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教育プログラムの概要及び採択理由

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教育プログラムの概要及び採択理由
教育プログラムの概要及び採択理由
機
関
名 広島大学
申請分野(系)
医療系
教育プログラムの名称 バイオデンティスト育成プログラム
主たる研究科・専攻名
医歯薬学総合研究科創生医科学専攻
(他の大学と共同申請する場
合の大学名、研究科専攻名)
取 組 実 施 担 当 者 (代表者) 岡本 哲治
[教育プログラムの概要]
[目的] 本教育プログラムでは「生物学的基盤に基づいて予防、診断、治療、治癒評価を“個体”を対象と
して行うことが出来る歯学研究者・教育者・医療人」と定義するバイオデンティストを育成することを目指
す。これまでの歯科医療は、主として義歯や冠などを用いた置換医療が主体を占めてきたが、遺伝
性素因、環境因子あるいは口腔の特殊性に起因する疾患感受性や治療効果の個体差に十分対応出来
ていなかった。一方、21世紀の歯科医療人として、急速な生命科学の進歩を理解し、生物学的根拠
に基づく個体を対象とした病因の特定と、それを標的とした予防・診断・治療を開発し、実践でき
る人材が不可欠である。
[背景] 広島大学歯学部・旧歯学研究科では平成12年度より歯学研究者・教育者と高度専門医療人を
選択的に教育するため、2つの教育コース(最先端歯学研究コース,臨床歯科医学コース)を設置
した。旧歯学研究科は平成13年には大学院教育研究拠点に選定された。平成14年度には、歯学、医
学、薬学研究科が融合し医歯薬学総合研究科を発足させた。本研究科では、医・歯・薬に共通する
高い生命・医療倫理と幅広い背景専門知識を持つ高度専門医療人、生命医科学研究者を育成するた
めに、共通科目の強化、融合型教育、専門科目の実質化の推進、複数指導教員制の導入を推進してき
た。平成17年には2年制の附属歯科衛生士学校と歯科技工士学校を廃止し4年制の口腔保健学科を設
置し、平成21年度からは大学院口腔健康科学専攻(修士課程)を設置予定である。また平成19年度
からは国費外国人留学生の優先配置を受ける「東南アジア歯科医療高度化推進ツィニングプログラム」が
採択され、平成20年10月から6名の留学生が入学する。このような改革や実績を背景に、本申請教育
プログラムでは、21世紀に求められる歯学研究・歯科医療を実践できる人材、すなわち「バイオデン
ティスト」を育成することを目指す。このような人材の育成は従来型の歯学研究科では困難であり、医
学、歯学、薬学の教員からなる融合型の本研究科においてのみ可能である。
[教育プログラムの内容] 本教育プログラムでは、徹底したコースワーク(CW)を課し、研究力を育てる。
コアプログラムとして、現在開講中の共通科目「生命・医療倫理特論」「感染症の発現機構とその制御」「バ
イオデンティストリーの創生展開」「研究方法特論」とこれら授業科目を補完する実習型CW「スタートアップ
CW」と「アドバンスドCW I・II」を置く。また、研究手法に関する特論、演習を院生のニーズに応じてチ
ュートリアル形式で実施する。専門プログラムとして、口腔感染免疫学コース、個体診断歯学コース、
再生歯学コース、口腔機能評価学コース、口腔医工学コースの5コースを置く。各コースは本研究科の
基礎系と臨床系の複数教員からなる融合型コースであり、互いに連携したCWで構築され、演習、CW
に並行して指導教員の下で研究プロジェクトを遂行し、高度で専門的な知識と技能を身につけたバイ
オデンティストを育成する。また、院生をTA、RA、および下級生のメンターとして積極的に採用し、博
士課程の段階から教育研究の現場を体験させる。
国際化推進プログラムでは国際力を育てる。英語での講義・演習、専門講師による一般英会話、科学
英会話、英語でのプレゼンテーション法、英語論文作成法などの演習を行う。また、国際学会にお
ける研究成果の発表や国際誌への論文投稿を課す。また、海外招聘教員によるグローバルリーディ
ングな教育・研究の直接指導やe-learningによる指導システムを構築し、海外特任教員が所属する
機関での教育研修を経験させる海外インターンシップを実施する。すでに開講しているツィニング
プログラムのための英語での授業科目(23科目)を選択科目として提供する。また、広島大学が東
南アジア、米国等の海外協定校と歯学教育・研究について定期的に開催しているHiroshima Conference
on Education and Science in Dentistryでの発表を義務付ける。社会貢献推進プログラムでは社会貢献力
を育てる。広島大学が実施中の海外医療活動や地域福祉活動プログラムへの参加を推進支援する。
[評価システム] 大学院教育委員会は教育全般および学生事項の管理を行い、低学年から学位申請ま
で研究の方向性や進捗度を統括評価し厳格な学位審査を実施する。教育委員会にバイオデンティスト育
成プログラム推進委員会(BiDEC)を設置し、プログラムの進捗状況の管理・企画・運営を行う。BiDEC
にCW委員会を置き、各CWの企画・運営・評価・見直しを行う。各CWやプログラムの理解度・達成度
はポートフォリオを用いて測定・評価する。また、外部委員と学生委員からなる評価委員会を設置して
プログラムの評価を受けプログラムの継続的な改善を行う。さらに、海外招聘教員および海外協定
校の教員・大学院生と国際ワークショップを開催し、本プログラムの評価、教育プログラム策定・評価
法を検討し、本プログラムを基礎としたバイオデンティストの国際標準教育プログラムの策定を行う。
広島大学:バイオデンティスト育成プログラム
履修プロセスの概念図(履修指導及び研究指導のプロセスについて全体像と特徴がわかるように図示してください。)
国際的に活躍するBio-Dentist
再生医学・歯学
プロテオーム解析
リサーチ
リーダー
神経再生
バイオプローブ
細胞医療
学習・研究
進捗度評価
D4
リサーチ
プロポーザル
プロバイオティクス
代謝性スカフォールド
評価委員会
(外部委員、学生)
大学院教育委員会
バイオデンティスト育成
プログラム推進センター (BiDEC)
プログラムの企画・評価、コースワーク委員会
国際化推進
プログラム
週報告会
学生主催 の
研究発表 会
シンポジウム
高度
プロフェッショナル
臨床医
・学長表彰
・研究科長表彰
国際力 ・ 研究力 ・ 社会貢献力
学生主催 の
研究発表 会
シンポジウム
D3
粘膜ワクチン
DNAアレイ
国際欧文誌への投稿と厳格な学位審査
国際ワーク
ショップ
Hiroshima
Conference
週報告会
遺伝子診断・治療
ポート
フォリオ
・海外招聘教員
による 指導
・e-learnin g
・英会話プレゼン
テーション演習
・英語論文作成
・Hiroshima
Conference
での発表
・海外インターン
シップ支援
・国際学会発表
支援
D2
口腔感染免 個体診断歯学 再生歯学
口腔機能評
口腔医工学
コース
疫学コース
価学コース
コース
コース
・う蝕・歯周病 ・口腔領域の ・置換医療に代・再生歯学によ ・オーラルプロ
る治癒形態
ワクチンの 発育異常 わる 再生歯科 セス医工学
の個体間での ・医用デザイン
開発・ 創薬 ・難治性疾患の 医学
原因遺伝子お・遺伝子治療 評価
CAD-CAM
・歯周病原因 よび遺伝子異 の開発研究 ・理想的治癒
システム
形態をもたらす・ナノセンサー
子・歯周病 常の 解明、
オ-ダ-メ-ド
感受性因子 ・口腔疾患と全
治療体系の
身との関わり
の解明
構築
の解明と新規
治療法の開発
歯科補綴
口腔病理
・細胞培養士
口腔外科
専門医 専門医 専門医 ・メディカル
小児歯科
専門医 歯科放射線医 歯周病専門医 矯正歯科
デザイナー
専門医
口腔外科
保存認定医
専門医
社会貢献推進
プログラム
・東南アジア
海外医療
援助
・セミパラチン
スク核実験場
医療援助 ・在外被爆者
検診
(ハワイ、米国、
ブラジル)
・毒ガス被害者 検診
・被爆者検診
・地域医療・
福祉活動
専門プログラム: 基礎・臨床融合型コース
専門プログラム:基礎・臨床融合型コース
コースワーク
理解度評価
学生主催 の
研究発表 会
シンポジウム
D1
アドバンスド・プログラム(コースワーク)
医歯薬学
教員
細胞培養応用技術コース 遺伝子解析応用技術 コース
蛋白発現応用技術コース 遺伝子改変応用技術 コース
医歯薬学
教員
スタートアップ・プログラム(コースワーク)
実験基本技術コース 細胞培養基礎技術コース 遺伝子解析基礎技術コース
蛋白発現基礎技術コース 動物操作基礎技術コース 実験機器操作法
コアプログラム
生命・医療倫理特論 感染症の発現機構とその制御
バイオデンテ ィストリーの 創生展開 研究方法特論
創生医科学専攻・展開医科学専攻、口腔健康科学専攻(設置予定H21)
初期臨床研修(大学病院・総合病院)
医歯科学
修士
最先端歯学研究コース
臨床歯科医学コース
広島大学歯学部歯学科
他大学歯学部
東南アジア
歯科医療高度化
推進ツィニング
プログラム
広島大学
歯学部
口腔保健学科
広島大学:バイオデンティスト育成プログラム
<採択理由>
大学院教育の実質化の面では、学部と大学院の知識レベルを埋めるための共通科目であ
る「コアプログラム」をはじめとした体系的な教育課程が編成されるとともに、きめ細か
い成績評価基準が明示され、自己点検・評価体制の強化が図られている点は評価できる。
教育プログラムについては、研究科の人材養成目的を具体化し、生物学的基盤に基づい
て予防、診断、治療、治癒評価を“個体”を対象として行うことができる「バイオデンテ
ィスト」という、医歯薬学を連携した新しい人材を養成しようとする意欲的な取組として
評 価 で き る 。ま た 、コ ー ス ワ ー ク を 重 視 し 、コ ア プ ロ グ ラ ム 、ア ド バ ン ス ド プ ロ グ ラ ム( 最
先端の研究方法を習得する実習科目等)、専門プログラム(口腔感染免疫学、個体診断歯
学、再生歯学、口腔機能評価学、口腔医工学の5つの基礎・臨床融合型コース別科目)、
国際化推進プログラム(英語によるプレゼンテーション・論文作成指導や海外インターン
シップ等)、社会貢献推進プログラム(海外医療活動や地域福祉活動)など、体系的かつ
具体的なカリキュラムが整備されている点やこれまでの取組の実績からみても、その実現
性とともに大学院教育の実質化に資することが期待できる。また、本教育プログラムに対
する全学的な支援体制が計画されていることや、大学院生及び外部教員も含めた評価を行
うワークショップが計画されていることから、支援期間終了後も含め、今後の展開が期待
できる。
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