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農業振興課HP

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農業振興課HP
H22.3.11
宮城県農林水産部農業振興課
目
次
○農業への参入形態・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
○農業への参入形態(農地を利用する場合)
・・・・・・・・・・・・・・
2
・農業をはじめるにあたって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6
・情報収集・分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
7
・参入プランの作成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
9
○農業への参入の検討
・農業技術の習得・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
・農地の確保・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
・機械・施設等の整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
○経営の安定・発展のために(認定農業者制度について)
・・・・・・・・16
○参入事例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
Ⅰ
農業への参入形態
農業への参入形態は主に以下の2つが考えられます。
1
農作業の受託を行いたい
自らが農業経営(農産物を生産・販売して収益を得ること)を行うのではなく,農家
から農作業を請け負う形(農作業受託)での参入があります。
■事業内容の例
◇機械作業:田や畑の耕起,代かき,田植え,稲刈り,乾燥調製,除草,病害虫防除,
中耕培土など
◇農 作 業:野菜,果樹の収穫,選別・調製,袋詰め,箱詰めなど
◇そ の 他:パイプハウスの設置,ビニールの張り替え,農産物の運搬など
■参入方法
◇今の会社形態のままでも参入できます
◇農業法人を設立して参入することもできます
2
農業生産を行いたい
自らが農業経営(農産物を生産・販売して収益を得ること)を行う形での参入です。
農地を利用する場合と利用しない場合で参入方法が異なります。
農地 を 利用 する 場合
■事業内容の例
◇稲作,畑での野菜栽培や果樹栽培,転作田での麦や大豆,飼料作物の栽培など
■参入方法
◇一定の要件を満たした場合には,今の会社形態のまま参入できます。ただし,農地
は貸借に限定されます(所有はできません)。
◇農地法に基づく農業生産法人を設立して参入できます。
(農地は貸借だけでなく,所有もできます)
農地 を 利用 しない 場合
■事業内容の例
◇ブロイラー,肥育牛,養豚,きのこ栽培など
■参入方法
◇今の会社形態のままでも参入できます。
◇農業法人を設立して参入することもできます。
- 1 -
Ⅱ
農業への参入形態(農地を利用する場合)
農業生産法人を設立して参入する場合
◎農業法人と農業生産法人
農業法人
農業法人とは,「法人形態」によって農業を営む法人の総称です。
農業法人は農協法に基づく「農事組合法人」と会社法に基づく「会社法人」に大別さ
れ ま す。 ま た , 農地 の 権 利 取 得の 有 無 に よっ て ,「 農 業生 産 法 人 」と 「 一 般 農 業法 人 」
に大別されます。
農業生産法人
農業生産法人は,農地法で規定された呼び名で,農地の権利を取得して農業経営を行
うことのできる法人です。
農業生産法人になるためには,農地法に規定された一定の要件を満たす必要がありま
す。
◎農業法人の形態
共同利用施設等の設置を行う法人(1号法人)
農事組合法人
(農協法72条8)
農 業法 人
農業経営を営む法人(2号法人)
合資会社
合同会社
株式会社
(株式譲渡制限会社,特例有限会社)
農業生産法人
会社法人
農 地法第 2条 の規定を充 足
合名会社
農業を法人化する場合は,どのタイプの法人を選択するか,それぞれ法人形態の特色や
自らの経営展望に照らして選択する必要があります。
- 2 -
Ⅱ
農業への参入形態(農地を利用する場合)
◎農業法人の比較
農業法人を設立する場合,法人形態や構成員をどうするのかが重要なポイントです。
会社法人にするのか,農事組合法人にするのか,法人形態の選択にあたっては,将来ど
のような農業法人にしたいのか長期的な視点も大切です。
◇株式会社,合同会社,農事組合法人の比較
形態
株式会社
目的
出資
営利行為
一口均一
資本金
制限なし
(金額制限な
し)
構成員
議決権
役員
配当
1人以上制限
出資1株に
取締役1人
準備金等を控除
なし
つき1票
以上
後に配当,出資
口数に比例
1人1票
原則として
出資比率とは異
(定款で変更
可)
社員が業務
なった配当が可
執行を行う
能
1人1票
理事1人以
利用分量,従事
上
分量,出資分量
(組合員のみ)
の3種類
(必ずしも農業者
である必要なし)
合同会社
農事組合法人
上に同じ
上に同じ
共同の利益
上に同じ
増進
上に同じ
定めなし
上に同じ
農業者等3人
以上
◎農業法人の設立手順
農業法人設立の大まかな手順は以下のとおりです。農業生産法人の設立を目指す場合
には,定款や事業計画の作成時点で市町村農業委員会等の関係機関・団体と事前に相談
することをお勧めします。
設立の事前打合せ
類似商号の調査(会社法人の場合),発起人会の開催
法務局
定款の作成
会社法の施行により同一市町村
内において,同一営業で類似商
号の会社の登記を制限する規定
は廃止されたが,本店所在場所
を同一とする会社の同一商号の
登記は依然認められていませ
ん。また,不正競争防止法によ
って,類似の商号を使用するこ
とは「不正競争」に該当し,規
制を受ける可能性がありますの
で,事前に類似商号の調査はし
ておくべきです。
定款の認証(農事組合法人は不要)
公証人役場
設立総会
出資金の払込
金融機関
設立登記の申請
法務局
設立登記の完了
登記簿謄本・印鑑証明書・代表者の資格証明書の交付申請
法務局
税務署等諸官庁への届出(農事組合法人は知事に届出が必要)
諸官庁
- 3 -
Ⅱ
農業への参入形態(農地を利用する場合)
◎農業生産法人の要件
農業生産法人は農地法に規定された次の4要件を満たす必要があります。
①法人組織の形態要件
②事業要件
③構成員要件
④業務執行役員要件
①法人形態要件
農業生産法人の法人形態は,株式会社(株式
譲渡制限会社,特例有限会社),合名会社,合資
会社,合同会社,農事組合法人のいずれかでな
ければなりません。
◇株式会社(株式譲渡制限会社,特例有限会社)
◇合名会社
◇合資会社
◇合同会社
◇農事組合法人
②事業要件
農業生産法人の事業要件は,「主たる事業が農
業と関連事業(法人の農業と関連する農産物の加
農業及び関連事業
その他の事業
工販売等)であること」とされています。
農業と関連事業が売上高の過半であれば,その
直近3か年の売上高の過半
他の事業を行うことができます。
※関 連事業の例: 農産物の製造 ・加工,貯蔵 ,運搬,販売 ,農業生産資 材の製造,農 作業の受託, 林業,
共同利用施設 の設置,農村 滞在型余暇活 動に利用する 民宿等
③構成員要件
農業生産法人の構成員になれるのは右
◇農地の権利提供者
◇法人の常時従事者
◇農地等を現物出資した農地
保有合理化法人
◇農業協同組合・農業協同組
合連合会
◇地方公共団体
図のとおりです。(会社法人で は「社員」又
は「 株主」,農事組合法人 では「組合員」)
このうち,法人と継続的取引関係にあ
る関連事業者等の社員数又は議決権につ
いては,その合計が全体の1/4以下に制限
されていますが,以下の場合には議決権
◇法人から物資の供給等を受
けるもの
◇法人の事業の円滑化に寄与
するもの
(一定の範囲内で法人の行う
事業と継続的取引関係のある
個人・法人)
の制限を緩和する特例措置があります。
1)農業経営改善計画の認定を受けた農業
生産法人(認定農業者)は,認定期間
(5年)に限り,農外からの出資が総
議決権の1/2未満まで緩和
議決権の割合
農業関係者
関連事業
者等
総議決権の3/4以上
2)農業生産法人と連携して事業を実施す
特例
る一定の関連事業者(農商工連携事業
者等)が構成員である場合には当該事
農業関係者
業者の議決権は1/2未満まで緩和
総議決権の1/2以上
- 4 -
関連事業者等
Ⅱ
農業への参入形態(農地を利用する場合)
④業務執行役員要件
業務執行役 員の構成
農業生産法人の役員の要件は,以下のと
要件1
農業の常時従事者である構成員
おり2点あります。
要件1:業務執行役員の過半の人が法人
過半を占める
の農業や関連事業に常時従事す
る構成員であること
要件2
要件2:要件1に該当する役員の過半が
省令で定める日数(年間60日等)
原則年間60日以
上農作業に従事
過半を占める
以上農業作業に従事すること
なお,従事日数には特例があります。
■農事組合法人の場合は注意を!
農事組合法人の場合,農業協同組合法によって事業内容,組合員(構成員)の資格等が
決められており,地方公共団体が構成員になれないことなど,農協法の規定を受けること
になります。
◎要件適合性確保のための措置
農業生産法人の要件は,農地の権利を取得した後も満たされていることが必要です。
要件を満たさなくなれば,最終的に農地が国に買収されることとなります。農業生産法
人が農地の権利を取得した後も要件に適合していることを確保するため,次のような措
置が設けられています。
◇農業委員会への報告
農業生産法人は,毎事業年度の終了後3か月以内に,事業の状況等を農業委員会に報
告しなければなりません。この毎年の報告をせず,または,虚偽の報告をした場合には,
30万円以下の過料が課せられます。
◇農業委員会の勧告及びあっせん
農業委員会は,農業生産法人が要件を満たさなくなるおそれがあると認められるとき
は,法人に対し,必要な措置をとるべきことを勧告できます。この場合,法人から農地
の所有権の譲渡しをしたい旨の申出があったときは,農業委員会はあっせんに努めるこ
ととされています。
- 5 -
Ⅲ
農業への参入の検討(農業をはじめるにあたって)
異業種から農業に参入する場合には,次のようなことに注意が必要です
■
作物 の 決定 は 専門家 に 相談 しましょう
作物を決定する時に,ビジネスチャンスが見込まれるか否かだけで判断しますと,作物
がその地域に不向きだったり,関係機関の技術支援を受けることが困難だったという事例
がありますので,専門家に相談しながら多方面から検討しましょう。
■
技術 の 習得 と 人材確保 に 努 めましょう
安定した農業経営を行う上では,経営の基礎となる技術が重要な要素となってきますの
で,農業に関する知識・技術に精通した人材を確保するようにしましょう。また,自分自
身も実際に目で見て,聞いて,体験して多くのことを吸収するようにしましょう。
■
様 々 な 困難 も 工夫 と 努力 で 乗 り 越 えましょう
農業は,生き物と自然を相手にした営みですので,投資をすればすぐ結果が得られるわ
けではありませんし,なかなか自分の思いどおりにいかない場面も多々あります。しかし
な が ら , 成功 し た 経 営 者に 共 通 し てい る こ と は,「 こ の よう な 厳 し さ を十 分 に 認 識し て,
自らの工夫と努力で乗り越えてきた」ことですので,これまで培ってきたノウハウも生か
しながら,解決に向け,がんばりましょう。
■
補助金 や 農業制度資金 は 綿密 な 計画 の 上 で 有効 に 活用 しましょう
補助金や農業制度資金に依存しすぎるのは危険性をはらんでいます。綿密な農業経営計
画を策定した上で有効に活用するようにしましょう。
■
円滑 な 運営 には , 地域 との コミュニケーション を 図 りましょう
農業は地域の農業者や住民と深く関わりながら実施する産業です。地域の農業経営者等
と十分調整した上で農業に参入することが,新規参入後の農業経営にとって極めて重要で
す。特に,市町村,農協や生産者組織等とコミュニケーションを図りながら,関係を密に
するようにしましょう。
円滑に農業参入を行うためのステップを以下に示します
農業経営 の開始
機械 ・施設等 の整備
農 地 の確保 (
必 要な場合)
農業技術 の習得
農業参 入プ ランの作成
情報収集 ・検討
- 6 -
Ⅲ
農業への参入の検討(情報収 集・分析)
目指す農業の姿を描くためにも,事前の情報収集が大切です
県では,農業への参入を希望する民間企業等の相談窓口を設置しています。
農業への参入を希望する民間企業等
○建設会社,○食品会社(漬物,缶詰,
製菓,味噌,醤油)等
情報提供
相談
助言指導
地方相談窓口
情
報
提
供
相
・
助
言
・
指
談
○各地方振興事務所農業振興部
○各地域事務所農業振興部
(担当:調整指導班,農業振興班,
地域調整班)
【業務内容】
・農業参入相談の総合窓口,市町村・
農業委員会・農協等との連絡調整,農
地法,農業生産法人,生産技術など
情報提供
連絡調整
情報収集
市町村農政主務課
市町村農業委員会
農業協同組合
土地改良区
等
導
情報集約
情報提供
県庁相談窓口
○農林水産部農業振興課
(担当:企画指導班)
情報提供
【業務内容】
・農業参入相談の総合窓口,関係課及
び地方振興事務所との連絡調整,情報
の収集・提供など
- 7 -
連絡調整
情報収集
農業会議
農業公社
農協中央会
日本政策金融公庫
等
Ⅲ
農業への参入の検討(情報収 集・分析)
自社の経営資源の検討,有効活用も重要です
ヒトもモノもカネも全て新たに用意して参入となると,かなり大変な船出となってし
まいます。今ある経営資源の中で可能な部分は有効に活用することが望まれます。
■人材
従業員の中に兼業農家など,ある程度の農業技術を持っている人がいる,あるいは,知
人の中に協力してくれるような人がいる場合などもあると思われます。
また,仕事量が季節労働的に偏りがある場合には,余剰労働力を有効に使えるような経
営品目を選択することが有効になります。
■土地・設備
自社所有の土地や建物,設備等の中で流用できるものがあるかもしれません。
また,遊休状態になっているものがあった場合には,有効活用できないか検討しましょ
う。その際には立地条件も考慮しましょう。
■資金
農業に限らず,新分野に進出する場合には新たな設備資金や運転資金が必要となります。
特に,農業の場合には一般的に投資をしてから回収するまでに時間のかかる事業であると
いえます。
自社の借入残高,追加借入能力,返済能力などを十分に考慮する必要があります。
■販路
現在の取引先の中で,農産物の販売ルートの可能性となる相手がいるかもしれません。
また,自社のノウハウの活用により自ら販売する方法が可能となるかもしれません。
■経理
農業においてもしっかりとした計数管理をしていくことが基本となります。経理面にお
いては,これまでのノウハウが十分に役立つものと思われます。
- 8 -
Ⅲ
農業 への参入の検討(参入プランの作成 )
参入形態は決まっていますか?
本書p2では,農業への参入形態として事業内容から見ると「農作業受託」と「農業生
産」に分けられることを説明しました。
どのような参入形態をとるかは,農業へ参入する目的とも大きく関わってくるものと思
われますが,「農作業受託」と「農業生産」を比較すると以下にようになります。
項目
農業生産
農作業受託
農地
◇農地を利用する場合は農地の確保が必要です ◇農地等の確保の必要はありません
◇農地を利用しない場合も土地の確保は必要で
す
経営主催権
◇参入企業にあります
◇作業の委託者にあります
販路
◇販路を確保する必要があります
◇基本的には販路を確保する必要はありません
が,販売も受託するような場合は必要です
農業技術
◇生産する品目の栽培全般にわたって農業技術 ◇受託している品目の栽培全般にわたって農業
に精通する必要があります
機械・施設
技術に精通していることが望ましいです
◇栽培品目に必要な機械・施設全般にわたり確 ◇作業受託に関連する機械・施設のみ確保する
保する必要があります
必要があります
また,参入方法別に参入形態を整理すると以下のようになります。
①農業生産法人を設立して参入
②今の会社形態のまま参入
今の会社形態のまま参入
項目
農業生産法人設立による参入
農地等取得
農地を利用する場合
農地を利用しない場合
(農地所有者から)
(農地所有者から)
(農業生産の場合,土地所有
◇所有権の取得
◇賃借権又は使用貸借による 者から)
◇賃借権又は使用貸借による 権利の取得
権利の取得
◇所有権の取得
◇賃借権又は使用貸借による
権利の取得
参入手続き
◇参入企業が農業委員会に農 ◇参入企業が農業委員会に農 ◇特に定めなし
地法第3条の許可を申請
地法第3条の許可を申請
◇市町村が農用地利用集積計
画の公告手続き
参入可能な場所
◇特に定めなし
◇特に定めなし
- 9 -
◇特に定めなし
Ⅲ
農業 への参入の検討(参入プランの作成 )
経営品目は決まっていますか?
農業といっても水稲,野菜,果樹,畜産などいろいろあります。さらに,野菜や果樹と
いっても,トマト,いちご,ほうれんそう,りんご,なし,ぶどうなど多くの品目があり
ます。畜産についても,牛,豚,鶏などさまざまです。取り組もうとする品目・畜種を検
討しましょう。
主な経営内容における特徴や課題などについて以下に示します。
経営内容
特徴(メリットなど)
課題
水稲
◇ 従業員に兼業農家がいる場合など自社の経 ◇ 経営面積に対する収益が低いので,ある程
営資源を有効に活用できます
度以上の経営面積が必要です。また,効率性
◇ 他の農産物に比べ兼業農家の割合が高く高 を考慮するとまとまった状態が必要です
齢化も進んでいるため,H19から一定の要件
◇ 機械・施設等初期投資が大きくなります
を満たす担い手を育成する方向で施策が展開 ◇ 生産調整への対応が必要となります されています
野菜
◇ 単位面積当たりの収益が大きく,農地を利 ◇ 出荷のタイミングによって価格が大きく変
用する場合でも比較的狭い土地での参入が可 動します
能です
◇ 施設の場合,設備投資が大きくなる場合も
◇ 施設の場合,品目によっては年間を通じて あります
出荷することが可能です
◇ 露地の場合,天候など自然条件の影響を受
◇ 露地の場合,栽培技術が比較的容易な品目 けます
もあります
果樹
◇ 永年性の作目です
◇ 品目の転換が困難です
◇ もぎとりやオーナー制,加工など生産部門 ◇ 収穫までにある程度の年数を要する場合が
多いので,その間の運転資金を確保する必要
があります
以外の事業展開も期待できます
花き
◇ 単位面積当たりの収益が大きく,農地を利 ◇ 品質や品種による価格差が大きいので技術
用する場合でも比較的狭い土地での参入が可 力の習得や消費動向に応じた品種選定などが
能です。
必要です
◇ 品種が非常に豊富です
畜産
◇ 規模拡大が進んでいます。特に,養豚や養 ◇ 設備投資など初期投資がかなり大きくなり
鶏では企業的経営が主流となっています
ます
◇ 動物の飼養になりますので,毎日の管理が ◇ 家畜のふん尿については処理施設の整備な
欠かせません どにより適正に処理する必要があります
- 10 -
Ⅲ
農業 への参入の検討(参入プランの作成 )
販売先や販売方法は決まっていますか?
輸入農産物との競合のほか,国内での産地間競争も激化しており,作ることは勿論,売
れるものをどう作るか,また,どこにどう売るのかが重要です。消費者ニーズを把握する
とともに販売先の確保や販売方法について事前に検討しておく必要があります。
販路としては大まかに以下の3つが考えられます。
①集荷業者(農協等)
②大型小売店や外食・中食産業
③消費者
各々の留意点等について以下に示します。
①集荷業者(農協等)
農協等集荷業者に出荷するルートです。出荷された農協側では卸売市場や大口取引先な
どに販売します。
出荷者(参入企業)は農協等に販売を委託する形になりますので,生産に専念できる点
はメリットとも考えられますが,一方では,思ったような価格がとれない場合も想定され
ます。
②大型小売店,外食・中食産業
スーパーなどの大型小売店やレストラン,コンビニエンスストアなどの外食・中食産業
に販売するケースです。最近では,スーパーやレストラン自体が農業に参入するケースも
出てきています。
これら大型小売店等への販売にあたっては,品質や栽培方法,規格など買い手側の要求
にあった農産物を一定量安定的に継続して供給できることが重要なポイントとなります。
また,一般的に価格引き下げを求められる傾向もありますので,取引の維持拡大にあた
っては十分な配慮が必要となります。
③消費者
消費者に直接販売するケースです。近年は,消費者の農産物に対する安全安心のニーズ
も強く,顔が見る形である生産者からの直接購入も増加してきています。
直接販売の方法としては,直売所における販売やインターネットによる販売など様々な
方法が考えられます。
◇直売所
自ら直売所を開設する場合も考えられますし,既設の直売所に参加する場合も考え
られます。自ら開設する場合は開設する立地条件などについて十分考慮しましょう。
◇インターネットによる販売
近年の情報通信の発達により,インターネットによる販売は増加していますが,現
在では数多くのサイトが立ち上げられているため,一工夫が必要になります。
- 11 -
Ⅲ
農業 への参入の検討(参入プランの作成 )
技術・経営ノウハウは十分ですか?
事業計画は十分ですか?
一般に単価が高く高収益な農作物ほど生産が難しく,高い技術レベルが必要だったり,
多くの手間と時間を必要とする傾向があります。生き物と天候を相手にする農業では,何
を作るのかの品目選択と同時に生産技術や経営ノウハウについても十分習得する必要があ
ります。
また,資金調達計画が曖昧であると事業がとん挫することがあります。施設・機械の整
備のほか運転資金を含めた資金調達計画をしっかりすることが必要です。また,農産物は
収量や価格が天候等により変動しやすいので,余裕を持った償還計画をたてる必要があり
ます。
■事業計画(損益計画,資金計画)作成の流れ
1.損益計画作成に必要な生産,労働,設備,費用,販売関係の情報を整理しましょう
◇生産関係
何をどれくらい生産するのか計画を立てましょう。
→品目の選定,作型の選定,作付面積の設定,収量の設定など
◇労働関係
どのくらいの人員が必要で,人件費としてどれくらいが見込まれるか計算しましょ
→作業スケジュールの確認,労働時間の確認,必要人員の設定,人件費の計算
◇設備関係
その品目を作付けするのにどのような施設,機械が必要か確認しましょう。
→必要な機械・施設の確認,減価償却等の計算
◇費用関係
人件費や減価償却費以外の費用を計算しましょう。
→種苗費,肥料費,光熱動力費などの売上原価,販売費,一般管理費の計算
◇販売関係
どこに販売するのか,その際に販売単価はどれくらい見込めるか決定しましょう。
→販路の決定,販売単価の設定,売り上げの計算
2.これらの整理した情報をもとに損益計画を作成しましょう
3.設備投資資金や運転資金など調達先も考慮しながら資金計画を作成しましょう
4.作成した事業計画に無理がないか検討しましょう。無理がある場合は1に戻って計
を再構築しましょう
※事業計画は何パターンか作成しましょう。
- 12 -
Ⅲ
農業への参入の検討(農業技術の習得)
農業を営むには,確かな技術と経営ノウハウが必要です。
農業は生き物と自然を相手にした営みです。天候に恵まれ,素人でもそれほど苦労なく
大きな収穫をあげることができる時もあれば,経験豊かな農家でも思わぬ災害に見舞われ
大きな損害を被ることもあります。
民間企業の経営ノウハウは大きな力になりますが,技術をおろそかにすることはできま
せん。経営の基盤となる農業技術をしっかりと習得することは,安定した経営を行う上で
も今後の経営発展を考えても不可欠な要素です。
最小の投資で最大限の成果を上げるためにも,デスクプランだけに頼らず,取り組もう
とする品目はもとより,農業生産の全般について,実際目で見て,聞いて,体験して多く
のことを吸収することが大変重要なことです。
◎仕事を続けながら,農業の基礎的な知識や技術を学ぶことができる研修
研修の名称と研修先
ニュー・ファーマーズ・カレッジ
(宮城県農業実践大学校)
期
間
4月~
概
【対象者】
10月
・これから農業をはじめたいと考えている
【連絡先】
名取市高舘川上字東金剛寺1
要
55歳位までの方
【内 容】
022-383-8138
・農業全般にわたる基礎研修
(講義,視察,実習)
◎技術指導や情報提供などの支援
県内9箇所にある農業改良普及センターでは,農業生産技術や農業経営の改善など,技術及び
知識の普及活動を行っています。各地域の農業の実情や県内外の先進的な事例までさまざまな相
談に応じています。
- 13 -
Ⅲ
農業への参入の検討(農地の確保)
農地を利用して参入する場合には農地を確保する必要があります
■農地とは
農地法によると農地とは「耕作の目的に供される土地」と規定されています(法第2条)。
このため,その土地が農地であるか否かは,その土地の現在の状況によって判断すること
に な り ま す( 現 況 主 義)。し た が いま し て , その 土 地 が 耕作 の 目 的 に 供さ れ て い る限 り,
不動産登記法上の地目が山林や原野,雑種地等の非農地であっても農地として扱われ,農
地法の対象となることになります。
■農地取得の要件
耕作目的で農地の売買・賃貸を行う時には,市町村農業委員会の許可が必要となります。
耕作目的以外の農地の売買は認められません。また,許可を受けずに行った売買は,その
効力が生じません。
農業委員会が許可する際の要件は,次のとおりです。
①
農地を効率的に利用して耕作の事業を行うと認められるか。
②
法人の場合は農業生産法人であること。 ※
③
耕作に必要な農作業に常時従事すると認められるか。(農業生産法人を除く) ※
④
取得後の農地面積の合計が原則50a以上となること(地域の実情に応じて,農業
委員会が別段の面積を定めることが可能)
⑤
取得後において行う耕作の事業の内容及び農地の位置・規模からみて,農地の集
団化,農作業の効率化その他周辺の地域における農地の農業上の効率的かつ総合的
な利用の確保に支障を生じないか。
※以下の場合には②,③の要件を課さない
(使用貸借による権利又は賃貸借が設定される場合に限る)
◇
農地を適正に利用していない場合に貸借を解除する旨の条件を契約に付してい
ること
◇
地域の他の農業者との適切な役割分担の下に継続的かつ安定的に農業経営を行
うこと
◇
法人にあっては,業務執行役員のうち1人以上の者が農業に常時従事すること
■農地取得にあたって
農業に新たに参入する場合には,農地を確保するまでに,ある程度時間や労力を費やす
ものと思われます。
空いている農地はあっても,希望にあうような農地がすぐ見つかるとは限りませんし,
また,見つかったとしても,よく知らない相手に自分の大事な農地をすぐ貸すわけにはい
かないというような意識が強い場合も多々あるからです。
農地取得にあたっては,各市町村の農業委員会をはじめとした関係機関に相談すると同
時に,地域における信頼関係を作っていくことが大事なことになります。
- 14 -
Ⅲ
農 業 への参入の検討(機 械・施設 等の整 備)
農業生産を始めるには所要の機械・施設の整備が必要です
一定の要件を満たした新規参入法人も農地取得や施設整備,長期運転資金について,農
業近代化資金や経営体育成強化資金の融資が可能です。
資金の特徴
農業 近代化資金
経営体育成強 化資金
農業協同組合系統等の資金を活用して県で利子補給を
農林漁業の生産力の維持増進に必要な土
行い,経営の近代化を図るための設備資金等を低利で
地の取得や設備資金等総合的な投資に必
中・長期融資するものです。
要な資金を長期かつ低利で融資するもの
です。
貸付対象者
貸付限度額
貸 付 利 率
融
資
認定農業者
参入法人
※1
担い手
参入法人
個人 1,800万円
個人 1,800万円
法人 3,600万円
法人等 2億円( 特認)
1.5億円
1.70%
1.70%
1.70%
1.70%
80%(特認90%)
80%
80%
80%
15年(7年)
25年(3年)以内
25年(10年)以内
1.35~1.55%
率
償 還 期 限
担い手
※2
100%
15年(7年)以内
( 据置期間)
個人 1.5億円
15年(3年)以内
*果樹等植栽育成資
法人等 5億円
1.5億円
以内
金を含む場合は
15年(7年)以内
*農機具のみ又は,家畜購入育成資金のみの場合は
7年(2年)以内
債務保証等
人・物的保証,農業信用基金協会保証
人・物的保証
貸付利率は,平成20年12月18日現在
※1 :異業種か ら農業参入した 法人など農業 経営の実績のな い法人(経営開始 後2期以上の 決算を終えていないもの)であっ
て,5年以内に認定農業者となる計画を有する法人。
※2 :平成19年4月 1日から 平成22年 3月31日までの 間に利子補給 承認が行われた本資金(限度額:個人1,800万円,法人3,60
0万円(それぞれ 500万円超の資 金が対象))については,農山漁村振興基金からの追加利子助成により,実質金利を0
%に引き下げる。
詳しくは,下記の宮城県農林水産部農林水産経営支援課ホームページをご覧ください。
(http://www.pref.miyagi.jp/nosuikei/kinyu/sikin/nou-sikin2.htm)
- 15 -
Ⅳ
経営の安定・発展のために(認定農業者制度について)
認定農業者制度は,やる気のある農業者を応援する制度です
制度の活用により,農業経営の安定化,さらには経営発展につなげましょう!
■認定農業者制度とは
平成5年に制定された農業経営基盤強化促進法により,農業者が作成する農業経営の規
模拡大,生産方式・経営管理の合理化,農業従事態様の改善等農業経営の改善を図るため
の計画(農業経営改善計画)を市町村の基本構想に照らして,市町村が認定する制度とし
て創設されたものです。
■制度のねらいは
農業における担い手不足が深刻化する中,農業の健全な発展と活力ある農村の形成を図
るためには,農業を職業として選択し得る魅力とやりがいのあるものとし,効率的かつ安
定的な農業経営が,農業生産の相当部分を担う農業構造の確立を図ることが必要となって
います。認定農業者制度は,こうした課題を解決するための中核的施策として位置づけら
れています。
■農業経営改善計画の作成と認定基準
農 業 経 営 改 善 計 画 は 概 ね 5 年 後 を 目 指 し た 「 農 業 経 営 規 模 の 拡 大 」,「 生 産 方 式 の 合 理
化 」,「 経 営 管 理 の 合 理 化 」,「 農 業 従 事 の 態 様 の 改 善 」 な ど の 目 標 と 目 標 達 成 の た め の 措
置を記載します。
また,作成した農業経営改善計画の認定は以下の3つの要件に当てはまる場合に行うこ
とになります。
①その計画が市町村の基本構想に照らして適切であること
②その計画の達成される見込みが確実であること
③その計画が農用地の効率的かつ総合的な利用を図るために適切であること
■認定農業者のメリット
農業経営改善計画が認定され認定農業者となった場合には,予算,金融,税制,年金な
ど多岐にわたる経営改善のための支援措置があります。
1)予算措置
農業生産基盤・機械施設整備,水田経営所得安定対策,経営相談・指導・研修など
において,認定農業者に施策を重点化しています。
2)資金の融通
低利のスーパーL資金(農地取得も可能な長期資金),スーパーS資金(運転資金)
は認定農業者のみ借りられます。また,農業近代化資金,農業改良資金についても,
認定農業者は金利や融資率の優遇があります。
3)農業者年金
認定農業者には,通常保険料の下限額(月額2万円)を下回る特例保険料を適用し,
下限額との差額を助成します。
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Ⅴ
参入事例①
当該企業が事業を行うケース(「特定法人貸付事業」等を利用)
株式会社一ノ蔵
宮城県大崎市松山千石字大欅14
◇業種
清酒醸造業
【農業部門(一ノ蔵農社)】
◇農業参入
平成17年(構造改革特区を活用)
◇経営内容
酒米,ナス,そば,大豆
◇経営規模
7ha
■参入の動機
年間約3万数千俵の米を原材料として使用しているが,安全かつ良質な酒米の確保は重
要な課題。そのような中,担い手の減少,高齢化,耕作放棄地の増加など様々な問題が顕
在化してきているため,自らが直接・間接的に酒米づくりに携わっていくことで,酒造り
に必要な良質米の栽培ノウハウを蓄積することができること,また,生産から加工・販売
まで一貫した体制をとることで,消費者が安心できる酒造りができることから決断。
■参入にあたって苦労した点
特区により参入したが,当時特区については情報がなく,自らが情報収集に走り回るこ
ととなった。結果的には,農林漁業金融公庫(現
日本政策金融公庫)からの強力な支援
により旧松山町と公庫が特区導入契約を結び,認定へと進めることができたものの,まず
は,指導機関において参入のための窓口を開いていもらうことが第一歩だと感じる。
■経営の特徴,特徴的な取組
・食の安全,安心のみならず品質にも影響することから,環境保全型農法にこだわる。
◇水稲:NPO法人“環境保全米ネットワーク”のBタイプ(本田では化学肥料を使
用せず,農薬は5成分以下)
◇ナス:副産物の米糠や自家製ボカシ肥料,有機肥料を使用。農薬は合計7成分以下。
◇そば,大豆:化学肥料,農薬は使用せず。
■今後の事業展開
土づくり・人づくり・加工・販売・地域貢献など「一ノ蔵型六次産業」の実現を経営方
針に掲げ,全社員に農業体験を義務づけ,持続的で発展的な企業経営と企業責任としての
地域農業支援を推進。
■参入にあたってのアドバイス
・収益面を考えると生産だけではなく,六次産業として販売まで一貫してやらないと厳
しい。
・地域から認められなくては成功しない。
- 17 -
Ⅴ
参入事例②
当該企業が出資者及び業務執行役員となって事業を行う会社・組合を設立して
事業を行うケース(農業生産法人を設立している例など)
~その1
有限会社未来彩園
宮城県黒川郡大衡村駒場字彦右衛門橋197
◇農業参入
平成16年
◇経営内容
トマト(施設)
◇経営規模
1ha
◇関連会社
伸和興業株式会社(建設業)
■参入の動機
建設業の景気低迷及び公共工事の減少による先行き不透明感から,企業の継続,社員の
安定雇用を懸念し,現農業の抱える諸問題(後継者不足・遊休田・資金不足等)を併せ,
農業をビジネスチャンスと捉え,企業の持つ経営感覚・資金力・経営資源を投入し農業法
人設立による雇用創出と産業再生対策を目的として農業参入を決意。
■参入にあたって苦労した点
栽培技術や農作業の知識,経験がほとんどなく,いろいろ見てまわるなど勉強した。振
り返ってみると,もっと研修が必要だったが,1か月などの研修よりも,1シーズンを通
した研修が必要である。
■経営の特徴,特徴的な取組
・採光性に優れたトラス式ダッチライト型温室での養液栽培によるトマト長期多段取り栽培。
・オランダ品種を導入し,大玉と中玉を生産。
・GAP手法に基づく生産工程管理を行い,PDCAサイクルを実践。
・量販店・市場に直接出荷し,事前のシーズン値決めによる高単価の維持。
・灌水を簡易ボイラーで暖めるなど建設業の持つノウハウを活用。
■今後の事業展開
・収量増加:規模拡大による増収
・単価アップ:エンドユーザー向け販売を念頭に「彩トマト」のブランド育成・強化を
図り,販路の再構築
■参入にあたってのアドバイス
・1年目は苦労するのは当たり前。そこで,様々なことを体感し,自分の実力を知り,
次のステップ(やるべきこと)がみえてくる。
・販路をどうするかは重要なキーポイント
- 18 -
Ⅴ
参入事例③
当該企業が出資者及び業務執行役員となって事業を行う会社・組合を設立して
事業を行うケース(農業生産法人を設立している例など)
~その2
リッチフィールド有限会社
宮城県栗原市鶯沢南郷町田前1-1
◇農業参入
平成17年
◇経営内容
パプリカ(施設)
◇経営規模
1.3ha
◇関連会社
トミタテクノロジー株式会社
(農業用施設の設計・施工)
■参入の動機
パプリカは外食産業等で需要が伸びているが,消費の90%を輸入に頼っている。また,
国内生産は関東以西での越冬栽培が中心である。そこで,夏冷涼な東北地域の気候特性を
生かしたパプリカの大規模施設栽培に取り組むことにより雇用の創出と栗原地域の農業生
産の一翼を担う一大事業として着手。
■参入にあたって苦労した点
土地の取得にあたっては,当初予定していた土地が借りることができなくなり,そこか
ら新たな建設地を探すこととなった。これにより,施設の完成も遅れることとなり,栽培
初年度に影響がでた。
■経営の特徴,特徴的な取組
・パプリカの夏秋栽培による高品質かつ多収穫の実現
・特許をとっているヤシ殻を使用した培地の養液栽培システムによる高度な環境制御
■今後の事業展開
広域連携または温暖な場所での自社生産による冬春型の生産を行い,周年出荷を図る
■参入にあたってのアドバイス
・現場で情熱を持って取り組む人材が必要
・土地の確保及び設備や運転資金の調達,施設園芸であれば施設・栽培技術,販売につ
いて十分な検討が必要
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Ⅴ
参入事例④
当該企業が設備投資や会社設立の出資・事業運営のための情報資源の提供を行う
会社・組合を設立して事業を行うケース
奥田建設株式会社
宮城県仙台市青葉区八幡6丁目9-1
◇農業参入
平成17年
◇経営内容
ワサビ
◇経営規模
1ha
◇関連組合
加美町わさび生産組合
(わさびの栽培管理)
■参入の動機
会社創設以来,地域における総合建設業として公共工事など土木・建設全般の事業を展
開してきたが,公共事業の抑制をはじめとする建設需要の低迷は大きな影響を与えている。
このような中,健康に関する優れた食品であり,環境をキーワードとして企業のイメージ
アップにもつながるワサビ栽培事業を決断。
■参入にあたって苦労した点
ワサビ栽培は決断したものの,良質かつ豊富な水が必要なため,七ヶ宿町から蔵王山麓
など栽培適地を探し求めた。
■経営の特徴,特徴的な取組
・地元農業者で組織する生産組合や大学,他業種事業者等との連携により事業を展開。
・やくらい土産センターやギフトを中心としたPR販売と同時に建設業者として培って
きた人脈をフルに活用しホテル・和食料理店等にも販路を拡大。
・地元の深い理解と協力があっての事業開始ということもあり,地域貢献・地域活性化
を事業理念の1つとし,やくらいにおける地域ブランド化を推進。
■今後の事業展開
1次産業としてのみならず,2次,3次産業との複合(6次産業)として事業を展開。
◇全国シェアの1%
◇加工品の開発の推進
◇海外販売戦略の検討
◇地域活性化のための将来ビジョン策定
■参入にあたってのアドバイス
・地域との関係抜きで事業は成立しない。地元の生産農家や自治体,地元高校や地域住
民など地域全体との連携を通じて,幅広い観点から地域活性化を促進し,その結果と
して組織として利益を得られるような,広域的・長期的視点に立った展望が重要。
・これまで培ってきた人脈や信用力,経営資源などをフルに活用すべき
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