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中小規模企業向け組み込みデータベースソリューションの 提供について

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中小規模企業向け組み込みデータベースソリューションの 提供について
中小規模企業向け組み込みデータベースソリューションの
提供について
Nigel Stanley、上級アナリスト
Marcia Kaufman、パートナー
HURWITZ ホワイトペーパー
© Copyright 2007, Hurwitz & Associates
All rights reserved. 本出版物のいかなる部分も、著作権所有者の書面による事前の許可なく、いか
なる方法によっても情報検索システムでの複製または保存、あるいは送信をしてはなりません。
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www.hurwitz.com
Hurwitz ホワイトペーパー
中小規模企業向け組み込みデータベースソリューションの提供について
はじめに
多くの中小規模企業にとって、業務アプリケーションは活力の源となります。ほと
んどの場合は、特定の戦術的問題を解決するために導入されますが、それ以外にも
業務に不可欠なソリューションとして活用されることがあります。
しかし、多くの小規模企業では、こうしたソリューションの構成や管理に要する
多数の IT 専任者を継続的に抱えるだけの資金がありません。実際、多くのソフト
ウェア業者および開発者はこうしたソリューションの総所有コストの削減に努めて
おり、これを主要な差別化要素として打ち出しています。
どのような業務アプリケーションにおいても、データの格納と管理に使用するデー
タベースは極めて重要になります。ここ数年の間に、大手業者が消費者の関心を自
社製品に惹きつけようとして多くの機能を追加してきたため、リレーショナルデー
タベースはより複雑になっています。こうして追加された機能は、エンタープライ
ズコンピューティング分野の多くの企業が必要とする複雑なデータ処理業務の要求
は満たしますが、中小規模企業にとっては、それらのソリューションを簡素化した
としてもまだ複雑すぎるほどです。多くの場合、一般的な中小規模企業には、使い
やすく堅牢で、安全かつ合理的なデータ格納機能など、各企業が思い描く通りに
設計されたアプリケーションが適しています。
データベース環境の複雑さを低減する方法の 1 つに、組み込みデータベース製品
の機能を活用する方法があります。これらの製品はブラックボックス型のデータ
ベースリポジトリを提供し、一度インストールすれば現行のデータベースに対して
最小限または一切の干渉なくデータを処理することができます。
これは、技術的資源が限られている企業にとっては大きな魅力となります。さらに、
再販向けソリューションを構築する開発者は、各エンドユーザーのニーズに合わせ
てカスタマイズできるプログラミングインタフェースを使用して、自社のビジネス
ソリューションに統合可能なデータベースを利用できるようになります。
本書では、中小規模企業において Pervasive Software の組み込みデータベースが
果たす役割と、その役割に限定したデータベース管理システム(DBMS)の利点
を紹介します。
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ここ数年の間に、
大手業者が消費者の
関心を自社製品に
惹きつけようとして
多くの機能を
追加してきたため、
リレーショナルデータ
ベースはより複雑に
なっています。
中小規模企業向け組み込みデータベースソリューションの提供について
組み込みデータベースソリューションの利点
多くの中小規模企業は、
組み込みデータベース
を使用する業務アプリ
ケーションを活用する
ことによって、主要な
リレーショナルデータ
ベースに比べて低い
ライセンス費用で、
この機能を利用できる
ようになります。
中小規模企業では、大規模な IT 専任チームを抱える予算がないことがほとんど
です。1 ∼ 5 名の小さなチームで構成される IT 部門の場合、各自が複数の役割
を担当する必要があるため、チーム内の 1 人を毎週データベース管理に何時間
も割り当てることは不可能です。
ただし、小規模企業でも、e コマース、Web サービス、通信などの技術を活用
することで、世界市場に参加して、より規模の大きい企業と競争する機会を得る
ことができます。これらの技術を活用すれば、小規模企業や新興企業も顧客やパー
トナーとの取引で大企業と同様のビジネスを展開できるようになりますが、同時
にデータ管理要件も高くなります。
中規模企業が抱える主な課題の 1 つとして、導入済みの技術を簡素化および
効率化し、予算内で利益を獲得する方法を探すことが挙げられます。
こうした企業は、堅牢で信頼性の高いデータリポジトリを必要としています。つ
まり、トランザクション指向の業務アプリケーションのパフォーマンスを向上さ
せる、高速なトランザクションエンジンを持ったデータリポジトリです。多くの
中小規模企業は、組み込みデータベースを使用する業務アプリケーションを活用
することによって、主要なリレーショナルデータベースに比べて低いライセンス
費用で、この機能を利用できるようになります。
こうした組み込みデータベースソリューションの費用の低さと管理の簡易性も、
サードパーティ開発者にとって非常に魅力的です。サードパーティ開発者は多く
の場合、特定の業界における特定のビジネス問題に関する専門性を持っており、
データベースエンジンのプログラミングでなく、豊富なアプリケーション機能の
構築に集中したいと考えています。
主要データベースにかかる膨大な費用がなくなることで、サードパーティ開発者
は、最小限のインストールで機能豊富なソリューションを構築でき、自己管理型
データベースによって、エンドユーザー費用と現行の管理にかかる手間を低減す
ることができます。
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中小規模企業向け組み込みデータベースソリューションの提供について
組み込みデータベースソリューションの購入
その点、最適な
組み込みデータベース
製品の場合は、通常の
使用であればデータ
ベース管理がほとんど
必要ありません。
組み込みデータベース製品を使用するソリューションを購入する場合は、次の点
を確認する必要があります:
•
•
•
•
•
•
購入元のサプライヤは信頼でき、長期の安定した実績があるかどうか
組み込みデータベースがそのサプライヤの主力事業であるかどうか
製品の今後の安全性が確保されているかどうか
データベースが堅牢であり、信頼性およびパフォーマンスが高いかどうか
製品のロードマップの内容
組み込みデータベースの管理のために継続的に発生する費用
これらの点を確認することで、提供される技術と、それによって実現可能なビジ
ネスの全体像を把握することができます。
企業では通常、ビジネスニーズを満たすソリューションを導入します。そのソ
リューションを構築するための技術は企業には直接関係ありませんが、導入によっ
て、新技術のサポートや管理のために IT 部門にさらに負荷がかかることが予想
される場合は、導入自体が深刻な問題になる可能性があります。
組み込み技術では、ビジネス要件に対して「インストールするだけ」のソリューショ
ンを提供することができます。そのため、製品に不慣れな IT スタッフを教育す
る必要がなくなります。また、組み込みデータベースを使用することで、製品の
所有権にかかる長期的な費用を抑えることもできます。
企業では、すべてのニーズを確実に満たすと同時に、インフラストラクチャへの
負荷が少ないソリューションを必要としているため、ビジネスソリューションへ
の投資は困難な課題になりがちです。その点、最適な組み込みデータベース製品
の場合は、通常の使用であればデータベース管理がほとんど必要ありません。
Pervasive Software
Pervasive Software のビジネスアプローチでは、サードパーティ開発者、ISV、お
よび OEM は、それぞれのソリューションセットの一部として Pervasive Software
の組み込みデータベースにアクセスすることができます。2007 年 9 月にリリース
された「Pervasive PSQL Summit v10」には、
Pervasive のテクノロジーを利用して、
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中小規模企業向け組み込みデータベースソリューションの提供について
組み込みデータベースソリューション開発の柔軟性と速度を向上させる機能が搭載
されています。これらの主要な機能には、次のようなものが含まれます:
•
•
•
•
•
64 ビット版の新しい Pervasive データベース
Microsoft Vista 対応製品の提供
承認済みの Microsoft セットアップおよびインストール方法の使用
最新の Vista の「ルックアンドフィール」
Microsoft Windows Sever の早期評価プログラムによる Windows Server
2008 への統合
• 最適な I/O 向け XIO ドライバ
• SQL 機能および構文のサポート
Pervasive の組み込みソリューションと従来のデータベースとの比較
前述したとおり、多くの中小規模企業は、ソフトウェアアプリケーションがどの
程度ビジネス要件を満たすかに焦点を当てており、ソリューションを構築する技術
についてはそれほど関心がありません。ただし、場合によっては、企業の技術チー
ムに提案システムの構成に対する深い技術的洞察が必要となることや、組み込み
データベースと従来のリレーショナルデータベースの違いについて疑問を持つこと
もあるでしょう。
組み込みデータベースは、多くのデータ統合、バックアップ、および管理ツールを
伴う従来のリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)によって提供さ
れるものとは異なる種類のソリューション要件を解決します。Pervasive のソリュー
ションでは有効な折衷案を提供します。データベースには、データベースの完全性と
安全性を保証するように設計された、トランザクションおよびリレーショナル管理
ツールと技術が含まれています。また、データベースは「インストールするだけ」の
リモート環境にも配備できるように構成されています。このアプローチは、パフォー
マンスおよびリレーショナルの要件が要求される場合に柔軟性を発揮します。
これを、一般的な企業顧客向けに設計された製品を扱う、従来のリレーショナルデー
タベース業者と比較してみます。典型的な RDMBS を小規模企業の「小型」デー
タベースとして設計すると、多くの場合は、基礎的なデータベースの特性の多くを
効率的に縮小できます。その結果、従来の RDBMS を使用する多くの中小規模企
業のユーザーは、これらのデータベースを管理する上で想定していた以上の技術的
専門性を求められることになります。
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データベースには、
データベースの完全性
と安全性を保証する
ように設計された、
トランザクションおよび
リレーショナル管理
ツールと技術が
含まれています。
中小規模企業向け組み込みデータベースソリューションの提供について
Pervasive の組み込みデータベース技術を採用した業務アプリケーションを導入す
Pervasive
Software は、開発者、
ISV、および OEM
る企業は、通常次のような利点を得ることができます:
• 現行のデータベース管理業務の削減、最小化
• データアクセスの最適化、高速化
• ニーズに応じた拡張性
Pervasive Software の市場進出
Pervasive Software は、サードパーティ開発者に組み込みデータベース技術を提供
するサプライヤであり、データベース製品に対するエンドユーザーの要件を理解す
るため、開発者コミュニティと連携しています。Pervasive Software は、開発者、
ISV、および OEM パートナーが必要とするツールやインタフェースを提供すると
同時に、ビジネスインテリジェンスおよびビジネス分析用のデータにアクセスする
必要のあるエンドユーザー向けにデータを拡張することに取り組んでいます。
Pervasive の多くの事業は、200 以上の OEM パートナーによって支えられています。
各パートナーは、Pervasive データベースエンジンを使用してデータを管理する
業務ソリューションを開発しています。OEM パートナーは、特に小売業者やレス
トラン経営者など流通に関わる顧客とのビジネスの場合、何百もの現場に展開可能
な業務アプリケーションを開発することができます。店舗販売されるソフトウェア
には堅牢性、信頼性、および安全性が要求されるため、組み込みデータベースはこ
れらのソリューションで中核的な役割を果たします。
Pervasive データベースを使用していても、多くの場合、ユーザーがそれに気づく
ことはありません。ユーザーは自社のビジネス要求を満たすソリューションを求め
ているだけなので、採用された特定の技術について関心を持つことはないでしょう。
技術的に熟練しているエンドユーザーの顧客に対しては、Pervasive データベース
内のデータに直接アクセスできる機能を OEM で提供することもできます。これに
より、Pervasive の顧客は .NET、ODBC、および Java にビルトインされた共通
インタフェースによって、必要に応じてデータをインポートおよびエクスポートで
きるため、ビジネスソリューションにおける役割を拡大することができます。また、
DBA 機能を持つ企業やソリューションのデータ管理の実施を希望する企業には、
Pervasive データベース管理ツールによって、さらなる柔軟性を提供することもで
きます。
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パートナーが必要と
するツールやインタ
フェースを提供すると
同時に、ビジネス
インテリジェンスおよび
ビジネス分析用の
データにアクセスする
必要のあるエンド
ユーザー向けにデータ
を拡張することに
取り組んでいます。
中小規模企業向け組み込みデータベースソリューションの提供について
これは、Pervasive ソリューションの大きな利点です。データ管理への調和的なアプ
ローチを提供することで、エンドユーザーの顧客はデータベースエンジンへのアク
セスを必要に応じて最小限に抑えることができるのです。次の事例は、一般的な
独立系サービスプロバイダ(ISV)における Pervasive の組み込みデータベースの
重要性を示したものです。
C-Logic 社の事例
C-Logic 社は、会計および請求書作成ソフトウェアのサプライヤです。ベルギーに
本社を置く C-Logic 社は、複雑なソフトウェアアプリケーションをサポートする専
任の IT 部門がない小規模企業を含め、さまざまな業種向けに会計ソフトウェアを
開発してきた豊富な実績を持ちます。C-Logic 社は Pervasive の組み込みデータベー
スを活用したことで、5,000 社以上の顧客が利用するソフトウェアの開発に成功し
ました。
常務取締役の Serge Nelissen 氏は、「私たちの顧客が必要としているのは、会計と
請求書作成を行う製品です。データベースを使おうと考える顧客はいませんし、多
くの顧客はデータベースが何であるかも知らないでしょう。そういった顧客がデー
タベースを管理しなければならないとしたら、どのような事態が発生するかは簡単
に想像できると思います」と語ります。
C-Logic 社は、Pervasive/Btrieve 技術を 1985 年から使用してきました。他のデー
タベース製品を検討したこともありましたが、取引先にとってコストと管理要件が
高すぎるという結論に至りました。Pervasive PSQL Solution により、C-Logic 社は、
毎年 500MB ずつ増加する 200MB の顧客データベースをサポート可能な「管理ゼロ」
のデータベースソリューションを開発しました。
バックアップ手順は可能な限り簡素化されました。顧客への指示は、「ディレクトリ
を圧縮して、安全な場所にファイルをコピーする」だけです。「ディスク容量の使用
率を最小限に抑えるために、データベースファイルを再構築してインデックスペー
ジのバランスを最適化するように顧客に提案することもありますが、それだけです」
と Nelissen 氏は言い、さらに「ネットワークが順調に稼働しているということは、
PSQL に何ら問題がないということでもあります」と付け加えます。
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... データ管理への
調和的なアプローチを
提供することで、
エンドユーザーの
顧客はデータベース
エンジンへのアクセス
を必要に応じて最小限
に抑えることができる
のです。
中小規模企業向け組み込みデータベースソリューションの提供について
結論
組み込みデータベースは、中小規模企業の業務アプリケーション開発において、
重要な役割を果たします。C-Logic 社のような企業は、Pervasive の技術を活用す
ることで、複雑な問題になりがちな安全かつ堅牢なデータ管理を、明瞭で簡単なソ
リューションとして顧客に提供できるようになります。エンドユーザーの顧客に
とっては、従来のリレーショナルデータベースに見られる複雑性や費用のかかる
管理を伴うことなく、必要なデータへのアクセスを最適化できるという利点があり
ます。
Hurwitz & Associates について
Hurwitz & Associates では、実際的なビジネス問題を解決するために実装される、先進的
で新しいソフトウェア技術によって得られる顧客の利点に焦点を当てたコンサルティング、
研究、分析を行っています。弊社は、サービス指向アーキテクチャや Web サービスなど、
ソフトウェア技術のビジネス的価値に対する理解に着目し、高度に分散化されたコンピュー
ティング環境への実装を成功させる方法について研究しています。Hurwitz & Associates
の詳細については、www.hurwitz.com を参照してください。
Hurwitz ホワイトペーパー
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エンドユーザーの
顧客にとっては、
従来のリレーショナル
データベースに見られ
る複雑性や費用の
かかる管理を伴うこと
なく、必要なデータ
へのアクセスを
最適化できるという
利点があります。
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