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サブサハラアフリカの工業化 富田 詩織 Ⅰ Introduction ・上位国 観光国

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サブサハラアフリカの工業化 富田 詩織 Ⅰ Introduction ・上位国 観光国
サブサハラアフリカの工業化
富田
詩織
Ⅰ Introduction
・上位国 観光国、産油国、鉱物保有国
・上位 8 カ国、下位グループ 7 カ国 資源保有国
・スワジランド 南アフリカ企業
・中農業雇用者シェア
20%以下 2 カ国
50%以上 28 カ国(70%以上 18 カ国)
→資源、農業に依存した構造が GDP の低さの要因?
→工業化の必要性
Ⅱ Model & Method
1、適正技術
2、従来の経済モデルからの転換
3、直接投資
1、適正技術
○1960 年代、1970 年代の工業化
粗投資率(GDP に占める投資の比率)
・低所得アフリカ諸国 1960 年 11%、79 年 15%
・石油輸入中所得
22%、79 年 19%
・外国資本主導、資本集約的技術
・労働者 熟練度低い
・高度水準の技術
・外国技術者への依存 (故障しても直せない)
→中間技術、適正技術(appropriate technology)
○中間・適正技術論
シューマッハー中間技術論
・発展途上国の伝統的技術、労働力の資本コスト 「1ポンド技術」
先進工業国
「100 ポンド技術」
中間技術
「100 ポンド技術」
伝統技術よりもはるかに生産性が高い、先端的な近代技術よりも資本及び労働生産性は
低いが、比較的短時間により多くの雇用創出、資金、教育水準、適応性、組織能力
雇用
創出行為を土着企業家層の手に届く「デモンストレーション効果」
方法
1、土着技術の改良
2、最新技術適応
3、中間技術考案
○技術成立の三要素
・知識
・設備
・組織
○社会的能力
外在的に蓄積されている科学技術と生産技術の巨大なストックの中から、ある特定の化
学知識や生産技術を選択し、導入して自国の資源付与の与件に適応せしめ、内在的なもの
にする能力
・進んだ技術的・組織的知識を導入、定着させる能力を構成する諸要因の総称
・知識としての技術、生産・流通を実現する産業の組織、人間能力
表1 教育水準別の経済成長に及ぼす効果
教育効果
(%)
教育水準別効果の割合
初等
中等
高等
計
ナイジェリア
16.0
63
25
12
100
ガーナ
23.2
37
49
14
100
ケニア
12.4
38
50
12
100
Psacharopoulos, G., Returns to Education, ア ム ス テ ル ダ ム , Elisevier Scientific
Publishing, 1973 年
○残余の成長率
GY=αGK+βGL+GR (α+β=1)
Y:産出
K:資本ストック
L :労働力
R :残余
α、β 資本と労働力の総体的分け前
G :成長率
R :GY :産出の成長率から GK と GY:慣行的投入の成長率を差し引いて残った値
技術、産業組織、人間能力によって決まる社会的能力の水準
GR:いかなる速度でこの経済が社会的能力を増進してきたか
GK-GL 資本集約度の変化率
経済成長が工業化の進展を伴いながら進む時、労働者一人当たりの資本装備額は高ま
るから、値プラス
『適正技術』の技術の選択、GK-GL の値高くなく、国内の組織と能力に適正であるた
めに GR の値大きくなる
○
表2 経済成長率諸指標と残余成長率
(発展局面別、グループ平均) (%)
アジア
アフリカ
Ⅰ(2)
Ⅱ(4)
Ⅲ(3)
Ⅳ(4)
1960-70
3.1
4.6
6.6
9.1
1970-78
3.5
4.8
7.2
1960-70
5.2
6.6
1970-78
4.9
1960-70
1970-78
平均(13)
Ⅰ(16)
Ⅱ(11)
平均(27)
6.2
3.8
4.9
4.2
8.6
6.3
3.3
4.9
4.0
8.1
12.1
8.3
7.3
7.2
7.2
6.6
8.1
11.2
8.4
6.9
7.2
7.0
1.8
1.8
2.3
2.8
2.2
1.9
2.3
2.1
2.0
2.1
2.8
2.6
2.4
2.1
2.7
2.3
1960-70
0.3
0.9
2.0
2.6
1.6
-0.3
0.6
0.1
1970-78
0.3
0.9
2.1
2.4
1.5
-0.6
0.4
-0.2
0.10
0.19
0.30
0.29
0.26
-
0.12
0.02
0.18
0.33
0.28
0.24
-
0.09
-
国民総生産成長率 GY
資本ストック成長率 GK
労働成長率 GL
残余成長率 GR
残余寄与率 GR/GY
1960-70
1970-78
-
投資率 I/Y
1960
10
13
15
15
14
13
18
15
1970
13
17
22
28
21
15
20
17
1978
16
21
27
30
25
20
27
23
(注) アジアⅠ:バングラデシュ、ビルマ
Ⅱ:インド、スリランカ、パキスタン、インドネシア
Ⅲ:タイ、フィリピン、マレーシア
Ⅳ:韓国、台湾、香港、シンガポール
アフリカⅠ:エチオピア、ソマリア、ブルンディ、ザイール、ニジェール、ぺニン、
タンザニア、中央アフリカ、レソト、スーダン、トーゴ、ガーナ、
カメルーン、リベリア、ナイジェリア
Ⅱ:マリ、マラウィ、ルワンダ、モーリタニア、ケニア、セネガル、
ザンビア、ジンバブエ、モロッコ、コートジボワール、チュニジア
国際開発センター『経済発展局面別長期協力方針調査』(経済企画庁委託)、1982 年
アフリカとアジアの開発途上国を日本の経済発展の局面区分にあてはめて分類
・局面区分の尺度 製造業部門産出額の GDP に対する比率
10%未満 Ⅰ、10~17% Ⅱ、17~23%Ⅲ、23%以上 Ⅳ
・日本の経済発展 低位局面から高位局面に移行するほど、GR 高
・アジア、アフリカも
・資本集約度が急速に高まる反面、社会能力は減退
Ⅱ[GK-GL] 同水準、GR アジア 0.9%、アフリカ 0.6%
GR の GY に対する寄与率がアフリカ取るに足りない
・GK を高く保つ→投資率高
アフリカ 投資の内容に問題
⇒社会能力の改善、教育
2、従来の経済発展モデルからの転換…中小企業の集積等による地域経済の深化
○ラテンアメリカ NIEs
・輸入代替工業化
・人口希薄、国内市場小…政府の補助金
・年率 1000%のハイパーインフレーション
→工業の推進成功、バランスを欠いた経済発展経路
○アジア NIEs
・安い労働力と大きな国内需要、資源・換金作物に恵まれず
・労働集約的な軽工業品を輸出
・learning by doing 効果、技術と所得を社会に伝播
・政府の役割
○アフリカ工業化の問題
1、人口希薄
表3 工業部門における労働者一人当たり年平均賃金比較
部門
エジプト
モロッコ
コートジボ
カメルーン
ケニア
ワール
(US ドル)
ジンバブ
モーリシ
南アフリカ
エ
ャス
共和国
1999
トルコ
フィリピン
マレーシア
1998
1997
1999
1999
1999
1999
1997
1998
1998
1999
工業部門
2577
4000
6159
3531
2229
1869
3805
7787
6432
2966
4836
食品
2002
3507
5212
3215
1749
1892
5640
6269
6022
2835
4708
繊維
1892
3211
4507
5308
1624
1276
4028
4997
4644
2285
4038
衣類
1312
2398
5061
805
1649
917
3109
3676
3600
2073
3362
化学
4005
9777
5894
-
3576
3775
7915
12750
11855
4809
9909
鉄鋼・スチール
3858
8264
-
-
-
2108
5911
12985
8967
3687
5141
金属
2184
4584
10868
5572
2374
2057
5100
7198
5143
2267
4765
機械(除電気)
2657
4719
8449
-
-
1864
5404
9782
7419
2600
5277
電機
3480
5489
10256
7329
3977
1936
5953
8961
9000
3349
5208
輸送機器
2940
6205
12400
5762
2754
2421
4958
10565
8355
3607
5239
一人当たり
1380
1190
670
600
360
530
3540
3170
2900
1050
3390
GNI(1999 年)
UNIDO 一人当たり GNI については、World Bank ”World Development Indicator” 1999
・アフリカ諸国の賃金 経済水準に比して著しく高い
…インフォーマル部門とフォーマル部門の二重経済構造
フォーマル経済に従事する労働者 エリート層一部
資本集約的工場
→産業移転の障害
・国内市場大きくない
2、豊富な天然資源が工業化を阻む
・オランダ病、創意工夫のインセンティブ小
3、工業製品供給国の既存
・価格上昇傾向
○クラスター論
中小企業の集積から生まれるダイナミズムに注目、競争力の地場産業が存在しない地域
が競争力を獲得するための戦略
・
「第三のイタリア」 中小企業が地域内で分業することで各地域経済を深化、各地域経済
間での交易・分業によって国全体、大陸全体の経済活性化
・地域独自の文化・環境から創造される技術を組み合わせた産業振興
・民間企業
3、直接投資
○効果
・国内経済規模と比較した外資系企業の存在
発展途上国において先進国においてよりも重要
・貿易統合、技術移転、人的資本の強化、競争、企業の発展、環境及び社会問題
○対アフリカ直接投資事例
●欧米企業
・製薬会社 エジプト、モロッコ、南アフリカ
ケチャップ…エジプト国内需要、高い品質と安い農産物
●日本企業
・MOZAL 三菱商事のモザンビークにおけるアルミニウム地金精錬プロジェクト
社会貢献
問題点
・工業化 社会的能力、教育が必要
⇔教育 雇用の場、工業化が必要
・物的ネットワークの希薄
・中小企業の育成・融資
・サブサハラアフリカにおける直接投資 需要、魅力
Ⅲ Data
The World Development Indicators (World Bank)
Ⅳ Analysis
・1990-2000 年から 2000-07 年 GDP 成長率上昇
・工業・製造業・サービス業 上昇、農業 下降
・GDP 1995 年から 2007 年で 1.87 倍
・製造付加価値 1990 年から 2007 年で 1.8 倍
cf. アジア、太平洋沿岸 5 倍、 南アジア 3 倍
・東製造付加価値 1990 年から 2007 年で 1.8 倍
cf. 東アジア、太平洋沿岸
・輸入増加 燃料輸入
5 倍、 南アジア 3 倍
・高所得国 アメリカ、低・中所得国 東アジアへの輸出
Ⅴ Concluding Remarks
(これからの研究)
・工業化前進
国家間での差、他地域との差
・工業化と発展の密接な関係
サブサハラアフリカの工業化の必要性
・資源の有無にかかわらない工業化の成功、経済成長
○アフリカでの GDP 成長率は何に起因しているのか?
成長率は上昇しているのに成長が感じられないのはなぜか?
参考文献
・津田
潤、
『発展途上国における経済成長の地域別考察
1、サブサハラアフリカ地
域』
、2007 年
・正木 響、 『アフリカにおける経済発展戦略の転換と地域経済の深化』
、2003 年
・慶応大学経済学部 島田晴雄研究会、
『アフリカの持続的発展に向けて』
、2005 年
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