱ」の商品力をより一層強化すること、
および販売方法の創意工夫によりお客さまから変わらぬ
ご支持をいただき、収益を確保しました。
72
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK REPORT 2016
Fly UP