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164
November 2015
金沢医科大学医学会 40 周年記念式典
■トピックス
いま、地域医療は
三位一体の本学の初年次教育
■学事
平成 27 年度医学部編入学生入学宣誓式
第 43 回解剖体合同追悼慰霊祭
■学生の頁
医学部第 2 学年看護体験実習・報告会
第 44 回内灘祭
■国際交流
ソノマ大学・オークランド大学夏期
語学研修報告
■学術
金沢医科大学医学会
第 41 回総会、第 51 回学術集会
第 32 回環太平洋外科系学会日本支部
学術大会
■病院
第 36 回連携病院会議
平成 27 年度防災講習会・災害訓練
■金沢医科大学氷見市民病院
栄養関係功労者厚生労働大臣表彰
■管理・運営
一般教育機構長に澁谷良穂特任教授
「医は仁術」併催事業 市民公開セミナー
■教室紹介
解剖学Ⅰ、解剖学Ⅱ、循環器内科学、
呼吸器内科学、消化器内科学
道の機能美
序
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
金沢医科大学医学会
40 周年記念式典・特別講演
日 時 平成 27 年 7 月 18 日(土) 午後 4 時 15 分∼ 7 時
場 所 病院新館 12 階大会議室
金沢医科大学医学会 40 周年記念式典および祝賀会
が、第 41 回医学会総会および第 51 回学術集会に引き続
き開催された。
最初に勝田省吾会長の挨拶があり、医学会の足跡お
よび本学における研究活動の現状報告と、学術研究機
関としてのプレゼンスの向上、サイエンスを楽しむ若
き研究者の育成について抱負が述べられた。続いて竹
越 襄金沢医科大学理事長が来賓を代表して「本学 40 年
の間には幾多の変遷があったにもかかわらず、本会は
常に大学全体の研究の活性化に大いに貢献してきたと
感じるが、改めて時の流れ、そして 40 年の歴史の重み
勝田省吾学長の会長挨拶
祝辞を述べる竹越 襄理事長
を感じる。昨年、本邦の大学には文部科学省の強い指
導のもと大学ガバナンス改革が行われ、各大学では個
そこではハイブリッド手術等の術式の多様化、低侵襲
性に富んだ特色ある大学像造りが始まっている。本学
化や再生医療と外科手技との集学的治療の事例、また、
においても更なる研究と臨床応用を目的として再生医
先進医療の本質的な価値とそれらをイノベーションに
療センターを建設中であり、今後この中からも世界に
結び付けるためにはトランスレーショナルリサーチの
向けて研究成果が発信されていくものと確信している。
推進が不可欠となるなど、それぞれ具体的な例を参考
特定機能病院の承認には病院所属医師等による年間 70
にあげて解説された。講演のあと、活発な討論が行われ、
編以上の英語論文の提出要件が課せられたこともある
大学の研究活動の発展・活性化には、研究者個々のレ
が、そのミッションを明確にして本学の教育、研究そ
ベルアップと意識改革に加え、研究者を取り巻くすべ
して診療の質を支え、次の世代の研究者とともに本医
ての環境との連携が不可欠であることを、改めて認識
学会を一層発展させていくことを期待する」と祝辞を述
させられる講演であった。
べた。
特別講演終了後、同階レストランに移動して祝賀会
次に、40 周年を記念した新たな医学会賞の創設につ
に移った。飯塚秀明実行委員長の挨拶のあと、上田善
いて発表があり、40 周年記念事業実行委員長の飯塚秀
道実行委員会副委員長が乾杯の発声を行い祝宴となっ
明副会長から、
「医学会が 40 周年を迎えた今、次の 10
た。眼下にみえる美しい河北潟の景色とアトラクショ
年を見据えて、本学から世界に向けて強く発信してい
ンとしての本学クラシック音楽部の演奏が流れる中、
けるよう創設するもので、主要な国際学術雑誌である
歓談の雰囲気は盛り上がり盛況裏に終了した。
Nature、Cell、Science 等に掲載された論文を金沢医
科大学医学会賞として表彰し、また副賞として 100 万
式典・講演は、本学ホームページ「ライブ・VOD 」に
て視聴が可能なので、ぜひご覧いただきたい。
円を贈呈する制度である。特に優れた論文を発信して
(40 周年記念事業実行委員長 飯塚秀明記)
いくことは容易ではないが、本学の研究水準をより発
(30 ∼ 32 頁に関連記事)
展させるべく、このような制度を立ち上げることとな
った」との説明があった。
特別講演では、大阪大学大学院医学研究科長、医学
部長の澤 芳樹教授(外科学講座心臓血管外科学)が、
「外科学の新しい価値の創造」と題して大阪大学が取り
組んできた様々な研究活動と施策について講演された。
2
序
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
特別講演
午後 4 時 30 分∼ 5 時 30 分
外科学の新しい価値の創造
澤 芳 樹 先生(大阪大学大学院医学系研究科長・医学部長 )
司会:40 周年記念事業実行委員会委員長 飯塚 秀明
特別講演の澤 芳樹先生
司会を務める飯塚秀明委員長
〈特別講演抄録〉
外科学はより低侵襲に進化する一方で高度化多様化している。TAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)のような新
しい医療技術への対応では、既存の診療科ではなく科を越えた循環器治療体制(Heart Team )の果たす役割が大き
い。医療機器や手術室も進化し、手術時間の短縮により手術室の活用効率が向上し、治療を待つ多くの患者がその
恩恵を得ることができる。
補助人工心臓の成績向上も目覚ましく、ドナーが極端に少ない我が国では心臓移植までのつなぎではなく、欧米
同様最終治療としての適応を考えるべきである。一部の症例では心機能が回復し離脱可能になることもある。
このように心筋の回復という観点から再生医療に取り組んでいる。従来の外科手術と細胞シート移植等のコン
ビネーションによる重症心不全の治療法の開発を進めている。これらイノベーションにはトランスレーショナル
リサーチの推進が不可欠であるが、医薬品開発人材育成環境が不足している。このため医療関係の企業家育成の大
学院修士課程の設置などにも取り組んでいる。中国の春秋時代の管仲の言葉に「一樹百穫」がある。人材育成にも注
力していきたい。
祝賀会
祝賀会
午後 5 時 40 分∼ 7 時 会場:病院新館 12 階レストラン
クラシック音楽部による演奏
3
トピックス
Topics 1
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
いま、地域医療は
金沢医科大学の取り組み
学校法人金沢医科大学理事長 竹
越 襄
金沢医科大学は日本海側唯一の私立医科大学として昭和 47(1972 )年に創立されました。爾来 43 年、地元のみな
らず日本各地の地域医療のお手伝いをさせていただいております。
本学の建学の精神は「良医を育てる」
「知識と技術をきわめる」
「社会に貢献する」であります。良医とは「仁の心」
を持つ医師、すなわち病者に対する思いやりの心、いたわりの心(惻隠の情)を持つ医師であります。大学とは「明
徳を明らかにする」所、すなわち学問を修め、徳を積む所であります。勉強をして、善行を行うことが全ての大学
の使命であります。
このような精神で本学を卒業し医師になった数は 3,800 名以上、看護師は 2,200 名以上にのぼります。残念ながら
医学部卒業後、母校で研修する人が少なく、この地域、各医局とも、医師不足に悩んでおります。しかし最近は以
前に比べ研修医が増え病院に活気が出てきました。将来、准教授や教授を目指す志で奮励努力してほしいものです。
さて、本学は平成 20(2008 )年より富山県の氷見市民病院の指定管理者として経営に携わっております。それま
で氷見市民病院には多額の累積赤字があり、氷見市としては多くの議論を重ねた結果、公設民営に踏み切った訳で
す。新しい教職員の努力のお陰で 3 年目にして黒字に転換しました。病院の新築も行い順調に運営しております。
また、石川県の穴水町の公立穴水総合病院内に能登北部地域医療研究所を開設し、能登方面の地域医療開発に携わ
っております。この氷見と穴水の 2 カ所は無医地区が多く、特に高齢者の医療が十分でなく悲惨な結果を招くこと
がありますので、頻繁に訪問して現状を把握する必要があります。氷見に関しては金沢医科大学地域医療学の神田
享勉教授が、穴水では高齢医学科の中橋 毅臨床教授がそれぞれキメの細かい地域医療を展開し、地域に喜ばれてい
るようです。また、本学の医学部・看護学部の学生と研修医の地域医療教育に力を入れております。さらに、他大
学の学生・研修医にも広く門戸を開き、受け入れております。
このように金沢医科大学では本院はもとより能登地区や富山の一部の地区の地域医療の立て直しに貢献するべく
活動しております。今後とも恵まれない過疎地区の医療をいかに支えるべきか、現場から意見を述べてもらいました。
地域医療に何が求められているか
地域医療学教授 神田 享勉
地域医療とは
地域医療とは包括医療(保健予防、疾病治療、後療
民生活に関する世論調査(2014 年、内閣府)では、生活
に不安を感じるが 67% であった。不安内容としては、
法および更生医療)を、地域住民に対してその地域に適
老後の生活設計 58%、自分の健康 50% である。政府へ
した形で社会的に適応し実践することである。そこで、
の要望は、医療年金などの社会保障改革を 69%、高齢
本学に地域で必要な総合医を養成し地域医療を守るた
社会対策を 55% の国民が要望している。日本国民は今
めに地域医療学講座が設けられたのである。必要な医
一番、地域医療の整備を望んでいる。
療をいつでもだれでも受けられることが、地域住民の
ところが、医師数の不足と偏在がある。地方医師の
安心・安全の暮らしに直結するからである。地域医療
不足(地方 175 人 vs. 政令指定都市 255 人 vs. 東京都 308
を実践する病院は、医療と福祉が一体化した保健福祉
人、人口 10 万対)は顕著になっている。取り残された
の拠点となっている。
地域の勤務医は、時間外労働の負担から現場立ち去り
いま、日本になぜ地域医療が必要になったのか。国
4
をしている。次に、家庭医・総合医の不足である。地
【トピックス】
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
域で求められる医師像は、より身近な医師、継続的な
ケアのできるプライマリ・ケア医である。
これまでは、地域医療を守る総合医の育成は大学と
して特に行われなかった。地域の過疎化や高齢化が進
む中、地域医療に対する住民の不安と期待は大きい。
本学の地域医療貢献
本学と地域医療との関連は深い。平成 13 年から全国
に先駆けて大学入試に地域医療貢献を主眼とする AO
入試を開始し、さらに石川県内の指定校推薦を設定し、
地域の医療に貢献する医学生を育成している。初年度
卒業生の県内定着率は 67%と高率であった。学生の出
生地域で医師として働きたいという希望は自然である。
平成 20 年 4 月、地域の拠点病院である氷見市民病院
の公設民営化に伴い、指定管理者として協力を開始し
た。同時に地域医療学講座が氷見に開設され、神田が
初代教授になった。
厚生労働省で始まった地域医療再生基金により、平
へき地診療。患者さんは農家に嫁いで 60 年。学生の手と見比べて
解説する神田教授
成 22 年に本学が穴水総合病院に拠点を置く寄付講座、
能登北部地域医療研究所を設置し、中橋 毅臨床教授に
た。平成 27 年には、医師が予定数の 40 名を超え、医局
よってプライマリー・ケア医の育成が本格化した。
でのスペースが足りない状況になっている。病床稼働
本学の先輩には、地域で必要とされる人材も少なく
率も 70% 前半から 80% 後半と変貌した。氷見市民から
ない。兵庫県立柏原病院小児科の和久祥三先生(H3 卒)
は、
「高齢者のための病院」という認識から、
「全市民の
は小児科を守る会を発足し、地域の小児医療崩壊を防
ための病院」へと、意識改革がおこっている。
いだ。また、病院長として、財政破綻した夕張市の病
これからの地域医療対策を考える
院の立て直しに貢献した村上智彦院長(H5 卒)もいる。
地域の医師会で地域医療に取り組んでいる先輩も多い。
今後の地域医療対策を氷見市民病院の経験から考え
てみたい。
石川県医師会長の近藤邦夫先生(S55 年卒)は本学の入
一番目に地域の「医師連携」である。医師不足に対し
学式では毎年先輩として挨拶してくださっている。ま
地域医師会や卒業生に、夜間の救急対応援助をお願い
た、長年医師会を支えた功績により、天皇陛下から藍
し、実現化できた。常勤医との連携で患者さんの便宜
綬褒章を授与された大島讓二先生(S54 年卒、埼玉県熊
性や医師負担軽減ができる。
谷市医師会副会長)もいる。
金沢医科大学氷見市民病院の取り組み
公立の氷見市民病院を本学が支えることになったス
トーリーを紹介したい。平成 19 年、当病院の累積欠損
二番目には、大学からの「医師派遣」である。特殊な
診療科、たとえば心身医学科、血液内科、形成外科な
どから医師が派遣され、幅広い医療が可能となり、地
域の病院離れを食い止められる。
金が 31 億円となり、市の財政が逼迫したため氷見市民
三番目には、主治医制から「集団管理体制」への転換
病院改革委員会が立ち上がった。病院赤字の要因は病
である。主治医は患者情報を電子カルテに詳細に記載し
院職員の高い人件費にあるとされたが、時代背景には
ておくことで、夜間や休日は、担当の医師がすべてに対
医師の初期研修必修化で地域病院医師の引き上げと医
応する仕組みにする。結果、担当医以外は急な呼び出し
師の集約化があった。
が極端に減少した。これにより、医師のライフワーク・
平成 20 年 4 月金沢医科大学氷見市民病院が 250 床で
開設された。高齢者の多い地域性から病院に留まる患
バランスを大切にでき、若い医師の生きがいを大切に
できると信じている。
者さんが少なくなかった。内科の医師は最高経営責任
物事の成功には、
「人力×志×指導者×動員力×背後
者、副院長を含め 8 名であった。同年 3 月までは 13 名
の力」との公式が成り立つという(山崎豊子の「不毛地
の内科医でやっていた業務である。当直、休日診療も
帯」より)。地域医療の成功は、
「医師の臨床力×情熱×
これに加わり仕事はハードを極めた。金沢医科大学の
大学経営陣×同窓会×政治力」であろうか。日本の地域
名誉をかけスタッフは一丸となっていた。2 年目の平成
医療再生への道筋が本学の経験を通して見えてくると
22 年からは、念願の病院経営の黒字化が達成され、本
思う。今後も後進にこの灯を託したい。
学は地域医療を支えることに自信を深めることとなっ
5
【トピックス】
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
これからの医療を視野に入れて
能登北部地域医療研究所所長・教授 中橋 毅
地域の「健康長寿」に貢献する
では、今現在この地域で問題となっている疾患には
能登半島は古来より里山里海の豊かな恵みを受けて
どのようなものがあるでしょうか。頻度の多い疾患と
おり、それ故ここでの人々の暮らしは世界農業遺産に
しては、糖尿病・高血圧などの生活習慣病、運動器疾
認定されています。それは、能登の自然と一体となっ
患、認知症、肺炎や慢性閉塞性肺疾患などの呼吸器疾
て暮らしてきた日本人の伝統的なライフスタイルであ
患、心疾患などの他、外傷などが挙げられます。しかも、
り、後世に伝えていくべき遺産であるといえます。し
高齢者ではこれらの疾患を複数抱えている方も少なく
かしながら、現在の能登半島は高齢化が進み、人口過疎、
ありません。そこで、これらの疾患に効率よく、しか
医療過疎も進んでいるため、人々の暮らしが脅かされ
も全人的に対応できる「総合診療医」が求められてい
つつあります。医療や介護の環境も例外ではなく、里
ます。このため、能登北部地域医療研究所は公立穴水
山里海の生活を支える生活基盤の安定確保が課題とな
総合病院とともに臨床研修センターを設け、既に日本
ってきています。そのような中、金沢医科大学は 2010
プライマリ・ケア連合学会の専門医育成プログラムを
年 8 月に石川県の寄付講座を受けて、穴水町に能登北部
整備するなどして、地域に貢献できる医師の育成に努
地域医療研究所を設置しました。この研究所は公立穴
めています。この能登における総合診療専門医育成プ
水総合病院内に拠点を置き能登の地域医療に直接携わ
ログラムは、地域のニーズに合わせて在宅医療や看取
るとともに、地域医療実習を始めとする学生の学びの
りまでを含む包括的なものになっています。また、こ
場、総合診療専門医プログラムを軸とする研修医の学
れからの地域医療を考えた場合、地域包括ケアシステ
びの場として、これまでに多くの医学生、初期・後期
ムによる地域ぐるみの健康管理がより重要となると予
臨床研修医を受け入れてきています。このように、金
想されます。そこでは、患者・家族を中心において多
沢医科大学能登北部地域医療研究所は、能登における
くの職種やボランティアが助け合うチームワークが求
地域貢献と良医の育成を両立させるべく歩んでいます。
められるため、高齢化の進む能登北部では異なる職種
全人的医療を提供できる「人材育成」
とも円滑に連携できる人材が必要とされています。そ
さて、輪島市、珠洲市、能登町、穴水町で構成され
こで、能登北部地域医療研究所では穴水町と共同で毎
る能登北部は、高齢化率が 40%を超えています。これ
年「あなみず地域医療塾」を開催するなどして、医師の
は 2050 年の日本の高齢化率の予測値に相当し、日本の
みならず、医療・介護に係わる人材を専門職連携教育
未来が能登に存在すると捉えることもできます。すな
(IPE:Inter-Professional Education )により育てる試
わち、能登北部には将来の日本が今後直面し解決しな
みを続けています。IPE 教育とは、高度に専門化した
ければならない課題が既に現実の問題として存在し、
多職種(医師、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法
これに対応していくことが、これからの日本に求めら
士、言語療法士、放射線技師、検査技師、介護福祉士、
れる医療・介護のあり方を示すことであると考えられ
栄養士、医療ソーシャルワーカーなど)が各々の専門性
ます。
を前提に目的と情報を共有し、互いに連携・補完し合
外来診療研修で聴診する研修医
6
訪問診療研修で血圧を測定する研修医
【トピックス】
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
い医療を行う相互開発教育方法です。学生
や研修医が、卒前からしっかりとした教育
理念に基づいた多職種連携教育を行うこと
の必要性がクローズアップされており、互
いの専門性を理解し、協調的に職務を遂行
できる医療人としての能力を育成するため
に有効な教育手法です。
健康長寿の「ヘルスプロモーション」
これからの高齢社会を乗り切るために
は、非生産人口が増加したことによる地域
の生産性の低下をどのように回復させる
か、ということが課題となると考えられ
ます。このためには出生率の向上や若い
人々の定着促進が必要ですが、それと同時
に 65 歳以上となっても生産性を維持した 訪問診療に同行して
高齢者を多く生み出すことも重要と考えら
れます。すなわち、これまで支えられる側にいた人が、
めには、常に適切な医療・介護が受けられる地域の仕
ひとりでも多く、支える側に立てるよう高齢者の健康
組みも必要となります。能登北部では多病性を有する
寿命維持の活動が求められているのです。穴水町では、
高齢者に全人的に対応するために総合診療医のような
この目的のために平成 25 年度から「健康長寿のまちづ
人材が不可欠ですが、その一方で高度医療が必要とな
くりプロジェクト」が展開されており、能登北部地域
った場合の三次医療機関との医療連携も欠かすことは
医療研究所も初年度からこの取り組みに深く関わって
できません。本学との連携をより一層深め、大学病院
きています。この取り組みを実現させるためには、そ
のもつ先進医療が広く能登全体に貢献できるような連
の対象が主に疾患を有した人であるために従来の一次
携システムの向上も能登北部地域医療研究所の重要課
医療、二次医療、三次医療の枠組みでは十分な効果を
題となっています。そのため、診療現場での人材の交流、
発揮することはできません。健康な人が健康なままで
学術集会での情報交換、各種セミナーなど、本学と連
いるためには、これまでの医療の枠組みを超えて、住
携した取り組みも進められています。
民の健康に介入していく必要があります。この活動は、
世界農業遺産に認定された能登の里山里海の暮しを
地域のヘルスプロモーションと呼ばれ、地域医療にお
支える医療のため、能登北部地域医療研究所は本学の
いて大変重要な活動の一つです。このように能登を活
支援を受けながら穴水町と共に活動を続けています。
力のある高齢社会として発展させるための取り組みが
そして、本学の建学の精神である「良医を育てる」こと
始まっています。
を大切にし、良医が広く地域貢献できることを目指し
安心して暮らせる地域の「医療システムの構築」
て努力を続けています。
このように住み慣れた地域で最後まで安心して暮ら
し続けるためには健康長寿の取り組みが必要になりま
すが、健康寿命に達した後も安心して暮らしていくた
7
トピックス
Topics 2
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
三位一体の本学の初年次教育
Critical Thinking(CT )導入の経過
一般教育機構講師 本田 康二郎
はじめに
さる 7 月 18 日に行われた日本哲学会将来構想特別
委員会の場で、筆者は「金沢医科大学における新科目
設置の経緯と、参照基準への意見」と題する講演を行
い、本学の初年次教育の取り組みを哲学者たちに紹介
した。この様子を伝え聞いた東京新聞の三澤典丈記者
が 8 月 24 日に金沢に来られ、筆者は取材を受けた。こ
の取材に基づいて、10 月 11 日に東京新聞に「問題解決
へ自ら考える力/クリティカル・シンキング(Critical
Thinking:CT )を始めよう/金沢医科大の挑戦」とい
う記事が掲載され、その後同様の記事が北陸中日新聞
(10 月 12 日)、中日新聞(10 月 15 日)に載ることになっ
た。すぐに反響があり、参議院議員の荒井広幸氏(新党
改革代表)が本学を訪問され(10 月 21 日)、筆者と菊地
建至講師(ともに人文科学)がヒアリングを受けること
となった。
このような一連の動きを介して本学の取り組みが先
進的なものとして紹介されたわけだが、この取り組み
は当然一朝一夕で作られたものではなく、本学の長い
伝統の中から生み出されてきたものだ。そこで本稿で
は、これまでの一般教育機構の初年次教育の取り組み
の概略をまとめ、学内に紹介してみたいと思う。
大学基礎セミナー(DKS:Daigaku-Kiso Seminar )
一般教育機構の初年次教育に対する本格的な取り組
みは「医学総論」という科目の導入で始まった(1994 年度
の導入時の呼称は「チュートリアル」で 2002 年に改称)
。
医学総論は東京女子医科大学のチュートリアル講義を
参照して、角家 暁副学長(脳神経外科学教授)の主導の
下で本学に導入された科目である。この科目では、医療
問題や社会問題についてヒントが書かれたシートを数
枚用意する。受講生は 6~7 名のグループをつくり、こ
のシートの展開に沿って、そこに隠されている問題を発
見したり、それに関する不明点や課題を抽出したりしな
がら、グループ討議を行っていく。そして、互いの役割
分担を決め、調査テーマを設定し、翌週までに各自で図
書館やインターネットを活用した調査を行い、結果をハ
ンドアウトにまとめる。2 週目以降は調査結果の発表を
行い、相互学習(教え合い)のスキルを高めていく。
この科目は 2014 年度に「大学基礎セミナー」と名称
を変え、公地宗弘准教授(ドイツ語)を中心に科目運営
がなされている。この科目の特徴は、一般教育機構の
教員のほぼ全て(約 15 名)で取り組んでいるという点に
ある。例年、1 月~3 月にかけて翌年度に用いる教材を
8
開発しているのだ
が、理数系の教員
も文系の教員も隔
てなく草案を会議
の 場 に 持 ち 寄 り、
この中から教材選
定 を 行 っ て い る。
この時、互いの専
門知を出し合いな
がら議論し、選定
した教材の内容を
さらに洗練させて
いく。教材が完成
するまでに数回の
会議を要することもある。こうして、理数系の知と文
系の知を融合させた教材が開発されていくことになる。
多分野の教員が互いのアイデアを出し合いながら一つ
の教材を練り上げていくこの仕組みは、大学から教養
部が廃止されて久しい現在の大学界においては、きわ
めて珍しいものといえるだろう。
アカデミック・スキルズ(AS:Academic Skills )
次に 2012 年度に「日本語表現法」という科目が導入さ
れ、筆者はその担当者として本学に赴任することとなっ
た。この科目の目的は、受講生たちの文章能力を向上
させる点にあった。しかし、単なる作文の練習ではな
く、学術文献の執筆につながるような論理的文章のト
レーニングが必要とされていた。筆者はこれに加えて、
大学史、ノートテイキング、研究倫理、プレゼンテー
ション資料の作り方、プレゼンテーションの方法、学
術文献の検索方法、論文の書式などの内容を盛り込み、
2013 年度に「アカデミック・スキルズ」という新科目を
立ち上げた。
この科目は直ちに大学基礎セミナーとの連携が図ら
れ、学術文献の検索方法については大学基礎セミナー
の導入学習に編入された。また、プレゼンテーション
の練習の機会は、大学基礎セミナーの中で行うことと
なり、プレゼン資料の作成とプレゼン技術については
アカデミック・スキルズが担当することとなった。科
目の主眼である論文作成の練習の段では、大学基礎セ
ミナーで取り上げられた医療問題あるいは社会問題に
深く関連するテーマを与え、両講義を通じて受講生が
重層的に学習を行えるように図った。
論文作成の練習としてこの講義で行う取り組みは、
【トピックス】
受講生が 5~6 名のグループの中で議論しながら、協力
して論文のアウトラインを作成していくことである。
手分けして情報集めをし、ハンドアウトを交換して情
報共有し、議論の流れを構築していく。アウトライン
作成は、論理構成の組み立てを練習するための格好の
素材となる。講義中に作成されたアウトラインを元に
して、実際の論文作成は各個人が夏休みに取り組んで
いく。協力関係が強くできたグループほど、収集する
情報量が増え議論の内容も深くなっていく。このよう
に、アカデミック・スキルズは「競争型の学習」から「協
創型の学習」への転換を図る試みと言うこともできる。
クリティカル・シンキング(CT:Critical Thinking )
導入の経緯
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
の運営実績もある菊地建至講師(人文科学)を迎える運
びとなり、本学に新科目「クリティカル・シンキング」
が導入された。
菊地講師は検討委員会が期待していたとおりの教材
開発を行い、一年生に「早合点するのでなく、常日頃か
らひとの話を聞き、さまざまな意見や疑問を尊重して
聞き、じっくり他者とかかわること」
(教材より)を目
指すよう促す講義を始めた。
夏休み明けには、アカデミック・スキルズの課題とし
て提出されたレポートを講義の中で交換し、クリティカ
ル・シンキングで学んだ批判的思考を活用して互いに
批評し合うという新たな試みを行うことができた。こ
うして、本年より大学基礎セミナーとアカデミック・
スキルズ、さらにクリティカル・シンキングの三つを
連動させた「三位一体の初年次教育システム」を構築す
ることができたのである。
以上のように、DKS と AS の連携システムが構築され
ていったわけだが、身につけてほしい能力を養ってもら
うには十分な時間が確保されているとは言い難かった。
教員側の欲を言えば、学生たちには書いたレポートを互
今後の取り組み―まとめにかえて
いにピアレビューできるぐらいの読解力と論理性を身
この三位一体のシステムはまだ誕生したばかりであ
につけてほしかったからである。そこで、自らの思考
り、今後さらに発展させていく必要がある。大黒柱には、
を批判的に検証する能力を養う科目としてクリティカ
大学基礎セミナーを置き、ここには常に一般教育機構
ル・シンキングの導入の検討を筆者は提案した。2013
の大多数の教員が関わっていく。そしてアカデミック・
年の 11 月のことである。一般教育機構協議会での提案
スキルズとクリティカル・シンキングがこのセミナー
を受けて、勝田省吾学長の指示により筆者を代表とし
を支えていくことで、機構全体が新入生に対して一丸
てクリティカル・シンキング科目導入検討委員会〔松田
となって向き合い、三つの科目の教育効果を高め合う
博男嘱託教授(数学)、田中一郎嘱託教授(科学史)、公
ような仕組みを完成させていくことになるだろう。
地宗弘准教授(ドイツ語)、東海林博樹准教授(生物学)、
さらに、今後はクリティカル・シンキングで涵養し
橋本光正准教授(物理学)、前田雅代講師(化学)、津田
た批判的思考力を継続的に高めていくために、専門科
龍佑講師(体育学)、本田康二郎講師(人文科学)〕が発
目との連携を図る必要が出てくるであろう。現在、有
足し、以降 7 カ月にわたってこの科目の導入の是非を
川智博講師(生物学)が中心となってパイロット授業
議論していくこととなった。
「教養での学びを駆使して科学するプログラムの開発」
委員会では、①一般教育機構の教育目標の再検討、 を始動させている。この取り組みは大学教育学会をは
②一般教育機構の教育理念を学生に伝えるためのメッ
じめ各所で話題となりはじめている二年次教育の実践
セージ文の作成(原案は東海林博樹准教授)、③他大学
例として注目を集める可能性を秘めている。
における CT 科目の実践例の調査、④金沢医大の教育理
一般教育機構は持前のチームワークを活かし、今後
念と CT 科目の整合性の確認、⑤良医の育成の意味の再
も先進的な教育プログラムを開発しながら、大学初年
検討と CT 科目の役割の検討、⑥学習要項「クリティカ
次教育および医学教育の発展に寄与すべく努力を続け
ル・シンキング」の試作、という流れで議論が展開して
ていく所存である。
いった。これらの成果を、
『クリティカル・シ
ンキング科目の導入について』という報告書に
問題発見能力
まとめ、2014 年 8 月 2 日に勝田学長に提出した。
情報収集能力
この報告書の中で特に強調されたのは、ク
プレゼンテーション能力
リティカル・シンキングは単なる論理学とし
ソフトウェア(教材)が
DKS
てではなく、物事を批判的に吟味する態度を
毎年更新される
涵養する科目として設置されるべきであると
いう点であった。この主張の重要性が認めら
れ、結果的に新しい人文科学担当の教員を採
用するための一般教育機構教員選考委員会が
立ち上げられることとなった。
能動的態度
DKS/AS/CT 三位一体の本学の初年次
論理的推論能力
コミュニケーション能力
教育システム始動
文章表現力
ライティング技術
最終的に、一般人にも分かりやすく批判的
AS
CT
思考の方法を教えた経験を持ち、哲学カフェ
9
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
学 事
平成 27 年度
医学部編入学試験
第 1 学年次後期編入 124 名が出願、5 名が入学
得見込みの者を対象としている。
今年度は募集人員 5 名に対して 124 名の出願があり、
9 月 6 日(日)に本学において欠席者 6 名を除く 118 名が、
「外国語(英語)」・「数学」・「小論文」・「面接」の各試験
に取り組んだ。9 月 10 日(木)に合格者 6 名を発表し、5
名が入学した。
医学部編入学試験は文系、理系を問わず、4 年制以上
なお、入学式は 9 月 25 日(金)に執り行われ、この編
の大学を卒業もしくは卒業見込みの者および 4 年制以
入学試験を以て平成 27 年度全ての入学試験が終了した。
上の大学に 2 年以上在学し、62 単位以上修得または修
(入学センター事務課 吉川大貴記)
平成 27 年度
医学部編入学生入学宣誓式
平 成 27 年 9 月 25 日( 金 )午 前 10 時 か ら、
本学本部棟会議室 1 において平成 27 年度医
学部編入学生入学宣誓式が挙行された。
父兄、教職員に迎えられた第 1 学年次後
期医学部編入学生 5 名に対して、勝田省吾
学長から式辞、竹越 襄理事長から告辞が述
べられた。これを受けて、入学生代表の山
田 達明さんが入学宣誓を行った。
(医学部庶務課 川上英悟記)
平成 28 年度
医学部特別推薦入学試験(AO 入試)
317 名が出願、16 名が合格
ている。一般入学試験など学力重視の選抜方式では評
価が困難な学習意欲、医師としての使命感や人間性の
評価に重点を置いて書類選考や面接に十分な時間をか
け人物本位で選抜を行う入学試験である。
第 1 次 選 考 の 書 類 選 考 の 結 果 は 平 成 27 年 10 月 8 日
(木)に発表され、96 名が合格した。第 2 次選考は 10 月
平成 28 年度医学部特別推薦入学試験(AO 入試)は、
平成 27 年 9 月 9 日(水)から 16 日(水)までに出願を受付
け、募集人員 15 名に対して 317 名の出願があり、過去
最高となった。
本学医学部 AO 入試は平成 13 年度入試から導入され
10
18 日(日)に行われ、95 名が本学にて「基礎学力テスト」
と「個人面接」に取り組んだ。
第 2 次選考合格者は 16 名で、10 月 22 日(木)に発表さ
れた。
(入学センター事務課 吉川大貴記)
学 事
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
沢、札幌、東京、名古屋、大阪、福岡)で、受験生や
平成 28 年度
その家族、高校の進路指導教諭等を対象に開催された。
医学部入学試験説明会
総参加者は合計 131 名(前年 185 名)であった。
全国 6 カ所で開催
方針」、
「平成 28 年度入試要項」等について詳細な説明が
説明会では、入試実施委員から「本学の概要」、
「教育
行われた。また、希望者に対し個別相談も行った。
7 月28 日
(火)
7 月29 日
(水)
7 月30 日
(木)
7 月31 日
(金)
金 沢(ホテル金沢)
大 阪(大阪ガーデンパレス)
名古屋(名古屋ガーデンパレス)
福 岡(福岡ガーデンパレス)
札 幌(ポールスター札幌)
東 京(東京ガーデンパレス)
参加者からは「インターネット、資料等で情報はたく
さん得られるが、直接話を聞けることが何よりも安心
できる」
、
「個別相談でいろいろな話を聞くことができ、
合格した後もどのような進路をとるかを具体的に考え
ることができた」などの意見が寄せられた。
(入学センター事務課 吉川大貴記)
平成 28 年度医学部入学試験の説明会が、平成 27 年 7
月 28 日(火)から 7 月 31 日(金)にかけて、全国 6 カ所(金
平成 27 年度前期
博士(医学)学位記授与
平成 27 年 9 月 30 日(水)午前 10 時から本部棟 2 階学長
室において、平成 27 年度前期修了生に対して博士(医
学)学位記が授与された。
勝田省吾学長から、学位取得者として認定された脳
神経治療学専攻の塚田剛史さん、総合内科学(地域医療
学)専攻の坂本大輔さん、心血管外科学専攻の岡田京子
さんの3名に対して学位記が授与され、臨床の実務を
抱えながら研究に励み、その成果を発表したことに敬
意を表するとともに、今後も研究に励むよう激励の言
に至らず在学延長となった大学院生の延長期間短縮お
葉が述べられた。
よび経済的負担軽減を目的として平成 24 年度より導入
前期修了制度は、4 年の修了年度内に審査、可否投票
されている。
(教学課大学院担当 杉原一良記)
11
学 事
第 43 回
解剖体合同追悼慰霊祭
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
間に、本学の解剖実習のた
めの系統解剖に献体された
方、本学病院で病理解剖に
ご協力いただいた方の篤い
志に感謝し慰霊を行うもの
第 43 回解剖体合同追悼慰霊祭は、平成 27 年 10 月 10
である。今回の対象は、系
日(土)午前 10 時 30 分より本部棟 4 階講堂において、ご
統 解 剖 35 柱、 病 理 解 剖 46
遺族、天寿会会員、大学教職員、医学部学生および看
柱、合計 81 柱の御霊である。
護学部学生等、約 300 名の参列のもと、無宗教形式に
参列者全員による黙祷の
より厳粛に執り行われた。
追悼慰霊祭は、平成 26 年 9 月から平成 27 年 8 月の期
あと、81 柱の御芳名が奉読
感謝の言葉を述べる学生代表
された。引き続き勝田省吾 の中野花菜さん(医学部第 2
学長から、医学の進 学年)
歩・発展のために尊
い御遺体を捧げられたご本人ならびに、同意さ
れたご遺族の方々のご理解ある志に対して、追
悼の言葉が述べられた。
また、学生を代表し医学部第 2 学年の中野花菜
さんが、解剖学実習のために尊いご遺体をお寄
せいただいた故人の崇高なるご遺志と、快く同
意された遺族の皆様のご理解に対し感謝の念を
述べ、良医を目指し努力していくことを誓った。
最後に、故人のご冥福をお祈りして、参列者
全員で献花が行われ閉会した。
参列者による献花
(教学課 加藤勝人記)
平成 27 年度
天寿会総会
天寿会総会が平成 27 年 10 月 10 日(土)、解剖体合同追
悼慰霊祭の後、本学学生食堂において開催された。金
沢医科大学天寿会は昭和 51 年に発足して、今年で 40 周
年を迎えた。北陸三県を中心に 80 名の会員が出席した。
総会に先立ち、平成 26 年 9 月から平成 27 年 8 月の期
間に成願された 32 名の方に対し黙祷を捧げた。続いて
天寿会役員の紹介が行われた後、天寿会創立 40 周年を
記念して、長年天寿会に貢献されている会員の杉村み
ついさん(103 歳)に中村正鋼会長から感謝状の贈呈が行
われた。
総会では、議題「平成 27 年度事業計画」が審議され「創
立 40 周年記念曲」の披露・審議が行われた。なお、この
記念曲は天寿会会長である中村氏が作詞し、本学技能
員で天寿会会員の角谷晋平氏の作曲によるものである。
12
講演する東 伸明特任教授
また、
「天寿会の会員状況」、
「天寿会役員会の開催状況」
について報告があった。
総会終了後、昼食をとりながらの懇親会が行われ、
会員と 16 名の代表学生がそれぞれ懇親を行い、親睦を
深めた。昼食・懇親会に引き続き、本学の東 伸明特任
教授(解剖学Ⅰ)から、
「40 周年を迎えた天寿会」という
テーマで講演が行われた。
(教学課 加藤勝人記)
学 事
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
平成 27 年度
西日本地区公私立医科大学・
医学部教務連絡協議会
平 成 27 年 10 月 2 日( 金 )午 後 2 時 30 分 か ら 平 成 27 年
度西日本地区公私立医科大学・医学部教務連絡協議会
がホテル金沢において開催された。
この協議会は、西日本地区の医学部医学科がある公
立 5 大学と私立 11 大学が一堂に会して、各大学の教務
や学生に関することについての課題を持ち寄って協議
し、その解決のための参考にしてもらうことを目的に
年 1 回開催されている。今年度は本学が当番校となり
37 名(他大学 26 名、本学 11 名)の教職員が出席した。
開会にあたり勝田省吾学長から挨拶があり、引き続
き出席者の紹介があった。本学からは飯塚秀明副学長、
横山 仁医学部長、望月 隆教務部長および教学課員が出
席した。協議会は、望月教務部長の進行のもと、アク
ラムでの学生評価法、参加型臨床実習での地域医療実
習や臨床実習の評価、学生の学力低下やメンタルケア、
講義の出欠管理などの議題について活発な討議がなさ
れた。最後に次回当番校の奈良県立医科大学教育開発
センターの藤本眞一教授が閉会の挨拶をした。協議会
終了後の懇親会では、和やかな雰囲気の中で各大学の
教職員と親睦を深めた。
(教学課 髙﨑正輝記)
ティブラーニングに関する取組み、医学教育分野別認
証評価に対する準備状況やアウトカム基盤型カリキュ
《本学スタッフ新刊著書》
石﨑武志 監修
ナースもうれしい患者説明シート付き!
呼吸器ケアの疾患・検査・治療
はや調べブック
の実践・指導・相談をそれぞれの勤務する施設・病
院で展開している。
人口の高齢化とともに種々の(慢性)呼吸器疾患
患者が激増しているが、治療方法・手段も日進月歩
である。呼吸器疾患専門医数が遅々として増えない
(株)MC メディカ出版
B5 判、223 頁
定価(本体 4,000 円+税)
2015 年 6 月 5 日発行
ISBN978-4-8404-5221-2
現状では呼吸器診療チーム医療の一員たるべき看護
師にも負担がかかり、日々の看護ケア・業務に忙殺
されて、呼吸器看護研修の機会も少ないのではない
かと危惧される。本書は、患者サイドに一番長く接
する職種の看護師で、かつ呼吸器疾患ケアの最新的
知識と看護実践能力とを備えた「慢性呼吸器疾患看
護」認定看護師ならではの視点で、代表的な呼吸器
疾患の病態と観察のポイント、看護ケアや検査・モ
本書は「慢性呼吸器疾患看護」認定看護師の執筆に
ニターの要点、急性期呼吸管理、呼吸リハビリテー
よる呼吸器疾患看護ケア実践の案内書である。執筆
ション、患者生活指導などが具体的に、かつ的確に
者も呼吸器臨床看護を経験した後、福井大学大学院
解説されており、日々、呼吸器疾患看護ケアに悩ん
医学系研究科附属看護キャリアアップセンターの卒
でいる看護師への最適な贈り物となるであろう。
業生である。現在、呼吸器疾患病態生理の最新知識
(能登北部呼吸器疾患センター 石﨑武志記)
と診断・治療情報を取得し、それに基づく看護ケア
13
学 事
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
平成 27 年度 医学部
昼食時には普段の学生の食事を体験してもらうため
に、学生食堂を無料で開放した。5 種類のメニュー(おろ
しハンバーグ定食・ハントンライス・カツカレー・ざ
るそば・サラダうどん)を用意し自由に選んでもらうよ
うにした。
平成 27 年度医学部オープンキャンパスが、7 月 20 日
(月 ・ 祝)、8 月 11 日(火)と 23 日(日)の 3 回開催された。
来場者は、1 回目は 262 名、2 回目は 169 名、3 回目は
278 名で、合わせて 709 名(昨年度は 550 名)であった。
今年 3 月に北陸新幹線が開業したことで多くの参加者
が見込まれたため、昨年度までの既定コースを順に回
る方式を、参加者が好きな時間に好きなプログラムに
参加できる方式に変更した。
学生との懇談ではホームページや「大学案内」の冊子
では分からない受験勉強や学生生活のことなど、参加
者は在学生の生の声に聞き入っていた。
参加者アンケートでは、
「新幹線が開通して交通の便
がよくなり、実際に来てみると、周辺の環境もよく学
習するにはいいところだと感じた」、
「在校生も先生も
丁寧にいろいろと教えてくださり、大変印象がよかっ
た」などの感想があり、大変好評であった。
(入学センター事務課 吉川大貴記)
今年度のオープンキャンパスのプログラムは保護者説
明会、入試説明会、模擬講義、キャンパスツアー、模擬
実習、模擬面接、個別相談、学生との懇談、学生食堂体
験等があり、プログラムによっては時間を区切って複数
回実施した。
保護者説明会では、1 回目は勝田省吾学長、2 回目は
飯塚秀明副学長、3 回目は横山 仁医学部長がそれぞれ挨
拶を行い、その後、保護者への大学説明が実施された。
キャンパスツアーでは、在学生がガイドとなり、体育
館・アナトミーセンター・医学教育棟・図書館・病院等
の施設見学が行われ、参加者はアナトミーセンター内の
標本や資料の展示などを興味深く見学していた。
模擬講義は、第 1 回は東 伸明特任教授(解剖学Ⅰ)、
第 2 回は堀 有行教授(医学教育学)、第 3 回は望月 隆教
聴診体験(クリニカルシミュレーションセンター)
授(皮膚科学)が担当した。
の 3 つを強調して参加者にお話しています。これらは今
〈学生サポーターの声〉
たけだ
しゅん
武田 峻(医学部第 4 学年)
後医師になる上で受けなければならない多くの試験を
突破するためにも必要なことだと思っています。浪人
時代に得た経験を参加者に伝えて少しでも今後に活か
毎年オープンキャンパスのお
してもらえればと思うと同時に、私自身も原点に戻っ
手伝いをさせていただいていま
て勉学に励むことを改めて意識することができる良い
す。今年度よりオープンキャン
機会にもなっています。
パスの形式が変わり、入退場が
オープンキャンパスで会話を交わした参加者が、そ
自由となりました。参加者が行
の後本学に入学して後輩となっているケースがありま
きたいイベントを自由に選択で
す。これは非常に嬉しいことであり、お手伝いをして
きる形式です。今年 3 月の北陸新幹線開通に伴い、遠
本当に良かったと思います。
方の方でも無理のない時間にお越しいただけ、さらに、
最後に、毎年素晴らしいオープンキャンパスを主催
短時間でも自分の好きな催しを選択できます。参加者
されている入学センターの皆様をはじめ、関係者の皆
は年々増加し、今年は最多記録を更新しました。
様に感謝申し上げます。今後も微力ではありますが、
私自身は 4 浪して本学に入学しました。浪人生活が長
かった分、自分自身が経験したことは多々ありました。
具体的には「反復力、output 力、on と off の切り替え」
14
オープンキャンパスのお手伝いをさせていただきたい
と思っています。
学 事
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
平成 27 年度 看護学部
学部案内、学内見学の他、看護学部生主催の TOUR
OF HEALTH を体験してもらった。サポーターとの懇
談の機会も細切れではあったものの、なるべく多く設
けることを心掛けた。出願時期も迫っているためか、
多くの学生は既に出願を決めているようだった。中に
本年度も昨年と同様に看護学部オープンキャンパス
を 4 回開催した。
第 1 回の平成 27 年 5 月 23 日(土)は「進路発見春のオー
プンキャンパス」。午後 1 時から午後 4 時までの間に学部
案内、学内見学、ナーシングスキル(看護技法)を使っ
た模擬演習と妊婦体験などの模擬演習、そして在学生
とお菓子を食べながらの懇談が行われた。35 名(本人
20 名、両親等 15 名)の参加者は昨年よりは少なかった
ものの、充実したオープンキャンパスだった。
2 回目の 7 月 19 日(日)と 3 回目の 8 月 22 日(土)は例
年通りの一日かけてのオープンキャンパスで、それぞ
れ 122 名(本人 73 名、両親等 49 名)と 128 名(本人 85 名、
は祖母が医科大学病院で看護師をしているので興味が
あるからと、母親にせがんで連れてきてもらった小学
生もいた。行く末が楽しみな光景だった。
オープンキャンパスの参加者は合計 323 名で過去最
多となった。ホスト役を務めてくれた学生は 1 年生か
ら 4 年生までのべ 88 名。最後まで笑顔で参加者に接し
てくれた。メインホストという大役を果たしてくれた
学生サポーター達、内灘祭の TOUR OF HEALTH で対
応してくれた学生達に改めて拍手を送りたい。
最後に、協力してくれた多くの教職員に感謝すると
ともに、4 回にわたる開催が本学部受験者の数と質のさ
らなる向上に繋がることを祈って報告とする。
(看護学部 石橋隆治記)
両親等 43 名)の参加があった。この 2 回の参加者数は
過去最高であった。CSC での吸痰演習体験では、これ
に連動した模擬講義を行って理解が深まるように工夫
した。2 回目の模擬演習は高齢者体験、3 回目の模擬演
習はスキンケアを始めて取り入れた。定番となった赤
ちゃんのバイタルサインの測定や血圧測定も例年通り
に開催した。模擬演習風景の写真サービスではプリン
トアウトだけでなく、参加者本人の携帯での撮影も試
験的に取り入れたところ、デジタル時代の高校生には
概ね好評だったようだ。
4 回目の 9 月 26 日(土)には内灘祭に連動した午後 1 時
から 3 時過ぎまでの「学祭プチオープンキャンパス」を
行い、38 名(本人 20 名、両親等 18 名)の参加があった。
〈学生サポーターの声〉
いわさき
聴診体験(看護実習室)
安と緊張でいっぱいの表情でしたが、体験を終えたあ
ゆうこ
岩崎 祐子(看護学部第 3 学年)
とは笑顔がみられ、スタッフとして嬉しくなりました。
昼食時には参加者の方々と同じテーブルを囲み、交
流する時間がありました。この時間では受験生や保護
今年もオープンキャンパスに
者の方から、学校での勉強や部活についてはもちろん、
多くの方々が参加してくださり
受験のことや、入学後の生活の様子、アルバイトにつ
嬉しく思います。私はオープン
いてなど様々な質問がありました。私たち在校生が実
キャンパスのスタッフとして 2
際の生活の様子などについて話をするため、参加者の
度目の参加となりますが、受験
方々にとっては、学生の生の声を聞くことのできる貴
生はもちろん保護者の方の参加
重な時間となったと思います。
も増加し、看護への関心が高まっていると感じました。
私は今回、CSC での「口腔内・鼻腔内吸引体験」を担
オープンキャンパスの参加者の方々には、在校生と関
わり、様々な体験を通して、本学の魅力や特徴を知って
当させていただきました。この時間では、実際に授業
いただけたのではないかと思います。来年の 4 月にも、
の演習で使用する物品に触れることができます。参加
同じ看護の道を志すたくさんの学生と共に春を迎える
した方々は、とても強い興味を示しました。最初は不
ことができることを心より願っております。
15
学生の頁
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
平成 27 年度
医学部第 2 学年
看護体験実習・報告会
医学部第 2 学年の看護体験実習が、平成 27 年 8 月 17 日(月)から 20 日(木)の 4 日間、本学病院各病棟において実
施された。本実習は Early Clinical Exposure(早期臨床体験)の一環として平成 14 年度から続いている。医学部入
学後の比較的早い時期に医療現場を体験することで、医学を学ぶモチベーションをさらに高めてもらうこと、また
患者さんを中心としたチーム医療の重要性とチームにおける各職種の役割を学んでもらうことを目的としている。
実習前のオリエンテーションで、患者さんとの接し方、個人情報保護と院内感染予防のための留意点などの説明
を受けた後、学生は小グループに分れ各病棟に配属された。病棟では、病棟責任者の管理・指導の下、患者さんの
搬送、ベッドメーキングなどを体験し、医療介助、バイタルサインのチェック、看護記録作成、業務引き継ぎなど
を見学した。
4 日間の病棟での実習後、8 月 21 日(金)に報告会を開催した。各グループが、スライドを用いて病棟で学習した
内容と実習を通して感じたことを発表した。多くの学生から、看護師業務の多様さと大変さに対する驚きの声が聞
かれた。また患者さん中心の医療とはどのようなものなのか、少し感じ取ることができたという発表もみられた。
会の最後に、出席した看護師長から、この実習で感じた様々なことを医師になってからも忘れないようにしてほし
いとの言葉があった。学生にとって本実習は、今後の医師への歩みに役立つ貴重な体験となった。
(第 2 学年主任 岩淵邦芳記)
医学部第 2 学年
看護体験実習レポートから
他の職種の人とも密に連携をとり、患者さんが中心と
なれるような体制であった。
おおぬま
りく
大沼 陸
(医学部第 2 学年)
れ、ストレスがたまりやすい。不安を抱えたままの生
3. 患者の精神的、肉体的苦痛について
入院生活では普段とは異なる生活スタイルを強いら
活は、治療にも悪影響を及ぼす可能性がある。看護師
の方は業務の合間に取りとめのない会話をはさみ、患
者さんに安心してもらおうとしていた。心のケアをす
実習先 : 新館 10 階西病棟(心臓外科、血管外科、整形
ることで精神的苦痛を緩和することも求められる。ま
外科、形成外科)
た、入院中、治療以外の面でもたらされる肉体的苦痛
をできるだけ感じさせないようにするために、患者さ
1. 実習先の業務内容
引継ぎ、カンファレンス見学、入院患者の誘導、入
院時のオリエンテーション見学、入院前の病室の環境
整備、体温、血圧、脈拍の測定見学とデータ入力、入
んの行動の細かいところにまで気を配らなければなら
ない。
4. 看護の役割について
看護は毎日の健康状態の確認、検査、診察の補助、
浴、足浴、洗髪、清拭の見学、トイレ掃除、感染対策、
薬の投与、カルテの作成だけではなく、移動、食事、
食事介助見学、点滴薬調製・投薬の見学、抜糸見学、
排泄など必要に応じて入院生活の大部分を介護すると
胃瘻患者への投薬見学、食事の配膳、ストレッチャー、
いう役割もある。また、患者さんの相談にのり、医師
車椅子での移送、レントゲン撮影見学。
や他のスタッフが気づかない患者さんの状態を把握す
2. 患者中心の医療について
るなど、入院生活を送る患者さんにとって重要な役割
食事、移動、薬、清潔、排泄など様々な点で患者さ
んの要望はとても多いものであるが、応えられる要望
には応じ、無理なものにはなぜ無理であるかをしっか
り説明していた。また、その要望に関して相談するなど、
16
を担う。
5. チーム医療の一員としての医師の役割について
チーム医療は、様々な職種の人で意見交換をしながら
治療方針を決める。最終的に指示を出す立場にある医師
学 事
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
はリーダーシップをとり、メンバーの意見を引き出して
か、変わったことはないか、気になることはあるかなど、
いくという役割を担う。各分野に通じたメンバーでの十
こまめに患者さんとコミュニケーションをとっていた。
分な意見交換によって、最善の治療方針を導くことが
また、他の看護師や医師とも頻繁にコミュニケーショ
求められる。
ンをとり、確認を怠っていなかった。実習を通じて、
6. 本実習を今後どのように活かしたいか
医療現場でのコミュニケーションの重要さを再認識し
看護師は、どんな些細なことでも確認をしていたと
いうことが印象に残った。患者さんの健康状態はどう
た。今後、知識や技術をつけるだけでなく、コミュニ
ケーションのとり方も意識していきたい。
える。
4. 看護の役割について
看護師さんは医療スタッフのなかで最も患者さんと
まえかわ
ま
り
前川 真理
(医学部第 2 学年)
長い時間を共にするため、患者さんの様々な局面に立
会うことができる。そのため患者さんやご家族にとっ
ては、不安や悩みを打ち明けることのできる最も身近
な存在である。患者さんやご家族の不安に耳を傾け、
時には言葉には表れない変化も見逃さずにキャッチし
実習先 : 別館 6 階病棟(回復期リハビリテーション科)
て、それをチームのメンバーに伝える「情報の橋渡し役」
という非常に大切な役割を担っていると考える。
1. 実習先の業務内容
申し送りの見学、ベッドメーキングや清掃など療養
5. チーム医療の一員としての医師の役割について
チーム医療において、医師は患者さんを診察して治
環境の整備、患者さんの訴えを聞き、その記録の見学、
療方針を決定し、他の医療スタッフに指示を出すとい
バイタルサインのチェック、三測表の記録、診療補助(指
う役割を担っている。しかし、ただ指示を出すだけで
示受け、薬剤準備)の見学、看護業務(体位変換、食事、
は医師中心の 20 世紀の医療と変わらない。患者さんと
清潔、排泄、歩行、寝衣交換)に接する、看護計画、看
ご家族にきちんと治療方針について説明し理解しても
護記録の作成の見学、多職種との連絡および報告に接
らうことが必要である。さらにチームを構成する医療
する、院内感染対策。
スタッフと情報交換をしっかりと行い、信頼関係を築
2. 患者中心の医療について
くことも求められる。医師としてこれらのことが達成
カンファレンスを頻繁に行い患者さんの病状や患者さ
できると、患者さん中心のより良い医療を提供できる
んやそのご家族の不安、退院後の生活について、医師、
と考える。
看護師、作業療法士、理学療法士のみならず、ソーシャ
6. 本実習を今後どのように活かしたいか
ルワーカーやデイサービスを行う方々などを交え、そ
本実習の初日に、ある患者さんが「優しいお医者さ
れぞれの視点から情報交換が行われていた。また退院
んになってください。お医者さんは優しいのが一番」
前には家屋調査を行い、手すりを付けるべきかどうか
とおっしゃった。この“優しい”とは、ベッドサイドに
などを検討していた。患者さん中心の医療とは、この
足を運び、患者さんの話に耳を傾け、しっかり目を見
ように患者さんやご家族の意見をしっかりと汲み取り
て話すことであると思う。2 年生の今でさえ当たり前の
今後の治療方針を考えていることであると思う。
ことであると思うが、自分が 4 年後医師になった際に
3. 患者の精神的、肉体的苦痛について
忙しさにかまけ、こんな当たり前のこともできない医
回復期リハビリテーション病棟の患者さんは主に整形
外科や脳神経外科の患者さんで、怪我や麻痺などのため
師にならないよう、この実習で感じたことを忘れずに
胸に留めておきたい。
に思うように身体が動かせない方、自分の思っているこ
とを上手く伝えられない方などが多くいらっしゃった。
患者さんが抱えているのはこのような肉体的な苦痛だ
けではなく、入院していることの孤独や、自分の身体
が以前のように動くようになるのかといった不安や焦
りや苛立ち、また職場に復帰できるのかといった仕事
に関する精神的な問題も大きな割合を占めていると考
17
学生の頁
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
医学部学生 メディカルホームステイ報告
今年度、夏期のメディカルホームステイは、医療法人社団育生会久野病院のご協力により実施され、廣口明日香
さんが研修した。
この企画は、平成 10 年度から実施されており、本学卒業生およびその関係者、北辰同窓会の支援のもと夏季休暇
期間を利用して行われている。医療現場で活躍する本学卒業生との交流を深め、人間性豊かな良医となるよう資質
を向上させ、さらに積極的な学習意欲を向上させることを目的としている。このような医療現場での研修・見学を
快く受け入れてもらえる機会は貴重であることから、多くの学生が積極的に参加することが期待される。(学生部)
〈研 修 先〉
医療法人社団育生会
久野病院
理事長 久野成人
先生 (昭和 57 年卒業)
院 長 久野敏人 先生
〒 605-0981 京都市東山区本町 22 丁目 500
TEL 075-541-3136 FAX 075-561-8401
研修期間 : 平成 27 年 8 月 3 日(月)
、4 日(火)
メディカルホームステイに参加して
ひろぐち
あ
す
久野成人理事長(右)と筆者
か
廣口 明日香(医学部第 2 学年)
医療と介護のつながりが大切であると実感しました。
私はこれまで、病院にかかったことといえば、近所の
実際に介護施設を見学させていただきましたが、施設
クリニックくらいで、今回のメディカルホームステイで
で働いている方も病院が後ろについていると安心だと
初めて大きな病院に立ち入らせていただきました。病院
おっしゃっていて、介護と医療のつながりを再認識し
のシステムや経営に関してほとんど無知な私に、久野成
ました。
人理事長はたくさんのことを教えてくださいました。理
私が将来医師となって働く際に、今回の経験は大変
事長先生は、
「医学のことは大学で学べるから、それ以
役立つと思います。病院という組織の中で働く上は、
外のことを学んでほしい」とおっしゃって、多種多様な
他職種の方々との連携が必要となります。また、今後、
プログラムを組んでくださいました。ソーシャルワー
高齢化という社会の流れを考えれば、地域医療と介護
カーさんのお話、薬剤部の方のお話、理学療法士さん
の関係性を見つめ直すことは必要不可欠です。今回の
や栄養士さんからのお話に加え、関連施設の見学もさ
メディカルホームステイでは、この他職種との連携と、
せていただきました。また、外来の見学もさせていた
地域医療、介護について学ぶことができたのでとても
だきました。その中で感じたのは、久野病院は、地域
意義がありました。このような機会を与えてくださっ
に根差した病院であり、地域の中での重要な位置を占
た金沢医科大学、そして久野病院の理事長先生をはじ
めているということです。京都の東山区は高齢者が多
め、関係者の方々には大変感謝しています。2 日間とい
いということもあり、患者さんの多くが高齢者でした
う短い間でしたが、ありがとうございました。
が、なにかあったら医療センターなどの大病院へ送り、
また地域のクリニックや大病院からの患者さんを受け
入れており、他の病院とのつながりや地域における連
携というものを感じました。また、病院で治療を終え
た患者さんに対しては介護への移行ということで、訪
問介護ステーションや介護施設もグループ化しており、
18
学 事
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
第 3 回 釜石 「命のきずなカプセル」 ボランティア活動報告
本学は 2011 年から東日本大震災の被災地岩手県釜石市の震災復興支援事業を行っている。今年も 8 月 9 日(日)か
ら 11 日(火)まで釜石「命のきずなカプセル」ボランティア活動を実施した。
この事業は、現在釜石市保健福祉部付部長を務める本学呼吸器内科学髙橋昌克講師の発案による釜石市の被災高
齢者への「命のきずなカプセル(救急医療情報ケース)」配布事業で、2013 年から始まり今年で 3 年目となる。看護学
部生は 2 年前に配布した仮設住宅カプセル設置世帯を訪問し、カプセルの利用状況の把握、情報更新作業の支援を
した。
また今年度から有志の医学部生 2 名も参加し、被災地での在宅医療がどのように立て直されたか、住民が仮設住宅、
復興住宅、施設でどのように暮らしておられるのか、現状を知るため在宅医に同行し合計で 15 ∼ 20 件の施設や住
宅に訪問させていただき理解を深めることができた。また釜石市が実施している市民を対象とした「禁煙チャレン
ジ支援事業」に参加させていただき、喫煙市職員に対して禁煙および喫煙に関した健康講話を実施した。短期間な
がら両学部生とも貴重な体験をした。参加者は看護学部から駒井佑至さん(4 学年)、岩﨑祐子さん(3 学年)、中西
朝香さん(3 学年)、本多茂世さん(3 学年)、森本真琴さん(3 学年)、山本晴菜さん(1 学年)の 6 名、医学部から八城
弘憲さん(4 学年)、和田彩令奈さん(2 学年)の 2 名、教員は看護学部甲野裕之教授(医科学)、中井寿雄助教(在宅看
護学)、中島素子教授(公衆衛生看護学)の 3 名の計 11 名であり、その貴重な体験を 9 月 24 日(木)第 3 回釜石「命のき
ずなカプセル」活動報告会で学内報告した。
(看護学部 中島素子記)
「命のきずなカプセル」ボランティアメンバー
岩手県釜石市で学んだこと
やしろ
ひろのり
八城 弘憲(医学部第 4 学年)
新しい活動内容は主に二つあります。一つ目は、震
災後の在宅医療がどのように建て直されたかを理解す
るため、在宅医療の連携拠点である「チームかまいし」
を中心とした活動を視察したことです。二つ目は、釜
はじめに
8 月 9 日から同月 11 日までの間、岩手県釜石市での復
石市での「禁煙チャレンジ支援事業」の一環として、釜
石市職員や市民を対象とした「たばこと健康に関する健
興支援事業に参加させていただく機会を得ました。こ
康講座」の開催です。
の復興支援事業は、2011 年 3 月 11 日に起きた東日本大
釜石ファミリークリニックでの研修
震災の翌々年から、毎年夏の時期に行われてきて、今
震災後の「チームかまいし」の役割は、釜石市保健福
年で 3 度目になります。これまで、その主な活動は看
祉部在宅医療連携室の職員である小田島史恵氏から教え
護学部の教員・学生が被災地支援として、医療情報を
ていただきました。実際の釜石での地域医療の見学は、
記載した「命のきずなカプセル」の配布と、その情報更
釜石市を中心に在宅医療を展開している釜石ファミリー
新を実施していました。今年度から医学部の学生も参
クリニック院長の寺田尚弘先生に午前中、午後には田
加することになり、少し内容の異なる活動をさせてい
澤秀樹先生の診察に同行し、合計で 15 ∼ 20 件の施設や
ただきましたので、報告します。
在宅患者さんのいらっしゃる住宅を訪問しました。
19
学生の頁
診察にあたって、まだ私が 4 年生であり、実際の診察
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
もっとも、これまで小学生や中学生を相手に、楽しく、
の経験がないことを前提に、丁寧に問診や身体所見の
分かり易くたばこの有害性について健康教育をした経
取り方、聴診のポイントなどを教えていただきました。
験はありましたが、今回は実際に禁煙をしようとして
穏やかな口調でありながらも的確に指示していただき、
いる方、
「禁煙チャレンジ支援事業」を実施している市
多くの経験をさせてもらったことから、医学的にとて
の職員、そしてそれを補助する保健師を対象とするた
も勉強になりました。また、電子カルテのシステムや
め、いつもとは異なる真剣味と、大変さがありました。
処方箋の処理、支払いの手続きについてなど、どのよ
事前準備として、何度も資料作成や練習を繰り返し、
うに包括的なケアがなされているかを学ばせていただ
金沢で長年禁煙外来をされている岩城紀男先生にお話
きました。
を伺って、情報に誤りがないように、かつ、興味深い
訪問医療だからこそ得られる経験も多数ありました。
ものになるように工夫をしました。公衆衛生学教室の
つまり、患者さんの自宅や施設へ向かう過程で見た釜
西野善一先生と櫻井勝先生にもチェックしていただき、
石市の町並みや、患者さんの住まいなどを見学するこ
看護学部在宅看護学の中井寿雄先生と中島先生に何度
とによって、現在の釜石にお住まいの方々が実際にど
も相談に乗っていただいたおかげで、なんとか無事に
のような日常を過ごしているかを肌で感じることがで
終えることができました。
きる貴重な機会を得たのです。そこで感銘を受けたの
1 時間程度のレクチャーでしたが、改めてたばこの健
が、釜石ファミリークリニックの先生方は、診察を終
康に対する悪影響や具体的な禁煙方法を学べたことは、
えるとすぐに引き上げるのではなく、どの患者さんと
将来医師として活動する際に役立てることができると
も積極的にコミュニケーションを取ろうとされている
考えています。また、たくさんのスライドを準備した
姿勢でした。その中でも、100 歳近くの患者さんとお話
おかげで、聴講していただいた方がそれぞれ異なるス
をしているときに、戦時中に経験した艦砲射撃を昨日
ライドを印象的だったと評価してくれたことや、講演
のことにように憶えているとおっしゃっていたことが
終了後には「今日から絶対に禁煙する」と宣言した方も
忘れられません。釜石市に関する私のイメージは、や
いて、本当にやってよかったなと実感することができ
はり 2011 年 3 月 11 日の震災が強いのですが、釜石に長
ました。
年お住まいの方は、それまでもたくさんの苦難を乗り
まとめ
越え、何度も復興をしてきたのだと実感することがで
きました。
「たばこ」についての健康講座
帰宅する最終日の午前中には釜石市の職員に現在の
復興状況を教えていただきました。バスで移動して、
町全体を見るいい機会となりましたが、多くのショベ
7 月から釜石市では、市民を対象に、禁煙を補助す
ルカーやダンプカーがあって、まだまだ復興の途中だ
るための「禁煙チャレンジ支援事業」が行われていたの
と実感するのと同時に、大型のショッピングセンター
ですが、その一環としてたばこについての健康講座を
や新しいホテルも完成していて、復興は着実に進んで
させていただく機会を得ました。このような機会をい
いると感じることができました。
ただけたのは、以前より私ともう一人の医学部からの
しかし、これからも継続した復興支援の必要性があ
参加者である和田彩令菜さんが、看護学部の公衆衛生
ると感じたのも事実です。1995 年の阪神大震災と比較
看護学の中島素子先生の指導の下、内灘近隣の小学校、
して、東日本大震災の被害の特徴としては、建物の倒
中学校にて喫煙防止教室を実施していた経験があった
壊などによる外傷被害だけではなく、津波により薬が
からです。
流されてしまう薬難民の発生、また、震災後の長期に
およぶ仮設住宅での生活など環境上の変
化と関連したストレスは、結果として高
い喫煙率、アルコール依存につながる可
能性があり、これらは震災の二次的な健
康被害であると言えます。今回の、
「命の
きずなカプセル」の配布と、たばこに関す
る健康講座の開催が、少しでも釜石の支
援となり、継続的な復興過程の一助とな
れば幸いです。
「たばこ」についての健康講座
20
学 事
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
釜石訪問を終えて
こまい
ゆうし
駒井 佑至(看護学部第 4 学年)
今回釜石訪問の話を受けた当初から、先生方は口を
揃えて「行ってみないと分からないことがある」と言っ
ていたが、理解できなかった。しかし、行ってみると
まさにその通りであった。
一日目、釜石市に到着した時点で、この場所に津波
が到達し、多くの人が被害にあったのだということを
実感した。テレビでどれだけ映像を見てもイメージ出
来なかった出来事が、そこではイメージとして鮮やか
に浮かんできた。だからこそ、言葉に出来ない痛みが
心に刺さり、ホテルに帰った後にはいつの間にか黙祷
していた。
カプセル内の医療情報を更新する中島素子教授(右から 2 人目)と
筆者(右端)
三日目、被災場所を訪れ、復興の現状や市の取り組
みについて説明を受けた。被災場所を見て回ると、数
二日目、命のきずなカプセルの情報更新をするため
字や映像で見ていたものが実際に目にしたように感じ
に仮設住宅を訪問した。仮設住宅は、思った以上に狭
ることが出来た。続いて、釜石市の在宅医療のシステ
かった。そして、3 年経った今でも予想以上に多くの方
ムに関する講義を受けた。釜石市では連携基盤が整っ
が仮設住宅に住んでいる状況を目の当たりにし、まだ
た地域包括ケアシステムが構築されており、充実した
まだ復興は程遠いと感じた。特に一番被害の大きかっ
地域医療体制があることを知った。これを知っておく
た鵜 住居地区は、震災前はここに多くの家が建ってい
ことは、医療従事者として働く上で大きな糧になるだ
て町があったとは到底思えない景色となっており、心
ろう。
うのすまい
が痛んだ。このような中でも特に強く感じたのは、人
今回の訪問で特に印象に残ったのは、バス移動の途
の心に潜む被害である。がれきは撤去され、土地は整
中で墓参りに来ていた被災者遺族を目にしたことであ
えられ、物的には少なからず回復しつつあるが、話し
る。この日は震災月命日であった。そのため、家族で
かけると笑顔で話をしてくれる被災者の方にも、その
墓参りに来ていたのであろう。被災者遺族の背中から
背景にある悲しみを感じた。町の復興が進んでも回復
強い悲しみを感じた。どれだけ復興が進もうと亡くな
しない心の被害は釜石市に残された今後の課題である
った千人を超える人々は戻ってこない。そう思うと様々
と考えられた。昼食は震災の記念碑の立つ海辺の旅館
な感情が湧き上がり、自然と涙が出た。釜石訪問前に
宝来館を訪れたが、そこから見える景色は大きな被害
はこのような感情になるとは全く思わなかった。他人
を及ぼしたとは考えられないくらい綺麗な海だった。
事だったのであろう。訪問することで、いつの間にか
「綺麗だからこそ、海は怖い」という現地の人の言葉が
本質的な意味で他人事でなくなったのである。今でも、
印象的であった。当時は砂浜が広がっていたというが、
釜石市の情報を新聞やニュースで目にすると、この地
津波が砂浜を流しさらっていったと聞き、海の力に恐
域に強い関心を持つようになった自分に気づく。これ
怖を覚えた。
が自分にとっての被災地に対する思いで一番の変化で
あろう。
こうして、釜石市では貴重な体験と学びが得られた。
釜石市では、それぞれの職場で働く人々が、被災者の
ために何かをしようと努力していることを強く感じた。
誰もが助け合っていくことを強く意識して生きていた。
この経験を忘れずに、来年から医療従事者として働く
中で、患者さんのために何が出来るかを考えて働きた
い。また、患者さんが退院した後にどのような地域支
援が行われるかを理解した上で業務を行うことが、と
ても重要であるということを忘れないようにしたい。
そのような医療従事者を目指し、日々精進していきた
仮設住宅前での聞き取り調査
いと思う。
21
学生の頁
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
であり、全国的にも精力的に活躍されている医療系バ
第 44 回 内灘祭
ンド、
“ハートフルホスピタル”のお二人をお呼びして、
内灘人 〜広がる Medical 〜
テーマ 内灘に密着した学園祭をめざして
あさと
しん
内灘祭実行委員長 安里 晨(医学部第 3 学年)
野外ライブを開催しました。また、本学のクラブ活動
の 1 つである AIR(健康推進委員会)、禁煙隊と実行委
員とが協力し、新たに「健康と病気に関する○×クイズ」
という医療にまつわる参加型のイベントを行いました。
このイベントは、当日会場に来てから気軽に参加でき
ます。多くの町民の方に参加していただき、とても有
意義なものとなりました。医学部と看護学部の共同企
平成 27 年 9 月 26 日(土)、27 日
(日)の 2 日間、
「内灘人∼広がる
Medical ∼ 」を テ ー マ に 第 44 回
画で実施し、普段の医学や看護の勉強を地域の方々に
還元できるいい取り組みとなったと思います。
本学園祭でもっとも盛り上がったイベントはやはり、
内灘祭を開催しました。このメ
2 日目夕刻の野外ライブでした。担当委員と作戦会議を
インテーマの「内灘人」は、
「うち
進め、ケラケラさんを招致しました。エネルギー溢れ
なんちゅ」と沖縄の方言で読み
る演奏をほぼ 1 時間にわたり行っていただき、内灘祭
ます。これは実行委員長をさせ
の野外ライブ史上一、二を争う数の観客を動員できま
ていただいている私が沖縄県出身であることと、沖縄
した。このライブのお陰もあり、内灘祭 2 日目の躍動
弁で“内灘に根差した”という意味を掛け合わせてで
感には深く考えるものがありました。内灘祭の企画・
きたテーマです。ここには私たち実行委員会が“内灘
運営に携わってくれた同期や後輩の皆には感謝をしき
とかかわり深い学園祭”をやっていきたいという想い
れないほど様々なところで助けてもらいました。周り
が込められています。サブテーマ「広がる Medical 」は
と協調しながら成長する喜びを学べました。この経験
学園祭に医学的要素を強く盛り込み、地域の方々に医
を 1 人の医師となるために活かしていけたらと考えて
学に触れていただくきっかけをつくり、医療系大学で
います。
ある金沢医科大学と少しでも親交を深めていただきた
いというコンセプトによるものです。
このテーマを実現するために僕ら実行委員会で、ま
ず何ができるかについて論議を重ね、今年は 3 つの新
しい取り組みを行いました。1 つ目として、内灘祭の期
間直近にのみ交流を行うのではなく、積極的に内灘町
の行事に参加し地域に密着した学園祭の運営を目指し
ました。実行委員で有志を募り、地域住民の方々と共
に内灘海岸へ行き清掃活動に参加させていただくこと
で、地域の方々と密接なコミュニケーションを図るこ
とができました。この活動には、同期の 3 学年生幹部の
みでなく、たくさんの後輩が積極的に参加してくれて、
本当に嬉しく思いました。2 つ目として、学外のイベン
賑わう模擬店
トにも関わりました。内灘祭実行委員として初めて内
灘町民花火大会に参加しました。この花火大会に模擬
店を出展することで、内灘町民に強く内灘祭の PR がで
きると同時に、様々な町民の方々と触れ合うことがで
きました。その際にたくさんの提言や励ましをいただ
き、実際の学園祭の運営に大いに役立ちました。さらに、
ツエーゲン金沢の試合会場に出かけ、学園祭の広告活
動の一貫としてビラ配りを行いました。3 つ目として、
医療に深くかかわったイベントを企画しました。医科
大生の医療に取り組む真剣な姿勢を、内灘の方々にお
見せしたいと思ったからです。まず、金沢医科大 OB
22
医療系バンド“ハートフルホスピタル”による野外ライブ
学 事
地域の方々とのふれあいを大切に
やまだ ゆ か こ
内灘祭実行委員 山田 由華子(看護学部第 3 学年)
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
なことも多々あったが、お客様に満足していただくこ
とができ、達成感を得ることができた。今後も地域の
方々とのふれ合いを通して、地域社会への貢献と医療
への理解を深めていきたい。
今年の内灘祭のテーマは“内灘
人∼広がる Medical ∼”である。
「内灘人」は「うちなんちゅ」と読
み、
“内灘に根ざした”という意
味を掛け合わせてできたテーマ
である。これには、内灘町と関
わりの深い学園祭にしたいとい
う実行委員の思いが込められている。サブテーマであ
る「広がる Medical 」は、学園祭に医学的要素を強く盛
り込み、地域の方々に医学に触れていただくきっかけ
をつくり、医療系大学である金沢医科大学と少しでも
親交を深めていただきたいというコンセプトによるも
のである。
中心企画として、看護学生の有志による“TOUR OF
HEALTH ”を開催した。看護学生が授業で得た知識を
もとに、さまざまな簡易健康診断を行った。この企画
は今年で 7 回目であり、看護学部第 1 期生が医療系大学
らしい企画を実施したいとの思いで始まったものであ
る。この企画では 3 つの大きな目的が掲げられている。
授業で得た知識をもとに簡易健康診断
1 つ目は、学生と地域住民の方々とのふれあいの場をつ
くり、金沢医科大学看護学部をより身近なものに感じ
てもらうこと。2 つ目は、近年増えている「生活習慣病」
の様々な情報を提供するとともに、自身の健康への意
識を高めてもらうこと。3 つ目は、学生のコミュニケー
ション能力を養い、今後の医療の現場へ活かすことで
ある。看護学生には授業で得た技術を活かす場となり、
お客様には自身の健康への関心を深めていただく機会
となる。
また、簡易健康診断に加えて、今年初となるステー
ジ企画“○×クイズ∼ Health or Disease ∼”が開催さ
れた。医療に関するクイズを出題し、難しいイメージ
ビンゴゲームで盛り上がるステージ
のある医療をより身近に感じてもらいたいという思い
が込められている。この企画は医学部と協力して行い、
学生だけでなく、地域の方々も参加しやすいように企
画された。私たちが日頃学んでいる知識の一端を知っ
ていただける機会にもなり、医療をより身近に感じる
ことのできる企画であった。
今年度は両日ともに晴れ、いずれの企画も大変好評
であった。上述した企画の目的も、しっかり達成でき
たものと考えている。学生と地域の方々がいっしょに
なって相乗効果を得ることができる素晴らしい企画で
あり、今後も後輩たちに引き継いでほしいと願ってい
る。今回、これらの企画を運営・実施する上で、大変
医学部と協力して企画した「○×クイズ∼ Health or Disease ∼」
のスタッフ
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学生の頁
クラブ
活動
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
体育系クラブ
バドミントン部
いなば
部 長 稲場
まなぶ
真生 (医学部第 4 学年)
バドミントン部は現在、医学部生 39 人、看護学部
体戦でベスト 8、女子個人戦優勝、女子団体戦準
生 29 人の合計 68 人で活動しており、学年間や学部
優勝など、非常に高いレベルで成績を残していま
間の交流も盛んです。男子部員は 25 人、女子部員は
す。好成績を収めた選手の中には、以前からバド
43 人と、近年女子部員数がかなり増えてきました。
ミントンを経験していた部員だけではなく、大学
部活動は、火曜日と土曜日の週 2 回体育館で行っ
からバドミントンを始めた部員も入っており、経
ています。部員の大半は大学からバドミントンを始
験者と初心者が互いに良い影響を与えています。
めた人なので、基本的なパターン練習をしたり、フ
他には内灘祭にも参加し、輪投げや射的のイベ
リーで試合を行ったりしています。また、意欲のあ
ント、ワッフルや唐揚げ、ラッシーなどの食べ物、
る部員は、他の部活が体育館を使っていないそれ以
飲み物の模擬店の出店を行っています。このよう
外の日にも自主的に練習を行えるので、様々なモチ
なイベントにも参加することで部内での結束を高
ベーションの部員が活動しやすい部活になっていま
めたり、他の部などと交流を深めたりしています。
す。長期休暇中や大会前などは、練習の頻度も増え
決して選手層や練習環境に恵まれた部活ではあり
活気があります。また北陸の他大学との練習試合も
ません。しかし、部員一人ひとりの意識の高さや他
行い、バドミントンの技術そのものの向上とともに、
大学のライバルの存在、いつも見守っていてくださ
幅広い交流も大切にしています。
る顧問の三輪高喜先生、陰で支え続けてくださって
これらの練習を経て、石川県内で行われる大会
いる先輩方のおかげで、伝統と実績のある部活とし
や、8 月に行われる西日本コメディカル学生バドミ
て存続しています。このことを忘れず、これからも
ントン体育大会、西日本医科学生総合体育大会、3
向上心をもって活動していきたいと思います。
月に行われる近畿東海バドミントン体育大会など
に参加しています。大会では男子個人戦や男子団
西日本医科学生総合体育大会(平成 27 年 8 月 14 日 八尾市立総合体育館にて)
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学 事
クラブ
活動
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
サークル
つりサークル
なかしま
部 長 中島
み
ち
こ
美知子 (医学部第 3 学年)
広大な日本海に面した石川県。そんな恵み豊かな
し、交流を深めることができる貴重な機会です。大
土地で仲間たちと気楽に釣りを楽しもうという、と
学生活の中で大きな思い出になることと思います。
ても和気あいあいとしたサークルです。現在、つ
部員のほとんどは他の部活やサークルにも所属し
りサークルには医学部生、看護学部生を合わせて約
ているため、クラブの垣根を越えたとても多くの先
80 人の学生が所属しています。部員は、他県・他
輩・後輩との「つながり」も、つりサークルの大きな
国まで出向いて釣りに行くような玄人から、
「今ま
魅力です。つりサークルの活動を通じて知り合った
で一度も釣りをしたことがない ! 」というような初
先輩たちからは、釣り以外にも勉強のことや学校生
心者まで幅広く、経験豊富な部員が後輩たちと一緒
活のことなど、多くのことを教えてもらいます。と
に釣りに行き、指導しています。私自身も入部時は
きには相談にのってもらうこともあります。こうし
釣り経験がほとんどありませんでしたが、
「せっか
た先輩と後輩の「つながり」が将来、社会人になって
く海に近い大学に入学したのだから」とつりサーク
からもきっと役立つでしょう。
ルへの入部を決めました。入部してからは活動に参
皆さんも是非つりサークルでたくさんの思い出、
加するたびに先輩たちが手取り足取り優しく教えて
たくさんの仲間をつくってみませんか ? 皆さんとの
くれ、今では釣りが趣味のひとつになっています。
新たな出会いを楽しみにしています。
毎年 2 月下旬∼ 3 月上旬には、一泊二日のワカサ
ひ ば ら こ
ギ釣り旅行を行っています。福島県の桧原湖まで行
き、凍った湖に浮かべられた屋形船の中からワカサ
ギを釣ります。この旅行では、ワカサギ釣りという
なかなかできない経験ができるということはもちろ
んですが、2 日間サークルの仲間たちと行動を共に
桧原湖へワカサギ釣り(平成 27 年 3 月 2 日 福島県耶麻郡北塩原村にて )
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学 事
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
International Exchange
国際交流
ソノマ大学夏期語学研修報告(期間:2015 年 7 月 8 日〜 8 月 15 日)
2015 年 7 月 8 日(水)から 8 月 15 日(土)にかけて、医学部第 1 学年伊藤さよりさん、島田真武さん、菅原大二郎さん、
谷本ひかりさん、土田和奈さん、永澤慶太郎さん、野田真友子さん、プランティリアまやさん、吉岡慎平さん、渡
部瑛惠さんの 10 名が、提携校のカリフォルニア州立ソノマ大学で 5 週間の語学研修プログラムに参加した。
(国際交流センター)
文化の違いを肌で感じた 5 週間
つ ち だ
か ず な
土田 和奈(医学部第 1 学年)
恥ずかしがりすぎる」と言われたことがとても印象的
で、自分の考えが変わるきっかけの一つになったと思
います。間違えることを恥ずかしいと思うより、とり
あえず何とか話そう、伝えようという気持ちが強くな
り、少しですが自分の授業に対する姿勢を変えられた
ように思います。また、暮らしてみて初めてわかるこ
とも多く、文化の違いなどを肌で感じられた充実した 5
週間でした。
今回の研修でより英語を好きになり、上達したいと
いう思いが強くなりました。アメリカでは、相手の話
していることは理解できても、自分の伝えたい思いを
なかなか正確に伝えることができず、悔しい思いを何
度もしました。そのため、自分の伝えたいことを不自
由なく話せるように、英語を話す努力を続けていきた
いです。また、外国人の授業への積極的な姿勢、わか
らないことや異なる考えを恥ずかしがらずに相手に発
言できる態度を見習い、より多くのことを学べるよう
になりたいと思います。自分から積極的に物事を学び
取る姿勢は、学生であっても医師になってからも必要
なスキルであると考えるからです。これから英会話を
上達させて、高学年になったときには海外医学研修に
参加できたらと思います。
研修に参加した一番の目的は英語に触れることでし
た。英語が元々好きでしたが、話すことに抵抗があっ
たので、強制的に話さなければならない状況に身を置
きたいと思いました。また旅行ではなく、その土地に
滞在することで経験できることや学べることがあり、
様々な知識を吸収することも重要だと考えました。
授業は、読み、書き、文法、英会話のクラスが必修で、
私はその他に映画とスラングの授業を選択しました。コ
ミュニケーションの授業ではアメリカに来て感じた自
分の国との違いについて話し合ったり、プレゼンテー
ションを一人で行いました。スラングの授業では、ス
ラングを使った会話を作成したり、絵を使って相手に
その言葉の意味を説明するなど、会話をしながら覚え
ていくことが多かったです。映画の授業では、実際に
映画を観ながら映画の隠れた意味を解釈するなど、私
の一番お気に入りの授業でした。
大学の企画したアクティビティでは、サンフランシ
スコ観光に参加し、ユニオンスクエア周辺で買い物を
楽しみ、ロンバート・ストリートという紫陽花
がきれいな丘を登り、ゴールデン・ゲート・ブ
リッジを渡りました。個人の観光ではなかなか
できなかった経験だと思います。また、ホスト
ファーザーが昔 coast guard で働いていたことも
あり、8 月 4 日に行われた「アメリカ沿岸警備隊
設立記念日」に参加できたことが印象的でした。
実際に使われているヘリコプターに乗ることも
でき、貴重な体験になりました。
結果として、リスニング能力は向上したよう
に感じましたが、話すことについてはあまり変わ
らなかったように思います。英語を上達させる
には 5 週間ではとても短いと感じました。初めは、
英語の勉強を頑張ろうという意気込みで行きま 修了式にて。前列左から島田さん、野田さん、伊藤さん。中列左から永澤さん、
したが、ソノマ大学で出会った韓国人の友人に「5 菅原さん、谷本さん、渡部さん、プランティリアさん。後列カリフォルニア
州立ソノマ大学語学学校スタッフ
週間は短いから、英語を上達させることよりも、
外国人の姿勢や態度を学ぶべきだよ。日本人は
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学 事
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
International Exchange
国際交流
オークランド大学夏期語学研修報告(期間:2015 年 7 月 18 日〜 8 月 8 日)
2015 年 7 月 18 日(土)から 8 月 8 日(土)にかけて、医学部第 1 学年安達美桜さん、徳重詠子さん、中谷慧子さん、
沼口孟史さん、前廣由紀さん、増田萌乃さん、宮澤 攻さん、医学部第 2 学年赤井祐子さん、大乗志帆さんの 9 名が
ニュージーランド オークランド市にある本学推薦校のオークランド大学での 3 週間の語学研修プログラムに参加した。
(国際交流センター)
かけがえのない 3 週間
おおのり
し
ほ
大乗 志帆(医学部第 2 学年)
医師となる上で英語を深く学習していくことがとて
も大切だと考えており、椅子に座って学ぶ勉強だけで
はなく、実際に現地で英語に触れて学びたいと思いま
した。また、ずっと両親と共に生活しているため、親
元を離れることにより、自立した生活を送る経験をし
てみたかった、ということも研修に参加した理由の一
つです。
授業は文法を学ぶものと、多くの学生たちと一緒にプ
レゼンテーション等をするスピーキングの 2 種類があり
ました。文法の授業は日本で学習したことがある内容が
多かったのですが、英語を英語で学習することで、また
新たな学びがありました。スピーキングの授業では、他
国籍の学生たちとプレゼンテーションを考えたり、課外
学習に参加し、とてもよい経験になりました。先生方は
とても優しく、私が先生の言っていることが完全に理解
できなかった際は何度も説明し、理解できているか気に
かけてくださいました。
私はニュージーランドへ行くのが初めてだったので色
んな経験をしたいと思い、週末にはスキーとホビット村
へ行きました。ホビット村は映画「ロード・オブ・ザ・
リング」で観ていた光景そのものが目の前に広がってい
て、とても感動しました。また授業が午前中のみだった
ので、平日の午後でもスカイタワーやミッションベイに
行くことができました。道がわからない、どのバスに乗
ればよいか分からないと困っている時、必ずと言ってい
いほど現地の方が話しかけてくれて、私たちの拙い英
語を頑張って理解し、何度も助けていただきました。
3 週間という短い期間だったので、英語力が飛躍的に
伸びた、ということはおそらくないと思います。しかし、
自分の英語では理解してもらえなかったことがあった
り、自分より優れた英語力を持った学生に多く出会え
たことで、自分の英語力がまだまだ足りないことや努
力不足だったと自覚できたことは本当に良かったと思
います。親元を離れて 3 週間生活したことは、もちろ
んホームシックになることもありましたが、自立する
という意味ではいい経験になりました。そしてこの研
修を通して、多くの友人ができました。彼らと出会え
たことは一生の財産になると考えています。
研修に参加して、もっと英語が上手になって、日本
語と同じように自分の思っていることが相手に伝えら
れるようになりたいと感じました。日本で行っている
英語学習も、机に向かって文法や単語をただただ暗記
するだけではなく、生で英語に触れることも大切だと
思いました。自宅でも CNN 等の海外ニュースを見るこ
とができるので、最初は理解するのは難しいと思いま
すが、まずは耳を慣らしていくことから始めようと思
います。
研修参加学生の中では、自分が最高学年でしたが、
自分が辛かった時、後輩たちにたくさん支えられまし
た。また、後輩が自分を頼ってくれることに喜びを感
じた瞬間もありました。これから先、自分より年下の
人たちを引っ張っていく、といったことは絶対あると
思うので、この経験や感じた気持ちを忘れずに過ごし
ていきたいです。そして、またこのような機会があれ
ば是非参加したいと思いますし、その時までには今よ
りも英語力をもっと向上させたいと思います。
前列左から前廣さん、赤井さん、安達さん、徳重さん。後列左から
沼口さん、筆者、中谷さん、宮澤さん、増田さん
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学 事
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
国際交流
International Exchange
The 28th
JAPAN TENT
2015 年 8 月 20 日(木)から 8 月 26 日(水)にかけて、
「第 28 回 JAPAN TENT −世界留学生交流・いしかわ 2015 −」
が開催された。本学からは、短期研究員 李 明さん(総合医学研究所)と何 文涛さん(地域医療学)の 2 名が参加し、
全国から集まった約 300 人の留学生とともに石川県内の伝統文化を楽しんだ。 素晴らしいJAPAN TENT−最高の思い出
リ
ミン
李 明 短期研究員(総合医学研究所)
(国際交流センター)
センター訪問、磯の観察路散策、ござれ祭りなど、い
ろいろ体験した。ホストファミリーに中国の文化と観
光情報を紹介して、中国の瀋陽での再会を約束した。
金沢市のホストファミリーは、宮田和則さん、宮田
私は今年の 8 月 20 日(木)から 26 日(水)までの 1 週間、
浩美さん、ほうちゃんとりょうくんの 4 人家族だった。
第 28 回の JAPAN TENT に参加した。歓迎式典が北國新
ホームステイの 3 日間、おいしい和食料理をいろいろ
聞赤羽ホールで行われ、世界 78 カ国・地域の留学生約
食べることができた。金沢市内では、金箔工芸と陶芸
300 人が出席した。
を体験し、宮田浩美さんからご馳走されて、東茶屋街
歓迎式典の中で、安倍晋三総理大臣からのビデオメッ
セージが放送された際には、会場で大きな歓呼の声が
の日本茶のお店で初めて加賀棒茶を飲んだ。一番楽し
かったのは子供と一緒に遊ぶ時間だった !
聞こえた。このビデオメッセージについては日程表に
この 1 週間のホームステイを通し、日本人の暮らし
書いてなかったので、留学生全員にとって大きなサプ
そのものを理解することができた。帰国後、この素晴
ライズだった !
らしい経験を忘れず、友達や家族にも伝えたい。
歓迎式典の後、他の留学生 8 人と一緒にバスで能登
町に出発した。能登町の役場でホストファミリーと対
面した。私のホストファミリーは鳥井俊介さんと鳥井
直美さんの 2 人家族で、ホストファミリーの経験は今
最後にホストファミリーとボランテイアの皆さんに
次の感謝の気持ちを伝えたい。
「この 1 週間、とても楽しかったです。いろいろお世
話になりました、心より感謝いたします ! 」
回が 4 回目だそうだ。和風住宅がとてもきれいで、そ
の歴史は 90 年を超えているらしい。能登町での 3 日間
は、久田和紙によるうちわ作り、海のしおり作り、真
脇遺跡縄文館・環状木柱列の見学、のと海洋ふれあい
能登町でしおり作り体験。
左から鳥井俊介さん、筆者、カンボジア留学生、鳥井直美さん
28
兼六園で庭師体験。左から2人目が何 文涛さん
学 事
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
International Exchange
国際交流
留学生および外国人研究者情報(2015.7 〜 2015.10)
1.留学生および外国人研究者の往来
2015 年7 月 31 日
中国医科大学附属盛京病院精神科の主治医師である何強氏が、総合内科学において、短期研究員
として研究を開始した。
10 月 6 日
ロシア・ヤロスラブリ地域がん病院内視鏡科医師である Stanislav A. Sorogin 氏が、消化器内視鏡
学において、短期研修員として研修を開始した。
10 月 8 日
ベトナム軍医大学の助手である Pham Ngoc Thao 氏が、公衆衛生学において、国費外国人留学生
として研究を開始した。
2.留学生および外国人研究者の紹介
<短期研究員>
フゥ
<短期研修員>
キアン
スタニスラヴ
ソ ロ ジ ン
何 強
Stanislav A. Sorogin
中国医科大学附属盛京病院主治医師
ロシア・ヤロスラブリ地域がん病院内視鏡科
医師
所属:総合内科学
研究内容:慢性疲労症候群マウスモデルの
中枢神経系変化の解明・漢方治療の応用
所属:消化器内視鏡学
研修内容:日本における消化器疾患の内視
鏡診断・治療。特に早期消化器癌。また、
日本の先進的施設での内視鏡検査の運営・
管理
<国費留学生>
フ ァ ム
ゴ ッ ク
タ
オ
Pham Ngoc Thao
ベトナム軍医大学助手
所属:公衆衛生学
研究内容:ダイオキシン環境汚染の小児高
次脳機能に与える影響と脳神経科学的メカ
ニズム
Kaleidoscope
第 67 回・第 68 回・第 69 回
International researchers and graduate
students have the opportunity to meet once a
month from 17:30 to 18:30 to enjoy a cup of tea
while casually discussing in English a variety of
topics. Staff and students also welcome.
T h i s q u a r t e r, w e h a v e d i s c u s s e d o n e
psychological topic, and two topics related to
travel.
第 67 回 2015 年 7 月 31 日(金)17:30∼18:30
読み物:The Load of Lying:Testing for Truth
第 68 回 2015 年 8 月 28 日(金)17:30∼18:30
読み物:Some tips about road trips
第 69 回 2015 年 9 月 18 日(金)17:30∼18:30
毎月 1 回の外国人研究者や留学生を中心とした集
いです。本学英語講師とともに午後 5 時 30 分から 1
読み物:History and Culture of Kanazawa
(一般教育機構 Craig Woods 記)
時間、様々なトピックについて、お茶を飲みながら
気軽に英語で話し合っています。
29
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
学 術
金沢医科大学医学会
第 41 回総会、第 51 回学術集会
続いて、過去 1 年間(2014
年 1 月 ∼2014 年 12 月 )に 公
表された優れた英文論文に
対する金沢医科大学論文表
彰 が 行 わ れ た。 第 21 回 の
金沢医科大学医学会第 41 回総会ならびに第 51 回学術
今年度は 17 名が表彰され、
集会が、平成 27 年 7 月 18 日(土)午後 1 時 30 分から、病
会長から賞状と副賞が授与
院新館 12 階大会議室において開催された。勝田省吾会
された。
長の挨拶に続いて総会が開かれ、庶務会計担当の河野
美幸理事から事業報告および会計報告等が行われた。
例 年、 学 術 集 会 に お い
て行われている特別講演
学術集会では、平成 26 年度金沢医科大学学長賞受賞
は、 引 き 続 き 開 催 さ れ た
講演として、湊 貴浩助教(肝胆膵内科)により「肥満に
金沢医科大学医学会 40 周
伴う単純性脂肪肝では機会飲酒は酸化ストレスを悪化
年記念式典の記念特別講演として行われた。全体を通
させ NASH への進展を促進する」の演題で講演が行わ
しての参加人数は 138 名であった。
れた。一般口演は、金沢医科大学共同研究関連の 1 演題、
(医学会集会担当理事 鈴鹿有子記)
奨励研究関連の 7 演題を含む 12 演題が発表され、活発
(2 ∼ 3 頁に関連記事)
な質疑応答が行われた。
鈴鹿有子医学会集会担当理事の挨拶
30
学長賞受賞講演の湊 貴浩助教
論文表彰対象者
学 術
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
第 51 回学術集会プログラム
◇平成 26 年度金沢医科大学学長賞受賞講演
座長 堤 幹宏特任教授(肝胆膵内科)
肥満に伴う単純性脂肪肝では機会飲酒は酸化ストレスを悪化させ NASH への
進展を促進する。
○湊 貴浩、堤 幹宏、土島 睦、林 伸彦、齊藤 隆、松江泰弘、利國信行(肝胆膵内科)、
有沢富康(消化器内科学)、Joseph George(肝胆膵内科)
◇一般口演
第1群
座長 西野善一教授(公衆衛生学)
123
1.
I-MIBG 心筋シンチグラフィーにおける洗出し率の標準化方法の提案(S2013-16 )
○奥田光一、橋本光正(一般教育機構 物理学)、中嶋憲一、絹谷清剛(金沢大学附属病院)、
杉野修一(岡山旭東病院)、桐原ゆみ子(富士フイルム RI ファーマ)
2. サフォードウイルスの病原性解析(S2014-10 )
○大桑孝子、姫田敏樹(微生物学)
3. アナフィラキシーショック時の腎臓交感神経活動反応と麻酔薬の影響(S2013-1 )
○谷田 守、九田裕一、倉田康孝、芝本利重(生理学Ⅱ)
4. 母乳中ダイオキシン濃度の国際比較 ― ベトナムと日本を中心に ―(C2014-2 )
○西条旨子、Tran Ngoc Nghi(公衆衛生学)、山口直孝、大阪康宏、関谷奈津子、藤田智子、
髙木弘明、笹川寿之(産婦人科学)、新井田 要(遺伝医療センター)、西条寿夫(富山大学)
第2群
座長 石垣靖人教授(総合医学研究所)
5. 比較ゲノム解析による、リン酸化シグナルネットワークの同定と発がんシグナル探索への応用
○吉崎尚良(小児外科学)
6. CRISPR/Cas9 を用いた EJC の機能解析(S2014-15 )
○辰野貴則、中村有香、石垣靖人(総合医学研究所)
7. Lysosomal ceramide generated by acid SMase triggers cytosolic cathepsin B-mediated degradation
of XIAP in NK/T lymphoma cell apoptosis(S2013-17 )
○谷口 真(総合医学研究所)
8. 二光子励起顕微鏡を用いたマウス腸管の生体イメージング(S2014-12 )
○武田はるな、清川悦子(病理学Ⅰ)
第3群
座長 佐川元保特任教授(呼吸器外科学)
9.本院における手術安全チェックリストの運用と課題
○町田雄一郎(呼吸器外科学)、木下真由美、平内美雪、桶谷純子、日比 享、柴田奈央子、
木田紘昌、寺口奏子、阿部真也、小坂健夫(手術部医療安全ワーキンググループ)
10. 平滑筋細胞の動脈組織内における stem 性について:Nucleostemin の発現に注目して
○岩井邦充、中島久美絵、渡邊啓介、奥野太寿生、姫野太郎、森田卓朗、矢野 浩、入谷 敦、
大黒正志、森本茂人(高齢医学)
11. 低たんぱく質食は 2 型糖尿病ラット尿細管細胞において mTORC1 の抑制とオートファジーの活性化を
介して腎障害を改善する(S2012-4 )
○北田宗弘、小倉慶雄、鈴木妙子、古家大祐(糖尿病・内分泌内科学)
12. H3 受容体ノックアウトマウスにおけるヒスタミン H3 受容体拮抗薬の覚醒促進効果
○大黒正志、中島久美絵、渡邊啓介、奥野太寿生、姫野太郎、森田卓朗、矢野 浩、入谷 敦、
岩井邦充、森本茂人(高齢医学)
(C○○‐○○):金沢医科大学共同研究関連演題
(S○○‐○○):金沢医科大学奨励研究関連演題
31
学 術
◇第 21 回金沢医科大学医学会論文表彰
藤田 義正 講師(血液免疫内科学)
対象論文: Deficient leptin signaling ameliorates
systemic lupus erythematosus lesions in MRL/
Mp-Fas lpr mice. J Immunol. 192(3 ): 979-84, 2014.
湊 貴浩 助教(肝胆膵内科)
対象論文: Binge alcohol consumption aggravates
oxidative stress and promotes pathogenesis of
NASH from obesity-induced simple steatosis. Mol
Med. 20:490-502, 2014.
山本 亮 協力研究員(生理学Ⅰ)
対象論文: Serotonin induces depolarization in
lateral amygdala neurons by activation of TRPClike current and inhibition of GIRK current
depending on 5-HT(2C )receptor.
Neuropharmacology. 82: 49-58, 2014.
北田 宗弘 准教授(糖尿病・内分泌内科学)
対象論文: Role of sirtuins in kidney disease. Curr
Opin Nephrol Hypertens. 23(1 ): 75-9, 2014.
吉崎 尚良 助教(小児外科学)
対象論文: Elucidation of the evolutionary
expansion of phosphorylation signaling networks
using comparative phosphomotif analysis. BMC
Genomics. 15: 546, 2014.
赤尾 浩慶 臨床准教授(循環器内科学)
対象論文: ABCA1 gene variation and heart disease
risk reduction in the elderly during pravastatin
treatment. Atherosclerosis. 235(1 ):176-81,2014.
水野 宅郎 助教(金沢医科大学氷見市民病院)
対象論文: Effects of vaccination and the new
neuraminidase inhibitor, laninamivir, on influenza
infection. PLoS One. 9(4 ): e92601, 2014.
入谷 敦 助教(高齢医学)
対象論文: Association between blood pressure and
disability-free survival among community-dwelling
elderly patients receiving antihypertensive
treatment. Hypertens Res. 37(8 ): 772-8, 2014.
永井 貴子 助教(金沢医科大学氷見市民病院)
対象論文: N-acetyl-seryl-aspartyl-lysyl-proline
inhibits diabetes-associated kidney fibrosis and
endothelial-mesenchymal transition. Biomed Res
Int. 2014: 696475, 2014.
王 墨飛 特定講師(生理学Ⅱ)
対象論文: Angiotensin II and vasopressin are involved
in the defense system against anaphylactic
hypotension in anesthetized rats. Eur J Pharmacol.
731:38-43, 2014.
32
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
福井 清数 講師(整形外科学)
対象論文: Inversion of the acetabular labrum
triggers rapidly destructive osteoarthritis of the
hip: representative case report and proposed
etiology. J Arthroplasty. 29(12 ): 2468-72, 2014.
谷田 守 講師(生理学Ⅱ)
対象論文: Soy isoflavone affects the autonomic
nervous system in a tissue-specific manner in
anesthetized rats. Exp Biol Med( Maywood ). 239
(4 ): 477-83, 2014.
笹川 泰生 助教(脳神経外科学)
対象論文: Narrow band imaging-guided endoscopic
biopsy for intraventricular and paraventricular
brain tumors: clinical experience with 14 cases.
Acta Neurochir(Wien ). 156(4 ): 681-7, 2014.
本野 望 助教(呼吸器外科学)
対象論文: Differences in the prognostic significance
of the SUVmax between patients with resected
pulmonary Adenocarcinoma and squamous cell
carcinoma. Asian Pac J Cancer Prev. 15( 23 ):
10171-4, 2014.
田中 良 助教(呼吸器外科学)
対象論文: Postoperative drainage with one chest
tube is appropriate for pulmonary lobectomy: a
randomized trial. Tohoku J Exp Med. 232( 1 ): 5561, 2014.
九田 裕一 助教(生理学Ⅱ)
対象論文: Major contribution of vasospasm-induced
coronary blood flow reduction to anaphylactic
ventricular dysfunction assessed in isolated bloodperfused rat heart. Cardiol J. 21(1 ): 11-7, 2014.
山下 昌信 講師(形成外科学)
対象論文: Incidence of lower eyelid complications
after a transconjunctival approach: influence of
repeated incisions. J Craniofac Surg. 25(4 ): 11836, 2014.
学 術
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
学術大会は平成 27 年 9 月 20 日(日)午前 8 時、Educa-
第 32 回 環太平洋外科系学会
tional Lecture から始まり、午前 8 時 40 分からシンポジ
日本支部学術大会(PPSA-JC )
ウムⅡ「頭頸部・外科手術」と続いた。午後からは学会
ウムⅠ「耳科手術・鼻科手術」、午前 10 時からシンポジ
主催の Golf Competition が Kapolei G.C. で開かれ、参
会 長: 鈴鹿有子(耳鼻咽喉科学特任教授)
事務局長: 宮澤 徹(耳鼻咽喉科学講師)
加者はハワイの自然の中でのゴルフを満喫した。
学会 3 日目の 9 月 21 日(月)は午前 8 時、Special Lec-
会 期: 平成 27 年 9 月 19 日(土)∼ 21 日(月)
ture が始まった。講師は免疫学者である Tai J. Yoo 先生
会 場: ロイヤルハワイアン(ホノルル)
で、自己免疫性難聴の研究を介して耳鼻咽喉科とつな
がりがあり、私の 30 年来の友人である。内容はアンチ
エイジングに対する幹細胞治療についてであり、本治
環 太 平 洋 外 科 系 学 会(PPSA-JC: Congress of Pan-
療により人類は健康的に 140 歳(! )まで生きることがで
Pacific Surgical Association Japan Chapter )は、日本、
きる可能性が示唆されるというものであった。午前 8 時
韓国、台湾、中国、ベトナム、タイ、インドネシア、フィ
40 分からはシンポジウムⅢ「若手の教育」が開催され、
リピン、グアム、オーストラリア、ハワイなどの国々の医
ヤングとベテランでそれぞれ外科教育についてディス
師を対象とした国際学会で、専門を超えた外科系医師
カッションが行われ、午前 10 時から正午までポスター
相互の理解と協力をはかる必要性を考えて心臓血管外
セッションが行われ学術大会のプログラムは終了した。
科医の故 和田壽郎先生(札幌医科大学名誉教授)が 1984
午後 3 時からは学会イベントとして Fun Run & Walk
年に創立された。耳鼻咽喉科のみならず、あらゆる外
が開催された。スピードを競うのではなく、5 キロのワ
科系分野、そして麻酔科まで含めた幅広いジャンルの
イキキビーチ沿いの道を楽しく走り、また、歩くとい
ドクターが集まって発表や情報交換を行う学会である。
う企画をした。学会最終日の夜は、午後 6 時から Hyatt
各科が最新の医療を競うのではなく、外科系相互の交
Regency Hotel のテラスで Farewell Party が開かれた。
流を図ることを一番の目的としており、学会はすべて
余興ではハワイアンを聞きながらフラダンスを堪能し、
英語で進行される。
ダンスの終盤では指名された数名の出席者がステージ上
会場のホテル The Royal Hawaiian は“太平洋のピン
でプロダンサーからフラの指導を受けながらユーモラス
クパレス”と言われる 1927 年創業の老舗で、すべての建
にダンスをする一幕があり、会場は笑いにわいた。パー
物の壁面がピンク色の美しい建物のホテルである。
ティー終盤では、恒例の Wada Award のセレモニーが行
平成 27 年 9 月 19 日(土)午後 7 時から、学術大会に先
われ、学術大会にて優秀なプレゼンテーションをした 8
がけてオープニングイベントとして Welcome Party が開
名が選出され、故 和田先生のご夫人である和田周子氏
催された。ガーデンパーティー形式で、ワイキキビーチ
から Wada Award が授与された。
のサンセットの時刻に合わせるように、美しい景色と
後日、多くの出席者から、記憶に残る楽しくて実の
素晴らしい雰囲気に会場は大いに盛り上がった。事前
ある学会で、家族同伴または親孝行ができたなどと感
登録者は 135 名でシルバーウィークと重なりエアチケッ
謝と称賛のメールをいただいた。“リラックスしてサ
トの高騰や入手困難が心配されたが、例年より多くの
イエンス”という PPSA の目的を達することができた学
参加者に集っていただいた。
会となったと思っている。(耳鼻咽喉科学 鈴鹿有子記)
環太平洋外科系学会メンバー。左から 5 人目が筆者
ロイヤルハワイアン
33
学 術
競争的研究資金等に係る
平成 27 年度 内部監査
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
24 日(木)、28 日(月)、29 日(火)に特別監査(固定資産
管理状況の確認、研究者からの聞き取り調査等)を実施
した。監査人は大田 修監事、舛井昭秀財務部長、経営
企画室小平俊行事務員、北 久直業務監査課部長である。
各種ルールおよび学内規程に基づき監査を実施した
研究者による研究費の不正使用が指摘されるなど、
結果、仮発注納品が多い、また発注業者に偏りが見ら
国民や科学技術振興体制への信頼を揺るがす事例が相
れるなど本学の調達規程の遵守が望まれる事例、研究
次いでいることから、
「研究機関における公的研究費の
者の出張旅費請求における証拠書類の提出不備が見ら
管理・監査のガイドライン(実施基準)」
(平成 19 年 2 月
れる事例、クレジットカードの使用に研究者の認識不
15 日文部科学大臣決定)は平成 26 年 2 月 18 日に改正さ
足が見られる事例などが散見されたが、補助金の執行
れた。このガイドラインを踏まえ各研究機関の実情に
は概ね適正に行われているとの結論に至った。研究者
応じて抽出した補助事業について監査を実施し、その
および関係者におかれては今後も各種ルール等に基づ
実施状況および結果については各年度の申請時に文部
き、適正な取扱いをお願いしたい。
科学省・日本学術振興会へ報告することが求められて
いる。
また、内部統制の一環として今後も内部監査を実施
するので関係者のご協力をお願いしたい。
これを受け、本学においては競争的研究資金等に係
(業務監査課 北 久直記)
る内部監査として、平成 27 年 9 月 1 日(火)に通常監査
(過年度採択課題から無作為抽出による書面監査)、9 月
平成 28 年度
科学研究費助成事業
科研費公募要領等説明会
平成 27 年 9 月 15 日(火)午後 4 時 45 分から本部棟 3 階
A31 講義室で平成 28 年度科学研究費助成事業 – 科研費 –
公募要領等の説明会が実施された。
初めに、林 結布事務員(研究推進課)が変更点や注意
事項を中心に公募要領等の説明を行い、続いて西道昌
貴事務員(研究推進課)が研究計画調書によく見られる
指摘事項について説明した。
本説明会では、毎年本学の研究者に講演を依頼して
おり、今回は倉田康孝教授(生理学Ⅱ)が「科研費獲得
のための戦略−申請書(計画調書)の書き方−」と題し、
研究者の立場から、研究調書作成において注意すべき
34
こと、ノウハウ等についての説明を行った。
なお、参加者は、教員 81 名、事務担当者 39 名の計
120 名であった。
(研究推進課 林 結布記)
学 術
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
大学院医学研究セミナー
重症心不全の治療戦略
B 細胞運命決定における小分子
RNA
講 師
講 師
日 時
場 所
担 当
澤 芳樹先生(大阪大学大学院医学系研
究科外科学講座心臓血管外科学教授)
平成 27 年 7 月 24 日(金)18:00~19:00
病院新館 12 階大会議室
心血管外科学 秋田利明教授
【講師紹介】
1980 年大阪大学医学部卒業、2006
年同大学大学院医学系研究科外科学
講 座 心 臓 血 管・ 呼 吸 器 外 科( 第 1 外
科)主任教授兼科長、2014 年同大学医
学研究科副研究科長、附属病院未来
医療開発部長、国際医療センター長、
臨床医工学融合研究教育センター長。
【主な研究分野】
1 )骨格筋芽細胞、iPS 細胞を用いた心筋再生医療、2 )
心臓移植、補助心臓装置。
【セミナーの内容】
まず日本における重症心不全患者の発症率(拡張型心
筋症約 1,000 人/年、小児拡張型心筋症 100∼150 人/年)
と、心臓移植の症例数(30 例/年)の現況を説明され、
そこに大きな需給ギャップが存在すること、ほとんどの
患者は補助心臓装置をつけて待機している現状を説明さ
れた。末期心不全になると、心臓移植が唯一の治療手段
になるが、その前の NYHA-III の段階で適応される治療
法の開発が急務であり、再生医療による心不全治療が期
待されている。再生医療による心不全治療の Review の
後、澤教授が取り組んでいる骨格筋芽細胞シートによる
重症心不全治療を紹介された。順調に症例数を増やし、
テルモ社からのテルモ「ハートシート」としての製造販
売が取得され、世界初となる心不全治療用の再生医療製
品として期待されている。次のステップとして、心筋幹
細胞の分化誘導、血管新生を助長するパラクライン因子
を発現する薬剤(ONO1301 )を組み込んだセルフリーの
ハイブリッド心臓サポートネットを本学秋田利明教授
(心臓血管外科学)と共同開発中であることを紹介して
いただいた。
最後に iPS 細胞を用いた心不全治療に対する取り組
みが紹介された。大量細胞培養、未分化細胞排除、細
胞ストック方法等解決すべき問題は山積しているが、
臨床応用に向けて着実に研究が進んでいることに感銘
を受けた。
【セミナーの成果】
最新の重症心不全治療の現況だけでなく、再生医療
の現状と将来の方向性を明確に示され、極めて有意義
な講演であった。
(心臓血管外科学 秋田利明記)
幸谷 愛先生(東海大学医学部総合医学
研究所血液腫瘍内科造血腫瘍分野准教授)
日 時
場 所
担 当
平成 27 年 7 月 29 日(水)18:00~19:30
医学教育棟 4 階 E41 講義室
血液免疫制御学 岡崎俊朗特任教授
【講師紹介】
1996 年京都大学医学部卒業、2003 年
同大学大学院修了。2011 年東海大学創
造科学技術研究機構医学部門准教授、
2013 年同大学医学部再生医療科学准教
授、2014 年より現職。
【主な研究分野】
造血系腫瘍の新規治療開発を目指し
た small RNA の研究。
【セミナーの内容】
これまで、細胞運命、分化の決定は転写因子に依存す
ると考えられてきた。しかし、近年、クロマチン構造の
変化などエピジェネティックな制御や遺伝子転写後制御
などが細胞運命決定へ関与することが報告され、より包
括的な観点での細胞運命決定機構の解析が必要である。
転写因子以外の制御機構である非コード RNA の一つ
miRNA による細胞運命制御を研究する過程で、miR-126
が白血病細胞において B 細胞分化に必須とされる転写因
子である EBF1、E2A、Pax5 独立的に B 細胞を誘導する
ことを見出した。更には上記の 3 つの転写因子の中でも
特に B 細胞分化初期に必須とされる転写因子、EBF1 欠
損による B 細胞分化凍結を、miR-126 が部分的ではある
が確かに解除し、B 細胞分化を誘導することを見出した
(Okuyama et al PNAS 2013 )
。そこで、更に条件検討、
解析を進めたところ、B 細胞発生段階、ProB において高
発現している miRNA である miR-195 が EBF 欠損造血前
駆細胞に、表面マーカー上 B 細胞系列決定マーカーであ
る CD19 を誘導し、分子生物学的 B 細胞系列決定マー
カーである VDJ のリコンビネーションを完了させる機
能を持つことを見出した。以上の結果は B 細胞分化必須
転写因子欠損による分化凍結を miR-195 がほぼ完全に解
除することを示している。これらの結果は、転写因子が
中心となって細胞分化が誘導されるとした考え方に、新
たに非コード RNA の重要性を加えるとともに、転写因
子の異常が発症の引き金となる白血病において、非コー
ド RNA が新たな治療標的になり得ることを示している。
【セミナーの成果】
近年特に重要性が増している miRNA の生物学的意義
と病態的意義について概説していただき、その後、血液
細胞の分化誘導の過程が転写因子のみならず miRNA に
よっても制御されることを明らかにした研究過程を詳
細に説明していただいた。このことは、今後の血液腫
瘍の発症過程に、従来の遺伝子異常のみでなく miRNA
が関与することを示唆しており、造血機構解明に向け
た新規の研究方向を指し示すものとして有意義な講演
であった。
(血液免疫内科学 岡崎俊朗記)
35
学 術
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
大学院医学研究セミナー
デング熱、エボラ出血熱などの
新興再興感染症について
若者への STI 講演会 10 年間の経験
講 師
講 師
日 時
場 所
担 当
大石和徳先生(国立感染症研究所感染症
疫学センターセンター長)
平成 27 年 9 月 25 日(金)18:00~19:30
医学教育棟 4 階 E41 講義室
臨床感染症学 飯沼由嗣教授
【講師紹介】
日 時
場 所
担 当
笹川眞人先生(大学前クリニック笹川医
院院長)
平成 27 年 10 月 2 日(金)18:00~19:30
医学教育棟 4 階 E41 講義室
泌尿生殖器治療学 宮澤克人教授
【講師紹介】
1980 年長崎大学医学部卒業、同年同
1983 年金沢医科大学卒業、1987 年
大学熱帯医学研究所内科入局。1987 年
金沢医科大学大学院修了、泌尿器科学
米 国 Uniformed Services University
入局。1987 年恵寿総合病院泌尿器科
留学。1988 年長崎大学熱研内科助手、
医長。1990 年新潟県厚生連上越総合
1995 年同講師、1997 年同熱研感染症
病院泌尿器科医長、1998 年大学前ク
予防治療分野助教授。2002 年 WHO 短
期専門家(中国の SARS 対策に参加)。
2006 年大阪大学微生物研究所感染症国際研究センター
教授。2012 年 4 月より現職。
【主な研究分野】 熱帯医学、感染症学、呼吸器内科学。
リニック笹川医院(上越市)院長。
【主な研究分野】
性感染症、漢方医学。
【セミナーの内容】
性感染症(STI )の予防には、若者への性教育を通し
て STI の正しい知識と啓発が重要である。笹川先生は
【セミナーの内容】
新興再興感染症の最新情報について解説いただいた。
その先駆者として高校生に STI 講演会を開始し、大学、
トリインフルエンザウイルスの変異による新型イン
の成果を日本性感染症学会卒後・生涯学習プログラム
フルエンザの出現の可能性が危惧されている。現在中
において報告されるなど精力的にご活動されている。
国湾岸部を中心に流行しているトリインフルエンザ A
本セミナーでは STI の最新動向からその対策あるいは
(H7N9 )は、ヒトへの親和性が比較的高く、ヒト型へ
受講者の感想文からの活動評価を含め先生の約 12 年間
の変異について注意が必要である。中東呼吸器症候群
に渡る総受講者数 8,592 人への豊富な経験に基づき解説
(MERS )は、中東地域を中心に流行している新型コロ
ナウイルスによる重症肺炎である。今春、中東からの
自衛隊、一般企業などにも範囲を広められており、そ
された。
【セミナーの成果】
帰国者が韓国内で発病し、大規模なアウトブレイクを
本セミナーには大学院生のみならず医学部学生 22 名、
引き起こした。エボラ出血熱はアフリカ地方で流行を
看護学部学生 5 名、医師 12 名を含む多くが聴講した。
繰り返す致死的なウイルス感染症であるが、昨年から
STI の認定医から『予防医学』の一環としての若年者へ
史上最大規模のアウトブレイクが発生し、アフリカ外
の啓発の重要性、診療における環境づくりを含めたポイ
での感染者も相次いだ。デング熱は、昨年 70 年ぶりに
ントが示され学生、医師に大変有意義なセミナーであっ
国内での感染例が確認された。年間 200 例以上の輸入
た。
症例が報告されており、今後も国内での感染伝播に十
分注意する必要がある。
【セミナーの成果】
交通手段の発達は移動時間の短縮につながり、距離
的に遠い国で発生した新興感染症に対して、国内にお
いても感染予防対策への準備が必要である。今回の講
演により、めまぐるしく変貌を遂げる新興感染症につ
いて理解が深まった。
36
(臨床感染症学 飯沼由嗣記)
(泌尿器科学 宮澤克人記)
学 術
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
大学院医学研究セミナー
オレキシンと糖代謝
Teneurin-4 is a Novel Regulator of
CNS Myelination and Oligodendroglial/Neural Process Formation
講 師
講 師
日 時
場 所
担 当
笹岡利安先生(富山大学大学院医学薬学
研究部病態制御薬理学教授)
平成 27 年 10 月 7 日(水)18:00~19:30
医学教育棟 5 階 E51 講義室
内分泌代謝制御学 古家大祐教授
【講師紹介】
1985 年滋賀医科大学医学部を卒業、
同第三内科での大学院。新千里病院
(大阪府吹田市)で臨床研修し研鑽を
積む。1991 年に米国カリフォルニア
大学サンディエゴ校に留学。帰国後は、
富山医科薬科大学第一内科と臨床薬理
学講座で勤務、2005 年に臨床薬理学
教授。2007 年より現職。
【主な研究分野】
睡眠障害とうつに伴う耐糖能異常や、加齢と性差に
着目した 2 型糖尿病の新規治療法の開発に向けた研究
を展開。
【セミナーの内容】
高齢化社会では、不眠やストレスが 2 型糖尿病の併
発症として重要であり、生活の質を高めた糖尿病治療
法の開発が求められる。オレキシンは、覚醒と睡眠を
司る視床下部ペプチドであり、自律神経系を介して末
梢組織の糖代謝を制御する。オレキシンは日内リズム
を有し、2 型糖尿病マウス db/db の活動期にオレキシ
ンを投与すると、肝糖産生を抑制することで顕著に高
血糖が改善した。本効果はマウスの休息期に投与して
も認められなかった。また、オレキシン受容体阻害薬
を用いてオレキシン作用を明期(ヒトでは夜)に阻害し
た場合でも血糖値の改善が得られた。以上、オレキシ
ン作用の概日リズムに合致した制御による、社会活動
(抗うつ)や生活の質(快眠)の向上を目指した糖尿病治
療戦略を解説された。
【セミナーの成果】
不眠やストレスによるインスリン抵抗性と耐糖能異
常の新規治療戦略として、概日リズムに基づいたオレ
キシン系の活動時の活性化と睡眠時の不活化による時
間治療法の開発が期待できる。今後の社会的ニーズに
合致して糖尿病と併発症に対処する斬新な方策を学ぶ
ことができ、有意義なセミナーであった。
(糖尿病・内分泌内科学 古家大祐記)
日 時
場 所
担 当
鈴木喜晴先生(東京医科歯科大学大学院
保健衛生学研究科分子生命情報解析学分
野准教授)
平成 27 年 10 月 9 日(金)18:00~19:30
基礎研究棟 2 階会議室
ゲノム医科学 米倉秀人教授
【講師紹介】
2000 年信州大学理学部卒業。2004
年北海道大学大学院地球環境科学
研 究 科 修 了。2004 年 ∼ 2006 年 日 本
学 術 振 興 会 特 別 研 究 員、2006 年 か
ら 2010 年 8 月 ま で ア メ リ カ 国 立 衛
生 研 究 所(NIH )NIDCR(National
Institutes of Dental and Craniofacial
Research )客員研究員、2010 年 9 月∼ 2014 年 1 月東京
医科歯科大学保健衛生学研究科分子生命情報解析学分
野講師、2014 年 2 月より現職。
【主な研究分野】
生化学、分子生物学、神経科学。
【セミナーの内容】
中枢神経系において神経軸索はオリゴデンドロサイ
トが形成する髄鞘によって包まれており、髄鞘は神経
軸索の成熟・維持と活動電位の効率的な伝播に重要な
役割を持つ。髄鞘の欠損は軸索崩壊等を伴った様々な
神経障害を引き起こすことが知られている。髄鞘障害
による「ふるえ」の病態の一つである本態性振戦の患者
はじっとしているときには震えは起きないが、文字を
書こうとしたり、なんらかの動作をしようとすると、
小刻みに震え出す。65 歳以上の 5 人に 1 人が該当すると
言われる。
本講演では遺伝子改変マウスの作製過程で偶然に見
つかった本態性振戦の「ふるえ」モデルマウスを用いて、
ふるえの原因となっている遺伝子を同定し、その機能
について最新の研究成果とともに紹介された。
「ふるえ」
モデルマウスは生後、小径軸索のみで髄鞘形成不全がみ
られることを示し、その原因 がオリゴデンドロサイト
の細胞膜タンパク質のテニューリン 4 の欠損であること
を明らかにした。さらにテニューリン 4 の下流で focal
adhesion kinase(FAK )が活性化し、細胞突起形成を制
御していることを明らかにした。テニューリン 4 の髄鞘
形成における新たな役割がわかりやすく説明された。
【セミナーの成果】
本態性振戦のモデルマウスから同定されたテニュー
リン 4 の髄鞘形成とその成熟における機能など、髄鞘
形成の新たなメカニズムがわかりやすく示された。講
演終了後には多数の活発な討議があり、大変有意義な
セミナーであった。
(生化学 II 吉冨泰央記)
37
学 術
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
北陸がんプロ FD 講演会
北陸がんプロ FD 講演会は、がん医療に携わる教員の資質向上や能力開発を目的として、最新のがん医療専門家
を招聘し講演会を開催している。
腫瘍病理学セミナー:大腸がんの新しい病理学的予後指標ー規約改定の背景と今後の展望
講師: 上野秀樹先生(防衛医科大学校外科学講座准教授)
日時: 平成 27 年 9 月 14 日(月) 17:00 ∼ 18:30/場所:病院新館 12 階特別会議室
【講師紹介】
1990 年防衛医科大学校卒業。2001
れた。本セミナーではリンパ節構造のない非連続性
年同大学校大学院修了。陸上自衛隊
の歴史的背景、病理所見と予後との相関について詳
部隊医学実験隊研究員、防衛医科大
細に解説し、改訂の根拠と臨床的な意義を明らかに
学校外科学第一講座助手、講師を経
すると共に、我が国の規定と世界の動向、TNM 分類
て、2014 年より現職。2015 年 4 月よ
とのすり合わせなどについても述べ、今後の病理診
り同大学校外科 1 部門長、同下部消
断には予後因子を入れるという今後の方向性につい
がん胞巣、低分化胞巣(PDC )、神経浸潤に絞り、そ
ても言及した。後半部では PDC の遺伝子解析、間質
化管外科科長。
大腸癌研究会「大腸癌治療ガイドライン委員会」・
の成熟度と予後との相関についても紹介した。聴衆
「大腸癌取扱い規約規約改定委員会」改訂委員、
「家族
からの質問が途切れることなく、特に PDC の定義や
性大腸腺腫ワーキンググループ」ワーキンググループ
遠隔転移を説明する分子機構、術前の検査で予後を
長、
「遺伝性大腸癌診療ガイドライン」家族性大腸腺
予測する方法など、幅広く意見交換が出来た。臨床
腫症責任者などを務める。
に携わる医師および基礎研究者にとって非常に有益
【講演の内容】
なセミナーであった。
(病理学Ⅰ 清川悦子記)
大腸癌研究会で行われた複数の多施設共同研究に
基づいて大腸癌取扱い規約第 8 版の病理部分が改訂さ
《本学スタッフ新刊著書》
佐伯由佳、田中美智子 編集
井上 泰 医学監修
ナーシング・グラフィカ
健康の回復と看護①
呼吸器機能障害 / 循環機能障害
分担執筆:石﨑武志
(1 章 2. 換気障害 3. 拡散障害)
(株)MC メディカ出版
A4 変形判、245 頁
定価(本体 3,200 円+税)
2015 年 1 月 15 日発行
ISBN978-4-8404-4497-2
38
本書は呼吸機能障害/循環機能障害の最新の病
態生理・診断法・治療・予後・看護ケアなどの内
容を看護学生・看護教員向けに提供する。グラフ
を多用して視覚的にも楽しめるような構成であり、
e-education にも対応できるよう工夫されている。
習得すべき最小限の知識を見極めるのに便利であ
り、読者の学習意欲を高める配慮がなされているの
で、看護学生のみならず、医学生や教員にも大いに
参考になると期待される。さらに看護師国家試験出
題基準の内容を網羅していることも特記される。
(能登北部呼吸器疾患センター 石﨑武志記)
学 術
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
北國がん基金研究助成授与される
公益財団法人北國がん基金は、このほど第 29 回北國がん基金として、石川県内の大学、病院、関係団体から推薦、
応募があった中から、研究活動助成部門 13 件、海外派遣等研修助成部門 1 件、啓発活動助成部門 2 件、特別表彰部
門 1 件の計 17 件、総額 1,220 万円を選定した。
本学からは、研究活動助成部門で竹内正義教授(総合医学研究所先端医療研究領域)、町田雄一郎助教(呼吸器外
科学)、利國信行准教授(肝胆膵内科)の 3 件、啓発活動助成部門で久村和穂講師(腫瘍内科学)らの金沢医科大学緩
和ケア委員会 CLIMB プロジェクトチームの 1 件、合計 4 件が選ばれ、平成 27 年 9 月 11 日(金)に北國新聞会館 17 階
で行われた贈呈式で助成金が授与された。
北國がん基金は、県内の医学関係者の要望を受け 1986 年に発足し、寄せられた善意は現在まで累計 6 億円を超え、
医学関係者や啓発活動に取り組む団体などの活動を側面から支援している。
当財団の助成事業における本学の受賞は、今回で 52 件(研究者個人またはグループ)、総額 4,960 万円となる。
(研究推進課 林 結布記)
◇研究活動助成部門
「悪性腫瘍の発症・進展における毒性終末糖化
産物(Toxic AGEs, TAGE )の関与」
進した生体内 TAGE 生成/蓄積が、癌細胞の増殖のみ
ならず、癌の悪性度に関連する転移・浸潤に及ぶまで
様々な影響を与えている可能性が示唆されている。
(総合医学研究所先端医療研究領域 竹内正義記)
助成額:100 万円
竹内 正義 教授(総合医学研究所先端医療研究領域) 「肺腺がんの進展における腫瘍関連マクロファー
ジの検討」
【研究概要】
私 た ち が 提 唱・ 展 開 し て い る
「TAGE 病因説」は、癌も含めた生活
習慣病の発症・進展に強く関わって
助成額:50 万円
町田 雄一郎 助教(呼吸器外科学)
いることが明らかになりつつあり、 【研究概要】
また血中 TAGE 量の評価は生活習
肺腺癌の発生や進展に関わる分
慣病の予防、早期診断、治療の有
子機構の解明は、最優先の研究課
効性を評価する有用なバイオマー
題の一つである。EGFR チロシン
カーとしての可能性を秘めていることが示されている。
キナーゼ阻害薬の登場は、肺腺癌
悪性腫瘍との関連においては、TAGE が悪性黒色腫
の治療に著しく変化をもたらした
や肺癌、肝癌等の発症・進展に強く関連していること
が、その効果は十分とは言えない。
を明らかにしている。現在、ヒト肝臓由来の株化細胞
そのため、肺腺癌の進展機序の解
構で種々の細胞に傷害を与え、さらに癌の発症・進展
アクアポリン aquaporin(AQP )は、細胞膜を介した
にどのような影響をおよぼすかについて検討を行って
水輸送を担うチャンネル分子である。今までに生理的
いる。
機能や疾患との関連性、癌の発生・進展に関わる機能
等を用いて、細胞内 TAGE 生成/蓄積がどのような機
近年、患者数が急増している非 B 非 C 型肝癌患者で
は、糖代謝異常の有無にかかわらず血中 TAGE 量が高
値であり、細胞内 TAGE の生成/蓄積が肝臓の炎症や
線維化、ひいては肝細胞癌に関連する可能性を見出し
て い る。 現 在、European Prospective Investigation
into Cancer and Nutrition Cohort 研究グループからの
依頼を受け、大腸癌患者などの 2,200 検体について血中
TAGE 量の測定を実施している。
これまでの研究から、現代の生活習慣のひずみで亢
明は重要な研究課題である。
に重要な役割を果たしている可能性が提唱された。我々
は、1 )AQP1 の過剰発現が肺がん術後転移発生と生命
予後に密接に関係していること、2 )AQP1 の過剰発現
が浸潤先進部での lamellipodia 形成を促進することを
発見した。しかし、lamellipodia 形成に関わる微小環
境の解明が不十分であり、AQP1 とその制御機構の解
明が待たれている。
炎症反応により腫瘍組織に浸潤するマクロファー
ジ は tumor-associated macrophage(TAM )と 呼 ば れ、
39
学 術
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
TNF- α、IL-6、CXCL12 などの炎症性メディエーター
やサイトカインを産生し、癌浸潤部における微小環境
に大きく関与している。TAM が産生するサイトカイン
により血管新生因子・細胞外マトリックスの発現が起
こり、癌細胞の増殖や浸潤が誘導される。そのため、
TAM は lamellipodia 形成に強く影響を与えていると考
えられている。
今回の研究目的は、肺腺癌の進展における TAM の役
割(AQP1 との関連性)の解明および癌浸潤部の微小環
境の解明であり、その実証が肺腺癌の新たな制御法に
繋がる可能性がある。 (呼吸器外科学 町田雄一郎記)
「肝がんのエピジェネティクス−過栄養がもた
らす microRNA 発現の変化と肝発がんの関係」
◇啓発活動助成部門
「がんの親をもつ小学生の集い『キッズ探検隊』
の取り組み」
助成額:30 万円
金沢医科大学病院緩和ケア委員会 CLIMB
プロジェクトチーム
久村
我妻
道渕
北本
橋本
和穂 講師(腫瘍内科学)
孝則 主任看護師(集学的がん治療センター)
路子 看護師(集学的がん治療センター)
福美 講師(精神神経科学)
玲子 助教(精神神経科学)
【活動概要】
助成額:50 万円
本学病院緩和ケア委員
利國 信行 准教授(肝胆膵内科)
会は昨年度より「子育て
中のがん患者とその子ど
もの支援プロジェクト:
【研究概要】
本邦では肥満人口が増加の一途をたどっており、そ
CLIMB(クライム)プロ
の主たる原因は過栄養と考えられる。肥満は動脈硬
ジェクト」を開始し、患
化に関与するだけでなく、発癌促進因子でもあること
者とその子どもの心理
が明らかにされてきた。肥満との関連が強い癌とし
社会的苦痛を緩和する
て は 大 腸 癌、 腎 癌、 乳 癌 の 他、 肝 癌(hepatocellular
ための支援プログラム
肝炎ウイルスが原因でない HCC が増加しており、過
んでいる。本プロジェク
栄養、肥満を基盤とする非アルコール性脂肪性肝炎
トの目的は、これまで家族支援の対象として注目され
carcinoma, HCC )が知られている。実際、本邦では
(nonalcoholic steatohepatitis, NASH )の増加がその理
由のひとつであると考えられている。過栄養がもたら
す肝発癌のメカニズムを解明することは肝癌予防の観
点から極めて重要である。
近年、エピジェネティック(epigenetic )な遺伝子発
現制御メカニズムが解明されてきた。さらに、栄養状
態がこの制御に影響するというエビデンスが示されつ
CLIMB の導入に取り組
キッズ探検隊
ることのなかったがんの親をもつ未成年の子どもへの
心理社会的支援の実施およびその重要性について市民
に広く啓発していくことにある。
CLIMB とは、Children’
s Lives Include Moments of
Bravery「子どもはいざという時、勇気を出します」と
いう意味で、米国で開発されたがんの親をもつ小学生
のためのサポート・グループ・プログラムの名称であ
つある。エピジェネティックな遺伝子制御には、DNA
る。CLIMB の目的は、親の病気に関連するストレスへ
よる制御が知られている。
に変えることにある。
「キッズ探検隊」は通常 6 回実施さ
メチル化修飾、ヒストン修飾、さらには microRNA に
本 研 究 で は microRNA に 着 目 し、 過 栄 養 に よ っ て
microRNA の 発 現 が 変 化 し、 そ の 結 果、 肝 発 癌 に 関
わる癌遺伝子の発現促進、あるいは癌抑制遺伝子の
発現低下が起こるのではないかという仮説を立てた。
NASH-HCC 動物モデルを用いてこの仮説を検証する
予定である。
(肝胆膵内科 利國信行記)
の対処能力を高め、子どものピンチを成長のチャンス
れる CLIMB のエッセンスを 1 日プログラムに編集した
ものであり、日本海沿岸地域の医療機関としては本学
病院が初めて 8 月 8 日に実施した。6 名の小学生が参加
し、放射線治療室や手術室等を探検したり、工作を通
してストレス対処法について学習した。事後アンケート
では、子どもの病院に対する不安や怖さが軽減し、親
子間でよりオープンな会話ができるようになった等の
感想が寄せられた。本プロジェクトを通して、患者と
医療者が子育てを一緒に考えていくことは、早期から
の緩和ケアの実践と普及啓発につながるものである。
(腫瘍内科学 久村和穂記)
40
学 術
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
平成 27 年度
私立大学戦略的研究基盤形成支援事業
高齢化の進む過疎地域における
ライフ・イノベーション創出
学生も参加して過疎地で高齢者聞き取り調査を実施
私立大学戦略的研究基盤形成支援事業(文部科学省)
の「研究拠点を形成する研究」に採択され、平成 24 年度
より 5 年間の計画で展開しているプロジェクト「高齢化
の進む過疎地域におけるライフ・イノベーション創出」
川﨑康弘教授(前列左から 4 人目)とボランティア調査員
の一環として、過疎地で暮らす高齢者の心の健康を地
により心や体の状態を数値化することができる。プロ
域で見守る取り組みを継続して行っている。
ジェクトでは調査結果を用いて、医療、福祉、行政の
研究代表者である川﨑康弘教授(精神神経科学)の呼
関係者が情報を共有し、治療や支援に生かす「医科大方
び掛けに応じたボランティア調査員は金沢医科大学およ
式」の地域医療システムの確立を目指している。地域住
び氷見市民病院の医師や教職員、臨床研修医、医学部学
民の健康維持・増進の他に、本学参加者の地域医療へ
生、看護学部学生、医学研究科大学院生からなる 30 名
の関心を高め、高齢者の諸機能評価の習得といった教
で、事前に調査法に習熟するための研修を受けたのちに、
育的効果も期待しての企画である。平成 27 年度は 3 年
平成 27 年 8 月 1 日(土)と 2 日(日)に現地調査が行われ
目の調査であり、前年度に比し、調査地域の住民から
た。調査地域は氷見市民病院の巡回診療ルートにある氷
の受け入れが好意的で、継続して参加する家庭が多く
見市の平沢、長坂、戸津宮地区で、65 歳以上の高齢者が
みられた。調査スタッフの企画進行がスムーズになり、
いる約 130 世帯を対象にボランティアが個別訪問し、ア
本調査への学生の関心もより深まっていると感じられ
ンケート調査や簡便な認知機能検査等が行われた。本学
た。また、参加者から「調査を通じて予防医学や地域医
の非常勤講師である敦賀温泉病院の玉井 顕博士らによ
療の重要さを実感できた」など、有意義な体験であった
り開発された生活支援アンケートは日常生活の自立度や
との感想が多く寄せられた。
認知症の諸症状を行動面からチェックできるため、調査
受 賞
ひらめき☆ときめきサイエンス
推進賞 受賞
八田 稔久 教授(解剖学Ⅰ)
村上 学 講師(医動物学)
(精神神経科学 川﨑康弘記)
として平成 22 年∼ 26 年までの 5 年間、小学 5・6 年生
を対象に感染症を招く虫(蚊)について細部までの観
察を通して講義し、今回の受賞となった。これに伴
い、伝達式が平成 27 年 8 月 6 日(木)午前 11 時から本
部棟 2 階学長室で執り行われた。
(研究推進課 西道昌貴記)
このたび、独立行政法人日本学術振興会から「ひ
らめき☆ときめきサイエンス推進賞」が授与された。
受賞者は、八田稔久教授(医学部・解剖学Ⅰ)、村上
学講師(医学部・医動物学)で、本学では 2 回目の受
賞となる。
八田教授は、平成 20 年∼ 21 年および平成 24 年 ~26
年の 5 年間、中学生、高校生向けには母胎間のシグ
ナル伝達について、小学 5、6 年生向けには動物の
組織透明化について実験を通してわかりやすく講義
し、今回の受賞となった。村上講師は、実施代表者
受賞した八田稔久教授(左)と村上 学講師(右)
41
学 術
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
平成 27 年度金沢医科大学プログラム
ひらめき☆ときめきサイエンス
〜ようこそ大学の研究室へ〜 KAKENHI
平成 27 年 7 月下旬から 8 月上旬にかけて、独立行政法人日本学術振興会の支援のもと、研究成果の社会還元・普
及事業「ひらめき☆ときめきサイエンス∼ようこそ大学の研究室へ∼ KAKENHI 」金沢医科大学プログラムが下表
のとおり実施された。このプログラムは、平成 17 年度から独立行政法人日本学術振興会の事業として開始され、科
学研究費助成事業( KAKENHI )による研究成果をわかりやすく発信することを通じて、小学生・中学生・高校生
に大学が育てている学術と日常生活との関わりや学術の意味について理解を深めてもらうことを目的としている。
本学では、昨年度に引き続き、科学研究費助成事業に採択されたことがある研究者を対象に公募を行ったところ
3 件の応募があり、全てが選定された。この事業の本学での実施は、平成 20 年度から 8 年連続となっている。
なお、本プログラムの実施内容は下記ホームページで公開されている。
http://www.jsps.go.jp/hirameki/index.html
開催日
参加者
H27.7.29
小学 5・6 年生
(水)
(25 名)
H27.7.31
小学 5・6 年生
(金)
(22 名)
H27.8.4
小学 5・6 年生
(火)
(25 名)
(研究推進課 西道昌貴記)
プログラムのテーマ
実施代表者
開催場所
からだを透かして見てみよう
八田稔久教授
基礎研究棟 5 階
−透明人間できるかな?− 2015
医学部・解剖学Ⅰ
解剖学Ⅰ研究室他
長寿のメニューってできるんけ? 2015
島田ひろき講師
基礎研究棟 5 階
∼食品の「活性酸素」を消す力を測定しよう∼
医学部・解剖学Ⅰ
解剖学Ⅰ研究室他
人に病気をうつす虫(蚊)がどんな奴か
村上 学講師
基礎研究棟 2 階
観察してみよう
医学部・医動物学
会議室他
ひらめき☆ときめきサイエンス
からだを透かして見てみよう
−透明人間できるかな ? − 2015
平成 27 年 7 月 29 日(水)、夏の恒例行事となったひら
めき☆ときめきサイエンスが開講された。解剖学Ⅰ教
室は二つのプログラムを主催し、そのうちの一つであ
る「からだを透かして見てみよう – 透明人間できるかな ?
– 2015 」には、県内各地から小学 5・6 年生 25 名が参加
した。このプログラムの学習目標は、どんな小さな生
物にも見事な骨や関節があり、それらが絶妙なバラン
スで組み合わさっていることを観察し理解することで
骨格標本の観察所見を記録する児童
ある。解剖することなく内部構造を観察することがで
所見を自分の言葉で書き込んだ。さらに、解剖学の授
きる透明標本を自分の手で作ることで、サイエンスの
業で実際に用いているヒトの骨格標本や内臓模型を手
感動を味わって欲しいと考えた。
にとって観察し、ヒトとカエルの体のなりたちを比較
午前中は、カエルの骨染色と標本透明化の実験に取り
組んだ。教室スタッフならびに本学学生スタッフの丁寧
な指導のもとに、参加者全員が無事、見事なカエルの透
明骨染色標本を作ることに成功した。昼食、学内探検ツ
アーの後、午後からは自分で作った透明カエルをルーペ
と顕微鏡を駆使して詳細に観察した。観察を通して興味
を持ったところや、発見したことをスケッチし、詳しい
42
した。白衣を着て顕微鏡を真剣にのぞきこむ生徒の姿
は、一人前の研究者であった。
最後に、参加者一人ひとりに「未来博士号」が授与さ
れ、実習は修了した。
(解剖学Ⅰ 八田稔久記)
学 術
ひらめき☆ときめきサイエンス
長寿のメニューってできるんけ? 2015
〜食品の「活性酸素」を消す力を測定しよう〜
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
使った解剖ミニ講義も行った。結果の発表会では、参
加者が内容をしっかりと理解して発表しており、質問
もたくさん出た。指導についた学生は、参加者に対し
常に真剣かつ丁寧に向き合っており、プログラムの中
心的役割を担ってくれた。
平成 27 年 7 月 31 日(金)に解剖学Ⅰ教室において、小
ここ数年はこの企画の募集を掛けると数日で応募人
学 5・6 年生を対象に科研費の社会還元事業「ひらめき☆
数に達するようになり、石川県内に広く知れ渡る行事
ときめきサイエンス」が開催された。
となりつつあることを実感している。
(解剖学Ⅰ 島田ひろき記)
今年で 7 回目となる本プログラムの目的は、生命維持
に必須だが毒にも成り得る酸素の二面性を理解した上
で、
「活性酸素」という目に見えないものを計測し、そ
のデータをもとに科学的推論を検証していくという研
究の魅力、面白さを参加者に感じてもらうことにある。
また、安易に「活性酸素を消去する健康食品」といった
類いの宣伝句に惑わされない科学的視点を育んでもら
うこともねらいのひとつである。
講義「活性酸素って何や ? 」の後、参加者 22 名を 6 班
に分け、各班に医学部生有志がグループリーダーとし
てついて実習を行った。各自が自分で調べたい食品を
人工胃液(ペプシン溶液)で処理して試料を作製し、そ
の活性酸素消去能をキットで測定した。何れの班もピ
ペットを上手に使いこなし、研究用のキットを難なく
使いこなしていた。空き時間には骨標本や人体模型を
ひらめき☆ときめきサイエンス
人に病気をうつす虫(蚊)がどんな奴か
観察してみよう
平成 27 年 8 月 4 日(火)に小学 5・6 年生を対象とした
「ひらめき☆ときめきサイエンス」を本学基礎研究棟で
開催した。参加者は児童 25 名、保護者 15 名、スタッフ
ピペットを上手に使いこなす児童
コールと蒸留水)を作製した。
最後に昆虫が見ている世界を体感してもらうために、
複眼メガネを装着し野外を歩き、植物や建物等がどの
ように見えるか?や UV フィルターを用いた写真撮影
を行い、単眼で可視領域の異なる人間との違いを体感
してもらった。
プログラム終了後に未来の科学者達は未来博士号を
授与され、博士となって帰路についた。
15 名(看護学部生 8 名;アルバイト)であった。
(医動物学 村上 学記)
午前は「衛生昆虫に関して、蚊の話」と題し、蚊の生
態や病気にならないようにする方法の講義を行った後、
ボウフラ、オニボウフラさらに身近な蚊 4 種を実体顕
微鏡で観察、雌雄判別や分類法を学習し、次に蚊の吸
血行動(蚊の吸血量は自重とほぼ同じ約 2 ∼ 3 μg)を疑
似体験してもらうために水入りポリタンク(5 ∼ 20kg )
を自分の体重分担いで移動する、2 ∼ 3 μg の液体量を
イチゴシロップで測ってみるなどしてもらいプログラ
ムは終了した。
午後には昆虫を電子顕微鏡で細部観察し、外骨格に
生えた毛(感覚毛)、鍵爪や複眼を細かく観察し、私た
ち哺乳類との違いを説明した。休憩後、蚊取り線香(除
虫菊粉末と香粉末)と虫除けスプレー(ハッカ油、アル
蚊取り線香の作製に取り組む児童
43
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
病 院
第 36 回
金沢医科大学病院
連携病院会議
日時: 平成 27 年 8 月 7 日(金) 午後 5 時 30 分
場所: ホテル日航金沢
平成 27 年 8 月 7 日(金)、第 36 回連携病院会議がホテ
ホテル日航金沢で開催された連携病院会議
ル日航金沢 4 階「鶴の間」において開催された。
この会議は、北陸三県の病院との連携をより一層深
ついて講演した。
めるとともに、地域医療の向上と充実に貢献すること
第 2 部の懇談会では、古家副院長が司会を務め、平
を目的として毎年開催されている。当日は、北陸三県
成 27 年度高度・専門医療人材支援事業について活動を
68 病院の病院長、事務長等 69 名、本学からは竹越 襄理
報告した。続いて土谷武嗣臨床准教授(心血管カテーテ
事長、勝田省吾学長、松本忠美病院長をはじめ 85 名、
ル治療科)が「胸痛ホットライン研究会」を開設した経
計 154 名が参加した。
緯・目的の説明、現状、活動について、福島俊洋特任
初めに、本学役員および病院長の紹介があり、引き
教授(血液・リウマチ膠原病科)が「のと血液疾患地域
続き、松本忠美病院長が挨拶された。その後、昨年の
包括ケア研究会」の発足の経緯・目的を説明し、現状の
会議以降、新たに就任された教授が紹介され、各教授
問題点と活動について報告した。質疑応答の後、事前
により就任の挨拶が行われた。
アンケートで寄せられた要望事項について病院長が回
第 1 部の特別講演では、古家大祐副院長が座長を務
め、正木康史教授(血液・リウマチ膠原病科)が「21 世
紀に入り本邦より発信された新しい疾患 IgG4 関連疾
患」と題して、IgG4 関連疾患とは何か ? 本疾患概念が
確立される以前の状況、IgG4 関連疾患の診断・治療に
答した。
懇親会では、竹越理事長が開会の挨拶を行い、勝田
学長の発声で乾杯が行われた。終始和やかな雰囲気の
中で意見交換が行われ、三輪高喜副院長の挨拶で閉会
した。
第 88 回 がん診療連携拠点病院研修会
第 10 回 緩和ケアオープンセミナー
(地域医療連携事務課 諸江律子記)
中のがん患者とその子どもの心
理と支援の実際を学ぶ研修会を
開催した。
子どもを持つがん患者・家族へのアセ
スメント介入:
患者(親)を支える子どもを支える
研修会では、親のがんを知っ
ている子どもの方がストレス症
状が少なく、親の死が避けられ
ないことを事前に知らされた子
どもの方が不安度が低いという
講師: 井上美穂先生(四国がんセンター臨床心理士)
日時: 平成 27 年 7 月 15 日(水) 午後 6 時
場所: 病院新館 12 階大会議室
先行研究や、それを裏付ける臨
井上美穂先生
床事例が多数紹介された。また、
告知期から終末期に至るまで、
患者の病期に応じた支援内容や、子どもへのがんの伝
本学病院緩和ケア委員会では今年度、がんの親をも
つ小学生のための心理教育プログラム「キッズ探検隊」
え方等の具体例も盛り込まれ、充実した内容であった。
本学病院でもがん患者の子どもの支援を開始するに
を初めて企画した。そこで、この開発者である四国が
あたり、本研修会から以下のような示唆を得ることが
んセンター臨床心理士の井上美穂先生を招き、子育て
できた。第一に、がんの親をもつ子どものケアを継続
44
病 院
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
的に行うためには、1 人のスペシャリストよりも、院内
な支援をするという視点である。これらの示唆は、キ
外で多職種から構成される仲間を増やし、それぞれの
ッズ探検隊参加者の親(= 患者)と信頼関係を築くため
立場でできることを実践していくチーム・アプローチ
に事前に電話インタビューをしたり、地域の医療関係
が重要であること、第二に、患者の子どもを支援する
者と協働したりする動きにつながり、翌月実施した「キ
ためには、まず親である患者と信頼関係を築き、患者
ッズ探検隊」を大きな成功へと導いた。
の家族役割を引き出して子どもと誠実に向き合うよう
(腫瘍内科学 久村和穂記)
第 89 回 がん診療連携拠点病院研修会
癌に関連する HPV、特にハイリ
頭頸部癌診療と感染予防
認められることを提示された。
スクタイプ(16 型)が高頻度に
背景に性活動の多様化が指摘さ
講師: 鈴木幹男先生(琉球大学耳鼻咽喉・頭頸部外科
れ、この癌は若年、非飲酒、非
学講座教授)
喫煙者に多く、化学療法、放射
日時: 平成 27 年 8 月 28 日(金) 午後 6 時
線治療が有効であるため予後は
場所: 病院新館 12 階特別会議室
良好であるという特徴がある。
現在個別化による低侵襲治療を
今回の研修会では琉球大学の鈴木幹男教授に講演し
鈴木幹男先生
ていただいた。まず頭頸部癌における最近の疫学的動
めざした研究が進んでいること
を示された。
向で部位別粗罹患率は口腔咽頭癌が全国的に増加傾向
後半では頭頸部癌診療と感染予防について言及され
であるが、沖縄県では以前から口腔、咽頭癌が多いこ
た。頭頸部癌手術と創部感染(Surgical Site Infection:
とを示された。口腔咽頭、食道癌症例はアルコール代
SSI )との関連では、最近の報告で腫瘍進行、再建手術、
謝酵素遺伝子 ADH1B 1.1(低活性型)、ALDH 2.1.2(ヘ
化学放射線治療が影響していることを示された。また、
テロ)が発がんに関与する遺伝子型だが、ADH1B 1.1
琉球大学耳鼻咽喉科病棟における感染対策の実例を挙
発現は全国平均 6% と沖縄県 33%、ALDH 2.2.2(欠損型)
げ、手指消毒、環境整備、さらに軟性内視鏡の消毒法
発現が全国 9% と沖縄県 2.6% であり、
“酒で酩酊しやす
や部位別培養結果から先端部分だけでなくコントロー
く、下戸が少ない”遺伝子背景が沖縄県の生活習慣の要
ラのアルコール清拭が重要であることなど、当施設に
因である可能性を示された。
おける感染予防対策に大変有用な内容であった。
次にトピックスで中咽頭癌(扁桃)において、子宮頸
(頭頸部外科学 下出祐造記)
第 90 回 がん診療連携拠点病院研修会
第 11 回 緩和ケアオープンセミナー
ん患者の治療前から終末期まで
のすべての段階において栄養管
理が必要である。例えば栄養障
緩和と栄養−入院から在宅まで緩和
医療に必要な栄養管理とは−
害のある術前症例に 1 ∼ 2 週間
以内の栄養療法を行う事は有益
であり、術後も早期から経腸栄
講師: 片山寛次先生(福井大学医学部附属病院がん診
養を導入することで早期回復が
療推進センターセンター長)
可能になる。化学療法を受けて
日時: 平成 27 年 9 月 18 日(金) 午後 6 時
場所: 医学教育棟 6 階大会議室
いる患者は慢性的な栄養障害が
片山寛次先生
あり、栄養状態を改善すること
により化学療法、放射線療法の
福井大学医学部附属病院がん診療推進センターセン
完遂率を高め、骨髄移植や末梢血幹細胞移植を伴う大
ター長の片山寛次先生を招いて「緩和と栄養」という
量化学療法を安全に行うことができる。これらについ
テーマで講演していただいた。栄養療法により腫瘍の
て、ご自身の研究成果や体験を交えてわかりやすく語
増殖や転移が促進されるというエビデンスはなく、が
られた。一方、他の病態に比べ終末期のがん悪液質には、
45
病 院
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
中心静脈栄養法、経腸栄養法等の栄養療法の効果は乏
積極的に導入することの意義にも言及された。最後に
しい。しかし、患者の状態、予後に応じて適切な栄養
栄養は医療の基本であり、緩和は医療の目的であり、
管理を導入することによって患者が希望していた在宅
全ての医療者が栄養管理と緩和ケアの基本的な知識を
が可能になるなど、価値観や希望を反映したその人ら
身につけなければならない、という力強い言葉で締め
しい生き方が可能になることを強調された。終末期の
くくられた。
(麻酔科 小川真生記)
難治性腹水に対する腹水濾過濃縮再静注法(CART )を
第 15 回 能登地区がん診療連携協議会
第 91 回 がん診療連携拠点病院研修会
在宅緩和ケアの現状と課題
あきら
講師: 吉岡 亮 先生(三菱京都病院腫瘍内科・緩和ケア
内科部長)
日時: 平成 27 年 9 月 19 日(土) 午後 3 時
場所: 恵寿総合病院 5 病棟 2 階講堂
吉岡 亮先生の講演
第 15 回能登地区がん診療連携協議会では、以下の 4
つのテーマについて報告と協議がなされた。1 )
「公立
宇出津総合病院におけるがん医療への取り組みについ
て」と題して、同病院の瀬戸啓太郎医局長が過去 3 年間
のがん患者数や治療件数の推移を報告された。2 )
「能
登地区薬薬連携への取り組み : 石川がん専門薬剤師チー
ム」と題して、本学病院高橋喜統課長(薬剤部)が石川
県内のがん専門薬剤師がチームとして活動し、平成 27
年度は能登地区でも薬薬連携研修会を開催したことを
報告した。3 )
「ご当地カフェin 石川」と題して、本学
腫瘍内科学の元雄良治教授が平成 27 年 10 月 17 日に開
催される「ご当地カフェin 石川」について紹介した。国
立がん研究センターがん対策情報センターがんサバイ
バーシップ支援研究部と本学病院集学的がん治療セン
ターの共催で、
「がん治療と仕事の両立」をテーマに講
演・シンポジウム・カフェタイムが含まれるプログラ
ムを紹介した。4 )
「石川県がん診療に携わる医師に対
する緩和ケア研修会」について本学病院土田英昭緩和ケ
ア委員会委員長が現状と今後の予定について報告した。
引き続き、第 91 回がん診療連携拠点病院研修会が同
会場で開催された。三菱京都病院腫瘍内科・緩和ケア
内科部長の吉岡 亮先生に「緩和医療を取り入れたがん
薬物療法」と題して講演をしていただいた。吉岡先生は
平成 6 年に京都大学医学部を卒業後、平成 7 年より現在
まで三菱京都病院に勤務されている。平成 14 年 5 月か
ら半年間国立がんセンター(当時)中央病院消化器内科
46
で進行がんの治療について研修された。
講演では、早期からの緩和ケアについて、その意義・
効果・介入方法を紹介され、がんの制御には緩和ケア
が必要不可欠であることが緩和ケアの WHO の定義に
記載されていることを示された。患者は治療を求める
のに精一杯で、緩和ケアのことまで気が回らないから
こそ、医療者が緩和ケアの導入を遅らせてはいけない。
終末期まで化学療法をしてしまうのは、患者も医療者
も「治療終了 = 敗北」と考え、
「諦めてはいけない」と思
い込んでいるからである。海外では看護師による早期
からの緩和ケア介入で患者の生活の質(QOL )と気分が
改善し、さらには生存期間も延長したという報告があ
る。介入の具体的な方法はまだ不明であるが、患者と
密接に連絡を取り合うことが重要で、
「大切にしたいこ
とは何か」、
「どのように過ごしたいか」などについて相
談を重ねる。がんになったら「がんの旅」に出ると考え、
医療者は「旅の道すじを見せる」必要がある。
講演の後半では、実際の事例を呈示しながら、訪問
看護と連携して在宅で看取りをした経過を説明された。
病気の自然経過を知る医療者は「がんの旅」に出る患者
にとって、良き水先案内人になれるように、現状の理解、
方針と目的、今後の見通しを伝える必要がある。化学
療法中から訪問看護を導入して、切れ目のない緩和ケ
アを実践していくことが提案され、深い感銘を覚えた
講演であった。(集学的がん治療センター 元雄良治記)
病 院
文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業
学生ボランティアによる
認知症サポーター養成講座
〔看護学部〕
日時: 平成 27 年 6 月 2 日(火) 午後 1 時
場所: 教養棟 1 階 B13 講義室
今年度、看護学部「疾病治療論Ⅷ」の講義の一部とし
て認知症サポーター養成講座を実施した。合計 90 分、
笑いあり感動ありの講義を受け、看護学部 2 年生、78
名の認知症サポーターが誕生したこととなる。
文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「高
齢化の進む過疎地域におけるライフ・イノベーション
創出」および「第4回杉浦地域医療振興助成」の一環と
して、これまで精神神経科学では、学生ボランティア
や職員の協力を得て、高齢者のこころの健康支援事業
に取り組み、学内外で認知症キャラバンメイト、および、
サポーター養成に力を注いできた。
今年度の試みとして、認知症サポーターキャラバン
メイト養成講座を修了し、現在は、氷見市民病院にて
看護師として活躍している 4 名の卒業生を講師役に迎
えることとした。
卒業したばかりの先輩講師によって、学生の目線で
わかりやすいスライドを用いた認知症ケアに必要な知
識の講義が行われ、認知症高齢者への適切な関わりに
ついての寸劇を提示することで、気軽に、しかし、臨
床のリアリティが伝わるような工夫になっていた。加
えて、卒業後の日々の高齢者ケア体験で大切にしてい
ること、感じていることも言葉にしてくれたことで、
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
〔医学部〕
日時: 平成 27 年 7 月 9 日(木) 午後 4 時
平成 27 年 7 月 16 日(木) 午後 4 時
場所 : 基礎研究棟 5 階 D51 講義室
今年度、看護学部での実施と合わせて、医学部にお
いても「神経・精神系ユニット講義」の一部として認知
症サポーター養成講座を行った。医学部 4 学年において
も、127 名の認知症サポーターが誕生した。
看護学部同様、認知症サポーターキャラバンメイト
養成講座を修了した本学医学部 6 年生 3 名と寸劇への協
力者 1 名を講師役に迎え、
「教えることでより深く学ぶ」
相互学習の場を創出することができたと考えている。
事前に講義の構成を教員とともに検討し、医学部の
学生に向けたより専門的な脳機能や疾患の分類につい
ての知識に加え、治療や対応についても詳しいスライ
ドを工夫していた点は、国試を目前に控えた6年生な
らではの視点であった。また、台本を用意し、高齢者
へのより良い関わりについて寸劇を通じて学ぶ場面で、
フロアの学生を参加させた取り組みも、身近な先輩後
輩同士の関係性から生まれたものであろう。吉本新喜
劇のバックミュージックに乗せておばあさん役の学生
が登場すると、4 年生もリラックスした表情で参加して
いる様子であった。
6 年生の学生ボランティアにとっても、講義を受け、
自学するだけではなく、実際に地域に出て体験的に生
活者から学び、そのことを後輩に伝え、さらに深くそ
の見識を身に付けていくという点において有効な学習
の場として役立つ活動であった。
(精神神経科学 橋本玲子記)
「学生の看護に対する純粋な眼差しや、クリエイティビ
ティが後輩たちへ伝承されていく場(精神看護 9 月号田
中浩二より)」となった。 (精神神経科学 橋本玲子記)
寸劇
医学部認知症サポータースタッフ。前列左が川﨑康弘教授
47
病 院
平成 27 年度
防災講習会・災害訓練
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
【平成 27 年 8 月 25 日(火)】
第 1 次災害訓練(時間内):午後 2 時/新館・別館・
第二新館・医学教育棟/969 名参加
フロアごとに出火場所を設定し、身体防御、通報連
大学および病院合同の防火講習会および災害訓練が
内灘町消防本部の協力を得て実施された。
消防法第 8 条では、病院、デパート等の施設には特
絡、初期消火、模擬患者の避難誘導の訓練を実施した。
病院第二新館再来受付機前に設置された災害対策本部
では、各階チーフによる病院各部署の避難状況、被害
に厳しい防火管理体制が義務づけられており、中でも
状況等の報告訓練を行った。
病院、老人福祉施設等は災害が発生した場合に人命危
険度が高いとの理由から、特定防火対象物として指定
第 2 次災害訓練(時間内):午後 3 時/病院新館 6 階
東病棟/108 名参加
されている。本学病院では例年春に新入職員オリエン
実際に発煙筒を点火して病棟に煙を発生させて訓練
テーションの一環として防火講習会を、夏には職員全
を行った。排煙装置、防火扉・防火シャッターのほか
体の防災講習会や防災実地訓練を実施している。
病院内では常に約 700 人の患者が入院しており、その
うち単独歩行が可能な患者は約 200 人である。また、日
中の外来での 1,000 人を超える患者とお見舞いや付き添
いの方などを含めると、実に多くの方がいることにな
り、改めて訓練の重要性が認識される。また、地震・
火災に対する備え、および二次災害の防止を訓練の中
で確実に行えるようにする必要がある。
防災講習会の翌月に実施された災害訓練は、時間内
訓練(第 1 次・第 2 次)と時間外訓練の 3 回に分けて実施
され、後日、反省会も開催された。時間内の第 2 次訓
練では、内灘町消防本部も参加して、実際に訓練区域
救助訓練
に煙を充満させることにより防火扉等の防災設備を作
動させ、消火栓からの放水も行うなど、本番さながら
の震災、火災を想定した災害訓練を実施した。
講習会および訓練内容は以下のとおり。
【平成 27 年 7 月 28 日(火)】
消火器取扱訓練、煙中訓練、起震車体験:午後 3 時
30 分/大学体育館周辺/100 名参加
内灘町消防本部および設備課の指導による職員を対象
とした消火器取扱訓練、煙中訓練、起震車体験を行った。
特に起震車体験では、日頃経験できないような大規模
避難誘導訓練
地震を想定した揺れを実際に体感することができた。
防災講習会:午後 5 時 30 分/医学教育棟 5 階 E51 講
義室/96 名参加
総括防火管理者の大野木辰也事務局長が、地震等の
災害に対する注意事項を説明し、協力を要請した。続
いて茶谷哲平内灘町消防本部消防士長による「防火意識
について」と題した講演と DVD を鑑賞した。次に、設
備課が病院新館を中心にした防災設備等を解説、看護
部が災害時の早期行動および防災用品や避難器具の使
用方法等を説明した。
災害対策本部
48
病 院
エレベーターの自動緊急停止装置も作動させた。初期
消火の後、自衛消防隊消火班による消火訓練、模擬患
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
時間外災害訓練:午後 7 時/病院新館 9 階西病棟/
45 名参加
者の避難誘導訓練などを行った。また、総合災害訓練
職員が手薄な夜間に、病院新館 9 階西病棟のダイニ
として、内灘町消防本部から消防車が出動し、内灘町
ングで火災が発生したとの想定で、通報連絡、非常呼
消防隊が病院新館 6 階に急行して放水を行う消火訓練
集、避難誘導、初期消火などの訓練を実施した。消火、
などを、病院と連携しながら実施した。
避難訓練などのほか、当直看護師長、時間外受付者が
病院新館防災センターに参集し、実際に金沢市消防局
の指令センターへの訓練通報を行った。また、時間外
の連絡系統に沿って、幹部職員への連絡を行った。
【平成 27 年 9 月 2 日(水)】
災害訓練反省会:午後 4 時 30 分/医学教育棟 6 階大
会議室/34 名参加
災害訓練反省会において、水野内灘町消防本部次長
兼署長および黒田内灘町消防本部予防課主査から、災
害訓練を視察しての感想や注意・検討事項などの講評
があった。その後、訓練参加フロアごとに反省点、今
後の課題等があげられ、非常災害に備えた訓練内容の
放水訓練
見直し、消防設備・避難用具の点検や使用方法の確認、
役割分担の再検討などについて活発な意見交換が行わ
れた。
(病院管理課 大西勇史記)
石川県腎友会
「 第 16 回 命のキャラバン」 運動
への協力
平成 27 年 9 月 3 日(木)、石川県腎友会、石川県臓器移
植推進財団ならびに石川県健康福祉部で構成される命の
キャラバン隊が本学病院を訪問した。本学病院からは松
本忠美病院長他 9 名が出席し、医学教育棟 6 階大会議室
で懇談会が行われた。命のキャラバン運動は、移植者と
移植を待つ患者の生の声を聴き、移植推進を目指して毎
森田一郎石川県腎友会会長(右)からメッセージを受取る松本病院長
年行われており、キャラバン隊は 11 月中旬までに県内
の主要 24 病院を巡回し、臓器移植への理解と協力を求
や、昨年度の活動報告、今年度の活動予定等の報告が
める。
あり、今後も臓器移植委員会および院内移植コーディ
はじめに、森田一郎石川県腎友会会長から松本病院長
ネーターを中心に、病院一丸となって臓器移植の推進
へ石川県知事から協力依頼のメッセージが手渡された。
に努力するとともに、命のキャラバン隊運動のさらな
今後もさらなる臓器移植の啓発のために、医療関係者の
る活躍を祈念すると述べて閉会した。
理解と支援をお願いしたい旨の協力要請があった。
(病院管理課 大西勇史記)
最後に、松本病院長から本学病院の腎臓移植の現状
49
病 院
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
歳以上が全体の 8 割を占め、毎年欠かさず受講する参
平成 27 年度 石川県民大学校
加者も多く見受けられた。
「健康管理講座」
各回約 30 名程が受講し、修了式では 5 回以上出席さ
れた 16 名に修了証書が授与され、無事に閉講した。
受講者からは、
「大変勉強になった」、
「毎年受講して
生涯学習センターからの協力要請により、毎年行わ
おり、来年も期待している」との意見をいただいた。
れている石川県民大学校教養講座教養学習コース「健
来年度は広報活動を強化し、多くの方に本講座を通
康管理講座」が、平成 27 年 8 月 22 日(土)から 10 月 17
して、健康づくりの知識を身につけていただくよう、
日(土)にかけて医学教育棟 6 階会議室にて開講された。
今後も地域に開かれた医療機関として活動していきた
26 年目を迎えた本講座には、50 名の申込みがあり、60
い。
月
日
曜
時 間/場 所
開講式
13:40 ∼ 15:40
お口の健康と口腔ケア
22
土
29
土
13:30 ∼ 15:30
PPK(ピンピンコロリ)人生を送ろう
※動きやすい服装でお越し下さい
5
土
13:30 ∼ 15:30
血液の病気
−貧血と血液型の話−
19
土
13:30 ∼ 15:30
知って得する制度・施設の選び方
10
土
13:30 ∼ 15:30
健診結果と身体を
結びつけてみましょう !!
※健康診断結果等ご持参ください
17
土
13:30 ∼ 15:30
がん予防の心得
15:30 ∼ 16:00
閉講式
8
9
10
保健師と一緒にストレッチ体操
50
演 題 13:30 ∼ 13:40
(病院管理課 竹中愛美記)
講 師
歯科口腔科准教授
石橋 浩晃
総合診療センター技術員
田村 暢煕
血液・リウマチ膠原病科教授
正木 康史
地域医療連携部医療福祉担当課長
瀧本 淳子
健康管理センター保健師
高瀬 悦子
宇納 由樹
柴田 優子
集学的がん治療センター特任教授
安本 和生
亀井淳平病院事務部長から修了証書授与
病 院
研修医の頁
第 13 回
臨床研修指導医養成のための
ワークショップ
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
「臨床研修の充実に向けて」のセッションでは、
(新)臨
床研修制度の制度自体への疑問も出され、興味深い議
論が繰り広げられた。
またケーキセミナーでは、厚生労働省東海北陸厚生
局健康福祉部医事課の宮田靖志臨床研修審査専門員が
日時: 平成 27 年 9 月 26 日(土)、27 日(日)
場所: 羽咋郡志賀町「いこいの村能登半島」
「平成 27 年度からの医師臨床研修制度の見直し」と題し
て講演された。現在の研修制度の見直しの経緯、そこ
から見えてくるシステム運用上の注意事項と課題、そ
第 13 回臨床研修指導医養成のためのワークショップ
して次回見直しが行われる平成 32 年度に向けての今後
が平成 27 年 9 月 26 日(土)、27 日(日)の両日、羽咋郡
の取り組みや改訂への方針などについてわかりやすい
志賀町の「いこいの村能登半島」において開催された。
解説があり、理解は大いに深まった。
この講習会の参加対象は院内各診療科、金沢医科大学
このワークショップにより参加者 25 名全員が新たに
氷見市民病院および主にへき地医療を担う本院の臨床
指導医として認定された。今回認定された方々には、
研修協力病院の医師ならびに、たすき掛け病院であり
これまで本院で認定された 319 名の指導医とともに、
今後指導医として研修医の指導に携わる医師であった。
連携のとれた丁寧な研修医指導を行ってもらえること
参加者は研修医に必要とされる基本的臨床能力の解
を期待している。
(臨床研修センター 中川喜雄記)
析から研修カリキュラムの作成や指導医のあり方など
について、約 17 時間におよぶ討議を重ねた。今回は(新)
臨床研修制度で初期研修を修了した若手医師の参加が
多く、システムへの理解や作業はスムーズに行われた。
宮田靖志氏(臨床研修審査専門員)による講演
グループワーク
グループ発表
研修医のあり方についてのグループ討議
51
病 院
研修医の頁
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
臨床研修医のための
CPC
Clinico-pathological Conference
第 68 回臨床病理検討会(CPC )が医学教育棟 4 階臨床研修センターカンファレンスルームにおいて行われた。
第 68 回 CPC 平成 27 年 9 月 16 日(水) 17:30
【症例 1 】
糖尿病性腎症 Ⅳ期の血液透析患者に生じた進行
性代謝性アシドーシスの 1 例
司 会
藤本圭司
臨床指導
若狭 稔
臨床担当
水沼有威子
画像指導
高橋知子
画像担当
吉岡誠之
病理指導
上田善道
病理担当
船崎愛可
課題担当
五十嵐裕太
(症例の概要)
腎臓内科学助教
循環器内科学助教
臨床研修センター研修医
放射線科医学学内講師
臨床研修センター研修医
病理学Ⅱ教授
臨床研修センター研修医
臨床研修センター研修医
あったため造影 CT・MRI の施行が困難であった。上部
消化管内視鏡を施行し、胃前庭部小弯の幽門輪に接し
て規約Ⅱ型の進行胃癌を認めた。腹痛の訴えはなかっ
たが第 7 病日に胆道系酵素およびアミラーゼの急激な
増加を認め、CT にて胆道内の CT 値上昇も認めたため、
胆道出血を疑い第 8 病日に ERCP を施行した。出血を
確認し ENBD チューブを留置した。翌日、チューブを
自己抜去したため、再度挿入したが、夕刻より、血圧
の低下、呼吸状態の悪化を認め、永眠された。胆道出
血の原因は肝門部に転移した胃癌が、胆道に直接浸潤
したためと考えられた。また、胃内、下部消化管内に
血液の貯留があり、その原因についても論議された。
課題担当者から、胆道出血の原因に関する提示がなさ
80 歳代女性。糖尿病性腎症による慢性腎不全に対し
れた。
(臨床病理学 黒瀬 望記)
て、近医で血液透析を行っていたが、1 週間前から全身
倦怠感が強く、四肢末梢チアノーゼ、SpO2 低下をきた
し、当院救急搬送となった。腹部圧痛、白血球数およ
び CK の上昇、代謝性アシドーシスの進行を認め、シ
ョック状態となった。アシドーシスの補正、コルチゾ
ールの投与を行うも、効果なく永眠された。心エコー
で明らかな疣贅はみられなかったが、大動脈弁に細菌
塊の付着を伴う感染性心内膜炎がみられた。課題担当
者から、感染性心内膜炎の診断や治療に関する提示が
〈予 告〉
第 69 回 臨床研修医のための CPC
日 時 : 平成 27 年 11 月 18 日(水)
17 時 30 分から
場 所 : 医学教育棟 4 階臨床研修センター
カンファレンスルーム
なされた。
研修医には出席が義務づけられていますが、そ
【症例 2 】
胆道内出血を伴った肝門部腫瘍の 1 例
司 会
臨床指導
臨床担当
画像指導
画像担当
病理指導
病理担当
課題担当
(症例の概要)
藤本圭司
尾崎一晶
道上洋二
小林大吾
高橋知子
片岡 譲
黒瀬 望
藤井 愛
加賀谷 侑
腎臓内科助教
肝胆膵内科臨床准教授
肝胆膵内科医員
臨床研修センター研修医
放射線医学学内講師
臨床研修センター研修医
臨床病理学学内講師
臨床研修センター研修医
臨床研修センター研修医
80 代男性。数カ月前より食思不振が出現した。入院時
の単純 CT にて肝門部腫瘤を認め、精査を予定したが腎
機能が不良であること、ペースメーカー植え込み後で
52
れ以外の先生方、学生にも広く開かれていますの
で、ふるってご出席ください。
金沢医科大学氷見市民病院
病 院
平成 27 年度栄養関係功労者
厚生労働大臣表彰
特定給食施設区分
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
医科大学氷見市民病院の表彰決定が通知された。
平成 27 年 9 月 27 日(日)午前 9 時 30 分より福岡市の
福岡国際会議場で平成 27 年度全国栄養改善大会・全
国栄養士大会が開催され、表彰式が行われた。今回、
富山県高岡厚生センターより推薦を受けて受賞が決ま
厚生労働省健康局長から平成 27 年度栄養関係功労
者厚生労働大臣表彰の特定給食施設区分において金沢
り、表彰式には長谷 恵管理栄養士(栄養部主任)が出
席した。
(氷見市民病院総務課 宮井公一記)
表彰された氷見市民病院栄養部のスタッフ。前列左から 3 人目 伊藤智彦栄養部長(内分泌代謝科臨
床教授)、4 人目長谷 恵管理栄養士(栄養部主任)
平成 27 年度第 1 回
医療安全研修会
講師: 吉田勝明教授(横浜相原病院院長、金沢医科大
学理事)
日時: 平成 27 年 7 月 24 日(金) 午後 5 時 30 分
場所: 氷見市民病院 6 階多目的ホール
「平成 27 年度第 1 回医療安全研修会」が開催された。
講師に本学理事でもある横浜相原病院院長の吉田勝明
先生を招き、
「医療安全とメンタルケア」と題した講演
まさに時宜を得たものであった。講演後のアンケート
が行なわれた。
では「内容が具体的で大いに参考になった」、
「わかり
吉田先生は精神科領域が専門で、精神保健指定医、 やすく、すぐに実践できる」、
「また受講したい」など
日本医師会認定産業医、認定音楽療法士などの資格を の感銘の声に溢れていた。講演中の動画についても、
持ち、日本医療機能評価機構サーベイヤー、神奈川県 「とても感動し、涙があふれた」、
「悩みの解決の糸口
教育委員会委員も務められている。
になった」などの多くの感想が寄せられた。ストレス
昨今の医療は IT 化や医療技術の進歩とともに「専門
時代といわれる現代、ストレスを避けることはできな
化」、
「高度化」しており、患者さん、職員相互のコミュ
いが、職員相互の小さな気遣いが大切であることを改
ニケーションがより重要になってきている。そんな中、 めて考えさせられる内容であった。
医療従事者はどのような対応に心がけるか等の内容は
(氷見市民病院総務課医療安全担当 風端英樹記)
53
金沢医科大学氷見市民病院
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
在宅医療推進に関する研修会
講師: 中橋 毅教授(能登北部地域医療研究所所長)
日時: 平成 27 年 9 月 15 日(火) 午後 7 時∼ 8 時 30 分
場所: 氷見市民病院教育研修棟 2 階合同カンファレ
ンス室
昨年に引き続き、在宅医療推進に関する研修会が院
内・院外の医療従事者約 50 名の参加のもと、上記の
とおり行われた。この研修会は在宅医療の推進と地域
中橋 毅教授の講演
医療従事者の連携強化を目的に在宅医療推進委員会が
主催して今年で 2 回目の開催となる。
今回は、能登北部地区を中心に活躍されている中橋
守備範囲などについて、穴水町の現状を交えながらわ
かりやすく説明され、出席者の関心を集めた。
毅教授(金沢医科大学能登北部地域医療研究所長)に
講演後は講師への質問も多く、質問に対して熱心に
講演をお願いした。先生は「能登における地域医療の
回答される先生の姿からは、第一線で活躍されている
現状とこれからを考える」と題して、①高齢化がもた
中橋先生の人柄と熱意を感じた。このような研修会で
らす日本の疾病構造の変化、よくみられる疾患や高齢
情報が共有されることはとても有意義なことである。
(氷見市民病院医事課 大西博樹記)
者疾患の特徴、②能登北部の医療・介護問題と地域包
括ケアシステムの構築について、③地域医療の定義・
平成 27 年度第 2 回
院内感染対策講習会
誤嚥性肺炎(VAP を含む)予防のための口腔
ケア・オーラルマネジメント
講師: 岸本裕充先生(兵庫医科大学歯科口腔外科学講
座主任教授)
日時: 平成 27 年 10 月 9 日(金) 午後 5 時 30 分
場所: 氷見市民病院 6 階多目的ホール
平成 27 年度第 2 回目の院内感染対策講習会が開催さ
れた。病院職員 173 名、委託職員 27 名、市内歯科医院
岸本裕充先生
や介護施設から 21 名の計 221 名の参加があった。VAP
ラルマネジメント(周術期口腔機能管理)の必要性に
(人工呼吸器関連肺炎)に関して誤嚥性肺炎を防ぐため
ついて説明があり、ぜひ当院でも取り組んでいきたい
に米国 ICU で行われている口腔ケアをビデオを見なが
内容であった。
ら口腔清掃後の汚染物がチューブをつたって気管に垂
肺炎は、日本人の死亡原因の第 4 位であり、高齢者
れ込む菌量を少なくするため、汚染物の回収が大切で
の肺炎の 7 割以上が誤嚥に関係していると言われてい
あることを提示した。ポイントは潤いを保つこと、就
る。オーラルマネジメントで誤嚥性肺炎が予防できる
寝前のタイミングで行うことなど、具体的な方法や
という知識を深める有意義な講習会となった。
回数が紹介された。さらに、口腔ケアの難しい患者
には、Cleaning(清掃)
、Rehabilitation(リハビリ)
、
Education( 教 育 )、Assessment( 評 価 )、Treatment
(治療)、Eat(食べる)、Enjoy(楽しむ)からなるオー
54
(氷見市民病院総務課 角目志伸記)
金沢医科大学氷見市民病院
病 院
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
金沢医科大学氷見市民病院
平成 27 年度第 1 回 CPC(臨床病理検討会)
本 年 度 第 1 回 の CPC が、 平 成 27 年 10 月 14 日( 水 )
午後 6 時から当院教育研究棟 2 階合同カンファレンス
室にて開催された。
当院の CPC は、臨床研修医のスキルアップのみな
らず、看護スタッフをはじめとする多職種が参加し、
臨床経過を詳細に振り返り症例の転帰に対する理解を
深め医療チーム全体で再考することで、臨床現場への
不全の概念を学び、齋藤淳史講師(腎臓内科)が臨床
フィードバックを行うことを目的としている。また氷
経過に関する解説を行った。また、臨床上同定されて
見市内の開業医の先生方も参加し、様々な視点から症
いた緑膿菌感染症は、肺組織所見より矛盾はなく、緑
例検討が行われた。
膿菌による肺炎で敗血症を惹起し、敗血症性ショック
今回は、
「腎不全に敗血症を合併し急激な転帰を辿っ
に陥り、急激な転帰を辿ったものと考えられた。
た 1 例」を水野宅郎助教(循環器内科)が臨床経過を呈
当院での CPC は、病理学的所見の意義を深め、臨
示し、金沢医科大学の上田善道教授(病理学Ⅱ)が病
床現場で最大限活用するために、研修医のみならず多
理所見の詳細を解説した。症例は、維持透析導入後
職種参加で討論を行っている。今後も研修医をはじめ
わずか 1 カ月の経過であったため、腎不全に関する病
とする全ての医療スタッフとともに CPC を開催して
理所見を前医での腎生検の所見をも含めて詳細に示し
いきたい。
た。本例では、病理所見より正常血圧腎虚血性急性腎
(氷見市民病院臨床研修センター 福田昭宏記)
第 4 回 夏休み親子ふれあい
医療フェスティバル
日時: 平成 27 年 8 月 2 日(日) 午前 10 時
会場: 金沢医科大学氷見市民病院
第 4 回夏休み親子ふれあい医療フェスティバルが標
記のとおり開催された。
「病気に負けない強い子にな
ろう∼心と体について学ぼう∼」のテーマで氷見市を
中心に、富山・石川県の小中学生とその保護者 152 人
が参加し、医療講演や実際の医療現場の見学、医療機
器等の使い方を体験した。
人体模型を使って気管内挿管体験
開会式では、齋藤人志病院長がこの医療フェスティ
バルを通じて少しでも医療に興味を持ってもらい、ま
た健康増進に役立ててもらいたいと挨拶された。
午後からは「医療体験コース」として①内視鏡体験
コース、②模擬骨折手術体験コース、③くすり調剤体
午前中は当院の 4 人の医師による講演が行われた。 験コース、④放射線 3D 画像体験コース、⑤中央臨床
池渕公博臨床准教授(整形外科)が「体を強くしよう」、 検査部見学コース、⑥手術部見学コース、⑦健康管理
伊藤智彦臨床准教授(内分泌・代謝科)が「食事で強く
コース、⑧救急救命コースの 8 コースに分かれて希望
なろう」、神田享勉教授(地域医療学)が「心を強くしよ
するコースの体験を行った。参加者からのアンケート
う」のテーマで講演を行い、最後にランチを挟んで渡
には「必ず医師になります」
、
「初めて知ったことがた
邉晴二臨床准教授(皮膚科)が「美容皮膚科について」を
くさんあってとてもおもしろかった」などがあり、参
テーマに講演した。子供にも分かりやすい内容で、小
加者だけでなく病院職員にとっても有意義な一日と
学生が熱心にメモをとる姿が印象的であった。
なった。
(氷見市民病院総務課 角目志伸記)
55
金沢医科大学氷見市民病院
第 3 回氷見病診連携
症例カンファレンス
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
最初に、司会の当院の森山 学臨床教授(泌尿器科)
から神田享勉教授(総合診療科)の紹介がなされ、ミ
ニレクチャーとして「成人スチル病の診断と治療∼自
験例を含めて∼」を演題に、近医より紹介があった患
日時: 平成 27 年 9 月 8 日(火) 午後 7 時 20 分
場所: 氷見市民病院教育研修棟 2 階合同カンファレ
ンス室
者の症例について、カンファレンスを行った。
引き続き、髙木 晶医師(胸部心臓血管外科)からは、
「Open Stent Graft による胸部大動脈瘤の治療例」と
して、近医から紹介のあった患者の症例について、カ
第 3 回氷見病診連携症例カンファレンスが開催さ
れ、院外、院内から 37 名の医師等が参加した。
このカンファレンスは、地域の医師会の先生方との
ンファレンスを行った。
2 症例とも、今回参加した当院並びに氷見市医師会
の先生方から活発な質疑応答が交わされ、白熱したカ
連携により、地域医療の充実を図ることを目的とし、 ンファレンスとなった。今後、本カンファレンスがま
開催されている。
平成 25 年度に 2 回開催されて以降、中断されていた
すます緊密な氷見市医師会との病診連携に一役買うこ
とを期待している。
が、氷見市医師会からの要望もあり、毎月 1 回当院の
(氷見市民病院医事課 大家英治記)
各科が持ち回りで再開することになった。
氷見市内中学生医療体験
「社会に学ぶ 14 歳の挑戦」
期間: 平成 27 年 7 月 6 日(月)∼ 7 月 10 日(金)
平成 27 年 9 月 28 日(月)∼ 10 月 2 日(金)
この事業は富山県が 1999 年から独自に行っている
職場体験学習事業で、現在、富山県内全ての中学校が
2 年生を対象に実施している。
当院では、氷見市内の中学校 5 校から 10 名の生徒が
2 回に分かれて参加し、院内でスタッフの一員として
5 日間活動した。各部署の担当スタッフは実際に働く
ことの厳しさや、礼儀を重んじることの大切さなどを
薬剤部で調剤体験
少しでも感じてもらえるように、工夫を凝らしたプロ
グラムで生徒を迎えた。
医療職では、
「患者さんの命を守ることの大切さ」を
思った」、
「看護師の職場体験を楽しみにしていたが、
今回の体験で作業療法士のことを知り、看護の仕事と
重要課題とし、治療や看護ケア、チームワークの重要
同じくらい患者さんと関わりあえる素晴らしい仕事だ
性のほか、医療安全対策や感染対策、医療機器の点検、 と思った」などの感想が聞かれた。
施設管理など、患者さんの安全が守れるようさまざま
ほぼ全員が医療職を目指していたこともあり、積極
な配慮がされていることなども理解してもらった。ま
的に取り組み、スタッフにもいろいろと質問する姿が
た、薬剤部で調剤体験も行った。
見られた。将来、この生徒たちと一緒に働く日が来る
参加した生徒からは「自分が知らない職種がたくさ
んあり驚いたが、どの仕事もとてもやりがいがあるこ
とが分かった。ますます人の役に立つ仕事がしたいと
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ことをスタッフ一同心から願っている。
(氷見市民病院総務課 雨池ゆかり記)
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
図書館
データベース等利用講習会
平成 27 年 9 月 9 日(水)、臨床研究棟 3 階 M30 学生実
習室において、データベース等利用講習会が行われた。
これは、本学が導入している電子ジャーナル、文献
データベース等の電子リソースを学生や教職員に利用
してもらい、教育・研究・学習・診療に生かしてもら
うことを目的に、毎年テーマを変え、図書館で実施し
ている講習会である。今回は、利用者からの要望を取
り入れ、端末実習方式を採用した。講習会は、午後 6
有木梨沙氏の講義
時から、UpToDate について、
(株)ウォルターズ・クル
開催された。
ワー・ヘルス・ジャパン UpToDate 担当の有木梨沙氏
参加者は、登録会と講習会とを合わせ、22 名であった。
事後アンケートでは、
「計算ツール、薬剤相互作用の機
が解説した。
UpToDate は、臨床上の疑問に対して、エビデンス
能を知ることができた」などの意見が寄せられた。
に基づいた質の高い情報をすばやく得ることができる
UpToDate は、世界中の 29,000 以上の医療機関で利
臨床意思決定情報資源である。このたび、ユーザー
用され、臨床支援ツールとして定着しており、本学に
ネーム・パスワードの登録により、モバイル端末でも
おいても活用を期待したい。図書館では、今後も講習
UpToDate が利用できるサービスが開始されたことも
会等の機会を通じて電子リソースの利用を促進してい
あり、当日、図書館 2 階の情報検索コーナーにおいて、
く予定である。
(図書館事務課 土田壮一記)
マンツーマンで登録サポートを行う登録会も併わせて
《本学スタッフ新刊著書》
尾池雄一、佐々木雄彦、村上 誠、矢作直也 編集
Series モデル動物利用マニュアル
疾患モデルの作製と利用
脂質代謝異常と関連疾患《下巻》
疑いの余地はなく、代謝系と免疫系を結ぶ数々の分
子に関する最新の知見について、複数の章で解説し
分担執筆:岡崎俊朗
第 6 章第 8 節スフィンゴミエリン
合成酵素・スフィンゴミエリナーゼ
(株)エル・アイ・シー
B5 判、413 頁
定価(本体 36,000 円+税)
2015 年 4 月 10 日発行
ISBN978-4-900487-55-0
ている。
下巻の特徴は、脂質の別の機能である「生体膜」
と「シグナル」に焦点を当てている点にある。第 5 章
では細胞間のシグナル伝達を担う「脂質メディエー
ター」
、第 6 章では細胞内シグナル伝達や生体膜脂
質の代謝に関わる「細胞内脂質シグナル関連分子」
を取り上げて解説している。
第 6 章第 8 節は、本学岡崎俊朗特任教授(血液免
疫内科学)、本学谷口 真講師(総合医学研究所生命
科学研究領域)が担当している。多くの疾患の病態
本書は、上巻ではカバーしきれなかった代謝疾患
基盤に様々な脂質代謝の異常があるということをご
のもう一つの側面、すなわち慢性炎症を取り上げる。 理解いただければ幸いである。
生活習慣病の病態基盤に慢性炎症があることは今や
(血液免疫内科学 岡崎俊朗記)
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金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
管理・運営
一般教育機構長に 澁谷 良穂 特任教授
一般教育機構長に澁谷良穂特任教授(一般教育機構英語)が選任され、平成 27 年 9 月 1 日付けで就任した。
任期は平成 27 年 9 月 1 日から平成 28 年 8 月 31 日である。
【略 歴】
一般教育機構長
し ぶ や
よ し ほ
澁谷 良穂
1981 年 2 月
1995 年 8 月
2000 年 4 月
2005 年 4 月
(英語特任教授)
2005 年 10 月
2007 年 4 月
2010 年 9 月
2015 年 9 月
米国ニューヨーク州立バッファロー大学卒業
米国ジョージタウン大学大学院言語学部言語学
科修士課程修了、修士(言語学)
北陸学院短期大学英語コミュニケーション学科
助教授・学科長
北陸学院短期大学コミュニティ文化学科教授・学
科長、北陸学院短期大学附属英語研究センター長
米国ジョージタウン大学大学院言語学部言語学
科博士課程修了、博士(言語学)
金沢医科大学一般教育機構(英語)特任教授
金沢医科大学国際交流センター副センター長
金沢医科大学一般教育機構長
【主な学会活動】
大学英語教育学会会員、医学英語教育学会会員、日本医学教育
学会会員、金沢市社会教育委員など
就任の挨拶
このたび平成 27 年 9 月 1 日付で、一般教育機構長
を拝命いたしました。堀 功元生物学教授、松田博男
一般教育機構長 澁谷 良穂
の考えに立ち、一般教育機構では第 1 学年の目標と
して「医学生・看護学生としての生活習慣の確立」、
嘱託教授(数学)、前一般教育機構長の勝田省吾学長 「自立と自律」を掲げています。医学部 1 年次の「生命
の後にこの大役をお引き受けすることになり、身の
の科学」や統計、医学英語等の専門準備科目ならび
引き締まる思いでおります。学長はじめ、医学部・
に初年次教育の柱「大学基礎セミナー」、
「アカデミッ
看護学部の皆様方のご指導・ご協力をいただきなが
ク・スキルズ」、
「クリティカル・シンキング」、また
ら、一般教育機構の先生方とともに、本学の初年次
豊かな人間性を育む土台として、自然や文化等様々
教育のいっそうの充実と発展のために尽くしたいと
な領域から選択して学ぶ「総合人間科目」等の科目を
思っております。
通して受動的学習から能動的学習への橋渡しをめざ
一般教育機構は医学部一般教育科目・看護学部人
しています。
間学領域科目に係る教育・研究を円滑に実施するた
今後は教育や研究面で一般教育機構と医学部・看
め、平成 20 年 4 月に設置されました。建学の精神「人
護学部とのつながりをより深め、学生の主体的学び
間性豊かな良医」
(良き看護師)をめざす学びの入り
を引き出す教育をしたいと願っております。どうぞ
口として、初年次教育の果たす役割は重要であると
よろしくお願い申し上げます。
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管理・運営
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
大学院医学研究科長に 芝本 利重 教授(再任)
医学部長に 横山 仁 教授(再任)
大学院医学研究科長、医学部長の任期が平成 27 年 8 月 31 日で満了するため、平成 27 年 8 月 26 日開催の理事会(第
232 回)において、芝本利重大学院医学研究科長(医学部生理学Ⅱ教授)、横山 仁医学部長(医学部腎臓内科学教授)
が再任された。任期はそれぞれ平成 27 年 9 月 1 日から平成 29 年 8 月 31 日である。
大学院医学研究科長
しばもと
医学部長
とししげ
よこやま
芝本 利重
(生理学Ⅱ教授)
【略 歴】
1978 年 3 月
1978 年 6 月
1981 年 6 月
1985 年 4 月
1986 年 4 月
1987 年 4 月
1987 年 12 月
1988 年 12 月
1990 年 4 月
1991 年 7 月
1992 年 10 月
2001 年 5 月
2004 年 9 月
2006 年 5 月
2013 年 9 月
2015 年 9 月
信州大学医学部医学科卒業
信州大学医学部付属病院第一内科研修医
信州大学医学部付属病院第一内科医員
信州大学医学部解剖学第一講座助手
信州大学医学部付属病院第一内科医員
国立療養所東松本病院内科医長
米国南アラバマ大学医学部生理学教室研究員
信州大学医学部生理学第二講座助手
信州大学医学部生理学第二講座講師
米国トーマスジェファーソン大学消化器内科研究員
信州大学医学部生理学第二講座助教授
金沢医科大学生理学第二講座教授(講座主任)
金沢医科大学学生部副部長
金沢医科大学学生部長
金沢医科大学大学院医学研究科長
金沢医科大学大学院医学研究科長(再任)
【主な学会活動】
日本内科学会会員、日本呼吸器病学会会員、日本生理学会評議
員、日本自律神経学会評議員、米国生理学会会員、日本臨床生
理学会評議員、日本循環制御医学会理事、日本 Shock 学会理事、
日本病態生理学会理事
ひとし
横山 仁
(腎臓内科学教授)
【略 歴】
1980 年 3 月
1984 年 3 月
1987 年 4 月
1992 年 8 月
1994 年 4 月
2006 年 4 月
2008 年 4 月
2010 年 10 月
2013 年 9 月
2015 年 9 月
金沢大学医学部医学科卒業
金沢大学大学院医学研究科修了(医学博士)
金沢大学医学部附属病院第 1 内科助手
米 国 Brigham and Women 病 院 腎 臓 内 科 研 究
員・Harvard 大学医学部講師
金沢大学医学部附属病院血液浄化療法部助教授
金沢医科大学医学部腎機能治療学(腎臓内科学)
教授(講座主任)
金沢医科大学病院副院長
金沢医科大学医学部教務部長
金沢医科大学医学部長
金沢医科大学医学部長(再任)
【主な学会活動】
日本内科学会(認定内科医、評議員)、日本腎臓学会(認定医、
指導医、評議員、理事)、日本透析医学会(認定医、指導医)、
日本アフェレシス学会(認定医、評議員、学術委員)、日本高
血圧学会(指導医、評議員)、日本臨床腎移植学会 / 日本移植
学会(認定医、評議員)、日本リウマチ学会会員、米国腎臓学
会会員、欧州腎臓学会会員、国際腎臓学会会員、国際アフェレ
シス学会会員、腎と脂質研究会幹事、移植腎病理研究会幹事
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管理・運営
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
管理職マネジメント研修
講師: 早川英世氏(株式会社ビジネスコンサルタント)
日時: 平成 27 年 9 月 15 日(火)・16 日(水)
午前 9 時∼午後 5 時
場所: 医学教育棟 6 階大会議室
事務系管理職を対象にしたマネジメント研修が 2 日
間にわたり開催され、47 名が参加した。管理職の重要
課題の一つに人材育成が挙げられる。今回は、部下育
成に取り組むための障害を明確にし、良好なコミュニ
コーチング手法で人材育成を学ぶ
ケーションを行うための手法に焦点を当て、研修を実
ある。人材育成では OJT(On the Job Training )だけで
施した。
なく、コーチングの手法を取り入れることにより、さ
実際の研修では、指導育成に対する必要性・重要性
を認識してもらい、部下の主体性、意欲、能力を引き
出すための手法としてコーチングを体験学習した。
らなる充実した育成が可能となることを知って貰った。
研修中は、ロールプレイで部下、上司の役割を演じ、
実際にどのようにすれば、部下の本当の気持ちを聞き
コーチングを用いた人材育成の利点は、効果的な質
出すことができるのか、自発的な行動を促すことがで
問をすることで、部下が自分のことを振り返り、これか
きるのかを学んだ。受講者は、指導育成は「教える」だ
らどうなりたいのか、これから何をしていくかを自分
けでなく「引き出す」ことも重要であると認識する研修
で模索し、行動に移すことができるようになることで
となった。
(人事課 原 章文記)
中堅事務職員を対象に
リーダーシップ研修
講師: 広居朋也氏(株式会社インソース)
日時: 平成 27 年 7 月 13 日(月)・14 日(火)・29 日(水)
午前 9 時 15 分∼午後 4 時 30 分
場所: 医学教育棟 6 階大会議室
中堅事務職員 64 名を対象にリーダーシップ研修を実
施した。
対象者には、リーダーとしての心構えや実践すべき
リーダーとしての心構えや行動論を学ぶ
具体的な行動論を学んでもらい、これまで以上に上司
を補佐し後輩を指導する立場で、リーダーとしての意
識を高く持ってもらうことを目的として行われた。
もらい、問題意識を高めて研修に臨んだ。
そのため、研修中は、受講者が積極的にディスカッ
研修では、受講者が 4 名から 5 名のグループに分かれ
ションし、また、自分の悩みを開示しあい、助言し合
「求められるフォロワーシップ」、
「後輩を指導するため
う様子も見られた。またグループワークを通して、日
のリーダーシップのあり方」、
「チームをサポートするた
頃交流のない他部署との交流により、いろいろな角度
めのコミュニケーション能力」などを講義およびグルー
から物事を見るきっかけとなり、たいへん有意義な研
プワークで学んだ。
修会となった。最後には、受講者がそれぞれに明日か
今回、対象者には「金沢医科大学が変わらなければな
らないと思う事」を一人ひとり事前課題として提出して
60
らの決意を宣言して研修を終えた。(人事課 原 章文記)
管理・運営
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
金沢医科大学グランドデザイン第 1 次 5 カ年計画
病院本館解体工事の進捗状況
(平成 27 年 9 月末現在)
昨年 7 月 7 日に着手した病院本館解体工事の工事出来
高は、平成 27 年 9 月末現在 87.0%である。
昨年 12 月に重機を使った建物の取壊し作業を始めて
から、ついに地下躯体の解体撤去作業に入った。これ
まで 10 台もの重機が各々の仕事をし、主に鉄とコンク
リートに分別した建設廃棄物をダンプに載せて搬出す
るという毎日であったが、現在、40 年以上前に地中(建
物下)に打った杭を撤去する作業の真っ只中である。こ
杭を抜く作業(奥)が進み、整地されていく現場(2015.10.14 )
れまで地下 1 階の躯体があったために見えなかった建
物下の地面が見えたことで、見る人たちに解体工事が
終わりに近づいてきたことを感じさせる。
病院本館の建物下には約 750 本の杭が埋まっており、
長いものでは 24 mもある。重機のオペレーターは、こ
れら一本一本を建設当時の図面を見ながら確認して引
き抜いている。気の遠くなる作業ではあるが、次期工
事として控えている中央診療棟の建設のためには必要
な作業である。今後、工事は地中の杭を引き抜く重機
を増やすことでスピードアップを図り、工事の完了へ
と進む。
(施設課 中川陽介記)
搬出しやすいように切断される杭(2015.10.15 )
河北郡市防火協会主催
内灘町・かほく市・津幡町消防本部協賛
第 23 回
河北郡市消火技術競技大会
平成 27 年 8 月 8 日(土)午前 8 時から、内灘町消防本
部(防災広場)において、第 23 回河北郡市消火技術競技
大会が開催された。
この大会は、河北郡市内の一般事業所等に働く従業
員ならびに職員を対象とした競技大会であり、自衛消
防力の強化と地域住民の防火意識の高揚を目的に毎年
開催されている。屋内消火栓の部は 12 チーム、消火器
男子の部では 15 チーム、消火器女子の部では 17 チーム
前列左より 山本さん、鈴木さん、表さん、
後列左より 佐藤さん、前垣内さん、山下さん、西田さん
が参加し、消火技術を競い合った。本学は若手職員を
中心にチーム編成を行い、消火栓の部 1 チーム(人事課
センター事務課 前垣内紀三子)が参加した。
鈴木寿章、教学課 山本拓也、病院管理課 表 治久)、消
大会前から内灘町消防本部による熱心な指導を受け、
火器男子の部 1 チーム(薬剤部 山下 徹・ 西田祥啓)、消
練習を重ねた甲斐があり、消火栓の部において「準優勝」
火器女子の部 1 チーム(情報管理課 佐藤未来、国際交流
を果たした。
(総務課 長井竜洋記)
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管理・運営
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
互 助 会
秋のバス旅行
◇ 夏の立山・室堂散策
日時: 平成 27 年 8 月 2 日(日) 参加者:48 名
人事課 上田 眞奈美
互助会恒例の夏の立山・室堂散策バス旅行が、8 月
2 日(日)48 名が参加して実施された。昨年度は出発か
ら生憎の天気で行き先が飛騨高山方面に変更されたが、
「今年こそは立山へ」との参加者の思いが通じたかのよ
うな晴天に恵まれた。
室堂へ到着すると雲ひとつない真っ青な空に感動す
快晴の中、室堂散策を楽しむ
ると同時に、肌に突き刺さる強い紫外線から逃れるた
めに、山に不慣れな私は慌てて長袖と帽子を着用した。
雄山目指して多くの家族連れやグループが歩いて行
くのを眺めた後、私たちは鏡石を目指して急な段差や
すこととなり、息切れしながら(途中バスにも乗車して)
無事に室堂へ帰りついた。
汗と疲れを流すために“みくりが池温泉”につかった
雪渓を横断したりと長い下り道を歩き進めた。残念な
帰り際、幸運にも雷鳥の親子に遭遇できた。
がら目的の地へたどり着くことなく、来た道を引き返
参加者全員が無事に大学へ帰着できた。
◇ 京都南座
新作歌舞伎「あらしのよるに」観劇
日時: 平成 27 年 9 月 13 日(日) 参加者:35 名
人事課 辺本 智恵美
今回は歌舞伎発祥の地、京都南座で、絵本『あらし
のよるに』を原作により作られた新作歌舞伎を鑑賞し
た。中村獅童演じるオオカミのガブと尾上松也演じる
ヤギのメイの友情の物語で、座頭の中村獅童が「いつ
か歌舞伎で上演したい」と切望していた思い入れの深
い作品とのこと。歌舞伎は「高尚すぎてちょっと…」
と尻込みされる方もいるかと思うが、今回は原作が絵
京都南座会場
本ということもあり、わかりやすい現代語で語られて
いて、大人から子どもまで楽しめるものになっていた。
「友だちなのに美味しそう…」と、食べたい衝動を必死
に抑える獅童のオーバー気味のリアクションには子ど
もたちの笑い声もたくさん起きていた。舞台から花道、
くなった。周りを見るとスタンディングオベーション!
(歌舞伎にもあるんですね)皆、目を潤ませながら感動
の拍手を送っていた。
歌舞伎を鑑賞し終えた後は、観光客で賑わう井筒八
そして客席へ、オオカミとヤギたちが縦横無尽にかけ
ツ橋本舗に寄り、各自思い思いにお腹いっぱい試食を
めぐる遊び心いっぱいの演出だった。二匹が苦悩や困
楽しみ、お土産を買い込んで、歌舞伎の余韻を胸に帰
難に打ち勝ち友情を確認し合うフィナーレには胸が熱
路についた。
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管理・運営
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
◇ 信州おすすめ食べ放題と秋のフルーツ
てんこ盛り
日時: 平成 27 年 9 月 27 日(日) 参加者:33 名
医事課 東 ひとみ
午前 6 時 30 分、本学からバスで長野に向かって出発。
まずは、江戸時代中期を代表する寺院建築として国
宝に指定されている善光寺本堂を参拝。極楽浄土が約
束されるといわれている「極楽の錠前」にぜひとも触れ
たいと、お戒壇めぐりへ…真っ暗で何も見えない中、
前の人にぶつかりながら、ゆっくり、恐る恐る回廊を
めぐり錠前に触れることができた。
金井農園でぶどう狩りを楽しむ
昼食はビアンデ信州中野店で、馬肉、豚肉、牛肉等
参加者のうち、リンゴ詰め放題の最高記録は 11 個。上
肉料理の食べ放題を堪能。中でもお気に入りは豚汁で
手に詰めるなぁ∼と感心しながら、私は 8 個詰めるの
あった。満腹でフルーツまでたどり着くか心配しなが
が精いっぱいであった。
ら、いざ ! 農園へ。
1 カ所目は金井農園でぶどう(巨峰)狩り、2 カ所目は
小野農園でリンゴ狩りを楽しみ、もぎたてのフルーツ
食べることが好きな私には、とにかく魅力的な企画
であり、また、帰りには「2kg のお野菜 & 栗おこわのお
土産付」と、とても贅沢な旅であった。
を美味しくいただいた。フルーツ狩りは今回が初めて
で、貴重な収穫体験ができとても楽しかった。ちなみに、
平成 27 年度栄養関係功労者
厚生労働大臣表彰
栄養改善事業功労者
平成 27 年度栄養関係功労者に
対する厚生労働大臣表彰が平成
27 年 9 月 27 日(日)全国栄養改善
大会(福岡県福岡国際会議場)が
行われ、本学の中川明彦栄養課
課長(管理栄養士)が表彰を受け
た。この表彰は、石川県の地域
中川課長は、昭和 58 年 4 月に本学病院栄養部に入
活動および管理栄養士の職域に
職し、その後 32 年にわたり精励され現在に至ってい
関する業務、教育、研究に関し、顕著な功労の実践
る。多年に亘り日本栄養士会、石川県栄養士会(会長)
と実績があった人に与えられるもので、今年度は全
の役員を歴任し、特に医師の指導下で、野菜の摂取
国で 21 名が対象となった。
量に伴う血中ビタミン研究により、ビタミン栄養補
表彰式では、塩崎恭久厚生労働大臣が祝辞を述べら
れ、表彰状が授与された。
助食品を医療の栄養管理にいち早く導入した実績が
認められた。
(栄養部部長 古家大祐記)
63
医は
仁術
管理・運営
北陸新幹線金沢開業記念
特別展
併催事業
市民公開セミナー&ミニコンサート
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
元来、日本には気配りや思いやりが社会、文化の根幹
としてある。特に江戸時代から用いられるようになった
「医は仁術」という格言は、人々が安心して社会生活を
営む基本的理念になったと言われている。仁の心、惻
隠の情をもった「良医の育成」は、本学の建学の精神に
もつながるものであり、今回この特別展に協賛する運
びとなった。
併催事業として行われた市民公開セミナーでは、8 月 1
日に「糖尿病」、2 日に「腎臓病」、8 日に「再生医療と免疫療
開催日: 平成 27 年 8 月 1 日(土)、2 日(日)、8 日(土)、
9 日(日)
法」、9 日には「がん」をテーマにそれぞれ講演が行われた
(プログラム参照)。またミニコンサートでは、本学卒業生
場 所: 金沢 21 世紀美術館地階 シアター21
が代表を務める医療系バンド「ハートフルホスピタル」など
主 催: 学校法人金沢医科大学
がライブ演奏を行った。
共 催: 公益財団法人橘勝会
後 援: 北國新聞社
終了後のアンケートでは、
「セミナーでは勉強させても
らい、コンサートでは元気をもらった」、
「今後の人生に
大変プラスになった」、
「セミナーとミニコンサートの二
北國新聞社主催の特別展「医は仁術」が平成 27 年 8 月
本立てが良かった」などの声や、
「KMU は優秀である」と
1 日(土)∼ 28 日(金)
、金沢 21 世紀美術館 1 階市民ギャ
の感想もあり大変好評であった。また 8 日に行われた「再
ラリーA において開催され、その併催事業として、本学
生医療と免疫療法」の講演に関して、
「金沢で始まる新し
が主催する市民公開セミナー& ミニコンサートが同美
い医療への期待や地域医療を支えてほしい」との期待の
術館地階シアター21 において標記の日程で開催された。
声もあった。
本特別展は、国立科学博物館と TBS の企画で 2009 年
その他併催事業として行われた「こどもまち博」追加
から放映されたドラマ「仁」で主演した大沢たかお氏が
講座では、東 伸明特任教授(解剖学Ⅰ)が講師を務め、
スペシャルナビゲーターを務め、展示会では江戸時代
小学 4 ∼ 6 年生の親子を対象に解剖学についての講義を
から現代までの医学・医療の発展を示す当時の希少な
行った。
解剖図などの史料や江戸時代の医療器具などが紹介さ
なお、特別展全体の入場者数は約 1 カ月間で 16,500
れた。昨年の東京初開催では 13 万人が来場し、今年は
人(1 日あたり 589 人)とのことで、東京開催に次ぐ入場
金沢のほか、長崎や仙台でも巡回展が開催されている。
者となった。
上:青 拓美氏によるピアノコンサート
下:礼楽研究会による雅楽演奏
64
(企画・広報課 上田正博記)
上:ハートフルホスピタルによるミニコンサート 下:東 伸明特任教授によるこどもまち博講座
管理・運営
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
市民公開セミナー・ミニコンサートプログラム
8 月 1 日(土) 一般入場者 78 名
【市民公開セミナー】
司会:古家 大祐 教授(糖尿病・内分泌内科学)
テーマ:メタボリックヘルスってな~に?
「糖尿病の克服は健康長寿への近道」
北田 宗弘 准教授(糖尿病・内分泌内科学)
「音楽を使ってメタボ体対策」
古家大祐教授
北田宗弘准教授
北本福美講師
横山 仁教授
山谷秀喜講師
田中達朗臨床教授
竹下欣吾管理栄養士
堤 幹宏特任教授
下平滋隆教授(信州大学)
宮澤克人教授
∼日常に使える音楽のリラクゼーション∼
北本 福美 講師(精神神経科学)
〈ミニコンサート〉
歌って健康 青 拓美 氏
8 月 2 日(日) 一般入場者 101 名
〈ミニコンサート〉
命の尊さが心に響く健康ライブⅠ
医療系バンド ハートフルホスピタル
【市民公開セミナー】 司会:横山 仁 教授(腎臓内科学)
テーマ:腎臓病とうまく付き合うには
「慢性腎臓病を知っていますか?」
山谷 秀喜 講師(腎臓内科学)
「いのちの贈り物」 田中 達朗 教授(泌尿器科学)
「楽しもう腎臓食」 竹下 欣吾 管理栄養士(栄養課)
8 月 8 日(土) 一般入場者 115 名
【市民公開セミナー】 司会:堤 幹宏 教授(肝胆膵内科)
テーマ:再生医療と免疫療法
「再生医療ってな~に?」
堤 幹宏 教授(肝胆膵内科) 「免疫療法ってな~に?」
下平 滋隆 教授(信州大学医学部附属病院先端細胞治療センター)
〈ミニコンサート〉
雅楽演奏 礼楽研究会
8 月 9 日(日) 一般入場者 150 名
〈ミニコンサート〉
命の尊さが心に響く健康ライブⅡ
医療系バンド ハートフルホスピタル
【市民公開セミナー】 司会:北本 福美 講師(精神神経科学)
テーマ:がんと生きる
「前立腺がんの最前線~手術ロボット」
『ダビンチ』がもたらすもの∼
宮澤 克人 教授(泌尿器科学)
「病気と心のライフスタイル」
∼医療の伝統の中に生きる芸術∼
宮崎 ますみ ヒプノウーマン代表
(女優・エッセイスト・認定ヒプノセラピスト)
宮崎ますみ氏
65
管理・運営
金沢医科大学
「ツエーゲン金沢」冠協賛試合
12,000 人超えの観客が声援
金沢医科大学の冠協賛試合として、サッカーJ2 リー
グツエーゲン金沢のホームゲームが平成 27 年 9 月 13 日
(日)、石川県西部緑地公園陸上競技場にて開催された。
本学の建学の精神とツエーゲン金沢の理念との間に
重なる点が多かったことから始まった支援は、ツエー
ゲン金沢の昨年の J3 リーグ加盟を機に支援内容を拡大
し、J2 リーグに昇格した今年は昨年度に引き続き、2
回目の冠協賛試合を開催する運びとなった。
試合当日は、心配された天候も何とか試合に影響は
なく、1 万人チャレンジデーとなったこともあり、大勢
の方に足を運んでいただき、来場者数はツエーゲン金
沢ホーム試合では過去最多の 12,353 名となった。本学
関係者の入場者は約 600 名であり、本学サッカー部のメ
ンバーが手渡すオリジナルうちわなど(互助会およびア
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
試合開始前には、主審および両チーム主将へ、竹越
襄理事長、勝田省吾学長、出雲淳子医学部庶務課課長(職
員代表)から冠スポンサーとして花束が贈呈された。ま
た、ハーフタイムには、本学医学部卒業生の赤澤貴洋
氏が結成した医療系バンド“ハートフルホスピタル”が
パワフルな歌声を披露し、会場を盛り上げた。
試合は、元日本代表で W 杯にも出場した松井大輔選
手らを擁する強豪ジュビロ磐田を相手に残念ながら 0 対
3 で敗れたが、この冠協賛試合を通して地域のスポーツ
文化の向上に取り組むことで、本学建学の精神を広く
社会に示すことができる企画であった。
また、後日ツエーゲン金沢から本学に対して、両チー
ムの選手らが記念にサインしたフェアプレーフラッグ
が贈呈された。学生食堂に掲示してあるので興味のあ
る方はご覧いただきたい。
なお、ツエーゲン金沢では、現在 J1 ライセンス取得
に必要となるクラブハウスの建設を進めているが、本
学もパートナー企業として支援を行うこととした。
(「ツエーゲン金沢」冠協賛試合実行委員長 西尾眞友記)
カシア商会提供)を受け取り、サポーターと一体となっ
てツエーゲン金沢を応援した。
開会セレモニー
花束贈呈
白熱する競技場
本学に贈呈されたフェアプレーフラッグ(学生食堂)
66
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
資 料
理事会
第 232 回 平成 27 年 8 月 26 日(水)
議案
1 平成 27 年度補正予算案について
2 学校法人金沢医科大学資産運用規則の一部改正について
3 大学院医学研究科長の選任について
4 医学部長の選任について
〈報告事項〉
1 学校法人の会計処理等に関する実態調査について
評議員会
第 124 回 平成 27 年 8 月 26 日(水)
議案
1 平成 27 年度補正予算案について
〈報告事項〉
1 刑事告訴に係る報告について
規程の改正・制定・廃止
金沢医科大学図書館図書管理規程
金沢医科大学図書館運営委員会規程
金沢医科大学図書館利用規程
金沢医科大学病院患者の権利・臨床倫理検討委員会規程
学校法人金沢医科大学保安規程
学校法人金沢医科大学文書保存規程
学校法人金沢医科大学資産運用規則
金沢医科大学における科学研究費助成事業等の競争的資金に係る間接経費取扱要領
金沢医科大学病院診療録管理規程
金沢医科大学病院情報システム運用管理規程
学校法人金沢医科大学における人を対象とする医学系研究に関する倫理規程
金沢医科大学における人を対象とする医学系研究に関する倫理審査委員会規程
金沢医科大学大学評価情報室(IR 室)規程
金沢医科大学臨床研究に関する倫理規程
金沢医科大学疫学研究に関する倫理規程
金沢医科大学疫学研究倫理審査委員会運営要領
医学部教授会
第 974 回(定例・拡大)
平成 27 年 7 月 9 日(木)
審議事項
1 第 973 回議事録確認について
2 平成 27 年度第 1 学年次後期編入学生の履修科目について
3 2016 年度共用試験 CBT 実施要領(案)について
4 その他
〈報告事項〉
1 各種人事案件について
(1 )特任教授について
(2 )准教授について
(3 )昇任について
(4 )辞職について
(5 )出向について
(6 )臨床教授(学外)委嘱について
2 平成 27 年度第 2 学年「看護体験実習」の実施について
3 平成 27 年度第 3 学年「救急車同乗体験実習」の実施について
4 第 110 回医師国家試験について
5 休学願提出学生について
6 その他
第 975 回(臨時・拡大)
平成 27 年 7 月 23 日(木)
審議事項
1 第 974 回議事録確認について
2 その他
〈報告事項〉
1 各種人事案件について
(1 )医学部学内講師委嘱について
(2 )辞職について
(3 )籍について
(4 )併任について
(5 )非常勤講師派遣について
2 日本医学教育評価機構(JACME )の設立について
3 特別展「医は仁術」協賛及び「併催事業」の開催について
4 有害薬品及び廃液等保管状況調査について
5 その他
(H27.4.1 改正)
(H27.4.1 改正)
(H27.4.1 改正)
(H27.5.1 改正)
(H27.6.1 改正)
(H27.6.1 改正)
(H27.8.26 改正)
(H27.9.1 改正)
(H27.9.1 改正)
(H27.9.1 改正)
(H27.4.1 制定)
(H27.4.1 制定)
(H27.8.1 制定)
(H27.3.31 廃止)
(H27.3.31 廃止)
(H27.3.31 廃止)
第 976 回(臨時・拡大) 平成 27 年 8 月 27 日(木)
審議事項
1 第 975 回議事録確認について
2 その他
〈報告事項〉
1 各種人事案件について
(1 )非常勤講師派遣について
2 平成 27 年度編入学試験 ( 第 1 学年次後期編入 ) 出願状況について
3 平成 28 年度入学試験説明会およびオープンキャンパス実施
報告について
4 平成 27 年度第 6 学年 Advanced OSCE 再試験結果について
5 平成 27 年度教育研究費傾斜配分額について
6 教授選考委員会委員について
7 その他
第 977 回(定例・拡大) 平成 27 年 9 月 10 日(木)
審議事項
1 第 976 回議事録確認について
2 平成 27 年度編入学試験(第 1 学年次後期編入)合格者について
3 その他
〈報告事項〉
1 各種人事案件について
(1 )教員採用について
(2 )辞職について
(3 )非常勤講師委嘱について
(4 )客員教授派遣について
(5 )非常勤講師派遣について
(6 )短期研修員の受入について
2 教育改善プログラム、ステューデントリサーチャープログ
ラムの選定について
3 平成 27 年度第 1 学年「医療福祉体験実習」の補講について
4 平成 27 年度第 2 学年「看護体験実習」について
5 平成 27 年度第 4 学年共用試験 CBT 模擬試験実施について
6 平成 27 年度第 5 学年第 1 回標準試験結果について
7 第 30 回「医学教育に関するワークショップ」について
8 平成 28 年度科学研究費助成事業の公募について
9 その他
第 978 回(臨時・拡大) 平成 27 年 9 月 24 日(木)
審議事項
67
資 料
1 その他
〈報告事項〉
1 各種人事案件について
(1 )准教授について
(2 )臨床准教授について
(3 )昇任について
(4 )医学部学内講師委嘱について
(5 )辞職について
(6 )非常勤講師委嘱について
(7 )協力研究員委嘱について
(8 )勤務先移動について
2 平成 28 年度特別推薦入学試験(AO 入試)出願状況について
3 平成 27 年度編入学試験(第 1 学年次後期編入)手続状況について
4 平成 27 年度内灘祭について
5 第 43 回解剖体合同追悼慰霊祭について
6 特定機能病院評価対策(英語論文)について
7 国際交流センター学術講演会の開催について
8 その他
看護学部教授会
第 167 回(定例)
平成 27 年 7 月 13 日(月)
審議事項
1 前回(第 166 回)議事録確認について
2 2016 年度実習ローテーション表 ( 案 ) について
3 その他
〈報告事項〉
1 人事関係について
2 教務委員会からの報告
3 看護学部学生部連絡会からの報告
4 国家試験対策委員会からの報告
5 標準試験実施委員会からの報告
6 FD 委員会からの報告
7 華中科技大学同済医学院看護学生の金沢医科大学実習報告
8 日本私立看護系大学協会総会報告
9 学生保健室への連絡ルートの周知について
10 特別展「医は仁術」の学生への入場券配布について
11 看護研究進捗状況確認の実施のお願い
12 研究活性化委員会からの報告
13 その他
第 168 回(定例)
平成 27 年 9 月 14 日(月)
審議事項
1 前回(第 167 回)議事録確認について
2 平成 26 年度不可科目保有学生の単位認定について
3 学生の健康状態に関する個人情報の取り扱いに関して
4 2016 年度「看護研究」について
5 その他
〈報告事項〉
1 人事関係について
2 教務委員会からの報告
3 看護学部学生部連絡会からの報告
4 国家試験対策委員会からの報告
5 研究活性化委員会からの報告
6 FD 委員会からの報告
7 平成 27 年度看護学教育指導者研修について
8 平成 28 年度科学研究費助成事業の公募について
9 教育改善プログラムの選定について
10 2015 看護学部学祭プチオープンキャンパスの開催について
11 北陸 3 県高等学校の再訪問について
12 看護師等学校養成所教務主任会議報告
13 その他
第 169 回(臨時)
平成 27 年 9 月 17 日(木)
審議事項
1 平成 28 年度看護学部編入学試験合格者の判定について
2 その他
総合医学研究所教授会
第 307 回 平成 27 年 7 月 16 日(木)
審議事項
1 前回(第 306 回)議事録確認について
2 研究セミナー開催日について
68
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
3 その他
〈報告事項〉
1 施設・機器使用許可申請について 2 間接経費について 3 所内における毒劇物取扱ルールについて
4 北國がん基金について
5 その他
第 308 回 平成 27 年 9 月 17 日(木)
審議事項
1 前回(第 307 回)議事録確認について
2 その他
〈報告事項〉
1 平成 27 年度実験動物慰霊祭開催について
2 人事関係について
3 施設・機器使用許可申請について
4 平成 27 年度市民公開セミナーについて
5 平成 28 年度科学研究費助成事業の公募について
6 その他
大学院医学研究科教授会
第 454 回(定例)
平成 27 年 7 月 9 日(木)
審議事項
1 前回(第 453 回)議事録確認について
2 学位論文本審査委員の選出について
3 平成 28 年度大学院医学研究科学生募集要項について
4 その他
〈報告事項〉
1 その他
第 455 回(定例) 平成 27 年 9 月 10 日(木)
審議事項
1 前回(第 454 回)議事録確認について
2 学位論文本審査委員の選出について
3 学位授与の可否投票について
4 その他
〈報告事項〉
1 その他
第 456 回(臨時)
平成 27 年 9 月 24 日(木)
審議事項
1 前回(第 455 回)議事録確認について
2 学位授与の可否投票について
3 その他
〈報告事項〉
1 その他
大学院看護学研究科教授会
第 4 回(定例) 平成 27 年 7 月 13 日(月)
審議事項
1 前回(第 3 回)議事録の確認について
2 平成 28 年度大学院看護学研究科選抜試験(第 1 次募集)の実
施概要について
3 その他
〈報告事項〉
1 FD 研修会の進捗状況について
2 その他
第 5 回(臨時) 平成 27 年 8 月 10 日(月)
審議事項
1 前回(第 4 回)議事録の確認について
2 入学試験出願資格の認定について
3 研究テーマ(仮)及び研究計画書の提出日について
4 研究副指導教員届について
第 6 回(臨時) 平成 27 年 9 月 7 日(月)
審議事項
1 前回(第 5 回)議事録の確認について
2 平成 28 年度大学院看護学研究科選抜試験合否判定について
第 7 回(定例) 平成 27 年 9 月 14 日(月)
審議事項
1 授業実施報告書兼出欠報告書について
資 料
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
平成 27 年度 教育職員国際学会発表一覧(海外開催、上半期)
(医学部)
氏名・所属職名
開催国
期間
学術集会名[発表演題名]
清川 悦子
(病理学Ⅰ教授)
韓国
H27.4.1∼
H27.4.6
2015 Snucri Symposium[FRET imaging in organoids and mice ]
三輪 高喜
(耳鼻咽喉科学教授)
中国
H27.4.8∼
H27.4.12
17th Asian Research Symposium in Rhinology[Change in olfactory
function in the eldery and anti-aging ]
宮澤 克人
(泌尿器科学教授)
オーストラリア
H27.4.9∼
H27.4.14
USANZ2015 68 th Annual Scientific Meeting[ Role of proteaseactivated receptors for calcium oxalate stone formation in tubular
epithelial cells ]
薄田 勝男
スイス
(呼吸器外科学臨床教授)
H27.4.12∼
H27.4.19
ELCC( European Lung Cancer Conference )2015[ Advantages of
diffusion weighted imaging of pulmonary nodules and masses :
Comparison with positron emission tomography ]
志賀 英明
(耳鼻咽喉科学准教授)
アメリカ
H27.4.21∼
H27.4.27
AChemS 37th Annual Meeting 2015[ Prognostic value of olfactory
nerve assessment with olfacto-scintigraphy in patients with
olfactory disorders ]
津田 亮二
(整形外科学助教)
台湾
H27.4.23∼
H27.4.25
21th Emergency Orthopaedic Trauma Symposium[ The state of
emergency trauma care in a local core hospital ]
高林 晴夫
スロバキア
(FDD-MBセンター特任教授)
H27.4.24∼
H27.5.5
FDD-MB WWRC 2015[FDD-MB System and future ]
三輪 高喜
(耳鼻咽喉科学教授)
ブラジル
H27.4.28∼
H27.5.5
16 th World Congress in Rhinology[ Treatment of patients with
olfactory dysfunction due to chronic rhinosinusitis ]
能田 拓也
(耳鼻咽喉科学助教)
ブラジル
H27.4.28∼
H27.5.5
16 th World Congress in Rhinology[ Effect of Kampo medicine
"Tokishakuyakusan" on olfactory epithelium in olfactory-impaired mice ]
山田 健太郎
(耳鼻咽喉科学助教)
ブラジル
H27.4.28∼
H27.5.5
16 th World Congress in Rhinology[ Outcmomes of olfactory
dysfunction in chronic rhinosinusitis ]
佐々木 洋
(眼科学教授)
アメリカ
H27.5.1∼
H27.5.9
The Association for Research in Vision and Ophthalmology[ Effect of
forward light scattering on visual function in eyes with cortical cataract ]
竹田 公信
(皮膚科学講師)
オーストラリア
H27.5.2∼
H27.5.9
19 th Congress of the International Society for Human and Animal
Mycology[ Molecular polymorphism of trichophyton rubrum strains
cultured from a Japanese patient with multiple lesions based on analysis
of the non-transcribed spacer(NTS )region of ribosomal RNA gene
益岡 尚由
(薬理学講師)
アメリカ
H27.5.2∼
H27.5.9
The Association for Research in Vision and Ophtalmology, Annual
Meeting[ Effects of the sodium channel blocker amitriptyline on
the spontaneous and stimulus-evoked activity of corneal coldsensitive terminals in intact and tear-deficit guinea-pig eye ]
久保 江理
(眼科学特任教授)
アメリカ
H27.5.2∼
H27.5.9
The Association for Research in Vision and Ophthalmology[ Gene
expression profiling of lens epithelial cells in a rat posterior
capsular opacity model in vivo ]
土谷 武嗣
アメリカ
(循環器内科学臨床准教授)
H27.5.5∼
H27.5.11
SCAI2015[Clinical outcome and predictors of vessel patency after plain
balloon angioplasty for superficial femoral artery in nitinol stenera ]
元雄 良治
(腫瘍内科学教授)
H27.5.12∼
H27.5.15
The 10 th International Congress of Complementary Medicine
Research-ICCMR2015[ Evidence reports on Kampo treatment
( EKAT )and Kampo medicines in clinical practice guidelines
(KCPG )]
韓国
赤井 卓也
韓国
(脳神経外科学特任教授)
H27.5.13∼ Japan-Korea Friendship Meeting of Pediatric Neurosurgery
H27.5.17
[Troubleshooting distraction osteogenesis for craniosynostosis ]
水野 史朗
(呼吸器内科学准教授)
アメリカ
H27.5.15∼
H27.5.20
American Thoracic Society Annual Conference 2015[ Circulation
vascular endothelial cell gene expressions in chronic obstructive
pulmonary disease ]
長内 和弘
アメリカ
(呼吸器内科学特任教授)
H27.5.15∼
H27.5.21
ATS International Lung Conference[ Exogenous expression of
lysophosphatidylcholine acyltransferase 1 attenuates alveolar type
Ⅱ cell apoptosis in oleic acid-induced acute lung injury in rats ]
正木 康史
(血液免疫内科学教授)
ノルウェー
H27.5.17∼
H27.5.24
The 13 th International Symposium on Sjögren's Syndrome[ A
multicenter phase Ⅱ prospective clinical trial of glucocorticoid
treatment for patients with untreated IgG4-related disease ]
梶波 康二
(循環器内科学教授)
オランダ
H27.5.22∼
H27.5.27
17th International Congress on Atherosclerosis 2015[Homocysteinlowering effects of VCRESC®(a vitamin micronutrient beverage )
]
69
資 料
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
氏名・所属職名
開催国
期間
学術集会名[発表演題名]
赤尾 浩慶
オランダ
(循環器内科学臨床准教授)
H27.5.22∼
H27.5.27
17 International Congress on Atherosclerosis 2015[ In vivo
evidence of matrix metalloproteinases( MMPs )and vascular
inflammation: coronary rotational atherectomy study ]
若狭 稔
(循環器内科学助教)
スペイン
H27.5.23∼
H27.5.28
ESC Heart Failure 2015[Association of plasma taurine levels with
left ventricular function with idiopathic dilated cardiomyopathy ]
小川 真生
(麻酔科学学内講師)
ドイツ
H27.5.28∼
H27.6.3
Euroanaeshtesia2015( ESA2015 )
[ Patient age influences the
relationship between the surgical apgar score and postoperative
major complications ]
松井 佑樹
(腎臓内科学助教)
イギリス
H27.5.29∼
H27.6.2
52th ERA-EDTA Congress in London the Netherlands[DNA double
strand breaks accelerated collagen type Ⅵ secretion ofglomerular
endothelial cells ]
土田 英昭
(麻酔科学教授)
ドイツ
H27.5.30∼
H27.6.4
Euroanaesthesia2015( ESA2015 )
[ Patient age influences the
relationship between the surgical apgar score and postoperative
major complications ]
伊藤 透
(消化器内視鏡学教授)
イタリア
H27.6.1∼
H27.6.8
Surgical Endoscopy and Mini-Invasive Surgery: State of the Art
[Diagnosis of SM gastric cancer and novel technology of EFTE for
SM gastric cancer ]
北方 秀一
イタリア
(消化器内視鏡学准教授)
H27.6.3∼
H27.6.7
Surgical Endoscopy and Mini-Invasive Surgery: State of the Art
[Diagnosis of SM gastric cancer and novel technology of EFTE for
SM gastric cancer ]
金﨑 啓造
アメリカ
(糖尿病・内分泌内科学
准教授)
H27.6.4∼
H27.6.11
ADA2015[ The interaction between DPP-4 and integrin β 1
regulates the signaling responsible for induction of the endothelial
to mesenchymal transition diabetic kidney ]
福井 清数
(整形外科学講師)
フランス
H27.6.6∼
H27.6.12
10th Isakos Congress 2015[Patient-centered outcomes in borderline
dysplastic patients with femoroacetabular impingement who
underwent labral repair and treatment of impingement ]
芝本 利重
(生理学Ⅱ教授)
アメリカ
H27.6.6∼
H27.6.10
38th Annual Conference on Shock[The hemodynamic characteristics
of mouse anaphylactic shock ]
川﨑 康弘
(精神神経科学教授)
ギリシャ
H27.6.11∼
H27.6.21
12 th World Congress of Biological Psychiatry[ Support vector
machine classification for patients with major depressive disorder
and bipolar disorder using near-infrated spectroscopy ]
元雄 良治
(腫瘍内科学教授)
オーストリア
H27.6.17∼ 3 rd International Symposium for Japanese Kampo Medicine
H27.6.22
[Systematic review on the use of Kampo diagnosis in randomized
controlled trials of Kampo medicines ]
th
影近 謙治
ドイツ
(リハビリテーション医学特任教授)
H27.6.20∼
H27.6.25
9th World Congress of the International Society of Physical and
Rehabilitation Medicine[Effect of rehabilitation in blood cancer ]
清川 悦子
(病理学Ⅰ教授)
台湾
H27.6.28∼
H27.7.1
2015 Biophysical Society Thematic Meeting in Taiwan[ FRET
imaging in organoids and mice ]
本田 康二郎
(人文科学講師)
中国
H27.7.1∼
H27.7.5
SPT2015 Technology and Innovation[Two origins science policy in
Japan: liberty or regulation? ]
兼氏 歩
(整形外科学臨床教授)
アメリカ
H27.7.22∼ 2015 ICJR 2nd Annual Pan Pacific Orthopaedic Congress
H27.7.27
[A minimum ten-year result for cementless acetabular components
fixed without press-fit in developmental dysplasia of the hip ]
髙橋 詠二
(整形外科学助教)
アメリカ
H27.7.22∼ 2015 ICJR 2ndAnnual Pan Pacific Orthopaedic Congress
H27.7.28
[ Relationship between bone cement thickness and cement creep:
An experimental study using collarless polished tapered stems ]
河合 康幸
(循環器内科学准教授)
イギリス
H27.8.27∼
H27.9.3
ESC Congress 2015[ Increased level of circulating glutamate and
cystine in patients with coronary artery spasm ]
藤林 幸輔
(循環器内科学助教)
イギリス
H27.8.27∼
H27.9.3
ESC Congress 2015[ Increased level of circulating glutamate and
cystine in patients with coronary artery spasm ]
若狭 稔
(循環器内科学助教)
イギリス
H27.8.27∼
H27.9.3
ESC Congress 2015[ Increased level of circulating glutamate and
cystine in patients with coronary artery spasm ]
佐川 元保
アメリカ
(呼吸器外科学特任教授)
H27.9.4∼
H27.9.11
16 th World Conference on Lung Cancer[ Japanese trial on the
efficacy of thoracic CT screening for lung cancer in non-smokers/
smokers under 30 pack-years ]
佐々木 洋
(眼科学教授)
スぺイン
H27.9.5∼
H27.9.10
ⅩⅩⅩⅢ ESCRS Annual Congress in Barcelona[Effects of forward
light scattering on visual function in eyes with retrodots ]
大阪 康宏
(産科婦人科学助教)
ポルトガル
H27.9.14∼
H27.9.22
30 th International Papillomavirus Conference[ An accuracy of
hybrid capture-2( HC-2 )and cobas HPV tests used for cervical
cancer screening in Japan ]
70
資 料
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
氏名・所属職名
開催国
期間
学術集会名[発表演題名]
笹川 寿之
ポルトガル
(産科婦人科学特任教授)
H27.9.15∼
H27.9.23
30 th International Papillomavirus Conference[ An accuracy of
hybrid capture-2( HC-2 )and cobas HPV tests used for cervical
cancer screening in Japan ]
志賀 英明
(耳鼻咽喉科学准教授)
アメリカ
H27.9.17∼
H27.9.24
The 32nd Congress of the Pan-Pacific Surgical Association Japan
Chapter[ When is the right time to start doctoral research in
surgical residency? ]
下出 祐造
(頭頸部外科学講師)
アメリカ
H27.9.19∼
H27.9.23
The 32nd Congress of the Pan-Pacific Surgical Association Japan
Chapter[ The "SONAVIA" and "SONAVIA Lock-on system" as
assistive devices for fine needle aspiration biopsy cytology for
thyroid nodular lesions and cervical lymph nodes ]
福井 清数
(整形外科学講師)
イギリス
H27.9.21∼
H27.9.29
International Society for Hip Arthroscopy[Arthroscopic correction
for concomitant cam impingement in a patient with idiopathic
osteonecrosis of the femoral head ]
金﨑 啓造
ハンガリー
(糖尿病・内分泌内科学准教授)
H27.9.22∼
H27.9.27
ISSHP[ Catechol-O-methyltransferase deficiency leads to
hypersensitivity on the pressor response against angiotensin Ⅱ]
岡本 一也
(脳神経外科学講師)
オーストリア
H27.9.26∼ International Association of Risk Management in Medicine
H27.10.2
( IARMM )
[ Clinical condition and frequency of delirium in head
trauma patients at neuro-intensive care unit ]
兼氏 歩
(整形外科学臨床教授)
オーストリア
H27.9.29∼ International Society for Technology in Arthroplasty 2015
H27.10.5
[ Biomechanical behavior of stem and cement in a collarless
polished tapered stem and a french stem: An experimental study
using an original biomechanical instrument ]
髙橋 詠二
(整形外科学助教)
オーストリア
H27.9.29∼ International Society for Technology in Arthroplasty 2015
H27.10.5
[Difference of stem subsidence and cement behavior in the various
thickness of bone cement ]
(一般教育機構)
氏名・所属職名
開催国
期間
学術集会名[発表演題名]
奥田 光一
(物理学助教)
スペイン
H27.5.1∼
H27.5.8
Nuclear Cardiology and Cardiac CT[ Comparison of two software
packages for the evaluation of the left ventricular dyssynchrony
by phase analysis in gated myocardial perfusion SPECT./
Standardization of cardiac I-123 metaiodobenzylguanidine washout
rates derived from late 3 and 4 hours imaging ]
本田 康二郎
(人文科学講師)
中国
H27.7.1∼
H27.7.5
SPT2015 Technology and Innovation[Two origins science policy in
Japan: liberty or regulation? ]
(看護学部)
氏名・所属職名
開催国
期間
学術集会名[発表演題名]
小島 正美
(医科学)
トルコ
H27.5.24∼
H27.5.30
Thresholds of Thermal Damage[ Ocular thermal injury ]
森河 裕子
(医科学)
デンマーク
H27.6.7∼
H27.6.13
The 22nd International Symposium on Shiftwork and Working Time
[ Interaction of shift work and aging on sleep: a longitudinal study
among factory workers ]
櫻井 志保美
(公衆衛生看護学)
韓国
H27.8.18∼
H27.8.22
International Collaboration for Community Health Nursing
Research [ Effects of stress on blood pressure in Japanese family
caregivers of the frail elderly ]
河野 由美子
(在宅看護学)
韓国
H27.8.18∼
H27.8.22
International Collaboration for Community Health Nursing
Research [ Effects of stress on blood pressure in Japanese family
caregivers of the frail elderly ]
土師 しのぶ
(小児看護学)
韓国
H27.8.18∼
H27.8.22
International Collaboration for Community Health Nursing
Research[ Single mothers who have children with asthma in Japan ]
(総合医学研究所)
氏名・所属職名
開催国
松田 幸久
ギリシャ
(プロジェクト研究セン
ターポスト・ドクター)
期間
H27.6.12∼
H27.6.28
学術集会名[発表演題名]
12 th World Congress of Biological Psychiatry[ Support vector
machine classification for patients with major depressive disorder
and bipolar disorder using near-infrated spectroscopy ]
71
教室紹介
解剖学Ⅰ
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
Anatomy Ⅰ
前列左から八田稔久教授、東 伸明特任教授。後列左から三谷真弓事務員、新谷明里大学院生、安田朋
子研究補助員、島田ひろき講師、ラフィック アシク マハムド特任教授(島根大学)
解剖学 I 講座(旧分子細胞形態科学部門)では、2015
et al., Plos One 2015 )。 こ の 研 究 成 果 は、
「有核赤血
年 10 月現在、八田稔久教授を講座主任として、東 伸明
球の脱核方法及び脱核誘導剤」として、国際特許出願
特任教授、島田ひろき講師、および三谷真弓事務員の
(PCT/JP2010/001217 号)されている。この技術を応
4 名のメンバーで教育、研究に取り組んでいる。解剖学
用することで、赤血球培養の最重要課題であった、人
Ⅱ講座と協力して、医学部の系統解剖学、人体解剖学
工培養の最終段階にある赤血球から核を放出させて、
実習、組織学実習、発生学を担当している。
完成型の無核の赤血球を作ることが可能になる。この
研究室では、母 - 胎児間情報伝達による胎児の発育
技術が、近い将来、iPS 細胞から人工赤血球を大量生
調節機構に関する研究が行われている。分かりやすく
産するために必要な技術として広く利用されることを
言うと、妊娠中の母親と胎児を結ぶ情報ネットワーク
期待している。
に関する研究である。母親と胎児の間には、物質の物
八田研究室の研究には、これまで多くの医学部学生
理的なやり取りだけではなく、母体から発信される情
が参加してきた。単なる実験の手伝いにとどまらず、
報が、内分泌ホルモンや神経伝達物質、サイトカイン
学会発表はもちろん、研究室の核となるような研究論
などの情報伝達分子を次々と乗り換えることで、情報
文の共著者として、あるいは特許の共同出願者として、
だけが胎児に届く仕組みがある。母親と胎児は、生物
学生が名を連ねている。我々は、モチベーションの高
学的には全く別個体であるが、胎盤をインターネット
い学生をどこまで伸ばすことができるかが、この大学
回線のように利用して、情報交換をしていると考えて
の将来を左右すると考えている。今後も、学生に広く
もよい。我々は、この母と胎児をつなぐ情報伝達シス
門戸を開き、学部教育時代から第一線の研究に触れる
テムの全貌解明を目指している。2010 年には、故 島村
機会をどんどん与えていきたい。
英理子講師(2014 年 11 月逝去)が、母 - 胎児間情報伝達
による胎児大脳皮質の発育調節機構を初めて報告した
(Simamura et al., Endocrinology 2010 )。その後、こ
八田研究室では、学外における科学教育の推進にも
力を入れてきた。これまで 8 年間にわたり、大学で行
われる研究の社会還元を目的とする「ひらめき☆ときめ
の研究は塚田剛史大学院生(本学脳神経外科学より出
きサイエンス∼ようこそ大学の研究室へ∼(日本学術振
向)により大きく発展し、妊娠中のインフルエンザ感染
興会)」に、教室をあげて取り組んできた。その取組み
が自閉症・統合失調の発症リスクを増大するという仮
に対して、昨年度は島田講師が、今年度は八田教授が
説に対する、全く新しい分子メカニズムの提案につな
ひらめき☆ときめきサイエンス推進賞を受賞した。こ
がった(Tsukada et al., Plos One 2015 )。さらに、母 -
胎児間情報伝達システムが胎児の脳だけでなく、造血
系の発生を調節することが明らかとなった(Simamura
の公開講座に参加した小学生と、いつか共同研究がで
きることを楽しみにしている。(解剖学Ⅰ 八田稔久記)
73
【教室紹介】
解剖学Ⅱ
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
Anatomy Ⅱ
前列左から篠原治道嘱託教授、本間 智教授、安高 悟学内講師。後列左から芹川富美男主任(アナトミーセン
ター)、土居岸幸利技術員(アナトミーセンター)、松能好子技能員、木南利栄子学内講師、角谷晋平技能員(ア
ナトミーセンター)、薗村貴弘講師 解剖学Ⅱ教室は、1973 年に関泰志が初代教授に就任
しかし状況証拠を集める手法には限界があり、個別の
以来、福山右門教授、瓦井康之教授、篠原治道教授を
筋肉の形成過程を直接観察するために、動物胎児を用
経て、2013 年より本間 智教授が講座主任を担当してい
いて連続切片のシリーズを作成しています。
ます。現在のスタッフは本間教授、篠原嘱託教授、薗
神経解剖学的研究では、ラットなどの脳の免疫組織
村貴弘講師、安高 悟学内講師、木南利栄子学内講師、
化学染色、in situ hybridization 法、新しいトレーサー
松能好子技能員です。
を用いた単一神経細胞軸索分布の解析など形態学的手
当教室は、第 2 学年の人体解剖学実習と神経解剖学
法を用いて、脳内の神経回路網を解析していますが、
実習(人体の構造Ⅱ)を担当しています。全国的に見て
特に、シナプスなどの超微形態を観察するために、近
も比類のない、充実した設備を有するアナトミーセン
年三次元電顕として普及してきている FIB-SEM を用
ターに恥じぬような実習を行うことを責務ととらえ、
いた神経組織の微細構造の立体再構築、さらにこれを
実習内容の充実と共に、実習態度や礼節にも重きを置
用いたシナプスの定量解析等を行っています。また、
いて実習にあたっています。また解剖学Ⅰと共同で人
形態学的手法と機能的手法を両立させることのできる
体解剖学の系統講義(人体の構造Ⅰ)と、組織学実習(人
Juxtacellular Recording 法を用いた味覚の中枢神経回
体の構造Ⅱ)の一部を担当しています。
路網の形態学的研究を推進しています。
現在の教室の研究テーマは 2 つあり、一つは本間を
安高は関 泰志教授(初代)の神経解剖学と篠原治道教
中心とした肉眼解剖学、もう 1 つは薗村を中心とした
授(第 3 代)による人脳の肉眼解剖学、木南は瓦井康之教
神経解剖学です。
授(第 2 代)の免疫組織化学と走査型電子顕微鏡を駆使し
肉眼解剖学的研究では、正常とは構造が異なる変異
た研究に従事してきました。確固とした研究技術を持ち、
例を対象としています。脈管の肉眼解剖学では「なぜ局
現在の教室の研究テーマである肉眼解剖学と神経解剖
所関係に多様性があるのか ? 」という問いに対して、多
学にも柔軟に対応して研究を進めています。本学の開
数の成体を調査して得られる状況証拠を集めることで
学早期から解剖学教育に従事し、これまでに多くの学
説明が可能です。そのようなストーリー作りとは別に、
生を指導してきました。現在も講義・実習を担当して
脈管走行の変異の記載は外科的処置に直接影響するた
学生の信頼を得ています。
め重要です。現在は四肢の動脈の走行、肝門部におけ
特に臨床の先生方におかれましては、肉眼ならびに
る胆管と血管との変異などについて所見を蓄積してい
神経解剖学の教室としてお手伝いできることがあるか
ます。
もしれません。共同研究等をお考えでしたらお気軽に
骨格筋形態についても変異が多く知られています。
74
ご連絡ください。
(解剖学Ⅱ 本間 智記)
【教室紹介】
循環器内科学
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
Cardiology
前列左から赤尾浩慶臨床准教授、土谷武嗣臨床准教授、北山道彦臨床教授、梶波康二教授、河合康幸准教授、藤岡 央
臨床准教授。2 列目左から小田美菜子医員、安田有志医員、若狭 稔助教、藤林幸輔助教、田辺 寛助教、本山敦士助教、
岩垂瑞穂助教。3 列目左から 5 人目澤口 潤医員、6 人目藤田 航医員。4 列目左から 2 人目上野英一医員、5 人目青木洋
文助教、6 人目斉藤竜平助教
金沢医科大学循環器内科学教室は、1973 年 10 月村
著しく改善させている。心不全グループは、年間約 70
上暎二教授によって開講され、1996 年 4 月に竹越 襄教
例の原因不明の心筋症患者に対し心筋生検を行い、そ
授(現理事長)が後任として就任され、幅広い臨床を展
の結果に基づいた薬物治療を選択するとともに、両心
開し、多くの業績を挙げるとともに多数の臨床医を国
室ペーシングなどの非薬物療法を組み合わせて実績を
内広く輩出してきた。中でも北陸地方の冠動脈インタ
挙げている。動脈硬化・高血圧グループでは、遺伝子
ーベンションをリードしてきたことは特筆されよう。
解析結果の臨床応用による個別化医療を導入するとと
2004 年 9 月に梶波康二教授が講座主任に昇任し、One
もに、新規開発薬剤の国際共同治験に積極的に関わっ
for All, All for One をモットーとした個人と組織の調和
ている。
をテーマに教室運営を行っている。その後若手医師が
研究活動では、個々の臨床例を大切にし、そこから
毎年教室に加わり、現在は教授 2 名、准教授 4 名、助教
得られる疑問が研究 seeds となっている。主なテーマ
10 名、大学院生 7 名、総勢 23 名(うち出向 2 名)の教室
は、①動脈硬化性心疾患の新規リスク因子の探索、②
に発展している。
カテーテル治療における新規技術開発とその効果の検
診療活動は、循環器医療の高度化と患者数増加に伴
証、③新しい心筋障害マーカーの探索とその臨床的意
い、①動脈硬化・高血圧グループ、②心血管カテーテ
義の確立、④治療反応性規定因子の集学的探索、⑤心
ル治療グループ、③不整脈グループ、④心不全グルー
筋障害と電気生理学的異常に関する集学的検討、⑥特
プの 4 つの専門グループに分かれて行っているが、そ
発性心筋症における心筋代謝異常の集学的検討である。
れぞれのグループが一人の患者の情報を共有し、有機
いずれの研究成果も国内外の主要学術集会で報告する
的に結びつくことで、より高度で幅広い診療を行い、
とともに、一流の英文誌に毎年掲載されている。
全国有数の治療成績を上げている。具体的には、北山
教育活動では、第 3 学年に対する講義を担当すると
道彦臨床教授(心血管カテーテル治療科科長)が中心と
ともに、上述の豊富な症例数を活かして、マンツーマ
なり、全スタッフ参加と no refusal policy のもと、
「胸
ンできめ細かなベッドサイド教育を行っている。初期
痛ホットライン」を 2014 年より開設し、胸痛患者の病
臨床研修医に対する卒後教育にも力を入れており、若
院アクセスを容易にし、ひいては急性心筋梗塞や狭心
手医師が循環器診療の醍醐味を経験する場を提供して
症患者の救命率と予後向上に寄与している。また、不
いる。
整脈グループでは、増加している心房細動に対するカ
テーテルアブレーションを積極的に行い、随伴する睡
眠時無呼吸症候群や高血圧の治療によって、再発率を
学内外関係部署とのさらなる連携を基盤に、心血管
病の克服に向け日々研鑽を積み重ねている。
(循環器内科学 梶波康二記)
75
【教室紹介】
呼吸器内科学
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
Respiratory Medicine
前列左から中川 研学内講師、水野史朗准教授、栂 博久教授、長内和弘特任教授、及川 卓学内講師、藤本由貴助教。
中列左から張 秀一研修医、四宮祥平助教、高原 豊助教、齋藤雅俊助教、小島好司助教、西木一哲大学院生、小林 誠助教。
後列左から熊野 奨研修医、多賀香織研修医、加藤 諒助教、野尻正史大学院生、山口礼門研修医、清水一秀研修医
当教室は、1972 年大谷信夫前教授が本学に赴任し、
なってきました。
北陸地方で初めての呼吸器内科学講座創設に取りかか
また 2002 年に睡眠医学センターが開設され、睡眠時
られたのに始まり、1973 年 9 月の本学病院開院以来診
無呼吸症候群の患者さんの検査・治療にあたっており
療を続けています。2003 年、大谷前教授、高橋敬治前
ます。この疾患は最近社会的に注目を集め、来院する
教授が退任され、栂 博久教授が講座主任に就任され、
患者さんは増加する一方です。超音波を用いた気道の
新しい医局体制がスタートしました。現在は、栂教授、
形態計測装置(AR )の研究が、呼吸器疾患の非侵襲的
長内和弘特任教授、水野史朗准教授が医局の中心とな
な診断・評価に効果を上げており、当科では鼻 AR 法を
り、及川 卓講師が医局長、齋藤雅俊助教が病棟医長を
用いて、睡眠時無呼吸症候群の病態の解明と治療効果
務め、日々の診療および研究活動を行っております。
の研究を行っています。
2003 年に現在の新館に移転し、現在も 7 階東病棟 34
また、細胞ないし遺伝子レベルでの呼吸器疾患の病
床(呼吸器センター9 床を含む)を中心に診療にあたっ
態解明を図ることによる新たな治療の可能性を求めた
ております。呼吸器疾患の特徴は、救急蘇生の ABC が
研究も進めています。
Airway、Breathing で始まることで分かるように、重
後進の育成にも力を入れており、学生のモチベーシ
篤な病態が発生した時は緊急かつ的確な対処を必要と
ョンを高めるべく、積極的にカンファレンスや臨床実
されるものが多く含まれます。重症呼吸不全に対する
地や、剖検への参加の機会を多数準備して医学生の新
気管内挿管や人工呼吸器などの呼吸管理は必須の手技
たな興味と感動を呼び起こせるよう工夫しています。
です。非侵襲的人工呼吸管理(NPPV )も普及し、急性
また、医局員を沖縄県立中部病院(ハワイ大学研修指定
期および在宅人工呼吸療法において欠かせない治療手
病院)、ワシントン大学、ハーバード大学、ミシガン大学、
段となっております。近年、増加の一途をたどってい
コロラド大学、カリフォルニア大学(UCSF、UCLA )
る肺癌に対して、呼吸器外科や放射線科と共同で FDG-
などへ順次留学させており、後に続く人材育成に努め
PET(ポジトロン CT )、胸腔鏡下肺生検、患者の QOL
ております。今後は呼吸器病学の分野で世界的評価に
を改善するための治療法(腔内照射、LASER 照射、ス
耐えうる業績を上げ、医療と本学の発展に寄与して行
テント留置)などを加えた集学的診断・治療を行ってい
くことが当教室の責務と考えています。
ます。抗癌剤治療においては、血管新生阻害薬、分子
標的治療薬が使用できるようになり、当科でもこれら
の新規治療薬を積極的に導入することで、より良い病
勢コントロールが可能な肺癌症例も認められるように
76
(呼吸器内科学 及川 卓記)
【教室紹介】
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
消化器内科学
Gastroenterology
前列左から中村正克講師、有沢富康教授、大塚俊美学内講師。後列左から野村友映助教、太田
雅文医員、林 蘭仁助教
金沢医科大学消化器内科学教室の歴史は、本学に初
めて発足した内科学教室の一つとして 1972 年に故高田
昭教授が金沢大学より着任したことにより始まりまし
た。その後、1991 年には高田教授と同時に助手として
着任した高瀬修二郎先生が、講師・助教授を経て 2 代
目講座主任に就任しました。この間は、アルコール病
学を中心とした肝臓病学に力を入れた時代であり、全
国的にも有数の業績を残してきました。2008 年 6 月に
名古屋から有沢富康現教授が着任し、新たに炎症性腸
疾患やHelicobacter pylori 感染症など消化管疾患領域
にも診療・研究の幅を拡げ、現在に至っています。現
在は、教授 1 名、講師 2 名、助教 2 名、大学院生 1 名と
いう少人数ではありますが、日夜診療・研究に励んで
おります。
現在力を入れている主な研究テーマは、
1. 機能性消化管疾患の病態解明と治療法の確立
2. 炎症性腸疾患の新規治療法の開発
3. 新規内視鏡を用いた診断法・治療法の開発
4. 難治性胃酸関連疾患の病態解明と治療法の確立
5. 遺伝子情報の臨床応用
などがあげられます。特に 5 に関しては、世界の著名
な journal から review の依頼がくるまでになりました
(Expert Rev Mol Diagn 2012; 12:489-97, Epigenomics
2014; 6:249-51, Epigenomics 2015; 7:475-86 )。 上 記 の
テーマに関しては、欧文による論文発表ばかりでなく、
海外の学会でも積極的に発表を行っており、当教室の
方針としては演題が素通りするような海外学会ではな
く、あくまで世界最大の米国消化器病学会が主戦場と
考え、年に 10 題通すことを目標としています。
診療に関しては、新病棟の 7 階西病棟が主たる病棟
ですが、時には入院患者さんが多くなり、他の病棟に
病室をお借りすることもあり、他病棟の方々にご迷惑
をおかけしておりますが、ご容赦願いたく、この場を
借りてお詫び申し上げます。現在は医局員が少ないこ
ともありますが、その利点をいかして早朝より全員で
病棟回診を行い、勤務開始時間前に入院患者さんのそ
の日の情報を全員で共有する体制をとっています。そ
れはある意味で若い医師にとっては、常に患者さんに
接してじかに診る重要性や、それぞれ専門に特化する
ことなく、万遍なく消化器疾患に関する知識や技量を
学べることにもつながっていると思っています。また、
2011 年に立ち上げた炎症性腸疾患外来は、現在では患
者さんの数が増え、近隣の病院からの紹介も多くなり、
全国規模の新薬治験参加施設にも選んでいただけるよ
うになりました。さらには、新規内視鏡を用いた治
療、例えば覚醒下での超低侵襲性消化管悪性腫瘍に対
する内視鏡的切除は世界でも当教室だけが行っている
手技であり、高い評価を得ています(Endoscopy 2013;
45UCTN:E387-8, Endoscopy 2014; 46UCTN:E115-6 )。
なお、当教室では他の教室と同様に、医局員の意思
の疎通や親睦の場として夏にはビールパーティ、冬に
は忘年会などを行っていますが、他の教室で一般に行
われていない行事として、毎年秋に釣り大会を行って
います。年 1 回ゆえに皆なかなか上達はしませんが、
自分たちで釣り上げた魚を自分たちで調理して食する
のもいいものです。
(消化器内科学 有沢富康記)
77
募 金
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
金沢医科大学学術振興基金募集について
金沢医科大学学術振興基金募集趣意書
本学は、日本海側では初めての私立医科大学として、昭和 47 年に設立され、倫理に徹した人間性豊かな
良医を育成すること、医学の深奥をきわめ優れた医療技術を開拓すること、人類社会の医療と福祉に貢献
することを建学の精神として掲げて着実に歩み続けてまいりました。
大学、特に医科大学は国の内外を問わず日進月歩の医学・医療をリードする大切な役割を担っているこ
とは皆様充分にご承知のことであります。本学でも最高の教育・研究設備に加えて、先進医療機器の充実
に意を尽くすとともに、基礎・臨床医学講座並びに総合医学研究所の各部門において、医学の進歩に貢献
できる人材の育成と研究の推進に日夜努力いたしております。
教育面では、教育スタッフとしてすぐれた人材を配置し、学生の教育に専念しており、昭和 53 年に第 1
回の卒業生が誕生して以来、数多くの医師を世に送り出し、それぞれ国内国外の医学・医療の最先端で活
躍しております。
研究面では、平成元年に従来の人類遺伝学研究所、熱帯医学研究所及び共同研究室を母体とし、難病治
療など医療の先端的な分野の開拓を目的とした総合医学研究所を設置し、臓器置換・難治疾患・癌・人類
遺伝学・熱帯医学・基礎医学・共同研究の各部門を中心にプロジェクト研究の推進を図っております。ま
た、国際舞台においても躍進を続けており、欧米の一流大学や研究所との研究員の交流、海外からの研究員・
留学生の受け入れなどを通じて国際レベルの学術環境の整備にも意を尽くしております。
診療面では、金沢医科大学病院は日本海側随一の規模を誇るまでに成長し、最新の医療機器を整備し、
医学教育のみならず、文字どおり地域医療の基幹病院として順調に発展し、地域社会の要請に応えるべく
最新レベルの医療サービスを提供することにも十分な配慮をしてまいりました。
また、国際医療協力隊の派遣、世界各地域の種々の難病に対する国際医療協力に早くから取り組み、わ
が国の医科大学の中ではトップクラスの実績を持っております。
この中でも特に医学教育面では、一年に一人あたり平均 1,700 万円以上の経費が掛かり 6 年で約一億円の
財源が必要です。学納金、国庫補助金、病院の医療収入のみでは教育の充実は困難で、広く本学職員、卒
業生、学生のご父兄はじめ、民間企業、篤志家の皆さんのご厚志をお願いいたしております。ことに近年、
国庫補助金と病院の収入が激減し経営が困難でありますので、文部科学省の認可を得て学術振興資金の募
集を行っているのであります。
どうか皆様方には本趣旨にご理解とご賛同を頂き、ご協力頂ければ幸甚に存じます。
学校法人金沢医科大学 理事長 竹 越 襄
募集要項 学術振興基金は次の要領で広く一般の方々からご協力をお願いしております。
1. 目 的:金沢医科大学の教育・研究の振興と医療の
充実のため活用させていただきます。
2. 目標額:10 億円
3. 募集先:在学生、同窓生及びその父兄、教職員、一
般有志者並びに医学研究機関及び医療関係企業・団体
等
4. 学術振興基金へのご寄付は、「特定公益増進法人寄
付金(個人のご寄付)」及び「受配者指定寄付金(法
人のご寄付)」による所得税、法人税の優遇措置を受
けることが出来ます。
5. 応募方法:寄付申込書等を本学教育研究事業支援課
あてにご請求ください。折り返し、手続方法、税務
に関することなどについてご説明いたします。
TEL 076-286-2211 内線 2720 〜 2724
FAX 076-286-8214
金沢医科大学学術振興基金寄付者ご芳名(平成 26 年 10 月〜平成 27 年 9 月分、敬称略)
髙島 茂樹(石川県)
鈴木 比佐(大阪府)
久野 成人(京都府)
卜部 幸子(広島県)
田村 幸子(石川県)
能田 一枝(石川県)
秋 山 典 子( 石 川 県 )
荻野 耕平(茨城県)
上田 敏明(島根県)
小山 仁(静岡県)
髙 野 淳( 石 川 県 )
遠武 孝悦(東京都)
藤井 美穂子(岐阜県)
溝口 晶仁(香川県)
林 暁(神奈川県)
川上 究(福井県)
西前 忠英(大阪府)
医療法人仁医会(財団)釜石のぞみ病院(岩手県)
医療法人社団藤聖会八尾総合病院(富山県)
(有)アカシア商会(石川県)
テルモ(株)金沢支店(石川県)
78
石 田 俊 郎( 富 山 県 )
医療法人東瞭会(群馬県)
ケー・エム・ユーインターナショナル(株)
(石川県)
医療法人社団山田産婦人科(兵庫県)
金沢医科大学報 第 164 号/2015.11
謹んでご逝去をお悔やみ申し上げます
第 2 代 産科婦人科学教授
牧野田 知 名誉教授 ご逝去
2015 年 10 月 19 日(月)、牧野田 知名誉教授が逝去されました。10 月 14 日に肺炎のため金
沢医科大学病院に入院され、その晩に ICU へ、翌日にはハートセンターに入ることとなり、
あらゆる手段で回復を図りました。しかしその効もなく 10 月 19 日夜にお亡くなりになられ
ました。享年 65 歳でした。
突然の急変と訃報に茫然となりながら、その夜に医局員全員が集合し、お見送りをいた
しました。安らかなお顔でした。
先生は 1950 年に鹿児島県でお生まれになり、1975 年に北海道大学医学部医学科をご卒業、
1980 年 3 月に同大学大学院を修了されました。同年 5 月にはドイツレーゲンスブルク大学
に留学され、2 年半の留学後に北海道大学に戻られ、1983 年同大学医学部助手、1987 年には講師となられました。
1990 年に厚生連札幌厚生病院医長として出向され、1993 年北海道大学医学部助教授となられ、1997 年 4 月に本
学産科婦人科学講座主任(第 2 代)として着任されました。そして 18 年の長きにわたり多くの学生を教育し、多
くの部下を育てられました。
先生の専門は不妊症であり、ある特殊な排卵異常に G-CSF というサイトカインが有効であることを発見さ
れました。また、2008 年から 2011 年の間は、第 14 代図書館長を、2009 年から 2015 年には金沢医科大学雑誌編
集委員長も務められました。2015 年 3 月定年退職を迎えられ、本学名誉教授に就任されました。
先生の趣味は、SL などの乗り物で旅行することでした。北海道大学を選ばれたのは、九州に帰省するとき
に SL で全国を回れるからだったそうです。先生は、普段は無表情で感情を表さない方でしたが、心根はやさ
しく、思いやりのある方でした。医局員は、毎年正月に先生のお宅に招かれ、心からのもてなしを受けていま
した。
「先生、もう走らなくてもいいです。ゆっくりしてください」。心より、ご冥福をお祈り申し上げます。
(産科婦人科学 笹川寿之記)
表紙写真
中谷 渉
道の機能美
金沢は、浅野川と犀川の 2 本の河川や台地からなる
起伏と、江戸時代にできた城下町特有の都市構造が相
まって、市内の交通に不便が伴いがちである。
新しい山側環状道路は、トンネルや橋梁を大胆に採
り入れた独特の構造で、機能美と景観美を備え、渋滞
緩和や地域の活性化に大きな役割を担っている。
まっすぐの道に出でけり秋の暮 高野素十
(たかの・すじゅう:1893~1976 年。茨城県出身。俳人、医師(医
学博士)。高浜虚子に師事。虚子の唱えた「客観写生」を忠実に実践、
簡潔で即物的な写生句で頭角を現し、山口誓子、阿波野青畝、水原
秋桜子とともに「ホトトギス」の 4S と称された。
「芹」主宰。本名は
高野与巳(よしみ)。
金沢医科大学報 第 164 号
発行日 平成 27 年 11 月 1 日
発行者 学校法人金沢医科大学理事長 竹 越 襄
監 修 山下 公一
編 集 金沢医科大学概要・学報編集委員会
委員長
八田稔久
副委員長
原 亮
元雄良治
委 員
川﨑康弘
米倉秀人
岩淵邦芳
本間 智
甲野裕之
坂井恵子
竹内正義
倉田康孝
橋本光正
本田康二郎 島崎猛夫
丹羽 修
中村真寿美 坂野邦雄
上端雅則
上田正博
坂元仁志
坂田慎一
西島大輔
坂口友紀子
津田志朗
前垣内紀三子
事務局
中川美枝子 中嶋秀夫
丸谷 良
山瀬真琴
辻本幹夫
齊藤久美子
発行所
金沢医科大学出版局
〒 920-0293 石川県河北郡内灘町大学1-1
TEL 076-218-8069 FAX 076-286-0224
E-mail:[email protected]
印刷 能登印刷株式会社
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金沢医科大学報 第 164 号 /2015.11
総 目 次
金沢医科大学医学会 40 周年記念式典・特別講演 ………2
□研修医の頁
■トピックス
第 13 回臨床研修指導医養成のためのワークショップ 51
臨床研修医のための CPC(第 68 回)…………………… 52
いま、地域医療は……………………………………………4
三位一体の本学の初年次教育………………………………8
■学事
平成 27 年度医学部編入学試験 ………………………… 10
平成 27 年度医学部編入学生入学宣誓式 ……………… 10
平成 28 年度医学部特別推薦入学試験(AO 入試)
……… 10
平成 28 年度医学部入学試験説明会 …………………… 11
平成 27 年度前期博士(医学)学位記授与 ……………… 11
第 43 回解剖体合同追悼慰霊祭 ………………………… 12
平成 27 年度天寿会総会 ………………………………… 12
平成 27 年度西日本地区公私立医科大学・医学部教務連絡
協議会 ………………………………………………… 13
平成 27 年度医学部オープンキャンパス ……………… 14
平成 27 年度看護学部オープンキャンパス …………… 15
□学生の頁
平成 27 年度医学部第 2 学年看護体験実習・報告会…… 16
医学部学生メディカルホームステイ報告……………… 18
第 3 回釜石「命のきずなカプセル」ボランティア活動報告 19
第 44 回内灘祭 …………………………………………… 22
クラブ活動:バドミントン部、つりサークル………… 24
■国際交流
ソノマ大学夏期語学研修報告……………………………
オークランド大学夏期語学研修報告……………………
The 28th JAPAN TENT …………………………………
留学生および外国人研究者情報…………………………
Kaleidoscope ……………………………………………
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■学術
金沢医科大学医学会第 41 回総会、第 51 回学術集会 … 30
第 32 回環太平洋外科系学会日本支部学術大会
(PPSA-JC ) ……………………………………………33
競争的研究資金等に係る平成 27 年度内部監査 ……… 34
平成 28 年度科学研究費助成事業科研費公募要領等説明会 34
大学院医学研究セミナー………………………………… 35
北陸がんプロ FD 講演会 ………………………………… 38
北國がん基金研究助成授与される……………………… 39
平成 27 年度私立大学戦略的研究基盤形成支援事業 … 41
受賞:ひらめき☆ときめきサイエンス推進賞受賞
(八田、村上)
…………………………………………… 41
平成 27 年度金沢医科大学プログラムひらめき☆ときめき
サイエンス …………………………………………… 42
■病院
第 36 回金沢医科大学病院連携病院会議 ……………… 44
第 88 回がん診療連携拠点病院研修会・第 10 回緩和ケア
オープンセミナー …………………………………… 44
第 89 回がん診療連携拠点病院研修会 ………………… 45
第 90 回がん診療連携拠点病院研修会・第 11 回緩和ケア
オープンセミナー …………………………………… 45
第 15 回能登地区がん診療連携協議会・第 91 回がん診療連
携拠点病院研修会 …………………………………… 46
文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業
学生ボランティアによる認知症サポーター養成講座 47
平成 27 年度防災講習会・災害訓練 ……………………… 48
石川県腎友会「第 16 回命のキャラバン」運動への協力 49
平成 27 年度石川県民大学校「健康管理講座」 ………… 50
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■金沢医科大学氷見市民病院
平成 27 年度栄養関係功労者厚生労働大臣表彰特定給食施
設区分 ……………………………………………… 53
平成 27 年度第 1 回医療安全研修会……………………… 53
在宅医療推進に関する研修会…………………………… 54
平成 27 年度第 2 回院内感染対策講習会………………… 54
金沢医科大学氷見市民病院平成 27 年度第 1 回 CPC … 55
第 4 回夏休み親子ふれあい医療フェスティバル ……… 55
第 3 回氷見病診連携症例カンファレンス ……………… 56
氷見市内中学生医療体験「社会に学ぶ 14 歳の挑戦」 … 56
■図書
データベース等利用講習会……………………………… 57
■管理・運営
一般教育機構長に澁谷良穂特任教授…………………… 58
大学院医学研究科長に芝本利重教授(再任)、医学部長に
横山仁教授(再任) …………………………………… 59
管理職マネジメント研修………………………………… 60
中堅事務職員を対象にリーダーシップ研修…………… 60
病院本館解体工事の進捗状況…………………………… 61
第 23 回河北郡市消火技術競技大会 …………………… 61
互助会秋のバス旅行……………………………………… 62
平成 27 年度栄養関係功労者厚生労働大臣表彰
栄養改善事業功労者(中川) ………………………… 63
「医は仁術」併催事業 市民公開セミナー&ミニコンサート 64
金沢医科大学「ツエーゲン金沢」冠協賛試合 ………… 66
■資料
理事会・評議会…………………………………………… 67
規程の改正・制定・廃止………………………………… 67
医学部教授会……………………………………………… 67
看護学部教授会…………………………………………… 68
総合医学研究所教授会…………………………………… 68
大学院医学研究科教授会………………………………… 68
大学院看護学研究科教授会……………………………… 68
平成 27 年度教育職員国際学会発表一覧(海外開催上半期)69
人事異動情報……………………………………………… 72
■教室紹介
解剖学Ⅰ …………………………………………………
解剖学Ⅱ …………………………………………………
循環器内科学………………………………………………
呼吸器内科学………………………………………………
消化器内科学………………………………………………
■本学スタッフ新刊著書
呼吸器ケアの疾患・検査・治療(石﨑) …………………
呼吸機能障害/循環機能障害(石﨑) …………………
脂質代謝異常と関連疾患《下巻》
(岡崎) ………………
□金沢医科大学学術振興基金寄付者ご芳名 ……………
訃報(牧野田) ……………………………………………
金沢医科大学報ホームページ http://www.kanazawa-med.ac.jp/ ~press/gakuho/
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