...

消費者物価指数について

by user

on
Category: Documents
4

views

Report

Comments

Transcript

消費者物価指数について
日銀コーナー
統計の散歩道
消費者物価指数について
今月は、消費者物価指数
(以下、CPI)
について取り上げま
を占めるに至った新たな財やサービスが現れた場合、基準改
CPIは、私たち消費者が毎日生活するうえで必要な財・サー
るようになっています。このほか品目の改定に際して、例えば、
指数化)
し、小売段階での物価の変動を時系列的に測定した
質が向上したような場合、新旧商品の価格差から品質差を調
す。
ビスの価格
(物価)を指数化
(現在は2010年を100として
もので、総務省が毎月末に公表しています。本統計が対象と
する品目は、基準年における家計の消費支出の中で重要度
定を待たずに品目を見直し、その価格変動を迅速に取り入れ
旧商品に比べ新商品の価格は変わらないものの、機能や品
整して物価変動を捉える必要があります
(つまり、表面上の
価格は同じでも、品質が向上した分、実質的には値下がりした
が高いものが選定
(現在588品目)されており、これらの価
とみなすことが適当)
。このため、CPIでは様々な品質調整法
査されています。
ルが極めて短いパソコン及びカメラについては、品質調整済
格は毎月行われる
「小売物価統計調査」
(総務省)
によって調
現行のCPIは、全ての家計が基準時点における財・サービ
スをその後も同じウエイトで購入し続けると仮定
(固定基準
が利用されています。例えば、品質向上が著しく製品サイク
みの価格変動をヘドニック法という手法で直接求める方法が
採用されています。この手法では、例えば、パソコンにおいて
ラスパイレス指数)
して、物価変動を捉えようとしているため、 「HDD容量が1000GB増えた時、パソコン本体価格は5.0%
代替商品の価格変動や新製品の登場、旧製品の消滅などに
上昇する」
という関係が推計された場合、
これにより
「HDD記
上方に振れやすいバイアスが存在すると指摘されています。
まりHDD記憶容量が増えていない状態)
での価格を算出す
伴う消費者行動の変化を的確に反映することが困難であり、
例えば、天候不順などでコーヒーの値段が上昇すると、消費
者の需要が緑茶や紅茶へ振り替わります。
しかしながら、
コー
ヒーのウエイトは基準時点に固定されているため、購入数
憶容量が1000GB増えた新製品が出た場合は、同じ品質
(つ
るため、実際のパソコン本体価格を5.0%割り引いて価格を
比較する」
という調整が行われます。
足もとの大分市の
「生鮮食品を除く総合指数
(コアCPI)
」
量が減少しているにもかかわらず、CPI上は、コーヒーの値
をみると、2010年度までは前年比マイナスの状態が続いて
造の変化を反映させるため、CPIでは、5年毎に品目等の改定
ネルギー関連価格の上昇に伴って概ねゼロ%近傍で推移し
電エコポイント制度や地上波放送のデジタル化に伴い家計
入物価上昇の影響により食料品価格等が上昇したことから、
上がりを過大評価してしまうことになります。こうした消費構
(基準改定)
を行っており、2010年の基準改定の際には、家
支出におけるテレビのウエイトが高まったため
(当時のテレ
いましたが、2011年度入り後は、
ガソリンや電力・ガス等のエ
てきました。また、足もとでは、電力料金の値上げのほか、輸
2013年6月には1年2か月ぶりに前年比プラスに転化しまし
ビ価格は大幅に下落)
、
こうした動きを統計に反映した結果、
た
(図表1)
。なお、大分市の物価動向を全国と比較すると、大
比▲0.6%ポイント押し下げられました。
全国よりも振れ幅が大きくなっているのが一つの特徴です
(図
全国総合指数の前年同月比
(2011年6月)
は2005年基準
また、基準年以降に急速に普及し、消費支出に一定の割合
分市は生鮮食品を除く食料のウエイトが全国比高いことから、
表2)
。
日本銀行 大分支店 総務課 加藤 紀行氏
(図表 1)消費者物価指数の推移(大分市)
3
(図表2)大分市と全国の消費者物価指数比較
( 前年比、寄与度%)
3
2
2
1
1
0
0
2.5
(前年比%)
2.0
大分市(コアCPI)
1.5
全
国( 〃 )
1.0
0.5
0.0
▲ 0.5
-1
-2
生鮮食品を除く食料
教養娯楽
交通・通信
被服及び履物
光熱・水道
住居
その他
コアCPI
-1
▲ 1.0
▲ 1.5
▲ 2.0
-2
▲ 2.5
10/1 3
-3
┗
1
0
┛
┗
1
1
┛
┗
1
2
┛
(FY)
13/1
┗ 13
5
7
9
11 11/1 3
5
7
9
11 12/1 3
5
7
9
11 13/1 3
5
-3
2
3
4
5
6
(出所)総務省 創造おおいた 2013.9
15
Fly UP