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3連休などの休日が対個人サービス関連業種の活動に

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3連休などの休日が対個人サービス関連業種の活動に
【3連休などの休日が対個人サービス関連業種の活動に与える影響についての一考察】
12年施行のいわゆるハッピー・マンデー制度により、成人の日が1月の第2月曜日に
なって以来、体育の日、海の日及び敬老の日も月曜日とすることとなり、3連休が増えて
いる状況にある。
従来から特に5月の大型連休期間中には国内外への旅行者が多い状況がみられるな
ど、連続した休暇は、対個人サービス関連業種に影響を与えているのではないかと考え
られる。
そこで、3連休以上の休日が、対個人サービス関連の業種の活動に影響を与えている
かについて分析を行う。
(1) 3日以上連続した休暇の過ごし方
「自由時間と観光に関する世論調査(15年8月)」から現在の自由時間の過ごし方に
ついて、平日、週末などの休日、3日以上の連続した休暇別に回答者の割合をみると、
「飲食・ショッピング」は、平日 14.5%、週末などの休日 30.4%、3日以上の連続した休
暇 20.5%、「1泊2日の宿泊旅行」は、平日 2.8%、週末などの休日 4.7%、3日以上の
連続した休暇 19.7%などとなっている。
この結果から、週末などの休日では、小売業、飲食店などの活動の増加が期待できる
が、国民の祝日が月曜になるなどにより休日が連続して3連休となると、宿泊業などの活
動の増加につながることが推測される(第Ⅰ-2-6表)。
(2) 3連休以上の休日の回数
土曜日及び日曜日が休日で、それに国民の祝日が連続することなどにより、休日が3
日以上連続する場合を3連休以上の休日として、その1年ごとの回数を10年以降でみ
てみる。12年から成人の日、体育の日が、15年から海の日、敬老の日が月曜日を国民
の祝日とすることになったため、近年3連休以上の休日となる回数が増加しているが、3
連休とならない場合も多く、各年の回数の変動は大きい(第Ⅰ-2-7表)。
- 49 -
第Ⅰ-2-6表 現在の自由時間の過ごし方
何もしないでのんびりする
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などの見聞き
家族とのだんらん
友人などとの交際
軽い運動やスポーツ活動(散歩、ジョギング、
水泳、テニス、スキーなど)
趣味・娯楽(家庭菜園、釣り、マージャン、
パチンコなど)
パソコン、インターネット、テレビゲームなど
鑑賞・見物(絵画、陶器、祭、神社、仏閣など)
学習活動(外国語教室、陶芸教室など)
地域や社会のための活動(祭り、
各種ボランティア活動への参加など)
飲食・ショッピング
ドライブ
日帰りの行楽(ハイキング、温泉など)
遊園地・テーマパークなどで遊ぶ
1泊2日の宿泊旅行
2泊3日以上の宿泊旅行
家事・帰省のための旅行
その他
自由時間・休みはない
平 日 の 自 由 週末などの休 3日以上の連続
日(%)
した休暇(%)
時間(%)
29.5
26.4
22.9
65.5
49.0
36.5
29.6
35.1
26.6
21.9
21.4
17.2
16.7
18.8
13.1
23.7
27.2
20.4
10.8
3.8
3.9
8.7
5.4
3.0
5.8
4.6
2.1
5.4
6.0
4.0
14.5
4.4
5.7
0.7
2.8
1.7
2.0
2.0
6.1
30.4
13.8
16.0
3.3
4.7
1.6
2.7
3.2
4.6
20.5
13.1
20.2
6.7
19.7
11.1
10.2
4.3
9.9
(注)1.全国 20 歳以上の 3,000 人を調査対象として、2,111 人から回答を得た結果。
2.値は、該当選択肢を回答した者の 2,111 人に対する割合(複数回答)。
資料:「自由時間と観光に関する世論調査(15年8月)」(内閣府)
第Ⅰ-2-7表 週休2日制による休日が国民の祝日が連続することにより
3連休以上となる回数
3連休以上回数
それ以外の国民の祝日
10
3
9
11
4
8
12
7
5
13
9
3
14
9
3
15
8
4
16
5
7
17
10
2
18年
6
6
(注)1.土曜日及び日曜日が休みで、国民の祝日に関する法律に祝日または休日と定められた場合。
2.5月は土曜日、日曜日が国民の祝日に連続しなくとも3連休となるが、回数に含めている。元旦
は、年末年始の休みがあるので除外している。
(3) 対個人サービス関連業種の第3次産業活動指数の推移と3連休以上の休日
休日により活動の増加が期待される主要な業種(小売業、飲食店、宿泊業、対個人
サービス業)について、第3次産業活動指数(原指数)を時系列に月ごとにみると、各業
種とも季節変動を含む月次変化幅が大きい。
そこで、活動指数の前年同月比と3連休以上となる休日の日数(3連休ならば3日)前
年同月との日数の差の推移を比較してみると、「小売業」及び「飲食店」については、年
では3連休以上の休日回数が前年に比べて増加した17年は活動が比較的高いものの、
月ごとでみると両者の関連ははっきりしない(第Ⅰ-2-6図)。
- 50 -
第Ⅰ-2-6図 第3次産業活動指数(12年=100)、前年同月比
及び3連休以上の休日前年同月差
①<小売業>
(%、日)
16
140
120
100
80
60
40
20
0
12
8
4
0
▲4
▲8
1
4
7 10 1
4
7 10 1
4
7 10 1
11
10
活動指数
4
12
7 10 1
4
13
7 10 1
4
14
活動指数前年同月比(右目盛り)
7 10 1
4
15
7 10 1
4
16
7 10 1
17
4
18年
3連休以上休日前年同月差(右目盛り)
②<飲食店>
(%、日)
16
160
140
120
100
80
60
40
20
0
12
8
4
0
▲4
▲8
1
4
7 10 1
4
7 10 1
4
7 10 1
11
10
活動指数
4
12
7 10 1
4
13
7 10 1
4
14
7 10 1
4
15
活動指数前年同月比(右目盛り)
7 10 1
4
16
7 10 1
4
18年
17
3連休以上休日前年同月差(右目盛り)
③宿泊業
(%、日)
15
140
120
100
80
60
40
20
0
10
5
0
▲5
▲ 10
1
4
7 10 1
4
7 10 1
11
10
活動指数
4
7 10 1
4
7 10 1
12
4
7 10 1
13
4
7 10 1
14
活動指数前年同月比(右目盛り)
4
7 10 1
15
4
7 10 1
16
17
4
18年
3連休以上休日前年同月差(右目盛り)
④<対個人サービス業>
(%、日)
15
140
120
100
80
60
40
20
0
10
5
0
▲5
▲ 10
1
4
7 10 1
10
活動指数
4
7 10 1
11
4
7 10 1
12
4
7 10 1
13
4
7 10 1
14
活動指数前年同月比(右目盛り)
4
7 10 1
15
4
7 10 1
16
4
7 10 1
17
4
18年
3連休以上休日前年同月差(右目盛り)
(注) 3連休以上の休日日数は、国民の祝日に関する法律に祝日または休日と定められた日並びに
土曜日及び日曜日が休みであるとして3日以上連続となる休日の1か月の日数。ただし、元旦は
除いている。
- 51 -
さらに、各活動指数の前年同月比と3連休以上の休日(以下「3連休以上」という)及
び3連休以上とならない休日(以下「それ以外の休日」という)の前年同月差を散布図と
してその関係をみると、「小売業」は、はっきりした関係は読み取れない。これは、休日に
ショッピングが増えても1か月を通すと活動が変わらなくなってしまうことによる、もしくは3
連休以上とそれ以外の休日の活動に違いがないとも考えられる(3連休以上とそれ以外
の休日の関係として、3連休以上が増えた月はそれ以外の休日が減少し、1か月全体で
は両者を合わせた休日日数はほぼ一定注)となる。そのため、3連休以上とそれ以外の休
日の1日当たりの活動に違いがないと仮定すると、活動指数は増減しないことによる)。
「宿泊業」は、3連休以上が増加すると活動指数が上昇し、それ以外の休日が増加す
ると活動指数が低下する傾向がみられる。3連休以上とそれ以外の休日の増減が逆に
なるのは、3連休以上での「宿泊業」の1日当たりの活動がそれ以外の休日に比べて大
きい(それ以外の休日が増加した月は3連休以上が減少するため活動指数が低下す
る)ためと推測される。
「飲食店」及び「対個人サービス業」は、休日が増加すると活動指数も上昇する傾向が
見受けられる(第Ⅰ-2-7図)。
注) 金曜日、日曜日(月曜日が振り替え休日)または月曜日が国民の祝日の場合は、土曜日と日曜日
に連続して3連休となるので、3連休の休日が3日生じ、土曜日と日曜日が3連休に含まれるため3連
休とならない休日が2日減少する。国民の祝日が火曜日から木曜日の場合は、国民の祝日で3連休
にならない休日が1日増加する。国民の祝日が土曜日の場合は、休日が増えないこととなる。
また、5月は3~5日が休日なので、常に3連休以上となるが、5月3日が土曜日となると2日休日が
減少することとなるなど、3連休以上の日数は3~5日、それによる休日の増減が0~2日となる。
なお、以上と閏年を除いて毎年曜日がずれることにより、各月の休日日数は多少の変化があり、10
年以降の3連休以上とそれ以外の休日を合わせた休日の前年同月差は最大3日となる。
- 52 -
第Ⅰ-2-7図 第3次産業活動指数(原指数)前年同月比
と3連休以上及びそれ以外の休日前年同月差の関係
①<小売業>
②<飲食店>
9
3連休以上の休日
それ以外の休日
(%)
9
6
6
3
3
0
0
▲6
▲4
▲2
0
2
4
▲6
6
▲4
(日)
▲3
▲2
0
▲6
▲9
▲9
4
6
(日)
④<対個人サービス業>
9
3連休以上の休日
それ以外の休日
(%)
9
6
6
3
3
▲2
0
▲3
3連休以上の休日
それ以外の休日
(%)
0
0
▲4
2
▲3
▲6
③宿泊業
▲6
3連休以上の休日
それ以外の休日
(%)
2
4
▲6
6
(日)
▲4
▲2
0
▲3
▲6
▲6
▲9
▲9
2
4
6
(日)
(注)1.横軸は、3連休以上(国民の祝日に関する法律に祝日または休日と定められた日並びに土
曜日及び日曜日が休みであるとして3日以上連続となる休日)の日数の前年同月差と、それ以
外の休日(3連休以上とならない土曜日、日曜日、国民の祝日)の日数の前年同月差。
縦軸は、第3次産業活動指数の前年同月比。
2.年末年始休暇のある12月と1月を除いた11年2月から18年5月の 74 か月分。
- 53 -
(4) 週休2日制の状況
ここまでは、土曜日及び日曜日の休日に国民の祝日などが連続することによって3日
以上連続した休日となるとの前提により分析を進めていたが、これが妥当であるかにつ
いて改めてみる。
そこで、土曜日、日曜日が休日とは限らないが、完全週休2日制の適用されている常
用労働者の割合をみると、元年は 40%弱、その後9年に 60%を超えたものの、それ以
降は概ね横ばい傾向で推移している。
次に、毎週2日休みがあるとは限らない何らかの週休2日制が適用されている常用労
働者の割合をみると、8年(96.5%)をピークにそれ以降減少傾向であったが、17年
(91.2%)は増加となっており、総じてここ 10 年間では大きな変化はみられない(第Ⅰ-
2-8図)。
第Ⅰ-2-8図 週休2日制適用の常用労働者(パートタイム労働者除く)数の割合
(%)
100
96.5
91.2
80
60
60.9
60.4
40
20
元
2
3
4
5
6
7
8
9
何らかの週休2日制適用
10
11
13
14
15
16 17年
うち完全週休2日制適用
(注)1.対象の企業は、農林水産業を除く本社の常用雇用者数が 30 人以上の民営企業。
2.対象の労働者は、期間を定めずに雇われている常用労働者のうち、パートタイム労働者を除
いた者。
3.「何らかの週休2日制」とは、毎週週休日が2日ある「完全週休2日制」及び月3回、隔週、月2
回、月1回の週休2日制など、実質的に「完全週休2日制」より休日日数が少ない「その他の週
休2日制」。
資料:11年まで「賃金労働時間制度等総合調査」(厚生労働省)、
13年より「就労条件総合調査」(厚生労働省)
さらに、有業者における平日と土曜日、日曜日の仕事に従事する平均時間を比較す
ると、13年では土曜日は平日の約6割、日曜日は同3割強となっている(第Ⅰ-2-9
図)。
理美容業のように土曜日、日曜日に営業し、平日を休日とする業種もあるため、土曜
日、日曜日の仕事の平均時間は、平日と比べてそれほど短くはないが、週休2日制が
適用されている常用労働者の割合と併せてみれば、土曜日及び日曜日を休日とする割
合が多く、土曜日、日曜日に国民の祝日などが連続した場合、これを3連休として扱うこ
とに問題はないものと考える。
- 54 -
第Ⅰ-2-9図 有業者の曜日別仕事の平均時間
8
(時間)
7
6
5
平日
土曜日
日曜日
4
3
2
1
0
3
8
13年
資料:「社会生活基本調査」(総務省)
(5) 3連休が対個人サービス関連業種の活動に与える影響
①前年同月比による回帰推定
主要な業種について、散布図により3連休以上と第3次産業活動指数との関係に
ついてみたが、「小売業」、「飲食店」及び「対個人サービス業」については明確な関
係はみられなかった。そこで、対象とする業種を対個人サービス関連業種であって、
休日によって活動の変化を期待できる業種を中心に、各業種の活動指数に与える3
連休以上の影響をみるため、以下のとおりの2種類の方法で回帰推定を行った。
方法1:業種別活動指数の前年同月比を被説明変数とし、3連休以上の前年同月と
の日数の差を説明変数として回帰推定を試みた注)。
方法2:3連休以上とそれ以外の休日に活動の差が少ない場合を想定し、説明変数
に3連休以上の前年同月との日数の差とそれ以外の休日の前年同月との日数の差を
加えて回帰推定を試みた。
その結果、有意な業種についてみると、方法1では、「水運旅客運送業」、「国内航
空旅客輸送業」、「宿泊業」などは、3連休以上が増加すると各活動指数が上昇する。
方法2では、「一般飲食店」、「冠婚葬祭業」などが、3連休以上及びそれ以外の休
日が増加すると各活動指数が上昇する業種であることがわかった。それに加えて、方
法1では有意でなかった「国際航空旅客運送業」が、3連休以上が増加すると活動指
数が増加する業種となった。
一方、「道路旅客運送業」では、方法2において、3連休以上及びそれ以外の休日
があると活動が減少する傾向を示している。これは、平日の通勤・通学客の減少によ
るものと考えられる。
注)対象とする期間は、年末年始休暇のある12月と1月を除いた11年2月から18年5月の 74 か月分。
- 55 -
また、「娯楽業」とそのうち「スポーツ施設提供業」は、3連休以上よりもそれ以外の
休日の方が休日1日当たりの活動の増加が大きくなっており、3連休が生じない方が
活動の増加する傾向にあることがわかる。
なお、3次産業全体(総合)では、3連休以上及びそれ以外の休日があると活動が
減少する傾向があるが、これは休日に営業を行わない業種を含んでいるため、全体と
しては、休日の多い月は活動が減少する傾向にあると考えられる(第Ⅰ-2-8表)。
第Ⅰ-2-8表 前年同月比による回帰分析
<旅客運送業>
鉄道旅客運送業
道路旅客運送業
水運旅客運送業
航空旅客運送業
国際航空旅客運送業
国内航空旅客運送業
<小売業>
<飲食店>
一般飲食店
遊興飲食店
宿泊業
学習支援業
<対個人サービス業>
うちその他の生活関連
サービス業
旅行業
冠婚葬祭業
写真業
うち娯楽業
うち映画館
うちスポーツ施設提供業
うち公園,遊園地
うち遊戯場
(参考)第3次産業総合
方法1
3連休以上
前年同月差
活動指数
t値
増加率
(%)
0.0
0.035
▲ 0.1 ▲ 0.789
▲ 0.3 ▲ 1.894
1.3
2.963
0.9
1.972
1.6
1.146
0.6
2.957
0.0
0.381
0.3
2.418
0.6
4.271
▲ 0.3 ▲ 0.948
0.5
3.314
▲ 0.5 ▲ 1.189
▲ 0.2 ▲ 1.123
▲
▲
▲
▲
▲
決定
係数
(R2)
0.000
0.009
0.047
0.109
0.051
0.018
0.108
0.002
0.075
0.202
0.012
0.132
0.019
0.017
方法2
3連休以上
それ以外の休日
前年同月差
前年同月差
活動指数
t値
活動指数
t値
増加率
増加率
(%)
(%)
▲ 0.1 ▲ 0.423
▲ 0.1 ▲ 0.521
▲ 0.1 ▲ 0.810
▲ 0.1 ▲ 0.465
▲ 0.7 ▲ 2.632
▲ 0.5 ▲ 1.899
1.5
1.905
0.3
0.407
1.8
2.056
1.1
1.189
4.7
1.761
3.8
1.356
0.9
2.116
0.3
0.657
0.2
1.076
0.2
1.031
0.9
3.412
0.7
2.461
1.5
5.779
1.1
3.896
▲ 0.5 ▲ 0.967
▲ 0.3 ▲ 0.551
0.7
2.343
0.2
0.702
▲ 0.8 ▲ 1.082
▲ 0.4 ▲ 0.537
0.9
2.357
1.4
3.533
決定
係数
(補正
R2)
▲ 0.024
▲ 0.016
0.068
0.086
0.044
0.016
0.089
▲ 0.011
0.124
0.324
▲ 0.011
0.114
▲ 0.004
0.141
0.6
2.583
0.085
1.7
4.404
1.4
3.461
0.195
0.8
0.7
0.1
0.2
1.1
0.1
0.2
0.3
0.1
1.258
3.330
0.193
▲ 0.747
▲ 0.818
▲ 0.476
0.261
▲ 0.930
▲ 1.171
0.021
0.133
0.001
0.008
0.009
0.003
0.001
0.012
0.019
1.1
2.1
1.6
1.5
1.6
0.8
2.7
0.3
▲ 0.4
0.954
6.002
1.385
3.876
0.626
1.843
1.645
0.488
▲ 3.200
0.4
1.7
1.8
2.0
3.4
1.2
3.1
0.6
▲ 0.4
0.345
4.711
1.511
5.110
1.250
2.480
1.773
1.156
▲ 3.002
▲ 0.004
0.321
0.004
0.254
0.003
0.057
0.016
0.003
0.105
(注)1.対象の期間は11年2月より18年5月。年末年始休暇のある12月と1月を除いている。
2.3連休以上前年同月差は、3連休以上となる土曜日、日曜日、国民の祝日などの日数の前年同月と
の差。
3.それ以外の休日前年同月差は、3連休以上とならない土曜日、日曜日、国民の祝日の日数の前年
同月との差。
4.活動指数増加率は、回帰推定で得られた係数による値(係数×100)で、各業種の第3次産業活動
指数の休日1日当たりの増加率を示す。1日当たりとしているので、3連休ならばこの3倍増加すること
となる。
5.有意水準 10%(両側)で有意な場合(方法1|t|>1.666、方法2|t|>1.667)の数値に網掛けして
いる。
- 56 -
②前月比(季節調整済指数注))による分析
次に、前月比による回帰推定を行うこととする。それは、前年同月比では1年間の
変動の中から、1か月の休日の増減による変動のみを抽出しようとしているので、仮に
それ以外の変動要因が大きいことを考慮した場合、季節調整済指数の前月比とすれ
ば、1か月の変動の中からの抽出となるので、純粋に休日の増減の変動を抽出できる
のではないかと考えられるためである。前月比による回帰推定においても、以下の2
種類の方法で行った。
方法3:各活動指数の前月比を被説明変数に、説明変数は3連休以上の前月との
日数の差として回帰推定を試みた。
方法4:説明変数に3連休以上の前月との日数の差とそれ以外の休日の前月との日
数の差を加えて回帰推定を試みた。
方法3の結果は、方法1と同様の傾向を示しているが、「映画館」、「遊技場」などは
前月に比べ3連休以上が増加すると各活動指数が低下することがわかった。
方法4の結果も、方法2とほぼ同様の傾向となっているが、「小売業」などが、3連休
以上、それ以外の休日において有意となった。「小売業」は、休日による活動の増加
はあるが、3連休以上とそれ以外の休日で休日1日当たりの活動の増加する量は変
わらないという結果が得られた。
また、「公園、遊園地」を除く「娯楽業」に含まれる「映画館」などの業種では、3連休
以上の休日が生じると活動が減少する傾向がはっきりと出ているが、これらの業種は、
休日が連続しないと行うことの難しい国内外の宿泊旅行に関係する業種と競合関係
にあるためと推測される。
なお、「旅行業」は有意な結果がでていないが、「宿泊業」と異なって、旅行代理店
業など旅行そのものと同時に活動する必要がないため、3連休以上のある月に活動
の増加として現れていないものと考えられる(第Ⅰ-2-9表)。
注)
X-12-ARIMA による季節調整済指数では、祝祭日・休日調整が入っているので、X-12ARIMA の X-11 デフォルトにより独自に季節調整済指数を算出している。さらに、毎年3連休があ
る月は季節調整に反映され、3連休による影響が相殺されるので、5月や毎年月曜日が国民の祝
日となって3連休となる年以降の月とその翌月を除いて回帰推定を行っている。そのため、10年3
月~18年4月を対象の期間として回帰推定を行ったが、15年以降は3月と4月のみが対象となる
など、前年同月比に比べて回帰推定の対象となる月が 74 から 37 へ減少している。
- 57 -
第Ⅰ-2-9表 前月比(季節調整済指数)による回帰分析
<旅客運送業>
鉄道旅客運送業
道路旅客運送業
水運旅客運送業
航空旅客運送業
国際航空旅客運送業
国内航空旅客運送業
<小売業>
<飲食店>
一般飲食店
遊興飲食店
宿泊業
学習支援業
<対個人サービス業>
うちその他の生活関連
サービス業
旅行業
冠婚葬祭業
写真業
うち娯楽業
うち映画館
うちスポーツ施設提供業
うち公園,遊園地
うち遊戯場
(参考)第3次産業総合
方法3
3連休以上
前月差
活動指数
t値
増加率
(%)
0.0
0.280
0.0
0.235
▲ 0.1 ▲ 0.826
0.7
2.307
0.5
2.130
0.1
0.106
0.7
3.014
0.1
0.592
0.1
0.576
0.2
1.446
▲ 0.2 ▲ 0.860
0.5
3.261
0.5
1.174
▲ 0.4 ▲ 1.780
▲
▲
▲
▲
▲
決定
係数
(R2)
0.002
0.002
0.019
0.132
0.115
0.000
0.206
0.010
0.097
0.056
0.021
0.233
0.038
0.083
方法4
3連休以上
それ以外の休日
前月差
前月差
活動指数
t値
活動指数
t値
増加率
増加率
(%)
(%)
▲ 0.0 ▲ 0.131
▲ 0.0 ▲ 0.373
0.1
0.555
0.1
0.520
▲ 0.4 ▲ 1.661
▲ 0.3 ▲ 1.447
0.9
1.745
0.2
0.463
0.9
2.211
0.5
1.154
0.4
0.520
0.5
0.572
0.8
2.045
0.1
0.314
0.4
2.976
0.4
3.227
0.5
2.159
0.5
2.247
0.8
3.245
0.7
2.867
▲ 0.1 ▲ 0.458
0.0
0.067
0.5
2.295
0.1
0.440
▲ 0.1 ▲ 0.085
▲ 0.8 ▲ 0.994
0.4
1.242
1.0
3.054
決定
係数
(補正
R2)
▲ 0.052
▲ 0.049
0.022
0.087
0.098
▲ 0.048
0.162
0.197
0.087
0.195
▲ 0.037
0.193
0.010
0.238
0.2
0.693
0.014
0.7
2.039
0.7
2.010
0.066
0.2
0.3
0.0
0.1
2.3
0.1
1.7
0.2
0.0
0.493
1.045
0.041
▲ 0.321
▲ 2.168
▲ 0.445
2.481
▲ 2.574
▲ 0.782
0.007
0.030
0.000
0.003
0.118
0.006
0.150
0.159
0.017
▲ 0.1
1.4
0.8
0.9
0.8
0.8
4.3
▲ 0.1
▲ 0.1
▲ 0.158
3.740
0.790
3.197
0.479
2.529
4.166
▲ 0.590
▲ 1.397
▲ 0.3
1.4
0.9
1.2
3.8
1.1
3.2
0.1
▲ 0.1
▲ 0.567
3.762
0.960
4.306
2.342
3.559
3.125
1.220
▲ 1.157
▲ 0.042
0.275
▲ 0.031
0.317
0.196
0.233
0.301
0.147
▲ 0.001
(注)1.季節調整済指数は、X-12-ARIMA の X-11 デフォルトにより独自に算出している。
2.対象の期間は10年3月より18年4月。3連休の常にある月(5月、12年以降1月と10月、15年以降7
月と9月)とその翌月は、季節調整により3連休の影響が減じるので、回帰推定の対象から除いている。
また、年末年始休暇のある12月、1月とその翌月も除いている。
3.3連休以上前月差は、3連休以上となる土曜日、日曜日、国民の祝日などの日数の前年同月との差。
4.それ以外の休日前月差は、3連休以上とならない土曜日、日曜日、国民の祝日の日数の前年同月
との差。
5.活動指数増加率は、回帰推定で得られた係数による値(係数×100)で、各業種の第3次産業活動
指数の休日1日当たりの増加率を示す。1日当たりとしているので、3連休ならばこの3倍増加すること
となる。
6.有意水準 10%(両側)で有意な場合(方法3|t|>1.694、方法4|t|>1.696)の数値に網掛けして
いる。
- 58 -
(6) 現金給与支給総額を説明変数への追加した場合
さらに、前述の結果を踏まえると、説明変数の不足も考えられることから、説明変数に
現金給与支給総額を加え、3連休以上、それ以外の休日の影響をより鮮明にならないも
のかと回帰分析を試みた。ここでは、以下の方法5(前年同月比)、方法6(前月比)の2
種類の方法を試みた。
その結果、方法5(前年同月比)で「第3次産業総合」が、方法6(前月比)で「小売業」
と「第3次産業総合」がすべての説明変数で有意になったものの、3連休以上やそれ以
外の休日については、これまでのケース以上に有意となった業種はなかった。また、現
金給与支給総額の増加に対しては、「旅行業」の活動は増加、「スポーツ施設提供業」
及び「公園、遊園地」の活動は減少傾向にあり、休日のみならず、現金給与支給総額に
対しても業種間の競合関係があるように考えられる結果となった注)。
なお、現金給与支給総額の前年同月比は、「スポーツ施設提供業」、「公園、遊園
地」などが有意となったが、前月比では、「映画館」、「遊技場」などが有意となり、現金給
与支給総額の増減が活動に与える影響は異なった結果が得られている(第Ⅰ-2-10
表)。
注) 宿泊旅行に関係する業種の「国際航空旅客運送業」の第3次産業活動指数は、13年は米国同
時多発テロ、15年はイラク攻撃・新型肺炎(SARS)によりに大幅な低下があった。その時期から
回復期にかけて、「公園,遊園地」の活動指数が高くなる傾向にある。「公園,遊園地」に対して
「国際航空旅客運送業」は競合する関係にあるためと推測される。
「国際航空旅客運送業」及び「公園,遊園地」の第3次産業活動指数(12年=100)の推移
米国同時多発テロ
150
イラク攻撃・新型肺炎(SARS)
110
10
11
公園,遊園地
12
14
公園,遊園地(理論値)
15
16
17
1
4
7
10
1
4
7
10
1
4
7
10
1
4
7
13
10
1
4
10
4
7
40
1
80
10
50
4
90
7
60
1
100
7
70
10
110
1
80
4
120
7
90
10
130
1
100
4
140
18年
国際航空旅客運送業(右目盛り)
(注)1. 公園,遊園地(理論値) = -0.393 *I + 12.860 *D + 145.236
(t -5.271)
(t 8.297)
(t 20.701)
補正R2 0.553 D.W. 1.306
I : 国際航空旅客運送業
D : ダミー(13年8月まで0、13年9月以降1とした。
13年9月には米国同時多発テロの他、新しいテーマパークの開園があった。)
2. 第3次産業活動指数は季節調整済を用いている。
- 59 -
第Ⅰ-2-10表 現金給与支給総額を説明変数へ追加した回帰分析結果
① 前年同月比(方法5)
<旅客運送業>
鉄道旅客運送業
道路旅客運送業
水運旅客運送業
航空旅客運送業
国際航空旅客運送業
国内航空旅客運送業
<小売業>
<飲食店>
一般飲食店
遊興飲食店
宿泊業
学習支援業
<対個人サービス業>
うちその他の生活関連
サービス業
旅行業
冠婚葬祭業
写真業
うち娯楽業
うち映画館
うちスポーツ施設提供業
うち公園,遊園地
うち遊戯場
(参考)第3次産業総合
3連休以上
それ以外の休日
現金給与支給総額
前年同月差
前年同月差
前年同月比
t値
活動指数
t値
活動指数
t値
活動指数
増加率
増加率
増加率
(%)
(%)
(%)
▲ 0.1 ▲ 0.336
▲ 0.1 ▲ 0.352
43.3
4.738
▲ 0.1 ▲ 0.766
▲ 0.1 ▲ 0.378
14.9
1.858
▲ 0.6 ▲ 2.843
▲ 0.4 ▲ 1.918
62.5
4.643
1.6
1.999
0.4
0.512
91.5
1.915
1.8
2.110
1.2
1.265
72.1
1.374
4.8
1.805
4.0
1.423
200.3
1.243
0.9
2.114
0.3
0.671
9.2
0.364
0.2
1.377
0.3
1.419
50.4
4.772
0.9
3.492
0.7
2.560
24.0
1.548
1.5
5.732
1.1
3.842
▲ 10.3 ▲ 0.648
▲ 0.5 ▲ 0.932
▲ 0.2 ▲ 0.414
103.4
3.515
0.7
2.323
0.2
0.620
▲ 31.7 ▲ 1.807
▲ 0.8 ▲ 1.066
▲ 0.4 ▲ 0.519
11.8
0.268
0.9
2.348
1.4
3.518
6.1
0.259
決定
係数
(補正
R2)
0.213
0.018
0.277
0.119
0.055
0.023
0.036
0.226
0.141
0.319
0.128
0.141
▲ 0.018
0.129
1.7
4.418
1.4
3.491
19.2
0.829
0.191
1.2
2.1
1.6
1.4
1.6
0.8
2.5
0.3
▲ 0.4
1.071
5.959
1.350
3.856
0.609
1.904
1.695
0.500
▲ 3.833
0.6
1.7
1.8
2.0
3.3
1.1
2.7
0.6
▲ 0.4
0.489
4.652
1.448
5.066
1.219
2.523
1.753
1.173
▲ 3.450
179.0
▲ 16.6
▲ 95.1
▲ 31.4
▲ 68.1
▲ 99.1
▲ 375.5
15.3
41.0
2.578
▲ 0.784
▲ 1.363
▲ 1.383
▲ 0.432
▲ 4.004
▲ 4.169
0.481
6.562
0.070
0.318
0.016
0.264
▲ 0.008
0.222
0.201
▲ 0.008
0.438
(注)1.現金給与支給総額前年同月比は、「毎月勤労統計調査」(厚生労働省)の現金給与総額指数に
常用雇用指数を乗じた値の前年同月比。
2.対象の期間は11年2月より18年5月。年末年始休暇のある12月と1月を除いている。
3.活動指数増加率は、回帰推定で得られた係数による値(係数×100)である。
4.有意水準 10%(両側)で有意な場合(|t|>1.667)の数値に網掛けしている。
- 60 -
② 季節調整済指数前月比(方法6)
<旅客運送業>
鉄道旅客運送業
道路旅客運送業
水運旅客運送業
航空旅客運送業
国際航空旅客運送業
国内航空旅客運送業
<小売業>
<飲食店>
一般飲食店
遊興飲食店
宿泊業
学習支援業
<対個人サービス業>
うちその他の生活関連
サービス業
旅行業
冠婚葬祭業
写真業
うち娯楽業
うち映画館
うちスポーツ施設提供業
うち公園,遊園地
うち遊戯場
(参考)第3次産業総合
3連休以上
それ以外の休日
現金給与支給総額
前月差
前月差
前月比
t値
活動指数
t値
活動指数
t値
活動指数
増加率
増加率
増加率
(%)
(%)
(%)
▲ 0.1 ▲ 0.507
▲ 0.1 ▲ 0.839
31.0
2.262
0.0
0.291
0.0
0.192
20.5
1.653
▲ 0.4 ▲ 1.806
▲ 0.3 ▲ 1.624
25.5
1.022
0.9
1.661
0.2
0.404
13.5
0.217
0.8
2.018
0.4
0.930
47.2
1.002
0.3
0.345
0.3
0.356
100.4
1.028
0.7
1.850
0.0
0.100
46.6
1.039
0.4
2.736
0.4
2.896
32.2
2.080
0.4
1.909
0.4
1.920
46.6
1.720
0.8
3.011
0.6
2.545
49.5
1.717
▲ 0.2 ▲ 0.661
▲ 0.1 ▲ 0.185
42.6
1.254
0.5
2.166
0.1
0.339
12.4
0.438
0.0
0.040
▲ 0.6 ▲ 0.818
▲ 67.7 ▲ 0.750
0.3
0.946
0.9
2.720
76.4
2.056
決定
係数
(補正
R2)
0.062
0.002
0.023
0.060
0.098
▲ 0.047
0.164
0.269
0.136
0.239
▲ 0.020
0.173
▲ 0.003
0.304
0.6
1.760
0.6
1.633
88.9
2.261
0.167
▲ 0.2
1.4
0.7
0.9
0.3
0.8
4.4
▲ 0.1
▲ 0.2
▲ 0.450
3.538
0.707
3.175
0.158
2.537
4.145
▲ 0.988
▲ 2.179
▲ 0.5
1.3
0.8
1.2
3.2
1.2
3.3
0.1
▲ 0.2
▲ 0.927
3.505
0.851
4.240
1.990
3.534
3.127
0.812
▲ 2.026
102.6
36.2
44.4
▲ 12.7
379.6
▲ 16.9
▲ 60.5
25.6
31.5
1.771
0.809
0.385
▲ 0.374
2.060
▲ 0.441
▲ 0.496
2.274
3.560
0.020
0.268
▲ 0.057
0.299
0.266
0.214
0.285
0.240
0.255
(注)1.季節調整済指数は、X-12-ARIMA の X-11 デフォルトにより独自に算出している。
2.現金給与支給総額前月比は、「毎月勤労統計調査」(厚生労働省)の現金給与総額指数(季節調
整値)に常用雇用指数(季節調整値)を乗じた値の前月比。
3.対象の期間は10年3月より18年4月。3連休の常にある月(5月、12年以降1月と10月、15年以降
7月と9月)とその翌月は、季節調整により3連休の影響が減じるので、回帰推定の対象から除いて
いる。また、年末年始休暇のある12月、1月とその翌月も除いている。
4.活動指数増加率は、回帰推定で得られた係数による値(係数×100)である。
5.有意水準 10%(両側)で有意な場合(|t|>1.697)の数値に網掛けしている。
- 61 -
(7) まとめ
3連休以上の休日の第3次産業活動指数の対個人サービス関連業種に与える影響
は、直接的でなく、その度合いも明確でない部分も多いが、宿泊を伴う旅行に関連する
「宿泊業」、「航空旅客輸送業」などの業種や「一般飲食店」といった業種の活動との関
係が高くその増加の要因になっていることがわかった。
しかし、一定の休日の中での3連休以上の休日の増加は、「映画館」、「スポーツ施設
提供業」などの業種の活動の減少を伴うこともわかった。
ここでの試算は土日が休日(完全週休2日)であってそれに1日以上の国民の祝日な
どが加わり3連休となることを前提としているが、完全週休2日制適用の労働者は9年以
降約6割で推移しており、3連休とならない者も少なくない。このため、第3次産業におけ
る各業種の活動の増加には、ハッピー・マンデー制度のほか、完全週休2日制の適用
拡大や年次有給休暇の取得日数の増加の実現などが必要と考える。
- 62 -
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