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「集める」寄付から「助ける」寄付に 洗足学園中学校 2年 越前屋 桃子

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「集める」寄付から「助ける」寄付に 洗足学園中学校 2年 越前屋 桃子
「集める」寄付から「助ける」寄付に
洗足学園中学校 2年 越前屋 桃子
発展途上国の子供達には、不足している物がたくさんあります。食べ物や医療器具、洋
服や勉強道具。最近はこれらのものを買うために、様々な店、学校などで募金やベルマー
ク集めが行われています。しかし、集まるお金やベルマーク、エコキャップやプルタブの
数は決して多くはなく、不足しているものをすべて買うことはできません。そして、寄付
をした人も、誰に、どのような物を買うためなのか知らないということもあるのではない
でしょうか。
私は、寄付をする物の資金を集めるのではなく、寄付する物を直接集めるべきではない
かと考えています。もちろん、食べ物は腐ってしまうし医療器具は高価で個人で買うこと
はできません。だから、そういった物は募金やエコキャップの回収を行うしかありません。
でも、その他の洋服や靴、勉強道具はどうでしょうか。今の時代、特に日本人女性の洋服
所持数の平均は約160着、そしてその7割は着ない服と言われています。勉強道具も同
じようです。私立で女子校ということもありますが、私の学校で不用文房具の回収を行っ
た所、ものすごい数のボールペンやマーカー、鉛筆や消しゴム、さらには筆箱や色鉛筆、
クレヨンなど、様々な物が集まりました。鉛筆は多くが未開封、未使用の物で、筆箱を1
人で7個ほど入れている生徒もいました。使わない文房具があり、その中でもわざわざ学
校に持ってきてくれた物でもこれだけあるのです。全員が持ってきたらどれほどの数にな
るのでしょうか。
このように寄付する物を直接集めれば、寄付する物を買うまでの手間や時間も減ります
し、募金などのお金やベルマーク、エコキャップを、本当にそれでしか買うことができな
い物に有効活用することができます。そして寄付をした側も、自分がどんな「助け」をし
たかがはっきり分かります。
ある小学校で、生徒たちの保護者が、集めたベルマークの整理をしました。2日間のべ
60人で3時間行い、ベルマークの合計価値は6000円。そこであるお母さんが「私が
6000円払うのでこの作業をやめませんか。」と言ったそうです。いそがしい日常の中
で学校に来て労力と時間を消費するよりもお金を消費した方が良いと思ったとのこと。他
の学校でも「PTAの会費を上げればいい。」などの意見があった様ですが、いずれも却
下されています。労力も時間もかからずに効率が良いのになぜだめなのでしょう。こうい
ったことからも、最近の寄付は、「役立つこと」よりも「集めること」を重視してしまっ
ているのではないでしょうか。
「集めること」は、寄付の本来の目的である「役立てること」へのただの過程にすぎま
せん。過程で満足してしまっていることが多いからこそ、寄付をする側も、結局自分が何
に貢献したのか分からないということが起こるのではないでしょうか。「他人を助ける」
という本来の目的を忘れつつある寄付のあり方をもう一度見直し、「集める」のではなく
「役立てる」寄付に戻ること。そしてそれが途上国の子供達を本当に幸せにできることを
願っています。
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