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ァメ状カ合衆国における圧力団体に関する若干の考察

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ァメ状カ合衆国における圧力団体に関する若干の考察
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アメリカ合衆国における圧力団体に関する若干の考察
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アメリカ合衆国における圧力団体に関する若干の考察
8
彰
において密接なものを有してはいるとしても、なおそれのもつ機能はその国の政治体制の力関係によって異なqてくるこ
における地位はますますその比重を増加しているといわれているのである。このように圧力団体が西欧民主主義との関係
たとえば、S・Hビーアは政党政治の本家といわれるイギリスにおいても、圧力団体の活動はアメリヵ合衆国のそれと比
︵1︶
較しても、なお盛んであることを指摘しているが、そのほかフランス、西ドイッなどにおいてもこれら圧力団体の政治
がら近年に至るやひとりアメリカ合衆国のみならず、欧州各国においても圧力団体の活動は多くみられるようになった。
すでにこれら圧力団体の活動には顕著なものがあった。圧力団体という概念もまた本来アメリカのものである。しかしな
近時、とくに第一次大戦以後、圧力団体の活動は多く人々の注目するところとなったが、アメリカ合衆国においては、
●
.
とはいうまでもない。そのため、これら圧力団体の活動に対しては、さまざまな角度からの評価が与えられているのであ
(779)
127
’
’
る。
ところで、近代における代議制の運用を考察する場合には、政党の存在を度外視するわけにはいかない。ブ一7イスが、
﹁第一政党は避くべからざるものであるゆ自由なる大国にして政党を見ぬ国は未だ存在しない。何人も未だ政党なき代議
政治の運転可能を示していない。政党は混沌たる投票者群の中に秩序をもたらす。﹂といっているごとくに、政党の発達は
代議制のそれと歩調を同じぐしてきたのであって、政党と代議制の両者はこれを分離して考えることはできない。つまり
政党は近代代議制がスムーズに行なわれるための必須要件なのである。しかし、この場合の政党とは、さまざまに分化し
た社会的諸利益の最大公約数を政治に反映させるという、いわば、民意を政治に媒介するところの機能をいとなむはずの
機構を意味するものである。E・バークは﹁政党とは、ある特定の主義または原則において一致している人々が、その主
きの政党とは、単なる社会の部分利益を代表する機構ではなく、マッキーバーのいうごとく、﹁︵狭義には︶階級国家を国
民国家に転化する機置なのである・・のかぎりにおいては、政党はかつての等族会などが特定の驚の利益を袋して
いたのとは異なり、ひろく国民的利益を代表する政治的集団であるはずのものであった。
今日−二十世紀は、このような政党11代議制の衰退の時代ということがしきりにいわれているが、数しれぬ圧力団体
の拾頭は、ある意味ではこのことの有力な証左でもある。少なくとも、これらのおびただしい数の圧力団体の政治へ.の拾
頭は、このような古典的政党代議制の質的変容と、その関係を有しているものと思われる。すなわち現代の民主々義諸国
の多く採用している代議制のもとにおいては政策の決定は国民の選出した代表者にゆだねられるのであるが、このとき政
128
(780)
垂たは原則にもとずいて国民的利夢鍵せんがために舅すべく蓉した団体であ飽﹂・・れを霧したが、あと
アメリカ合衆国における圧力団体に関する若干の考察
治に対する民意の反映は、選挙ー政党−議会という道程を経なければならない。だが、このようないわゆる代議制のル
ートの途上には、民意の伝達を疎外するところのさまざまな障害が待伏せていることは想像に難くない。そして、これら
もろもろの障害は、いわば民主政治の動脈ともいうべき代議制ルートを硬化ざせ、ひいてはその機能を減退せしめるので
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国.bd=蒔ρ↓げ〇二σq寡自りo口3①O帥ロω①oh9Φ℃﹃oω①三〇・∪一ω8艮①p8︵嵩刈O︶”≦、o爵ω”<o一一.勺゜切ωρ
J・プライス﹁ 近 代 民 主 政 治 ﹂ 岩 波 文 庫 、 一 四 五 頁
即]≦°H≦NoH︿臼L≦oユo︻昌ω8酔P℃°心Oρ
●
るが、これは通過法案七三のうちの約四〇パーセントにあたる。 −
が圧力団体によって提案された﹁ロビー・ビル﹂であった。そのうち約二四パーセントにあたる二九のものが通過してい
29
すなわち、オハイオ州上院に提出された法案の合計は二六七であったが、そのうち約四五パーセントにあたる一一九まで
三九年の両年における、オハイオ州議会に提出された法案の調査結果は、このことを如実に示すものである。︵次表参照︶
いて最大の効果をあげることが期待されるものであろう。たとえば、H・ウォーカーの行なった一九二九年、および一九
︵1︶
もいうべき、議会に対しその圧力を行使する。その意味では、圧力団体の主要目標とするのは議会であり、またそこにお
普通、代議制国家における社会集団が政治権力への接近をここ.うみるためには、基本的政策を主として決定する機関と
二
(781)
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あるが、今日のおびただしい圧力団体の政治への拾頭は、またこれとほぼ時をおなじくして顕著になってくるのである。
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))))
「
アメリカ合衆国における圧力団体ic関する若干の考察
●
アメリカ合衆国における圧力団体に関する若干の考察
Passed
No.%
Member Bills 70 26
6 8
Lobby Bills 119 45
29 40
Public Bills 78 29
38 52
Total 267100
73100
1939年 上院
In㌃roduced
No.%
Passed
No.%
Memcer Bills 74 24
16 16
Lobby Bills 125 40
37 39
Public・B量11s 、 112 36
44 45
Total 311100
97100
1939年 下院
Introduced
Passed
No.%
No.%
MemberBills 162 30
30 26
Lobby Bills 144 26
36 32
Public Bills 236 44
47 42
Total 542160
113100
O
同様に、一九三九年においては、提出法案数三一一のうち約四〇パーセントにあたる一二五が圧力団体によって提出さ
No.%
れ、そのうち約三〇パーセントにあたる三七が通過した。これは全通過法案数九七の約三九パーセントにあたるわけであ
Introduced
燭
1929年 上院
,
るまた同州下院における場合には、一九三九年の事例のみ提示されてあるが、このときの提出法案数合計五四二のうち約
、
四四パーセントにあたる二三六が圧力団体によって提出されたのであって、断然他を抜き、通過法案数も衷た、合計一一
(782)
三のうちの約四ニパーセントにあたる四七を示して他を圧したのである。これらは法案の形成過程において現われた圧力
夢
現象であるが、同様の事態は単に一オハイオ州にのみ限られたことでなく、連邦議会においてもまたひとしく生じている
0
のである。すなわちキーはこの点に関して大むね次のようにいっているのである。 ﹁圧力団体の活動は法案の支持、また
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こ
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アメリカ合衆国における圧力団体に関する若干の考察
﹁
はこれを阻止するという点に最も顕著なるものがある沿圧力団体は、この仕事をみがきのかかった技術にしたてあげた。
それがワシントンで行なわれようと、州都で行なわれようと、これら圧力団体のやり方はまったく同じようなものであ
る。⋮⋮比較的大きな︵利益︶団体はワシントンに恒常的に事務所をおき⋮⋮ロビイスト達は連邦議会や州議会で活躍す
るが、⋮⋮彼らの職歴は議員のそれよりも長く、ために彼らは議員たちの信頼と尊敬を得るようになるのである⋮⋮多く
の立法の源泉は立法府それ自体にないということは重視すべきことである。圧力団体のスタッフが、立法府に提出するた
めの草案を作製する。もちろん、それはその︵圧力︶団体の政策を反映したものである。連邦議会や州議会における状況
︵2︶
は、一般にオハイオ州における実態の研究によって示きれるごときものである⋮⋮。﹂
︵3︶
さて、シャットシュナイダーが﹁政党政治の体系と並行する、圧力政治の体系の栄養過多による異常肥大﹂と評したご
とく、アメリカ合衆国における多くの重要な政策は、実際にはふつう圧力団体の活動によって決定されているといっても
過言ではないほどである。とくに今世紀以来、アメリカ合衆国の政治を特徴ずける政府の統制干渉する政策がますます強
化され、 ”委員会革命”や”公共の福祉の促進”が前面におし出されてくるとき、伝統的な三権分立やレッセフェールの
原則は遂には名目化し、アメリカ合衆国の政党代議制が充分にこのような事態に対処しえなかったのと相まって、この国
における圧力団体の活動に一そうの拍車がかけられた・のであると思われる。
一九四六年、アメリカ合衆国では﹁連邦ロビィング規制法﹂︵司ΦαΦ雷一即①σq三鋤什δ昌。hいoσσぢσq︾9︶が制定された。これ
(783)
131
は立法に影響を与えようとする個人︵ロビイスト︶や諸団体の登録とその収支の定期的報告とを要求したものであるが、
この法律の制定はある意味では圧力団体の政治的地位を公認したものといってもよいであろう。トルーマンはコ九四九
、
アメリカ合衆国における圧力団体に関する若干の考察
年の商務省の資料によれば、全国的規模の、産業、職業、市民その他の団体の数は約四〇〇〇である﹂とし、 ﹁地方、支
部を含めれば実業家の組織数は一万六千、労働組合は七万、婦人団体は十万、その他一万五千をかぞえる⋮⋮これらは必
ずしも全部が、利益集団という術語の意味するところのものとはいえないが、アメリヵ的局面において活動げる集団の莫
大な数を示唆するものである。先述の報告は、さらに“ここにあげられた殆んど全部の組織がさまぎまな程度におけるロ
ビィングを行なっている”とのべている﹂というが、このようにおびただしい数の圧力団体が行使する圧力は、今日では
︵4︶
ひとり議会のみならず、行政諸官庁にまでおよんでいるのである。たとえばキーは﹁圧力団体の最も瞠目すべき姿は立法
の支持、またはこれを阻止するというところにあったが、統治機構の行政機関とも不断の関係をつけておくことも、また
ひとしく重要なことである。おそらく五十年前は圧力団体が、行政機関を相手とする必要は殆んどなかった。すなわちそ
れらの利益は立法によって適確にまもられえたからである。政治が複雑になってくるにつれて、立法府はだんだんにその
機能を、諸規則を作製する行政機関にまかきざるをえなくなったのである。執行者が立法者となり、そして圧力団体の活
︵5︶
動は、決定作製の機能が附与された統治機構のこの点に、不可避的にむけられることになった⋮⋮﹂とのべているのであ
る。
ところで、このように圧力団体が現代における政治的局面に公然と姿をあらわし、その行使する圧力はひとり議会のみ
ならず、行政諸官庁にまでおよぼすほどの勢力をもつにいたった原因にはさまざまあるが、普通、その数えられるものと
しては、 ︵1︶代表原理の変質化、 ︵2︶政党の寡頭制化︵3︶社会の各分野に対する政府統制の増大の三点がある。
すなわち、第一゜の要因としては、近代代議制の直面する最も困難な問題として︵従来の代表制が地域的な区分にもとず
132
(784)
いていたということ、それが現代政治における社会的経済的諸問題の解決にうまく適合しうるかどうかという点にかかっ
ているのである。このことは現代における技術の高度の発展と、人々の生活様式の複雑化にともなって多様化した社会的
︵6︶
諸利益をこのような地域代表的政党が充分に吸収してゆけなくなったことを意味する。とくに選挙制度として小選挙区制
を採用する場合には、この傾向がますます助長されることになるわけである。 ︵比例代表制、経済会議などはこれの制度
的克服を志向した慧であろう︶・第二の要因はすでにR°ミヘルスなどの指摘藩姓くあらゆる社会集団の避くことをえ
ない﹁オリガキーの鉄則﹂によるものである。つまり、普通選挙制の採用にともなう有権者の増加は、拡大された政党組
織を少数者の手による支配にまかせざるを得なくなり、その結果、容易に政党と特殊利益との結合をうんだ、とするので
ある。そこで第一の要因が、さまざまな民意の政治に対する伝達を困難にするとともに、第二の党内権力の機構の尖鋭な
保障など、社会の各分野における政府の統制が強化されるとき、社会集団は政党11代議制のルートをとびこえて、直接に
し
自己目的達成のための活動を行なうのである。
さて、アメリカ合衆国は周知のごと風、圧力政治の母国といわれているが、これらアメリカ合衆国の圧力団体のいちぢ
るしい拾頭と活動に関する考察を、次にここでは一応合衆国政党の性格との関連にせまくかぎってすすめてみようと思
.つ。
︵2︶ <.ρ丙①ざ勺〇一三β田暮一Φω”註牢①ω゜・貫090唇ω噂H㊤㎝b⊃”℃も゜日①ω−δ画巳
︵1︶ 国.ミ巴冨﹁”目冨い①σQ巨讐一く①℃88ω9目逡Q◎”やP刈b◎1誤.
(78の
133
集中化という傾向は、特殊利益のための政策立法という事態を結果するが、その際、たとえば企業統制、労働問題、社会
アメリカ合衆国における圧力団体に関する若干の考察
アメリカ合衆国における圧力団体に関する若干の考察
頃国.ω9馨冨号コo置①5勺曾ξOo︿⑦∋ヨΦ三゜お畠層勺゜①9
O
134
ようである。しかしこれらの実態はふつういわれるように全国的規模としての合衆国政党組織は、州および地方の政党組
織のルーズな連合体という言葉であらわされるものにすぎない。すなわち、州の段階までの組織としては集中的な統制が
(786)
全国大会︵ツ﹃20二〇コ9一 ︵︶O昌くΦロユOコ︶全国委員会︵Z讐oコ巴Ooヨヨ葺①Φ︶があって、 一見その溝成は整備きれているものの幽
ぞれの選挙区におかれる政党委民会、各州政党委員会、政党会議︵℃自。二︽08︿Φ三δ口︶がある。最上層部に位するものは
ける組織としては各区︵℃おoぎ。計目o≦諺三〇等︶の政党委員会︵℃費ξOo∋∋凶け80︶があり、その上に州内の多数のそれ
このような合衆国の大政党の組織構成をのべるならば、それは大むね次のようにいえるであろう。すなわち最下部にお
きたものといえる。
”抗議の政党”としての第三党の出現などみられたこともあったが、合衆国政党組織の主流は常に二大政党制を保持して
れはアメリカ合衆国の成立の時期からの歴史的伝統ともいえよう。もちろん、この間において主要政党の分裂あるいは
アメリカ習衆国における政党組織のもつ特徴的なものの一つは、一おう二大政党制がとられているという点である。こ
三
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アメリカ合衆国における圧力団体に関する若干の考察
行なわれるのであるが、全国大会、全国委員会はそれ以下の組織を常時有効に統制するものではないといわれているので
ある。つまり、アメリカ合衆国における政党組織は全国的規模においては弱体であり、州の政党組織以上のものは存在し
ないといっても過言ではないと思われる。たとえば全国大会にしても、四年毎に行なわれる大統領選挙に際してのみ開か
れるものであり、そてでは大統領、副大統領の候補者の指名、政党綱領の起草、党規則の採用、全国委員会の選任などが
行なわれるが、それらが終了すれば直ちに消滅するものなのである。このような全国大会は四年毎に開催されるのであ
るがその間の党の最高機関は全国委員会である。しかし、全国大会で選出された委員によって構成される全国委員会もま
た四年の任期の間に大むね二回ほどしか会合をもたないのである。つまり選挙運動の討議のための会合と、次回の全国大
会開催地の決定のため会合である。てのようにして、全国委員会そのものも常時重要な機能をいとなんでいるものとは考
えられないとすれば、このあたりにアメリカ合衆国の政党が、表面的には二大政党制を保持しながらも、これを全国的規
ゴヨストパロテイ
模としてみた場合には﹁幽霊政党﹂といわれるゆえんがあると思われる。
またその特徴とする第二のものは、合衆国の政党は大統領選挙を行なうための組織であるという点に求めちれよう。周
知のとおり、合衆国においては、大統領選挙人の選挙は各州別に行われるが、まずそれにさきだって党の大統領選挙人の
候補者名簿の作製が行なわれる。しかし一般有権者の投票は個々の大統領選挙人候補者に対してなされるのではなく、党
によって定められた一団の選挙人をえらぶためになされるのである。その結果、比較的多数の得票を得た政党がその州の
大統領選挙人︵ユ①。8邑の全部を獲得するわけである。大統領選挙人の数は州選出の上院議員、および下院議員数の合
計に等しいが、それらの大統領選挙人は、すでに党の全国大会によって定められている大統領候補者に投票することにな
(787)
135
る。したがって、合衆国大統領は党の全国大会においてなされる大統領候補者の決定と、各州における一般有権者の大統
領選挙人の選挙とになって決定されるわけである。このように全国的規模においてなされる大統領選挙の過程は、政党を
して一おう全国的な規模をもった組織と支持とを必要ならしめる。かつ、このような大統領選挙人の選出方法と相まって
他の小党の存在を必然的に不可能ならしめ、二大政党のみを競争圏内におかしめ胤ことになる。しかし、アメリカ合衆国
の政治組織の基盤が連邦制にあるために、先述のごとく全国的規模において統制された、かつ中央集権化した政党組織を
常時もつことはできない。そのため議会内における同一政党議員相互間における連携も強いとはいえず、鼠民的指導者と
.しての大統領もまた、政党の地方組織を統御するほどに充分の力を有していないのである。また実際問題として、候補者
指名の実権は州や地方の指導者によって握られているのであるから、議会内における議員の行動は実に地方的利害にもと
ずいてなされるといってもよい。このようなアメリカ合衆国の大政党がもつところの各州、政党組織のルーズな連合体と
いう性格は、全国的規摸の政党の巨大な寡頭制化にかわる、州、地区などのボス・マシーンの支配の強化を意味するもの
と考えられるのである。
らは本質的には資本主義体制内の政党として、その性格を等しくする故に、体制内における投票獲得機関としての機能を
果すことになる。この点で、合衆国政党は人格の選択機会を提供はするが、体制の変革を意味する政策の選択機会を提供
するものではない。それ自体が、多くの党派﹁さまざまな利害の複合体であることは、これら大政党①間における政策ハ
綱領に明確な差異をもたらすことはなく、相互に類似性をもつにいたらしめるものと思われる。
136
(788)
」
第三にはアメリカ合衆国における二大政党の、よってたつ基般皿は等質的なものである、ということである。つまりこか
アメリカ合衆国における圧力団体に関する若干の考察
アメリカ合衆国における圧力団体に関する若干の考察
このようにしてみると、アメリカ合衆国の政党の性格は、欧州諸国における政党のそれとは実質的にがなり異なってい
るといえよう。とくに合衆国政党の基礎は常に地方的であり、同一政党内における、各地理的単位の間には殆んど共通の
︵1︶
ものをもたないとさえいえる。これをマッキーバーは次のように表現している。すなわち﹁合衆国の選挙制度のもとにあ
っては全国的選挙の結果は重要な一つの州の投票によって左右されるかもしれず、そしてその州の投票はローマ・カトリ
ック的少数派といったような緊密なイデオロギー的集団が、どちら側に支持を与えるかによって左右されるかもしれない
どちら側もかような集団を怒らせるような主義にうつつをぬかして、その好機を好んで危くするようなことはすまいっ党
の綱領を作製するに当ってはこの奮の戦略的考慮が大きな役割を演ずるのである。したがって対立的政党の間よりも同一
政党の諸翼の間の主義上の相違の方が恐らく大きいだろう﹂。
かくて、このような事情が合衆国においては、政党以外の機関の発達を促進せしめたのではないかと思われるのであ
る。
さて、アメリカ合衆国における国会︵Oo昌σqおωω︶が、 一般の議会︵℃偵。島鰐ヨ¢葺︶と異なる点は、行政部のメンバーがこ
れに議席を有していないという点にある。それ故、一おう全国規模による国民の支持をうけて、一方の政党から大統領が
選出されたとしても、国会内における政党の勢力分野は、他の一方の政党によって多数をしめられるという場合さえもで.
てくるのである。しかし、行政部と立法部との間に、このようないわば自動的な対時が存在するとしても、それは政府に
とって一般の議会制度におけるごどき危機を招来することはない。したがって、合衆国国会は他の一般の議会に比して、
より無貴任であるということがいえよう。この結果、国会内における議員の行動に対する党規律は、[般に厳格性を欠く
(789)
137
アメリカ合衆国における圧力団体に関する若干の考察
ものであると思われる。
響
したがって、議員は正副議長の選出や、委員会の構成などに関してのみ、その所属政党の方針に服することはあって
も、それ以外の場合には必ずしも党規に制約されない自由な行動をとりうるのである。彼らが、たとえば党の政策を無視
した行動をとる場合においてさえも、党はこれに対して充分の制裁を加えることはできない。このような議員に対する党
規律の弛緩・,欠如は、議員をして通例、交叉投票︵自oωω−<o鉱口σq︶の慣行を容易に行なわしめるのである。いうなればこ
のような国会内における議員の行動の、超党派性︵げ竪9ヨω9。昌︶,無党派性︵口8亡o⋮鈴口︶は政策の決定過程におよぼす
へ
圧力団体の影響力を有効ならしめる要因と思われるのである。したがって、アメリカ合衆国では、二大政党制が採用され
ているとはいっても、国会内における議員の行動はむしろ左右されることになり合衆国国会は事実上、小党分立的傾向を
示すものと考えられる。
る。およそ、合衆国においては議案の提出権は議員のみがこれを有する。したがって議案はその出所よりして、大むね
さらに、このような傾向は合衆国国会の立法過程における、さまぎまな慣行や制度によっても助長されるものと思われ
︵2︶
体の活動が、他に比して特に活濃におこなわれるゆえんがあるものと、考えられるのである。かくて提出された彪大な数
しめた議案を作製して、これを議員を通じて国会に提出することは容易なことと思われる。ここに合衆国における圧力団
る。また議員は単独で幾つもの議案を提出する権限を有するのであるから、ある圧力団体はその団体の政策を充分反映せ
案︵一〇8一σ=一ω︶、私法案︵買ぞ葺Φぴ芭ω︶などに分類されようが、 これらは形式上は議員の名において提出されるのであ
政府案︵巴自三ω#幾oロo目σqo︿①ヨ日。三げ≡ω︶、委員会案︵8∋日葺①。σ≡ω︶、特殊利益案︵ω℃①90=三①おωけげ竃ω︶、地方
138
(790)
喝
「
アメリカ合衆国における圧力団体に関する若干の考察
の議案は、第一読会においてその標題と議案番号が紹介せられたのち、それぞれの委員会に付託されるのである。国会内
の常件委員会はまたさらに多くの分科委員会、特別委員会などに分れているが、これらの委員会の開く公聴会︵。。∋ヨ苓
8①ゴ$︻ぎσq︶は、審議される主題によっては公開されない。関係法案に充分の利害を有する圧力団体のロビイスト︵一。げ,
げ覧ω叶︶の公然たる活動の場はここにもある。かくて、いわゆる丸太ころがし︵δαq﹃o≡コσq︶豚肉樽︵℃o蒔σ母円9乗合馬
車法案︵Oヨ昌凶げ賃ωげ一=︶が仕立てられてゆくのであるが、これらは政党の政策を無視した特殊利益と議員との結託の有力
︵3︶
な証左に他ならないのである。トルーマンは、 ﹁このような立法府における委員会制の重要性が、利益集団の行動にとっ
て非常に強力な通路を提供する﹂といっているのであるが、しかも法案審議の過程において、強大な力を有する︵とくに
下院における規則委会︵幻巳ΦωOoヨヨ葺ΦΦ︶︶委員長の地位は、いわゆる年長制︵Q。①三9昌︶の慣行にしたがって定められ
るが、これもまたこのような傾向に一そうの拍車をかけるものと思われる。
かくて議会は特殊利益によって支配されるという傾向を有するが、その際、権力分立制による、立法部と行政部との抑
制均衡という憲法上の制約から、大統領は議会を解散することもしえない。さらに、立法部と行政部の両者を調整すると
いう機能は、現実にはアメリカ合衆国の大政党によって果されることは期待しえず、加えてこれら大政党のかかげる政策
の曖昧性と相まって、多数民意が議会を通じて政策に表現されることの困難性が増加するものと思われるのである。そし
て、もし一国の政党組織がその国の統治構造を投影するものであるとするならば、上に概観してきた合環国政党の組織は
ある意味ではアメリカ合衆国の統治構造の多様性を示すものともいえよう。その特徴的なものとして、およそ連邦制とい
う言葉によって形象化されをような、合衆国統治構造における各分節点の諸関係における階序性の欠如をとりあげること
‘791)
139
アメリカ合衆国における年力団体に関する若干の考察
ができようが、このことは再びさまざまな特殊利益がこれらの諸関係と錯綜しつつ、複雑なダイナミックスを示すことに
なると思われるのである。
このように、アメリカ合衆国においてき政策の決定に強い発言力を有する圧力団体のうち、主要なものとしてあげられ
るものには次のようなものがある。たとえば企業者を代表する団体として著名なものには、合衆国商業会議所︵Ω話ヨげ2
として最大のものであるが、州.地方などの約五四〇都市における商業会議所や他の企業連盟などの三〇〇〇を越える数
の組織の連合体である。加入者数は約二万といわれ、その本部はワシントンにある。後者は、一八九五年に、事業上の利
益の促進を目的として形成された雇庸者団体であった。これは商業会議所と同様にかなり異質的な会員をその構成として
もつが、団体の結束は強固なものがある。それは労働組合に対する反感を、その成員が等しく有しているからだといわれ
ている。これはたとえば一九〇三年の会議で会長パリ︵勺碧蔓︶が労組合に対する考え方をのべた次の言葉によってもこ
のような性格がわかる。すなわち﹁労働組合の原則と要求とは、個人主義的な社会秩序を信奉する人々にとってはこれを
絶対に支持しえない。和解という態度は基本的信念に対する妥協ということを意味するであろう。最も危険なことは労働
︵4︶
組合を認めることである﹂。この団体の会員は一九三三年には一四六九を数えていたが、一九三七年には二九一二となり、
一九四九年には一七.OOOを数えるにいたったが、その活動は主として労働者の利益をはかる立法を阻止し反対するに
あった。特にNAMの虐目一伝機構の彪大なることは注目に値するもののようである。これに対して労働団体としては、A・
F.Lより一九三五年に分離結成したC・﹂・0が著名なものとしてあげられよう。きらに農業団体としては農場局連
(792)
ノ ビジネス
。hO。ヨ8ゆ触。Φ。h芸Φqψ︶全国製造業者連明皿︵2鋤試8巴﹀ωωoo冨臨80hζき珪四〇εH㊦誘︶などがある。前者は実業の代弁者
140
φ
︸
アメリカ合衆国における圧力団体に関する若干の考察
盟︵悶国同旨ρしd一﹂円Φ”口 団①匹①﹁鋤什一〇コ︶全国農民組合︵Z註89。一守﹃∋興ω〇三〇コ︶などをあげることができる。農場局連盟は全国
的な規模をもちその加盟者は中西部に最も多い。後者の全国農民組合は前老に比して規模は小さく、その勢力は主として
オクラホマ、ダコダ、ウイスコン.シン、ネブラスカ、コロラドなどに集中している。職業団体としては、これらのほかに
增j納税者連盟︵↓舞冨︽①︻°。.い$ひq器︶等々、枚挙にいとまがないほどである。 .
o︷毛oヨoロ<9費ω︶や婦人クラブ連合会︵O雪雲巴国巴ΦB謡oロoh芝03窪”ωΩ二げω︶さらには禁酒同盟︵︾コけ凶−ω巴。8い8、
団自①凶σqコ≦鴛の︶などあり、前者は年金斗争などにおいてその実力を示した。ほかに団体としては婦人有権者連盟︵ぴ9σqFδ
のとしては、たとえば愛国団体としては、アメリカ在郷軍人団︵︾ヨΦ﹃凶8昌ピ①σqδコ︶海外戦争出征軍人会︵<。8§扇oh
る。このほか上記の職業代表的団体以外にも、強大な政治的圧力を行使するものとしてあげうるもののなかで、著名なも
アメリヵ法曹協会︵㌧r口PΦ噌一〇①口 しd9ρ円 ﹀のωOO一Ωo叶凶O轡︶アメリヵ医師会︵︾日①旨自。昌ζΦ臼8一︾ωωo。韓陣o昌︶など強力なものであ
(793)
このような各種圧力団体はいずれもワシントンに本部を有して議員との交友、面接などを通じ、また公聴会に代表を出
席せしめるなど各奮の圧力を加える一方、選挙などに際しては自己の利益を最もよく代弁する候補者には政党の区別なく
これのあと押しをするのである。同時にこれらの団体億いずれも自己の利益を公共の利益と同一化して民衆に宣伝するこ
とを怠らず、そのためにはマス・メディアを掌握しこれを操作して広く大衆を動員することに留意するものである。
︵1︶ ζ。。畠く①さ ≦⑦σohOo<頸ロヨΦコゴ秋永訳﹁政府論﹂上巻二五八頁
︵3︶ ∪。bd・目≡ヨ。。P目冨O。︿①︻①ヨ①暮巴℃88ω。。・H㊤器・潤ω㊤N・
︵2︶ 弓家七郎﹁比較憲法論﹂上巻二五四頁−二五六頁 .
︵4︶≧。冨ぎω茸⋮目冨い9。9﹃切§ざH逡P℃﹄㎝O
141
σq
四
およそ現代における代議制のもとにおいては、ある特定の集団の政治に対する圧力活動が、結果的にはその他の多数の
民衆を疎外するも.のであるとしても、やはり多数民意の実現をもってその活動の根底指標としなければならない。一九四
四年五月、さきにのべたアメリカ合衆国における有力な圧力団体の一つである全国製造業者連盟︵Z鋤けδ昌暫﹀ωω09⇔二〇ロ
142
ohζきロ匿9霞2ω︶の機関紙”Z>ζ2㊦づ・ω”は、 ﹁⋮⋮自由企業という旗じるしのもとに作動する企業経営が、いかに
新しい機会と、より高い生活水準の平和的な時代に通ずる道につながっているものであるかを、いまや民衆にしめすべき
時が熟した﹂と報じているが、このことはNAMほどの有力な圧力団体でも、その特殊利益の目的達成のためには、民衆
︵1︶ .
に訴えこれを動員しなくては、自己の目的とするところを結果しえないということを示すものであろう。同時にこのよう
な圧力団体がその目的を達成するためには、単に議員の買収でたりるとする古典的な手段のみに固着しないことをも意味
圧力団体のまさにこのような特殊利益の促進という性格のゆえに、 ﹁もし政党が、所有者からの委託をうけて船舶を所有
︵3︶
する会杜であるとするならば、圧力団体はその積荷にのって密航する密航者である﹂とこれをきめつけ、 ﹁多数﹂に基礎
をおいた政党のみが、一般的福祉の促進のための役割を果せるのだとし、そのための強力な政党を唱導するのである。
しかしながら、一方このような事態は、アメリカ合衆国においては直ちに強力な圧力団体のみが勝ちのこり、.したがって
、
(794)
する。そこでは再び﹁民意が神秘的な神としてまつりあげられ、その名において新しいオリガキーの政治的司祭たちが戦
︵2︶
ったりまた統治したり﹂しはじめるという可能性も存在するのではないかと思われるのである。・シャットシュナイダーは、
アメリカ合衆国における圧力団体に関する若干の考察
他のすべての民意が取残されるという結果が.招かれるものであるということを必ずしも意味しない、とするものもある。
た麦ばト半マ瀞・ヲメリヵ合衆国の政治的過程を藁する際に・まさに決定的な意義をもち、特別な強調を必
要とする二つの要素﹂として﹁団体成員の多元性もしくは重複性﹂と﹁未組織もしくは潜在的利益集団の機能﹂をあげる
響ボ託簿驚螺棚欝け駅蜜畿鰻湿糧㍉蕪轄”脇響罷勲鶴齢.
硲︵ω§婁葛①σq§°︶なのである・もし・それが統治機構の制度のあるものを通じて、あるいはこれらに対してその
艘 要求を行なおうとするならば、その時、それは政治的利益集団となる﹂のであり、 ﹁ルネッサンス以来、特に全国的規模
力 .
麟の政府は西欧社会において最も包括的な努藁中し・その結果他の何ものも・れに抗しえぬものとな・竜る﹂政府
圧 に不可避的に接近を行なうものなのである。かくして、彼は﹁︵それゆえに︶政治の集団的解釈︵σq8二〇一葺Φ弓お3ま昌︶
讐誕せしめることで・われわれ総体的な包括的な利益をそれが存在レないゆえに・考慮す・必要は鐙﹂とさえのべ
衆
国 るのである。だがこのような、社会における多元的な利害のいわば自動的”均衡論”は抽象的な一般的福祉の存在を認め
贈・ものではないとし天奉つそれとの関連をもったうえでの考察として考えられミキ蜜れば、﹁公共の利益
Fとは、結局相対要豪らあであ・て、それは社会におけ至階級ないしは棄団の要求にだ茎く屈服してし・勢・
点にあるわけではない。それは、競合する諸集団間に妥協をあみ出すことの中に、つまりあるとぎぼ一つの階級をまたあ
るときは他の階級を容認し、そして時には、特殊利益の要求をうちのめすために、大きな組織されていない一般公衆の支
持を動員するということのなかに存馨る﹂のである・またマ・キ夫−は﹁公衆とは大小の事叢金穐労働、農菜
(795)
143
す
に
組織された専門業、政治的官僚そのもの等等の相争う圧力集団の外に横たわる、無形の残津にすぎぬように思われるかも
しれない。公共の利益は、絶えず特殊利益のために闘う諸々の力の対角線にすぎ膿ように思われるかもしれない。それに
も拘らずわれわれが努めて示してきたように、民主政治の全論理はやはり国民的統一や共同福祉があるどいう観念に基い
いう見解を示すのであるが、これらはいずれも﹁分化せる諸争点の公けな討論を通じて、葛藤を解決することは、結社の
自由と利益を表明する自由が、これを助長するものであるし、もし、市民にして満足していないものがあるとすれば、か
れは自己の主張をおしすすめるべく自らの結社を組織するという自由がある﹂ということで形象化された民主主義の政治
・︵10︶
的組織に対する、アメリカ合衆国における民衆の一般的信念の内在を裏付けとするものであろう。もちろん、これは合衆
国におけるように民衆の多くがいかなる階級に帰属するかを自覚していないような、いいかえれば帰属意識の同質性の存
︵11︶
在するところにおいてはじめて可能になると思われるのである。
ところで、キーが圧力団体の活動を﹁地理的な区分にもとずく投票者群によって選出された、代議員の能力をこえた代
表機能を遂行することによって、わが国の形式的政治組織におけるギャップを埋めるものである﹂とし、また﹁もし昆衆
の諸願望にこたえることが民主々義における政治の義務であるとするならば、これらの諸願望をみたすべき手段が見出さ
.れなければならない﹂とい強どき、この見解からも知られるごとく、アメリヵ合衆国における圧力団体の活動は、現代に
おける政党“代議制のよくなしえざるところを補完するという機能を果すものとして考えられる。そしてまたこのことは
144
(796)
ているのである。共同福祉における利益が、特殊利益流には組織されえないという事実は、共同福祉の存在またはそれを
︵9︶
維持する必要のどちらかをわれわれから隠蔽しないだろう。民主政治そのものが共同利益の究極的な組織なのである﹂と
アメリカ合衆国における圧力団体に関する若1tの考察
アメリカ合衆国における圧力団体に関する若干の考察
アメリカ合衆国におけるおびただしい数の圧力団体は、そのいずれもがアメリヵの政党11代議制を否定するものではない
といってもよく、先述のごとく、合衆国政党の政策の貧困性に原因する媒介的機能の減退に際しての、まさしくアメリカ
的な適応を示すものともいえよう。そのことは根本的には、それらのいずれもが体制の肯定の上に成立しているというこ
とを前提とするものである。F・G・ウィルソンが﹁もし個人や諸集団が直接に政治に訴えるならば、このことは政党の
責任を弱化せしめるかもしれないが、政治に対する民衆の一般的支持を弱化せしめることはない。実際に、政治に附加的
な支持を集めようとするところのものは、国家をして進歩をもたらすのに有効な機関とするに役立つものである、直接的
訴えが民主答の間接的な欝の周辺寡ゆんでいるとす・ならばどの・とは政党を弱化す・だけで馨﹂という見解
をのべるとき、同様のことが意味されている。
したがって、この国においては馬圧力団体と政党とを区別するところのものは、この意味での政策面の強調にスポット
があてられるのであると思われる。つまり、.この点に関してキーは、およそ、かくのごとくアメリカ政治における重要な
役割を果す圧力団体と政党との機能的区別は、しばしば前者が政策面にのみ関与し、後者が公職選挙にのみ関与するとい
う点に求められているが、この区別はあまりにも単純にすぎる、と一応いう。つまり実際には、圧力団体といえども公職
選挙に関心をもたないというのではないからであって、それが政党と異なるのは、脚候補者の指名ど支持に責任をとらない
という点にある。同様に政党も公的政策に無関心であるはずはなく、’むしろ公共政策という点では政党指導者は強い信念
をいだいているものである。だが、圧力団体の場合は、政策面に関する態度が自己の特殊利益にもとずいた政策に固着さ
れるという点が注目されるので馨・とい・ているのである。また・の・とは、トル←ンの﹁特定の肇を推導る
(797)
145
際の主導権は明らかに七ばしば圧力団体によってとられるのだが、政党と圧力団体の両者の機能的関係は同一なのであっ
て、いかな全力団体といえども多数を動員する装置としての政党に、と・てかわ・たものはないしどの政党と圧力団体
という二つの型の集団は相互依存的なのである﹂という見解によっても知られるものと思われる。その意味でメリアムの
︵15︶
﹁以上考察を加えてきた社会諸集団と諸統治体の常に必要とすることがらの一つは、それらの間における、またそれらと、
それら諸集団がその部分であるヨリ大きな共同社会の共通の利益との間における、そして時には、それら諸集団とそれら
自身の成員との間における、一つの認溶きれた秩序ある関係を維持することである、強制と協力の双方が、これらの集団
問諸関係を発展させゑめに用い牡れるかもしれない。あるいは、政治社会のもちいうるその他の諸方途が利用されるか
もしれない。これらの諸団体や諸集団が、自律的か自足的であるかぎりでは、政治機構は協力的方途、あるいは力の強制
の何れの形ででも、それらに関係した咲それらのために禦してやる・とはない・しかし・家族や職能団体やまた教会
やは、公分母を、つまり共通の利益の代表者を必要とする。そしてこのことは、政治社会の諸影響力と諸方途とが果すこ
となのである。ここに統治憐の基礎の一つがある﹂という言葉犀は意義深いものがあろう。
︵16︶
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アメリカ合衆国における圧力団体に関する若干の考察
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アメリカ合衆国における圧力団体に関する若干の考察
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C・ミルス﹁ホワイト・カラー﹂杉政孝訳、創元社、二七三頁
く°O°訳①ざ写乙堵勺゜H刈吟 ・ .
ζ曽Hく①さミ。σohO。く①ヨヨ①5♂秋永訳﹁政府論﹂上巻二五九ー二六〇頁
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