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米国小売売上高速報 (2007 年 3 月)

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米国小売売上高速報 (2007 年 3 月)
経済指標解説
米国
みずほ総合研究所 経済調査部
エコノミスト
中村 正嗣 (03-3201-0549)
[email protected]
2007/4/17
米国小売売上高速報
(2007 年 3 月)
○ 3 月の小売売上高は前月比+0.7%と好調。昨年より早まったイースターが寄与した一面も
○ 1~3 月期のコアは前期比+1.2%とほぼ前期並みを維持、消費の底堅さを確認
○ 引き続き、サブプライム・ローン問題、油価高騰といった懸念材料が残存
3 月の小売売上高は前月比
+0.7%と好調
米国商務省によれば、3 月の小売売上高は前月比+0.7%増加した(図表 1)。内訳
を見ると、前月比減少したのは電子・家電製品(同▲1.9%)、非店舗小売(同▲3.3%)
の 2 業種に留まり、全般的に 3 月は堅調な結果が示された。全体の 2 割強を占める
自動車(前月比+0.4%)が 2 カ月連続で増加し、建材・造園(同+1.4%)、ガソリン
スタンド(同+3.1%)、衣料品・アクセサリー(同+2.4%)、総合小売店(同+1.1%)、
外食(同+1.2%)など、幅広い業種で増加となった。昨年より早まったイースター
(復活祭:昨年は 4 月末であったが、今年は 4 月第 1 週)の影響で 3 月の小売が押し
上げられた面もあるようだ。
1~3 月期の小売売上高は前
1~3 月期では前期比+1.4%と前期から加速した(図表 2)。GDP統計算出に使
期比+1.4%、趨勢的な消費
われるコントロールグループ(自動車、建材・造園を除くベース)は前期比+1.7%
の動向を示すコアは前期比
(10~12 月期:同横ばい)と好調な伸びとなったが、ガソリン価格上昇によるガソリ
+1.2%と前期並みの勢い
ンスタンドの押し上げ(10~12 月期:前期比▲8.2%→1~3 月期:同+5.6%)を割
り引いて見る必要がある。小売の趨勢を示すコア(自動車、建材・造園、ガソリン
スタンドを除く)で見ると、
前期比+1.2%とほぼ前期並み(10~12 月期:同+1.3%)
の伸びを維持した(図表 3)。コアは昨年半ば以降緩やかな減速が窺えるが、減速度
合いは限定的である。1~3 月期の個人消費は昨年に続き底堅い拡大ペースを維持し
たことが示された。
雇用所得環境は堅調さが持
続
消費を支える雇用所得環境を見ると、堅調さが持続しており、大きく失速する兆
しは窺えない。米国労働省によれば、3 月の非農業部門雇用者数は前月比+180 千
人、3 カ月平均+152 千人増加となり、家計所得の代理変数である総賃金指数(総労
働時間指数×時間当り賃金)は 3 カ月前比年率+5.1%であった(図表 3)。今後、景
気減速の影響が雇用面にも現れると見られるが、足元の堅調さを踏まえると、大き
な失速は避けられそうであり、個人消費を下支えする要因となるだろう。
引き続き、サブプライム・ロ
懸念材料はサブプライム(低所得者向け)ローン問題である。今後、返済条件の見
ーン問題、油価再高騰などの
直しが多数到来すると見られ、不良債権増加や金融機関の貸出姿勢厳格化などを通
懸念材料が残存
じた米景気全体への影響が懸念される。また、ガソリン価格の再高騰も懸念材料で
ある。こうした背景の下、4 月のミシガン大消費者信頼感指数(速報値)は 85.3pt(前
月比▲3.1)と 4 カ月連続低下しており、消費への影響が懸念される(図表 5)。米景
気の牽引役である個人消費を巡る動向には今後も注意が怠れない状況である。
当レポートは情報提供のみを目的として作成されたものであり、商品の勧誘を目的としたものではありません。本資料
は、当社が信頼できると判断した各種データに基づき作成されておりますが、その正確性、確実性を保証するものでは
ありません。また、本資料に記載された内容は予告なしに変更されることもあります。
図表 1
0703
(前月比) (寄与度)
小売売上高
0.7%
0.68%
自動車
0.4%
0.08%
家具・内装
0.6%
0.02%
電子・家電製品
-1.9%
-0.05%
建材・造園
1.4%
0.11%
食品・飲料
0.2%
0.03%
ヘルスケア
0.1%
0.00%
ガソリンスタンド
3.1%
0.28%
衣料品・アクセサリー
2.4%
0.12%
スポーツ・書籍・音楽
1.1%
0.02%
総合小売店
1.1%
0.14%
その他店舗
0.6%
0.01%
非店舗小売
-3.3%
-0.21%
外食
1.2%
0.12%
除く自動車
0.8%
0.59%
コントロール
0.7%
0.48%
コア
0.3%
0.20%
小売売上高業種別推移
0702
(前月比) (寄与度)
0.5%
0.50%
0.9%
0.18%
0.1%
0.00%
-0.8%
-0.02%
-0.2%
-0.01%
0.7%
0.09%
0.4%
0.02%
1.5%
0.13%
-1.9%
-0.10%
0.2%
0.00%
-0.5%
-0.06%
-0.1%
0.00%
5.3%
0.33%
-0.6%
-0.06%
0.4%
0.32%
0.5%
0.34%
0.3%
0.20%
0701
(前月比) (寄与度)
0.0%
-0.03%
-0.8%
-0.17%
2.0%
0.05%
-1.6%
-0.04%
0.3%
0.02%
0.2%
0.03%
0.0%
0.00%
0.0%
0.00%
2.8%
0.14%
0.8%
0.02%
0.9%
0.12%
-2.9%
-0.08%
0.1%
0.01%
-1.3%
-0.13%
0.2%
0.14%
0.2%
0.11%
0.2%
0.11%
0701~03
(寄与度)
1.4%
1.40%
0.6%
0.12%
2.2%
0.06%
-0.8%
-0.02%
0.9%
0.07%
1.1%
0.14%
0.5%
0.03%
5.6%
0.49%
2.8%
0.14%
0.8%
0.01%
1.9%
0.24%
-2.1%
-0.06%
2.1%
0.14%
0.4%
0.04%
1.6%
1.28%
1.7%
1.21%
1.2%
0.72%
(10~12月期比)
(注)コントロールは自動車、建材・造園を除いたもの。コアはコントロールからガソリンスタンドを除いたもの。
(資料)米国商務省
図表 2
(前期比、%)
3.5
四半期小売売上高の推移
コア小売
建材・園芸
小売売上高
図表 3
自動車
ガソリンスタンド
(前期比)
3.0%
(10億ドル)
700
2.5%
2.5
1.5
0.5
コア小売の推移
670
左目盛
2.0%
640
1.5%
610
1.0%
580
コア小売売上高
(棒線右目盛)
0.5%
▲ 0.5
550
0.0%
▲ 1.5
04
05
06
07
雇用統計の推移
図表 5
(3カ月前比年率、%)
(前月差の3カ月平均、千人)
400
350
300
250
200
150
100
50
0
06
07
0609
(注)総賃金指数=総労働時間指数×時間当り賃金
(資料)米国労働省
消費者信頼感指数
ガソリン店頭価格
ドル/ガロン
8.0
95
1.5
6.0
90
2.0
85
2.5
80
3.0
75
3.5
0.0
0703
消費者マインドとガソリン価格の推移
(Pt)
100
2.0
非農業部門雇用者増加数
総賃金指数(右目盛)
0603
05
10.0
4.0
0509
04
(注)コアは自動車、建材・園芸、ガソリンスタンドを除く
(資料)米国商務省
(注)グラフは小売全体への寄与度。
(資料)米国商務省
図表 4
520
03
0504
0510
0604
1.0
0610
0704
(注)消費者信頼感指数は66年1~3期=100。ガソリン店頭
価格の4月は第2週までの平均。右逆目盛でプロット。
(資料)ミシガン大学、米国エネルギー省
以上
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