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平成 25 年度 第 2 回 上越市博物館協議会次第
1 開
会
2 あいさつ
3 議
⑴
事
平成 25 年度入館状況等について
①上越市立水族博物館
②上越市立総合博物館
⑵
平成 26 年度事業計画(案)について
①上越市立水族博物館
②上越市立総合博物館
4 報告事項
小林古径記念美術館
・平成 25 年度入館状況等について
・平成 26 年度事業計画(案)について
5 その他
6 閉
会
日
時
会
場
平成 26 年 2 月 26 日(水)
午後 1 時 30 分~
直江津学びの交流館
多目的ホール B
Joetsu City
Aquatic animal
Museum
Basic Plan … in 2014
Summary ver.
上越市新水族博物館
基 本 計 画
● 概 要 版 ●
平成 26 年 1 月
●○●●○
目 次
●○●○○
Ⅰ
上越市立水族博物館の概要
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
Ⅱ
整
針
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
Ⅲ
基本コンセプト
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5
Ⅳ
建
設 場
所
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
7
Ⅴ
展
示 内
容
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
13
Ⅵ
施
設 内
容
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
15
Ⅶ
整 備 事 業 費
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
17
Ⅷ
事
支
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
19
Ⅸ
経済波及効果
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
24
Ⅹ
整備手法及び運営手法
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
25
Ⅺ
整備スケジュール
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
28
備 方
業 収
Ⅰ 上越市立水族博物館の概要 ●○●○○
1
上越市における水族館の歴史
上越市における水族館の歴史は、昭和 9 年(1934)に、直江津の八坂神社前に設置されたことに始まりま
す。それから現在に至るまで何度かの移転・新築がありましたが、80 年もの歴史があり、上越市にとって、
深い関わりのある施設です。
上越市の水族館の変遷
2
昭和 9年(1934)
滝 栄六郎氏が個人経営の水族館を八坂神社前(西本町4丁目)に建設
昭和 10 年(1935)
五智国分寺(五智4丁目)に移転
昭和 18 年(1943)
閉
昭和 24 年(1949) 4月
中田松三氏が個人経営の水族館を本砂山(中央4丁目)に建設
昭和 26 年(1951) 3月
「財団法人直江津水族館」と改称
昭和 28 年(1953) 6月
登録博物館の認可を得て、「直江津水族博物館」と改称
昭和 29 年(1954) 7月
直江津市に移管され、「直江津市立水族博物館」と改称
昭和 32 年(1957) 4月
海浜公園内(西本町4丁目 17-28)に移転・新築・開館
昭和 46 年(1971) 4月
直江津市と高田市の合併により「上越市立水族博物館」と改称
昭和 55 年(1980) 7月
現在の場所に(西本町4丁目 19-27)に移転・新築・開館
平成 5年(1993) 4月
ペンギンランドを新設
平成 5年(1993) 7月
マリンジャンボ、マリンスタジアムの増築
館
現在の上越市立水族博物館の施設概要
昭和 46 年(1971)、高田と直江津の両市(当時)の合併により上越市が誕生した頃から諸設備の老朽化が
目立つようになり、改築に向けた検討がはじまりました。本格的に新築計画案が策定されて水族博物館運
営協議会で審議されたのは、昭和 52 年(1977)12 月のことであり、昭和 55 年(1980)、従来にない発想と創
意工夫とによって、現在の上越市立水族博物館が誕生しました。
(参考:上越市立水族博物館 開館 10 周年館報)
3
近年の動向
現在の上越市立水族博物館は、市民はもとより、新潟県内、長野・群馬方面からも大勢の来館があり、平
成 25 年 8 月には、延べ 900 万人を達成しました。昭和 55 年のオープンから長く親しまれ、信越地域の「海
のシンボル」と言える大切な公共施設です。
しかし、オープンから 30 年以上が経過し、屋根や外壁、展示水槽や各設備機器の老朽化が進み、これら
の更新時期を迎えています。また、近年、動物園や水族館においては、生物の習性や本来の動きを生かし
た行動展示や、生物との触れ合い・体験活動といったニーズに応える展示手法が注目されており、展示コ
ンセプトや展示手法の見直しも必要になっています。
- 1 -
上越市立水族博物館
□所 在
地
□施
設
積
備
面
設
□展示生物の
種類と数
施設概要
〒942-0004 新潟県上越市西本町4丁目 19-27
敷地面積:20,072.91 ㎡ 延床面積:6,916.57 ㎡ 展示面積:2,388.33 ㎡
地 階:アザラシプール、ペンギンランド(水量 236m3・観覧席 156)
、ウミガメプール、
ビーチランド(水生生物を手にとって観察できるプール)
、飼育水槽室、飼育設備機
械室、受水槽(海水・淡水)
、ポンプ室、中央監視室、発電機室、受変電気室、空調
機械室
1 階:エントランスホール、観覧ホール、マリンジャンボ(水量 720m3)
、トロピカラン
ド(水量 200m3)
、円柱水槽、熱帯・温帯・寒帯系各水槽、飼育水槽室、飼育設備
室、休憩コーナー、資料室、暗室、会議室、館長室、事務室、宿直室
2 階:博物館ホール(国指定重要有形民俗文化財「どぶね」の展示)、海のマルチシアター
(14 面マルチスライドの上映・座席数 72)
、子供科学館「ワンダーランド」
、無料
休憩室(座席数 50)
、授乳室、売店、休憩コーナー
屋上階:屋上広場、展望台、望遠鏡、高架水槽室(海水・淡水)
その他:海水取水ポンプ室
マリンスタジアム(パフォーマンスプール・水量 710m3・観覧席 290)
サイクルモノレール(屋外・2人乗り・コース全長 370m)※H25 年に閉鎖
駐車場 第1駐車場:普通車 167 台、大型バス 8 台収容
第2駐車場:普通車 123 台、大型バス 4 台収容
第3駐車場:普通車 65 台収容
(合計)普通車 355 台、大型バス 12 台収容
分 類
脊椎動物
哺乳類
鳥 類
爬虫類
両生類
魚 類
海水魚
淡水魚
棘皮動物
節足動物
軟体動物
刺胞動物
合 計
種類数
匹数
主 な 飼 育 生 物
1
1
10
3
2
100
50
20
200
110
20
25
15
15
400
6,500
1,900
600
500
150
178
10,000
- 2 -
ゴマフアザラシ
マゼランペンギン
アカウミガメ、アオウミガメ、ニホンイシガメほか
アホロートル、アフリカツメガエルほか
マダラトビエイ、マダイ、カクレクマノミほか
ピラルク、ナッテリーピラニア、メダカ、ヤマメほか
イトマキヒトデ、アカヒトデ、ガンガゼ、マナマコほか
カブトガニ、イセエビ、タカアシガニ、サワガニほか
レイシガイ、バイ、ミズダコほか
ミズクラゲ、ヒユサンゴ、ヒメハナギンチャクほか
Ⅱ 整 備 方 針 ●○●○○
1
検討経過
新水族博物館の整備検討は、平成 16 年度から始まり、およそ 10 年もの間、多くの市民、有識者、専門
家による議論が重ねられてきました。
検討経過の概要
年度
年 月
内
容
16
H16.6
新水族博物館整備検討委員会を設置し、新水族博物館のあり方の検討を開始。市長に対し、
「建設場所は現在地周辺とし、新設が望ましい」と答申(H17.3)。
H17.6
市長が新水族博物館整備検討委員会に対し、基本構想等の検討を諮問。
H18.2
検討委員長が市長に基本構想(案)を答申。
H18.4
新水族博物館基本構想を策定。
H18.7
市長が新水族博物館整備検討委員会へ基本計画等の検討を諮問。
H19.2
検討委員長が市長に上越市新水族博物館基本計画(案)を答申。
19
H20.3
現状では、直ちに整備を進めることが財政上困難なため、財源手当がつくまで整備事業手法
等の検討調査を見合わせることとし、調査にかかる経費(予算)を減額補正。
22
H22.8
平成 18 年度に策定された基本計画(案)をベースに、新水族博物館の整備に係る諸課題につ
いて、庁内検討を開始。
23
H23.11
新水族博物館の整備に係る庁内検討結果を市長に報告。
H24.7
集客見通し、事業収支・損益分岐、経済波及効果、整備・運営手法について、有識者による検
討を開始。
H25.1
新水族博物館の整備に係る有識者検討結果を市長に報告。
H25.5
新水族博物館基本計画(案)見直し検討委員会を設置。建設場所や展示内容等について検
討を開始。
H25.11
見直し検討結果を市長に報告。
17
18
24
25
- 3 -
2 整備の必要性
上越市の水族館は、戦前から 80 年以上の長きにわたり水生生物を展示してきた歴史を有する施設であり、
子どもたちの情操教育や家族等で楽しく過ごす場として親しまれてきました。また、当市の「一大集客施
設」という特色を有しており、平成 27 年春の北陸新幹線開業に伴い、長野県のみならず、関東・北陸から
の誘客にも大きく役立つ施設であり、
“首都圏から一番近い日本海”に面した上越市をPRするために不可
欠な施設です。
修繕や補強といった長寿命化対策は建替時期の先送りであり、展示内容の改善策にはなりません。さら
に、後述のとおり、整備財源とする合併特例債の活用期間も限られており、北陸新幹線開業との相乗効果
を生み出すうえでも、早期に建替えを行うことが合理的です。
3 期待される整備効果と整備しない場合に想定されるリスク
新水族博物館の整備によって得られる利点や未整備の場合のリスクについて、現段階で想定されること
を例示します。
(1)整備により期待される効果
・建設工事による直接的な経済効果が発生する。
・水族博物館が存在することで交流人口が増加し、間接的な経済効果の高まりが期待できる。
(2)整備しない場合のリスク
・水族博物館の歴史に終止符を打つことになり、その再建は困難となる。
・海を活用した教育財産の損失となる。
・新幹線新駅から並行在来線を活用し、鉄路の要衝である直江津や直江津を起点とした市内各所への人
の流れを作り出すための拠点施設が喪失される。とりわけ直江津地区の衰退に拍車をかける恐れがあ
り、地区のランドマークがなくなることは、周辺商業施設との関係でも影響が大きい。
・貴重な観光資源の喪失は、交流人口の減尐と経済効果の損失につながる。
- 4 -
Ⅲ 基本コンセプト ●○●○○
1
基本コンセプトの考え方
施設の基本コンセプトとは、利用者に対して「何を提供するのか」という目的や役割を端的に表す言葉
であり、新水族博物館については、全国に誇れる、上越らしさ(独自性)ある施設をつくるため、基本コ
ンセプトの考え方を次のとおり整理します。
(1)「日本海」を打ち出す・「日本海」を生かす水族館
長野や北関東方面の海に面していない地域からの来訪が入館者
の中心と考えると、地勢や広域交通の利便性から、「首都圏から一
番近い日本海側の水族館」であり、「日本海側に設置されている水
族館の真ん中に位置する水族館」であることは、大きな強みです。
また、施設機能としても、海水の取水が容易であるという経営
面の優位性だけでなく、展示水槽の借景として「海との親和性」
があることは、入館者の満足度を高めることにもなります。
さらに、生態系の保全や環境保護といった「日本海」に関する
様々なメッセージの発信や、海岸での体験プログラムの提供、観
光パックも可能となり、それが上越市の水族博物館の独自性にも
つながると考えられます。
(2) 遊びながら学べる(エデュテイメント)水族館
レジャー施設やテレビ番組など、様々な分野において、教育(エデュケーション)と娯楽(エンターテ
イメント)を組み合わせた「エデュテイメント」の動きが見られます。子供だけでなく大人にとっても「遊
びながら学ぶ」という視点を取り入れた施設づくりを進めることで、今後も教育・学びに対する需要を上
手く掴んでいくことができると考えられます。
ただし、水族博物館は自然科学を学ぶ場であり、あくまで展示されている生物が「主役」です。生物の生
態や行動の何を伝えたいのかを明確にしておくこと、演出等は、あくまで補完的なものであることに十分
に留意することが重要です。このため、水族博物館(職員)による展示生物等にかかる調査研究への熱意・
努力をはじめ、それを支える組織体制と施設・設備が不可欠です。
(3) 愛着と創造性を育み、賑わいをつくる水族館
新水族博物館は、多額の税金を投じてつくる「公共施設」であり、北陸新幹線の開業と新水族博物館の
整備をまちづくりの起爆剤として生かしていきます。
- 5 -
水族博物館の経営安定の観点から、休日だけでなく平日の集客を保つためにも、市内の親子が気軽に遊
びに来られるような仕掛けづくりを行い、日常的に水族博物館を利用することで、市民の愛着と誇りの醸
成を図り、そして、水族博物館の展示生物や体験活動からの様々な気づきや学びをきっかけとして、将来
的に起業・産業振興につながるような創造性豊かな人材が生まれることを目指します。
上越市として、社会福祉、教育、観光、産業などの側面から「まちづくり」政策の拠点施設として水族
博物館の整備をしっかりと位置付け、運営に当たっては、各分野の関係団体等との連携を図りながら進め
ていきます。
2
新水族博物館の基本コンセプト
以上、3点の考え方のもと、基本コンセプトを次のとおり設定します。
新水族博物館の基本コンセプト
五感で学ぶ
日本海
(要旨)
○日本海(及び上越地域の川・湖沼)の生息魚類の実物及び資料等を中心に収集展示し、それ
らに関する専門的・技術的な調査研究を行い、生物多様性など環境教育に寄与する水族博物
館とします。
○「五感に訴える」展示を基本とします。新しい技術を活用した演出・解説手法を採用し、子
供から大人まで体験的に楽しみながら学ぶことができる水族博物館とします。
○誰もが気軽に安心して入館できる仕掛け・空間をつくり、上越市への愛着と創造性を育むと
ともに、賑わいづくりの拠点としての性格も持ち合わせた水族博物館とします。
- 6 -
Ⅳ 建 設 場 所 ●○●○○
1 建設場所の選定
新水族博物館については、教育施設であることはもとより、“まちを元気にする一大施設”として位置
付け、施設の整備・運営に伴う様々な効果を市域全体に最も波及させることのできる最適な場所を、市勢
や市内外の入館者の動向などを踏まえて検討、選定しました。
(1)選定の経過
ア 建設場所の選定に関する考え方について
平成 18 年度に策定された基本計画(案)で示された建設場所の案(図表①)は、市町村合併前から検
討されてきた内容であることから、市町村合併後の上越市にとって「最も整備効果を発揮できる場所は
どこか」を選定の主眼として検討を行いました。
図表①
平成 18 年度に策定された基本計画(案)にある建設場所(案)
イ 市域全体から見た建設適地の選定
…
『市内では直江津地区が適当』
〔検討内容〕
①ロケーションから見た検討
…
②交通状況から見た検討
上越市における陸海の広域交通網の結節点が直江津地区
③主要施設の配置
…
④まちの活性化への貢献
…
海が間近に見える地域が最適
市内でも多様な公共施設が集約された地域が直江津地区
…
直江津地区を交流拠点としての再生により、市内各地への回遊性が向上
上記 4 つの視点から検討した結果、直江津地区が利用者にとっても最も利便性に富んだエリアである
との結論に至りました。
- 7 -
ウ 直江津地区における適地の選定
…
『現水族博物館周辺が最適と判断』
〔検討内容〕
①施設自体から見た立地の優位性
… 海水を直接取水できる現施設周辺が最適
②まちづくりの面から見た立地の優位性
…
新施設が地域に与えるインパクトを最大化できる
上記 2 点の視点から新水族博物館の整備効果が最も高まると想定できる立地は、現水族博物館周辺
が最適との結論となりました。
エ 現水族博物館周辺における建設適地の選定
…
『直江津中等教育学校及び現水族博物館敷地(第 1 駐車場含む)の活用が合理的』
①建設適地の選定ポイント
… 費用対効果を最大化できると想定される視点から選定
②選定のポイントに基づく検討結果
…
③C案における敷地計画の比較
C”案が優位と判断(図表③・④)
…
A案とC案で比較し、C案が優位と判断(図表②)
・選定に当たっては建物の配置も考慮し、A案については前面の北側敷地に展示水槽や飲食・物販エ
リアを配置するA’案と前面の敷地に簡易な飲食・物販エリアを配置するA”案の 2 案、C案は現上
越自動車学校敷地内の東側に建物を配置するC’案と、直江津中等教育学校の野球グラウンドに新水
族博物館を整備し、野球グラウンドを上越自動車学校に移設するC”案の 2 案を想定しました。
- 8 -
〈結 果〉
図表② 選定のポイントに基づく検討結果
A案
C案
・現施設駐車場に新水族博物館を建設するもの。 ・現自動車学校、もしくは野球グラウン
ドに新水族博物館を建設するもの。
・駐車場等は、現自動車学校及び野球グラウンド
・現基本計画(案)では、現自動車学校
の利用を想定する。
・また、現施設駐車場の前面敷地(私有地)の利
及び野球グラウンドを一体的に利用す
用を想定した配置も検討した。
ることを予定し、適地であるとしてい
・庁内検討ではA案が現実的とした。
る。
概 要
項 目
内
前面敷地の利用により、最大で約 5 億円の
増加が見込まれる。
(ブリッジ設置:約 8,400 万円、擁壁整備:
約 2 億 1,600 万円、エレベータ等:約 2 億
340 万円)
容
△
平成 18 年度に策定された基本計画(案)
○
における想定額のとおり。
前面敷地にも建物を整備(分館型)するこ
とで、最大で約 1,500 万円の増加が見込ま △
れる。
(光熱費・維持工事費・委託費が増加)
平成 18 年度に策定された基本計画(案)
○
における想定額のとおり。
駐車場
約 600 台の確保は可能である。
○
約 600 台の確保は可能である。
○
自由度
現施設駐車場も前面敷地も奥行きがないた
め、計画上の制約が出る。前面敷地を利用
しない場合は、延床面積 8,500 ㎡を確保す
るには 3 層建てになり、建築計画論上、入
館者にストレスを与える可能性がある。
△
まとまった空間が確保しやすく、様々な
形態の計画提案が可能になる。2 層建て
で、建築計画論上、入館者のストレスも
尐ない。
○
海との親和性
前面敷地からの眺望は良好である。浜辺に
降りて体験活動を行うことも可能である。
また、前面敷地においては日本海を展示水
槽の借景とすることが可能。
○
A案より高台にあるため、眺望は良好で
ある。また、日本海を展示水槽の借景と
することが可能。
△
敷地利用
前面敷地を利用しない整備は困難である。
現自動車学校・野球グラウンドの地権者及
び利用者との調整に加え、前面敷地の地権
者との調整が必要となる。また、道路を挟
んでいるため建設工事や建設後の事故対策
などが必要となる。
△
現自動車学校・野球グラウンドの地権者
及び利用者との調整が必要となる。
○
周辺施設との
関係性等
公園と想定しているエリアに将来的に施設
が建つ可能性を考慮すると、屋台会館と公
園、新水族博物館が隣り合わせとなり、賑
わいが生まれる可能性がある。また、屋台
会館と公園エリアが連続した建物で挟まれ
るため、都市空間設計から見た視認性はC
案よりも増す。
○
公園としているエリアに将来的に施設
が建ったとしても、屋台会館、公園、新
水族博物館の間に駐車場を挟むため、都
市空間設計から見た視認性はA案より
期待できない。
△
建
設
費
用
維持管理
施
設
計
画
- 9 -
図表③
建設場所をC案とした場合のC’案及びC”案の敷地計画
- 10 -
図表④
概
要
項
目
比較表
C’案
C”案
・現自動車学校敷地内の東側半分に新水族博
物館を建設するもの。
・主要駐車場は新水族博物館に隣接する西側
に設置する(約 200 台)
。
・現在の水族館敷地及び第 1 駐車場は公園や
第 2 駐車場とする(約 200 台)
。
・現野球グラウンドに新水族博物館を建設
し、野球グラウンドは自動車学校敷地に
移設するもの。
・現水族博物館の第 1 駐車場及び現水族博
物館敷地を主要駐車場とする。
・移設後の野球グラウンドを除く自動車学
校敷地部分は、通常時はイベントスペー
スとして、繁忙期には臨時駐車場として
の利用を想定する。
内
容
・新水族博物館の主要駐車場以外の駐車
場(第 2 駐車場)との間に野球グラウ
ンドがあるため、土地利用が分断され、
一体的な活用に難がある。また、利用
△
者から見て動線がわかりにくくなる。
・野球グラウンド横を通る際の入館者へ
の風雪や日差し対策について、実現性
も含めた検討が必要となる。
・駐車場からのアプローチが一定方向
となるため利用者から見てわかり
やすい。また、敷地内のため、風雪
や日差し対策も行える。
・施設本体と主要駐車場を一体として
考えた場合、C’案よりも一体的な
土地利用が可能となる。
・新水族博物館の正面デザインを駐車
場から遮るものなく見せることが
できるなど、入館への期待感を高め
ることができる。
○
敷地計画の
自由度
・上記と同様に野球グラウンドがあるた
め、施設本体と駐車場や公園との一体
性を出すことは建築計画論上、困難で
ある。
△
・C’案よりも、新水族博物館と駐車
場に加えて公園等を整備するなど、
様々な計画が想定でき、計画の自由
度が高い。
○
敷地からの
眺望
・海側に遮蔽物がないため、海への眺望
が開けている。
・海抜は 16~17m。
○
・海側に事業所等があるが、1 階相当
部分への機械設備等の配置などで 2
階から展示空間とする対応により、
海への眺望を開くことが可能。
・海抜は 13m。
△
・A案とC案の評価で記載のとおり、都
市空間設計から見た場合、屋台会館や
国道 8 号から北上する道路等からの
距離がA案よりも遠いC案にあって、 △
かつ、野球グラウンドを挟むことによ
り、周辺施設との関係性が弱められて
しまう。
・A案とC案の評価で記載のとおり、
都市空間設計から見た場合、屋台会
館や国道 8 号から北上する道路等か
らの距離がA案よりも遠いが、公園
や駐車場、施設本体の一体性が保た
れることから、C’案に比べて周辺
施設との関係性も確保される。
○
駐車場からの
アプローチ
周辺施設との
関係性等
- 11 -
2
新水族博物館の建設場所(選定結果)
新水族博物館の整備効果を最大化できる立地場所を精査した結果、直江津中等教育学校の野球グラウン
ドと現水族博物館敷地をメインの建設場所にするとともに、自動車学校を移設し、その跡地に臨時駐車場
と広場、野球グラウンドを整備する計画といたしました(図表⑤)。
図表⑤
新水族博物館の建設場所(敷地計画案)
新水族博物館の主要な整備敷地として、直江津中等教育学校のグラウンドと現水族博物館敷地を選定す
る方針ではありますが、実現に向けては、民有地の活用が不可欠であることから、地権者や現在の利用者
との事前調整が必要となります。
なお、現在においても水族博物館周辺では夏季のピーク時に交通渋滞が発生していることから、整備に
当たっては、パーク&バスライドによる新水族博物館へのシャトルバスの運行をはじめ、公共交通機関の
利用促進などによる交通分散の方法を検討してまいります。
また、新水族博物館と周辺施設との関係性等を強固なものとする観点から、新水族博物館及び駐車場、
屋台会館、さらには海岸側などを含めた周辺地域の一体的な整備による当該エリア全体の魅力度向上が期
待できるとの指摘があります。しかし、当該エリアには民有地もあり、用地確保や整備にかかる財源など、
市の財政状況を勘案すると行政が主体的に取り組むことは、現状では極めて困難であると考えられます。
- 12 -
Ⅴ 展 示 内 容 ●○●○○
1 基本的な考え方
新水族博物館の展示内容や演出手法については、基本コンセプト「五感で学ぶ 日本海」に基づき、入館
者の視点(満足度)や費用対効果を十分に考慮します。
2 展 示 構 成
基本コンセプト「五感で学ぶ 日本海」に基づき、次のとおり例示します。
■シンボル水槽
■上越の淡水
■上越の海の四季
■上越の海の水深帯
春
夏
冬
秋
視 聴 触 味 嗅
★ ★
視 聴 触 味 嗅
★ ★ ★
○趣旨・特徴
・日本海をテーマとした、圧
倒的な迫力のある大水槽と
する。
○趣旨・特徴
・山に降り積もった雪が溶け、
小川・渓流から大きな川への
成長過程をそこに生きる多様
な生態と合わせ展示する。
○展示生物の例
・回遊性魚類:ブリ、カツオ等
・群遊性魚類:マイワシ等
・中層遊泳性魚類:クロダイ、
タチウオ、マゴフグ等
・岩礁性魚類:メバル、
キジハタ等
・低生性魚類:ホシザメ等
○展示生物の例
・上流(源流・滝・渓流)
:スナ
ヤツメ、イワナ、ヤマメ
・中流:ウグイ、アユ、トウヨ
シノボリ
・下流:コイ、ギンブナ、ウグ
イ、ナマズ、シロウオ、ボラ
・小川・沼池:ヤリタナゴ、モ
ツゴ、タモロコ、メダカ
■タッチプール
■ペンギンプール
視 聴 触 味 嗅
★ ★ ★
★
○趣旨・特徴
・子どもたちが、考え、発見
する面白さを体験できる参
加体験型展示とする。
・日本海の岩場の磯を模した
プールに魚を泳がせ、直接
生物に触れるようにする。
○展示生物
・メジナ、ナベカ、アゴハゼ、
ドロメ
・イソギンチャク、ヤドカリ、
ヒトデ、ウニ、ナマコ
視
聴
★
★
触
味
嗅
○趣旨・特徴
・冬の強風と荒波が打ち
寄せる状態や夏の穏や
かな海なども再現する。
○展示生物の例
・キアンコウ、マダイ、
シロギス、ノロゲンゲ、
アカカマス
視 聴 触 味 嗅
★ ★
○趣旨・特徴
・日本海の魚類相は、水深帯
と魚類分布の関係から「お
か場」
「たら場」
「深海」等
に区分可能であり、水深の
違いを一体的に見せる。
○展示生物の例
・浮 魚:サヨリ、シイラ等
・おか場:ガンギエイ等
・たら場:スケトウダラ等
・深海(日本海固有水):
カジカ類等
■イルカプール
視 聴 触 味 嗅
★ ★ ★
○趣旨・特徴
・マゼランペンギンの生息地の環境を再
現し、観覧者もその環境にいるような
見せ方とする。
・餌やりや、ふれあえる場所を設ける。
産卵や子育ての様子を見ることができ
る裏側の観覧通路を設ける。
・飼育下繁殖の意義・必要性やその成果
(人工繁殖、飼育、血統管理などの技
術・研究の紹介)を伝える。
・ペンギンと一緒にアザラシも泳ぐ。
○展示生物
・マゼランペンギン、ゴマフアザラシ
- 13 -
視 聴 触 味 嗅
★ ★ ★
○趣旨・特徴
・イルカを取り巻く環境に配慮するとともに、保護
増殖に取り組む。
・日本海を借景として、イルカの身体能力・知的能
力を紹介する。
・通年飼育を想定し、体調管理等の態勢・設備を整
える。
○展示生物
・ハンドウイルカ、カマイルカなど
3 演
出
手
法
最新技術の活用などによりリアルとバーチャルを複合させ、入館者の知的好奇心に応えるという趣
旨から、次のとおり例示します。
スマートフォンを活用した解説やA
R(拡張現実)による演出
映像技術により、一つの水槽で朝昼夕
夜や春夏秋冬などの時間的移ろいを
演出
水中カメラで生物の表面や餌を
食べる様子を見せる仕掛け
4 体験プログラム
入館者の知的好奇心に応え、また、市内各地へ整備効果を広げるという趣旨から、次のとおり例示
します。なお、このようなプログラムの提供には、各種団体等との連携が不可欠です。
●海の体験
~ 上越・日本海ツアー ~
・30 人程度の参加を想定したプログラム。
・浜辺に下りて、色々な体験をする。
・海や体験プログラムに関連した物産、土産物の展示販売も行う。
●山・川の体験
~ 上越・里山ツアー ~
・15 人程度の参加を想定したプログラム。
・上越地域の各水系(河川、沼、田んぼ等)での生態系の観察や自然体
験をする。
・水族博物館が生態系・自然観察のビジターセンターの役割を担う。
●魚と海のアート体験 ~ 水族博物館は中も外も魚でいっぱい ~
・現水族博物館では、市民や県内外の人たちが作成した約 5,000 点以上
の陶板レリーフにより、外壁の化粧を行ってきている。
・新水族博物館でも、この伝統を受け継ぎ、市民が「アート」に親しめ
る場を提供する。
●水族博物館まるごと体験
~ バックヤードツアー ~
・15~30 人程度のオプションツアー。
・飼育現場や飼育設備など水族博物館の裏側や成り立たせている仕組
み、研究活動を見学・体験する。
- 14 -
Ⅵ 施 設 内 容 ●○●○○
1 基本的な考え方
新水族博物館の施設内容については、基本コンセプト「五感で学ぶ 日本海」に基づき、また、誰もが気
軽に安心して入館できる仕掛け・空間づくりを行います。さらに、上越市への愛着と創造性を育むととも
に、賑わいづくりの拠点となる機能を設置します。
2 付 帯 設 備
上記の基本的な考え方を踏まえ、付帯設備について、次のとおり例示します。
■バックヤード体験
視
聴
触
味
★ ★ ★
■研究センター
嗅
★
○趣旨・特徴
・飼育係員のガイドにより、水族館の裏側を
一緒に見てまわることができるエリア。
・餌の調理や餌やり、飼育・繁殖技術など、
飼育作業を体験できるようにする。
・飼育(成長)過程に共感できる仕掛けづく
りも行う。
■アクアリウム・サロン
視
聴
触
味
嗅
★ ★
○趣旨・特徴
・水槽を前に、のんびりと過ごせるコーナー
を設置する。
・ゆったりと泳ぐ魚を見ることができるように
する。
・館外から展示の一部を見ることができるよ
うにするなど、日常的な入館を促す仕掛け
をつくる。
・無料スペースとすることも検討する。
視 聴 触 味 嗅
★ ★ ★
★
○趣旨・特徴
・飼育や繁殖技術及び種の保全などを研究
する場所を設置する。
・入館者は、研究者に直接、質問できるよう
にする。
■キッズコーナー
視 聴 触 味 嗅
★ ★ ★
○趣旨・特徴
・釣りや調理の模擬体験を通じて、楽しく学ぶ
ことができる子供向けコーナー。
・魚や海に関する絵本や知育玩具なども置い
て、生態系や食物連鎖を遊びながら学ぶ。
・自由に触れるレプリカを置く。
・ヘッドフォン解説で楽しみながら学ぶ。
- 15 -
■アクア・フューチャーセンター
視
聴
触
味
嗅
★ ★
○趣旨・特徴
・壁面に展示水槽があり、誰もが気軽に参加
でき、自由に語り合える空間。
・ファシリテーター(議事進行者)が立ち合っ
てコミュニケーションをサポートする。
■夕日テラス
視 聴 触 味 嗅
★ ★ ★ ★ ★
○趣旨・特徴
・上越の海・日本海を一望できるテラスを設
置する。
・沈む夕日を眺めることができ、記念写真撮
影ポイントとする。
・上越地域の食や海鮮を中心としたメニュー
を提供する食事スペースもある。
■ミュージアム・ショップ
■体験フィールド案内スペース
視 聴 触 味 嗅
★
★ ★
○趣旨・特徴
・水族博物館でしか手に入らないオリジナルグ
ッズや市内の特産品等も販売する。
○趣旨・特徴
・海や山、川で実際に体験できるプログラム、
市内の観光スポットやイベント等も紹介する。
・水族博物館への入館者をまちなか、各地域
へ回遊していただく仕掛けづくり。
・各種施設との連携拠点とする。
■風雨・風雪、日差し対策を施した設備
○趣旨・特徴
・駐車場からのアプローチや外部展示にお
いて、梅雨や降雪の時期でも濡れることな
く、また、強い日差しを受けることなく移動・
観覧できる設備機能を施す。
3 施 設 規 模
(1)基本的な考え方
・施設規模は、延床面積 約 8,500 ㎡、水量約 3,000tを基本とします。
・階構成については、展示空間は2層を基本とし、入館者の上下移動に配慮した動線とします。
・管理部門は、通路幅を確保するなど、バックヤード体験などの充実を想定します。
(2)各諸室の規模設定
内
容
規模割合
A 管
理
部
門
事務スペース
事務室、応接室、会議室、更衣室、休憩室、ボランティア控室、宿
直室、トイレ等
バックヤード
飼育室、調餌室、冷凍室、飼育設備機械室、空調機械室、電気室、
ボイラー室、水槽ポンプ室、中央監視室、排水処理設備室等
B 展
示
部
門
展示水槽、供用部(屋外プール)等
C 教
育
部
門
研究センター、キッズコーナー等
5%
レストラン、グッズショップ等
8%
D サービス部門
- 16 -
47%
40%
Ⅶ 整備事業費
1
●○●○○
施設整備費
(1)施設整備費の試算額
平成 18 年度に策定された基本計画(案)の試算額を準用します。なお、この試算額は、新水族博物館の
規模を 8,500 ㎡と設定し、既設水族館の実績やその他の建物用途の標準的な工事実績等を参考に試算した
ものです。新水族博物館の建設工事費は約 63 億円と見込まれ、その他に解体工事費、設計監理費を含めた
施設整備費は約 67 億 4,200 万円と見込まれます。なお、消費税率 5%での試算です。
施設整備費の内訳及び試算額
費 目
設定内容
建築本体工事費
・基本計画段階では、建築・電気・機械とも仕様が未定で数
量積算を元に算出ができないため、類似施設の建築工事
費を参考に規模・建設地域・建設年度などを考慮し、工事
単価を設定し算出する。
(千円)
内訳
試算額
建築工事費
2,846,550
電気工事費
605,850
機械工事費
2,480,100
建築本体工事 計
5,932,500
外構工事費
・基本計画段階では外構工事の詳細が未定のため、類似施
設の工事費を参考に施工面積当たりの工事単価を設定
し算出する。
・C”案の建設敷地を前提に、外構施工面積を 10,000 ㎡
として想定する。
178,500
家具・什器・備品
購入費
・家具・什器・備品が設置される対象面積を設定し、類似施
設の工事費を参考に床面積当りの工事単価を設定し算
出する。
84,000
電算システム
工事費
・PC・LAN構築、情報検索タッチパネル、IT・映像シ
ステム等類似施設の工事費を参考に工事単価を設定し
算出する。
105,000
建設工事費
解体工事費
・既存水族博物館建物(約 7,000 ㎡)に対し、類似施設の
解体工事費を参考に解体面積当りの工事単価を設定し
算出する。
設計監理費
・基本・実施設計費、工事監理費を含み、類似施設の建設
工事費に対する 割合により算出する。
計
6,300,000
183,750
実施設計費
工事監理費
設計監理費 計
51,840
137,160
69,300
258,300
施設整備費(試算額)合計
6,742,050
基本設計費
※オープン時は開業準備費用と動物購入費で 100,000 千円を見込む。
(2)施設整備費の他に必要となる事業費
土質や敷地測量等の事前調査にかかる費用、また、自動車学校の移設と野球グラウンドの整備にかかる
費用も必要となり、これら敷地整備にかかる費用は、およそ 3 億円と見込まれます。さらに、消費税法の
改正により、平成 26 年 4 月 1 日から 8%、平成 27 年 10 月 1 日から 10%の税率引き上げに伴う措置が必要
となります。
- 17 -
2
整
備 財
源
新水族博物館の整備財源の主なものとして、「合併特例債」を活用します。合併特例債とは、合併した自
治体に発行が認められる地方債で、合併に関連する公共施設の建設費などの 95%に充てることができ、元利
償還金の 7 割が地方交付税によって措置されるものです。また、別途、国の補助制度を積極的に活用して
いきます。
整備財源と償還額(内訳)※消費税率 5%で試算
項目
整備(対象)事業費
合併特例債
県貸付金
元金
利子(1.95%)
償還額
年平均償還額
金額(千円)
6,506,460
6,181,100
325,300
6,506,400
1,056,304
7,562,704
504,180
備
考
建物整備費+実施設計費+工事監理費
整備事業費×95%
整備事業費×5%
元金
元金+利子(交付税措置後 2,496,521 千円)
15 年間平均償還額(交付税措置後 166,434 千円)
・利率、償還期間は平成 24 年度財政計画改訂時に想定した数値である。
・合併特例債を 15 年償還のうち 3 年据置き、県貸付金を 10 年償還のうち 2 年据置きとした場合の金額である。
・基本設計費(51,840 千円)は起債対象外であり、解体工事費(183,750 千円)は適債性が不明確であるため一般財
源等を充てる。
3
市の財政面への影響
前項 2 による上越市の財政面への影響については、次のとおりです。
○起債償還額
合併特例債と県貸付金(両資金合わせて充当率 100%)を起債した場合の元利償還の合計額は、約 75.6
億円です。ただし、地方交付税措置により、実質的には、約 25 億円となります。
○実質公債費比率(市の収入に対する負債返済の割合)
平成 28 年度に起債した場合の平成 32 年度時点での実質公債費比率見込みは、15.2%で 0.3 ポイント
程度の影響があるものと考えられます。
(参考)起債許可団体=18%
- 18 -
早期健全化基準=25% 財政再建基準=35%
Ⅷ 事 業 収 支 ●○●○○
1 経営面から見た整備条件の整理
(1)目
的
平成 18 年度に策定された基本計画(案)をベースに、平成 22 年度に策定された「新水族博物館整備に
係る庁内検討委員会 報告書」の内容を踏まえ、主に経営や事業性の観点から新水族博物館の集客の見通し
や、事業収支・損益分岐を算定します。
(2)基本条件
新水族博物館の集客の見通しや収支の推計に当たっては、平成 18 年度に策定された基本計画(案)で示
された「施設計画」「展示計画」「維持管理・運営計画」「事業費・事業収支の試算」をベースとしました。
また、平成 22 年度に策定された「新水族博物館整備に係る庁内検討委員会 報告書」で示された事項を
基本条件としました。
〈主な前提条件
〉
・開館は、北陸新幹線の開業効果を生かす観点から適切な時期とする。
・水族館本体の建設工事費は 63 億円を最大値とする。
・整備財源は、合併特例債を活用する。
・管理・運営ではランニングコストを回収する。
・整備予定地は現水族博物館の周辺地域と仮定。
・水族館単館用途で新たな施設を建設。施設面積は延べ床 8,500 ㎡。
※庁内検討で想定した延床面積 7,630 ㎡でも試算
2 新水族博物館を整備した場合の集客見通し
(1)集客見通しの考え方について
集客見通しの推計方法は、統計学的手法(回帰分析)による新水族博物館の集客予測モデルを作成し、
要因の組み合わせを変えた複数パターンの回帰分析による 20 年間の比較検討を行うとともに、特に開館初
年度、開館 2 年目、再投資の可能性のある開館 5 年目の集客数にも注視しました。
(2)集客見通しの予測方法
回帰分析の要因を「新幹線開業効果」
「延べ床面積」
「単位面積当たりの投資額」
「人口ポテンシャル」
「市
町村別の観光客数」
「新幹線開業効果による観光客数の増加」とし、各要因を単体で用いた場合や組み合わ
せた場合の回帰分析を行った上で、最も有効性、信頼性のおける要因を使用し、算出することとしました。
(3)集客予測モデルの選定
入館者の減衰率については、現在の上越市立水族博物館と 1980 年以降に開業した全国の主要水族館の経
年推移実績の平均を比較したところ、全国平均の減衰率の方が高いことが判明しています(図表⑧)
。しか
し、今回の集客見込みについては、より厳しく捉える観点から、全国平均の減衰率により推計することと
し、ケース 2-2 を集客予測モデルとして採用しました。
- 19 -
図表⑥
集客予測モデルのケース・パターン
集客予測
モデル
新幹線効果
の反映方法
設定要因
ケース1-1
新幹線ダミー
織り込み済み
全国の水族館で大小規模を取り混ぜて
延べ床面積
の平均値。減衰率も全国平均を利用。
単位面積当たりの
投資額
人口ポテンシャル
ケース1-2
ケース2算定
10.5%増加
100万人以下の地方水族館の実績値。
延べ床面積
減衰率は全国平均を利用。
単位面積当たりの
投資額
人口ポテンシャル
予測方法
1
2
3
4
新幹線影響ダミー
ケース2-1
「観光客数」を要素へ加える(新幹線効
観光客数50%増加で
果)。減衰率は現上越市水族博物館の 延べ床面積
来館者数10.5%増加
実績を利用。
人口ポテンシャル
観光客数(市町村別)
ケース2-2
観光客数50%増加で 「観光客数」を要素へ加える(新幹線効
延べ床面積
来館者数10.5%増加 果)。減衰率は全国平均を利用。
人口ポテンシャル
観光客数(市町村別)
ケース3
ケース2算定
10.5%増加
ケース4
-
単位面積当たりの投資額:単回帰分析
ケース5
-
人口ポテンシャル:単回帰分析
ケース6
ケース2算定
10.5%増加
分類
延べ床面積:単回帰分析
延べ床面積
単位面積当たりの
投資額
人口ポテンシャル
観光客数(市町村別)
観光客数:単回帰分析
図表⑦
各検討ケースの集客予測比較
集客予測・初年度
8,500㎡
7,630㎡
集客予測・2年目
8,500㎡
7,630㎡
集客予測・5年目
8,500㎡
7,630㎡
ケース1-1
686,764人/年
644,201人/年
554,800人/年
520,416人/年
418,439人/年
392,506人/年
ケース1-2
718,177人/年
677,485人/年
580,177人/年
547,304人/年
437,579人/年
412,786人/年
ケース2-1
581,284人/年
575,666人/年
487,497人/年
482,786人/年
386,327人/年
382,594人/年
ケース2-2
6 0 3 ,4 5 2 人/ 年 5 9 7 ,6 2 0 人/ 年 4 8 7 ,4 9 7 人/ 年 4 8 2 ,7 8 6 人/ 年 3 6 7 ,6 7 8 人/ 年 3 6 4 ,1 2 5 人/ 年
ケース3
572,921人/年
558,422人/年
462,833人/年
451,120人/年
349,076人/年
340,242人/年
ケース4
-
-
-
-
-
-
ケース5
-
-
-
-
-
-
ケース6
1,168,613人/年 1,168,613人/年
図表⑧
年数
全国
平均
上越市水族
博物館実績
ケース1-1
944,061人/年
944,061人/年
712,026人/年
712,026人/年
各検討ケースの経年(20 年)推計人数
ケース1-2
ケース2-1
ケース2-2
ケース3
ケース6
延床
延床
延床
延床
延床
延床
延床
延床
延床
延床
延床
延床
8,500㎡ 7,630㎡ 8,500㎡ 7,630㎡ 8,500㎡ 7,630㎡ 8,500㎡ 7,630㎡ 8,500㎡ 7,630㎡ 8,500㎡ 7,630㎡
100.0% 686,764 644,201 718,177 677,485 581,284 575,666 603,452 597,620 572,921 558,422 1,168,613 1,168,613
83.9% 554,800 520,416 580,177 547,304 487,497 482,786 487,497 482,786 462,833 451,120 944,061 944,061
1年目
2年目
100.0%
80.8%
3年目
4年目
5年目
71.3%
65.3%
60.9%
75.7%
70.3%
66.5%
489,697
448,194
418,439
459,348
420,417
392,506
512,096
468,694
437,579
483,081
442,138
412,786
439,816
408,842
386,327
435,566
404,891
382,594
430,292
393,823
367,678
426,134
390,017
364,125
408,522
373,898
349,076
398,183
364,436
340,242
833,280
762,657
712,026
833,280
762,657
712,026
6年目
7年目
57.6%
54.9%
63.5%
61.0%
395,600
377,266
371,083
353,885
413,695
394,522
390,255
372,168
368,855
354,700
365,290
351,272
347,610
331,500
344,251
328,296
330,023
314,728
321,671
306,763
673,163
641,965
673,163
641,965
8年目
52.7%
59.0%
362,072
339,632
378,633
357,180
342,878
339,564
318,149
315,074
302,053
294,409
616,110
616,110
9年目
50.8%
57.2%
349,179
327,538
365,150
344,461
332,778
329,562
306,820
303,855
291,297
283,925
594,171
594,171
10年目
49.2%
55.7%
338,035
317,085
353,497
333,468
323,995
320,865
297,028
294,157
282,000
274,864
575,208
575,208
11年目
47.8%
54.4%
328,261
307,917
343,276
323,826
316,251
313,195
288,439
285,652
273,846
266,916
558,576
558,576
12年目
13年目
46.5%
45.4%
53.2%
52.1%
319,585
311,806
299,778
292,482
334,203
326,068
315,267
307,593
309,342
303,120
306,353
300,191
280,816
273,981
278,102
271,333
266,608
260,119
259,861
253,536
543,813
530,577
543,813
530,577
14年目
15年目
16年目
44.4%
43.4%
42.6%
51.2%
50.3%
49.5%
304,773
298,368
292,499
285,885
279,877
274,371
318,714
312,016
305,878
300,655
294,337
288,547
297,471
292,306
287,557
294,596
289,482
284,778
267,801
262,173
257,016
265,213
259,640
254,532
254,252
248,909
244,012
247,818
242,610
237,837
518,609
507,711
497,723
518,609
507,711
497,723
17年目
41.8%
48.7%
287,090
269,298
300,222
283,212
283,165
280,429
252,263
249,826
239,501
233,440
488,520
488,520
18年目
19年目
41.1%
40.4%
48.0%
47.4%
282,083
277,427
264,601
260,233
294,986
290,117
278,272
273,678
279,086
275,282
276,389
272,622
247,863
243,772
245,468
241,416
235,323
231,439
229,368
225,582
479,999
472,076
479,999
472,076
46.7%
273,081
369,751
256,156
346,835
285,571
386,664
269,391
364,755
271,721
347,114
269,095
343,759
239,953
324,896
237,634
321,757
227,813
308,459
222,048
300,653
464,680
629,177
464,680
629,177
20年目
39.8%
20年間平均
- 20 -
(4)集客見通しにおける予測モデルの許容範囲
民間事業者が、水族館経営の側面から集客見通しを検討する場合、最大(上位)
・標準(中位)
・最小(下
位)の 3 種類を想定するという実態を踏まえ、ケース 2-2 のモデルを標準(中位)として、集客数の最大
値と最小値を推計しました。なお、最大値・最小値は、推計モデル式の確率分布より算出した数値を採用
しましたが、実際の経営に当たっては、最大値を目指した経営に努めることとします。
(5)集客見通しの検証
集客予測モデル式の定性的な面からの検証を行うため、別途、ネットリサーチアンケート調査(平成 25
年1月、有識者検討委員会報告書 参照)による潜在需要予測結果との比較を行い、集客見通しの妥当性を
確認しました。
(6)再投資について
平成 18 年度に策定された基本計画(案)の 5 年ごとに 3 億円ずつ再投資する考え方をベースに集客予測
を行いました。
再投資による入館者数の回復にかかる目標を、2 年前の集客数までの復帰に設定しています。回復率は再
投資の時期や金額、内容等によって異なりますが、民間事業者が再投資を行う場合は、最低でも前年度比
10%の回復率を目指す必要があるという指摘に基づき、平成 18 年度に策定された基本計画(案)で想定し
た回復率と前年度比 10%増の回復の二つのパターンによるシミュレーションを行いました。
(7)集客予測数等の算定結果
ア 再投資前の集客予測数の算定結果
ケース 2-2 による分析の結果、集客予測数(標準値)として、初年度約 60 万人、2 年目約 49 万人、5
年目約 37 万人、20 年間の平均で約 32 万人の見通しとなりました。
イ 再投資による集客数の回復を見込んだ経年予測の結果
5 年毎に 3 億円ずつ再投資を行った場合の集客数の回復効果を、下記の二つの再投資パターンで算定し
ました。再投資を行うことで入館者数の落ち込みが抑制され、初年度約 60 万人、2 年目約 49 万人、5 年
目約 37 万人、20 年間の平均で約 37 万人となっています。
図表⑨
再投資後の集客予測数(標準値)
年度
初年度
2年目
5年目
20年間平均
再投資後の
集客予測数
603,452人/年
487,497人/年
367,678人/年
369,568人/年
※予測分析に使用した要因
・「延べ床面積 8,500 ㎡」
「人口ポテンシャル」
「新幹線開業効果による観光客数の増加」
・減衰率は 1980 年以降に開業した全国の主要水族館の経年推移実績の平均を利用
・再投資パターン 2(再投資により前年度の 10%増)
(8) ま と め
推計した集客数は、効果的な再投資により集客数の回復効果を前年度の 10%増と見込んだ場合、標準パ
ターンで開館初年度約 60 万人、2 年目約 49 万人、5 年目約 37 万人、20 年間の平均で約 37 万人と予測しま
した(図表⑨)
。
- 21 -
3
事業収支・損益分岐
(1)基本的な考え方
集客予測値をもとに、平成 18 年度基本計画(案)をベースにした収支シミュレーションを行いました。
(2)収入科目
入館料金については、以下のように設定しました。なお、現在の上越市立水族博物館の入館料及び現基
本計画(案)から設定した入館料では、事業が成立しないことを確認しています。
○イルカパフォーマンス有り料金
:一般(高校生以上)1,800 円、小中学生 900 円、幼児(3 歳以上・就学前)500 円
○イルカパフォーマンス無し料金
:一般(高校生以上)1,600 円、小中学生 800 円、幼児(3 歳以上・就学前)400 円
(3)支出科目・金額について
支出科目(図表)のうち人件費は、全国の主要水族館の平均的な人件費から算出し、20 年間定額と設定
しました。
(4)イルカパフォーマンスの開催期間について
次の3つのパターンを想定し、事業収支を検証しました。
イルカパフォーマンスの開催期間のパターン
① 夏季限定(35 日)で開催する場合
② 冬季を除く 8 か月間(244 日)開催する場合
③ 通年で開催する場合
(5)イルカパフォーマンスの開催期間別の収支シミュレーション
①イルカパフォーマンスを夏季限定(35 日)で開催する場合の収支シミュレーション
ア
収支シミュレーションのための平均入館料の設定
入館者一人当たりの平均入館料を 1,269 円と設定しました。
イ
収支検討・損益分岐
収支結果から、
留保金額は累計で 10 年目に 1,012,792 千円、15 年目に 1,008,338 千円、20 年目に 947,645
千円、また、10 年目以降は、単年度収支でマイナスが出ることとなりました。
②イルカパフォーマンスを冬季を除く 8 か月間(244 日)開催する場合の収支シミュレーション
ア
収支シミュレーションのための平均入館料と設定しました。
入館者一人当たりの平均入館料を 1,373 円と設定し、収支シミュレーションを行いました。
イ
収支検討・損益分岐
収支結果から、留保金額は累計で 10 年目に 992,696 千円、15 年目に 939,218 千円、20 年目に 825,210
千円、また、9 年目以降は、単年度収支でマイナスが出ることとなりました。
- 22 -
③イルカパフォーマンスを通年開催する場合の収支シミュレーション
ア
収支シミュレーションのための平均入館料と設定しました。
入館者一人当たりの平均入館料を 1,393 円と設定し、収支シミュレーションを行いました。
イ
収支検討・損益分岐
収支結果から、
留保金額は累計で 10 年目に 1,071,485 千円、15 年目に 1,050,219 千円、20 年目に 967,633
千円、また、10 年目以降に単年度収支でマイナスが出ることとなりました。
(6)
ま と
め
イルカパフォーマンスを夏季限定で開催する場合の収支は、再投資費用の確保(10 年目に留保金額は
1,012,792 千円)も含めて、十分に事業が成立する結果となりました。 さらに、8 か月間開催した場合で
も 10 年目の留保金額が 992,696 千円、通年開催の場合では 10 年目の留保金額が最も高い 1,071,485 千円
となり、いずれも再投資費用の確保を考慮しても十分に事業が成立する見通しとなりました。
図表⑩
支出科目
(単位:千円)
区分
人件費
夏季限定でイルカパフォーマンス実施
(平成 18 年度に策定された基本計画(案))
138,816 社員 24 人、契約社員 8 人
動物購入費
6,000
通年でイルカパフォーマンス実施
160,152 社員 28 人、契約社員 8 人
6,000
飼料費
16,000
医療費
3,000
3,300 10%アップ
100,000
130,000 30%アップ
電気・水道・燃料費
維持工事費
保険料
23,000 7,000 千円アップ
14,000
14,000
1,300
広報宣伝費
15,000
行・催事費
30,000
教育・普及費
1,430 10%アップ
15,000
7,000 現イルカショー取りやめ分
5,000
5,000
施設維持費
90,000
99,000 10%アップ
諸税公課負担
40,000
40,000
合計
459,116
503,882
- 23 -
Ⅸ 経済波及効果 ●○●○○
1
基本的な考え方
新水族博物館の建設に伴う経済波及効果について、以下の直接効果と間接効果の合計額と捉えることと
しました。
①直接効果:新水族博物館建設に係る直接投資額(63 億円)と入館者消費支出額の合計額
なお、入館者消費支出額については、施設と住居の往復交通費、飲食、お土産代などを主
な効果と捉える。
②間接効果:1 次・2 次の 2 段階で効果を捉えることとし、1 次効果として、建設、飲食・物販需要の増
加における関連産業の生産増効果を、2 次効果として需要増加における雇用者所得の増加が
消費を通じて生産を誘発する効果を捉える。
2
算定方法
直接効果の算定に当たっては、上越市単独の産業連関表は存在しないため、新潟県の産業連関表の業種
別の就業人口を上越市のものに置き換えた資料等を代替として用いました。
精査したところ、新潟県の産業連関表の数値をそのまま使用することに比べれば、上越市の実態に近い
効果を算定できるため、これを基礎資料として採用することとしました。
また、算定に当たっては、イルカパフォーマンスを実施(通年開催)した場合を想定しました。
3
算定結果
新水族博物館を整備した場合の市内への経済波及効果は以下のとおり 78 億 7,600 万円となりました。
63 億円の投資に対して、算定した初年度の経済波及効果は約 79 億円になると見込まれることから、イニ
シャルコストを地域経済の中で回収した上で、さらにプラスの経済効果が発揮できます。
また、入館者が減衰していく前提であっても経済波及効果が毎年継続していくことを踏まえ、投資に見
合った経済効果を創出していくために、市民の利用や上越市の観光セールスや行政のネットワークを活か
した情報発信など、水族館の活性化を図るための施策を市として積極的に行っていきます。
図表⑪
市内への初年度の経済波及効果:イルカパフォーマンス通年開催
直接効果
建設投資
入館者等の消費支出
合 計
2,900
901
3,801
間接効果
1次
経済波及
効果合計
2次
1,265
1,771
3,036
- 24 -
(単位:百万円)
720
319
1,039
4,885
2,991
7,876
雇用創出
効果(人)
137
129
266
Ⅹ 整備手法及び運営手法 ●○●○○
1
基本的な考え方
新水族博物館の整備手法については、「行政支出の軽減」
「まちを元気にすることができる事業」
「民間ノ
ウハウの有効活用」「魅力ある事業継続性の担保」「運営選定手続きの透明性・公平性」などの観点から最
適な手法を選定しました。
現在、全国にある公設水族館の運営手法として、PFI や公共での直接運営が採用されていますが、指定管
理者制度による維持管理運営も増えてきています。魅力ある水族館事業の継続には、民間ノウハウを有効
に活用することが不可欠であることから、民間事業者が運営する方式をベースに以下の①から⑥の 6 ケー
ス(図表⑫)を中心にメリットとデメリットを整理しました。
図表⑫
2
選
定 結
整備手法の比較検討
果
(1)整備・運営手法について
検討した 6 ケースの整備手法では、いずれも利点とともに課題もありますが、②の設計・施工・運営計
画を一体的に一括発注する方式も視野に、行政の主体性を確保しつつ、⑤⑥のような運営事業者が早期か
ら施設計画に関われる仕組みを取り込んだ新たな整備手法が必要と考えました。
そこで、設計前段階から指定管理予定者の募集を行い、早期に運営者を特定し協定を結ぶ手法を考案し
ました(図表⑬)。この手法では、指定管理予定者は、運営事業者の立場から施設の設計・施工内容に対す
る助言・提案を継続して行い、より魅力的な新水族博物館の実現に寄与していきます。また、市との協働
により早期から地域との連携や運営サポート人材の育成、市域への波及効果についても検討し、その仕組
みづくりを行っていくこととなります。
- 25 -
図表⑬
整備・運営方法のイメージ
(2)開館後の運営や収支の取り扱いの留意事項
長期間の指定管理についてはメリットとデメリットがあるので、市としての判断が必要になりますが、
生物の飼育が必要な水族館の特性からすれば、短期間であるよりも長期間の指定管理の方が民間事業者は
参入しやすくなると考えられます。以下は、そのような視点から留意事項をまとめたものです。
①運営事業者との当初契約内容は開館後 10〜15 年間を基本に検討
下記の 3 点を基本に運営期間については、市として最適と考えられる期間を選定します。
(A)契約期間を 10 年間とし 11 年目以降はサービス購入型で再公募。
(B)契約期間は 15〜20 年間として 11 年目以降は契約内容を見直し。
(C)契約期間は 15〜20 年間とし運営事業者の経営努力で期間内は独立採算とする。
②収入から充てる再投資費用分は行政の歳入として設定
③運営事業者のインセンティブの確保
④11 年目以降は改修と運営を合わせた契約を視野に検討
3
整備・運営手法の検証
B)における市と指
前項(1)の整備・運営手法を実現するためには、設計・施工への検討指示の期間(図の○
定管理予定者との法的関係性や指定管理予定者を募集する際の条件等を、精査していく必要があります。
これを踏まえ整備・運営手法について、次の3つの案を想定し、各案の実現性を検証しました。
整備・運営手法の流れ
計画
設計
設計業者
施工業者
指定管理
予 定 者
施工
選
定
A
選
定
選
定
上越市と指定管理予定者による検討指示
B
上 越 市
(法的関係性)
基本計画
- 26 -
運営
新
水
族
手 博
続 物
き 館
完
成
C
新施設の運営
整備・運営手法の案(検討パターン)
① 新施設指定管理方式
Aにおいて、新施設の指定管理者を選定するもの。○
Bの期間は、新施設にかかる指定管理業務の一環
図の○
として設計・施工への検討指示を行う。新施設の管理運営には、施設完成後に携わることになる。
② アドバイザリー契約方式
Aにおいて、”新施設の指定管理者”を条件としてアドバイザリー業務の受託者を選定するもの。○
Bの
図の○
Cではアドバイザ
期間は、上越市とのアドバイザリー契約のもと新施設の設計・施工への検討指示を行い、○
リー契約の受託実績と選定条件を理由として、当該事業者を新施設の指定管理者として随意指定する。
③ 現施設指定管理方式
Bの期間は、指定管理業務の一環として、新施設
図のAにおいて、現施設の指定管理者を選定するもの。○
○
C)、引き続き指定管理者として運営に当たる。
の設計・施工への検討指示を行い、完成後(○
4
各手法(案)の問題点と実現可能性
案①:新施設指定管理方式
Bの期間は、新施設にかかる指定管
Aにおいて、新施設の指定管理者を選定するものです。○
前頁図の○
理業務の一環として設計・施工への検討指示を行います。新施設の管理運営には、完成後に携わることに
なります。
● 問題点・実現可能性
この方式においては、指定管理者制度導入時点において対象施設が存在しないため、施設内容を明示
できず、要件である設置管理条例と指定管理者に関する条例の制定が不可能です。したがって、この方
式の実現可能性はありません。
案②:アドバイザリー契約方式
Aにおいて、
前頁図の○
「新施設の指定管理を行うこと」を条件としてアドバイザリー業務の受託者を選
Bの期間は、上越市とのアドバイザリー契約のもと新施設の設計・施工への検討指示を
定するものです。○
Cではアドバイザリー契約の受託実績と選定条件を理由として、当該事業者を新施設の指定管理
行い、○
者として随意指定するものです。
● 問題点・実現可能性
この方式では、まず「アドバイザリー契約をもって、将来の指定管理者とすることを確約することが
可能か」という点が問題になります。アドバイザリー契約という「設計の検討指示」を目的とした契約
において、将来の新施設の指定管理者になることまでを確約する条項を盛り込むことは、通常困難と考
えられます。したがって、この方式の実現可能性は低いものと考えます。
案③:現施設指定管理方式
Aにおいて、現施設の指定管理者を選定し、○
Bの期間は、指定管理業務の一環(もしくは、
前頁図の○
C)、引き続き指定管理
別契約)として、新水族館の設計・施工への検討指示を行うものです。完成後(○
者として運営に当たります。
- 27 -
● 問題点・実現可能性
この方式においても、いくつかの懸案事項は想定されますが、指定管理者制度等にかかる専門家への
照会からは、法令上の問題はなく、他の案に比べて実現可能性は高いとの見解を得ています。ただし、
現施設の指定管理にかかる業務の範囲(全てを指定管理業務とするか、新施設の完成に向けて徐々に拡
大させるか)や設計等の検討指示の取扱い(委託業務とするか、指定管理業務に含めるか)などについ
て、精査していくことが必要となります。
5
整備・運営手法の検証結果
上記のとおり、本当に使い勝手の良い施設づくりをするため、「現施設の指定管理者を選定し、指定管理
業務の一環(もしくは、別契約)として新水族博物館の設計・施工への検討指示を行い、完成後、引き続き
指定管理者として運営に当たる」方式を整備・運営手法に取り込むことを想定します。
これにより、民間ノウハウの活用とともに市民の視点に立った公共・公益性の担保、質の高い事業やサ
ービスの提供ができるものと考えます。
Ⅻ 整備スケジュール ●○●○○
新水族博物館の整備スケジュールを以下に示します。
年
事業内容
度
25
整
28
営
・各種調査
・敷地整備
・各種調査
・実施設計
27
運
・基本計画策定
・基本設計
26
備
・指定管理者の選定
・設計への検討指示
・敷地整備
・現施設の管理運営
・建設工事
・建設工事への検討指示
・建設工事
・現施設の管理運営
・解体工事
・建設工事への検討指示
・開館準備
・開
館
・開館準備
29
・新施設の管理運営
- 28 -
上越市新水族博物館 基本計画〔概要版〕
平成26年1月
発 行
新潟県上越市
編 集 上越市企画政策部企画政策課
〒943-8601 新潟県上越市木田1丁目 1 番 3 号
TEL:(025)526-5111
FAX:(025)526-6111
URL http://www.city.joetsu.niigata.jp/
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