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数学的活動を取り入れた授業構成の研究

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数学的活動を取り入れた授業構成の研究
NAOSITE: Nagasaki University's Academic Output SITE
Title
数学的活動を取り入れた授業構成の研究
Author(s)
平岡, 賢治; 福島, わかな
Citation
長崎大学教育学部紀要. 教科教育学. vol.38, p.61-67; 2002
Issue Date
2002-03-27
URL
http://hdl.handle.net/10069/5921
Right
This document is downloaded at: 2017-03-30T19:15:27Z
http://naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp
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38(
2002)6ト67
数 学 的活 動 を取 り入 れ た授 業構 成 の研 究
平岡
賢治 * 福 島 わか な **
(
平成 1
3年 1
0月31日受理)
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(
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,
2001
)
1. は じめ に
平成 1
4
年 度 か ら実施 され る新学 習指 導要 領 で は, 「
算 数 的活動 」, 「数学 的活動 」, 「活動
の楽 しさ」 な どの新 しい表現 が用 い られ て い る 1)2)3). 小学 校 の算 数 的活動 は作 業 的 ・体
験 的活動 , 中学校 の数学 的活動 は観察,操作,実験 を通 した数理 的 な考察 と して,学習指
導要領 の解説 で具体 的 な活動 を説 明 して い る.算数 的 ・数学 的活動 は算数 ・数学教 育 の方
向 を示 す キー ワー ドと して重要 で あ る とと もに, これか らの授 業 のあ り方 に 1つ の方 向性
を示 す もので あ る. しか し,算数 的 ・数学 的活動 その ものよ りも, この活動 を誘発 す る要
因 を調 べ,授業構成 に用 い ることが授 業 を活性化 させ,数学 的 な見方 や考 え方 の よ さを体
感 させ る授 業展 開 を可能 にす る. われ われ は, これ までの授 業経験 や授業実践 か ら数学 的
数学 的 な考 え方 」「創造性 の基礎 」「応用」 の
活動 を誘発 す る もの と して, 「
知識 の獲得 」「
4要 因が基 本 的 であ ると考 えて い る.授業 は子 ど も達 が既習 の知識 を使 って末習 の知識 を
獲得 す る場 で あ り,数学 的活動 はその中で子 ど も達一 人 ひ とりの活動 で あ る とと らえて い
る. 算 数 ・数 学 の授 業 は G.
Pol
ya の問題解 決 学 習 , す なわ ち 「理 解 」「計画 」「実 行 」
「
検討」 の 4過程 で授業 が構成 されて い る と考 えて い る 4). 多 くの数 学 的活動 は, 「理解」
と 「検討」 過程 で誘発 され, 異体 的 な活動 が行 われ る ことが多 い. さ らに, 「検討」過 程
にお け る数学 的活動 によ って, よ り高 い水準 の問題 が創 られ,新 たな問題解決学習 を始 め
る ことにな る.
本稿 で は,小学 5年 の図形 と中学 1年 の比例 の グラフを相似 の観点 か らと らえ た授 業実
践,数学 的活動 の 4要 因 の観点 か らの授業分析 を行 い, さ らに 4要因 か ら誘 発 され る具体
的 な活動 と問題解決学習 の授業 の水準 につ いて考察 す る.
*
長 崎大学教育学部数学教育講座
‥長 崎県北高来郡飯盛 町立飯盛 中学校
6
2
長崎大学教育学部紀要
教科教育
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0
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)
2.数学的活動 と授業構成
知識 の獲得 」「
数学 的 な考 え方 」「
創造性 の基礎 」「応
われわれ は数学 的活動 の 4要 因 「
用」 を次 のよ うに考 えて いる.
(
1
) 知識 の獲得
:既習 の知識か ら授業 目標 (
未習 の知識) の獲得
(
2) 数学的 な考 え方 :既習 の知識 と授業 目標 にいた る数学 的 な考 え方
(
3
) 創造性 の基礎
:既習 の知識 を 「ず らして考 え る」考 え方
(
4) 応用
:既習 の知識 の活用 や身近 に使 われてい る事例
この 4要 因を視野 に入れ た授業構成 で は,授業 の各場面 において子 ど も達一人 ひ とりの数
学 的活動 と問題解決学習 と しての授業 の流 れを とらえ ることがで きる.問題解決学習 の中
e
l
e の水準理論 と同 じよ う
で, 「
検討」=> 「理解」 の過程 にお ける数学 的活動 は,van Hi
に,授業 の中で問題 の水準 をよ り高 く設定 し,授業展開 を可能 にす るス トラテ ジーにな る
ことを授業実践 にお いて確認す ることがで きた.
3.授業 の実際
われわれが行 った授業実践 は,小学校
5年生 で拡大 ・縮小, 中学校 1年生 で比例 の グラ
フの授業 であ る.授業 のね らいは, 「相似」 を 「
拡大 ・縮小 の関係 とと らえ, その関係 を
用 いて 「関数 の グラフ」 を説明す ることがで きることであ り,授業展 開 は資料 1に示す.
(
1
) 小学校 の場合
小学校 で行 った授業 において数学的活動 の 4要因 を次 の表 に示 してい る.
知識 の獲得
合同 な図形 の敷 き詰 め 未習 の知識
面積比を辺の長 さの比で表す
既習 の知識
三角形 の敷 き詰 め
相似 の中心 を探 す
数学 的 な考 え方
帰納的 な考 え方 (
辺 の比 と面積 の比,対応 す る頂点)
類推的 な考え方(
四角形 の敷 き詰 めに三角形 の方法 を適用⇒失敗)
創造性 の基礎
と対応 の
させる
公式 三角形 の敷
回転
き詰
させ
める 四角形
して面積比
を三角形
を求 め
に分
る割
敷 き詰 め一面積
辺 の比 -面 積比 (
数)
図形 の移動 三角形
・授業 の流 れ
<考察 の対象 >
<問題解決学習 の流 れ >
匝垂
可-直垂可
任意 の四角形
I-教 師側 の手 だて 2
I
三角形
I
匪
]-匝垂可
千.
-教 師側 の手 だて 1
平岡 ・福島 :数学的活動を取 り入れた授業構成の研究
6
3
]:・課題 「
2つ の長方形 は ど うい う関係 にあ るか」 の問 いか けか ら,辺 の長 さ,角
の大 きさ,敷 き詰 め,面積 の比較 の手段 と して具体 的 な活動 が行 われ る.
匪
匝 亘 ∃ ‥・対 応 す る辺 の長 さが それぞれ 2倍 にな る,対応す る角 の大 きさが同 じで あ る こ
とを確認 す る方 法 は ?
・合 同 な長方形 を 4つ敷 き詰 め る方法 は ?
教 師側 の手 だて 1
・辺 の長 さが 2倍, 3倍 にな る と面積 は どの よ うに変化 す るか ?
・もっと簡単 な図形 につ いて調べ てみ よ う
・三角形 の場合 はど うな るだ ろ うか ?
郵
‥・三 角形 の場 合 を・敷 き詰 めて調 べ てみ よ う
・辺 を 2倍, 3倍 した三角形 と もとの三角形 の関係 を調 べ てみ よ う
匝 亘 可 ‥・三 角形 の 1つ の頂点 を重 ね ると, どん な ことが わか るだ ろ うか ?
・敷 き詰 め た 4つ の三角形 は どん な関係 にあ るのだ ろ うか ?
・作 図 で得 た 3倍 の拡大 図で辺 の比,角 の大 きさ,面積比 につ いて調 べ る
・3倍 の拡 大図 で は面積 は何倍 にな るだ ろ うか, その確認 の方法 は ?
教 師側 の手 だて
2
・長方形 や三角形以外 の図形 につ いて考 えてみ よ う
・い ろいろな四角形 につ いて考 えてみ よ う
・拡大 図 は どのよ うに措 くのだ ろ うか ?
・四角形 は三角形 の方 法 で説 明で きるだ ろ うか ? (
類推)
・三角形 を利 用す る ことはで きるだ ろ うか ? (
既習 の知識 の活用)
匝 垂j]‥・辺 の長 さを 2倍 に拡 大 した四角形 の拡大 図 の描 き方 を考 え よ う
・四角形 を敷 き詰 め る と何個分 にな るだ ろ うか.実 際 に敷 き詰 めてみ よ う
・三角形 の方法 を活用 で きないだ ろ うか.実 際 に敷 き詰 めてみ よ う
匝 亘 司 :・四角形 を三角形 に分割 す ると,三角形 の敷 き詰 めの方法 が利用 で きるだ ろ うか ?
・長方形 ・三角形 ・四角形 も同 じ方法 で説 明 で きるだ ろ うか ?
・多角形 の場合 は ど うな るだろ うか ?
以上 が小学校 での授業構成 を問題解決学 習 の観点 か ら整理 した もので あ る.次 に数学 的
活動 の観点 か ら考察 す る と次 の よ うにな る.
● 直垂
垂可 か ら匝 亘 口 の子 ど もの反応
提示 した 2つ の長方形 を観 て, 自分 の考 えを発表 させ る場面 で あ る.面積 が 4倍 にな る
ことは,長方形 を敷 き詰 め る念頭操作 や補助線 を引 くことによ り, ほ とん ど全員 が理解 で
きて いた.
垂
● 直 可 か ら 匝 亘 可 の子 ど もの反応
長方形 か ら三角形 - の考 えの転換行 う場面 で あ り, 問題 を 『ず ら して考 え る』創造性 の
基礎 の活動 にな る.具体 的 には,
①
三角形 を敷 き詰 めて,面積 の増 え方 を調 べ る
②
3倍 の拡大 図 を描 く
が子 ど もの主 な活動 にな る.① は 4年生 で図形 の敷 き詰 めを学習 して いた こと もあ り, 回
転 させ た三 角形 も使 う敷 き詰 めに もかかわ らず, 自然 に活動 を行 って いた.② は,対 応 す
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教科教育
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る頂点 が一 直線上 に並 ぶ性質 を利用 した作 図 を考 え させ るね らいであ ったが,子 ど も達 は
単に 「
辺 を延長 させ る」考 え方 で作 図 を行 って いた. その ため三角形 の作 図 はほとん どの
子 ど もたちがで きて いたが, 四角形 の作 図 に戸惑 う子 ど も達 は ク ラスの半数近 くいた.
● 匪
]か ら直 垂j]の活動
三角形 か ら四角形 に図形 を一般化 して,操作活動 によ って拡大 した面積 の大 きさにつ い
て考 え させ る場面 で あ る.
①
四角形 の 2倍 の拡大 図 を描 く
②
四角形 を三角形 に分割 して面積 の増 え方 を調 べ る
彰の意 図 は, 四角形 の拡大 図 を三 角形 の場合 と同 じ方法 で描 く
の 2つが主 な活動 にな る.(
ことが で きるか とい う課題 で あ る. 資料 1の辺 ADとABを単 に延 長 したので は拡大 した
四角形 を描 くことはで きない.三角形 を四角形 に分割 す る ことによ り三角形 の描 き方 を利
用 で きる ことに気 づ かせ る ことが ポイ ン トにな る. 「
辺 を延長 させ る」 と捉 えて いた子 ど
もが多 く四角形 の拡大 図が描 けて いな い子 ど もたちは,頂点 か ら適 当 に定規 で直線 を引 い
て いた.直線 とい うことを意 識 しす ぎて,拡大 ・縮小 の本質 であ る相似 の中心 まで考 えて
いなか った と考 え られ る.相似 の中心 と]
盲点 との関係 を確認 してお くことが必要 であ った.
② につ いて は, 四角形 を敷 き詰 め ることははで きな い ことに気 づ き,工夫 す る方法 を考
え させ る ことが 「
創造性 の基礎」 を培 う活動 にあ た る. 四角形 の拡大 図 を正 確 に描 くこと
がで きる子 ど もたちが少 なか った状況 で, そ こまでの活動 を子 ど もたちに させ ることは難
しか った.三角形 の活用 につ いて確認 す る ことが必要 であ った と反省 して いる. 2種類 の
三角形 をそれぞれ敷 き詰 め ることを黒板 で発表 させ た後 で,確認 の意 味で 2種類 の三 角形
を組 み合 わせ る ともとの四角形 が 4つ で きる ことを示 す と子 ど もたちの中か ら感 嘆 の声 が
あが った.算数 的活動 の楽 しさを体感 で きる教材 で あ ると考 えて い る.
(
2
) 中学校 の場合
中学校 で行 った授業 を 4要 因 に分類 した ものを以下 に示す.
知識 の獲得
比例 の性質
比例
を通 の
る直線
グラフは原点
座標平 面
拡大 .縮小
数学 的 な考 え方
Ⅹに値 を代 入 して y の値 を得 相 似 な三 角 形 の位 置 (類 推 的 な考
る (
帰納 的 な考 え方 )
え方)
創造性 の基礎
Ⅹと yの値 の組 と座標平 面上 の点 伴 って変 わ る量 と三 角 形 の拡 大
とを対応 させ る
図形 とを対応 させ る
平岡 ・福 島 :数学的活動 を取 り入 れた授業構成 の研究
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・授 業 の流 れ
<考察 の対 象 >
<問題 解 決学 習 の流 れ >
相 似 な三角 形
匝 垂 j] - 匝 亘 司
千 -教 師側 の手 だ て 2
T
匝直垂
]-匝亘可
座 標平面
T-教 師側 の手 だて 1
I
比 例 の性 質
厘転
直垂
亘主 上 - 匝 垂∃
]
‥・ 「
比 例 の グ ラフを描 くため に必 要 な値 の表 を作 成 す る」 とい う課題 を理解 す る
・比例 関係 を満 たす点 の座 標 (Ⅹ, y) を た くさん求 め る
直 垂 j]‥・比例 関係 にあ る Ⅹと y の値 は, どの よ うな関係 にあ るのだ ろ うか ?
・yの値 か らXの値 を求 め る ことがで きるだ ろ うか ?
・負 の数 も正 の数 の場 合 と同様 な関係 にあ るだ ろ うか ?
:
教 師側 の手 だて 1 値 の組 が座 標 と対 応 す る
匝垂
可‥・値 の組 を座 標平 面上 に比 例 関係 を満 たす点 を とる とグ ラフが描 け る
匝 亘 司 ‥・比 例 関係 を満 たす点 を多 くと -て い るとどの よ うな グ ラフにな るだ ろ うか ?
・点 と点 の間 に は比 例 関係 を満 たす点 はあ るのだ ろ うか, それ は どん な点 か ?
教 師側 の手 だ て
2
・点 と点 の間 で比例 関係 を満 たす は どの よ うに求 めれ ば いいのだ ろ うか ?
・比 例 の グ ラフを図形 的 に捉 え させ る (
意 図 的 に三 角形 を図示)
匝垂
j
]‥・整数 値 で な い点 も
(Ⅹ, y) の値 を求 めて グ ラフ上 に点 を取 る
・ 「点 を無数 に取 って い くと直線 にな る」 ことを確認 す る
・比 例 関係 を満 たす点 は原点 と他 の 1点 を結 ぶ直線 上 にあ る ことを理 解 す る
匝転
xの値 が 2倍 , 3倍, - にな るにつ れ て yの値 も 2倍 , 3倍, ・
・
・
]‥・比例 の性 質 「
とな る」 点 を グ ラフ上 に取 る と, それ らの位 置 関係 は ?
・グ ラフ上 の点 を 1点 取 り,
X
の値 を 2倍, 3倍 して, その点 にな る点 を求 め る
ことはで きるだ ろ うか ?
・原点 を相 似 の中心 と した相 似 な三 角形 が並 ん で い る
・y-2Ⅹの グ ラフが三 角形 の斜 辺 と対 応 して い る こ とか ら,比 例 の グ ラフは直
線 にな る ことを理解 す る
以上 が 中学 校 で の授 業 の構 成 を問題 解 決 学 習 の観 点 で整理 した もので あ る.次 に数学 的
活 動 の観 点 か ら考 察 す る と次 の よ うにな る.
垂
直 可 か ら 直 垂可 の活動
比 例 の性 質 を確 認 しなが ら値 の表 を作成 す る ことで あ る. ここで のね らい は負 の数 まで
拡 張 して考 え させ る ことで あ る. y -2Ⅹの式 に Xの値 を代入 す る子 ど も達 と X, yの増
加量 を求 め る子 ど も達 た ちの 2つ の グル ープ に分 か れ て いた.
直 垂可 か ら 匝 垂 可 の活動 ,
① 値 の組 を座標平 面 上 に取 る こ と
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)
(
診 比例 の グ ラフを考 え る こと
① は原点 と点 (1, 2) を取 っただ けで, 直線 を結 ん で y- 2Ⅹの グ ラフと して いた子
ど もた ちが ほ とん どで あ った. また,作 った表 の値 だ け座 標 を取 り,有 限 の直線 を引 く,
正 の範 囲 だ けの直線 を引 いた子 ど も達 もいた.数 個 の座 標 を取 っただ けで、 直線 を引 いた
子 ど も達 は 「
比 例 の グ ラフだか ら直線 にな る」「座標 を結 ん だ ら直線 にな る」 と考 えて い
た. そ こで図形 的 な視点 -転換 させ るため に 「
点 と点 の間 にあ る点 は比例 関係 を満 たすか」
とい う考 え方 を通 して創造性 の基礎 を培 う場面 を設定 しよ うと したが,子 ど もた ちの方 か
ら図形 で考 え る とい う意見 を出す の は難 しか った。 比例 の グ ラフの導入段 階 で あ る ことが
1つ の原 因 で あ る 有 限 な直線 を描 いて い る子 ど もや、正 の数 の範 囲 で しか考 え る ことが
。
で きて いな い子 ど もたちに対 す る授業 を大切 にす る ことが必要 で あ ったか も しれ な い。 子
ど もた ちに 「なぜ点 を結 ぶ と直線 にな るとい う説 明 で は不十分 で あ るのか」 とい うことに
対 す る問題意識 を は っき りと持 たせ る発 問 の重要性 も感 じた.教 師側 の手 だて 2 と して、
比 例 の性 質 を確 認 しなが ら意 図 的 に黒 板 で三 角 形 を示 したが , そ の後 の 匝 垂司 か ら
可 にか けて の活動 は、一部 の生徒 たちの中か ら感 嘆 の声 が あが -て いたが、大半 の
[
二
重 亘
子 ど もた ちは半信半疑 とい う様子 で あ った。対 応 す る頂点 が直線上 に並 ぶ とい うことだ け
で な く、三 角形 の斜辺 が延 びて い く様子 を もう少 し触 れて い る と良 か った。
授業 を終 え
て、三 角形 で考 え させ る場面 の進 め方 はまだ考慮 す る余地 が あ るが、 そ こを上手 く進 め る
ことが で きれ ば、比例 の グ ラフが連続 で あ る ことを実感 で きるいい教材 だ と考 えて い る。
4.おわ リに
今 回 の研究授業 は長 崎大学教育学部 附属小学 校算数科 お よび附属 中学校数学科先生方 に
ご協 力 を いただ き行 うことが で きた.算数 的活動 ・数学 的活動 は授業 を問題解決学 習 とと
らえ, その水準 を上 げ る授業展 開 を可能 にす るス トラテ ジー と して, また創造性 の基礎 を
培 うス トラテ ジー と して授業実践 に役立 っ もので あ る.数学 的活動 の楽 しさ, お も しろ さ
を体感 させ る授 業研究 は,数学離 れが起 きて い る今 日, われわれ に課 せ られ た大 きな課題
で あ る. 本稿 は数 学 的活動 で あ る 「知識 の獲 得 」「
数 学 的 な考 え方 」「創 造性 の基礎 」「
応
用」 の 4要 因 につ いて,授業実践 を通 して相互 関係 を解 明す る研究 の ス ター トと して位 置
づ けて い る.
考
参
文
献
1)文部省
小学 校学 習指導要領解説
算 数編
平成 1
1
年
東洋館 出版
2)文 部省
中学校学 習指導要 領解 説
数学編
平成 1
1
年
大 阪書籍
3)文部省
高等学校 小学 校学 習指 導要 領解説
4)G.Pol
ya いか に して問題 を解 くか
数 学編 理数 編
1
9
5
4
年
丸善
平成 1
1
年
実教 出版
小学校第
5学 年
1学 年
く授業の流れ>
「
なぜ比例のグラフは直線になるのか」について考察を行うO
=a
x上の点,更にその点を通りx軸に垂直に下ろした直線とx軸と
・ 原点0と,y
の交点の3点で三角形を作り,図形的に考える,
J
xの値が2倍 3倍 -となるとy
-となるとい
の値も2倍 3倍,
う比例の性質を三角形に当て
はめるO
・ 底辺が 2倍 3倍 -・
となると高
さも2倍 3倍 -となる,
・
・ 拡大三角形が原点を中心とし
て並ぶ。
・ 三角形の軸上でない頂点が斜辺の延長線上に並ぶ。その延長線をy
=a
xのグ
ラフを表していると考えることができる
.
I.
<目標>
・ ものの形や鞘数を捉えたり,規則を感じ取るなどの感覚を大切にするO
・ 児童自身の主体的活動を基に,考える力を高め,考えた事を活用できる力を
身に付けさせる。
<目標>
・ 既に身に付けた知識を基に,自ら調べ判断する九 粘り強い思考力を培 うこ
とを大切にする。
・ 考えた事を相手に伝える表現力を身に付けるO
<今後-の発展>
「
相似な図形」 「
相似と計量」等の図形の分野
「
比例とグラフ」等の関数の分野
<今後-の発展>
「
相似な図形」「
相似と計量」等の図形の分野
の
「
1次関数のグラフ
」「
2次関数のグラフ」等の関数の分野
載 忍 ・お静 ︰曹亜苫前世 中暫 b^ きf
;薄湘轟熟 o
)望沖
<授業の流れ>
・ 相似な三角形の 1頂点を基準として並べる。
.基準と頂点とを通る直線上に対
応頂点が取れる。
・ 3倍の三角形を描かせるO(
下左図)
・ 四角形の 2倍の拡大図を描かせる。作図に要する対角線の延長線を引けるか
どうかがポイント (
下右図)
・ 四角形の 2倍の拡大図を三角形に分割し,面積の増え方を調べるO
・ 相似比と面積比との関係に気付かせたい。
中学校 第
-1
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