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先輩からのメッセージ

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先輩からのメッセージ
 皆さん、はじめまして。
私は現在、医政局経済課というところで、医
薬品の薬価や流通、安定供給に関わる仕事をし
ています。経済課は業界・企業の窓口という役
割もあるため、日々企業の方々と面会し、意見
を聞き、省内の保険局との調整などを行ってい
ます。
皆さんは国家公務員、厚生労働省にどのよう
な印象をお持ちでしょうか。暗いところで一人
黙々とパソコンを叩いている・・・というわ
けではなく、実際は色んな人との関わりがあり
ます。
私のこれまでの経験から申しますと、1 年目
は医薬・生活衛生局審査管理課で医薬品の審
査・承認に係る仕事をしていましたが、患者さ
ん、カウンターパートである医薬品医療機器総
合機構の方々等との関わりがありました。次の
異動先の内閣府食品安全委員会事務局では、食
品に残留する農薬の評価を行っていましたが、
外部の人々との関わりはほとんどありませんで
色んな人と関わることは、悩みになることもあり
関西人の割には人との関わりが得意な方ではない
した。一方で、内部では、多くの専門委員の先
ます。そこにはルールが存在し、またすべての人の
ですが、こんなに様々な人と関わり、かつ責任感と
生方(大学、研究所の先生方)と関わりがあり、
言い分を聞くことができないこともあるため、時に
やりがいがある仕事は少ないと思います。医薬品、
各分野の第一線の先生方と話ができ貴重な経験
は厳しい態度で接することにもなりますが、最終的
医療機器、食品行政に興味がある人はもちろん、様々
でした。また農林水産省、検疫所、地方公共団
には良い方向に向かうように調整することがこの仕
な人と関わりたいという皆さん、お待ちしています。
体など、厚生労働省以外の多くの公務員の方々
事の大切な点だと思っています(ルール自体を変え
と出会えたことも良い刺激となりました。
ることもできるかもしれません)。
様々な人との関わり
医政局経済課 薬価相談専門官
南 亮介
先輩からのメッセージ
保険局医療課 課長補佐
花谷 忠昭
想像してみよう
ルの大きい様々な仕事に携われることにあり
ます。私の話をしますと、現在の職場では医
薬品の価格や薬局などの診療報酬を考える
仕事をしています。例えば優れた新薬であれ
ば、その革新性や有用性を踏まえて積極的
な評価を行います。その一方で、高すぎる薬
価は患者さんの自己負担を増やすばかりか日
本の医療保険財政を圧迫する要因ともなりま
す。このように皆さんが行政官になった場合
に直面するほとんどの課題が二律背反の面を
有し、それに対する完璧な回答というものは
おそらくありません。制度を巡る様々な立場
が存在するからです。ここで国家公務員とし
て重要なことは、関係者それぞれの立場で想
像することです。自分や親しい人がもし患者
だったら、と想像することです。難題に取り
組む過程で、時には自分の能力や裁量を超え
ていると感じる責任を背負う場面もあります
し、理不尽な批判を受けることもあります。
このパンフレットを手にしている皆さんは
るのかについては全くと言っていいほどわか
それでもそのような経験は必ず自分を成長さ
厚生労働省の業務に興味をお持ちのことだと
りませんでした。その頃は職員に直接話を伺
せてくれます。私を含めて多くの行政官が辞
思います。あるいは既にここで働いている将
うしか手段がなかったのですが、それに加え
めずに仕事を続けていられるのは、困難を乗
来のご自身の姿を思い浮かべているのかもし
て皆さんにはこのパンフレットの体験談から
り越えて達成した成果に具体的な手応えを感
れません。当時の自分自身を振り返りますと、
ぜひ具体的なイメージを掴んでいただきた
じているからだと思います。想像力豊かな後
厚生労働省の業務について一般的な理解はで
いと思います。
輩との出会いを楽しみにしています。
きたのですが、実際の職員が一体何をしてい
国家公務員の魅力は、何といってもスケー
17
17
厚生労働省の薬系技術職員の活躍の場は、
ではなく、国際協力を通じた国外対策も必要
厚生労働省内に限らず多岐にわたります。
となってきます。そのため、厚生労働省はじ
私は、昨年まで環境省で大気汚染対策を担
め各省からの出向者が、それぞれの専門分野
当し、現在は内閣官房で感染症対策を担当し
における知識・業務経験を最大限に発揮し活
ています。新たな分野での業務は一から勉強
躍しています。薬系技術職員である私も、感
することが多く非常に大変ですが、こうした
染症治療薬、ワクチンといった分野について
毎日は新鮮であり、有意義に、そして楽しく
は、責任を持って対応できるよう日々精進し
過ごしています。
ています。
さて、このパンフレットをご覧の皆さんは、
一方で、他分野の業務への対応や他省庁職
厚生労働行政、特に薬事行政に興味があり、
員との人事交流を通して、厚生労働行政を客
今後の進路を考えていることかと思います。
観的に考えさせられることもありますので、
そのため、
「出向したらつまらないのでは?」
これまでとは違った視点、考え方を身に付け
といった疑問をお持ちの方もいるのではない
る良い機会でもあります。出向先で得た経験
でしょうか。もちろん出向先で薬事行政に直
は、今後の厚生労働行政に還元できるものと
接携わることはありませんが、薬系技術職員
感じています。
として、薬学・化学・生物学の知識を活か
薬系技術職員としての活躍の場は多岐にわ
す場面は多々あります。
たりますが、いずれも非常にやりがいのある
私の部署では、新型インフルエンザや、昨
仕事です。皆さんの今後の進路を検討する際
今話題となったエボラ出血熱、MERSとい
の参考にしていただければ幸いです。
った、国家の危機管理上問題となりうる感染
症の対策を行っています。こうした感染症に
ついては、国内発生時に備えた国内対策だけ
内閣官房新型インフルエンザ等対策室・エボラ出血熱対策室・
国際感染症対策調整室 主査
出向を通して考える薬系技術職員 冨田耕太郎
先輩からのメッセージ
3児の母として育児との両立&食品安全行政
内閣府食品安全委員会事務局
評価第一課 課長補佐
高橋 暁子
特に女性の皆さん、厚生労働省で働いてみ
たい!という思いと同時に、将来、育児との
両立はできるのかな?と心の片隅にあるので
はないでしょうか。
私は入省15年目、昨年から内閣府へ出向
しています。3児の母であり、育児のため勤
務時間を1時間短縮しています。
一日の生活は、6時起床し朝食、9時登庁、
17時退庁後に保育園の迎え、夕食、育児(小
学校の宿題確認、ピアノ練習、風呂の世話、
保育園の準備)、家事(掃除・洗濯)などな
どを済ませ、子供と一緒に就寝、です。飲み
会から縁遠いのがちょっと寂しいです(笑)。
現在の仕事は、食品添加物について、国民の
健康に影響がない範囲で使われるよう、最新
の科学的知見に基づき「リスク評価」を行う
ことです。具体的には、甘味料、着色料など
の食品添加物について、ヒトや動物の最新の
試験データに関する専門家の議論をもとに、
一 日 摂 取 許 容 量(Acceptable Daily Intake;
ADI)を示していきます。
この仕事は、最新の科学に基づいて安全性
を考える点で薬系技官として、食品添加物の
安全性との点で子供を持つ母として、非常に
やりがいがあります。また、課長補佐という
“班長”的な立場からチームで仕事をするこ
とも、日々学ぶこともあり面白いものです。
さらに先輩ワーキングマザーからのアドバイ
最後に、育児との両立についてです。私自身
スがあり、そのおかげで、今まで仕事を続け
は、上司・部下、関係者との細目なコミュニ
られています。
ケーション(進捗状況、問題点、方向性の共
厚生労働省では、育児と両立しつつ、やり
有等)を大切にしていますが、さらに重要な
がいのある仕事もできます。皆さんも、ぜひ
のは職場環境です。厚生労働省でも、内閣府
一緒に働いてみませんか。
でも、関係者の方々の温かい配慮とサポート、
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私は、現在、医薬品医療機器総合機構に厚生労働省
から出向し、新薬の審査を担当しています。私が入省
したのは 10 年以上前になりますが、入省当時から新
薬の審査に携わってみたいと思っていましたので、と
ても充実した毎日を送っています。
このパンフレットを手にされているということは、
少なからず医薬品や食品に関係する行政の仕事に興味
を持たれている方だと思いますので、主にどのような
業務に携わるか簡単に紹介すると、まずは、現在の私
の担当業務でもある医薬品の審査。審査とともに医薬
品行政の中で重要な役割の担っている、医薬品の安全
対策の業務。このほか、危険ドラッグや麻薬の取り締
まり、食品の分野では、食品の安全管理などに関する
業務、医療保険に関する業務もあります。ここまでが
厚生労働省内での主な業務になりますが、人事交流で、
他の省庁などに出向する機会もあります。さらに、個
別の課題がそれぞれの部署にあり、国内だけでなく国
際的な展開があることもあるので、多岐にわたる業務
に携わる機会があると考えていただいて間違いありま
なく、抵抗などがあっても負けずに進めていく力、「胆
すが、制度を変えるという機会が与えられることがあ
せん。大変だと捉えるか、それとも、多くのことが経
識」が必要だと述べられています。まさに上で紹介し
ります。制度改正には、運用方法を変えるだけのもの
験できて楽しいと捉えるかは、人それぞれだとは思い
た行政の仕事に当てはまると思います。数年おきに異
から、法律を改正する大規模なものまで様々です。私
ますが、私は後者の方で、それが入省を希望した理由
動し、様々な業務に携わりますが、異動直後は、過去
は幸い、法改正の機会にこれまで 3 度携わることがで
でもあります。
の資料を読みながら「知識」を蓄えていき、少しずつ
きました。法律を変えることは当然容易ではなく、「胆
話が逸れますが、私が感銘を受けた本(「活眼・活
業務を進める中で「見識」がついていきます。様々な
識」も必要になりますが、制度が少しでも良い方向に
学」)に、「知識」・「見識」・「胆識」という言葉が紹介
業務を経験することで多面的な見方もできるようにな
変わったときの達成感は、他の業務からは得がたいも
されています。
「知識」は調べたりすれば身につくもの、
り、仕事の幅も広がっていきます。その中で、担当し
のだと思います。そういう仕事に少しでも興味あれば、
それに経験が加わり「見識」となる。ただし、「知識」
ている業務の中での課題が見えてくることがあります。
行政に携わるという将来の選択肢を考えてみるのも良
や「見識」だけでは、物事を進めていく上では十分で
そうした場合に、ここが行政の仕事の醍醐味の一つで
いと思います。
どんな仕事に興味がありますか?
独立行政法人医薬品医療機器総合機構 新薬審査第四部 田中 大平
審査役代理 先輩からのメッセージ
行政とはエビデンスと創造力から成る
芸術の世界
国立研究開発法人 日本医療研究開発機構
戦略推進部医薬品研究課長
目黒 芳朗
社会情勢に常に目を配り、同時に、最先端の科
い始めた頃、決定的な事件が起こりました。「緊
学技術に精通し、英語を難なく扱う。入省当時、
急案件だ!」といって皆が大騒ぎしているのです
厚生省にこのようなイメージを抱き、サッカーで
が、その説明資料に度肝を抜かれました。説明資
言うなら、職員全員、高速ドリブルを繰り出すメ
料の文字の大きさが幼稚園児の絵本の 3 倍くら
ッシだらけの集団ではないかと、不安でいっぱい
い。この職場なら自分でもやっていける。奇しく
だったことを今も覚えています。
も、プロ 1 年目でイチローから 3 三振を奪った
それでも、いざ入省してみると、親切な先輩が
松坂と同じ平成 11 年春、自信から確信に変わっ
丁寧に教えてくれて、なんとかやっていけると思
た瞬間でした。
そんな経験をしつつ、はや 17 年が経ち、今は、
日本医療研究開発機構(AMED)というところに出
向しています。AMED は医療分野の研究開発及びそ
の環境整備の中核的な役割を担う機関として 2015
年 4 月に設立にされました。ここでの仕事を簡単
に言うと、研究費を通して、医薬品の研究開発を振
興する仕事ですが、優れた医薬品を生み出すため、
どのような技術がボトルネックとなっているのか、
どのような分野に研究費を投入すべきか、そんなこ
とを毎日考えながら、次の一手を打っていきます。
言葉で言うのは簡単ですが、次の一手を打つため
には、まず、エビデンス(政策必要性の根拠)を固
めることが必要です。欧米はどのような分野に予算
を振り向けているのかなど情報収集を重ねます。製
薬企業のニーズ把握も重要です。現状把握の次は企
画立案です。どのようなスキームであれば制度がう
まく機能するのか。制度を悪利用されないか。様々
な立場に立った検討の上、創造力の発揮しどころで
す。税金を使うわけですから、対外的な説明責任も
求められます。厚生労働省でも同様に、このような
プロセスを経て制度を練り上げていきますが、自分
の企画が花開いたときは、フェデラーのバックハン
ドパスにも勝る格別な気分です。
行政とはエビデンスと創造力から成る芸術の世界
です。皆さんも、厚生労働省に入ってみませんか。
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厚生労働省は、行政の中でも特に、国民の生活
に密接に関係する分野を幅広く担っています。こ
の厚生労働行政は、厚生労働省の職員や、関係す
る省庁の職員のみで行っているのではなく、都道
府県等の地方自治体や、独立行政法人・関係団体
等の多くの人々との協力により、実施されていま
す。
私は、今年の4月から富山県庁に出向し、富山
県の医薬品産業の振興に関する業務を担当してい
ます。毎日、県内の医薬品産業に関連する人々と
意見交換して、富山県ができることを探し、実施
しています。入省してからこれまでの10年間は、
霞が関にある省庁・法人に勤務していましたの
で、富山県では仕事も生活も全く異なり、ちょう
ど 10 年前、入省1年生の時のように、日々新し
い経験をしています。
富山県は、医薬品製造金額が全国3位の国内有
筆者中央右
数の医薬品製造業の拠点ですが、この医薬品産業
を更に発展させて富山県の人々に貢献するのはも
での 10 年間では思いつかなかった厚生労働行
を活かし、取り組んでいきたいと考えています。
ちろん、日本や世界の人々にも貢献していくため
政への新しい「提案」もいろいろ見えてきまし
また、もし、幅広い視野を持ち国民のニーズ
には、いろいろな課題があります。
「霞が関勤め」
た。
を敏感に感じ取って的確に対応することができ
では想像すらできなかったこと、すぐに解決策が
厚生労働行政は、国民の生活にとても広く深
たり、そうなりたい意欲にあふれた若い人々に
思いつかないことがいくつもあり、なかなか大変
く関わっていますが、国民のニーズは、多様性
厚生労働省の職員になってもらえれば、厚生労
ですが、新しい視点と挑戦の場を得られたことに
に富み、かつ、社会状況の変化や科学の進歩等
働行政に対する人々の期待に更に応えることが
感謝しつつ、富山県の人々と協力して取り組んで
に合わせて変化していくものと思います。幅広
できると思います。そういう人々に是非、厚生
いきたいと考えています。
い視野を持って的確に対応できるよう、将来、
労働省の門を叩いてもらい、一緒に仕事をでき
そして、さらに、富山県の立場からは、これま
富山県庁から帰任した後も、富山県庁での経験
ることを楽しみにしています。
富山県厚生部くすり政策課長
都道府県の立場から
坂西 義史
先輩からのメッセージ
iPS 細胞研究の最前線から
京都大学 iPS 細胞研究所 特命准教授
東 健太郎
私は、昨年夏から、京都大学 iPS 細胞研究
が日々進歩しており、規制もそれにあわせて
所に出向しています。iPS 細胞に関する研究
整備していく必要があります。そのため、規
成果を再生医療製品として実用化するために
制のルール作りを行う厚生労働省の担当部署
は、薬事法に基づく規制をクリアする必要が
や審査を担当する PMDA と連携しつつ、こ
あり、通常の大学の研究とは異なる、薬事規
れまでの業務経験を生かし、規制をクリアで
制に対応するノウハウが必要になります。ま
きる再生医療用の iPS 細胞ストック作製や、
た、iPS 細胞を用いる再生医療は、技術自体
iPS 細胞加工物による臨床試験実施に向けた
サポートを行い、iPS 細胞を用いた再生医療を
速やかに医療の現場に提供すべく鋭意取り組ん
でいます。
京都大学に出向する前は、医療機器規制の国
際調和業務を担当しました。規制に関する国際
会議の議長国運営を担当した他、日本の制度を
紹介するための海外での講演、新興国を含めた
新たな国際フォーラムの立ち上げなど、様々な
経験をすることができました。
その他、これまでに、法律の改正や、医薬品
の薬価算定、地方自治体での薬事行政などに携
わるとともに、長期在外研修制度により、海外
のヘルスケア MBA プログラムに派遣され、諸
外国の薬事規制や産業に関する知識、業務に役
立つ英語力を身につけることができました。
厚生労働省の薬系職員は、ライフサイエンス
に関わる様々な最先端技術や研究・開発動向を
把握し、海外の規制当局とも連携しつつ、技術
の進展に応じて最適な制度を企画立案、運用す
る役割を担っています。健康・医療分野は、日
本の成長戦略の核として位置づけられ、新技術
への対応、基礎研究の成果の臨床応用へ橋渡し、
審査体制充実など、厚生労働省に期待される役
割も大きく、今後も薬系職員の活躍の場が広が
っていくものと思います。
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このパンフレットを読んでいる貴方は、既に
厚生労働省の仕事に興味をお持ちだと思いま
す。では、具体的にどのような仕事をするので
しょうか。私の場合、新薬承認後の劇薬等規制
の官報掲載、医療機器のリスク分類表作成に始
まり、新薬の価格算定、経済産業省に出向し地
球観測衛星の開発支援、大規模食中毒対応、独
立行政法人及び厚労省での医薬品等実用化研究
の支援、対欧米の経済交渉の厚労省窓口、サリ
ドマイド安全管理システム等多岐に渡っていま
す。このように広い分野の業務を経験できるの
が厚生労働省です。
その中で、私は、人事院短期研修制度による
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)
への留学(国際医療政策修士)、マニラにある
WHO 西太平洋地域事務局(WPRO)に出向と
2度の海外勤務を経験しました。LSE では、英
国の政権の医療政策担当をしていた教授らの講
義に知的刺激を受け、WPRO ではアジア各国の
不正医薬品対策に従事するなど様々な経験(出
張中の強盗含め)をさせてもらいました。
そして、2014 年 4 月から 3 度目の海外勤務。
ロンドンの欧州医薬品庁(EMA)に出向し、欧
州と日本の間の情報連絡係、リエゾンとして働
いています。医薬品は既にグローバルな存在に
なっており、日米欧等規制当局もグローバルな
対応が求められています。医薬品の承認申請に
際しては各種ガイドラインを検討段階から
として、またロンドンにおける日本代表と
協力して作成していき、市販後の安全対策
して、欧州と日本の同僚と連携・協力をし
についても早期の情報交換・評価等を連携
ながら、世界の患者さんに貢献をしていき
して行うことで、日本だけでなく世界で病
たいと考えています。
気で苦しむ患者さんに、必要な医薬品をで
そして、次は、このパンフレットを読ん
きるだけ早くお届けし、安全に使ってもら
でいる貴方の番です。世界を舞台に貴方と
うことが可能になるのです。私はリエゾン
一緒に働くことを楽しみにしています。
EMA(欧州医薬品庁)
世界の患者さんへの貢献を
佐野 喜彦
先輩からのメッセージ
ハーバード大学
留学先から
間宮 弘晃
私は、長期在外研究員制度という在職期間
器の経済的な側面を研究したい、といった内
が比較的短い職員を海外の大学院へ派遣する
容は、私が日本の学生の頃には思いもしなか
人事院の制度によって、ハーバード大学の公
ったことです。もう一つのメリットは、様々
衆衛生大学院に留学し、医療経済学、医療政
な国から多様な勤務経験を持った学生が集ま
策学、統計学、疫学を中心に学んでいます。
ることです。彼らと切磋琢磨することで、そ
どこで何を学ぶかは、本人の興味と厚生労働
れぞれの立場や考え方を学ぶことができ、日
業務への関連性で選択することが可能です。
本または行政官という仕事を客観的に見るこ
このパンフレットを手にしている皆さんか
とができるようになります。
ら見ると、就職した後に再び大学へ学びに行
行政官の仕事は、簡単に解決できるものは
くことは奇妙に思えるかもしれませんが、海
少なく、困難で調整に時間の要するものが多
外の公衆衛生大学院や公共政策大学院のよう
いですが、その分やりがいのある仕事です。
な専門職大学院では入学要件として勤務経験
厚生労働省は海外とあまり関係がないように
が課されていることも珍しくなく、私の同級
見えるかもしれませんが、医薬品、医療機器、
生の平均年齢も 30 代と比較的高めです。こ
食品はグローバルに流通し、それぞれの国に
のメリットとしては、在職期間中に感じた問
はそれぞれの規制当局があります。国際的な
題意識をもとに、学ぶ目的が明確になってい
視点で仕事ができる機会も多いので、広い視
ることだと思います。例えば、諸外国の制度
野を持って仕事をしたいという皆さんに興味
を学びたい、新たな制度設計に効果が出てい
を持っていただければと思います。
るのか客観的に分析したい、医薬品・医療機
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