...

直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS) のLC/MS分析と環境

by user

on
Category: Documents
17

views

Report

Comments

Transcript

直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS) のLC/MS分析と環境
三重保環研年報
第 6 号(通巻第 49 号),65-70 頁(2004)
ノート
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)
のLC/MS分析と環境濃度について
佐来栄治,早川修二
A Study of Linear Sodium Alkylbenzenesulfonate LC/MS analysis and
environmental concentration.
SARAI Eiji and HAYAKAWA Shuji
液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)を用いて直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS,
同族体 5 種)について測定法の検討と河川環境調査等を行った.環境庁(現,環境省)が示した分析法
1)
では移動相にアセトニトリルを使用していたが,移動相をメタノールに変えても LAS を良好に測定す
ることができた.河川調査の結果,対象としたデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム,ウンデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム,ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム,トリデシルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム,テトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの 5 物質とも,河川水,底質中から検
出された.LAS の水中での分解試験を行ったところ,5 物質とも速やかに分解し,水中での残留が少
ないことがわかった.
キーワード:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS),LC/MS,陰イオン界面活性剤
はじめに
位であることから現在でも環境中に LAS 等の陰イオン
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(以下
界面活性剤が放出されていると思われる.今回, LAS
LAS と略)は,陰イオン界面活性剤(水に溶けたときに,
の分析法 (以下分析法と略)として平成 12 年に環境
陰イオンに電離する界面活性剤)である.界面活性剤と
庁(現,環境省)から示された「要監視項目等調査マニュ
は,1分子中に油になじみやすい親油基と,水になじみ
アル」を参考にして, LAS の環境濃度(河川水,底質
やすい親水基とを有する化合物で,親水基が水中で 1)マ
中濃度)の測定と水中での分解性について検討を行った
イナスに乖離するもの 2)プラスに乖離するもの 3)pH
ので報告する.
1)
によりマイナスに乖離したりプラスに乖離するもの 4)イ
調査方法
オンに乖離しないものの4種に分類されている.その物
性は,表面張力を低下させる性質のほかに,浸透性,湿
潤性,乳化性,気泡性,分散性等の多くの特異的な性質
1.調査対象物質
調査対象として以下に示す 5 物質を対象とした.
があり,特に洗浄能力を利用して家庭では洗濯用あるい
1)デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS-C10)
は台所用合成洗剤として広く使用されている.陰イオン
2)ウンデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
界面活性剤には,側鎖型アルキルベンゼンスルホン酸ナ
トリウム( ABS), LAS,α -オレフィンスルホン酸ナト
リウム (AOS),アルキルエーテル硫酸エステルナトリウ
ム (AES),アルキル硫酸エステルナトリウム (AS)等があ
る.
わが国では,ソフト化(微生物による分解が良いもの)
(LAS-C11)
3)ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS-C12)
4)トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム (LAS-C13)
5)テトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
(LAS-C14)の直鎖アルベンゼンスルホン酸及びその塩
の行政指導が行われ,ABS は LAS に替わり,また,LAS
より更に分解されやすい AOS,AS,AES 等の生産量も
増加している.平成 10 年度の界面活性剤の生産量をみ
ると,年々減少しているものの陰イオン界面活性剤が 1
2.調査対象河川
図1に示した三重県北部の三滝川,大井の川(天白川)
と支流の雨池川,鈴鹿川,金沢川の下流を対象とした.
討する方法.
4.試験操作
水質試料:試料水 500mL をコニカルビーカーに分取
後,全自動固相抽出装置を用いて 16mL/min の速度で固
相抽出カートリッジに対象物質を通水捕集し,通水後
10mL の精製水でカートリッジを洗浄する.その後バッ
クフラシュでメタノール 5mL を用いて溶出を行った.
溶出液は,加温(約 40 ℃)しながらゆるやかに窒素ガス
を吹き付けて約 0.2mL に濃縮後,メタノールで 1mL に
メスアップし,フィルターでろ過後, LC/MS 測定試料
とした.
図1
2)
調査対象河川
底質試料:前報 に示したとおり,湿泥(小石,貝類,
動植物片などの異物を除いた後,孔径 1mm のふるいで
3.試薬・器具・装置
ふるいわけたもの)10g と珪藻土 10g をガラス製乳鉢を
試薬
用いて均質に混合し抽出セルに詰め,メタノールを用い
対象物質:Dodecylbenzenesulfonic Acid Sodium Sal
て高速溶媒抽出をおこなった.溶出液をメタノールで
t(soft type)
東京化成(市販の調査対象物質は,5 種
類の混合物のためMSの測定条件を検討後,FIA法(フロ
60mL にメスアップ後,その 1mL を分取し,フィルター
でろ過後,LC/MS 測定試料とした.
ーインジェクション法 :注1)により濃度比の決定を行
5.分解試験
った.)
サンプリンした河川水試料について,経過日数
n-ヘキサン,アセトン:和光純薬製残留農薬分析用
メタノール:関東化学社製液体クロマトグラフ用
(0,1,3,5,8 日 )毎に試料水 500mL を分取し試料中の LAS
精製水:蒸留水製造装置の蒸留水を全ガラス製蒸留器
濃度の測定を行った.
で2回蒸留したもの.
検討 結 果 お よ び 考 察
試料採水ビン,コニカルビーカー等ガラス器具:使用
1 . LC/MS 分 析 条 件 の 検 討
前にアセトン,n-ヘキサンで洗浄したもの.
珪藻土:Kieselguhr(Merk社製)Particle size 160μ
1.1
イオン化条件の検討
分析法では,移動相の条件として 10mM 酢酸アンモ
m 90% through.
固相抽出カートリッジ:Sep-Pak Plus ODS,同 PS-2(W
ニウム水溶液:アセトニトリル= 35:65 であったが,
aters社製)を使用前に,メタノール 10mL および精製水
今回は 20mM 酢酸アンモニウム水溶液:メタノール=
20mL でコンディショニングを行ったもの.
1:1の条件で,FIAによる MS のイオン化条件(キャ
器具及び装置
ピラリー電圧およびフラグメンター電圧)について検討
を行った.
LC/MS:Agilent Technology 社製 1100 シリーズ
高速溶媒抽出装置:日本ダイオネクス株式会社製
AS
抽出セル:容積 33ml ステンレス製のセルの底にセル
ロースフィルターを詰め,使用前に高速溶媒抽出装置を
1.1.1
キャピラリー電圧の検討
図2にフラグメンター電圧(150V)を一定とし,キャピ
ラー電圧を 2,000 ∼ 5,000V まで 1,000V づつ変化させた
用いて洗浄を行ったもの.
全自動固相抽出装置:Zymark 社製 オートトレース
MS 条 件 は , 分 析 法 に 示 さ れ た 検 出 モ ー ド ( ESI
negative)で行い,Scan 法で測定を行った.
E-200
TM
SPM
フィルター:セルロースアセテート製の孔径0.20μm
のもの(ADVANTEC製)
注1) FIA 法(フローインジェクション法):LC/MS
において試料を,直接 MS 部に導入して測定質量数,フ
ラグメンター電圧,キャピラリー電圧等の分析条件を検
場合の LAS のマススペクトルを示した.どのキャピラ
リ ー 電 圧 に お い て も , LAS 各 同 族 体 の 定 量 イ オ ン
LAS-C10 m/z=297,LAS-C11 m/z=311,LAS-C12 m/z=325,
LAS-C13 m/z=339, LAS-C14 m/z=353
が測定された.
キャピラー電圧が高いほど,マスフラグメントイオン強
度も若干高くなる傾向にあった.
図3に,LAS-C10 についてキャピラー電圧を 2,000 ∼
5,000V まで 1,000V づつ変化させ,フラグメンター電圧
も 0 ∼ 300V まで 50V づつ変化させた場合の感度変化を
150000
示した.キャピラリー電圧が 2,000V では少し感度が悪
120000
た.
他の LAS-C11 ∼ 12 についてもほぼ同様の結果であっ
た.
ピーク面積
いものの,他の電圧についてはあまり差は見られなかっ
5000V
4000V
3000V
2000V
90000
60000
30000
今回の測定では,キャピラリー電圧を 5,000V とし
たが,今後は 4,000V でも支障がないと思われる.
0
0
1.1.2
100
200
300
フラグメンター電圧(V)
フラグメンター電圧の検討
図4に,キャピラー電圧(5,000V)を一定とし,フラ
図3
400
キャピラリー電圧とピーク強度の関係
グメンター電圧を 0 ∼ 200V まで 20V づつ変化させた場
合の LAS-C10 ∼ C14 の感度変化を示した.
600000
その結果,フラグメンター電圧 140V 付近で感度が最
500000
ピーク面積
大となった.
3 2 5 .1
Max: 31230
5000V
Max: 31230
200000
3 3 9 .2
0
0
3 5 3 .2
3 2 6 .1
2 9 7 .1
1 8 3 .0
3 1 2 .2
40
20
C11
C12
C13
C14
C15
300000
100000
60
3 4 0 .2
80
3 1 1 .1
*MSD 1 SPC , time =7 .59 2 of F:¥D ATA¥03LAS0 1¥L -MX2105 .D API- ES N eg ativ e
10 0
400000
100
200
フラグメンター電圧(V)
300
0
Max: 28088
4000V
m/z
図4
フラグメンター電圧とピーク強度の関係
Max: 28088
3 3 9 .2
80
350
3 2 5 .2
100
3 1 1 .1
150
200
250
300
*MSD 1 SPC , time=3.545 o f F:¥D ATA¥03LAS01¥L- M9250 8.D API- ES N e gativ e
表1
3 5 3 .2
3 4 0 .2
20
3 2 6 .1
2 9 7 .1
1 8 3 .0
40
3 1 2 .1
60
0
350
m/z
Max: 23958
1 8 4 .0
20
3 5 3 .2
40
2 9 7 .1
1 8 3 .0
60
3 4 0 .2
3 3 9 .2
3 2 5 .1
3 2 7 .1 3 2 6 .2
Max: 23958
3000V
80
3 1 1 .2
10 0
3 1 2 .1
150
200
250
300
*MSD 1 SPC , time =1 0.6 20 of F:¥D ATA¥03LAS01 ¥L- M9250 8.D API- ES N e ga tiv e
0
3 1 1 .1
3 2 5 .2
3 1 2 .1
3 2 6 .2
150 1 SPC , time =1 7.7200
250¥L- M9250 8.D API30
0 N e ga tiv e
*MSD
43 of F:¥D ATA¥03LAS01
ES
10 0
35 0
m/z
Max: 22065
Max: 22065
2000V
20
2 9 7 .1
1 8 4 .0 1 8 2 .9
40
1.1.3
0
15 0
20 0
図2
25 0
30 0
350
キャピラー電圧の違いによる
マススペクトルのパターン
LC 条件
・カラム:Inertsil C8 (250 × 2.1mm, 3 μ m)
・流速 :0.2mL/min
・移動相:20mM酢酸アンモニウム水溶液/メタノール
=17/83
・カラム恒温槽:40℃
・注入量:10μL
MS(質量分析計)条件
・検出モード:ESI negative
・乾燥ガス:N2(350 ℃,10L/min)
・ネブライザー圧:50psig
・フラグメンター電圧:140V
・キャピラリー電圧:5000V
・測定質量数:LAS-C10 297.1
LAS-C11 311.1(312.1)
LAS-C12 325.1(326.2)
LAS-C13 339.2(340.2)
LAS-C14 353.2
3 5 3 .2
60
3 4 0 .2
3 3 9 .2
80
LC/MS分析条件
m/z
測定条件
これまでの検討の結果, LC/MS 条件として表1に示
す条件が得られた.
以後の測定は,表1の LC/MS 分析条件のとおり行っ
た.
1.2 標準溶液の濃度比の決定
表2に分析法
た.分析法
1)
1)
4000000
に示された値と今回の測定結果を示し
0
0
0
9000000
面積
9000000
6000000
y = 249197x
0
34.5
32.6
LAS-C13
31.8
34.4
LAS-C14
17.7
17.6
8000000
LAS-C15
6.0
6.9
6000000
20
40
0
60
40
60
面積
%)
LAS-C14
y = 232214x
図6
4000000
MSD1 297, EIC= 296.8:297.8 (04LAS03¥038-4201. D) API-ES Negative
LAS-C10∼14
の検量線
2000000
0
0
LAS-C10
100000
20
注入量(ng)
注入量(ng)
(単位
150000
y = 249725x
0
0
LAS-C12
6000000
3000000
3000000
8.4
20
40
注入量(ng)
LAS-C13
12000000
測定結果
10.0
LAS-C10
20
12000000
面積
LASの分析法と測定結果の構成比
分析法
10
注入量(ng)
LAS-C12
度の定量には測定結果の割合を用いて行った.
1)
y = 289582x
2000000
0
に示された LAS の構成比(LAS-C10 ∼ 14
6000000
4000000
2000000
の割合)とは若干異なったが,今回の河川水,底質中濃
表2
8000000
y = 330539x
面積
モル比等から各濃度比を求めた.
LAS-C11
12000000
10000000
6000000
面積
それぞれのフラグメントイオン強度(同位体を含む)と
LAS-C10
8000000
LAS 標準液(C10 ∼ 14 の混合物)を,FIA で測定し,
20
注入量(ng)
40
50000
0
6
8
10
12
14
16
MSD1 311, EIC= 310.8:311.8 (04LAS03¥038-4201. D) API-ES Negative
400000
18
mi
3.固相捕集カートリッジ(前処理)の検討
LAS-C11
300000
Sep-Pak Plus ODS および PS-2 を用いて検出下限値と
200000
100000
回収率の検討を行った.
0
6
8
10
12
14
16
MSD1 325, EIC= 324.9:325.9 (04LAS03¥038-4201. D) API-ES Negative
18
mi
表3に,分析法
LAS-C12
300000
1)
に示された水質の目標検出下
限 値 ( μ g /L ) と 今 回 算 出 し た 検 出 下 限 値 を 示 す .
200000
100000
0
6
8
10
12
14
16
MSD1 339, EIC= 338.9:339.9 (04LAS03¥038-4201. D) API-ES Negative
200000
18
mi
表3
検出下限値の比較(水質)
LAS-C13
150000
100000
50000
1)
0
6
8
10
12
14
16
MSD1 353, EIC= 352.9:353.9 (04LAS03¥038-4201. D) API-ES Negative
60000
18
mi
18
mi
LAS-C14
40000
20000
0
6
図5
8
10
12
14
16
LAS-C10
LAS-C11
LAS-C12
LAS-C13
LAS-C14
分析法
0.2
0.2
0.2
0.2
0.2
測 定 結 果
ODS
PS−2
0.005
0.004
0.007
0.016
0.025
0.027
0.031
0.019
0.001
0.001
標準物質のイオンクロマトグラム
(単位 μ g/L)
2.検量線の作成
図 5 に , LAS の 標 準 液 (混 合 物 ) の イ オ ン ク ロ マ
ト グ ラ フ を 示 し た . ま た , 図 6 に は LAS-C10 ∼ 14
の 検 量 線 を 示 し た . LAS-C10 17ng, LAS-C11 34ng,
LAS-C12 37ng, LAS-C13 40ng, LAS-C14 27ng まで良好
な検量線が得られた.
な お , LAS-C14 に は 空 試 験 で ブ ラ ン ク が な か っ
た の で , 装 置 検 出 下 限 値 (IDL,n=7) か ら 算 出 し ,
LAS-C10 ∼ 13 に つ い て は 空 試 験 で ブ ラ ン ク が あ っ
た の で ,分 析 法 検 出 下 限 値 (MDL,n=6) か ら 算 出 し た .
今回の検出下限値は,分析法
1)
に比べ良好であ
り , 水 試 料 に つ い て は , 0.1 μ g/L , 底 質 試 料 に つ
い て は , 0.5 μ g/g,dry を 検 出 下 限 値 と し た .
表 4 に , 3回蒸留水と河川水に LAS の標準液(1µg)を
添加して Sep-Pak Plus ODS および PS-2 カ ー ト リ ッ ジ
表5
河川調査結果(水質)
を用いた回収試験の結果を示す.
その結果,両カ ー ト リ ッ ジ と も LAS の直鎖が長く
なると回収率が減少する傾向にあり,3回蒸留水と河川
水とも Sep-Pak
Plus
金
沢
川
PS-2 カ ー ト リ ッ ジ の ほ う が ,
Sep-Pak Plus ODS カ ー ト リ ッ ジ に 比 べ 回 収 率 が 若 干
鈴
鹿
川
良好であった.
し か し な が ら , 河川環境中のノニルフェノールエト
キシレート(非イオン界面活性剤)の LC/MS 分析
3)
と
トの回収率が良好であった Sep-Pak Plus ODS カ ー ト リ
雨
池上
川流
︵
の同時分析を考慮して,ノニルフェノールエトキシレー
大
井
の
川
LAS-C10
LAS-C11
LAS-C12
LAS-C13
LAS-C14
LAS-total
LAS-C10
LAS-C11
LAS-C12
LAS-C13
LAS-C14
LAS-total
LAS-C10
LAS-C11
LAS-C12
LAS-C13
LAS-C14
LAS-total
LAS-C10
LAS-C11
LAS-C12
LAS-C13
LAS-C14
LAS-total
LAS-C10
LAS-C11
LAS-C12
LAS-C13
LAS-C14
LAS-total
LAS-C10
LAS-C11
LAS-C12
LAS-C13
LAS-C14
LAS-total
︶
ッジを用いることとした.
︵
雨
池下
川流
(単位
4.
三
滝
川
河川水中濃度
表6
金
沢
川
表.5 に,平成 15 年 10 月∼平成 16 年 7 月に行った河
川調査結果を示す.
対象物質とした 5 物質が検出され,LAS-C11, 12,13
H16.1
12
50
77
8.0
0.91
150
2.9
9.7
9.5
0.89
nd
23
5.0
17
19
1.8
0.17
43
1.8
5.3
4.5
0.19
nd
12
H16.2
16
39
28
1.4
nd
83
3.2
9.2
8.3
0.56
nd
21
2.0
5.5
3.7
0.13
nd
11
H16.3
8.8
24
25
2.2
0.28
60
1.8
6.4
5.7
0.29
nd
14
7.8
22
20
1.6
0.19
52
0.58
2.1
2.9
0.16
nd
5.8
鈴
鹿
川
の検出濃度が高く, LAS-C14 が低い傾向が見られた.
LAS-C10
LAS-C11
LAS-C12
LAS-C13
LAS-C14
LAS-total
LAS-C10
LAS-C11
LAS-C12
LAS-C13
LAS-C14
LAS-total
H16.2
6.4
17
14
6.6
nd
44
0.40
1.5
0.99
nd
nd
2.9
H16.6
12
50
77
8.0
0.91
150
2.9
9.7
9.5
0.89
nd
23
LAS-C10
LAS-C11
LAS-C12
LAS-C13
LAS-C14
LAS-total
LAS-C10
LAS-C11
LAS-C12
LAS-C13
LAS-C14
LAS-total
大
井
の
川
三
滝
川
金沢川
∼ 140,LAS-C14 nd ∼ 0.91 μ g/L であった.
4.2
C10
C11
C12
C13
C14
50
40
30
20
10
差はあったが濃度レベルは同程度であった.
表6に,平成 16 年 2,7 月に行った河川調査結果を示
出傾向が違っていた.底質中濃度についても名古屋市の
LAS の調査結果と比べると水中濃度と同様,濃度レベ
図7に,金沢川,雨池川,大井の川の河川水中におけ
10
0
16
16
12
8
4
5
経過日数(日)
10
12
0
0
5
経過日数(日)
大井の川
20
図7
る LAS の分解曲線を示した.
4
20
ルは同程度であった.
5.分解実験結果
5
経過日数(日)
濃度(μg/L)
が, LAS-C11, 12 の検出濃度が高く水試料とは若干検
8
雨池川 下流
濃度(μg/L)
水試料と同様に,対象物質とした 5 物質が検出された
12
0
0
す.
μg/g,dry)
16
0
河川底質中濃度
H16.6
5.0
17
19
1.8
nd
42
1.8
5.3
4.5
nd
nd
12
雨池川 上流
濃度(μg/L)
(2.1 ∼ 300 μ g/L)の比較を行ったところ,最高値に
H16.2
nd
0.95
0.60
nd
nd
1.6
nd
1.5
1.5
0.89
nd
3.9
20
60
濃度(μg/L)
4)
H16.7
4.0
6.3
9.3
2.9
0.07
22
0.78
1.3
0.52
0.10
nd
2.7
3.2
6.8
5.5
2.0
nd
17
4.4
9.9
7.3
2.4
nd
24
-
μ g/L)
(単位
∼ 72 μ g/L,LAS-C12 0.52 ∼ 77 μ g/L,LAS-C13 0.13
査結果 (水中検出範囲 1 ∼ 667 μ g/L)と今回の結果
H16.6
20
52
43
16
0.45
130
0.98
2.5
1.8
0.47
nd
5.8
5.8
14
12
4.5
0.12
37
9.5
15
8.7
2.5
nd
36
7.8
17
16
5.9
0.15
47
1.3
3.4
2.6
0.69
nd
8.0
河川調査結果(底質)
検出範囲は,LAS-C10 0.39 ∼ 12 μ g/L,LAS-C11 0.95
また,名古屋市の LAS(LASC-10 ∼ 14 の合計)の調
H16.5
18
52
51
110
0.67
230
21
72
70
140
0.75
300
3.5
7.6
9.9
19
nd
40
8.8
28
26
61
0.30
120
-
(単位
%)
調査結果
4.1
︶
LASのODS,PS-2カートリッジからの回収率
ODS
PS−2
3回蒸留水 河川水 3回蒸留水 河川水
LAS-C10
93
94
98
98
LAS-C11
100
64
102
76
LAS-C12
106
55
111
71
LAS-C13
98
56
125
79
LAS-C14
52
35
76
41
表4
H15.10
6.4
17
14
6.6
0.22
44
0.40
1.5
0.99
0.34
nd
3.3
0.34
0.95
0.60
0.24
nd
2.1
0.39
1.5
1.5
0.89
nd
4.3
10
8
4
0
0
5
経過日数(日)
10
金沢川,雨池川,大井の川の各河川水を
用いたLASの分解曲線
各物質とも何れの河川水でも速やかに分解することが
示され,河川水中に放出された LAS は,速やかに分解
することが示唆された.
まとめ
LC/MS を用いて LAS の分析および河川の環境調査を
行った結果、以下の知見が得られた.
1)FIA で LAS のイオン化条件を検討した結果,20mM
酢酸アンモニウム水溶液:メタノール=1:1の条件で
測定可能であった.
2) LAS のイオン化条件は,キャピラリー電圧による
イオン強度の差は大きかったが,フラグメンター電圧に
よる差は小さかった.今回,フラグメンター電圧 5,000V
で行ったが,4,000 あるいは 3,000V でも測定に支障がな
いと思われた.
3)固相抽出カ ー ト リ ッ ジ Sep-Pak Plus ODS, PS-2 に
ついて LAS のブランクおよび回収試験を行った.その
結果ブランクは同程度であったが,回収率は Sep-Pak
Plus
PS-2 のほうがやや良好であった.しかしながら,
ノニルフェノールエトキシレートとの同時分析のため,
実際には Sep-Pak Plus ODS を用いて測定を行った.
4)河川環境中(水,底質)から,対象とした LAS-C10
∼ 15 が検出された.水中では,LAS-C11,12,13 が高く,
底質中では,LAS-C11,12 が高かった.
5)分解試験を行ったところ河川水の種類によらず,対
象物質の LAS-C10 ∼ 14 は,速やかに分解することがわ
かった.
今回,河川環境中で LAS の濃度がどの程度であるか
LC/MS を用いて分析を行い,LAS の河川環境中でのお
よその濃度を知ることができた.今後は、AOS,AES,AO
等他の陰イオン界面活性剤や家庭用洗剤、シャンプー中
の陰イオン界面活性剤とそれらの河川濃度の関係につい
ても調査し汚染の実態等を把握していく必要があると考
える.
文
献
1) 環境庁水質保全局水質管理課「要調査項目等調査マ
ニュアル(水質,底質,水生生物)」平成12年12月
2) 佐来栄治,早川修二,山川雅弘:高速溶媒抽出装置
を用いた河川底質中のノニルフェノール,ビスフェノ
ールAなどの分析について,3,82-93(2001)2
3) 佐来栄治:河川環境中のノニルフェノールエトキシ
レート(非イオン界面活性剤)のLC/MS分析,未発表
4) 小島節子,渡辺正敏:名古屋市内の水環境中のアル
キルフェノールポリエトキシレート(APE)および分解
生成物の分布,水環境学会誌, 21 ,5,302-309(1998)
5) 日本水環境学会「水環境と洗剤研究会委員会」編 :
非イオン界面活性剤と水環境,技法堂出版,(2000)
Fly UP