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第3章 - 静岡市

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第3章 - 静岡市
第3章 計画を推進するための取組
基本目標1:一人ひとりに必要な支援を提供できる環境づくり
施策の方向
基本施策
①日常生活を支える取組の推進
A:安心につながる支援の充実
②権利を守る取組の推進
①相談体制の充実
B:適切な支援につながる
取組の推進
②生活の自立の支援
(1)施策の方向
A:安心につながる支援の充実
誰もが住み慣れた地域で暮らしていけるよう、一人ひとりの権利を守り、日常生活を支
えるための「安心につながる支援の充実」を図ります。
B:適切な支援につながる取組の推進
支援を必要としている人が適切に支援につながることができるよう「支援につながる取
組の推進」に取り組みます。
(2)施策の方向A:安心につながる支援の充実
基本施策①:日常生活を支える取組の推進
社会環境の変化や諸制度の動向を踏まえながら、複雑化・多様化するニーズに対応できるよ
う公的な支援を着実に提供します。
<主な取組>
( ア ) 誰もが住み慣れた地域で、安心で自立した生活を送ることができるよう、在宅生活を
支援するなど公的福祉サービスの充実を図ります。
( イ ) サービスの提供者である社会福祉法人や施設の事業者などに対し、サービスの点検や
改善など指導や監査を行います。
( ウ ) 静岡型地域包括ケアシステムを推進します。
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静岡型地域包括ケアシステム
「地域包括ケアシステム」とは、地域住民が住み慣れた地域で安心して尊厳あるその
人らしい生活を継続することができるように、「日常生活圏域」の中で、介護保険制度
による公的サービスのみならず、その他のフォーマルやインフォーマルな多様な社会資
源を本人が活用できるように、包括的かつ継続的に支援することです。
「静岡型地域包括ケアシステム」については、
本市の特徴である「地域力の高さ」と「元
気な高齢者が多い」ことを踏まえ、高齢者が要介護状態になっても住み慣れた自宅や地
域で自分らしく暮らし続けることができる、
「医療」
、
「介護」
、
「予防」
、
「住まい」
、
「生
活支援」の5つのサービスを一体的に提供するシステムの構築を推進し、健康長寿のま
ちの実現を目指します。
① 多職種連携をはじめとする「つながる力」を活用した医療と介護の連携などの新
しい仕組みづくりを積極的に支援します。
② システムを維持・発展するためには、必要となる多様な人材育成(人づくり)と、
元気な高齢者が活躍できる取組を進めていきます。
基本施策②:権利を守る取組みの推進
地域住民の安心・安全な暮らしを確保し、誰もが持つ権利を守るために、権利擁護の意識を
高めるほか、判断能力に不安がある方の健康福祉に関するサービス利用の支援などを行います。
また、高齢者、障がいのある人、子ども等に対するいじめや虐待を未然に防ぐ取組を推進する
ために、関係機関等との連携を強化します。
<主な取組>
( ア ) 高齢者、障がいのある人及び子どもに対する虐待や、DV 6 などの家庭内暴力について、
その防止や早期対応を図るため、関係機関や地域との連携を進めます。
( イ ) 認知症や知的障がい、精神障がいなどにより福祉サービス利用に係る契約締結や日常
的な金銭管理において、自身で判断することが難しい人でも自立した生活を送ること
ができるよう、日常生活自立支援事業や成年後見制度の利用支援に取り組みます。
( ウ ) 地域の後見ニーズ等の実態を把握するとともに、本市の特性に合った市民後見人制度
の検討及び実施を進めます。
( エ ) 人権の意識の普及高揚を図るために、人権の啓発活動を行います。
6 配偶者や恋人など親密な関係にある、またはあった者から振るわれる暴力。ドメスティックバイオレンス
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(3)施策の方向B:適切な支援につながる取組の推進
基本施策①:相談体制の充実
市民が抱える生活課題やさまざまなニーズの把握を行い、一人ひとりに合った適切な支援を
提供するために、相談機関の充実を図ります。
<主な取組>
( ア ) 地域包括支援センターや障害者相談支援事業所などの身近な相談機関の充実を図りま
す。
( イ ) 一人ひとりが抱える不安や問題に対し、適切な支援を提供できるよう職員の対応能力
の向上を図ります。
( ウ ) 各機関や地域等との連携により、問題の予防や早期発見、早期対応に取り組みます。
基本施策②:生活の自立の支援
生活保護に至る前の生活困窮者の早期の発見・支援を行い、困窮状態からの早期脱却を図り
ます。
<主な取組>
( ア ) 自立相談支援の窓口を開設し、訪問による支援を含め、日常生活に困窮している人等
へ情報とサービスを提供する拠点とします。一人ひとりの状況に応じ、失業、病気等
複合的な課題を解決し、自立した生活が送れるよう、助言、各窓口への同行等の伴走
型の支援を行います。
( イ ) 自立相談支援の窓口で相談をした人のうち、住居を失った又は失うおそれのある人の
就職活動を支えるため、住居確保給付金の支給を行います。
( ウ ) 自立の見込みは一定程度あるものの、日常生活や社会生活上の自立が不十分なため、
就職が困難となっている人に、就労体験、日常生活の立て直しの支援、挨拶の訓練等
を行い、就労の準備を支援します。
【コラム】地域での取組事例①
寺子屋お∼ぷん・どあ
「子どもの貧困」対策のための包括的地域支援システムづくりを目指して
∼生活支援&学習支援&社会的居場所づくり∼
今、日本における子どもの6人に一人が「貧困」にあります(子どもの貧困率:16.3%)。
静岡市に当てはまると 18,000 人を超えるこどもたちが「貧困」状態に置かれていると言え
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ます。子どもの貧困は単なる経済的困難に晒すのみならず、さまざまな可能性と選択肢を制
約し、自己肯定感を低下させ、将来のあらゆる夢やライフチャンスを奪うものです。
既存のネットワークを駆使しても支えきれず、公的サービスによるセーフティネットの網
の目から生活困窮家庭がおちこぼされていく状況を何とかすべきと考え、平成 24 年度より
“「子ども・若者・女性の貧困」対策&「家庭の機能不全化・貧困の世代間連鎖」予防事業”
を新たに始め、具体的な実践を呈示するなかでソーシャルアクション 7 を行ってきました。
「ホッとホ∼ムてのひら」では、手作りの夕食と社会生活体験の提供を通して、安心・安全
な夜の生活を保障する「生活支援」を、また「カラフル・ピ∼ス」では学習支援を通して「社
会的居場所」作りを行っています。さらに、生活困窮家庭をはじめシングルマザー(ファザー)
家庭などのこども、保護者、家族が安価(おとな:300 円、こども:200 円)で手作りのラ
ンチを食べ、ゆったりとしたレスパイト 8 の時間を過ごすことができるための居場所である
「そらいろ食堂」も始めました。
これらの活動を通し、単なる「子
どもに対する支援」のみならず、
「ア
ウトリーチ 9 型の子育て家庭支援活
動」をも含めた、公民の教育・福祉・
心理・保健・医療・司法などの関係
機関・団体・グループ・個人によるソー
シャルサポート・ネットワークによ
る包括的地域支援システムづくりを
目的とした取り組みも行っています。
また保護者もボランティアとして活
動に参加することで「サービスを受けるだけの存在」から「社会で役立つ存在」としての役
割を得てエンパワー 10 されていくスタイルは、全国でも僅少です。
生活支援も学習支援も社会的居場所づくりも“ツール”に過ぎません。子どもや若者が希
望と信頼感を取り戻し「この世は生きるに値する」との思いを抱いてくれること。それが私
たちの願いであり支援目標です。「子どもの貧困」対策とは“未来への投資”に他なりません。
7 社会的活動
8 乳幼児や障がい児・者、高齢者などを在宅でケアしている家族の心身の負担を軽減するため、一時的にケアを
代替し、リフレッシュを図ってもらう家族支援サービス
9 援助が必要であるにもかかわらず、自発的に申し出をしない人々に対して、積極的に働きかけて支援の実現を
めざすこと
10 支援を必要とする人を「○○ができない人」と一面的に捉えるのではなく、生きる力を備えた存在として捉え、
その人自らの内にある生きる力が引き出されるようにすること
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【コラム】地域での取組事例②
飯田地区社会福祉協議会(清水区)
∼子ども達が健全に育ち、青年たちが希望を持って働き、高齢者や障がい者が 生きがいを持って生活出来るような明るく住みよい社会の実現をめざします。∼
飯田地区社会福祉協議会は、平成 12 年に“飯田地区住民で支えあう福祉社会を目指して”
をスローガンに、「住民の参加と、支えあいによるまちづくり」を実践するため、ボランティ
ア三部会を発足いたしました。
ボランティア三部会
① 家事援助グループ:ひとり暮らし高齢者懇談会の食事づくり他
② 送迎援助グループ:通院・ひとり暮らし高齢者懇談会の送迎
③ 技術援助グループ:日曜大工・庭木の剪定等
なお、上記のボランティア三部会以外の困りごとも受け付けていますが、地区社協で対応
できないことは、民生委員や地域包括支援センター等につないでいます。この活動のため、
「ボ
ランティア活動室」として旧下野東集会所に専用電話を置き、毎週火曜日午後1時から午後
4時まで電話ボランティア2名が要望を受け付けています。
こうした活動を続ける一方で、地区社協の取組がまだまだ知られていないことを感じてい
ました。そこで平成 25 年度より飯田地区連合自治会長に、飯田地区社協会長への就任を承
諾していただきました。2年が経過した現在、17 の単位自治会長の地区社協活動に対する認
識が非常に高くなりました。ま
た、新会長の目線で、静岡市だ
けでなく他市の地区社協活動も
参考に、飯田地区社協の今後の
在り方について検討を進めてい
ます。
今後も、民生委員児童委員協
議会や地域の機関や施設等と連
携しながら、より地域に根差し
た福祉活動を進めていきます。
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基本目標2:市民との協働による地域づくり
施策の方向
基本施策
①地域における支え合い活動の支援
C:地域活動の活性化の促進
②地域の交流の場や機会の充実
①地域における住民と関係団体間の
連携・協働
D:支え合える地域づくりの推進
②災害時でも助け合いができる関係づくり
(1)施策の方向
C:地域活動の活性化の促進
支え合いの基盤となる地域での活動や交流が活発となるよう「地域活動の活性化の促進」
を図ります。
D:地域活動の活性化の促進
地域課題の解決に向けた連携や協働を推進し、支え合いの力を高めていくことができる
よう「支え合える地域づくり」を目指します。
(2)施策の方向C:地域活動の活性化の促進
基本施策①:地域における支え合い活動の支援
地域で支え合う活動を展開し、継続的に実施できるよう、その活動の基盤となる組織づくり
や組織の活動を支援します。
<主な取組>
( ア ) それぞれの地域における福祉活動が充実されるよう、運営費や活動の財源確保や活動
拠点の確保等について、地区社会福祉協議会の活動を推進します。
( イ ) 地域活動の核となる各自治会・町内会活動の支援を行うとともに、各学区や地区にお
ける活動を支援します。
( ウ ) 静岡型地域包括ケアシステムを推進します(再掲)
。
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基本施策②:地域の交流の場や機会の充実
孤立の防止や、身近な地域での交流や仲間づくりを進めるとともに、地域住民がお互いを理
解し、支え合いの地域づくりにつなげられるよう地域交流の場(居場所)や機会の充実を図り
ます。
<主な取組>
( ア ) 老人福祉センターや老人憩の家、子育て支援センターなど、地域住民間での仲間づく
りや交流の場を提供します。
( イ ) 同じ世代の人や介護をしている人など、同じ立場の人同士が共通の課題について話し
合い、交流できる場の充実を図ります。
( ウ ) 様々な世代での交流を推進します。
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【コラム】地域での取組事例③
西豊田地区社会福祉協議会(駿河区)
∼地域の誰もが気軽に立ち寄り気兼ねなく過ごせる場∼
地域の茶の間「カフェ蔵」
西豊田地区は東静岡駅から近く、マンションや住宅が立ち並び駿河区内で世帯数・人口が
最も多い地域です。しかしながら、地域の方々が集える場所は決して多いとは言えません。
西豊田地区社協では、S型デイサービスや子育てサロンなどの住民のふれあい・交流活動は
行っていますが、自治会に未加入の方や日中独居の方など、地域とのつながりが希薄な方た
ちもいます。そういった方たちも含め、誰もが気軽に立ち寄れてほっとできる、
“地域の茶の間”
のような場を作りたいという思いがありました。そんなとき、地域の居場所作りの取組を知り、
西豊田地区でもこのような取組ができないかと思い、平成 24 年 7 月から検討が始まりました。
様々な方にご協力いただきながら、話し合いや視察研修、仮オープンを行い検証するなど準
備を進めていきました。
そしてついに、平成 25 年 4 月、蔵屋
敷公民館に「カフェ蔵」をオープンする
こ と が で き ま し た。1 回 100 円( 子 ど
もは無料)の利用料を払えば誰でも利用
することができ、ここでは皆さんが自由
にお茶やコーヒーを飲みながら、ご自身
のことや最近あった出来事など気軽にお
しゃべりを楽しんでいます。利用者は毎
回 20 人ほどで、子育て中の親子連れから
一人暮らしのお年寄りまで世代を越えて
様々な方が集まっています。地域のボランティアのご協力もあり、利用者が他の利用者と交
流しやすいように声をかけるなど、気軽に立ち寄りやすい環境を作っています。当初は月 1
回(10 時から 15 時)の開設でしたが、
「次の開設が待ち遠しい」
「開催回数を増やしてほしい」
といった声を受けて 2 年目からは月 2 回(9 時から 12 時)の開設になりました。また昼間
は仕事などで来られない方のために、
「夜カフェ」も開催し始めました。この「夜カフェ」では、
お酒も入り、また一味違った雰囲気で盛り上がっています。
今では、すっかり地域の茶の間として定着し、いつも和やかな雰囲気で行われるようにな
りました。利用者からは「こういう場があって嬉しい」
「色々な人と話ができて楽しい」とい
う声も多く、また皆さんも次第に顔なじみになり、地域のつながりをつくる大切な場所となっ
ています。
これからも、この「カフェ蔵」を通じて地域の新しいつながりや絆が生まれてくれれば嬉
しいです。
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(3)施策の方向D:支え合える地域づくりの推進
基本施策①:地域における住民と関係団体との連携・協働
地域の福祉課題を発見し解決に結び付けるためには、地域の住民や地域の団体が地域のため
にお互いの力を合わせて取り組むことが重要です。
解決が困難な課題に対しても、得意なことを活かし合い、力をあわせることで大きな力を
発揮し解決につながることから、住民と地域の関係団体が連携・協働できる取組を進めてい
きます。
<主な取組>
( ア ) 認知症の方や日中独居の高齢者等が安心して暮らしていくため、
地域住民が協力し合い、
地域で見守りながら支え合う見守りネットワークの輪を広げていきます。
( イ ) 課題を抱える当事者やその家族に対する支援活動を通じ、当事者や家族の支援者の交
流機会の拡充や、それぞれの活動の充実に向けた支援を行います。
( ウ ) 地域の住民や関係団体と、地域の中にある学校、社会福祉施設や企業など様々な立場
が連携し、支え合いの地域づくりに向けて協働していくための仕組みや、関係づくり
に取り組みます。
基本施策②:災害時でも助け合いのできる関係づくり
普段から助け合い支え合う仕組みや環境整備を行うことで、災害時でも助け合いができる関
係づくりを進めます。
<主な取組>
( ア ) 災害時に支援を必要とする要援護者の情報を集約し、有事の際にはその情報に基づい
て避難時における支援が行えるよう制度の周知と活用を促進していきます。
( イ ) 災害時における被災者宅の泥のかき出しや家財道具の運びだし等の生活環境の整備や、
被災者の避難後の生活支援を行うために、県内外から参集するボランティアの力を借
りて支援できるよう災害ボランティアセンターの運営を実施します。
( ウ ) 災害ボランティアセンターの運営に必要なコーディネーターの育成のため、啓発活動
と人材育成を更に進めていきます。
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【コラム】地域での取組事例④
静岡市障害者協会
静岡市障害者協会防災事業
特定非営利活動法人静岡市障害者協会は、平成 17 年に発足し、翌年から障がい者の防災対
策に取り組んでいます。毎月1回防災委員会を開催し、防災事業の企画・運営を行っています。
取組の特徴として、当初より宿泊型の
防災訓練を継続しています。災害発生後
に避難所となる学校の体育館にて、地元
の自治会、住民、民生委員、地区社協、
市 社 協、 学 校 長 ら の 協 力 の も と、 毎 回
100 人程度が参加し 30 人前後が宿泊し
ます。宿泊にこだわっているのは、障が
い者が避難所の環境で生活が維持できる
かを確認するためで、夕食、就寝、朝食、
排せつなど生活を体験しています。さら
に避難所に行くことができない、行けても生活できない障がい者のことを考え、自宅で停電・
断水を体験する「自宅避難訓練」も実施しています。また、福祉避難所となる特別支援学校
や入所施設での宿泊も体験してきました。
平成 26 年 12 月には要援護者のための総合防災訓練を西豊田小学校にて開催しました。通
常の避難所の立ち上げ、生活のほか、要援護者のための安否確認、窓口での相談対応、避難
所の宿泊環境の整備、会議室等の福祉スペース化、自宅避難者への安否確認訪問などを総合
的に行いました。訓練の参加者は約 110 名で、宿泊 41 名のうち障がい当事者は5名、家族
等は1名でした。避難所では視覚障がいの方には仮設トイレに近いテントを使っていただき、
1人で参加し不安な知的障がいの方には知り合いの方が隣に寝るなどの対応をしました。
今回は、
「災害時要援護者支援リーダーの養成」がテーマでしたので、基礎編の座学を事前
に1日で行い、実践編としてこの総合防災訓練を位置づけました。特に民生委員には、相談
窓口で障がい者からの相談に対応していただき、要援護者名簿を活用して避難所に来ていな
い要援護者の安否確認とニーズ把握の訪問をお願いしました。この総合防災訓練を通じ、支
援リーダーとして 20 人の方に修了証を交付しました。
今後、要援護者の支援が、地域の協力でより具体的になることを願っています。
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基本目標3:地域福祉を担う人づくり
施策の方向
基本施策
①担い手の育成
E:支え合いの担い手の充実
②担い手の活動支援
①支え合う心の醸成
F:支え合いの意識づくりの推進
②健康福祉に関する啓発と情報発信
(1)施策の方向
E:支え合いの担い手の充実
地域福祉に関する活動を行う人材の育成や、支え合い活動の支援の充実を図るために、
「支
え合いの担い手の充実」に取り組みます。
F:支え合いの意識づくりの推進 一人ひとりがお互いに認め合い、思いやりの心を持つことができるよう「支え合いの意
識づくり」に取り組みます。
(2)施策の方向E:支え合いの担い手の充実
基本施策①:担い手の育成
地域における支え合いやボランティア活動を推進するとともに、各種講座や研修を開催する
など支え合い活動の人材を育成します。
<主な取組>
( ア ) ボランティアに参加するためのきっかけをつくるとともに、多様な技術や知識などを
有する人材の確保に努めます。
( イ ) 研修や講座等を開催し、活動に関する知識や活動の方法などを伝える機会や場をつく
ります。
( ウ ) 地域の健康福祉を支える人材の専門性や、活動の資質を高めるための支援を行います。
( エ ) 静岡型地域包括ケアシステムを推進します。
(再掲)
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基本施策②:担い手の活動支援
支え合いの活動を継続的に実施できるように支援を行います。
<主な取組>
( ア ) 民生委員・児童委員、主任児童委員を始めとした、ボランティア活動等を行う人を支
えるためのバックアップ体制を整えます。
( イ ) ボランティアに関する情報を集め、その調査や研究を行います。また、活動に関する
情報を提供します。
( ウ ) 活動を行う人たちの間での情報交換や仲間づくりを行えるように交流の機会を設けます。
( エ ) 静岡型地域包括ケアシステムを推進します。
(再掲)
【コラム】地域での取組事例⑤
生活応援しずおか(SOS)
社会全体で一人ひとりが支え合う必要性
福祉に関する公的制度の充実が図られ
つつある一方で、高齢者の一人暮らしや
夫婦のみ世帯の増加に伴い、地域には公
的制度だけでは対応しきれない生活課題
や福祉課題も存在します。「生活応援し
ずおか」
(通称「SOS」)では、そのよ
うな課題に対する手助けに取り組んでい
ます。SOSは葵区地域福祉推進セン
ター主催の 「生活支援ボランティア入門
講座」 及び 「フォローアップ講座」 修了者により、平成 26 年4月に設立されたボランティア
グループです。
活動の内容は、話し相手やごみ出し、日曜大工、衣類や寝具の整理、生活必需品の買い物、
子育て支援や通学等の付き添いなど多岐にわたります。支援時間はおおむね1回2時間程度
として、葵区内で無償で行います。会員はライフサポーターとして静岡市内居住者及び勤労
者がメンバーになっており、現在 22 名で構成されています。
支援対象者は、高齢者、障がい児・者、子育て中の世帯、介護中の家族、生活困窮者世帯
などのうち、葵区地域福祉推進センターより依頼された人としています。ただし、利用でき
る公的サービスや有料サービスがあればそちらを優先してもらい、SOS は公的サービス等の
隙間を埋める役割を担っています。
今後、一人ひとりが住み慣れた地域で安心して暮らしていけるよう、同じ考えを持つ仲間
の輪を広げていくことが重要です。同じ自治会単位のレベルで生活している人たちがお互い
に手助けし合えるような地域をめざし、これからも取組を進めます。
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(3)施策の方向F:支え合いの意識づくりの推進
基本施策①:支え合う心の醸成
福祉への関心を深め、支え合う心を醸成していくために、福祉に関する情報提供や理解を深
めるための機会を設けます。また、早い時期から福祉に接することで、福祉を身近に感じ、関
心を高めてもらうため、学校における福祉教育等にも取り組んでいきます。
<主な取組>
( ア ) 福祉への関心、理解を深められるような場や機会を提供します。
( イ ) 認知症や障がいの特性を理解し、ノーマライゼーションの理念の推進を図るための講
演会等を実施します。
( ウ ) 将来地域を支えることになる子どもに対し、地域や学校の中での体験や交流を通じて
福祉に関することを学ぶことができる場を設けます。
基本施策②:健康福祉に関する啓発と情報発信
支え合いの関係を築いていくためには、困りごとに対する備えや、自分で解決できるものは
自分で取り組むという自助の意識も必要です。生活習慣病の予防を始めとする健康づくりや、
健康福祉に関する情報の収集・活用ができるように、啓発と情報発信を推進します。
<主な取組>
( ア ) 生涯を通じて生きがいを持ち、健康な人がみちあふれるまちをめざすため策定された
健康爛漫計画に沿って、健康づくりに取り組みます。
( イ ) 必要な情報を誰もが簡単にわかりやすく得られるよう情報発信を行います。
( ウ ) 健康福祉に関する意識を高められるよう、
世代や対象者に合わせた情報発信を行います。
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【コラム】地域での取組事例⑥
横内地区社会福祉推進協議会(葵区)
ひとりは皆のために 皆はひとりのために
横内地区は、14 町内から成り立っている人口約 13,000 人の方々が暮らす地域です。長年
居住されている方が多く、お互いを良く知る方々も多いのが特徴ですが、近年転入者が多く
なった町内会も増加しています。
横内地区社協は、平成 7 年に設立し、現在 4 つの部会により構成されています。S 型デイ
サービス 5 会場、子育てサロン 1 会場、高齢者対象としている“お楽しみ会”や横内地区居
住の方が誰でも参加できる“歌の広場”等の事業運営を行っていて、参加者は増加傾向にあり、
活動に携わる住民ボランティア活動の輪は広がってきました。また、平成 26 年度からは、町
内会組織と連携協働して運営を行うことをテーマとし、企画運営委員会を 2 か月に 1 度開催
し、町内会のみならず、横内地区の各種関係団体と一緒に横内地区の福祉について意見交換
や協議を始めています。 ある日、市社協と地域包括支援センターから相談が入りました。その内容は、長年社会
的に孤立状態にある世帯への関わりについて協働して行って欲しいとのことでした。その
世帯は、ひきこもりや、いわゆる「ごみ屋敷」といった課題を抱えていました。当初は、
こうした課題は行政で対応すべきと考えましたが、該当世帯の町内会長に相談した所、快
く協力が得られましたので、市社協や包括支援センターの職員と一緒に世帯を訪問するな
どの関わりを持ちながら、情報共有の場を月 1 回設けていきました。半年以上関わりをも
つようになり、少しずつ心を開き始め対話が出来るようになり、問題の解決に向けて少し
ずつ歩きだしました。
今回の取組の中で、いままで
の横内地区社協の事業は“ひと
りが皆のために”活動すること
はありましたが、皆 ( 地区社協
や町内会 ) がひとりのために活
動してきただろうか、一人ひと
りの困りごとが増えていく中で、
ひとりのために事業を展開して
いくことが重要になってくるの
ではないかと感じました。これ
までの活動に加え、今後は、一
人ひとりの困りごとに活動できる組織づくり・人づくりについて、町内会と地区社協が協働
して進めていくことが益々必要であると感じています。
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