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インド経済の現況と今後の展望 望:

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インド経済の現況と今後の展望 望:
インド経済の現況と今後の展望
望:
経済大国に発展するためのキーポ
ポイント
ご参考資料 2012年5月21日
インドは、その飛躍的な経済発展により、経済大国としての存在
在感を増しつつあります。多くの先進国が低成長にとどまって
いる中、インドが高い成長を遂げている背景と今後の見通しにつ
ついて、当社グループのシンガポール運用拠点のインド株式
運用担当者である、クリシュナ・クマールが解説いたします。
クリ
リシュナ・クマール
Kriishna Kumar
ーストスプリング・インベストメンツ(シンガポール)リミテッド
イー
ジア株式運用チーム
アジ
ンベストメント・ダイレクター
イン
年間以上の運用経験。インド株式等アジア株式ファンドに
17年
関す
する豊富な調査、運用経験を有する。
経済大国への道を歩むインド:
「若年層」、「地方経済」と「中間所得者層」が内需拡大
のカギ
インドは、経済大国への道を着実に歩んでいると考えていま
す。2011年のインドの名目国内総生産(GDP)は世界第10
位、2014年にはイタリアを抜いて第8位になる見通しです(出
所:CLSAアジア・パシフィック・マーケッツ)。また、インド政府
は2013年会計年度(2012年4月~2013年3月)の実質GDP成
長率予想について 前年比+7 6%と前年度から回復する見
長率予想について、前年比+7.6%と前年度から回復する見
通しとしています。
(図1)年齢層別人口構成(2010年予測値)
100+
95-99
90-94
85-89
80-84
75-79
70-74
65-69
60-64
55-59
50-54
45-49
40-44
35-39
30-34
25-29
20-24
15-19
10-14
5-9
0-4
-80
女性の人口
Female
population
男性の人口
Male
population
(百万人)
-40
0
40
80
データ出所: CLSA Asia-Pacific Markets
豊富な「若年層」
人口大国といわれるインドの人口は約12億人です。その人
口構成は60歳以上の高齢者が約1割、25歳未満が約5割と
若年 が 倒的多数を占
若年層が圧倒的多数を占めています(図1)。また、若年層
ます
また 若年
の拡大で世帯数も増えており、1981年の1世帯当たり人員
は約5.6人でしたが、30年後の2011年には約5人(予測値)に
なりました。インドでは、人口の中核を成す若年層が収入を
得て世帯を持ち、携帯電話、自動車、住宅などへの消費が
拡大し、内需をけん引していくという好循環が中長期的に望
めると見られています。
「地方経済」の発展
インドでは人口の約7割が地方で生活し、主要産業である農
業に従事しています。農業従事者の所得の向上により、地
方経済は活気づ
方経済は活気づいています。この背景としては、農業従事
ます
背景とし は 農業従事
者と低所得者向けの支援策があります。インドでは、生産段
階で穀物に政府が定める最低支持価格を設定し、消費段階
では市場価格よりも安い価格で提供する補助金の制度が導
入されています。農業従事者の所得を保証するとともに、低
所得者に食料を行渡らせることを目的としていますが、この
支援策の補助金が増えたことから、農業従事者の家計は潤
っています。
イーストスプリング・インベストメンツ株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第379号/加入協会 社団法人 投資信託協会、社団法人 日本証券投資顧問業協会
英国プルーデンシャル社はイーストスプリング・インベストメンツ株式会社の最終親会社で
です。最終親会社およびそのグループ会社は主に米国で事業を展開している
プルデンシャル・ファイナンシャル社とはなんら関係がありません。
1/3
ご参考資料 2012年5月21日
地方都市の開発に関する予算の増額も、地方経済を加速させ
せ
る要因とな ています(図2) 農業従事者と低所得者向けの支
る要因となっています(図2)。農業従事者と低所得者向けの支
支
援策や開発予算の拡充により、地方における臨時労働者の賃
賃
金は2008年~2010年会計年度(2007年4月~2010年3月)にか
か
けて約45%伸びました(図3)。さらに貧困問題についても、改善
善
の兆候が見られており、地方の貧困率は2005年会計年度に
に
41.8%でしたが、2010年会計年度(2009年4月~2010年3月)に
に
33 8%まで縮小しています インド全体でも貧困率は同期間に
33.8%まで縮小しています。インド全体でも貧困率は同期間に
に
37.2%から29.8%へと大幅に改善しました。
(図2)地方都市の開発に関する予算の推移
(2006年度~2013年度)
(10億米ドル)
20
15
10
5
「中間所得者層」の拡大
一部の大都市だけでなく地方都市にも経済発展の恩恵がもた
た
らされることで、インドでは購買意欲の高い「中間所得者層」の
の
人口に占める割合が2010年の5%から2015年には11%と、2倍
倍
以上に増えることが予想されています。中間所得者層の台頭
頭
により消費は活発化し、電話所有世帯の割合を2001年と2011
1
年で比較すると、地方では50.5%、都市では59.0%増加してい
い
ます(図4)。銀行利用世帯も同期間に地方では24.3%、都市で
で
は18.3%増えました。
インド経済の懸念材料:
財政赤字とインフラ整備が経済発展の重しに
0
06年度
07年度
08年度
10年度
11年度
12年度
13年度
(予算内での予測)
データ出所:RBI CMIE,
データ出所:RBI,
CMIE India Budgetary documents,
documents Planning Commission,
Commission CEIC
(図3)労働形態別賃金上昇率(累積)の推移
(2006年度~2008年度、2008年度~2010年度)
(%)
50
インドが経済発展を遂げる上で課題となるのが「財政赤字」の
の
問題です。2013年度の財政赤字は、対GDP比で8.7%、補助金
金
を加味すると9.1%になります(出所:モルガン・スタンレー・リサ
サ
ーチ予想)。インド政府は財政規律の強化と、財政収支の改善
チ予想) インド政府は財政規律の強化と 財政収支の改善
善
を図る必要に迫られています。しかしながら、インド準備銀行(
RBI、中央銀行)は金融政策を転換し、2009年4月以来3年ぶり
り
の利下げに踏切りました。金融緩和を推進することにより景気
気
を回復させ、税収を増やして財政赤字を縮小する狙いであると
と
考えられますが、インフレ再燃のリスクもあります。また、補助
助
金も財政改善の足かせとなっていることから 財政赤字の縮小
金も財政改善の足かせとなっていることから、財政赤字の縮小
小
には補助金の削減が必要であると考えています。
09年度
06-08年度
08-10年度
45
45
41
40
35
34
29
30
23
25
20
全労働者
地方臨時労働者
都市臨時労働者
データ出所:CLSA Asia-Pacific Marketsのデータ
(図4)インドでの各消費財の世帯普及率
地方
銀行
ラジオ/トランジスタ
テレビ
自転車
自動車/ジープ/バン
スクーター/オートバイ/原動機付き自転車
電話
(内、携帯電話)
パソコン/ラップトップ
(内 インタ ネット)
(内、インターネット)
2011年 (%)
都
都市
54.4
17 3
17.3
33.4
46.2
2.3
14.3
54.0
51.0
5.2
07
0.7
29
地方
67.8
25 3
25.3
76.7
42.0
9.8
35.2
82.0
76.0
18.7
83
8.3
2001年 (%)
都市
30.1
31 5
31.5
18.9
42.8
1.3
6.7
3.5
-
地方
49.5
44.55
44
64.3
46.0
5.7
24.7
23.0
-
増減 (%)
都市
24.3
-14
14.22
14.5
3.4
1.0
7.6
50.5
-
18.3
-19
19.22
12.4
-4.0
4.1
10.5
59.0
-
データ出所:Kotak Securities Research
イーストスプリング・インベストメンツ株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第379号/加入協会 社団法人 投資信託協会、社団法人 日本証券投資顧問業協会
2/3
ご参考資料 2012年5月21日
もう1つのマイナス要素は「インフラ整備の遅れ」です。これま
での利上げによるインフラ投資資金のローン金利の上昇 用
での利上げによるインフラ投資資金のローン金利の上昇、用
地不足や環境規制の強化などによって、道路関連を除いたイ
ンフラ整備の進展に遅れが見られます。これが経済発展の足
かせになっていますが、逆に考えると今後実施されるインフラ
プロジェクトの案件が山積みされていることを意味していま
す。最近はインド企業の負債比率は下がっており、現金比率
は上が ています
は上がっています。
インド株式市場の今後の見通し:
2~3四半期後に景気は底打ちの見通し
インド政府の政策が今後、当社グループが想定した通りに推
移 た場合
移した場合には、2~3四半期後には景気が底を打つと見てい
半期後
景気が底を打
ます。景気が好転すれば、インフラ整備へ資金が向けられ停
滞しているインフラプロジェクトが再稼働し、経済発展の大きな
けん引役となるでしょう。
足元、インド株式市場では、株価の参考指標である株価純資
産倍率(PBR)や株価収益率(PER)は過去10年平均や5年平
均を下回っています。自己資本利益率(ROE)は2012年5月現
在、約17%ですが、今後上昇していくと考えています。今後
2~3四半期は株式市場の比較的大きな価格変動が予想され
ますが、中長期的には順調な成長が期待できると考えていま
す。
インド株式市場は、世界の景気動向や国内の経済指標の発
表などに敏感に反応する状況が続くと予想されます。また、中
長期的にインドの成長性に影響するものとして、インド政府の
財政再建および経済成長への対策などが注目されます。昨
年より続く悪材料を注視しながらも、インドにおいて急増する
中間所得者層の旺盛な消費や生活水準の向上により、今後
もインド国内の成長が続いていくと考えています。このようなこ
とからも、インド株式市場に対して中長期的に前向きなスタン
スを維持しています。
※当資料はイーストスプリング・インベストメンツ(シンガポール)リミテッドが作成した資料
料などをもとに当社が翻訳・作成したもので、情報提供のみを目的とするものであり、特
定の金融商品等の勧誘・販売を目的とするものではありません。また、金融商品取引法に
に基づく開示資料でもありません。※当資料は信頼できると判断された情報等をもとに
作成していますが、必ずしも正確性、完全性を保証するものではありません。※当資料に
には、現在の見解および予想に基づく将来の見通しが含まれることがありますが、事前
の通知なくこれらを変更したり修正したりすることがあります。また、将来の市場環境の変
変動等を保証するものではありません。※当資料で使用しているグラフ、パフォーマンス
等は参考データをご提供する目的で作成したものです。数値等の内容は過去の実績や将
将来の予測を示したものであり、将来を保証するものではありません。
イーストスプリング・インベストメンツ株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第379号/加入協会 社団法人 投資信託協会、社団法人 日本証券投資顧問業協会
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