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N-Booksのご紹介
N-Booksのご紹介
2010/12/30 N-Books 推進協議会 福井幸洋
N-Books 収支型-「会計の手引」準拠システム
N-Books は 2004 年 1 月、経済産業省「平成15年度市民ベンチャー事業」のモデル事業
として、内閣府「特定非営利活動法人の会計の手引」
(
「会計の手引」
)に準拠するシステム
として製作されました。
NPO法27条は会計書類として貸借対照表+収支計算書+財産目録の3点セットを正
規の簿記の原則によって作成し公開するよう定めています。
NPO 法人は「公益」を担うという点で公益法人と同種の法人と見られますからNPO法
人会計も、まずは公益法人の会計基準をベースに構想されました。当時の公益法人会計基
準(昭和 60 年改定、
「旧公益法人会計基準」
)は、貸借対照表+正味財産増減計算書+収支
計算書+財産目録の4点セットを会計書類としていました。
4点から1点(正味財産増減計算書=損益計算書)を抜き取ったところから、NPO 法の
収支計算書は資金の収支計算書であると理解するのが自然な解釈[第一の解釈]でした。とこ
ろが資金の収支計算書の結論「収支差額」は貸借対照表と結びつきません。貸借対照表と
関連づけるには正味財産の増減計算(
「損益計算」
)が必要でした。
「会計の手引」は、この問題を解決するために資金の収支計算に損益計算を追加したも
のを NPO 法の収支計算書とし[第二の解釈]、その様式を提案しました。それは「資金の収
支計算の部」と「正味財産増減計算の部」の二部で構成されています(
「手引収支計算書」
)
。
二部を切り離すと「旧公益法人会計基準」と類似したものとなります。
「手引収支計算書」の様式は内閣府ほか各所轄庁の「様式例」に取り入れられました(東
京都ガイドブック「収支計算書様式」など)
。以降 NPO 法人むけに提供される会計ソフトは、いず
れも「会計の手引」準拠をうたうこととなりました。
損益計算書のニーズ
しかし当初から、NPO 法人の会計関係者の間には、損益計算書(注)を求めるニーズが
ありました。とくに企業会計の経験者や税務関係者において強かったとみられます。
N-Books 利用法人でも、
「資金の収支計算の部」が事実上は損益計算書となっている場合が
ありました。
注)正味財産の増減に着目した計算書は一般に「損益計算書」といわれます。資金の増減に着目した計算
は「資金の収支計算書」といわれます。しかし具体的な計算書スタイル(様式)は法人の活動目的によっ
て変ります。営利法人は当期利益の極大化を追求しますのでそれに相応しいスタイルですが、非営利法人
は事業の遂行がメインテーマですからそれに相応しい別のスタイルになります。
1
「旧公益法人会計基準」は、その後、平成 16 年に損益計算中心に変り収支計算書を任意
作成に格下げしました(
「新基準」
)
。平成 20 年にはその方向をさらに進めて会計書類から
収支計算書を除去し貸借対照表+正味財産増減計算書+財産目録の3点セット(大規模法人
はキャッシュフロー計算書も必要)としました(
「公法基H20」
)
。
公益法人会計基準の変化を受けて、本年(2010 年)7月、
「NPO法人会計基準協議会」
が「NPO法人会計基準」(
「協議会基準」
)を作成しました(「協議会基準」では損益計算
書を「活動計算書」と呼んでいます)
。ここでも収支計算書は会計書類から除去され損益計
算中心となりました。
「協議会基準」が普及するかどうかは今後の問題ですが、NPO 法人
に対して損益計算書の採用を促進する役割を果たすと思われます。
なお、
「活動計算書」は NPO 法の「収支計算書」と整合するかどうかの問題に対して、
収支計算書は本来、資金ではなく正味財産の増減を計算するもの(損益計算書)であるべ
きだ、との解釈[第三の解釈]を打ち出した点が注目されます。
「協議会基準」は現在の NPO
法のもとで採用できるという見解を表明したものと考えられます。
以上により NPO 法 27 条の「収支計算書」には3つの解釈が生まれました。
[第一の解釈] 単なる資金の収支計算書である(NPO 法成立時の自然な解釈)
。
[第二の解釈] 資金の収支計算書に損益計算を付加したものである(「会計の手引」)。
[第三の解釈] 単なる損益計算書である(
「協議会基準」
)
。
これらの解釈には、それぞれ背景があり存在理由があります。
N-Books 収支型は、すでに述べたように[第二の解釈]にたっています。
これからご説明する N-Books 損益型は、[第三の解釈]に立脚しますが、資金の収支計算書も
作成できますし、
「会計の手引」を考慮して事業目的別の事業費計算を示すこともできます。
2
N-Books 損益型の提供
N-Books は、損益計算書に対するニーズに応えるため、本年(2010 年)11 月から、N-Books
損益型サービスを開始しました。これを機に従来の「会計の手引」準拠サービスは N-Books
収支型と呼ぶこととなりました。
サービスの提供元も NPO 法人エーピーアイ・ジャパンから、N-Books 推進協議会に変り
ました。N-Books 推進協議会の構成は以下のとおりです。
・ NPO 法人エーピーアイ・ジャパン
理事長
瀧谷和隆
(従来からの N-Books 提供元です)
・ NPO 会計支援センター
代表
荻野俊子
(関西を中心に ee-会計の名前で N-Books を広げてきました)
・ (有)デンサン
代表取締役 福井幸洋
N-Books(ee-会計)を開発しネットサービスを提供しています。
・ N-Books サポート
税理士
福井由紀子
(N-Books 利用者に対するサポートを行っています)
収支型・損益型サービスは同居運転しますので、収支型から損益型に移行した法人は、
同じログオンの後、会計単位の切り替えだけで収支型会計の計算書を閲覧できます。
なお、収支型サービスは引き続き今後も従前と同様に提供され改良が続きます。
N-Books 損益型は、NPO 法人が損益計算中心の経理を行うツールとなることを目指し、
「公法基H20」
「協議会基準」
「会計の手引」を指針に開発されました。
「公法基H20」と「協議会基準」は非営利法人の損益会計として同質であり共通点も大
きいので、たんなる損益計算経理であれば「会計の手引」を考慮する必要はないかもしれ
ません。しかし所轄庁「様式例」の存在を考慮すると、それでは不親切であろうと思われ
ます。そのため「会計の手引」にも十分に配慮しました。
その事情をご理解いただくために、参考資料として「損益計算書」と「手引収支計算書」の違いを簡単に
整理していますので、ご覧ください。
3
N-Books 損益型の特徴
すでに述べたとおり「公法基H20」では「正味財産増減計算書」と言われ、
「協議会基準」
では「活動計算書」と言われますが、どちらも非営利活動法人の損益計算書スタイルで
す。
非営利活動法人損益計算書の特徴
①「経常増減の部」
「経常外増減の部」に大区分されます。それぞれで損益計算を行い、
その合計を「当期正味財産増減額」とし最後に「正味財産期末残高」を示します。その金
額は貸借対照表の「正味財産合計」と一致します。
②「経常増減の部」は「経常収益」と「経常費用」に区分されます。経常収益は受取会
費・事業収益・受取補助金・受取寄付金などを表現し、経常費用は事業費・管理費に区分
されます。
③(事業費の表示)事業費は管理費と同様に費用内容別に表示されます。ただし内訳表
(「公法基H20」)または注記・「事業費の内訳」(
「協議会基準」
)において事業目的別の費
用額が示されます。このように法人合計表と内訳表(または注記)の2本立てで事業費を
表現します。
④(事業別の損益計算)内訳表(「公法基H20」
)は全体として事業別の損益計算を示し
ます。また注記・
「事業別損益の状況」
(
「協議会基準」
)も事業別の損益計算を示します。
⑤「経常外増減の部」は「経常外収益」と「経常外費用」に区分されます。経常外収益
は固定資産売却益・固定資産受贈益、経常外費用は固定資産売却損などを表現します。
①②と⑤について、
「公法基H20」と「協議会基準」は同一です。③(事業費の計算)と
④(事業別の損益計算)については違いがあります。
③(事業費の計算)
・・
「公法基H20」で内訳表が正規の計算書であるのに対して、
「協議
会基準」では「事業費の内訳」は注記なので任意性が高いといえます。しかし事業目的別
の費用額提示は「会計の手引」
(所轄庁・雛型)で重要な位置付けですので<重要な注記>
として扱います。
④(事業別の損益計算)・・事業別の損益計算は公益法人では重要な意味を持ちますが、
NPO 法人はかならずしもそうではありません。
N-Books 損益型は、2系列(損益計算書事業別と損益計算書費用別)の損益計算書を用
意して事業費の事業目的別表現と費用内容別表現に対応しました。また、部門別の損益計
算(事業別の損益計算)は、 [部門別管理]の「部門設定」で収益と費用を対応させること
で可能にしていますが、[部門別管理]は利用法人の任意使用です。
4
「損益計算書費用別」系列
費用別系列は、非営利活動法人損益計算書の特徴を引き継ぎ、事業費を費用内容別に表
示します。
(A-1)
(
「日次処理」
)
「損益計算書費用別」
サブメニュー:予算対比、前年対比、月別内訳、事業別費用明細表
① 損益計算書(予算対比)
・・別途登録した予算と対比させます。
② 損益計算書(前年対比)
・・前年度の損益計算と対比させます。
「公法基H20」の法人
合計表、
「協議会基準」の中間報告で示されたスタイルです。
③ 損益計算書(月別内訳)
・・毎月の損益計算を表形式で示します。4半期別表示も可
能です。
④ 事業別費用明細表・・・
「協議会基準」の<重要な注記>である「事業費の内訳」に
相当します。
(A-2)
(
「部門別管理」
)
「損益計算書費用別」
サブメニュー:部門別損益内訳表、特定部門損益計算書、特定部門月別損益内訳表
① 部門別損益内訳表・・・・
「部門設定」に基づいて部門別の損益計算を表形式で示し
ます。「公法基H20」の内訳表、「協議会基準」の注記・
「事業別損益の状況」に相当
します。
② 特定部門損益計算書・・・部門を選択して損益計算書を作成します。
③ 特定部門月別損益内訳表・部門を選択し毎月の損益計算を表形式で示します。4半期
別表示も可能です。
なお、費用別系列では、
「協議会基準」の独自提案である費用区分別表示(
「人件費」と
「その他経費」
)
、事業費と管理費の合算表示も可能です。
「損益計算書事業別」系列
事業別系列は、
「会計の手引」
(所轄庁「雛型」
)の特徴を引き継ぎ、事業費を事業目的別
に表示します。
(B-1)
(
「日次処理」
)
「損益計算書事業別」
サブメニュー:予算対比、前年対比、月別内訳
(B-2)
(
「部門別管理」
)
「損益計算書事業別」
サブメニュー:部門別損益内訳表、特定部門損益計算書、特定部門月別損益内訳表
事業費の表示が事業費別であること以外は、費用別系列の各メニューと同じです。
5
なお事業費の表示方法として、次の6オプションを用意しています。
****(1)~(4)は「部門設定」が必要です****
(1)部門・事業費科目・費用明細
定款の事業区分を部門とすれば、その枠組みに沿って事業費を表現できます。
事業費科目(A事業費・B事業費・・)は部門(部門1・部門2・・)に従属して表示
され、さらに費用明細(給料手当・旅費交通費・・・)が事業費科目に従属して表示さ
れます。
部門1
A事業費
給料手当
・・
A事業費計
B事業費
・・
部門1計
(2)部門・事業費科目・・費用明細は表示しません。
(3)部門・費用明細・・・費用明細は部門別合計が表示されます。
(4)部門・・・・・・・・部門別の費用額合計のみ表示します。
****(5)
(6)は「部門設定」は不要です****
(5)事業費科目・費用明細・・
「事業別費用明細表」の事業費列を縦に連結させた姿と同
じです。
(6)事業費科目・・・事業費科目の合計額のみ表示します。
損益計算書の名前
N-Books 損益型は、損益計算書の名前を選択可能にしました。選択肢は次の4つです。
① 正味財産増減計算書・・・計算書の本質をそのまま表現しています。公益法人会計
との親近性を示します。また「手引収支計算書」の損益計算は「正味財産増減計算
の部」とされていました。
② 損益計算書・・・計算書の本質を簡略に表現します。会計専門家や企業会計経験者
にとって馴染みの名称です。
③ 収支計算書・・・NPO 法 27 条の計算書名です。[第三の解釈](法のいう収支計算書
は損益計算書である)に立脚すれば当然の名称となります。
④ 活動計算書・・・
「協議会基準」は活動計算書というタイトルに「(法のいう)収支
計算書を活動計算書と呼んでいます」という注記を付すよう求めています。
損益計算書の名前は簡単に切り替えられます。
目的に応じて、また事業費の表現スタイルに合わせて損益計算書の名前を選択して下さ
い。
「協議会基準」の独自提案への対応
(1)
「協議会基準」は経常費用(事業費と管理費)を「人件費」と「その他経費」に区
6
分するよう求めています。
事業目的と費用内容-N-Books の経理手法
N-Books は、事業目的(A事業、B事業・・)を事業費科目(A事業費、B事業費・・)
で表わします。事業目的に合わせて事業費科目(例えば「H事業費」
)を追加します。
費用内容(給料手当、旅費交通費・・)は共通内訳(「費用明細」)で表わします。費
用内容が増えると「費用明細」に内訳(例えば「○○費」
)を追加します。
事業費科目と管理費科目は「費用明細」を共通に使用します。
仕訳では (科目)A事業費-(内訳)給料手当 と入力します。
(2系列の事業費の表現)
科目と内訳の配列順序を入れ替えれば2系列の事業費表現が可能になります。
事業別系列・・科目→内訳の配列、費用別系列・・内訳→科目の配列
共通内訳(
「費用明細」
)に費用区分を設定
共通内訳を最大9種類に区分できることしました(
「費用区分」
)
。人件費に相当する内
訳には「人件費」の費用区分が設定され、その他は「その他経費」となっています。こ
の設定は自由に修正できます。費用区分も9種類まで細分化できます。
計算書作成時のオプション
費用区分は費用別系列の損益計算書作成時点のオプション指定により、生かすこと(有
効)
、殺すこと(無効)
、費用区分の合計額だけ示すこと(合計のみ)ができます。
(2)事業費と管理費の合算表示。
「協議会基準」は当初、事業費と管理費を区分せず、それに代わるものとして費用区分
を使う方針でした。その後、事業費と管理費を区分するようになりました。
N-Books 損益型は、この経緯を尊重して事業費と管理費を合算表示するか分離表示す
るかをオプション指定で切り替えられることとしました(費用別系列の損益計算書作成
時)
。合算表示にすると例えば人件費を事業費と管理費で合算表示できます。
7
N-Books 損益型-その他の重要な特徴と制限
資金の収支計算書
NPO 法 27 条「収支計算書」の[第一の解釈]が資金の収支計算書でした。[第ニの解釈]も
資金の収支計算を重視していました。
従って法人の内外の関係者も資金の収支計算書を求め
ているかもしれません。
「公法基H20」も「協議会基準」も資金の収支計算書に触れていま
せんが、NPO 法人としては無視できないと考えられます。
そこで N-Books 損益型では[資金収支計算書]メニューを用意しています。
サブメニュー:支払資金科目登録、資金収支計算書、資金収支計算書注記
支払資金科目登録・・・流動資産、流動負債の科目から個別に科目を選択して資金の範囲(支
払資金科目)を決めます。
資金収支計算書・・・損益仕訳を直接法の手法で収支仕訳に変換し、自動的に資金の収支計
算書を作成します。その概略は次のとおりです。
1.繰越収支差額は、支払資金科目の貸借対照表上の残高から自動計算します。
2.損益仕訳から資金対非資金の仕訳を抜き出して収支仕訳を取り出します。
非資金科目が損益計算書の科目の場合は、損益計算書の配列で編成し、
(経常収支)と(経
常外収支)を示します。その収支差額合計は「損益のある資金収支」
(参考資料)の差額です。
非資金科目が貸借対照表の科目の場合は(その他収支)に示します。これは「損益のない
資金収支」
(参考資料)です。
3.損益の科目名を収支の科目名に自動変換します(増減→収支、受取○○→○○収入など)
。
これにより「手引収支計算書」
「資金収支の部」と同じスタイルの資金の収支計算書を作成
できます。貸借対照表の科目名は[]で囲い収入、支出を追加します([借入金]収入など)
。
資金収支計算書注記・・・繰越収支差額の科目別残高を検証する計算書です。
「会計の手引」
では注記として示すよう求められていました。
N-Books の部門別損益計算
N-Books は、本格的な部門別管理を行うシステムではありません。
① 仕訳では部門を入力しません。
② 貸借対照表を部門で区分管理することはできません。
③ しかし、損益計算は部門で区分できます。
損益計算を部門で区分するには、[部門別管理]の「部門設定」を利用します。
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部門設定のサブメニュー:部門登録、部門セット、部門詳細、部門設定の複写
部門登録・・・部門(損益計算を区分管理する単位)を登録します。
部門セット・・最大で5セット登録できます。初期状態で基本部門セット、税務部門セットが用意さ
れています。
部門セットは損益計算を区分する視点(見方、観点)を表わします。
たとえば基本部門セット。通常は定款の事業分けに対応させます(使い方は自由です)
。定款の事業を
部門として登録し基本部門セットに参加させます。
また税務部門セット。税務申告のためには「収益事業」と「非収益事業」を区分する必要があります
ので「収益事業」
「非収益事業」を部門登録して税務部門セットに参加させます。
部門の参加は(参加ボタン)を使います。
★「部門別損益内訳表」等の計算書を作成する時は部門セットを選択します。
部門詳細・・・特定の部門セット(例えば基本部門セット)を選択して参加部門を表示します。損益
科目を参加部門の一つに所属させます。この操作を繰り返してすべての科目をいずれかの部門に所属
させます。所属操作は(所属追加ボタン)を使います。
収益科目は内訳ごとに部門に所属できますが、共通内訳(費用明細)を使う科目は科目単位で部門に
所属させます。なお、所属漏れの科目は「部門別損益内訳表」では[部門なし]として扱われます。
部門設定の複写・・部門設定は会計年度ごとに管理されます。年度間の設定コピーをおこ
ないます。
損益の科目(収益と費用の科目)を部門に所属させるという手法は、N-Books 収支型から
引き継がれた手法です。なお、N-Books 収支型の部門設定は費用の配賦と連結していまし
たが、N-Books 損益型の部門設定は収益と費用の対応づけに絞られています。
なお、N-Books の開発元である(有)デンサンは、本格的な部門別管理システムとして、
web 会計を提供しています(公法基 H20、就労支援会計基準 for NPO、公法基 H20 for NPO
など)
。貸借対照表の部門別管理が必要な場合は web 会計をご利用ください。
費用の配賦
事業費と管理費を区分経理するには「共通経費」の配分が重要な問題になります。
N-Books 収支型では管理費を収入割合に応じて事業部門に配賦できますが、N-Books 損益型
は幾つかの点で配賦方法を詳細化しました。
① 配賦元科目として管理費だけ(収支型)でなく事業費科目も選択できることしました。
② 配賦対象の費用は共通内訳のすべて(収支型)ではなく、そのなかから任意に選択した
費用セットとしました。
③ 費用セットは最大5セット使えます。費用セット別に配賦先科目への配賦割合を設定し
ます。配賦元科目の留保割合も指定できます。割合は任意の単位(%、面積、人数 etc)
で設定できます。
④ 特殊な費用セットとして収益割合セットがあり、これを選択すると経常収益額が配賦割
合として配賦先科目に自動設定されます。この機能は N-Books 収支型で愛用されてきた
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「収入割合による配賦」を引き継いだものです。収益割合セットを利用するには部門設
定が必要です。
⑤ N-Books 収支型では配賦仕訳を作成せず収支計算書上で配賦計算を行い、その結果を示
しました。そのため元帳に表示できないという難点がありましたが、N-Books 損益型は
配賦仕訳を作成します。
配賦仕訳は「配賦月」
(決算月とは別)に作成されます。これを利用して比較損益計
算書で配賦前・配賦分・配賦後の損益計算を同時に比較できます([費用の配賦]メニュ
ー)
。また本体メニューにおいても月の範囲の設定を変えれば配賦前・配賦分・配賦後
の損益計算書を作成できます。
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N-Books 収支型と共通の機能・操作
予算の登録
年間予算を登録できます。損益計算書(予算対比)で参照されます。
仕訳の入力
①
[仕訳帳入力]の行入力・・・1行1行確定入力します。
日付、借方科目・内訳、金額、貸方科目・内訳、摘要
②
[元帳入力]の行入力・・・現金や預金の出納帳形式で1行1行確定入力します。
日付、相手科目・内訳、金額、摘要
行入力では、最終行の仕訳複写、特定行の仕訳複写、入力時点での科目(内訳)の参照入力、
摘要の参照入力が可能です。
③ 伝票形式入力・・・最大 80 行を一括入力します。
伝票形式の切替(入金、出金、振替)、事前登録の仕訳パターンの参照入力、仕訳行の
編集機能などが可能です。
NPO 法人の場合、大半の仕訳は[元帳入力]の行入力(現金や預金の出納帳形式)で済みます。
現金や預金のない仕訳も[仕訳帳入力]の行入力で済みます。仕訳帳画面には元帳入力・伝票
形式入力で入力した仕訳も全て出ますので追加・修正・削除が自由です。一連の仕訳を入力
するときは伝票形式入力を使います。
各種計算書からの元帳表示の連動など
N-Books 収支型と同じように、貸借対照表、試算表、損益計算書の画面表示から科目を指定
して元帳ボタンを押すと、その科目の元帳を表示します。元帳表示画面で修正ボタンを押す
と伝票入力画面が開きます。
検索機能
仕訳帳画面や元帳画面で検索条件を設定すると、条件に合致した仕訳を抽出します。
仕訳の日付、入力日付・時刻、科目、金額、摘要など柔軟な設定が可能です。
帳票作成は EXCEL
計算書は EXCEL に出力しますので、ダウンロードして EXCEL の印刷機能を利用します。とう
ぜんファイルで保存できます。
元帳印刷
[元帳入力]のサブメニュー「元帳作成」では、複数の科目の総勘定元帳や補助元帳をまとめて作
成できます。1 本の EXCEL ファイルにまとめられます。
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N-Books=ネット帳簿
N-Books はインターネットを介して会計システムを使用するサービスです。このようなコ
ンピュータの利用法は ASP 方式(Application Service Provider)、SaaS(Software as a
Service)と言われています。
N-Books を利用できるパソコンの要件
・OSは、windows98.2000,XP,VISTA,7
・ブラウザは、InternetExplore6,7,8,9(9 は beta 版)
・
(帳票印刷のために)microsoft EXCEL2000 以降のバージョンが必要
インターネット条件
・常時接続のブロードバンド環境が望ましい(ADSL,光、ケーブルテレビ、etc)
。
① N-Books 利用者は自分のパソコンにソフトをインストールする必要がありません。
(ソフトはインターネット上の N-Books サーバーにあります)
②自分のパソコンに会計データが蓄積されることもありません。
(会計データは N-Books サーバーに蓄積され十二分の保全対策がとられています)
③ソフトのバージョンアップを気にする必要もありません。
(ソフトの配付が不要という利点を生かして細かな改良が随時行われています)
④N-Books は自宅からでも事務所からでも(どのパソコンからも)利用できます。
(新しいパソコンではポップアップブロックの解除が必要です)
⑤法人の会計担当者が変ったときもパソコンとソフトの問題を気にしなくて済みます。
(しかし新しい担当者は操作法を身につけなければいけません)
以上に加えて、データの共用という別の利点もあります。
⑥同じ画面を見ながら対話できますので、サポーター(熟練者や専門家)から的確な支援
を得られます。N-Books は専門家マッチングという機能でこのニーズに対応しています。
N-Books のネットアドレス・・・http://www.ascjp.com/N-Books
このアドレスにアクセスすると、N-Books のログオン画面が開きます。この画面から・・
・N-Books 収支型と損益型のサンプルにアクセスできます(
「サンプル会計を見る」をチェック)
・N-Books の利用申込みができます(
「ご利用申込はこちらからどうぞ」をクリック)
12
(参考資料)
「損益計算書」と「手引収支計算書」
注)
「公法基H20」正味財産増減計算書と「協議会基準」活動計算書は多くの点が共通していますので、
たんに損益計算書ということにします。
「手引収支計算書」と損益計算書を比較すると、計算書の中心部分(経常収支の部と経
常増減の部)は、事業費の表現方法を除いて非常に共通しています。
なぜなら、非営利活動法人では損益(正味財産の増減)と収支(資金の増減)が一致す
る「損益=収支の取引」の比重が非常に高いからです。
しかし損益≠収支の取引、すなわち「損益のない収支」と「収支のない損益」があると、
その表現方針の差から相違が生まれます。
「手引収支計算書」は、資金収支の網羅と収支表現の一貫性を優先しますので損益計算
が分断され一貫性が失われます。
「損益計算書」は損益計算が素直に表現されますが、資金
収支が切り捨てられます。
○「手引収支計算書」の「資金の収支計算の部」は資金の収支を「経常収支」+「その他
収支」の枠組みで網羅します。
「経常収支」は「損益のある資金収支」計算、
「その他収支」
は「損益のない資金収支」計算です。
「その他収支」は長期借入金収入や返済支出、固定資産購入支出、敷金支出などの重要
な資金収支を表現できます(損益計算書では表現できません)
。
しかし「その他収支」は計算書の構造上、損益計算に連動しますのでその余計な損益効
果を打ち消す必要が生じます(1取引 2 仕訳)
。
○「手引収支計算書」の「正味財産増減計算の部」には、
「その他収支」がもたらした余
計な損益効果の打ち消し計算と「資金収支のない損益」計算(減価償却費、固定資産の受
贈益など)が含まれます。結局、損益計算は、
「損益のある資金収支」と「資金収支のない
損益」をつなげて見なくてはなりませんから一貫性がなく分かり難いという結果になりま
す(損益計算書では資金収支を考慮する必要がないので無理なく損益計算を表現できます)
。
どちらがよいのか
1)
「損益のない資金収支」
(「その他収支」)を重視するかどうか。
2)
「資金収支のない損益」(減価償却費、固定資産の受贈益など)を重視するかどうか。
N-Books 損益型では、損益計算書とは別に「資金の収支計算書」を簡単に作成できます
(「その他収支」も反映します)。損益計算書を選択する場合は「資金の収支計算書」も作成し
て、損益計算と資金の収支計算を両立させてはどうでしょうか。これを前提に考えると損
益計算書の選択はずいぶん有利になります
一方「資金収支のない損益」は目に見えない抽象的な損益です。一定の経理知識がないと認
識できないかもしれません。そういう法人では「手引収支計算書」の「経常収支の部」が
収支計算と損益計算を兼用しますので、
「その他収支」を表現できる点で「手引収支計算書」
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が有利といえます。ただし税務との関係が出てくると「資金収支のない損益」は無視できません。
(その他収支)も(資金収支のない損益)も、しょっちゅう起きるわけではないので、
どちらを選択しても日常の経理に大きな違いは生まれません。法人なりの個別事情(人材、
過去からの継続性、法人内外の見方など)を考慮して選択してください。
ただし、損益計算書の様式と所轄庁の「様式例」の間にはギャップがあるため、損益計
算書を選択したい場合でも、そのギャップが障害になるのではないかと思われます。
損益計算書を「手引収支計算書」と比較すると
以下()は手引収支計算書、
「」は損益計算書
1)基本的に対応する点
・
「経常増減の部」
←→ (経常収支の部)
・
「経常収益」
「経常費用」←→ (経常収入)
(経常支出)
・
「経常費用」と(経常支出)はどちらも事業費と管理費に区分されています。
以上は基本的に対応しています。
2)対応しない点
・資金収支のない損益の表示場所が違う。
「経常増減の部」と(正味財産増減計算の部)
・・・減価償却費など
「経常外増減の部」と(正味財産増減計算の部)
・・固定資産受贈益など
.
・この違いは資金収支優先か損益計算優先かの違いに起因します。また法人の経理認
識・会計方針が絡む問題でもあります。従ってさほど重視する必要はないのではな
いかと思われます。
こう考えると、損益計算書は「手引収支計算書」
(所轄庁「様式例」
)と同じではないか、
とも考えられます。しかし以下の3点を考慮する必要があるのではないでしょうか。
(1)事業費の表現の仕方が違います。
「手引収支計算書」において事業費は事業目的別(A事業費、B事業費・・・)のスタ
イルで示されます。
損益計算書では、費用の内容別(給料手当、旅費交通費・・・)に示されます。
事業費は NPO 法人のいわばメインディッシュですから、事業目的別の支出額を示さなく
てよいという了解が、所轄庁から(また法人の内外の関係者から)得られるかどうか。こ
れは大いに疑問です。
たしかに、異なる法人の会計を比較する上では費用の内容別表現の方が有利です。しか
し全法人が同じ表現でないと意味がなく、また、現在のようなペーパーベースの計算書提
出では効果もありません。
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従って、事業目的別の費用額を示す計算書(内訳表や注記「事業費の内訳」
)が必須では
ないかと思われます。だが、それでも2表が必要です。
以上を考慮して、N-Books 損益型は、
① 事業費を費用の内容別に表現した計算書
② その事業目的別内訳を示した計算書
③ 事業費を事業目的別に表現した計算書
以上3点の計算書を作成可能にしました。
(2)計算書の名前が違います。
NPO 法では「収支計算書」ですが、
「公法基H20」は「正味財産増減計算書」
、
「協議会
基準」は「活動計算書」です。
素直に NPO 法で定められたとおりにしたらどうか、という素朴な声は尊重した方がよい
のではないかと思われます。
この点を考慮して、N-Books 損益型は、損益計算書の名前を選択可能にしました。
(3)資金の収支計算書
「公法基H20」も「協議会基準」も資金の収支計算書を切り捨てましたが、公益法人会
計基準は「旧公益法人会計基準」
(S60 年)から「新基準」
(H16)を経由して「公法基
H20」に至るまで、かなりの時間をかけています。
これと比べるとNPO法人の「協議会基準」は「会計の手引」との連続性を考慮せずに
一足飛びに資金の収支計算書の切り捨てという結論に至りました。ここは、どうしても「飛
躍」の印象を受けます。
損益計算書とともに資金の収支計算書を提示することは会計の品質を高めます。
従って N-Books 損益型は「手引収支計算書」の「資金収支の部」を目標にして、資金の
収支計算書を自動作成できるようにしました。
以上のとおり、N-Books 損益型は、現在の NPO 法のもとで NPO 法人が損益ベースの経
理を行うさいのツールとなることを目標に開発されました。多くの法人が採用していただ
くよう願っています。
また、N-Books 収支型は収支ベースの経理を行うツールとして今後も存在意義があり発
展し続けます。たとえば費用別の収支計算書は損益型開発の成果を収支型に転用したもの
です。
N-Books は損益型・収支型の両方のユーザーに対等のサービスを提供しつづけます。
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