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デザイン工学部 INDEX 理工学部 INDEX

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デザイン工学部 INDEX 理工学部 INDEX
交通工学
通信工学・通信システム
安全・防災
電子回路設計
意匠設計
電力エネルギー
インダストリアルデザイン
電波工学(無線システム/アンテナ)
プロダクトデザイン
熱機関・熱工学・熱伝導
ソシオデザイン
音響・波動
インタフェースデザイン
マイクロ・ナノエレクトロニクス
人間工学
情報ネットワーク
生体情報・医用画像
感性工学
応用数理
色彩表現技術
応用物理
素材表現技術
経営工学
福祉工学
金融工学・経済工学
ロボット工学
統計工学
メカトロニクス
流体力学
制御システム
知能・情報科学
シミュレーション学
自然・物質科学
情報工学
人間・社会科学
情報処理
医療福祉
燃焼工学
情報システム学
生産工学
経営工学
計算工学
生産工学
トライボロジ
生産システム学
環境工学
オペレーションリサーチ
機構
数理工学
機械振動
計算工学
衝撃工学
8
9
54
キーワードと研究室のマトリックス
ロケット・宇宙科学
53
御法川
学
航空宇宙
河川・流域管理
航空・機械音響研究室
デジタルエンジニアリング
システムデザイン
平野
元久
ものづくり
53
デジタルエンジニアリング研究室
設計工学
ロボット
52
林
茂
まちづくり・コミュニティ
反応流体研究室
エネルギー工学
流体工学研究室
マテリアルサイエンス
都市緑化・ビオトープ・造園
52
高島
俊
先端材料
都市空間・アメニティ
51
制御工学・ロボット工学研究室
メカトロニクス
都市計画
崎野
清憲
公共空間デザイン
材料強度学研究室
エンジニアリング
51
木村
文彦
機械システム
環境工学
50
設計生産システム研究室
機械設計
土木構造
川上
忠重
50
エネルギー変換工学研究室
49
大澤
泰明
大川
功
49
加工工学研究室
材料力学研究室
石井
千春
48
医療・福祉ロボティクス研究室
48
新井
和吉
掲載ページ
45
複合材料研究室
キーワード
相原
建人
●は主要研究
〇は関連研究
伝達機構・機械振動研究室
(教員名)
福田
好朗
生産システムデザイン研究室
45
野々部宏司
最適化システムデザイン研究室
44
西岡
靖之
情報マネジメントデザイン研究室
44
土屋
雅人
43
インタフェースデザイン研究室
43
田中
豊
42
高機能メカトロデザイン研究室
42
佐藤
康三
41
機能・造形デザイン研究室
掲載ページ
小林
尚登
ユニバーサルメカトロデザイン研究室
キーワード
岩月
正見
キーワードと研究室のマトリックス
●は主要研究
〇は関連研究
スマートマシンデザイン研究室
(教員名)
機械工学科
学 科
研究室
理工学部
システムデザイン学科
学 科
研究室
理工学部 INDEX
竹内
則雄
シミュレーション環境デザイン研究室
デザイン工学部
デザイン工学部 INDEX
電気電子工学科
学 科
航空宇宙
通信工学・通信システム
ロケット・宇宙科学
電子回路設計
通信工学・通信システム
電力エネルギー
電波工学
(無線システム/アンテナ)
電子回路設計
熱機関・熱工学・熱伝導
電力エネルギー
音響・波動
電波工学(無線システム/アンテナ)
マイクロ・ナノエレクトロニクス
熱機関・熱工学・熱伝導
情報ネットワーク
音響・波動
生体情報・医用画像
応用数理
マイクロ・ナノエレクトロニクス
応用物理
情報ネットワーク
経営工学
生体情報・医用画像
金融工学・経済工学
応用数理
統計工学
応用物理
流体力学
経営工学
知能・情報科学
自然・物質科学
金融工学・経済工学
人間・社会科学
統計工学
感性情報工学
流体力学
放射線物理
知能・情報科学
セキュリティ
自然・物質科学
ソフトウエア工学
人間・社会科学
ICTイノベーション
理論計算機科学
ソフトコンピューティング
脳情報処理
センシング
ユーザインタフェース
幾何学
プログラミング言語設計
光波工学
画像認識・理解
計算工学
10
11
66
キーワードと研究室のマトリックス
ロケット・宇宙科学
和田
幸一
航空宇宙
デジタルエンジニアリング
計算機科学研究室
デジタルエンジニアリング
ロボット
65
李
磊
ロボット
設計工学
コンピューティング研究室
設計工学
65
八名
和夫
エネルギー工学
情報信号処理工学研究室
エネルギー工学
64
宮本
健司
マテリアルサイエンス
マテリアルサイエンス
インタラクティブシステム研究室
先端材料
先端材料
64
藤井
章博
メカトロニクス
メカトロニクス
63
ネットワーク応用研究室
エンジニアリング
平原
誠
エンジニアリング
脳情報処理研究室
機械システム
機械システム
63
品川
満
機械設計
機械設計
光・電気融合情報工学研究室
62
金井
敦
62
情報ネットワーク・セキュリティ研究室
61
尾川
浩一
61
画像工学研究室
掲載ページ
60
彌冨
仁
キーワード
知的情報処理研究室
●は主要研究
〇は関連研究
赤松
茂
山本
康博
60
研究室
(教員名)
ヒューマンインタフェース研究室
電子材料工学研究室
山内
潤治
59
電波・光波伝送工学研究室
安田
彰
59
半導体システム工学研究室
三牧
宏彬
58
情報伝送素子工学研究室
間下
克哉
58
応用情報工学科
学 科
数学︵幾何学︶研究室
中村
徹
57
半導体デバイス工学研究室
57
中野
久松
56
柴山
純
齋藤
兆古
56
機能素子工学研究室
応用電磁気学研究室
55
斎藤
利通
栗山
一男
55
非線形回路システム研究室
電子物性工学研究室
54
岡本
吉史
掲載ページ
情報電磁気学研究室
キーワード
伊藤
一之
キーワードと研究室のマトリックス
●は主要研究
〇は関連研究
知能ロボット研究室
研究室
(教員名)
理工学部
理工学部 INDEX
電磁波工学研究室
理工学部
理工学部 INDEX
経営システム工学科
学 科
応用物理
応用数理
経営工学
応用物理
金融工学・経済工学
経営工学
統計工学
金融工学・経済工学
流体力学
統計工学
知能・情報科学
流体力学
自然・物質科学
人間・社会科学
知能・情報科学
地下水水文学
自然・物質科学
水環境学
人間・社会科学
防災工学
代数幾何学
心理学
確率論
天文学
理論計算機科学
レーザー物理学
プロジェクトマネジメント
原子・原子核物理学
オペレーションズ・リサーチ
水工学
12
13
77 77 78 78 79 79 80 80 81 81 82 82
キーワードと研究室のマトリックス
応用数理
生体情報・医用画像
横山
泰子
生体情報・医用画像
情報ネットワーク
山田
啓一
情報ネットワーク
マイクロ・ナノエレクトロニクス
人間フィールド研究室
マイクロ・ナノエレクトロニクス
音響・波動
柳川
浩三
音響・波動
熱機関・熱工学・熱伝導
河川研究室
熱機関・熱工学・熱伝導
電波工学(無線システム/アンテナ)
元木
淳子
電波工学(無線システム/アンテナ)
外国語能力評価研究室
電力エネルギー
言語・文化研究室
電力エネルギー
三浦
孝夫
電子回路設計
データ工学研究室
通信工学・通信システム
電子回路設計
松尾由賀利
通信工学・通信システム
堀端
康善
ロケット・宇宙科学
レーザー物理研究室
ロケット・宇宙科学
福澤レベッカ
航空宇宙
航空宇宙
計算機応用工学研究室
デジタルエンジニアリング
デジタルエンジニアリング
梨本
邦直
ロボット
ロボット
文化人類学研究室
設計工学
設計工学
玉井
哲雄
エネルギー工学
エネルギー工学
言語学・アイルランド語研究室
マテリアルサイエンス
マテリアルサイエンス
滝沢
誠
先端材料
先端材料
ソフトウェア工学研究室
メカトロニクス
分散システム研究室
メカトロニクス
鈴木
郁
エンジニアリング
エンジニアリング
塩谷
勇
佐藤
修一
76 76
人間工学研究室
計算言語処理研究室
呉
暁林
小屋多恵子
小林
一行
74 75 75
宇宙計測研究室
応用経済学研究室
応用言語学研究室
機械システム
加藤
豊
機械システム
72 73 73 74
自律ロボット研究室
機械設計
春日
隆
機械設計
数理意思決定研究室
掲載ページ
電波科学・天文研究室
キーワード
岡村
定矩
●は主要研究
〇は関連研究
銀河天文学研究室
72
(教員名)
伊藤
隆一
パーソナリティ・人間科学研究室
71
研究室
安田
和弘
宮越
龍義
71
数理ファイナンス研究室
応用金融分析研究室
70
中村
洋一
長坂
建二
70
経済工学研究室
数理科学研究室
69
千葉
英史
田村
信幸
69
アルゴリズム論研究室
確率システム研究室
68
五島
洋行
68
木村
光宏
桂
利行
67
経営数理工学研究室
応用代数学研究室
67
江 和博
66
生産システム研究室
キーワード
浦谷
規
礒島
伸
キーワードと研究室のマトリックス
●は主要研究
〇は関連研究
掲載ページ
金融工学研究室
(教員名)
応用可積分系研究室
研究室
創生科学科
学 科
理工学部
理工学部 INDEX
信頼性工学研究室
理工学部
理工学部 INDEX
理工学部
Faculty of Science and Engineering
2008年設置
小金井キャンパス
機械工学科
機械工学科
電気電子工学科
電気電子工学科
応用情報工学科
応用情報工学科
経営システム工学科
経営システム工学科
創生科学科
創生科学科
理工学部では日本のものづくりと持続可能な
社会づくりに貢献する自律的な技術者・研究者を
育成します。学科ごとに展開される履修モデルとし
てのコース・分野・フィールドと、学科の垣根をこえ
た他学科科目履修とをあわせることで専門的な学
びと幅広い周辺分野の知識習得が可能です。
学生自身の問題解決能力を涵養するプロジェ
クト学習(PBL)、希望者全員へのノートPC無償貸
与による情報教育、チューター制度によるピアサ
ポート、
アメリカおよびアイルランドでのSAプログ
ラムなど、特色ある教育カリキュラムを推進してい
ます。
卒業後は専門的知識や技術を活かし、大手
メーカーをはじめとした製造業、航空・宇宙産業、
情報通信業、サービス業等の幅広い分野で活躍
しています。
また、大学院への進学者が多いのも
特徴です。
47
機械工学科
機械工学科
デジタルエンジニアリング分野
マテリアルプロセッシング分野
理工学部/ 機械工学科
伝達機構・機械振動研究室
複合材料研究室
専任講師 相原 建人
教授 新井 和吉
Tatsuhito AIHARA
Kazuyoshi ARAI
研究室の学び
研究室の学び
本研究室では機械構造物に発生する振動現象の解明、動
力伝達機構の高効率化・静粛化に関する研究を行っていま
す。研究では数学・物理学を応用した理論解析やコンピュー
タを援用した解析、学生自らが設計・製作した装置を用い
て実験を行っています。したがって最先端のシミュレーショ
ン技術やモノづくりをバランス良く学ぶことができます。
私の研究室では、近年、宇宙機や航空機で使用されるこ
とが多くなった炭素繊維で強化したプラスチック(CFRP)
に代表されるような、2 種類以上の素材を組み合わせた材
料である複合材料について、その耐衝撃性向上の研究を行っ
ています。宇宙機へのスペースデブリ(宇宙ゴミ)衝突や、
航空機へのバードストライク(鳥の衝突)、野球用バットと
ボールの衝突など、高速衝突による複合材料の破壊を防ぐ
ための実験や数値シミュレーションを行っています。
社会との接点
現在、自動車をはじめとする輸送機器のほとんどは石油
などの化石燃料を燃やして動力を得る内燃機関により動い
ています。電気自動車の実用化も始まっていますがその電
気の多くは火力発電所により化石燃料を燃やすことで作ら
れています。石油に代表される化石燃料は限りある地下資
源であり、遠くない将来、枯渇することが予想されます。
そのため、快適性を損なわず、より高効率に動力を伝達
する機械が必要とされています。
そこで本研究室では快適で持続可能な社会を実現するた
め、理論に基づく解析やコンピュータを用いたシミュレー
ションおよび実験により、騒音の原因となる非線形振動の
現象解明や動力伝達機構の高効率化、振動エネルギー回収
技術に関する研究を行っています。これらの研究を進める
ことでより静かで燃費の良い自動車や飛行機が開発される
ことになります。
社会との接点
研究上の特長は、高速衝突から人や機械を守るための「安
心・安全」を目的とした研究を行っていることです。複合
材料の中でも代表的な繊維で強化したプラスチック(FRP)
は、軽くて強いという特性を活かして、身の回りでも多く
使われています。身近なものでは、ゴルフクラブのシャフ
トやテニスラケットのフレーム、バット、バイクのヘル
メット、お風呂などです。最近では、電車や自動車、さら
には、空を飛ぶ飛行機やロケット、人工衛星にも使われて
います。例えば、スペースデブリ衝突防御に関する研究で
は、地球周回軌道上にロケットや人工衛星の残骸などの人
工的なごみ、すなわちスペースデブリが多数存在し、その
数は約 4,000 万個以上ともいわれています。宇宙ステー
ションなどが活動する低軌道では、宇宙ゴミの速度は秒速
約 7.8km(時速 28,000km)もあり、宇宙ステーションな
どに衝突した場合には、大きな損害を与えることになりま
す。私の研究室では,こうした衝突物から宇宙機を守るた
め、JAXA(宇宙航空研究開発機構)と連携して超高速衝
突に耐えうる複合材料の開発に取り組んでいます。この他
に、航空機で使われる複合材料への鳥衝突やスポーツ用具
の分野でも、企業と共同研究を行っています。
主な卒業研究テーマ
◉耐スペースデブリ衝突用の軽量小型複合バンパの開発
◉宇宙機用窓ガラスのスペースデブリ衝突の研究
◉航空機用 CFRP のバードストライクによる損傷の研究
◉航空機ジェットエンジンの砂の吸い込み損傷の研究
◉野球用ヘルメットの耐衝撃性向上の研究
◉野球用バットの反発性能に関する研究
◉複合材料の強度とリサイクル性向上の研究
主な卒業研究テーマ
◉機械構造物における振動現象の解明に関する研究
◉自動車の振動・騒音低減技術に関する研究
◉振動エネルギー回収技術に関する研究
◉回転軸系のねじり振動低減技術に関する研究
◉楽器の音質向上に関する研究
48
機械工学科
機械工学科
ヒューマンロボティクス分野
材料物性・強度分野
材料力学研究室
教授 石井 千春
教授 大川 功
Chiharu ISHII
Isao OHKAWA
研究室の学び
研究室の学び
本研究室では、内視鏡手術支援ロボット
や、筋電義手、パワーアシストスーツなど、
医療・福祉工学に関連したロボットの研究・
開発を行っています。3 次元 CAD(機械設
計ソフトウェア)を用いてロボットを設計
し、実際に製作します。また、ロボットを
制御するために、制御系設計ソフトウェア
を用いてプログラミングを行います。さら
に、検証実験も行います。ロボットの設計
から制御までを体験し、技術者として必要
な知識を身につけることができます。
パワーアシストスーツ
私の研究室では、金属の疲労に関する研究を行っていま
す。
機械は運転中に引張り、曲げ、ねじりなど複数の荷重を
同時に受け、これらが長い間繰返されるとき裂(割れ)が
発生、成長して疲労破壊を起こすことがあります。このよ
うな機械の破壊事故を防止するため、実際の機械の稼働状
況を想定した実験を行って、き裂の成長を観察し解析しま
す。この結果をもとに機械の寿命を精度良く予測する方法
を検討し、安全な機械をつくるのに役立つ研究を行ってい
ます。
社会との接点
社会との接点
当研究室で行っている金属疲労に関する研究から得られ
る成果は、機械の安全性を確保するためには不可欠で大変
重要なものです。我々のまわりには、航空機、電車、自動
車などの輸送機器をはじめとして、建設機械、農業機械、
ロボットやパソコン、家電製品に至るまでさまざまな機械
があふれています。これらの機械の破壊は、地震や突風な
ど想定外の大荷重が瞬間的に加わる場合を除けば、その大
半が小さな荷重の多数回の繰返しにより徐々に破壊が進行
する疲労によるものであるといわれています。人命にかか
わる重大な破壊事故も起こり得ることから、疲労破壊を防
止し安全な機械をつくるために機械を設計、製造する現場
では疲労について得られた研究成果が大いに利用されてい
ます。当研究室で行っている疲労研究は、とくに機械に地
震のように大きな荷重が加わる場合や複数の荷重が同時に
作用する複雑な場合など、実際の機械において考えられる
さまざまな過酷な使用状況を想定したものであり、この研
究がさらに進めば、機械の安全性はさらに向上し、破壊事
故ゼロを実現することができると期待されます。
ロボットの設計・製作を通じ
て、機械/電気系の製造業で活躍
することができます。また、プロ
グラミングの知識を活かして情
報通信業で活躍することも可能
です。医師との医工連携も行って
いて、医療機器メーカーに就職す
手術支援ロボット
る学生もいます。
研究室で開発した医療ロボットが実用化されれば、医療
技術の進歩ならびに人命救助に貢献できると考えられます。
また、超高齢化社会の需要を見据えて、新しい福祉機器の
開発にも取り組んでいます。社会に役立つ福祉ロボットを
開発すれば、高齢者や障害のある方の生活の質を向上させ
ることが可能になるでしょう。
大学院に進学した学生には、積極的に海外での学会発表
を推奨していますので、国際社会で活躍するグローバルな
エンジニアになることが期待されます。
主な卒業研究テーマ
◉単孔式腹腔鏡手術用手術支援ロボットの開発
◉手術支援ロボットの力覚フィードバック制御
◉内視鏡手術トレーニングシステムの開発
◉筋電義手の触覚フィードバック
◉パワーアシストスーツの開発と制御
◉生体信号により操縦する電動車いすの開発
◉脳波による福祉機器の制御に関する研究
主な卒業研究テーマ
◉複数の繰返し荷重が同時に作用する場合の疲労
◉静的及び動的荷重が同時に作用する場合の疲労
◉曲げ加工により製造した部品の疲労
◉大荷重が少数回加わる場合(地震など)の疲労
◉疲労き裂成長のシミュレーション
49
理工学部/ 機械工学科
医療・福祉ロボティクス研究室
機械工学科
機械工学科
マテリアルプロセッシング分野
環境・エネルギー分野
理工学部/ 機械工学科
加工工学研究室
エネルギー変換工学研究室
教授 大澤 泰明
教授 川上 忠重
Hiroaki OHSAWA
Tadashige KAWAKAMI
研究室の学び
研究室の学び
モノ造りに関わる材料と言えば、量的には鉄鋼が王様で
すが、自動車、鉄道車両、船舶、航空機などの乗り物では、
常に鉄に代わる軽量高強度の合金が志向され、開発研究が
行われてきました。
次世代の軽量かつ高剛性、高比強度素材の材料特性、機
能性、コスト、ミクロな材料科学、および材料力学や塑性
力学に基づく加工プロセスの実験的、解析的考察を可能に
する専門分野の基礎、応用分野を文献輪読、勉強会によっ
て学びます。
ガソリン機関やディーゼル機
関をはじめとする内燃機関の極
限的な燃焼生成物低減を目指し
て研究を行っています。現在の
エネルギー消費速度が著しく増
研究室での実験
大する状況において、再生可能な
クリーンエネルギー技術の開発は、地球環境保全の観点か
らも極めて重要です。各種アルコール、植物油、工場から
の廃食油及びバイオディーゼル燃料等に着目し、燃焼生成
物低減に向けたエネルギー変換技術の能動的な制御により、
持続型エネルギー利用を進めています。
社会との接点
自動車、航空機、新幹線、地下鉄、船舶などの乗り物の
構造体は、いずれも軽く強いことが望まれています。
最近は、特に環境問題への意識の高まりから、さらなる
軽量化がこれらの構造体の設計製作上期待されています。
しかしながら、非鉄系で比強度の高い軽量金属は、一般的
に成形加工性が鉄鋼材料に比べて劣り、この点の克服が研
究者に強く求められているのが現状です。Al、Mg、Ti など
の合金やそれらの複合材料から、効率よく廉価でかつ素材
の特性をうまく利用した成形加工技術を研究開発し、実際
に応用展開していくことが本研究室の主要な取り組みです。
このような技術開発は医療・福祉工学、ナノテクノロジへ
の展開も期待できます。金属素材に対して、古来より使用
されてきた木材や竹などの天然資源を現代の産業に新しい
コンセプトで取り入れるための加工技術開発も行っていま
す。加工の際に高い付加価値を付与し環境にも人間にも優
しい製品造りを志しています。
さらに、3D プリンターによる樹脂製品の設計製作プロセ
スやスペースエレベータ建造に関する技術課題の克服など、
機械工学が織りなす明るい未来を考えています。
社会との接点
本研究室で行っている各種内燃機
関の燃焼生成物低減に関する研究は、
「ゼロ・エミッション」、すなわち、燃
焼生成物等の環境への影響を極限ま
で低減することを目的とすることに
より、地球規模での環境問題に対応し
うるものであり、皆さんが持続的にエ
研究室での実験
ネルギーを利用するためには、必要不
可欠な研究分野です。今後の燃焼を始めとするエネルギー
変換技術は、単にエネルギー源としてだけではなく、より
高度な安全面への配慮を行いつつ、高効率化はもちろんの
こと、多様なエネルギー変換技術の開発や次世代型の代替
新燃料を初めとする抜本的な改善が必要とされています。
すでに多くの関連分野の優れた新技術が開発されつつあり
ます。それらを融合し、また新しい着想・エッセンスにより、
地球規模で求められているエネルギー変換について、多角
的に社会に貢献すべく研究を行っています。
主な卒業研究テーマ
主な卒業研究テーマ
◉ 3D プリンターによる ABS 樹脂製品強度の実験的検討
◉ 3D パイプベンダーによる Al 合金パイプの曲げ加工解析
◉ガス発生剤による Mg 合金 LA141 板材の GIF
◉竹の塑性加工による和風インテリア照明器具の設計・製作
◉スペースエレベータ建造における技術的課題とロードマップ
◉難加工性材料の安定変形能に及ぼす降温プロセスの効果
◉次世代軽量金属板材の面内二軸変形挙動
◉多点噴射方式を用いた不均質燃焼場の燃焼特性の研究
◉ディーゼル機関の廃油系混合燃料を用いた燃焼制御
◉エンジン内複合流を伴う予混合火炎に関する研究
◉汎用小型ガソリン機関の燃料消費率低減技術の開発
◉アルコール・軽油・植物油混合新燃料の開発
◉対向型急速圧縮装置による高温・高圧下での炭化水素ー空気
混合気の燃焼特性について
50
機械工学科
機械工学科
デジタルエンジニアリング分野
材料物性・強度分野
材料強度学研究室
教授 木村 文彦
教授 崎野 清憲
Fumihiko KIMURA
Kiyotaka SAKINO
研究室の学び
研究室の学び
人の役に立つ機械製品やシステムを設計し生産すること
を目的として基礎的なものづくりの手法を学びます。最近
の機械製品やシステムは、電気電子やソフトウェアなどの
技術が融合したメカトロニクスと呼ばれる技術分野に支え
られています。そのためこれらの技術分野についても見識
を深めてゆきます。また、エネルギーや資源の浪費を無くし、
地球環境を汚染しないようにすることも重要です。そのた
めの環境評価技術についても学びます。
最先端材料を含む広範な機械材料の基礎的知識から応用
に至るまで、幅広い知識を身につけることが出来ます。と
くに、最近注目を浴びている CFRP 板材の目に見えない損
傷すなわち層間剥離を非破壊的に調べています。また、材
料が非常に速い速度で変形した際の変形挙動と特性につい
て、独自に開発した装置を用いて研究しています。このよ
うに、本研究室では、材料の損傷ならびに高速変形特性に
ついて、実験ならびに理論の両面から学ぶことが出来ます。
社会との接点
社会との接点
自動車や家電品、各種の生活機器など、さらには、鉄道
や航空輸送システム、電力などのエネルギー供給や水の供
給システムなど、我々の生活は数多くの工業製品によって
支えられています。数学や物理学などを基礎として、この
ような工業製品を設計し製造していくための技術をものづ
くりの技術と呼びます。
ものづくりの技術は、理論化が難しく、実験などにより
経験を積み重ねて進歩してきました。しかし、近年は、地
球規模での環境問題の顕在化による製品機能に対する要求
の高度化などのために、従来の経験に頼る手法では直面す
る課題に対応することが困難になってきました。
そこで注目されている手法が、情報処理技術の力を借り
てものづくりの技術を革新しようとする、計算機に支援さ
れた設計生産の手法です。このような手法をデジタルエン
ジニアリングと呼びます。工学の理論に基づき、計算機内
に製品のモデルを構築し、計算機シミュレーションにより
不具合を事前に検出したり機能の最適化を行ったりして、
信頼性が高く効率の良い製品を開発します。
現代の製品開発に不可欠なデジタルエンジニアリングに
ついてその基礎を学びます。
本研究室では金属材料および高分子系複合材料を対象に、
その強度や破壊の形態について衝撃すなわちダイナミック
スな方面から研究しています。最近の材料は、静的な荷重
ばかりでなく動的な荷重が加わった際の強度について明確
な知識が要求されます。生産コスト向上のために材料を高
速加工しようとすれば、その材料の高速域における変形特
性を知らなければなりません。例えば、工場で大量生産さ
れるアルミ缶やスチール缶の高速加工もその一例です。ま
た、車の衝突事故や阪神大震災に見られるような大型構造
物の破壊から人の生命や財産を守るには、構造部材に衝撃
荷重が加わった際の強度や破壊形態を知っておく必要があ
ります。自動車の衝突事故におけるドライバーの安全性を
考えた場合、車体は衝撃荷重に耐えられるような丈夫(耐
衝撃性が高い)でかつ軽い材料が必要であるとともに、衝
撃エネルギーを上手く吸収する構造設計が必須です。さら
に、地震などの衝撃的な揺れに耐えられる大型構造物をつ
くるためにも、衝撃荷重についての十分な知識が要求され
る事は言うまでもありません。このように、社会における
衝撃に関する問題はたくさんありますが、身近で重要なテー
マを取り上げ研究を進めています。
主な卒業研究テーマ
主な卒業研究テーマ
◉機械材料の衝撃変形特性:金属、非金属材料を非常に速い速
度で変形させたらどうなるかを調べています。
◉高分子系複合材料の衝撃損傷評価 :超音波探査映像装置を用
いて、炭素繊維強化複合材料(CFRP)の目に見えない損傷
を調べています。
◉構造材料の残留応力に関する非破壊評価:材料内部の損傷を
磁石の磁力を利用して調べています。
◉複雑かつ大規模化するメカトロニクス製品について、計算機内
のモデルを利用した製品機能のシミュレーションにより、安全
安心な製品を効率よく設計生産する手法の研究
◉各種の機械製品、情報機器、家電品などについて、LCA(Life
Cycle Assessment) の手法を適用して地球環境に対する負
荷を評価し、より良い製品に改善する手法の研究
51
理工学部/ 機械工学科
設計生産システム研究室
機械工学科
機械工学科
ヒューマンロボティクス工学分野
航空宇宙分野
理工学部/ 機械工学科
流体工学研究室
制御工学・ロボット工学研究室
教授 高島 俊
教授 辻田 星歩
Suguru TAKASHIMA
Hoshio TSUJITA
研究室の学び
研究室の学び
英語の教科書による制御工学の学習
プログラミング学習(C言語、Windows Applications)
ロボット工学の学習(機構、運動学・動力学、制御、センサー)
モノづくり(ロボットの製作、制御系の設計、制御プログ
ラムの開発、パソコンの組立)
工作機械の使い方(ボール盤、旋盤、フライス盤)
音楽理論、MIDI、DTM の学習
私の研究室の研究テーマの多くは、航空機用のジェット
エンジンや産業用ガスタービンなどの、ターボ形流体機械
の空気力学的性能向上に関するものです。流体機械の内部
では流体へエネルギーを与えたり、流体からエネルギーを
取り出すために、複数の翼が円環状に配置された羽根車が
多数回転しています。それらを通過する流体の流動現象に
おいては多様な渦が発生しますが、それらが空気力学的な
損失生成へ与える影響を詳しく調べています。
社会との接点
社会との接点
ロボットは最先端の学問、技術の集大成であるといって
いいでしょう。機械工学のみならず、さまざまな分野の
知識や技術が必要とされます。当研究室ではロボットを
Integrated Science( 総合科学 ) として捉え、制御工学を
応用することによりさまざまな能力を持つロボットの開発
を目指しています。特に当研究室ではこれまでどこも手掛
けてこなかった新しい動的で知的なロボットをテーマとし
ていますので、世の中にないものを生み出すという研究を
することができます。特に人を楽しませるアミューズメン
トロボットが主なテーマで、「外見ではなく、人間らしい運
動能力や芸術的な能力を持ったロボットを作る」ことを目
的としています。これまでに、人間の運動能力を表現する
ジムナストロボットや、音楽を人間のように表現する“自
動演奏ロボット”を開発しています。音楽は人間の芸術的
かつ知的な精神的活動に支えられ、熟練によってのみ表現
できる人間独特の行動です。人間と同じ方法で演奏するい
ろいろな種類の“管楽器自動演奏ロボット”を開発してい
ます。研究や開発の過程で得られた技術や知識は、将来パー
トナーとして、より人間に近い知的な人間型ロボットを開
発する際に役立つと考えています。
当研究室において研究の対象としているガスタービンは、
石油や天然ガスなどの化石燃料を燃やして動力を得る機械
であり、その代表例として航空機の推進力を生むジェット
エンジンや、発電用のガスタービンなどがあります。これ
らは現代人の生活には欠かせない機械ですが、化石燃料の
枯渇化の問題や二酸化炭素排出量削減などの環境負荷低減
に対処するために、さらなる性能の向上が望まれています。
当研究室では、ガスタービンの空気力学的性能の向上を
通じて、これらの環境問題の解決に貢献できる研究を行っ
ています。また、予期しない自然災害が発生する頻度が増
す中で、安定した電力源を保証しうる非常用電源の重要性
への意識も急激に高まっています。化石燃料はもちろんの
こと廃棄処理過程で発生する可燃性ガスの活用も可能であ
り、燃料多様性に非常に富んだマイクロガスタービンによ
る分散型発電システムは非常用電源として非常に有効であ
り、これに関する研究も行っています。
さらにマイクロガスタービンは医療関係のモバイル機器
や自走型ロボットの電力源の性能に要求される高いエネル
ギー密度と出力密度を有するため、これらの機器への適用
も期待されています。
主な卒業研究テーマ
主な卒業研究テーマ
◉不整地を高速で移動可能なバイクトライアルロボット
◉段違い平行棒運動ロボットの開発
◉障がい者のための演奏補助ロボット
◉ MIDI 入力装置を用いた Sax 演奏ロボットの制御
◉ Singer ロボットの研究
◉高度な演奏能力を持つ管楽器自動演奏ロボットの開発
◉飛行ロボットを用いたお庭番ロボットの開発
◉高負荷軸流タービン円環翼列の空力性能評価
◉高負荷軸流タービン直線翼列の内部流動に関する研究
◉タービン翼列のトランスピレーション冷却の数値解析
◉ラジアルタービン排気ディフューザ内の流れの解明
◉吹込みによる遠心圧縮機のサージング制御
◉マイクロガスタービン用遠心圧縮機内部流れの数値解析
52
機械工学科
機械工学科
航空宇宙分野
デジタルエンジニアリング分野
デジタルエンジニアリング研究室
教授 平野 元久
教授 林 茂
Motohisa HIRANO
Shigeru HAYASHI
研究室の学び
研究室の学び
新原理の機械や新現象の発見を目指して勉学と研究に挑
戦しましょう。人工衛星などの精密機械の研究をきっかけ
として、原子レベルの摩擦研究を進めています。私たちの
研究室では、数学と、物理学と、コンピュータの高速計算
を活用した計算理工学に関する基礎学力、いわば現代の理
工学の根本とも言える学問の基礎体力を皆さんに身につけ
ていただく教育と研究を行っています。
航空機用ガスタービン ( ファンジェットエンジン ) や発電
用ガスタービンの環境技術について研究しています。特に、
地球温暖化や成層圏に影響を与える窒素酸化物 NOx の生成
を抑制する新規な燃焼技術の研究を中心に据え、その研究
に必要となる燃料微粒化技術、燃料噴霧や反応場のレーザ
計測、スーパーコンピュータによる流れの解析を行ってい
ます。
社会との接点
社会との接点
航空輸送の増大に伴い航空エンジン排気が地球大気環境
に与える影響が無視できない状況になっています。排気中
の NOx、スモークや粒子状物質の排出だけでなく、CO2
も地球温暖化防止の観点から抑制が必要とされています。
CO2 については発電用ガスタービンも同様です。
これまでも有害成分の排出低減技術と効率向上技術の研
究開発により単位輸送量当たりの排出削減は進んできてい
ますが、エンジンの燃費性能の向上と NOx の排出削減とは
トレードオフの関係にあるので従来技術の開発だけでは今
後の輸送量や電力消費の伸びに対応するのは不可能で、新
しい発想による技術が必須です。
研究室で学びは、航空分野にとどまらず、エネルギーや
燃焼に関係がある分野での活躍に役立つと考えています。
コンピュータの高速計算機能を精一杯活用すると、私た
ちが日常感ずる、温度や圧力などの実験条件もコンピュー
タの中で自在に操れるので、新現象の発見につながる可能
性が大となります。日常の現象を数学と物理を基礎として
計算機シミュレーションの手法を通して調べると、特異な、
思いもよらない現象も予測できます。つまり、私たちの常
識を超えることが可能になるのです。現象をシミュレーショ
ンによって調べると、実験を先導して「夢の技術」を語れ
ます。
摩擦は毎日いつでもどこでも見られるありふれた現象で
すが、摩擦が発生する根本原因は、はっきりしていません。
摩擦の本質はとても複雑なのです。摩擦の研究を見通し良
くするために、摩擦を原子レベルのきれいな表面で調べる
と、原子同士の絡み合いから現れる摩擦の原因がわかりや
すくなります。
さらに、驚くことに、ミクロの世界では摩擦ゼロの超潤
滑現象が現れます。超潤滑の理論が摩擦のとても小さい材
料の発見につながれば、自動車の燃費が良くなり、省エネ
ルギー技術や環境問題対策が実現します。理工学の基礎を
身につけ、常識を超える「夢の技術」を語りましょう。
主な卒業研究テーマ
主な卒業研究テーマ
◉小型ファンジェットエンジン用クリーン燃焼器の研究
◉フレームレス燃焼のガスタービン燃焼器への応用に関する研究
◉無人機用推力 100N クラスジェットエンジンの試作
◉環状液膜方式微粒化ノズルの微粒化特性に関する研究
◉高温高圧燃焼場における燃料噴霧及び反応場の先進レーザ計
測及びスーパーコンピュータ数値計算による解明
◉固体摩擦の原子シミュレーション
◉固体摩擦の原子レベル実験
◉機械材料の弾性変形の理論と実験
◉ PM2.5 などの大気汚染状況の予測シミュレーション
◉機械構造物の劣化診断技術の開発
53
理工学部/ 機械工学科
反応流体研究室
機械工学科
電気電子工学科
環境・エネルギー分野
ロボット分野
理工学部/ 機械工学科・電気電子工学科
航空・機械音響研究室
知能ロボット研究室
教授 御法川 学
准教授 伊藤 一之
Gaku MINORIKAWA
Kazuyuki ITO
研究室の学び
研究室の学び
当 研 究 室 で は、 航 空 分 野 の 研 究 と し て、Light Sport
Aircraft と呼ばれる、新しいカテゴリーの小型航空機の試
作開発を行っています。小型航空機の設計、製造、評価を
通じて、日本の航空のすそ野を広げることに寄与したいと
考えています。
また、機械音響分野の研究として、エンドユーザー製品
を中心とした機械システムの静音設計、音質向上に関する
研究を行っています。特に、空力騒音と呼ばれる流れによっ
て生じる音について研究しています。
知能ロボット研究室では、学習能力を持ち、環境に合わ
せて自律的・適応的に振る舞えるロボットの開発を通して、
知能とは何か、それはいかにして実現されるべきかを研究
しています。最近は特に、コンピュータにより実現される
知能の枠組みに加え、ロボットの機構的な性質と環境の力
学的な性質により実現される新しい知能の枠組みについて
の研究にも力を入れています。
社会との接点
社会との接点
レスキューロボット、介護ロボット、自動車の自動走行
など、ロボットを知能化するための技術は、今後急速に一
般社会へ普及していくことが予想されます。知能ロボット
研究室では、知能を発現させるためのメカニズムの解明に
加え、その過程で得られた知見をレスキューロボットや自
動車の自律制御に応用する研究も行っています。
当研究室では、社会のニーズに即応できるような短期的
テーマに多く取り組んでいます。すなわち、メーカー各社
が実際に悩んでいる課題に対し、メーカーとの共同研究と
いう形で参画し、メーカーとのディスカッションに参加す
ることで、実際のモノづくりにおける業務をシェアし、研
究室として提案するようなテーマを設定します。そのため
には、メーカーで使用されている最新の設計解析ツールや
実験装置の操作法を習得する必要があり、コスト評価や時
間的制約といった実際のモノづくりに欠かせない要素を考
慮する必要がありますが、それらは会社に入った際のスキ
ルとして非常に有効です。
また、各研究テーマについても、学生各自がストーリー
を持って取り組む事を重視しています。大きなプロジェク
トの一翼を担うことは重要ですが、その作業に対して近視
眼的になりがちです。学生各自がテーマの設定から実験解
析方法の提案、結果評価に至る起承転結のプロセスを経験
することで、プロジェクト全体が把握できるエンジニアと
しての素養を身に付けるようにしています。
知能ロボット研究室で開発されたロボット
主な卒業研究テーマ
主な卒業研究テーマ
◉小型航空機の安全運航に関する研究
◉新しいカテゴリーの小型航空機の設計試作
◉情報機器冷却用マイクロファンの性能向上と静音化
◉小型モーターの異常音評価に関する研究
◉冗長多自由度ロボットのための学習アルゴリズムの提案
◉強化学習による多脚ロボットの自律制御
◉操作性を考慮した蛇型レスキューロボットの開発
◉トンボの振舞いを基にした衝突回避アルゴリズムの提案
◉蟻のエサ集め行動を基にしたレシピ検索システムの開発
54
電気電子工学科
電気電子工学科
電磁エネルギー工学分野
電子物性工学分野
電子物性工学研究室
准教授 岡本 吉史
教授 栗山 一男
Yoshifumi OKAMOTO
Kazuo KURIYAMA
研究室の学び
研究室の学び
私たちが使用している電気エネルギーには、大震災以降、
エネルギー源のクリーン化、省エネルギー化が厳しく要求
されるようになりました。本研究室では、電気エネルギー
を高効率に利用できる電力・電気機器設計を主眼とした電
磁界解析技術に関する研究を展開しています。主として、
有限要素法の高速大規模化を目指した並列数値解析技術、
トポロジー最適化新手法の開発等を通して、電磁エネルギー
工学の進展に資する基礎研究を精力的に行っています。
私の研究室の主要テーマの一つは、シリコンチップへ
充放電可能な微小リチウム2次電池を埋め込み、微小ロ
ボットなどの微小電気機械システム駆動用の電源を、ナ
ノ テ ク ノ ロ ジ ー を 駆 使 し て 開 発 を 行 っ て い ま す【MIT
Technology review 電子版: On-Chip Battery Debuts
で検索できます】。卒業生(含大学院)は大学教員、産業技
術総合研究所、宇宙航空研究開発機構、主要電気メーカー
などで研究及び技術開発などに従事しています。
社会との接点
社会との接点
私たちの身の回りに存在する電力・電気機器には、微小
電気機械から大型タービン発電機まで、大小様々な種類が
存在します。これらの特性改善のため、本研究室にて独自
に開発した辺有限要素法プログラム(Maxwell 方程式を数
値的に求解)が効果を発揮します。下図にこれまでに行わ
れた電磁界解析の結果を示します。
本研究室におけるこれら一連の学術研究活動を通して、
学生達の問題発見・解決能力は飛躍的に高まり、電気メー
カーの設計部門に必要とされる人材へと成長できます。
現在最も精力的に行っているテーマは、“On-Chip Battery”
の研究です。世界最小のリチウム2次電池(充放電可能な
電池)の開発です。コンピュータを含めた電子デバイスは
軽量・小型化に向かって研究開発が行われていますが、電
源そのものの小型化の研究を真剣に考えているグループは
世界的にみても希少です。シリコンチップ内にマイクロ2
次電池を組み込み、チップ内の超 LSI(大規模集積回路)や
バイオチップの電源(あるいはバックアップ電源)として
使用するというもくろみ(夢)です。日本経済新聞(08 年
3 月 21 日朝刊)で紹介されています。
また、青色発光素子や自動車用パワーエレクトロニクス
デバイス用の材料である窒化ガリウム(GaN)に均一なド
ナー不純物を導入するために“原子核転換を利用した技術”
を京都大学原子炉実験所の共同利用施設を用いて実施して
います。半導体ウエハへのナノスケールでの均一な不純物
ドーピングは素子が微細化するとともに電気特性の均質化
が要求されています。さらに宇宙空間で使用する場合、ガ
ンマ線やベータ線などに対する耐放射線に関する研究も重
要です。レーザ励起による発光特性から放射線による結晶
格子欠陥のエネルギー準位を明らかにしています。
主な卒業研究テーマ
主な卒業研究テーマ
◉有限要素メッシュの非適合接続を考慮した電磁界解析
◉電磁界・熱伝導連成解析
◉ニュートン・ラフソン法を用いた高速非線形電磁界解析
◉微小交流に直流電流が重畳されたリアクトルの電磁界解析
◉高速大規模高並列有限要素法に関する研究
◉レベルセット関数を援用したトポロジー最適化手法の開発
◉随伴変数法による効率的感度解析手法の検討
◉ 100 ミクロン平方の全固体型リチウム 2 次電池の試作
◉プロトン照射 GaN の水素濃度分布と電気伝導特性評価
◉超伝導が予想されている LiMgN の電気伝導測定
◉窒素混合ガス熱処理による GaAs 表面への GaN 層の形成
◉電池材料としての有機半導体へのリチウム添加
◉透明電極としてのプロトン照射 ZnO の電気伝導性評価
◉新しいリチウムイオン電池電極材料の開発
55
理工学部/ 電気電子工学科
情報電磁気学研究室
電気電子工学科
電気電子工学科
電気電子回路工学分野
エネルギー工学分野
理工学部/ 電気電子工学科
非線形回路システム研究室
応用電磁気学研究室
教授 齋藤 兆古
教授 斎藤 利通
Yoshifuru SAITO
Toshimichi SAITO
研究室の学び
研究室の学び
人類の構築する文明生活の真の豊かさとは人類がどれだ
け潤沢にエネルギーを使えるかに依存します。エネルギー
は色んな形態をとることが可能です。私たちは文明生活に
最も適したエネルギー形態として電気エネルギーを選びま
した。結果として、人類の存在する空間は電気エネルギー
を使った IH 調理器などの家電機器から自動車まで広がって
います。本研究室では電気エネルギーの維持管理に必要な
機器に関して知見を深めています。
コンピュータの中では、多くのスイッチを含む回路が時
間空間的に複雑な動作を行い、音声や画像の情報を処理し
ています。一方、我々の脳は優れた情報処理機能を持って
います。例えば、記憶は分散して行われるので、失われに
くくなっています。多くの神経細胞が並列に働いているの
で、速くて柔軟な動作が可能です。このような脳の優れた
機能に学んで、新しい高性能の回路であるデジタルニュー
ラルネットを実現するために、基礎研究を行っています。
社会との接点
社会との接点
電気エネルギーを潤沢に使う豊かな文明生活を維持する
には、電気エネルギーを生成することから始まり、各家庭
や工場、学校などへ電気エネルギーを伝送し、最終的に電
気を利用した IH 調理器などの家電機器から電気自動車など
で熱・光・動力へ変換して電気エネルギーを消費すること
でなされます。
本研究室では、電気エネルギーを生成する発電機、電気
エネルギーを動力へ変換する電動機の開発も行っています。
普通の発電機や電動機との違いは、超薄型の発電機や電動
機である点です。これらは未だ未開発のエネルギーを電気
エネルギーへ変換し利用するために国の支援で行われました。
現在、最も重点を置いている研究は非破壊検査です。電
気エネルギーを常に維持管理するために必須な作業が非破
壊検査です。非破壊検査で最も重要な部品はセンサです。
最近、開発したセンサは自動車部品の品質管理に必須な高
感度渦電流センサです。既に企業で製品化レベルまで到達
しています。
その他に自然界の周波数ゆらぎを利用した信号処理方法
を開発し、従来は識別不能な信号の識別に成功しています。
将来の最先端技術の発展に貢献するためには、現在の最
先端技術に習熟するのではなく、基礎力を養成することが
最も重要である、と考えて、教育研究を行っています。
電気電子回路工学の基礎となる数理的考察力、ハードウ
エアとソフトウエアによる実験のスキル、英語によるコミュ
ニケーション力、プレゼンテーション力などが重要です。
研究室の学生は、ニューラルネットやスイッチ回路網に
関する様々な基礎研究を行い、優れた成果をあげ、電子情
報通信学会 (IEICE) の研究会などで発表しています。ほとん
どの大学院生が米国電気電子学会 (IEEE) などの国際会議で
の発表を経験しています。学会で表彰される学生もいます。
現在、研究室は 26 才ですが、多くの卒業生が、大学や
大手メーカーなどで、研究者や技術者として活躍していま
す。
主な卒業研究テーマ
主な卒業研究テーマ
◉デジタルニューラルネットの安定性解析法の構築
◉デジタルニューラルネットの学習法の構築
◉ニューラルネットの再生可能エネルギー供給回路への応用
◉ニューラルネットの再構成可能電電源制御回路への応用
◉群知能による回路動作最適化
◉アナログ電子回路のカオスと分岐現象の解析
◉アナログ電子回路の同期現象の解析
◉共振型渦電流センサ ◉∞コイル型センサ
◉周波数揺らぎ信号処理
◉磁区の可視化情報処理
◉数学的磁化特性モデル
◉共振系の準解析的モデリング
◉電磁界系逆問題解析
56
電気電子工学科
電気電子工学科
センシング分野
電磁波工学分野
電磁波工学研究室
教授 中野 久松
教授 柴山 純
Hisamatsu NAKANO
Jun SHIBAYAMA
研究室の学び
研究室の学び
電気の波は見えない波ですが、人体ですら分子レベルで
見れば電気の波を放射しています。自然界は電気の波の塊
なのです。この電気の波は電磁波とよばれます。当研究室
では、波の現象を理解し、電磁波の通信分野への応用に力
をそそいでいます。その一つにアンテナの開発があります。
学生は、開発のために必要となる考え方、これを具体化し
た数式の導き方、さらには導出した式を解く方法を学び、
最後に実際にアンテナを製作し性能評価法を経験します。
携帯電話では“電波”で情報のやりとりをします。イン
ターネットでは“光波”による光ファイバ通信が基盤技術
です。電波も光波も電磁波ですが、その中間にあるのが“テ
ラヘルツ波”。最近になってテラヘルツ波を活用出来る環境
が整ってきました。当研究室では、電磁波の有効利用の観
点から、テラヘルツ波帯~光波帯に渡る様々な機能素子の
研究を行っています。また、これらの素子を効率よく解析・
設計するための時間領域手法の開発も行っています。
社会との接点
社会との接点
当研究室は、これまでに多
くのアンテナを創造し、社会
に提供した実績をもっていま
す。衛星放送受信用パラボラ
アンテナ、携帯電話用アンテ
ナ、車載用小型 GPS アンテ
ナ、超薄型カードアンテナ、
パラボラアンテナ
惑星探査平面アンテナなど
は、その一例です。現在は、
新材料(左系材料)を用い、
機能性に富む「超小型アンテ
ナ」の実現に取り組んでいま
す。その成果を、逐次、国際
惑星探査平面アンテナ
会議等で発表しています。
国際交流も盛んであり、海外から研究者による講演会や、
海外研究者の受け入れを積極的におこなっています。他大
学、企業等との共同研究では、一歩先のアンテナを模索し、
未知の技術を探求しています。
当研究室では種々の機能素子を
電磁界解析によって設計していま
す。解析には市販のソフトウェア
を使用するのではなく、研究室オ
リジナルのコードを元に、検討す
る素子に対応するコードを学生が
自ら書き上げる作業をします。
台北での国際会議にて
しかし、解析したい素子を一度
の試行でうまくコーディングできることは極めてまれで、
望んだ計算が出来るまで多くの試行錯誤を経験します。こ
れが、問題解決力を向上させます。
また、得られたデータを説得力を持って伝えられるよう
に、プレゼンテーション力の養成にも力を入れています。
大学院に進学し顕著な成果を生み出せれば、海外の会議で
発表する機会が得られます。研究室を卒業した学生は、電気、
通信、精密機器、自動車等の企業に就職し活躍しています。
主な卒業研究テーマ
主な卒業研究テーマ
◉テラヘルツ帯における金属メッシュ構造の FDTD 解析
◉擬似表面プラズモンポラリトンを利用したテラヘルツ周波数ス
プリッタ
◉ Fundamental 法の周波数依存型 LOD-FDTD 法への応用
◉遺伝的アルゴリズムを用いた MMI 導波路の出力最適化
◉モルフォ蝶の鱗粉断面を再現した多層構造の解析
◉センシング部に多モード干渉を生じる導波路型 SPR センサ
◉1つのアンテナで右回転、左回転の電磁波を放射するアンテナ
を創る
◉宇宙を探索する人工衛星搭載用の平面状薄型アンテナを開発
する
◉現在使用されている自動車搭載小型アンテナを、より小型化する
◉大腸を検査するための超小型アンテナを開発する
57
理工学部/ 電気電子工学科
機能素子工学研究室
電気電子工学科
電気電子工学科
マイクロナノエレクトロニクス分野
幾何学分野
理工学部/ 電気電子工学科
数学(幾何学)研究室
半導体デバイス工学研究室
教授 中村 徹
教授 間下 克哉
Tohru NAKAMURA
Katsuya MASHIMO
研究室の学び
研究室の学び
電気エネルギーを効率よく変換するには従来の半導体デ
バイスでは限界にきており、新しい半導体デバイスの創生
が必要です。現在、もっとも期待されている半導体の一つ
はワイドバンドギャップ半導体であり、高速・高耐圧・高
効率システムが実現できる特徴をもっています。私たちの
研究室では、ワイドバンドギャップ、特に窒化ガリウム
(GaN)や炭化シリコン(SiC)半導体デバイス、の解析、
試作、高性能化に重点をおいた研究を行っています。
数学のテキストの「輪講」や「ゼミ」を主として行って
います。決められたテキストをもとに、学生自らが計算を
したり、例を作ったりし内容を理解し、他の学生に対して
解説をするという学習形態です。
そのような作業を繰り返すことによって、問題を整理す
ること、論理的に考えること、考えた結果をまとめること、
さらにそれを解説することといった能力を養うことができ
ます。
社会との接点
社会との接点
私たちが日常使っているコン
ピュータは年々高速そして高機能
となり、また携帯機器はより小さ
く、低消費電力となっています。
これらの電子機器の高性能化はそ
の内部に使われている半導体デバ
イス技術の進歩に依っているといっても過言ではありませ
ん。また、近年話題となっている地球温暖化問題に対処す
るためには、制約となるエネルギーの消費が少なくても豊
かな社会・ライフスタイルを実現することが不可欠です。
エネルギー消費量を減らし低炭素社会を実現する最も本質
的な方法として、私たちが日常使っている全ての電機設備・
製品のエネルギー変換効率を向上させ、損失を低減するこ
とが挙げられます。
電気エネルギーを効率よく変換するには従来の半導体デ
バイスでは限界にきており、新しい半導体デバイスの創生
が必要です。半導体デバイス工学研究室では、ワイドバン
ドギャップ半導体の持っている特徴に注目し、その性能を
発揮できる電子デバイスを設計、試作、評価して積極的に
国際学会や論文に投稿しています。
数学が社会に役立つと感じている人は多くないかもしれ
ません。しかし、数学は現代の科学や技術の基盤であり、
数学なしに現代社会は成り立ちません。
数学は、古代エジプトで発生した幾何学を起源として、
数や図形を一般化・抽象化した概念をもとに、論理的に組
み立てられた知識体系として発展してきました。一般化・
抽象化によって難しくなってしまった反面、数学は、汎用
性のある学問になりました。また、時間・地域等に依らな
い普遍性を持つことにもなりました。紀元前3世紀ごろに
書かれたユークリッドの「原論」の一部の内容が、今でも
中学校で教えられていることはその一例といえます。
一般に「数学=計算」と捉えられがちですが、数学を学
ぶことは、問題を分析・整理し論理的に解決すること,さ
らにその内容を論理的に明快に説明するというプロセスの
訓練としても重要な意義があります。
数学を学んだ人は、数学を学ぶことによって得られる抽
象化、論理的思考および説明の能力をもとに、社会に貢献
することが可能です。また、現代社会はそういう能力を持
つ人を求めています。
主な卒業研究テーマ
主な卒業研究テーマ
◉ GaN 基板を用いた高耐圧 p-n ダイオード
◉ p-GaN を用いた自己整合 GaN 電界効果トランジスタ
◉ SiC イオン注入とグラフェンデバイス
◉ワイドバンドギャップ半導体バイポーラトランジスタ
◉微細化T型 GaN イオン注入HEMTデバイス
◉SiCおよびGaNへのイオン注入技術
◉自立 GaN 基板上の高性能電子デバイス
◉学部の学生が、数学の新しい結果を出すことはほぼ不可能で
す。そこで卒業論文は、適当なテキストを定めて読み、その内
容をきちんと理解してまとめたものを提出してもらっています。
◉この作業により、論理的に思考する能力、思考の結果を文書
としてまとめあげる能力を養います。
テーマ(テキスト)は、毎年変わります。
58
電気電子工学科
電気電子工学科
情報伝送素子工学分野
電子回路分野
専任講師 三牧 宏彬
教授 安田 彰
Hiroaki MIMAKI
Akira YASUDA
研究室の学び
研究室の学び
高周波の分野では、負荷に信号を伝達するために、同軸
ケーブルやマイクロストリップ線などの伝送素子が利用さ
れています。信号を効率良く伝達するためには、損失の少
ない伝送素子が必要とされています。損失を生じさせてい
る原因は、伝送素子の長さ、形状、素子間の干渉等が考え
られています。本研究室では、情報源と電子機器との情報
を効率よく伝達する、小型で損失の少ない伝送素子を研究
しています。
当研究室では、アナログ回路技術をベースとした新しい
電子機器の研究を行っています。アナログ回路は、携帯電
話や音響機器、通信機器、パソコンなどあらゆる電子機器
の高性能化(高速化や長電池寿命,高精度化など)を実現
するために必須の技術です。これらの基礎技術をマスター
し、学生にはさらにこれらの技術を使うことで人生を豊か
にする新しい機器の提案やこれらを実際に作ってもらいま
す。
社会との接点
社会との接点
我々が感じることが出来る信号(光、音、におい、触覚(圧
力)、温度など)はすべてアナログ信号です。また、携帯電
話や TV、ラジオなどで使っている電磁波(電波)などもア
ナログ信号です。また、インターネット接続に使っている
インサーネットやパソコンの USB インターフェースなど
の高速にデータをやりとりする信号もやはりアナログ信号
です。コンピュータはデジタル回路で実現されていますが、
高速な動作を実現させるにはアナログ回路技術が必要にな
ります。このように、我々の周りにはアナログ信号を取り
扱うアナログ回路が沢山有り、このアナログ回路によって
現在の情報社会が支えられています。
皆さんは、アナログ回路技術を学ぶことにより、現在の
携帯電話やコンピュータなどをさらに高性能化することが
出来るようになり、より豊かな生活の実現に貢献すること
が出来るようになります。
当研究室では、アナログ信号をデジタル信号に変換する
アナログデジタル変換器の高速高精度化による情報機器の
高性能化の実現や、逆にデジタル信号で直接制御すること
で高精度なアナログ特性を持ちかつ高効率なデジタルス
ピーカやデジタルモータを実現しています。
携帯電話、無線LANなど無線通信システムが私たちの
日常生活の中に浸透しています。それに伴いマイクロ波帯
で用いられる各種高周波回路の開発・技術動向が注目され
ています。伝送素子として使用しているマイクロストリッ
プ線や同軸線は、使用形態により、信号の減衰や位相に変
化を生じさせます。さらに、接続される素子との間に不整
合がある場合、マイクロストリップ線や同軸線の伝送特性
に劣化を生じさせます。
研究室では、このような情報伝送時に生じる物理現象を
理解することから研究を始めています。基礎的な現象を理
解することは、基礎力の増加になります。現象を理解した後、
シミュレーションソフトを使用し、損失の少ない効率の良
い伝送素子の開発を行っています。さらに、広い周波数帯
域で動作する伝送素子の開発も行っています。
研究対象の素子は、平衡平板伝送素子、誘電体伝送素子、
螺旋伝送素子です。これらの素子の特性改善を行い、素子
を使用している電子機器の小型化、高性能化への貢献を検
討しています。
主な卒業研究テーマ
◉非常に精度が高く音質が良いΔΣ型アナログ-デジタル、デジ
タル-アナログ変換器の研究
◉アナログ回路を用いず高精度なアナログ特性を実現するデジタ
ル直接駆動スピーカの研究
◉デジタル信号で複数のコイルを制御する高効率デジタルモータ
の研究
◉携帯電話などの高精度アナログ回路技術の研究
主な卒業研究テーマ
◉平衡平板伝送素子の開発
◉螺旋伝送素子の開発
◉誘電体伝送素子の開発
◉平衡不平衡変換器の開発
59
理工学部/ 電気電子工学科
半導体システム工学研究室
情報伝送素子工学研究室
電気電子工学科
電気電子工学科
通信工学分野
電気電子工学分野
理工学部/ 電気電子工学科
電波・光波伝送工学研究室
電子材料工学研究室
教授 山内 潤治
教授 山本 康博
Junji YAMAUCHI
Yasuhiro YAMAMOTO
研究室の学び
研究室の学び
遠距離通信が身近な時代になっています。いつでも、ど
こにいても、誰とでも連絡が取れる便利な時代になりまし
た。この便利さを支える技術の一つが通信工学です。やり
とりされる情報は電波や光となって伝わります。目に見え
ない電波も、目に見える光も同じ電磁波の一種であり、波
長(周波数)の違いにより分類できます。私の研究室では、
電波や光波を使用した、各種通信デバイスや回路の開発、
設計を行っています。
この研究室では、皆さんがお使いのパソコンやスマホな
どを構成しているトランジスタや集積回路、あるいは液晶
といった電子部品を作るための電子材料を研究しています。
現在使われているパソコンなどの性能を更に向上させるた
めには電子材料にどのような性質が必要なのか、また、そ
れを実現するにはどうしたら良いのかについての知識と方
法論を、実験を通じ、実際にモノづくりをしながら学ぶこ
とができます。
社会との接点
社会との接点
みなさんが送るメッセージや画像は、電磁波という波に
のって、空間やファイバ線路を伝搬します。電界が振動す
る面を偏波面と呼びますが、ファイバを伝搬する光は偏波
面が崩れてしまいます。このため、ファイバからの光を受
け取る回路では、どのような波がやってきても等しく動作
させることが不可欠です。このような偏波無依存光回路の
実現に必要な素子の一つが偏波変換導波路です。例えば、
水平偏波を垂直偏波に変換します。研究室では、独自なア
イデアに基づく小型で広帯域に動作する変換器を考案して
おり、特許も取得しています。国内メーカーや海外からの
問い合わせが多い研究です。
他方、平板構造で光の偏波を変える素子は、ディスプレイ、
カメラなどの画像装置、DVDの読み取りなどに応用され
ています。現在、いかに薄い板で直線偏波を円偏波に変え
られるかにチャレンジしています。加えて、特定の偏波の
みを通過させるフィルタの開発も行っています。損失を少
なく抑えながら、広帯域に動作させるのが重要なポイント
です。
情報化社会と言われ始めて久しいのですが、これを支え
ているのがコンピュータの発達であることはご承知と思い
ます。コンピュータの性能はこの 10 年の間でも 1000 倍
以上向上していますが、この性能向上を支えているのが実
は電子材料の開発なのです。科学技術の発達と電子材料は
互いが互いを向上させるという関係で、科学技術側からの
要求が新しい材料の開発を促し、また、高度の性能を持っ
た新しい材料が新しい技術を発展させ応用範囲を広げると
いうものです。コンピュータの性能向上の歴史は真にこの
典型です。
この研究室では、実際に新しい電子材料を作成し、性能
を向上させるという研究を行っているのですが、そこで学
ぶことは単なる知識ではありません。この分野の進展は極
めて早く、今現在の最新知識も2~3年すれば古くなって
しまいますが、ここで学ぶ「どのようにして研究を進めて
目標を達成するか」すなわち方法論は古くなることはあり
ません。
この研究室から多くの卒業生が世に送り出され、ここで
学んだ方法論を生かして、材料開発の分野は勿論のこと、
それ以外の分野でも技術者として活躍しています。
主な卒業研究テーマ
主な卒業研究テーマ
◉周期構造を利用した金属膜レンズ素子の開発
◉光ブラックポールの電磁波吸収特性
◉低損失屈曲光回路の構成法
◉光ナノ伝送路の開発
◉短軸長導波路型偏波変換器の設計
◉超薄型偏光変換板の開発
◉光ナノアンテナの放射特性の検討
◉ MOS(金属-酸化膜-半導体)構造デバイスに用いられる新
しい高誘電率絶縁膜の開発
◉ Si と Ge を含む半導体材料の研究
◉高速イオンビームを半導体結晶に照射したときの結晶の乱れと
その回復過程の実験およびコンピュータシミュレーション
◉結晶成長のコンピュータシミュレーション
60
応用情報工学科
応用情報工学科
人間環境情報分野
知能情報分野
知的情報処理研究室
教授 赤松 茂
准教授 彌冨 仁
Shigeru AKAMATSU
Hitoshi IYATOMI
研究室の学び
研究室の学び
人の姿や動作、文字や絵画など、人が目を通じて読み取っ
ている情報を、コンピュータも自在に認識・生成できるよ
うにすることで、ユーザの意図を適切にくみとり、人の感
性に訴えるコミュニケーションができる「人に優しいコン
ピュータ」を実現することを目指しています。具体的には、
画像認識・生成技術の福祉・介護、セキュリティ、エンタ
テインメントへの応用によって、「安心・安全・快適な社会」
の実現に役立てる研究に取り組んでいます。
コンピュータに、人間の様な高度情報処理を行わせるた
めの「機械学習」や、それらを実際の認識問題に応用した様々
な研究、また他の産官学の機関連携による幅広い研究分野
に対して積極的に活動を行っています。研究成果を対外的
に発表すること、特に国際会議での研究成果発表に力を入
れており、英語でのプレゼンテーションスキルや、質疑応
答能力も身につけます。
社会との接点
社会との接点
研究室における先端研究の成果を積極的に社会に還元す
るために、大学院生はもとより学部生にも、学会発表を行
うことを強く推奨しています。国内の学会や海外の国際会
議での発表体験は、学生諸君にとって、社会で求められる
プレゼンテーション能力を身につける格好の訓練の場とも
なっています。
当研究室は、国内外の理工系、医学系の学術機関や企業、
省庁や自治体の機関と連携し共同研究を行っており交流が
盛んです。研究により得られた成果は論文や学会、特許、
公開システムとして広く世界に発信しています。特に医学
部との連携プロジェクトで実現した皮膚がんの自動診断支
援システムは、インターネット上に無料で公開しているこ
とから世界中の皮膚科医から利用されています。
研究活動において得られる直接的な成果の他にも、副次
的に得られる論理的な思考能力、文書の作成能力やプレゼ
ンテーション能力、スケジュール管理や調整能力、より広
く見ると、自ら発見し目標を設定し、解決への道筋をたて、
実現する力を身につけるという、広く社会から求められる
実践的な応用力、価値創造能力を身につけられることこそ
が、研究室生活での学びの本質と考えています。
3 次元顔モデル上の表情生成
こうした活動を通じて、個々が社会から求められる存在
となり、プライドを持って楽しく活躍する内容が自然と社
会貢献につながるような人材の輩出を目指しています。
人の視線の動きを計測する
実験風景
主な卒業研究テーマ
主な卒業研究テーマ
◉顔画像による未知人物の性別判定・年齢推定システム
◉任意人物の顔の表情を創る3Dアニメーション
◉視線や指さし動作の自動認識によるインタフェース
◉シーン映像中の歩行者の検出と追跡
◉主観的な印象判断にもとづく 3 次元物体の形状デザイン
◉人は顔のどこを見て「社交的」
「若々しい」などの印象を判断し
ているのかー印象判断時の視線の動き分析ー
◉ Deep Learning( 新しい機械学習 ) への挑戦
◉画像解析と学習システムを用いた皮膚がんの自動診断システム
の開発
◉言語解釈を用いた新聞記事の書き手の立場の自動分類
◉紙とデジタルの融合―新しい電子透かしの開発
◉動画解析を用いた「人のくせ」の自動認識
◉植物の病気の自動診断システム
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理工学部/ 応用情報工学科
ヒューマンインタフェース研究室
応用情報工学科
応用情報工学科
生体情報分野
情報ネットワーク・セキュリティ分野
理工学部/ 応用情報工学科
画像工学研究室
情報ネットワーク・セキュリティ研究室
教授 尾川 浩一
教授 金井 敦
Koichi OGAWA
Atsushi KANAI
研究室の学び
研究室の学び
私の研究室では、医学と工学の橋渡しをするような技術
開発を行っています。具体的には、放射線を用いて病気を
診断する画像をつくったり、その画像を用いてがんを治療
するような装置の研究開発です。この研究を通して、画像
を作る理論を作りソフトウエアを書いたり、実際の診断装
置の基礎となるものづくりができる人材を育成し、健康で
長生きができるような医療・福祉の領域で活躍する卒業生
を輩出しています。
インターネットの普及に伴い便利になると同時に様々な
危険性も増してきています。当研究室ではインターネット
の様々な危険性を軽減し、安心安全にネットワークを利用
する技術の研究開発を行っています。具体的には、コン
ピュータウィルスを含む各種攻撃の検知や防護、クラウド
を安全に使うとともに、効率よく複数クラウドを利用する
技術、センサー等を用いた環境のリスク測定と可視化と制
御などについて研究しています。
社会との接点
社会との接点
当研究室では、医療の現場で実際に動いている診断装置
や治療装置を作っているメーカおよび病院などと共同研究
を行っています。これにより、当研究室で開発したソフト
ウエアなどは、病院や医学部で一定の臨床的評価を行った
後、実際の病院の現場で患者さんの病気の診断をするのに
使われることになります。当研究室では過去にガンマ線と
いう放射線を用いて、臓器の機能を正確に画像化するソフ
トウエアを開発しました。このプログラムの基本原理は現
在すべての核医学診断装置のメーカが採用していますので、
この研究室で考案した方式が全世界の患者の皆さんの病気
の診断に使われていることになります。
また、現在、さらに病気の診断の性能を上げ、また適切
な治療を行うことを目指して、放射線のエネルギー情報を
新たに開発した放射線検出器を用いて測定して、そのエネ
ルギーの変化から診断や治療を行う技術の開発に取り組ん
でいます。この方法がうまくいけば新しい高度先進医療の
画像診断・治療法を確立することになります。これにより、
世界中の多くの人々の健康の維持や福祉に大きく貢献する
ことになると考えられます。
インターネットの普及に伴い、
様々なサービスが登場するととも
に利用者が急増しています。同時
に、様々な攻撃や危険性も増大し
ており、安心してネットワークを
使うために対策が社会的に急務と
なっています。最近インターネットから利用できるクラウ
ドコンピューティングも急速に普及してきていますが、こ
こでもセキュリティの問題が指摘され安全に使うための技
術開発が求められています。さらに、ブログや Twitter な
どで個人が自ら気軽に情報を発信できるため、情報発信者
である自分が自覚のないまま自身のプライバシーを漏洩す
る問題も増えています。上記のような様々な危険性を軽減
し安心してインターネットサービスを利用、提供できるよ
うにする技術の開発が社会では強く望まれています。この
ような状況で、セキュリティ技術者の不足も叫ばれており、
上記技術の開発とともに、安全安心なサービスを開発する
ことができるセキュリティ技術者の育成にも力を入れてい
ます。本研究室では、このように、社会に要求される技術
の開発や技術者の育成に力を入れています。
主な卒業研究テーマ
主な卒業研究テーマ
◉秘密分散法を用いた複数クラウドのデータ管理手法
◉人物フォーメーションによるリスクレベル評価手法
◉IDベースを用いた簡易メール認証方式
◉統計情報を用いた個人情報露出量算出方式
◉ Twitter におけるユーザ行動範囲の明確化
◉複数クラウドの連携技術
◉秘密分散を用いたセキュリティ強度可変プロトコル
◉放射線を用いた臓器の機能の映像化法の開発
◉デジタルカメラで撮影された画像の雑音除去の研究
◉並列計算機を用いた画像再構成法の高速化
◉放射線のエネルギー情報をもちいた高精度診断システムの開発
◉ピンホールコリメータを用いた実時間3次元画像再構成法の研究
62
応用情報工学科
応用情報工学科
脳情報処理分野
ユビキタス情報分野
准教授 平原 誠
教授 品川 満
Makoto HIRAHARA
Mitsuru SHINAGAWA
研究室の学び
研究室の学び
脳は現在のコンピュータにはない高度で柔軟な情報処理
を行っています。本研究室では、脳の情報処理の仕組みを
工学的および心理学的なアプローチにより解明し、それに
学んだ情報処理技術を開発することを目的とし、研究に取
り組んでいます。
人のからだを通信ケーブルとして使えることを知ってい
ますか?センサと通信を用いて人にも地球環境にもやさし
い生活空間を実現するために、革新的な通信ネットワーク
技術を研究しています。電気も光も、ハードウエアもソフ
トウエアも使えるモノはすべて使います。学習で得られる
知識と本物に触れて得られる経験にみなさんの熱意を掛け
合わせ、自信が持てること、真剣に打ち込めることを探し
ていきましょう。
社会との接点
歩行者や自動車が目の前を通過していくことは日常茶飯
事です。その時、私たちの脳は、目から入った情報をどん
な仕組みで処理し、人や車の運動方向やスピード、位置を
捉えたのでしょうか?目の前を通過した対象物が人や車で
あると脳はどうやって判断したのでしょうか?全く見たこ
とのない人であっても、最新デザインのスーパーカーであっ
ても、脳はいとも簡単に処理してしまいます。
このような、私たちの脳が普段当たり前のようにして行っ
ている情報処理は、今のロボットの脳であるコンピュータ
にとってはたいへん難しい難題です。脳と同じようなレベ
ルの情報処理が可能になれば、ロボットが車を運転する時
代が来るかもしれません。脳の情報処理の仕組みを解明し、
それを工学的に実現することは、未知の状況に対しても柔
軟に判断して行動する自律型ロボットなどに結びつくもの
と考えています。
社会との接点
物の豊かさから質の豊か
さに社会の価値観が変化し
つつあります。人のからだ
を通信ケーブルとして利用
する人体通信技術は、これ
まで高度情報通信に無縁な
人にも広くその恩恵を与え
る技術であり、その価値観
の変化に対応し安心・安全・人にやさしいサービスを実現
する研究テーマです。研究室でテーマに取り組むことによ
り、知識や技術が蓄積されるとともに、研究室のメンバー
と協力し合って目の前の壁を乗り越えることで、あきらめ
ない強い気持ち、自他の心、感謝の気持ちなど、いわゆる
社会人力が養われます。
主な卒業研究テーマ
主な卒業研究テーマ
◉脳を数式でモデル化する研究
◉動画等に対する被験者の反応から脳の仕組みを探る研究
◉物体の動きを捉える方法
◉ゲーム攻略等をコンピュータ自身に学ばせる方法
◉顔や目の動きでコンピュータを動かす方法
◉ダンスを評価する方法
◉渋滞解消に有効な路面パターンの開発
◉人の体を信号ケーブルとして利用する通信技術に関する研究
◉振動・光・電磁波などの身の回りに存在するエネルギーを活用
する技術に関する研究
◉安心・安全な社会を実現する情報通信ネットワークに関する研究
◉安価で高効率な有機太陽電池の開発
◉レーザ光を使った高精度な計測技術に関する研究
63
理工学部/ 応用情報工学科
脳情報処理研究室
光・電気融合情報工学研究室
応用情報工学科
応用情報工学科
社会情報分野
コンピュータ科学分野
理工学部/ 応用情報工学科
ネットワーク応用研究室
インタラクティブシステム研究室
教授 藤井 章博
准教授 宮本 健司
Akihiro FUJII
Kenji MIYAMOTO
研究室の学び
研究室の学び
分散システムに関する研究を産官学連携によって行って
います。自治体向け行政サービスのアプリ開発、企業情報
の Web に基づいた分析、電子書籍用の機能やデザイン等
のテーマを扱います。所属するのは、社会情報コースです。
基礎となる計算機学上の学問分野は、アルゴリズム、ソフ
トウエア工学、通信プロトコルなどです。
私の研究室では身の回りのコンピュータの新しいありか
たについて研究しています。たとえば、身体動作に応答す
るゲーム、紙に書いた絵を動かしてみせるアニメーション
といった、日常生活に驚きをもたらすようなソフトウエア
を考案、開発しています。このようなソフトウエアを実現
するために当研究室で学ぶ内容はコンピュータグラフィッ
クスやコンピュータビジョンから人工知能,ソフトウエア
設計など多岐にわたります。
社会との接点
ビジネスとして価値創造できるサービスを提供するため
に、①サービス内容、②エンティティ構造、③収益モデル、
④機能設計と実装の観点から「ビジネスモデル」の検討を
行っています。
そのうえで幾つかの具体的な事例に関わるサービス提供
のためのシステムの研究を行っています。
最近の成果として、
「ねじ LOD」があります。オープンデー
タを他のデータと連携可能にして価値を創出する「Linked
Open Data(LOD)」の浸透を目的とした「LOD チャレン
ジ 2013」の表彰式が開催され、データセット部門最優秀
賞を受賞しました。これは「ねじ」のデータを LOD 化した
ものです。大阪鋲螺卸商協同組合ほかが「ねじ企業間情報
処理研究会」で 20 年近くかけて構築した EDI(電子デー
タ交換)システムのデータに基づいています。
このように社会に直接インパクトのある研究成果を目指
しています。 社会との接点
スマートフォンなどの普及によりコンピュータは日常生
活と切っても切れないものになりました。コンピュータの
この動きは今後ますます加速し、生活との密着の度合いを
強めていくことになるでしょう。
こうしてコンピュータはその存在を意識されることが少
なくなり人間の日常生活の一部として空間に自然に溶け込
んでいきます。
このような「実生活に溶け込むコンピュータ」は、生活
をきめ細かく支援するとともに、蓄積した膨大な生活デー
タをもとにユーザ行動を分析し将来のサービスにフィード
バックします。
こうして生活に溶け込むコンピュータはサービス需要を
加速するビッグデータ産業と結びついて今後ますます規模
を拡大し、情報分野の基幹産業として成長が見込まれます。
当研究室ではこのような社会的な要求に応えて、ユーザ
を支援しかつその行動を認識する末端デバイスのデザイン
から行動データを分析・理解するための推論機構の開発ま
で総合的に取り組んでいます。
主な卒業研究テーマ
◉マッシュアップを利用した Web システムの設計論
◉セマンティック Web 用オントロジーの構築手法
◉セマンティック Web の業務支援への応用研究
◉リンクド・オープンデータ(LOD)の研究
◉ LOD の電子ブックへの応用に関する研究
◉インターネット技術の進化と技術予測に関する研究
主な卒業研究テーマ
◉画面に投影された身体による CG キャラクター操作
◉図形の組み合わせによるプログラミング言語
◉ライブ映像をリアルタイムで加工・改ざんする技術
◉映像中の物体を認識・検索する技術
64
応用情報工学科
応用情報工学科
生体信号処理分野
基礎情報分野
コンピューティング研究室
教授 八名 和夫
教授 李 磊
Kazuo YANA
研究室の学び
LI Lei
研究室の学び
本研究室では、自然界で観測される様々な信号を対象に
コンピュータを駆使して分析するデジタル信号処理の研究
を行っています。信号とは、気象データ、音声データなど
時間と共に変動するもの全てを意味します。本研究室では
特に脳波や心電図などの生体信号解析を通じた医療診断や
ストレスの強さを評価する方法、生体に影響を与える環境
放射線強度の変化を検出する方法、さらにインターネット
の通信量の予測を行う方法などの応用研究を進めています。
本研究室では、情報処理の手法であるアルゴリズムを中
心に教育及び研究活動を行っています。特に情報分野の基
礎となる情報数理の諸問題、ノイマン型コンピュータに適
用する高速アルゴリズムの設計と解析、スーパーコンピュー
タに適用する並列アルゴリズムの設計と解析、進化的アル
ゴリズムの設計と解析、人工知能に用いる強化学習アルゴ
リズムの設計と解析等を研究テーマとして、広範囲の実問
題で検証し、効率的アルゴリズムの開発をしています。
社会との接点
社会との接点
本研究室では MIT(マサチューセッツ工科大)との共同
研究でいち早く心拍数の変動から自律神経の状態を推定す
る方法の研究を行ってきました。心拍数は緊張すると上が
り、リラックスすると下がることは良く知られています。
これは自律神経の働きによるものです。一拍ごとの変化を
測定することにより自律神経の状態を詳しく分析し、突然
死のリスクを評価する研究を進めています。この技術は近
年社会問題となっている精神的なストレス量の測定や、運
転中のドライバーの緊張度を測るなど社会的に重要な課題
解決にも応用可能な技術です。信号処理の応用として、本
研究室では生体信号に限らず東日本大震災以降社会的に注
目を集めている環境放射線の強度変化を感度良く検出する
方法、世界のインターネット通信量の実測データをもとに
通信量予測を行う…天気予報のように通信量の週間予報を
出すシステム開発など、社会とのかかわりを重視した研究
を進めています。現在、皆さんには世界を相手に活躍できる、
グローバル化対応が求められています。本研究室では卒業
生がグローバルな場で活躍できる実力を身に付けられるよ
う、海外研修で英語力を上達させ、自分の研究成果は自分
自身で国際会議などで発表できるよう指導しています。
計算の機械として、最初のコンピュータが誕生して以来、
60 年間以上が経ちました。計算速度を追究するために、コ
ンピュータのハードウェアの基盤技術は真空管から、トラ
ンジスタ、集積回路、そして大規模集積回路を経て、複数
のコンピュータを駆使する並列処理方式、またはネットワー
クによる分散処理や、生命の知能を取り入れる知能システ
ムの開発は盛んになってきました。コンピュータは計算の
機械から情報処理の機械に変貌しつつあります。計算の手
順となる従来のアルゴリズム研究分野も、ソフトウェア、
ハードウェア、ネットワーク、人工知能等の情報技術のほ
ぼ全分野に浸透しています。人間の自然に対する知的探求
欲が止まらない限り、情報処理の効率化は永遠の課題であ
るでしょう。次世代の情報処理手法の開発に、ぜひ君も一
緒にチャレンジして行きましょう。
巡回セールスマン問題
迷路問題
主な卒業研究テーマ
主な卒業研究テーマ
◉心電図や心拍変動分析により突然死のリスクや糖尿病の重症
度を診断する方法の研究
◉心電図を用いたメンタルストレスの測定
◉生体信号を用いた運転中ドライバーのストレス評価
◉ゲーム中の臨場感・没入感の測定
◉環境放射線の変化を高感度で検出する方法の解析
◉インターネット通信量の週間予測を行い適切なデータ通信経路
を決定する方法の開発
◉リカレントニューラルネットワークによる時系列予測
◉角度を考慮した最短経路
◉マルチエージェント環境に適応させた AHP 強化学習
◉リン・カーニハン法による TSP 近似解の高速化
◉しきい値ノイズ挿入による BP 法の高速化
◉並列計算機のスーパーキューブ結合網
◉強化減少比の動的変化による強化学習法
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理工学部/ 応用情報工学科
情報信号処理工学研究室
応用情報工学科
経営システム工学科
基礎情報分野
数理システム分野
理工学部/ 応用情報工学科
計算機科学研究室
応用可積分系研究室
准教授 礒島 伸
教授 和田 幸一
Shin ISOJIMA
Koichi WADA
研究室の学び
研究室の学び
ある現象を表す関数を知ることは理工学の重要な問題で
あり、そのために関数が満たす方程式、「微分方程式」を導
いて解くという数理的な手法が用いられます。例えば物体
を投げるとその位置は 2 次関数で表され、放物線を描いて
飛ぶことが知られています。近年ではコンピュータの発達
に伴って「差分方程式」も重要になっています。
本研究室では解ける微分・差分方程式、「可積分系」の基
礎を学び、その考え方を拡張して応用につなげることを目
指します。
計算機やロボットなどの自律的に動作するものが相互作
用をすることによって、全体として協調的な振る舞いをす
るシステムを分散並列システムといいます。クラウド、モ
バイル、ソーシャルシステムのような大規模計算ネットワー
ク、スパコンのような超並列計算機、センサーネットワーク、
自律分散ロボット群などありとあらゆる分散並列システム
の複雑さを解明し、安全で効率よく動作させるためにはど
のようにすればよいかを研究しています。
社会との接点
社会との接点
計算機やロボットなどの自律的に動作するものがたくさ
ん集まればどのようなものでも分散並列システムと呼ぶこ
とができます。クラウドコンピューティング、モバイル・
ユビキタス環境、ソーシャルシステムなどは身近なものに
なっていますが、これらのものをどのように安全に効率よ
く動作させるかは非常に重要な問題です。
計算機がいくら速くなっても、大規模な分散並列システ
ムを効率よく動作させることはできず、そのシステムの複
雑さの本質を見極めなければなりません。
本研究室で行っている研究は、分散並列システムの複雑
さをアルゴリズム的な立場から解明するものであり、これ
からの分散並列システムを飛躍的に変化させる可能性を秘
めています。
また、本研究室では、これらの研究をとおして、学生が
社会に出て、初めて出会うであろう「答えのない問題」に
出会った時に、自分の力でどのように取り組んで答えを出
すことができるようになるよう、まずは自分で考えること
を第一に教育を行っています。
物理法則を表す微分方程式を解き、得られる関数を調べ
ることで未来を予測することができます。天気予報ができ
たり、工業製品が正しく安全に動くのも、微分方程式のお
かげです。この考え方は感染症が広がる様子や経済などの
生命現象、社会現象にも応用されています。
複雑な現象になると微分方程式を解くことが難しくなり、
計算機によって数値解を求めるという手法が使われます。
デジタル計算機は全てのデータを0か1の飛び飛びの数字
(デジタル)に変換して計算しているため、皆さんが学んで
いる微分積分学もデジタルな世界、「離散系」に対応できる
ようにしなければなりません。計算機の急速な発達に伴っ
て新しい数学が求められているのです。
本研究室は解ける方程式である可積分系を手掛かりに、
離散系を用いて現象を調べる数学の基礎を組み立てること
を目指しています。こうした考え方は、コンピュータグラ
フィクスや交通渋滞の研究にも応用されはじめています。
主な卒業研究テーマ
主な卒業研究テーマ
◉ビッグデータ処理の効率化
◉ MapReduce による新しい計算法
◉ GPGPU を利用した計算の効率化
◉自律分散ロボット群による問題解決法
◉病気の流行を表す差分方程式の構成
◉デジタルな方程式の数理
◉交通渋滞の数理モデル
◉可積分系と数値計算アルゴリズム
66
経営システム工学科
経営システム工学科
金融工学分野
経営工学分野
生産システム研究室
教授 浦谷 規
准教授 江﨑 和博
Tadashi URATANI
Kazuhiro ESAKI
研究室の学び
研究室の学び
コンピュータ上を行き交う資金をリスク管理しながら活
用する方法を研究します。
近年開発された金融管理は派生証券(デリバティブ)と
よばれる数学的に開発された商品を駆使し、統計と取引戦
略を活用した方法によって国際的な金融ネットワークの中
で活躍しています。そのためのの工学的手法を学ぶことが
できます。
私の研究室ではプロジェクトやシステム、企業の経営品
質の診断や改善手法の研究に取り組んでいます。具体的に
はプロジェクト管理、システム製品や企業経営を対象に工
学的なアプローチを適用し、プロジェクトを成功させ、優
れた製品やサービスを実現するための諸々のフレームワー
ク、モデル及び管理技術の開発を進めています。
当研究室では大手メーカー、金融、官公庁など業界を問
わず、あらゆる分野に幅広く人材を輩出しています。
社会との接点
社会との接点
社会を豊かにするのは企業です。企業は株式か或は借入
をして生産またはサービス活動で社会は豊かになります。
そこには資金の貸し借りによって富が増大する意義があり
ます。
金融はゼロサムゲームで生産性が無いという巷の俗説に
惑わせず、金融におけるリスク回避とその数学的技術を学
ぶことが可能です。金融とそのリスク管理は数学とそれを
実現するための情報技術を活用し便利で豊かな将来を築く
工学的技術です。
20 世紀、日本は数千年にわたって、先人がたゆまなく蓄
積してきた優れた伝統・文化や技術の上に、いち早く西欧
の科学技術を導入し、新たな技術を培うことによって、世
界有数の先進工業国家として大きく羽ばたき、豊かな社会
を実現しました。
しかし、近年、制約のない大量生産と経済成長が地球環
境の破壊と資源の枯渇の問題を引き起こし、人類の未来に
大きな影を落としています。
21 世紀、日本には成熟した先進国家として、有限な地球
環境に配慮し、多様性のある民族や伝統・文化の共生が可
能な豊かで持続的な社会の実現に向けて、さらなる技術革
新と世界をリードする役割が求められています。
当研究室で行っているプロジェクト・マネジメントや企
業及びシステム診断の研究は、社会や企業の経営及び皆さ
んの諸々の新しい取り組みを成功させるために必要不可欠
なものであり、今後、社会の成長と発展、皆さんのそれぞ
れの人生の成功のために大きく役立っていくはずです。
主な卒業研究テーマ
◉情報システム開発プロジェクトの研究
◉プロジェクトの要求定義手法の研究
◉システム製品の評価の研究
◉システム製品に対する顧客満足度の研究
◉企業システムの経営品質診断の研究
◉企業システムの組織風土改善の研究
主な卒業研究テーマ
◉株式投資である一定額を保証しながら市場が上昇したときに大
きな利益を上げるための理論的統計的研究
◉銀行が貸し出しローンを集めて投資家に販売する契約の収益
の確率分布に関する研究
67
理工学部/ 経営システム工学科
金融工学研究室
経営システム工学科
経営システム工学科
代数学分野
経営工学分野
理工学部/ 経営システム工学科
応用代数学研究室
信頼性工学研究室
教授 木村 光宏
教授 桂 利行
Mitsuhiro KIMURA
Toshiyuki KATSURA
研究室の学び
研究室の学び
私たちの社会を支える各種のシステムの信頼性(期待通
りに動作するか否かの度合い)や可用性(それを使いたい
ときに使うことができるかの度合い)を維持あるいは向上
させることの重要性は益々増してきています。当研究室で
は高品質ソフトウェアの効率的生産に関わる問題に着目し、
テスト工程の管理手法などを確率・統計論に基づき開発し
ています。また、その派生研究として「うまい手」「効率化
手法」をキーワードとする各種の研究も行っています。
学習のテーマは数学の工学への応用です。近年、電子機
器のアナログからデジタルへの移行に伴い、セキュリティー
の問題やデジタルの誤り訂正の理論に様々な数学が用いら
れています。
応用代数学研究室では、システム工学の一環として、主
に誤り訂正符号の理論を中心的な考察の対象とし、数論や
代数幾何学等の数学がこの分野でどのように用いられてい
るかを調べ、新しい知見と応用を探ります。
社会との接点
社会との接点
現代では、社会のありとあらゆるところにコンピュータ
システムが組み込まれています。それらは基本的には人間
が設計し、動作を司るコンピュータプログラムを作り上げ、
入れ物となるハードウェアに組み込んだものです。人間の
することですから、プログラムのどこかに論理的な誤りが
含まれていることも少なくありません。理想的には、その
ような論理的誤り(ソフトウェアバグ)を無くしてから社
会に供給するべきですが、あまりにも巨大なソフトウェア
プログラムでは、なかなかそうもいかないのです。
我々の研究成果は、その部分、つまりできるだけバグが
ゼロのソフトウェアプログラムを開発するにはどうすれば
よいか、に貢献しています。しかしまだまだ満足のできる
レベルではないため、院生・学生・外部協力者などと研究
を続けています。
一方、確率・統計を用いた派生的研究の成果としては、
工業用爆発物の物理的刺激に対する爆発感度の推定問題(与
えてはいけない最大レベルの物理的刺激量を推定する問題)
に一つの解答を示したり、また日常に密接に関連した研究
としては、スーパーマーケットの複数台のレジに並ぶとき
の最適方策(精算をなるべく早く終えるための最適行動)
なども数学モデルを使って調べました。
数学は、フォン・ノイマンによるコンピュータの原理の
発見のように、時として社会を根底から変えるような力を
もつことがあります。確率微分方程式を始めとする確率論
は金融工学に、代数学・数論・代数幾何は符号・暗号理論に、
ラドン変換は CT スキャンなどの医療機器に応用され,組
み合わせ剛性理論を始めとするグラフ理論は構造力学、機
械工学、CAD(コンピュータ支援設計)などに応用され、
実社会で役立っています。
応用代数学研究室では、数学の学習を基礎として、符号
理論・暗号理論を中心としたシステム工学への数学の応用
を学び、代数学から工学へのイノベーションを目指して研
究を行います。実際、電子機器がアナログだった時代は過
ぎ去り、現在ではデジタルが全盛となりました。コンピュー
タを用いて様々な電子機器が結びつけられ、大変便利な時
代になりましたが、電子機器が正常に作動するためには、
デジタルのエラーを修正する誤り訂正符号の理論が欠かせ
ません。この誤り訂正理論には、先にあげた代数学を中心
とする数学が重要な役割を果たしています。CD から流れて
くるきれいなメロディーが聞け、便利な QR コードを用い
ることができるのもこの理論のおかげなのです。
主な卒業研究テーマ
主な卒業研究テーマ
◉誤り訂正理論の原理の理解
◉巡回符号、BCH 符号、リード・ソロモン符号などの構造の理解
◉コードを用いた復号法の理解
◉ CD や DVD、QR コードなどに実際に使われている誤り訂正
符号の原理の理解
◉具体的な符号の例の構成と復号の計算
◉ソフトウェア信頼性評価モデルの改善
◉新しい品質管理方策の検討
◉落槌感度試験における爆発物の臨界ストレス値の推定
◉レジに並ぶ際の最適行動の研究
◉高校陸上競技の最高記録の予測問題
68
経営システム工学科
経営システム工学科
数理工学分野
オペレーションズ・リサーチ分野
確率システム研究室
准教授 田村 信幸
教授 五島 洋行
Nobuyuki TAMURA
Hiroyuki GOTO
研究室の学び
研究室の学び
私の研究室では確率的な変動を伴うシステムを効率的か
つ効果的に運用するための方法論を学びます。この問題を
解決するための道具としては数学とコンピュータが必要不
可欠です。基本的に学生の意見を尊重して学ぶ内容を決め
ているため、産業別の離職率の分析のような文系的なテー
マを扱うこともあります。従って、取り上げる問題によっ
ては理系と文系の両方のセンスを養うことができます。
電子地図やネットニュースなど、近年データ量が急速に
増えている大量のデータの中から、有益な情報を取り出し
たり、それらの情報を圧縮・復元したりする方法を研究し
ています。研究を進めるには数学やプログラミングの知識
が必要ですが、授業で基礎的なことだけを習っておしまい
ではなく、学んだ内容を活かして実用的なモノ(主にシス
テム)を設計し、実際に作れるスキルを持った人材を育成
しています。
社会との接点
社会との接点
確率システム研究室では、各種ハードウェアを如何にし
て維持、管理、運用、そして廃棄していくかという問題を
解決することが最も大きな目的です。一般的にはあまり知
られていませんが、このような問題を解決する上では確率
論や統計学の数学的な理論や知識が必要不可欠であること
も少なくありません。特に信頼性や安全性、品質管理や品
質保証と関係のある部門に所属した場合には、入社してか
ら上記の内容を改めて学び直すこともあります。よって、
当研究室で学んだ数学的な理論が実際に用いられている
ケースは決して珍しいことではありません。
近年の情報システム技術
の発展に伴い、コンピュー
タの性能や記憶媒体の容量
は飛躍的に向上し、データ
も沢山保存できるようにな
りましたが、必ずしも質の
良いデータ、扱いやすいデー
タ ば か り で は あ り ま せ ん。
あ る い は、 デ ー タ を 記 録・
保 存 す る こ と 自 体 が 目 的 と 少ないデータ量で精密な等高線を再現
(鹿児島県屋久島の例)
なってしまい、活用する段階
まで到達していないケースも沢山あります。
当研究室で行っている研究は、一見「無駄に集めすぎた」
「細かく取りすぎた」と思えるような膨大なデータから、意
味のある情報、有益な情報がどこにあるのか、その索引を
つけたり、処理に時間がかかる、あるいは分量が多いデー
タの場合には、加工して元とはまったく別の形式で保存し
たりします。
研究成果の見た目は地味ですが、コンピュータを搭載し
た装置では、より低性能なCPU、少ない容量のHDDで
済み、装置の小型化や低価格化に役立ちます。
主な卒業研究テーマ
◉ Web ニュースの検索支援
◉道路ネットワークの構造評価
◉地図標高データの高速な計算方法
◉利益を最大化する商品の価格決定方法
◉プロジェクトのスケジューリング方法
◉生産ラインの効率的なスケジューリング方法
主な卒業研究テーマ
◉ 2 段階タンデム型待ち行列におけるサービス時間の変動効果
◉産業別の離職率の要因分析
◉判別分析による投手の分類化と球団特性との関係
◉故障発生を伴う待ち行列モデルにおけるサーバの選択について
69
理工学部/ 経営システム工学科
経営数理工学研究室
経営システム工学科
経営システム工学科
オペレーションズ・リサーチ分野
統計工学分野
理工学部/ 経営システム工学科
アルゴリズム論研究室
数理科学研究室
専任講師 千葉 英史
教授 長坂 建二
Eishi CHIBA
Kenji NAGASAKA
研究室の学び
研究室の学び
私の研究室では、「組合せ最適化」に取り組んでいます。
たくさんの答えの候補から、「最適な」ものを求めるには、
どうするか?コンピュータを使っても、単純な解法では、
ほとんど歯が立たない問題ばかりです。こういった難問に
アプローチするのが、組合せ最適化です。また、コンピュー
タにも密接に関連しており、難問の解決には、コンピュー
タ性能をうまく引き出す工夫が効果的です。数学が得意(好
き)な人には、魅力的で活躍の場があります。
世の中はデータにあふれていますが、それを正しく理解
し活用するために一定の知識と経験が必要となります。
アンケートの結果が実施母体により異なるのは質問文のせ
いでしょうか。
サッカーの PK 戦で何故か先攻の方が勝つ傾向があるの
は理由があるでしょうか。
衆議院総選挙で 1 票の価値は平等であるべきでしょうか。
これらの質問に答えられるのが学べる内容の一部です。
社会との接点
社会との接点
「現実社会の問題」と組合せ最適化は、とても強い関係で
結ばれています。例えば、電力会社が送電ケーブルを設置
するとき、どこに設置すれば良いのでしょうか、ヒントと
して、需要点(電力が必要な場所)、送電ケーブルを設置す
る際に生じる費用、電力供給による(需要点からの)利益
などをまとめて考えたとき、全体としての利益をできれば
最大にしたい。しかし、需要点がたくさんあると、送電ケー
ブルの設置について、多くの答えの候補があるため、最適
なものを求めるのが難しい、このような問題に対して、当
研究室で開発・検討をしているアプローチは,効率的に妥
当な答えを導いてくれます。また、送電ケーブルだけでなく、
通信会社の光ファイバー設置、水道会社の水道管設置、ガ
ス会社のパイプライン設置にも、当研究室で行っている研
究が大変役立ちます。
ここで紹介した問題例のように、現実社会の問題は難し
いです。そのため、これまでは経験とカンから答えを導き
出してきたのですが、最近はコンピュータと数学の進展か
ら、状況を打開しつつあります。このような状況を鑑みて、
当研究室では、さらに良い答えを求めるための解法を提案
していきます。
数学教育の面では、高等学校の数学において相関図と呼
ばれていた概念が不適切であることを指摘し最近の教育課
程改訂に際し散布図と呼ぶように変更させました。これは
研究者としての社会貢献の一例です。
スポーツに関しては様々な接近法が可能ですが、統計的
にデータを分析することにより様々な結論を導くことがで
きます。サッカーの PK 戦のデータを見ると先攻が若干有
利のように思えますが、先に蹴って成功させることにより
後攻のチームにプレッシャーを与えるのではないかと想像
されます。ところが、このような考え方にはよらないで、
単純にPKの成功の確率が先攻が高ければ適当な確率モデ
ルを設定して先攻の勝つ確率が高いことを証明することが
できます。これは、予断を持つことにより誤った結論を導
く可能性があることを示唆していて、何でも何故と考える
態度こそが基本であることが学べます。
社会には不平等な現象に満ちており、それをどのような
尺度で定量的に把握するかは大きな問題です。経済格差を
はかる指標のジニ係数は選挙における 1 票の配分 ( 選挙区
の決め方 ) に対しても適用可能で最大どこまで 1 票の格差
を改善可能かをきちんと定めることができます。
主な卒業研究テーマ
主な卒業研究テーマ
◉ Just-in-Time スケジューリング問題に関する研究
◉最小部分木アルゴリズムの実験的性能評価
◉ネットワークフローによる高速最適化
◉電車路線を考慮した施設配置問題
◉バッファ配置問題に対する近似アルゴリズム
◉生産ラインにおける衝突確率の新たな近似アプローチ
◉AHPを用いたスマートフォン・タブレット端末の市場分析
◉PK戦の解析
◉ 1 票の格差の定量化とシミュレーション
◉標識再捕獲法の比較
◉修正ブラッドリモデルによるランキング比較
◉日本の食糧自給率の問題点と規制緩和による変動
70
経営システム工学科
経営システム工学科
応用経済分析分野
金融論 公共経済学 マクロ経済学分野
応用金融分析研究室
教授 中村 洋一
教授 宮越 龍義
Yoichi NAKAMURA
Tatsuyoshi MIYAKOSHI
研究室の学び
研究室の学び
この研究室では、経済の動きや経済的関係を、コンピュー
タを活用して数量的にとらえ、将来予測を行う技術などの
習得をめざしています。
このためにはデータの性質を正しく理解する(統計学)、
データが持つ情報を多面的に分析する(計量経済学、多変
量解析)、以上に基づき政策評価(公共経済学)、また市場
予測(経営学)を行うための基本的な知識を修めることを
めざします。
金融市場の開放と情報技術の革新により、投資マネーが
世界を駆け巡り、途上国は自国の貯蓄から外国資本に頼る
経済発展へと方向転換し高成長を遂げることになりますが、
しかし、他方で金融危機が頻繁に発生することになりまし
た。頻繁に発生する以上、そこに何らかの必然性があり、
それを理論的に解明しなければなりません。
本研究室では、こうした金融危機について、危機発生の
仕組みを内生的成長論の視点から工学的手法を使って理論
的・実証的に研究しています。
社会との接点
社会との接点
グローバル化と人口減少が日本経済の2つの鍵です。
情報革命により世界の金融システムが融合し、ものづく
りも日本と東アジア諸国などを巻き込んで海を越える国際
的なネットワークにより行われています。世界の各地域で
自由貿易協定により結びつきを強め、発展を競い、また協
力の体制が築かれようとしています。日本はアジアの中心
とならなければいけません。
日本の労働力はすでに減り始めました。それとともに日
本経済は縮まってしまうのか、それとも少ない人数で豊か
な生活を分かち合うのか、大事な分かれ道にきています。
この研究室で学ぶ知識や技術は、生産の現場、企業経営、
金融システム、国や自治体の行政などの多様な分野で共通
に必要とされるものです。実際、卒業生の進路は多岐にわ
たっています。理科系の才能に恵まれながら強い社会的関
心を抱く諸君の挑戦を期待しています。
研究室の学び、そして、その研究成果は経済政策を立案
するうえで、参考資料として役立てられています。すなわち、
市場経済の働きだけでは、社会の豊かさである社会厚生を
十分増進することができないために、政府の経済政策が市
場経済の働きを修正・補完しています。
主な卒業研究テーマ
◉年金制度の改革による貧困層への影響
◉介護サービス拡大による経済波及効果の推計
◉太陽光発電システム導入量の将来予測
◉たばこ消費量と税収入の推計
◉静岡空港の存続可能性について
◉日本の中古住宅価格評価の問題点
◉ゼロ金利政策が与えた家計消費への影響
主な卒業研究テーマ
◉「EU 統合における効率性の格差と生産性に関する分析」
◉「EU 株式市場の統合指標」
71
理工学部/ 経営システム工学科
経済工学研究室
経営システム工学科
創生科学科
数理ファイナンス分野
人間・社会科学、心理学分野
理工学部/ 経営システム工学科・創生科学科
数理ファイナンス研究室
パーソナリティ・人間科学研究室
准教授 安田 和弘
教授 伊藤 隆一
Kazuhiro YASUDA
Ryuichi ITO
研究室の学び
研究室の学び
本研究室では、数理ファイナンスの研究を行っています。
数理ファイナンスでは、数学を用いて金融の問題にアプロー
チします。株価などはランダムに変化するため、数学の中
では高度な確率が必要となります。株のようにランダムに
変化するものと関係した金融商品に適切な値段を付けるに
はどのようにすべきか、金融機関が負っているリスクをど
のように計測すべきか、リスクとのバランスを見ながら投
資をするにはどうすべきかなどを研究しています。
当研究室は、心理学・統計学の知識を応用して、産業分
野や臨床分野で人間と社会の営みを数値化し表現・活用し
ようとする試みを行っています。人間や社会には共通性と
独自性がともに備わっています。どんな人間にも共通する、
あるいは、どんな社会にも共通する一般性を追求すること
が第1のテーマです。同時に、ある個人特有の、あるいは、
ある社会独特の独自性を追求することが第2のテーマです。
人間や社会の営みの説明にはその両方が必要なのです。
社会との接点
社会との接点
本研究室での研究は、銀行や証券会社のクオンツ、保険
会社のアクチュアリーと呼ばれる職と強く結びついていま
す。これらの職種は、金融機関で数理的な仕事を行ってい
ます。例えば、物資をアメリカから輸入している会社では、
円安になると購入資金が増え負担となります。このとき、
為替リスクを回避するため、ドルを将来のある時点で、決
められた値段で購入できる権利を金融機関との契約で得た
とします。このとき、金融機関は会社側からいくらもらっ
て契約をすれば良いのでしょうか。これが金融商品の価格
付けです。ここには為替が将来のある時点までにどのよう
に変化するか分からないといった不確実性が関係するため、
確率の問題として考える必要があります。別の例を考えて
みましょう。銀行はお金を預金してもらい、その預金を資
金が必要な企業に貸しています。その際に、貸したお金が
返ってこなくなるリスクを負うこととなります。そのリス
クはどれくらいかを知っておくことは経営のリスク管理上
必要となります。ここでも、将来的にお金が返ってくるのか、
こないのかという不確実性がともない、確率の問題として
考える必要が出てきます。これらはほんの一例であります
が、金融の世界と結びついた研究となっています。
当研究室では、そのためのツールとして、精研式文章完
成法テスト(SCT)、インバスケット・ゲーム(IBG)など
を開発し、また、SPSS 等の統計ツールを活用したアセス
メントを行っています。そして、それらの研究を社会的に
活用するために、2015 年 4 月「一般社団法人日本 SCT 学会」
を組織し、社会的な啓蒙活動・実践活動を行っています。
SCT については、2012 年に金子書房より『SCT 活用ガ
イド』を出版し、また、企業人事担当者を対象としたセミナー
J、教育・臨床心理士などを対象としたセミナーKを毎年
1 回ずつ、SCT フォローアップ研修会を年6回開催してい
ます。
IBG に関しては、2008 年に金子書房より『管理能力開
発のためのインバスケット・ゲーム [ 改訂版 ]』を出版し、
また、「一般社団法人日本 SCT 学会」の中に IBG 研究会を
設けて、新しい IBG を開発し、企業・組織の管理者の管理
能力を把握し、教育・訓練するための組織作りを急いでい
ます。
主な卒業研究テーマ
主な卒業研究テーマ
◉CDSに対するヘッジ戦略とそのモデルリスク
◉再生核ヒルベルト空間理論を用いた日本の株式市場における
バブルの検出
◉GC注記を考慮した倒産確率の推定とCVAへの応用
◉レジーム・スイッチング・モデルを用いた投資戦略
◉ブロック最大値法及び閾値超過法を用いた日本の株式市場に
対する金融危機の考察
◉インバスケット・ゲームの妥当性・信頼性の研究
◉生理指標を用いた上がり症を克服するための方法の研究
◉パーソナリティと血液型との相関はあるのか?
◉パーソナリティと好む色彩との相関はあるのか?
◉自己肯定感の研究
◉SCTを用いたパーソナリティの枠組みの研究
72
創生科学科
創生科学科
宇宙科学分野
自然科学および精密計測分野
教授 岡村 定矩
教授 春日 隆
Sadanori OKAMURA
Takashi KASUGA
研究室の学び
研究室の学び
私の研究室では、主に可視光と赤外線の観測に基づいて、
宇宙の基本構成要素である銀河の性質を研究しています。
今や 137 億年の宇宙の歴史を 130 億年近くまで遡って、
銀河を観測できるようになりました。すばる望遠鏡で取得
したデータをはじめ、世界中に公開されている高品質で大
量のデータを使って、さまざまな質量の銀河が、異なる環
境の中で、誕生以来どのように進化して現在の姿になった
のかを、いろいろな側面から調べます。
電波を用いて、宇宙、地球そして様々な環境を計測・観
測することが可能です。これが、電波天文学、リモートセ
ンシングです。しかし、目的が異なれば、方法も装置もまっ
たく異なったものとなります。研究室では、目的を理論的
にも数値的にも明確にしたうえで、それらの方法や装置そ
して原理について学びます。そして装置の製作からそれら
を用いた測定までを実践します。
社会との接点
社会との接点
[ 教養的知識 ]
電波観測の目的である「宇宙」、
「地球」そして「生命環境」
などについて知識を持ち、広げることは、知的興味の充実
だけでなく、「未来の地球」を生かす若い世代には、重要な
情報となります。
宇宙で起きる天体現象を理解するには物理学の知識が欠
かせません。また、天文学の観測研究では、大量のデータ
を分析してその中から新たな事実を発見するという手法を
使います。それにはデータ解析と統計処理の知識が必要で
す。このため、私の研究室では、学びの中で、物理学と統
計学についての確実な知識が身につくようにしています。
さらに、研究結果を論文にまとめる際には、自らの頭で
考える論理的な思考力に基づいて論理的な文章を書く力が
必要です。演習や卒業研究においてこの訓練をしています。
このようにして身につけた物理学と統計学の基礎知識、
および論理的な文章を書く力は、学生が将来どのような道
に進んでも必ず役に立ち、社会に貢献できる活躍の基礎と
なります。
古代から現代まで宇宙観の変遷は人類の文化の発展に本
質的な寄与をしてきました。宇宙には老若男女を問わず多
くの人が関心を持っています。正しい知識に基づいて社会
の人々に宇宙の話ができ、天文学の面白さを伝えられる人
材の育成にも努めています。
[ 社会的技術 ]
無線 LAN、スマホ、TV、と身の回りを考えただけでも、
電波計測は、現在生活には必須になっています。これらの
原理を身につけることは、その効率的使用やまた逆の電波
障害等の害についての理解に直結します。
[ 計測技術 ]
高精度観測・計測は、「測る」原理そのものから出発して
おり、すべての計測の基本の体現です。従って、すべてに
生かすことが出来ます。また電波天文等で用いられる技術
は最先端であり、科学技術を常にリードしています。
主な卒業研究テーマ
主な卒業研究テーマ
◉銀河の性質の普遍性によるハッブル定数への制限
◉大規模な銀河サンプルの主成分解析
◉日本語版 SDSS スカイサーバーの製作
◉初期宇宙にある銀河研究の現状と課題
◉太陽系外惑星の探査
◉日震学で探る太陽の内部構造
◉木星、太陽の電波観測装置の製作と観測
◉電波干渉計望遠鏡の製作
◉望遠鏡の可動機構と指向
◉天文観測データーの解析
◉地球外文明・惑星の探査のための候補天体のリスト化
◉一般、児童を対象とした天文現象の視覚化
73
理工学部/ 創生科学科
電波科学・天文研究室
銀河天文学研究室
創生科学科
創生科学科
オペレーションズリサーチ分野
知能ロボット分野
理工学部/ 創生科学科
数理意思決定研究室
自律ロボット研究室
教授 加藤 豊
教授 小林
Yutaka KATO
一行
Kazuyuki KOBAYASHI
研究室の学び
研究室の学び
私の研究室では様々な状況下での意思決定に広く適用可
能な階層化意思決定法(AHP)を研究しています。AHP
理論の組み立てでは、皆さんが統計学で学ぶ正規分布や相
加平均、微分積分で学ぶ2点間の距離やラグランジュの未
定定数法と線形代数学で学ぶ行列の固有ベクトルや行列ノ
ルムを用います。
私の研究室では、主に屋外環境における自律移動ロボッ
トに関することを研究テーマとして扱っています。自律移
動ロボットは、電気・機械・デザイン・情報など全ての工
学的要素を含み、これらを統合し制御するための知識・技
術を身に付けることができます。実践的、体験的に最先端
のロボット研究に触れることで、自主的に考え、世界でも
活躍できる人材を育成しています。
社会との接点
社会との接点
社会にはあいまいな状況下で意思決定をしなければなら
ない現実が多く存在します。また、合理的な意思決定への
科学的アプローチは、社会システムが複雑になるにつれて
その必要性が増大しています。このような社会状況のもと
で、
「定量的常識」を実感させる手法として階層化意思決定
法(AHP)が提案されました。
AHP の現実の問題への適用例として、1996 年のペルー
大使館人質事件が有名です。この事件では、人質を救出す
るいくつかの方法があり、その中からどの救出方法を適用
するかを AHP を用いて判断しています。このように AHP
は社会の身近な問題に多く適用されています。
自動車の自動走行に関す
る研究は、近年、大手自動
車メーカーや某検索エン
ジンを開発している会社
なども参入し実用化を目指
しているホットな分野で
す。自律移動ロボットに関 米国自律ロボット大会で走行している
Orange2013
する研究は、自動化よりさ
らに高度で、複数のセンサを利用した環境認識、自己位置
推定、それらを統合した走行制御などの要素技術開発が重
要となります。当研究室では、開発した要素技術を用いて
最先端の自律移動ロボットを開発しています。開発したロ
ボットは、米国で開催される Intelligent Ground Vehicle
Competition、つくば市で開催されるつくばチャレンジで
実際に自律走行を行い、その成果を披露しています。
この自律移動ロボットに関する研究を通して、近未来の
交通モビリティのため、安全で安心して使用できる要素技
術の開発を行っています。
主な卒業研究テーマ
主な卒業研究テーマ
◉ AHP における固有値問題
◉一般平均法と AHP
◉ AHP と整合度関数
◉ AHP と Matrix Balancing Problem
◉不完全情報の AHP
◉固有値問題とフレーミング効果
◉局所系統的誤差と固有値問題
◉ Omni Camera を用いた移動ロボットのためのマップ生成に
関する研究
◉生活環境下における自律移動ロボットの自己位置推定法に関
する研究
◉ JAUS 準拠の無人車両の開発
◉レーザー距離計を用いた屋外環境認識に関する研究
74
創生科学科
創生科学科
応用言語学分野
人間・社会科学分野
応用経済学研究室
教授 小屋 多恵子
教授 呉 暁林
Taeko KOYA
WU Xiao Lin
研究室の学び
研究室の学び
私の研究室では、ことばを研究テーマとして取り上げて
います。ことばには文字言語と音声言語があります。この
言語の現象を人間の営みに関わる様々な分野(教育、心理、
社会など)と関連付けて科学的に分析をし、解明に努めて
います。ことばの分析を通して、研究の道筋を体得し、最
後まで自らの研究を遂行できるようにします。
私の研究分野は中国経済、とりわけ、経済政策、産業発
展のプロセス、製品流通の仕組みに関心を持っています。
研究室では日本と中国の製造業と小売業のマーケティング
戦略の調査と比較研究を行います。マーケティングのブラ
ンド戦略、製品、価格、流通チャネル、プロモーション戦
略に関する理論研究と事例分析を通して、企業・産業の発
展における製造(製品設計と生産)と流通に跨る具体的な
課題を定性・定量的に解明することを目標にしています。
社会との接点
当研究室で行っていることばの研究については、みなさ
んの身近に存在するものと深い関係があります。例えば辞
書です。実際に多くの人が利用している辞書は、自然な言
語データをバランスよく系統的に集積し、そこから意味や
語法を特定したものを基に編纂されています。
これまでは人間の手でデータを集めていましたが、コン
ピュータの発達により、莫大なデータを客観的に解析する
ことができるようになりました。さらに、時代と共に変わっ
ていくことばの様相もわかりやすくなりました。
また、英語のリスニング教材にも研究結果を利用するこ
とができます。英語教材の音声は、レベルによって語彙や
文法、音声速度など様々な要因に考慮したものでなくては
なりません。どのレベルの学習者にどのようなテキストを
提示すれば効率的にリスニング力を高めることができるか
は、音声分析や実験からデータを採取し、根拠のある編纂
をすることが大事になります。
このように私たちの身近なものにも、研究の成果が結び
ついています。
社会との接点
中国と日本の経済関係は密接になっています。中国は世
界の工場であると同時に世界の市場に変貌してきました。
日本にとって中国は最大の貿易相手国であり、また、2 万
2 千社以上の日本企業が進出し、日本などに向けた輸出生
産だけでなく、中国国内市場の開拓もしています。2012
年 10 月現在、中国に長期滞在し、ビジネスや勉強をして
いる日本人が 15 万人を超えていて、前年度よりも増加し
ています。このように日本と中国は互いに必要不可欠になっ
ていて win-win(適度に都合のいい)分業関係を構築しよ
うとしています。これから就職する学生も含めて大勢の人
が直接にそれに関わることになります。
中国の経済・産業・企業・消費者を熟知するには先ずは
日本のそれらを知るということです。そのために経済学、
経営学、情報収集と情報処理・分析の知識と技能を学ぶこ
とが必要です。
研究室では学生の問題関心を最大限に引き出して、基礎
知識の勉強、演習、個人研究と個人指導、さらに研究室内
外の活発な交流と発表を通して、学際的知識と国際的視野
を持つ豊かな人材を育成することを目指しています。
主な卒業研究テーマ
◉中国家電メーカーの製販関係の構築
◉中国進出日系家電メーカーの流通経路の形成
◉中国におけるセメントの流通仕組み
◉日本小売企業の中国進出と不適応問題
◉家電流通における量販店とインターネット販売の対抗と融合
◉家電メーカーの販売系列システムの変動要因
◉流通経路の変動と消費者購買行動の変化
主な卒業研究テーマ
◉パラレルコーパス構築と日英対象研究
◉理系雑誌や論文における語彙的特徴分析
◉世界の名演説の音声分析
◉英語聴解に与える要因分析
75
理工学部/ 創生科学科
応用言語学研究室
創生科学科
創生科学科
宇宙科学・相対論物理学分野
情報処理分野
理工学部/ 創生科学科
計算言語処理研究室
宇宙計測研究室
教授 塩谷 勇
教授 佐藤 修一
Isamu SHIOYA
Shuichi SATO
研究室の学び
研究室の学び
計算言語処理研究室では、記号の書き換えを基礎に、「人
間と計算機の間の言葉である人工言語」を体系的に研究し
ています。C 言語や Java 言語などの理論的側面を研究し
ていると言うこともできます。この研究をさらに発展させ
て、(1) 人間社会で言えば「なまけものの性能が上がる」研
究、(2) 地震などの現象の特性、(3) 生命の進化の速度など
の研究も行っています。
アインシュタインの一般相対性理論は、中性子星・ブラッ
クホールなどの巨大な質量系から「重力波」が放射される
ことを予言します。重力波は通常の電磁波による天文学で
は見通せない遥か太古の宇宙を探る格好の手段であること
から世界的に注目されています。重力波の検出は太陽地球
間の距離が水素原子の 100 分の1だけ伸び縮みするような
微小な変化を計測することに相当します。この超精密計測
を礎とした人工衛星と観測装置の開発を行っています。
社会との接点
社会との接点
パソコン、スマートフォンなどは、現代社会で不可欠な
道具になっており、この道具を使うための人工言語の基礎
研究を行っています。パソコン、スマートフォンが「サク
サク」と気持ちよく使える理由は、人工言語の研究の成果
です。人は自分の意思に従って次に何をするかを決めてい
ます。一人ならばよいのですが、複数の人が互いに影響す
る状況にあると、協力して大きな事をしたり、またはケン
カなどにより自分の意思通りに行動できない状況が生じま
す。自分の意志に従って行動する人や物などは自律エージェ
ントと呼ばれます。各自律エージェントが他の自律エー
ジェントと互いに影響しあう状況にあるときには、奇妙な
状況が生じます。この分野の研究者の一人に、「more is
different」の言葉で有名なノーベル賞を受賞したアンダー
ソンがいます。適度な情報をみんなが共有すると安定する
( 争いが少ない ) ことが知られています。
この研究室では、適度な努力で自分なりの目標に向かっ
て行動をするとより安定し、努力し過ぎても安定しないこ
とを発見し、各人の適度で勝手な努力が全体の性能を上げ
ることができ、3つのエージェントのときに、10 パーセン
ト程度、性能が上がることを示しました。
「重力波で探る宇宙」というテーマは、我々の宇宙の姿と
その誕生のしくみを解き明かすという理学的目標を背景に
しています。一方でその実現のためには、観測装置を考案・
製作する工学的な手法を駆使します。更には装置を運用し
てデータを取得し、そのデータを解析するところまで自ら
の手で行います。これら一連の流れの中でいわゆる「問題
解決の方法論」を一貫して体験することができます。あら
ゆる科学の分野に共通な「方法論」をしっかりと身につけ
ることによって地球温暖化問題に代表されるような、今後
ますます増えるであろう複合性を特徴とする諸問題に対し
て、見通しをもって解決に貢献できる人材の育成を念頭に
おいています。
我々の宇宙は古代から現代に至るまで天文学をはじめと
する様々な方法で調べられてきましたが、未だもって理解
されているのはほんの一部分にすぎません。科学的な立場
のみならず文化的・哲学的な見地からも宇宙に興味を持ち、
宇宙の神秘と魅力を豊かに語り伝えられる人材の育成も大
切にしています。
主な卒業研究テーマ
◉変位雑音フリー干渉計の開発
◉結合共振器のアラインメント制御
◉デジタル干渉計の基礎研究
◉アライメントフリー干渉計の開発
◉ドラッグフリーシミュレータの開発
◉フォーメーションフライトシミュレータの開造
◉重力の逆二乗則の破れの探索
主な卒業研究テーマ
◉相互作用のある環境での安定化法
◉地震の特性を探る
◉なめらかな言葉の並びを探る
◉拡張セルオートマトンの挙動を探る
76
創生科学科
創生科学科
生体医用工学、視・聴覚心理学等複合分野
情報通信分野
分散システム研究室
教授 鈴木 郁
教授 滝沢 誠
Kaoru SUZUKI
Makoto TAKIZAWA
研究室の学び
研究室の学び
私達の周囲には、様々なハードウェアやソフトウェアが
ありますが、使い易さなどユーザ側の視点が十分に考慮さ
れているでしょうか。また一方で、日々進化するセンサな
どのハードウェアやソフトウェアを使って、高齢者/ハン
ディキャップ者をはじめ、人々にとってより暮らしやすい
環境や、より使いやすい道具を、作れないでしょうか。私
の研究室では、きっとそれらへの答えの幾つかを見つける
ことが出来るはずです。
情報ネットワークは、コンピュータのみならず家電、セ
ンサ、車載機器等の種々の機器が相互接続された大規模な
ものとなっています。さらに、こうしたネットワークでは、
各構成要素が自律的な協調動作を行う分散型の構成が必要
となっています。本研究室では、分散型の情報システムを
設計、実現、運用するためのアーキテクチャ、プロトコル、
アルゴリズム、情報セキュリティ等の先端分野研究を、留
学生を含めて国際的に行なっています。
社会との接点
社会との接点
極めて具体的には、過去、自動車のインパネ(速度計な
どの計器、その他の表示系や各種のスイッチなどの操作系
が配されている)上の表示器の位置による、情報読み取り
難易度の違いについての実験を行ったことがあります。近
年のある自動車を見ると、その実験で得られた結果が、役
立てられているであろうことが、見て取れました。
このような直接的な例は稀ではありますが、私の研究室
での学びを通じて、ヒトというものについて、そしてヒト
に優しい(易しい)環境や道具(ソフトウェアを含む)に
ついての理解を深めて卒業していった学生は、数多いこと
と思います。
このような本質的な部分以外にも、実験装置を準備/改
良していくなかでコンピュータ・ソフトウェアや各種の電
子回路に関わる様々なセンスや技術を獲得することができ
ます。多くの卒業生が、(特にソフトウェアについては)そ
のような過程を経て得たものを、社会に出た後にも役立て
ていることでしょう。これは単に、ソフトウェアやハード
ウェアについて学んだということではなく、学びの方法を
会得したはずです。したがってそれらの進化にも、将来に
わたって対応していくことができるでしょう。
分散システムは、複数のコンピュータがネットワーク上
でメッセージを通信しながら協調動作を行うシステムです。
こうした分散システムは、個人間の人間社会に類似してい
ます。このことから、個人間の関係、例えば信用関係の構
築過程を考察することにより、柔軟で効率的な新しいモデ
ルの構築を目指し、留学生を含めた国際的な研究活動を行っ
ています。海外での国際会議での研究発表等を通じて、研
究のみならず海外の研究者と交流することにより国際性を
身に付けるようにしています。
研究を通じて、困難な問題に立ち向かい解決していく「人
間力」の育成を目指しています。
主な卒業研究テーマ
主な卒業研究テーマ
◉省電力分散システムの研究 : コンピュータの消費電力を節減で
きるようなプログラムの実行方法の研究
◉不正な情報フローの防止方法の研究 : ネットワーク上で不正に
データがコピー等をされることを防止する方法の研究
◉大規模グループ通信の研究:膨大な数のコンピュータを協調動
作させるための研究
◉高速マルチメディア通信方式の研究
◉呼吸曲線と心拍変動に基づく睡眠深度の推定
◉車椅子利用者のための建物内位置表示システム
◉騒音環境下で用いられる拡声器のための周囲騒音感応型音声
加工処理システム
◉ステアリングホイール上の把持位置自動検出システム
◉安価で簡便な素子を用いた、在位作業時における伸びなど副
次行動の評価
77
理工学部/ 創生科学科
人間工学研究室
創生科学科
創生科学科
ソフトウェア工学分野
人文科学分野
理工学部/ 創生科学科
言語学・アイルランド語研究室
ソフトウェア工学研究室
教授 玉井 哲雄
教授 梨本 邦直
Tetsuo TAMAI
Kuninao NASHIMOTO
研究室の学び
研究室の学び
現代社会はすべてにわたって情報システムが動かしてい
ると言っても過言ではありませんが、その中心にあるのは
コンピュータ・ソフトウェアです。ソフトウェア工学とは、
そのようなソフトウェアをいかに開発しまた発展させてい
くかという技術を対象とするものです。この研究室では、
どのようなソフトウェアを作るかという要求工学と言われ
る分野から、スマホ用のソフトウェアの開発法にいたるま
で、さまざまな問題を学びまた研究しています。
言語学の観点から日本語、英語、アイルランド語を中心
に分析しています。音と意味の関係、文と意味の関係を言
語データから帰納的に導くことが目標です。言語学の領域
としては中核となる4分野(音声学、音韻論、形態論、統
語論)を扱います。また、アイルランド語の研究には特に
力を入れていて、その歴史的統語論から 17 世紀以降の現
代アイルランド語の分析、さらにはその詩の伝統の変容を
歴史的背景から考察しています。
社会との接点
社会との接点
ソフトウェア工学は、社会で実践されることで初めて意
味を持ちます。その意味で、社会との接点が大きな分野と
言えます。ソフトウェアを開発し活用している組織には、
いわゆる IT 企業はもちろんですが、製造業、金融業、流通
業などの産業、官公庁、大学などの教育機関、NPO のよう
な非営利団体など、あらゆる形態のものが含まれますので、
この研究室で学んだことを社会で活用する機会は、多岐に
わたります。
現代の IT の基盤は国際的にも共通なので、それを活用す
る場面は国内に限定されず、海外の企業や国際機関でも同
じように生かすことができます。実際、インターネットは
国の垣根を越えて広く世界を結びつけていることは皆さん
も実感しているでしょうが、ソフトウェア工学をベースと
して開発される情報システムやソフトウェア製品は、すぐ
れた機能・サービスを提供すれば、ただちに世界で利用が
広がっていきます。そのため、ソフトウェア工学の研究と
実践も国際的な舞台で進められています。そのような動向
を踏まえて学んでいくのが、この研究室の特徴です。
言語学と○○語文法の違いは、前者が言語をどの言語で
も分析できるような客観的な方法を用いて言語コミュニ
ケーションの普遍性を探るのに対し、後者は研究対象言語
を使えるようになるための効率的な規則を求めます。両者
は相反するものではありません。言語学で学ぶ普遍性が個
別言語の理解を深めるのに相乗効果があります。したがっ
て外国語学習者と外国語教師のどちらにも有益です。特に
日本語を外国語として見るとどのように見えるのかを理解
できます。この観点は、国際人として社会で活躍するには
誰もが必要な見方です。それは音やアクセントの解釈の仕
方の違いから文の組み立てに伴う考え方の違いまで広くか
かわってきます。
アイルランド語は5万人程度しか話し手がいない少数民
族の言語です。その特異性が日本語を外国語として見るきっ
かけを与えてくれるだけでなく、マイノリティという社会
的視点も教えてくれます。国家と言語の関係、地方と中央
の行政問題、国際語(英語)と個別言語の関係など、言語
自体の問題を大きく超える視点も養成されます。このよう
に言語学研究は国際的な場面で活躍する教養として意義深
いものでもあります。
主な卒業研究テーマ
主な卒業研究テーマ
◉ソフトウェアの要求分析の手法に関する研究
◉サービス指向ソフトウェアの構築法に関する研究
◉ソフトウェアの環境適応モデルの研究
◉スモールワールド現象との関連で見たソフトウェアの複雑性解
析に関する研究
◉ソフトウェア技術と産業の実態調査
◉「場」と「役割」の計算モデルの研究
◉アクセントとリズムの日英語比較
◉破裂子音における声立て時間の研究
◉文の視点「態(ヴォイス)」の機能
◉繋辞文と存在文の関係
◉ケルト文化圏におけるアイルランド文学
◉現代アイルランド語順 VSO とその特性
◉口蓋化子音の現れ方と解釈
78
創生科学科
創生科学科
文化人類学分野
計算機応用工学分野
計算機応用工学研究室
教授 堀端
教授 福澤 レベッカ
康善
Yasuyoshi HORIBATA
Rebecca FUKUZAWA
研究室の学び
研究室の学び
コンピュータは、本来数値を扱う(数値計算)ために開
発されました。また、いつの時代でも、その時代の最高性
能のコンピュータ(スーパーコンピュータ)は数値計算の
ために利用されています。コンピュータの本来の目的・利
用法に忠実な研究を行っています。
昔文化人類学は未開民族の民族史から始まりました。現
代の社会は研究対象になりました。その中で応用人類学は、
文化人類学の理論,知識、方法論を使用して、実際に起こっ
ている様々な社会問題を分析し、その問題を解決していく
領域です。私の研究室では、実践的な解決に向けて、身近
で様々な社会問題を研究題材として取り上げます。問題提
起から始まり、フィールドデータ(インタビュー、サーベイ、
観察)を集め、分析をし、解決方法を提案します。
社会との接点
成田空港、羽田空港等の主要空港にダウンバースト(積
乱雲の下に発生する激しい下降気流)を検知するため、ドッ
プラーレーダーが設置されています。検知装置の開発にダ
ウンバーストの数値シミュレーションが利用されています。
エンジニアリングの多くの分野で必要な設計に、最適化
問題が利用されています。
社会との接点
現在、文化人類学は環境、公衆衛生、医療問題、国際開発、
教育等の分野において広く使われています。
これらの分野において、質的および量的手法が実証をベー
スにした政策構築、決定に役だっています。この政策構築
は組織の機能を評価するにあたり自然科学、社会科学を利
用しています。
また、商品開発、ビジネスおよびマーケティングにも活
用されています。商品開発の問題を挙げるなら、PCまた
は他の電子機器等をどのように活用すれば、高齢者の人た
ちの生活をより豊かにできるかなどが挙げられます。日本
は急速に高齢者社会になっており、このようなテーマへの
取り組みは社会全体としても急務です。
主な卒業研究テーマ
主な卒業研究テーマ
◉大学野球界の実態調査
◉若者の戦争観
◉日本と他国の新聞、雑誌、テレビ、映画、広告などの比較
◉ミニ社会問題(キャンパス、近所、職場 など)の改善に向け
た研究及び解決案の提案
◉ダウンバースト(積乱雲の下に発生する激しい下降気流)の数
値シミュレーション
◉最適化問題の高速解法
◉大規模連立 1 次方程式の高速解法
◉大規模並列化計算
79
理工学部/ 創生科学科
文化人類学研究室
創生科学科
創生科学科
物理学分野
情報科学・知能工学分野
理工学部/ 創生科学科
レーザー物理研究室
データ工学研究室
教授 松尾 由賀利
教授 三浦 孝夫
Yukari MATSUO
Takao MIURA
研究室の学び
研究室の学び
すべての物質は原子からできており、原子を構成するの
は原子核と電子です。これらは極めて小さいので目で見る
ことはできません。しかし原子はそれぞれの元素の種類に
特有の光を吸収したり放出したりするので、レーザーを用
いて原子の存在を観測することができます。このレーザー
分光学と呼ばれる分野は現代科学において、おそらく最も
有効桁数の高い測定を行うことのできる学問であり、私た
ちはこの方法で原子や分子、原子核について調べています。
当研究室では情報科学、特にデータベース、データ検索
や人工知能技術を駆使し、データマイニング・ビッグデー
タ解析を主たる研究テーマにしています。 近年は Web ペー
ジ、BLOG、Twitter などの SNS 情報が注目されていま
すが、基礎となる技術は単純です。でも大量なデータを高
速に解析し“有用なパターン”を抽出する技術が必要です。
ここでは多様な分野から柔軟な価値観を求め、知能処理
とデータ工学の融合と幅広い研究方法を学びます。
社会との接点
社会との接点
物理学は基幹となる原理から物ごとを説明する「ものの
ことわり」です。その中で、有効桁数の極めて高い測定を
行うことのできる学問であるレーザー分光学は、究極的に
は素粒子・原子核を始めとする物質の基本や宇宙の根元に
迫る有力なツールになります。私たちの研究はレーザーを
使って原子の性質を詳しく調べることで、その構成要素で
ある原子核についてまで詳しく調べるというものです。
実は究極の測定を行うためには、単に機械を買ってきて
実験するだけでは十分でありません。レーザーや測定装置
を手作りすることが必要となることもあります。本研究室
では、レーザー物理実験を通して自然の奥深さに触れるこ
とと、そのための測定装置の改良開発といった工学的技術
の両方を学んでいただきます。
また卒業研究においては、目標を設定し、必要な情報を
得るための資料探索、学習、遂行計画、装置製作、実験、
まとめ、発表という一連のプロセスを行います。このプロ
セスをやり遂げることが、みなさんの基礎的な地力となっ
て社会でどのような職業に就くにせよ、役に立つ力となる
ことを期待しています。
私は企業に勤めているときからデータベースの研究に携
わってきました。データベース機構は高機能・高速・大量・
高信頼であることが要求され、社会の基幹系システムとし
ての重要性を体験してきました。一方、変化が激しく多様
な環境に追随するために常に柔軟性が要求されます。残念
ながら、現実には妥協と性能のサジ加減をとる毎日でした。
大学では、データベースに柔構造を与えることに力を注ぎ、
本来の機能解明と構築を目指してきました。
20 世紀の最後 10 年からインターネットを介した情報爆
発の時代が到来しました。ここでは膨大な情報を解析し有
用な情報を自動的にすばやく抽出することが求められてい
ます。これほどの大量のデータを扱える処理方式を目指し
て新たな研究の流れ“データマイニング”が緊急の課題です。
業務知識の経験をデータベース設計に反映させる時代から、
統計学・確率・多変量解析と情報科学を適用して新たな知
識を抽出利用する時代が始まりました。
当研究室では、多様な分野と柔軟な価値観のもと、国内
外の企業・大学・研究者と積極的に意見交換しています。
多くの学生が毎年のように国内会議・国際会議で成果報告
をしており、常に最新の結果を反映させています。
主な卒業研究テーマ
ゼミ生は国内外で以下の内容に関して積極的な発表(毎年 20
〜 30 件程度)を行っています。
◉確率モデルによる日本語文書特性の分析と情報検索
◉日本語や英語文書の係受け構造や連語の特性分析
◉ Web ページランキングの高度化による有用情報抽出
◉多重エージェントの協調処理による動的情報の分析
[ 過去の研究・発表論文 http://www.dbl.k.hosei.ac.jp/]
主な卒業研究テーマ
◉原子スペクトルを観測するための半導体レーザー製作
◉低温の液体ヘリウムに入れた原子のスペクトル測定
◉小型レーザー分光装置の開発
◉原子観察のためのアンテナ製作
◉原子の微細なスペクトルの観測
80
創生科学科
創生科学科
言語と文化・コミュニケーション分野
英語教育・教科教育分野
外国語能力評価研究室
教授 元木 淳子
准教授 柳川 浩三
Junko MOTOGI
Kozo YANAGAWA
研究室の学び
研究室の学び
私の研究室では、「社会と科学」を研究テーマとして取り
上げています。
具体的には、現代アフリカ文学に現れた科学観などにつ
いて研究しています。
理系の知識を蓄えつつ、社会に対する複眼的な視点やコ
ミュニケーション能力を備えた人材を輩出しようとしてい
ます。
私の研究室では英語の学習・指導・評価に関わる問題、
特に、英語のリスニングテストに関して研究しています。
センター試験、TOEIC のリスニングテスト、英検等です。
また、私の研究室では、中学・高校の授業において、英語
に限らず、どのような授業づくりをし、生徒を導いていっ
たら生徒の学力を伸ばすことができるのか、教科教育学の
知見からも考えています。将来、中学や高校の先生になり
たい人にはいいかもしれません。
社会との接点
社会との接点
当研究室の「現代アフリカ文学と科学観」の研究では、
アフリカで「科学」や「技術」がどのようにとらえている
のかを探究しています。
将来、技術者として、アフリカなど海外社会と関わり、
仕事をする人もいるでしょうが、この研究室では、世界の
多様な歴史や文化に通じ、科学技術を当該社会でもっとも
有効に活かしうる道を考えることの出来る、グローバルな
人材を育てようとしています。
英語のテストは大学受験や留学・就職・昇進など、人生
の節目で利用されることが多い割に、テストそのものの質
が吟味されることはあまり多くありませんでした。しかし、
人の言語能力は、体重や身長を測るのとは異なって、一筋
縄ではいきません。簡単に数値化できないのです。データ
に基づき批判的に言語テストを見ることで、よいテストが
産み出され、よい波及効果が生まれ、人の言語能力とは何
かを問うことにつながっていきます。
また、教科教育学の知見からは、あなたが中学や高校の
先生になろうとしているのならば、有益な視点と情報をも
たらしてくれるでしょう。
主な卒業研究テーマ
◉英語学習の動機づけを巡って―幼児期の英語学習がその後の
英語学習観に与える影響
◉フィンランドの数学の教科書と日本の数学の教科書との比較
―PISA 型学力の育成をめざして
◉学校と予備校での、数学教師の授業の比較:
「考える」力の育
成をめざして
◉サッカー少年団への親の期待と満足度に関するギャップ
主な卒業研究テーマ
◉「アフリカ文学作品に現れた科学観」
81
理工学部/ 創生科学科
言語 ・ 文化研究室
創生科学科
創生科学科
水工学分野
人間フィールド分野
理工学部/ 創生科学科
河川研究室
人間フィールド研究室
教授 山田 啓一
教授 横山 泰子
Keiichi YAMADA
Yasuko YOKOYAMA
研究室の学び
研究室の学び
21 世紀は「水の世紀」と言われています。水災害への対
応、人口急増や気候変化の下での水資源の確保など、水問
題は新たな局面を迎えています。本研究室は地域の水環境
の保全から、新しい水政策の展開まで幅広く手掛けていま
す。その基本は持続可能な地域環境の創造です。第一に地
域の多面的な水循環特性の把握です。第二は、水と人間と
のかかわりに注目した、水管理システムの構築です。
急展開する水問題に敏速に対応するのが当研究室の特質
です。
私は日本の怪談文化の研究をしており、近年は『江戸歌
舞伎の怪談と化け物』『妖怪手品の時代』等の本を書きまし
た。研究室では、「日本文化における不思議なもの」を文化
的な観点から学ぶことができます。例えば、昔の人々は災
いの原因として妖怪を想定しており、様々な怪談を残しま
した。これらを近代科学的な考え方から誤りとみなすので
はなく、日本人の精神文化遺産としてとらえる研究をして
います。
社会との接点
社会との接点
最近、日本の妖怪文化について興味を持つ人が日本国内
外で増えてきたようです。美術館や博物館では夏になると、
妖怪画展などが行われ、怪談映画やお化け屋敷などが人を
集めています。私や研究仲間がすすめている研究の成果は、
こうした美術館や博物館展示、さまざまな怪談娯楽などに
利用されています。まだまだ研究者人口が少ない分野であ
るだけに、まだまだ研究すべきテーマに満ちていると考え
られます。
湧水、河川の水環境の改善に関して東京都をはじめ各自
治体と連携し監視、保全活動に協力しています。当研究室
が作成した礫層図は水環境解析の基礎資料として利用され
ています。地下水湧水の利用策として災害時の用水確保策
の研究は、近年ますます注目されています。水害時の人間
行動、歴史的洪水の復元調査などは大規模災害に対する減
災策として注目されてきました。持続可能な地域社会の建
設にとって、循環する水の多面的な利用法が求められてい
ます。開発と水環境、災害対応などを複眼的にマネージす
る能力は多くの現地調査計測を含む当研究室での経験が生
かされています。文理統合型の本学科において、技術的課
題と政策立案能力をこの研究室では養うことができます。
主な卒業研究テーマ
◉湧水流出機構と都市の水環境
◉水路内での自然浄化機能の評価
◉ GIS による表層地盤資料の解析
◉歴史的大洪水の復元
◉水害時の人間行動と被害軽減量の評価
◉氾濫原管理策の検討
◉災害時の用水確保策
主な卒業研究テーマ
◉江戸時代の災害文化としての鯰絵
◉日本のことわざから見える自然観
◉現代のSF文学における情報戦争
◉江戸時代のからくり人形とロボット文化
82
Fly UP