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Customer Case Study
Oracle Customer Case Study 小松ウオール工業、メインフレームやオフコンで稼動していた基幹システムを オープン化することで、ビジネススピードの向上と業務の“見える化”を実現 小松ウオール工業株式会社 Ishikawa, Japan www.komatsuwall.co.jp/ インダストリー: Industrial Manufacturing 年間売上: 256 億円(平成 23 年 3 月期) 従業員数: 975 名(2011 年 3 月 31 日現在) オラクル製品とサービス: Oracle Database Enterprise Edition Oracle Partitioning Oracle WebCenter Portal Oracle Business Intelligence Suite Enterprise Edition Oracle Consulting Oracle University “弊社のシステムは長年使用してきたため、さまざまなアプリ ケーションが複雑に絡み合っていました。オラクルには、旧シス テムの棚卸作業や開発フレームワークに関する教育も支援してい ただいたので、それを実際の開発でもすぐに活かすことができま した。今回導入した製品も、期待どおりのパフォーマンスを発揮 しています” 小松ウオール工業株式会社 取締役執行役員 経理部長 兼 情報システム部長 鈴木 裕文氏 小松ウオール工業株式会社(以下、小松ウオール工業)は、一 般企業のオフィスや教育機関などで利用される各種間仕切を取り 扱う総合メーカーだ。製品の企画、設計はもとより、製造、販売、 配送から施工に至るまで一貫して手がけ、そのシェアは国内でも トップクラスを誇っている。 近年同社では、受注から施工完了までのリードタイムを短縮し ながら、いかにお客様に満足していただける製品を提供するかと いうことが課題になっていた。 こうした課題を解決するうえで、ビジネスを支えるシステムが オラクルパートナー: 果たす役割はきわめて重要だ。そこで同社では 2000 年ごろから、 富士通株式会社 社内のオフコンや汎用機上で稼動していた基幹系システムを段階 http://jp.fujitsu.com/ 的にオープン化し、再構築を進めてきた。 株式会社富士通北陸システムズ http://jp.fujitsu.com/group/fjh/ その最後のステップとして残されていたのが、オフコンとメイ ンフレームが連携して処理している生産受付・生産計画・出荷物 流管理の領域だ。ハードウェアの老朽化とサポートの期限切れを 機に、同社はこの領域で新しいシステム基盤を構築し、サーバー を集約・統合してオープン化することに着手した。 既存のシステム資産の棚卸にもオラクルが大きく貢献 小松ウオール工業では、営業拠点の生産オーダーシステムと連 携したオーダーエントリー・システムや、出荷物流管理、設計・ 生産業務など、さまざまなシステムをオフコンやメインフレーム 上で稼動させている。これらのシステムは長年にわたり、屋台骨 として同社のビジネスを支えてきた。しかし、2010 年 10 月のハ ードウェアのサポート期限切れを控え、同社は新しいシステム基 盤を完成させる必要に迫られていた。 これ以外にも同社では、システム上の課題があった。それは、 営業や製造の現場から寄せられるシステム改善要求に、迅速に応 Copyright © 2011, Oracle. All rights reserved. Oracle is a registered trademark of Oracle Corporation and/or its affiliates. Other names may be trademarks of their respective owners. Published November 2011 Oracle Customer Case Study 課題: えることが困難になっていたことだ。これについて、取締役執行 旧システムのハードウェアサポ ート期限切れまでに新システム 基盤を構築 役員 経理部長 兼 情報システム部長の鈴木 裕文氏は次のように語 複雑に絡み合ったアプリケーシ ョンの整理 「各業務部門の要望に個別に対応し続けてきた結果、複数のア 複雑な業務フローの「見える 化」による、受注から施工完了 までのリードタイムの短縮 現場からのシステム改善要求に 迅速に応えられる体制の構築 内部統制の観点からのセキュリ ティの強化、およびシステム全 体の可用性・信頼性の向上 る。 プリケーションがスパゲティ状に絡み合って巨大なブラックボッ クスと化し、必要な経営改善もおこなえなくなっていました。新 しいシステム基盤を構築するにあたっては、複雑化したシステム をシンプル化、見える化し、整理・統合する必要がありました」 そこで同社は 2006 年、オラクルのコンサルティング・サービ スを活用して、既存システムの棚卸と移行プランの策定に着手し た。小松ウオール工業とオラクルとの関係は、1998 年に当時オフ コンで稼動していた営業販売管理システムをオープン化、再構築 した時から続いていた。Oracle Database をはじめとするオラク 導入効果: ル製品に対し、同社は常に厚い信頼を寄せてきたという。情報シ アプリケーション開発が予想以 上に迅速に進み、サポート期限 切れ前にシステム基盤を完成さ せることができた ステム部 開発課長の徳井 宏一氏は次のように話す。 オラクルのコンサルティング・ サービスを活用したことで、旧 システムの棚卸、新システム基 盤の要件定義を短期化できた 合いです。パフォーマンス含めオラクル製品には厚い信頼を寄せ Oracle Database との連携によ って、設計部品表(EBOM)か ら、製造部品表(MBOM)を生 成する自社開発のアプリケーシ ョン(RTM)の安定稼動を実現 できた は欠かせないと判断し、事前準備から参加いただくことになった EBOM 出力後、わずか数分で工 程やリードタイム、必要な原材 料や予定製造原価などの製造プ ランを把握できるようになった ェアは富士通 SPARC Enterprise M8000 を中核に据え、6 つのパ メインサーバーを社外のデータ Partitioning を始めとして、Oracle WebCenter Portal、Oracle センターを活用することで、情 報セキュリティの向上、災害対 応の強化、運用管理の効率化を 図ることができた Business Intelligence Suite Enterprise Edition などのソフトウ 「営業情報販売管理システムの再構築(オフコンから Oracle/SUN FIRE への移行)に始まり、オラクルとは長い付き ていますし、オラクルもまた、当社のシステムについて深く理解 してくれています。新しいシステム基盤の構築にもオラクル製品 のです」 事前準備は順調に進み、オラクルのコンサルタントが策定した ガイドラインに基づき、単純な書き換えやリプレースではなく、 サーバーを統合しダウンサイジングを図ることにした。ハードウ ーティションに区画を分割して運用することで、保守・運用性を 高めた。また Oracle Database Enterprise Edition や Oracle ェア製品を導入することで、営業・販売情報管理、業務・購買、 営業情報、開発の各データベース、およびアプリケーション・サ ーバーも集約した。これらのシステム導入は富士通が担当した。 開発スピードの迅速化で想定以上のコスト削減も 新システム基盤構築にあたり小松ウオール工業は、すべてのア プリケーションを新たに開発する選択をした。それは、鈴木氏が 前述したように、スパゲティ状態に絡み合っていたアプリケーシ ョン群を可能な限り「シンプル化」かつ「見える化」し、さまざ まな経営管理上の要求に迅速に対応できるようにするためだ。新 しい環境に合わせるには、COBOL で構築された旧システムのア Copyright © 2011, Oracle. All rights reserved. Oracle is a registered trademark of Oracle Corporation and/or its affiliates. Other names may be trademarks of their respective owners. Published November 2011 Oracle Customer Case Study プリケーション資産を継続して使うのではなく、Java での開発が 必要となる。そのため同社は、ここでもオラクルのコンサルティ ング・サービスを活用し、オラクルの Java 開発フレームワーク である Oracle Application Development Framework などを習得 するための研修を実施した。 この研修が、移行プロジェクトの進行に大きく貢献したと鈴木 氏は振り返る。「2008 年、本開発を開始する直前にこの研修を実 施しました。それと同時に、研究開発を進めていた EBOM から MBOM を生成するアプリケーション(社内略称 RTM:Record 小松ウオール工業株式会社 取締役執行役員 経理部長 兼 情報システム部長 鈴木 裕文氏 Tree Maker)の実用化に成功したこともあり、それ以降の開発を 予定より早く進めることができました。当初の計画では、オフコ ン資産の新システム基盤への移行を 2011 年下期で完了する予定 だったのですが、それを前倒しし、メインフレームの移行と並行 しておこなう計画に変更しました。協力いただいた富士通北陸シ ステムズのスタッフの、オラクル・テクノロジーに関する技術レ ベルの高さには驚きました。また当社の技術スタッフにとって、 オラクルの研修内容や開発フレームワークの内容がとても充実し ていたと思います」 この計画変更は、大幅なコスト削減にもつながった。当初の予 定では、オフコン資産をいったん別のハードウェアに移し、メイ ンフレーム資産の移行後に、新システム基盤に移す予定だった。 一時的な移行先であるハードウェアを最終的にムダにしたとして も、プロジェクトの混乱を避けることを優先する計画だったのだ。 小松ウオール工業株式会社 情報システム部 開発課長 徳井 宏一氏 このような二段構えの移行でなくなったことにより、一時的に利 用する旧システムとの連携アプリケーションの開発は不要になり、 開発スピードが向上。約 12 カ月という、開発・移行期間の大幅な 短縮と、開発費の 20%削減が実現した。 ビジネスの核となる独自システムを、オラクル製品が支える プロジェクトを前倒しで、かつ二次開発分も含めて進めること ができた大きな要因の 1 つとして、自社開発していた RTM の実 用化の成功が挙げられる。このシステムはもともと、EBOM を生 成するための部材展開情報の処理を、独自作成した辞書とユーザ ーが追加修正可能なスクリプトの組合せでおこなうものだ。小松 ウオール工業にとってこのシステムは、ビジネススピードの向上 を実現するものだ。 RTM の完成により、マスター登録されている部品構成や各手順 の情報を辞書化し、Tree 形式で表示することができる。ユーザー はより詳細な部材情報や手順を一覧して把握したり、直接編集、 登録することが可能になった。 Copyright © 2011, Oracle. All rights reserved. Oracle is a registered trademark of Oracle Corporation and/or its affiliates. Other names may be trademarks of their respective owners. Published November 2011 Oracle Customer Case Study さらに、上流工程から EBOM 情報を受け取ると、設計部品表 の項目に対応する製造辞書が呼び出され、ユーザーが記述したス クリプトに応じて、部材製品に必要な部品数や加工時間が計算さ れ、部品構成や加工手順への展開や、対象テーブルへの書き込み も自動的にバックエンドで実行される。マスターデータを整備し、 数万点あったマスターを 3000 件程度の辞書に集約できたことが、 大きな成功要因の1つだったという。この辞書化はアプリケーシ ョン開発と並行して、ユーザーの直接的な参加を得ておこなわれ、 現在も、ユーザー自身の手によって辞書の整備が継続的におこな われている。 このシステムは Oracle Database 上で稼働しており、富士通 SPARC Enterprise M8000 とオラクル製品の性能の高さが、処理 スピードや安定稼動に大きく貢献しているという。新システム基 盤ではリアルタイムにデータ更新が可能になったため、受注デー タ取得後、わずか数分で製造工程プランや予定製造原価(標準原 価)を作成できるようになった。 「この時間短縮は当社とって、きわめて大きなビジネスメリッ トです。RTM は独自に開発したものですが、バッチ処理が不要に なり、膨大な部品データの処理の迅速化や、従来見えにくかった 製造方法などの情報の『見える可』が実現するなど、オラクル製 品が大きく貢献しています」(鈴木氏) BI の本格活用を目指し、開発のしやすさも高評価 新システム基盤を完成がハードウェアのサポート期限切れ前に 完了し、2010 年下期から本格稼動を開始した。今後も同社では、 システム基盤のさらなる進化を目指しているという。 「オラクル製品を導入したことで、これまでできなかった細や かなアクセス管理が可能になりました。ガバナンスの強化は今後 も課題です。ポリシーが変化することも考えられますので、より 一層の強化を図っていきたいと思っています。Oracle Business Intelligence Suite Enterprise Edition の活用も推進していきます。 各部門のマネジャークラスが受注、製造、配送などの情報を横串 で確認し、スピーディに業務分析をおこなうことによってビジネ スに活用できるよう、環境を整備していきたいと考えています」 (徳井氏)) こうした業務分析や製造現場でのシステム活用をより円滑かつ 迅速におこなえるユーザーインターフェイスの統合を開発するう えで、Oracle WebCenter Portal の豊富な機能と高い性能に期待 が寄せられている。 Copyright © 2011, Oracle. All rights reserved. Oracle is a registered trademark of Oracle Corporation and/or its affiliates. Other names may be trademarks of their respective owners. Published November 2011 Oracle Customer Case Study 「Oracle WebCenter Portal」は、プログラミングを意識する ことなく簡単にシステム画面を作成できる、高い操作性を備えて います。あらゆる現場でシステム活用を推進するためには、操作 性の良いインタフェースを備えていなければなりません。今後も 現場の意見を最大限取り入れながら、より一層ビジネスの成長に 貢献できるシステム基盤にしていきたいですね」(鈴木氏) オラクルの多彩で強力なソリューションは、今後も小松ウオー ル工業のシステム基盤の進化を強く支援していく。 Copyright © 2011, Oracle. All rights reserved. Oracle is a registered trademark of Oracle Corporation and/or its affiliates. Other names may be trademarks of their respective owners. Published November 2011