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2007年11月号 - 信金中金 地域・中小企業研究所

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2007年11月号 - 信金中金 地域・中小企業研究所
ISSN1346-9479
2007.11
第 6 巻 第 1 2 号(通巻 4 1 9 号 )
特集「高齢化」
豊 か なセカンドライフを目指して
座談 会
「高 齢 者のライフスタイルと金融機関のサービス」
高 齢 化の進展と家計の消費・貯蓄動向
−団塊の世代の消費意欲は旺盛だが、長期的には消費・貯蓄の両面でマイナスの影響−
団 塊 世代のライフスタイルと市場動向
−団塊世代市場に向けた中小企業等の取組事例−
高齢者の貯蓄状況と金融機関の高齢者向け商品・サービス動向
−高リスク資産の保有とリバースモーゲージの商品性改善が課題−
第129回全国中小企業景気動向調査
7 ∼ 9 月期業況は弱含み横ばい圏で推移
特別調査−中小企業の事業継承について
統計
「信金中金月報掲載論文」募集のお知らせ
○対象分野は、当研究所の研究分野でもある「地域」
「中小企業」
「協同組織」に関連する金融・
経済分野とし、これら分野の研究の奨励を通じて、研究者の育成を図り、もって我が国におけ
る当該分野の学術研究振興に寄与することを目的としています。
○かかる目的を効果的に実現するため、本論文募集は、①懸賞論文と異なり、募集期限を設けな
い随時募集として息の長い取り組みを目指していること、②要改善点を指摘し、加筆修正後の
再応募を認める場合があること、を特徴としています。
○信金中金月報への応募論文の掲載可否は、編集委員会が委嘱する審査員の審査結果に基づき、
編集委員会が決定するという、いわゆるレフェリー制を採用しており、本月報に掲載された論
文は当研究所ホームページにも掲載することで、広く一般に公表する機会を設けております。
詳しくは、当研究所ホームページ(http://www.scbri.jp/)に掲載されている募集要項等をご
参照ください。
編集委員会 (敬称略、順不同)
委 員 長
堀内昭義
中央大学総合政策学部教授
副委員長
藤野次雄
横浜市立大学国際総合科学部長
委 員
筒井義郎
大阪大学社会経済研究所教授
委 員
濱田康行
北海道大学経済学部教授
委 員
吉野直行
慶應義塾大学経済学部教授
問い合わせ先
信金中央金庫総合研究所「信金中金月報掲載論文」募集事務局(担当:鈴木、照沼)
Tel : 03(3563)7541/Fax : 03
(3563)7551
2007年11月号 目次
特集「高齢化」
豊かなセカンドライフを目指して
座 談 会
藤野次雄
「高齢者のライフスタイルと金融機関のサービス」
横浜市立大学大学院 国際総合科学研究科教授
齊藤毅憲
生活経済ジャーナリスト
高橋伸子
司会 信金中央金庫 総合研究所顧問
(横浜市立大学 国際総合科学部長)
藤野次雄
■
研 究
4
高齢化の進展と家計の消費・貯蓄動向
角田 匠
23
団塊世代のライフスタイルと市場動向
平井昌夫
38
間下 聡
61
総合研究所
76
−団塊の世代の消費意欲は旺盛だが、長期的には消費・貯蓄の両面でマイナスの影響−
−団塊世代市場に向けた中小企業等の取組事例−
高齢者の貯蓄状況と金融機関の高齢者向け商品・サービス動向
−高リスク資産の保有とリバースモーゲージの商品性改善が課題−
調 査
2
第129回全国中小企業景気動向調査
7∼9月期業況は弱含み横ばい圏で推移
特別調査−中小企業の事業継承について
信金中金だより
信金中央金庫総合研究所活動状況(9月)
88
統 計
信用金庫統計、金融機関業態別統計
89
2007
11
個人名による掲載文のうち意見にわたる部分は執筆者個人の見解です。
投資・施策実施等についてはご自身の判断によってください。
豊かなセカンドライフを目指して
信
金
中
総合研究所顧問
央
金
庫
藤野 次雄
(横浜市立大学国際総合科学部長)
最近、高校時代の同窓会に出席する機会を得た。私は、1947年12月生れで、もうすぐ60歳
になるのだが、久しぶりに高校時代の友人に会って、その若々しさに本当に驚いた。女性は、
子供が独立し、自分の身の回りのことを気遣う余裕が出てきたのか、服装は華やかで、話の内
容も旅行やスポーツ、様々な趣味にまで多岐に渡り、日々の生活の充実さが感じられた。男性
は、ほぼ定年を迎え、お互い名刺交換をしなくなり、髪の薄さは少々気になるものの、社会人
としての責任を果たしたという満足感が漂っていた。皆、
「これからの人生を楽しむ」という
意気込みがひしひしと感じられた。
つけ加えるなら、案内をもらった時は戸惑いがあったものの、500人中120~130人もの同窓
生が出席して、皆からたくさんの元気を吸収できたことがとてもうれしかった。
私たちは、団塊の世代と呼ばれる。この世代の定義はいくつかあるようだが、一番ポピュラ
ーなものとして、1947年から1949年の3年間に生まれた世代を指す。その3年間の出生数は約
806万人にのぼり、2006年時点での57歳から59歳は677万人と総人口の5.3%を占める。私が小
学生だった頃を思い出すと、教室は急ごしらえのプレハブで、60人ぐらいの子供が1つの教室
にひしめきあい、最後尾までぎっしり机が並んで、後ろは人が通れないほどだった。その後も、
まさに大きな塊の中にあって、常に競争を強いられた世代だった。
この世代が2007年から一斉に定年退職するため、人手不足を招いたり、年金制度への影響が
懸念されたりしている。その一方で、消費活動の主役を演じるのではないか、わが国の地域社
会の担い手になるのではないか、と期待もされている。また、金融機関は、来るべき団塊の世
代の退職金の取り込みを狙って、さまざまな高齢者向け商品の開発にしのぎを削っている。こ
のように団塊の世代を見る目は、ネガティブなものから新たなビジネスチャンスとしてポジテ
ィブにとらえるものまで千差万別なのだが、私自身はその大きな塊の一人として、わりと楽観
的に考えている。
信金中金月報 2007.11
今回、4年ほど前に『アクティブ・シニアの消費行動』という本を、私と一緒に共同執筆し
た横浜市立大学の齊藤毅憲教授と、家計の問題に専門的に取り組み、消費者の立場から金融を
みている生活経済ジャーナリストの高橋伸子さんを招いて、
「高齢者のライフスタイルと金融
機関のサービス」というテーマで座談会を行なった。
そこで、信金中金月報11月号を「高齢化」をテーマにした特集号とし、このときの座談会の
内容を巻頭に掲載している。さらに、当研究所の研究員が執筆した「高齢化の進展と家計の消
費・貯蓄動向」
「団塊世代のライフスタイルと市場動向」
「高齢者の貯蓄状況と金融機関の高齢
者向け商品・サービス動向」の各レポートを本号に掲載している。
座談会の中で、団塊の世代や65歳から74歳までのいわゆる前期高齢者のライフスタイルにつ
いて話をした際、セカンドライフ(第二の人生)
、多様化、自分らしい生き方、自立などがキ
ーワードとしてあげられ、
「高齢者」という言葉からくる暗さや孤独感などは感じられなかっ
た。むしろ時間とお金に余裕があり、自立して生き生きと生活している人間像が浮かびあがっ
た。現代は寿命が伸びて、私たちが一般的にイメージしている老人、年寄というのは、75歳以
上の後期高齢者にあたるのかもしれない。座談会での発言にあるように、春夏秋冬に例える年
齢は、確実に後ろにずれているといってよい。
とはいえ、こうした生活を送るためには、経済的な基盤がしっかりしていることが前提であ
ろう。私たちの世代の男性は、働いてお金を稼ぐことに一生懸命で、お金を貯めることについ
てはパートナーまかせ、奥さんに持ち逃げされても、額も資産内容も取引金融機関もわからな
いと、座談会の中では笑い話になった。座談会の後半では、話題の中心が老後を見据えたマネ
ープランに移り、満足のいくセカンドライフを送るためには、自分自身が資産形成や金融商品
に関わる勉強を地道にしていくことが重要だということになった。大学で金融論を研究してい
るかくいう私も、自分の資産の運用のこととなると自慢できるようなことはなく、自省させら
れることしきりだった。
幸いにも公立大学法人の職員である私は、定年の65歳まで5年ほど猶予期間がある。高齢者
への仲間入りをする前に、最適な運用モデルを構築し、豊かなセカンドライフを送れるように
したい。
数年後に開催されるかもしれない同窓会にも、生き生きとした自分で出席できるようにする
ために。
座談会
「高齢者のライフスタイルと金融機関のサービス」
横浜市立大学大学院 国際総合科学研究科教授 齊藤 毅憲
生活経済ジャーナリスト 高橋 伸子
司会 信金中央金庫 総合研究所顧問 藤野 次雄
■
(横浜市立大学 国際総合科学部長) (順不同・敬称略)
■高齢者のライフスタイルの変化
価値観などが、これまでの高齢者と変わって
いるのかという話から始めたいと思います。
藤野:2007年から2010年にかけて、
「団塊の
その前に、高齢者の捉え方について、齊藤先
世代」が一斉に定年退職をするため、社会に
生が人生を四季に見立てて、特徴付けをされ
大きな影響をもたらすと言われています。
ています。
わが国は急速に高齢化が進展していくと予
想されていますが、高齢者が今後、消費や金
融の面で、どのような影響を及ぼし、どのよ
■セカンドライフとは、成熟し、も
うひとつの人生を元気に自立して
生きること
うな行動をとっていくのかということを中心
に、お話をさせていただこうと思います。
そこで、今回は、4年ほど前に『アクティ
齊藤:私は、今年65歳になる「団塊の前の
世代」です。前期高齢者の入口にいるので、
ブ・シニアの消費行動』という本を、私と一
今日は、高齢者のひとりとして、この場に呼
緒に共同執筆した横浜市立大学の齊藤毅憲教
ばれたのだと勝手に解釈しています。
授と、家計の問題に専門的に取組み、消費者
私が40歳代後半の頃に、
「人生80年時代」
の立場から金融をみている生活経済ジャーナ
ということが言われていました。80年を4等
リストの高橋伸子さんをお招きし、
「高齢者
分して、20年ごとに4つのシーズンに分ける
のライフスタイルと金融機関のサービス」と
と、20歳までが春、40歳までが夏、60歳まで
いうテーマで座談会を開催します。
が秋、60歳からが冬ということになります。
まず、現在の高齢者の生活環境、行動様式、
信金中金月報 2007.11
ところが、いざ還暦を迎えたときに、この
設定でよかったのだろうかと考え直しまし
で生きてきたけれど、それが終わり、もうひ
た。人生が間延びしたというか、ずいぶん様
とつの別の人生が始まるというように私は理
子が変わってきて、30歳から35歳ぐらいま
解しています。
で春の時期が延びたような気がしました。そ
数年前、藤野先生と一緒に1,500人くらい
して還暦になって、エッセイの執筆依頼をう
の横浜の高齢者を対象に調査を行って、
『ア
けた時に、「厳しい暑い夏が終り、60歳から
クティブ・シニアの消費行動』という本を発
長い実りの秋が始まる」
と書きました。今は、
刊しました。
70歳代になっても現役の方もいるので、冬
というのは、80歳を過ぎてからではないか
というふうに感じています。
このアクティブ・シニアのキーワードは、
「マチュリティ(成熟)
」で、それは余裕と前
向きな姿勢を意味しています。昔の60歳は
定年を迎える60歳から65歳以降をよく「セ
老人という印象でしたが、今は、元気で健康
カンドライフ」と呼びます。㈳日本産業退職
ですから、前向きな姿勢で、いろいろなこと
者協会が『マチュリティ(成熟)
』という機
に積極的に取り組んでいます。
関紙を出版していて、このセカンドライフの
人びとのことを取扱っています。
もう1つは、自立ということがあると思い
ます。夫婦が子供から自立して生活したいと
セカンドの意味は2つあって、前のものに
か、女性もパートナーから独立して生きてい
つづく二次的・副次的なものという意味と、
こうということです。女性が家内から家外に
前のものとは別個のものという意味がありま
なったり、男性が家内になって食事の用意を
す。これまで、仕事中心、あるいは子供中心
したりするようになりました。男性について
座談会
子育てをする時期、子育てが終わってからが
秋、としています。セカンドライフはまさに
実りの秋で、ここをいかに長くするかが、人
生の豊かさにつながると考えます。秋をいか
に充実するかを重視して、冬はなるべく短い
方がよい(笑)
。自分自身もそうした考え方
で生きています。
いつから秋かという点については、団塊の
世代は50代半ばには子供が学校を卒業し就
齊藤 毅憲 横浜市立大学大学院
国際総合科学研究科教授
主 著:『経営学をいかに考えるか』
日本経営教育学会誌(2004)
『大学は地域を活性化できるか』
(監修)中央経済社(2005)
専門分野:経営学
研究内容:現代経営の諸問題、ヒューマン・
リソース・マネージメント論・行
政および都市経営論
職して、子育てが終わっている方も多いので
はないでしょうか。そうだとすると、60歳
代は秋たけなわ、ですね。ちなみに夫が団塊
の世代の私は、50代前半で秋を迎えました。
子育て中心の時期を終え、この3~4年は今
までできなかった仕事中心の状況です。いろ
いろやりたいことが出てきて、夏よりもアク
ティブになっているという感じですから、一
は、日々の生活的な自立について苦労する部
口に団塊の世代とか60歳代といっても、セ
分もありますが、以前の高齢者に比べれば、
カンドライフの過ごし方は、人によってさま
成熟、元気さ、自立といった点について、特
ざまだと思います。
に団塊の世代の人たちは、そのような特徴を
持っていると感じています。
■ライフプランで区切ると子育てが
終わると秋に
■退職男性は自立の時代
高橋:一般的に男性の60歳代は、仕事中心
だった生活からの切替えが起きる時期ですよ
ね。この10年間、60歳代の女性たちはそれ
藤野:齊藤先生から団塊の世代への応援メッ
ほど変わっていませんが、男性たちは大きく
セージをいただいたのですが、高橋さんは、
変わったと感じています。
60歳代のイメージをどのようにお持ちですか。
藤野:どう変わりましたか。
高橋:齊藤先生がご指摘なさっておられるよ
高橋:ちょっと前までは、例えば、定年退職
うに、秋が長くなっていますね。私は、ライ
後の男性を称して「濡れ落ち葉」とか「ワシ
フプランの研究をしていますが、人生の春は
も族」と評されたりしていました。妻がどこ
親から育てられる時期、夏は家族を形成して
かに行く時に「ワシも」とペタッとくっつい
信金中金月報 2007.11
てきたがるのが、10年くらい前の退職後の
男性の典型だったのでしょう。でも、今の退
職後の男性は違います。それなりに自立して
いる方が多いですね。
ライフプランニングの講座では、男性も女
性も、夏の時代までは家庭のライフプランだ
けでもよいですが、秋の時代からは、個人の
ライフプランも立てることを薦めています。
夫は夫で、妻は妻でライフプランを作って二
人でつきあわせてみたらどうでしょうか。夫
婦で全然違うことを考えていることに気づく
かもしれません。わが家のケースでは、私は
海辺に住みたい、夫は山がいいと、退職後に
住む場所の希望が違いました(笑)
。旅行し
たい先やきわめたい趣味も違いました。
高橋 伸子 生活経済ジャーナリスト
1998年7月 大蔵省金融審議会委員(現・
金融庁金融審議会委員)
2004年4月 東京証券取引所「東証アカデ
ミー」プリンシパル
(初代校長)
2006年6月 東京証券取引所社外取締役
(現在、
持株会社の取締役も兼任)
2007年6月 ㈱ベネッセコーポレーション
社外監査役
専 門 分 野:家計、金融、消費者政策
齊藤:朝起きる時間帯も違いますね。
■多様な生き方で「やりたい自分」
の時代に
■アクティブ・シニアのライフスタ
イルは多様化している
高橋:そうした作業を通じて、互いのセカン
藤野:高齢者のライフスタイルの変化の中
ドライフの夢や希望を知り、夫婦一緒がいい
で、団塊の世代特有にみられる特徴はあるの
部分と、個々の夢を実現する部分を分けて考
でしょうか。
えて互いを尊重しあうべきです。
齊藤:仕事のウエイトが減って、自由な時間
10年くらい前までは、男性も女性も自己
が増えてきて、これからは他の分野でアクテ
規制を厳しくして、妻は、夫は、こうあるべ
ィブな行動が見られています。私が住むマン
き、といった社会通念に非常に縛られていた
ションでは、子供会の人数は減りましたが、
と思います。それが、この10年間の不況を
シニアクラブのほうは増えています。昔は、
乗り越えて、団塊の世代の人たちが高齢期に
敬老会という名前で、誰かが世話をしてお年
入る段階になったら、みなが同じ方向に向か
寄りを楽しませてくれましたが、今は自分た
うわけではなくて、個性重視の時代になって
ちで運営して楽しく遊んで過ごそうというよ
きたと感じます。自分らしい生き方を選びや
うに変わっています。そこで、いろいろな分
すくなっているのではないでしょうか。
野でグループができています。
座談会
てしまうケースがあるようですね。ルールを
守ってコミュニティのあり方をきちんと理解
して行動する過程にあるのだと思います。女
性たちはもともと、そういったこだわりはあ
りませんけど。
齊藤:女性は、男性とちがってネクタイをは
ずして、どうするかというのがありません。
高橋:確かに。そういう視点からみると、上
藤野 次雄 信金中央金庫 総合研究所顧問
(横浜市立大学 国際総合科学部長)
2005年 金融庁金融審議会リレーションシ
ップバンキングのあり方に関する
ワーキンググループ委員
(1月~3月)
同年
横浜市立大学国際総合科学部学部長
主著:
『アクティブシニアの消費行動』中
央経済社(2003)
現在の研究課題:地域経済・金融、中小企
業金融
手にネクタイをはずして、おしゃれにいい遊
び方をする男性たちも増えているようです。
奥さんと違う行動をしていても、家で仲が良
ければよいわけですし、夫婦のあり方も多様
化してきています。
齊藤:女性の力が強くなってきているから、娘
をおさえたほうが勝ちという考えもあります。
高橋:日本では原始時代から、もともとは女
また、子供が家を出て、いなくなったかわ
性がリーダーシップをとっていた時代が長か
りに犬を飼ったり、旅行に行ったり、スポー
ったのです。たまたま、サラリーマン社会に
ツクラブ、ゴルフ、テニス、カラオケや農業・
なって男性主導になった。母娘主導は、人間
ガーデニング、
趣味の会といろいろあります。
のあるべき姿に戻っただけかもしれません。
高橋:それは、夫婦一緒ですか。
齊藤:男が選ばれる時代であると強く感じま
齊藤:必ずしも一緒ではありません。
す。男は、
非常にファッショナブルになって、
高橋:どちらかというと男性が積極的では?
きれいな格好をして、
目立とうとしています。
齊藤:女性もいますが、男性が新しい居場所
高橋:70歳以上の世代も活動的になってい
を作って群れたり、ポストを作ったりしてい
ます。我が家でも85歳の義父が毎日インタ
ます。悪くいえば、自治会が会社みたいにな
ーネットを楽しんでいますし、82歳の父も
ってしまって、女性は嫌がって逃げていきま
小学校時代の友達と毎月1回は旅行に行って
す(笑)。
いますし、77歳から声楽の勉強を始めまし
高橋:お世話されることを求めずに、自分た
た。母たちよりも遊んでいる印象です。
ちで主体的に動くようになったのはよいけれ
藤野:その世代は高度成長の成果も受けてい
ど、まだ元気で余力があるために、変に他人
ますが、団塊の世代は、最後のところでリス
に干渉したり、現役時代の役職の自慢話をし
トラされたということもありました。
信金中金月報 2007.11
齊藤:会社にリストラ
貫で地域に発生している問題の解決に取り組
されたおかげで、自分
もうというものでした。
を取り戻せて良かった
『アクティブ・シニアの消費行動』を執筆
と言う人もいます。生
した時は、自分中心の方が多いかと思ってい
き方もいろいろ多様化
ましたが、一方で、地域社会に貢献しようと
しています。
いう人たちも増えていると感じています。特
高橋:全員が同じ方向を向かなくなっている
に企業の中で中心的役割を担ってきて、経済
のは確かですね。まさに多様化です。
的に豊かな前期高齢者の人たちの中には、そ
齊藤:㈳日本産業退職者協会の近年の調査
のような人が多いような気がします。
(前述の『マチュリティ』
)によると、退職後
藤野:経済的に豊かになったからでしょうか。
の世代は、国内旅行を1年に3回以上が42%、
齊藤:ある程度、経済的な蓄積があって余裕
2回以上が30%、1回が15%、つまり約9割が
がでてきたのだろうと思います。
年1回以上旅行しています。海外旅行は、1回
藤野:大企業を辞めて、大学院に通って、さ
以上が31%、2回が14%、3回が8%、およそ
らに違う活動をしたいという人もいます。
半分以上の人が海外旅行に行っていて、2、3
回行く人が20%を越えています。パソコンを
持っている人が約50%、ホームページを開設
■セカンドライフは社会貢献・地域
貢献などに多様に向かう
している人が10%強、ネットで買い物をした
高橋:セカンドライフはもう一つの人生とい
ことがある人が30%弱、携帯電話を持ってい
う考え方を支持します。我が家は末子が20
る人が60%というデータがあります。
歳、夫が50歳になった時にセカンドライフ
■起業やNPO活動を通じて地域や社
会に貢献する高齢者が増えている
に入りました。セカンドライフのスタートは
60歳よりも早い方がよいと考え、アクティ
ブ・シニアを対象にしたマーケティング会社
藤野:例えば起業したり、NPO活動をした
を作ったのです。7年たちましたが、それと
りということについてはいかがですか。
は別にNPOを設立するなどして社会貢献す
齊藤:本当の意味で、起業になるかどうかは
る計画だそうです。コンサルタントとして
別として、NPOを設立してコミュニティビ
地方の町おこしを手伝ったりしてきたので
ジネスを始めようという人が増えています。
すが、今度は自ら本腰を入れて取り組みた
最近、NPO設立にあたって私に顧問になっ
いと…。
てほしいという依頼がありました。お金を儲
自分の人生を充実させるために、会社で上
けようというものではなく、定年を1年後に
りつめていくよりも、自分がほんとうにやり
控えた意欲ある地方公務員が、社会貢献の一
たいことを見つけて自分を取り戻そうとする
座談会
のをよしとする人たちが増え、そのスタート
ラインがかなり早くなってきていると感じま
■日本人への金融教育は今後の課題
す。団塊の世代は、一言では括れない多様性
藤野:高橋さんは、東京証券取引所が証券知
を持っていると言えるのではないでしょうか。
識に関する学習プログラムを提供するために
齊藤:団塊の世代については、ボリュームは
開校している東証アカデミーでプリンシパル
大きいが、単一のイメージで見てはいけなく
をされていましたが、日本の消費者全般や、
て、それぞれが異なり、多様であるというこ
高齢者、団塊の世代の金融行動について気が
とです。
つかれたことはありますか。
■定年後の男性の金銭管理はお粗末
高橋:日本の金融は、
非常に特殊な形態をと
藤野:団塊の世代の人たちは、金融について
ってきたこともあり、
は、賢くやっているのでしょうか。
ほとんどの日本人は金
齊藤:私は、働いてお金を得ることはしまし
融教育を受けてきてい
たが、お金を貯めることについては、パート
ません。東証アカデミ
ナーに任せきりでした。一橋大学名誉教授の
ーのプリンシパルを3年間務めましたが、金
江見康一さんは、老後生活を送るためには
融ビッグバン以降、子供たちへの金融教育へ
3K(健康、経済、心の張り)が必要と言っ
の取り組みがすすんでいるのに対し、大人へ
ていますが、この中で、
「経済=お金」のこ
の金融教育、学習支援の場はまだまだ少ない
とは、非常に弱いと思っています。私だけが
です。それで、基本的なことを学ばないで投
弱いのかと思い、最近、周辺の経営学者と経
資をしたり、仕組みが複雑な金融商品を購入
済学者に聞いてみたら、やはりパートナーに
するなど、大変危険極まりない状態です。金
任せきりで、持ち逃げされてもわからないと
融リテラシーという言葉がありますが、読み
いうことでした。
書きそろばんにあたるような基本的なことを
また、「定年力検定」というものがあり、
年金、保険、資産運用、税金、不動産、相続、
学んだ上で資産運用することが大切です。
団塊の世代や高齢者の中には、わからない
贈与といろいろありましたが、すべてほぼ「0
から、誰かにまかせたいという方が多いのが
点」でした。金銭的なトラブルに限らず、経
問題です。わからなければわかるまで調べる
済生活も運営していかなければいけないわけ
とか、わからなければ買わない、という姿勢
ですから、こういうことも学習したり、レク
が必要だと考えています。
チャーしてもらう必要があると切実に感じて
齊藤:それは、当然です。
います。
高橋:ただ、わからないなら手を出さない、
ばかりではつまらないから、もう少し勉強し
10
信金中金月報 2007.11
てみよう、自分で学ぼうという意欲が起きて
れる商品だけで運用する時代が長く続きまし
くるといいと思います。
た。10年前に金融危機に直面して、金融機
藤野:わからないから買わないとなると、今
関の破綻を目の当たりにして、自分のお金は
度は売る方が、どうしたら売り込めるかとい
自分で守らなければいけないことに気づきま
う話になります。金融商品を売る人は、販売
した。でも、実際にどうやって守っていけば
のプロだけど運用のプロではないと高橋さん
よいのかがわからないという模索が、今も続
は指摘しています。
いていると思います。
これまで日本人は、預貯金中心で運用して
今、生命保険や損害保険の支払いに関する
きましたが、金融自由化、金融ビッグバン後、
トラブルが噴出していますよね。保険に関す
自己責任の時代になりましたが、消費者側の
る基本的な知識が乏しい人たちに、わかりや
勉強は足りなかったのでしょうか。金融商品
すく商品の内容を説明せずに販売してきたた
は、特殊ですから、その教育について充分考
めに、大きなツケを保険会社側が払うことに
える必要があったのに、
考えてこなかったし、
なっているわけです。信頼回復には相当な時
日本には、お金は面と向かって話すようなこ
間がかかると思います。
とでないという風習もありました。アメリカ
昨年、金融商品取引法が制定され、適合性
では小さい時から金融教育が行われています
の原則を守って、その人の能力にあったもの
が、日本はまだあまり行われていません。
を売らなくてはいけないということが法律で
齊藤:中学、高校の公民科の教科書をみても、
規定されました。金融商品取引法が施行され
お金や金融の説明はほとんどありません。現
るこの秋以降は、消費者の理解力向上のため
状ではあまりにも貧弱なのです。
に金融機関が前向きに取り組むようになるだ
■リスクに対する認識が弱い
藤野:アメリカの金融論の教科書では、金利
が自由に変動することを前提に書かれてい
て、日本よりも以前から教科書の内容と実態
が一致していましたが、日本では、実態と金
融論の教科書に書かれてあることが一致する
ようになったのは、ここ10年ちょっとです。
高橋:リスクは金融の世界では怖いものでは
なく、不確実性という意味ですが、不確実な
ものとつきあうということに、日本人は慣れ
ていないですね。誰かが元本保証をしてく
座談会
11
ろうと思っています。
それは悪い商品だと思うわけです。
藤野:金融機関が適合性の原則をどこまで実
自分が食べずに偽装牛肉を売っているよう
際に社員教育できるのかという問題があります。
なものです。売りに出すのは粗悪なもので、
■売る側のモラルが欠如している
家族は一番安全でよいものを食べるという商
売が成り立ってはいけません。普通の企業で
高橋:金融機関の社員教育が、消費者教育以
あれば、周りに勧めたくなるような、率先し
前に非常に重要になっています。画一的、類
て自分が使いたくなるような商品を作って売
型的な教育にとどまらず、人としてのモラル
るはずです。金融の世界でもそのようにしな
が金融機関の営業に求められていることに対
いと、金融全体に対する不信が広がってしま
応しなくてはなりません。
います。自分が使いたい、運用したい、活用
私は電話や店頭で、いろいろな商品を勧め
したいような金融商品を開発して、自信を持
られたときに、
「あなたのご家族やあなたは
って売るべきです。販売時の説明の徹底とい
この商品を利用していますか?」と営業の方
う社員教育以前に、いろいろとやることがあ
に聞き返します。若い人だと、
「私はまだお
るはずなのです。
金がないので、利用していません」と答えま
手数料が高くても、きちんと運用されて、
す。では、
「あなたのお母さんに勧めますか?」
それで補ってあまりある利益を出していれ
と聞くと、「うちの親はリスクのあるものは
ば、消費者は満足します。手数料で元本割れ
嫌だといって利用しません」と言います。身
になって、売りっ放しをするような販売活動
内に勧めたくなるような商品を会社に作って
はいけません。
もらうべきです。そういう商品でないと、自
信を持って売れない、ということです。
■地元で逃げられないほうを選択する
取材している中でも、いろいろ驚かされま
齊藤:証券会社も、よく担当が替わります。
す。複雑な保険商品が登場してきたときに、
正直いって、自己責任なのですが、他方で無
保険会社の広報担当の人に、
「あなたはそれ
責任ではないかと思うことがあります。
を使っていますか」と聞くと、どこの会社で
高橋:家を建てる時にハウスメーカーに頼む
も「私は団体保険にし
か、地元の工務店に頼むか、という選択と似
か入っていません」と
た配慮が必要です。ハウスメーカーはメーカ
答えました。売り手は
ー責任をどこまで果たしてくれるでしょう
シンプルなものしか使
か。セールスマンが転勤し、責任の所在が不
っていない、商品提供
明確になるリスクがあります。小規模ゆえの
側の人間が使ってない
リスクはありますが、欠陥を出したら商売が
というのを考えると、
続けられないから、地元の熟練した大工さん
12
信金中金月報 2007.11
を抱えて責任を持って徹底的に面倒をみてく
報を出したとして、消費者が対価を支払って
れる工務店を選択するのも、賢い消費者の一
利用するかどうか疑問です。
つの着眼点と思います。
■リスクとリターンの組合せをどう
選択するのか
金融機関が魅力的な運用益を出していれ
ばよいのですが、日本の場合は、消費者も金
融が苦手ですが運用者も金融が苦手だと思
う
(笑)
。
マーケットに負けているプロが多い。
藤野:金融商品は、リ
日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)を
スクとリターンの組合
下回る運用では魅力がありません。ETFや
せですが、まだ、日本
インデックスファンドなどの指数連動商品
は、リスクなしでリタ
のほうが、手数料も安くて使い勝手がよか
ーンが欲しいと思って
ったりします。最近になって、金融庁も、
います。
日本の運用者の能力を上げるための方策を
高橋:リスクをとらずに、ハイリターンはあ
検討し始めていますが、受託者責任をしっ
りません。リスクは、不確実性なので、儲か
かり果たせる運用者が出て来るまであと数
る確率と儲からない確率というのは、背中合
年はかかるかもしれません。そうした環境
わせです。まず、その当たり前のことを、消
が整えば、評価情報に価値が出てくるでし
費者教育で教えないといけない。ただ、高齢
ょうね。
者がどこまで勉強するかを考えた場合、これ
それまでは、地道に勉強をするのが一番で
からは高齢者が選択できる金融商品の幅がか
す。買い物や旅行のしかたも失敗を重ねなが
なり狭くなってくるかもしれません。団塊の
ら、賢くなったはずです。タンス預金や、元
世代は年をとらないうちに、金融知識を身に
本保証の定期預金一辺倒の方もいますが、金
つけるべきでしょう。
融商品も多少の損は覚悟して、いろいろ試し
■金融商品の評価や選択の基準は何か
てみることは必要だと思います。最初からプ
ロに任せて手数料・顧問料を払うやり方もあ
藤野:金融機関や金融商品を第三者機関など
りますが、信頼できるプロを選べるだけの最
が評価することについてはいかがでしょうか。
低限の知識や、悪質業
高 橋: 英 国 で は、 金 融 サ ー ビ ス 庁(FSA)
者を見定めるための勉
が金融商品の比較・評価をわかりやすく公表
強が必要です。
したりしていますね。米国では消費者団体が
一般の人は少額で試
評価・格付けを行い、有料で情報提供してい
しながら、実地勉強を
ます。日本において、信頼できる第三者機関
重ねるのがよいと思い
が格付けや投資信託の評価レポートなどの情
ます。退職金を一気に
座談会
13
全額つぎ込むようなことはだめです。少額で
100歳以上の高齢者が3万人に達している
もよいので、若いときから実際に投資して勉
超高齢化の時代ですから、いつどうなるかわ
強していくのが一番です。自分が勉強して、
からない。やはり、お金を用意しておく必要
研究して、選んだ商品で損をしたとします。
があると思います。
その場合、どうして損したのかを考えること
NPOの設立や起業については、リターンは
が大切です。そうすると、学習効果が働いて
少ないという前提のもとで、自己資金を中心
同じような失敗を繰り返さなくなります。安
に行っていくことが多いでしょう。一部では趣
易に人に任せていると、その結果は任せた相
味の世界ですから、金銭的なリターンは期待
手が悪かったと相手のせいにして終わります
できないと思います。また、出身地である故
から、いつまでたっても進歩がなく学習効果
郷のためにお金を使う人も、でてくるでしょう。
がでませんね。
藤野:地域内でお金を循環させよう、あるい
■高齢者の資金需要はさほど強くない
藤野:高齢者の資金需要について、考えてみ
たいのですが、資金需要が出てくるのか、持
っている資金の中でやっていくのか、また、
は、自分が世話になったり育ってきた地域に
対しての恩返しなどもあります。
■老後を見据えたマネープランをど
う立てるか
資金需要があるとすると金融機関がどこまで
高橋:基本的に、ライフプランを立てるうえ
サポートしていく必要があるのでしょうか。
では、生活資金と余裕資金とに分けて考えま
齊藤:例えば、住宅に
す。将来のための備え、家の建替資金、車の
ついては、日本人は定
買替資金をきちんと確保した上で、余裕資金
住志向が強いので、リ
がどれくらいあるのかを知ります。そういう
フォームやバリアフリ
形で、投資や、NPOの設立資金、趣味のた
ー化のために資金需要
めの費用に分けて、使うことを考えるやり方
がでてくるのでしょ
です。退職金で住宅ローンを一括返済して、
う。ある一定の年齢になったら子供の側に行
身軽になる人も多いです。
きたいような気持ちもあるようですから、リ
藤野:住宅ローンを一括で返してしまうと今
ロケーションの需要もあるでしょう。車への
度はキャッシュフローが回らなくなる可能性
ニーズは依然として高く、かなりの年齢まで
もあるので、定年前に借りて、両建てにする
は乗ると思います。ただ、マイカーは、自己
など、金融の知識が必要になってくることも
資金で購入するでしょう。あとは、後期高齢
あります。
者になった時の介護のお金をどのくらい用意
高橋:高齢になる前に、どれだけ考えて対応
しておくかということでしょうか。
しておくかが大切です。いろいろな状況を想
14
信金中金月報 2007.11
定してフレキシブルに取り組んでいくことで
その段階でお金が頼りになる、と思うのであ
す。ただ、予期せぬことも起きるので、その
れば、そこからの先のことを考えて、今、何
際には思わぬ資金需要が出てくるかもしれま
をしておくべきなのかを考えておくべきでし
せん。一般的には、借り入れるまでの状況は
ょう。いずれにしても、使い方に合わせた運
少ないでしょう。自宅担保でお金を借りるリ
用が大切だと思います。
バースモゲージを利用するケースはあるかも
しれませんが。
藤野:リバースモゲージは、現状では、担保
■高齢者向けの金融商品を金融機関
がどう考えるのか
に提供できる不動産の対象が一戸建てのみな
高橋:その意味で、金融機関も高齢者の身に
ど活用しにくい問題があります。
なって、使い勝手のよい金融商品を開発する
高橋:今は、リバースモゲージは需要もあま
とよいと思います。
りないようですが、国は自宅のある人には生
齊藤:高齢社会の到来といわれて久しいので
活保護の代わりにこちらを進める方向性を示
すが、私は、他の業界もそうであるように、
し、自治体に取り組ませたりしています。リ
金融機関が本当に高齢社会の実態を認識して
バースモゲージにするのか、しないのかも一
いるのか疑問に感じます。
つの選択です。
高橋:生存確認や年金支払いのコストなど先
■高齢者になってからの資産はどう
配分するか
のことを考えずに、個人年金保険を大量に販
売してしまっているなどがその典型ですね。
消費者側も、将来その金融機関がどんな状態
藤野:人生のステージに合わせる形で、どん
になるのかを考えて、商品やサービスを選択
な金融商品を、どういう形で選んでいくのか
しないといけません。金融再編が続いて金
ということです。
融機関の看板が頻繁にかけかえられましたか
高橋:とりあえず85歳
ら、今後どうなるか、いろいろな可能性を考
くらいまでは生きるだ
えて、金融機関とつきあっていく必要があり
ろうと想定して、80歳
ます。目先でなく、長期的にも健全な経営を
まではアクティブな生
考えている金融機関が勝ち残れるでしょう。
活を志向してお金を積
極的に使うことを考え
■信用金庫がとるべき戦略は何か
るとよいと思います。不安に脅えて老後もお
藤野:その観点から、信用金庫についていか
金を貯め続けるより、計画的に使った方が元
がでしょう。
気でいられるかもしれません。80歳を過ぎ
高橋:その名のとおりというか、看板に偽り
ると、だんだん外出もままならなくなります。
なく「信用」できる金融機関であり続けるべ
座談会
15
きです。経営不安があると看板に偽りありに
土曜日と日曜日に、運用相談をするというお
なってしまいますから(笑)
。
誘いのチラシが入っているだけでした(笑)
。
齊藤:「団塊の世代」という大きなマーケッ
齊藤:そういうのは警戒しないといけませ
ト獲得を狙っている金融機関は、きちんと高
んね。
齢者のことを考えているのでしょうか。
高橋:行員に休日出勤の手当てを払えるだけ
高橋:金融機関は、かつて横並び的で、マー
の利益が出るような、手数料の高い商品を売
ケティングがなかったと思います。
るのだろうと考えてしまいました。私は危う
齊藤:高齢社会対応の戦略を立て、それに対
きには近寄らず、です。
応する組織をつくり、職員を配置して、その
上で、他の金融機関との差別化をはかってい
■地域の人材をもっと活用すべき
くことが必要でしょう。
齊藤:団塊の世代の人たち、地域で活躍して
高橋:信用金庫もみな一緒でなく多様化の段
きた人たち、地域のまとめ役、地域の情報を
階です。これからは個性で勝負していくこと
持っている人たちとうまく信用金庫が協働し
になると思います。
たり、かれらを活用することが必要であると
■地域のコンシェルジュたるべき信
用金庫
思います。地域活動を行ってきた人材や地域
団体などと、もっとコラボレーションをする
べきです。そして、お金のことだけでなく、
高橋:信用金庫は、顔が見えるという特徴を
生活全体のサポートをしっかりしてもらえる
活かして、その地域のことを一番よく知って
とありがたいですね。
いるはずだから、もっともそこに知恵が求め
藤野:今年の4月に公
られると思います。信用金庫は、私のイメー
表された金融審議会金
ジで言うと「地域社会のコンシェルジュ」に
融分科会第二部会の報
なるべきです。地域社会で、
細かく気配りし、
告書「地域密着型金融
信用金庫に聞けば何でもわかるような窓口に
の取組みについての評
なれば、勝ち目は充分にあるでしょう。
価と今後の対応につい
齊藤:普通の日本人は、私を含めてメガバン
て―地域の情報集積を活用した持続可能なビ
クの顧客になると認められるほどのお金を持
ジネスモデルの確立を―」に記載されている
っていません。
地域の面的再生では、地域金融機関は単に資
高橋:銀行は、フィービジネスで、お客から
金供給者としての役割に留まらず、地域全体
どうやって手数料をとろうかと考えています。
に対する活性化に積極的な役割を果たすべき
昨日もある銀行から「親展」の封書が届いて
ということがうたわれています。
いるので、どれほど重要な内容かと思ったら、
16
信金中金月報 2007.11
■お金の使い方を指南すべき
関の商品の販売ばかりに懸命だと信頼でき
ません。
高橋:お金は使うためにあるので、
「地域の
それから、継続的にサービスしてくれるか
コンシェルジュ」になっていただいて、個人
どうか。わが家の近くの信用金庫は、口座を
に対しては使い方の相談にものってあげたら
開いた直後は営業担当者が週に2回ぐらい自
どうでしょうか。海外旅行でお金を使うだけ
転車で回ってきていましたが、今は、来なく
でなく、地域でお金を使ってもらうことで地
なりました。メインバンクでなくコアバンク
域社会が活性化するわけです。
という考え方がありますが、一つの金融機関
齊藤:これまでの普通の日本人はお金の使い
におまかせするのでなく、複数の金融機関と
方をよく知りません。
おつきあいをした上で、一番頼りになるとこ
高橋:資産運用相談にしても、全部を自分た
ろと厚くおつきあいをする、というやり方で
ちが長期的に運用しようと欲張らずに、
「半
す。契約するときに優秀でも、その後不誠実
分はこのように計画的に使って、半分は相続
だったり怠けたりすれば、他に取引を移そう
など将来に向けてこのような商品で運用して
と思うのは当然です。私の場合は金融機関と
おくとよいでしょう」という提案があるとよ
は常に複数とつきあい、どこのサービスがよ
いと思います。銀行にお金を預けて、おろす
いのか悪いのかを比較して、消費者として行
ときに、自分のお金なのに何に使うのかと聞
動を起こします。
かれるのが不愉快だという人が多いです。本
来は使うために貯めているのに、
変な話です。
■高齢者向けの相談機能
私は信用金庫に定期積金をしていますが、使
齊藤:高齢者で気にな
い道がはっきりしているので、継続せずに満
るのは、1人所帯の場
期を迎えたら解約します。
合に、誰かに相談した
齊藤:ファイナンシャルプランナーを何人置
いとか、2人世帯であ
くということよりも、遊びや社会活動などに
るがパートナーには知
お金を使うサポートもできたほうがよいと思
られたくないとか、伏
います。
せておきたいことがでてくるので、そんな時
高橋:ファイナンシャルプランナーは、預金
の相談機能を信用金庫が持ってくれると、あ
だけでなく、投資や保険、不動産、税金など
りがたいと思っています。
いろいろな知識を持っています。信用金庫
高橋:成年後見人制度などについても、元気
に所属していても、他の金融機関での運用
なうちに知らせてくれるとよいですね。
も含めて中立的にアドバイスしてあげれば
信頼度が高まります。自分が属する金融機
座談会
17
■投資は勧められてやるものではない
られて行うべきものではありません。自らが
望んで行うもので、
「投資を勧誘する」とい
藤野:高齢者も自己責任で投資や運用をすべ
うこと自体がおかしいわけです。金融庁には
きでしょうが、判断能力がかなり低下した場
投資勧誘を禁止してもらいたいぐらいです。
合にはどうでしょうか。
投資が魅力的な世界であれば、投資したい人
高橋:すでに高齢期を迎えている人が優先す
は勉強して投資しますから。
べきことは、消費と守りだと思います。高齢
者のなかでも知識や経験がある方は、運用と
いう形で株や債券に投資して企業活動などを
■地域へ投資して自分のお金を地域
のために活かす
応援するのはよいことだと思います。でも、
齊藤:後期高齢者(75歳以上)の場合、無理
単に、誰かにお任せして儲かるほど、金融の
でしょうが、前期高齢者のうちは、バランス
世界は甘くはありません。自己責任を取れる
のとれた投資行動をしてもよいと思います。
方、例えば、自分なりの判断基準があって、
高橋:余裕資金で、納得の上であればよい
金融商品に関してリスクを取れる方であれば
でしょう。株式投資するなら、会社情報を
結構ですが、そうでない人は、気持ちよく生
調べて企業の価値を見極めて、子供を就職
活するためにお金を使ってさまざまなサービ
させたい会社、自分が就職したかった会社、
スを受けたり、元本保証での運用に徹するべ
そんな会社を選んだらいかがでしょうか。働
きです。
き盛りの時には特定の会社に雇われている
高齢者をターゲットにしている外資系金融
人が多いわけですが、退職金や年金で暮ら
機関などがありますが、本来、投資は、勧め
すようになったら、複数の会社の持ち主の
一部になることができます。自分のお金を
好きな企業に就職させるのです。いくつか
の企業に投資して、そこがあげた利益の分
け前に預かることができればハッピーです。
小さくてもこれから伸びそうな企業、育てて
いきたい企業に投資をしていくことで、社
会貢献、地域貢献をすることができるとい
うことにもなります。
地元の企業に投資をすれば、「地域の中で
この分野のここに自分のお金が活かされて
いる」という実感も持ててうれしいはずで
す。信用金庫の場合は、地域の企業に貸出を
18
信金中金月報 2007.11
行っているわけですから、投資でなく信用金
のような多様性が必要です。新型ATMの導
庫に預金する形でも、地域の企業が店舗やマ
入で使い方が変わって、いろいろなことがで
ンションを建てた時に、
「自分のお金がここ
きるようになったら、店舗でATMの使い方
で活きているんだ」と地域に貢献している実
教室をやるとよいと思います。パソコン教室
感が持てるわけです。特に高齢者は、次の世
と一緒にやってもよいですね。
代に、自分のお金が地域でどう使われている
信用金庫が独自のホームページを持ってい
かに関心を持つとよいと思います。
て、地域の情報の入手法などを店頭でも教え
藤野:地域金融機関は、そういうことがわか
て信頼を得るのもよいですね。コンシェルジ
るようにディスクロージャーをする必要があ
ュがいて、様々なことを教えてあげるわけで
ります。
す。ATMの横にいて、カードを入れてあげ
高橋:地域にどんな貢
るだけより、余程よいと思います。あそこに
献をしているのかが
いけば、いつもあの人がいろいろなことを教
見えるように、具体的
えてくれる、そうした工夫や前向きなことか
なメッセージを出し
ら、信用作りをすべきだと思います。
たらよいと思います。
また、若い職員たちが高齢者対応チームを
そうすれば、それに賛
作っても面白いと思います。
同する人たちがあらわれてきます。地域社
藤野:高齢者との「ふれあい」ができない金
会や未来をになう地元の子供たちにも貢献
融機関の若い職員も増えています。
していることを、わかりやすく説明してほ
高橋:それは、採用の時からの問題です。最
しいですね。
初の段階で、単に学業優秀だけでなく、コミ
■高齢者向けのサービス機能と若い
職員
ュニケーション能力の高い人を採用しないと
いけません。また、採用してからきちんと教
育をする。信用金庫に入れたからには、コミ
藤野:信用金庫が高齢者へのサービスを充実
ュニケーション能力を高める教育をまず行う
させていくうえでのポイントは、どのような
ことが大切です。大学を出たくらいの若い人
ことでしょうか。
高橋:高齢者がATMの機械やITの使い方を
知らないのであれば、使い方を教えてさしあ
げることが大切です。ATMも、字が大きく
ゆっくり画面が動く機械を設置して、若葉マ
ークかシルバーマークをつけて、後ろに並ぶ
人がイライラしないように配慮するとか、そ
座談会
19
であれば、いろいろな体験をさせていけば、
ーとしてつながっているということが、高齢
それなりに成長していきます。
社会の中で重要なポイントです。また、地域
信用金庫で、高齢者のためにボランティア
社会を超えて気のあう仲間とのつながりが必
などをさせていけば、高齢者はこわい人やわ
要です。85歳の父は、インターネットのシニ
けのわからない人、
という印象ではなくなり、
ア向けサイトの中で、俳句、川柳のコーナー
実はすごい知恵や経験の塊だということがわ
を自分が担当しています。そこに世界各地か
かって、高齢者に対して敬意を払うようにも
ら俳句好きな人が集まってきて投稿し、近況
なるでしょう。
を報告しあうのです。脚が不自由になってほ
齊藤:前期高齢者は目が肥えており、接遇サ
とんど外出できませんが、77歳から始めたパ
ービスなどには、きびしいところがありますね。
ソコンで今も交友範囲が広がっています。
高齢者とはこういうものだ、と決めつけて
■高齢者向けの教室による「ふれあ
い」、交流を
はいけないですね。病気になってもパソコン
高橋:信用金庫は、拠点があるので、場を使
て、その病気に関するさまざまな情報を得た
ったふれあいを発展させていくこともできま
りしているのですから。パソコンや携帯電話
す。高齢者向けのパソコン教室や経済教室を
を使えない人のために、信用金庫ができるこ
やるとよいと思います。私も両親とパソコン
とを考えることもできそうです。
や携帯メールで日常的にやりとりをしていま
齊藤:自己中心的であるのですが、いろいろ
すが、丁寧に教えれば80歳代でもIT能力が
な調査をみると、高齢者は社会やいろいろな
磨けますよ。
人びととつながっていたいという思いが非常
一緒に暮していてもいなくても、ファミリ
20
信金中金月報 2007.11
で情報を発信し、いろいろな世界とつながっ
に強いですね。
藤野:その「つながっている」ということが
非常に重要なキーワードですね。いろいろな
人とつながっている。そうした媒介をしてい
■新規参入と競合相手
藤野:こうした高齢者向けの「ふれあい」
けるのが信用金庫ですね。金融機関もお金だ
「つながり」を重視した地域コンシェルジュ
けでつなぐのではなく、さまざまな付加価値
のサービスは、信用金庫以外ではどのような
をつけて、お金にもつながるビジネスをして
ところの参入が考えられるでしょうか。
いくことが重要です。
高橋:異業種から入ってくると思います。イ
■情報の仲介のなかでの心の「ふれあ
い」
、社会との「つながり」が重要
ノベーションは通常、さまざまな業態から入
ってきて始まりますので。
齊藤:金融知識がないといけないということ
高橋:あたたかさ、心の交流のような「ふれ
であれば、当然その精通者が必要ですが、地
あい」がとても大切ですね。
域の調査・企画力を持った人が現れてくる可
地域の中で住み替えたい、お手伝いを頼
能性があります。
みたい、などの情報の仲介をしてあげると
高橋:その時に備えて、信用金庫が何をすべ
か、情報バンクみたいなことができるよう
きか。この商品なら自信を持って地元の人た
になるとよいですね。インターネットのサイ
ちに提供しても大丈夫、というものをしっか
トを構築して、自宅で操作ができない人は、
り品揃えする。本業での貢献が第一です。入
金融機関に来て見せてもらう。そのうちに、
ってくる手数料の高低ではなく、自分の地域
頑張って自宅でもチャレンジするかもしれ
の顧客にあった、自信を持って勧められる商
ません。
品を開発して、地域住民に選ばれてほしいと
藤野:高齢化が進むと、ある程度在宅比率が
思います。
高まりますね。
高橋:年金が振り込まれたら、引出して届け
■それぞれの地域に応じた商品開発を
にきてくれるサービスがあると助かります。
齊藤:金融商品というのは、どのように消費
藤野:そうした交流が、他の金融機関との差
者、利用者のニーズをとらえて開発している
別化になります。
のでしょうか。その辺は、しっかりと見直す
高橋:本当に地域に必要な金融機関がなくな
必要があると思っています。企業が作る製品
らないように、地域の住民が地域の金融機関
やサービスは、あたり前のことですが、ユー
を上手に活用して、お互いに共存共栄を図っ
ザーのもとめるものでなければなりません。
ていくことも大切です。そうした理解も、住
藤野:全国ネットでやっている金融機関が多
民に深めてもらうべきです。
い中で、その地域にあった商品を売る時には、
コストが高くなったりする可能性があります。
座談会
21
高橋:預金・貸出から、他の金融機関の商品
ファンドを開発してもらえばよいわけです。
の販売が増える傾向にありますが、投資信託
金融機関も全国で同じ商品でなくて、地域性
にしても、年金商品にしても販売者としての
を大切にする時代になると思います。大手金
責任は重大です。信用金庫が販売者の考え方
融機関も北海道では北海道ブランド、九州で
をきちんと持ち、自分の地域や顧客にあった
は九州ブランドというような商品で勝負し、
商品を開発してもらうべきです。それに応じ
それぞれの地域で愛される金融機関になるべ
てくれるパートナーを見つけることが重要で
きだと思います。信用金庫には、そうした金
す。信用金庫でその地域にあった金融商品を
融商品を選別して取り扱ってほしいです。
地域住民のために提供していただきたい。
藤野:その地域で愛される、顔が見える金融
藤野:地域の役に立つような商品も開発でき
機関という、信用金庫の原点がやはり大切と
るようになるとよいでしょう。
いうことですね。本日は、どうもありがとう
高橋:地域の企業の活性化につながるような
ございました。
22
信金中金月報 2007.11
研 究 高齢化の進展と家計の消費・貯蓄動向
-団塊の世代の消費意欲は旺盛だが、長期的には消費・貯蓄の両面でマイナスの影響-
信金中央金庫 総合研究所上席主任研究員
角田 匠
(キーワード) 高齢化、人口減少、団塊の世代、退職金、金融資産、貯蓄率
(視
点)
構造調整が一巡した日本経済は、民需主導の自律回復局面を迎えており、当面の景気も回
復基調を維持する公算が大きい。ただ、07年からは団塊の世代(1947~49年生まれ)が順
次60歳に到達するなど、本格的な高齢社会を迎えつつあり、中長期的には急速に進む人口
構成の高齢化が日本経済に様々なインパクトをもたらす可能性がある。特に、
団塊の世代は、
前後の世代と比較して人口が多いだけに、定年退職に伴って家計全体の消費・貯蓄行動や労
働市場に劇的な変化が起こる可能性もある。本稿では、団塊の世代の消費・貯蓄行動の特徴
などに焦点を当て、高齢化の進展が家計全体の消費・貯蓄行動に与える影響を考察する。
(要
●
旨)
日本の高齢化は今後一段と加速し、団塊の世代(1947~49年生まれ)が65歳に達する
2012 ~ 14年には国民の4人に1人が65歳以上の高齢者となる見通しである。
●
06年時点の団塊の世代の雇用者数は376万人と前後の世代に比べて多く、定年退職が始ま
る07年以降、毎年30万人前後が労働市場から退出し年金生活に入っていくと見込まれる。
●
団塊の世代が受け取る退職金の行方に注目が集まっている。その5割は貯蓄に向かおうが、
住宅関連や大型消費への支出計画も大きく、個人消費を刺激する効果は小さくない。
●
団塊の世代は旺盛な消費意欲を持った世代である。40歳代前半以下の世代は、社会人生
活の多くを不況やリストラの中で過ごしてきた節約志向の強い世代であるだけに、団塊の
世代を中心とした高齢者の活発な消費活動に対する期待は大きい。
●
家計の貯蓄が高齢者に集中する構図が一段と進む見通しである。すべての団塊の世代が
60歳となる09年には、60歳以上の世帯が保有する貯蓄額のシェアは約60%へ上昇しよう。
●
高齢世帯の消費意欲は加齢に伴って着実に減退する。団塊の世代が70歳に達する2017年
にかけて、高齢化による個人消費への下押し圧力が徐々に高まる可能性がある。
●
長期的には高齢化で家計貯蓄率の一段の低下が見込まれるだけに、財政再建を加速し、仮
に国全体が資金不足になった場合にも、その幅を最小限にとどめることが求められる。
研 究
23
1.人口減少下で急速に進む高齢化
(1)減少傾向に転じた日本の総人口
05年国勢調査(注)1によると、日本の総人口
万人を下回り、39年後の2046年には1億人を
割り込むと見込まれている。05年を基点と
した50年予測の最終年に当たる2055年には
8,993万人まで減少する見込みである。
は1億2,777万人、前年に比べて1.9万人減少
した。1920年に始まった国勢調査で、日本
(2)急速に進む高齢化
の総人口が減少したのは、第2次世界大戦の
人口減少社会に突入していくなかで、比較
影響を受けた1945年を除くと初めてのこと
的近い将来において日本経済に様々な影響を
である。
与えると考えられるのが人口構成の高齢化で
06年は、70年代前半に生まれた「団塊ジ
ある。05年の人口構成を、前回の国勢調査
ュニア」世代を中心に出生数が増加に転じた
が実施された00年と比較すると、年少人口
ことで、総人口は前年に比べて0.2万人増加
比率(15歳未満)が14.6%から13.7%(06年
した(図表1)
。しかし、先行きに関しては、
は13.6%)へ低下する一方で、老年人口比率
出産適齢期の女性人口の減少で出生数の本格
(高齢化率、65歳以上の人口比率)は17.3%
回復は期待できず、死亡者数の増加傾向が続
から20.1%(06年は20.8%)へ高まるなど、
くため、総人口の減少は避けられない。
人口の減少に先んじて高齢化は着実に進んで
国立社会保障・人口問題研究所の将来人
いる(図表2)
。
先行きについても、少子化で年少人口の減
口推計(06年12月の中位推計値)によると、
日本の総人口は18年後の2025年に1億2,000
少が続く一方、長寿化で65歳以上の人口増
図表1 出生数と死亡数の推移
図表2 年齢別構成比の推移と予測
(万人)
280
団塊の世代
260
47年 268万人
団塊ジュニアのピーク
48年 268万人
240
73年 209万人
49年 270万人
220
200
06年
180
出生数
出生数
160
109万人
140
ひのえうま
120
自然増加数
66年 136万人
100
80
60
06年
死亡数
死亡数
40
108万人
20
0
1945 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95 2000 05(年)
(備考)1.1944∼46年は資料不備のため未公表
( 2.自然増減に出入国者数など社会増減を加味したも
(2 のが総人口の増減数となる。
( 3.厚生労働省「人口動態統計」より作成
(%)
80
予測
70
60
50
40
30
20
10
06年
65.5%
生産年齢人口
(15∼64歳)
年少人口
(0∼14歳)
06年
20.8%
老年人口
(65歳以上)
0
1950 60
06年
13.6%
70
80
90 2000 10
20
30
40
50(年)
(備考)国立社会保障・人口問題研究所資料より作成
(注)1.国勢調査は、男女の別、出生の年月など世帯員に関する事項、世帯の種類、世帯員の数など世帯に関する事項について
調査する。人口については、3か月以上日本に住んでいる外国人も含まれる。調査は1920年(大正9年)以来ほぼ5年ごとに
行われており、2005年(平成17年)国勢調査はその18回目に当たる。
24
信金中金月報 2007.11
が続き、「団塊の世代(注)2」が65歳に達する
2012~14年にかけて老年人口の増加テンポ
2.団塊の世代の労働力の状況
が加速する見通しである。この結果、高齢
(1)06年時点の団塊の世代の雇用者数は376万人
化 率 は、2013年 に25.2 % と 国 民 の4人 に1人
人口構成の高齢化は、日本の社会・経済に
が65歳 以 上 と な り、20年 に は29.2 %、30年
対して様々なひずみをもたらす可能性があ
31.8%、40年36.5%、50年39.6%と急速に上
り、中長期的な日本経済の姿を展望するうえ
昇する見込みである。
で、高齢化によっていかなる影響が発生する
欧米主要国と比較しても、日本の高齢化の
かを見極めることが重要となる。特に、07
スピードが極めて速いことがわかる。日本の
年からの3年間は、団塊の世代が60歳に到達
高齢化率は、1990年頃までは欧米主要国と
し、高齢化による影響が徐々に表面化する可
比較して低い水準にあったが、わずか15年
能性がある。団塊の世代の動向は、将来の本
後の2005年には最も高齢化率の高い国へ転
格的な高齢化社会を占う試金石になると考え
換した。長期的には、欧米主要国でも高齢化
られる。そこで、
以下では団塊の世代の消費・
率の上昇が見込まれているが、日本の高齢化
貯蓄行動を中心に分析することで、高齢化の
率は最速のペースで進む見通しである。ちな
進行に伴う日本経済への影響を検討する。
みに、2050年の主要国の高齢化率は、日本
一般に、終戦直後の1947年から49年まで
が39.6%と最も高く、順にイタリア35.5%、
の3年間に生まれたベビーブーム世代が団塊
ドイツ28.4%、フランス27.1%、米国20.7%
の世代と呼ばれている。06年時点の団塊の世
と予測されている(図表3)
。
代の人口(57~59歳)は677万人で、団塊の
図表3 欧米主要国の高齢化率の推移と予測
団塊の世代以前の1944~46年生まれ(462万
(%)
45
40
35
30
人)と比較して88~215万人も多い(図表4)。
日本
予測
イタリア
団塊の世代は、07年から一般的な定年退職
ドイツ
フランス
年齢である60歳に到達する。このため、07
アメリカ
25
年からは定年退職者が大幅に増加し、家計全
20
体の所得環境や消費活動、労働市場に劇的な
15
変化が起こる可能性が指摘されている。いわ
10
ゆる「2007年問題」である。
5
0
世代以降の1950~52年生まれ(589万人)や
1980 90 2000
05
10
20
30
40
(備考)国立社会保障・人口問題研究所資料より作成
(年)
50
団塊の世代が60歳に到達し始めたことで、
まず最初に考えられるのが労働市場への影響
である。総務省の労働力調査では各年齢別の
(注)2.戦後のベビーブーム期である1947年(昭和22年)~49年(昭和24年)生まれの世代が一般に「団塊の世代」と呼ばれている。
研 究
25
図表4 年齢別の人口(06年)
(万人)
250
団塊の世代
59歳 218万人
58歳 229万人
57歳 231万人
200
150
100
50
0
0
10
20
30
40
50
60
70
(備考)国立社会保障・人口問題研究所資料より作成
80
90
100+
(歳)
雇用者数が公表されていないため、05年の
団塊の世代の定年退職が始まる07年からは労
国勢調査をベースに06年時点の年齢別雇用
働力の供給が大幅に減少する可能性がある。
者数を推計すると(図表5)
、47年生まれ(59
歳)が114万人、48年生まれが128万人、49
(2)団塊の世代の雇用者数は2014年までに
年生まれが135万人となり、団塊の世代合計
216万人減少
では376万人と試算される(自営業者などを
ただ、定年退職後も契約・嘱託社員として
含めた就業者は476万人)
。団塊の世代以前
再雇用されたり、パート・アルバイト等で仕
(1944~46年生まれ)の世代が60歳に達する
事を続けるケースも多く、60歳に達した時点
直前の年に当たる03年の57~59歳の雇用者
で全ての雇用者が労働市場から退出するわけ
数(249万人)と比較すると127万人も多く、
ではない。例えば、05年の国勢調査から50
図表5 50∼70歳の年齢別雇用者数(06年)
働力人口(就業者+失業者)の比率)をみる
(万人)
160
140
120
107109107
と、50歳代では女性を中心に緩やかに低下が
135
126 128
120
116
114
112
団塊の世代
始まり、定年退職を迎える60歳から低下傾向
男性
80
61 61
60
67
58
率がほぼ一定のペースで低下していることか
20
55
60 35
27 25
22 19
65
(備考)国勢調査を基に信金中金総合研究所が推計
信金中金月報 2007.11
わけではない(図表6)
。60歳以降の労働力
53
45
40
26
が強まるが、60歳を境に大きな段差が生じる
女性
100
0
50
~70歳の年齢別労働力率(人口に対する労
70(歳)
らみると、年を経るにつれて徐々に職を退き、
年金生活に入っていくということである。
仮に、団塊の世代の労働力率が、05年の
年齢別労働力率(国勢調査ベース)と同じペ
ースで低下した場合、団塊の世代の雇用者数
~46年生まれ)の世代の60歳から65歳まで
は、07~09年の3年間で93万人減少する(年
の雇用減少数(143万人と試算)を大きく上
平均31万人が引退)と試算される(図表7)
。
回る見込みである。団塊の世代は人口が多い
06年までの5年間で減少した団塊の世代の雇
分、60歳以降も仕事を続ける人数は多いが、
用者数は年平均10万人程度であったことと
労働市場全体でみれば労働供給は着実に減少
比較すると、07年からは団塊の世代の引退が
しよう。
いよいよ本格化することになる。さらに、す
べての団塊の世代が65歳に達する2014年ま
でには216万人(年平均27万人)の雇用者が
減少する計算になる。団塊の世代以前(1944
(%)
(1)定年退職者の増加で07~09年は高水準
の退職金支給が続く
図表6 年齢別の労働力率(05年)
100
3.団塊の世代の定年退職で注目され
る退職金の行方
団塊の世代が07~09年の3年間で60歳に到
定年退職
達することに伴って、その定年退職時に支給
90
労働力率
80
女性の労働力率
男性の労働力率
される退職金に注目が集まっている。
しかし、
70
すべての雇用者が一斉に満額の退職金を受け
60
取るわけではない。団塊の世代が55歳に到
50
達した02年頃から早期退職などですでに退
40
職金を受け取っているケースも多く、過去に
30
転職を経験した雇用者も満額を受け取れない
20
10
50
55
60 65
70(歳)
(備考)国勢調査(05年)より作成
図表7 団塊の世代の労働力の推移と試算
っている。
500
しかしながら、07年からは60歳に到達す
400
る雇用者の絶対数が増加することもあって、
300
0
般労働者の平均勤続年数は、男性22.6年、女
業で勤務した場合の34年程度を大幅に下回
600
100
造基本統計調査」によると、55~59歳の一
性16.1年となっており、大学卒業後に同一企
(万人)
700
200
ためである。例えば、厚生労働省の「賃金構
非労働力
失業者
自営業者
雇用者
19992000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14(年)
(備考)国勢調査を基に信金中金総合研究所が推計
退職者が受け取る退職金総額は大幅な増加が
見込まれる。国税庁の給与・退職所得支払額
や平均勤続年数から試算した退職金支給額な
どから、マクロベースの退職金総額を推計す
ると、団塊の世代を中心に、07年には14.9兆
研 究
27
円と06年(推定10.7兆円)に比べて4.2兆円
間は、退職所得の増加が家計全体の所得を押
増加すると見込まれる(図表8)
。
し上げる要因となろう。
06年のGDPベースの雇用者報酬(263兆円)
を基準にすると、07年は退職金の増加によ
(2)退職金の使途は貯蓄が5割、住宅関連と
って、雇用者報酬が1.6%押し上げられる計
大型消費が2割ずつ
算になる。さらに、退職者が増える08年に
退職金の支給額が膨らむことに伴って、そ
は15.6兆円、09年には15.7兆円に膨らむと試
の行方にも注目が集まっている。日本経団連
算される。団塊の世代が60歳に到達する3年
の調べによると、同一企業で勤務を継続し、
図表8 60歳到達雇用者数と退職金総額の推移
図表8と試算
(兆円)
試算値
16
15
14
(万人)
退職金支給総額
(左目盛)
13
12
11
10
9
60歳到達雇用者数
(右目盛)
150
140
130
120
110
100
90
80
70
60
50
8
(年)
1990 92 94 96 98 2000 02 04 06 08 10 12 14
(備考)1.前年の59歳雇用者数を当年の60歳到達者とした。
( 2.国税庁資料などより作成。退職金の推計値は信金
(2 中金総合研究所が試算
60歳で定年退職した場合に受け取る退職金
は、大卒の管理・事務・技術労働者で2,490
万円、高卒の生産労働者で1,934万円となっ
ている。一部では、多額の退職金を受け取る
団塊の世代が、高額商品を中心に個人消費を
押し上げるとの見方がある。
ただ、退職金は老後のための生活資金の一
部との認識が強いとみられ、その多くは貯蓄
に向かうと考えられる。団塊の世代に対する
退職金の使途に関するアンケート調査(注)3に
よると(図表9)
、退職金の51%が預貯金や
図表9 退職金の使途に関するアンケート調査
受取り退職金平均
貯蓄・資産運用
預貯金
外貨預金
公社債
投資信託
株式
年金・保険等
住宅関連
住宅ローンの返済
その他負債の返済
住宅リフォーム
不動産購入
大型消費
旅行
自動車購入
その他
団塊の世代
団塊より上の世代
金額(万円) 構成比(%) 金額(万円) 構成比(%)
2,126
100.0
2,427
100.0
1,088
51.2
1,158
47.7
610
28.7
722
29.7
67
3.1
44
1.8
58
2.7
41
1.7
109
5.1
91
3.8
107
5.0
139
5.7
137
6.5
121
5.0
553
26.0
580
23.9
256
12.1
246
10.1
41
1.9
38
1.6
151
7.1
116
4.8
105
4.9
181
7.5
486
22.9
690
28.4
110
5.2
84
3.5
94
4.4
79
3.3
283
13.3
527
21.7
(備考)シニアコミュニケーション資料より作成
(注)3.シニアマーケットの専門機関である㈱シニアコミュニケーション(東証マザーズ上場)が、団塊の世代161名、団塊より
上の世代306人に対して退職金の使い道を調査したアンケート。調査時期は2007年1月
28
信金中金月報 2007.11
投資信託など貯蓄に割り振られ、12%が住
において、団塊の世代(1947~49年生まれ)
宅ローンの返済に充てられる。
が含まれる年齢区分55~59歳(1947~51年
一方、旅行や自動車の購入を中心に大型消
生まれ)の集団を基準に、消費水準の推移を
費にも22.9%を割り振る計画であり、消費を
前後2世代(5歳刻み)の動きと比較してみ
刺激する効果は小さくないが、団塊の世代よ
たものが図表10である。
り上の世代の方が大型消費のウエイトが高か
団塊の世代の消費支出の推移をみると、お
った。団塊の世代に退職金が支給されること
おむね前の2世代を上回る水準が続き、特に
によって、高額商品を中心に消費が大きく押
40歳代前半の消費支出は、バブル経済に伴
し上げられるとは言い切れない。
う好景気に沸いた時期と重なったこともあっ
もっとも、退職金を受け取る人数が増える
て、前の世代よりも速いテンポで増加した。
分については、全体の消費支出を押し上げる
50歳代に達した90年代後半以降は2度の景気
要因になる。また、調査時点は退職金の支給
後退とリストラ圧力の高まりから賃金が伸び
前であり、実際に多額の退職金が支給された
悩んだため、消費支出はやや抑制されたが、
段階では、計画より多くの資金が消費に振り
これまでの消費活動は前の世代に比べて比較
向けられる可能性も考えられる。
的活発であったといえる。
4.高齢世帯が個人消費のけん引役に
(1)団塊の世代の消費意欲は旺盛
団塊の世代は、戦後の消費文化を担ってき
消費意欲の強弱を示すと考えられる平均消
費性向の動きを同様に比較すると、団塊の世
図表10 世帯主の世代別の実質消費支出
(世帯人員1人当たり)
(円)
た世代といわれており、引退後も旺盛な消費
120,000
意欲を維持し、新しいシニア市場を創出して
110,000
いくと期待されている。そこで、以下では、
100,000
団塊の世代の消費行動が他の世代と比較して
特筆すべき特徴があるのかどうかをみていき
たい。
具体的には、総務省「家計調査年報」のデ
ータを基に、
「世帯主の年齢階層別の世帯人
員1人当たり実質消費支出」を計算し、同一
世代の消費水準を時系列で追跡するコーホ
ート分析(注)4を行ってみた。06年の家計調査
90,000
80,000
70,000
1937∼41年生まれ
1942∼46年生まれ
60,000
1947∼51年生まれ
50,000
1957∼61年生まれ
40,000
1952∼56年生まれ
25∼29 30∼34 35∼39 40∼44 45∼49 50∼54 55∼59 60∼64 65∼69(歳)
1976 81
86
91
96 2001 06(年)
(備考)1.農林漁家世帯を除く2人以上全世帯
( 2.暦年は団塊の世代(47∼51年生まれ)の調査年
( 3.05年基準の帰属家賃を除く消費者物価で実質化
( 4.総務省「家計調査年報」より作成
(注)4.調査年ごとの年齢別の集計値では、出生年の異なる集団を対象とした調査時点での年齢別分析となる。このため、団塊
の世代など、その集団が持つ特性を探るには、同一世代の動向を追跡する必要がある。同じ時期に生まれた集団をコーホ
ートと呼び、このコーホートについて時間の経過を追って分析する手法がコーホート分析である。
研 究
29
代は前の2世代をやや下回って推移してきた
と考えられる。団塊の世代より後の世代は、
が、前の世代に比べて所得水準が高かったこ
いわゆる節約世代であるといえる。
とを考慮すると、団塊の世代の消費意欲は前
団塊の世代は前の世代と同様に旺盛な消費
の世代と遜色のないレベルで推移してきたと
意欲を持った世代であるうえ、その人口も前
いえる(図表11)
。
後の世代と比較して多いこともあって、引退
一方、団塊の世代より若い世代の1人当た
り実質消費支出は、30歳代まで団塊の世代
後の老後生活においても個人消費のけん引役
になる可能性がある。
を上回っているが、これは、共働き世帯の増
加で世帯全体の可処分所得の水準が団塊の世
(2)団塊の世代がもたらす高齢者消費の構造
代より高かったうえ、少子化で世帯人員が少
変化
なかったことが影響している。平均消費性向
団塊の世代が高齢世代に突入していくな
が団塊の世代を大きく下回っていることから
か、家計全体の消費構造も徐々に変化してい
みて、団塊の世代より若い世代の消費意欲は
くと考えられる。前述した退職金の使い道の
さほど強くなかったと考えられる。特に、世
なかで旅行への支出にまとまった資金を振
代が若くなるほど消費性向は低く、62~66
り向けるといった傾向がみられたが、実際、
年生まれ以降の世代では、年金・医療などの
60歳代の世帯は60歳未満の世帯(現役世帯)
社会保障に対する先行き不安に加え、不況や
と比較して、旅行など教養娯楽サービスや交
リストラの中での社会人生活が長く、消費意
際費といった余暇関連消費のウエイトが高い
欲が刺激されるような環境に恵まれなかった
点が目立つ(図表12)
。
図表11 世帯主の世代別の平均消費性向
住宅リフォームや家具・家事用品など住宅関
(%)
95
90
85
80
また、
より良い生活環境を整備するための、
1937∼41年生まれ
1942∼46年生まれ
1947∼51年生まれ
1952∼56年生まれ
1957∼61年生まれ
1962∼66年生まれ
1967∼71年生まれ
1972∼76年生まれ
連のウエイトも大きい。高齢世帯は、現役世
帯に比べて子供の教育費や家賃負担が小さい
こともあって、
高齢世帯が増加するにつれて、
家計全体の消費に占める生活・余暇や住宅関
連のウエイトが高まる可能性が大きい。
75
一方、高齢世帯は現役世帯と比較して自動
車関連を中心としたモノの消費や、通信費に
70
65
代表されるIT関連の支出が低い。団塊の世
25∼29 30∼34 35∼39 40∼44 45∼49 50∼54 55∼59 60∼64 65∼69(歳)
1976
81
86
91
96
2001
06(年)
(備考)1.平均消費性向=消費支出÷可処分所得
( 2.農林漁家世帯を除く2人以上勤労者世帯
( 3.暦年は団塊の世代(47∼51年生まれ)の調査年
( 4.総務省「家計調査年報」より作成
30
信金中金月報 2007.11
代が、これまでの高齢世帯と同じ消費行動を
選択すれば、それらの消費が伸び悩む可能性
もある。ただ、新たに高齢世帯となる団塊の
世代は、戦後の消費文化をリードしてきた世
の支出が増える可能性は否定できない。
また、
代であり、必ずしもこれまでの高齢世帯と同
50歳代ではパソコンや携帯電話が急速に普
じ消費行動を選択するとは限らない。
及し、会社の業務でもパソコンや携帯電話に
例えば、団塊の世代の年齢の歩みと消費財
ある程度馴染んだ最初の高齢者となる。若年
の普及状況をあわせてみると(図表13)
、団
層のようにITを使いこなしている世代には
塊の世代が20歳代の時期にカラーテレビが
及ばないが、前の世代に比べるとITに関す
急速に普及し、30歳代の時期に乗用車の普
る抵抗感は薄く、高齢者向けのIT市場を開
及率が40%台から70%台に上昇した。消費
拓していく可能性も考えられる。
意欲の旺盛な団塊の世代が高齢世帯に加わる
ことで、これまでに比べて高齢世帯のモノへ
図表12 高齢世帯と現役世代の品目別消費支出の構成比(06年)
(%)
7
生鮮食品
歳代世帯の品目別消費ウエイト
60 6
交際費
60歳代世帯の消費ウエイ
トが
相対的に高い品目
5
贈与金
教養娯楽
(サービス)
自動車等維持費
保険医療
こづかい
4
住宅修繕・維持
加工食品
3
書籍
穀乳卵類
調理食品
飲料・酒類
2
被服・履物
家具・家事用品
電気
理美容費
ガス
交通費
外食
通信
教養娯楽
(財)
現役世代の消費ウエイ
トが
相対的に高い品目
調味料・菓子
地代・家賃
自動車等購入費
1
0
教育
0
1
2
3
4
5
現役世代(60歳未満世帯)の品目別消費ウエイト
6
7
(%)
(備考)総務省「家計調査年報」より作成
図表13 主な消費財の世帯普及率の推移
(%)
100
洗濯機
カラーテレビ
80
冷蔵庫
60
電子レンジ
20歳代
エアコン
30歳代
40
乗用車
40歳代
携帯電話
50歳代
20
パソコン
DVDレコーダー
0
65
70
75
80
85
90
95
00
05(年度末)
(備考)1.年齢は団塊の世代。携帯電話は人口普及率
( 2.内閣府資料などより作成
研 究
31
~59歳の平均貯蓄残高はすでに1,900万円程
5.高齢者の貯蓄と資産選択行動
度に達している。前述したように、団塊の世
(1)高齢者に偏る家計の貯蓄
代もそれ以前の世帯と同様に、退職金で住宅
前掲の図表10でみたとおり、50歳以上の
ローンを返済し、退職金の5割程度を貯蓄に
世帯における1人当たりの消費額は40歳代以
割り振る計画であることを考えると、団塊の
下の世帯に比べて大きいが、こうした豊かな
世代の貯蓄・負債残高も、ほぼ06年時点の
消費生活を支えているのが潤沢な金融資産で
60歳代の世帯と同程度の水準に達すると予
ある。家計調査ベースの年齢階層別貯蓄残高
想される。
(06年平均)をみると、50歳代前半までは5年
こうしたなか、団塊の世代が60歳に達す
間の積上げペースが200~300万円と緩やかだ
るにつれて、家計の貯蓄が高齢者に集中する
が、50歳代後半には増加ペースが加速し、退
構図が一段と進む見通しである。
職金を受け取った60歳代前半には2,500万円
家計調査ベースの年齢別貯蓄残高と国勢調
超に増加する(図表14)
。しかも、これは退
査に基づく世帯数(単身世帯も含む)などか
職金の一部で住宅ローンなどの債務を返済し
ら年齢階層別の貯蓄残高の保有シェアを試
た後の金額で、債務を差し引いた純金融資産
算すると、06年時点で全世帯の37.2%を占め
は60歳代で大幅に増加する。
る60歳以上の世帯が、家計の全貯蓄のうち
この数値は06年時点の年齢別の実績値で
55.8%を保有している計算になる(図表15)。
あり、同一世代を追跡したコーホート別のデ
さらに、すべての団塊の世代が60歳以上に
ータではないが、団塊の世代が含まれる55
達する09年には、60歳以上世帯の構成比が
図表14 世帯主の年齢階層別貯蓄・負債残高
11 (06年平均)
図表15 年齢階層別の貯蓄シェア(試算値)
(万円)
3,000
貯蓄
90
負債
2,559
2,500
2,487
37.2
50
1,490
40
1,250
1,0241,064
969
821
1,000
500
398
498
30
1,015
20
689
624
503
279 301
10
298
144
87
29
34
39
44
49
54
59
64
65
∼
60
∼
55
∼
50
∼
45
∼
40
∼
35
∼
30
∼
25
∼
∼
24
(歳)
(備考)1.対象は農林漁家世帯を含む全世帯のうち夫婦のみ
(2 または夫婦と子の世帯
( 2.総務省「家計調査年報」より作成
信金中金月報 2007.11
40.7
55.8
59.5
60
1,906
1,500
32
80
70
2,000
0
(%)
100
0
20.7
15.4
16.5
10.2
18.0
16.2
23.7
16.0
12.2
7.4
0.9
12.5
7.2
0.8
9.2
世帯数
貯蓄残高
2006年
60歳以上
50歳代
20.0
世帯数
貯蓄残高
2009年
40歳代
30歳代
30歳未満
(備考)1.世帯数、貯蓄シェアとも単身世帯を含む。
( 2.総務省「家計調査年報」などより試算
40.7%へ高まり、60歳以上の世帯が保有する
て保険商品の必要性が低下する一方、換金性
貯蓄額のシェアは59.5%へ上昇すると試算さ
が重要になることから預貯金の構成比が30
れる。高齢化が進むにつれて、高齢者への貯
歳代や40歳代より大きいことも特徴の一つ
蓄の偏在が一段と進むことになる。
である。また、最近の傾向として、貯蓄から
投資へのシフトが進んでいるといわれている
(2)高齢世帯の増加がリスク資産比率の上昇
が、実際に02年と06年を比較すると、各年
に寄与
代とも株式・株式投信の比率が上昇している。
家計全体の貯蓄の多くを高齢者が保有して
特に、豊富な金融資産を保有する高齢世帯の
いるうえ、今後は団塊の世代に支給される退
リスク許容度が大きく、株式・株式投信の比
職金も膨らむため、高齢者が金融資産をどう
率は、60歳代(02年6.6%→06年11.0%)
、70
配分するかによって金融市場全体も大きな影
歳以上(02年7.3%→06年11.7%)の世帯に
響を受けることになる。
おいて上昇幅が大きくなっている。
年齢別にみた金融資産構成の特徴として、
今後は、長寿化で老後生活の期間が長期化
株式・株式投信といったいわゆるリスク資産
する可能性があるうえ、医療費負担の増加も
の比率は若年層で低く、高齢層で高いという
想定され、収益性を求めるスタンスは一段と
点が挙げられる(図表16)
。金融資産残高が
高まろう。退職金を受け取った団塊の世代が
大きい高齢層では、分散投資の観点からある
高齢世帯に加わってくることもあって、高齢
程度のリスク資産を保有しようとする動機が
世帯を中心にリスク資産を選好する傾向が一
働くためである。また、年齢が上がるにつれ
段と強まる可能性があろう。
図表16 世帯主の年齢階層別貯蓄の商品構成比
6.長期的には高齢化に伴う日本経済
へのマイナス影響は不可避
(%)
100
80
(1)高齢世帯の消費意欲は70歳以降徐々に
減退
60
以上みてきたように、当面は、団塊の世代
40
が退職金を受け取ることで、消費が刺激され
るとともに、家計全体の金融資産は一段と膨
20
0
らむと予想される。
団塊の世代の定年退職で、
02 06
∼29
02 06
02 06
02 06
02 06
30∼39 40∼49 50∼59 60∼69
生命保険など
株式・株式投信
債券・公社債投信
定期性預貯金
(年)
02 06
70∼(歳)
通貨性預貯金
(備考)1.農林漁家世帯を含む2人以上全世帯
( 2.総務省「家計調査年報」より作成
本格的な高齢化社会を迎えようとしているも
のの、しばらくの間は団塊の世代を中心とし
た60歳代の消費・貯蓄行動が日本経済にプ
ラスの効果をもたらす可能性が大きい。た
研 究
33
だ、長期的にみると、高齢化の進展に伴うマ
果といえる。
イナスの影響は着実に増大していくと考えら
れる。
ただ、高齢無職世帯が金融資産を取り崩す
ことによって一生涯高い水準の消費活動を続
第4章の図表11でみたとおり、60歳以上の
けるわけではない。例えば、60歳以上の高
勤労者世帯の平均消費性向は、嘱託社員など
齢無職世帯の収入と支出のバランスを5歳刻
への移行などで賃金が減少するため、60歳
みでみると、60~64歳の無職世帯では、年
未満の世帯に比べて高い水準にあるが、なお
金支給年齢の引上げや長寿化に備えた年金の
100%を下回っており、消費支出を収入で賄
繰下げ支給の選択などで、可処分所得は65
える状況にある。しかし、60歳以上の世帯
歳以上の世帯に比べて少ないが、潤沢な貯蓄
の多くを占める無職世帯(06年平均、農林
を取り崩して高水準の消費活動を維持してい
漁家世帯を除く2人以上世帯)をみると、年
る(図表18)
。月平均では11.6万円の貯蓄を
金収入を中心とする実収入(注)5が22.4万円、
取り崩している。単純計算すれば年間139万
税金などの非消費支出を差し引いた可処分
円、5年間では695万円の貯蓄を取り崩す計
所得は19.3万円であるのに対し、消費支出は
算になる。
24.8万円で差し引き5.5万円の不足となって
しかし、年齢が進むにつれて貯蓄の取崩し
いる(図表17)
。年金を中心とした収入では
額は縮小し、収入に見合った水準近くまで消
消費支出を賄えず、貯蓄を取り崩して生活し
費を抑制している。高齢化が進み体力的に活
ていることになる。
力が低下してくることが主因とみられるが、
これは、現役時代に積み上げてきた貯蓄を、
高齢化とともに貯蓄残高が縮小、もしくは枯
高齢期に取り崩しながら生活レベルを維持す
渇した結果として、消費支出を抑制せざるを
るといった合理的な行動であり、潤沢な金融
得なくなった家計が増えている影響もあろう。
資産を背景に豊かな消費生活を送っている結
例えば、
「家計の金融資産に関する世論調
図表17 60歳以上無職世帯の収支(06年、月平均)
その他収入 31,601円
不足分 54,763円
社会保障給付
192,426円
税金など非消費支出 30,909円
消費支出
247,881円
0
50,000
100,000
150,000
200,000
250,000
300,000
(備考)1.農林漁家世帯を除く2人以上無職世帯
( 2.総務省「家計調査年報」より作成
(注)5.実収入は勤め先収入、内職収入、財産収入、年金などの合計。なお、退職金は実収入に含まれない。
34
信金中金月報 2007.11
(円)
図表18 年齢階層別高齢無職世帯の収支(06年)
60∼64歳
消費支出
可処分所得
65∼69歳
消費支出
可処分所得
70∼74歳
消費支出
可処分所得
赤字
(貯蓄取崩し)
75歳以上
消費支出
可処分所得
50,000
0
100,000
150,000
200,000
250,000
(備考)1.農林漁家世帯を除く2人以上無職世帯
( 2.総務省「家計調査年報」より作成
300,000
(円)
査」によると、30歳以上の全ての世代で無
が70歳に達する2017年にかけて、高齢化に
貯蓄世帯の比率が上昇しているが、なかでも
伴う個人消費へのマイナス影響が徐々に顕在
70歳以上世帯の無貯蓄比率の上昇幅が大き
化してくる可能性がある。
い(図表19)
。50歳代以下の世帯では厳しい
所得環境が続いてきたことが無貯蓄世帯の増
(2)高齢化の影響で家計の貯蓄率は長期的に
加要因であるが、主に年金で生活する70歳
低下傾向
以上の世帯については、超低金利や高齢化が
過去の蓄えを取り崩して生活する高齢世帯
着実に進んでいる影響で貯蓄が底を付く世帯
の増加に伴って予想されるのが家計貯蓄率
が増えていると考えられる。
の低下である。マクロベースの家計貯蓄率
当面は、団塊の世代が高齢者世帯の消費を
(GDPベース)はすう勢的に低下を続けてお
けん引すると見込まれるものの、団塊の世代
り、05年度には3.1%まで低下した。バブル
図表19 年齢階層別の無貯蓄世帯の比率
要因であるが、高齢化に伴って貯蓄を取り崩
(%)
35
30
25
28.9
して生活する世帯
(貯蓄率がマイナスの世帯)
10
5
06年
27.4
23.0
25.6
が増えていることも影響している。当面は、
23.1
22.0
20.1
20
15
崩壊以降、家計所得が低迷したことが最大の
(退職一時金は雇主帰属社会負担としてGDP
00年
ベースの雇用者報酬に計上される)
の増加や、
15.3
12.1
団塊の世代の大量定年退職に伴う退職所得
賃金の回復で不況期に貯蓄を取り崩した家計
13.0
(現役世帯)が老後に備えて貯蓄残高を積み
10.4
7.9
20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳以上
増すとみられ、家計の貯蓄率は緩やかに上昇
(備考)金融広報中央委員会「家計の金融資産に関する世論調
( 査」より作成
すると予想されるが、長期的には高齢化に伴
研 究
35
う家計貯蓄率の低下は避けられないと考えら
れる。
蓄率を押し下げる要因となろう。
家計貯蓄率の低下は国全体の資金需給にも
高齢化の進行による影響を計測するため
大きな影響をもたらすと予想される。足元で
に貯蓄率関数を推計し、貯蓄率の変動要因
は、企業部門が資金余剰となっていることに
を分析してみると、90年代以降は、高齢化
加え、
政府部門の資金不足幅が縮小しており、
の進行(65歳以上人口比率の上昇)が、貯
国全体としては大幅な資金余剰(経常収支の
蓄率を年0.5%程度押し下げる要因となって
黒字)となっている。しかし、長期的には中
いる(図表20)
。人口構成の高齢化は今後も
小・零細企業を含めた企業部門はいずれ本来
徐々に進行する見通しだが、特に、団塊の世
の資金不足部門に転じる公算が大きく、家計
代が65歳に到達し、本格的な年金生活に入
貯蓄率の動向次第では民間部門が資金不足に
る2012年から2014年の3年間で、65歳以上人
転じることも考えられる。
政府部門についても、
口比率は2.8%ポイント(年平均で0.9%ポイ
財政再建路線が維持されているとはいえ、高
ント)の上昇が見込まれている。このため、
齢化に伴う社会保障負担増は避けられず、資
2012年からの3年間は、他の要因を無視する
金不足幅の縮小が順調に進むかは不透明であ
と、高齢化の影響によって家計の貯蓄率は
る。結果として、国全体が資金不足に転じる
3%ポイント(年平均1%ポイント)押し下
ようなことになれば、その穴埋めを海外に依
げられる計算になる。2015年以降は65歳以
存せざるを得ず、それが金利上昇を通じて企
上人口比率の上昇テンポはやや鈍化するもの
業の投資行動の制約要因になる可能性がある。
の、高齢化の進行は長期にわたって家計の貯
日本経済が安定的に発展していくために
図表20 家計貯蓄率(GDPベース)の推移と前年差の要因分解
(%)
20
高齢化要因
資産要因
15
10
貯蓄率
(左目盛)
5
貯蓄率前年差
要因分解
(右目盛)
所得要因
物価要因
(%)
0.5
0.0
-0.5
-1.0
-1.5
-2.0
-2.5
0
-5
-10
82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06
(年度)
(備考)1.要因分解に用いた推計式は以下のとおり。
(2 家計貯蓄率=8.079+0.313×可処分所得前年比−3.568×個人金融資産残高(前年末)の可処分所得比−1.098
(2.02)(3.21)
(-4.22)
(-9.86)
(
×65歳以上人口比率+0.266×消費デフレーター
(5.88)
( )内はt値。決定計数=0.975
( 2.個人金融資産残高は現預金を除く。06年度は推定値。内閣府資料などより信金中金総合研究所が推計
36
信金中金月報 2007.11
は、国全体で資金余剰の状態が続くことが望
財政赤字を抑えることで国全体の資金不足
ましい。しかし、高齢化の進行で長期的に民
の幅を最小限にとどめることが求められる。
間部門が資金余剰を維持していくことが困難
また、50年単位の超長期計画になるが、本
なだけに、消費税を含めた抜本的な税制改正
格的な少子化対策で出生率を引き上げ、高齢
や歳出の見直しで財政再建を一段と加速し、
化に歯止めをかけることも重要な政策とい
仮に民間部門が資金不足に陥ったとしても、
えよう。
〈参考文献〉
厚生労働省「労働経済白書」(平成18年版、平成19年版)
内閣府「高齢社会白書」(平成18年版、平成19年版)
内閣府「少子化社会白書」(平成18年版)
内閣府「年次経済財政報告」(平成18年版、平成19年版)
研 究
37
研 究 団塊世代のライフスタイルと市場動向
-団塊世代市場に向けた中小企業等の取組事例-
信金中央金庫 総合研究所主任研究員
平井 昌夫
(キーワード) 団塊世代、2007年問題、高齢化、高齢社会、アクティブ・シニア、ライフスタイル
(視
点)
団塊世代(47~49年生まれの約806万人層)の07年からの退職により高齢社会が本格化す
る。そこで、本稿は団塊世代に注目し、わが国の高齢化の現状、団塊世代のライフスタイル
や消費行動の特徴と、団塊世代を中心とするこれからの高齢社会における商品・サービス市
場の動向を探ろうとするものである。
“アクティブ・シニア”が多いとみられる団塊世代が創
造する新たなライフスタイルに注目するとともに、団塊世代市場向けの取組みを行う中小企
業等の事例を取り上げたものである。
(要 旨)
● 戦後の結婚ラッシュ等によるベビーブームで誕生した、いわゆる団塊世代(1947~49年
生まれ)の出生数は約806万人に上り、06年時点(57~59歳)でも677万人と総人口の5.3%
を占める。
● 「団塊の世代」とは、堺屋太一氏が76年に同名の小説を発刊したことから世の中に広ま
った言葉である。団塊世代は、その数の多さゆえに、社会的に様々なインパクトを及ぼし
てきた。そして、そのライフステージごとに多様なネーミングを冠せられてきたが、07
年の定年退職・引退を機に、これまでの「男は仕事、女は家庭」といった性役割分業意識
が見直されるなど、特に団塊世代男性のこれからの生き方が問われている。
● 高齢社会の本格化を機に、戦後もっぱら経済成長を優先してきた政策から、高齢社会にふ
さわしい生活者優先の社会の構築に向けた政策へと転換することによって、日本社会が世
界の高齢社会の一つの有力なモデルとなる可能性を秘めている。たとえば、高齢者が多く
なるということは、それだけ高齢者の体力やライフスタイルの多様性などに合わせたゆと
りある社会を創造していくということでもある。
● 団塊世代の新たなライフスタイルとして、①多彩・多様化、②快適・安全・安心、③ゆと
り・スローライフ、④交流・仲間・地域貢献、⑤情報活用を取り上げた。活動分野としては、
「趣味・余暇」および「ボランティア、社会貢献」が大きなウエイトを占めるとみられる。
また、団塊世代市場として、衣・食・住の基本的な市場に加えて、遊ぶ・旅行、学習・教
育、移動・移住、地域貢献の各分野を中小企業等の取組事例とともに取り上げた。
(注)本稿は2007年9月末時点のデータに基づき記述されている。
38
信金中金月報 2007.11
(2)わが国の高齢化の現状
1.団塊世代とわが国の高齢化の現状
わが国の総人口は、06年10月1日現在、1
(1)団塊世代とは
億2,777万人となった。前年の05年に戦後初
めてマイナス(前年比2万人減少)に転じた
戦後の結婚ラッシュ等によるベビーブー
後、ほぼ横ばいとなっている。
ムで誕生した、いわゆる団塊世代(1947~
49年生れ)の出生数は約806万人に上り、06
65歳 以 上 の 高 齢 者 人 口 は、 過 去 最 高 の
年時点(57~59歳)でも677万人と総人口の
2,660万人となり、高齢化率は20.8%と、前年
5.3%を占める。また、国勢調査(05年)に
(20.1%)以降2割を超えている。高齢者人口
よる団塊世代を含む年齢階級55~59歳でみ
のうち、
「前期高齢者」
(65~74歳)人口は1,444
ると、1,026万人に上るが、この人数は総人
万人、
「後期高齢者」
(75歳以上)人口は1,217
口 の8.0 % を 占 め、 直 近 上 位60~64歳(854
万人となっており、後期高齢者が前期高齢者
万人)のシニア層に比べて1.2倍となる。こ
を上回る増加数で推移してきている。高齢者
のため、団塊世代が65歳に達する2012年以
人口は2020年まで急速に増加し、その後は
降は高齢者比率(65歳以上の高齢者人口の
おおむね安定的に推移する一方、総人口は減
総人口に占める割合)が大きく引き上げられ
少することから、高齢化率は今後も上昇を続
ることになる。
け、2025年には30.5%、2055年には40.5%に
達すると見込まれている(図表1)
。
図表1 高齢化の推移と将来推計
(千人)
(%)
45,000
実績値
40,000
33,781
35,000
高齢者人口合計
(点線内数値)
10,647
(12.0%)
8,865
14,011 14,897
0
6,236
1950 55
60
65
7,393
70
75
80
85
90
25
20
15
14,070
23,728 23,866
(10.3%)
13,007
21,667 22,659 22,352 22,145 22,471
(9.1%)
11,091
18,737
(7.9%)
5,398
75歳以上人口
8,921
16,452
(7.1%)
4,155 4,786
14,222
7,757
(後期高齢者)
(5.7%)(6.3%)
6,988
(4.9%)(5.3%)
11,602
5,000
6,025
8,999
3,756 4,342 5,156
5,973 7,170
3,086 3,387
4,712
3,660
2,841
1,069 1,399 1,642 1,894 2,237
10,000
30
15,190
(14.5%)
12,468
65∼74歳人口
(前期高齢者)
17,329
(17.3%)
14,895
14,687
16,382 15,937 13,912 12,597
17,162
(20.1%)
18,261
35
高齢化率
(右目盛り)
(33.7%)
(23.1%)
22,005
20,000
15,000
38,527 38,407 37,641 36,463
40
36,670 37,249
36,354
(38.2%)
35,899
(40.5%)
(39.6%)
(36.5%)
(31.8%)
29,412
(30.5%)
(29.2%)
25,672
(26.9%)
30,000
25,000
45
推計値
95 2000 05
10
15
20
25
30
35
40
45
50
10
5
0
55(年)
(備考)1.2005年までは総務省「国勢調査」、2010年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成18年12月
(2 推計)」の出生中位・死亡中位仮定による推計結果
( 2.内閣府「平成19年版高齢社会白書」を基に信金中金総合研究所作成
研 究
39
都道府県別に高齢化率をみると、3大都市
わが国の平均寿命は戦後大幅に伸び、05年に
圏で低く、それ以外の地域で高い。05年現在、
は男性が78.56年、女性が85.52年となってい
最も高い島根県で27.1%、最も低い沖縄県で
る。また、65歳時の平均余命は、男性18.13年、
16.1%となっている。今後、高齢化率は全て
女性23.19年となっており、男女とも、高齢期
の都道府県で上昇し、2020年には、全国平
が長くなっている。一方、出生の状況をみる
均29.2%に対し、最も高い秋田県で36.5%、
と、合計特殊出生率(女性が一生の間に生む
最も低い沖縄県で22.6%に達すると見込まれ
子供の数の目安)は、第1次ベビーブーム時
ている。今後わが国の高齢化は、大都市圏を
に4.54(47年)
~4.32(49年 ) を 記 録 し て 以
含めて全国的な広がりを見せることになる
降急速に低下、75年に1.91と2.00を下回った。
(図表2)。
05年は1.26であり、過去最低水準となったが、
高齢化(高齢化率の上昇)の要因は、平均
06年には1.32と6年ぶりにやや上昇している。
寿命の上昇により高齢者数が増加する一方、
わが国の高齢化の特徴は、
「高齢化社会」
(高
少子化により総人口が減少することにある。
齢化率7%をいう、
70年)から
「高齢社会」
(同
14%をいう、94年)への移行期間が24年と
図表2 都道府県別高齢化率の推移
極めて短いことである。ちなみに、諸外国の
全 国
北海道
青 森
岩 手
宮 城
秋 田
山 形
福 島
茨 城
栃 木
群 馬
埼 玉
千 葉
東 京
神奈川
新 潟
富 山
石 川
福 井
山 梨
長 野
岐 阜
静 岡
愛 知
三 重
滋 賀
京 都
大 阪
兵 庫
奈 良
和歌山
鳥 取
島 根
岡 山
広 島
山 口
徳 島
香 川
愛 媛
高 知
福 岡
佐 賀
長 崎
熊 本
大 分
宮 崎
鹿児島
沖 縄
移行期間はフランス115年、スウェーデン85
年、比較的短いドイツでも40年と、日本に
比べれば高齢化に時間がかかっている。
2005年
05→20年
このように、団塊世代の定年年齢到達に
20→35年
より、当面は前期高齢者を中心とする“ア
クティブ・シニア”がわが国の高齢社会の姿
を大きく変えていくものと予想される。
2.団塊世代のライフヒストリーと生計
(1)団塊世代のライフヒストリー
「団塊の世代」とは、堺屋太一氏が76年に
同名の小説を発刊したことから世の中に広ま
った言葉である。団塊世代は、その数の多さ
ゆえに、社会的に様々なインパクトを及ぼし
てきた。そして、そのライフステージごとに
0
5
10
15
20
25
30
35
40
。
45(%) 多様なネーミングを冠せられてきた(図表3)
(備考)国立社会保障・人口問題研究所「日本の都道府県別
( 将来推計人口」
(07年5月)より信金中金総合研究所作成
40
信金中金月報 2007.11
成長期には、戦後民主主義の申し子として
男女同権の教育を受け、この約800万人のコ
これまでの性役割分業意識が見直されるな
ーホート(同時出生集団)は、高校や大学の
ど、特に団塊世代男性は、退職・引退を機に
増設を促すなど日本社会の既存の仕組みを変
これからの生き方が問われているといえよう。
えていく力となってきた。
社会人になってからは、高度成長期後期に
就職し、企業の発展とともに過ごしてきた。
(2)団塊世代の地域分布
団 塊 世 代 は、 出 生 時 点(1950年 ) で は、
同年齢階層が多いことによって、賃金は多少
その32.7%が三大都市圏(埼玉、千葉、東京、
抑えられ、出世も多少抑制されてきたが、そ
神奈川、岐阜、愛知、三重、京都、大阪、兵庫)
れほど大きなダメージを受けることなく50代に
に居住していたが、集団就職等による地方か
突入した。家庭生活では、彼らが結婚する時
ら都市圏への集中によって75年には51.6%と
には高度成長期を経て世の中が豊かになった
半数を超え、05年でも49.2%を占めている。
ころであり、男は「会社人間」として雇用者
最近では、後述のように、団塊世代の定年を
化が進み、妻は働きに出ずに「専業主婦」と
機に、都会に生活する団塊世代がふるさとで
して家事や育児を支えてきた。これが近代家
ある地方へ回帰するのを支援する動きが活発
族のモデルであり、
「男は仕事、女は家庭」と
化している。
いう性役割分業が一般化した時期であった。
05年の団塊世代の都道府県別分布(団塊
しかしながら、50代に入ってからは、バブ
世代を含む55~59歳1,026万人が対象)を見
ル経済が崩壊し、企業のリストラが本格化す
てみよう(図表4)
。多い順に、①東京(938
るなど、数の多い団塊世代が早期退職などを
千人)
、②大阪(726千人)
、③神奈川(686
余儀なくされる場面も多くなってきた。その
千人)
、④埼玉(595千人)
、⑤愛知(568千
ことが失業や賃金の低下に対する不安感を大
人)
、⑥千葉(510千人)
、⑦北海道(473千
きくしており、この不安感が老後費用や介護
人)
、⑧兵庫(457千人)
、⑨福岡(403千人)、
問題への不安感につながっている。同時に、
⑩静岡(309千人)となり、ほぼ人口の多い
図表3 団塊世代のネーミングの変遷
年代
ネーミング
備考
第一次ベビーブーム
戦後民主主義の申し子
~20代前後
移動世代
全共闘世代
受験戦争
男女同権の教育
集団就職
体制批判意識
友達夫婦
20代~30代 ニューファミリー
近代家族
男女の年齢差が小さい
家族一緒に行動
専業主婦、性別役割分業
30代~40代
会社人間
ポストレス時代
個人主義も同居
組織のフラット化
(備考) 樋口美雄他『団塊世代の定年と日本経済』より信金
中金総合研究所作成
順と同様である。
しかし、総人口に占める割合で見ると、高
い順に、①富山(8.88%)
、②山口(8.75%)
、
③香川(8.71%)
、④石川(8.60%)
、⑤高知
(8.54%)の順となり、他方、沖縄(6.02%)
、
鹿児島(7.33%)
、東京(7.46%)
、山梨(7.54%)、
宮城(7.54%)などが低くバラツキがみられ、
これといった傾向は見出し難い。また、シニ
ア世代(60~64歳)との倍率では、 沖縄(1.34
研 究
41
図表4 団塊世代人口の地域分布
団塊世代
55~59歳
全 国
北 海 道
青 森 県
岩 手 県
宮 城 県
秋 田 県
山 形 県
福 島 県
茨 城 県
栃 木 県
群 馬 県
埼 玉 県
千 葉 県
東 京 都
神奈川県
新 潟 県
富 山 県
石 川 県
福 井 県
山 梨 県
長 野 県
岐 阜 県
静 岡 県
愛 知 県
三 重 県
滋 賀 県
京 都 府
大 阪 府
兵 庫 県
奈 良 県
和歌山県
鳥 取 県
島 根 県
岡 山 県
広 島 県
山 口 県
徳 島 県
香 川 県
愛 媛 県
高 知 県
福 岡 県
佐 賀 県
長 崎 県
熊 本 県
大 分 県
宮 崎 県
鹿児島県
沖 縄 県
10,255,164
473,433
116,476
106,347
177,938
94,755
93,296
157,706
243,946
165,715
167,753
595,169
510,283
938,669
686,087
196,432
98,774
100,957
65,184
66,683
169,279
172,929
309,000
568,332
149,085
106,688
220,675
726,275
457,257
120,511
85,602
48,068
61,086
158,662
238,977
130,578
68,375
88,193
123,199
67,977
403,526
66,206
116,589
140,118
99,462
92,452
128,556
81,904
シニア世代
60~64歳
8,544,629
378,499
92,399
87,665
138,786
74,545
73,494
124,515
199,993
127,311
135,869
516,538
439,334
813,422
596,060
153,649
78,320
78,251
51,950
56,176
146,555
143,383
260,868
486,305
126,595
85,330
184,054
652,442
389,368
103,792
73,992
37,384
47,102
133,242
197,846
107,894
52,004
66,332
97,767
54,481
316,417
50,928
90,226
109,918
80,101
71,006
101,544
60,977
(単位:人、%)
人口総数
127,767,994
5,627,737
1,436,657
1,385,041
2,360,218
1,145,501
1,216,181
2,091,319
2,975,167
2,016,631
2,024,135
7,054,243
6,056,462
12,576,601
8,791,597
2,431,459
1,111,729
1,174,026
821,592
884,515
2,196,114
2,107,226
3,792,377
7,254,704
1,866,963
1,380,361
2,647,660
8,817,166
5,590,601
1,421,310
1,035,969
607,012
742,223
1,957,264
2,876,642
1,492,606
809,950
1,012,400
1,467,815
796,292
5,049,908
866,369
1,478,632
1,842,233
1,209,571
1,153,042
1,753,179
1,361,594
(注)シャドウ部分は相対的に高順位の都道府県
(備考)総務省「国勢調査(05年)」より信金中金総合研究所作成
42
信金中金月報 2007.11
団塊世代/
シニア世代
団塊世代/
総人口
1.20
1.25
1.26
1.21
1.28
1.27
1.27
1.27
1.22
1.30
1.23
1.15
1.16
1.15
1.15
1.28
1.26
1.29
1.25
1.19
1.16
1.21
1.18
1.17
1.18
1.25
1.20
1.11
1.17
1.16
1.16
1.29
1.30
1.19
1.21
1.21
1.31
1.33
1.26
1.25
1.28
1.30
1.29
1.27
1.24
1.30
1.27
1.34
8.03
8.41
8.11
7.68
7.54
8.27
7.67
7.54
8.20
8.22
8.29
8.44
8.43
7.46
7.80
8.08
8.88
8.60
7.93
7.54
7.71
8.21
8.15
7.83
7.99
7.73
8.33
8.24
8.18
8.48
8.26
7.92
8.23
8.11
8.31
8.75
8.44
8.71
8.39
8.54
7.99
7.64
7.88
7.61
8.22
8.02
7.33
6.02
倍)
、香川(1.33倍)など総じて地方圏が高く、
後半世帯の貯蓄残高は平均1,952万円と相対
東京(1.15倍)
、神奈川(1.15倍)など都市圏
的に高いが、4,000万円以上が12.3%を占め
で低くなっており、都市圏ではシニア世代も
る一方、500万円未満が23.9%となっており、
相対的に多いことが推察される。
ばらつきは大きい。
団塊世代の今後の消費動向を推測する意
(3)団塊世代の生計─総じて貯蓄が多く、消
味で、高齢者世帯の消費動向を見てみよう。
費支出も大きい
世帯主の年齢階級別に世帯1人当たりの消
家計調査により、全世帯の貯蓄残高を年齢
費支出をみると、世帯主が60歳以上の家計
階級別に見ると、高い年齢層ほど高い傾向が
において1人当たりの消費支出額が大きい
ある(図表5)
。団塊世代に該当する50歳代
(図表6)
。また、支出額の内訳を見ると、他
図表5 世帯主の年齢階級別貯蓄残高の分布(全国・全世帯)
(単位:%)
3,000~ 4,000万円
4,000
以上
平均貯蓄
残高
(万円)
年齢
500万円
未満
500~
1,000
1,000~
2,000
2,000~
2,500
2,500~
3,000
計
30.9
20.1
21.1
6.4
4.2
6.2
11.3
1,779
~29歳
84.9
12.8
2.2
0.0
0.0
0.0
0.1
278
30~39
56.2
22.8
15.0
1.7
1.2
1.7
1.4
728
40~49
34.7
26.4
23.4
5.5
2.2
3.3
4.4
1,200
50~59
25.9
20.8
22.8
7.6
5.4
6.7
10.9
1,812
(55~59)
23.9
20.0
21.0
8.7
6.4
7.6
12.3
1,952
60~69
18.7
16.1
23.3
8.1
5.9
9.0
18.8
2,484
70歳~
18.9
16.4
21.6
8.4
5.7
9.8
19.4
2,546
(備考)総務省「家計調査年報(06年)」より信金中金総合研究所作成
図表6 世帯主年齢階級別1世帯1人当たり家計支出額(2人以上の世帯)
30歳未満 6,120 8,290
30∼39歳 4,363 6,915
40∼49歳 3,921 6,892
50∼59歳 5,398 8,165
60∼69歳 6,516
23,870
24,772
32,963
28,654
34,605
35,480
8,974
39,262
42,033
70歳以上 5,465 7,893
0
38,552
38,851
42,198
37,996
10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 80,000 90,000 100,000(円)
耐久財
半耐久財
非耐久財
サービス
(備考)1.総務省「全国消費実態調査」(2004年)による世帯人員1人当たり月額消費額(3か月平均)
2.『07年版中小企業白書』を基に信金中金総合研究所作成 研 究
43
図表7 世帯主の年齢階級別1世帯1人当たり家計支出額(2人以上の世帯)
(単位:円/月)
全年齢階級
平均
60~64
65~69
70~74
75歳以上
消費支出
98,179
114,343
110,378
109,048
103,424
食料
22,228
26,869
26,813
26,747
25,972
教養娯楽
9,858
12,183
13,137
12,999
10,938
うち教養娯楽用品
1,887
2,251
2,210
2,089
1,946
うち書籍・他の印刷物
1,510
1,769
1,844
2,001
2,048
うち教養娯楽サービス
5,495
7,118
8,094
8,028
5,998
449
719
859
794
733
1,524
2,689
3,304
3,435
2,289
うち宿泊料
うちパック旅行費
(備考)1.総務省「全国消費実態調査」(2004年)による世帯人員1人当たり月額消費額(3か月平均)
2.『07年版中小企業白書』を基に信金中金総合研究所作成
の世代に比べて食料品への支出、書籍、旅行
最終的には2013年度に65歳までの雇用が義
などの教養娯楽に対する支出が多いことがわ
務づけられる。また、早期退職が増加してい
かる(図表7)
。
るほか、別の企業で就業継続する者もいる。
3.“アクティブ・シニア”による新た
なライフスタイルの創造
(1)“アクティブ・シニア”と日本の高齢社
さらに、団塊世代のほぼ半分を占める女性
の多くは、昔に退職しており、
「2007年問題」
はどちらかといえば団塊男性の問題であると
もいえよう。
会の変化
イ.「2007年問題」への誤解
「2007年問題」が喧伝される中で、団塊の
ロ.定年の意味の変容
これまでの「定年」=「引退」という構図
世代が一斉に退職すると理解されがちだが、
が変容している。定年を機に「新しい人生が
団塊世代で60歳に退職する人は半数にも満
開ける」
、
「自由な時間が増え、自分を取り戻
たないといわれている。
す」
などの肯定的なイメージも増加しており、
まず、定年の制度的延長により勤務継続す
この点で定年退職を第2のキャリア形成期と
るものが多い。04年6月、
「改正高年齢者雇
位置づけるような転機として前向きに意味づ
用安定法」(「高年齢者等の雇用の安定等に関
けられるようになりつつある。また、定年を
する法律の一部を改正する法律」
)
(年金の支
契機とする職業キャリアの展開はボランティ
給年齢を従来の60歳から65歳に引き上げる
ア活動や独立開業志向など多様性を持ってい
のと引き換えに、65歳までの雇用継続を企
る。働き方においても、
「会社人間」からの
業に義務づける)が施行された。これによる
離脱現象がみられるなど多様化している。
と、雇用を延長する年齢は、06年度から62
歳までとなり、
その後段階的に引き上げられ、
44
信金中金月報 2007.11
ハ.団塊世代の高齢化による日本の高齢社会
ング」は「年をとっていく中で、生活の質を
の変化
高めていくために、
『健康』
、
『参加』
、
『安全』
高齢社会への移行、すなわち高齢者の増加
のための機会を最大化するプロセスである」
と少子化による高齢化率の上昇は避けられな
と定義されている。ここでいう
「アクティブ」
い事実であり、我々はそれを正面から受け止
とは、単に労働市場に参加したり、あるいは
めて、新たな将来設計を描きつつ、その問題
身体的にアクティブということのみならず、
の処方箋を描き出していくことが必要であ
社会的、経済的、文化的、精神的な活動や市
る。生産年齢人口の減少は、経済成長にとっ
民活動への参加を継続するという意味が含ま
てマイナス要因の一つとなる。しかし、戦後
れており、
全ての高齢者の健康年齢を伸ばし、
もっぱら経済成長を優先してきた政策から、
生活の質の向上を図っていくことがアクティ
高齢社会にふさわしい生活者優先の社会の構
ブ・エイジングの目的である、とされている。
築に向けた政策へと転換することによって、
したがって、アクティブ・エイジングの目的は
日本社会が世界の高齢社会の一つの有力なモ
“アクティブ・シニア”の創出にあるといえよう。
デルとなる可能性を秘めているともいえる。
たとえば、高齢者が多くなるということは、
(2)
“アクティブ・シニア”による新たなラ
それだけ高齢者の体力やライフスタイルの多
イフスタイルの創造
様性などに合わせたゆとりある社会を創造し
以下では、
“アクティブ・シニア”による新
ていくということでもある。幼児や障害者の
たなライフスタイルとこれに基づく主たる活
生活はまた身体的能力が壮年期に比べてハン
動分野を取り上げ、こうしたライフスタイル
ディがあるという点において高齢者の生活と
と活動分野に関連する団塊世代向けの成長市
共通している。高齢社会とはこのようなハン
場を探るという順序でみていくこととしたい
ディを持ちながら日々の生活を送る人々が増
(図表8)
。
えることでもあり、その意味では、あらゆる
新たなライフスタイルとして、①多彩・多
人々の社会参加を可能にする社会のあり方を
様化、②快適・安全・安心、③ゆとり・スロ
再考するチャンスでもある。
ーライフ、④交流・仲間・地域貢献、⑤情報
このように、高齢者は一様に「弱者」とし
活用、の5つのキーワードに整理してみた。
て捉えられるべきでなく、社会を支える「市
また、主たる活動分野としては、後述する団
民」というカテゴリーの中に積極的に位置づ
塊世代のアンケートでも見られるように「趣
ける発想は「アクティブ・エイジング」とし
味・余暇」および「ボランティア、社会貢献」
て重視されるようになっている(注)1。WHO
(国
が大きなウエイトを占めている。そして、団
際保健機関)によれば、
「アクティブ・エイジ
塊世代市場としては、
「衣」
・
「食」
・
「住」の
(注)1.前田信彦「アクティブ・エイジングの社会学」
研 究
45
図表8 団塊世代の新たなライフスタイルと活動分野・成長市場
新たなライフスタイル
活動分野
1.多彩・多様化
2.快適・安全・安心
3.ゆとり・スローライフ
4.交流・仲間・地域貢献
5.情報活用
趣味・余暇
ボランティア・社会貢献
成長市場
衣生活、食生活、住生活、遊び・旅行、
学習・教育、移動・移住、地域貢献
(備考)信金中金総合研究所作成
基本的な市場に加えて「遊ぶ・旅行」
、
「学習・
タイプに分類すると、両方の要素を持つ「金
教育」、「移動・移住」
、
「地域貢献」の各分野
時持ち」37.8%、お金を持つ「金持ち」4.9%、
を団塊世代市場に向けた中小企業等の取組事
時間に余裕を持つ「時持ち」39.6%、両方と
例とともに次章で取り上げたい。
も持たない「貧乏暇なし」17.7%となってい
る(博報堂生活総合研究所、2002)
。
イ.“アクティブ・シニア”による新たなライ
フスタイル
①多彩・多様化
②快適・安全・安心
消費欲求は、基本的に2つの方向性で構成
「団塊世代は大きな塊」と見て、そのライ
されるといわれている(注)2。日常生活で欠乏・
フスタイルを均一・一様のものとする見方は
欠落した部分を補う方向と、より多くの快を
事実に反するだろう。
「団塊世代」というネ
求める方向である。高齢化は「喪失」を伴う
ーミングが一般化した高度成長期には、
「会
ものであり、喪失を遅らせるところに市場が
社人間」、「専業主婦」に代表される団塊世代
生れる。また、衰えていくからこそ、今を楽
特有のライフスタイルが目立ったが、経済成
しみたいというニーズが生れる。快いこと、
熟期における団塊世代の消費行動は多様であ
愉快なこと、快適であることを提供するとこ
り、団塊市場は「多様なミクロ市場の集合体」
ろにも中高年の市場が生れる。こうした「不
であるといわれる。高度成長期を体現し、総
安を減らしたい」という欲求と「楽しさを増
じて、高い貯蓄を持ち、アクティブな世代と
やしたい」という欲求を軸に、後述するよう
はいっても、人口が多いだけに、その生き方、
な衣・食・住を基本に遊び・旅行など様々な
価値観は多様であり、個性化しているとい
市場を考えることができる。
えよう。ちなみに、60代男性を「経済的余
裕度(お金持ち)
」と「時間的余裕度(時持
ち)」という消費行動と関係の深い2要素で4
③ゆとり・スローライフ
経済はグローバル化が進み、同時に情報化
(注)2.関沢英彦「団塊世代の引退と消費行動」(樋口美雄他『団塊世代の定年と日本経済』)
46
信金中金月報 2007.11
社会の進展により規模拡大による効率化とス
れることは、就業という形をとるかとらない
ピードが求められてきた。しかし、定年年
かは別として、地域や社会の役に立ちたい、
齢の60歳前後からの高齢者が迎える人生は、
貢献したいという思いをどう実現するかとい
多忙な社会的役割から自由になり、個人生活
うことである。この社会の役に立ちたいとい
を取り戻せる時期である。大きさやスピー
う思いは、生きがいを持つことに通じると考
ドを競うのではなく、快適で深く落ち着いた
えられるが、その大半は就業という形をとら
居心地のよさが求められるであろう。このた
ずにボランティアという形をとると予想され
め、むしろ「小さく、ゆっくり」をベースに
る。地域の福祉や生活環境保全など団塊世代
したものへのマーケティングが求められる。
を地域社会に招じ入れるネットワークなどが
家電製品や車も効率重視の多機能なものより
今後一段と活発化すると予想される。
も、簡便で快適、そして安全であることが求
められる。住宅も、
子供が巣立ち、
「標準世帯」
⑤情報活用
から夫婦二人や単身世帯が増える中で、バリ
団塊世代はITの活用に慣れ親しんだ世代で
アフリーで安心・快適を旨としたリフォーム
ある。団塊世代は、シニア世代と違って、キ
が一般化すると思われる。
ーボードにアレルギーがない最初の世代と言
われており、情報化社会に適応する能力を持
④交流・仲間・地域貢献
っている。携帯電話やパソコンの利用度も高
団塊世代の定年・引退期における大きな変
く、ネット通販やサービスに対する受容度は高
化の一つに、会社、あるいは家庭という集団
いと見られる。また、ITの普及もあって、地
(「役割」)からの離脱、
ということがある。
「標
域的な交友関係においても、従来の伝統的な
準世帯」から夫婦二人や単身世帯が増える中
地域限定型(近所づきあい)から、友人を中
で、団塊世代は、夫婦で行動するケースが多
心とした交友関係の拡大という新しい社会関
いといわれるとはいえ、趣味・嗜好には大き
係が生み出されようとしている。既述のように、
な違いもある。個人の生き方、価値観が重視
親子同居のような家族形態の一方で、夫婦だ
されるライフスタイルが主流となる中で、趣
け、あるいは一人暮らしが増えていく状況にな
味・嗜好を異にする夫婦にも新たなライフス
れば、高齢者の「個人」を軸とした様々なネ
タイルが生れることも予想される。仕事やボ
ットワークの形成が一段と進むと予想される。
ランティアの取組みとともに、家事の分担な
ど夫婦間の役割が見直されることになろう。
夫婦も含めて、趣味や地域をベースにした交
流・仲間作りが進むと予想される。
また、団塊世代の多くが考えていると思わ
ロ.活動分野
(イ)退職・引退後は「趣味]や「地域活動」など
セカンドライフに関する意識調査結果(日
本ファイナンシャル・プランナー協会、05
研 究
47
年11月、三大都市圏の団塊世代の会社員900
(ロ)やってみたかったができなかったこと
人が対象)によると、
「定年後、時間を費や
─旅行・ロングステイ
したいこと(複数回答)
」では、
「趣味や興味
同調査で、
「日頃または若い頃やってみた
関心のあること」が87.2%で最も多く、
「ス
かったことでできなかったこと」の有無を
ポーツやレジャー」
(51.1%)がこれに続く。
尋ねたところ、
「ある」が47.9%、
「ない」が
「ボランティアなど社会活動」
(37.0%)
、
「新
49.4%で、ほとんど差が見られなかった。
「や
しい就職先での仕事」
(36.8%)も比較的多
り残したことはない」と約半数が回答してい
くなっている(図表9)
。
ることになり、
自己実現の高さがうかがえる。
また、「最も生きがいを感じることができ
「できなかったのはどのようなことか」を尋
そうなもの」を1つだけ尋ねたところ、
「趣
ねたところ、
「旅行・ロングステイ」
(36.9%)
味や興味関心のあること」が52.1%で最も多
が最も高い割合を占め、
「勉強」
(12.4%)
、
「違
く、次いで「ボランティアなど社会活動」が
った職業」
(12.0%)
、
「習い事」
(9.8%)
、
「菜
11.1%で続いている。
園・農業・田舎暮らし」
(7.1%)と続いており、
なお、男女別では、
「新しい就職先での仕事」
定年後、やってみたいこと(前出)の「趣味・
が男性で40.3%であり、女性(20.5%)と比
関心事」
、
「勉強・資格取得」
、
「起業」など項
較して約20ポイント高い。一方、
「子供・孫
目が類似している(図表10)
。
とのコミュニケーション」
、
「親への孝行」で
は女性がそれぞれ32.5%、20.5%と男性(同
19.1%、10.1%)に比べて高くなっている。
図表9 定年後、時間を費やしたいこと
(%)
図表10 やってみたかったができなかったこと
(%)
100
60
90
全体 複数回答
80
50
最も生きがいを感じることが
できそうなもの1つだけ
(右目盛)
70
60
40
50
30
20
30
20
10
10
無回答
その他
親への孝行
自分で起こす
事業や仕事
資格取得や勉強
子供・孫との
コミュニケーション
資産運用
新しい就職先での
仕事
ボランティアなど
社会活動
スポーツやレジャー
趣味や興味関心の
あること
0
(備考)日本ファイナンシャル・プランナーズ協会「セカンド
( ライフに関する意識調査」
(05年11月)より信金中金総合
( 研究所作成
48
勉強
違った職業
習い事
菜園・農業・田舎暮らし
小説・エッセイ・芸術など創作活動
40
0
旅行、
ロングステイ
信金中金月報 2007.11
その他趣味
資格取得
スポーツ
起業・店
登山・ウォーキング
歴史・文化
資産運用
0
5
(%)
10 15 20 25 30 35 40
(備考)日本ファイナンシャル・プランナーズ協会「セカンド
( ライフに関する意識調査」
(05年11月)より信金中金総合
( 研究所作成
4.団塊世代市場に向けた中小企業等
の取組事例
図表11 当社の製品例
団塊世代市場として、
「衣」
、
「食」
、
「住」の
基本的な市場に加えて、
「遊ぶ・旅行」
、
「学習・
教育」
、
「移動・移住」
、
「地域貢献」の分野を
中小企業等の取組事例とともに取り上げたい。
(1)衣生活の市場
今後期待できる中高年向け商品として機能
性衣服が挙げられる。寒暖の変化に対応して
暖める、冷やすという機能をもった衣服は体
でも、最高級コットン「海島綿」を使用した
温調節機構の衰えた年代に役立つ。同時に、
女性用肌着を製造販売しているのが当社の特
アウトドアスポーツ用の高機能商品も成長性
色である。「海島綿」とは、西インド諸島のご
が高いとみられる。また、
衣生活との関連で、
く限られた地域でわずかにしか産出されない、
高級な靴や時計、鞄など身の回り品にこだわ
カシミアのような肌触りと絹のような光沢を
る男性が増えてきたともいわれている。
有する超長綿繊維である。その供給はわが国
では「西印度諸島海島綿協会」により管理さ
事 例:㈱美光~素材・機能にこだわった
下着作り
れており、同協会から品目ごとに業界トップ
クラスから選定されたメンバー企業のみが原
業 種:インナーウエア製造
綿の供給を受けることができるものである。当
住 所:東京都墨田区
社は、5年前に有名百貨店の紹介により、女
従業員:40人
年 商:20億円
①事業内容・特色
性用下着メーカーとして同協会からライセン
スを受け、
「海島綿」の商品を生産している。
このように素材と機能にこだわった高付加
当社は、ミセス、シニア向けを中心とする
価値製品のため、商品単価は若者向けに比べ
高級下着メーカーである。当社のミセス、シ
て約2倍と高く、特に材料費の高価な「海島
ニア向け下着、
「癒しの工房」
シリーズ製品
(自
綿」については2~3倍と高いが、シニア層
然に近づき、生命を育む伝統の知恵を生かし
の一部にニッチ市場を開拓している。
たモノ作り)は、保湿性、水分の吸収・発散、
フィット感など、美容と健康を実現するため
の素材・機能にこだわった製品である。なか
②高齢者市場開拓の取組み
創業以来、女性向けの高級下着の製造販売
研 究
49
を行ってきたが、超高齢社会の到来を考え、
(2)食生活の市場
99年からミセス、シニア向け市場に本格参
食生活は高年齢者にとって最も重要な生活
入した。しかし、後発のため、既存メーカー
分野といわれる。機能性食品、特定保健用食
と差別化を図るため、機能と素材にこだわっ
品などの分野の成長も著しく、高齢化の中で
た高付加価値商品を手がけ、
「癒しの工房」
今後とも発展していくと思われる。また、健
シリーズとして固定客の確保を目指した。販
常者向けグルメ嗜好の料理や食品と同時に、
路は、有名百貨店2割、通販会社6割、直販
高齢者や要治療者向けの食事サービスなども
の通販2割である。直販については、JRの「ジ
注目されよう。
パングクラブ」に広告を掲載し、広告を通じ
て当社製品を購入した顧客に、商品カタログ
を年4回送付し、現在では高齢者層を中心に
約2万3,000人の顧客を獲得している。
事 例:㈱秀栄~高齢者食・治療食の宅
配サービス
業 種:宅配食事サービス業
住 所:東京都杉並区
③今後の課題
シニア層に求められる癒しや健康といった
機能は今後とも変わらないと見られ、今後は
団塊世代向けに本物志向の製品を開発してい
きたいとしている。
一般に、衣料品業界は、海外生産へのシフ
従業員:60人
年 商:3億円
①事業内容・特色
当社は、高齢者食(消化しやすく、栄養の
バランスにも優れた食事)
・治療食(糖尿病
や高血圧症の患者、
人工透析を受けている人、
トが進んでおり、中国などからの安価な輸入
脂質をコントロールする必要がある人などを
品に市場が席巻される状況になっている。こ
対象にした食事)に特化した宅配食事サービ
うした中、当社は国内に有力縫製メーカーを
ス業者である。特に、治療食を提供する企業
グループ化し、品質を重視した国内生産を大
は当社に限られるなどユニークな存在として
事にしている。また、現在のミセス、シニア
向け製品はデザインが比較的保守的なもので
ある。しかし団塊世代が高齢化していくに伴
い、現在の若者向けのデザインを取り込んで
いくことが必要であると考えている。販売チ
ャネルについても、情報リテラシーの高い団
塊世代向けにはネット販売の重要性が高まっ
ていくと考えており、ネットによる直販に注
力していく意向である。
50
信金中金月報 2007.11
図表12 製造風景
顧客に好評を得ている。冷凍・チルド商品を
団塊世代は、
「必要なもので、美味しければ、
宅配する競合他社はあるが、常温でそのまま
少々高くても使ってくれる」と期待できる。そ
食べられ、旬の食材を使った献立を提供でき
うした変化に対応するため、高齢者食と治療
ることに当社の特色があり、合わせて、これ
食の双方の要素を有する献立の開発をこれま
を可能とする短時間での宅配ノウハウが当社
で以上に進める予定である。また、団塊世代
の強みとなっている。また、高齢者食・治療
の多様なニーズに対応するため、利用者個々
食の提供のため、病院での食事相談の経験者
のニーズに応じた献立を細かく調整できるよ
を持つ栄養士を抱えるなど高付加価値を追求
うにしていきたいと考えている。団塊世代は
できる人材と経験を有している。
情報リテラシーも高いので、ネットでの受注
体制を工夫する(検索時に当社が上位にラン
②高齢者市場開拓の取組み
キングされるなど)などの対応を行っている。
設立から約20年間は、企業向け弁当の製
営業地域も拡大を図りたいが、常温の食事を
造・配送を手がけてきたが、91年に、杉並
短時間で効率よく宅配するには宅配のノウハウ
区の福祉公社から高齢者向け宅配食事サービ
が必要であり、土地勘のない地域での営業は容
スを受注したことを契機に高齢者食市場に参
易ではない。このため、今後は、縦(浸透度を
入した。その後、01年には、より付加価値
高める)
・横(隣接地域)の展開により、着実
の高い分野を目指すべく治療食を手がけると
に顧客の増加を図っていきたいと考えている。
ともに、渋谷区、練馬区など近隣地域への営
業拡大を図ってきている。
(3)住生活の市場
顧客は、短いケースとしては1か月から2
バリアフリーや子供が巣立った家のリフォー
~10年の長期利用者まで様々であるが、常
ムは今後大きな市場である。また、都市部の
時2,000~3,000人を擁し、1日約1,000食を提
治安の悪化を背景に、住まいの安全機能を高
供する。営業方法は、高齢者と接触する機会
めようとするニーズも強い。ユニバーサルデザ
が多い病院や介護施設などを対象にパンフレ
イン、地震対策などと組み合わせたセーフティ
ットを定期的に送付し、ケアマネージャーや
ネットを備えた住宅が成長する可能性が高い。
ヘルパーから退院後の自宅療養者や在宅要介
護者等の紹介を受けるなど口コミによるとこ
ろが大きい。
事 例:京葉システム技研㈱~一人暮ら
しの高齢者の生活支援
業 種:コンピュータ関連機器製造
③今後の課題
今後、団塊世代の高齢化に伴って、生活習
慣病を持つ高齢者が増加すると予想される。
住 所:千葉県千葉市
従業員:11人
年 商:約2億円
研 究
51
①事業内容・特色
図表13 「独居老人異常通報システム」
当社は76年に設立された京葉システム㈱
(人事労務関係ソフトウエア開発)のハード
ウエア開発部門として89年に設立されたも
の。設立以来、人事管理に関連するハードウ
エアである時間管理端末装置、入退出セキュ
リティ装置、音声発声装置、各種センサー等
の開発を行ってきた。02年には、発信者の情
報表示や登録者への自動通報など、電話とパ
はセンサーを通じて得た安否情報を「2時間
ソコンを連動させるコンピュータ・テレフォ
以内に行動がある」
などの音声で確認できる。
ニー・インテグレーション(CTI)システム「セ
独居者がヘルプボタンを押せば近隣住民らに
ンシティ」
を開発・発売した。このシステムは、
助けを呼ぶこともできる。なお、このシステ
販売管理や顧客管理に活用できるほか、同社
ムは、外出中に不審者が侵入すると、独居者
の電話通報装置や音声発声装置「センスコー
や家族に知らせる防犯システム「防犯これ一
ル」と組み合わせることで、セキュリティや
番」と一体化し多機能化を図っている。
リスク管理の総合システムが構築できる。
③今後の課題
②「独居老人の異常通報」システムの開発
これまでは人事関係を中心に企業向け製品
高齢者の単身世帯が増加する中で、周囲に
を手がけてきたが、高齢者など家族の安全と
住む人が一人暮らしの高齢者の生活を気にか
安心を守るセキュリティシステムは個人向け
ける場面が増えてくると予想される。こうし
商品であり、マーケティングに工夫が必要で
たニーズに応える支援システムとして、当社
ある。独居者異常通報システムについては、
は住宅用独居者異常通報システム「ひとりじ
警備会社や介護事業者等と連携しつつ学校、
ゃない」を開発した。トイレや台所などに人
銀行、生協といった職域ルートの販路開拓を
感センサーを設置、一定間隔を越えて独居者
準備しているところである。また、高齢者に
の検知がない場合には異常と判断し、家族ら
対する販売活動を展開するには、製品に対す
に電話で通報する。人感センサー、音声発声
る信頼性を高めることが重要と考え、㈶テク
装置、電話通報装置などで構成され、あらか
ノエイド協会(福祉用具の研究開発、普及等
じめ録音した通報用のフレーズで合計6か所
を目的に87年に設立された機関)の福祉用
の連絡先に電話通報する。屋内における独居
具情報システムに登録した。また、製品開発
者の日ごろの生活を見守るのはもちろん、帰
を進める上で、公的機関の補助金(千葉県経
宅が遅いと心配の通報も行う。家族の側から
営革新支援対策費補助金)を活用したことを
52
信金中金月報 2007.11
明示するようにしている。
図表14 介護旅行の一場面
(4)遊び・旅行の市場
先のアンケートでも見たように、団塊世代
が「やってみたかったことでできなかったこ
と」の筆頭が「旅行・ロングステイ」である。
団塊世代の場合は海外旅行の体験も多く、再
訪も含めて、夫婦、友人とのグループ旅行な
ど大きな成長が期待できる。
約3割)である。利用者の大半は健康上何ら
事
例:㈱エス・ピー・アイ~介護旅行
サービスによる旅のユニバーサル
デザイン化
かの不安を抱える70歳代後半~80歳代の高
齢者であり、価格は一般のパッケージツアー
より当然割高になるが、できるだけ明確な価
業 種:旅行サービス業、人材派遣業
格基準を設けることにより、利用者の納得性
住 所:東京都渋谷区
を高めている。
従業員:5人
年 商:約2億円
①事業内容・特色
②市場開拓の取組み
91年の設立当初は一般旅行者を対象とす
当社は、国内唯一とみられる介護旅行サー
る旅行人材
(ツアーコンダクター等)の派遣・
ビスを専門に提供する旅行サービス業者であ
育成事業を行っていた。しかし、社長が、旅
る。当社の強みは、介護サービスがベースに
行会社の添乗員時代に80歳過ぎのおばあち
あること、介護旅行のさきがけとして専門性
ゃんに「自分の荷物が持てなくなったら、旅
のあるスタッフを有し、ノウハウの蓄積や、
行をやめる」といわれたことを振り返り、
「高
介護・医療機関との人脈があることである。
齢化が進む中で、通常の添乗ではなく、もう
事業内容は、当社が主体となって推進して
一歩踏み込んだサービスを行えば、旅行を続
いる民間資格であるトラベルヘルパー(ホー
けられるのではないか」と考え、介護旅行人
ムヘルパー 2級以上の資格を持ち、国内・海
材(トラベルヘルパー)の育成を図るととも
外旅行の身体介護とこれに付帯する業務を行
に、高齢者・障害者旅行の取り扱いを始めた。
うスタッフで、全国に約400名の登録者を有
98年には、高齢者と高齢者を支える人との
する)の育成・派遣(売上の約7割)
、介護旅
架け橋として、
「あ・える倶楽部」
(年齢と障
行サービス(自宅を出るところから帰宅まで
害を超えて、より活動的に、快適な日常を送
のトラベルヘルパーのサービスを提供)
(同
れることを願う人のための会員組織で、会員
研 究
53
数は約4,000人)を設立した。また、
06年には、
認知度の低い「トラベルヘルパー」の資質向
事 例:たまがわ生活文化研究所㈱~ 生活充実型カルチャーセンター
上と社会的役割を広めるため、NPO法人「日
業 種:カルチャーセンター
本トラベルヘルパー協会」を立ち上げ、
「誰
住 所:東京都世田谷区
もがいつまでも旅を楽しむことができる社会
環境」という“旅のユニバーサルデザイン化”
を実現させるための活動を行っている。
従業員:44人
年 商:約4億円弱
①事業内容・特色
玉川髙島屋ショッピングセンターを母体と
③今後の課題
する流通系のカルチャーセンターで、
「コミ
「もう、旅なんてできない、行きたいけど
ュニティクラブたまがわ」を運営する。業界
行けない」と考えている人に当社の存在を知
の草分けとして約30年の業歴を持ち、ミセ
ってもらい、いかに情報を届けるかが課題で
ス向け生活充実型総合カルチャーセンターと
ある。そのため、
「日本トラベルヘルパー協
して、地元密着の安定した事業基盤を有して
会」、「あ・える倶楽部」の活動のほか、
「旅
いる。地域住民のQOL(生活の質)向上を
は心身のリハビリ」との考えの下で、日常と
目指す約300講座を企画・運営し、会員は50
非日常をつなげる重要性から、旅行だけでな
歳代後半から60歳代を中心に約3,800人を擁
く、旅の前後を含めた介護旅行の“ワンスト
して、継続率も高い。
ップサービス”
を目指している。すでに介護・
認知症予防のための教材開発や健康旅行の
企画、旅行前の健康づくりや介護予防の講座
②高齢者市場向けの取組み
発足当初は玉川髙島屋ショッピングセンタ
(認知症予防教室
「ボケない脳は旅で鍛える」
)
ーの商圏内に居住するミセスを対象としてい
等に取り組んでいる。
こうした活動を通じて、
たが、継続会員の高齢化に伴い、50歳以上
介護旅行に加え、身近な外出支援を事業のも
のシニア層をターゲットとして意識するよう
う一つの柱にしていきたいとしている。
になった。相対的に所得階層の高い地域でも
図表15 カルチャーセンター作品例
(5)学習・教育の市場
女性を主な対象としてきたカルチャーセン
ターが、あらためて団塊男性にも注目し始
めている。また、本格的に再学習したいと
いう団塊世代向けに大学・大学院は引退し
た人を学生として受け入れる体制を整え始
めている。
54
信金中金月報 2007.11
あり、一流とされる講師陣を招聘するなど質
の高い講座の企画・提供を行ってきた。
③今後の課題
事 例:NPO法人「ふるさと回帰支援センタ
ー」~都市生活者の地方移住支援
近年、地方暮らしを希望する都市生活者が
マスコミ系、流通系など同業者間の競争が
増えている。こうした時代要請を受けて、02
激しくなっている中、会員数の増加だけでな
年11月、連合、JAなどが中心となってNPO
く、話題性のある魅力ある講座を企画して差
法人「100万人のふるさと回帰・循環運動推
別化を図ることが必要である。
進・支援センター(略称:ふるさと回帰支援
2007年問題については、余暇が大幅に増
える団塊世代の男性の関心を集めようと業界
センター)
」が設立された。
「100万人のふるさと回帰・循環運動」は、
でも知恵を絞っているが、
「カルチャーセン
全国知事会や全国市長会をはじめとする地方
ターは女性向けが主流」が定着しているだけ
6団体などの後援のもとに、新しいライフス
に団塊世代の男性を呼び込むことは容易では
タイルの創造を視野に入れて、都市生活者が
ないとしている。料金とプライドの2つがネ
Uターン、Jターン、Iターン等を通じて、多
ックとされるなど、成功例は今のところ少な
様な形で地方・農山漁村に回帰・循環し、健
いといわれている。
康で安らぎのある生活を創造しようという運
動である。会員は福井県、和歌山県、千葉県
(6)移動・移住の市場
団塊世代の退職・引退を契機に、ふるさと
へのUターン、Jターン、Iターンがあらため
鴨川市、長野県上越市、鹿児島県霧島市など
32自治体等団体、個人約500人である。
同センターは、
帰農・就農、
就労だけでなく、
て注目されている。過疎化に悩む地方自治体
定年後に年金を糧に地方でのゆとりある生活
は、都市部に居住する団塊世代の積極的な誘
を希望する人や、都市生活者が一時的に地方
致活動に取り組んでいる。また、政府とし
に滞在し、自然の中でより豊かな生活を楽し
(注)
3
ても、「再チャレンジ支援総合プラン」
の
むことを考えている人等をも支援している。
なかで、「UJIターンや二地域居住への支援」
を打ち出すなどの取組みを進めている。
このため、インターネットなどを活用した
各種の情報提供、回帰のための研修などの支
援活動を行っている。また、東京銀座に、
「ふ
るさと暮らし情報センター」を開設して、
「ふ
るさと回帰支援センター」の活動や200を超
える全国の自治体や団体の幅広い活動を、会
(注)3.07年12月25日に「多様な機会のある社会」推進会議が取りまとめたもの。「人生の各段階における働き方、学び方、暮ら
し方について選択肢を多様化するため、高齢者・団塊世代の活躍の場や社会人の学び直しの機会の拡大、農林漁業への就
業支援をはじめとするUJIターンへの支援や二地域居住への支援等を推進する(複線型社会の実現)」としている。
研 究
55
員および都市住民に紹介している。
地方自治体の先進的取組事例としては、長
座学(農業、ふるさと暮らしなど)
、体験
(田植え、野菜収穫など)
、交流などを行い、
野県の飯山市ふるさと回帰支援センター、福
四季を通じた飯山の生活、気候を体験して
島県の小野町ふるさと回帰支援センターなど
もらう。
がある。
②農的田舎暮らし「百姓塾」
(5 ~ 11月、7回、
1泊2日)
事 例:飯山市ふるさと回帰支援センター
同センターは、NPO法人「ふるさと回帰支
援センター」の地方自治体会員の第1号とし
農業に興味のある人向けに、田畑を耕し、
植え付け・管理・収穫を通じて農業の楽し
さや大変さを実感してもらう。
③ふるさとへの出発点(民宿素泊まり+畑
て、長野県飯山市とJA北信州みゆき、飯山
200m2、20泊~100泊)
市観光協会などにより03年に設立され、都
田舎暮らしの第一歩として、長期にわたり
市部住民に対する田舎暮らしについての情
農家民宿に泊まって200m2の畑で農作業を
報発信や体験メニュー提供を行っている。こ
自由に行い、
田舎暮らしを実感してもらう。
れまでに一部2地域居住を含め50世帯、約
定住者の体験事例を紹介しよう。
110人の定住を実現させており、年齢層は30
~60代と幅広いが7割は50代という。
支援メニューとして、
「一時滞在」
(手軽な
・K夫妻の事例
K夫妻は東京での仕事に追われる生活に
疲弊していたが、Kさん(東京・板橋出身)
農業、自然体験)
、
「長期滞在」
(農作業、田舎
51歳、妻(神奈川・横浜出身)50歳の時に
暮らしの体験)
、
「定住」
(空き家、住宅、建築
早期退職し、長野・豊田村(現中野市)に
等に関する情報提供)がある。
「田舎体験プロ
移住した。K夫妻が北信州を訪れたのは04
グラム」として次のコースが用意されている。
年12月。JAが展開する田舎暮らしの支援
①四季講座「飯山まなび塾」
(年4回、2泊3日)
プロジェクトをインターネットで見つけ、
図表16 飯山市の風景
56
信金中金月報 2007.11
図表17 古民家の一例
すぐに資料請求した。斡旋対象の土地建物
②これまで社会福祉協議会(社協)活動の一
を案内してもらった折に見た築120年の古民
環として福祉を重視してきたが、これを担う
家に惚れ込んで即断即決した。翌年1月に再
ボランティアが不足してきたこと、③課題が
訪、2月に仮契約、5月に引越し、住みなが
福祉だけでなく、国際化、環境と広がってき
らのリフォームに取りかかり、今では快適
たため、公設では手が回らなくなっているこ
な生活に満足している。今のところ仕事は
となどがある。そこで、団塊世代の退職・引
していないが、地元のために何かしたいと
退を契機に、地方自治体は積極的に団塊世代
考えている。暇にしていると、何かと仕事
の地域活動への取込みを図っている。
を頼まれるようになるケースもあるようだ。
一般に、田舎暮らしは、厳しい環境に加
え、人間関係が濃いことも多い。相互扶助
の意識を強く残す地方にあっては、区費を
納めたり共同作業したり、守るべきルール
がある。都会の感覚をそのまま持ち込んだ
事 例:八王子市民活動協議会、八王子
市市民活動支援センター
~団塊世代の地域デビュー支援
①八王子市民活動協議会、八王子市市民活動
ら、まず失敗するといわれる。K夫妻は、
支援センター
とりわけK氏が人間好き、子供好き、話し
八王子市は、NPO法(特定非営利法人活
好きの性格が幸いして、近所の人に好感を
動促進法)の施行を受け、02年2月に「行政
持たれている。
と市民活動団体(NPO)との協働のあり方
2人には、それぞれの原体験がある。Kさ
に関する基本方針」を策定、これに基づき、
んは生れも育ちも東京・板橋だが、近くに
市民活動を支援するセンターを開設すること
は宿場もあって、下町の情緒を残す土地柄
とし、運営を委託する市民組織として、同年
だったという。
「子供のころに出会った近所
7月に「八王子市民活動協議会」が発足した。
の人たちの気さくで世話好きの人情が、い
同協議会は、市民、NPO、ボランティア、
まこの地域の人たちと似ている気がする。
」
町会・自治会、企業、大学、行政などの地域
という。妻も神奈川・横浜の“豊かな里山”
のネットワークを広げ、相互の連携をコーデ
の生まれで、K夫妻はいま、ふるさとに帰
ィネートする市民による市民のための中間支
ってきたような暖かさを感じている。
援組織を目指し、
市民活動の情報収集や発信、
団体運営の相談、人材育成など、自主・自立
(7)地域貢献
一般的な流れとして、地方自治体は市民団
体との協働に取り組んでいる。背景には、①
箱物の施設管理に手が回らなくなったこと、
した市民活動の支援に取り組むこととした。
なお、協議会は、指定管理者制度導入の中で、
05年12月NPO法人の認証を取得した。
協議会の会員は、152名(正会員84(団体
研 究
57
49、個人35)
、賛助会員26、協力会員42)
。
た第6回では166名(一般参加者97名、団体参
事業としては、市民活動支援センターの管
加者51名ほか)が参加し、市民活動団体の紹
理運営、市職員を対象とした協働研修、市民
介や体験発表、懇談・交流などが行われた。
を対象とした市民活動啓発講座など、市との
「お父さんお帰りなさいパーティー」を一過
協定に基づく事業のほか、自主事業として、
性のものとせず、参加者の今後の地域活動に
「NPOマネジメント講座」や定年退職等を迎
結びつけるためには持続的な取組みが重要と
えた方々を対象に地域活動のきっかけ作りを
考え、06年9月から「地域デビュー講座」
(期
狙いとして「お父さんお帰りなさいパーティ
間4か月)
を開催している。内容は、
「地域活動、
ー」などを実施している。
市民活動」、
「八王子を知ろう」から始まり、
八王子市市民活動支援センターは、公益的
な市民活動の支援拠点として、03年6月に公
「地域団体運営のノウハウ」や実務研修、チ
ーム研究発表まで実践的なものになっている。
設民営方式で開設した。開設当時は、市から
の委託方式で管理運営を行っていたが、06
③八王子市の強み・特色
年4月から11年3月までの5年間の指定管理者
人口約54万人を擁する八王子市は、東京
として協議会が管理運営を行うこととなっ
都にあって自然豊かな郊外に位置しており、
た。運営体制は、常勤のセンター長、副セン
学 園 都 市(21大 学11万 人 の 学 生 を 擁 す る )
ター長のほか、セミ常勤スタッフ3名、非常
として産学連携の推進に取り組むなど地域活
勤スタッフ4名(広報誌、HP、データベース、
性化が進んでいる。こうした恵まれた環境に
啓発を担当)の計9名で、市民公募によるシ
加えて福祉重視の施策もあり、高齢者向きの
ニア世代で構成されている。
地域といわれ、団塊ジュニアの定住などから
公設民営センターとして全国的に注目さ
人口も増加している。55~64歳が8万人を数
れ、多数の地方議員や行政関係者の視察見学
え、今後高齢化が急速に進む見込みである
来訪が多い。
(65歳 以 上10万 人(18.4 %)
、55歳 以 上18万
人(33.4%)
)
。
②「お父さんお帰りなさいパーティー」
「八王子市民活動協議会」の主催により、
八王子市は、上記の取組みに見られるよう
に早くから団塊世代に向けた取組みを行って
定年退職等を迎えた方々を対象に地域活動の
いる。市民活動推進部協働推進課を置き、課
きっかけ作りを狙いとしてこれまで6回開催
内には、
「団塊世代等地域参加支援デスク」
してきており、NHKの全国放映(06年10月30
を設置して、団塊世代の地域参加の相談に乗
日「団塊世代が日本を救う」
)などを機に知
っている。また、高齢者支援課でも、
「シニ
名度も高まっている。協議会の自主事業とし
ア元気塾・団塊世代対象コース」
(55歳以上)
て民間主導で行っている。07年2月に実施し
を開講するなどの取組みを行っている。
58
信金中金月報 2007.11
④地域の団塊世代に対する期待は大きい
雇用延長や年金給付年齢の引上げなどもあ
り、団塊世代の地元回帰にはしばらく時間が
かかるだろう。
しかし、いずれは地域活動へ参加してくる
おわりに
団塊世代が定年・退職時期を迎え、
「2007
年問題」をはじめ様々な論議が盛んに行われ
るようになった。団塊世代の高齢化により、
と見られる。最初は趣味への関心・志向が中
高齢者人口の増加とともに、少子化による人
心でも、やがて市民活動、ボランティア活動
口減少から高齢化率が急速に上昇し、わが国
へと関心が広がり、
ゆくゆくは有償での事業、
の高齢化は一段と進展する。
起業(株式会社)へと発展してくると思われ
そうした中、
平均寿命の上昇により、
「定年」
る。その場合の課題は「受け皿」であり、先
=
「引退」の構図はすでに崩壊しており、当
導役として団塊世代の上のシニア世代の役割
面は、前期高齢者(65~74歳層)を中心と
が重要である。
する“アクティブ・シニア”層が新たなライフ
シニア世代と団塊世代の大きな違いは、シ
スタイルを創造していくと期待されている。
ニア世代は「体験がモノをいう」のに対して、
その予想される活動分野は多種・多様であり、
団塊世代は「体験+情報力」
、すなわち、IT
そこに創出される商品・サービス市場も「多
を活用した情報力が大きな力を発揮すること
様なミクロ市場の集合体」といわれている。
である。団塊世代は職場でのリストラなど挫
地域金融機関にとっても、都市生活者のふ
折経験なども地域活動のばねにしていく力を
るさと回帰支援活動の動き等も含めて、地域
有していると見られ、会社で培った力を地域
における団塊世代に向けた取組みなど「団塊
で活かせば、その潜在能力はきわめて大きい
世代」の動向を注視していくことが重要であ
とみられる。
ろう。
研 究
59
〈参考文献〉
内閣府『高齢社会白書』(各年版)
齋藤毅憲・藤野次雄他『アクティブ・シニアの消費行動』中央経済社(2003)
高橋伸彰『少子高齢化の死角』ミネルヴァ書房(2005)
辻中俊樹『団塊が電車を降りる日』東急エージェンシー(2005)
日本経済研究センター『図説団塊マーケット~巨大消費集団の未来を読む~』日本経済新聞社(2006)
原田泰・鈴木準+大和総研『2007年団塊定年!』日本経済新聞社(2006)
樋口美雄+財務省財務総合政策研究所『団塊世代の定年と日本経済』日本評論社(2004)
前田信彦『アクティブ・エイジングの社会学』ミネルヴァ書房(2006)
桝添要一他『超「団塊」2007年問題に立ち向かう!』宝島社(2005)
村田裕之『団塊・シニアビジネス』ダイヤモンド社(2006)
60
信金中金月報 2007.11
研 究 高齢者の貯蓄状況と金融機関の高齢者向け商品・サービス動向
-高リスク資産の保有とリバースモーゲージの商品性改善が課題-
信金中央金庫 総合研究所主任研究員
間下 聡
(キーワード) 公的年金不安、老後の資金準備、高リスク資産、リバースモーゲージ、
三大リスク
(視
点)
公的年金制度に対する不安感の高まりから、老後の生活に備えた貯蓄が活発化している。
一方で、時代の変化から高齢者の健康状態や生活水準も向上し、特に70歳代前半までの高
齢者が、そのライフスタイルを反映して活発な消費者層としても注目されている。そうした
中、日本の人口動態上、人口の集中度が高い団塊世代の定年退職が迫っている。金融機関も
その退職金や既存貯蓄の運用ニーズ、老後生活上の資金ニーズに応えるため、貯蓄・運用商
品や融資商品に工夫を凝らしている。本稿では、高齢者の金融貯蓄・負債の他世代と比べた
特徴を踏まえ、昨今の金融機関の団塊世代向け商品を類型化してその特徴を洗い出すととも
に、同世代に望まれる金融商品・サービスについて考えてみたい。
(要
●
旨)
高齢者世帯で老後の生活費のうち公的年金で賄えるのは現状でも半分に過ぎず、将来の公
的年金制度への不安の高まりもあり、老後の生活資金目的の貯蓄は活発である。
●
しかし、我が国では住宅ローンの負担もあって、30歳代、40歳代は貯蓄残高が増えても
純貯蓄が増えず、株式・株式投信などの高リスク資産の保有が進まない。純貯蓄が急増す
る50歳代、60歳代では、大半は定期預金であるが、高リスク資産も少ないながら増えて
いる。
●
団塊世代の退職金取込み戦略は、やはり定期預金が主となる一方、投信、年金など高リス
ク商品への関心の高まりにも応じていくべきである。金融機関も金利優遇や高齢者のライ
フスタイルを意識した情報提供などを付与した定期預金、別荘向け住宅ローン、公的年金
給付のない月に分配する投信、投信ラップ口座の小口化などで取込みを図っている。
●
持ち家に住みながら、その価値を老後の生活費に転換していくリバースモーゲージも有効
な手段であるが、利用者の死亡後の担保不動産処分による回収を前提とするため、長生き
リスク、担保不動産価格下落リスクおよび金利上昇リスクの3大リスクがあるなど問題点
が多く、
普及の妨げになっている。リスク軽減の仕組みづくりが今後の普及のカギである。
研 究
61
はじめに
の生活費とは、月24.2万円であるが、ゆとり
ある生活費は月37.9万円であり、ゆとりある
国民の平均寿命の長期化と少子化に伴う高
生活を送るためには13.7万円上乗せする必要
齢化社会の進展により、現行の公的年金制度
がある。公的年金や退職金以外に準備した資
の継続可能性に対する不安感が年々高まり、
金を生活費として使い始める年齢を老後生活
今後の公的年金の保険料引上げ、あるいは給
の開始時期とした場合、老後の税込み年収別
付水準の引下げ等が現実味を帯びてきてい
平均で必要上乗せ額をみると、300万円未満
る。㈳生命保険文化センターが2004年に実
の平均13.3万円から年収が多い層になるとと
施した「生活保障に関する調査」によると、
もに増加し、1,000万円未満までが平均15.8
自分の老後生活に「不安を感じる人」の割合
万円、1,000万円以上では平均21.2万円であ
は83.3%にのぼる。そのうち「非常に不安を
る。老後の年収300万円以上500万円未満の
感じる人」の割合だけで20.4%に達する。不
世帯の場合、最低限の生活費と考える年額約
安内容のトップは、
「公的年金をあてにでき
286万円は年収で賄えているものの、ゆとり
ない」の79.2%となっている。また、
「自助
ある生活費と考える額は年額約442万円であ
努力による準備が不足する」も39.6%で3位
り、年収では賄えない世帯も多いと考えられ
となっている。
る。また、老後の年収100万円以上300万円
一方で、時代の変化から高齢者の健康状態
や生活水準も向上し、そのライフスタイルを
図表1 老後の生活資金のうち公的年金で賄
える比率別の世帯の割合(2004年10月)
反映して、特に70歳代前半までの高齢者が、
(単位:%)
公的年金比率
アクティブシニアと呼ばれて活発な消費者層
世帯割合
10割以上
50.4
としても注目されており、そのための資金も
8割以上10割未満
10.6
必要としている。
6割以上8割未満
9.6
4割以上6割未満
10.2
2割以上4割未満
6.5
2割未満
2.1
その結果、定年退職を控え、老後の生活準
備のために独自に貯蓄を行う必要性が高まっ
ていると考えている世代が増えてきている。
郵政総合研究所の調査によれば(図表1)
、
(備考)郵政総合研究所資料より作成
図表2 老後の1月あたり生活費(2004年10月)
(単位:万円)
最低限の ゆとりあ
生活費 る生活費
老後の生活費を公的年金の給付金で賄えてい
る世帯は、約半分の50.4%に過ぎず、半分近
要としている。
さらに、㈳生命保険文化センターの調査で
は(図表2)
、平均世帯が考えている最低限
62
信金中金月報 2007.11
平均世帯
24.2
37.9
13.7
100万円以上300万円未満
23.1
36.4
13.3
300万円以上500万円未満
23.8
36.8
13.0
500万円以上700万円未満
25.0
39.8
14.8
700万円以上1,000万円未満
26.5
42.3
15.8
1,000万円以上
31.7
52.9
21.2
年収別
くの世帯は、公的年金以外の蓄えや収入を必
差額
(備考)㈳生命保険文化センター「生活保障に関する調査(平
成16年)」より作成
未満の世帯の場合、ゆとりある生活費である
国におけるリバースモーゲージの概要を整理
437万円はもちろん、最低限の生活費である
し、普及する上での問題点についても考察し
約277万円をも年収では賄えない世帯が少な
たい。
くないと考えられる。退職後は無職となり、
年収の大半を公的年金の給付に依存する世帯
は、こうした世帯に属するため、金融資産そ
の他の資産を取り崩していくことになると考
えられる。
1.世帯主の年齢階層別にみた場合の
高齢者世帯の家計貯蓄・負債の特徴
(1)世帯主が40歳代から60歳代になるにつ
れて急増する純貯蓄
そうした中、日本の人口構成において、他
総務省の家計調査から、2006年平均の世帯
の世代に比べて構成人数の多さが目立ってい
当たり貯蓄・負債現在高を世帯主の年齢階層
る、いわゆる団塊世代の定年退職が始まっ
別にみると(図表3)
、貯蓄残高は20歳代か
た。彼らの退職金やこれまでの貯蓄を取り込
ら70歳以上まで年齢階層が上がるほど大き
むため、金融機関は、世代限定、退職金限定、
い。しかし、40歳代までは負債残高にも同
使途限定などにより金利を優遇した預金、消
様の傾向がある。負債残高の大半を占めるの
費のための情報提供サービス、相談サービス
は、住宅・土地のための負債であり、40歳
を付与した各種金融商品や、アクティブシニ
代までで9割前後、50歳代やそれ以上も7割
アのライフスタイルを捉えた融資商品を開発
超となっている。その結果、貯蓄残高から負
し、その資金の取込みに注力している。
債残高を引いた純貯蓄残高は、30歳代まで
さらに、定年退職時の退職金の運用や年金
の小幅マイナスから40歳代は小幅のプラス
給付だけでは老後の生活費に不十分である場
に転じ、そこから60歳代にかけて急増する
合は、住居を活用して、
死亡までの期間に徐々
動きとなっている。
にそれを担保とする融資を受けることで金融
資産に転換し、消費に回していくリバースモ
図表3 世帯主の年齢階層別貯蓄・負債の一
1 世帯当たり現在高(2006年平均)
ーゲージに対する社会的ニーズも、今後高ま
3,000
っていく可能性がある。
2,500
(万円)
そこで、まず、第1章で世帯主の年齢階層
2,000
別の家計の貯蓄・負債の残高と、その内容構
1,500
成における年齢階層別の特徴を踏まえ、高齢
1,000
者世帯の貯蓄の状況について考えてみたい。
第2章では、各金融機関が団塊世代など高齢
者をターゲットとした金融商品を類型化し
て、その特徴をみていく。第3章では、我が
貯蓄残高
(A) 負債残高
(B)
(A)
−
(B)
500
0
-500
20歳代
30歳代
40歳代
50歳代
60歳代 70歳以上(年齢階層)
(備考)1.全国・全世帯の2人以上世帯が対象で農林漁家を含む。
( 2.総務省「家計調査」より信金中金総合研究所作成
研 究
63
一方、勤労者であれば定年を迎える60~
全年齢層で当時よりも定期性預貯金から通貨
65歳までが老後資金の想定運用期間である。
性預貯金にウエイトが移っている点が異なっ
前述の㈳生命保険文化センターの調査でも、
ている。
公的年金と退職金以外の老後資金の使用開始
構成比の動きが預貯金の低下とともに上昇
年 齢 は、60歳( 全 体 の26.1 %) と65歳( 同
し、その上昇とともに低下しているのは生命
28.9%)に集中しており、平均で63.9歳とな
保険等である。ここでは生命保険等は、積立
っている。そう考えると、世帯主が40歳代
型のものが対象となっているが、保険会社が
までの世帯は、想定運用期間が長く、時間分
予定利率を保証する定額型のものが多く、株
散効果を通じて運用リスクを取りやすいはず
式・株式投信などのように契約者個人が運用
であるが、貯蓄残高自体も大きくなく、負債
リスクを取る変額型は増えてはいるものの
を差し引いた純貯蓄もマイナスからプラス
全体の中では少ない。したがって、30歳代、
200万円強にとどまるため、住宅ローンの心
40歳代は、安全志向の強い資産構成となっ
理的圧迫感もあり、実際には運用リスクを取
ている。
りにくいようにうかがえる。
ただ、1996年末と比べると、2006年平均の
生命保険等の構成比は、60歳代(1996年末
(2)預貯金の構成比が高いものの高齢者層
で厚み増す株式・株式投信
次に、世帯主の年齢階層別の金融商品別
貯蓄構成をみると(図表4)
、貯蓄残高の積
上がりとともに20歳代から40歳代までに通
貨性預貯金と定期性預貯金の構成比は合計
で70%強から50%強まで低下し、そこから
70歳以上の60%強まで上昇している。預貯
金の内訳では、通貨性預貯金の構成比は20
歳代から40歳代までに急速に低下している。
定期性預貯金の構成比は20歳代から70歳以
上にむけて一貫して上昇している。40歳代
以降70歳以上において、安全資産としての
預貯金の構成比が高年齢層になるにつれて高
まっており、しだいに運用リスクを低下させ
る合理的な動きとなっている。この状況は、
10年前の1996年末時点とほぼ同じであるが、
64
信金中金月報 2007.11
の方は60歳以上)でやや上回る以外は、概
ね若年層ほど下回っており、バブル崩壊後の
図表4 世帯主の年齢階層別の金融商品別貯
1 蓄構成(2006年平均)
(%)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
20歳代
30歳代
40歳代
50歳代
60歳代 70歳以上(年齢階層)
金融機関以外での貯蓄
その他の有価証券
株式・株式投信
生命保険等
定期性預貯金
通貨性預貯金
(備考)1.通貨性預貯金とは、信用金庫や銀行等の普通預金、当
(2 座預金、通知預金、納税準備預金と郵便局の通常貯金
( 2.定期性預貯金とは、信用金庫や銀行等の各種定期
(2 預金、定期積金や郵便局の定額貯金、定期貯金およ
(2 び積立貯金
( 3.生命保険等とは、生命保険会社の積立型生命保険、
(2 損害保険会社の損害保険(火災・傷害保険のうち、
(2 満期時に満期返戻金が支払われる積立型のもの)、農
(2 業協同組合の養老生命共済、簡易保険(保険商品、年
(2 金商品)
( 4.その他の有価証券とは、債券、公社債投信、貸付信
(2 託・金銭信託など
( 5.金融機関以外での預貯金とは、社内預金、勤め先の
(2 共済組合などへの預貯金など
( 6.総務省「家計調査」より信金中金総合研究所作成
生命保険会社の経営不安や予定利率の低下を
低金利の状況が続いたことに加え、政府も、
受けて、保険貯蓄離れの傾向が表れていると
投信や保険の銀行窓販規制の緩和や投資優遇
考えられる。
税制などにより、個人資金をより資本市場に
それらよりリスクが高いとされる株式・株
誘導する政策をとっていることが影響してい
式投信の構成比は、20歳代の3.4%から70歳
ると考えられる。
代の11.6%と、高年齢層になるほど上昇する
実際、金融広報中央委員会が行った「家計の
結果となっている。前述のとおり、想定運用
金融資産に関する世論調査」によると(図表5)
、
期間を長く取れる30歳代、40歳代の純貯蓄
2001年も2006年も全年齢階層で安全性を基
が少なく、長く取りにくい50歳代、60歳代
準とする世帯の比率が一番高く、流動性、収
になってはじめて株式・株式投信に資金を回
益性の順となるものの、2006年は2001年に
す余裕が出てくるからだと考えられる。
また、
比べて収益性と流動性は20歳代を除く全年
ここには、純粋な証券投資としての株式ばか
齢階層で同じか上回り、安全性は全年齢階
りでなく、個人経営者などの自社株式も含ま
層で下回っている。30歳代から60歳代では、
れていよう。1996年末も20歳代から60歳代
安全性で劣っても収益性と流動性の高い金融
以上に向けて高年齢層になるほど上昇してい
資産に対する選好度合いが5年前に比べて高
るが、20歳代で1.2%、60歳代で3.5%にとど
まっている。
まっている。ならしてみて高年齢層になる
ほど2006年平均は1996年末を上回っており、
(3)米国の退職資金の運用状況:株式関連
各世代で株式・株式投信の保有が進んでいる。
投資比率のピークは30歳代
欧米先進国に比べて我が国は、個人金融資産
一方、米国では、老後に備えた資金にどの
残高に占める預貯金の構成比の水準が高い点
ような傾向がみられるであろうか。確定拠出
はよく指摘されているものの、近年は、長く
型企業年金401kの年齢階層別資産構成をみ
図表5 世帯主年齢階層別の金融商品の選択基準
(単位:%)
20歳代
30歳代
40歳代
50歳代
60歳代
70歳代
収益性
2001年
19.5
15.9
16.7
15.5
14.0
13.9
2006年
8.6
21.3
17.0
18.1
17.5
13.9
安全性
2001年
41.6
53.4
57.1
55.5
52.8
52.8
2006年
39.8
38.0
48.4
47.5
48.1
47.2
流動性
2001年
33.8
23.7
22.6
24.9
29.4
27.8
2006年
32.3
29.6
26.8
28.5
31.2
31.6
(備考)1.各基準は複数回答可で単身世帯も対象に含む。
2.「収益性」は「利回りが良い」と「将来の値上がり益が期待できる」の合計、「安全性」
は「元本が保証されている」と「取扱金融機関が信用できて安心」の合計、「流動性」は
「現金に換えやすい」と「少額でも預入れや引出しが自由」の合計
3.金融広報中央委員会資料より作成
研 究
65
図表7 米国401Kの年齢階層別加入者平均資
1 産残高
ると(図表6)
、401kの資産残高に占める株式と
株式投信の割合は、合計で、 20歳代の6割か
(万ドル)
18
ら30歳代の7割弱を経て、60歳代の5割弱に
16
低下している。それに、 株式と公社債を組み
14
合わせて投資するバランス型投信も合わせる
12
と、40歳代までは8割、60歳 代でも6割を株
10
8
式関連投資資産が占めていることになる。
6
一方、年齢階層別の加入者平均の401k資
4
産残高をみると(図表7)
、我が国の家計貯
2
蓄残高と同様に高齢者層に近くなるほど増加
0
20歳代
30歳代
40歳代
50歳代
60歳代(年齢階層)
(備考)米国投信協会(ICI)資料より信金中金総合研究所作成
している。むろん、401kの枠外での貯蓄も
あり、その分も含めた資産構成は分からない。
それに近いと思われるため、401k加入者は
しかし、米国の401kは我が国の企業型確定拠
目一杯、拠出金と運用益への課税繰延効果を
出年金と異なり、企業側ばかりでなく従業員
享受するため、401kの制度内で貯蓄を行お
側も所得税課税前の給与から拠出をすること
うとすると推察されている。
ができ、その法定年間拠出上限は2006年で1.5
そう考えると、家計貯蓄全体でも、米国で
万ドル(ICI資料)とかなり大きく、個々の
は我が国より若いうちから株式などのリスク
企業の401kプランの実際の従業員拠出枠も
資産に長期投資を行い、取崩しが始まる高齢
者層になるにつれて安全資産の比率を高め、
図表6 米国の確定拠出型企業年金401kの年
1 齢階層別資産構成
残る期間の運用リスクを徐々に減らしている
(%)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
と推察される。
(4)我が国における退職金囲込みへの示唆
以上のように、我が国の家計貯蓄残高に占
める預貯金の構成比は高く、世帯主が60歳
代の家計で定期性預貯金は42.5%を占めてい
20歳代
30歳代
40歳代
50歳代
その他
GCIその他安定型投信
MMF
公社債投信
バランス型投信
株式投信
60歳代(年齢階層)
株式
(備考)1.株式投信はここではもっぱら株式に投資する投信、
(2 バランス型投信とは株式と公社債を組み合わせて投
(2 資する投信、GICとは米国生命保険会社が提供する
(2 利回り保証商品で、安定型投信も資産価値が安定的
(2 に増加する商品であるとみられる。
( 2.投信以外にも信託銀行の金銭信託、生命保険会社
(2 の分離勘定なども含まれている。
( 3.米国投信協会
(ICI)
資料より信金中金総合研究所作成
66
信金中金月報 2007.11
る。そこで、平均的な60歳代の定年退職者
の退職金の取込み戦略としては、まず、定期
性預貯金で取り込み、そのうち半分を3か月
物や6か月物など満期が短めのもので受け、
これらを時間とともに投信、年金などの商品
に誘導していくことになろう。それまで十分
なリスク資産を保有してこなかった分、資金
の余裕度や世帯主本人の知識・経験などに応
じて、高齢者層はもう少し株式・株式投信や
2.団塊世代の退職金の取込みを狙う
金融機関の高齢者向け商品・サービス
外国債券・外貨預金(家計貯蓄残高に占める
(1)定期預金:高齢者層取込みに優遇金利
構成比は50歳代で0.9%、60歳代で1.5%)と
や懸賞品、情報提供などの限定サービス
いった、よりリスクの高い商品を保有できる
昨今の金融機関は、団塊世代の退職金を取
余地があると考えられる。投信や年金の活用
り込むため、さまざまな高齢者向け商品・サ
が期待される一方、リスク・リターンが定期
ービスの開発にしのぎを削っている。預金金
預金と株式や外国証券ばかりの投信との中間
融機関にとって、最も代表的な商品は定期預
に位置するような、ミドルリスク・ミドルリ
金であり、もっとも有力な退職金の受け皿と
ターン商品を加えることも一考である。
もなりうるものである。基本的に金融機関の
さらに、米国でも40歳代までの世代が住
信用リスク以外にリスクがないため、商品の性
宅ローンを抱えていようことから、我が国の
格も至ってシンプルなものである。そこで、
40歳代までの世代についても、今後は投資教
各金融機関とも付随サービスで他社との差別
育の普及によって、純貯蓄の余裕がないなり
化を図っている。
図表8のように、基本的なものは、導入時
に株式投信などのリスク資産の保有比率をい
くらかでも高めてくると考えられる。
の優遇金利付き定期預金であるが、投信や公
図表8 高齢者向け定期預金商品の類型
優遇金利付き定期預金
期間設定
当初3か月間優遇金利が主流 他に初回3か月更新金利も優遇するもの
6か月もの、1年もの、3年ものなど
パック型
投信、公社債、外貨預金とのパック型商品 さらに金利を優遇
特典付商品
プレゼント:ギフトカード、雑炊鍋セット、食事券など
懸 賞 品:地元魚介類、冬の味覚など
対象者制限
年 齢:年齢で50歳以上、55歳以上、55歳~65歳、57歳以上、54歳~61歳
55歳~58歳(満期は60歳の誕生日)
、58歳以上60歳未満など
誕 生 日:1946年1月1日~1951年12月31日の人
ロ ッ ト:上限1,000万円、300万円~3,000万円かつ退職金受取額までなど
そ の 他:年金受取口座の保有者や予約者
退職1年前の者、退職金受取り後6か月以内に1年定期預金を組んだ
者、退職金受取り後1年以内の者、預金が退職金であること、地域
へのUターン移住者など
年金式定期預金
満期まで据え置く部分と定期的に元利金を取り崩せる部分がある定期預金(有期年金タイプ)
旅行目的定期預金
満期時に元本をJTB商品の購入に利用 金利分に加え、購入額の1.5%を上乗せ
会員制サービスプラン
会員向け優遇金利預金などのほか、会員情報誌、専用ホームページなどによる情報
提供、資産運用相談、旅行相談、提携先福利厚生サービス施設の利用割引など
(備考)各種報道等より作成
研 究
67
社債、外貨預金とのパック商品もある。さら
(3)投資商品:分配時期や投資一任商品の
には、顧客全員へのプレゼントや抽選による
小口化など高齢者のニーズを踏まえた工夫
懸賞をつけているものもある。対象者に対す
投資信託などを利用した投資商品について
る実年齢、誕生日による制限、利用ロットの
も、高齢者のニーズを踏まえた工夫を施した
制限を加える例、年金受取口座の利用(予定)
ものが出てきた。例えば、
以下の商品である。
者、退職日関連の期間限定や、ユニークなも
のとしては地域へのUターン移住者限定など
を設けるものもある。
イ.奇数月分配型投信
昨今、海外債券型や内外バランス型などを
単純な定期預金との差別化を図るため、年
中心に頻繁に分配金を受け取れる毎月決算型
金と類似の受取りになるような定期預金や、
や、3か月決算型が人気を集める中、公的年金
特定の旅行者の旅行商品の購入を目的とした
の支払われない奇数月に分配金を出すタイプ
商品もある。
の同種の投信が販売されて好評を博している。
富裕層を囲い込むための会員制サービスプ
ランを提供するところもある。優遇金利預金
ロ.500万円から契約できる投信ラップ口座
のほか、会員情報誌、専用ホームページなど
一方、顧客と投資一任契約を結んで、顧客
による生活情報提供、資産運用や旅行に関す
の資金で個々の顧客のニーズを反映して、予
る相談なども受け、アクティブシニアの生活
め定められた範囲の複数の投信でポートフォ
を楽しむライフスタイルを意識したサービス
リオを構築し、その銘柄入替えや構成比の変
を提供している。
更によって運用し、結果を定期的に報告する
投信ラップ口座の推進も活発化している。契
(2)融資商品:定年後のライフスタイルを
約時最低資産額を1,000万円にまで小口化す
想定した商品で個性化を図る
る動きも広がり、500万円とする商品もでて
融資商品については、高齢期前半のアクテ
きた。より多くの高齢者の、投資商品の運用
ィブシニア期に人生を謳歌するために、顧客
を専門家に任せたいというニーズへの対応を
の定年後のライフスタイルを想定し、そのた
可能としている。
めの支援を行うような商品が工夫されてい
る。たとえば、60歳以上の沖縄移住者が増
ハ.沖縄への移住富裕層を狙ったプライベー
えているのを受けて、そうした顧客に限定し
トバンキング契約
て、地元の保証会社と提携した融資商品が出
また、
都市圏から沖縄への移住者を狙って、
てきた。また、地元のリゾートマンション・
投資一任契約に基づくプライベートバンキン
別荘物件に限定した住宅ローンを提供する金
グサービスを提供するため、不動産販売大手
融機関もある。
と提携して都市圏や沖縄で高額物件を売買し
68
信金中金月報 2007.11
た富裕層の紹介を受けることにした金融機関
も現れている。
ハ.年金受取期間
長生きリスクをヘッジするために、終身型
が望ましいが、高齢になってからの購入であ
(4)個人年金保険:老後資金運用の典型商
品の活用
るので、あまり年金を受け取れずに受取人が
死亡する場合も想定される。一方、確定年金
個人年金保険は、そもそも老後資金の運用
(あらかじめ年金支払い期間が定められてお
と支払いを主な目的とした商品であり、高
り、受取人の死亡後は、残った期間、遺族に
齢者向けだから特に変わるものではないが、
対して年金が支払われる)や、定期年金(年
20歳代、30歳代の若いうちからの購入では
金支払い期間中に受取人が死亡した場合、遺
なく、60歳以降受け取る退職金で購入する
族に残りの年金原資が一時金で支払われる)
場合に、便利であると考えられる種類がある。
では長生きリスクをヘッジできない。そのた
以下では、購入時からの各段階で、こうした
め、そうした複数の商品を併用するほか、あ
購入の場合に便利なタイプを考えてみたい。
らかじめ受取人の死亡後は、遺族に対して年
金が支払われる保証期間のついた保証期間付
イ.払込み
サラリーマンは、60歳以降の退職金受取
り後は、公的年金等の受取り開始までは既存
終身個人年金もある。さらには、夫婦のいず
れかが生存している限り年金を受け取れる夫
婦年金もある。
の貯蓄の運用と取崩しで生活費等を賄う場合
が多いと考えられる。したがって、個人年金
保険の購入は、退職金等をあてた一時払い型
が中心となろう。
ニ.受取年金額
受取年金額についても、毎年一定の定額型
のほか、一定期間ごとに増えていく逓増型が
ある。定年退職後も若いうちは、貯蓄を運用
ロ.年金受取り開始時期
しながら取り崩し、加齢とともに貯蓄残高が
すでに高齢者になってからの契約者のため
減少し、運用リスク許容度が低下したら、予
に、年金給付の開始時期を契約から10年後
め逓増するように設計されていた年金給付へ
にするなど一定の運用期間を確保したタイプ
の依存度を増すといったことが考えられる。
ばかりでなく、契約の1年後や直後に開始す
るタイプもあるようである。しかし、後者の
タイプはその分、保険料に比して年金受取額
は小さくなろう。
ホ.変額型個人年金
前述のとおり、定年を迎えてからだと、運
用期間も長く取れないため、運用リスクの時
間分散効果を享受しにくい。そこで、変額型
個人年金は、定額型個人年金より利用しに
研 究
69
くい面がある。ただ、最近は、変額型個人年
(1)リバースモーゲージの仕組みと意義
金とはいっても、年金原資(将来の年金払いの
リバースモーゲージとは、一般的な住宅ロ
ために積み立てられる金額)や年金受取総額
ーンのことを指すフォワードモーゲージとは
に最低保証があるものも出てきている。また、
逆のものという意味である。
解約返戻金について、多くは最低保証がない
住宅ローンの場合のキャッシュフローを考
ものの、最低保証のあるものもある。そうし
えると(図表9)
、持ち家を購入するために
た保証のついた商品の活用が考えられよう。
3,000万円の住宅ローンを20年元利均等払い
で借入金利を固定4%の年複利として計算し
(5)その他
アクティブシニアの旅行需要増を想定し
て、三大都市圏や成田空港にある航空会社の
エグゼクティブラウンジなどに、外貨両替専
門店を設置している金融機関がある。
3.リバースモーゲージの仕組みと今
後の課題
た場合、借り手は20年間にわたって年間221
万円ずつ(計算上、月払いの場合の年間合計
額とは異なる)返済していくことになる。
リバースモーゲージの場合、
これとは逆に、
借り手は持ち家を担保に先に毎年一定額ずつ
借入れを行い、終身契約の場合、亡くなった
後に担保不動産を処分して返済することにな
る。契約後の平均余命が20年であり、20年
以上の議論は、融資と外貨両替などを除け
後の不動産の処分額が3,000万円だと見込ま
ば貯蓄の運用手段の話であった。一方、持ち
れる場合、この不動産の将来価値を現在価値
家を担保に年金払いで借入れを行い、老後の
に置き換えるため、利用者が負担する金利を
生活資金に充て、死亡後の持ち家売却によっ
て返済を行うことで、持ち家という実物資産
図表9 住宅ローンとリバースモーゲージの
1 資金の流れ
(万円)
を金融資産に転換して流動化するリバースモ
3,000
ーゲージという商品も、しだいに注目されつ
つある。戦後の核家族化や少子化の進展によ
住宅ローン
2,000
(借入れ)
り、子供は別の場所ですでに持ち家を保有し
1,000
ていたり、子供がいない高齢者世帯も増えて
0
きているため、高齢者の死後に持ち家を残す
必要性も低下してきたことも背景にある。そ
こで、ここでは、リバースモーゲージの仕組
みと意義、問題点と課題についてみていくこ
ととする。
-1,000
(返 済)
リバースモーゲージ
-2,000
-3,000
0
1
2
(備考)信金中金総合研究所作成
70
信金中金月報 2007.11
3
19
20(年目)
固定年複利4%と考えると、毎年の借入可能
額は96万円、月々 8万円相当になる。ちなみ
(2)リバースモーゲージの問題点
イ.リバースモーゲージの3大リスク
に、2004年の厚生労働省の簡易生命表によ
金融機関等がリバースモーゲージを提供す
れば、65歳の平均余命は男性で18.21年、女
るに際には、①長生きリスク、②担保不動産
性で23.28年である。
価格下落リスク、③金利上昇リスクの3大リ
このようなリバースモーゲージの活用に際
スクがあるとされている。
しては、利用者に持ち家があることが前提と
①長生きリスクとは、リバースモーゲージ
なる。我が国の場合、前述の金融広報中央委
が終身契約となっており、利用者が亡くなる
員会の2006年の調査によれば、60歳代の持
まで定額の借入れを継続することとなってい
ち家比率は79.6%、70歳以上の持ち家比率は
る場合に生じる。リバースモーゲージの契約
81.4%と、ともに8割前後にのぼり、リバー
時には、利用者の余命がいくばくかは知りえ
スモーゲージの利用可能性のある世帯の割合
ないからである。その結果、利用者がリバー
は高いといえる。
スモーゲージの契約時に想定した期間を超え
また、総務省の2004年の調査によれば、高
て長生きした場合、金融機関等が想定どおり
齢者の金融資産ばかりでなく実物資産も含む
に担保不動産が処分できた場合でも、貸出を
資産合計額のうち、現住居の比率が50歳代
回収しきれない恐れがあるからである。そこ
から70歳代まで総じて半分近い(図表10)
。
で、金融機関等が定額貸出の継続期間を一定
長期間にわたるリバースモーゲージの場合に
期間に限定したり、貸出限度額を設けた場合、
は住宅の評価額が残らないため、宅地部分の
それ以上に長生きすれば、利用者が貸出を打
みでみても、4割前後を占めている。
ち切られることになる。
したがって、老後の生活準備のための貯蓄
②担保不動産価格下落リスクとは、利用者
が十分とはいえない世帯が、持ち家に住み続
が亡くなって担保不動産を処分する際に、リ
けながら老後の生活費を賄うためにそれを活
バースモーゲージの契約時にその時点での担
用できれば助けとなろう。
保不動産の実勢価格から想定した将来価格予
図表10 世帯主の年齢階層別の家計資産合
計額と現住居の割合
(単位:万円、%)
50歳代
60歳代
70歳代
4,751
5,830
6,145
48.3
45.3
46.7
うち住宅
10.4
7.6
6.1
うち宅地
37.9
37.8
40.7
資産合計額
現住居の割合
(備考)総務省「全国消費実態調査(2004)」より作成
測を下回る価格で処分せざるを得なかった場
合である。そのリスクを軽減するために設け
る担保掛目が保守的に過ぎると、利用者は、
持ち家の価値を十分老後の生活費に活用で
きない。このため、持ち家を売却して低価格
の物件に買い換えるか借り家住まいにかえて
残った資金を老後の生活にあてるという選択
もあろう。現状、貸出限度額が土地評価額の
研 究
71
50%から70%に設定されていることが多い。
外部に移転することはできる。しかし、②の
貸出限度額があれば、利用者は、借入れを終
リスクを外部に移転するのは現状では難し
身で受けることができなくなる場合が出てく
い。そして、金融機関等が自らのリスクを軽
るため、利用者が①のリスクを負っているこ
減するために、一方的に担保掛目を低く抑え
とになる。
れば、仮に処分後の超過利潤の一定割合を相
③金利上昇リスクとは、リバースモーゲー
続人に還元したとしても、リバースモーゲー
ジの契約期間中に金利が急上昇した場合、金
ジ本来の、利用者が持ち家の価値を老後の生
融機関等が利用者に貸し出す資金とその調達
活資金に生かすという意義は低下してしまう
コストを回収し切れなくなるリスクである。
のである。
そのため、変動金利型で元利合計の貸出限度
額を設ければ、利用者は予定より早期に貸出
を打ち切られることになる。
ロ.その他の問題点
その他の問題点として、まず、中古住宅市
これらのリスクは、長生きリスクを通じて
場の不活発さが挙げられている。前述のと
契約期間が不確定でかつ長期化することでさ
おり、建物は評価されず、もっぱら宅地の
らに増幅されるリスクだといえる。
みの評価となり、中古物件が過小評価され、
上記のリスクのうち、①は、生命保険会社
流通市場は新築住宅中心となっている。そ
が終身年金を通じて通常から負担しているリ
の分、担保不動産からリバースモーゲージ
スクである。これは、契約者数が多ければ多
を通じて受けることのできる借入金も少額
いほどその契約者全体の平均余命が社会全体
となる。戦後の我が国の住宅不足の状況に
の平均余命に近づき、そこからぶれるリスク
おいて「質より量」を重視した住宅関連施
が減るという大数の法則に従い、契約者を増
策が採られ、我が国の住宅が欧米に比べて
やせれば軽減できるリスクである。③は、金
著しく耐用年数の短いものとなったことが
融機関がALMを通じて通常管理しているリ
背景にある。結果として、対象不動産が戸
スクといえるが、管理するためには平均契約
建に限られる場合や、その現在の宅地評価
期間もコントロールする必要があるため、結
額の下限が4,000万円など高く設定されてい
局、①の軽減も必要である。問題は、②であ
る場合もある。
り、現状ではリスクヘッジするための取引ツ
また、リバースモーゲージの提供者が回収
ールも存在しないと考えられる。つまり、生
の手続きを進める上で必要な、相続人の協力
命保険会社との提携等の手段も用いて、端的
を得にくいといった問題もある。リバース
には利用者への終身での貸出金のキャッシュ
モーゲージを提供する金融機関等が担保不
フローを賄うために自らの調達資金で終身年
動産を処分して回収しようとする際、相続
金を購入するなどすれば、①や③のリスクを
人に、自らは相続できない対象不動産の処
72
信金中金月報 2007.11
分に対して所得税等の負担が発生するなど、
利用者の死亡時まで繰り延べられることとし
デメリットが多い。このため、金融機関等は、
ている。また、東京スター銀行の場合も、利
推定相続人とのトラブルを回避するために、
用者や推定相続人の事前の十分な理解と同意
利用者に対し、推定相続人の連帯保証や同
を得られれば、契約時の法的な推定相続人の
意を条件付けることが多い。しかし、そう
保証や同意を不要としている。加えて、同行
した事情から、推定相続人は連帯保証や同
は、融資額の上限は土地評価額の90%と高
意に応じようとせず、利用者は利用を断念
く設定され、担保不動産処分額が貸出金元利
するケースが多い。これが、リバースモー
合計を超えていた場合、差額が相続人に返却
ゲージの普及を妨げる要因の一つとなって
される。このように、前述のような、利用者
いる。
にとっての制約条件のいくつかは軽減された
さらに、担保となる居住用不動産につい
て、配偶者および両親以外の「同居」を認め
リバースモーゲージが取り扱われているのは
事実である。
ないケースが多い点も普及を妨げる要因の一
しかし、80歳までといった有期契約を提
つとなっている。これはリバースモーゲージ
供する場合があり、また、上記事例でも貸出
独特の制約であり、担保不動産を処分して清
限度額が設定されているなど、これまでに見
算する際に、第三者に「居住権」を主張され
てきた利用者にとっての制約条件が一切ない
たり、融資資金を第三者に不正使用されたり
国内事例もまだみられない。制約条件は、金
するのを防ぐのが目的である。しかし、利用
融機関等のリバースモーゲージ提供者が、3
者たる高齢者は、子供とその家族が介護上の
大リスクなどの諸リスクを負担し切れず、そ
理由から同居人となっている場合も少なくな
れを利用者に移転するために設けられている
いため、そうした高齢者が利用できないこと
ことを考えると、提供者サイドでのリスク軽
となってしまう問題点がある。
減の工夫が、リバースモーゲージ普及のカギ
となると考えられる。
(3)今後の課題
リバースモーゲージは、東京都武蔵野市が
極端な例としては、米国の連邦住宅都市開
発省の提供しているホームエクイティコンバ
他に先駆けて1981年から実施して以来、厚
ージョンモーゲージが挙げられる。これは、
生労働省、地方自治体、金融機関などが取り
連邦住宅庁が3大リスクや利用者にとっての
扱うようになった。武蔵野市の場合は、担保
金融機関倒産リスクを100%カバーしている
不動産の価格の下限を設定せず、推定相続人
ことが最大の特徴だとされている。また、前
の連帯保証や同意を不要としている。厚生労
述のリバースモーゲージを提供する金融機関
働省は、融資額の上限は土地評価額の70%
等が担保不動産を処分して回収しようとする
とするものの、その元本および利子の返済を
際、相続人に発生する、自らは相続できない
研 究
73
対象不動産の処分に対する所得税等の負担の
問題などは、リバースモーゲージの利用に限
おわりに
った税制の特別措置などの検討余地があるの
以上、高齢者の老後の生活資金準備の状況
ではないか。リバースモーゲージの普及の社
をみ、その退職金取込みをめざして商品・サ
会的重要性が高まってくれば、公的部門自身
ービスに工夫をこらす金融機関の動向につい
によるリスク分担や、不動産デリバティブ市
てみてきた。さらには、これまでの金融商品
場など民間サイドでのリスクの分担、再配分
とは異なる性格をもつリバースモーゲージの
の仕組みを整備するなどの方策があろうか
商品性と問題点についても概観した。こうし
と考えられる。いずれにしても、3大リスク
た金融商品等の活用には、つねにリスクの問
軽減の仕組みづくりが今後の課題となって
題が避けて通れない。運用商品の中では一般
いこう。
に、期待リターンが高いものほどリスクも高
さらに、信用金庫や地域銀行がリバースモ
くなる傾向がある。また、リバースモーゲー
ーゲージを取り扱う場合、担保不動産の地域
ジにもさまざまなリスクがあり、金融機関が
集中リスクに晒される。その場合、仮に全国
負いきれないリスクは、利用者への制約とい
不動産価格指数先物市場があったとしても、
う形で利用者に転嫁されている。
それによるリスクヘッジには限界がある。そ
したがって、金融機関が高齢者に対して、
うすると、担保不動産の処分権そのものの流
老後の生活資金に関するニーズに応えるため
動化や証券化市場も必要となるかもしれな
に、各種金融商品を販売する際には、十分な
い。ただ、不動産現物市場自体が証券市場と
説明を行い、適合性の原則に照らして、高齢
は異なり、流動性が低いため、そのデリバテ
者の資産状況、金融や資産運用に対する知識
ィブ市場も有効に機能するかどうか疑問視す
や判断能力からみてふさわしい提案を行わな
る向きがある。また、金融機関は必ずしも担
ければならないことはいうまでもない。9月
保不動産の処分を回収の前提にしてこなかっ
30日からは金融商品取引法も本格施行され
たため、担保不動産の評価や売却についての
ており、今後も、金融機関には、顧客向け説
ノウハウが十分ではない場合がある点につい
明体制の整備・強化に努めていくことが求め
ても留意すべきであろう。
られている。
74
信金中金月報 2007.11
〈参考文献〉
Holden,S., VanDerhei, J. & Copeland, C.,"401(k)Plan Asset Allocation, Account Balances, and Loan Activity in 2006"
Investment Company Institute Research Perspective, August 2007 Vol.13, No.1
小沢理一郎「リバースモーゲージの活用ニーズと普及促進の方向性」価値総合研究所(2000)
喜多村悦史ほか『老後革命高齢社会での「家」資産の生かし方「リバースモーゲージ」
』アース工房(2005)
倉田剛『団塊世代とリバースモーゲージ「住み替え」とライフスタイル』住宅新報社(2006)
研 究
75
調 査 第129回全国中小企業景気動向調査
(2007年7~9月期実績・2007年10~12月期見通し)
7~9月期業況は弱含み横ばい圏で推移
【特別調査-中小企業の事業承継について】
信金中央金庫
総合研究所
調査の概要
1.調査時点:2007年9月3日~7日
2.調査方法:全国各地の信用金庫営業店の調査員による、共通の調査表に基づく「聴取り」調査
3.標本数:企業(有効回答数13,946企業・回答率87.6%)
4.分析方法:各質問項目について、
「増加」
(良い)-「減少」
(悪い)の構成比の差=判断D.I.に基づく分析
(概
況)
1.07年7~9月期(今期)の業況判断D.I.は△15.8、4~6月期(前期)比1.2ポイントの小幅
悪化と、弱含み横ばい圏での推移となっている。収益面でも、前年同期比売上額および収
益の判断D.I.がそれぞれ△9.9、△16.7と、ともに前期比小幅のマイナス幅拡大となった。
さらに、設備投資実施企業割合は19.9%と、前期比0.7ポイント低下した。業種別の業況
判断D.I.は、建設業が小幅改善したものの、それ以外の5業種は水準低下となった。
2.07年10~12月期(来期)の予想業況判断D.I.は△9.2と、今期実績比6.6ポイントの改善
見通しとなっている。ただし、
今回の改善見通し幅は前年同期(7.4ポイントの改善見通し)
に比べ小幅にとどまるなど、足踏み感も強まっている。
製 造 業
卸 売 業
小 売 業
サービス業
建 設 業
不 動 産 業
(この天気図は、
景気指標を総合的に判断して作成したものです。)
好調←
→低調
南九州
総 合
九州北部
国
四 国
中
信金中金月報 2007.11
畿
76
近
不 動 産 業
海
建 設 業
東
サービス業
北 陸
小 売 業
首都圏
卸 売 業
東
製 造 業
関
総 合
地 域
業種名
北
時 期 2007年 2007年 2007年
10∼12月
4∼6月 7∼9月 (見通し)
東
業種名
地域別天気図
(今期分)
北海道
業種別天気図
1.全業種総合
○業況は3四半期連続のマイナス幅拡大
図表1 主要判断D.I.の推移
(D.I.)
0
△10
今期の業況判断D.I.は△15.8、前期比1.2ポ
△20
イントの小幅悪化となった。3四半期連続の
△30
マイナス幅拡大で、ここへきて弱含み横ばい
△40
圏での推移となっている。なお、業況判断
△50
D.I.のマイナス幅が3四半期連続で拡大する
のはおよそ6年ぶりのことである。
収益面の指標でも、前年同期比売上額判
断D.I.が △9.9、 同 収 益 判 断D.I.が △16.7と、
それぞれ前期比で2.0ポイント、2.9ポイント
2002.9
30
たとする企業の割合が減少)した。一方、仕
入価格判断D.I.は、前期の31.4とほぼ同水準
の31.2で、価格上昇と回答した企業の割合が
依然多くを占めている(図表2)
。
雇用面では人手過不足判断D.I.が△7.5と、
前期(△7.1)に比べわずかながら人手不足
感が強まった。
資金繰り判断D.I.は△13.9と、前期比1.2ポ
イントマイナス幅が拡大し、2四半期ぶりの
小幅悪化となった。
また、借入難易度判断D.I.は△2.2と、前期
の△2.0に比べ若干の悪化となった。
一方、設備投資実施企業割合は19.9%、前
期比0.7ポイント低下し、9四半期ぶりの20%
業況判断D.I.
03.9
04.9
05. 9
(時期)
07.9
06.9
31.2
仕入価格判断D.I.
10
△10
て前期比でマイナス幅が縮小(価格が下降し
前年同期比収益判断D.I.
20
売上額判断D.I.も△7.8、同収益判断D.I.は△
販売価格判断D.I.は△0.9と、2四半期続け
△15.8
△16.7
(D.I.)
40
0
(図表1)。
△ 9.9
図表2 販売価格・仕入価格判断D.I.の推移
のマイナス幅拡大となった。また、前期比
14.9と、ともに前期比小幅の悪化となった
前年同期比
売上額判断D.I.
△0.9
販売価格判断D.I.
△20
△30
2002.9
03.9
04.9
05.9
06.9
(時期)
07.9
図表3 設備投資実施企業割合、資金繰り
判断D.I.等の推移
(D.I.)
5
設備投資実施企業割合(右目盛)
0
(%)
25
△ 2.2
19.9
△ 7.5
△ 5
△10
人手過不足判断D.I.
(右目盛)
△ 13.9
借入難易度判断
△20
D.I.
(左目盛)
△25
資金繰り判断D.I.(左目盛)
20
15
△15
△30
△35
2002.9
03.9
04.9
05.9
06.9
10
5
0
07.9
(時期)
割れとなった(図表3)
。
業種別の業況判断D.I.は、建設業が季節要
因などもあって小幅改善したものの、それ以
外の5業種は小幅の悪化となった。
地域別には、北海道と東北で若干の改善が
みられたものの、それ以外の9地域では水準
が低下した。
調 査
77
○改善見通しながら足踏み感も
来期の予想業況判断D.I.は、今期実績に比
図表4 製造業 主要判断D.I.の推移
(D.I.)
10
べ6.6ポイント改善見通しの△9.2となってい
0
る。ただ、今回の改善幅は前年同期(7.4ポ
△10
イントの改善見通し)に比べて小幅にとどま
△20
っているほか、予想値の水準も前年同期の水
△30
準(△4.9)を下回った。改善見通しではあ
△40
るが、足踏み感も強まっている。
一方、予想前期比売上額判断D.I.はプラス
2.8、同収益判断D.I.は△5.1と、季節要因も
あり、ともに改善する見通しとなっている。
なお、業種別の予想業況判断D.I.は、6業種
前年同期比売上額
2002.9
△12.2
△18.5
△10.3
前年同期比収益
業況
03.9
04.9
05.9
06.9
(時期)
07.9
○設備投資実施企業割合は若干の低下
設備投資実施企業割合は24.3%と、前期
(25.0%)に比べ若干低下した。
人手過不足判断D.I.は△8.1と、
前期(△7.8)
すべてで今期に比べ改善が見込まれている。
に比べわずかながら人手不足感が強まった。
また地域別の予想業況判断D.I.では、北海
一方で、残業時間判断D.I.は△3.8と、前期
道で小幅悪化が見込まれているものの、そ
比1.6ポイント低下(残業時間が増加したと
の他の10地域では改善見通しとなっている。
する企業が減少)し、2四半期連続でマイナ
とりわけ、九州北部では4四半期ぶりのプラ
スの水準となった。
ス転換(0.2)が見込まれている。
2.製造業
○業況は小幅ながらマイナス幅拡大
今期の業況判断D.I.は△8.5と、マイナス幅
が前期比1.9ポイント拡大した。前年同期(△
4.9)の水準を下回り、前々年同期の△9.0と
販売価格判断D.I.は0.8と、前期比0.7ポイ
ント低下した。
原材料(仕入)価格判断D.I.は42.9と、前
期の44.2に比べると若干低下したものの、引
き続き高い水準にある。
資金繰り判断D.I.は△9.9と、前期(△9.1)
に比べややマイナス幅が拡大している。
ほぼ同じ水準となっている。
前年同期比売上額判断D.I.は△2.2と、前期
○22業種中改善は8業種
比3.2ポイント低下し、マイナスの水準に転
業種別業況判断D.I.は、製造業22業種中8業
じた。同収益判断D.I.は、前期比3.7ポイント
種で改善し、
14業種で水準が低下した(図表5)
。
低下し、△10.3となった(図表4)
。
素材型業種は、2業種で改善、5業種で水
なお、前期比売上額判断D.I.は△3.2、同収
準低下となった。鉄鋼、紙・パルプが改善し
益判断D.I.は△11.2と、いずれも前期に比べ
た一方、ゴム、化学が10ポイント超の水準
4.3ポイントの低下となった。
低下となった。
78
信金中金月報 2007.11
部品加工型業種は、
プラスチックが改善し、
金属製品、金属プレスが低下した。
が改善した。
輸出主力型の業況判断D.I.は、2四半期連
建設関連型業種では、窯業が前期比10ポ
続で低下し、8.3となった。内需主力型の業
イント超の改善となったものの、引続きマイ
況判断D.I.は、輸出主力型に比べ低下幅は小
ナス水準にとどまっている。建設金属は小幅
さいものの、3四半期連続で低下しており、
ながら改善し、木材、家具は低下した。
△8.7となった。
機械器具型業種では、輸送用機器が前期比
従業員規模別の業況判断D.I.は、すべての
10ポイント超の大幅な改善となった。精密
階層で低下した。もっとも低下幅が大きいの
機械は改善、一般機械、電気機械は低下した。
は従業員100人以上の階層で、前期比4.1ポイ
消費財型業種では、衣服が改善したものの、
ントの低下となっている。
食料品、玩具・スポーツ、出版・印刷は低下した。
○3地域で改善、8地域で低下
○輸出主力型の水準が低下
地域別の業況判断D.I.は、3地域で改善、8
販売先形態別の業況判断D.I.は、問屋・商
地域で低下した。もっとも大きく改善した
社型、大メーカー型、小売業者型、最終需要
のは東北で、前期比7.1ポイント改善し、△
者型の水準が低下した一方、中小メーカー型
15.9となった。一方、もっとも大きく低下し
図表5 製造業 業種別業況判断D.I.の推移
△50 △40 △30 △20 △10 0
10
(D.I.)
20 30
繊維
化学
皮製品
素材型 ゴム
鉄鋼
非鉄金属
紙・パルプ
プラスチック
部 品
金属製品
加工型
金属プレス・メッキ
窯業・土石
たのは九州北部で、前期の5.1から今期は△
6.5とマイナスに転じている。
業況判断D.I.の水準をみると、すべての地
域でマイナスとなっているが、その水準は、
もっとも低い東北でも△15.9にとどまってい
る(図表6)
。
図表6 製造業 地域別業況判断D.I.の推移
△30
東 北
家具・装備品
首都圏
一般機械
北 陸
精密機械
衣服その他
消 費 食料品
財 型 玩具・スポーツ
出版・印刷
全 業 種 平 均
△10
0
(D.I.)
10
北海道
建 設 建設建築用金属
関連型 木材・木製品
機 械 電気機械
器具型 輸送用機器
△20
関 東
東 海
近 畿
中 国
四 国
九州北部
南九州
全地域平均
●前期(2007年4∼6月期)⃝今期(2007年7∼9月期)
●前期(2007年4∼6月期)⃝今期(2007年7∼9月期)
調 査
79
○プラス転換を予想
○15業種中7業種で改善
来期の予想業況判断D.I.は0.5と、今期実績
業種別の業況判断D.I.は、15業種中、衣服・
比9.0ポイント改善し、プラス転換が予想さ
身回品、建材など8業種で水準低下したが、
れている。
繊維品、農・畜・水産物、飲食料品など7業
業種別には、22業種中、化学、鉄鋼を除
種で改善した。地域別では、11地域中、東北、
く20業種で改善を見込んでいる。なかでも
中国で改善、東海、四国が横ばい、その他7
家具、ゴム、食料品、玩具・スポーツで比較
地域では悪化した。
的大きな改善が予想されている。
地域別には、すべての地域で改善を見込ん
○改善の見通し
でおり、なかでも関東、四国、九州北部では
来期の予想業況判断D.I.は△10.8、今期実
前期比15ポイント超の大幅な改善を見込ん
績比7.5ポイントの改善を見込んでいる。業
でいる。
種別には、農・畜・水産物、飲食料品などで
引き続き改善するなど13業種で改善を予想
3.卸売業
している。また、地域別では、中国を除く全
○業況の改善基調は一服
地域で改善の見通しとなっている。
今期の業況判断D.I.は△18.3、前期比2.3ポ
イント悪化した。前年同期と比べても4.5ポ
イント水準低下しており、改善基調は一服状
4.小売業
○業況はほぼ横ばい
態にある。また、
前年同期比売上額判断D.I.は
今期の業況判断D.I.は△28.3、前期比0.4ポ
△10.5、同収益判断D.I.は△15.9と、それぞ
イントの小幅悪化となった。また、前年同期
れ前期比1.8ポイント、同2.9ポイントの悪化
比売上額判断D.I.は△22.9、同収益判断D.I.は
となった(図表7)。なお、
仕入価格判断D.I.の
△27.4となり、それぞれ前期比0.9ポイント、
上昇(28.4→32.2)が顕著となった。
同1.7ポイントの悪化となった(図表8)
。
図表7 卸売業 主要判断D.I.の推移
図表8 小売業 主要判断D.I.の推移
(D.I.)
0
(D.I.)
前年同期比売上額
△10
△10.5
△15.9
△18.3
△20
80
△30
業況
△50
03.9
04.9
05.9
信金中金月報 2007.11
06.9
△22.9
△27.4
△28.3
△40
業況
△40
△50
2002.9
前年同期比売上額
前年同期比収益
前年同期比収益
△30
△20
(時期)
07.9
2002.9
03.9
04.9
05.9
06.9
(時期)
07.9
○13業種中6業種で改善
ポイントの悪化となった(図表9)
。
業種別の業況判断D.I.は、衣服・身回品、
燃料、など7業種でマイナス幅が拡大したが、
飲食料品、飲食店、自動車、家電など6業種
○8業種中改善は2業種にとどまる
業種別の業況判断D.I.は、8業種中、ホテル、
で改善した。地域別では、11地域中、東北、
娯楽業の2業種の改善にとどまり、物品賃貸、
東海、近畿など5地域で悪化となったものの、
洗濯・理容・浴場、自動車整備、情報・調査・
北海道、関東、北陸、四国など6地域で改善
広告など6業種で悪化した。地域別には、11
となった。
地域中、関東、中国など5地域で改善する一
方、東北、九州北部など6地域で悪化した。
○13業種中12業種で改善の見通し
来期の予想業況判断D.I.は△21.8と、今期
実績比6.5ポイントの改善予想となっている。
○業況の改善を見込む
来期の予想業況判断D.I.は△12.5、今期実
業種別には、13業種中、家電を除く12業種で
績比4.5ポイントの改善を見込んでいる。業
改善の見通しとなっている。また、地域別に
種別では、ホテルを除く7業種で横ばいない
は、北海道でやや悪化するほかは、北陸が横
し改善が予想されている。また、
地域別では、
ばい、その他9地域で改善が見込まれている。
北海道で悪化が見込まれているほかは、
四国、
九州北部が横ばい、その他8地域で改善見通
5.サービス業
しとなっている。
○業況は引き続き小幅の悪化
今期の業況判断D.I.は△17.0、前期比1.8ポ
イント悪化し、小幅ながら3四半期連続のマ
6.建設業
○業況改善するも売上、収益は弱含み
イナス幅拡大となった。また、前年同期比売
今期の業況判断D.I.は△19.1と、季節要因
上額判断D.I.は△13.2、同収益判断D.I.は△
もあり前期比2.3ポイントの改善に転じたも
18.7と、それぞれ前期比1.0ポイント、同2.2
のの、改善幅は小幅にとどまった。一方、前
図表9 サービス業 主要判断D.I.の推移
年同期比売上額判断D.I.は前期比1.6ポイント
(D.I.)
△10
悪化の△13.3、同収益判断D.I.は前期比3.3ポ
前年同期比売上額
△13.2
△17.0
△18.7
△20
いた(図表10)
。
前年同期比収益
△30
○8地域で業況は改善
業況
△40
2002. 9
イント悪化の△23.5と、ともに低下傾向が続
03. 9
04. 9
05. 9
06. 9
(時期)
07. 9
業況判断D.I.を請負先別でみると、官公庁
と中小企業がともに前期の悪化から改善に転
調 査
81
図表10 建設業 主要判断D.I.の推移
図表11 不動産業 主要判断D.I.の推移
(D.I.)
0
(D.I.)
10
前年同期比売上額
△10
△13.3
△19.1
△20
△23.5
前年同期比収益
△30
△40
2002. 9
04. 9
0
前年同期比収益
△10
△20
業況
03. 9
前年同期比売上額
0.2
△3.9
△4.9
業況
△30
05. 9
06. 9
(時期)
07. 9
2002. 9
03. 9
04. 9
05. 9
06. 9
(時期)
07. 9
じたものの、大企業と個人はともに4四半期連
収益判断D.I.は前期比2.0ポイント悪化の△
続で悪化した。地域別では、北海道、東北、
3.9となった(図表11)
。
東海で前期比8~9ポイント上昇するなど計8地
域で改善した。北海道と北陸は2四半期連続
○2地域で改善するも8地域で悪化
の改善となった。悪化したのは4四半期連続と
業況判断D.I.を業種別でみると、貸事務所
なった近畿と、四国、九州北部のみとなった。
は前期比横ばいの4.7、貸家は同2.5ポイント
低下の2.4と、プラスを維持した。一方、建
○9地域で上昇する見込み
来期の予想業況判断D.I.は△15.7、今期実
売と仲介は悪化した。地域別では、北海道と
東海で前期比4ポイント強改善し、関東で横
績比3.4ポイントの改善を見込む。請負先別
ばいとなったものの、残る8地域で悪化し、
では、大企業をはじめ、官公庁、中小企業、
特に東北、北陸、南九州は同10ポイント超
個人とも改善見通しとなっている。地域別で
悪化した。
は、北海道が9.1ポイントの悪化、関東がほ
ぼ横ばい、残る9地域で改善の見込みである。
7.不動産業
○業況の緩やかな低下続く
今期の業況判断D.I.は前期比3.5ポイントマ
○北陸と中国で大幅改善を見込む
来期の予想業況判断D.I.は△1.4、今期実績
比3.5ポイントの改善を見込んでいる。業種
別では、建売が改善する一方、貸事務所は横
ばい、貸家と仲介は低下する見通しである。
イナス幅拡大の△4.9となり、5四半期連続の
地域別では、北陸と中国が15ポイント前後
緩やかな低下となった。前年同期比売上額判
の大幅改善見込みとなったのをはじめ9地域
断D.I.は0.2と8四半期連続でプラスを維持し
で改善を見込んでいる。悪化見通しは、東海
たものの、前期比1.6ポイント悪化した。同
と九州北部のみとなった。
82
信金中金月報 2007.11
特別調査
中小企業の事業承継について
今回は中小企業の事業承継について調査し
事業承継への対応については、
「対応できて
た。回答企業の社長(代表者)の年齢階層と
いる」との回答は24.7%であった。この他、
「現
業歴は図表12のとおりである(図表12)
。
在、対応を進めている」が23.5%、
「今後、対応
予定である」
が27.3%となっている。一方、
「対
○8割が経営問題として認識も、対応は半分
以下
応したいが方法がわからない」が2.8%、
「対
応していない」が21.8%となっている。
中小企業の事業承継についての認識は、最
多くの中小企業が事業承継を経営問題とし
優先の経営問題とする回答が20.0%、経営問
て認識しているものの、対応していると回答
題のひとつとする回答が59.0%と、約8割の
する企業は、
「対応できている」と「現在、
企業が経営問題だと認識している。
対応を進めている」を合わせても48.2%にと
図表12 回答企業の社長(代表者)の年齢階層と業歴
(単位:%)
社長の年齢階層
20・30
歳代
地域別
従業員規模別
業種別
全 体
北 海 道
東 北
関 東
首 都 圏
北 陸
東 海
近 畿
中 国
四 国
九州北部
南 九 州
1~ 4人
5~ 9人
10~ 19人
20~ 29人
30~ 39人
40~ 49人
50~ 99人
100~199人
200~300人
製 造 業
卸 売 業
小 売 業
サービス業
建 設 業
不動産業
3.8
3.3
3.3
4.2
3.2
4.8
3.7
4.4
5.1
5.0
5.1
4.8
3.0
4.4
5.5
4.1
4.3
2.8
3.2
1.9
1.4
3.4
3.7
3.5
5.5
3.8
4.6
40歳代
14.2
13.6
14.6
16.3
11.8
13.9
16.3
17.0
14.4
13.4
17.2
13.7
11.2
14.8
16.3
15.7
14.1
17.3
17.3
14.9
15.9
14.4
13.6
12.4
14.5
17.9
11.0
50歳代
32.6
33.1
37.9
33.1
27.9
36.8
33.2
33.7
35.0
34.5
39.6
41.3
31.4
32.3
32.9
32.9
34.8
34.4
34.0
41.2
29.0
32.8
31.4
32.3
30.5
35.2
33.7
貴社の業歴
60歳代
35.9
36.5
28.0
34.0
42.5
32.4
33.6
32.4
31.7
33.0
28.2
30.5
38.8
35.1
33.2
34.7
33.4
35.4
35.4
30.5
37.7
36.0
36.2
36.2
38.0
32.4
36.8
70歳代
10年
以上
未満
13.5
13.5
16.3
12.4
14.7
12.1
13.2
12.4
13.9
14.1
9.9
9.7
15.6
13.5
12.2
12.6
13.5
10.1
10.2
11.4
15.9
13.4
15.0
15.6
11.5
10.7
14.0
3.3
3.0
1.8
3.5
3.0
3.4
2.4
4.0
4.5
3.3
5.6
4.7
4.2
3.7
3.2
2.1
2.5
2.6
1.4
2.0
0.7
2.4
3.0
3.9
5.2
3.0
4.4
10年以上~ 20年以上~ 30年以上~
40年
20年未満
30年未満
40年未満
以上
11.6
8.8
9.0
10.7
13.4
10.8
5.4
12.3
9.7
14.6
17.1
16.5
15.3
12.6
10.9
8.9
6.4
9.1
5.7
2.9
2.2
8.7
9.4
12.5
17.0
10.8
20.5
22.2
18.6
17.7
16.4
28.9
24.2
14.1
17.7
14.5
21.5
27.2
26.5
28.1
24.8
21.1
16.0
17.1
14.3
12.4
9.1
8.0
20.6
20.3
23.4
24.0
20.4
31.6
25.5
24.1
26.5
23.9
26.6
22.3
25.6
24.4
24.6
28.0
25.0
27.1
25.7
25.6
26.1
28.9
23.7
25.2
21.3
22.8
21.2
26.2
22.7
24.2
26.3
26.8
27.6
37.3
45.5
45.0
45.5
28.0
39.4
52.5
41.6
46.7
32.6
25.1
25.2
26.7
33.4
38.7
44.1
50.3
48.8
59.1
63.2
67.9
42.1
44.5
35.9
27.5
39.0
15.9
調 査
83
どまった。特に、従業員が1~4人の小規模
従業員規模別にみると、事業の将来性と回
企業では対応できていると回答する企業が2
答した割合は、19人未満の企業で平均を上
割にとどまる反面、対応していないと回答す
回っており、小規模企業ほど事業の将来性と
る企業が4割近くあり、小規模企業ほどその
回答する割合が高い。後継者の力量について
割合が高い(図表13)
。
は、従業員1~4人の企業では43.0%と平均を
下回っており、むしろ候補者の不在を回答す
○小規模企業の2割が候補者不在と回答
る割合が22.1%と高くなっている。事業の将
中小企業において事業承継の際に想定さ
来性や後継者の力量だけでなく、候補者がい
れる問題については、事業の将来性と回答
ないことを問題として回答する企業が小規模
した企業が最も多く65.5%、次いで後継者の
層では2割以上を占めている。一方で、従業
力量(54.3%)
、取引先との信頼関係の維持
員規模が比較的大きな企業の回答では、先代
(43.5%)、候補者の不在(14.3%)となって
経営者の影響力、相続税などの税金対策、自
いる。
社株など個人資産の取り扱いが目立つ。
図表13 事業承継に対する認識と対応
(単位:%)
事業承継に対する認識
事業承継への対応
最優先の経営 経営問題のひ 経 営 問 題と
対応したいが
対応できて 現在、対応を 今後、対応予
対応してい
方法がわから
問題だと認識 とつだと認識 しては認識し わからない
いる
進めている 定である
ない
している
している
ていない
ない
地域別
従業員規模別
業種別
84
全 体
北 海 道
東 北
関 東
首 都 圏
北 陸
東 海
近 畿
中 国
四 国
九州北部
南 九 州
1~ 4人
5~ 9人
10~ 19人
20~ 29人
30~ 39人
40~ 49人
50~ 99人
100~199人
200~300人
製 造 業
卸 売 業
小 売 業
サービス業
建 設 業
不動産業
20.0
23.7
25.4
20.2
15.1
22.2
23.3
21.5
23.3
19.8
24.3
21.9
14.3
21.0
23.7
24.5
22.6
25.4
23.4
23.0
23.4
20.6
21.3
18.2
19.4
21.6
17.2
59.0
59.1
59.7
64.2
56.1
58.9
60.8
61.7
60.0
60.2
56.3
61.6
51.3
62.1
61.1
64.9
65.3
62.7
66.0
66.9
63.5
62.6
62.3
51.7
52.5
61.4
61.3
信金中金月報 2007.11
12.2
12.6
9.8
11.4
14.2
12.0
10.0
11.0
10.1
13.3
12.0
9.8
17.6
10.1
10.1
7.4
8.6
8.6
8.6
8.9
9.5
10.1
10.1
15.5
14.8
11.1
15.1
8.8
4.6
5.1
4.2
14.5
6.8
5.9
5.8
6.6
6.8
7.4
6.7
16.7
6.9
5.1
3.2
3.5
3.3
2.0
1.3
3.6
6.8
6.3
14.6
13.3
5.9
6.4
24.7
22.9
23.1
24.6
25.2
26.4
24.8
24.6
24.5
22.6
27.6
23.0
19.9
25.9
25.5
27.4
29.1
29.4
30.5
27.3
37.6
26.7
24.2
23.9
22.0
25.5
20.5
23.5
25.5
27.6
27.4
17.6
24.1
29.2
26.7
26.9
24.9
20.5
29.2
15.3
23.0
28.0
30.8
31.3
28.4
31.2
36.0
30.1
26.3
25.1
18.0
20.7
25.1
23.0
27.3
32.6
29.3
30.5
23.5
27.3
27.8
30.2
27.8
29.4
27.6
27.4
23.6
29.8
29.5
28.4
28.2
30.0
28.9
29.0
23.3
27.1
30.4
23.8
26.3
28.9
29.9
2.8
2.5
3.8
2.8
2.8
4.3
2.7
1.9
2.8
2.3
2.2
2.9
3.6
2.8
2.8
2.1
1.6
1.9
1.5
1.0
0.8
2.5
2.2
3.6
3.0
2.8
2.4
21.8
16.5
16.2
14.7
30.9
18.0
15.5
16.6
18.0
20.8
22.1
17.5
37.7
18.5
14.2
11.3
9.9
10.2
7.9
6.7
8.3
17.5
18.0
30.6
27.9
17.7
24.1
業種別にみると、事業の将来性を回答した
となっている。一方、
専門家の紹介(11.9%)、
割合が平均を上回ったのは、小売業(68.3%)
事業譲渡先の紹介(4.2%)を回答する割合
と建設業(69.1%)であった。小売業は、候
は低い。多くの中小企業では、事業承継につ
補者の不在と回答する割合も高く、小規模な
いて経営問題として認識はしているが現時点
小売業で後継者問題が深刻な状況がうかがえ
での対応は十分ではないため、まずは地域金
る(図表14)
。
融機関に対して情報提供や相談を求めている
といえる。特に、従業員規模別で1~4人の
○小規模企業は地域金融機関に個別相談を期待
最も小規模な企業では地域金融機関に個別
中小企業が、事業承継のために地域金融
相談を期待する割合が50.1%であるのに対し
機関に期待することとしては、個別相談が
て、200~300人では32.6%にとどまってい
46.3%、セミナー等による情報提供が33.7%
る。小規模企業ほど事業承継のために地域金
図表14 事業承継しようとする際の問題
(単位:%)
事業承継しようとする際の問題
事業の
将来性
取引先との
借り入れに 相続税な 自社株など
社員の 先代経営者 後継者の 候補者の
信頼関係の
際しての どの税金 個人資産の その他
不平・不満 の影響力
力量
不在
維持
個人保証 対策
取り扱い
地域別
全 体
65.5
43.5
6.6
12.8
54.3
14.3
12.5
9.4
7.0
1.3
北 海 道
72.5
45.5
6.4
13.1
61.8
11.7
13.4
7.1
8.2
1.4
東 北
70.6
42.7
6.1
11.9
62.6
12.9
17.5
8.1
7.6
1.6
関 東
66.1
46.5
8.5
13.9
63.8
10.3
16.0
11.9
9.0
0.9
首 都 圏
62.4
41.8
5.7
10.8
42.1
18.3
8.5
7.6
4.5
1.8
北 陸
69.1
39.9
7.5
11.4
60.5
12.6
18.5
7.8
7.0
1.3
東 海
67.7
41.2
7.3
14.2
59.2
12.5
14.4
13.4
13.0
1.3
近 畿
63.0
45.2
6.3
16.7
59.6
11.3
14.4
12.0
9.5
0.9
中 国
64.9
46.3
8.0
14.0
61.2
13.0
15.8
9.5
5.3
1.5
四 国
71.0
45.6
4.5
15.4
60.7
12.3
12.8
8.1
5.3
1.0
九州北部
61.4
48.8
8.5
12.1
59.2
14.9
9.9
12.5
6.2
0.5
南 九 州
従業員規模別
業種別
67.8
44.4
7.2
12.5
59.3
13.1
12.7
7.5
3.6
0.6
1~
4人
66.9
35.2
2.9
8.2
43.0
22.1
9.3
7.4
2.9
2.1
5~
9人
68.9
46.4
6.9
12.6
54.5
12.8
13.9
8.0
5.2
1.3
10~ 19人
67.0
46.7
8.7
13.2
59.8
10.3
16.1
9.0
7.9
1.0
20~ 29人
62.1
50.4
10.9
16.0
62.9
9.5
15.5
9.9
10.3
1.0
30~ 39人
63.0
47.7
8.4
17.6
62.3
8.7
15.4
11.7
10.3
1.2
40~ 49人
62.2
43.8
10.2
19.4
65.5
9.0
11.7
13.5
13.1
0.3
50~ 99人
57.1
53.5
8.7
19.5
67.5
7.9
12.5
13.9
14.7
0.6
100~199人
57.0
51.3
6.7
19.0
63.7
7.3
10.0
22.3
18.3
0.0
200~300人
54.4
51.5
5.9
26.5
52.9
5.1
2.9
15.4
16.9
2.2
製 造 業
64.4
48.7
7.0
12.8
56.0
12.9
12.3
9.9
8.5
1.1
卸 売 業
65.5
50.7
7.1
12.7
54.5
13.6
13.7
7.7
7.4
1.1
小 売 業
68.3
32.7
5.4
10.9
48.2
17.7
10.6
9.3
4.7
1.9
サービス業
63.5
34.9
7.2
11.0
51.7
16.1
11.3
9.6
5.8
2.0
建 設 業
69.1
46.6
6.6
16.4
57.5
11.7
16.0
7.8
7.0
0.9
不動産業
59.1
40.9
5.4
14.1
59.4
16.2
11.8
13.3
7.3
1.0
調 査
85
融機関に対してより個別的な対応を求めてい
る(25.0%)
、従業員の雇用維持に不安があ
るといえる。
る(16.6 %) な ど、M&Aに 否 定 的 な 回 答
行政に対しては、税制面での負担軽減を期
も 目 立 っ た。 一 方 で、 事 業 拡 大 戦 略 の1つ
待する回答が51.2%を占め、情報提供や個別
である(23.5%)
、従業員の雇用を維持でき
相談を上回っている(図表15)
。
る(20.2%)
、事業を最適な先に譲渡できる
(16.3%)
、取引関係を維持できる(14.7%)
○M&Aのメリットについても認識が広がる
という肯定的な回答も多かった。
M&A(第三者への事業譲渡)についての
M&Aについては、中小企業には関わりの
認識は、中小企業にはなじまない(39.3%)
ないものとする見方が多いものの、その活用
と す る 回 答 が 最 も 高 い 割 合 と な っ た。 こ
によるメリットについても認識が広がってい
の ほ か、 乗 っ 取 り な ど 負 の イ メ ー ジ が あ
ることを示す結果となった(図表16)
。
図表15 中小企業が事業承継のために地域金融機関と行政に期待すること
地域金融機関に対して期待すること
セミナー
専門家の 事業譲渡
等による 個別相談
紹介
先の紹介
情報提供
地域別
従業員規模別
業種別
86
(単位:%)
行政に対して期待すること
その他
セミナー
専門家の 税制面での
等による 個別相談
紹介
負担軽減
情報提供
その他
全 体
33.7
46.3
11.9
4.2
3.9
19.3
17.3
9.1
51.2
3.1
北 海 道
34.4
48.8
8.6
4.3
3.9
23.0
16.4
7.6
49.6
3.3
東 北
36.3
42.3
11.6
4.2
5.6
17.7
12.8
7.2
57.3
5.1
関 東
38.2
44.7
10.1
3.8
3.2
16.5
13.5
8.1
59.9
2.0
首 都 圏
29.9
49.9
12.0
4.5
3.7
20.4
23.0
10.4
42.9
3.3
北 陸
36.5
42.7
13.7
4.8
2.3
20.2
14.6
10.5
51.8
2.9
東 海
39.2
39.9
11.6
3.8
5.5
18.1
11.4
6.8
59.5
4.1
近 畿
35.4
43.1
14.2
3.7
3.6
18.0
15.7
8.5
55.7
2.1
中 国
29.9
48.8
11.2
5.5
4.6
14.2
14.4
9.2
58.4
3.7
四 国
32.8
48.4
12.1
3.2
3.5
19.9
10.8
7.7
60.2
1.4
九州北部
32.3
47.2
13.0
5.9
1.6
19.9
20.7
8.6
48.7
2.1
南 九 州
35.8
45.2
12.2
3.2
3.7
21.2
14.0
12.2
50.4
2.1
1~
4人
29.8
50.1
10.7
5.4
4.0
19.2
22.2
9.3
45.8
3.5
5~
9人
31.7
48.4
11.7
4.0
4.1
20.1
17.9
8.9
49.6
3.5
10~ 19人
34.9
45.9
12.2
3.7
3.3
19.7
15.7
9.0
53.2
2.4
20~ 29人
36.2
43.2
12.8
4.6
3.3
19.0
11.8
10.9
55.5
2.9
30~ 39人
38.5
40.2
14.1
2.8
4.5
19.3
14.5
9.2
53.3
3.6
40~ 49人
38.1
40.5
13.5
3.2
4.7
18.0
13.7
7.9
57.4
3.0
50~ 99人
40.3
40.9
12.6
2.8
3.5
19.3
12.4
5.9
60.0
2.4
100~199人
42.0
35.4
16.8
1.5
4.4
17.8
7.1
11.5
61.7
1.9
200~300人
51.5
32.6
9.8
3.0
3.0
18.2
7.4
9.1
65.3
0.0
製 造 業
34.1
45.0
12.3
4.4
4.1
18.3
15.2
9.9
53.8
2.8
卸 売 業
33.6
46.8
11.4
4.3
3.9
19.0
17.5
8.1
52.2
3.2
小 売 業
32.1
47.8
11.6
4.6
3.9
19.3
21.1
8.9
47.0
3.7
サービス業
34.9
45.7
11.4
3.6
4.4
21.1
18.0
8.0
49.0
3.9
建 設 業
33.0
47.4
12.4
3.8
3.4
20.6
16.8
9.7
50.5
2.4
不動産業
34.9
46.4
11.7
4.2
2.8
19.6
17.2
7.6
52.8
2.8
信金中金月報 2007.11
図表16 M&Aについての認識
(単位:%)
M&Aについての認識
乗っ取り
従業員の
事 業 を 最 従業員の 取引関係 事業拡大
中小企業
など負の
雇用維持
適 な 先 に 雇用を維 を維持で 戦 略 の1
にはなじ
イメージ
に不安が
譲渡できる 持できる きる
つである
まない
がある
ある
地域別
従業員規模別
業種別
全 体
北 海 道
東 北
関 東
首 都 圏
北 陸
東 海
近 畿
中 国
四 国
九州北部
南 九 州
1~ 4人
5~ 9人
10~ 19人
20~ 29人
30~ 39人
40~ 49人
50~ 99人
100~199人
200~300人
製 造 業
卸 売 業
小 売 業
サービス業
建 設 業
不動産業
16.3
19.8
19.0
18.1
13.8
19.3
18.3
15.1
19.5
16.7
15.4
17.1
13.0
16.0
19.2
18.1
17.9
19.7
19.3
18.9
17.0
16.4
18.5
14.7
16.3
15.5
17.5
20.2
24.0
27.6
25.5
15.1
19.1
23.3
21.3
23.9
24.8
20.1
18.8
12.1
21.2
23.7
27.8
24.5
27.9
27.0
27.0
22.2
21.1
23.2
16.5
17.9
23.5
16.9
14.7
17.6
16.4
16.0
12.9
16.2
15.3
14.4
15.6
19.8
12.6
15.1
12.5
14.4
17.4
16.3
17.8
13.5
16.6
15.2
11.1
15.5
18.7
12.2
12.3
14.8
13.7
23.5
27.8
29.2
30.0
14.0
26.7
30.2
30.4
30.1
25.8
23.4
24.5
14.6
19.9
25.0
31.5
29.6
37.1
38.1
47.0
51.9
24.5
25.5
17.6
21.5
25.9
29.1
25.0
23.6
27.9
25.7
21.2
24.5
26.1
30.4
23.4
24.8
31.9
28.4
23.3
24.8
25.3
26.5
26.7
28.4
26.8
29.4
20.7
26.2
24.1
24.8
22.1
25.4
25.8
39.3
39.1
39.2
39.5
40.1
38.3
37.5
38.9
34.8
36.3
41.5
43.3
40.1
42.1
39.5
39.3
39.9
34.0
35.9
26.7
28.1
40.2
38.3
38.2
34.3
42.5
41.2
16.6
19.0
22.1
19.9
11.9
17.4
20.2
19.4
16.1
14.4
20.1
17.3
10.8
15.6
19.2
20.8
23.9
23.4
23.8
25.0
14.1
18.2
16.7
12.4
14.9
20.8
14.4
専門家の
支援が必
よくわか
その他
要なもの
らない
である
15.4
14.8
17.0
17.3
11.9
17.7
18.3
17.2
19.9
19.6
18.0
14.7
11.5
14.7
16.4
18.6
18.4
21.3
19.5
21.6
28.1
15.2
14.6
14.2
13.5
18.0
19.3
1.0
1.0
0.7
1.6
0.8
0.8
1.3
0.9
1.7
1.0
0.9
0.5
0.9
0.9
0.9
0.9
1.2
1.1
1.2
1.4
0.7
1.0
1.0
0.9
1.3
0.6
1.0
15.9
13.1
13.4
12.1
21.1
14.2
12.5
10.4
16.0
16.7
14.1
16.0
25.0
16.3
11.8
8.6
8.1
6.4
6.5
6.1
4.4
13.4
13.4
22.3
21.7
12.1
13.6
調 査
87
信
金中金だより
信金中央金庫総合研究所活動状況(9月)
1.レポート等の発行
発行日
07.9.3
07.9.5
レポート分類
内外金利・為替見通し
産業企業情報
通巻
19-6
19-5
07.9.12
内外経済・金融動向
19-5
07.9.26
産業企業情報
19-6
07.9.26
貿易投資相談ニュース
149
タ
イ
ト
ル
-
団塊世代のライフスタイルと市場動向
-団塊世代市場に向けた中小企業等の取組事例-
地域別にみた日本経済の景況判断
-地域間格差は依然大きいが、景気回復の動きは非製
造業にも徐々に波及-
成年後見制度を活用した高齢者の財産管理サービスの
概要-予想されるニーズの高まりと制度・運用のさらな
る改善の必要性-
-
執 筆
斎藤大紀
平井昌夫
者
斎藤大紀
谷地向ゆかり
-
2.講座・講演・放送等の実施
実施日
07.9.5
種類
講演
07.9.9
講演
07.9.11
講演
07.9.12
講演
07.9.12
講演
07.9.13
講演
07.9.14
講演
07.9.14
講演
07.9.14
07.9.14
講演
講演
07.9.19
07.9.19
放送
講演
07.9.20
講演
07.9.20
07.9.26
講演
講演
88
タ
イ
ト
ル
中小企業経営者に求められる
リーダーシップと計数管理力
日本経済の今後の動向
講座・講演会・番組名称 場所・放送局等
講 師
碧青会経営セミナー
碧海信用金庫
平井昌夫
3地区合同宿泊常任委 大磯プリンスホテル 斎藤大紀
員研修会
上海の経済・投資状況について
高松信用金庫
銀河賓館
篠崎幸弘
上海信金会セミナー
中国の外資導入政策と関連制度の 第3回上海信金会
上海銀河賓館
篠崎幸弘
最新動向
国内外の金融情勢について
有価証券運用に関する 浦和ロイヤル
斎藤大紀
研修会
パインズホテル
最近の経済情勢および日本の
城東地区取引先との懇 東京ベイ信用金庫 斎藤大紀
経済政策について
親会
地域密着型金融への恒久的な
北海道地区しんきん企 信金中央金庫
藤野次雄
取組みについて
業支援研究会
北海道支店
平成19年度第1回例会
信用金庫の地域活性化事例について 地域活性化推進専門部会 信金中央金庫
笠原博
八重洲別館
成長・注目分野を概観
信友会・地域経済セミナー 飯能信用金庫
鉢嶺実
中国の外資導入政策と関連制度の 第20回信金中金交流会 富臨大酒店
篠崎幸弘
最新動向
(信金会)
「ゆうちょ銀行」、民間との競争
ブルームバーグ・テレビ ブルームバーグ 品田雄志
貿易投資相談会
しんきんビジネスフェア 石川県産業展示館 篠崎幸弘
「北陸ビジネス街道2007」
中国の経済事情について
中国経済事情視察事前 三井住友海上
佐藤克己
研修会
日本橋ビル
日本経済の現状と展望
青経クラブ
東京信用金庫
斎藤大紀
日本経済の現状と金利・為替見通し 資金運用担当者会議
信金中央金庫
斎藤大紀
南九州支店
信金中金月報 2007.11
等
統 計 1.信用金庫統計
(1)
信用金庫の主要勘定概況··············· 89
(2)
信用金庫の店舗数、合併等··········· 91
(3)
信用金庫の預金種類別預金、地区別預金······· 92
(4)
信用金庫の預金者別預金··············· 93
(5)
信用金庫の科目別貸出金、地区別貸出金······· 94
(6)
信用金庫の貸出先別貸出金··········· 95
(7)
信用金庫の余裕資金運用状況······· 96
2.金融機関業態別統計
(1)
業態別預貯金等······························ 97
(2)
業態別貸出金·································· 98
統計資料の照会先:信金中央金庫 総合研究所
Tel 03-3563-7541 Fax 03-3563-7551
(凡 例)
1.金額は、単位未満切捨てとした。
2.比率は、原則として小数点以下第1位までとし第2位以下切捨てとした。
3.記号・符号表示は次のとおり。
〔 0 〕ゼロまたは単位未満の計数 〔─〕該当計数なし
〔△〕減少または負
〔…〕不詳または算出不能
〔*〕1,000%以上の増加率
〔 p 〕速報数字
〔 r 〕訂正数字
〔 b 〕b 印までの数字と次期以降との数字は不連続
4.地区別統計における地区のうち、関東には山梨、長野、新潟を含む。東海は静岡、愛知、岐阜、三重の
4県、九州北部は福岡、佐賀、長崎の3県、南九州は熊本、大分、宮崎、鹿児島の4県である。
※ 信金中金総合研究所のホームページ(http://www.scbri.jp/)よりExcel形式の統計資料をダウンロードすることができます。
1.(1)信用金庫の主要勘定概況
○預 金
8月の全国信用金庫の預金は、月中2,179億円、0.1%増と、前年同月(4,261億円、0.3%増)と同様に増加した。
① 要求払預金は、営業資金および決済資金の流出等がみられたものの、年金振込金の滞留等から月中967億
円、0.2%増と、前年同月(2,323億円、0.6%増)と同様に増加した。
② 定期性預金は、協力預金の払出等がみられたものの、ボーナス預金や公金預金の受入れ、預金増強キャ
ンペーンの実施等から、月中1,359億円、0.1%増と、前年同月(1,476億円、0.2%増)と同様に増加した。
③ 外貨預金等は、月中146億円、2.8%減少した。
なお、2007年8月末の預金の前年同月比増減率は、2.3%増となった。
○貸出金
貸出金は、月中374億円、0.0%増と、前年同月(371億円、0.0%増)と同様に増加した。
① 割引手形は、期日落込みの増加や、季節的要因による持込手形の減少等から、月中418億円、2.4%減と、
前年同月(455億円、2.5%減)と同様に減少した。
② 貸付金は、住宅ローンの実行、経常運転資金および設備資金の増加等から月中793億円、0.1%増と、前
年同月(826億円、0.1%増)と同様に増加した。
なお、2007年8月末の貸出金の前年同月比増減率は、0.5%増となった。
○余資運用資産
余資運用資産は、月中2,788億円、0.4%増と、前年同月(4,301億円、0.8%増)と同様に増加した。
主な内訳をみると、預け金は、月中7,798億円、3.7%増となった。
コールローンは、月中614億円、6.4%増となった。
有価証券は、外国証券(1,662億円増)
、投資信託(713億円増)、株式(298億円増)、短期社債(38億円増)
が増加したものの、国債(5,863億円減)
、社債(1,237億円減)、地方債(369億円減)等が減少したことから、
月中4,764億円、1.4%減となった。
統 計
89
信用金庫の主要勘定増減状況(2007年8月末)
区
分
現
(
(
(
産
項
目
(
(
負
債
項
目
純
出
純
資
産
項
目
資
産
資
金
普 通 出 資 金
優 先 出 資 金
優先出資申込証拠金
資
本 剰 余 金
資 本 準 備 金
その他資本剰余金
利
益
剰 余 金
利 益 準 備 金
その他利益剰余金
特 別 積 立 金
前 期 繰 越 金
未 処 分 剰 余 金
処 分 未 済 持 分
自 己 優 先 出 資
自己優先出資申込証拠金
その他有価証券評価差額金
繰 延 ヘ ッ ジ 損 益
土 地 再 評 価 差 額 金
高
増
1,438,547
△
139,724 )
(
21,369,903
19,237,139 )
(
69,500 )
(
0
1,007,015
500
25,000
297,073
△
314,078
5,743
△
31,897,392
△
9,368,427
△
3,537,165
△
67,420
11,987,689
△
838,464
13
1,025,862
4,942,432
129,915
△
56,355,252
62,800,903
62,599,703 )
(
444,571
1,646,254
△
61,154,648
5,873,360
52,326,752
2,954,535
112,754,892
112,100,057 )
( △
38,234,393
2,398,760
△
33,636,183
1,195,122
147,340
821,910
△
35,074
74,016,822
68,189,704
5,827,118
503,676
△
112,615,167
106,844
206,390
55.6
資
金
(小 切 手 ・ 手 形)
預
け
金
(信 金 中 金 預 け 金)
(譲 渡 性 預 け 金)
買
入
手
形
コ ー ル ロ ー ン
買
現
先
勘
定
債券貸借取 引 支 払 保 証 金
買 入 金 銭 債 権
金
銭
の 信 託
商 品 有 価 証 券
有
価
証
券
国
債
地
方
債
短
期
社
債
社
債
株
式
貸
付
信
託
投
資
信
託
外
国
証
券
そ の 他 の 証 券
小
計
貸
出
金
(月
中
平
残)
(うち金融機関貸付金)
割
引
手
形
貸
付
金
手
形
貸
付
証
書
貸
付
当
座
貸
越
預
金
・ 積 金
(月
中
平
残)
要
求 払 預 金
当
座
預
金
普
通
預
金
貯
蓄
預
金
通
知
預
金
別
段
預
金
納 税 準 備 預 金
定
期 性 預 金
定
期
預
金
定
期
積
金
外
貨 預 金 等
実
質
預
金
譲
渡
性 預 金
借
用
金
預
貸
率
残
△
△
6,347,285
690,882
609,642
81,240
0
41,156
41,156
0
5,453,155
408,341
5,044,813
4,878,948
167,704
1,839
748
0
0
0
687
162,152
(単位:百万円、%)
前 月 比 増 減
△
△
△
△
月
前年同月比
減 額
増 減 率
月中増減額
月中増減率
増 減 率
77,350
△ 5.1
△ 4.7
△
46,644
△ 2.9
△ 2.5
5,188 )
(
3.8 )
(
2.2 )
( △
9,381 )
( △ 6.4 )
(
4.9 )
779,809
3.7
7.8
426,888
2.2
△ 8.1
757,894 )
(
4.1 )
(
6.9 )
(
254,764 )
(
1.4 )
( △ 10.3 )
0)
(
0.0 )
(
11.2 )
(
18,000 )
(
40.4 )
(
20.1 )
0
―
―
0
―
―
61,431
6.4
37.6
214,722
41.5
*
0
0.0
△ 50.0
1,000
―
△ 50.0
1,500
6.3
―
0
―
―
13,128
△ 4.2
△ 6.2
△
2,003
△ 0.6
△ 17.4
3,109
0.9
△ 4.3
3,084
0.9
8.9
99
△ 1.6
△ 16.7
△
93
△ 1.3
△ 21.0
476,468
△ 1.4
2.5
△
166,819
△ 0.5
6.1
586,380
△ 5.8
2.2
△
127,671
△ 1.3
13.3
36,968
△ 1.0
△ 0.1
△
5,483
△ 0.1
6.6
3,894
6.1
124.1
△
9,794
△ 24.5
△ 41.0
123,777
△ 1.0
1.4
△
10,300
△ 0.0
3.8
29,828
3.6
19.7
△
4,063
△ 0.5
23.0
0
0.0
△ 63.8
0
0.0
△ 40.9
71,370
7.4
10.5
△
12,173
△ 1.2
20.1
166,295
3.4
2.7
1,742
0.0
△ 4.1
730
△ 0.5
0.0
922
0.7
16.4
278,801
0.4
4.7
430,135
0.8
1.2
37,462
0.0
0.5
37,127
0.0
1.2
91,547 )
(
0.1 )
(
0.5 )
(
81,607 )
(
0.1 )
(
1.2 )
947
0.2
―
―
―
―
41,838
△ 2.4
△ 6.0
△
45,532
△ 2.5
△ 7.3
79,300
0.1
0.7
82,660
0.1
1.5
28,328
0.4
△ 5.3
8,656
0.1
△ 7.1
30,393
0.0
1.4
60,137
0.1
2.8
20,579
0.7
0.9
13,867
0.4
0.0
217,993
0.1
2.3
426,114
0.3
1.2
90,686 )
( △ 0.0 )
(
2.4 )
( △
19,687 )
( △ 0.0 )
(
1.1 )
96,701
0.2
0.6
232,396
0.6
4.8
86,513
△ 3.4
△ 2.5
△
79,088
△ 3.1
3.5
280,438
0.8
1.3
315,378
0.9
5.3
1,946
0.1
△ 5.0
△
525
△ 0.0
△ 0.4
7,103
5.0
△ 17.2
37,479
26.6
43.8
106,902
△ 11.5
△ 6.0
△
42,150
△ 4.5
△ 4.3
628
1.8
△ 1.7
1,301
3.7
△ 1.0
135,929
0.1
3.2
147,601
0.2
△ 0.6
106,892
0.1
4.0
156,630
0.2
0.1
29,038
0.5
△ 5.4
△
9,029
△ 0.1
△ 8.4
14,637
△ 2.8
△ 2.2
46,117
9.8
5.0
212,804
0.1
2.3
435,496
0.3
1.2
5,740
5.6
△ 23.3
△
3,570
△ 2.4
△ 4.6
8,039
4.0
―
―
―
―
334
244
244
0
0
0
0
0
5
3
8
185
376
569
97
0
0
0
3
0
△
△
△
前年同月比
増 減 率
0.0
0.0
0.0
0.0
―
0.0
0.0
―
0.0
0.0
0.0
0.0
0.2
―
―
―
―
―
0.4
0.0
(備考)預貸率=貸出金/預金・積金×100(預金には譲渡性預金を含む。)
90
信金中金月報 2007.11
前
―
2.6
1.5
11.6
―
―
21.8
―
―
4.8
―
4.4
6.8
△ 212.2
―
―
―
―
―
△ 2.3
△
△
―
960
960
0
―
―
0
0
―
0
―
2,001
0
289
36
0
―
―
―
288
年
同
―
0.1
0.1
0.0
―
―
0.0
―
―
0.0
―
△ 0.0
0.0
21.4
―
―
―
―
―
△ 0.1
―
3.6
1.3
26.7
―
―
12.1
―
―
5.0
―
4.7
12.3
70.2
―
―
―
―
―
△ 10.4
1.(2)信用金庫の店舗数、合併等
信用金庫の店舗数、会員数、常勤役職員数の推移
年 月 末
2003.33
04.33
05.33
05.12
06.33
6
06.38
9
10
11
12
07.31
2
3
4
5
6
7
8
本 店
(信用金庫数)
326
306
298
294
292
292
292
292
290
290
290
287
287
287
287
287
287
287
287
店 舗 数
支 店
出張所
合 計
7,673
7,471
7,312
7,206
7,195
7,193
7,190
7,179
7,162
7,172
7,170
7,170
7,168
7,172
7,175
7,170
7,170
7,166
7,166
264
282
269
293
290
292
288
282
278
279
281
280
276
275
274
274
273
273
273
8,263
8,059
7,879
7,793
7,777
7,777
7,770
7,753
7,730
7,741
7,741
7,737
7,731
7,734
7,736
7,731
7,730
7,726
7,726
会 員 数
(単位:店、人)
常勤役員
9,001,391
9,091,805
9,134,192
9,175,347
9,191,407
9,205,312
9,207,319
9,213,450
9,216,751
9,243,070
9,248,915
9,251,512
9,256,605
r 9,256,033
9,262,576
9,269,338
9,274,473
9,273,962
9,273,245
2,557
2,396
2,342
2,291
2,272
2,320
2,326
2,324
2,312
2,315
2,310
2,304
2,303
2,292
2,291
2,288
2,315
2,320
2,324
常 勤 役 職 員 数
職 員
男 子
女 子
計
87,922
37,086
125,008
84,345
35,051
119,396
81,431
33,342
114,773
80,624
33,388
114,012
79,286
32,080
111,366
80,607
34,563
115,170
80,120
34,039
114,159
79,825
33,735
113,560
79,635
33,596
113,231
79,603
33,577
113,180
79,355
33,217
112,572
79,093
33,024
112,117
78,849
32,890
111,739
r 77,908
r 32,165
r 110,073
80,499
35,555
116,054
80,345
35,478
115,823
79,863
35,166
115,029
79,648
34,909
114,557
79,416
34,711
114,127
合 計
127,565
121,792
117,115
116,303
113,638
117,490
116,485
115,884
115,543
115,495
114,882
114,421
114,042
r 112,365
118,345
118,111
117,344
116,877
116,451
信用金庫の合併等
年 月 日
2003年 7 月 7 日
2003年 7 月 7 日
2003年 7 月22日
2003年 7 月22日
2003年10月20日
2003年10月20日
2003年10月20日
2003年11月 4 日
2004年 1 月13日
2004年 1 月19日
2004年 1 月19日
2004年 2 月 9 日
2004年 2 月 9 日
2004年 2 月16日
2004年 3 月22日
2004年 7 月12日
2004年 7 月20日
2004年10月12日
2004年11月15日
2004年11月22日
2005年 1 月 4 日
2005年 2 月14日
2005年 2 月14日
2005年 3 月14日
2005年 7 月19日
2005年10月17日
2005年11月21日
2005年11月21日
2006年 1 月10日
2006年10月16日
2006年10月16日
2006年11月 6 日
2007年 1 月 9 日
2007年10月 9 日
異 動 金 庫 名
芝
東調布
一宮
愛北
津島
東京東
小岩
赤穂
伊那
秋田
五城目
富山
射水
福岡ひびき
新北九州
門司
築上
能登
共栄
王子
太陽
荒川
日興
直江津
高田
北伊勢
上野
高松
さぬき
鹿児島相互
川内
興能
(高浜信組)
金沢
福光
下関
豊浦
彦根
近江八幡
大阪
南大阪
大牟田
柳川
足利
小山
伊勢崎太田
北海
古平
阪奈
八光
(大分県信組) 杵築
仙台
塩竈
高鍋
西諸
新川水橋
滑川
広島
大竹
多摩中央
八王子
太平
三島
伊豆
愛媛
三津浜
島根中央
(出雲信組)
下関
津和野
宇部
吉南
名寄
士別
直方
新金庫名
芝
いちい
東京東
アルプス中央
秋田
富山
福岡ひびき
のと共栄
城北
上越
北伊勢上野
高松
鹿児島相互
興能
金沢
下関
滋賀中央
大阪
大牟田柳川
足利小山
アイオー
北海
大阪東
(大分県信組)
杜の都
高鍋
にいかわ
広島
多摩
三島
愛媛
島根中央
西中国
北星
金庫数
325
323
322
321
320
319
315
314
311
310
309
308
307
307
306
305
304
303
302
301
301
300
299
298
297
296
295
294
292
291
290
290
287
286
異動の種類
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
名称変更
合併
合併
合併・解散
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
合併
統 計
91
1.(3)信用金庫の預金種類別預金、地区別預金
預金種類別預金
(単位:億円、%)
預金計
年 月 末
2003.33
04.33
05.33
05.12
06.33
6
06.38
9
10
11
12
07.31
2
3
4
5
6
7
8
1,035,536
1,055,175
1,074,324
1,103,111
1,092,212
1,102,468
1,101,933
1,106,414
1,100,598
1,100,747
1,118,837
1,105,755
1,111,189
1,113,772
1,124,680
1,117,440
1,132,280
1,125,368
1,127,548
前年同月比
増 減 率
0.7
1.8
1.8
1.6
1.6
1.2
1.2
1.5
1.0
1.1
1.4
1.6
1.7
1.9
2.0
2.1
2.7
2.5
2.3
要求払
312,842
328,610
350,807
381,541
377,476
384,602
380,002
384,203
380,593
378,131
390,925
376,503
383,269
386,576
394,785
383,922
392,918
381,376
382,343
前年同月比
増 減 率
5.0
5.0
6.7
7.2
7.6
5.7
4.8
4.9
3.6
2.8
2.4
2.5
2.4
2.4
1.8
1.4
2.1
0.9
0.6
定期性
716,192
720,951
717,300
716,938
709,409
713,097
716,779
717,216
715,264
717,526
723,139
724,585
723,273
721,712
725,357
728,501
734,503
738,808
740,168
前年同月比 外貨預金等 前年同月比
増 減 率
増 減 率
△ 1.0
6,500 △ 1.7
0.6
5,614 △ 13.6
△ 0.4
6,216
10.7
△ 1.1
4,631
4.7
△ 1.1
5,326 △ 14.3
△ 0.9
4,768 △ 4.8
△ 0.6
5,151
5.0
△ 0.2
4,994
6.5
△ 0.2
4,740
0.0
0.2
5,089
8.7
0.8
4,772
3.0
1.1
4,666
1.8
1.2
4,647
2.4
1.7
5,483
2.9
2.1
4,538
4.6
2.5
5,016
5.7
3.0
4,858
1.8
3.2
5,183
10.5
3.2
5,036 △ 2.2
実質預金
1,032,788
1,052,971
1,072,219
1,100,680
1,089,623
1,101,018
1,100,566
1,103,401
1,099,229
1,099,274
1,115,960
1,104,369
1,109,828
1,110,316
1,122,089
1,116,149
1,129,872
1,124,023
1,126,151
前年同月比
増 減 率
0.8
1.9
1.8
1.6
1.6
1.2
1.2
1.4
1.0
1.1
1.3
1.6
1.7
1.8
2.0
2.2
2.6
2.5
2.3
譲渡性預金
244
789
999
1,629
1,181
1,554
1,394
1,293
1,333
1,189
1,218
1,352
1,113
998
1,265
1,074
1,102
1,011
1,068
前年同月比
増 減 率
113.7
223.1
26.6
30.1
18.1
11.4
△ 4.6
△ 2.4
△ 7.1
△ 29.2
△ 25.2
△ 7.7
△ 22.7
△ 15.4
△ 1.0
△ 27.1
△ 29.0
△ 29.2
△ 23.3
(備考)1.預金計には譲渡性預金を含まない。
(備考)2.実質預金は預金計から小切手・手形を差引いたもの。
(備考)3.2005年3月から2006年2月までの増減率は、旧杵築信用金庫を調整して算出
地区別預金
年 月 末
2003.33
04.33
05.33
05.12
06.33
6
06.38
9
10
11
12
07.31
2
3
4
5
6
7
8
年 月 末
2003.33
04.33
05.33
05.12
06.33
6
06.38
9
10
11
12
07.31
2
3
4
5
6
7
8
(単位:億円、%)
北海道
55,302
56,194
57,186
59,695
57,985
58,641
58,404
58,766
58,190
58,622
60,205
58,372
58,513
59,138
59,630
58,938
59,911
59,433
59,541
近
畿
201,600
205,213
209,461
216,153
214,393
217,305
218,060
219,449
218,458
218,681
221,584
220,072
220,958
220,845
223,704
222,842
225,850
224,865
224,854
前年同月比
増 減 率
1.2
1.6
1.7
1.3
1.3
0.5
0.7
1.9
0.9
0.9
0.8
1.1
1.0
1.9
1.6
1.3
2.1
2.0
1.9
前年同月比
増 減 率
△ 0.1
1.7
2.0
2.5
2.3
2.1
2.4
2.7
2.0
2.4
2.5
2.9
3.0
3.0
3.2
3.3
3.9
3.7
3.1
東
北
39,462
39,896
40,036
41,041
40,213
40,779
40,737
40,770
40,602
40,440
40,914
40,483
40,643
40,258
41,052
40,602
41,131
40,764
40,902
中
国
50,175
50,456
51,044
51,913
51,229
51,570
51,555
51,527
51,291
52,151
53,033
52,658
53,087
52,842
53,504
52,997
53,830
53,293
53,510
前年同月比
増 減 率
1.0
1.0
0.3
△ 0.0
0.4
0.0
0.1
0.6
△ 0.2
△ 0.3
△ 0.3
△ 0.1
△ 0.1
0.1
0.3
0.5
0.8
0.5
0.4
前年同月比
増 減 率
1.0
0.5
1.1
0.4
0.3
△ 0.4
△ 0.3
△ 0.0
△ 0.3
1.7
2.1
2.9
3.0
3.1
3.2
3.7
4.3
3.7
3.7
東
京
193,270
196,903
200,759
205,991
205,069
205,867
205,326
206,799
205,450
205,362
208,032
205,801
206,891
207,952
209,403
208,405
210,840
209,628
210,109
四
国
18,206
18,625
19,286
19,939
19,914
20,286
20,373
20,416
20,345
20,341
20,720
20,526
20,646
20,731
20,845
20,823
21,082
21,000
21,164
前年同月比
増 減 率
0.8
1.8
1.9
2.0
2.1
1.5
1.3
1.6
1.0
0.9
0.9
1.0
1.2
1.4
1.6
1.8
2.4
2.3
2.3
前年同月比
増 減 率
0.7
2.3
3.5
3.5
3.2
2.9
3.3
3.2
3.6
3.3
3.9
3.8
4.0
4.1
4.0
4.0
3.9
3.6
3.8
関
東
197,820
201,888
205,375
210,703
208,477
210,381
209,966
210,858
210,104
209,443
213,450
210,865
211,916
211,889
213,946
212,533
215,468
214,071
214,606
九州北部
17,984
18,298
18,597
19,319
18,916
19,345
19,291
19,249
19,185
19,139
19,621
19,226
19,399
19,220
19,699
19,412
19,672
19,565
19,587
前年同月比
増 減 率
0.4
2.0
1.7
1.2
1.5
1.2
0.9
1.3
1.0
0.9
1.3
1.3
1.4
1.6
1.6
1.8
2.4
2.2
2.2
前年同月比
増 減 率
0.3
1.7
1.6
1.2
1.7
1.1
0.5
1.0
0.3
0.4
1.5
0.9
1.1
1.6
1.5
1.3
1.6
1.9
1.5
北
陸
32,313
32,710
33,050
33,659
33,344
33,634
33,623
33,576
33,314
33,354
33,793
33,417
33,546
33,765
34,048
33,810
34,319
34,126
34,242
南九州
23,746
24,219
24,085
24,727
24,078
24,479
24,372
24,296
24,184
24,125
24,611
24,219
24,136
24,173
24,492
24,258
24,612
24,337
24,405
前年同月比
増 減 率
1.5
1.2
1.0
1.0
0.8
0.6
0.6
0.7
0.0
0.2
0.3
0.8
0.8
1.2
1.3
1.6
2.0
1.7
1.8
前年同月比
増 減 率
0.8
1.9
1.0
△ 0.0
△ 0.0
△ 0.2
△ 0.6
△ 0.7
△ 1.1
△ 0.9
△ 0.4
△ 0.3
△ 0.6
0.3
0.0
△ 0.1
0.5
0.1
0.1
(備考)1.沖縄地区は全国に含めた。
(備考)2.東京・関東地区の2003年3月の増減率は、地区間の事業譲渡を調整して算出
(備考)3.南九州地区・全国の2005年3月から2006年2月までの増減率は、旧杵築信用金庫を調整して算出
92
信金中金月報 2007.11
東
海
204,281
209,402
213,983
218,546
217,087
218,626
218,769
219,245
218,059
217,675
221,471
218,743
220,082
221,464
222,915
221,388
224,034
222,867
223,218
全国計
1,035,536
1,055,175
1,074,324
1,103,111
1,092,212
1,102,468
1,101,933
1,106,414
1,100,598
1,100,747
1,118,837
1,105,755
1,111,189
1,113,772
1,124,680
1,117,440
1,132,280
1,125,368
1,127,548
前年同月比
増 減 率
1.1
2.5
2.1
1.6
1.4
1.0
0.9
1.1
0.9
0.9
1.3
1.4
1.5
2.0
2.0
2.1
2.4
2.3
2.0
前年同月比
増 減 率
0.7
1.8
1.8
1.6
1.6
1.2
1.2
1.5
1.0
1.1
1.4
1.6
1.7
1.9
2.0
2.1
2.7
2.5
2.3
1.(4)信用金庫の預金者別預金
(単位:億円、%)
年 月 末
預金計
2003.33
04.33
05.33
05.12
06.33
6
06.38
9
10
11
12
07.31
2
3
4
5
6
7
8
1,035,334
1,054,774
1,074,223
1,103,110
1,092,110
1,102,467
1,101,931
1,106,412
1,100,597
1,100,746
1,118,836
1,105,754
1,111,188
1,113,482
1,124,681
1,117,438
1,132,279
1,125,367
1,127,547
年 月 末
一般法人預金
前年同月比
増 減 率
0.7
1.8
1.8
1.6
1.6
1.2
1.2
1.5
1.0
1.1
1.4
1.6
1.7
1.9
2.0
2.1
2.7
2.5
2.3
個人預金
前年同月比
増 減 率
△ 4.9
1.1
1.4
1.2
2.1
1.2
1.4
3.6
1.1
0.8
0.5
1.0
1.0
2.6
0.9
0.9
3.5
0.8
0.3
要求払
前年同月比
増 減 率
△ 2.0
△ 15.8
3.7
2.9
8.3
△ 1.3
△ 3.5
△ 15.0
△ 3.2
△ 1.9
0.2
△ 0.6
△ 2.6
△ 9.4
△ 3.9
△ 2.6
△ 15.6
△ 0.7
△ 3.1
定期性
820,195
842,751
861,039
879,663
873,926
880,320
881,572
878,463
881,996
879,432
893,608
889,036
895,973
893,616
900,815
894,732
906,631
902,420
907,629
前年同月比
増 減 率
2.2
2.7
2.2
1.8
1.4
1.2
1.1
1.2
1.1
1.3
1.5
1.8
2.0
2.2
2.4
2.6
2.9
2.9
2.9
要求払
前年同月比
増 減 率
△ 1.4
4.8
5.9
5.4
6.0
4.0
4.2
7.1
2.1
1.0
0.8
1.2
1.0
3.6
0.3
0.0
4.5
△ 0.5
△ 1.3
定期性
211,169
226,091
243,198
264,251
263,269
271,461
269,063
266,124
269,584
264,704
272,640
266,902
273,833
270,825
276,565
269,277
278,151
269,945
273,384
前年同月比
増 減 率
8.2
7.0
7.5
8.3
8.2
6.8
5.7
5.4
4.5
4.0
3.1
3.3
3.4
2.8
2.6
2.3
2.4
1.6
1.6
定期性
608,742
616,073
616,915
614,856
610,130
608,292
611,947
611,780
611,896
614,212
620,459
621,676
621,696
622,333
623,801
625,018
628,069
632,052
633,772
前年同月比 外貨預金等 前年同月比
増 減 率
増 減 率
0.3
273
24.1
1.2
576
110.9
0.1
915
58.7
△ 0.6
546 △ 33.1
△ 1.0
515 △ 43.6
△ 1.0
557 △ 32.1
△ 0.7
552 △ 26.7
△ 0.4
549 △ 24.4
△ 0.2
506 △ 23.9
0.2
505 △ 15.4
0.9
498 △ 8.8
1.1
447 △ 15.7
1.3
433 △ 16.2
2.0
446 △ 13.3
2.4
439 △ 15.4
2.7
427 △ 24.8
3.2
401 △ 27.9
3.5
413 △ 26.7
3.5
462 △ 16.2
2003.33
04.33
05.33
05.12
06.33
6
06.38
9
10
11
12
07.31
2
3
4
5
6
7
8
年 月 末
2003.33
04.33
05.33
05.12
06.33
6
06.38
9
10
11
12
07.31
2
3
4
5
6
7
8
173,622
175,652
178,067
186,837
181,849
179,403
176,761
188,040
180,405
180,144
187,920
178,142
177,245
186,590
189,049
181,340
185,745
179,621
177,459
要求払
11,804
9,929
10,292
10,441
11,146
12,804
13,113
10,336
11,444
13,364
10,467
12,165
12,450
10,088
10,783
14,055
10,800
12,918
12,702
84,315
88,396
93,657
104,457
99,317
97,585
94,774
105,045
97,031
96,921
105,320
94,757
94,026
102,909
104,924
97,298
102,040
95,704
93,498
10,366
10,554
9,410
12,173
9,939
15,607
15,481
15,022
14,280
14,401
14,373
13,883
12,908
10,864
11,968
13,877
17,031
17,256
16,843
88,922
86,899
84,078
82,105
82,264
81,528
81,709
82,720
83,101
82,956
82,349
83,144
82,975
83,430
83,883
83,805
83,464
83,660
83,695
前年同月比 外貨預金等 前年同月比
増 減 率
増 減 率
△ 8.1
376
28.2
△ 2.2
349 △ 7.3
△ 3.1
323 △ 7.4
△ 3.5
266 △ 27.0
△ 2.1
259 △ 19.8
△ 1.8
281 △ 8.2
△ 1.5
269 △ 10.1
△ 0.2
266 △ 9.6
0.0
264 △ 5.1
0.6
257 △ 0.4
0.2
243 △ 8.8
0.8
232 △ 12.8
1.0
235 △ 9.9
1.4
242 △ 6.4
1.8
233 △ 14.7
2.0
229 △ 20.3
2.3
233 △ 17.2
2.5
249 △ 10.9
2.4
257 △ 4.4
前年同月比 外貨預金等 前年同月比
増 減 率
増 減 率
△ 3.4
118 △ 41.2
1.8
298
152.7
△ 10.8
349
17.2
△ 3.7
37
64.8
5.6
444
27.0
9.2
70 △ 36.0
9.9
240
43.8
12.0
122
57.6
10.8
65 △ 23.3
14.7
329
47.4
18.0
60
59.1
16.0
76
*
16.0
87
*
9.3
562
26.4
11.1
53
*
11.0
209
*
9.1
91
29.1
9.6
324
177.8
8.8
213 △ 11.1
金融機関預金
19,217
15,579
15,055
13,948
14,797
14,252
14,755
14,420
12,397
13,066
12,397
12,443
12,515
11,753
12,003
13,214
11,970
12,817
12,691
公金預金
22,292
20,785
20,055
22,656
21,534
28,486
28,838
25,484
25,793
28,099
24,905
26,128
25,449
21,517
22,808
28,145
27,926
30,503
29,763
前年同月比
増 減 率
△ 3.0
△ 6.7
△ 3.4
△ 0.7
7.3
4.0
3.5
△ 0.6
3.9
6.3
9.9
7.9
6.4
△ 0.0
3.6
4.4
△ 1.9
5.6
3.2
政府関係 譲渡性預金
前年同月比 預 り 金
増 減 率
△ 4.3
1
244
△ 18.9
0
789
△ 3.3
0
999
△ 1.5
0
1,629
△ 1.7
0
1,181
△ 2.5
0
1,554
△ 1.4
0
1,394
△ 2.2
0
1,293
△ 13.3
0
1,333
△ 11.9
0
1,189
△ 11.1
0
1,218
△ 14.0
0
1,352
△ 16.4
0
1,113
△ 20.5
0
968
△ 11.2
0
1,235
△ 11.5
0
1,044
△ 16.0
0
1,102
△ 10.2
0
1,011
△ 13.9
0
1,068
(備考)1.日本銀行 「預金現金貸出金調査表」より作成。このため、「日計表」による(3)預金種類別・地区別預金の預金計とは
(備考)1一致しない。
(備考)2.2005年3月から2006年2月までの増減率は、旧杵築信用金庫を調整して算出
統 計
93
1.(5)信用金庫の科目別貸出金、地区別貸出金
科目別貸出金
年 月 末
2003.33
04.33
05.33
05.12
06.33
6
06.38
9
10
11
12
07.31
2
3
4
5
6
7
8
(単位:億円、%)
貸出金計
626,342
622,364
620,948
631,723
626,702
622,741
624,589
632,882
626,947
628,556
637,674
629,497
628,451
634,954
629,616
625,446
629,111
627,634
628,009
割引手形
前年同月比
増 減 率
△ 2.1
△ 0.6
△ 0.1
0.4
0.9
1.2
1.2
1.5
1.0
1.1
0.9
0.9
0.8
1.3
0.8
0.7
1.0
0.5
0.5
24,051
22,388
20,555
22,105
18,931
18,176
17,515
19,738
17,477
17,691
20,934
18,306
17,781
20,168
19,329
17,123
19,026
16,880
16,462
貸付金
前年同月比
増 減 率
△ 16.3
△ 6.9
△ 8.1
△ 8.3
△ 7.8
△ 7.2
△ 7.3
3.2
△ 6.5
△ 5.5
△ 5.2
△ 4.8
△ 4.5
6.5
△ 4.8
△ 5.3
4.6
△ 6.0
△ 6.0
602,291
599,975
600,393
609,618
607,770
604,564
607,074
613,143
609,469
610,865
616,739
611,191
610,669
614,786
610,287
608,323
610,085
610,753
611,546
前年同月比
増 減 率
△ 1.4
△ 0.3
0.1
0.7
1.2
1.4
1.5
1.4
1.2
1.3
1.1
1.1
1.0
1.1
1.0
0.9
0.9
0.7
0.7
手形貸付
84,739
77,758
71,918
68,633
67,172
61,659
62,071
63,283
62,548
62,652
64,121
62,556
62,567
62,627
59,898
57,997
58,126
58,450
58,733
前年同月比
増 減 率
△ 6.8
△ 8.2
△ 7.4
△ 7.2
△ 6.5
△ 7.1
△ 7.1
△ 7.3
△ 6.8
△ 6.2
△ 6.5
△ 6.5
△ 6.6
△ 6.7
△ 6.2
△ 5.7
△ 5.7
△ 5.7
△ 5.3
証書貸付
484,045
490,499
498,000
511,203
510,693
514,076
515,732
519,681
517,497
518,416
522,586
518,874
518,296
522,187
521,403
521,016
523,089
522,963
523,267
前年同月比
増 減 率
△ 0.3
1.3
1.5
2.0
2.5
2.8
2.8
2.8
2.4
2.4
2.2
2.1
2.0
2.2
1.8
1.7
1.7
1.5
1.4
当座貸越
33,506
31,717
30,473
29,781
29,904
28,828
29,270
30,178
29,423
29,796
30,031
29,759
29,804
29,971
28,984
29,308
28,870
29,339
29,545
前年同月比
増 減 率
△ 3.0
△ 5.3
△ 3.8
△ 1.5
△ 1.8
△ 1.1
0.0
△ 1.5
0.3
0.3
0.8
1.3
0.7
0.2
1.4
1.1
0.1
0.7
0.9
(備考)2005年3月から2006年2月までの増減率は、旧杵築信用金庫を調整して算出
地区別貸出金
年 月 末
2003.33
04.33
05.33
05.12
06.33
6
06.38
9
10
11
12
07.31
2
3
4
5
6
7
8
年 月 末
2003.33
04.33
05.33
05.12
06.33
6
06.38
9
10
11
12
07.31
2
3
4
5
6
7
8
(単位:億円、%)
北海道
29,628
29,855
29,999
30,593
30,652
29,539
29,665
30,167
30,050
30,074
30,608
29,868
30,042
31,012
30,043
29,403
29,524
29,454
29,554
近
畿
124,418
122,626
121,978
125,416
124,456
124,997
125,411
127,160
125,864
126,035
127,974
126,424
126,180
127,784
127,252
126,169
127,308
126,839
127,018
前年同月比
増 減 率
0.3
0.7
0.4
0.9
2.1
1.7
1.5
1.8
1.1
1.3
0.0
0.2
0.0
1.1
0.1
△ 0.1
△ 0.0
△ 0.3
△ 0.3
前年同月比
増 減 率
△ 4.4
△ 1.4
△ 0.5
1.5
2.0
2.7
2.9
3.1
2.3
2.3
2.0
2.0
1.9
2.6
1.8
1.3
1.8
1.1
1.2
東
北
24,413
23,865
23,463
23,380
23,277
22,796
22,799
23,061
22,913
22,857
23,009
22,779
22,763
22,851
22,559
22,512
22,545
22,478
22,468
中
国
30,140
29,815
29,537
29,457
29,238
28,889
29,017
29,311
29,028
29,754
30,105
29,791
29,778
30,232
29,863
29,838
30,022
29,951
29,941
前年同月比
増 減 率
△ 0.4
△ 2.2
△ 1.6
△ 1.0
△ 0.7
△ 0.7
△ 0.9
△ 0.5
△ 1.1
△ 1.4
△ 1.5
△ 1.7
△ 1.9
△ 1.8
△ 1.8
△ 1.2
△ 1.1
△ 1.4
△ 1.4
前年同月比
増 減 率
△ 2.2
△ 1.0
△ 0.9
△ 1.3
△ 1.0
△ 0.3
△ 0.0
0.1
△ 0.1
2.3
2.1
2.0
1.8
3.3
3.1
3.3
3.9
3.3
3.1
東
京
124,445
123,525
123,026
125,602
123,508
123,438
123,541
124,975
123,718
123,920
125,649
123,958
123,601
124,506
123,813
122,777
123,681
123,490
123,514
四
国
10,823
10,800
10,753
10,666
10,631
10,472
10,474
10,565
10,447
10,464
10,545
10,463
10,490
10,608
10,527
10,540
10,547
10,550
10,557
前年同月比
増 減 率
△ 2.1
△ 0.7
△ 0.4
0.2
0.3
0.6
0.6
0.9
0.1
0.1
0.0
△ 0.0
△ 0.0
0.8
0.1
△ 0.0
0.1
△ 0.1
△ 0.0
前年同月比
増 減 率
△ 1.3
△ 0.2
△ 0.4
△ 1.9
△ 1.1
△ 1.4
△ 1.4
△ 1.5
△ 1.4
△ 1.1
△ 1.1
△ 0.9
△ 0.4
△ 0.2
0.3
0.4
0.7
0.7
0.7
関
東
116,756
116,513
117,256
118,889
118,550
117,450
117,687
119,173
118,180
118,425
119,890
118,568
118,397
119,227
118,389
117,889
118,264
118,096
118,061
九州北部
11,575
11,406
11,364
11,631
11,523
11,433
11,523
11,684
11,537
11,558
11,731
11,577
11,536
11,566
11,534
11,422
11,508
11,484
11,507
前年同月比
増 減 率
△ 1.9
△ 0.2
0.6
0.2
1.1
0.9
1.0
1.1
0.9
1.0
0.8
0.8
0.8
0.5
0.3
0.5
0.6
0.4
0.3
前年同月比
増 減 率
0.2
△ 1.4
△ 0.3
1.1
1.3
1.8
1.7
2.4
1.0
1.1
0.8
0.7
0.3
0.3
0.2
0.2
0.6
0.0
△ 0.1
北
陸
19,061
18,768
18,633
18,741
18,546
18,344
18,289
18,483
18,273
18,308
18,551
18,354
18,249
18,384
18,223
18,190
18,253
18,247
18,259
南九州
15,489
15,470
15,362
15,518
15,260
15,098
15,141
15,225
15,222
15,221
15,441
15,224
15,208
14,963
14,897
14,857
14,826
14,764
14,749
前年同月比
増 減 率
△ 1.1
△ 1.5
△ 0.7
△ 1.0
△ 0.4
△ 0.4
△ 1.1
△ 0.4
△ 1.0
△ 0.5
△ 1.0
△ 0.3
△ 0.8
△ 0.8
△ 0.5
△ 0.7
△ 0.4
△ 0.6
△ 0.1
前年同月比
増 減 率
△ 3.0
△ 0.1
0.6
△ 1.0
△ 0.6
△ 0.4
△ 0.6
△ 0.6
△ 0.6
△ 0.6
△ 0.4
△ 0.6
△ 0.4
△ 1.9
△ 1.8
△ 1.4
△ 1.8
△ 2.5
△ 2.5
(備考)1.沖縄地区は全国に含めた。
(備考)2.東京・関東地区の2003年3月の増減率は、地区間の事業譲渡を調整して算出
(備考)3.南九州地区・全国の2005年3月から2006年2月までの増減率は、旧杵築信用金庫を調整して算出
94
信金中金月報 2007.11
東
海
118,573
118,715
118,485
120,793
119,924
119,225
119,986
122,032
120,674
120,894
123,132
121,452
121,178
122,722
121,510
120,822
121,612
121,269
121,377
全国計
626,342
622,364
620,948
631,723
626,702
622,741
624,589
632,882
626,947
628,556
637,674
629,497
628,451
634,954
629,616
625,446
629,111
627,634
628,009
前年同月比
増 減 率
△ 0.8
0.1
△ 0.1
0.7
1.2
1.7
2.0
2.1
2.0
2.0
1.9
2.0
1.9
2.3
1.7
1.7
2.0
1.3
1.1
前年同月比
増 減 率
△ 2.1
△ 0.6
△ 0.1
0.4
0.9
1.2
1.2
1.5
1.0
1.1
0.9
0.9
0.8
1.3
0.8
0.7
1.0
0.5
0.5
1.(6)信用金庫の貸出先別貸出金
(単位:億円、%)
年 月 末
貸出金計
企業向け計
前年同月比
増 減 率
2003.33
04.33
05.33
05.12
06.33
6
9
12
07.33
6
年月 末
前年同月比
構成比
増 減 率
構成比
製造業
前年同月比
増 減 率
構成比
建設業
前年同月比
増 減 率
構成比
626,341 △ 2.1
622,363 △ 0.6
620,947 △ 0.1
100.0
100.0
100.0
415,266
405,336
404,453
△ 4.5
△ 2.3
△ 0.1
66.3
65.1
65.1
86,148
82,022
79,376
△ 7.9
△ 4.7
△ 3.2
13.7
13.1
12.7
65,273
61,786
59,463
△ 8.5
△ 5.3
△ 3.7
10.4
9.9
9.5
631,722
626,700
0.4
0.9
100.0
100.0
415,004
407,728
0.9
0.8
65.6
65.0
81,428
78,118
△ 2.4
△ 1.5
12.8
12.4
59,608
58,229
△ 2.6
△ 2.0
9.4
9.2
622,739
632,880
637,673
634,953
629,110
1.2
1.5
0.9
1.3
1.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
405,032
414,906
420,612
416,942
412,731
1.0
1.7
1.3
2.2
1.9
65.0
65.5
65.9
65.6
65.6
77,451
80,002
80,702
79,103
77,987
△ 0.7
0.9
△ 0.8
1.2
0.6
12.4
12.6
12.6
12.4
12.3
55,953
57,774
58,732
57,780
55,304
△
△
△
△
△
8.9
9.1
9.2
9.0
8.7
卸売業
前年同月比
構成比
増 減 率
小売業
前年同月比
構成比
増 減 率
飲食店
前年同月比
構成比
増 減 率
不動産業
2.0
1.4
1.4
0.7
1.1
前年同月比
構成比
増 減 率
2003.33
04.33
05.33
05.12
06.33
34,242 △ 6.8
33,039 △ 3.5
32,326 △ 2.1
5.4
5.3
5.2
39,615
37,328
34,509
△ 7.4
△ 5.7
△ 7.4
6.3
5.9
5.5
13,622
12,684
11,812
△ 6.2
△ 6.8
△ 6.8
2.1
2.0
1.9
78,140
82,312
92,948
4.2
5.3
12.9
12.4
13.2
14.9
33,569 △ 0.1
32,103 △ 0.6
5.3
5.1
34,293
33,303
△ 4.8
△ 3.4
5.4
5.3
11,417
11,116
△ 7.5
△ 5.8
1.8
1.7
98,275
100,316
13.2
7.9
15.5
16.0
6
9
12
07.33
6
31,809 △ 0.1
33,050
1.3
33,772
0.6
32,828
2.2
32,388
1.8
5.1
5.2
5.2
5.1
5.1
32,997
33,210
33,374
32,640
32,194
△
△
△
△
△
5.2
5.2
5.2
5.1
5.1
11,040
11,097
11,092
10,780
10,634
△
△
△
△
△
1.7
1.7
1.7
1.6
1.6
101,007
103,356
105,814
108,200
108,838
6.7
6.7
7.6
7.8
7.7
16.2
16.3
16.5
17.0
17.3
年 月 末
2003.33
04.33
05.33
05.12
06.33
6
9
12
07.33
6
サービス業 前年同月比
(各種サービス) 増 減 率 構成比
地方公共団体
2.7
2.7
2.6
1.9
2.4
前年同月比
構成比
増 減 率
個 人
4.7
3.3
2.8
3.0
3.6
前年同月比
構成比
増 減 率
住宅ローン 前年同月比
構成比
増 減 率
86,079
-
83,956 △ 2.4
80,908 △ 3.6
13.7
13.4
13.0
15,680
16,932
18,529
15.9
7.9
9.4
2.5
2.7
2.9
195,395
200,095
197,965
2.1
2.4
△ 1.0
31.1
32.1
31.8
134,682
143,110
143,956
5.7
6.2
0.6
21.5
22.9
23.1
81,816 △ 2.8
80,075 △ 1.0
12.9
12.7
18,081
21,043
11.4
13.5
2.8
3.3
198,637
197,929
△ 1.6
△ 0.0
31.4
31.5
147,674
148,058
0.5
2.8
23.3
23.6
80,006
81,049
81,435
79,987
79,688
12.8
12.8
12.7
12.5
12.6
20,029
20,123
20,454
23,294
22,882
15.3
16.4
13.1
10.6
14.2
3.2
3.1
3.2
3.6
3.6
197,678
197,851
196,607
194,717
193,497
△
△
△
△
0.2
0.3
1.0
1.6
2.1
31.7
31.2
30.8
30.6
30.7
148,634
149,526
149,757
149,193
148,966
2.9
2.4
1.4
0.7
0.2
23.8
23.6
23.4
23.4
23.6
△ 0.4
0.2
△ 0.4
△ 0.1
△ 0.3
(備考)1.日本銀行「業種別貸出金調査表」より作成。このため、「日計表」による(5)科目別・地区別貸出金の貸出金計とは一
1致しない。
2.企業向け計には、海外円借款、国内店名義現地貸を含む。
3.2003年3月の業種分類の見直しに伴い、製造業の対象業種から「出版業」が除かれ、従来の「出版・印刷業」に代えて「印
1刷業」のみが対象となったことから、増減率の算出においては、出版業・印刷業とも除いて算出した。また 「サービス業」
1は「各種サービス」となり飲食店等を含む。
4.2005年3月から2005年12月までの増減率は、旧杵築信用金庫を調整して算出
統 計
95
1.(7)信用金庫の余裕資金運用状況
(単位:億円、%)
年 月 末
2003.33
04.33
05.33
05.12
06.33
6
06.38
9
10
11
12
07.31
2
3
4
5
6
7
8
年 月 末
2003.33
04.33
05.33
05.12
06.33
6
06.38
9
10
11
12
07.31
2
3
4
5
6
7
8
年 月 末
2003.33
04.33
05.33
05.12
06.33
6
06.38
9
10
11
12
07.31
2
3
4
5
6
7
8
現
金
預 け 金
17,492
16,040
19,162
18,040
16,963
15,086
15,101
15,898
14,822
15,515
16,810
15,718
14,666
17,490
15,619
15,262
15,554
15,158
14,385
194,070(
196,398(
199,157(
207,651(△
194,245(△
205,076(△
198,110(△
197,523(△
197,073(△
194,707(△
205,191(△
199,982(△
204,191(△
193,753(△
209,665(
205,529(
213,170(
205,900(
213,699(
商
品
有価証券
有価証券
197
159
78
70
69
70
69
62
65
73
67
62
65
59
58
69
63
58
57
248,064(
268,761(
287,574(
301,476(
306,055(
310,948(
311,153(
309,959(
311,180(
312,200(
308,281(
309,172(
311,803(
318,110(
317,596(
319,068(
322,004(
323,738(
318,973(
うち信金中金預け金
6.6)
1.1)
1.4)
1.2)
2.4)
9.9)
8.1)
5.6)
5.7)
5.9)
1.1)
2.0)
1.7)
0.2)
0.8)
2.7)
3.9)
6.2)
7.8)
159,131(△ 0.0)
154,855(△ 2.6)
150,939(△ 2.4)
191,858(△ 1.7)
151,668(
0.4)
187,438(△ 12.3)
179,808(△ 10.3)
171,964(△ 0.0)
177,797(△ 8.2)
175,042(△ 8.5)
184,765(△ 3.6)
180,393(△ 4.2)
184,202(△ 3.7)
168,470(
11.0)
189,240(△ 1.3)
184,105(
1.0)
190,595(
1.6)
184,792(
4.2)
192,371(
6.9)
国
5.0)
8.3)
7.0)
8.0)
6.4)
10.2)
6.1)
5.3)
3.9)
4.3)
2.2)
2.6)
2.3)
3.9)
3.3)
3.3)
3.5)
3.4)
2.5)
債
62,730(
73,655(
82,465(
84,957(
89,127(
92,095(
91,624(
92,243(
92,458(
92,443(
89,957(
91,380(
94,599(
98,728(
98,069(
97,742(
99,556(
99,548(
93,684(
株 式
貸付信託
投資信託
外国証券
4,206
5,449
6,131
6,192
9,236
7,070
7,001
7,155
7,213
7,450
7,359
7,374
7,376
10,514
7,879
7,944
7,937
8,086
8,384
17
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
5,176
5,650
6,745
8,182
8,911
9,282
9,282
9,369
9,182
9,618
8,921
8,595
8,275
9,518
8,647
8,786
9,056
9,544
10,258
41,917
46,121
47,983
49,106
47,338
47,974
48,082
48,134
47,975
48,074
47,969
47,205
46,918
47,161
47,557
47,689
47,431
47,761
49,424
6.4)
17.4)
11.9)
13.4)
8.0)
20.1)
13.3)
12.3)
9.0)
9.7)
5.8)
8.0)
8.5)
10.7)
8.2)
6.7)
8.1)
7.1)
2.2)
その他の
証
券
565
643
1,102
1,221
1,466
1,270
1,298
1,308
1,329
1,328
1,319
1,323
1,338
1,404
1,297
1,299
1,279
1,306
1,299
金融機関
貸 付 等
買入手形
コール
ローン
2,654
2,175
2,472
311
1,949
2,330
7,324
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
0
600
907
11
0
0
0
0
0
150
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1,654
1,575
1,555
260
1,949
2,320
7,314
6,657
6,546
6,044
8,012
9,026
9,969
7,517
9,476
8,689
9,618
9,455
10,070
地方債
短期社債
24,914
26,755
31,460
34,765
34,696
35,087
35,433
34,847
35,015
34,881
34,544
34,704
34,802
33,976
34,771
35,154
35,476
35,741
35,371
0
0
3
321
80
579
300
209
334
380
541
474
464
169
419
452
599
635
674
余資運用
資 産 計
(A)
468,216
489,360
514,265
533,911
524,777
540,046
538,211
536,567
536,518
535,519
545,124
540,590
547,209
543,515
558,734
555,195
567,128
560,764
563,552
信金中金
利 用 額
(B)
159,131
154,855
150,939
191,858
151,668
187,438
179,808
171,964
177,797
175,042
184,765
180,393
184,202
168,470
189,240
184,105
190,595
184,792
192,371
社
債券貸借取引 買入金銭
買現先勘定
金銭の信託
支払保証金 債
権
0
0
0
29
0
10
10
0
0
0
0
0
0
0
10
0
5
5
5
債
108,534(
110,483(
111,680(
116,728(
115,196(
117,587(
118,130(
116,690(
117,670(
118,023(
117,667(
118,114(
118,026(
116,636(
118,954(
119,999(
120,667(
121,114(
119,876(
預貸率
60.4
58.9
57.7
57.1
57.3
56.4
56.6
57.1
56.8
57.0
56.9
56.8
56.4
56.9
55.9
55.9
55.5
55.7
55.6
9.2)
1.7)
1.1)
5.0)
3.1)
6.0)
3.8)
1.9)
1.9)
1.7)
0.8)
1.4)
0.5)
1.2)
1.7)
2.7)
2.6)
2.4)
1.4)
(A)
/預金
45.2
46.3
47.8
48.3
47.9
48.9
48.7
48.4
48.6
48.5
48.6
48.8
49.1
48.7
49.6
49.6
50.0
49.7
49.9
1,000
0
0
0
0
0
0
172
430
345
275
245
300
1,303
328
342
310
235
250
公社公団債
27,267
33,875
39,070
42,968
42,609
43,867
44,449
43,972
44,502
44,822
44,578
44,815
44,957
44,265
45,084
45,668
45,785
45,815
45,128
預証率
23.9
25.4
26.7
27.2
27.9
28.1
28.2
27.9
28.2
28.3
27.5
27.9
28.0
28.5
28.2
28.5
28.4
28.7
28.2
3,274
3,095
3,142
3,360
2,825
3,265
3,170
3,017
3,109
3,198
3,253
3,155
3,011
2,641
2,926
3,109
3,273
3,102
2,970
2,463
2,729
2,678
3,000
2,668
3,268
3,282
3,276
3,289
3,283
3,234
3,226
3,201
2,637
3,052
3,122
3,126
3,109
3,140
金融債
37,894
34,274
32,452
33,440
33,464
34,206
34,326
34,054
34,356
34,354
34,311
34,350
34,207
33,925
34,446
34,819
35,038
34,957
34,656
その他
43,372
42,334
40,158
40,319
39,122
39,513
39,354
38,663
38,811
38,845
38,777
38,948
38,862
38,445
39,423
39,511
39,843
40,341
40,091
(B)
/預金 (B)
/
(A)
15.3
14.6
14.0
17.3
13.8
16.9
16.2
15.5
16.1
15.8
16.4
16.2
16.5
15.1
16.8
16.4
16.8
16.4
17.0
33.9
31.6
29.3
35.9
28.9
34.7
33.4
32.0
33.1
32.6
33.8
33.3
33.6
30.9
33.8
33.1
33.6
32.9
34.1
(備考)1.( )内は前年同月比増減率
(備考)2.預貸率=貸出金/預金×100(%)、預証率=有価証券/預金×100(%)(預金には譲渡性預金を含む。)
(備考)3.2005年3月から2006年2月までの増減率は、旧杵築信用金庫を調整して算出
(備考)4.2006年8月末までの余資運用資産計は、現金、預け金、金融機関貸付等、買入金銭債権、金銭の信託、商品有価証券、
有価証券の合計
(備考)5.2006年9月末以降の余資運用資産計は、現金、預け金、買入手形、コールローン、買現先勘定、債券貸借取引支払保証金、
買入金銭債権、金銭の信託、商品有価証券、有価証券の合計
96
信金中金月報 2007.11
2.(1)業態別預貯金等
(単位:億円、%)
年 月 末
信用金庫
前年同月比
増 減 率
国内銀行
(債券、信託
を含む。)
前年同月比
増 減 率
大手銀行
(債券、信託
を含む。)
前年同月比
増 減 率
うち預金
前年同月比 うち都市銀行 前年同月比
増 減 率
増 減 率
地方銀行
前年同月比
増 減 率
2003.33
1,035,536
0.7
6,798,976
0.1
2,760,299
2.2
2,377,699
2.9
1,813,487 △ 0.0
04.33
1,055,175
1.8
6,798,238 △ 0.0
4,420,297 △ 0.0
2,842,197
2.9
2,456,008
3.2
1,825,541
0.6
05.33
1,074,324
1.8
6,902,096
1.5
4,483,596
1.4
2,862,150
0.7
2,470,227
0.5
1,878,876
2.9
05.12
1,103,111
1.6
6,925,680
1.7
4,492,384
2.1
2,848,176
1.8
2,449,615
1.6
1,885,784
0.9
06.33
1,092,212
1.6
7,428,778
7.6
4,998,602
11.4
2,911,320
1.7
2,507,624
1.5
1,888,910
0.5
6
1,102,468
1.2
7,517,311
9.1
5,074,970
13.9
2,877,117
1.7
2,472,002
1.4
1,898,302
0.4
06.37
1,097,672
0.9
7,479,388
8.6
5,060,143
13.2
2,860,177
0.6
2,452,836
0.0
1,879,406
0.2
8
1,101,933
1.2
7,481,072
8.5
5,061,671
12.9
2,856,397
0.0
2,447,302 △ 0.4
1,878,598
0.5
9
1,106,414
1.5
7,483,080
8.1
5,048,943
11.8
2,862,311 △ 1.0
2,445,037 △ 1.9
1,888,120
1.1
10
1,100,598
1.0
7,473,541
9.4
5,066,363
14.1
2,851,295
0.2
2,432,161 △ 0.6
1,869,379
0.9
11
1,100,747
1.1
7,553,343
8.7
5,131,675
13.1
2,897,048 △ 0.0
2,471,201 △ 1.1
1,882,090
0.7
12
1,118,837
1.4
7,547,869
8.9
5,089,456
13.2
2,849,604
0.0
2,426,762 △ 0.9
1,909,348
1.2
07.31
1,105,755
1.6
7,554,018
9.0
5,131,036
13.1
2,877,270
0.1
2,445,668 △ 1.0
1,883,330
1.4
2
1,111,189
1.7
7,587,790
8.4
5,150,568
12.1
2,878,641
0.4
2,450,553 △ 0.5
1,895,719
1.7
3
1,113,772
1.9
7,674,949
3.3
5,191,912
3.8
2,916,384
0.1
2,487,565 △ 0.7
1,936,818
2.5
4
1,124,680
2.0
7,711,382
2.2
5,220,280
2.3
2,933,060
0.8
2,503,887 △ 0.1
1,940,846
2.1
5
1,117,440
2.1
7,760,452
2.7
5,282,297
2.9
2,972,904
1.4
2,542,636
0.6
1,932,453
2.5
6
1,132,280
2.7
7,745,803
3.0
5,236,067
3.1
2,917,118
1.3
2,484,873
0.5
1,955,473
3.0
7
8
1,125,368
1,127,548
2.5
2.3
7,746,206
7,715,361
3.5
3.1
5,271,142
5,245,795
4.1
3.6
2,947,877
2,927,691
3.0
2.4
2,465,884
0.5
2,443,991 △ 0.1
1,927,021
1,922,268
2.5
2.3
年 月 末
2003.33
第二地銀
0.2
信用組合
前年同月比
増 減 率
4,424,063
労働金庫
前年同月比
増 減 率
農業協同組合
前年同月比
増 減 率
郵便貯金
前年同月比
増 減 率
預貯金等合計
前年同月比
増 減 率
148,362 △ 3.3
131,619
5.1
744,202
1.2
2,332,465 △ 2.5
11,191,160 △ 0.3
04.33
552,400 △ 1.6
152,526
2.8
135,713
3.1
759,764
2.0
2,273,820 △ 2.5
11,175,236 △ 0.1
05.33
539,624 △ 2.3
156,095
2.3
138,604
2.1
776,685
2.2
2,141,490 △ 5.8
11,189,294
0.1
05.12
547,512
1.2
160,564
2.4
144,005
2.1
797,045
1.6
2,045,352 △ 6.7
11,175,757
0.0
06.33
541,266
0.3
159,430
2.1
141,803
2.3
788,653
1.5
2,000,023 △ 6.6
11,610,899
3.7
6
544,039
0.3
―
―
―
―
―
―
1,979,425 △ 6.2
10,599,204
5.1
539,839 △ 0.1
―
―
―
―
―
―
1,963,501 △ 6.3
10,540,561
4.6
8
540,803
0.4
―
―
―
―
―
―
1,955,358 △ 6.3
10,538,363
4.6
9
546,017
0.7
―
―
―
―
―
―
1,933,998 △ 6.4
10,523,492
4.4
10
537,799
0.1
―
―
―
―
―
―
1,928,529 △ 6.5
10,502,668
5.2
11
539,578
0.1
―
―
―
―
―
―
1,910,493 △ 6.5
10,564,583
4.8
12
549,065
0.2
―
―
―
―
―
―
1,911,981 △ 6.5
10,578,687
5.0
07.31
539,652
0.5
―
―
―
―
―
―
1,897,960 △ 6.5
10,557,733
5.0
2
541,503
0.6
―
―
―
―
―
―
1,893,813 △ 6.4
10,592,792
4.7
3
546,219
0.9
―
―
―
―
―
―
1,869,692 △ 6.5
10,658,413
1.3
4
550,256
1.1
―
―
―
―
―
―
p 1,869,817 △ 6.4
p10,705,879
0.6
5
545,702
1.3
―
―
―
―
―
―
p 1,847,975 △ 6.5
p10,725,867
0.9
6
554,263
1.8
―
―
―
―
―
―
p 1,848,812 △ 6.5
p10,726,895
1.2
7
8
548,043
547,298
1.5
1.2
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
p 1,833,178 △ 6.6
p 1,827,466 △ 6.5
p10,704,752
p10,670,375
1.2
06.37
561,426
前年同月比
増 減 率
0.1
1.5
(備考)1.日本銀行『金融経済統計月報』、日本郵政公社ホームページ等より作成
2.大手銀行は、国内銀行-(地方銀行+第二地銀)の計数
3.国内銀行・大手銀行には、全国内銀行の債券および信託勘定の金銭信託・貸付信託・年金信託・財産形成給付信託を含めた。
(備考)4.信用組合、労働金庫、農業協同組合の計数については、日本銀行がデータの掲載を中止したことを受けて、更新を停止
(備考)4した。
(備考)5.預貯金等合計は、単位(億円)未満を切り捨てた各業態の預貯金残高の合計により算出した。なお、2006年4月以降に
(備考)4ついては、信用組合、労働金庫、農業協同組合を除いたベースで算出した。
統 計
97
2.(2)業態別貸出金
(単位:億円、%)
年 月 末
信用金庫
大手銀行
前年同月比
増 減 率
前年同月比
増 減 率
都市銀行
地方銀行
前年同月比
増 減 率
第二地銀
前年同月比
増 減 率
信用組合
前年同月比
増 減 率
前年同月比
増 減 率
2003.33
626,342
△ 2.1
2,451,214
△ 5.7
2,072,578
1.8
1,352,514
△ 0.5
429,130
△ 3.4
91,512
△ 23.1
04.33
622,364
△ 0.6
2,344,621
△ 4.3
1,958,921
△ 5.4
1,352,081
△ 0.0
420,236
△ 2.0
91,234
△ 0.3
05.33
620,948
△ 0.2
2,243,788
△ 4.3
1,869,540
△ 4.5
1,372,381
1.5
403,403
△ 4.0
91,836
0.6
05.12
631,723
0.3
2,272,945
0.4
1,885,112
△ 0.0
1,397,915
1.7
414,620
2.5
93,401
1.1
06.33
626,702
0.9
2,291,469
2.1
1,896,885
1.4
1,403,556
2.2
412,564
2.2
93,078
1.3
6
622,741
1.2
2,276,952
3.4
1,876,598
2.8
1,395,179
2.9
412,769
3.2
―
―
06.38
624,589
1.2
2,283,586
2.7
1,879,127
2.3
1,400,043
2.9
413,587
2.9
―
―
9
632,882
1.5
2,294,564
1.2
1,887,004
0.5
1,413,802
3.2
417,426
2.9
―
―
10
626,947
1.0
2,273,750
1.0
1,874,181
0.2
1,403,404
2.8
411,609
1.9
―
―
11
628,556
1.1
2,288,321
1.0
1,888,725
0.4
1,410,040
2.8
413,055
1.7
―
―
12
637,674
0.9
2,302,741
1.3
1,897,603
0.6
1,432,496
2.4
420,533
1.4
―
―
07.31
629,497
0.9
2,281,417
0.8
1,881,560
0.2
1,421,459
2.6
415,402
1.8
―
―
2
628,451
0.8
2,261,671
0.2
1,863,925
△ 0.3
1,421,583
2.5
414,736
1.6
―
―
3
634,954
1.3
2,270,176
△ 0.9
1,860,370
△ 1.9
1,445,409
2.9
419,377
1.6
―
―
4
629,616
0.8
2,252,332
△ 0.8
1,846,685
△ 1.7
1,433,336
2.7
417,232
1.2
―
―
5
625,446
0.7
2,241,656
△ 1.1
1,837,290
△ 1.9
1,424,249
2.3
415,145
1.0
―
―
6
629,111
1.0
2,257,345
△ 0.8
1,849,285
△ 1.4
1,434,045
2.7
417,219
1.0
―
―
7
8
627,634
628,009
0.5
0.5
2,243,160
2,253,620
△ 1.7
△ 1.3
1,835,085
1,843,254
△ 2.3
△ 1.9
1,435,795
1,436,701
2.7
2.6
416,482
416,660
0.7
0.7
―
―
―
―
年 月 末
労働金庫
前年同月比
増 減 率
7.6
農業協同組合
公的金融機関
うち中小
企業向け
うち住宅
金融公庫
合
計
2003.33
87,266
215,147
前年同月比
増 減 率
△ 1.0
1,617,238
前年同月比
増 減 率
△ 4.5
279,743
前年同月比
増 減 率
△ 2.8
671,999
前年同月比
増 減 率
△ 7.5
6,870,363
前年同月比
増 減 率
△ 4.0
04.33
92,664
6.1
214,871
△ 0.1
1,531,569
△ 5.2
274,726
△ 1.7
605,947
△ 9.8
6,669,640
△ 2.9
05.33
94,887
2.3
212,986
△ 0.8
1,457,114
△ 4.8
270,971
△ 1.3
550,993
△ 9.0
6,497,343
△ 2.5
05.12
95,568
0.7
211,638
△ 0.5
1,385,491
△ 6.4
264,777
△ 4.5
504,912
△ 11.1
6,503,301
△ 0.7
06.33
97,095
2.3
213,185
0.0
―
―
―
―
―
―
4,734,291
2.0
6
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
4,707,641
3.0
06.38
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
4,721,805
2.6
9
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
4,758,674
2.0
10
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
4,715,710
1.6
11
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
4,739,972
1.6
12
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
4,793,444
1.6
07.31
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
4,747,775
1.5
2
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
4,726,441
1.1
3
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
4,769,916
0.7
0.6
4
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
4,732,516
5
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
4,706,496
0.3
6
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
4,737,720
0.6
7
8
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
―
4,723,071
4,734,990
0.0
0.2
(備考)1.日本銀行『金融経済統計月報』より作成
(備考)2.大手銀行は、国内銀行-(地方銀行+第二地銀)の計数
(備考)3.公的金融機関は、日本政策投資銀行、国際協力銀行、国民生活金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業
金融公庫、公営企業金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、商工組合中央金庫の合計
(備考)4.公的金融機関のうち中小企業向けは、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫の合計
(備考)5.信用組合、労働金庫、農業協同組合、公的金融機関の計数については、日本銀行がデータの掲載を中止したことを受け
て、更新を停止した。
(備考)6.合計は、単位(億円)未満を切り捨てた各業態の貸出金残高の合計により算出した。なお、2006年3月以降については、
信用組合、労働金庫、農業協同組合、公的金融機関を除いたベースで算出した。
98
信金中金月報 2007.11
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ISSN 1346−9479
2007年(平成19年)11月1日 発行
2007年11月号 第6巻 第12号(通巻419号)
発 行 信 金 中 央 金庫
編 集 信 金 中 央 金 庫 総 合 研 究所
〒104−0031 東京都中央区京 橋3−8−1
TEL 03(3563)7541 FAX 03(3563)7551
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