...

防災の主流化に向けて - PreventionWeb

by user

on
Category: Documents
1

views

Report

Comments

Transcript

防災の主流化に向けて - PreventionWeb
JICAの防災協力
防災の主流化に向けて
─ 災害に強い社会を作る ─
社会・経済開発と防災の関係
国家や地域社会は、様々な優先順位に従って、インフラ整備、
ために、災害対策が GDP の成長に与える影響を定量的に示す手
食料生産、教育、保健医療等の社会・経済開発に予算等の資源を
法(DR2AD モデル、9 頁参照)を開発しました。DR2AD モデル
振り分けますが、これまで“防災”は「社会全体の従属的な」コ
では、さまざまな頻度や規模で発生する災害が、長期的な経済成
ストとして捉えられがちで、予算の中で、防災分野への投資が占
長にどのような影響を与えるかを定量的に示し、防災分野への
めるべき適正な割合は、明確に位置づけられてきませんでした。
投資により、どのように被災リスクの影響が抑制されるかを示
特に、経済成長が優先される途上国等においては、防災分野に割
すことを目指しています。
く定常的な予算は少ないことが多く、かつ、被害の抑止や軽減対
この手法の応用・活用が進むことで、災害後の応急対応や復旧・
策ではなく、災害後の緊急対策(人命救出や物資の配布)の準備
復興に割く資金や、個人・社会・企業・国家が失う時間や機会
等に振り分けられる傾向にあります。
等の様々な損害・損失額に対して、損失を未然に防ぎ、軽減する
しかしながら、災害は、一度発生すると、人命だけでなく、そ
ための防災分野に割く予算が、国家や地域社会にとって、
「災害
れまで個人・企業・社会が築き上げてきた財産・資産や、様々
被害というマイナス成長を穴埋めする」コストではなく、人命と
な発展のための時間・機会を奪います。そして、災害後は、その
ともに社会・経済開発の長期的・安定的な成長を保障する投資
応急対応や復旧・復興に多額の費用を要します。また、発生頻度
であるとの共通認識が広がり、災害に強い地域社会や国づくり
が高い風水害のように、同じ地域に居住する人々が繰り返し被
が一層加速されることに繋がることを期待しています。
害を受けることにより、人命や経済的な成長の機会が繰り返し
奪われ、貧困からの脱却を困難にしていることも大きな問題と
なっています。それにも関わらず、災害被害を未然に防ぎ、被害
を軽減するための防災事業に予算が振り分けられない理由は、
各国における開発投資における優先順位や社会・文化的な背景
等もありますが、共通する課題として、社会・経済開発における
災害が起こらない場合の経済成長
防災投資有り、 災害有り
野における就学率や識字率等)を定めることが困難であること、
防災分野への事前投資が持続的な開発(例えば、GDPの長期的
な推移等)への影響を定量的に示すことが困難であること、等が
災害発生
防災投資の効果
挙げられます。このため、発災後には、緊急支援や復旧活動に加
防災投資の
有無による
経済成長の違い
防災分野への投資の効果やその目標となる指標(例えば、教育分
防災投資と開発の関係模式図
GDP
え、災害規模によっては、社会経済へのダメージの回復のために、
地域、国家規模での中長期的な大きな投資が必要となるリスク
がありながら、リスクを抑制し、持続的な開発を確保するための
防災投資無し、 災害有り
防災分野への事前投資が進みにくくなっていると考えられます。
そこで、JICA は、防災分野への事前投資の効果を可視化する
年
10
災害マネジメントサイクルと事前投資の重要性
災害が発生すると応急対応を行い、その後復旧・復興、そして
災害から学び災害被害を抑止・軽減する予防対策を行い、次の
持続可能な開発
時間
災害に備える、というサイクルを繰り返しています。これを、災
害マネジメントサイクルと呼んでいます。
JICA は、このサイクルを図のように捉え、復旧・復興の段階
において、単なる災害復旧ではなく「より災害に強い社会」の構
事前準備
抑止・減災
築(Build Back Better)を目指し、そして、災害から学び、再び
応急対応
復旧・復興
来るであろう災害に対して教訓を広く共有し、減災のために投
資し備えることによってのみ、国家や地域社会が持続的に発展
できることを主張し、それを戦略に掲げ、途上国に対する支援を
行っています。
将来の環境変化にも対応し得るような対策を考慮した防災へ
の事前投資“Low Regret Investment”という概念の下、予防に
対する投資をすることにより、将来の災害による直接的・間接
的(社会的)被害を軽減し、応急対応等に必要な費用を小さくし
ていくことを目指しています。
事前準備
抑止・減災
応急対応
災害マネジメント
サイクルを繰り返
すことにより復旧・
復興から抑止・減
災へとシフトし、
災害に強い持続可
能な社会へと、ス
パイラルに発展し
ていく。
復旧・復興
Philippine National Disaster Risk Reduction and Management Frameworkより作成
01
Japan International Cooperation Agency
被災後、災害に強い社会に復興する "Build Back Better" の徹底
いつ起こるか特定できない将来の災害への投資を行うことは
的開発を目指すことが必要となります。フィリピンの台風ヨラ
です。予防投資が難しいからこそ、せめて災害後の復旧・復興は、
災害に強い社会を構築する、という明確な方針を持って実施し、
脆弱性の再現を防ぎ、災害と貧困のスパイラルからの脱却、持続
に強い社会を再構築せずに、いつ災害に強い社会を作れるのか」
と明確に”Build Back Better”を復旧・復興の方針として打ち
出しています。
一般には難しく、当面の経済インフラへの投資を優先させ勝ち
ンダの復興計画で、フィリピン政府は、
「災害を奇貨として災害
防災の主流化及びその重要な視点
防災の主流化のもう一つの視点:横串機能
教育
校舎の設計、学校配置計画など
電力
非常時のバックアップ体制を
考慮した配電網計画など
制度整備・行政
財源の配置、開発計画時の災害
リスクへの配慮など
運輸・交通
災害リスクを考慮した
交通網の構築など
都市計画
土地利用にリスク評価を反映など
保健医療
近年、世界の各地で発生している大災害により“防災”に対す
る関心が高まり、防災投資の重要性が認識され、減災に向けた投
資額が高まることが期待されます。しかしながら、それでも“防
災”はその事業を単独で、または防災のことのみを考えた事業を
実施することで災害に対して強い社会を構築することには限界
があると考えています。そのような中、今後、将来に渡って災害
から人命を守り経済的損失を小さくしていくには、適切なリス
クアセスメントの結果に基づき“防災”の視点を如何に社会・経
済開発セクターの中に組み込み減災を推進させていくか、セク
ターの事情を勘案しつつ如何に防災の視点を含め持続性の高い
開発を実現していくかを検討し取り組んでいくといった、他セ
クターとの協働・双方向コミュニケーションの必要性もあると
考えています
災害時の拠点機能確保を考慮した
配置計画など
近年、世界では、
“防災の主流化”を促進しようという動きが
中心になっています。
“防災の主流化”について世界共通の定義
はありませんが、これまでの議論の中では、①政府が防災を国家
の優先課題と位置付けること、②防災の視点をあらゆる開発のセ
クターに取り入れること、③防災への事前投資を拡大すること、
の3点に集約されます。JICA のプロジェクトあ研究では『防災
主流化とは、開発のあらゆる分野(セクター)のあらゆる段階(フ
ェーズ)において、様々な規模の災害を想定したリスク削減策を
包括的・総合的・継続的に実施・展開し、災害に対して強靭な
(resilient)社会を構築することにより、災害から命を守り、持続
可能な開発、貧困の削減を目指すもの』と定義しています。
災害リスク評価
抑止・減災対策
適応・緩和策
費用配分
すべての開発事業に自然災害リスクの評価を
防災の主流化を進めるための具体的な取り組みの一つとして、
JICA は、すべての開発事業において事前に自然災害リスク・ア
セスメントを実施することを提案しています。防災対策の必要
性の有無、防災対策への予算配分と言った政策レベルから、防災
事業の実施といった実務レベル、防災教育やコミュニティ防災
といった住民レベルへの活動に至るまで、適切な取り組みを行
う た め の 第 一 歩 と し て 災 害 リ ス ク の 分 析、評 価 は 重 要 で す。
JICA は防災に関するリーディング機関として、支援対象国に自
然災害リスク・アセスメントや災害統計の整備を提案すると同
時に、事業の中にその考え方を取り込んでいく予定です。
防災とポスト MDGsとの関係、HFA2について
2015 年 は ミ レ ニ ア ム 開 発 目 標 (Millennium Development
Goals: MDGs) の達成目標年であり、2015 年以降の目標がポス
ト MDGs という形で取りまとめられる予定です。また、2013 年
6 月にブラジルで開催された「リオ+20」
(国連持続可能な開発会
議)で、持続可能な開発目標 (Sustainable Development Goals
:SDGs) を設定し、防災やレジリエンスの視点は、貧困削減、ジェ
ンダー、ガバナンス、水と衛生、都市等の幅広い分野において中で
考慮されるべきであるという議論がなされています。
一方、防災分野においても 2005 年 1 月に兵庫で開催された
第 2 回 国 連 防 災 世 界 会 議 に お い て 兵 庫 行 動 枠 組 (Hyogo
Framework for Action : HFA) が策定され、2015 年を目標年
に、各国が災害による人的被害、社会・経済・環境資源の損失が
実質的に削減されることを成果とし、減災に向けて 5 つの優先
行動に取り組んでいくことにつき合意がなされました。
2015 年 3 月には仙台で第 3 回国連防災世界会議が開催され、
HFA の次の防災指針 (HFA2) が策定される予定です。JICA に
おいても効果的な防災支援に向けて、JICA の研究成果である防
災投資の経済評価モデル(DR2AD モデル、9 頁参照)の活用、更
には途上国での支援を通じ、防災主流化を促進させることによ
っ て、ポ ス ト MDGs や SDGs と い っ た「開 発 ア ジ ェ ン ダ」と
HFA2 といった「防災アジェンダ」が同じ方向性を向くことによ
り、持続性の高い開発事業を実現すべく、強靭な社会づくりに貢
献したいと考えています。
開発セクターと防災セクターの連携
ミレニアム開発目標
“開発”
コミュニティ
SDGs
兵庫行動枠組み
“防災”
コミュニティ
持続性の高い開発に
向けた連携
Japan International Cooperation Agency
02
防災分野におけるJICAの協力方針
2005 年 1 月 に 採 択 さ れ た HFA は、2005 年 か ら 2015 年
の 10 年間の防災の指針で、3 つの戦略目標と 5 つの優先行動
各優先行動に即したJICA防災支援の推移
(件)
からなります。
JICA は HFA も念頭に協力を行っており、JICA の協力実績と
の関係は右図のとおりで、中でも「優先行動 4:リスクを減らす」
に関する協力を多く実施しています。JICA は、今後もこの枠組
を念頭に置きつつ、
「災害によって繰り返される貧困サイクルか
らの脱却」と「災害リスクの軽減による持続的な発展の実現」を
目指し、様々なセクターの開発において防災の視点を取り入れ
る“防災の主流化”を通じ、災害に強い“Resilient”な社会づく
りを支援する協力に力を入れていきます。
300
250
200
150
100
50
0
∼1980
1981∼1985
1986∼1990
1991∼1995
1996∼2000
2006∼(年)
2001∼2005
優先行動 4…リスクを減らす
優先行動 5…事前準備をし、緊
急時に行動できるよう備える
優先行動 1…防災を優先事項に
優先行動 2…災害リスクを知り行動する
優先行動 3…防災知識を高める
防災分野に着目した開発戦略目標
セクター横断的な取り組みは、
「防災の主流化」としてあらゆ
る分野へ“防災”の浸透を進めていきます。そして、防災の機能
そのものを向上し、国や地域の防災力を高めるため、
“防災”独
自の取り組みとして、次のような開発戦略目標を掲げ、これら目
標達成に向けた協力に取り組んでいます。
戦略目標1【防災体制の確立と強化】により、国家として防災
への取り組みを行う強い土台を作り、その上に戦略目標2【自然
災害リスクの的確な把握と共通理解の促進】や3【持続的開発の
ためのリスク削減対策の実施】の事前対応と、災害発生前後の戦
略目標4【迅速かつ効果的な備えとレスポンス】、そして災害発
生後の対応として戦略目標5【より災害に強い社会へのシーム
レスな復旧と復興】の4本の柱に支えられ、途上国の安定的発展
を防災の分野から支えることをイメージしています。
【途上国の安定的発展】
∼災害によって繰り返される貧困サイクルからの脱却∼
∼災害リスクの軽減による持続的な発展の実現∼
戦略目標②
戦略目標③
戦略目標④
戦略目標⑤
自然災害リスク
の的確な把握と
共通理解の促進
持続的開発のた
めのリスク削減
対策の実施
迅速かつ
効果的な備えと
レスポンス
(応急対応)
より災害に強い
社会への
シームレスな
復旧と復興
戦略目標①: 防災体制の確立と強化
リスク評価
事前準備
災害応急対応
抑止・減災
復旧・復興
シームレスな
(切れ目のない)
協力
JICA はその事業実施主体としての特性を生かし、様々な視点での「切れ目のない」協力を展開していきます。
1.時間的な切れ目のない協力
教育
校舎の設計、学校配置計画など
非常時のバックアップ体制を
考慮した配電網計画など
電力
制度整備・行政
財源の配置、開発計画時の災害
リスクへの配慮など
運輸・交通
災害リスクを考慮した
交通網の構築など
復旧・復興支援、予防
都市計画
ニーズ調査
土地利用にリスク評価を反映など
保健医療
緊急援助
災害
防災の主流化を意識した、セクターを超えての取り組みを促
進していきます。
災害時の拠点機能確保を考慮した
配置計画など
災害発生に関連し実施する、応急対応、復旧・復興、予防の間
の切れ目をなくし、そして社会・経済の発展とのつながりを意
識した災害マネジメントサイクルを念頭に置きます。
2.セクターの切れ目のない協力
災害リスク評価
抑止・減災対策
適応・緩和策
費用配分
3.防災事業実施上の切れ目のない協力
Japan International Cooperation Agency
大 学
保 険 制 度
03
研究機関
難
コミュニティ
災害情報提供機関
(気象関連等)
適応
避 市町村
構造物対策
州・県
早期予警報
技術官庁
(国土保全等)
洪 水に強い
生活様式
防災行政機関
(中央)
適正な土地利用
関係行政機関
(教育省等)
緩和
森林保護・回復
中央
非構造物対策
防災の取り組みの効果を高めるために、中央政府・地方政府・コミュニティすべてのレベル、構造物対策と非構造物対策、防災行政
機関と固有の技術を要する個々の技術官庁の能力強化、技術協力による人材や組織の強化と資金協力による具体的な開発事業の実施、
効果
といったすべてのアプローチと相互関係を意識した取り組みを実践します
堤防
堰・ダム
貯水池最適管理
堤防
制御・防御
洪水対策の場合
投資
1
【防災体制の確立と強化】
戦略目標
災害に強い国や地域づくりを行っていくためには、防災への
何に責任を持って対策を行っていくのかを明確にすること、国
においても防災を掌る中央、地方の機関の役割が大きいことは
日本の災害経験から明白です。現在の防災分野の潮流である防
災の主流化を促進する意味においても、国や地域の防災体制の
確立は重要になってきています。
具体的には、防災に関係する基本法を整備し、防災を掌る組
織体制を確立することで、国家や地域の中で、誰(どの組織)が
を行うことで、中央や地方の防災行政機能の強化を進めること、
官民学連携や防災に関係する組織同士の連携体制を構築するこ
と、関係機関それぞれが持っている災害関連の情報を共有する
こと、防災に関係する研究を促進すること、防災人材育成や技
術者の養成を進めることが挙げられますが、JICA はこれらを
主眼に置いた支援を実施しています。
取り組みを行う強い土台を作りが必要です。災害時そして平時
や地域の防災計画の策定や建築基準などの各種防災基準の策定
国家の組織・制度作りから
地方自治体の人材育成まで
JICAの支援による中央の強化と地方への試験的展開
スマトラ沖地震・インド洋津波のあと、日本とインドネシア
の間では、日本・インドネシア防災に関する共同委員会が設置
され、インドネシアの防災能力強化の支援が始まりました。
JICA はまず「自然災害管理計画調査」
(2007-2009、開発調査)
を実施、インドネシアの国家防災を担当する国家防災庁の設立、
国家防災計画の策定支援を開始するとともに、パイロット的に
選んだ幾つかの州で地域防災計画の策定を支援しました。続い
て「国家防災庁および地方防災局の災害対応能力強化プロジェ
クト」
(2011-2015(予定)、技術協力プロジェクト)でも中央
および地域の防災能力強化を支援、具体的には国家防災計画に
基づいた地域防災計画の策定をさらに支援し、これらの防災計
画に従ったコミュニティレベルの防災活動もパイロット的に行
い、全国展開への留意点や、地域防災計画、国家防災計画への
フィードバックを行い、トップダウン、ボトムアップ両方から
の防災能力の強化を図っています。
このほか、JICA は途上国の中央防災機関に対し次のような
プロジェクトを実施しています。例えばイランのテヘラン市総
合災害管理局に対しては、
「大テヘラン圏地震マイクロゾーニ
ング計画調査」
(1998-2000, 開発調査)で国家地震防災計画策
定のための基本情報となる地震マイクロゾーニングマップを作
成、
「大テヘラン圏総合地震防災及び管理計画調査」
(2002-04,
国 名
インドネシア
フィリピン
タイ
スリランカ
トルコ
案 件 名
地域防災計画
連携体制
Heavily Damaged or Collapsed
Building Ratio Distribution
(Ray Fault model)
Legend
22 Municipal Districts Boundary
Ratio of No. of Building / Zone
(%)
90 - 100
80 - 90
70 - 80
60 - 70
50 - 60
40 - 50
30 - 40
20 - 30
10 - 20
0 - 10
N
W
E
S
0
2
4
6 km
THE STUDY ON SEISMIC MICROZONING OF THE GREATER TEHRAN AREA
IN THE ISLAMIC REPUBLIC OF IRAN
Centre for Earthquake and Environmental Studies of Tehran (CEST)
Japan International Cooperation Agency (JICA)
イラン テヘラン市建物被害分布図
開発調査)で防災体制の整備、予防・応急対応・復旧復興の各
段階でのフレームワークを策定し、
「地震後 72 時間応急対応計
画構築プロジェクト」
(2006-08, 技術協力プロジェクト)で、
テヘラン市の応急対応計画の見直し、早期被害推計システムの
整備、住民レベルの応急対応体制の構築他、地震後の応急対応
能力の向上を支援するなど、一連の支援を実施してきています。
自然災害管理計画調査
2007-09
国家災害調整管理局
国家防災庁及び地方防災局の災害対応能力強化
プロジェクト
2011-15
国家防災庁
災害リスク軽減・管理能力向上プロジェクト
2012-15
市民防衛局
防災能力向上プロジェクト
2006-08
内務省
災害軽減局
防災機能強化計画調査
2011-15
2006-09
2010-13
防災省
国家防災センター
リスク評価に基づく効果的な災害リスク管理の
ための能力開発プロジェクト
州・県
相手国政府による水平展開
対象機関
気候変動に対応した防災能力強化プロジェクト
基本法・全体枠組み
市町村
実施期間
同フェーズ 2
中 央
人 材 育 成
防災体制を確立し強化していくには、様々なレベルでの取り
組みが必要ですが、JICA は、防災に関する全体的な枠組みや方
針の基礎となる国家の中枢機関の組織や制度作りから、その方
針や制度に従って実際に防災の実務、市民へのサービスを担う
地方自治体の人材育成まで、防災体制に関係するすべての層に
アプローチをしています。
2013-17
首相府
災害危機管理庁
タイ防災能力向上プロジェクトで作成した防災白書
Japan International Cooperation Agency
04
戦略目標
2
【自然災害リスクの的確な把握と共通理解の促進】
災害リスクを的確に把握することはすべての災害対策や、そ
の実施の必要性を検討する上での前提条件であり、基本条件と
言えます。また災害リスクを持つ地域に関わる関係者が共通の
理解を持ち、一部のみではなく、全員が共通の危機感を持つこ
とが対策の実施や災害発生時の行動にとって非常に重要です。
例えば、正しいリスク評価・分析を根拠として設計された制度
でなければ真の減災効果は期待できず、災害時に的確な避難行
動を住民全員が取らなければ人的被害の軽減は望めません。
具体的取組として、政策・施策立案プロセスにおいては、災
害リスクのより正確な把握を目標としたリスク評価・分析、ハ
ザード・リスクマップの作成、防災投資の経済分析、気候変動
影響の評価が挙げられます。地域的な災害リスクの判定は、社
会・経済の開発事業において予防措置としての「防災」を検討(政
策レベルにおける防災の主流化)する上で重要な要因です。ま
幅広い層へのリスク理解促進へ
─ トルコ 防災教育プロジェクト ─
災害発生時、避難行動をとらなくてはならないのは災害発生
地域におけるすべての人々です。とりわけ学校における避難行
動は重要です。就学時間には多くの子供が校内にいることから、
子供の安全を保つ義務があること、就学時間外においても子供
が正しい避難行動を取ることが他の家族構成員への支援につな
がるからです。防災の「拠点」としての学校の機能を考えた時、
防災教育は非常に重要な役割をもちます。
2011 年から実施されたトルコの「防災教育プロジェクト」
では現職教員を対象とした防災教育指導案作成及び教員研修を
行い、教員から子供へ、子供から家族へ正しい防災知識が伝わ
ることを目指しました。
防災教育の重要な役割の一つが、平時における防災への関心
を高めることです。プロジェクトでは「楽しく教えられて、楽
しく学べること」を目指し、本邦研修で学んだ遊びながら防災
訓練を体験するカエルキャラバンのトルコ版「クマキャラバン」
を実施しました。こうした防災に特化したものだけでなく、防
災の要素を組み込んだ活動を行うこともリスク理解の促進には
重要です。
▲防災教育の様子
た、社会における災害リスク理解の向上を図ることへの試みと
して、コミュニティ防災活動能力強化、防災教育活動等が挙げ
られます。コミュニティレベルでの活動では災害特性、被害特
性、社会文化等、個々の状況に配慮した活動を行うことが効果
の発現にとって重要となります。
防災計画は時として関係者間に深刻な利害関係をもたらすこ
とから、調査結果を公開することが必ずしも可能とは限りませ
ん。災害リスク情報の公開のためには災害リスクに対する正し
い理解を促進することや、社会がそのリスク情報を受け入れら
れる状態であるのか、受け入れられるために如何に公開するの
かについて配慮することが重要です。
阪神淡路、東日本大震災を経験した自治体・コミュニティの
協力を得た本邦研修や技術協力プロジェクトの実施を通して、
目標達成に取り組んでいます。
より緻密な災害リスク把握へ
─ チリ 津波防災プロジェクト
(科学技術協力)─
発生頻度は低いものの、一度発生すると甚大な被害をもたら
す災害(地震・津波)に対するリスク評価は災害後の被害を基
に被害想定を見直す、ということができる範囲が限られている
ため、被害予測を精密に行うには多くの時間と予算を必要とな
ります。しかし一方で、予測される被害に基づいた対策(避難
計画、建築物の強度設計を含めた技術基準等)が講じられなけ
ればなりません。科学技術協力「津波に強い地域づくり技術向
上研究プロジェクト」では研究者による、最新モデルや高度な
観測手法によるより精緻な津波シミュレーションや被害予測に
基づいた対策や技術を提案し、法律や開発計画、地域防災計画
の改善を目指しています。
日本の経験を世界に
∼被災自治体との連携による人材育成∼
日本の災害対応の初動を担うのが地方自治体であり、
特に被災経験がある自治体には多くの防災に対する知見
が蓄積されています。また多くの途上国では、防災分野の
行政官の人材育成が大きな課題となっており、これらの
自治体と連携した取り組みはますます重要になっていま
す。このような中、JICA は阪神淡路大震災を経験した兵
庫県と連携して国際防災研修センター(DRLC)を設立し、
開発途上国で防災に携わる人材育成に取り組んでいます。
防災教育で作成した教材▶
地域の防災訓練に参加する研修員
05
Japan International Cooperation Agency
戦略目標
3
【持続的開発のためのリスク削減対策の実施】
自然災害による人命、社会的・経済的・環境的資産を軽減し
のとれたリスク削減事業の実施を目標として、治水事業などの
ても最小限の被害にとどめられるように平常時から準備(予防
策)が重要となります。これまで、JICA は、多様な潜在的な災
害リスク要因に対し、災害が発生した場合の被害の抑止・軽減
策を構造物対策及び非構造物対策の両面から組み合わせを検討
し、事業を実施してきました。検討にあたっては、災害リスク
を織り込んだ開発計画の策定を目標として、各セクターにおけ
る災害リスク軽減策、災害弱者・貧困層等に配慮した施策等を
検討しました(例:インドネシア 学校再建)。また、バランス
ています(例:ベトナム 統合洪水管理計画策定)。さらに、重
層的な取り組みによる防災能力の向上・民間企業セクターの主
体的な防災への貢献と協力を目標として、自助・共助・公助の
すべてによる防災文化の醸成や行政と民間の協力・連携メカニ
ズムの構築の検討を行っています。防災の主流化の観点を踏ま
え、都市計画や土地利用計画、交通計画等の様々な開発事業の
中に如何にこれら抑止・軽減策の検討を取り込んでいくかが今
後の挑戦となっています。
ていくためには、甚大な被害が発生しないように、また発生し
マニラの洪水対策
─ フィリピン 首都圏における治水対策 ─
フィリピン国のマニラ首都圏は、人口約 1,200 万人(2010
年時点)を有し、国内総生産(GDP)ベースで国内の約 3 分の
1 を占め、政治や経済、文化の中心地となっています。一方、頻
発する洪水により、毎年のように甚大な経済的、社会的被害を
受けてきました。
フィリピン政府は排水や洪水対策の計画策定やそれに基づく
事業実施など、過去 50 年以上に亘り継続的にこの課題に取り
組んできています。とりわけ、パッシグ‐マリキナ川は、マニ
ラ首都圏の行政、経済の中心として高度に都市化した人口密集
地帯を貫流する河川であり、その洪水は特に大きな経済的、社
会的被害をもたらしてきました。
2009 年 9 月にマニラ首都圏を襲った台風オンドイでは JICA
の支援により完成していた洪水をラグナ湖へ放流するマンガハ
ン放水路が計画放流量 2,400m3/s のところ最大 3,000 m3/s ま
で洪水をカットし、下流部のマニラダウンタウンエリアをほぼ計
画流量程度の 600m3/s に押さえ込むことに成功した。この放水
路がなかったらば、ダウンタウンの被害は甚大なものとなった。
ハザードの抑止対策や土地利用などのリスクの回避策を検討し
ソフト・ハードのバランスの取れた災害対策
─ ベトナム 統合洪水管理計画策定 ─
歴史的にベトナムは毎年の暴風雨と洪水災害に見舞われてき
ました。さらに今後、気候変動等の影響により、洪水災害はこ
れまで以上に頻発することが予測されています。繰り返される
水害はベトナムの長期的・持続的な経済発展を大きく妨げる可
能性があります。JICA は、水関連災害対策及び気候変動によっ
て増大する水関連災害リスクへの適応策の強化を目標として、
ベトナム中部に位置するフエ省、クアンナム省、クアンガイ省
を対象に、水関連災害の防災体制の強化のプロジェクトを実施
しました。
気候変動影響を考慮した総合洪水管理計画(IFMP)の策定は、
本プロジェクトの重要なコンポーネントのひとつです。洪水は
様々な既存のインフラや自然条件によって大きく影響されます。
これらの水関連災害による被害を軽減していくためには、ダムや
堤防などの構造物対策だけではなく、ハザードマップ整備や土地
利用の見直しなどの非構造物対策とのバランスのとれた施策に
よる相乗効果が重要となります。本 IFMP 策定においては、経済
発展計画や道路計画、都市開発計画などを担当する他分野と連携
し、開発効果の向上と防災能力の強化を図りました。
その他にも、河岸侵食に
よる地域の経済的損失を軽
減することを目的とした小
規模・低コスト河岸侵食対
策工を試験施工し、それを
基に標準設計および施工マ
ニュアルを作成しました。
現在、フェーズ2の実施中
河岸侵食対策の試験施工
です。
マニラダウンタウンを洪水から救ったマンガハン放水路
地震に強い小学校
─ インドネシア 学校を拠点とした復興支援 ─
スマトラ沖地震により、パダン市をはじめとする震源地に近
い 地 域 で は 多 数 の 建 物 が 倒 壊 し ま し た。学 校 に つ い て は、
2,164 棟が大破したため、これらの早急な再建が求められ、平
時には生徒が安心して学べ、災害時には地域住民が安心して避
難できる施設としての機能が求められました。
このような状況を受けて、JICA は、被災地の学校再建計画の
中で、耐震設計のモデル校を建設するとともに同校区において
コミュニティ防災を実施して災害に負けない社会造りを支援し
ました。さらに、安全な学校建設のための設計、施工監理等に
関するマニュアルを策定し、学校建設における耐震性向上に努
めました。その後、被災した小学校 6 校、中学校 3 校が無償資
金協力によって再建されました。
インドネシアの学校
耐震強化策の研修
Japan International Cooperation Agency
06
戦略目標
4
【迅速かつ効果的な備えとレスポンス】
自然災害の被害軽減には、事前の予防策により被害そのもの
の一連の対応能力向上のための支援を行っており、技術官庁の
をすべての災害から守る事は困難で、予算的にも限界がありま
す。このため、予防による対応が困難な自然災害から特に人命
を守るためには、自然災害発生の直前や直後の対応が必要です。
その対応とは、自然災害の発生を早期に予測し、予報や警報情
報を迅速に伝達し、そして情報に従って適切に警戒や避難を行
うことや、万が一被災した場合には、被災者・地域を早急に救
援(人命救助、医療、支援物資など)することです。JICA は、こ
中央機関から地方自治体そして住民に至るまでの情報伝達能力
や災害リスクに対する認識向上のための支援、防災訓練などの
警戒避難体制や応急対応体制の支援を行っています。
また、JICA は災害地域への緊急支援も実施しており、救助チ
ームや医療チームの派遣といった人命救助や、緊急支援物資の
支援等の被災者支援を行っています。
を可能な限り小さくすることが望ましいですが、すべての地域
被害が激減した成功事例
─ バングラデシュ サイクロンシェルター ─
バングラデシュでは、毎年のようにサイクロンや洪水被害に
遭っています。大型サイクロンの襲来時には、高潮によって潮
位が 5 ∼ 6mも上昇し、最大風速は 70m に至ることもあり、
多くの人命、家畜、財産が被害を受けています。特にベンガル
湾沿岸地帯では、1991 年に発生したサイクロンにより 14 万
人もの人命が失われています。
死亡者が発生するケースの多くが、防潮堤の外側に住んでい
る貧困農民や漁民が高潮に飲み込まれたり、暴風に飛ばされた
り、樹木やトタン板が人に直撃することによると言われていま
す。このようなサイクロン被害を軽減するため、日本の無償資
金協力により 117ヵ所の多目的サイクロンシェルターやバン
グラデシュ全土をカバーする五つの気象観測レーダーを整備し
ました。自国予算や他国の支援により数多くのサイクロンシェ
ルターが整備され、下図のように 2007 年の同規模のサイクロ
ンでは被害者が激減しました。
1,500
-
─ インドネシア アンボン天然ダム決壊 ─
2012 年 7 月、インドネシア・アンボン島で高さ約 110m、
満水湛水量約 1,500 万m3 と推定される大規模な天然ダムが形
成されました。JICA は専門家チームを派遣し、現地調査を踏ま
え、必要な対策をインドネシア公共事業省に提案しました。こ
の提案に沿い、インドネシア国はダム堤体の監視、情報伝達方
法の確認、警戒避難の体制整備、避難訓練や放水路の建設など
を実施し、さらに(独)土木研究所の技術支援によるダム湖水
位の共同観測等の対策を行いました。
1 年後の 2013 年 7 月に天然ダムが決壊し、大規模な土石
流 が 発 生 し ま し た が、
この支援により事前に
避 難 が な さ れ 2km 下
流にある村の住民約
5000 人の人命被害は
最小限に抑えることが
できました。
(人)
400,000
300,000
1,000
500
天然ダムの決壊から5000人を救う
アンボン 調査活動
バングラデシュ サイクロンシェルターの建設と
サイクロン被害者の推移
(戸)
2,000
予警報能力(技術や気象レーダー等の施設)向上のための支援、
死亡者数
51
1970
サイクロン
シェルター数
1,637
300,000
200,000
138,866
383
1991
100,000
4,275
2007
-
サイクロンシェルター
気象レーダー
被災地域に迅速な支援を ─ 国際緊急援助体制 ─
世界各地では、地震、洪水などの大規模な災害により多くの
人命や財産が失われています。特に開発途上地域では、経済・
社会基盤が脆弱であるため、災害により大きな被害を受ける国
が多くあります。JICA では、日本の災害対応の貴重な経験を活
かして国際緊急援助体制を構築し、世界各地における大規模災
害の救援活動を実施しています。
JICA の実施する国際緊急援助は、人的援助である国際緊急
援助隊と物的援助である緊急援助物資供与があります。
国際緊急援助隊は、救助チーム、医療チーム、専門家チーム、
自衛隊部隊からなり、災害の種類や被災地の要請に応じて、い
ずれかのチームを単独で、あるいは複数のチームを組み合わ
07
Japan International Cooperation Agency
せた形で派遣します。2013 年 11 月にフィリピンを襲った台
風 30 号の対応では、医療チ
ー ム の 派 遣(計 3 チ ー ム、
約 3,300 名を診察)
、2 件の
専門家チームの派遣(早期
復旧、油防除)
、物資供与(テ
ント、スリーピングパッド、
プラスチックシート等)を
組み合わせた包括支援を行
い、被害の緩和に大きく貢
献しました。
医療チームの活動 (2013 年 12 月)
戦略目標
5
【より災害に強い社会へのシームレスな復旧と復興】
災害後の復旧・復興に際しては、災害前の姿に戻るのではな
の後に取り組むことは到底困難です。
するための取り組みが必要と考えています。より災害に強い社
会の構築に向けた具体的な取り組みは、開発戦略目標1∼4の
取り組みと重なりまずが、災害後の復旧・復興の段階で防災の
視点も踏まえるというものです。防災への配慮は、各事業にと
ってコスト増や土地利用の変更等といった社会的な対応も必要
となり、容易に進められるものばかりではありませんが、災害
発生後にこそ取り組むことができなければ、社会が復興したそ
れぞれ個別に行われ連携が十分でなかったという反省から、災
害後の緊急支援と復旧・復興支援をシームレスに実施し、迅速
でニーズに即した復旧・復興支援を行うべく取り組んでいまし
た。今後は防災の主流化を念頭に、このシームレスな取り組み
に加えて「より災害に強い社会への復旧・復興」を主な取り組
みに加え、JICA の災害後の支援の付加価値をさらに高めてい
きます。
く、
“Build Back Better”の概念の下、より災害に強い社会に
2011年洪水発生
2011/11/8 「復興戦略対策」2つの戦略委員会
2011/12/27 マスタープラン骨子発表
2012/1/26 洪水復興緊急勅令⇒3500億バーツ
2012/2/7 洪水対応一元管理組織設置
タイ国政府へのアドバイザー派遣
JICA・日本政府
世界経済に大きな影響を与えた 2011 年のタイ国チャオプラヤ
川への洪水に対し、右図に示すように、緊急援助といった応急対応
から、復旧・復興支援につなげるためのニーズ調査、首相・副首
相が議長を務める今後の国家大方針を決める戦略委員会の唯一
の外国人顧問として JICA 専門家の派遣、そして災害に強い社会
構築といった一連の継続的な復旧・復興支援を行っています。
復旧・復興支援では、非常に精度の高い地形図を作成し、そ
の地形図を元に、主に農地にして計画的な洪水氾濫を許しつつ、
重要地域を守る洪水対策計画を策定し、農業分野に対しては災
害に強い農業・農村づくりのためのガイドラインを作成しまし
た。そして、特に産業界からの強いニーズに対応し、洪水氾濫
予測システムを構築しました。このシステムは、これまでの世
の中で一般的な河川の水位予測だけでなく、1 週間先までの洪
水氾濫を予測できる世界で唯一のシステムです。これらの技術
的な支援に加えて、水門の強化や重要道路の嵩上げなどの防災
投資も行い、他のセクターに跨る対応を展開しました。
タイ政府
迅速で幅広い支援
─ 2011年 タイ洪水対応 ─
また、これまで JICA は、過去に緊急対応と復旧・復興がそ
緊急援助
緊急援助物資、緊急援助隊専門家チーム(洪水対策専門家、排水ポンプ車、保健分野)
ニーズ調査
洪水対策、工業団地復旧、農業分野
洪水対策マスタープラン策定
詳細地形図作成
洪水予測システム構築
災害に強い農業・農村づくり
復旧・復興対策(水門強化・重要道路の嵩上げ)
2011 年 タイ洪水の様子
タイ国首相から直接支援を要請される
“Build Back Better”を掲げた復旧・復興計画に防災の視点を取り入れた事例
─ 2013年 フィリピン 台風ヨランダ災害緊急復旧復興支援プロジェクト ─
2013 年 11 月 8 日、
「過去に類を見ないほどの規模」と形容
された台風 30 号(国際名:ハイエン、フィリピン名:ヨランダ)は、
フ ィ リ ピ ン 中 部 の ビ サ ヤ 地 方 を 中 心 に 横 断 し(最 高 風 速
312km/h、4 ∼ 7m の高潮が発生)
、全 17 地域中 9 地域に甚大
な被害を与え、死者は 6,000 名超、被災家屋は 100 万戸超に達
して、400 万人以上の避難民が報告されており、フィリピン共和
国の過去の台風災害としても最悪の被害が発生しました。
日本政府は国際緊急援助隊医療チームの派遣行い、さらに専門家
チームを派遣し被災状況の把握と復旧に向けたニーズ調査をいち早く
開始しました。JICA からは復興に当たって Build Back Better のコ
ンセプトを政権中枢に強く打ち込
み、フィリピン政府の台風ヨランダ
復 興 支 援 計 画 のコン セ プトには
「Build Back Better」が 明 示され、
緊急支援(開発計画調査型技術協
力)にシームレスにつなげています。
2014 年 2 月より JICA は緊急
復興支援として、
「台風ヨランダ
災害緊急復旧復興支援プロジェ
クト」を実施しています。フィリ
ピン政府は、日本に対して、東日
本大震災等の災害からの復興経
フィリピン政府復興計画書
験に基づく技術的助言を含めた支援を期待しており、本プロジェク
トは単なる復旧復興ではなく、日本の経験と教訓を参考にしつつ、
被災地域の早期復旧・復興、そしてより災害に強い社会及びコミ
ュニティの形成について、その一連のプロセスを包括的に支援す
ることを目的としています。また、特に、復旧復興計画の策定では、
東日本大 震災の関係
自治 体のご協力も得
つつ、災害からの復旧
と将 来的な同様の災
害への備えをどの様に
進 めていくのか 検 討
し、強 靭 な 都 市・地
域復旧復 興に向けて
フィリピン レイテ島の被害状況
取り組んでいきます。
災 害 支 援 で は、被 災
二次防御兼用道路
者の生活の再建が大
きな課題となるため、
道路嵩上げ
安全区域
本プロジェクトでも生
活の再建にも重 点を
非居住区域
開発管理区域
おき、持続的な生活再
建への道 筋を構 築し
たいと考えています。
Build Back Better の一例
Japan International Cooperation Agency
08
日本は発展途上の時代から防災に十分な予算を配分
8,000,000
8.0
6,000,000
7.0
5,000,000
6.0
4,000,000
5.0
3,000,000
4.0
2,000,000
3.0
1,000,000
2.0
0
1.0
37 39 41 43 45 47 49 51 53 55 57 59 61 63 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24
(米ドル)
30,000
20,000
10,000
0
37 39 41 43 45 47 49 51 53 55 57 59 61 63 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24
昭和
平成
(年度)
1人当たりの GDP(購買力平価ベース)の推移
防災投資の効果は明白
日本の災害被害の推移について
15,859
(死者)
自然災害による死者・行方不明者数の推移
(人)
16,000
東日本大震災
18,880人
14,000
12,000
0
5,868
伊勢湾台風
5,098人
528
902
381
575
307
367
578
607
259
183
163
350
587
85
324
213
273
174
153
208
148
232
524
301
199
199
148
69
93
96
123
190
19
437
39
2,000
1,504
1,950
4,000
3,212
2,926
727
765
1,515
2,120
6,062
6,000
福井地震
3,769人
4,897
8,000
阪神・淡路大震災
6,437人
三河地震2,306人
枕崎台風3,756人
10,000
975
1,210
1,291
449
我が国は長年に亘り防災分野への事前の投資を継続的に実施
してきました。1940 年代後半から 1950 年代の、地震、台風等
の災害以降、制度改革や事前防災投資の強化を図り、1959 年以
降は死者・行方不明者は著しく減少しました。
1995 年の阪神・淡路大震災では、主に家屋の倒壊により、死
者・行方不明者 6 千人以上という甚大な被害をもたらしました。
この後、耐震基準の見直し・耐震化を推進しました。
2011 年の東日本大震災では 2 万人近くの死者・行方不明者
という被害が生じましたが、地震による建物の倒壊は最小限に
抑えられたものの、想定を超える高さの津波が被災地を襲い、甚
大な被害をもたらしました。この経験から、想定外の規模の災害
への備えの重要性が再認識され、JICA はこれら我が国の災害の
教訓の発信を強化しています。
9.0
7,000,000
3,021
(行方不明者)
257
(それ以外)
割合で予算配分をしており、防災への事前の投資により減災へ
の取り組みが推進されていることが見て取れます。特に、1995
月 17 日の阪神淡路大震災や 2011 年 3 月 11 日の東日本大震
災の被災を受け、応急対応や復旧復興に必要な資金も確保しつ
つ、被災を契機として災害に強いまちづくり、強靭な国土の構
築を実現してきました。また、防災教育やコミュニティ防災と
いったソフト対策も重要視されており、防災意識の啓発への取
り組みを平時より行うことで防災に強い文化が国、地方、コミ
ュニティの中で醸成され、災害に強い強靭な国家の実現に向け
た努力が続けられています。
(%)
10.0
防災関係予算合計予算額(補正後予算額)
防災関係予算合計対一般会計
6,482
我が国は長年に亘り防災対策には一般会計予算の中でも高い
日本の防災関係予算額の推移
(百万円)
9,000,000
84
71
109
141
78
90
48
62
327
153
177
39
100
115
89
我が国における防災予算額の推移(図は内閣府のデータ)
1945 47 49 51 53 55 57 59 61 63 65 67 69 71 73 75 77 79 81 83 85 87 89 91 93 95 97 99 01 03 05 07 09 11 〃〃
46 48 50 52 54 56 58 60 62 64 66 68 70 72 74 76 78 80 82 84 86 88 90 92 94 96 98 2000 02 04 06 08 10
(資料)
平成24年版防災白書
防災投資は経済発展にも貢献
防災投資の経済評価(DR2AD、ディーラッド)モデル
GDP
防災投資と開発の関係模式図
災害が起こらない場合の経済成長
防災投資有り、 災害有り
防災投資無し、 災害有り
災害発生
や財務省高官や国際社会に対して防災への事前投資の効果と重
要性を示すためのツールであり、各国において防災投資が促進
されることで防災主流化の促進に貢献したいと考えています。
09
Japan International Cooperation Agency
直接被害
めているところです。DR2AD は特に途上国政府のハイレベル
10
防災投資の効果
防災投資の
有無による
経済成長の違い
これまで我が国が防災分野を優先課題と位置づけ、事前投資
を継続的に実施してきたことで死者数の削減が図られたことは
上記で見てきたとおりです。しかしながら、防災対策の有無によ
り経済発展のプロセスにどのような影響を与えるのかといった
部分についてはこれまで定量的に提示できてはいませんでした。
その結果 1980-2009 の防災対策への事前投資は災害対策全
体の 3.6%にとどまっており、災害の度に人的、経済的被害に
苦しみ、結果として被災国の持続的な開発を阻害してきました。
JICA は貧困と災害の負のスパイラルを断ち切り、発災前に減
災を図り、災害の被害を最小限に食い止めるため、防災投資の
有 効 性 を 明 ら か に す べ く、防 災 投 資 の 経 済 評 価 モ デ ル
(Disaster Risk Reduction Investments Accounts for
Development:DR2AD) を開発し、現在もモデルの改定を進
復興の遅れ
復旧の遅れ
年
防災の主流化に向けたJICAの取り組み
防災の主流化とは、一般的には①政府が防災を政策の優先課
て防災の視点を考慮した事業や調査を実施していますが、今後
すること、③防災投資を増大させること、と言われています。
JICA は日本の経験にも基づき防災投資の必要性を強調するた
め、
「防災投資の経済評価モデル(9 頁参照)」を構築し、途上国
政府の政策決定者に向けて、防災投資を啓発する活動を行って
います。また、JICA はこれまでも他の分野(セクター)におい
り込むべく、先行事例である環境社会配慮やジェンダーを参考
に、災害リスクの事前評価やリスクがある場合の調査及び対策
の実施など、事業実施前の段階から防災に配慮するための制度
構築も検討しています。
題とすること、②すべての開発政策・計画に防災の視点を導入
も開発のあらゆる分野のあらゆる段階において防災の視点を取
事前対策で洪水時にも地下鉄運行
台風に強い病院
─ タイ バンコク地下鉄ブルーライン ─
タイの首都バンコクの重要な市民の交通手段である地下鉄ブル
ーラインは、日本の支援により事業化調査、建設が行われ、2004
年に開通しました。バンコクは洪水の多い地域に位置しているこ
とから、地下鉄入口を歩道から高くし、洪水時に水が構内に入ら
ないようにしている他、地下鉄入口に遮水板を設置できる構造に
する、換気口を高い位置に設置する、排水ポンプを設置するなど、
洪水対策が考慮されています。また、洪水の状況に応じ、駅閉鎖な
どの手順も定められており、安全に
公共交通機関を運営できる体制を整
洪水防御の為
1m 程度嵩上げ
えました。2011 年の大洪水の際は、
空港、道路が閉鎖される中、ブルーラ
インは浸水地域でも地下鉄構内へ水
は侵入せず、継続して運行しました。
ブルーラインの入り口
─ フィリピン オーロラ記念病院 ─
フィリピン中央ルソン地域のオーロラ州は、台風の通過地域であ
り、年間2∼3の台風が上陸します。台風時期には頻繁に道路が遮
断されることが多く、地域で十分な医療ができない状態でした。
そのため、オーロラ記念病院の病院施設の新設、医療機材の整
備を支援し、手術や集中治療などが実施できるようにし、災害時
にも住民の健康を守る体制としました。
また、台風に対応できるよう沖縄の建造物の仕様を参考に強
い設計とし、浸水に配慮して基礎を高くするなど、頻繁な台風の
来襲に影響されない作りとしています。
2013 年の大型台風ヨランダがフィリ
ピンを通過した際にも、オーロラ記念病
院の被害は少なく、継続して治療を続け
ることができました。
オーロラ記念病院
サイクロン避難場所兼用小学校
─ ミャンマー サイクロン
「ナルギス」
被災地小学校兼サイクロンシェルター建設計画 ─
ミャンマーは、2008 年のサイクロン「ナルギス」で死者・行
方不明者約 13.8 万人という甚大な被害を受けました。多くの
死者が出たのは、避難場所が無く、高潮から逃げられなかった
ことも一因です。このため、被災した学校を再建するにあたっ
て、学校の床を高くし、強い構造で安全性を高めると共に、学
校に避難所の機能を持たせました。
安全で良好な教育環境を復旧させると同時に、周辺住民のサ
イクロン被災のリスクの軽減を
図 っ て い ま す。平 常 時 は 学 校 と
して利用されることから施設利
用 率 は 高 く、ま た 維 持 管 理 も さ
れ、災 害 時 に 使 用 で き る 状 態 を
確保することができます。
民間セクターの防災への巻き込み
再建された小学校で学ぶ子ども
∼ 広域BCP/BCM ∼
広域BCP/BCMは全関係者の防災と成長に寄与
2011 年に発生した東日本大震災やタイ国のチャオプラヤ川の洪
水は、電力や用水等の供給不足、通信や道路の寸断等により多くの
中央政府/関係機関、
地方政府/関係機関
企業の事業に影響を与え、直接的な被害だけでなく、国家や地域の
リスク分析
Area BCP/BCM
経済へ大きな損失をもたらしました。そして、災害発生による事業
サービスの
情報提供
防災
事業継続能力向上
安定供給
防災に配慮した
計画的復旧
広域的連携
停滞リスクの大きさや、災害は地域や国家経済のみならず、世界経
リスク分析
地域の産業競争力向上
成長
情報提供
民間企業の参入促進
地域産業の振興
防災に配慮した
済へ影響を及ぼすことが強く認識されるようになりました。
雇用創出
広域的連携
大規模災害では、基幹的なインフラの機能が停止するため、各企
サービスの安定供給
計画的復旧
業での対策には限界があります。また、地方自治体や国にとっても、
企業
交通インフラの管理者
工業団地の開発者
ライフラインの管理者
地域の基幹産業の被害は、雇用、税収、国家や地域への信頼にも関わ
事業継続・早期復旧による
サービスの継続的利用
る問題です。このため、民間セクターと政府とインフラ事業者が連
携して、災害リスク対策・管理に取り組むことが求められます。
住民 雇用の維持、就労機会の拡大、地域コミュニティの活性化、災害時の早期復旧(生活/産業/地域)
広域 BCP(Business Continuity Plan)とは、大規模な自然災害
が発生した場合においても、地域における経済活動の停滞を最小限に抑え、早期の復旧を目的として、地域内の自治体やインフラ
事業者、企業等が共通認識を持ってぞれぞれの防災対策や BCP 等を進められるように、関係者で重要な情報を理解して共有する
ための計画/枠組みです。また、広域 BCM(Business Continuity Management)とは、策定した広域 BCP を足掛かりに、地域
内で継続的に災害時対応を検討・実践・振り返る等を通じて変化する環境やリスクに対応していく、官・民を含む地域社会の防
災力(能力)を向上させるシステムです。
Japan International Cooperation Agency
10
支援実績
凡 例
支援額(億円)
火山
その他
総合防災
防災分野におけるJICAの支援実績
(2003年度∼2012年度)
0.1
技術協力※1
(Loan)
※1 : 技術協力プロジェクト、開
発調査、無償の事前調査等。
※2 : 無 償 資 金 協 力 の う ち JICA
が実施監理・促進を行って
いるもの。
※3 : 2008 年 10 月 統 合 以 前 の
JBIC 案件を含む。
(Loan)
Ⓐ専門家
Ⓑ研修員
分野
(派遣人数)
(受入人数)
00
①火 山
00
00
②地 震
00
00
③洪 水
00
00
④土 砂
00
00
⑤熱帯低気圧
00
00
00
⑥気象観測
00
00
⑦総合防災
00
00
⑧そ の 他
(Loan)
367.4 240.4 355.5
2.7
(TA)
0.1
(GA)
3.9
7.1
総額
Ⓐ
−
54
46
58
−
−
1
9
168人
総額
0 億円
分野
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
Ⓑ
4
178
45
11
−
2
41
14
60.8
22.2
10.1
9.1
4.5
総額 245 億円
295人
総額 4,019 億円
Ⓑ
83
970
812
27
13
204
714
158
217人
305人
Ⓐ
16
40
47
76
−
106
11
9
総額
分野
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
Ⓑ
16
52
161
21
−
26
32
68
5 億円
376人
Ⓐ
−
183
−
−
2
6
26
−
分野
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
総額
0 億円
(TA)
0.5 0.4 0.7
21.2
0.4
31.7
13.7
(Loan)
19.4
68.1
36.9 4.0
(TA)
5.2
396人
190人
(GA)
15.4
0.7 1.6 2.7
総額 14 億円
Ⓐ
−
287
90
17
−
−
1
1
0 億円
中南米
(GA)
総額 53 億円
Ⓑ
1
43
41
−
−
21
78
6
総額
2,981人
31.2
9.7
総額 53 億円
7.5
総額 31 億円
中 東
4.8
26.4
2.3
0.7 0.1
総額 14 億円
Ⓐ
分野
258
①
1,995 ②
883
③
92
④
57
⑤
617
⑥
859
⑦
75
⑧
(Loan)
6.2
128.2
16.6
総額 370 億円
(GA)
人
1,997.9
14.8
0 億円
アフリカ
3.7
1
326.5
147.2
4,836人
(TA)
5.2 2.3
10
(Loan)
2.0 1.9
13.1
222.3
総額 23 億円
1000 100
太洋州
(GA)
10.2
9.9
3.5
0.4
有償資金協力※3
(GA)
人数実績
528.6
63.5 5.1 5.9
87.3
土砂
無償資金協力※2
(TA)
(TA)
34.9
洪水
熱帯低気圧
土砂
アジア
(GA)
1.5
2.1
熱帯低気圧
土砂
地震
気象観測
Ⓑ
0.8
洪水
気象観測
火山
その他
総合防災
地震
Ⓐ
欧 州
洪水
熱帯低気圧
2003 年度∼ 2012 年度における、防災関連事業の(1)経費
実績(技術協力、外務省が実施する無償資金協力のうち JICA
が実施監理・促進を行う分、有償資金協力)、
(2)人数実績(専
門家派遣と研修員の人数)、それぞれの累計を災害対策の種類
別、地域別に分類して示しています。
(TA)
2.9 0.1
総合防災
地震
気象観測
火山
その他
分野
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
Ⓑ
4
149
238
6
−
11
23
54
482人
総額 119 億円
8.3
14.4
総額 81 億円
496人
(Loan)
7.9
6.4
総額 23 億円
Ⓐ
18
208
59
13
−
6
189
3
分野
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
Ⓑ
69
177
81
5
−
24
330
175
総額
0 億円
861人
■支援額
防災分野における技術協力の累計額は 621 億円です。地域別では、アジアが 370 億円で 59.6%を占め、以下、中南米が 81 億円(13.0%)、中東が 54 億円(8.8%)
と続きます。災害種別では、洪水対応が 233 億円で 37.5%を占め、地震対応が 144 億円(23.2%)、総合防災が 111 億円(17.9%)などとなっています。
無償資金協力のうち JICA が実施監理・促進をおこなう分の累計額は、317 億円です。地域別では、アジアが最も多く245 億円と全体の 77.4%と圧倒的に多く、以下、
大洋州が 31 億円(9.6%)
、中南米が 23 億円(7.1%)と続きます。災害種別では洪水対応が 159 億円で 50.3%を占め、気象観測が 68 億円(21.5%)、地震対応
が 24 億円(7.7%)などとなっています。
有償資金協力の累計額は、4,138 億円です。地域別では、アジアが 4,019 億円で全体の 97.1%と圧倒的に多く、以下、中東が 119 億円(2.9%)と続きます。災害
種別では洪水対応が 2,046 億円で 49.4% を占め、総合防災が 529 億円(12.8%)
、地震対応が 375 億円(9.1%)などとなっています。
■専門家派遣
防災分野における派遣専門家の累計人数は、6,418 人です。地域別では、アジアが 4,836 人で全体の 75.4% を占め、以下、中南米が 496 人(7.7%)、中東が
396 人(6.2%)と続きます。災害種別では、地震対応が 2,767 人(43.1%)と最も多く、以下、洪水対応が 1,125 人(17.5%)、総合防災が 1,087 人(16.9%)な
どとなっています。
■研修員受入
防災分野における研修員の累計受入人数は、5,185 人です。地域別では、アジアが 2,981 人で全体の 57.5%を占め、以下、中南米が 861 人(16.6%)
、中東が
482 人(9.3%)と続きます。災害種別では、地震対応が 1,569 人(30.3%)と最も多く、以下、洪水対応が 1,378 人(26.6%)、総合防災が 1,218 人(23.5%)な
どとなっています。
(注)類型額、割合は四捨五入の関係により、一致しないことがある。
Ver. 2.0
2014.6
古紙パルプ配合率70%再生紙を使用
Fly UP