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職業介護人による介護費用算定方法についての考察

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職業介護人による介護費用算定方法についての考察
職業介護人による将来介護費用の立証方法についての考察
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被 害 者 が 後 遺 障 害 等 級 別 表 第 1、 1 級 1 号 (「 神 経 系 統 又 は 精 神 に 著
し い 障 害 を 残 し 、常 に 介 護 を 要 す る も の 」) に 認 定 さ れ 、現 段 階 で は 近
親者が介護をしているが、近親者が老齢のため介護ができなくなった
場合は職業介護人に介護を委ねることになる。その場合、職業介護人
の介護費用がどの程度になるかについて問題となる。
職業介護人の介護費用については短期的に介護をさせて実費を明ら
か に す る と い う 方 法 も 考 え ら れ る が 、短 期 的 な 介 護 は 無 理 等 の 理 由 で 、
実際には種々の理由から実費の証明は困難なことが多い。
そこで、職業介護人の介護費用の立証をどのようにするかが問題と
なる。
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交 通 事 故 で 重 度 の 障 害 を 負 っ た 者 は 障 害 者 自 立 支 援 法 (以 下 「 法 」 と
い う )で 市 町 村 か ら 種 々 の 福 祉 サ ー ビ ス を 受 け る こ と が 可 能 で あ る (介
護 保 険 と 異 な り 、 年 齢 の 制 約 は な い )。
その際、サービスの利用希望者は市町村に申請を行うと、市町村の
調 査 が 行 わ れ (1 次 判 定 )、 障 害 程 度 の 区 分 の 判 定 が な さ れ る 。
ま た 、介 護 給 付 を 申 請 し た 場 合 、市 町 村 審 査 会 で 2 次 判 定 が 行 わ れ 、
最終的に障害程度区分が認定される。
障害程度区分は区分 1 から区分 6 まであり、区分 6 が最も重い。
後 遺 障 害 、別 表 第 1 、1 級 1 号 に 認 定 さ れ た 者 は 通 常「 区 分 6 」と 認
定される。
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厚生労働省は法に基づき、事業者に対する障害福祉サービスの報酬
の 基 準 を 定 め て い る ( 平 成 18 年 9 月 2 9 日 厚 生 労 働 省 告 示 523 号 ) 。
ここで事業者とは指定福祉障害サービス事業者・指定障害者支援施
設と基準該当事業所・基準該当施設のことである。
指定福祉障害サービス事業者・指定障害者支援施設は都道府県知事
が 指 定 し た 事 業 者 で あ り (法 29- 1)、 基 準 該 当 事 業 所 ・ 基 準 該 当 施 設
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とは厚生労働省令で定める基準等を満たすと認められるものである。
指定福祉障害サービス事業者・指定障害者支援施設が行うサービス
は 指 定 障 害 福 祉 サ ー ビ ス と 呼 ば れ ( 法 29 - 1) 、 基 準 該 当 事 業 所 ・ 基 準
該 当 施 設 が 行 う サ ー ビ ス は 基 準 該 当 福 祉 サ ー ビ ス と 呼 ば れ る ( 法 30 -
1、 二 ) 。
前記告示は別表に介護給付費単位表があり、各サービスを単位で表
示している。
1 単 位 は 基 本 的 に は 10 円 で あ る が 、 基 準 福 祉 サ ー ビ ス の 場 合 は 8. 5
円とすることもある。
ま た 、地 区 は 特 別 区 、特 甲 地 、甲 地 、乙 地 、丙 地 に 分 類 さ れ て お り 、
地区によって 1 単位の額に若干の違いがある。
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後 遺 障 害 等 級 別 表 第 1 、1 級 1 号 に 認 定 さ れ 、
「 区 分 6 」と な り 、告 示
の別表、第 2 の「重度訪問介護サービス費」により算定されることに
なる。
別 表 、 第 2 の 「 重 度 訪 問 介 護 サ ー ビ ス 費 」 の 単 位 は 「 区 分 4」 以 上
の 者 に 該 当 す る 表 で あ る が ( 注 1( 1)) 、「 区 分 6 」 の 者 は 単 位 を 7. 5/1 00
加 算 し ( 注 6) 、 気 管 切 開 を 伴 う 人 工 呼 吸 器 に よ る 呼 吸 管 理 を 行 っ て い
る 者 等 の「 区 分 6 」で も 程 度 の 重 い 者 は 単 位 を 1 5/1 00 加 算 す る ( 注 7) 。
また、早朝、夜間、深夜の加算がある。
具 体 的 な 単 位 に つ い て は ワ ム ネ ッ ト (独 立 行 政 法 人 福 祉 医 療 機 構 の
HP) に 掲 載 さ れ て い る 。
※ な お 、 上 記 HP で 「 行 政 資 料 」 → 「 分 類 一 覧 」 → 「 障 害 者 福 祉 」
→「 シ ス テ ム 関 連 」→「 報 酬 算 定 サ ー ビ ス コ ー ド 」か ら 調 べ る こ
とができる。
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後 遺 障 害 等 級 別 表 第 1 、 1 級 1 号 に 認 定 さ れ 、「 区 分 6 」 の 者 ( 基 準 の
単 位 に 7 .5/ 100 の 加 算 を す る 者 ) が 午 前 6 時 か ら 次 の 日 の 午 前 6 時 ま で
の「重度訪問介護サービス」を横浜で受けた場合、告示からどの位の
報酬となるか算定をしたのが以下の表である。
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時間帯
時間
単 位 (1 時 間 )
総単位
午 前 6 時 ~ 午 前 8 時 (早 朝 )
2 時間
215
430
午 前 8 時 ~ 午 前 10 時 ( 日 中 )
2 時間
172
344
午 前 10 時 ~ 午 後 2 時 ( 日 中 )
4 時間
161
644
午 後 2 時 ~ 午 後 6 時 (日 中 )
4 時間
163
652
午 後 6 時 ~ 午 後 10 時 ( 夜 間 )
4 時間
193
772
午 後 10 時 ~ 午 前 0 時 ( 深 夜 )
2 時間
245
490
午 前 0 時 ~ 午 前 4 時 (深 夜 )
4 時間
258
1032
午 前 4 時 ~ 午 前 6 時 (深 夜 )
2 時間
242
484
合
4848
計
解説
ワ ム ネ ッ ト の サ ー ビ ス コ ー ド 表 か ら 午 前 6 時 ~ 午 前 8 時 、午 前 8 時 ~ 午
前 10 時 ま で の 単 位 は そ れ ぞ れ 215 、 1 72 。
午 前 10 時 ~ 午 後 2 時 は 午 前 6 時 か ら カ ウ ン ト す る と 4 時 間 以 上 8 時 間
未 満 な の で 単 位 は 1 61 と な る ( 最 長 4 時 間 単 位 ) 。
午 後 2 時 か ら 午 後 6 時 ま で は 午 前 6 時 か ら カ ウ ン ト す る と 8 時 間 以 上 12
時 間 未 満 な の で 単 位 は 163 と な る 。
午 後 6 時 か ら 午 後 10 時 ま で は 午 前 6 時 か ら カ ウ ン ト す る と 12 時 間 以 上
16 時 間 未 満 で 夜 間 の 加 算 が あ る の で 単 位 は 1 93 と な る 。
午 後 10 時 か ら 午 前 0 時 ま で は 午 前 6 時 か ら カ ウ ン ト す る と 16 時 間 以 上
20 時 間 未 満 な の で 単 位 は 245 と な る ( 日 が 変 わ る 場 合 は 新 た に カ ウ ン ト
す る 、 深 夜 加 算 あ り )。
午 前 0 時 か ら 午 前 4 時 ま で は 4 時 間 未 満 な の で 単 位 は 2 58 。
午 前 4 時 か ら 午 前 6 時 ま で は 4 時 間 以 上 8 時 間 未 満 な の で 単 位 は 242。
1 日 の 単 位 合 計 は 4848 と な る 。
1 単 位 は 基 本 と し て 10 円 で あ る が 、横 浜 は 特 甲 地 で あ る の で 106 0/1 000
と な る 、1 単 位 は 10 . 6 円 で あ る ( 平 成 1 8 年 9 月 2 9 日 厚 生 労 働 省 告 示 53 9
号)
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従って、以下の通りとなる。
4848 ×1 0.6 =5 万 1 388 円
※ 法 を 利 用 し た 場 合 、介 護 費 用 の う ち 、自 己 負 担 分 は そ の 一 部 と な
る が 、福 祉 制 度 は 将 来 、ど う な る か 分 か ら な い た め 、自 己 負 担 分
のみに限定されない。
※ 職業介護人は浣腸、導尿、口腔内のかきだし等はできないから、
その部分は看護師、近親者が行うことになる。
全体の介護費用はそうした補助的な介護費用も加算する必要が
ある。
※ 告 示 の 報 酬 は 平 成 21 年 4 月 1 日 か ら ア ッ プ す る 。 算 定 例 は 従 来
の報酬基準に従ったものである。
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