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胎生中期に認める血液細胞塊における転写因子

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胎生中期に認める血液細胞塊における転写因子
難治疾患共同研究拠点共同研究終了報告書
平成 28 年 5 月 30 日
東京医科歯科大学難治疾患研究所長 殿
申請者(代表者)
所属機関 東京医科歯科大学 実験動物センター
職
名 教 授
氏
名 金井 正美
下 記 に よ り 、 共 同 研 究 の 終 了 報 告 を 致 し ま す。
記
研
究
題
目
(和)胎生中期に認める血液細胞塊における転写因子 Sox17 発現細胞の解析
(英)Analysis of the transcription factor Sox17-expressing cells in hematopoietic cell clusters at midgestation
研 究 領 域 番 号
(研究領域から選択)
研
究
領
域
研
究
対
象
研
究
期
間
研 究 対 象 番 号
1
G
(研究対象から選択)
1.難治疾患の病因・病態解明に関する基礎・応用研究
2.難治疾患の診断・治療・予防法の開発に関する基礎・応用研究
3.難治疾患研究に有用な解析技術・モデル生物の開発に関する基礎・応用研究
A. 悪性腫瘍の共同研究 B. 脳・神経系難治疾患の共同研究
C. 心・血管系難治疾患の共同研究 D. 運動器系難治疾患の共同研究
E. 免疫・感染系難治疾患の共同研究 F. 代謝系難治疾患の共同研究
G. その他の難治疾患の共同研究
平 成
2 7 年
9 月
1 日 ~ 平 成
2 8 年
3 月
3 1 日
研究組織 ※難治疾患研究所の研究者も記入
氏
名
所属機関・部局等
職
名
役割分担
金井 正美
東京医科歯科大学 実験動物センター
教授
Sox17-mCherry
マウス胎仔の作出
信久 幾夫
東京医科歯科大学 難治疾患研究所
幹細胞制御分野
准教授
免疫組織学的解析と
フローサイトメトリー
田賀 哲也
東京医科歯科大学 難治疾患研究所
幹細胞制御分野
教授
マウス胎仔の回収
研究成果
マウスの発生において、放射線照射を施したマウスに対する移植時に長期造血再建能を示す造血幹細
胞は、大動脈-生殖原基-中腎(AGM)領域に最初に認める。以前の申請者と今回の申請における共同研究
対応教員である信久幾夫准教授および田賀哲也教授との共同研究から、 AGM 領域の大動脈において血
管内皮細胞および造血幹細胞を含む血液細胞塊、とりわけ血管内皮細胞に接する領域に Sox17mRNA の
発現を認めることを明らかにした。そこで、大動脈の血管内皮細胞および造血幹細胞を含む血液細胞塊か
らフローサイトメトリーを用いて未分化血液細胞を単離した後、転写因子 Sox17 をレトロウイルスを用いて高
発現させると未分化性が維持される一方で、Sox17 の発現を低下させると血液細胞分化が進行することを
示した。さらに、Sox17 強制発現細胞を致死量放射線照射したマウスに移植すると長期造血再建能を認め
たことより、Sox17 の発現が in vivo における幹細胞の維持に機能することを明らかにした(Nobuhisa et al.,
Mol. Cell Biol., 2014)。上記の背景により現在までに行ってきた共同研究の結果に基づいて、本研究では
Sox17-mCherry 蛋白質を発現するように挿入したマウスの胎仔を用いて、胎生中期に造血幹細胞を認め
る大動脈に隣接する血液細胞塊における Sox17 蛋白質の発現細胞について解析を行うことにより、胎生期
の造血幹細胞における Sox17 の機能について明らかとすることを目的とした。
実験動物センターにある Sox17-mCherry 融合蛋白質を発現するマウスの受精卵を、メスマウスの子宮に
戻し、Sox17 の発現解析のために胎生 10.5 日目以降の胎仔を順次回収し、エタノールにより脱水操作を行
い、凍結保存した。遺伝子型を PCR で確認した後、Sox17-mCherry 融合蛋白質をホモに発現する胎仔につ
いて、胎仔全体に対してmCherry 抗体、血液細胞塊のマーカーである c-Kit 抗体、および大動脈の血管内
皮細胞のマーカーである CD31 抗体を用いて染色を行った。その結果、胎仔の大動脈に存在する血液細胞
塊のとりわけ血管内皮細胞に近い細胞で mCherry の染色つまりは Sox17 の発現が観察された。このこと
は、 以前の共同研究により明らかとしていた Sox17RNA の発現と一致しており、Sox17 がより未分化な血
液細胞に対して発現が高いことを示した。
また、成果発表という点では、国際学会で共著の発表を一件行った。
利用した難治疾患研究リソース
(○で囲む)
①)疾患バイオリソース
2)疾患モデル動物
3)疾患オミックス
染色した胎仔を観察するために共通機器の共焦点レーザー顕微鏡
(96 時間)
使用した設備・資料・試料等
本研究成果に関連する論文発表状況
(本共同研究拠点経費による研究であることが謝辞に明示されている論文には*印を付けて下さい)
以下の国際学会に共著で発表を行った。
Nobuhisa I, Osawa M, Uemura M, Harada K, Anani M, Saito K, Takagi H, Takahashi S, Kanai-Azuma M, Kanai
Y, Iwama A, and Taga T. Sox17 is critical for the maintenance of stem cell phenotype of intra-aortic hematopoietic
clusters of cells in the aorta-gonad-mesonephros region. International Society for Experimental Hematology 44th
Annual Scientific Meeting 2015.09.17 The Kyoto International Conference, Kyoto, Japan
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